JP2022118926A - ジヒドロキシ化合物、エポキシ樹脂、その製造方法、それを用いたエポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高耐熱性、高熱伝導性の要求に応え、耐湿性等にも優れた硬化物を得ることができ、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なジヒドロキシ化合物及びそのエポキシ樹脂を提供することにある。【解決手段】 下記一般式(1)、【化1】TIFF2022118926000006.tif32170(但し、nは0~3の数を示す。)で表されるジヒドロキシ化合物。そのジヒドロキシ化合物をエピクロルヒドリンと反応させることで得られるエポキシ樹脂。【選択図】なし
Description
本発明は、高熱伝導性に優れるとともに、耐熱性、耐湿性等にも優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂、その前駆体であるジヒドロキシ化合物及びそれを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物に関するものであり、プリント配線板、半導体封止等の電気電子分野の絶縁材料等に好適に使用される。
近年、特に先端材料分野の進歩にともない、より高性能なベース樹脂の開発が求められている。例えば、パワーデバイスなどの素子を保護する目的で使用されるエポキシ樹脂は、素子が放出する多量の熱に対応するため、耐熱性に加えて、熱伝導率の向上が求められている。
しかしながら、従来より知られているエポキシ樹脂には、これらの要求を十分に満足するものは未だ知られていない。例えば、例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3には、剛直なメソゲン基を有する液晶性のエポキシ樹脂およびそれを用いたエポキシ樹脂組成物が提案されているが、耐熱性および高熱伝導性の点で十分ではなかった。特許文献4および特許文献5にはベンゼン骨格をベースとした不飽和ケトン基を持つエポキシ樹脂組成物が提案されているが、依然として、耐熱性および高熱伝導性に課題があった。
従って、本発明の目的は、近時の高熱伝導性、高耐熱性の要求に応え、耐湿性等にも優れた硬化物を得ることができ、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂およびその前駆体であるジヒドロキシ化合物、更にはその製造方法並びにそれを用いたエポキシ樹脂組成物、更にはその硬化物を提供することにある。
さらに、本発明は上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物をエピクロルヒドリンと反応させることを特徴とする上記一般式(2)で表される新規エポキシ樹脂の製造方法である。
さらにまた、本発明は上記のエポキシ樹脂をエポキシ樹脂成分の必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物であり、また、このエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は高熱伝導性、高耐熱性の要求を満たし、耐湿性等にも優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のジヒドロキシ化合物は、上記一般式(1)で表される。ここで、nは0から3の数を表すが、好ましくは、0、2,3であり、特に好ましくは、0または3である。
不飽和ケトン構造に、二つのナフトール基が結合した化合物である。不飽和ケトン構造は、カルボニル基に隣接して二つのメチリデン基を有し、メチリデン基に各ナフトール基が結合している。不飽和ケトン構造は、鎖状又は脂環式の構造である。
本発明のジヒドロキシ化合物は、上記一般式(1)で表される。ここで、nは0から3の数を表すが、好ましくは、0、2,3であり、特に好ましくは、0または3である。
不飽和ケトン構造に、二つのナフトール基が結合した化合物である。不飽和ケトン構造は、カルボニル基に隣接して二つのメチリデン基を有し、メチリデン基に各ナフトール基が結合している。不飽和ケトン構造は、鎖状又は脂環式の構造である。
本発明のジヒドロキシ化合物は、水酸基当量が、好ましくは150~250g/eq.、より好ましくは180~230g/eq.の範囲である。融点が、好ましくは150~400℃、より好ましくは200~350℃の範囲である。
本発明のジヒドロキシ化合物は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ヒドロキシナフトアルデヒド類とケトン類とをアルドール縮合反応を行うことにより合成することができる。
ここで、ヒドロキシナフトアルデヒド類としては、1-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、4-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、5-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、5-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、8-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、3-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、7-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒドが例示される。また、ケトン類としては、アセトン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンを挙げることができる。これらのヒドロキシナフトアルデヒド類およびケトン類は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、ヒドロキシナフトアルデヒド類としては、1-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、4-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、5-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、5-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、8-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、3-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、7-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒドが例示される。また、ケトン類としては、アセトン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンを挙げることができる。これらのヒドロキシナフトアルデヒド類およびケトン類は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂は、上記式(2)で表される不飽和ケトン基及びナフタレン構造を持つエポキシ樹脂である。本発明のエポキシ樹脂は、上述した式(1)で表されるジヒドロキシ化合物の二つのナフトール水酸基がグリシジルエーテル基となっており、グリシジル基により重合してもよい。
ここで、nは式(1)と同じである。また、mは繰り返し数であり、0から50の数を表す。繰り返し数の異なる複数の化合物の混合物である場合は、mの平均値(Σm/Σ分子数)が0から50の範囲にあるものである。好ましいmの値又はその平均値は、適用する用途に応じて異なる。例えば、フィラーの高充填率化が要求される半導体封止材の用途には、低粘度であるものが望ましく、mの値又はその平均値は0~5、好ましくは0.1~2.0、さらに好ましくは、mが0のものが50wt%以上含まれ、mの平均値が0.1~1.0のものである。通常のエポキシ樹脂は、mが0の化合物が生成し、次にそれが重合してmが1の化合物が生成するというような逐次反応によって得られることが多いが、本発明においてもこのようなエポキシ樹脂を有利に使用することができる。これらの低分子量のエポキシ樹脂は、場合により結晶化され、常温で固体として使用される。また、プリント配線板等の用途には、高分子量のエポキシ樹脂が好適に使用され、この場合のmの値は、5~50、好ましくは10~40、更に好ましくは、20~40である。
ここで、nは式(1)と同じである。また、mは繰り返し数であり、0から50の数を表す。繰り返し数の異なる複数の化合物の混合物である場合は、mの平均値(Σm/Σ分子数)が0から50の範囲にあるものである。好ましいmの値又はその平均値は、適用する用途に応じて異なる。例えば、フィラーの高充填率化が要求される半導体封止材の用途には、低粘度であるものが望ましく、mの値又はその平均値は0~5、好ましくは0.1~2.0、さらに好ましくは、mが0のものが50wt%以上含まれ、mの平均値が0.1~1.0のものである。通常のエポキシ樹脂は、mが0の化合物が生成し、次にそれが重合してmが1の化合物が生成するというような逐次反応によって得られることが多いが、本発明においてもこのようなエポキシ樹脂を有利に使用することができる。これらの低分子量のエポキシ樹脂は、場合により結晶化され、常温で固体として使用される。また、プリント配線板等の用途には、高分子量のエポキシ樹脂が好適に使用され、この場合のmの値は、5~50、好ましくは10~40、更に好ましくは、20~40である。
本発明のエポキシ樹脂は、融点が、好ましくは100~300℃、より好ましくは150~250℃の範囲である。加水分解性塩素は好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下である。
本発明のエポキシ樹脂の製法は、特に限定されるものではないが、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンを反応させることにより製造することができる。この反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。
例えば、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50~150℃、好ましくは、60~120℃の範囲で1~10時間反応させる方法が挙げられる。この際、アルカリ金属水酸化物の使用量は、ジヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対して0.8~2モル、好ましくは0.9~1.2モルの範囲である。また、エピクロルヒドリンはジヒドロキシ化合物中の水酸基に対して過剰に用いられるが、通常、ジヒドロキシ化合物中の水酸基1モルに対して、1.5~15モル、好ましくは2~8モルの範囲である。また、反応の際、四級アンモニウム塩等を添加することができる。四級アンモニウム塩としては、たとえばテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等があり、その添加量としては、ジヒドロキシ化合物に対して、0.1~2.0wt%の範囲が好ましい。これより少ないと四級アンモニウム塩添加の効果が小さく、これより多いと難加水分解性塩素の生成が多くなり、高純度化が困難になる。更には、ジメチルスルホキシド、ジグライム等の極性溶媒を用いても良く、その添加量は、ジヒドロキシ化合物に対して、10~200wt%の範囲が好ましい。これより少ないと添加の効果が小さく、これより多いと容積効率が低下し経済上好ましくない。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解、濾過した後、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなり、エポキシ樹脂成分として一般式(2)で表されるエポキシ樹脂を必須成分として配合したものである。
一般式(2)で表されるエポキシ樹脂を必須成分とする場合の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、ジシアンジアミド、多価フェノール類、酸無水物類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。具体的に例示すれば、多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類、更にはフェノール類、ナフトール類又は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-キシリレングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物、等があり、酸無水物としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。また、アミン類としては、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類、あるいは一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂がある。本発明の樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は、2種以上を混合して用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、一般式(2)で表されるエポキシ樹脂以外に、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類、又は、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物、あるいは上記一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は、2種以上を混合して用いることができる。 この場合、本発明のエポキシ樹脂の配合量は、エポキシ樹脂全体中、好ましくは5~100wt%の範囲、より好ましくは50~100wt%の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデンクマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を適宜配合してもよいし、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤、等の添加剤を配合してもよい。無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ、等が挙げられ、顔料としては、有機系又は、無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系、等を挙げることができる。
更に必要に応じて、従来より公知の硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等がある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2~5重量部の範囲である。
また更に必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
更に必要に応じて、従来より公知の硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等がある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2~5重量部の範囲である。
また更に必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
本発明の硬化物は、上記エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工して得ることができる。成形する際の温度は、通常、120~220℃の範囲である。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明する。
実施例1
(2,6-Bis[(6-hydroxy-2-naphthyl)methylidene]cyclohexanone(ジヒドロキシ化合物A)の製造)
4口セパラブルフラスコにシクロヘキサノン49.1g、6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド175.4g及びエタノール250gを仕込み、溶解した。これに36%塩酸25.4gを添加後60℃まで昇温し、7時間反応後、反応液を水2Lに注入し、析出物をろ過により回収した。これを水2Lで2回水洗した後、乾燥させて、黄色結晶状の生成物140gを得た(ジヒドロキシ化合物A)。得られたジヒドロキシ化合物Aの融点は308.8℃であり、水酸基当量は204g/eq.であった。GPC測定による純度は、99.2%であった。ジヒドロキシ化合物AのH-NMRスペクトルを図1、赤外吸収スペクトルを図2に示す。H-NMR測定用溶媒としてテトラヒドロフラン(THF-d8)を使用した。
ここで、融点の測定は、日立ハイテクサイエンス製、DSC7020型示差走査熱量分析装置を用いて行い、昇温速度10℃/分で求めた吸熱のピーク温度を融点とした。水酸基当量は、塩化アセチル溶液中で、水酸化カリウムによる電位差滴定を行うことにより測定した。GPC測定は、装置:HLC-8320(東ソー(株)製)及びカラム:TSKgel SuperHZ2500×2本及びTSKgel SuperHZ2000×2本(何れも東ソー(株)製)を用い、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.35ml/分、温度:40℃、検出器:RIの条件で行った。赤外吸収スペクトルは日本分光製、FT/IR-6100型赤外吸収分析計を用いてKBr錠剤法により測定した。1H-NMRの測定は、日本電子製、JNM-LA400型測定装置により行った。
実施例1
(2,6-Bis[(6-hydroxy-2-naphthyl)methylidene]cyclohexanone(ジヒドロキシ化合物A)の製造)
4口セパラブルフラスコにシクロヘキサノン49.1g、6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド175.4g及びエタノール250gを仕込み、溶解した。これに36%塩酸25.4gを添加後60℃まで昇温し、7時間反応後、反応液を水2Lに注入し、析出物をろ過により回収した。これを水2Lで2回水洗した後、乾燥させて、黄色結晶状の生成物140gを得た(ジヒドロキシ化合物A)。得られたジヒドロキシ化合物Aの融点は308.8℃であり、水酸基当量は204g/eq.であった。GPC測定による純度は、99.2%であった。ジヒドロキシ化合物AのH-NMRスペクトルを図1、赤外吸収スペクトルを図2に示す。H-NMR測定用溶媒としてテトラヒドロフラン(THF-d8)を使用した。
ここで、融点の測定は、日立ハイテクサイエンス製、DSC7020型示差走査熱量分析装置を用いて行い、昇温速度10℃/分で求めた吸熱のピーク温度を融点とした。水酸基当量は、塩化アセチル溶液中で、水酸化カリウムによる電位差滴定を行うことにより測定した。GPC測定は、装置:HLC-8320(東ソー(株)製)及びカラム:TSKgel SuperHZ2500×2本及びTSKgel SuperHZ2000×2本(何れも東ソー(株)製)を用い、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.35ml/分、温度:40℃、検出器:RIの条件で行った。赤外吸収スペクトルは日本分光製、FT/IR-6100型赤外吸収分析計を用いてKBr錠剤法により測定した。1H-NMRの測定は、日本電子製、JNM-LA400型測定装置により行った。
実施例2
(2,6-Bis[(6-glycidyloxy-2-naphthyl)methylidene]cyclohexanone(エポキシ樹脂A)の合成)
実施例1で得たジヒドロキシ化合物A60gをエピクロルヒドリン520g及びジグライム130gに溶解し、減圧下(約100mmHg)、60℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液24.2gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、エピクロルヒドリン及びジグライムを減圧留去し、メチルイソブチルケトン480mLに溶解した後、濾過により生成した塩を除いた。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液0.5gを加え、80℃で2時間反応させた。反応後、濾過、水洗を行った後、溶媒であるメチルイソブチルケトンを減圧留去し、黄褐色結晶状のエポキシ樹脂68gを得た(エポキシ樹脂A)。得られたエポキシ樹脂Aの融点は159℃、エポキシ当量は260g/eq.、加水分解性塩素は280ppmであった。エポキシ樹脂AのH-NMRスペクトルを図3、赤外吸収スペクトルを図4に示す。H-NMR測定用溶媒としてテトラヒドロフラン(THF-d8)を使用した。
ここでエポキシ当量は、臭化テトラエチルアンモニウムの酢酸溶液中で、過塩素酸による電位差滴定を行うことにより測定した。加水分解性塩素は、樹脂試料0.5gを1,4-ジオキサン30mlに溶解させたものを1N-KOH/メタノール溶液5mlで30分間煮沸還流したものを、硝酸銀溶液で電位差滴定を行うことにより求めた。
(2,6-Bis[(6-glycidyloxy-2-naphthyl)methylidene]cyclohexanone(エポキシ樹脂A)の合成)
実施例1で得たジヒドロキシ化合物A60gをエピクロルヒドリン520g及びジグライム130gに溶解し、減圧下(約100mmHg)、60℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液24.2gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、エピクロルヒドリン及びジグライムを減圧留去し、メチルイソブチルケトン480mLに溶解した後、濾過により生成した塩を除いた。その後、48%水酸化ナトリウム水溶液0.5gを加え、80℃で2時間反応させた。反応後、濾過、水洗を行った後、溶媒であるメチルイソブチルケトンを減圧留去し、黄褐色結晶状のエポキシ樹脂68gを得た(エポキシ樹脂A)。得られたエポキシ樹脂Aの融点は159℃、エポキシ当量は260g/eq.、加水分解性塩素は280ppmであった。エポキシ樹脂AのH-NMRスペクトルを図3、赤外吸収スペクトルを図4に示す。H-NMR測定用溶媒としてテトラヒドロフラン(THF-d8)を使用した。
ここでエポキシ当量は、臭化テトラエチルアンモニウムの酢酸溶液中で、過塩素酸による電位差滴定を行うことにより測定した。加水分解性塩素は、樹脂試料0.5gを1,4-ジオキサン30mlに溶解させたものを1N-KOH/メタノール溶液5mlで30分間煮沸還流したものを、硝酸銀溶液で電位差滴定を行うことにより求めた。
比較例1
(2,6-Bis[(4-hydroxyphenyl)methylidene]cyclohexanone (ジヒドロキシ化合物B)の合成)
6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒドの代わりにp-ヒドロキシベンズアルデヒド124.0gを用いて、実施例1と同様に反応を行い、黄色結晶状の生成物122gを得た(ジヒドロキシ化合物B)。得られたジヒドロキシ化合物Bの融点は283.4℃であり、水酸基当量は154g/eq.であった。GPC測定による純度は、99.4%であった。
(2,6-Bis[(4-hydroxyphenyl)methylidene]cyclohexanone (ジヒドロキシ化合物B)の合成)
6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒドの代わりにp-ヒドロキシベンズアルデヒド124.0gを用いて、実施例1と同様に反応を行い、黄色結晶状の生成物122gを得た(ジヒドロキシ化合物B)。得られたジヒドロキシ化合物Bの融点は283.4℃であり、水酸基当量は154g/eq.であった。GPC測定による純度は、99.4%であった。
比較例2(2,6-Bis[(4-glycidyloxyphenyl)methylidene]cyclohexanone (エポキシ樹脂B)の合成)
比較例1で得たジヒドロキシ化合物B45gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、黄褐色結晶状のエポキシ樹脂68gを得た(エポキシ樹脂B)。得られたエポキシ樹脂Bの融点は148℃、エポキシ当量は212g/eq.、加水分解性塩素は260ppmであった。
比較例1で得たジヒドロキシ化合物B45gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、黄褐色結晶状のエポキシ樹脂68gを得た(エポキシ樹脂B)。得られたエポキシ樹脂Bの融点は148℃、エポキシ当量は212g/eq.、加水分解性塩素は260ppmであった。
実施例3、4及び比較例3、4
実施例2で合成したエポキシ樹脂A、比較例2で合成したエポキシ樹脂B、ビフェニル系エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C:三菱化学製、YX-4000H、エポキシ当量193、融点105℃)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル(硬化剤A)、フェノールノボラック(硬化剤B;アイカ工業製、BRG-557、水酸基当量104、軟化点83℃、150℃での溶融粘度0.3Pa・s)を用い、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用いて、表1に示す配合で樹脂組成物とした。
これを用いて成形(150℃、5分)した後、ポストキュア(175℃、4時間)を行って試験片を得て、種々の物性試験に供した。試験方法は、以下のとおり。結果を表1に示す。
実施例2で合成したエポキシ樹脂A、比較例2で合成したエポキシ樹脂B、ビフェニル系エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C:三菱化学製、YX-4000H、エポキシ当量193、融点105℃)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル(硬化剤A)、フェノールノボラック(硬化剤B;アイカ工業製、BRG-557、水酸基当量104、軟化点83℃、150℃での溶融粘度0.3Pa・s)を用い、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用いて、表1に示す配合で樹脂組成物とした。
これを用いて成形(150℃、5分)した後、ポストキュア(175℃、4時間)を行って試験片を得て、種々の物性試験に供した。試験方法は、以下のとおり。結果を表1に示す。
[評価]
(1)熱伝導率
NETZSCH製LFA447型熱伝導率計を用いて非定常熱線法により測定した。
(2)融点
日立ハイテクサイエンス製DSC7020型示差走査熱量分析装置を用いて,窒素気流下,昇温速度10℃/分の条件で行った。
(3)線膨張係数、ガラス転移温度
日立ハイテクサイエンス製TMA7100型熱機械測定装置を用いて、昇温速度10℃/分にて測定した。
(4)熱分解温度及び残炭率
日立ハイテクサイエンス製TG/DTA7300型熱重量測定装置により、窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件にて10wt%重量減少時の熱分解温度及び700℃での残炭率を求めた。
(5)吸水率
直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、ポストキュア後、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
(1)熱伝導率
NETZSCH製LFA447型熱伝導率計を用いて非定常熱線法により測定した。
(2)融点
日立ハイテクサイエンス製DSC7020型示差走査熱量分析装置を用いて,窒素気流下,昇温速度10℃/分の条件で行った。
(3)線膨張係数、ガラス転移温度
日立ハイテクサイエンス製TMA7100型熱機械測定装置を用いて、昇温速度10℃/分にて測定した。
(4)熱分解温度及び残炭率
日立ハイテクサイエンス製TG/DTA7300型熱重量測定装置により、窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件にて10wt%重量減少時の熱分解温度及び700℃での残炭率を求めた。
(5)吸水率
直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、ポストキュア後、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
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JP2021015767A JP2022118926A (ja) | 2021-02-03 | 2021-02-03 | ジヒドロキシ化合物、エポキシ樹脂、その製造方法、それを用いたエポキシ樹脂組成物及び硬化物 |
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