JP2022117478A - ケラチン繊維処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メラニン前駆体を含む組成物による染毛において、黄みの少ない灰色に染めることができ、かつ、指通りをよくすることができるケラチン繊維処理方法を提供する。【解決手段】下記工程(i)及び工程(ii)を順に有するケラチン繊維処理方法。工程(i):次の成分(A)及び(B)を含有し、pHが8.0以上12.0以下である組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩JPEG2022117478000016.jpg2767(B)アルカリ剤工程(ii):次の成分(C)及び(D)を含有し、pHが3.5以上8.0未満である組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程(C)カチオン性界面活性剤(D)高級アルコール【選択図】なし

Description

本発明は、ケラチン繊維処理方法に関する。
従来、白髪染め用の染毛剤として、メラニン前駆体である、5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドリン又はこれらの誘導体を使用した空気酸化型染毛剤が知られている。これらメラニン前駆体は酸化剤を使用しないため染毛剤に用いた場合にケラチン繊維の傷みが少なく、染毛剤用染料としての簡便性が高い。
例えば特許文献1~4には、上記メラニン前駆体を含有する組成物、及びこれを用いてケラチン繊維を染色する方法が開示されている。
一方、日常的な洗髪において誰もが使用するシャンプー等のケラチン繊維用組成物にメラニン前駆体を配合し、手軽にかつ短期間に白髪に対して高い染毛性を発揮できる提案がなされている(例えば、特許文献5を参照)。
特開昭62-238878号公報 特開平2-218606号公報 特開平5-058860号公報 特開2018-052833号公報 特開2019-094326号公報
メラニン前駆体を含む染毛剤は通常の酸化型染毛剤と比較して染色性(染毛性)がやや緩慢であり、使用を繰り返すことでケラチン繊維が徐々に染色されていくという特徴がある。
しかしながら、特許文献5の実施例に示されているシャンプー組成物のように、メラニン前駆体を含有する組成物を使用した際には、染まっていくケラチン繊維の色味が染めようとする本来の色味(自然な灰色~黒色)と比べて、黄みを帯びてしまう場合があることが分かった。本発明者らは当該組成物の使用前後に用いられる種々の組成物を検討した結果、当該組成物の使用後にコンディショナー、リンスやトリートメント等の他の酸性の組成物、特に25℃におけるpHが4.9未満の他の組成物を使用すると、染まっていくケラチン繊維の色味が徐々に黄みを帯びてしまい、メラニン前駆体が酸化されることにより発現する本来の色にケラチン繊維が染まりにくいという課題を見出した。
特許文献1、2、3、4にも、メラニン前駆体を含む組成物と他の組成物とを用いて染毛を行うことは記載されているが、上記課題の記載はない。また、メラニン前駆体をケラチン繊維に適用した後に使用するコンディショニング剤やトリートメント剤の組成や物性を特定のものとすることで、上記課題を解決することも記載がない。
本発明の課題は、メラニン前駆体を含む組成物をケラチン繊維に適用する工程と、コンディショニング効果又はトリートメント効果をケラチン繊維に与える組成物をケラチン繊維に適用する工程とを順に行うケラチン繊維処理方法において、これらの工程を繰り返しても、染色性の低下が抑制され、黄みの少ないメラニン前駆体が酸化されることにより発現する本来の色に染めることができ、かつ、指通りを良くすることができるケラチン繊維処理方法を提供することにある。
本発明者らは、所定のメラニン前駆体及びアルカリ剤を含有し、所定のpHを有する第1の組成物(組成物(1))と、カチオン性界面活性剤及び高級アルコールを含有し、所定のpHを有する第2の組成物(組成物(2))とを、この順にケラチン繊維に適用することにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は下記[1]~[2]に関する。
[1]下記工程(i)及び工程(ii)を順に有するケラチン繊維処理方法。
工程(i):次の成分(A)及び(B)を含有し、pHが8.0以上12.0以下である組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩
Figure 2022117478000001

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤
工程(ii):次の成分(C)及び(D)を含有し、pHが3.5以上8.0未満である組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程
(C)カチオン性界面活性剤
(D)高級アルコール
[2]次の成分(A)及び(B)を含有するpHが8.0以上12.0以下の組成物(1)、及び、次の成分(C)及び(D)を含有するpHが3.5以上8.0未満の組成物(2)を備えるケラチン繊維用組成物キット。
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩
Figure 2022117478000002

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤
(C)カチオン性界面活性剤
(D)高級アルコール
本発明によれば、メラニン前駆体を含む組成物を毛髪等のケラチン繊維に適用する工程と、コンディショニング効果又はトリートメント効果をケラチン繊維に与える組成物をケラチン繊維に適用する工程とを順に行うケラチン繊維処理方法において、これらの工程を繰り返しても、染色性の低下が抑制され、黄みの少ないメラニン前駆体本来の色(自然な灰色~黒色)に染めることができ、かつ、指通りを良くすることができるケラチン繊維処理方法を提供することができる。
本発明に従うケラチン繊維処理方法及びケラチン繊維用組成物キットの実施形態について、以下で詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値の記載に関する「A~B」という用語は、「A以上B以下」(A<Bの場合)又は「A以下B以上」(A>Bの場合)を意味する。また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
[ケラチン繊維処理方法]
本発明において、ケラチン繊維とは、哺乳動物の体毛を指し、具体的には毛髪、眉毛、睫毛、髭等を表す。これらの中でも、ケラチン繊維としては毛髪が好ましい。本発明において「毛髪」とは、主として頭髪を意味し、黒髪、白髪、またはブリーチした毛髪も含まれる。本発明におけるケラチン繊維用組成物とは、ケラチン繊維に使用される組成物である。
また以下の記載において、成分(A)によるケラチン繊維の染色効果を単に「染色性」と称することがある。
本発明のケラチン繊維処理方法は、下記工程(i)及び工程(ii)を順に有する。
工程(i):次の成分(A)及び(B)を含有し、pHが8.0以上12.0以下である組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩
Figure 2022117478000003

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤
工程(ii):次の成分(C)及び(D)を含有し、pHが3.5以上8.0未満である組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程
(C)カチオン性界面活性剤
(D)高級アルコール
本発明者らは、毛髪等のケラチン繊維に対し、メラニン前駆体を含む組成物を使用した後にコンディショナーやトリートメントなどの他の組成物を使用することを繰り返すと、染色性が低下し、徐々に染まっていく色味が黄みを帯びるという課題に対して種々検討を行った。その結果、本発明者らは、所定のメラニン前駆体、及びアルカリ剤を含有し所定のpHを有する第1の組成物をケラチン繊維に適用する工程と、この工程の後に、カチオン性界面活性剤及び高級アルコールを含有し、所定のpHを有する第2の組成物をケラチン繊維に適用する工程とを有するケラチン繊維処理方法により、前記課題を解決できることを見出した。
本発明のケラチン繊維処理方法によれば、洗浄剤等のメラニン前駆体を含む第1の組成物をケラチン繊維に適用し、その後にコンディショナーやトリートメント等の特定のpHを有する第2の組成物を適用することを繰り返しても、染色性の低下が抑制され、黄みの少ないメラニン前駆体が酸化されることにより発現する本来の色(自然な灰色~黒色)に染めることができ、かつ、指通りを良くすることができるケラチン繊維処理方法を提供することができる。
このような効果が得られる詳しい理由は明らかではないが、一つには以下の理由が考えられる。つまり、工程(i)及び工程(iii)を順に有することで、まず特定のpHを有する第1の組成物の適用によってケラチン繊維のキューティクルが開く。そして、第1の組成物よりも低い特定のpHを有する第2の組成物が適用されることでケラチン繊維が収縮することにより、滑らかな感触やコート感が付与され、良好な指通り性を確保することができる。また、第2の組成物が適度なpHを有していることにより、工程(i)でケラチン繊維に適用される組成物(1)による染色性を阻害することなく、工程(i)が繰り返されることにより徐々にケラチン繊維が染まっていく際に、ケラチン繊維が黄みを帯びることを抑制できると考えられる。
(工程(i))
工程(i)は、次の成分(A)及び(B)を含有し、pHが8.0以上12.0以下である組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程である。
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩
Figure 2022117478000004

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤
工程(i)により、ケラチン繊維にメラニン前駆体である成分(A)が供給される。成分(A)はケラチン繊維内に浸透した後、大気中の酸素により酸化重合してメラニン色素(メラニン重合物)を形成する。そして、工程(i)が繰り返し実行されることで、徐々にケラチン繊維が、メラニン前駆体が酸化されることにより発現する本来の色に染まる。そして、工程(i)の後に後述する工程(ii)が実行されることによって、所定pHの組成物(2)がケラチン繊維に対して供給されるため、工程(i)及び工程(ii)を繰り返しても、染色性の低下やケラチン繊維の色味が黄みを帯びることが抑制される。
工程(i)において、組成物(1)は、ケラチン繊維に適用した後に手やブラシなどを用いて泡立てて用いてもよい。予め手のひらや両手をこすり合わせることで泡立てたり、フォーマー容器から泡状に吐出させたり、事前に泡立てた組成物(1)をケラチン繊維に適用してもよい。また、ケラチン繊維に適用した後、一定時間放置してもよい。ケラチン繊維への適用後の放置時間及び泡立て時間の合計は、簡便性と染色性の両立の観点から、10秒~10分が好ましく、20秒~5分がより好ましく、30秒~2分がさらに好ましい。
ケラチン繊維に適用する組成物(1)の量は、使用性の観点から、ケラチン繊維の質量を1とした場合、好ましくは0.01~2であり、より好ましくは0.05~1である。
なお、工程(i)の前に、組成物(1)のケラチン繊維への塗り広げ易さの観点から、ブラシ等の道具を用いてケラチン繊維の絡まりを解いておくことが好ましい。また、同様の観点から、ケラチン繊維を予め水を用いて濡らしておくことが好ましい。
工程(i)の前にシャンプー等の洗浄剤を用いてケラチン繊維を洗浄してもよい。洗浄後は水を用いて洗い流す工程を有することが好ましい。
工程(i)と工程(ii)との間には、ケラチン繊維を水を用いてすすぐ工程を有することが好ましい。また、すすぐ工程の後に、適宜、ケラチン繊維を乾燥させる工程(以下、単に「乾燥工程」ともいう)を有することができる。ケラチン繊維を乾燥させる工程とはケラチン繊維の水分量を低減させる工程である。上記乾燥工程には、例えば、ケラチン繊維を絞って余剰の水分を落とす方法が含まれる。また、積極的にケラチン繊維の水分を低減させるために、タオルドライ、ドライヤー(冷風又は熱風)乾燥、風乾、及びこれらの2種以上の乾燥処理を組み合わせて行うことが含まれる。
組成物(2)のケラチン繊維への塗り広げ易さの観点から、上記すすぐ工程後に湿潤状態を保ったまま工程(ii)に供することが好ましい。工程(i)を行った後、工程(ii)に供するケラチン繊維の質量を1とした場合、ケラチン繊維中の水分量は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.5以上、よりさらに好ましくは0.8以上になるようにする。工程(i)を行った後、工程(ii)に供するケラチン繊維中の水分量の上限値には特に制限はないが、通常、5以下であり、ケラチン繊維からの水の垂れ落ちを抑制し、施術性を向上させる観点から、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、さらに好ましくは1.2以下になるようにする。
なお、ケラチン繊維中の水分量の測定方法としては、各処理工程におけるケラチン繊維の質量と、ドライヤーの熱風を30分間当てて乾燥させ、温度25℃、相対湿度65%下で一昼夜以上放置して完全に乾燥させたケラチン繊維との質量の差分から測定できる。
より具体的には、工程(i)と工程(ii)との間に、下記工程(i-1)、工程(i-2)及び工程(i-3)の工程を有することが好ましい。
・工程(i-1):組成物(1)の適用後、放置する工程、組成物(1)を泡立てる工程、及び組成物(1)を泡立て、その後放置する工程のいずれかの工程
・工程(i-2):ケラチン繊維上の組成物(1)を水を用いてすすぐ工程
・工程(i-3):ケラチン繊維を乾燥させる工程
工程(i-1)において、手を用いて泡立てる際に、指、手のひらを用いて泡立ててもよく、ブラシ等の道具を用いて泡立ててもよい。
工程(i-2)において、すすぎ時の水の温度は、組成物(1)を効率よく洗い流す観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上、また、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下である。
工程(i-3)において、ケラチン繊維は、完全に(つまり、具体的には、ケラチン繊維の質量を1とした場合、ケラチン繊維中の水分量が0.01以下となるように)乾燥させてもよいし、ケラチン繊維を絞って余剰の水分を落とし、湿潤状態を保ったままであってもよい。
また、工程(i)と工程(ii)との間において、任意で工程(i)を再度繰り返してもよく、組成物(1)及び組成物(2)以外の組成物をケラチン繊維に適用する工程を有していてもよい。
<組成物(1)>
工程(i)で用いる組成物(1)は成分(A)及び成分(B)を含むものであれば特に制限はないが、本発明の組成物(1)は使用を繰り返すことでケラチン繊維が徐々に染色されていくという特徴があるため、複数回の使用が必要となる場合がある。そのため、組成物(1)は、日常のヘアケア行動により簡単に染色できるシャンプー等の洗浄剤、リンス剤、コンディショニング剤やトリートメント剤等のケラチン繊維用組成物として提供することが好ましく挙げられる。これらの中でも、日常のヘアケア行動により簡単に染色できるという観点及び良好な染色性が得られるという観点から、組成物(1)は洗浄剤であることがより好ましい。
組成物(1)の剤型には特に制限はなく、例えば液体状、泡状、ペースト状、クリーム状、固形状、粉末状等、任意の剤型とすることが可能である。ケラチン繊維への塗布性の観点からは、液体状、ペースト状又はクリーム状とすることが好ましい。
工程(i)で用いる組成物(1)は、後述する成分(A)及び(B)を含有し、pHが8.0以上12.0以下である。
組成物(1)のpHが8.0以上であることで、重合反応を促進し、染色性を向上させる効果が得られ、また、組成物(1)のpHが12.0以下であることで、染色性を向上させつつ、ケラチン繊維へのダメージを抑制することができる。
組成物(1)のpHは、重合反応をより促進し染色性をより向上させる観点から、好ましくは8.5以上、より好ましくは8.8以上、さらに好ましくは9.0以上である。メラニン前駆体である成分(A)は塩基性条件で空気中の酸素と反応し、メラニン色素に変換されやすいためである。当該pHは、染色性及びケラチン繊維へのダメージの抑制性をより高める観点から、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.5以下、さらに好ましくは10.0以下である。具体的には、当該pHは、好ましくは8.5~11.0、より好ましくは8.8~10.5、さらに好ましくは9.0~10.0である。
上記pHは25℃における測定値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
<成分(A)>
工程(i)で用いられる組成物(1)は、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩である成分(A)を含有する。成分(A)は空気酸化により重合してメラニン色素に変換されるメラニン前駆体であり、ケラチン繊維の染色剤として作用する。
Figure 2022117478000005

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
成分(A)のメラニン前駆体は、一般式(1)で表される化合物であるインドール誘導体又はインドリン誘導体、又はこれらの塩であり、本発明においてはその1種又は2種以上の組み合わせを用いることができる。成分(A)は、染色性の観点からインドール誘導体(すなわち、一般式(1)中の破線部分にπ結合が存在する)であることがより好ましい。
成分(A)の入手性及び染色性の観点から、一般式(1)において、Rは好ましくは水酸基であり、Rは好ましくは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)、より好ましくは水素原子又は-COOHである。Rは好ましくは水素原子である。
前記一般式(1)で表される化合物としては、5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸メチル、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸エチル、N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドール、N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドール、N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、N-アセチル-5,6-ジヒドロキシインドール、N-アセチル-5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、5-アセトキシ-6-ヒドロキシインドール、5-アセトキシ-6-ヒドロキシインドール-2-カルボン酸、5,6-ジヒドロキシインドリン、5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸、5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸メチル、5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸エチル、N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、N-メチル-5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸、N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、N-エチル-5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸、N-アセチル-5,6-ジヒドロキシインドリン、N-アセチル-5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸、5-アセトキシ-6-ヒドロキシインドリン、5-アセトキシ-6-ヒドロキシインドリン-2-カルボン酸、等が挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物の塩としては、該化合物の塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩等が挙げられ、なかでも、入手性の観点から、臭化水素酸塩が好ましい。
また一般式(1)においてRが-COOHである場合、一般式(1)で表される化合物の塩としては、そのカルボン酸塩(Rが-COO(Xは、Na、K等のアルカリ金属イオン、Ca、Mg等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオンなどの陽イオン)である)が挙げられる。
ケラチン繊維を自然な色合い(灰色~黒色)に染める観点から、成分(A)としては5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、5,6-ジヒドロキシインドリン、5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸、及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、及び5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸からなる群から選ばれる1種又は2種がさらに好ましく、5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸を併用することがよりさらに好ましい。
5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸を併用する場合は、そのモル比は50:50~99:1の範囲とすることが好ましく、80:20~99:1の範囲とすることがより好ましく、85:15~95:5の範囲とすることがさらに好ましい。5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸のモル比が上記範囲であると染色後のケラチン繊維の仕上がりが自然な色味に近づく。
5,6-ジヒドロキシインドールと5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸とのモル比は、逆相HPLCにより定量することができる。
組成物(1)中の成分(A)の含有量は、染色性向上の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。そして、経済性の観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、よりさらに好ましくは0.8質量%以下、よりさらに好ましくは0.5質量%以下、よりさらに好ましくは0.3質量%以下である。また、好ましくは0.05質量%~5質量%であり、より好ましくは0.05質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%~1.0質量%であり、よりさらに好ましくは0.1質量%~0.8質量%であり、よりさらに好ましくは0.1質量%~0.5質量%であり、よりさらに好ましくは0.1質量%~0.3質量%である。
<成分(B)>
工程(i)で用いられる組成物(1)は、アルカリ剤である成分(B)を含有する。アルカリ剤はケラチン繊維を膨潤させてキューティクルを開き、成分(A)等の染色剤成分をケラチン繊維の内部まで浸透させる作用と共に、成分(A)の重合反応を促進し、染色性を向上させる作用を有する。アルカリ剤としては、通常の染毛剤に使用されるアルカリ剤であれば特に制限なく用いることができる。
当該アルカリ剤としては、例えば、アンモニア;モノ-、ジ-又はトリメタノールアミン、モノ-、ジ-又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、N-メチルエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン;ベンジルアミン等のアラルキルアミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。アルカノールアミン、アルキルアミン、又はアラルキルアミンの炭素数は、水溶性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。
なかでも、染色性の観点からは、アルカリ剤はアンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン、アラルキルアミン、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アンモニア及びアルカノールアミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましく、モノアルカノールアミンを含むことがさらに好ましく、モノエタノールアミンを含むことがよりさらに好ましい。
特に、アルカリ剤である成分(B)はアンモニア及びアルカノールアミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
組成物(1)中の成分(B)の含有量は、高い染色性を発現させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。そして、刺激性を抑制する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。また、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%、さらに好ましくは0.5質量%~3質量%である。
また、組成物(1)中の成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の比〔成分(B)/成分(A)〕は、高い染色性を発現させる観点と毛髪の良好な指通り性を確保する観点から、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは8以上、また、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。また、好ましくは2~100、より好ましくは5~50、さらに好ましくは8~30である。
<成分(E)>
工程(i)で用いられる組成物(1)は、成分(A)の安定性の向上の観点から、成分(E)として酸化防止剤をさらに含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、亜硫酸、ピロ亜硫酸、亜硫酸水素、二酸化硫黄、L-アスコルビン酸、チオグリコール酸、L-システイン、N-アセチル-L-システイン及びそれらの塩、並びにこれらの誘導体が挙げられる。塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を好ましく利用することができる。
このうち、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、亜硫酸水素塩及び二酸化硫黄は、組成物(2)、あるいは、組成物(2)及びその他の酸性の組成物を、組成物(1)を適用した後に使用した際に、染め上がりの色味が黄みを帯びることを抑制する効果(以下、単に「黄味抑制効果」ともいう。)を付与する観点から、成分(E)として好ましい。より具体的には、好適な成分(E)として、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、次亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸カリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、市場での入手性の観点から、成分(E)は、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩が好ましく、より具体的には亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム及びピロ亜硫酸カリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
また、染色性向上の観点からは、成分(E)は、L-アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸グルコシドが好ましく、より具体的にはL-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム及びL-アスコルビン酸グルコシドからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
成分(E)は、黄味抑制効果を付与する観点、及び、染色性向上の観点からは、L-アスコルビン酸、亜硫酸、ピロ亜硫酸、亜硫酸水素又はこれらの塩、アスコルビン酸グルコシド及び二酸化硫黄からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。
成分(E)は、黄味抑制効果を付与する観点及び成分(A)の安定化の観点から、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、亜硫酸水素塩及び二酸化硫黄からなる群から選ばれる1種又は2種以上の第1の酸化防止剤と、当該第1の酸化防止剤とは異なる第2の酸化防止剤とを含む(併用する)ことができる。その場合、亜硫酸、ピロ亜硫酸、亜硫酸水素及びその塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上と、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム及びL-アスコルビン酸グルコシドからなる群から選ばれる1種又は2種以上とを含むことが好ましい。
組成物(1)が成分(E)を含有する場合、組成物(1)中の成分(E)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。また、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%、さらに好ましくは0.1質量%~2質量%である。
<成分(F)>
工程(i)で用いられる組成物(1)は、組成物(1)の使用時の泡立ちを向上させ、染色成分である成分(A)をケラチン繊維にムラなく均一に塗布しやすくする観点から、成分(F)としてアニオン性界面活性剤をさらに含有することが好ましい。成分(F)は組成物(1)が洗浄剤である場合にはケラチン繊維の洗浄効果を付与する。さらに、後述する任意成分であるカチオン性ポリマーを併用した場合は、当該カチオン性ポリマーと成分(F)との組み合わせにより組成物(1)が水で希釈された系においてコアセルベーションを生じさせ、成分(A)を高濃度でコアセルベート内に包含させると共にケラチン繊維表面へ吸着させて、洗浄効果と高い染色性とを両立させることができる。
当該アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩、リン酸モノ又はジエステル、スルホコハク酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
アニオン性界面活性剤のアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1~3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
なかでも、組成物(1)が洗浄剤である場合の良好な泡立ち、洗い易さ、及び染色性のうち少なくとも一つの観点から、成分(F)としてはアルキルエーテル硫酸塩、N-アシルアミノ酸塩、及びアルキルエーテルカルボン酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アルキルエーテル硫酸塩及びアルキルエーテルカルボン酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。上記アルキルエーテル硫酸塩としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられ、アルキルエーテルカルボン酸塩としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩等が挙げられる。また、上記N-アシルアミノ酸塩としては、ココイルグルタミン酸塩等が挙げられる。
組成物(1)が成分(F)を含有する場合、組成物(1)中の成分(F)の含有量は、良好な泡立ち及び染色性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは17質量%以下である。また、好ましくは0.1質量%~40質量%、より好ましくは0.5質量%~30質量%、さらに好ましくは1質量%~20質量%、よりさらに好ましくは1質量%~17質量%である。
特に組成物(1)が洗浄剤である場合、良好な泡立ち、洗い易さ及び染色性のうち少なくとも一つの観点から、組成物(1)中の成分(F)の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。また、染色性向上、及びケラチン繊維のダメージ抑制の観点からは、組成物(1)中の成分(F)の含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは17質量%以下である。また、好ましくは3質量%~40質量%、より好ましくは5質量%~30質量%、さらに好ましくは8質量%~20質量%、よりさらに好ましくは8質量%~17質量%である。
<組成物(1)中のその他の成分>
工程(i)で用いられる組成物(1)は、前記成分の他、ケラチン繊維用組成物又は染毛剤に通常使用される成分を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜含有してもよい。当該成分としては、例えば、緩衝剤、両性界面活性剤、シリコーン類、芳香族アルコール、成分(A)以外の染色剤、カチオン性ポリマー、カチオン性ポリマー以外のポリマー、非イオン性界面活性剤、油剤、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、パール剤、セラミド類、香料、紫外線吸収剤、水性媒体等が挙げられる。これらの中でも、緩衝剤、両性界面活性剤、カチオン性ポリマー及び水性媒体からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。
(緩衝剤)
工程(i)で用いられる組成物(1)は、緩衝剤を含有することが好ましい。緩衝剤を含有することで、組成物(1)が使用時に水で希釈された場合にも、成分(A)が高い染色性を発現するために最適な前記pH範囲を維持しやすくなる。
当該緩衝剤としては、pH緩衝作用を有するものであれば特に制限されないが、メラニン前駆体である成分(A)は塩基性条件で空気中の酸素と反応し、メラニン色素に変換されやすいため、組成物(1)のpHを塩基性条件に調整できる緩衝剤が好ましい。
上記観点から、緩衝剤は、塩基性成分として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の炭酸塩や、グリシン、四ホウ酸ナトリウム、又は塩化アンモニウムをいずれか1種含有する緩衝剤;又は、炭酸ナトリウム-重炭酸ナトリウム等の、2種以上の塩基性成分の組み合わせからなる緩衝剤が好ましく、炭酸塩を含有する緩衝剤がより好ましく、重炭酸ナトリウムを含有する緩衝剤がより好ましい。
緩衝剤は、緩衝剤を構成する成分として、pH緩衝能を向上させる観点から、さらにプロトン化剤を含有してもよい。プロトン化剤は一塩基酸及び多塩基酸のいずれでもよく、有機酸(炭素数1以上8以下、但しアスコルビン酸を除く)及び無機酸のいずれでもよい。当該プロトン化剤としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸からなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、リン酸及びクエン酸からなる群から選ばれる1種又は2種がより好ましい。
染色性向上の観点から、緩衝剤を構成する成分は、重炭酸ナトリウムと、リン酸及びクエン酸からなる群から選ばれる1種又は2種との組み合わせからなることがさらに好ましい。
組成物(1)が緩衝剤を含有する場合、組成物(1)中の緩衝剤の含有量は、組成物(1)のpHを所望の範囲に調整できる量であれば特に制限はないが、組成物(1)が水で希釈された場合のpH緩衝能を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上、特に好ましくは1.8質量%以上である。また、処方安定性の観点からは、組成物(1)中の緩衝剤の含有量は、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.5質量%以下、よりさらに好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは2.5質量%以下である。また、好ましくは0.1質量%~5.0質量%、より好ましくは1.0質量%~4.0質量%、さらに好ましくは1.5質量%~3.5質量%、よりさらに好ましくは1.8質量%~3.0質量%、特に好ましくは1.8質量%~2.5質量%である。
なお、緩衝剤の含有量とは、緩衝剤を構成する成分の有効成分量の合計を意味する。
(両性界面活性剤)
工程(i)で用いられる組成物(1)は、両性界面活性剤を含有していてもよい。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩等のベタイン系界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルタイン等のスルタイン系界面活性剤;が挙げられる。なかでも、ケラチン繊維へのなじみ易さ、良好な泡立ちの観点からは、ベタイン系界面活性剤が好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインがより好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8以上18以下、さらには炭素数10以上16以下のアシル基を有するものが好ましく、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。また、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩としては、例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミン〔ココアンホ酢酸ナトリウム、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインとも称される〕、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミン〔ココアンホプロピオン酸トリウム〕、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム〔ラウロアンホ酢酸ナトリウム〕等が挙げられる。
組成物(1)が両性界面活性剤を含有する場合、組成物(1)中の両性界面活性剤の含有量は、ケラチン繊維へのなじみ易さ、良好な泡立ち及びすすぎ時の感触向上の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上、よりさらに好ましくは0.50質量%以上、よりさらに好ましくは1.0質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、好ましくは0.05質量%~15質量%、より好ましくは0.10質量%~12質量%、さらに好ましくは0.15質量%~10質量%、よりさらに好ましくは0.50質量%~10質量%、よりさらに好ましくは1.0質量%~10質量%である。
(カチオン性ポリマー)
組成物(1)は、カチオン性ポリマーを含有していてもよい。カチオン性ポリマーは、前記成分(F)との組み合わせによりコアセルベーションを生じさせ、成分(A)を高濃度でコアセルベート内に包含させると共にケラチン繊維表面へ吸着させて、高い染色性を発現させる作用を有する。
本発明においてカチオン性ポリマーとは、カチオン性基を有するものであり、かつ、全体としてカチオン性を示す水溶性のポリマーをいう。すなわち当該カチオン性ポリマーには、カチオン性基のみを有しアニオン性基を有さないカチオン性ポリマーの他、カチオン性基及びアニオン性基を有し、かつ全体としてカチオン性を示す両性ポリマーも本発明のカチオン性ポリマーに含まれる。
なお上記アニオン性基とは、アニオン基、又は、イオン化されてアニオン基になり得る基をいう。
当該カチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン化グアガム;カチオン化タラガム;カチオン化ローカストビーンガム;カチオン化ポリビニルアルコール;カチオン化セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース等の、カチオン化ヒドロキシアルキルセルロース;カチオン性澱粉;ビニルピロリドン/N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩共重合体、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩/N,N-ジメチルアクリルアミド/ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体等の、第4級化ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル酸塩重合体;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸/アクリルアミド共重合体等の、ジアリル第4級化アンモニウム塩重合体;ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体;ビニルピロリドン/アルキルアミノ(メタ)アクリレート共重合体;ビニルピロリドン/アルキルアミノ(メタ)アクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体;ビニルピロリドン/(メタ)アクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体;アルキルアクリルアミド/(メタ)アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体;アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体、並びに特開昭53-139734号公報及び特開昭60-36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
コアセルベーションを生じやすく、高い染色性を発現させる観点から、カチオン性ポリマーは、カチオン化グアガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース、ビニルピロリドン/N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩共重合体、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩/N,N-ジメチルアクリルアミド/ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸/アクリルアミド重合体からなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、カチオン化グアガム、カチオン化タラガム、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩/N,N-ジメチルアクリルアミド/ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸/アクリルアミド重合体からなる群から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、カチオン化グアガム、カチオン化タラガム、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩/N,N-ジメチルアクリルアミド/ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体、及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体からなる群から選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましい。
組成物(1)がカチオン性ポリマーを含有する場合、組成物(1)中のカチオン性ポリマーの含有量は、染色性向上の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上、よりさらに好ましくは0.3質量%以上である。また、安定性向上及び染色性向上の観点からは、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下、よりさらに好ましくは1.0質量%以下である。また、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~3質量%、さらに好ましくは0.2質量%~1.5質量%、よりさらに好ましくは0.3質量%~1.0質量%である。
(水性媒体)
組成物(1)は、通常、水性媒体を含有する。水性媒体としては、水;エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数6以下の低分子ジオール及びトリオールが挙げられ、水が好ましい。
組成物(1)が水性媒体を含有する場合、組成物(1)中の水性媒体の含有量は、組成物(1)の剤型により適宜選択することができるが、通常、1~95質量%の範囲である。
水性媒体として水を用いる場合には、組成物(1)が使用時に水で希釈された際にコアセルベーションを生じさせ、成分(A)をケラチン繊維表面へ吸着させて、高い染色性を発現させる観点から、組成物(1)中の水の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、よりさらに好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。また、好ましくは40質量%~95質量%、より好ましくは50質量%~95質量%、さらに好ましくは60質量%~90質量%、よりさらに好ましくは70質量%~90質量%である。
組成物(1)の製造方法は特に限定されない。例えば、成分(A)、(B)、及び必要に応じて用いられるその他の成分を実施例に記載の方法で配合し、公知の攪拌装置等を用いて混合することにより製造できる。
(工程(ii))
工程(ii)は、工程(i)の後に実行され、次の成分(C)及び(D)を含有し、pHが3.5以上8.0未満である組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程である。
(C)カチオン性界面活性剤
(D)高級アルコール
工程(ii)により、ケラチン繊維にカチオン性界面活性剤である成分(C)及び高級アルコールである成分(D)が供給される。成分(C)及び成分(D)の供給により、滑らかな感触や乾燥後のばらけ易さを付与することができ、良好な指通り性を確保することができる。また、上記成分(C)及び成分(D)を含有するとともに所定のpHを有する組成物(2)は、上記工程(i)でケラチン繊維に適用される組成物(1)による染色性に大きな影響を及ぼさず、しかも工程(i)が繰り返されて徐々にケラチン繊維が染まっていく際にケラチン繊維が黄みを帯びることを抑制する。
工程(ii)において、ケラチン繊維に適用する組成物(2)の量は、使用性の観点から、ケラチン繊維の質量を1とした場合、好ましくは0.01~2であり、より好ましくは0.05~1である。
工程(ii)の後に、以下の工程を有することが好ましい。
[1]組成物(2)がリーブオフ形態で用いられる場合
・工程(ii-1):ケラチン繊維上の組成物(2)を水を用いて洗い流す工程
工程(ii)の後、直ちに工程(ii-1)を行ってもよいし、放置してから工程(ii-1)を行ってもよい。放置する場合、放置時間は好ましくは5秒以上、より好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上であり、また、好ましくは20分以下、より好ましくは15分以下、さらに好ましくは10分以下である。
工程(ii-1)において、洗い流す水の温度は、組成物(2)を効率よく洗い流す観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上、また、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下である。また、好ましくは0℃~45℃、より好ましくは5℃~40℃、さらに好ましくは10℃~40℃である。
・工程(ii-2):ケラチン繊維を乾燥させる工程
工程(ii-1)を行った後は、ケラチン繊維を乾燥させる工程(工程(ii-2))を行うことが好ましい。ケラチン繊維を完全に(つまり、具体的には、ケラチン繊維の質量を1とした場合、ケラチン繊維中の水分量が0.01以下となるように)乾燥させてもよいし、ケラチン繊維を絞って余剰の水分を落とし、湿潤状態を保ったまま工程(i)に再度供することもできる。
また、工程(ii-2)の後は、任意で組成物(1)及び組成物(2)以外の組成物をケラチン繊維に適用してもよい。
[2]組成物(2)がリーブオン形態で用いられる場合
・工程(ii-2):ケラチン繊維を乾燥させる工程
工程(ii)ケラチン繊維に組成物(2)を適用した後、ケラチン繊維を乾燥させる工(工程(ii-2))を行うことが好ましい。この場合、組成物(2)をケラチン繊維上に定着させる観点から、完全にケラチン繊維を乾燥させることがより好ましい。
また、工程(ii-2)の後は、任意で組成物(1)及び組成物(2)以外の組成物をケラチン繊維に適用してもよい。
<組成物(2)>
工程(ii)で用いる組成物(2)は成分(C)及び成分(D)を含み、所定のpHを有するものであれば特に制限はないが、ケラチン繊維用組成物であることが好ましく、例えば、日常のヘアケア行動で用いられる、シャンプー等の洗浄剤、リンス剤、コンディショニング剤、トリートメント剤(洗い流さないタイプを含む)、スタイリング剤、育毛剤等が挙げられる。これらの中でも、組成物(1)で処理したケラチン繊維の染色性を維持し、且つ良好な指通り性を確保する観点から、組成物(2)は、好ましくは、リンス剤、コンディショニング剤、トリートメント剤、スタイリング剤又は育毛剤であり、より好ましくは、リンス剤、コンディショニング剤又はトリートメント剤である。
組成物(2)の剤型には特に制限はなく、例えば液体状、泡状、ペースト状、クリーム状、固形状、粉末状等、任意の剤型とすることが可能である。ケラチン繊維への塗布性の観点からは、液体状、ペースト状又はクリーム状とすることが好ましい。
工程(ii)で用いる組成物(2)は、後述する成分(C)及び(D)を含有し、pHが3.5以上8.0未満である。
組成物(2)のpHが上記範囲にあることで、染色性の低下が抑制され、染色後の色味において黄味が抑制されるとともに、良好な指通り性を確保する効果が得られる。
組成物(2)のpHは、染色性低下を抑制する観点及び黄味抑制効果を付与する観点から、好ましくは4.0以上、より好ましくは4.2以上、さらに好ましくは4.3以上、よりさらに好ましくは4.8以上、よりさらに好ましくは5.0以上である。また、ケラチン繊維のダメージを抑制し、良好な指通り性を確保する観点から、好ましくは7.5以下、より好ましくは7.3以下、さらに好ましくは7.1以下である。また、好ましくは4.0~7.5、より好ましくは4.2~7.5、さらに好ましくは4.3~7.3、よりさらに好ましくは4.8~7.3、よりさらに好ましくは5.0~7.3、よりさらに好ましくは5.0~7.1である。
上記pHは25℃における測定値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
<成分(C)>
工程(ii)で用いられる組成物(2)は、カチオン性界面活性剤である成分(C)を含有する。
成分(C)のカチオン性界面活性剤としては、例えば、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩、(v)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、(vi)アルキルアミドアミン及びその塩等が挙げられる。
(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩
アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
13-N(CH) An (2)
〔式中、R13は炭素数12~22のアルキル基を示し、Anは塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、エトサルフェートイオン、メトフォスフェートイオン、エトフォスフェートイオン、メトカーボナートイオン等を示す。〕
具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩
アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
14-O-R15-N(CH) An (3)
〔式中、R14は炭素数12~22のアルキル基を示し、R15はヒドロキシ基が置換していてもよいエチレン基又はプロピレン基を示し、Anは塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、エトサルフェートイオン、メトフォスフェートイオン、エトフォスフェートイオン、メトカーボナートイオン等を示す。〕
具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩
ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、例えば下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。
(R16(CH) An (4)
〔式中、R16はそれぞれ独立して炭素数12~22のアルキル基を示し、Anは塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;メトサルフェートイオン、エトサルフェートイオン、メトフォスフェートイオン、エトフォスフェートイオン、メトカーボナートイオン等を示す。〕
具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
(iv)アルキルジメチルアミン及びその塩
アルキルジメチルアミンは、酸と反応して4級アンモニウム塩となり、界面活性剤となる。したがって、ここでは、アルキルジメチルアミン及びその塩をカチオン性界面活性剤と定義する。また、その含有量は、アルキルジメチルアミンの質量で換算する。アルキルジメチルアミン及びその塩としては、例えば下記一般式(5)で表されるもの及びその塩が挙げられる。
17-N(CH) (5)
〔式中、R17は炭素数12~22のアルキル基を示す。〕
塩としては、有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。これらの中で、有機酸が好ましく、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、酸性アミノ酸が好ましく、ジカルボン酸としてはマレイン酸、コハク酸がより好ましい。ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、リンゴ酸がより好ましい。酸性アミノ酸としてはグルタミン酸がより好ましい。
具体的なアルキルジメチルアミン及びその塩としては、N,N-ジメチルベヘニルアミン、N,N-ジメチルステアリルアミン及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N,N-ジメチルベヘニルアミンの乳酸塩、N,N-ジメチルステアリルアミンの乳酸塩等が好ましい。
(v)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩
アルコキシアルキルジメチルアミンは、酸と反応して4級アンモニウム塩となり、界面活性剤となる。したがって、ここでは、アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩をカチオン性界面活性剤と定義する。また、その含有量は、アルコキシアルキルジメチルアミンの質量で換算する。アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩としては、例えば下記一般式(6)で表されるもの及びその塩が挙げられる。
18-O-R19-N(CH) (6)
〔式中、R18は炭素数12~22のアルキル基を示し、R19はヒドロキシ基が置換していてもよいエチレン基又はプロピレン基を示す。〕
塩としては、有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。有機酸又は無機酸としては前述の一般式(5)で表されるアルキルジメチルアミンの中和に用いられる有機酸又は無機酸が挙げられる。
具体的なアルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩としては、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミン及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミンの乳酸塩、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミンのグリコール酸塩が好ましい。
(vi)アルキルアミドアミン及びその塩
アルキルアミドアミンは、酸と反応して4級アンモニウム塩となり、界面活性剤となる。したがって、ここでは、アルキルアミドアミン及びその塩をカチオン性界面活性剤と定義する。また、その含有量は、アルキルアミドアミンの質量で換算する。アルキルアミドアミン及びその塩としては、例えば下記一般式(7)で表されるもの及びその塩が挙げられる。
20-CONH-(CH)-N(CH) (7)
〔式中、R20は炭素数12~22のアルキル基を示し、tは2~4の数を示す。〕
これらの中で、R20が炭素数14~22のアルキル基であるものが好ましい。
塩としては、有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。有機酸又は無機酸としては前述の一般式(5)で表されるアルキルジメチルアミンの中和に用いられる有機酸又は無機酸が挙げられる。
具体的なアルキルアミドアミン及びその塩としては、N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ドコサナミド及びその塩、N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ステアラミド及びその塩が挙げられる。
これらの中で、指通り性向上の観点から、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、(v)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、(vi)アルキルアミドアミン及びその塩が好ましく、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(v)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、(vi)アルキルアミドアミン及びその塩が好ましい。更には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン及びその塩、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミン及びその塩、N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ドコサナミド及びその塩、N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ステアラミド及びその塩が好ましい。
成分(C)のカチオン性界面活性剤は、いずれか1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。組成物(2)中の成分(C)の含有量は、良好な指通り性を確保する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、よりさらに好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。また、好ましくは0.01質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%、さらに好ましくは0.5質量%~5質量%、よりさらに好ましくは1.0質量%~4質量%である。
<成分(D)>
工程(ii)で用いられる組成物(2)は、高級アルコールである成分(D)を含有する。
成分(D)の高級アルコールとしては、直鎖及び分岐鎖、また飽和及び不飽和のいずれの脂肪族アルコールでもよく、その炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは14以上、さらに好ましくは16以上であり、また、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは18以下である。具体的にはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール等が挙げられる。これらのうち、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコールが好ましい。これらの高級アルコールは、いずれか1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
組成物中(2)の成分(D)の含有量は、良好な指通り性を確保する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上、よりさらに好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。また、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~10質量%、さらに好ましくは1.5質量%~8質量%、よりさらに好ましくは2質量%~8質量%である。
組成物(2)中の成分(C)の含有量に対する成分(D)の含有量の比〔成分(D)/成分(C)〕は、組成物(2)の安定性と良好な指通り性を確保する観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上、また、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下である。また、好ましくは0.2~2.0、より好ましくは0.3~1.5、さらに好ましくは0.4~1.0である。
<組成物(2)中のその他の成分>
工程(ii)で用いられる組成物(2)は、前記成分の他、ケラチン繊維用組成物に通常使用される成分を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜含有してもよい。当該成分としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン類、多価アルコール、酸、アルカリ剤、芳香族アルコール、成分(A)以外の染色剤、ポリマー、油剤、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、パール剤、セラミド類、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、水性媒体等が挙げられる。これらの中でも、シリコーン類、多価アルコール、酸、アルカリ剤、防腐剤及び水性媒体からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することが好ましい。
(シリコーン類)
工程(ii)で用いられる組成物(2)には、乾燥時の滑らかさの点からシリコーン類を含有させることが好ましい。このようなシリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
(1)ジメチルポリシロキサン
例えば下記一般式(8)で表されるものが挙げられる。
(CH)SiO-[(CH)SiO]-Si(CH) (8)
〔式(8)中、bは3~20000の数を示す。〕
(2)アミノ変性シリコーン
アミノ変性シリコーンは、オイル、エマルション、低粘度シリコーンや流動パラフィンで希釈した溶液等のいずれの形態のものでもよい。アミノ変性シリコーンとしては、アモジメチコーン(Amodimethicone)、アミノエチルアミノプロピルジメチコーン(Aminoethylaminopropyl Dimethicone)、又はアミノプロピルジメチコーン(Aminopropyl Dimethicone)の名称でINCI辞典(米国,International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)第10版中に記載されているものが好ましい。このアミノ変性シリコーンは水性乳濁液として用いるのが好ましく、アモジメチコーンの市販品としては、「DOWSIL SM8904」、「DOWSIL CB-1002」(以上、ダウ・東レ株式会社製)、「KT-0032」、「XF42-B8922」(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、等が挙げられる。
(3)その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
シリコーン類は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
組成物(2)がシリコーン類を含有する場合、組成物(2)中のシリコーン類の含有量は、良好な指通り性を確保する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.015質量%以上、さらに好ましくは0.02質量%以上、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。また、好ましくは0.01質量%~10質量%、より好ましくは0.01質量%~6質量%、さらに好ましくは0.015質量%~6質量%、よりさらに好ましくは0.02質量%~3質量%である。
(多価アルコール)
多価アルコールとしては、炭素数2~20のもの、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;キシリット、マンニット、ガラクチット、ソルビット等の糖アルコール類;その他ペンタエリスリトール、ペンタジオールなどが挙げられ、このうち特にプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
多価アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
多価アルコールを用いる場合、組成物(2)中の多価アルコールの含有量は、使用中及び使用後の感触、塗布性や使用性の点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは、8質量%以下である。また、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは0.5質量%~8質量%である。
(酸)
組成物(2)は、ダメージを受けたケラチン繊維を補修する観点から、酸を含有することができる。酸としては、pH調整の容易さの観点から弱酸を用いることが好ましい。
弱酸の具体例としては、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、レブリン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マレイン酸、及びマンデル酸等のカルボン酸や、リン酸等が挙げられる。これらの酸は更にこれらのカリウム塩、ナトリウム塩と組み合わせて、系に緩衡能を持たせることがさらに好ましい。
これらのうち、匂いや刺激性の観点からカルボン酸が好ましく、乳酸がより好ましい。
組成物(2)がさらに酸を含有する場合、組成物(2)中の酸の含有量は、良好な指通り性を確保する観点及び黄味抑制効果を付与する観点から、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下、よりさらに好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下である。
しかし、黄味抑制効果を付与する観点からは、組成物(2)は実質的に酸を含有しないことが好ましく、より好ましくは組成物(2)中の酸の含有量は0質量%である。
また、組成物(2)がさらに酸を含有する場合、良好な指通り性を確保する観点及び黄味抑制効果を付与する観点から、組成物(1)中の成分(A)の含有量に対する組成物(2)中の酸の含有量の比〔(酸)/成分(A)〕は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましく、10以下がよりさらに好ましく、5以下がよりさらに好ましい。
(アルカリ剤)
組成物(2)は、製剤のpHを調製する観点から、アルカリ剤を含有することができる。
当該アルカリ剤としては、例えば、アンモニア;モノ-、ジ-又はトリメタノールアミン、モノ-、ジ-又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、N-メチルエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン;ベンジルアミン等のアラルキルアミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。アルカノールアミン、アルキルアミン、又はアラルキルアミンの炭素数は、水溶性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。
なかでも、pH調整のしやすさの観点からは、アルカリ剤はアンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン、アラルキルアミン、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アンモニア及びアルカノールアミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましく、モノアルカノールアミンを含むことがさらに好ましく、モノエタノールアミンを含むことがよりさらに好ましい。
組成物(2)がアルカリ剤を含有する場合、組成物(2)中のアルカリ剤の含有量は、処方安定性の観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
(防腐剤)
組成物(2)は、防腐剤を含有することができる。
当該防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル(p-ヒドロキシ安息香酸メチル)、イソプロピルメチルフェノール、フェノキシエタノール、デヒドロ酢酸及びその塩類等が挙げられる。
組成物(2)が防腐剤を含有する場合、組成物(2)中の防腐剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。また、好ましくは0.01質量%~5質量%、より好ましくは0.05質量%~2質量%、より好ましくは0.05質量%~1質量%である。
(水性媒体)
組成物(2)は、通常、水性媒体を含有する。水性媒体としては、組成物(1)で例示したものが挙げられ、水が好ましい。
組成物(2)が水性媒体を含有する場合、組成物(2)中の水性媒体の含有量は、組成物(2)の剤型により適宜選択することができるが、通常、1~95質量%の範囲である。
水性媒体として水を用いる場合には、ケラチン繊維への塗布性、組成物(2)の安定性、良好な指通り性を確保する観点から、組成物(2)中の水の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、よりさらに好ましくは80質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。また、好ましくは50質量%~95質量%、より好ましくは60質量%~95質量%、さらに好ましくは70質量%~90質量%であり、よりさらに好ましくは80質量%~90質量%である。
組成物(2)の製造方法は特に限定されない。例えば、成分(C)、(D)、及び必要に応じて用いられるその他の成分を実施例に記載の方法で配合し、公知の攪拌装置等を用いて混合することにより製造できる。
[ケラチン繊維染色方法]
本発明はさらに、上記組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程と、上記組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程とを順に有するケラチン繊維染色方法を提供する。
上記組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程は上述した工程(i)と同様の工程とすることができる。上記組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程は上述した工程(ii)と同様の工程とすることができる。また、上記ケラチン繊維染色方法において、上述したケラチン繊維処理方法と同様に、上記組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程と上記組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程との間に、上述した工程(i-1)~(i-3)を有していてもよい。また、上記ケラチン繊維染色方法において、上述したケラチン繊維処理方法と同様に、上記組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程の後に、組成物(2)がリーブオフ形態で用いられる場合は上述した工程(ii-1)~(ii-2)を有していてもよく、組成物(2)がリーブオン形態で用いられる場合は工程(ii-2)を有していてもよい。
本発明は、本発明の一実施形態として、組成物(1)を洗浄剤としてケラチン繊維に適用する工程と、組成物(2)をリンス剤、コンディショニング剤及びトリートメント剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上としてケラチン繊維に適用する工程とを有する、ケラチン繊維染色方法も提供する。すなわち、洗浄剤である組成物(1)をケラチン繊維に適用し、泡立ててケラチン繊維を洗浄した後、水で洗い流す。そして、上記リンス剤、コンディショニング剤及びトリートメント剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上である組成物(2)をケラチン繊維に適用し、必要に応じて短時間(1~5分程度)放置した後に水で洗い流す。以上のような工程を日常的に繰り返すことにより、容易に、かつ短期間でケラチン繊維を染めることができ、染め上がりの色味が黄みを帯びることを抑制することができる。
[ケラチン繊維用組成物キット]
本発明は、以下の構成を備えるケラチン繊維用組成物キットも提供する。
具体的には、上記成分(A)及び(B)を含有するpHが8.0以上12.0以下の組成物(1)、及び、上記成分(C)及び(D)を含有するpHが3.5以上8.0未満の組成物(2)を備えるケラチン繊維用組成物キットである。
上記ケラチン繊維用組成物キットは、例えば、組成物(1)と組成物(2)とをそれぞれ別の容器に収容しそれらの容器を一組にした態様とすることができる。
別の態様としては、上記ケラチン繊維用組成物キットは、1つの容器が少なくとも2つに分かれた区画を有しており、上記区画のうち第1の区画に組成物(1)が収容され、上記区画のうち第1の区画とは異なる第2の区画に組成物(2)が収容されたものとすることができる。
上述の実施形態に関し、本発明はケラチン繊維処理方法、ケラチン繊維用組成物キット、及びケラチン繊維の染色方法を開示する。
<1>
下記工程(i)及び工程(ii)を順に有するケラチン繊維処理方法。
工程(i):次の成分(A)及び(B)を含有し、pHが8.0以上12.0以下である組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩
Figure 2022117478000006

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤
工程(ii):次の成分(C)及び(D)を含有し、pHが3.5以上8.0未満である組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程
(C)カチオン性界面活性剤
(D)高級アルコール
<2>
組成物(1)のpHが、8.5~11.0、好ましくは8.8~10.5、より好ましくは9.0~10.0である、<1>のケラチン繊維処理方法。
<3>
組成物(2)のpHが、4.0~7.5、好ましくは4.2~7.5、より好ましくは4.3~7.3、さらに好ましくは4.8~7.3、よりさらに好ましくは5.0~7.3、さらに好ましくは5.0~7.1である、<1>又は<2>のケラチン繊維処理方法。
<4>
下記工程(i)及び工程(ii)を順に有するケラチン繊維処理方法。
工程(i):次の成分(A)及び(B)を含有し、pHが8.5以上11.0以下である組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩 0.05~3質量%
Figure 2022117478000007

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤 0.1~5質量%
工程(ii):次の成分(C)及び(D)を含有し、pHが4.2以上7.5以下である組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程
(C)カチオン性界面活性剤 0.1~10質量%
(D)高級アルコール 1~10質量%
<5>
下記工程(i)及び工程(ii)を順に有するケラチン繊維処理方法。
工程(i):次の成分(A)及び(B)を含有し、pHが8.8以上10.5以下である組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩 0.1~1.0質量%
Figure 2022117478000008

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤 0.5~3質量%
工程(ii):次の成分(C)及び(D)を含有し、pHが5.0以上7.3以下である組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程
(C)カチオン性界面活性剤 0.5~5質量%
(D)高級アルコール 2~8質量%
<6>
組成物(2)がさらに酸を含有し、組成物(2)中の酸の含有量が、3.0質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、よりさらに好ましくは0.6質量%以下である、<1>~<5>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<7>
組成物(1)中の成分(A)の含有量に対する組成物(2)中の酸の含有量の比〔(酸)/成分(A)〕が、30以下、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下がよりさらに好ましい、<6>に記載のケラチン繊維処理方法。
<8>
組成物(2)が実質的に酸を含有しない、<1>~<5>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<9>
成分(B)が、アンモニア及びアルカノールアミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上である<1>~<8>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<10>
組成物(1)が成分(E)として酸化防止剤をさらに含有する<1>~<9>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<11>
成分(E)が、L-アスコルビン酸、亜硫酸、ピロ亜硫酸、亜硫酸水素又はこれらの塩、アスコルビン酸グルコシド及び二酸化硫黄からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有する<10>に記載のケラチン繊維処理方法。
<12>
組成物(1)が、成分(F)としてアニオン性界面活性剤をさらに含有する<1>~<11>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<13>
組成物(1)が洗浄剤である<1>~<12>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<14>
組成物(2)が、リンス剤、コンディショニング剤又はトリートメント剤である<1>~<13>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<15>
工程(i)と工程(ii)との間に、ケラチン繊維を水を用いてすすぐ工程を有する<1>~<14>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<16>
前記すすぐ工程後に湿潤状態を保ったまま工程(ii)に供する<15>に記載のケラチン繊維処理方法。
<17>
工程(i)と工程(ii)との間に、下記工程(i-1)、工程(i-2)及び工程(i-3)の工程を有する<1>~<14>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
工程(i-1):組成物(1)の適用後、放置する工程、組成物(1)を泡立てる工程、及び組成物(1)を泡立て、その後放置する工程のいずれかの工程
工程(i-2):ケラチン繊維上の組成物(1)を水を用いてすすぐ工程
工程(i-3):ケラチン繊維を乾燥させる工程
<18>
湿潤状態を保ったまま工程(ii)に供する<17>に記載のケラチン繊維処理方法。
<19>
工程(ii)の後に、ケラチン繊維上の組成物(2)を水を用いて洗い流す工程(ii-1)を有する<1>~<17>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<20>
工程(ii-1)を行った後、ケラチン繊維を乾燥させる工程(工程(ii-2))を有する<19>に記載のケラチン繊維処理方法。
<21>
工程(ii)の後に、ケラチン繊維を乾燥させる工程(ii-2)を有する<1>~<18>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<22>
ケラチン繊維染色方法である<1>~<21>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<23>
次の成分(A)及び(B)を含有するpHが8.0以上12.0以下の組成物(1)、及び、次の成分(C)及び(D)を含有するpHが3.5以上8.0未満の組成物(2)を備えるケラチン繊維用組成物キット。
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩
Figure 2022117478000009

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤
(C)カチオン性界面活性剤
(D)高級アルコール
<24>
組成物(1)のpHが、8.5~11.0、好ましくは8.8~10.5、より好ましくは9.0~10.0である、<23>のケラチン繊維用組成物キット。
<25>
組成物(2)のpHが、4.0~7.5、好ましくは4.2~7.5、より好ましくは4.3~7.3、さらに好ましくは4.8~7.3、よりさらに好ましくは5.0~7.3、さらに好ましくは5.0~7.1である、<23>又は<24>のケラチン繊維用組成物キット。
<26>
次の成分(A)及び(B)を含有するpHが8.5以上11.0以下の組成物(1)、及び、次の成分(C)及び(D)を含有するpHが4.2以上7.5以下の組成物(2)を備えるケラチン繊維用組成物キット。
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩 0.05~3質量%
Figure 2022117478000010

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤 0.1~5質量%
(C)カチオン性界面活性剤 0.1~10質量%
(D)高級アルコール 1~10質量%
<27>
次の成分(A)及び(B)を含有するpHが8.8以上10.5以下の組成物(1)、及び、次の成分(C)及び(D)を含有するpHが5.0以上7.3以下の組成物(2)を備えるケラチン繊維用組成物キット。
(A)一般式(1)で表される化合物又はその塩 0.1~1.0質量
Figure 2022117478000011

〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
(B)アルカリ剤 0.5~3質量%
(C)カチオン性界面活性剤 0.5~5質量%
(D)高級アルコール 2~8質量%
<28>
組成物(2)がさらに酸を含有し、酸が組成物(2)中に3.0質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、よりさらに好ましくは0.6質量%以下である、<23>~<27>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
<29>
組成物(1)中の成分(A)の含有量に対する組成物(2)中の酸の含有量の比〔(酸)/成分(A)〕が、30以下、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、5以下がよりさらに好ましい、<28>に記載のケラチン繊維処理方法。
<30>
組成物(2)が実質的に酸を含有しない、<23>~<27>のいずれかに記載のケラチン繊維処理方法。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、pH測定及び染色性評価は以下の方法により行った。
[pH測定]
pHメーター(F-51、株式会社堀場製作所製)を用いて、ケラチン繊維用組成物の25℃におけるpHを測定した。
[染色性評価]
染色性の評価には、L値が85.1~86.1、a値が0.5~1.0、b値が12.2~13.4である山羊毛(10cm、株式会社ビューラックス製)1gの毛束を用いた。
予め温水(40℃)で15秒すすぎ濡らしておいた上記山羊毛束に対し、浴比1:1:0.2(山羊毛束:水:組成物(1))となるように組成物(1)を塗布し、30秒間なじませた後、30秒間泡立てを行い、温水(40℃)を用いて30秒間すすぎを行った。次に、すすぎ後の山羊毛を軽く絞って余分な水分を落とした後、直ちに浴比1:1:0.2(山羊毛束:水:組成物(2))となるように、組成物(2)を塗布し、60秒間なじませた後、温水(40℃)を用いて30秒間すすぎを行った。この操作を10回繰り返した後、山羊毛を乾燥した。
上記染色処理前の山羊毛束と、上記染色処理後の山羊毛束の色相(L, a, b)を、色彩色差計(CR-400、コニカミノルタ株式会社)を用いて、一つの山羊毛束につき6点測定して平均値を求め、この平均値を用いて下記式(9)に従い色差ΔEを算出した。ΔEの値が大きいほど染色性が良好であると評価される。また、下記式(10)に従い彩度(C)を算出した。
ΔE=〔(ΔL+(Δa+(Δb1/2・・・式(9)
(Δ:染色前後の各色相の変化量)
=〔(a+(b1/2・・・式(10)
[色味評価]
色味評価は、専門パネラー5人が、染色処理後の山羊毛に対して黄味を感じるか否かについて、以下の5段階でランク付けし、A~Eのうち最も多くのパネラーが集まった評価レベルを評価対象の山羊毛束の評価とした。
・A:黄味を全く感じない自然な灰色である
・B:黄味をほとんど感じない灰色である
・C:わずかに黄味を感じるが許容可能なレベルである
・D:やや黄味を感じる薄い灰色である
・E:強い黄味を感じる
[指通り評価]
指通りの評価には、以下の方法で染毛処理を施した毛髪の毛束を用いた。
まず、日本人女性の長さ10cm、質量10g、黒髪トレスの毛束に対し、浴比1:1(毛束:染毛剤)となるように染毛剤としてのブローネクリームヘアカラー6番(花王株式会社製)を塗布し、30℃で15分放置し、温水(40℃)を用いて30秒間すすぎを行った。更に上記処理後の毛髪の毛束を、市販のシャンプー(エッセンシャル、花王株式会社製)を用いて洗浄して温水(40℃)を用いて洗い流す操作を2回繰り返した後に、風乾して、染毛処理を施した毛髪の毛束を得た。
予め温水(40℃)で15秒すすぎ、濡らしておいた上記染毛処理を施した毛髪の毛束に対し、浴比1:1:0.2(毛束:水:組成物(1))となるように組成物(1)を塗布し、30秒間なじませた後、30秒間泡立てを行い、温水(40℃)を用いて30秒間すすぎを行った。次に、すすぎ後の毛束を軽く絞って乾燥することなく直ちに浴比1:1:0.2(毛束:水:組成物(2))となるように、組成物(2)を塗布し、60秒間なじませた後、温水(40℃)を用いて30秒間すすぎを行った。
上記処理後の毛束について、専門パネラー5人が指通りを評価し、以下の6段階でランク付けし、5点~0点のうち最も多くのパネラーが集まった評価レベルを評価対象の毛束の指通り評価とした。3点以上であることが望ましい。
・5点:柔らかさがあり、なめらかな指通り
・4点:なめらかな指通り
・3点:きしみ感はない指通り
・2点:ややきしみ感を感じる指通り
・1点:きしみ感の強い指通り
・0点:髪が絡んで指が通らない
[組成物(1A)の調製]
組成物(1)として、洗浄剤である組成物(1A)を、表1に示す組成で、以下のように調製した。
まず、表1に示す成分のうち、5,6-ジヒドロキシインドール溶液及びL-アスコルビン酸以外の成分を混合し、均一に溶解し、混合溶液を得た。次いで、該混合溶液に、窒素雰囲気下でL-アスコルビン酸を混合した後、5,6-ジヒドロキシインドール溶液を混合し、組成物(1A)を調製した。表1に記載の配合量(質量部)は、いずれも有姿である。
[組成物(2A)の調製]
組成物(2)として、コンディショニング剤である組成物(2A)を、表1に示す組成で、以下のように調製した。
まず、精製水にp-ヒドロキシ安息香酸メチルを加えた後、80℃に加温して溶解させ、p-ヒドロキシ安息香酸メチル水溶液を得た。次に、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、セテアリルアルコール及びプロピレングリコールを80℃に加温して混合し、該混合溶液を上記p-ヒドロキシ安息香酸メチル水溶液に添加し、均一に混合した後、35℃になるまで温度を下げた。次いで高重合度アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルションを混合した後、乳酸とモノエタノールアミンを混合し、pHが4.2の組成物(2A)を調製した。表1に記載の配合量(質量部)は、いずれも有姿である。
[組成物(2B)及び(2C)の調製]
組成物(2B)及び(2C)は、乳酸の配合量をそれぞれ0.85質量部、0.79質量部に変更した以外は、組成物(2A)と同様の手順で、pHが5.3の組成物(2B)及びpHが7.1の組成物(2C)を調製した。
[組成物(2D)の調製]
組成物(2D)は、モノエタノールアミンの配合量を1.0質量部に変更し、乳酸の配合量を2.98質量部に変更した以外は、組成物(2A)と同様の手順で、pHが4.1の組成物(2D)を調製した。
[組成物(2E)の調製]
組成物(2E)は、モノエタノールアミン及び乳酸を使用しないようにしたこと以外は、組成物(2A)と同様の手順で、pHが4.9の組成物(2E)を調製した。
[組成物(2F)及び(2G)の調製]
組成物(2F)及び(2G)は、乳酸の配合量をそれぞれ0.75質量部、4.73質量部に変更した以外は、組成物(2A)と同様の手順で、pHが8.2の組成物(2F)及びpHが3.1の組成物(2G)を調製した。
調製した組成物(1A)及び組成物(2A)~(2G)は、窒素雰囲気下で保管し、pH測定、染色性評価、色味評価、及び指通り評価の際にその都度、分取した。組成物(1A)の組成とpH、及び、組成物(2A)~(2G)の組成とpHを表1に示す。
[実施例1~5、比較例1、2]
組成物(1A)と、組成物(2A)~(2E)のそれぞれとを用いた場合を実施例1~5とし、組成物(1A)と、組成物(2F)及び(2G)のそれぞれとを用いた場合を比較例1、2とし、染色性評価、色味評価、及び指通り評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022117478000012
表中の成分を以下に示す。なお、表中の各成分の配合量(質量部)は、いずれも有姿である。
*1:5,6-ジヒドロキシインドール溶液:特許第5570161号公報に記載された方法により製造された溶液(5,6-ジヒドロキシインドール:1質量%、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸:0.14質量%、エタノール:20質量%、水:残部)
*2:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム;エマールE-27C(花王株式会社製、有効成分量:27.0質量%、水:71.7質量%)
*3:リン酸;リン酸濃度75質量%の水溶液
*4:精製水;全量100質量部となるように配合量を調整
*5:塩化ジステアリルジメチルアンモニウム;コータミンD86P(花王株式会社製、有効成分量:75質量%、水:残部)
*6:塩化ステアリルトリメチルアンモニウム;コータミン86W(花王株式会社製、有効成分量:28質量%、水:残部)
*7:高重合度アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション;シリコーン KT-0032(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、有効成分量:40質量%、水:49質量%)
*8:乳酸;乳酸濃度90質量%の水溶液
*9:精製水;全量100質量部となるように配合量を調整
本実施例においては、本発明のケラチン繊維処理方法を行った場合に、自然な灰色に染色されるかを測色値及び目視評価により評価した。測色値の評価については、測色値のbが大きい程、黄みを有することを示す。しかし、bの値が小さくても、彩度が上がると、本来無彩色の灰色とは異なる不自然な色味が感じられる。そのため、本発明においては測色値においてはbは0に近く、彩度は小さい方が好ましい。
表1より、以下のことが判る。
実施例1~5に示すように、本発明のケラチン繊維処理方法によれば、黄味の少ない自然な灰色に染められる高い染色性を発現する。また、組成物(1)による洗浄及び組成物(2)によるコンディショニングを10回繰り返した後の染め上がりが自然な灰色になる。さらに、組成物(1)を用いた工程(i)と組成物(2)を用いた工程(ii)とを経た後のケラチン繊維の指通りを良好なものとすることができる。
実施例1~3と、乳酸の配合量を変えて組成物(2)のpHを8.0超とした以外は実施例1~3と同じ組成の比較例1との対比から、組成物(2)のpHが8.0超であると、組成物(1)による洗浄及び組成物(2)によるコンディショニングを10回繰り返した後も染色性においては大きな差異はなく色味も良好であるが、組成物(1)を用いた工程(i)と組成物(2)を用いた工程(ii)とを経た後のケラチン繊維の指通りが悪くなることが判る。
実施例1~3と、乳酸の配合量を変えて組成物(2)のpHを3.5未満とした以外は実施例1~3と同じ組成の比較例2との対比から、組成物(2)のpHが3.5未満であると、組成物(1)を用いた工程(i)と組成物(2)を用いた工程(ii)とを経た後のケラチン繊維の指通りは良好であるが、組成物(1)による洗浄及び組成物(2)によるコンディショニングを10回繰り返した後に、染色性が大きく低下し、黄みを帯びることが判る。
本明細書において、本発明に係る一実施形態として、下記の表2に処方例1~6を開示する。
Figure 2022117478000013
表中の成分を以下に示す。なお、表中の各成分の配合量(質量部)は、いずれも有姿である。
*11:5,6-ジヒドロキシインドール溶液:特許第5570161号公報に記載された方法により製造された溶液(5,6-ジヒドロキシインドール:1質量%、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸:0.14質量%、エタノール:20質量%、水:残部)
*12:5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩溶液(AK-scientific社製、5,6-ジヒドロキシインドリン臭化水素酸塩:1質量%、エタノール:20質量%、水:残部)
*13:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム;エマールE-27C(花王株式会社製、有効成分量:27.0質量%、水:71.7質量%)
*14:リン酸;リン酸濃度75質量%の水溶液
*15:両性界面活性剤(ラウリン酸アミドプロピルベタイン);アンヒトール 20AB(花王株式会社製、有効成分量:28.8質量%、水:64.0質量%)
*16:2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン;アンヒトール 20Y-B(花王株式会社製、有効成分量:40.0質量%、水:42.0質量%)
*17:塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチル/ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース;ソフトキャット ポリマー SL-30(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー社製、有効成分量:91.0質量%、水:5.0質量%)
*18:塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム(カチオン化グアガム);Jaguar Excel(Solvay(Novecare社製))
*19:塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液;MERQUAT 280NP POLYMER(Lubrizol Advanced Materials,Inc製、有効成分量:41.0質量%、水:残部)
*20:精製水;全量100質量部となるように配合量を調整
*21:塩化ジステアリルジメチルアンモニウム;コータミンD86P(花王株式会社製、有効成分量:75質量%、水:残部)
*22:塩化ステアリルトリメチルアンモニウム;コータミン86W(花王株式会社製、有効成分量:28質量%、水:残部)
*23:高重合度アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体エマルション;シリコーン KT-0032(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、有効成分量:40質量%、水:49質量%)
*24:乳酸;乳酸濃度90質量%の水溶液
*25:水酸化ナトリウム;水酸化ナトリウム濃度48質量%の水溶液、pHが5.0になるように配合量を調整
*26:精製水;全量100質量部となるように配合量を調整
本発明によれば、例えばシャンプー等の頭髪の洗浄の機能を兼ね備えた、ケラチン繊維を徐々に染色する第1の組成物と、例えばコンディショニング機能やトリートメント等の効果を与える第2の組成物とを順にケラチン繊維に適用することで、染色性の低下を抑制しつつ、徐々に染まるケラチン繊維を、黄みの少ない、メラニン前駆体が酸化されることにより発現する本来の色に染まったものとすることができる、しかも指通りを良くすることができるケラチン繊維処理方法とすることができる。

Claims (10)

  1. 下記工程(i)及び工程(ii)を順に有するケラチン繊維処理方法。
    工程(i):次の成分(A)及び(B)を含有し、pHが8.0以上12.0以下である組成物(1)をケラチン繊維に適用する工程
    (A)一般式(1)で表される化合物又はその塩
    Figure 2022117478000014

    〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
    (B)アルカリ剤
    工程(ii):次の成分(C)及び(D)を含有し、pHが3.5以上8.0未満である組成物(2)をケラチン繊維に適用する工程
    (C)カチオン性界面活性剤
    (D)高級アルコール
  2. 成分(B)が、アンモニア及びアルカノールアミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載のケラチン繊維処理方法。
  3. 組成物(1)が成分(E)として酸化防止剤をさらに含有する請求項1又は2に記載のケラチン繊維処理方法。
  4. 成分(E)が、L-アスコルビン酸、亜硫酸、ピロ亜硫酸、亜硫酸水素又はこれらの塩、アスコルビン酸グルコシド及び二酸化硫黄からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項3に記載のケラチン繊維処理方法。
  5. 組成物(1)が、成分(F)としてアニオン性界面活性剤をさらに含有する請求項1~4のいずれか1項に記載のケラチン繊維処理方法。
  6. 組成物(1)が洗浄剤である請求項1~5のいずれか1項に記載のケラチン繊維処理方法。
  7. 組成物(2)が、リンス剤、コンディショニング剤又はトリートメント剤である請求項1~6のいずれか1項に記載のケラチン繊維処理方法。
  8. 工程(i)と工程(ii)との間に、ケラチン繊維を水を用いてすすぐ工程を有する請求項1~7のいずれか1項に記載のケラチン繊維処理方法。
  9. ケラチン繊維染色方法である請求項1~8のいずれか1項に記載のケラチン繊維処理方法。
  10. 次の成分(A)及び(B)を含有するpHが8.0以上12.0以下の組成物(1)、及び、次の成分(C)及び(D)を含有するpHが3.5以上8.0未満の組成物(2)を備えるケラチン繊維用組成物キット。
    (A)一般式(1)で表される化合物又はその塩
    Figure 2022117478000015

    〔式(1)中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、Rは水酸基又はアセトキシ基を示し、Rは水素原子又は-COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)を示し、Rは水素原子、アセチル基、メチル基又はエチル基を示す。〕
    (B)アルカリ剤
    (C)カチオン性界面活性剤
    (D)高級アルコール
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