JP2004346115A - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性、高接着性、耐湿性、耐熱性に優れたエポキシ樹脂硬化物を与え、積層、成形、注型、接着等の用途に好適に使用できる新規なエポキシ樹脂を提供する。
【解決手段】イソシアヌル酸の窒素原子の少なくとも1つに、−CH2−CH(OH) −CH2−O−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(但し、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す)で表されるエポキシ含有基が置換してなるエポキシ樹脂。このエポキシ樹脂は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂を反応させて得られる。
【選択図】 なし
【解決手段】イソシアヌル酸の窒素原子の少なくとも1つに、−CH2−CH(OH) −CH2−O−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(但し、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す)で表されるエポキシ含有基が置換してなるエポキシ樹脂。このエポキシ樹脂は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂を反応させて得られる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性に優れるとともに、耐湿性、耐熱性、金属基材との接着性等にも優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂並びにこれを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。このエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物は、プリント配線板、半導体封止等の電気電子分野の絶縁材料等に好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、先端材料分野の進歩にともない、より高性能なベース樹脂の開発が求められている。例えば、半導体封止の分野においては、高密度実装化に対応したパッケージの薄形化、大面積化、表面実装方式の普及により、パッケージクラックの問題が深刻化しており、これらのベース樹脂としては、耐湿性、耐熱性、金属基材との接着性等の向上が強く求められている。更に最近では、環境負荷低減の観点から、ハロゲン系難燃剤排除の動きがあり、より難燃性に優れたベース樹脂が求められている。
【0003】
しかしながら、これらの要求を満足するエポキシ樹脂は未だ知られていない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、作業性に優れていることや、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題がある。また、耐熱性を改良したものとして、ノボラック型エポキシ樹脂が知られているが、耐湿性、接着性等に問題がある。更には、主骨格が炭化水素のみで構成される従来のエポキシ樹脂では、難燃性を全くもたない。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を用いることなく、難燃性を向上させるための方策として、特許文献1、特許文献2等に、リン酸エステル系の難燃剤を添加する方法が開示されている。しかし、リン酸エステル系の難燃剤を用いる方法では、耐湿性が十分ではない。また、高温、多湿な環境下ではリン酸エステルが加水分解を起こし、絶縁材料としての信頼性を低下させる問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平9−235449号公報
【特許文献2】特開平10−182792号公報
【特許文献3】特開平5−140269号公報
【特許文献4】特開平4−139211号公報
【0006】
エポキシ樹脂の難燃性を向上させる方法としては、その構造中に窒素原子を導入する方法があり、その方法の一つにイソシアヌレート環の導入がある。イソシアヌレート環を有するエポキシ樹脂としては、トリグリシジルイソシアヌレートが知られており、特許文献3等にその使用例が開示されている。しかし、トリグリシジルイソシアヌレートは、芳香族構造を持たないため、吸水率が高くなる欠点があるとともに、難燃性も十分ではなかった。この問題を解決するための方法として、イソシアヌレート環を有する芳香族系のエポキシ樹脂が、特許文献4に開示されているが、結晶性が強いために融点が高く、実用上問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、難燃性に優れるとともに、耐湿性、耐熱性、金属基材との接着性等にも優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂、その製造方法及びそれらを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、イソシアヌル酸の窒素原子の少なくとも1つに、−CH2−CH(OH) −CH2−O−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OGで表されるエポキシ含有基が置換してなるエポキシ樹脂である。ここで、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す。
また、本発明は、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂である。
【化3】
(但し、R1からR4は、独立に水素原子又は炭素数1から9の炭化水素基を示し、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は炭素数1から18の二価の炭化水素基を示す。nは0から5の整数を示し、mは1から3の整数を示す。)ここで、m個のエポキシ含有基はイソシアヌル酸の窒素原子に置換する。
【0009】
更に、本発明は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂を反応させて得られる前記のエポキシ樹脂である。
また、本発明は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸1モルに対して、2から20モルの二官能性エポキシ樹脂を反応させて得られる前記のエポキシ樹脂又はこれを含有するエポキシ樹脂である。
ここで、前記の二官能性エポキシ樹脂が、下記一般式(2)で表され、エポキシ当量が150から600の範囲にあることは有利である。
【化4】
(但し、R1からR4は、独立に水素原子又は炭素数1から9の炭化水素基を示し、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は炭素数1から18の二価の炭化水素基を示し、nは0から5の整数を示す。)
【0010】
更に、本発明は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸1モルに対して、2から20モルのGO−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(但し、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す。)で表される二官能性エポキシ樹脂を反応させることを特徴とするイソシアヌル酸の窒素原子の少なくとも1つに−CH2−CH(OH) −CH2−O−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(但し、Ar、G及びnは上記と同じ意味を有する。)で表されるエポキシ含有基が置換してなるエポキシ樹脂又はこれを含有するエポキシ樹脂の製造方法である。
また、本発明は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、前記のエポキシ樹脂を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物、及び、このエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂とから合成することができる。ここで、シアヌル酸とイソシアヌル酸は容易に変換する異性体であるため、いずれも使用することができるので、以下の説明ではイソシアヌル酸で代表するが反応原料としてはシアヌル酸を含む意味に解される。
【0012】
また、二官能性エポキシ樹脂はGO−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(ここで、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す。)で表される芳香族エポキシ樹脂である。Arとしては、フェニレン、ナフチレン、ビフェニリレンなどの他、−Ar1−X−Ar2−(ここで、Ar1及びAr2は独立に2価の芳香族基を示し、Xは2価の基を示す。)で表される基がある。なお、Ar1及びAr2としては、フェニレン、ナフチレン等がある。また、これら2価の芳香族基は、アルキル、ハロゲン等の置換基を有しうる。
【0013】
二官能性エポキシ樹脂の使用量は、イソシアヌル酸1モルに対して、理論量は1〜3モルであり、1モルの場合、イソシアヌル酸の環を構成する窒素原子の一つに前記のエポキシ含有基が置換した構造のエポキシ樹脂が得られ、3モルの場合、イソシアヌル酸の環を構成する窒素原子の三つに前記のエポキシ含有基が置換した構造のエポキシ樹脂が得られるが、3モル未満の場合や3モル以上であっても二官能性エポキシ樹脂の反応率が低い場合は、置換数が0から3のエポキシ樹脂の混合物が得られ、その置換数の平均値が、イソシアヌル酸1モルに対して反応した二官能性エポキシ樹脂のモル数に対応することになる。なお、イソシアヌル酸の環を構成する窒素原子の少なくとも一つに前記のエポキシ含有基が置換した構造のエポキシ樹脂を本発明のエポキシ樹脂という。
【0014】
しかし、本発明のエポキシ樹脂又はこれを含むエポキシ樹脂を合成する上では、二官能性エポキシ樹脂の使用量を2〜20倍モル、好ましくは2.5〜15倍モル、更に好ましくは3〜10倍モルとすることがよい。そして、得られた反応生成物から、本発明のエポキシ樹脂を単離したり、単離せずに得られた反応生成物(これは本発明のエポキシ樹脂と二官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂混合物であるので、本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂という。この本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂も本発明に含まれる。)をエポキシ樹脂として使用することがよい。これより少ないと合成の際に粘度が高くなり、合成時の作業性が低下するとともに、場合によってはゲル化することがある。これより多いと、得られた樹脂中の本発明のエポキシ樹脂の含有率が低下して、本発明のエポキシ樹脂を分離する場合は、分離効率が低下し、分離せずにそのまま使用する場合は、難燃性、耐湿性、耐熱性、接着性等の性能が低下する。
【0015】
本発明に用いる二官能性エポキシ樹脂としては、1分子中に2個のエポキシ基を持つものであれば特に制約はないが、好ましくは、ビスフェノール化合物又はナフタレンジオール化合物より誘導されるエポキシ樹脂が挙げられる。また、アントラセン等の縮合多環構造を持つ二官能性のエポキシ樹脂を用いても良い。なかでも、特に好ましい二官能性エポキシ樹脂としては、上記一般式(2)で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂又はジグリシジルオキシナフタレン類である。
【0016】
上記一般式(1)及び(2)において、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は炭素数1から18の二価の炭化水素基である。二価の炭化水素基としては、−CnH2n−で表されるアルキレン又はアルキリデン基、Ar−CnH2n−1=で表されるアリールアルキリデン基、−CnH2n−Ar−CnH2n−で表されるアリールビスアルキレン又はアリールビスアルキリデン基等がある。nとしては1〜5の範囲がよく、Arとしては置換基を有しうるフェニル、ナフチル又はビフェニリル基(Arが2価の基の場合は、フェニレン、ナフチレン又はビフェニレン基)等がある。この置換基としては、炭素数1〜6のアルキルがある。
【0017】
二価の炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、ベンジリデン基、フェニルエチリデン基、p−キシリレン基、m−キシリレン基、1,4−フェニレンビスエチリデン基、1,3−フェニレンビスエチリデン基、1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)基、1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)基、4,4’−ビフェニレンビスメチレン基、3,4’−ビフェニレンビスメチレン基、3,3’−ビフェニレンビスメチレン基、4,4’−ビフェニレンビスエチリデン基、3,4’−ビフェニレンビスエチリデン基、3,3’−ビフェニレンビスエチリデン基、4,4’−ビフェニレンビス(1−メチルエチリデン)基、3,4’−ビフェニレンビス(1−メチルエチリデン)基、3,3’−ビフェニレンビス(1−メチルエチリデン)基等が挙げられる。
【0018】
R1からR4は、独立に水素原子又は炭素数1から9の炭化水素基であり、炭化水素基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、スチリル基、α−メチルスチリル基等が例示される。
【0019】
また、ジグリシジルオキシナフタレン類としては、1,2−ジグリシジルオキシナフタレン、1,3−ジグリシジルオキシナフタレン、1,4−ジグリシジルオキシナフタレン、1,5−ジグリシジルオキシナフタレン、1,6−ジグリシジルオキシナフタレン、1,7−ジグリシジルオキシナフタレン、1,8−ジグリシジルオキシナフタレン、2,3−ジグリシジルオキシナフタレン、2,6−ジグリシジルオキシナフタレン、2,7−ジグリシジルオキシナフタレンを挙げることができる。これらの二官能性エポキシ樹脂は、単独でも良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
【0020】
これらの二官能性エポキシ樹脂の好ましいエポキシ当量は150から600の範囲であり、更に好ましくは160から300の範囲である。
【0021】
これらの二官能性エポキシ樹脂のなかで、特に好ましいものは、4,4’−ジグリシジルオキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニル、ジグリシジルオキシジフェニルメタン類、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルメタン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルエーテル、1,5−ジグリシジルオキシナフタレン、1,6−ジグリシジルオキシナフタレンである。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂又はこれを含むエポキシ樹脂の製造方法としては、イソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂を窒素気流下、攪拌しながら約50〜200℃で反応させる方法が挙げられる。反応時間は反応温度にもよるが、3〜50時間程度である。この反応は、アミン系、イミダゾール系、トリフェニルホスフィン、ホスフォニウム塩系等の触媒存在下に行うことができる。好ましい触媒の使用量はイソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂の合計量に対して、0.01から5wt%の範囲である。
【0023】
この反応に際しては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を溶媒として使用することができる。
【0024】
本発明のエポキシ樹脂は、反応終了後、薄膜蒸発器を通すことなどにより、未反応の二官能性エポキシ樹脂を系外に除き、分離することができるが、用途によってはそのまま使用することができる。例えば、エポキシ樹脂組成物を調製する際に、これらの溶剤に溶解させた状態で硬化剤等と配合して用いても良いし、溶剤を減圧蒸留等の方法で系外に除いて、本発明のエポキシ樹脂又はこれを含むエポキシ樹脂を分離してもよい。更に、必要により再結晶等により精製してもよい。本発明のエポキシ樹脂の好ましい粘度範囲は、150℃での溶融粘度として、0.01から10Pa・sの範囲であり、更に好ましくは、0.1から5Pa・sの範囲である。分子量はおおむね400〜2000の範囲である。また、本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂についても、その好ましい粘度範囲は上記の範囲である。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂成分として上記本発明のエポキシ樹脂又は本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂を必須成分として配合したものである。このエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂の合成反応で得られる溶液のまま硬化剤等と配合しても、本発明のエポキシ樹脂を単離した後に硬化剤等と配合してエポキシ樹脂組成物を調整しても良い。
【0026】
本発明のエポキシ樹脂組成物に使用される硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、ジシアンジアミド、多価フェノール類、酸無水物類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。
【0027】
具体的に例示すれば、多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更には、フェノール類、ナフトール類又はビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。
【0028】
酸無水物としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
【0029】
また、アミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。
本発明の樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、エポキシ樹脂成分として、本発明のエポキシ樹脂以外に別種のエポキシ樹脂を配合してもよい。この場合のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類又はテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。そして、本発明のエポキシ樹脂を必須成分とする組成物の場合、本発明のエポキシ樹脂の配合量はエポキシ樹脂全体中、30〜100%、好ましくは60〜100%の範囲であることがよい。
【0031】
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデンクマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を適宜配合してもよいし、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合してもよい。
【0032】
無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられる。顔料としては、有機系又は無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
【0033】
必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤などを使用できる。
【0034】
更に、本発明の樹脂組成物には、公知の硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等がある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2から5重量部の範囲である。
【0035】
本発明の樹脂組成物を硬化させて得られる本発明の硬化物は、上記エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工し得ることができる。この際の温度は通常、120〜220℃の範囲である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明する。
参考例1
5Lの4口フラスコに、4,4’−ビス(4−ヒドロキシベンジル)ビフェニル(融点178から209℃、純度89%)900gをエピクロルヒドリン2685.5gに溶解し、減圧下(約110mmHg)、60℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液391.1gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、エピクロルヒドリンを減圧留去し、メチルイソブチルケトン3Lに溶解した後、濾過により生成した塩を除いた。その後、10%水酸化ナトリウム水溶液148.8gを加え、80℃で2時間反応させた。反応後、濾過、水洗を行った後、メチルイソブチルケトンを減圧留去し、淡黄色結晶状のエポキシ樹脂1080gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は262g/eq.であり、加水分解性塩素は350ppm、150℃での溶融粘度は0.019Pa・sであった。ここで、加水分解性塩素とは、試料0.5gをジオキサン30mlに溶解後、1N−KOH、10mlを加え30分間煮沸還流した後、室温まで冷却し、更に80%アセトン水100mlを加えたものを、0.002N−AgNO3水溶液で電位差滴定を行うことにより測定された値である。また粘度は、BROOKFIELD社製CAP2000Hを用いて測定した。
【0037】
実施例1
2Lの4口フラスコに、イソシアヌル酸116.1g、3,3’ , 5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルメタン(YSLV−80XY;新日鐵化学製、エポキシ当量191g/eq.)1031.4gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら約170℃に昇温して均一に溶解した後、触媒として臭化n−ブチルトリフェニルホスホニウムを0.459g加えて5時間反応させ、エポキシ樹脂1121gを得た(エポキシ樹脂A)。エポキシ当量434g/eq.、軟化点118℃、150℃での溶融粘度は23.1Pa・sであった。エポキシ樹脂AのGPCチャートを図1に示す。このチャートからエポキシ樹脂Aは、本発明のエポキシ樹脂を主成分とし、しかも本発明のエポキシ樹脂の内、エポキシ含有基が3個置換したエポキシ樹脂を主成分とし、未反応のYSLV−80XYを18.5wt%含むものであることが分かる。
【0038】
ここで粘度は、BROOKFIELD社製CAP2000Hを用い、軟化点はJIS K−6911の環球法に従い測定、GPC測定は装置:HLC−802A(東ソー(株)製)及びカラム:TSK−GEL2000×3本及びTSK−GEL4000×1本(何れも東ソー(株)製)を用い、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0ml/分、温度:38℃、検出器:RIの条件で行った。
【0039】
実施例2
2Lの4口フラスコに、イソシアヌル酸90.3g、YSLV−80XY(新日鐵化学製)1069.6gを仕込み、実施例1と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1137gを得た(エポキシ樹脂B)。エポキシ当量339g/eq.、軟化点79℃、150℃での溶融粘度は1.01Pa・sであった。GPCチャートを図2に示す。GPCチャートから読み取った未反応のYSLV−80XYは、30.4wt%であった。
【0040】
実施例3
2Lの4口フラスコに、イソシアヌル酸77.4g、YSLV−80XY(新日鐵化学製)1146gを仕込み、実施例1と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1199gを得た(エポキシ樹脂C)。エポキシ当量298g/eq.、軟化点69℃、150℃での溶融粘度は0.26Pa・sであった。GPCチャートを図3に示す。GPCチャートから読み取った未反応のYSLV−80XYは、38.3wt%であった。
【0041】
実施例4
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−128;東都化成製、エポキシ当量186g/eq.)1041.6gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1108gを得た(エポキシ樹脂D)。エポキシ当量339g/eq.、軟化点67℃、150℃での溶融粘度は0.38Pa・sであった。
【0042】
実施例5
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(YDF−170;東都化成製、エポキシ当量169g/eq.)946.4gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1008gを得た(エポキシ樹脂E)。エポキシ当量300g/eq.、軟化点67℃、150℃での溶融粘度は0.27Pa・sであった。
【0043】
実施例6
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルエーテル、(YSLV−80DE;新日鐵化学製、エポキシ当量162g/eq.)907.2gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂975gを得た(エポキシ樹脂F)。エポキシ当量299g/eq.、軟化点65℃、150℃での溶融粘度は0.36Pa・sであった。
【0044】
実施例7
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルフィド(YSLV−50TE;新日鐵化学製、エポキシ当量170g/eq.)952gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1011gを得た(エポキシ樹脂G)。エポキシ当量339g/eq.、軟化点68℃、150℃での溶融粘度は0.43Pa・sであった。
【0045】
実施例8
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニル(YX−4000H;ジャパンエポキシレジン製、エポキシ当量191g/eq.)1069.6gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1120gを得た(エポキシ樹脂H)。エポキシ当量337g/eq.、軟化点92℃、150℃での溶融粘度は2.55Pa・sであった。
【0046】
実施例9
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニルと4,4’−ジグリシジルオキシビフェニルの混合物(YL−6121;ジャパンエポキシレジン製、エポキシ当量173g/eq.)968.8gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1024gを得た(エポキシ樹脂I)。エポキシ当量315g/eq.、軟化点150℃以上、160℃での溶融粘度は18.0Pa・sであった。
【0047】
実施例10
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、1,6−ジグリシジルオキシナフタレン(HP−4032;大日本インキ化学工業製、エポキシ当量154g/eq.)862.4gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂923gを得た(エポキシ樹脂J)。エポキシ当量298g/eq.、軟化点95℃、150℃での溶融粘度は2.09Pa・sであった。
【0048】
実施例11
2Lの4口フラスコに、イソシアヌル酸64.5g、参考例1で合成したエポキシ化合物(エポキシ当量275g/eq.)1100gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1133gを得た(エポキシ樹脂K)。エポキシ当量486g/eq.、軟化点92℃、150℃での溶融粘度は1.97Pa・sであった。
【0049】
実施例12〜22、比較例1〜2
エポキシ樹脂成分として、実施例1〜11で合成したエポキシ樹脂(エポキシ樹脂A〜K)、及びo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂L:日本化薬製、EOCN−1020−65;エポキシ当量 200、加水分解性塩素 400ppm、軟化点 65℃)、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂M:YX4000HK;エポキシ当量 195、加水分解性塩素 450ppm、融点 105℃)を用い、硬化剤成分としてフェノールノボラック(硬化剤A:群栄化学製、PSM−4261;OH当量103g/eq.、軟化点80℃)を用いた。更に、充填剤として球状シリカ(平均粒径 18μm)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、表1及び2に示す配合でエポキシ樹脂組成物を得た。なお、表中の数値は配合における重量部を示す。
【0050】
このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃で成形し、更に180℃にて12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。結果を表3及び4に示す。なお、ガラス転移点及び線膨張係数の測定は、熱機械測定装置を用いて10℃/分の昇温速度で求めた。また吸水率は、直径50mm、厚さ3mmの円形の試験片を用いて、85℃、85%RHの条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。燃焼時間は、厚さ1/16インチの試験片を用い、UL94V−0規格に従い、5本の試験での合計燃焼時間で表した。接着強度は、銅板2枚の間に25mm×12.5mm×0.5mmの成形物を圧縮成形機により175℃で成形し、180℃にて12時間ポストキュアを行った後、引張剪断強度を求めることにより評価した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、難燃性、高接着性、耐湿性及び耐熱性に優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エポキシ樹脂のGPCチャート
【図2】エポキシ樹脂のGPCチャート
【図3】エポキシ樹脂のGPCチャート
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性に優れるとともに、耐湿性、耐熱性、金属基材との接着性等にも優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂並びにこれを用いたエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。このエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物は、プリント配線板、半導体封止等の電気電子分野の絶縁材料等に好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、先端材料分野の進歩にともない、より高性能なベース樹脂の開発が求められている。例えば、半導体封止の分野においては、高密度実装化に対応したパッケージの薄形化、大面積化、表面実装方式の普及により、パッケージクラックの問題が深刻化しており、これらのベース樹脂としては、耐湿性、耐熱性、金属基材との接着性等の向上が強く求められている。更に最近では、環境負荷低減の観点から、ハロゲン系難燃剤排除の動きがあり、より難燃性に優れたベース樹脂が求められている。
【0003】
しかしながら、これらの要求を満足するエポキシ樹脂は未だ知られていない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、作業性に優れていることや、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題がある。また、耐熱性を改良したものとして、ノボラック型エポキシ樹脂が知られているが、耐湿性、接着性等に問題がある。更には、主骨格が炭化水素のみで構成される従来のエポキシ樹脂では、難燃性を全くもたない。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を用いることなく、難燃性を向上させるための方策として、特許文献1、特許文献2等に、リン酸エステル系の難燃剤を添加する方法が開示されている。しかし、リン酸エステル系の難燃剤を用いる方法では、耐湿性が十分ではない。また、高温、多湿な環境下ではリン酸エステルが加水分解を起こし、絶縁材料としての信頼性を低下させる問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平9−235449号公報
【特許文献2】特開平10−182792号公報
【特許文献3】特開平5−140269号公報
【特許文献4】特開平4−139211号公報
【0006】
エポキシ樹脂の難燃性を向上させる方法としては、その構造中に窒素原子を導入する方法があり、その方法の一つにイソシアヌレート環の導入がある。イソシアヌレート環を有するエポキシ樹脂としては、トリグリシジルイソシアヌレートが知られており、特許文献3等にその使用例が開示されている。しかし、トリグリシジルイソシアヌレートは、芳香族構造を持たないため、吸水率が高くなる欠点があるとともに、難燃性も十分ではなかった。この問題を解決するための方法として、イソシアヌレート環を有する芳香族系のエポキシ樹脂が、特許文献4に開示されているが、結晶性が強いために融点が高く、実用上問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、難燃性に優れるとともに、耐湿性、耐熱性、金属基材との接着性等にも優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂、その製造方法及びそれらを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、イソシアヌル酸の窒素原子の少なくとも1つに、−CH2−CH(OH) −CH2−O−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OGで表されるエポキシ含有基が置換してなるエポキシ樹脂である。ここで、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す。
また、本発明は、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂である。
【化3】
(但し、R1からR4は、独立に水素原子又は炭素数1から9の炭化水素基を示し、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は炭素数1から18の二価の炭化水素基を示す。nは0から5の整数を示し、mは1から3の整数を示す。)ここで、m個のエポキシ含有基はイソシアヌル酸の窒素原子に置換する。
【0009】
更に、本発明は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂を反応させて得られる前記のエポキシ樹脂である。
また、本発明は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸1モルに対して、2から20モルの二官能性エポキシ樹脂を反応させて得られる前記のエポキシ樹脂又はこれを含有するエポキシ樹脂である。
ここで、前記の二官能性エポキシ樹脂が、下記一般式(2)で表され、エポキシ当量が150から600の範囲にあることは有利である。
【化4】
(但し、R1からR4は、独立に水素原子又は炭素数1から9の炭化水素基を示し、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は炭素数1から18の二価の炭化水素基を示し、nは0から5の整数を示す。)
【0010】
更に、本発明は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸1モルに対して、2から20モルのGO−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(但し、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す。)で表される二官能性エポキシ樹脂を反応させることを特徴とするイソシアヌル酸の窒素原子の少なくとも1つに−CH2−CH(OH) −CH2−O−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(但し、Ar、G及びnは上記と同じ意味を有する。)で表されるエポキシ含有基が置換してなるエポキシ樹脂又はこれを含有するエポキシ樹脂の製造方法である。
また、本発明は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、前記のエポキシ樹脂を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物、及び、このエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ樹脂は、シアヌル酸又はイソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂とから合成することができる。ここで、シアヌル酸とイソシアヌル酸は容易に変換する異性体であるため、いずれも使用することができるので、以下の説明ではイソシアヌル酸で代表するが反応原料としてはシアヌル酸を含む意味に解される。
【0012】
また、二官能性エポキシ樹脂はGO−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(ここで、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す。)で表される芳香族エポキシ樹脂である。Arとしては、フェニレン、ナフチレン、ビフェニリレンなどの他、−Ar1−X−Ar2−(ここで、Ar1及びAr2は独立に2価の芳香族基を示し、Xは2価の基を示す。)で表される基がある。なお、Ar1及びAr2としては、フェニレン、ナフチレン等がある。また、これら2価の芳香族基は、アルキル、ハロゲン等の置換基を有しうる。
【0013】
二官能性エポキシ樹脂の使用量は、イソシアヌル酸1モルに対して、理論量は1〜3モルであり、1モルの場合、イソシアヌル酸の環を構成する窒素原子の一つに前記のエポキシ含有基が置換した構造のエポキシ樹脂が得られ、3モルの場合、イソシアヌル酸の環を構成する窒素原子の三つに前記のエポキシ含有基が置換した構造のエポキシ樹脂が得られるが、3モル未満の場合や3モル以上であっても二官能性エポキシ樹脂の反応率が低い場合は、置換数が0から3のエポキシ樹脂の混合物が得られ、その置換数の平均値が、イソシアヌル酸1モルに対して反応した二官能性エポキシ樹脂のモル数に対応することになる。なお、イソシアヌル酸の環を構成する窒素原子の少なくとも一つに前記のエポキシ含有基が置換した構造のエポキシ樹脂を本発明のエポキシ樹脂という。
【0014】
しかし、本発明のエポキシ樹脂又はこれを含むエポキシ樹脂を合成する上では、二官能性エポキシ樹脂の使用量を2〜20倍モル、好ましくは2.5〜15倍モル、更に好ましくは3〜10倍モルとすることがよい。そして、得られた反応生成物から、本発明のエポキシ樹脂を単離したり、単離せずに得られた反応生成物(これは本発明のエポキシ樹脂と二官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂混合物であるので、本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂という。この本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂も本発明に含まれる。)をエポキシ樹脂として使用することがよい。これより少ないと合成の際に粘度が高くなり、合成時の作業性が低下するとともに、場合によってはゲル化することがある。これより多いと、得られた樹脂中の本発明のエポキシ樹脂の含有率が低下して、本発明のエポキシ樹脂を分離する場合は、分離効率が低下し、分離せずにそのまま使用する場合は、難燃性、耐湿性、耐熱性、接着性等の性能が低下する。
【0015】
本発明に用いる二官能性エポキシ樹脂としては、1分子中に2個のエポキシ基を持つものであれば特に制約はないが、好ましくは、ビスフェノール化合物又はナフタレンジオール化合物より誘導されるエポキシ樹脂が挙げられる。また、アントラセン等の縮合多環構造を持つ二官能性のエポキシ樹脂を用いても良い。なかでも、特に好ましい二官能性エポキシ樹脂としては、上記一般式(2)で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂又はジグリシジルオキシナフタレン類である。
【0016】
上記一般式(1)及び(2)において、Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子又は炭素数1から18の二価の炭化水素基である。二価の炭化水素基としては、−CnH2n−で表されるアルキレン又はアルキリデン基、Ar−CnH2n−1=で表されるアリールアルキリデン基、−CnH2n−Ar−CnH2n−で表されるアリールビスアルキレン又はアリールビスアルキリデン基等がある。nとしては1〜5の範囲がよく、Arとしては置換基を有しうるフェニル、ナフチル又はビフェニリル基(Arが2価の基の場合は、フェニレン、ナフチレン又はビフェニレン基)等がある。この置換基としては、炭素数1〜6のアルキルがある。
【0017】
二価の炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、ベンジリデン基、フェニルエチリデン基、p−キシリレン基、m−キシリレン基、1,4−フェニレンビスエチリデン基、1,3−フェニレンビスエチリデン基、1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)基、1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)基、4,4’−ビフェニレンビスメチレン基、3,4’−ビフェニレンビスメチレン基、3,3’−ビフェニレンビスメチレン基、4,4’−ビフェニレンビスエチリデン基、3,4’−ビフェニレンビスエチリデン基、3,3’−ビフェニレンビスエチリデン基、4,4’−ビフェニレンビス(1−メチルエチリデン)基、3,4’−ビフェニレンビス(1−メチルエチリデン)基、3,3’−ビフェニレンビス(1−メチルエチリデン)基等が挙げられる。
【0018】
R1からR4は、独立に水素原子又は炭素数1から9の炭化水素基であり、炭化水素基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、スチリル基、α−メチルスチリル基等が例示される。
【0019】
また、ジグリシジルオキシナフタレン類としては、1,2−ジグリシジルオキシナフタレン、1,3−ジグリシジルオキシナフタレン、1,4−ジグリシジルオキシナフタレン、1,5−ジグリシジルオキシナフタレン、1,6−ジグリシジルオキシナフタレン、1,7−ジグリシジルオキシナフタレン、1,8−ジグリシジルオキシナフタレン、2,3−ジグリシジルオキシナフタレン、2,6−ジグリシジルオキシナフタレン、2,7−ジグリシジルオキシナフタレンを挙げることができる。これらの二官能性エポキシ樹脂は、単独でも良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
【0020】
これらの二官能性エポキシ樹脂の好ましいエポキシ当量は150から600の範囲であり、更に好ましくは160から300の範囲である。
【0021】
これらの二官能性エポキシ樹脂のなかで、特に好ましいものは、4,4’−ジグリシジルオキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニル、ジグリシジルオキシジフェニルメタン類、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルメタン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルエーテル、1,5−ジグリシジルオキシナフタレン、1,6−ジグリシジルオキシナフタレンである。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂又はこれを含むエポキシ樹脂の製造方法としては、イソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂を窒素気流下、攪拌しながら約50〜200℃で反応させる方法が挙げられる。反応時間は反応温度にもよるが、3〜50時間程度である。この反応は、アミン系、イミダゾール系、トリフェニルホスフィン、ホスフォニウム塩系等の触媒存在下に行うことができる。好ましい触媒の使用量はイソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂の合計量に対して、0.01から5wt%の範囲である。
【0023】
この反応に際しては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を溶媒として使用することができる。
【0024】
本発明のエポキシ樹脂は、反応終了後、薄膜蒸発器を通すことなどにより、未反応の二官能性エポキシ樹脂を系外に除き、分離することができるが、用途によってはそのまま使用することができる。例えば、エポキシ樹脂組成物を調製する際に、これらの溶剤に溶解させた状態で硬化剤等と配合して用いても良いし、溶剤を減圧蒸留等の方法で系外に除いて、本発明のエポキシ樹脂又はこれを含むエポキシ樹脂を分離してもよい。更に、必要により再結晶等により精製してもよい。本発明のエポキシ樹脂の好ましい粘度範囲は、150℃での溶融粘度として、0.01から10Pa・sの範囲であり、更に好ましくは、0.1から5Pa・sの範囲である。分子量はおおむね400〜2000の範囲である。また、本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂についても、その好ましい粘度範囲は上記の範囲である。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂成分として上記本発明のエポキシ樹脂又は本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂を必須成分として配合したものである。このエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂の合成反応で得られる溶液のまま硬化剤等と配合しても、本発明のエポキシ樹脂を単離した後に硬化剤等と配合してエポキシ樹脂組成物を調整しても良い。
【0026】
本発明のエポキシ樹脂組成物に使用される硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、ジシアンジアミド、多価フェノール類、酸無水物類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。
【0027】
具体的に例示すれば、多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更には、フェノール類、ナフトール類又はビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。
【0028】
酸無水物としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
【0029】
また、アミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。
本発明の樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0030】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、エポキシ樹脂成分として、本発明のエポキシ樹脂以外に別種のエポキシ樹脂を配合してもよい。この場合のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類又はテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。そして、本発明のエポキシ樹脂を必須成分とする組成物の場合、本発明のエポキシ樹脂の配合量はエポキシ樹脂全体中、30〜100%、好ましくは60〜100%の範囲であることがよい。
【0031】
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデンクマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を適宜配合してもよいし、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合してもよい。
【0032】
無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられる。顔料としては、有機系又は無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
【0033】
必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤などを使用できる。
【0034】
更に、本発明の樹脂組成物には、公知の硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等がある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2から5重量部の範囲である。
【0035】
本発明の樹脂組成物を硬化させて得られる本発明の硬化物は、上記エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工し得ることができる。この際の温度は通常、120〜220℃の範囲である。
【0036】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明する。
参考例1
5Lの4口フラスコに、4,4’−ビス(4−ヒドロキシベンジル)ビフェニル(融点178から209℃、純度89%)900gをエピクロルヒドリン2685.5gに溶解し、減圧下(約110mmHg)、60℃にて48%水酸化ナトリウム水溶液391.1gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、エピクロルヒドリンを減圧留去し、メチルイソブチルケトン3Lに溶解した後、濾過により生成した塩を除いた。その後、10%水酸化ナトリウム水溶液148.8gを加え、80℃で2時間反応させた。反応後、濾過、水洗を行った後、メチルイソブチルケトンを減圧留去し、淡黄色結晶状のエポキシ樹脂1080gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は262g/eq.であり、加水分解性塩素は350ppm、150℃での溶融粘度は0.019Pa・sであった。ここで、加水分解性塩素とは、試料0.5gをジオキサン30mlに溶解後、1N−KOH、10mlを加え30分間煮沸還流した後、室温まで冷却し、更に80%アセトン水100mlを加えたものを、0.002N−AgNO3水溶液で電位差滴定を行うことにより測定された値である。また粘度は、BROOKFIELD社製CAP2000Hを用いて測定した。
【0037】
実施例1
2Lの4口フラスコに、イソシアヌル酸116.1g、3,3’ , 5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルメタン(YSLV−80XY;新日鐵化学製、エポキシ当量191g/eq.)1031.4gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら約170℃に昇温して均一に溶解した後、触媒として臭化n−ブチルトリフェニルホスホニウムを0.459g加えて5時間反応させ、エポキシ樹脂1121gを得た(エポキシ樹脂A)。エポキシ当量434g/eq.、軟化点118℃、150℃での溶融粘度は23.1Pa・sであった。エポキシ樹脂AのGPCチャートを図1に示す。このチャートからエポキシ樹脂Aは、本発明のエポキシ樹脂を主成分とし、しかも本発明のエポキシ樹脂の内、エポキシ含有基が3個置換したエポキシ樹脂を主成分とし、未反応のYSLV−80XYを18.5wt%含むものであることが分かる。
【0038】
ここで粘度は、BROOKFIELD社製CAP2000Hを用い、軟化点はJIS K−6911の環球法に従い測定、GPC測定は装置:HLC−802A(東ソー(株)製)及びカラム:TSK−GEL2000×3本及びTSK−GEL4000×1本(何れも東ソー(株)製)を用い、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0ml/分、温度:38℃、検出器:RIの条件で行った。
【0039】
実施例2
2Lの4口フラスコに、イソシアヌル酸90.3g、YSLV−80XY(新日鐵化学製)1069.6gを仕込み、実施例1と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1137gを得た(エポキシ樹脂B)。エポキシ当量339g/eq.、軟化点79℃、150℃での溶融粘度は1.01Pa・sであった。GPCチャートを図2に示す。GPCチャートから読み取った未反応のYSLV−80XYは、30.4wt%であった。
【0040】
実施例3
2Lの4口フラスコに、イソシアヌル酸77.4g、YSLV−80XY(新日鐵化学製)1146gを仕込み、実施例1と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1199gを得た(エポキシ樹脂C)。エポキシ当量298g/eq.、軟化点69℃、150℃での溶融粘度は0.26Pa・sであった。GPCチャートを図3に示す。GPCチャートから読み取った未反応のYSLV−80XYは、38.3wt%であった。
【0041】
実施例4
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD−128;東都化成製、エポキシ当量186g/eq.)1041.6gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1108gを得た(エポキシ樹脂D)。エポキシ当量339g/eq.、軟化点67℃、150℃での溶融粘度は0.38Pa・sであった。
【0042】
実施例5
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(YDF−170;東都化成製、エポキシ当量169g/eq.)946.4gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1008gを得た(エポキシ樹脂E)。エポキシ当量300g/eq.、軟化点67℃、150℃での溶融粘度は0.27Pa・sであった。
【0043】
実施例6
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルエーテル、(YSLV−80DE;新日鐵化学製、エポキシ当量162g/eq.)907.2gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂975gを得た(エポキシ樹脂F)。エポキシ当量299g/eq.、軟化点65℃、150℃での溶融粘度は0.36Pa・sであった。
【0044】
実施例7
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルフィド(YSLV−50TE;新日鐵化学製、エポキシ当量170g/eq.)952gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1011gを得た(エポキシ樹脂G)。エポキシ当量339g/eq.、軟化点68℃、150℃での溶融粘度は0.43Pa・sであった。
【0045】
実施例8
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニル(YX−4000H;ジャパンエポキシレジン製、エポキシ当量191g/eq.)1069.6gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1120gを得た(エポキシ樹脂H)。エポキシ当量337g/eq.、軟化点92℃、150℃での溶融粘度は2.55Pa・sであった。
【0046】
実施例9
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニルと4,4’−ジグリシジルオキシビフェニルの混合物(YL−6121;ジャパンエポキシレジン製、エポキシ当量173g/eq.)968.8gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1024gを得た(エポキシ樹脂I)。エポキシ当量315g/eq.、軟化点150℃以上、160℃での溶融粘度は18.0Pa・sであった。
【0047】
実施例10
YSLV−80XY(新日鐵化学製)の代わりに、1,6−ジグリシジルオキシナフタレン(HP−4032;大日本インキ化学工業製、エポキシ当量154g/eq.)862.4gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂923gを得た(エポキシ樹脂J)。エポキシ当量298g/eq.、軟化点95℃、150℃での溶融粘度は2.09Pa・sであった。
【0048】
実施例11
2Lの4口フラスコに、イソシアヌル酸64.5g、参考例1で合成したエポキシ化合物(エポキシ当量275g/eq.)1100gを用いて、実施例2と同様に反応を行い、エポキシ樹脂1133gを得た(エポキシ樹脂K)。エポキシ当量486g/eq.、軟化点92℃、150℃での溶融粘度は1.97Pa・sであった。
【0049】
実施例12〜22、比較例1〜2
エポキシ樹脂成分として、実施例1〜11で合成したエポキシ樹脂(エポキシ樹脂A〜K)、及びo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂L:日本化薬製、EOCN−1020−65;エポキシ当量 200、加水分解性塩素 400ppm、軟化点 65℃)、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂M:YX4000HK;エポキシ当量 195、加水分解性塩素 450ppm、融点 105℃)を用い、硬化剤成分としてフェノールノボラック(硬化剤A:群栄化学製、PSM−4261;OH当量103g/eq.、軟化点80℃)を用いた。更に、充填剤として球状シリカ(平均粒径 18μm)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、表1及び2に示す配合でエポキシ樹脂組成物を得た。なお、表中の数値は配合における重量部を示す。
【0050】
このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃で成形し、更に180℃にて12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。結果を表3及び4に示す。なお、ガラス転移点及び線膨張係数の測定は、熱機械測定装置を用いて10℃/分の昇温速度で求めた。また吸水率は、直径50mm、厚さ3mmの円形の試験片を用いて、85℃、85%RHの条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。燃焼時間は、厚さ1/16インチの試験片を用い、UL94V−0規格に従い、5本の試験での合計燃焼時間で表した。接着強度は、銅板2枚の間に25mm×12.5mm×0.5mmの成形物を圧縮成形機により175℃で成形し、180℃にて12時間ポストキュアを行った後、引張剪断強度を求めることにより評価した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、難燃性、高接着性、耐湿性及び耐熱性に優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エポキシ樹脂のGPCチャート
【図2】エポキシ樹脂のGPCチャート
【図3】エポキシ樹脂のGPCチャート
Claims (8)
- イソシアヌル酸の窒素原子の少なくとも1つに、−CH2−CH(OH) −CH2−O−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(但し、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す。)で表されるエポキシ含有基が置換してなるエポキシ樹脂。
- シアヌル酸又はイソシアヌル酸と二官能性エポキシ樹脂を反応させて得られる請求項1又は2記載のエポキシ樹脂。
- シアヌル酸又はイソシアヌル酸1モルに対して、2から20モルの二官能性エポキシ樹脂を反応させて得られる請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂又はこれを含有するエポキシ樹脂。
- シアヌル酸又はイソシアヌル酸1モルに対して、2から20モルのGO−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(但し、Arは2価の芳香族基を示し、Gはグルシジル基を示し、nは0から5の整数を示す。)で表される二官能性エポキシ樹脂を反応させることを特徴とするイソシアヌル酸の窒素原子の少なくとも1つに−CH2−CH(OH) −CH2−O−Ar−O−(−CH2−CH(OH)−CH2−O−Ar−)n−OG(但し、Ar、G及びnは上記と同じ意味を有する。)で表されるエポキシ含有基が置換してなるエポキシ樹脂又はこれを含有するエポキシ樹脂の製造方法。
- エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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