JP2022119663A - 積層体、耐火シート及びバッテリー - Google Patents

積層体、耐火シート及びバッテリー Download PDF

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Abstract

【課題】バッテリーなどの発火を効果的に抑制できる積層体を提供すること。【解決手段】耐火層と粘着層を含む積層体であって、前記粘着層の粘着面に複数の凸部を有することを特徴とする積層体である。【選択図】なし

Description

本発明は積層体、該積層体を用いた耐火シート、及び該耐火シートを有するバッテリーに関する。
リチウム電池に代表される各種バッテリーは、内部短絡等が原因によりバッテリーが熱暴走し、発火や発煙等の不具合を生じることがある。このような不具合による被害を最小限に抑えるために、異常高温になったバッテリーの熱を周囲のバッテリー及びバッテリーを収容した筐体に伝え難くする方法が検討されており、例えば、バッテリーセルの周辺に耐火シートや断熱層等の保護材を用いる方法が挙げられる。
例えば、特許文献1には、外側の少なくとも一部が耐火性コーティングで覆われている電池セルが開示されており、耐火性コーティングがアブレーティブコーティング、膨張性コーティング又は吸熱性コーティングであること、ポリウレタン系コーティングが使用可能であることが開示されている。
ところで、近年、携帯電話のバッテリーなどでは、電池容量が高く、急激な温度上昇により発火しやすくなっており、従来使用されてきた耐火性コーティングよりも、より発火を抑制しやすい材料が求められている。
そこで、バッテリーなどの発火を効果的に抑制できる耐火シートが検討されており、接着剤等により、当該耐火シートはバッテリー等の被着体に貼付して使用される。
特表2013-528911号公報
耐火性シートは、耐火性コーティングに比較して、種々の材料を用いることができ、より効果的に発火を抑制することが期待されている。しかしながら、バッテリー等の被着体に耐火性シートを貼着させるに際し、気泡が噛んでしまうことから、密着性が不十分であり、耐火シートの特性が生かしきれないという課題があった。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、耐火シートに用いられる積層体の構成を特定の構成とすることで、飛躍的に発火の抑制が改善されることを見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]~[14]を提供するものである。
[1]耐火層と粘着層を含む積層体であって、前記粘着層の粘着面に複数の凸部を有することを特徴とする積層体。
[2]前記凸部の厚みが1~15μmである上記[1]に記載の積層体。
[3]前記耐火層は、(A)樹脂と(B)耐火性添加剤を含む耐火樹脂組成物により構成され、前記(B)耐火性添加剤が熱膨張性化合物、吸熱剤、放熱剤、焼結剤及び難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む上記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記粘着層の粘着面の表面粗さ(Ra)が10~50μmである上記[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記(B)耐火性添加剤が放熱剤及び焼結剤から選ばれる少なくとも1種を含む上記[3]又は[4]に記載の積層体。
[6]前記粘着層が基材層の少なくとも片面に積層されてなる上記[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]前記粘着層が基材層の両面に積層されてなる上記[1]~[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]前記基材層の一方の面側に前記粘着層が積層され、他方の面側の全面又は一部に凸部を有さない粘着層が積層される上記[6]に記載の積層体。
[9]前記凸部を有する粘着層を構成する粘着剤が、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤及びシリコーン系粘着剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[1]~[8]のいずれかに記載の積層体。
[10]前記耐火層における樹脂の含有量が5~70質量%である上記[3]~[9]のいずれかに記載の積層体。
[11]上記[1]~[10]のいずれかに記載の積層体を用いてなる耐火シート。
[12]バッテリーに使用される上記[11]に記載の耐火シート。
[13]上記[12]に記載の耐火シートと、バッテリーセルとを備え、前記耐火シートが、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリー。
[14]前記耐火シートのバッテリー上での占有比率が30%以上である上記[13]に記載のバッテリー。
本発明によれば、バッテリーなどの発火を効果的に抑制する積層体、及び該積層体を用いた耐火シートを提供することができる。
本発明の積層体の基本構成を示す概念図である。 本発明に係る粘着層を示す概念図である。 本発明の積層体の一態様を示す概念図である。 本発明の積層体の他の一態様を示す概念図である。 本発明の積層体の他の一態様を示す概念図である。 本発明の積層体の他の一態様を示す概念図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[積層体]
本発明の積層体は、耐火層と粘着層を含み、粘着層の粘着面に複数の凸部を有することを特徴とする。粘着面にこのような凸部を有することで、被着体と粘着層との界面から気泡を容易に除去することができ、粘着層と被着体との密着性が向上する。密着性の向上により、耐火層の機能がより発揮され、発火抑制効果が飛躍的に向上する。
<層構成>
本発明の積層体の層構成について、図1~図6に示す概念図を用いて説明する。
本発明の積層体10は、図1及び図2に示すように、耐火層11と粘着層12を有しており、バッテリー等の被着体20に粘着層12の粘着面A側を貼付して用いられる。粘着面Aには複数の凸部13が配されており、積層体10を被着体20に貼付する際に、凸部と隣接する他の凸部との間隙から気泡が除去され、粘着層12と被着体20の密着性が良好となる。以下、「気泡の除去性」を「エアー抜け性」と記載することがある。
ここで、凸部は粘着成分から構成されることが好ましく、凸部と凸部の間の部分は、粘着成分が存在していてもよいし、していなくてもよい。気泡を除去しやすいという点では、凸部と凸部の間の部分は、粘着成分が存在しないか又は粘着性を奏しない程度に粘着成分が存在することが好ましい。
なお、粘着成分については後に詳述する。
本発明の積層体は、図1に示すように耐火層11の一方の面側に粘着層12を有していてもよい。このような層構成を有する積層体は、例えば、耐火層11に粘着層12を塗工した後、粘着面A側をエンボス加工等をすること(以下、単に「エンボス加工」と記載することがある。)で得られる。また、耐火層11に、部分的に粘着剤を塗工して(以下、「部分塗工」と記載することがある。)、凸部を有する粘着層12を得てもよい。
また、図3に示すように、耐火層11の他方の面側にも粘着層12を有していてもよい。この態様の場合には、凸部を有する粘着面Aが耐火層側ではない側、すなわち被着体20側に有することで、本発明の効果を奏する。粘着層12は上記と同様にエンボス加工又は部分塗工により得ることができる。
また、本発明の積層体は、図4に示すように粘着層12が基材層14に設けられる態様でもよく、さらには、図5に示すように、基材層14の両面に粘着層12及び13が設けられる態様でもよい。このような層構成を有する積層体は、あらかじめ基材層14に粘着層12を積層した粘着テープ、あるいは基材層14の両面に粘着層12及び13を積層した両面粘着テープを作製しておき、これを耐火層に積層することで、本発明の積層体を得てもよい。事前に作製する粘着テープ、及び両面粘着テープは、基材層の上にグラビア印刷等の手法を用いて粘着剤を塗工し、粘着成分からなる凸部を形成してもよいし(前記「部分塗工」と同様)、粘着剤を一面に塗工し、その後にエンボス加工等によって、凸部を形成してもよい(前記「エンボス加工」と同様)。
なお、図4に示す態様では、例えば、基材層14は接着剤等により、耐火層11に積層することで得られてもよいし、熱圧着などにより得られてもよい。
また、図6に示すように、基材層14の一方の面側に凸部を有する粘着層12が積層され、他方の面側の全面又は一部に凸部を有さない粘着層15が積層される態様であってもよい。このような層構成を有する積層体は、あらかじめ一方の面に凸部を有する粘着層、他方の面に凸部を有さない粘着層を有する両面粘着テープを作製しておき、耐火層に積層するとよい。
なお、図6に示す態様の場合には、凸部のある粘着層12が被着体20側に配されることで本発明の効果を奏する。
本発明の積層体は、凸部を有する粘着面Aが、積層体の最外面を構成するとよいが、適宜剥離フィルムが貼り合わされてもよい。剥離フィルムは、使用する前まで粘着面Aを保護するものであり、使用直前に剥がすとよい。
ここで、基材層14は、可燃層であっても準不燃層又は不燃層であってもよい。基材層14を構成する材料としては、特に限定されるものではなく、樹脂フィルム、不織布、金属フィルム等が例示される。これらのうち、取り扱いやすさの点で、樹脂フィルムが好ましい。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂、ポリブチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン等のポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエステルイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリアリーレンエーテル(ポリフェニレンエーテルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアリール、ポリウレタン、エポキシ系樹脂等を、単独または2種以上組み合わせ使用することができる。
これらのうち、汎用性、コスト等の観点からPETが好ましい。
基材層として樹脂フィルムを用いる場合の厚みとしては、1~10μmの範囲であることが好ましく、1.5~8μmの範囲であることがより好ましく、2~6μmの範囲であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると粘着層を適切に支持することができ、上記上限値以下であると、耐火性をほとんど低下させることがない。
<粘着層>
本発明の積層体における粘着層は、被着体と接触する側である粘着面Aに、複数の凸部を有する。凸部の厚みとしては、1~15μmの範囲であることが好ましい。凸部の厚みが1μm以上であると、気泡の除去が十分となり、粘着層と被着体との良好な密着性が得られ、しわ等が生じない。一方、凸部の厚みが15μm以下であると、凹凸差が大きいことによる気泡の残存がなく、良好な密着性が得られる。以上の観点から、凸部の厚みは2~5μmの範囲であることが好ましい。なお、凸部と凸部の間に、粘着成分が存在していない場合、凸部の厚みとは粘着層の厚みと同一となる。
凸部の1個当たりの面積は、本発明の効果を奏する範囲であれば、特に限定されないが、0.02mm~0.5mmの範囲であることが好ましく、0.04mm~0.3mmの範囲であることがより好ましく、0.05mm~0.2mmの範囲であることがさらに好ましく、0.06mm~0.1mmの範囲であることが特に好ましい。上記上限値以下であると、粘着層を被着体に貼着した際に界面から気泡が抜けやすく、上記下限値以上であると良好な接着力が得られる。
上記凸部と隣接する他の凸部との距離は、0.04mm~0.15mmの範囲であることが好ましく、0.05~0.13mmの範囲であることがより好ましい。凸部間の距離が上記範囲であると、粘着層を被着体に貼着した際に界面から気泡が抜けやすく、かつ良好な接着力が得られる。
また、凸部の単位面積当たりの数としては、1cm当たり、120個~2000個の範囲であることが好ましく、280個~1600個の範囲であることがより好ましく、500個~1200個の範囲であることがさらに好ましい。凸部の単位面積当たりの数が上記範囲であると、粘着層を被着体に貼着した際に界面から気泡が抜けやすく、かつ良好な接着力が得られる。
凸部の占有率としては、例えば15~75%の範囲が好ましく、30~70%の範囲が好ましく、40~60%の範囲であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると、被着体との貼り付け性、接着性が十分となり、上記上限値以下であると、耐火性の点から好ましい。なお、凸部の占有率とは、積層体を平面視したときの耐火層に対する凸部の面積の割合をいう。
なお、凸部の厚み、凸部の面積、凸部間の距離、単位面積当たりの凸部の数は、電子顕微鏡による観察にて、測定することができる。
凸部の形状としては、特に制限はなく、本発明の効果を奏する範囲であれば、いかなる形状であってもよい。例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、台形、ひし形等の四角形、六角形等が挙げられる。これらの形状は歪んでいてもよく、また矩形体では、角が丸くなっていたり、各辺が曲線状等になっていても、本発明の凸部を形成し得る。
本発明の積層体において、粘着層の粘着面の表面粗さ(Ra)は10~50μmの範囲であることが好ましく、15~45μmの範囲であることがより好ましく、20~40μmの範囲であることがさらに好ましい。
粘着層の粘着面の表面粗さ(Ra)が上記範囲であると、粘着層を被着体に貼着した際に界面から気泡が抜けやすく、かつ良好な接着力が得られる。
なお、表面粗さ(Ra)は、キーエンス社製の形状測定マイクロスコープVK-X100を用いて、5倍の倍率で表面を観察した際の表面粗さ解析を行い求めた。
凸部を有する粘着層、及び後述する凸部を有さない粘着層を構成する粘着成分としては、粘着性を有するものであれば、特に制限はないが、取り扱い性、汎用性等の点から、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤が好適に挙げられる。なお、基材層の両面に粘着層を有する態様では、両面の粘着層の粘着成分は同じでも異なってもよい。
粘着層の厚みとしては、0.1~20μmの範囲であることが好ましく、0.5~15μmの範囲であることがより好ましく、1~10μmの範囲であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると、十分な粘着力を得ることができ、上記上限値以下であると耐火性の観点から好適である。
なお、粘着層の厚みは総厚みを意味し、例えば基材層の両面に粘着層が塗工された両面テープ等の場合には、両面の粘着層の合計厚みである。
粘着層として、市販の両面テープを用いることができ、例えば、DIC社製「TN06AIR」、「TN10AIR」等を用いることができる。
前記アクリル系粘着剤としては、アクリル重合体を含有するものを使用することができる。
前記アクリル重合体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の(メタ)アクリル単量体を含む単量体成分を重合させることによって得られるものを使用することができる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等を単独または2種以上組合せることができる。なかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、前記アルキル基の炭素原子数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましく、前記アルキル基の炭素原子数が4~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することがより好ましい。前記アルキル基は、直鎖または分岐したアルキル基が挙げられる。
前記アクリル基の炭素原子数が4~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチルを使用することが、前記粘着部の表面形状を保持しやすいため、経時的な変化を防止しやすく、被着体との界面から気泡が抜けやすく(エア抜け性)、かつ、良好な接着力を保持できる点で好ましい。
前記(メタ)アクリル単量体としては、前記したもの以外に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基を有する単量体又はその無水物、ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基を有する単量体、アクリロニトリルなどのシアノ基を有する単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する単量体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどのヒドロキシル基を有する単量体、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリン等のアミノ基を有する単量体、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基を有する単量体、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基を有する単量体、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する単量体、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等の単量体を単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
また、前記単量体としては、前記(メタ)アクリル単量体の他に、スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、塩化ビニル等を使用することもできる。
前記アクリル重合体は、前記単量体を、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の方法で重合させることによって製造することができ、溶液重合法を採用することが、アクリル重合体の生産効率を向上するうえで好ましい。
アクリル重合体としては、30万~120万の重量平均分子量を有するものが好ましく、40万~110万の重量平均分子量を有するものがより好ましく、50万~100万の重量平均分子量を有するものがさらに好ましい。上記範囲内であると、薄型であってもより一層優れた接着力と、気泡の除去しやすさとを備えることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定され、標準ポリスチレン換算で算出したものである。
アクリル系粘着剤は、アクリル重合体に加えて、微粒子を含有してもよく、また、必要に応じて、粘着付与樹脂、架橋剤、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(ウレタン系粘着剤)
ウレタン系粘着剤としては特に限定されず、例えば、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。上記ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのウレタン系粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ウレタン系粘着剤としては、ポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系硬化剤とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用してもよい。ポリウレタンポリオールは、上記したポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応したもの、又はポリオールとポリイソシアネート化合物とジアミンなどの鎖延長剤とを反応させたものが挙げられる。多官能イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、上記したイソシアネート化合物を使用可能である。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン樹脂に加えて、微粒子を含有してもよく、また、必要に応じて、粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
(シリコーン系粘着剤)
シリコーン系粘着剤としては、例えば、付加反応型、過酸化物硬化型又は縮合反応型のシリコーン系粘着剤等が挙げられる。なかでも、低温短時間で硬化可能という観点から、付加反応型シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。なお、付加反応型シリコーン系粘着剤は粘着層の形成時に硬化するものである。シリコーン系粘着剤として、付加反応型シリコーン系粘着剤を用いる場合、上記シリコーン系粘着剤は白金触媒等の触媒を含んでいてもよい。
また、シリコーン系粘着剤は、微粒子を含有してもよく、また、架橋剤、粘着力を制御するための各種添加剤を加えてもよい。
<耐火層>
本発明の積層体は、耐火層を有し、該耐火層は(A)樹脂と(B)耐火性添加剤を含む耐火樹脂組成物により構成される。(B)耐火性添加剤としては、熱膨張性化合物、吸熱剤、放熱剤、焼結剤及び難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
<(A)樹脂>
本発明に係る耐火樹脂組成物に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエラストマー樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソブチレン等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられ、熱硬化性樹脂のなかでは、エポキシ樹脂が好ましい。
エラストマー樹脂としては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、エチレン-プロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン-イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
本発明においては、上述の樹脂のうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に係る耐火樹脂組成物に含有される樹脂は、上記した中でも、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂を使用すると、押出成形やスラリーなどの塗布により、耐火層を容易に成形できる。また、熱可塑性樹脂の中でも、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が好ましい。これらの中でも、(B)耐火性添加剤を大量に含有させても成形性を良好にできる観点から、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂がより好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がさらに好ましい。
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されないが、ポリビニルブチラール樹脂が好適である。ポリビニルブチラールを用いることで、耐火樹脂組成物における、添加剤の量を多くして樹脂の量を比較的少なくしても、成形性を高くすることが可能になる。そのため、耐火層を薄くしても十分な耐火性能を付与できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、好ましくは20~40モル%である。水酸基量を20モル%以上とすることで、ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなり、耐火性添加剤などに対する接着力が強くなり、本発明の積層体を用いてなる耐火シート(以下、単に「耐火シート」と記載する。)の機械的強度が向上しやすくなる。また、水酸基量を40モル%以下とすることで、本発明の耐火シートが硬くなりすぎて引張強度などの機械的強度が低下することを防止する。上記水酸基量は、より好ましくは22モル%以上である。また、上記水酸基量は、より好ましくは37モル%以下、さらに好ましくは35モル%以下、よりさらに好ましくは33モル%以下である。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、好ましくは40~80モル%である。アセタール化度を上記範囲内とすることで、上記する水酸基量を所望の範囲内とし、耐火シートの機械的強度を向上することができる。アセタール化度は、より好ましくは55モル%以上であり、さらに好ましくは65モル%以上、よりさらに好ましくは67モル%以上であり、また、より好ましくは76モル%以下である。
また、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量は、好ましくは0.1~30モル%である。アセチル基量がこの範囲内であると、耐湿性に優れ、また、上記する水酸基量を所望の範囲内として、耐火シートの機械的強度が向上しやすくなる。これら観点から、アセチル基量は、0.2モル%以上がより好ましく、0.5モル%以上がさらに好ましく、また、15モル%以下がより好ましく、7モル%以下がさらに好ましい。
なお、アセタール化度、水酸基量、及びアセチル基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定し、また算出することができる。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、好ましくは200~3000である。重合度をこれら範囲内にすることで、耐火シートの強度を良好にしつつ耐火性添加剤などを適切に耐火層中に分散させることがきる。重合度は、より好ましくは250以上、さらに好ましくは300以上である。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度を低くすると粘度も下がり、耐火層中に耐火性添加剤などを分散しやすくなり、耐火シートの成形性が向上する。そのような観点から、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1000以下、よりさらに好ましくは900以下である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、JIS K6728に記載の方法に基づいて測定した粘度平均重合度をいう。
ポリビニルアセタール樹脂の10質量%エタノール/トルエン粘度は、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上であり、さらに好ましくは15mPa・s以上である。また、10質量%エタノール/トルエン粘度は、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下であり、更に好ましくは200mPa・s以下である。ポリビニルアセタール樹脂の10質量%エタノール/トルエン粘度を上記のとおりにすることにより、耐火層中に耐火性添加剤などを分散しやすくなり、耐火シートの成形性が向上する。
なお、10質量%エタノール/トルエン粘度は、次のように測定した値である。エタノール/トルエン(質量比1:1)混合溶剤150mlを三角フラスコにとり、これに秤量した試料を加え、樹脂濃度を10質量%とし、20℃の恒温室にて振とう溶解する。その溶液を20℃に保持しBM型粘度計を用いて粘度を測定して、10質量%エタノール/トルエン粘度を求めることができる。
上記アルデヒドは特に限定されないが、一般には、炭素数が1~10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1~10のアルデヒドは特に限定されず、例えば、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n-ブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-バレルアルデヒドが好ましく、n-ブチルアルデヒドがより好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂)
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂としては、非架橋型のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよい。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン-酢酸ビニルの加水分解物などのようなエチレン-酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が好ましくは10~50質量%、より好ましくは15~45質量%である。酢酸ビニル含量をこれら下限値以上とすることで、粘着層への接着性が高くなる。また、酢酸ビニル含量をこれら上限値以下とすることで、耐火シートの機械強度が良好となる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のメルトフローレートは、1.0g/10min以上であることが好ましい。エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のメルトフローレートを1.0g/10min以上とすると、耐火性添加剤などの分散性が良好となり、これらを多量に配合しても、押出成形などにおけるシート成形性が良好に維持できる。これらの観点から、メルトフローレートは、2.4g/10min以上がより好ましく、10g/10min以上がさらに好ましい。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のメルトフローレートは、40g/10min以下が好ましく、35g/10min以下がより好ましい。なお、メルトフローレートは、JIS K 7210-2:1999に従って190℃、2.16kg荷重の条件によって測定されたものである。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを含むモノマー成分を重合したものである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、「アクリル酸アルキルエステル、又はメタクリル酸アルキルエステル」を意味する。他の類似の用語も同様である。
本発明における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数は、例えば1~18、好ましくは1~14、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~8である。
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、アクリル樹脂を得るためのモノマー成分としては、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの他に、極性基含有モノマーを含んでもよい。
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、5~80℃であることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)をこれらの範囲内とすることで、成形性、柔軟性などを良好にしつつ、耐火シートに一定の機械的強度を付与することができる。これらの観点から、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、15~70℃であることが好ましく、25~60℃であることがさらに好ましい。なお、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用するモノマー成分の種類、量を適宜選択することで調整できる。
また、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は例えば示差熱走査熱量分析計(DSC)により測定できる。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの重合体が好ましい。具体的には、アルキル基の炭素数が1~14である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの重合体が好ましく、アルキル基の炭素数が1~10である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの重合体がより好ましく、アルキル基の炭素数が1~8である(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの重合体がさらに好ましい。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの共重合体であってもよい。好適なアクリル樹脂の具体例としては、イソブチルメタクリレートの単独重合体、イソブチルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合体などが挙げられる。アクリル樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、耐火性添加剤などを適切に耐火層中に分散させることができ、耐火シートの成形性、機械強度を向上させる観点から、10,000~300,000が好ましい。また、これらの観点から、アクリル樹脂の重量平均分子量は、30,000~250,000がより好ましく、60,000~200,000が更に好ましい。なお、アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。GPC法によって重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF-804(昭和電工社製)等が挙げられる。
(ポリ塩化ビニル樹脂(PVC))
ポリ塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独重合体であってもよいし、塩化ビニル系共重合体でもよい。塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合可能な不飽和結合を有する単量体の共重合体であって、塩化ビニル由来の構成単位を50質量%以上含有するものである。
塩化ビニルと共重合可能な不飽和結合を有する単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリロニトリル、スチレン等の芳香族ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
また、ポリ塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル系共重合体などを塩素化したポリ塩素化塩化ビニル樹脂でもよい。
ポリ塩化ビニル樹脂は、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上
を併用してもよい。
(エポキシ樹脂)
本発明で用いられるエポキシ樹脂は、特に限定されないが、例えば、エポキシ化合物単独、又は、主剤であるエポキシ化合物と、硬化剤とからなるものが挙げられる。エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であり、具体的には、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型が例示される。グリジシルエーテル型は、2官能でもよいし、3官能以上の多官能でもよい。また、グリシジルエステル型も同様である。エポキシ化合物は、架橋度を調整する等のために1官能のものを含んでもよい。これらの中では、2官能のグリシジルエーテル型が好ましい。
上記2官能のグリシジルエーテル型のエポキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型などのアルキレングリコール型、ネオペンチルグリコール型、1、6-ヘキサンジオール型、水添ビスフェノールA型等の脂肪族エポキシ化合物が例示される。さらには、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、エチレンオキサイド-ビスフェノールA型、プロピレンオキサイド-ビスフェノールA型などの芳香族環を含む芳香族エポキシ化合物が挙げられる。これらの中では、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型などの芳香族エポキシ化合物が好ましい。
上記グリシジルエステル型のエポキシ化合物としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸型、テトラヒドロ無水フタル酸型、ダイマー酸型、p-オキシ安息香酸型等のエポキシ化合物が例示される。
3官能以上のグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、DPPノボラック型、ジシクロペンタジエン・フェノール型等が例示される。
これらのエポキシ化合物は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、ポリメルカプタン等が挙げられる。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。これら硬化剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(樹脂の含有量)
耐火層における(A)樹脂の含有量は、例えば1~80質量%である。樹脂の含有量を1質量%以上とすることで、耐火性添加剤などを樹脂により保持して、シート状に適切に成形できるようになる。また、80質量%以下とすることで、耐火性添加剤を一定量以上含有させることができるので、耐火層に耐火性が付与され、バッテリーなどの発火を抑制できるようになる。シート成形性を良好にして、耐火シートの機械強度なども向上させる観点から、樹脂の含有量は、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。また、耐火性添加剤の含有量を増やして、耐火性を向上させる観点から、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
<耐火性添加剤>
本発明の耐火樹脂組成物に含まれる(B)耐火性添加剤としては、熱膨張性化合物、吸熱剤、放熱剤、焼結剤及び難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
(熱膨張性化合物)
熱膨張性化合物は、バッテリーが熱暴走などして加熱されると、膨張することで断熱して、発火を抑制し、発火が生じた場合に消火する機能を有する。
熱膨張性化合物の膨張度は、好ましくは5ml/g以上である。5ml/g以上とすることで、十分な耐火性、消火性能を得ることができる。耐火性、消火性能をさらに向上させる観点から、熱膨張性化合物の膨張度は、20ml/g以上がより好ましく、100ml/g以上がさらに好ましく、150ml/g以上がよりさらに好ましい。また、熱膨張性化合物の膨張度は、好ましくは400ml/g以下、より好ましくは300ml/g以下、さらに好ましくは250ml/g以下である。熱膨張性化合物の膨張度をこれら上限値以下とすることで、残渣後の機械的強度を高めやすくなる。
本発明で使用する熱膨張性化合物は、膨張開始温度が好ましくは95℃以上である。膨張開始温度が95℃以上であると、バッテリーが暴走したときや、バッテリーが発火したとき以外に誤って耐火層が膨張することを防止できる。これらの観点から、熱膨張性化合物の膨張開始温度は、より好ましくは105℃以上、さらに好ましくは115℃以上である。また、熱膨張性化合物の膨張開始温度は、耐火層が600℃において膨張できるように600℃未満であるとよいが、好ましくは450℃以下である。450℃以下とすることで、バッテリーが発火した場合や、熱暴走した際に速やかに膨張して、耐火性、消火性能を高めることができる。また、熱暴走した際に速やかに膨張して耐火性を高める観点から、上記膨張開始温度は200℃以下がより好ましく、さらに好ましくは140℃以下である。
なお、熱膨張性化合物の膨張開始温度は、熱膨張性化合物を25℃から5℃/分の昇温速度で昇温させたときに、昇温開始前の体積の1.1倍以上に膨張したときの温度のことである。熱膨張性化合物の体積を計測する温度の間隔は特に制限されず、例えば、5℃上昇するごとに体積を計測すればよい。また、膨張度は、熱膨張性化合物を1000℃で10秒間保持した後の、単位質量(g)あたりの体積(ml)のことである。
本発明で使用する熱膨張性化合物は、熱膨張性層状無機物、熱膨張性固体リン系化合物、及び熱膨張性マイクロカプセルから選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらのなかでは、熱膨張性層状無機物及び熱膨張性固体リン系化合物から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、少なくとも熱膨張性層状無機物を使用することがさらに好ましい。
<<熱膨張性層状無機物>>
熱膨張性層状無機物は、加熱時に膨張する従来公知の物質であり、例えば、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などが挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性層状無機物としては、粒子状やりん片状のものを用いてもよい。熱膨張性層状無機物、特に熱膨張性黒鉛は、上記のとおり膨張度を高く(例えば、100ml/g以上、さらには150ml/g以上など)することが可能であり、加熱膨張時に大容量の空隙を形成できる。また、膨張開始温度を低く(例えば、200℃以下、さらには140℃以下など)することができる。そのため、耐火層の耐火性、消火性能を優れたものにすることができる。
熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては濃硝酸、過硫酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和処理してもよい。
熱膨張性黒鉛の粒度は、20~200メッシュが好ましい。熱膨張性黒鉛の粒度が前記範囲内であると、膨脹して大容量の空隙を作りやすくなるため耐火性が向上する。また、樹脂への分散性も向上する。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比の上限は特に限定されないが、熱膨張性黒鉛の割れ防止の観点から、1,000以下であることが好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比が2以上であることにより、膨張して大容量の空隙を作りやすくなるため難燃性が向上する。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、10個の熱膨張性黒鉛について、それぞれ最大寸法(長径)及び最小寸法(短径)を測定し、最大寸法(長径)を最小寸法(短径)で除した値の平均値を平均アスペクト比とする。熱膨張性黒鉛の長径及び短径は、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて測定することができる。
<<熱膨張性固体リン系化合物>>
熱膨張性固体リン系化合物は、室温(25℃)及び常圧(1気圧)下で固体であり、リン原子を有し、かつ5ml/g以上の膨張度を有する化合物である。熱膨張性固体リン系化合物の膨張度は、好ましくは20ml/g以上である。
熱膨張性固体リン系化合物の膨張度は、通常は熱膨張性層状無機物よりも低くなり、典型的には100ml/g以下である。熱膨張性固体リン系化合物は、リン原子を有することで難燃性を有するものであり、消火性能、耐火性を良好にしやすい。また、後述する通り、熱膨張性層状無機物と併用することで、膨張残渣をメッシュ状となった状態に保持しやすくなり、消火性能及び耐火性を向上させやすい。
熱膨張性固体リン系化合物としては、低級リン酸類の金属塩であり、かつ膨張度が上記のとおり5ml/g以上となるものが挙げられる。「低級リン酸類」は、無機リン酸類のうち、縮合していない、つまり高分子化していない無機リン酸を指す。すなわち、無機リン酸類は、その分子中におけるリン原子が1つとなるものである。低級リン酸類としては第一リン酸、第二リン酸、第三リン酸、メタリン酸、亜リン酸、次亜リン酸等が挙げられる。金属塩に使用される金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表3B族金属、遷移金属などのいずれでもよい。これらのなかでは、代表的には、亜リン酸の金属塩であり、具体的な化合物は、亜リン酸アルミニウムである。亜リン酸アルミニウムは、膨張度が高くなり、耐火性、消火性を向上させやすくなる。
熱膨張性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<熱膨張性マイクロカプセル>>
熱膨張性マイクロカプセルは、外殻樹脂の内部に低沸点溶剤等の揮発性物質が内包されたものであり、加熱により外殻樹脂が軟化し、内包された揮発性物質が揮発ないし膨張するため、その圧力で外殻が膨張して粒子径が大きくなるものである。
熱膨張性マイクロカプセルの外殻は、熱可塑性樹脂から形成されることが好ましい。熱可塑性樹脂は、エチレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等のビニル重合体およびこれらの共重合体、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。中でも、内包された揮発性物質が透過しにくい点からアクリロニトリルの共重合体が好ましい。熱膨張性マイクロカプセルの内部に内包される揮発性物質としては、プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数3~7の炭化水素、塩化メチル、メチレンクロリド等のメタンのハロゲン化物、CCl3F、CCl22等のクロロフロオロカーボン、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン等のテトラアルキルシラン、石油エーテル等から選択される1種又は2種以上の低沸点液体が使用される。
熱膨張性マイクロカプセルの好適例としては、アクリロニトリルと塩化ビニリデンの共重合体を外殻樹脂とし、イソブタン等の炭素数3~7の炭化水素を内包したマイクロカプセルが挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルを使用する場合には、上記した熱膨張性固体リン系化合物及び後述する固体難燃剤から選択される少なくとも1種と併用することが特に好ましい。熱膨張性マイクロカプセルは、これらと併用することで高温下でも膨張した状態に維持され、600℃に加熱した際に高い膨張倍率を達成できる。
また、本発明の一態様において、熱膨張性層状無機物及び熱膨張性固体リン系化合物の両方を使用してもよい。熱膨張性化合物としてこれら両方の化合物を使用すると、膨張残渣がメッシュ状となった状態に保持しやすくなり、可燃性ガスや火炎を外部に放散しつつ断熱することができ、消火性、耐火性に優れる。本発明では、これら観点から、特に、熱膨張性黒鉛と、亜リン酸アルミニウムとを組み合わせて使用することが好ましい。
熱膨張性化合物の含有量は、樹脂100質量部に対して、10~1000質量部であることが好ましい。10質量部以上とすることで、耐火材の膨張倍率を所定値以上にすることができる。また、1000質量部以下とすることで、耐火材の機械的強度及び成形性、並びに膨張後の膨張残渣の機械的強度を良好にしやすい。
これら観点から、熱膨張性化合物の含有量は、20質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、50質量部以上がよりさらに好ましく、また、500質量部以下がより好ましく、250質量部以下がさらに好ましく、130質量部以下がよりさらに好ましい。
また、上記のとおり、本発明の一態様において、熱膨張性層状無機物と熱膨張性固体リン系化合物の両方を使用することができるが、両方を使用する場合、これらの合計量は、上記含有量の範囲のなかでも、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましく、80質量部以上がよりさらに好ましい。また、500質量部以下がより好ましく、250質量部以下がさらに好ましく、130質量部以下がよりさらに好ましい。
また、これらの含有量の質量比(熱膨張性層状無機物/熱膨張性固体リン系化合物)は、2/8~8/2が好ましく、3/7~7/3がより好ましく、4/6~6/4がさらに好ましい。これら範囲内とすることで、メッシュ状となった膨張残渣の硬度が高く保持され、耐火性、消火性がより一層向上しやすくなる。
(吸熱剤)
本発明の耐火層は、さらに吸熱剤を含有してもよい。吸熱剤としては、熱分解開始温度が800℃以下、吸熱量が300J/g以上である吸熱剤が挙げられる。吸熱剤は、熱分解開始温度、及び吸熱量のいずれかが上記範囲内となると、バッテリーなどが発火した場合に速やかに消火でき、消火性などをより一層良好にできる。
吸熱剤の熱分解開始温度は、500℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましい。吸熱剤の熱分解開始温度がこれら上限値以下とすることで発火時に速やかに吸熱剤が分解し、迅速に消火することが可能になる。また、吸熱剤の熱分解開始温度は、例えば50℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。
なお、熱分解開始温度は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
前記吸熱剤の吸熱量は、好ましくは500J/g以上、より好ましくは600J/g以上、さらに好ましくは900J/g以上である。吸熱剤の吸熱量が上記範囲内であると、熱の吸収性が向上するため、耐火性がより良好となる。前記吸熱剤の吸熱量は、通常、4000J/g以下、好ましくは3000J/g以下、さらに好ましくは2000J/g以下である。
なお、吸熱量は熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
吸熱剤は、平均粒子径が0.1~90μmであるものが好ましい。平均粒子径が上記範囲内とすることで、樹脂中に吸熱剤を均一に分散でき、多量に配合させることも可能になる。これら観点から、吸熱剤の平均粒子径は、0.5~60μmがより好ましく、0.8~40μmがさらに好ましく、0.8~10μmがよりさらに好ましい。吸熱剤の平均粒子径が上記範囲内であると、耐火層における吸熱剤の分散性が向上し、吸熱剤を樹脂中に均一に分散させたり、樹脂に対する吸熱剤の配合量を多くすることができる。
吸熱剤としては、上記した熱分解開始温度、吸熱量を満たせば特に制限はないが、水和金属化合物が好ましくは使用できる。水和金属化合物は、加熱により分解して水蒸気を発生し、吸熱及び消火の効果を有する化合物である。
水和金属化合物としては、金属水酸化物、又は金属塩の水和物などが挙げられ、中でも金属水酸化物が好ましい。また、金属水酸化物と金属塩の水和物との組み合わせも好ましい。金属水酸化物を使用することで、消火性能を向上させやすくなる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。金属塩の水和物としては、例えば2ZnO・3B・3.5HOで表されるホウ酸亜鉛の水和物、硫酸カルシウムの水和物(例えば、2水和物)、硫酸マグネシウムの水和物(例えば、7水和物)などの硫酸金属塩の水和物などが挙げられる。また、カオリンクレー、ドーソナイト、ベーマイトなどが挙げられる。また、吸熱剤としては、アルミン酸カルシウム、タルクなどであってもよい。
吸熱剤としては、上記した中では、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛の水和物、硫酸カルシウムの水和物(例えば、2水和物)、硫酸マグネシウムの水和物(例えば、7水和物)が好ましく、これらの中でも、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムがより好ましい。
本発明において、吸熱剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは10~500質量部である。10質量部以上の吸熱剤を含有したことで消火性能を向上させやすくなる。また、500質量部以下とすることで、吸熱剤を樹脂中に均一に分散させやすくなり、耐火層の成形性、機械的強度を良好にしやすくなる。これら観点から、吸熱剤の含有量は、40質量部以上がより好ましく、80質量部以上がより好ましく、また、400質量部以下がより好ましく、200質量部以下がさらに好ましい。
また、吸熱剤の含有量は、上記熱膨張性化合物及び固体難燃剤の合計量に対する質量比(吸熱剤/熱膨張性化合物及び固体難燃剤の合計量)が、2/8~8/2が好ましく、3/7~7/3がより好ましく、4/6~6/4がさらに好ましい。これら範囲内とすることで、耐火材の機械的強度の維持と、吸熱剤による消火性能の向上とをバランスよく達成できる。
(放熱剤)
本発明の耐火シートは、放熱剤を含有することで、異常高温になった部材の熱を外部に放出させることができ、耐火性が良好となる。特に、バッテリーは、急激な温度上昇が局所的に生じ、局所的に発熱した部分から発火が生じやすいが、放熱剤により耐火シートの面方向に沿って放熱させることで、局所的な発熱を抑制し、それにより、バッテリーの発火を効果的に抑制することができる。
放熱剤としては、金属粉以外の熱伝導性フィラーを使用できる。具体的な放熱剤としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、黒鉛などが挙げられる。中でも、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、及び黒鉛が好ましく、窒化ホウ素、及び黒鉛がより好ましく、黒鉛がさらに好ましく、黒鉛の中でも膨張化黒鉛が特に好ましい。放熱剤として、膨張化黒鉛、窒化ホウ素を使用することで、耐火シートは、加熱後でも一定の強度を有してシート形状を維持し、十分な耐火性能を発揮できる。
なお、膨張化黒鉛とは、熱膨張性黒鉛を加熱膨張し、プレスし、シート化させ、そのシートを粉砕したものをいう。また、黒鉛としては、天然黒鉛でもよく、鱗片状黒鉛も好ましい。なお、本明細書において「鱗片状黒鉛」とは、天然黒鉛で鱗片状の形状を有するものという。
放熱剤は、球状フィラーであってもよいし、鱗片状、薄片状などの板状、針状、繊維状、樹枝状、不定形状などの非球状フィラーであってもよいが、非球状フィラーが好ましく、中でも板状フィラーであることがより好ましい。非球状フィラー、中でも板状フィラーを使用することで、耐火シートの放熱性を向上させ、それにより、バッテリーの発火を効果的に抑制することができる。
したがって、放熱剤としては、鱗片状の窒化ホウ素、鱗片状の膨張化黒鉛、鱗片状黒鉛などの板状の窒化ホウ素、板状の黒鉛が好ましく、特に、鱗片状の膨張化黒鉛が好ましい。
放熱剤としては、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。したがって、例えば、放熱剤として膨張化黒鉛を使用する場合、膨張化黒鉛単独で使用してもよいし、膨張化黒鉛と他の放熱剤を併用してもよい。
放熱剤は、上記の通り板状などの非球状フィラーであるとよく、アスペクト比が例えば2以上であることが好ましく、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3以上である。なお、アスペクト比は、その上限に関して特に限定されないが、例えば30以下であってもよいし、10以下であってもよい。
放熱剤は、板状フィラーなどの非球状フィラーであり、耐火シートにおいて配向していることが好ましい。具体的には、放熱剤は、その長軸(最大長さの方向)が耐火シートの面方向に配向するように、耐火シート中に含まれることが好ましい。
なお、放熱剤を耐火シートの面方向に配向させる方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂と放熱剤を含む耐火樹脂組成物を、押出機からシート状に押出すことによって、配向させることができる。あるいは、耐火樹脂組成物を熱プレスすることや、耐火樹脂組成物を面方向に沿って塗工することなどによっても面方向に沿って配向することができる。
放熱剤の平均粒子径は、好ましくは0.5~150μm、より好ましくは1~100μm、更に好ましくは5~50μmである。放熱剤の平均粒子径が上記下限値以上であると、放熱剤により耐火シートの放熱性を向上させて、バッテリーの発火を効果的に抑制することができる。一方で、上記上限値以下であることで、放熱剤を大量に含有させても、耐火シートの成形性が低下することを防止できる。
なお、放熱剤の熱伝導率は特に限定されないが、好ましくは10W/m・K以上であり、より好ましくは15W/m・K以上、さらに好ましくは20W/m・K以上であり、よりさらに好ましくは50W/m・K以上であり、特に好ましくは90W/m・K以上である。熱伝導率がこのような範囲であると、バッテリーの発火を抑制しやすい耐火シートを得やすくなる。
放熱剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば20質量部以上800質量部以下である。20質量部以上であることで放熱剤によりバッテリーなどにおける発熱を適切に放熱でき、バッテリーなどの発火を抑制しやすくなる。また、800質量部以下とすることで、樹脂により放熱剤を適切に保持でき、耐火シートの成形性、機械強度なども良好となる。バッテリーなどの発火をより抑制しやすくする観点から、50質量部以上がより好ましく、80質量部以上がさらに好ましく、90質量部以上がよりさらに好ましい。また、耐火シートの成形性、機械強度を良好にする観点から、放熱剤の含有量は、700質量部以下が好ましく、600質量部以下がより好ましく、550質量部以下がさらに好ましい。
なお、放熱剤として膨張化黒鉛を使用する場合、膨張化黒鉛の含有量の好適な範囲は上記の放熱剤と同様であり、具体的には、樹脂100質量部に対して、好ましくは20~800質量部、より好ましくは50~700質量部、さらに好ましくは80~600質量部、よりさらに好ましくは90~550質量部である。
(焼結剤)
焼結剤は、バッテリーなどの発火を抑制する機能を有する。バッテリーは、発火する前に急激に膨張するため、その周囲に配置される耐火シートは裂けなどによる破損が生じ、十分な耐火性能を発揮できずに、バッテリーを発火させることがある。それに対して、焼結剤はシートの裂けなどによる破損を防止し、シート形状を維持し、高温下でも十分な耐火性能を発揮する。焼結剤としては、金属粉等が挙げられる。
金属粉としては、高温加熱時に焼結剤としての機能を発揮できる限り特に限定されないが、例えば、アルミニウム粉、ステンレス粉、タングステン粉、亜鉛粉、ジュラルミン粉、マグネシウム粉、モリブデン粉、ベリリウム粉、カルシウム粉、金粉、銀粉、銅粉から選ばれる1種以上であることが好ましい。これらの中では、銅粉が好ましい。銅粉は、バッテリーの異常発熱時の加熱により耐火シートを焼結させやすく、それにより、バッテリーの発火を特に効果的に抑制できる。
金属粉は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。したがって、例えば、金属粉として銅粉を使用する場合、銅粉単独で使用してもよいし、銅粉と他の金属粉を併用してもよい。
金属粉の形状は、球状であってもよいし、鱗片状、薄片状などの板状、針状、繊維状、樹枝状、不定形状などの非球状であってもよいが、非球状が好ましく、中でも板状であることがより好ましい。したがって、金属粉としては板状の銅粉であることが特に好ましい。金属粉が、非球状、特に板状であると、高温加熱時に焼結しやすくなり、バッテリーなどの異常発熱時による発火を効果的に防止しやすくなる。
金属粉のアスペクト比は、1以上であればよく、発火を効果的に防止する観点から、例えば1.2以上であることが好ましい。また、金属粉は、板状などの非球状であることが好ましく、アスペクト比が2以上であることが好ましく、より好ましくは2.5以上であり、さらに好ましくは3以上である。なお、アスペクト比は、その上限に関して特に限定されないが、例えば30以下であってもよいし、10以下であってもよい。
なお、アスペクト比とは、金属粉の最大長さの最小長さに対する比(最大長さ/最小長さ)であり、例えば、形状が板状である場合は、金属粉の最大長さの厚みに対する比(最大長さ/厚み)である。アスペクト比は走査型電子顕微鏡で、十分な数(例えば250個)の金属粉を観察して平均値として求めるとよい。
金属粉の平均粒子径は、好ましくは0.5~150μm、より好ましくは1~100μm、更に好ましくは5~50μmである。金属粉の平均粒子径が上記範囲内であると、成形性などを大きく損なうことなく、バッテリーなどの発火を効果的に抑制できる。特に、金属粉の平均粒子径が5μm以上であると、高温加熱時に金属粉が焼結しやすくなり、バッテリーの発火を効果的に抑制することができる。一方で、50μm以下とすることで、金属粉を大量に含有させても、成形性が低下することを防止できる。なお、本明細書において平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定したメディアン径(D50)の値である。
また、金属粉の平均粒子径が大きい場合にはアスペクト比が小さくても高い発火抑止効果が得られる。具体的には、金属粉の平均粒子径が例えば10μm以上、好ましくは20μm以上である場合には、アスペクト比は1以上2未満であってもよい。
一方で、金属粉の平均粒子径が小さい場合にはアスペクト比が大きくなることで、上記の通り焼結しやすくなり、高い発火抑止効果が得られやすくなる。具体的には、金属粉の平均粒子径が例えば20μm未満、好ましくは10μm未満である場合には、アスペクト比は2以上が好ましく、より好ましくは2.5以上であり、さらに好ましくは3以上である。
金属粉の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは20質量部以上800質量部以下である。20質量部以上であることで金属粉が焼結剤の機能を発揮しやすくなり、バッテリーなどの発火を抑制しやすくなる。また、800質量部以下とすることで、樹脂により金属粉を適切に保持でき、耐火シートの成形性、機械強度なども良好となる。金属粉の含有量は、金属粉による焼結剤の機能を十分に発揮させ、バッテリーなどの発火をより抑制させる観点から、50質量部以上がより好ましく、80質量部以上がさらに好ましく、90質量部以上がよりさらに好ましい。また、耐火シートの成形性、機械強度を良好にする観点から、金属粉の含有量は、700質量部以下がより好ましく、600質量部以下がさらに好ましく、550質量部以下がよりさらに好ましい。
なお、金属粉として銅粉を使用する場合、銅粉の含有量の好適な範囲も上記の金属粉と同様であり、樹脂100質量部に対して、好ましくは20~800質量部、より好ましくは50~700質量部、さらに好ましくは80~600質量部、よりさらに好ましくは90~550質量部である。
本発明においては、(B)耐火性添加剤が放熱剤及び焼結剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、特に放熱剤と金属粉等の焼結剤の両方を含有することが好ましい。両方を含有すると、高温加熱時に、金属粉が焼結してシートが裂けることを防止しつつ放熱剤により面方向に沿って放熱させることで、バッテリーなどの発火をより効果的に抑制できる。
本発明の積層体が、放熱剤と、金属粉の両方を含有する場合、放熱剤の含有量に対する金属粉の含有量の質量比(金属粉/放熱剤)は、例えば1/9~9/1であり、2/8~8/2が好ましく、3/7~7/3がより好ましく、4/6~6/4がさらに好ましい。以上の質量比で放熱剤と金属粉を併用することで、バッテリーなどの発火を効果的に抑制できる。
(難燃剤)
難燃剤としては、難燃効果があるものであれば、特に限定されず、固体難燃剤であっても液状難燃剤であってもよい。
<<固体難燃剤>>
本発明に係る耐火層は、上記熱膨張性化合物、吸熱剤、放熱剤、焼結剤以外の固体難燃剤を含有してもよい。固体難燃剤は、室温及び常圧で固体である難燃剤である。固体難燃剤としては、低融点ガラス、熱膨張性固体リン系化合物以外のリン系化合物、メラミン系化合物、及び環状尿素化合物などの窒素含有難燃剤などが挙げられる。
本発明に係る耐火層は、固体難燃剤を含有することで、膨張残渣がメッシュ状となった状態で保持されやすく、可燃性ガスや火炎を外部に放散しつつ断熱することができ、消火性、耐火性が良好になる。
<<<低融点ガラス>>>
固体難燃剤として使用する低融点ガラスは、加熱されると軟化して溶融状態となり、無機バインダーとして作用し、耐火シートの機械的強度を向上させる効果を有する。低融点ガラスは、具体的には1000℃以下の温度で軟化又は溶融するガラスを意味し、低融点ガラスの軟化温度は200~900℃が好ましく、より好ましくは300~800℃、さらに好ましくは300~600℃である。なお、軟化温度は、例えばDTAの変曲点から測定した値である。
上記低融点ガラスとしては、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、リン、亜鉛、鉄、銅、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデン、タリウム、アンチモン、錫、カドミウム、砒素、鉛、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、カルコゲンよりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の元素と酸素からなるガラスが挙げられ、単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。低融点ガラスは、ガラスフリットなどの粒子状などであるとよい。
上記低融点ガラスとしては、日本琺瑯釉薬社製、商品名「4020」(リン酸アルミニウム塩系低融点ガラス、軟化温度:380℃)、日本琺瑯釉薬社製、商品名「4706」(ホウケイ酸塩系低融点ガラス、軟化温度:610℃)、旭テクノグラス社製、商品名「FF209」(ホウ酸リチウム塩系低融点ガラス、軟化温度:450℃)等が市販されている。
<<<リン系化合物>>>
固体難燃剤として使用されるリン系化合物は、リン原子を有する化合物であり、例えば、ポリリン酸化合物が挙げられる。ポリリン酸化合物としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミドなどが挙げられ、これらのなかではポリリン酸アンモニウムが好ましい。また、低級リン酸類の金属塩であって、膨張度が5ml/g未満となるものであってよい。
<<<窒素含有難燃剤>>>
窒素含有難燃剤は、窒素原子を有する難燃剤であり、メラミン系化合物、環状尿素化合物などが挙げられる。窒素含有難燃剤は、後述するようにメラミン骨格、環状尿素などの窒素原子を含有する基本骨格を有する難燃剤であればリン原子をさらに含有してもよい。
メラミン系化合物としては、メラミン骨格、メラム、メレムなどのメラミン誘導体の骨格を有する化合物が挙げられる。具体的には、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、ポリメタリン酸メラミン、硫酸メラミン、ピロ硫酸メラム、有機スルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、有機ホスフィン酸メラミン、メラミンシアヌレート及びホウ酸メラミンなどが挙げられる。
固体難燃剤としては、上記した中でも、低融点ガラス、ポリリン酸化合物、メラミン系化合物、環状尿素化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは低融点ガラス、ポリリン酸化合物から選択される少なくとも1種である。これらを使用することで、膨張残渣をメッシュ状に保持し、かつ膨張残渣の硬度を高くして消火性、耐火性を向上しやすくする。
また、固体難燃剤の具体的な好適な化合物は、低融点ガラス、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、ポリメタリン酸メラミン、硫酸メラミン、ピロ硫酸メラム、有機スルホン酸メラム、有機ホスホン酸メラミン、有機ホスフィン酸メラミン、メラミンシアヌレート及びホウ酸メラミンから選択される少なくとも1種であり、より好ましくは低融点ガラス、ポリリン酸アンモニウムから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくはポリリン酸アンモニウムである。
なお、環状尿素化合物としては、エチレン尿素(2-イミダゾリジノン)、プロピレン尿素(テトラヒドロ-2-ピリミジノン)、ヒダントイン(2,5-イミダゾリジンジオン)、シアヌル酸〔1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン〕、及びビオルル酸〔5-(ヒドロキシイミノ)ピリミジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン〕などが挙げられる。
耐火層における固体難燃剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、10~1000質量部であることが好ましい。10質量部以上とすることで、耐火層の膨張残渣がメッシュ状に保持されやすく、可燃ガス、火炎などを外部に放散して耐火性、消火性が向上する。また、1000質量部以下とすることで、耐火シートの機械的強度及び成形性が良好になりやすい。さらに、含有量を上記範囲内とすることで、膨張残渣の硬さを高くでき、消火性、耐火性を優れたものとしやすい。これら観点から、上記固体難燃剤の含有量は、20質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましく、また、500質量部以下がより好ましく、150質量部以下がさらに好ましく、100質量部以下がよりさらに好ましい。
<<液状難燃剤>>
液状難燃剤は、常温(23℃)、常圧(1気圧)で液体である難燃剤であり、具体的にはリン酸エステルが挙げられる。
リン酸エステルとしては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用できる。
モノリン酸エステルとは、分子中にリン原子を1つ有するリン酸エステルである。モノリン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート等のトリアルキルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン含有リン酸エステル、トリブトキシエチルホスフェート等のトリアルコキシホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート等の芳香環含有リン酸エステル、モノイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェート等の酸性リン酸エステル等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ビスフェノールAポリフェニルホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステルが挙げられる。
縮合リン酸エステルの市販品としては、例えば、大八化学工業株式会社製の「CR-733S」、「CR-741」、「CR747」、ADEKA社製の「アデカスタブPFR」、「FP-600」等が挙げられる。
リン酸エステルは、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、難燃性を向上させる観点から、モノリン酸エステルが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等のハロゲン含有リン酸エステルがより好ましい。
リン酸エステルの含有量は、樹脂100質量部に対して、5~100質量部が好ましく、20~75質量部がより好ましく、30~70質量部がさらに好ましい。
(その他成分)
本発明の積層体は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて上記以外の添加成分を含有させることができる。この添加成分の種類は特に限定されず、上記した金属粉、放熱剤、耐火性添加剤以外の無機充填剤が挙げられる。そのような無機充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、木炭粉末、スラグ繊維、フライアッシュ、及び脱水汚泥等が挙げられる。
また、添加成分としては、滑剤、収縮防止剤、結晶核剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、分散剤、及び表面処理剤なども挙げられる。
(基材)
本発明の積層体は、粘着剤層が設けられる基材層14以外に基材が設けられてもよく、例えば、耐火層の一方の面又は両方の面に基材が設けられてもよい。基材を含めた層構成としては、例えば、
(1)基材/耐火層/粘着層
(2)基材/耐火層/基材/粘着層
(3)耐火層/基材/粘着層
などが挙げられる。上記(1)~(3)の態様では、粘着層単層でなくてもよく、図4などに示すように耐火層側から基材層/粘着層の構成でもよく、図5,6などに示すように粘着層/基材層/粘着層の構成でもよい。基材が基材層に隣接する場合には、基材と基材層とは、接着剤などにより接着されてもよいし、熱圧着などにより直接接着されてもよい。
基材を有することで、本発明の積層体の強度が担保される。また本発明の積層体の製造工程において、基材に耐火層等の各機能層を積層させることができるため、製造が効率的に行えるという利点もある。
本発明の耐火シートにおいて、耐火層は、発明の効果を阻害しない範囲内であれば、基材の表面上に形成されたプライマー層、接着層などを介して基材に積層されてもよいが、直接積層されることが好ましい。
ここで、基材は、可燃層であっても準不燃層又は不燃層であってもよい。基材の厚みは特に限定されないが、例えば5μm~1mmである。基材としては、樹脂、金属、金属以外の無機材料、又はこれらの複合体などにより形成される。また、基材の形態としては、フィルム、箔などでもよいし、クロス、メッシュなどでもよい。したがって、例えば、樹脂フィルム、グラファイトシート、金属箔、金属クロス、金属メッシュ、有機繊維クロス、金属以外の無機材料のクロス(無機繊維クロス)などが挙げられる。
[耐火シート]
本発明の耐火シートは、前述の積層体を用いてなる。本発明の耐火シートは、耐火層と粘着層を含む積層体を有するため、粘着層を介してバッテリー等の被着体に直接感圧接着することができ、しかも粘着層の粘着面には複数の凸部を有しているため、被着体に貼着する際に気泡を除去することができ、高い密着性を得ることができる。
なお、図1に示したように、粘着層12は、耐火層11の一方の面上に設けられてもよいし、図3に示したように、耐火層11の両面に設けられてもよい。したがって、粘着層12が耐火層11の両面に設けられることで、例えば、2つのバッテリーセルの間に耐火シートが配置される場合、耐火シートは両方のバッテリーセルに貼り合わせることができる。
耐火シートの厚さは、例えば、2~5000μm、好ましくは10~2000μm、より好ましくは20~1000μm、さらに好ましくは35~600μmである。なお、本明細書における耐火シートの「厚さ」とは、耐火シートの幅方向3点の平均厚さを指す。
耐火シートの厚さを下限値以上とすることで、耐火シートに適切な耐火性を付与でき、効果的にバッテリーなどの発火を抑制できる。また、上限値以下とすることで、耐火シートの厚さが必要以上に厚くなることを防止し、携帯電話、スマートフォンなどの携帯機器に使用される小型のバッテリーにも適用しやすくなる。
[バッテリー]
本発明の耐火シートは、好ましくは、バッテリーの周囲に配置されて使用されるバッテリー用耐火シートである。バッテリーは、通常、少なくとも1つのバッテリーセルを有し、そのバッテリーセルの表面に耐火シートが取り付けられるとよい。耐火シートは、通常、バッテリーセルの表面に配置される。バッテリーは、バッテリーセルを1つ有してもよいし、2つ以上有してもよい。
バッテリーセルは、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が外装部材に収容されたバッテリーの構成単位を指す。また、バッテリーセルは、セルの形状により、円筒型、角型、ラミネート型に分類される。
バッテリーセルが円筒型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、負極端子、絶縁材、安全弁、ガスケット、及び正極キャップ等が外装缶に収容されているバッテリーの構成単位を指す。一方、バッテリーセルが角型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、負極端子、絶縁材、及び安全弁等が外装缶に収容されているバッテリーの構成単位を指す。バッテリーセルがラミネート型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が外装フィルムに収容されているバッテリーの構成単位を指す。ラミネート型のバッテリーでは、2枚の外装フィルムの間、或いは、1枚の外装フィルムが例えば2つ折りで折り畳まれ、その折り畳まれた外装フィルムの間に、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が配置され、外装フィルムの外縁部がヒートシールによって圧着されている。
また、バッテリーセルは、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池、リチウム・硫黄電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・鉄電池、ニッケル・亜鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、鉛蓄電池、空気電池等の二次電池であり、これらの中でもリチウムイオン電池が好ましい。
バッテリーは、例えば、携帯電話及びスマートフォン等の小型電子機器、ノートパソコン、自動車等に使用されるが、これらに限定されない。
耐火シートは、バッテリーセルのいずれの表面上に設けられるとよいが、いずれの場合も、耐火シートのバッテリーセルにおける占有比率(バッテリーセルの表面を覆う面積比率)が、バッテリーセルの表面積の30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。耐火シートがバッテリーセル表面の大部分(30%以上)を覆うことでバッテリーセルの発火に対して、迅速に消火しやすくなる。
該占有比率は高いほど、消火性については好ましく、100%であってよいが、作業性等の観点からは、95%以下であってよく、90%以下であることが好ましい。
また、バッテリーセルは、安全弁を有することが多いが、安全弁を有するバッテリーセルにおいては、耐火シートを使用する場合も、耐火シートによって安全弁を覆うように設けられることが好ましい。このとき、耐火シートは、安全弁の機能を担保するために、安全弁を密封させないように覆うとよい。さらに、ラミネート型のバッテリーセルの場合には、ヒートシールによって圧着されるヒートシール部を耐火シートによって覆うように設けられることが好ましい。
バッテリーセルは、安全弁又はヒートシール部から発火することが多いため、これらを耐火シートで覆うことでバッテリーセルの発火をより有効に消火しやすくなる。
さらに、耐火シートが、バッテリーセルの大部分の表面を覆い、かつバッテリーセルが安全弁又はヒートシール部を有する場合、耐火シートは安全弁又はヒートシール部も覆うように配置されることがより好ましい。例えば、耐火シートや耐火積層体は、バッテリーセルに巻くように配置されるとよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
評価方法は以下のとおりである。
<エアー抜け性>
各実施例及び比較例で作製した耐火シートを7cm×9cmに切り出し、試料を作成した。当該試料をバッテリーセルに貼り付け気泡の有無を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
A:気泡が全く見られなかった。
B:気泡が認められた。
<バッテリー試験>
スマートフォンに使用されるラミネート型のリチウムイオン電池からなるバッテリーセルの表面に、実施例及び比較例で作製した耐火シートを貼付し(占有比率55%)、直径5mmの釘を用い、突刺速度10mm/sの条件でバッテリーへの釘刺しテストを行った。評価基準は以下の通りである。なお、発火した場合には、消火時間が短いほど、消火性能が優れていることを表す。
AA:釘を突き刺しても火が出なかった。
A:釘を突き刺して火が確認されてから消火されるまでの時間が30秒以内であった。
B:釘を突き刺して火が確認されてから消火されるまでの時間が30秒を超え、60秒以内であった。
C:釘を突き刺して火が確認されてから消火されるまでの時間が60秒以上であった。
各実施例、比較例の衝撃吸収シートの製造に用いた材料は以下のとおりである。
<樹脂>
(a)PVB1:ポリビニルブチラール樹脂、重合度800、アセタール化度69mol%、アセチル基量1mol%、水酸基量30mol%、10質量%エタノール/トルエン粘度142mPa・s
(b)PVB2:ポリビニルブチラール樹脂、重合度320、アセタール化度75mol%、アセチル基量3mol%、水酸基量22mol%、10質量%エタノール/トルエン粘度21mPa・s
(c)PVB3:ポリビニルブチラール樹脂、重合度1,100、アセタール化度64mol%、アセチル基量1mol%、水酸基量35mol%、10質量%エタノール/トルエン粘度280mPa・s
(d)EVA:製品名「エバフレックスEV450」、三井デュポンポリケミカル株式会社製、メルトフローレート:15g/10min、酢酸ビニル含量19質量%
(e)アクリル樹脂:イソブチルメタクリレートの単独重合体(重量平均分子量(Mw):10万、ガラス転移温度(Tg):50℃)
(f)PVC:ポリ塩化ビニル樹脂、商品名「TKシリーズ」、信越化学社製
(g)エポキシ樹脂1;FL-079(三菱ケミカル株式会社)
(h)エポキシ樹脂2;E-807(三菱ケミカル株式会社)
<熱膨張性化合物>
(i)熱膨張性黒鉛(1):膨張開始温度120℃、膨張度200ml/g、製品名「EXP-50S120N」、富士黒鉛工業株式会社製
(j)熱膨張性黒鉛(2):膨張開始温度160℃、膨張度200ml/g、製品名「EXP-50S160」、富士黒鉛工業株式会社製
(k)亜リン酸アルミニウム:膨張開始温度400℃、膨張度40ml/g、製品名「APA100」、太平化学産業株式会社製
<吸熱剤>
(l)水酸化アルミニウム:製品名「BF013」、日本軽金属株式会社製、平均粒子径1μm、熱分解開始温度200℃、吸熱量1000J/g
(m)水酸化マグネシウム:製品名、「キスマ5A」、協和化学工業株式会社製、平均粒子径0.9μm、熱分解開始温度280℃、吸熱量1350J/g
<放熱剤>
(n)膨張化黒鉛(1):富士黒鉛工業株式会社製「FS-5」、熱伝導率=500W/m・K、アスペクト比=3、平均粒子径=5μm
(o)膨張化黒鉛(2):富士黒鉛工業株式会社製「BSP-7A」、熱伝導率=500W/m・K、アスペクト比=4、平均粒子径=7μm
(p)膨張化黒鉛(3):富士黒鉛工業株式会社製「BSP-20A」、熱伝導率=500W/m・K、アスペクト比=5、平均粒子径=20μm
(q)鱗片状黒鉛:富士黒鉛工業株式会社製「UF-2」、熱伝導率=450W/m・K、アスペクト比=2、平均粒子径=5μm
(r)窒化ホウ素:昭和電工株式会社製「UHP-2」、熱伝導率=100W/m・K、アスペクト比=30、平均粒子径=11μm
<焼結剤>
(s)銅粉(1):福田金属箔粉工業株式会社製「3L3」熱伝導率=400W/m・K、アスペクト比=2、平均粒子径=6μm
(t)銅粉(2):福田金属箔粉工業株式会社製「MS-800」熱伝導率=400W/m・K、アスペクト比=1.5、平均粒子径=40μm
(u)銅粉(3):福田金属箔粉工業株式会社製「FCC-TB」熱伝導率=400W/m・K、アスペクト比=3、平均粒子径=7μm
<その他の固体難燃剤>
(v)ポリリン酸アンモニウム:AP422、クラリアント社
(w)低融点ガラス:製品名「4020」、日本琺瑯釉薬社製、軟化温度380℃
(x)メラミンシアヌレート:製品名「MC-4000」、日産化学工業株式会社
<粘着層>
粘着層を構成するための材料として、下記積層フィルムを用いた。下記積層フィルムは、基材の両面に粘着層を有するものであり、粘着層はポリエチレンテレフタレート製の剥離フィルム(厚み:25μm)が配されたものを用いた。
A:TN06AIR:ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と記載する。)基材の片面に凸部を有する粘着層、片面に凸部を有さない粘着層が配された積層フィルム。PET基材の厚み:1.5μm、各粘着層の厚み(両面):2μm、粘着剤:アクリル系粘着剤(DIC社製)、表面粗さ(Ra):34μm
B:TN10AIR:PET基材の片面に凸部を有する粘着層、片面に凸部を有さない粘着層が配された積層フィルム。PET基材の厚み:3.5μm、各粘着層の厚み(両面):3μm、粘着剤:アクリル系粘着剤(DIC社製)、表面粗さ(Ra):24μm
C:#8602TNW-05:PET基材の両面に凸部を有さない粘着層が配された積層フィルム。PET基材の厚み:1.5μm、粘着層の厚み(両面):1.5μm、粘着剤:アクリル系粘着剤(DIC社製)
D:#8603TNW-10:PET基材の両面に凸部を有さない粘着層が配された積層フィルム。PET基材の厚み:3.5μm、粘着層の厚み(両面):3μm、粘着剤:アクリル系粘着剤(DIC社製)
実施例1~33及び比較例1~8
表1に示す樹脂100質量部に対して、表1に示す耐火性添加剤を表1に示す含有量配合して、耐火樹脂組成物を得た。なお、用いた樹脂は、エタノール/トルエン(50:50)の混合溶媒中で濃度10質量%のものを用いた。
次いで、支持基材である剥離フィルムに、乾燥後の厚みが表1に記載される厚みとなるように該耐火樹脂組成物を塗工し、乾燥させ、剥離フィルムを剥離して耐火層を得た。
なお、実施例16に関しては、各成分を一軸押出機に供給して混練して得た耐火樹脂組成物を、120℃で押出成形し、厚さ100μmの耐火シートを得た。
その後、粘着層を構成するための積層フィルムの剥離フィルムを剥がし、凸部のない粘着層が上記耐火層に接するように積層して、本発明の積層体を得た。層構成としては、図6に記載されるものとなる。
当該積層体について、上記方法にて評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2022119663000001
本発明の積層体を用いた実施例では、エアー抜け性が良好であり、気泡は認められなかった。一方、比較例の耐火シートは、エアー抜け性が不十分であり、気泡が認められた。
また、バッテリー試験の結果、本発明の耐火シートは、AA~Bの評価であり、高い耐火性能が確認された。一方、比較例の耐火シートは、C評価であり、耐火性能が不十分であった。
以上のように、本発明の積層体、及び該積層体を用いた耐火シートは、優れた耐化性能を有し、バッテリー用の耐火シートとして有用であることがわかる。
10 積層体
11 耐火層
12 凸部を有する粘着層
13 凸部を有する粘着層
14 基材層
15 凸部を有さない粘着層
20 バッテリー(被着体)

Claims (14)

  1. 耐火層と粘着層を含む積層体であって、前記粘着層の粘着面に複数の凸部を有することを特徴とする積層体。
  2. 前記凸部の厚みが1~15μmである請求項1に記載の積層体。
  3. 前記耐火層は、(A)樹脂と(B)耐火性添加剤を含む耐火樹脂組成物により構成され、前記(B)耐火性添加剤が熱膨張性化合物、吸熱剤、放熱剤、焼結剤及び難燃剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記粘着層の粘着面の表面粗さ(Ra)が10~50μmである請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記(B)耐火性添加剤が放熱剤及び焼結剤から選ばれる少なくとも1種を含む請求項3又は4に記載の積層体。
  6. 前記粘着層が基材層の少なくとも片面に積層されてなる請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記粘着層が基材層の両面に積層されてなる請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記基材層の一方の面側に前記粘着層が積層され、他方の面側の全面又は一部に凸部を有さない粘着層が積層される請求項6に記載の積層体。
  9. 前記凸部を有する粘着層を構成する粘着剤が、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤及びシリコーン系粘着剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記耐火層における樹脂の含有量が5~70質量%である請求項3~9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載される積層体を用いてなる耐火シート。
  12. バッテリーに使用される請求項11に記載の耐火シート。
  13. 請求項12に記載の耐火シートと、バッテリーセルとを備え、前記耐火シートが、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリー。
  14. 前記耐火シートのバッテリー上での占有比率が30%以上である請求項13に記載のバッテリー。

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