JP2024016993A - 樹脂組成物およびそれを用いたフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】複屈折率が低く透明性および靭性が良好な、ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物および、その樹脂組成物からなるフィルムを提供する。【解決手段】ポリエステル樹脂組成物Aと(化1)で表されるポリスチレン樹脂組成物Bを含む、重量減少率(N2流通下(200mL/min)、280℃、60分)が5wt%以下の樹脂組成物。【化1】TIFF2024016993000011.tif36162(R1はHまたはCH3、R2はアルキル基または複素環)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂組成物およびポリスチレン樹脂組成物を用いてなる樹脂組成物および、その樹脂組成物からなるフィルムに関するものである。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。これらのポリエステル樹脂において、特に近年、フラットパネルディスプレイやタッチパネル分野において偏光板保護フィルム(偏光子保護部材)や円偏光板位相差フィルム(円偏光板部材)、透明導電フィルムなど各種光学用フィルムの需要が高まっている。その中でも、偏光板保護フィルム用途では、低コスト化を目的として従来のTAC(トリアセチルセルロース)フィルムから二軸配向ポリエステルフィルムへの置き換えが盛んに検討されている。しかしながら二軸配向ポリエステルフィルムは延伸時のポリエステルの配向に起因する複屈折が発生し、液晶ディスプレイとして組み立てた際に発生する干渉色を十分に制御できておらず、画面表示をした際の品位が低下する。そのため、二軸配向ポリエステルフィルムおよびこれに用いるポリエステル樹脂は画面表示をした際の品位の観点からは、複屈折を低減することが好ましい。複屈折を低減する方法としては、延伸しない、またはわずかに延伸して結晶性や配向性を低下させる方法があるが、このような方法で結晶性を低下させたポリエステルは加熱工程において熱結晶化により白化するため透明性が不十分であり、配向性を低下させると加熱工程などでフィルム変形などが発生し、偏光子保護フィルムなどの低複屈折が必要とされる用途での適用は困難であった。
これに対して、正負逆符号の複屈折を有する樹脂を複合化することにより、すなわち、正の複屈折を有するポリエステル樹脂に対して、負の複屈折を有する樹脂を複合化することにより、分子配向が凍結残留しても原理的に複屈折を低減可能であり、以下のような提案がなされている。
特許文献1には、芳香族ポリエステルとスチレン系重合体とをブロック共重合化することによって、透明で低複屈折な成形物が得られることを開示している。
特許文献2には、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂を交互に積層することによって、透明で低複屈折なフィルムが得られることを開示している。
特開昭63-178119号公報 特開2008-137304号公報
特許文献1では、ブロック共重合体が相分離構造を形成するため、透明性が十分ではなく、光学用途の応用が困難であった。
特許文献2では、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂の相溶性が十分ではないため、フィルムの延伸時の応力によって、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とシンジオタクチックポリスチレン系樹脂との界面で剥離が発生し、層間剥離の発生や、空隙が形成されるため透明性が十分ではなく、光学用途の応用が困難であった。
以上のように、従来技術では、透明性、低複屈折、機械特性を兼備したポリエステル樹脂とスチレン樹脂からなる光学樹脂材料を得ることは困難であった。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を克服して、透明性が良好であり、低複屈折、良好な機械特性(靱性)を有するポリエステル樹脂組成物およびポリスチレン樹脂組成物を含む樹脂組成物および、その樹脂組成物からなるフィルムを提供することである。
上記課題を解決すべく検討を行った結果、本発明により、複屈折率が低く、透明性および靭性が良好なポリエステル樹脂組成物およびポリスチレン樹脂組成物を含む樹脂組成物および、その樹脂組成物からなるフィルムを見出した。
すなわち、本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(1)ポリエステル樹脂組成物Aと(化1)で表されるポリスチレン樹脂組成物Bを含む樹脂組成物であって、重量減少率(N流通下(200mL/min)、280℃、60分)が5wt%以下の樹脂組成物。
Figure 2024016993000001
(RはHまたはCH、Rはアルキル基または複素環)
(2)ポリスチレン樹脂組成物Bの重量平均分子量が10000以上100000以下である(1)記載の樹脂組成物。
(3)金属MとリンPの比M/Pが0.3以上3.0以下である(1)記載の樹脂組成物。
なお、Mは樹脂組成物に含まれるマグネシウム元素、マンガン元素、カルシウム元素の総和含有量(mol/t)であり、Pは樹脂組成物に含まれるリン元素含有量(mol/t)である。
(4)COOH末端基量が40eq/t以下である(1)記載の樹脂組成物。
(5)下記式(I)で表されるべき指数aが0.90以上0.99以下である(1)記載の樹脂組成物。
lоg(G*)=(べき指数a)×lоg(ω)+A (式I)
なお、G*は複素せん断弾性率(Pa)、ωはせん断速度(rad/sec)、Aは定数(切片)である。
(6)Rがオキサゾリン基である(1)記載の樹脂組成物。
(7)共重合率nが0.01以上0.5以下である(1)記載の樹脂組成物。
(8)ポリスチレン樹脂組成物Bの含有量が5wt%以上70wt%以下である(1)記載の樹脂組成物。
(9)(1)記載の樹脂組成物からなるフィルム。
(10)内部ヘイズが30%以下である(9)記載のフィルム。
(11)フィルムが二軸延伸フィルムである(9)記載のフィルム。
(12)複屈折率の絶対値が0.1以下である(11)記載のフィルム。
本発明によれば、複屈折率が低く、透明性および靭性が良好な、ポリエステル樹脂組成物およびポリスチレン樹脂組成物を含む樹脂組成物および、その樹脂組成物からなるフィルムを提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂組成物Aと化1で表されるポリスチレン樹脂組成物Bを含む必要がある。本発明の樹脂組成物においては、正の複屈折率を有するポリエステル樹脂組成物Aと、負の複屈折率を有するポリスチレン樹脂組成物Bとを相溶化させることで、複屈折率を低減させ、透明性を向上することが可能となる。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物Aとは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを主原料として重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。主原料とは、ポリエステル樹脂中のジカルボン酸成分およびグリコール成分から得られる構成単位が、合計で70モル%以上であることを示す。より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
本発明におけるジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸類、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。その中でも、ポリエステル樹脂の耐熱性および加工性の観点から、芳香族ジカルボン酸成分であることが好ましく、ジカルボン酸成分として90モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分であることが好ましい。その中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸やこれらのエステル誘導体であることが透明性と加工性の両立の点から好ましく、耐熱性の点からテレフタル酸や2,6-ナフタレンジカルボン酸、そのエステル誘導体が特に好ましい。
グリコール成分としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオールや、芳香環式ジオールが挙げられる。また加工性を損なわない範囲で、ジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。特に、グリコール成分として90モル%以上が脂肪族ジオールおよび/または芳香環式ジオールからなることが好ましい。その中でも、例えば、組成物をフィルムにした際の伸度および柔軟性といった機械的特性の観点からエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
なお、本発明の効果の範囲を損なわない程度に、他のジカルボン酸成分やヒドロキシカルボン酸誘導体、ジオールが共重合されていてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物Aの固有粘度(25℃のo-クロロフェノール中で測定)は、機械特性の観点から、0.4~1.2dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.5~0.8dl/gである。
本発明のポリエステル樹脂組成物Aはマンガン元素、マグネシウム元素、カルシウム元素を含有してもよく、その総和含有量MAは、0.5~10.0mol/tであることが好ましい。より好ましくは0.7~3.0mol/tである。上記範囲を満たすことで、溶融混合および溶融成型時の熱分解を抑制することができる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物Aはリン元素を含有してもよく、その含有量PAは、0.5~5.0mol/tであることが好ましい。より好ましくは、0.5~3.0mol/tである。上記範囲を満たすことで、ポリエステルの重合反応性を損なうことなく、溶融混合および溶融成型時の熱分解を抑制することができる。
本発明におけるポリスチレン樹脂組成物Bはポリスチレンの共重合体であり、(化1=以下の化2)の構造を有する。また、ランダム共重合体でもブロック共重合体でも構わない。
Figure 2024016993000002
(RはHまたはCH、Rはアルキル基または複素環)
本発明におけるポリスチレン樹脂組成物Bの重量平均分子量(Mw)は10000以上100000以下であることが好ましい。脆化の点から、下限としてより好ましくは20000以上、さらに好ましくは30000以上である。また、透明性の点から、上限としてより好ましくは80000以下である。
本発明のポリスチレン樹脂組成物Bにおいて、化1のRはアルキル基または複素環である必要がある。透明性の点から、オキサゾリン基であることが特に好ましい。オキサゾリン基はポリエステル樹脂組成物AのCOOH基末端と反応してアミドエステル結合を形成し、相溶性を向上させることが可能である。
ポリスチレン樹脂組成物Bの共重合率であるnは0.01以上0.5以下であることが好ましい。透明性の点から、下限としてより好ましくは0.03以上であり、さらに好ましくは0.05以上である。また、成形性の点から上限としてより好ましくは0.3以下であり、さらに好ましくは0.2以下である。
本発明の樹脂組成物において、重量減少率(N流通下(200mL/min)、280℃、60分)が5wt%以下であることが必要である。耐熱性の点から、より好ましくは3wt%以下、さらに好ましくは1wt%以下である。
本発明の樹脂組成物において、マグネシウム元素、マンガン元素、カルシウム元素を含有してもよく、その総和含有量(mol/t)をM、リン元素含有量(mol/t)をPとしたとき、M/Pが0.3以上3.0以下であることが好ましい。下限として、より好ましくは0.5以上である。上限として、より好ましくは2.0以下である。上記範囲を満たすことで、靭性を良好とすることが可能となる。
本発明の樹脂組成物はCOOH末端基量が40eq/t以下を満たすことが好ましい。より好ましくは、35eq/t以下であり、さらに好ましくは30eq/t以下である。COOH末端基量の増加はポリエステル樹脂の分子鎖の切断を示しており、分子鎖の切断は脆化を引き起こす。上記範囲を満たすことで、脆化を抑制できるため靭性が良好となり、延伸フィルム等に供しても問題のない樹脂組成物とすることが可能となる。また、成形性の点から、下限としては10eq/t以上であることが好ましく、より好ましくは20eq/t以上である。
本発明の樹脂組成物は、下記式(I)で表されるべき指数aが0.90以上0.99以下であることが好ましい。
lоg(G*)=(べき指数a)×lоg(ω)+A (式I)
なお、G*は複素せん断弾性率(Pa)、ωはせん断速度(rad/sec)、Aは定数(切片)である。後述の[実施例]欄(7)記載の方法で、計測された複素せん断弾性率G*(Pa)とせん断速度ω(rad/sec)をそれぞれ対数にとり、lоg(G*)をy軸、lоg(ω)をx軸としてグラフを作成し、その傾きをべき指数aとして最小二乗法で算出した。
透明性の点から、上限としてより好ましくは0.98以下であり、さらに好ましくは0.97以下である。また、成形性の点から、下限としてより好ましくは0.91以上であり、さらに好ましくは0.92以上である。ポリエステル樹脂組成物Aとポリスチレン樹脂組成物Bが反応することで、アミドエステル結合を形成し、架橋構造となる。したがって、非ニュートン性が発現し、べき指数は1より小さくなる。一方、べき指数が上記下限以下となると、架橋構造が多くなりゲル化が進行、溶融成形が困難となる。
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物中のポリスチレン樹脂組成物Bの含有量が5wt%以上70wt%以下であることが好ましい。複屈折率の点より、下限としてより好ましくは7wt%以上である。また、脆化抑制の点より、上限としてより好ましくは60wt%以下であり、さらに好ましくは50wt%以下である。
本発明の樹脂組成物を用いてなるフィルムの内部ヘイズは30%以下であることが好ましい。より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。なお、この内部ヘイズは、水を溶媒とし、ヘイズメーターにて測定した値を100μmフィルムに換算した値である。上記範囲を満たすことで、偏光子保護フィルムなどに供しても問題のない、透明性の高いフィルムを得ることが可能となる。また、本発明のフィルムは二軸延伸フィルムであることが機械物性等の点から好ましい。
本発明の樹脂組成物を用いてなる二軸延伸フィルムの厚み方向複屈折率の絶対値は0.1以下であることが好ましい。より好ましくは0.05以下であり、さらに好ましくは0.02以下である。上記上限以下とすることで、例えば偏光子保護フィルムとして使用した際に偏光を乱すことなく、画質に優れたディスプレイを得ることができるため好ましい。
次に、本発明の樹脂組成物の製造方法について記載する。本発明の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂組成物Aと、ポリスチレン樹脂組成物Bからなり、これらを混合することで得ることができる。
ポリエステル樹脂組成物Aにポリスチレン樹脂組成物Bを混合する時期は、ポリエステル樹脂Aの重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよいし、重合後に添加してもよい。また、押出機を用いて混合する方法、粉砕器で混合成分を粉末状に粉砕した後に混合する方法、両者を溶媒に溶解し共沈させることにより混合する方法、一方を溶媒に溶かして溶液状とした後に他方に混合する方法なども挙げられるが、この限りではない。その中でも、混錬機による混錬が、溶融押出後に直接目的の形状へ成形でき、熱履歴が短く着色等が抑制される点で好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物Aを製造する原料は、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびグリコールを用いることができ、それぞれは1種類でも、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸類、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。その中でも、ポリエステル樹脂の耐熱性および加工性の観点から、芳香族ジカルボン酸成分であることが好ましく、ジカルボン酸成分として90mol%以上が芳香族ジカルボン酸成分であることが好ましい。その中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸やこれらのエステル誘導体であることが透明性と加工性の両立の点から好ましく、耐熱性の点から2,6-ナフタレンジカルボン酸やそのエステル誘導体が特に好ましい。
グリコール成分としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオールや、芳香環式ジオールが挙げられる。また加工性を損なわない範囲で、ジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。特に、グリコール成分として90モル%以上が脂肪族ジオールおよび/または芳香環式ジオールからなることが好ましい。その中でも、例えば、組成物をフィルムにした際の伸度および柔軟性といった機械的特性の観点からエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
本発明のポリエステル樹脂Aの製造方法において、エステル化反応に用いられる触媒は、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの化合物を用いても構わないが、重縮合反応段階での熱分解や異物の発生などの観点から、エステル化反応は無触媒で実施することが好ましい。エステル化反応は無触媒においてもカルボン酸の自己触媒作用によって、反応は十分に進行する。また、エステル交換反応に用いられる触媒としては、公知のエステル交換触媒を用いることができる。エステル交換触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが挙げられ、具体的には、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酸化物、水酸化物などがあるが、これに限定されるものではない。
また、重縮合反応に用いられる触媒は、公知の重縮合触媒を用いることが出来る。例えば、アンチモン、チタン、アルミニウム、スズ、ゲルマニウムなどの化合物などが挙げられる。
ポリエステル樹脂Aの製造方法において、高分子量体を得るため、固相重合を行ってもよい。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、ポリエステル樹脂を不活性ガス雰囲気下または減圧下で加熱処理することで実施される。
本発明におけるポリスチレン樹脂組成物Bの製造方法としては、ポリスチレンが(化1=以下の化3)を満たしていればよく、製造方法に特に制限はない。
Figure 2024016993000003
(RはHまたはCH、Rはアルキル基または複素環)
例えば、溶液重合法、塊状重合法といった方法で合成することが可能であるが、これに制限されない。
本発明の樹脂組成物は、公知の成形加工方法で成形することができ、フィルム、繊維、ボトル、レンズ、射出成形品など各種製品に加工することができる。また、各製品に加工する際に、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、顔料および染料を含む着色剤、滑剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、核剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を1種以上添加することもできる。
本発明の樹脂組成物は、複屈折率が低く、透明性・脆化性に優れることから、フィルム、繊維、ボトル、レンズ、射出成形品など各製品として利用することができ、特に偏光板保護フィルム用途に好ましく使用できる。
フィルムの製造方法は、装置・方法は特に限定されないが、例えば、本発明で得られる樹脂組成物を、通常の押出機、Tダイにて溶融押出して膜状とし、次いで二軸延伸することによって所望の延伸フィルムを得ることができる。また、溶融押出時に2層またはそれ以上の層を設けることもできる。なお、上記積層フィルムとした場合、各物性や効果の評価は該当の層の樹脂組成物を削りだして実施する。
本発明の二軸延伸フィルムの厚みは、10μm以上150μm以下であることが好ましい。10μmに満たないと、偏光板保護フィルムとして用いた場合に破れが発生しやすくなる場合があり、150μmを超えると、ハンドリング性に劣る場合がある。より好ましくは、20μm以上125μm以下である。
本発明の樹脂組成物より製造された成形品は、複屈折率が低く、透明性・機械特性に優れることから、偏光板保護フィルムの他に、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品、自動車用部品、光学用部品、電気・電子部品などの用途として有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステル樹脂組成物Aの固有粘度(単位:dl/g)
ポリエステル樹脂組成物A0.1gを0.001g以内の精度で秤量し、10mLのo-クロロフェノールを用いて100℃×30分間加熱して溶解した。溶液を室温まで冷却し、25℃の水槽中に設置したオストワルド粘度計に該溶液を8mL仕込み、標線を通過する秒数を計測した(A秒)。
また、o-クロロフェノールのみ8mL用いて前記と同様に25℃の水槽中に設置したオストワルド粘度計で標線を通過する秒数を計測した(B秒)。
固有粘度は次の計算式で計算した。
IV=-1+[1+4×K×{(A/B)-1}]^0.5/(2×K×C)
ここでKは0.343,Cは試料溶液の濃度(g/100mL)である。
(2)樹脂組成物の重量減少率(単位:wt%)
樹脂組成物を80℃、15時間真空乾燥させた後、示差熱熱重量同時測定装置((株)日立ハイテクサイエンス製“STA7200RV”)にて重量減少率を測定した。200mL/分で窒素フローした条件下で、25℃から10℃/分の速度で昇温し、280℃で60分間保持させた時の重量減少率を計測した。
(3)ポリスチレン樹脂組成物Bの重量平均分子量(単位:g/mоl)
ポリスチレン樹脂組成物B30mgをテトラヒドロフラン(THF)20mLに溶解させた後(ただし、THFへの不溶分が存在する場合には、ろ過により該不溶分を除去した後)、下記に示す分析条件にてGPC法による測定を行い、この測定によって得られたチャートのポリスチレン樹脂によるピーク開始位置(本発明では、分子量1.9×10位置を採用)を基準にして水平(横軸と平行)にベースラインを引き、標準ポリスチレンを用いて作成した標準較正曲線により、各分子量を計算する。
使用機器:株式会社ジーエルサイエンス製GPC仕様高速液体クロマトグラフ
カラム:昭和電工株式会社製カラム、商品名Shodex GPC KF-806、同KF-805、同KF-803をこの順に直列に連結して使用
カラム温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0mL/分
濃度:0.15w/v%
注入量:0.2mL
検出器:株式会社ジーエルサイエンス製紫外可視検出器、商品名UV702型(測定波長254nm)
分子量分布の計算に用いた較正曲線の分子量範囲:5.4×10~1.9×10
(4)ポリスチレン樹脂組成物Bの共重合率n
樹脂組成物Bを重クロロホルム溶媒に溶解し、H-NMR測定器(日本電子(株)製 “GSX-400”)にて1H-NMR観察し、各ピークを帰属し、その積分比から、共重合率nを求めた。
(5)樹脂組成物及びポリエステル樹脂Aのマンガン元素、マグネシウム元素、カルシウム元素およびリン元素含有量(単位:mol/t)
樹脂組成物またはポリエステル樹脂A7gを溶融プレス機で円柱状に成型し、理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定、予め含有量既知のサンプルで作成した検量線を用い、算出した。
(6)樹脂組成物のCOOH末端基量(単位:eq/t)
Mauliceの方法によって測定した。(文献 M.J.Maulice,F.Huizinga,Anal.Chem.Acta、22、363(1960))。
すなわち、樹脂組成物0.5gを0.001g以内の精度で秤量する。該試料にo-クレゾール/クロロホルムを7/3の質量比で混合した溶媒50mlを加え、加熱して内温が90℃になってから20分間加熱攪拌して溶解する。また混合溶媒のみもブランク液として同様に別途加熱する。溶液を室温に冷却し、1/50Nの水酸化カリウムのメタノール溶液で電位差滴定装置を用いて滴定をおこなう。また、混合溶媒のみのブランク液についても同様に滴定を実施する。
樹脂組成物のCOOH末端基量は、以下の式により計算した。
COOH末端基量(eq/t)={(V1-V0)×N×f}×1000/S
ここでV1は試料溶液での滴定液量(mL)、V0はブランク液での滴定液量(mL)、Nは滴定液の規定度(N)、fは滴定液のファクター、Sはポリエステル組成物の質量(g)である。測定値をポリエステル重量で換算した。
(7)樹脂組成物のべき指数a
樹脂組成物を80℃で15時間真空乾燥させた後、動的粘弾性測定装置((株)UBM“Rheоsоl-G3000”)を用いて下記条件にて測定を実施した。計測された複素せん断弾性率G*(Pa)とせん断速度ω(rad/sec)をそれぞれ対数にとり、lоg(G*)をy軸、lоg(ω)をx軸としてグラフを作成し、その傾きをべき指数aとして最小二乗法で算出した。
lоg(G*)=(べき指数a)×lоg(ω)+A (式I)
なお、G*は複素せん断弾性率(Pa)、ωはせん断速度(rad/sec)、Aは定数(切片)である。
・プレート:パラレルプレート(20mm径)
・測定周波数:0.05Hz、0.1Hz、0.2Hz、0.5Hz、1Hz、2Hz、5Hz、10Hz、5Hz、2Hz、1Hz、0.5Hz、0.2Hz、0.1Hz、0.05Hzの15点
・測定温度:280℃
・測定環境:窒素雰囲気下
(8)樹脂組成物中のポリエステル樹脂組成物A、ポリスチレン樹脂組成物Bの含有量(単位:wt%)
樹脂組成物試料を重ヘキサフルオロイソプロパノール/重クロロホルム=1/1(体積比)混合溶媒に溶解し、H-NMR測定器(日本電子(株)製 “GSX-400”)にて1H-NMR観察し、各ピークを帰属し、その積分比から、ポリエステル樹脂およびポリスチレン樹脂の含有量(重量%)を求めた。
(9)未延伸フィルムおよび二軸延伸フィルムの作製
樹脂組成物を、90℃で24時間真空乾燥し、押出機に投入、280℃で溶融押出し、フィルターを経て口金に移送した。次に口金から押出されたシート状の溶融物を静電印加により、表面温度25℃の冷却ドラム上に冷却固化させたシート状の未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを延伸ロールにて、ガラス転移温度+5℃で縦方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルムを得た。さらにこの一軸延伸フィルムをガラス転移温度+5℃の熱風雰囲気下で幅方向に3.3倍延伸して、融点-20℃の温度にて熱処理し、二軸延伸フィルムを作製した。なお、二軸延伸フィルムの厚みは40μmであった。
(10)フィルムの内部ヘイズ(単位:%)
上記(9)で得た二軸延伸フィルムサンプルの厚みを膜厚計にて測定し、膜厚をt(μm)とする。本フィルムを、水を溶媒としヘイズメーター(スガ試験機(株)製“HGM-2DP”)にて、測定した。測定したヘイズ値Htを以下の式で換算することで、100μm換算内部ヘイズを算出した。
Figure 2024016993000004
(11)樹脂組成物の靭性
上記(9)で得た未延伸フィルムに対し、折り曲げをおこない、以下のように判断、「〇」または「△」であるとき脆化性が良好であるとした。
〇:欠けがない
△:多少欠けがある
×:割れて破断した
(12)樹脂組成物の透明性
上記(9)で得た未延伸フィルムに対し、その外観を観察し、以下のように判断、「◎」「〇」または「△」であるとき透明性が良好であるとした。
◎:濁りなく、透明である。
〇:わずかに濁りがあるが、透明である。
△:濁りがある。
×:不透明である。
(13)二軸延伸フィルムの複屈折率
上記(9)で作成した二軸延伸フィルムに対し、プリズムカプラ(SAIRON TECHNOLOGY,INC.製“PRISM COUPLER & LOSS MEASUREMENT SPA-4000”)にて長手方向の面内屈折率nMD、幅方向の面内屈折率nTD、厚み方向の屈折率nZDとして測定(測定波長632.8nm)し、下記式にて厚み方向の複屈折率を算出し、以下のように判断し、複屈折率が0.04以下であるとき、複屈折率が低く良好であるとした。
〇:0.00≦複屈折率≦0.02
△:0.02<複屈折率≦0.04
×:0.04<複屈折率
複屈折率=|(nMD-nTD)/2-nZD|。
(参考例1)ポリエステル樹脂組成物A-1の合成
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245~255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)を重合装置に移送し、リン元素として0.9mol/tとなるようにリン酸を添加し、次いでアンチモン元素として0.7mol/tとなるように三酸化二アンチモンを、マンガン元素として0.9mol/tとなるように酢酸マンガン4水和物を添加した。その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.6相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂A-1を得た。得られたポリエステル樹脂組成物A-1の物性を表1に示す。
(参考例2)ポリエステル樹脂組成物A-2の合成
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル101重量部、エチレングリコール51重量部(ジカルボン酸成分の2.0倍モル)、マンガン元素として2.5mol/tとなるように酢酸マンガン4水和物を、アンチモン元素として0.7mol/tとなるように三酸化二アンチモンを添加し、180℃で内容物を溶解させた。その後、240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。反応率95%相当量のメタノールが留出した後、リン元素として2.5mol/tとなるようにリン酸を添加し、エステル交換反応を終了した。その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.6相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂A-2を得た。得られたポリエステル樹脂組成物A-2の物性を表1に示す。
(参考例3)ポリエステル樹脂組成物A-3の合成
テレフタル酸ジメチル83重量部、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル18重量部、エチレングリコール62重量部(ジカルボン酸成分の2.0倍モル)、マンガン元素として2.5mol/tとなるように酢酸マンガン4水和物を、アンチモン元素として0.7mol/tとなるように三酸化二アンチモンを添加し、150℃で内容物を溶解させた。その後、240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。反応率95%相当量のメタノールが留出した後、リン元素として2.5mol/tとなるようにリン酸を添加し、エステル交換反応を終了した。その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.6相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂A-3を得た。得られたポリエステル樹脂組成物A-3の物性を表1に示す。
(参考例4)ポリエステル樹脂組成物A-4の合成
テレフタル酸ジメチル86重量部、イソフタル酸ジメチル15重量部、エチレングリコール65重量部(ジカルボン酸成分の2.0倍モル)、マンガン元素として2.5mol/tとなるように酢酸マンガン4水和物を、アンチモン元素として0.7mol/tとなるように三酸化二アンチモンを添加し、150℃で内容物を溶解させた。その後、240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。反応率95%相当量のメタノールが留出した後、リン元素として2.5mol/tとなるようにリン酸を添加し、エステル交換反応を終了した。その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.6相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂A-4を得た。得られたポリエステル樹脂組成物A-4の物性を表1に示す。
(参考例5)ポリエステル樹脂組成物A-5の合成
テレフタル酸ジメチル80重量部、5-ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル21重量部、エチレングリコール60重量部(ジカルボン酸成分の2倍モル)、マンガン元素として2.5mol/tとなるように酢酸マンガン4水和物を、アンチモン元素として0.7mol/tとなるように三酸化二アンチモンを添加し、150℃で内容物を溶解させた。その後、240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。反応率95%相当量のメタノールが留出した後、リン元素として2.5mol/tとなるようにリン酸を添加し、エステル交換反応を終了した。その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.6相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂A-5を得た。得られたポリエステル樹脂組成物A-5の物性を表1に示す。
(参考例6)ポリエステル樹脂組成物A-6の合成
テレフタル酸ジメチル86重量部、1,4-シクロヘキサンジメタノール13重量部、エチレングリコール49重量部、マンガン元素として2.5mоl/tとなるように酢酸マンガン4水和物を、アンチモン元素として0.7mol/tとなるように三酸化二アンチモンを添加し、150℃で内容物を溶解させた。その後、240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。反応率95%相当量のメタノールが留出した後、リン元素として2.5mol/tとなるようにリン酸を添加し、エステル交換反応を終了した。その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.6相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル樹脂組成物A-6を得た。得られたポリエステル樹脂組成物A-6の物性を表1に示す。
(参考例7)
エステル化反応物に添加する触媒を以下の通り変更した以外は、参考例1と同様にポリエステル樹脂A-7を得た。リン元素として0.9mol/tとなるようにリン酸を、アンチモン元素として0.7mol/tとなるように三酸化二アンチモンを、マンガン元素として0.27mol/tとなるように酢酸マンガン4水和物を添加した。得られたポリエステル樹脂A-7の物性を表1に示す。
(参考例8)
エステル化反応物に添加する触媒を以下の通り変更した以外は、参考例1と同様にポリエステル樹脂A-8を得た。リン元素として0.9mol/tとなるようにリン酸を、アンチモン元素として0.7mol/tとなるように三酸化二アンチモンを、マンガン元素として3.6mol/tとなるように酢酸マンガン4水和物を添加した。得られたポリエステル樹脂A-8の物性を表1に示す。
(参考例9)ポリエステル樹脂組成物A-9の合成
エステル化反応物に添加する触媒を以下の通り変更した以外は、参考例1と同様にポリエステル樹脂A-9を得た。リン元素として0.9mol/tとなるようにリン酸を、アンチモン元素として0.7mol/tとなるように三酸化二アンチモンを、マンガン元素として9.0mol/tとなるように酢酸マンガン4水和物を添加した。得られたポリエステル樹脂A-9の物性を表1に示す。
Figure 2024016993000005
(参考例10)ポリスチレン樹脂組成物B
実施例にて使用した樹脂組成物Bは表2に示したものを使用した。
また、B-0は、共重合のないポリスチレン樹脂組成物である。
Figure 2024016993000006
(実施例1)
表3に記載の通り、ポリエステル樹脂組成物A-1とポリスチレン樹脂組成物B-1を記載の配合比(ポリスチレン樹脂組成物Bの含有量10wt%)にてブレンドし、90℃で24時間真空乾燥した。その後、シリンダー温度を280℃とした二軸押出機に供給して溶融混錬した。ダイから吐出されたガットを10℃に温調した水を満たした冷却バス中を10秒間かけて通過させることにより急冷した後、ストランドカッターによりペレット化し樹脂組成物を得た。また上記(9)に示した方法で未延伸フィルムおよび二軸延伸フィルムを得た。得られた樹脂組成物およびフィルムの特性を表3に示す。
実施例1で得られた樹脂組成物およびフィルムは、靭性および複屈折率が良好で、透明性が特に優れていた。
(実施例2~9、比較例1)
ポリスチレン樹脂組成物Bの種類を表3に記載に通りに変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を得た。また上記(9)に示した方法で未延伸フィルムおよび二軸延伸フィルムを得た。
得られた樹脂組成物およびフィルムの特性を表3に示す。
Figure 2024016993000007
実施例2で得られた樹脂組成物は、フィルム化した際にわずかに濁りがあったが、靭性と複屈折率は良好であった。
実施例3~4で得られた樹脂組成物およびフィルムは、靭性、透明性および複屈折率が良好であった。
実施例5で得られた樹脂組成物およびフィルムは、靭性および複屈折率が良好で透明性が特に優れていた。
実施例6で得られた樹脂組成物およびフィルムは、未延伸フィルムに欠けが発生したが、複屈折率が高い傾向にあったが透明性は良好だった。
実施例7で得られた樹脂組成物は、フィルム化した際にわずかに濁りがあったが靭性および複屈折率が良好であった。
実施例8で得られた樹脂組成物およびフィルムは、未延伸フィルムに欠けが発生したが、透明性および複屈折率は良好であった。
実施例9で得られた樹脂組成物は、フィルム化した際にわずかに濁りがあり、複屈折率が高い傾向にあったが、靭性は良好であった。
比較例1で得られた樹脂組成物はポリエステル樹脂とポリスチレン樹脂が相溶せず、透明性が低いため、複屈折率は測定不可であった。
(実施例10)
表3に記載の通り、ポリエステル樹脂組成物A-1とポリスチレン樹脂組成物B-1、B-0を記載の配合比(ポリスチレン樹脂組成物B-1の含有量6.5wt%、B-0の含有量47wt%)に変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を得た。また上記(9)に示した方法で未延伸フィルムおよび二軸延伸フィルムを得た。
実施例10で得られた樹脂組成物は未延伸フィルムに欠けが発生し、わずかに濁りがあり、複屈折率が高い傾向にあった。
(比較例2)
表3に記載の通り、ポリエステル樹脂組成物A-1とポリスチレン樹脂組成物B-0を記載の配合比(ポリスチレン樹脂組成物Bの含有量50wt%)にてブレンドし、実施例1と同様に樹脂組成物を得た。また上記(9)に示した方法で未延伸フィルムおよび二軸延伸フィルムを得た。
比較例2で得られた樹脂組成物は、得られた未延伸フィルムに欠けが発生した。また透明性が低いため複屈折率は測定不可であった。
(実施例11~16、比較例3~5)
ポリエステル樹脂組成物A-1と樹脂組成物B-1の配合比を表4に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物とフィルムを得た。得られた樹脂組成物およびフィルムの特性を表4に示す。
Figure 2024016993000008
実施例11で得られた樹脂組成物とフィルムは、靭性や透明性に優れているものの、ポリスチレン樹脂組成物の量が少ないため複屈折率が高い傾向にあった。
実施例12~14で得られた樹脂組成物とフィルムは、靭性、透明性および複屈折率が良好であった。
実施例15で得られた樹脂組成物は、未延伸フィルムに欠けが発生したが、透明性および複屈折率は良好であった。
実施例16で得られた樹脂組成物は、未延伸フィルムに欠けが発生し、フィルムに濁りがあり、複屈折率が高かった。
比較例3で得られた樹脂組成物およびフィルムは、靭性や透明性に優れているものの、ポリエステル樹脂組成物のみであるため、複屈折率が高かった。
比較例4~5で得られた樹脂組成物は、非常に脆くフィルム化できなかった。
(実施例17~24)
ポリエステル樹脂組成物Aを表5に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物とフィルムを得た。得られた樹脂組成物とフィルムの特性を表5に示す。
Figure 2024016993000009
実施例17で得られた樹脂組成物およびフィルムは、靭性は良好であり、透明性は特に優れていたが、複屈折率が高い傾向にあった。
実施例18~21で得られた樹脂組成物およびフィルムは、靭性、複屈折率が良好であり、透明性が特に優れていた。
実施例22~24で得られた樹脂組成物は、未延伸フィルムに欠けが派生したが、フィルムの透明性と複屈折率は良好であった。

Claims (12)

  1. ポリエステル樹脂組成物Aと(化1)で表されるポリスチレン樹脂組成物Bを含む樹脂組成物であって、重量減少率(N流通下(200mL/min)、280℃、60分)が5wt%以下の樹脂組成物。
    Figure 2024016993000010
    (RはHまたはCH、Rはアルキル基または複素環)
  2. ポリスチレン樹脂組成物Bの重量平均分子量が10000以上100000以下である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 金属MとリンPの比M/Pが0.3以上3.0以下である請求項1記載の樹脂組成物。
    なお、Mは樹脂組成物に含まれるマグネシウム元素、マンガン元素、カルシウム元素の総和含有量(mol/t)であり、Pは樹脂組成物に含まれるリン元素含有量(mol/t)である。
  4. COOH末端基量が40eq/t以下である請求項1記載の樹脂組成物。
  5. 下記式(I)で表されるべき指数が0.90以上0.99以下である請求項1記載の樹脂組成物。
    lоg(G*)=(べき指数a)×lоg(ω)+A (式I)
    なお、G*は複素せん断弾性率(Pa)、ωはせん断速度(rad/sec)、Aは定数(切片)である。
  6. がオキサゾリン基である請求項1記載の樹脂組成物。
  7. 共重合率nが0.01以上0.5以下である請求項1記載の樹脂組成物。
  8. ポリスチレン樹脂組成物Bの含有量が5wt%以上70wt%以下である請求項1記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1記載の樹脂組成物からなるフィルム。
  10. 内部ヘイズが30%以下である請求項9記載のフィルム。
  11. フィルムが二軸延伸フィルムである請求項9記載のフィルム。
  12. 複屈折率の絶対値が0.1以下である請求項11記載のフィルム。
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