JP2022122372A - 樹脂組成物およびそれを用いてなる二軸延伸フィルム - Google Patents

樹脂組成物およびそれを用いてなる二軸延伸フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】複屈折率が低く透明性が良好なポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリスチレンを基本骨格とする樹脂Aとポリエステルである樹脂Bを含む樹脂組成物で、樹脂Aがスチレン繰り返し単位のモル数に対して、1モル%~80モル%の範囲でスルホン酸基の平均置換度を有する樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明では、ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂を用いてなる樹脂組成物および、その樹脂組成物からなるフィルムに関するものである。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。これらのポリエステル樹脂において、特に近年、フラットパネルディスプレイやタッチパネル分野において偏光板保護フィルム(偏光子保護部材)や円偏光板位相差フィルム(円偏光板部材)、透明導電フィルムなど各種光学用フィルムの需要が高まっている。その中でも、偏光板保護フィルム用途では、低コスト化を目的として従来のTAC(トリアセチルセルロース)フィルムから二軸配向ポリエステルフィルムへの置き換えが盛んに検討されている。しかしながら二軸配向ポリエステルフィルムは延伸時のポリエステルの配向に起因する液晶ディスプレイとして組み立てた際に発生する干渉色を十分に制御できておらず、画面表示をした際の品位が低下する。そのため、二軸配向ポリエステルフィルムおよびこれに用いるポリエステル樹脂は画面表示をした際の品位の観点からは、複屈折を低減することが好ましい。複屈折を低減する方法としては、延伸しないまたはわずかに延伸して結晶性や配向性を低下させる方法があるが、結晶性を低下させたポリエステルは加熱工程において熱結晶化により白化するため透明性が不十分であり、配向性を低下させると加熱工程などでフィルム変形などが発生し、偏光子保護フィルムなどの低複屈折が必要とされる用途での適用は困難であった。
これに対して、正負逆符号の複屈折を有する樹脂を複合化することにより、すなわち、正の複屈折を有するポリエステル樹脂に対して、負の複屈折を有する樹脂を複合化することにより、分子配向が凍結残留しても原理的に複屈折を低減可能であり、以下のような提案がなされている。
特許文献1には、芳香族ポリエステルとスチレン系重合体とをブロック共重合化することによって、透明で低複屈折な成形物が得られることを開示している。
特許文献2には、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂を交互に積層することによって、透明で低複屈折なフィルムが得られることを開示している。
特開昭63-178119号公報 特開2008-137304号公報
特許文献1では、ブロック共重合体が相分離構造を形成するため、透明性が十分ではなく、光学用途の応用が困難であった。
特許文献2では、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂の相溶性が十分ではないため、フィルムの延伸時の応力によって、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂との界面で剥離が発生し、層間剥離の発生や、空隙が形成されるため透明性が十分ではなく、光学用途の応用が困難であった。
以上のように、従来技術では、透明性、低複屈折、機械特性を兼備したポリエステル樹脂とスチレン樹脂からなる光学樹脂材料を得ることは困難であった。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を克服して、透明性が良好であるポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物および、その樹脂組成物からなるフィルムを提供することである。
上記課題を解決すべく検討を行った結果、本発明により、複屈折率が低く透明性が良好なポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物および、その樹脂組成物からなるフィルムを見出した。
すなわち、本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(1)ポリスチレンを基本骨格とする樹脂Aとポリエステルである樹脂Bを含む樹脂組成物であり、樹脂Aがスチレン繰り返し単位のモル数に対するスルホン酸基のモル数を表す平均置換度が1モル%~80モル%である樹脂組成物。
(2)280℃で10分間溶融した時の剪断速度1.26rad/秒における剪断粘度が5000Pa・秒以下である(1)に記載の樹脂組成物。
(3)窒素原子および/またはリン原子を含む(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)(1)に記載の樹脂組成物からなる二軸延伸フィルム。
本発明によれば、複屈折率が低く透明性が良好なポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物および、その樹脂組成物からなるフィルムを提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを主原料として重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。主原料とは、ポリエステル樹脂中のジカルボン酸成分およびジオール成分から得られる構成単位が、合計で70モル%以上であることを示す。より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
本発明におけるジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸類、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。その中でも、ポリエステル樹脂の耐熱性および加工性の観点から、芳香族ジカルボン酸成分であることが好ましい。さらには、ジカルボン酸成分として90mol%以上が芳香族ジカルボン酸成分であることが好ましく、中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2,2’-ジフェン酸であることが透明性と加工性の両立の点から好ましい。
本発明におけるグリコール成分としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオールや、芳香環式ジオールが挙げられる。また加工性を損なわない範囲で、ジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。特に、グリコール成分として90モル%以上が脂肪族ジオールおよび/または芳香環式ジオールからなることが好ましい。その中でも、例えば、組成物をフィルムにした際の伸度および柔軟性といった機械的特性の観点からエチレングリコール、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが特に好ましい。
なお、本発明の効果の範囲を損なわない程度に、他のジカルボン酸やヒドロキシカルボン酸誘導体、ジオールが共重合されていてもよい。
上述したポリエステル樹脂の極限粘度(25℃のo-クロロフェノール中で測定)は、0.4~1.2dl/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5~0.8dl/gの範囲である。
本発明におけるポリスチレン樹脂は、スチレン繰り返し単位のモル数に対するスルホン酸基のモル数を表す平均置換度が、1モル%~80モル%の範囲であるスルホン化スチレンポリマーであり、以下のスチレン単位を有するスルホン化スチレンポリマーである。
Figure 2022122372000001
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、置換アルキル基又はハロゲンであり、Rは水素またはスチレン環上の置換基である)
ポリスチレン樹脂のスチレン繰り返し単位のモル数に対するスルホン酸基の平均置換度が上記範囲であることで、ポリスチレン樹脂の親水性度が高まり、ポリエステル樹脂との相溶性が良好となる。平均置換度が上記範囲を超えると、親水性度が高まりすぎるためポリエステル樹脂との相溶性が低下し、透明性が悪化するとともに、耐熱性が悪化する。また、平均置換度が上記範囲に満たない場合、親水性度が低くポリエステル樹脂との相溶性向上の効果が十分に発揮されない。
スチレン環上の置換基は、スルホン酸基である。スルホン酸基を有するスチレン繰り返し単位において、置換基の位置は、オルト位、メタ位、パラ位いずれでも良く、単一または複数の置換位置が含まれても良い。特に好ましくはパラ位である。
ポリスチレン樹脂のスルホン酸基は中和されても、中和されていなくてもよい。加熱によるスルホン酸基同士の縮合を抑制できる観点から、スルホン酸基は50モル%以上が中和されていることが好ましく、より好ましくは80モル%以上である。
中和されたスルホン酸のカチオンとしては、アルカリ金属カチオン(Li、Na、Kなど)、アルカリ土類金属カチオン(Mg2+、Ca2+など)、アンモニウムカチオン(NH )、有機アンモニウムカチオン、有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられるが、耐熱性、加工性の観点から有機アンモニウムカチオン、有機ホスホニウムカチオンが好ましく、さらに好ましくは4級アルキルアンモニウムカチオン、4級アルキルホスホニウムカチオンがあり、中でも、アルキルの炭素数が4以上であることで、耐熱性と加工性を向上させることが可能となる。
本発明におけるポリスチレン樹脂は、スチレンユニットのみのポリマーでもよく、又はスチレンと他のモノマーユニットとのコポリマーであってもよい。前記スチレン以外のユニットとしては、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(炭素数1~4の脂肪族炭化水素)、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの中で、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸が好ましい。また、前記スチレン以外のユニットは、水素添加物であってもよい。これらのスチレン以外のユニットは、1種又は2種以上含まれていてもよいが、好ましくは2種以内である。
本発明におけるポリスチレン樹脂の重量平均分子量(Mw) は1.0×10~1.0×10である。Mwが上記範囲内であるポリスチレン樹脂を用いることで、機械物性と、加工性を両立でき、フィルムとして好適である。
本発明において用いられるポリスチレン樹脂の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比Mw/Mnは特に限定されるものではないが、概ね1.0以上5.0以下程度である。フィルムなどの延伸性の観点からは、Mw/Mnは2.0以上であると、機械物性が良好となり好適である。
また、本発明において用いられるポリスチレン樹脂の数平均分子量(Mn)は、上記Mw/Mnの関係を満足する範囲であれば良く、Mnの上限、下限は特に限定されるものではないが、概ね1.0×10~1.0×10程度である。
本明細書におけるポリスチレン樹脂の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、いずれも実施例(1)に記載したゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC法)により求めた値である。
本発明の樹脂組成物は、280℃で10分間溶融した時の剪断速度1.26rad/秒の時の剪断粘度が5000Pa・秒以下であることで、流動性が十分で取扱いやすいため、加工性が良好であり好ましい。剪断粘度の上限は特に限定しないが、100Pa・秒以上であることが好ましい。また、上限は1000Pa・秒以下であることがより好ましい。
本発明における樹脂組成物は窒素原子および/またはリン原子を含むことが好ましい。窒素原子および/またはリン原子を含むことで、樹脂組成物として溶融成形するときの、熱分解による溶融粘度の低下を抑制できる。
窒素原子の含有量としては、樹脂組成物に対する重量比として0.01重量%以上含有していることが好ましい。下限としてより好ましくは0.20重量%以上である。上限として好ましくは5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下である。
リン原子の含有量としては、樹脂組成物に対する重量比として0.01重量%以上含有していることが好ましい。下限としてより好ましくは0.20重量%以上である。上限として好ましくは10重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下である。
窒素原子および/またはリン原子の含有量は、窒素元素量とリン元素量の総量としては樹脂組成物に対する重量比として0.01重量%以上含有することが好ましい。下限としてより好ましくは0.5重量%である。上限として好ましくは10重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下である。
本発明のポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂を用いてなる樹脂組成物を形成するにあたって、ポリスチレン樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の重量比、すなわち重量比(A/B)は、10/90~90/10であることが好ましい。該重量比は、より好ましくは30/70~70/30である。
該重量比が好ましい範囲内であると、より効果的に複屈折率を低減できるとともに、機械物性が良好となる。該重量比が高まると、すなわちポリエステル樹脂の比率が高まると比較的機械物性が良好となる傾向であり、一方、該重量比が低くなると、すなわちポリスチレン樹脂の重量比が高まると比較的複屈折率の低減が大きくなる傾向である。
次に、本発明のポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物の製造方法について記載する。
ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物の製造方法は、公知の方法を適用できる。
ポリエステル樹脂にポリスチレン樹脂を混合する時期は、ポリエステル樹脂の重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に添加してもよい。また、押出機を用いて混合する方法、粉砕器で混合成分を粉末状に粉砕した後に混合する方法、両者を溶媒に溶解し共沈させることにより混合する方法、一方を溶媒に溶かして溶液状とした後に他方に混合する方法なども挙げられるが、この限りではない。混錬機による混錬では、溶融押出後に直接目的の形状へ成形でき、熱履歴が短く着色等が抑制される点で好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、ジカルボン酸成分またはそのエステルとジオール成分を主原料とし、次の2段階の工程からなる。すなわち、(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、それに続く(C)重縮合反応からなる2段階目の工程である。
本発明のポリエステル樹脂を製造する原料は、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびグリコールを用いることができ、それぞれは1種類でも、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
本発明のジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニル4,4’-ジカルボン酸、2,2’-ジフェン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、ダイマー酸などが挙げられる。本発明でいうジカルボン酸エステルとは、先に述べたジカルボン酸の低級アルキルエステル、酸無水物、アシル塩化物などであり、メチルエステル、エチルエステル、ヒドロキシエチルエステルなどが好ましく用いられる。本発明のジカルボン酸としてより好ましい態様は、融点が高く、フィルムや繊維などに加工しやすい樹脂組成物を得ることができる点で、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2,2’-ジフェン酸、またはそのエステルである。
本発明のグリコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノールなどの脂環式ジオール、2,6-ジヒドロキシ-9-オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またジオール以外にも本発明の効果を損なわない範囲で、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。本発明の効果を十分果たすことができる点、およびフィルムや繊維などに加工しやすい樹脂組成物を得ることができる点でエチレングリコール、9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、バッチ重合、半連続重合、連続重合が適用できる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法において、(A)エステル化反応に用いられる触媒は、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの化合物を用いても構わないが、重縮合反応段階での熱分解や異物の発生などの観点から、エステル化反応は無触媒で実施することが好ましい。ここで、(A)エステル化反応は無触媒においてもカルボン酸の自己触媒作用によって、反応は十分に進行する。また、(B)エステル交換反応に用いられる触媒としては、公知のエステル交換触媒を用いることができる。エステル交換触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが挙げられ、具体的には、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酸化物、水酸化物などがあるが、これに限定されるものではない。
また、(C)重縮合反応に用いられる触媒は、公知の重縮合触媒を用いることが出来る。例えば、アンチモン、チタン、アルミニウム、スズ、ゲルマニウムなどの化合物などが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法において、高分子量のポリエステル樹脂を得るため、固相重合を行ってもよい。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、ポリエステル樹脂を不活性ガス雰囲気下または減圧下で加熱処理されることで実施される。
本発明におけるポリスチレン樹脂の製造方法としては、スチレン繰り返し単位のモル数に対して、1モル%~80モル%の範囲でスルホン酸基の平均置換度を有するスルホン化スチレンポリマーであり、化学式1のスチレン単位を有するスルホン化スチレンポリマーであればよく、製造方法に特に制限はない。
ポリスチレン樹脂の製造方法として、例えば、スチレン系のモノマーおよびスルホン化スチレンモノマーに開始剤を加え、反応することで共重合ポリマーを得る方法、スチレン系ポリマーにスルホン化剤を加え、反応することでスルホン化スチレンポリマーを得る方法などが挙げられる。
以下に、スチレン系ポリマーにスルホン化剤を加え、反応することでスルホン化スチレンポリマーを得る方法について例示するが、本発明は以下の方法に限定されるものではない。
ポリスチレン樹脂の原料となるスチレン系ポリマーは、スルホン化スチレンポリマーであるポリスチレン樹脂の重量平均分子量(Mw) は1.0×10~1.0×10 数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比Mw/Mnは、概ね1.0以上5.0以下程度、数平均分子量(Mn)は、概ね1.0×10~1.0×10程度であることが好ましい。
ポリスチレン樹脂の原料となるポリマーとしては、重合時の温度条件、重合開始剤の添加量を調整することにより得ることができるが、PSジャパン社製「PSJ-ポリスチレン679」(商品名)、東洋スチレン社製「トーヨースチロールGP G220」、出光興産社製「ザレックS105」(商品名)(重量平均分子量180,000、融点270℃)等として市販されているのでこれを入手して使用してもよい。
さらに、2種以上のポリスチレン樹脂を混合することによって、平均分子量が、前記範囲内となるように原料樹脂を調製することもできる。
なお、本発明の目的、作用、効果が達成される範囲内において、スチレン系ポリマーにその他の重合体を混合したものであってもよい。その他の重合体としては、スチレン- ブタジエン- スチレンブロック共重合体、スチレン- イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン- ブタジエン- スチレンブロック共重合体水添物、スチレン- イソプレン- スチレンブロック共重合体水添物、スチレン- エチレン共重合体等が挙げられ、50重量%未満、さらに30重量%未満、特に10重量%未満の範囲で目的に応じて混合することができる。
スチレン系ポリマーのスルホン化の方法としては、公知の方法で良く、例えばスチレン系ポリマーを非芳香族系の溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素に溶解し、硫酸、クロロスルホン酸やアセチル硫酸などのスルホン化剤を添加し、反応させる。スルホン化剤の添加量は、多いほどスチレン系ポリマーのスルホン化の程度が高くなり、逆に少ないと、スルホン化の程度が低くなる。前記スルホン化剤の使用割合は、特に制限はないが、スチレン系族ポリマーのスチレンユニット1モル当りのモル比で、0.01~100倍モルが好ましく、0.1~30倍モルがより好ましい。スルホン化の反応時間及び反応温度も、スルホン化の程度に影響を与える。反応温度が高いほど、また、反応時間は長いほど、スルホン化の程度は高くなる。本発明における反応温度は、通常0~200℃であり、好ましくは0~100℃である。反応時間は、通常0.1~100時間であり、好ましくは1~30時間である。
スルホン化反応後、過剰な反応やスルホン酸基同士の分子内縮合を抑制するため、アルコール等を加えることにより、過剰なスルホン化剤をクエンチすることができる。
スルホン化反応終了後は、公知の方法で生成物を取り出せばよい。例えば、反応液にアルコール等の貧溶媒を加えて目的のポリマーを析出させた後、常法に従って濾過等により固液を分離し、必要に応じて水洗、乾燥等の処理を行うことにより取り出すことができる。或いは、反応液と水とを混合し、反応溶媒を分液又は蒸留等により分離除去して得られたポリマーの水溶液又は分散液を得、その状態で使用するか、必要に応じて水を除去して固体状態でスルホン酸の中和工程やポリエステル樹脂との混合工程に供することができる。
反応後の生成物は、アルカリ化合物を添加することで、スルホン酸塩化合物とすることができる。生成物が固体状態であれば、溶媒に溶かした後に、アルカリ化合物を所定量添加することで、中和反応させる。溶媒としては、生成物が溶解できれば良いが、アルカリ化合物も溶解できる溶媒を用いることで、効率的に中和反応できるが、例えば、トルエンやジクロロメタンとアルコールの混合溶媒を用いることができる。
アルカリ化合物としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、有機アンモニウム化合物、有機ホスホニウム化合物などが挙げられる。具体的には、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酸化物、水酸化物などがあるが、これに限定されるものではない。耐熱性、加工性の観点から有機アンモニウム化合物、有機ホスホニウム化合物が好ましく、さらに好ましくは4級アルキルアンモニウム塩、4級アルキルホスホニウム塩があり、中でも、アルキルの炭素数が4以上である、テトラブチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩が好ましい。
アルカリ化合物の添加形態は特に制限はなく、水溶液やアルコール溶液として希釈して添加しても良い。
アルカリ化合物の添加量はスルホン化ユニット1モル当たりのモル比で、0.1~5.0倍モルが好ましく、1.0~5.0倍モルがより好ましい。アルカリ化合物はそれぞれ1種類単独でも、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
中和反応終了後は、上述のスルホン化反応終了後と同様に、公知の方法で生成物を取り出せばよい。
上記の方法により本発明のスチレン系ポリマーのスルホン化物を製造することができるが、スチレン系ポリマー、溶媒、スルホン化剤の混合順序は、特に上記の順序に限定されない。例えば、スチレン系ポリマーと溶媒とを混合した後、スルホン化剤の混合溶液にスチレン系ポリマーの溶液又は分散液を導入してもよく、あるいは溶媒にスチレン系ポリマー、スルホン化剤を別々に導入してもかまわない。
本発明で得られたポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物は、公知の成形加工方法で成形することができ、フィルム、繊維、ボトル、レンズ、射出成形品など各種製品に加工することができる。
本発明の樹脂組成物を各製品に加工する際に、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、顔料および染料を含む着色剤、滑剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、核剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を1種以上添加することもできる。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、低複屈折性に優れることを活かし、フィルム、繊維、ボトル、レンズ、射出成形品など各製品として利用することができ、特に透明性が優れるため、フィルム用途に好ましく使用できる。
フィルムの製造方法は、装置・方法は特に限定されないが、例えば、本発明で得られる樹脂組成物を、通常の押出機、Tダイにて溶融押出して膜状とし、次いで二軸延伸することによって所望の延伸フィルムを得ることができる。また、溶融押出時に2層またはそれ以上の層を設けることもできる。なお、上記積層フィルムとした場合、各物性や効果の評価は該当の層の樹脂組成物を削りだして実施する。
本発明の樹脂組成物より製造された成形品は、耐熱性、低複屈折性に優れるため、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品、自動車用部品、光学用部品、電気・電子部品またはその他の用途として有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステル樹脂の固有粘度(単位:dL/g)
ポリエステル組成物0.1gを0.001g以内の精度で秤量し、10mLのo-クロロフェノールを用いて100℃×30分間加熱して溶解した。溶液を室温まで冷却し、25℃の水槽中に設置したオストワルド粘度計に該溶液を8mL仕込み、標線を通過する秒数を計測した(A秒)。
また、o-クロロフェノールのみ8mL用いて前記と同様に25℃の水槽中に設置したオストワルド粘度計で標線を通過する秒数を計測した(B秒)。
固有粘度は次の計算式で計算した。
IV=-1+[1+4×K×{(A/B)-1}]^0.5/(2×K×C)
ここでKは0.343,Cは試料溶液の濃度(g/100mL)である。
(2)樹脂組成物中のポリエステル、ポリスチレンの含有量(単位:重量%)
樹脂組成物試料を重ヘキサフルオロイソプロパノール/重クロロホルム=1/1(体積比)混合溶媒に溶解し、H-NMR測定器にてH-NMR観察し、各ピークを帰属し、その積分比から、ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂の含有量(重量%)を求めた。
・装置:日本電子(株)製 “GSX-400”
(3)ポリスチレン樹脂のスルホン酸基の平均置換度
ポリスチレン樹脂試料を重クロロホルム溶媒に溶解し、H-NMR測定器にてH-NMR観察し、各ピークを帰属し、その積分比から、スチレン繰り返し単位のモル数に対するスルホン酸基のモル数である平均置換度(モル%)を求めた。
・装置:日本電子(株)製 “GSX-400”
(4)ポリスチレン樹脂の分子量測定
ポリスチレン樹脂30mgをテトラヒドロフラン(THF)20mLに溶解させた後(ただし、THFへの不溶分が存在する場合には、ろ過により該不溶分を除去した後)、下記に示す分析条件にてGPC法による測定を行い、この測定によって得られたチャートのポリスチレン樹脂によるピーク開始位置(本発明では、便宜上、分子量1.9×10位置を採用)を基準にして水平(横軸と平行)にベースラインを引き、標準ポリスチレンを用いて作成した標準較正曲線により、各分子量を計算する。
使用機器:株式会社ジーエルサイエンス製GPC仕様高速液体クロマトグラフ
カラム:昭和電工株式会社製カラム、商品名Shodex GPC KF-806、同KF-805、同KF-803をこの順に直列に連結して使用
カラム温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0mL/分
濃度:0.15w/v%
注入量:0.2mL
検出器:株式会社ジーエルサイエンス製紫外可視検出器、商品名UV702型(測定波長254nm)
分子量分布の計算に用いた較正曲線の分子量範囲:1.9×10~5.4×10
(5)ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂のガラス転移温度
JIS 7122(1987年)に準拠し、示差走査熱量計を用いて、窒素雰囲気中で3mgの樹脂を30℃から300℃まで20℃/minの条件で昇温した。次いで、300℃で5分保持した後、40℃/minの条件で30℃まで降温した。さらに、30℃で5分保持した後、30℃から300℃まで20℃/minの条件で昇温した。この昇温時に得られるガラス転移温度を下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
ここで補外ガラス転移開始温度は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とした。補外ガラス転移終了温度は、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度とした。なお、装置は以下のものを用いた。
・測定装置:セイコーインスツル製 “EXSTAR DSC6220”
(6)樹脂組成物に含まれる窒素原子量
微量窒素分析装置を用いて試料を熱分解および酸化し、化学発光法により測定した。同一試料に対して5回測定を行い、その平均値を窒素原子量とした。なお、装置は以下のものを用いた。
・測定装置:三菱化学製 “ND-100型”
(7)樹脂組成物に含まれるリン原子量
試料1gを白金皿にとり、700℃にて1.5hrかけて完全に灰化させ、つぎに灰化物を0.25N塩酸水溶液20mLに溶かし、0.1N塩酸水溶液となるように純水を加え、測定試料とした。上記の溶液を測定試料として、原子吸光分析法(フレーム:アセチレン-空気)にて定量を行った。測定吸光度が1.0を超える場合、0.1N塩酸水溶液を用いて希釈して、測定吸光度が1.0を超えない濃度で定量を行った。なお、原子吸光分光光度計は次の装置を使用した。
・測定装置:島津製作所製 “AA-6300”
(8)樹脂組成物の剪断粘度(複素粘性率(単位:Pa・秒))
樹脂組成物試料を、90℃で24時間、真空乾燥機にて乾燥を行い、レオメーターにて動的粘弾性測定を下記条件にて実施した。なお、剪断粘度は試料の溶融開始から10分経過時の測定周波数1.0Hz(1.26rad/秒)の値を用い、以下のように判断した。
A:10~1000Pa・秒
B:1001~5000Pa・秒
C:5001Pa・秒以上
・プレート:パラレルプレート(20mm径)
・測定周波数:0.2Hz~10.0Hz(6点)
・測定装置:(株)ユービーエム製 “RHEOSOL-G3000”
・測定温度:280℃
・測定環境:窒素雰囲気下
(9)二軸延伸フィルムの作製
チップ状の樹脂組成物試料を、90℃で24時間真空乾燥し、押出機に投入し、280℃で溶融押出し、フィルターを経て口金に移送した。次に口金から押出されたシート状の溶融物を静電印加により、表面温度25℃の冷却ドラム上に冷却固化させたシート状の未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを延伸ロールにて、ガラス転移温度+5℃(ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂のガラス転移温度の内、高い温度を採用した)で縦方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムを得た。さらにこの一軸延伸フィルムをガラス転移温度+5℃(ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂のガラス転移温度の内、高い温度を採用した)の熱風雰囲気下で幅方向に3.3倍延伸して、二軸延伸フィルム状の樹脂組成物を作製した。なお、二軸延伸フィルムの厚みは40μmであった。
(10)二軸延伸フィルムの複屈折率
上記(9)で作成した二軸延伸フィルムに対し、プリズムカプラにて長手方向の面内屈折率nMD、幅方向の面内屈折率nTD、厚み方向の屈折率nZDとして測定し、下記式にて厚み方向の複屈折率を算出し、以下のように判断し、複屈折率が0.04以下であるとき、複屈折率が低く良好であるとした。
〇:0.00≦複屈折率≦0.02
△:0.02<複屈折率≦0.04
×:0.04<複屈折率
複屈折率=|(nMD―nTD)/2-nZD
・測定装置:SAIRON TECHNOLOGY,INC.製 PRISM COUPLER & LOSS MEASUREMENT SPA-4000
・測定波長:632.8nm
(11)樹脂組成物の透明性
上記(9)で作成した二軸延伸フィルムに対し、外観を観察し、以下のように判断し、透明性が「〇」または「△」であるとき透明性が良好であるとした。
〇:濁りなく透明である。
△:濁りあるが、透明である。
×:不透明である。
(参考例1)
テレフタル酸ジメチル101重量部、エチレングリコール60重量部(ジカルボン酸成分の1.9倍モル)、酢酸マグネシウム四水和物を0.06重量部、三酸化二アンチモンを0.0084重量部添加し、150℃で内容物を溶解させた。その後、240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。反応率95%相当量のメタノールが留出した後、ジエチルホスホノ酢酸エチル0.07重量部/エチレングリコール1.4重量部の混合溶液を添加し、30分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に仕込み、Irganox1010(BASF製)0.1重量部を添加し、5分間撹拌した。その後、重合装置内温度を290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.65相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水中にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステルAを得た。得られたポリエステルAの特性を表1に示す。
得られたポリエステルAは、固有粘度0.65、ガラス転移温度81℃であった。
(参考例2)
テレフタル酸ジメチル89重量部、5-ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル19重量部、エチレングリコール60重量部(ジカルボン酸成分の1.9倍モル)、酢酸マグネシウム四水和物を0.06重量部、酢酸リチウム一水和物0.6重量部、三酸化二アンチモンを0.03重量部添加し、150℃で内容物を溶解させた。その後、240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。反応率95%相当量のメタノールが留出した後、ジエチルホスホノ酢酸エチル0.07重量部/エチレングリコール1.4重量部の混合溶液を添加し、30分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に仕込み、Irganox1010(BASF製)0.1重量部を添加し、5分間撹拌した。その後、重合装置内温度を290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.59相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水中にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステルBを得た。得られたポリエステルBの特性を表1に示す。
得られたポリエステルBは、固有粘度0.59、ガラス転移温度82℃であった。
(参考例3)
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル101重量部、エチレングリコール51重量部(ジカルボン酸成分の2.0倍モル)、酢酸マンガン四水和物を0.06重量部、三酸化二アンチモンを0.01重量部添加し、180℃で内容物を溶解させた。その後、240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。反応率95%相当量のメタノールが留出した後、リン酸0.02重量部/エチレングリコール0.4重量部およびリン酸二水素ナトリウム二水和物0.03重量部/エチレングリコール0.6重量部の混合溶液を添加し、30分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に仕込み、Irganox1010(BASF製)0.1重量部を添加し、5分間撹拌した。その後、重合装置内温度を290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.59相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水中にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステルCを得た。得られたポリエステルCの特性を表1に示す。
得られたポリエステルCは、固有粘度0.59、ガラス転移温度123℃であった。
Figure 2022122372000002
(参考例4)
フラスコにジクロロメタン100重量部と無水酢酸82重量部を収め、溶液温度を氷浴にて10℃以下にし、次いで硫酸(98重量%)を33重量部を系内温度が10℃以下になるように徐々に滴下した。溶液が均一になったら、フラスコを氷浴から外し室温まで温度を上昇させ、スルホン化剤Aを得た。
コンデンサーを備えたフラスコに、原料としてPSジャパン株式会社製ポリスチレン「679」(Mw=2.0×10)を100重量部、溶媒としてジクロロメタンを800重量部を加え、40℃に加熱して3時間溶媒を還流させ、原料を溶解させた。調整して1時間以内にスルホン化剤Aを57重量部加え、40℃に加熱して1時間溶媒を還流させて反応した。その後、イソプロパノール63重量部を加え、43℃に加熱して30分溶媒を還流させてクエンチし、室温まで温度を降温し、スルホン化ポリスチレン溶液を得た。
得られたスルホン化ポリスチレン溶液に、アルカリ化合物としてテトラブチルホスホニウムヒドロキシ水溶液(40重量%)を添加して中和した。中和終点は、フェノールレッド水溶液(0.04重量%)1重量部を加え、溶液の色が赤色から黄色となり、さらに赤紫色に変化した時点とした。得られた中和溶液は2層に別れており、上層の水層を除去し、下層の有機溶媒層をイソプロパノール5000重量部に添加して、生成物を再沈殿してろ別し、さらにイオン交換水にて固形分を洗浄して、70℃×24時間真空乾燥して、ポリスチレンAを125重量部(収率94%)得た。得られたポリスチレンAの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンAは、スルホン酸基の平均置換基度10モル%、重量平均分子量2.7×10、ガラス転移温度98℃であった。
(参考例5)
スルホン化剤Aの添加量を11重量部へ変更した以外は参考例4と同様にしてポリスチレンBを得た。得られたポリスチレンBの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンBは、スルホン酸基の平均置換基度2モル%、重量平均分子量2.1×10、ガラス転移温度91℃であった。
(参考例6)
スルホン化剤Aの添加量を40重量部へ変更した以外は参考例4と同様にしてポリスチレンCを得た。得られたポリスチレンCの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンCは、スルホン酸基の平均置換基度7モル%、重量平均分子量2.4×10、ガラス転移温度93℃であった。
(参考例7)
スルホン化剤Aの添加量を114重量部へ変更した以外は参考例4と同様にしてポリスチレンDを得た。得られたポリスチレンDの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンDは、スルホン酸基の平均置換基度20モル%、重量平均分子量3.4×10、ガラス転移温度110℃であった。
(参考例8)
スルホン化剤Aの添加量を228重量部へ変更した以外は参考例4と同様にしてポリスチレンEを得た。得られたポリスチレンEの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンEは、スルホン酸基の平均置換基度50モル%、重量平均分子量5.0×10、ガラス転移温度134℃であった。
(参考例9)
スルホン化剤Aの添加量を456重量部へ変更した以外は参考例4と同様にしてポリスチレンFを得た。得られたポリスチレンFの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンFは、スルホン酸基の平均置換基度80モル%、重量平均分子量6.0×10、ガラス転移温度161℃であった。
(参考例10)
中和に用いるアルカリ化合物をテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(20重量%)へ変更した以外は参考例6と同様にしてポリスチレンGを得た。得られたポリスチレンGの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンGは、スルホン酸基の平均置換基度7モル%、重量平均分子量2.4×10、ガラス転移温度119℃であった。
(参考例11)
中和に用いるアルカリ化合物をテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(40重量%)へ変更した以外は参考例4と同様にしてポリスチレンHを得た。得られたポリスチレンHの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンHは、スルホン酸基の平均置換基度10モル%、重量平均分子量2.6×10、ガラス転移温度106℃であった。
(参考例12)
中和に用いるアルカリ化合物をテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(40重量%)へ変更した以外は参考例6と同様にしてポリスチレンIを得た。得られたポリスチレンIの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンIは、スルホン酸基の平均置換基度7モル%、重量平均分子量2.4×10、ガラス転移温度100℃であった。
(参考例13)
中和に用いるアルカリ化合物をアンモニア水溶液(28重量%)へ変更した以外は参考例6と同様にしてポリスチレンJを得た。得られたポリスチレンJの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンJは、スルホン酸基の平均置換基度7モル%、重量平均分子量2.1×10、ガラス転移温度120℃であった。
(参考例14)
中和に用いるアルカリ化合物を水酸化ナトリウム水溶液(5重量%)へ変更した以外は参考例6と同様にしてポリスチレンKを得た。得られたポリスチレンKの特性を表2に示す。
得られたポリスチレンKは、スルホン酸基の平均置換基度7モル%、重量平均分子量2.5×10、ガラス転移温度120℃であった。
Figure 2022122372000003
(実施例1)
表3に記載の各原料をブレンドし、90℃で24時間真空乾燥した後、シリンダー温度を280℃に設定し、スクリュー回転数を150rpmとした2軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α型)に供給して溶融混練した。ダイから吐出されたガットを、10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターによりペレット化した。
得られたペレットを、上記(9)の方法にて二軸延伸フィルム状の樹脂組成物とした。なお、二軸延伸フィルム作製時の延伸温度は103℃とした。得られた樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例1で得られた樹脂組成物は、複屈折率が特に低く、濁りはあるが透明であり、良好であった。
(実施例2~18)
各原料を表3の通り変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例2、3で得られた樹脂組成物は、複屈折率が特に低く透明性が良好であった。
実施例4で得られた樹脂組成物は、複屈折率が低く透明性が良好であった。
実施例5で得られた樹脂組成物は、複屈折率が特に低く、濁りはあるが透明であり、良好であった。
実施例6で得られた樹脂組成物は、複屈折率が特に低く透明性が良好であった。
実施例7で得られた樹脂組成物は、複屈折率が特に低く透明性が良好であった。また、剪断粘度が高い傾向であったが、問題ないレベルであった。
実施例8で得られた樹脂組成物は複屈折率が低く、濁りはあるが透明であり、良好であった。
実施例9で得られた樹脂組成物は複屈折率が低く、濁りはあるが透明であり、良好であった。また、剪断粘度が高い傾向であったが、問題ないレベルであった。
実施例10、11で得られた樹脂組成物は、複屈折率が特に低く透明性が良好であった。
実施例12で得られた樹脂組成物は、複屈折率が特に低く透明性が良好であった。また、剪断粘度が高い傾向であったが、問題ないレベルであった。
実施例13、14、15、16で得られた樹脂組成物は、複屈折率が特に低く透明性が良好であった。
実施例17、18で得られた樹脂組成物は複屈折率が特に低く、濁りはあるが透明であり、良好であった。また、剪断粘度が高いが、問題ないレベルであった。
(比較例1)
ポリスチレン樹脂として、スルホン酸基の平均置換度が0モル%であるPSジャパン株式会社製ポリスチレン「679」(Mw=2.0×10)を用いた以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の特性を表3に示す。
比較例1で得られた樹脂組成物は、ポリスチレン樹脂にスルホン酸基を含有していないため、透明性が悪化し、複屈折率が評価できなかった。
(比較例2)
ポリスチレン樹脂として、スルホン酸基の平均置換度が100モル%であるNouryon社製ポリスチレンスルホン酸ナトリウム「VERSA-TL70」(Mw=7.5×10)を用いた以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の特性を表3に示す。
比較例2で得られた樹脂組成物は、ポリスチレン樹脂のスルホン酸基の平均置換基度が80モル%を超えて含有していたため、透明性が悪化し、複屈折率が評価ができなかった。
Figure 2022122372000004

Claims (4)

  1. ポリスチレンを基本骨格とする樹脂Aとポリエステル樹脂Bを含む樹脂組成物であり、樹脂Aがスチレン繰り返し単位のモル数に対するスルホン酸基のモル数を表す平均置換度が1モル%~80モル%である樹脂組成物。
  2. 280℃で10分間溶融した時の剪断速度1.26rad/秒における剪断粘度が5000Pa・秒以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 窒素原子および/またはリン原子を含む請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1に記載の樹脂組成物からなる二軸延伸フィルム。
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