JP2022115535A - 金属部品の接合方法、接合部品の製造方法、及び金属部品の接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】金型の構造を複雑化することなく、十分な接合強度を確保できる、バーリング加工を用いたかしめ接合の技術を提供する。【解決手段】複数の金属部品の板状部を、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合方法である。バーリング加工の前に、かしめ材における下穴の外周部となる領域を凹形状とし、バーリング加工では、凹形状内の外周部を拘束した状態で、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成し、かしめ材におけるフランジ部の立上り方向とは反対側の面にかしめ相手材を配置した状態で、フランジ部をかしめ相手材に向けて曲げ加工を施して、フランジ部をかしめ相手材の配置側に向けて拡径した負角状態とし、その後に、フランジ部をかしめ相手材に向けてかしめを行う。【選択図】図6
Description
本発明は、2以上の金属部品の板状部の部分を、バーリング成形を用いたかしめ加工により接合する接合方法、それを適用した接合部品の製造方法及び金属部品の接合構造に関する技術である。
近年、自動車車体の衝突安全性向上と軽量化を両立させるため、車体部品の異種材接合技術の開発が進んでいる。一般的に自動車プレス部品の接合として、スポット溶接等の接合方法が用いられるが、異種材の接合は金属間化合物などの課題がある。また、超ハイテン材においてもLME等の溶接課題があり、溶接以外の接合方法が求められている。
上記スポット溶接の代替として、摩擦撹拌接合(FSW)やセルフピアシングリベット、メカニカルクリンチングといった接合方法の開発が進んでいる。しかし、自動車部品の量産にこれらの技術を適用する場合、摩擦撹拌接合やセルフピアシングリベットでは設備投資や追加部品のコストアップ、メカニカルクリンチングでは接合強度の低下といった課題が挙げられる。
ここで、特許文献1には、2枚の金属板の下穴が一致するように重ね合わせ、この状態でバーリング成形を施して筒状のフランジ部を形成した後に、筒状のフランジ部の端部周縁部を他方の金属板を包み込むように拡径方向へ屈曲してかしめることで、端部かしめ部と最外側に位置する金属板の間に、他の金属板を狭着することを記載されている。
また、特許文献2に記載のプレス成形方法は、丸穴を有するベース金属板の上に丸穴を有する被接合金属板を各穴の中心が一致するように重ね合わせ、バーリング加工用のパンチを被接合金属板の丸穴に圧入することで、バーリング部の周縁部がベース金属板の内周部に圧着し、2枚の金属板が接合される、ことが記載されている。
また、特許文献3には、薄板金属板の重ね合わせ部に突き破りポンチを差し込んで、ガイド孔を形成すると共に、このガイド孔の周縁を裏面に向かって屈曲させるバーリング加工を行った後に、カウンタポンチを薄板金属板の裏面から屈曲縁に押し付けることにより、屈曲縁を重ね合わせ部の裏面に折り返すヘミング加工を行って薄板金属板を重ね合わせ部で結合する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載のプレス成形方法では、バーリング加工により立ち上がるフランジ部が円筒状となっており、金属板面に対して垂直方向(板面に対し90度以下の立上り)までしか成形されない。このため、筒状のフランジ部の端部周縁部のかしめ工程で、フランジ部の先端部が潰されてかしめができない可能性がある。また、かしめ工程でフランジ部(バーリング部)の先端板端面が金型に潰されることで、当該金型が傷みやすくなり、量産コストが増加する可能性がある。
また、特許文献2に記載のプレス成形方法は、バーリング部の周縁部がベース金属板の端面に圧着する方法であり、この成形方法では、接合する金属板が薄板の場合に、十分な接合強度が得られない可能性がある。
更に、特許文献3に記載のプレス成形方法は、1つの工程で穴開けからかしめ加工まで実施することを前提としているため、金型構造が複雑になり、金型の製作費用や補修費などが増加する可能性がある。また、このプレス成形方法では、接合する板材の強度が高いハイテン材の場合には、金型制約上加工できない可能性がある。
本発明は、上記のような点を鑑みてなされたものであり、金型の構造を複雑化することなく、十分な接合強度を確保できる、バーリング加工を用いたかしめ接合の技術を提供することを目的とする。
課題解決のため、本発明の一態様は、複数の金属部品の板状部を、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合方法であって、上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に下穴を形成する工程と、上記かしめ材の下穴外周にバーリング加工を施して、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成するバーリング工程と、上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に開口を形成する工程と、上記下穴と上記開口とを合わせてかしめ材の上にかしめ相手材を重ねた状態で、上記フランジ部をかしめて板状部同士を接合するかしめ工程と、を備え、上記バーリング工程の前に、上記かしめ材における上記下穴の外周部となる領域を、上記フランジ部の立ち上げ方向とは反対側に凹の凹形状とする凹形状形成工程、を有し、上記凹形状内に、上記フランジ部となる領域が設定され、上記バーリング工程では、上記凹形状形成工程で形成した凹形状内の外周部を拘束した状態で、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成し、上記バーリング工程後の工程として、上記かしめ材における上記フランジ部の立上り方向とは反対側の面に上記かしめ相手材を配置した状態で、上記フランジ部を上記かしめ相手材に向けて曲げ加工を施して、上記フランジ部を上記かしめ相手材の配置側に向けて拡径した負角状態とするかしめ予成形工程を有し、上記かしめ工程は、上記かしめ予成形工程後に、上記フランジ部を上記かしめ相手材に向けてかしめを行う。
本発明の態様によれば、かしめ前の予成形で、かしめの際のプレス方向に対し、フランジ部がかしめ相手材の配置側に向けて拡径した負角状態とする。この結果、かしめの際に、フランジ部が、確実にかしめ相手材の上に巻きつくように変形する。そして、かしめ加工のプレスによって、よりその巻きつけられた部分をかしめることが可能となる。
このため、本発明の態様によれば、バーリング加工を用いたかしめ接合について、金型形状などの金型構造を複雑化することなく、十分な接合強度を確保できる接合構造体を取得することができる。この結果、本発明の態様によれば、例えば、自動車部品におけるハイテン材を用いたかしめ接合や、異種材接合が可能となり、自動車車体の軽量化に貢献できる。
次に、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態は、複数の金属部品の板状部を重ねて、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合技術に関する。すなわち、本実施形態は、バーリング加工を用いたかしめ接合の技術に関するものである。
本実施形態は、複数の金属部品の板状部を重ねて、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合技術に関する。すなわち、本実施形態は、バーリング加工を用いたかしめ接合の技術に関するものである。
ここで、「金属部品の板状部」と記載しているのは、少なくともかしめ接合される部分が板状となっていればよく、金属部品として、かしめ接合される箇所以外に板形状以外の部分を有していても良いことを表している。
本実施形態では、金属部品全体が板材からなる場合を例にして説明する。このため、金属部品及び金属部品の板状部をともに、金属板とも呼んで説明する。すなわち、本実施形態の例では、複数の金属板をかしめ接合する場合とする。また、バーリング加工を施す金属板をかしめ材と呼び、かしめ材以外の金属板をかしめ相手材と呼ぶ。
本実施形態の金属部品の接合方法は、図1に示すように、開口工程100、下穴工程101、バーリング工程103、かしめ工程105を備える。更に、本実施形態の接合方法は、凹形状形成工程102及びかしめ予成形工程104を備える。各工程は、プレス加工で行われる。
開口工程100は、かしめ相手材1の板状部における接合位置に開口1aを形成する工程である。
下穴工程101は、かしめ材2の板状部(接合部)に下穴2aを形成する工程である。
凹形状形成工程102は、バーリング工程103の前に、かしめ材2における下穴2aの外周部となる領域を、立ち上げ方向とは反対側に凹の凹形状3とする成形工程である。ここで、凹形状3内に、具体的には、凹形状3の底面内にフランジ部2Aとなる領域が設定される。
下穴工程101は、かしめ材2の板状部(接合部)に下穴2aを形成する工程である。
凹形状形成工程102は、バーリング工程103の前に、かしめ材2における下穴2aの外周部となる領域を、立ち上げ方向とは反対側に凹の凹形状3とする成形工程である。ここで、凹形状3内に、具体的には、凹形状3の底面内にフランジ部2Aとなる領域が設定される。
バーリング工程103は、かしめ材2の下穴2aの外周にバーリング加工を施して、下穴2aの周囲を立ち上げてフランジ部2A(立上り部)を形成する工程である。本実施形態のバーリング工程では、凹形状形成工程102で形成した凹形状3内の外周部3aを拘束した状態で、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部2Aを形成する。
かしめ予成形工程104は、バーリング工程後の工程であって、かしめ材2におけるフランジ部2Aの立上り方向とは反対側の面にかしめ相手材1を配置した状態で、フランジ部2Aをかしめ相手材1に向けて曲げ加工を施して、フランジ部2Aをかしめ相手材1の配置側に向けて拡径した負角状態とする工程である。
かしめ工程105は、かしめ相手材1の開口1aにフランジ部2Aを通して複数の板状部を重ねた状態として、フランジ部2Aをかしめて、複数の金属板同士(板状部同士)を接合する工程である。本実施形態のかしめ工程105は、かしめ予成形工程104後に、フランジ部をかしめ相手材に向けてかしめを行う。
ここで、バーリング工程103の前に、下穴工程101及び凹形状形成工程102が行われるが、下穴工程101及び凹形状形成工程102の実行順序には特に限定はない。
また、接合される金属板の引張強度について、特に限定はない。例えば、接合される金属板のうち、少なくともかしめ相手材1は、引張強度が270MPa以上の鋼板やアルミ合金材などの金属板から構成されてもよい。かしめ材2も、引張強度が270MPa以上の鋼板やアルミ合金材などの金属板であってもよい。異種材料同士の接合の場合には、かしめ材2の引張強度が、かしめ相手材1の引用強度よりも大きくなるように設定することが好ましい。
また、かしめ相手材1は、2枚以上であってもよい。
また、かしめ相手材1は、2枚以上であってもよい。
次に、金属部品の具体的な接合方法の例を、図面を参照して説明する。
以下の例では、かしめ材2及びかしめ相手材1を構成する金属板がそれぞれ1枚ずつの場合とする。かしめ相手材1が2枚以上であってもよい。
以下の例では、かしめ材2及びかしめ相手材1を構成する金属板がそれぞれ1枚ずつの場合とする。かしめ相手材1が2枚以上であってもよい。
<開口工程100、下穴工程101>
開口工程100及び下穴工程101は、図2に示すように、かしめ相手材1若しくはかしめ材2を構成する金属板を厚さ方向でダイ10と板押え11とで拘束した状態で、穴形状と同じ断面形状のパンチ12を板厚方向に下降することで板を打ち抜き、金属板1,2に穴1a、2aを形成する。
なお、開口1aの径は、かしめ材2に設ける下穴2aの径よりも大きい。具体的には、かしめ接合するためにかしめ相手材1とかしめ材2を重ねた際に、開口1aの開口端は、フランジ部を形成する領域ARAの外縁と同じか、それよりも外側に位置する。
開口工程100及び下穴工程101は、図2に示すように、かしめ相手材1若しくはかしめ材2を構成する金属板を厚さ方向でダイ10と板押え11とで拘束した状態で、穴形状と同じ断面形状のパンチ12を板厚方向に下降することで板を打ち抜き、金属板1,2に穴1a、2aを形成する。
なお、開口1aの径は、かしめ材2に設ける下穴2aの径よりも大きい。具体的には、かしめ接合するためにかしめ相手材1とかしめ材2を重ねた際に、開口1aの開口端は、フランジ部を形成する領域ARAの外縁と同じか、それよりも外側に位置する。
<凹形状形成工程102>
凹形状形成工程102は、図3に示すように、下型13と上型14で上下からプレスして、下穴2a外周に対し、バーリング加工でのフランジ部2Aの立ち上げ方向とは反対側に凹の凹形状3を形成する。
すなわち、下型13の上面には、凹形状3の形成位置に、凹形状3に倣った形状の張出部13aが内周側に形成されている。また、上型14の下面には、凹形状3の形成位置に、凹形状3に倣った形状の凹部14aが内周面側に形成されている。すなわち、張出部13aと凹部14aがプレス方向で対向している。
凹形状形成工程102は、図3に示すように、下型13と上型14で上下からプレスして、下穴2a外周に対し、バーリング加工でのフランジ部2Aの立ち上げ方向とは反対側に凹の凹形状3を形成する。
すなわち、下型13の上面には、凹形状3の形成位置に、凹形状3に倣った形状の張出部13aが内周側に形成されている。また、上型14の下面には、凹形状3の形成位置に、凹形状3に倣った形状の凹部14aが内周面側に形成されている。すなわち、張出部13aと凹部14aがプレス方向で対向している。
このため、かしめ材2を下型13と上型14で上下からプレスすることで、下穴2aの外周に凹形状3が形成される。凹形状3は、図4に示すように、底面にフランジ形成領域ARAが配置されるだけの大きさの外周輪郭形状を有する。すなわち、凹形状3内に、フランジ部2Aとなる領域ARAを設定することが可能な大きさに、当該凹形状3が設定されている。
ここで、凹形状3内における領域ARAの外側が、凹形状3内の外周部3aに対応する。
ここで、凹形状3内における領域ARAの外側が、凹形状3内の外周部3aに対応する。
<バーリング工程103>
バーリング工程103は、まず図5(a)に示すように、上型15と下型16でかしめ材2を拘束する。本実施形態では、凹形状形成工程102で形成した凹形状3内の外周部3aを下型15の張出部15aで拘束した状態とする。そして、凹形状3の凹側(底側)から、図5の(a)→(b)のように、バーリング用のパンチ17を通過させることで、下穴2a外周を立ち上げてフランジ部2Aを形成する。
バーリング工程103は、まず図5(a)に示すように、上型15と下型16でかしめ材2を拘束する。本実施形態では、凹形状形成工程102で形成した凹形状3内の外周部3aを下型15の張出部15aで拘束した状態とする。そして、凹形状3の凹側(底側)から、図5の(a)→(b)のように、バーリング用のパンチ17を通過させることで、下穴2a外周を立ち上げてフランジ部2Aを形成する。
このバーリング工程では、フランジ部2Aの外周に位置した凹形状3の外周部3aの部分が、上型16と下型15で拘束されているため、フランジ部2Aの成形に影響することなく、若しくは影響が殆どないので、フランジ部2Aの外周にリング状(ドーナツ状)の凹状態として残存している。また、この凹形状3内の外周部3aは、フランジ部2Aの立上り方向とは反対側に張り出した凹状態となっている。
<かしめ予成形工程104>
かしめ予成形工程104は、バーリング工程103の後に行われる。
かしめ予成形工程104は、図6(a)に示すように、かしめ材におけるフランジ部2Aの立上り方向とは反対側の面(上面)にかしめ相手材1を配置した状態として、凹形状3位置よりも外周側を下型18と上型19で拘束する。ここで、下型18における、フランジ部2Aの先端部と対向する面18aは、内側に傾斜していることが好ましい。
かしめ予成形工程104は、バーリング工程103の後に行われる。
かしめ予成形工程104は、図6(a)に示すように、かしめ材におけるフランジ部2Aの立上り方向とは反対側の面(上面)にかしめ相手材1を配置した状態として、凹形状3位置よりも外周側を下型18と上型19で拘束する。ここで、下型18における、フランジ部2Aの先端部と対向する面18aは、内側に傾斜していることが好ましい。
続いて、かしめ予成形工程104は、図6(a)→(b)のように、フランジ部2Aの立上り方向とは反対側(上側)から、円錐パンチ20を下降して、円錐パンチ20の円錐部の傾斜面でフランジ部2A内を押し広げて、図6(b)のように、フランジ部2Aをかしめ相手材1に向ける曲げ加工を施し、フランジ部2Aをかしめ相手材1の配置側に向けて拡径した負角状態とする。
ここで、図6(a)のように、円錐パンチ20が、凹状の外周部3a(フランジ部の付け根)に当接し、続く円錐パンチ20の下降に伴い、当該凹状の外周部3aのエッジが外側に移動するように回転変位することで、フランジ部2Aがかしめ相手材1の配置側に向けて拡径して負角状態となる。
ここで、図6(a)のように、円錐パンチ20が、凹状の外周部3a(フランジ部の付け根)に当接し、続く円錐パンチ20の下降に伴い、当該凹状の外周部3aのエッジが外側に移動するように回転変位することで、フランジ部2Aがかしめ相手材1の配置側に向けて拡径して負角状態となる。
本実施形態では、バーリング加工で立ち上がったフランジ部2Aの外周の全周に無端環状の凹部分3aが配置される。
このため、かしめ予成形工程104において、円錐形状のパンチ20をプレス方向に移動させるという簡単な操作で、フランジ部2Aが拡径方向に変形、つまりかしめ工程でのプレス方向に対して、フランジ部2Aが負角(拡径方向に角度がついた状態)となって、フランジ部2Aをかしめ相手材1の上に巻きつけることが可能となる。
このため、かしめ予成形工程104において、円錐形状のパンチ20をプレス方向に移動させるという簡単な操作で、フランジ部2Aが拡径方向に変形、つまりかしめ工程でのプレス方向に対して、フランジ部2Aが負角(拡径方向に角度がついた状態)となって、フランジ部2Aをかしめ相手材1の上に巻きつけることが可能となる。
<かしめ工程105>
かしめ工程105は、かしめ予成形工程104の後に実行される。
かしめ工程105では、まず、図7(a)のように、かしめ材2とかしめ相手材1を、かしめ予成形工程104での配置の状態のまま、凹形状3よりも外周部位置を下型21と上型22とで、図7(a)→(b)のように、板厚方向にプレスする。上型22のプレス面は、平坦形状など、かしめ部を平らにすることが可能な面形状とする。
なお、下型中部の突起は、フランジ部2Aが穴の内側方向に変位しないように規制するものである。この突起がないと、かしめ材2がかしめ相手材1の上面に回転しない可能性がある。
上型の下死点を規制して、かしめる際の押圧力を規定するものである。
かしめ工程105は、かしめ予成形工程104の後に実行される。
かしめ工程105では、まず、図7(a)のように、かしめ材2とかしめ相手材1を、かしめ予成形工程104での配置の状態のまま、凹形状3よりも外周部位置を下型21と上型22とで、図7(a)→(b)のように、板厚方向にプレスする。上型22のプレス面は、平坦形状など、かしめ部を平らにすることが可能な面形状とする。
なお、下型中部の突起は、フランジ部2Aが穴の内側方向に変位しないように規制するものである。この突起がないと、かしめ材2がかしめ相手材1の上面に回転しない可能性がある。
上型の下死点を規制して、かしめる際の押圧力を規定するものである。
このとき、かしめ予成形工程104によって、かしめ材2のフランジ部2Aが、かしめ相手材1の上方に巻き付つくように拡径方向(負角の方向)に傾斜しているため、下型21と上型22のプレスによって、フランジ部2Aは、凹形状の外周部3aを介して、かしめ相手材1の上に巻き付くように潰れ、決め押しのかしめが実施される。
ここで、従来のバーリングかしめ接合では、フランジ部2Aの先端面がかしめ部の外側を向く形でかしめが行われるため、伸びフランジ成形性が求められる。これに対し、本実施形態では、フランジ部2Aの先端面がかしめ部の内側(穴側)を向く形でかしめが行われる。このため、本実施形態では、従来のバーリングかしめ接合に比べて、低い伸びフランジ成形性の材料でもかしめることが可能となる。
(変形例)
(1)上記実施形態では、下穴2aを形成した後に、凹形状3の成形を行う場合を例示したが、これに限定されない。例えば、図8(a)に示すように、凹形状3に倣った張出部を有する下型23と、凹形状3に倣った凹部を有する上型24で、下穴2aを開口していないかしめ材2をプレスして凹形状3を形成する。その後に、図8(b)→(c)のように、上型26と下型25で拘束し、凹形状3の中央部を、抜きパンチ27で板を打ち抜いて下穴2aを形成するようにしても良い。
(1)上記実施形態では、下穴2aを形成した後に、凹形状3の成形を行う場合を例示したが、これに限定されない。例えば、図8(a)に示すように、凹形状3に倣った張出部を有する下型23と、凹形状3に倣った凹部を有する上型24で、下穴2aを開口していないかしめ材2をプレスして凹形状3を形成する。その後に、図8(b)→(c)のように、上型26と下型25で拘束し、凹形状3の中央部を、抜きパンチ27で板を打ち抜いて下穴2aを形成するようにしても良い。
この場合、凹形状3の形成の際に、凹形状3の平底の伸びフランジ成形を無視することができ、伸びフランジ割れリスクを低減することができる。
ここで、上記説明では、下穴2aが丸穴である場合を想定して記載しているが、下穴2aの断面形状が円形でなくても良い。例えば下穴2aの断面形状が、四隅の角部にRや面取りが付与された四角形形状や楕円形状であっても良い。また、必ずしも下穴2aの全周をバーリングする必要はなく、周方向の一部分だけをバーリングしてフランジ部2Aとしても良い。形成したフランジ部2Aをかしめることで、金属部品が接合可能であればよい。例えば、下穴が上記のような四角形状であれば、4隅の角部部分だけをバーリングしたり、4辺の部分だけをバーリングしたりしても良い。
(動作その他)
バーリング加工前に凹形状3を形成しない場合、すなわち、平板状のかしめ材2に下穴2aを形成し(打抜きにより打抜き穴を加工し)、下穴2aに対してバーリング成形を施して、フランジ部2A(バーリング部)を形成した場合、図9(a)に示すように、フランジ部2Aは、円筒形状となって板面に対して垂直方向に成形される。このため、かしめの工程(図9(b)~(d)参照)にて、フランジ部2Aを上側から押し潰すと、図9(c)のように、フランジ部2Aの先端部の端面が潰れて、図9(d)のように、かしめができないか不十分である可能性がある。
バーリング加工前に凹形状3を形成しない場合、すなわち、平板状のかしめ材2に下穴2aを形成し(打抜きにより打抜き穴を加工し)、下穴2aに対してバーリング成形を施して、フランジ部2A(バーリング部)を形成した場合、図9(a)に示すように、フランジ部2Aは、円筒形状となって板面に対して垂直方向に成形される。このため、かしめの工程(図9(b)~(d)参照)にて、フランジ部2Aを上側から押し潰すと、図9(c)のように、フランジ部2Aの先端部の端面が潰れて、図9(d)のように、かしめができないか不十分である可能性がある。
これに対し、本実施形態では、バーリング工程の前に、下穴2aの外周部となる領域であってフランジ部2Aとなる領域を完全に含む大きさの凹形状3を、かしめ材2に形成しておく。
これによって、バーリング加工で立ち上がったフランジ部2Aの外周の全周に無端環状の凹状の外周部3aが配置される。
これによって、バーリング加工で立ち上がったフランジ部2Aの外周の全周に無端環状の凹状の外周部3aが配置される。
そして、かしめの予成形として、バーリング工程後の凹状の外周部3aを拡径側に押しすという簡単な操作で、当該外周部3aが回転変位し、それに伴ってフランジ部2Aが拡径方向に変形、つまりかしめ工程でのプレス方向に対して、フランジ部2Aが負角(拡径方向に角度がついた状態)となる。この結果、かしめ工程において、フランジ部2Aをかしめ相手材1の上に巻きつけることが可能となる。この結果、確実に、かしめ接合を実現することが可能となる。
すなわち、確実に且つスムーズに、かしめ接合を実現することが可能となる。
すなわち、確実に且つスムーズに、かしめ接合を実現することが可能となる。
(その他)
本開示は、以下のような構成も取ることができる。
(1)本実施形態は、複数の金属部品の板状部を、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合方法であって、上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に下穴を形成する工程と、上記かしめ材の下穴外周にバーリング加工を施して、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成するバーリング工程と、上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に開口を形成する工程と、上記下穴と上記開口とを合わせてかしめ材の上にかしめ相手材を重ねた状態で、上記フランジ部をかしめて板状部同士を接合するかしめ工程と、を備え、上記バーリング工程の前に、上記かしめ材における上記下穴の外周部となる領域を、上記フランジ部の立ち上げ方向とは反対側に凹の凹形状とする凹形状形成工程、を有し、上記凹形状内に、上記フランジ部となる領域が設定され、上記バーリング工程では、上記凹形状形成工程で形成した凹形状内の外周部を拘束した状態で、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成し、上記バーリング工程後の工程として、上記かしめ材における上記フランジ部の立上り方向とは反対側の面に上記かしめ相手材を配置した状態で、上記フランジ部を上記かしめ相手材に向けて曲げ加工を施して、上記フランジ部を上記かしめ相手材の配置側に向けて拡径した負角状態とするかしめ予成形工程を有し、上記かしめ工程は、上記かしめ予成形工程104後に、上記フランジ部を上記かしめ相手材に向けてかしめを行う。
本開示は、以下のような構成も取ることができる。
(1)本実施形態は、複数の金属部品の板状部を、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合方法であって、上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に下穴を形成する工程と、上記かしめ材の下穴外周にバーリング加工を施して、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成するバーリング工程と、上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に開口を形成する工程と、上記下穴と上記開口とを合わせてかしめ材の上にかしめ相手材を重ねた状態で、上記フランジ部をかしめて板状部同士を接合するかしめ工程と、を備え、上記バーリング工程の前に、上記かしめ材における上記下穴の外周部となる領域を、上記フランジ部の立ち上げ方向とは反対側に凹の凹形状とする凹形状形成工程、を有し、上記凹形状内に、上記フランジ部となる領域が設定され、上記バーリング工程では、上記凹形状形成工程で形成した凹形状内の外周部を拘束した状態で、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成し、上記バーリング工程後の工程として、上記かしめ材における上記フランジ部の立上り方向とは反対側の面に上記かしめ相手材を配置した状態で、上記フランジ部を上記かしめ相手材に向けて曲げ加工を施して、上記フランジ部を上記かしめ相手材の配置側に向けて拡径した負角状態とするかしめ予成形工程を有し、上記かしめ工程は、上記かしめ予成形工程104後に、上記フランジ部を上記かしめ相手材に向けてかしめを行う。
この構成によれば、かしめの予成形として、かしめの際のプレス方向に対し、フランジ部がかしめ相手材の配置側に向けて拡径した負角状態とする。この結果、かしめの際に、フランジ部が、確実にかしめ相手材の上に巻きつくように変形する。そして、かしめ加工のプレスによって、よりその巻きつけられた部分をかしめることが可能となる。
また、かしめの予成形の前に、立ち上げたフランジ部の外周方向全周に凹部3aが形成されているため、その凹部を円錐形のパンチ20で押して外側に回転させるという、簡単な操作によって、フランジ部を確実に負角にした状態することができ、かしめ工程で、かしめを行うことができる。
この結果、バーリング加工を用いたかしめ接合について、金型形状などの金型構造を複雑化することなく、十分な接合強度を確保できる接合構造体を取得するができる。この結果、本発明の態様によれば、例えば、自動車部品におけるハイテン材を用いたかしめ接合や、異種材接合が可能となり、自動車車体の軽量化に貢献できる。
(2)上記金属部品のうち、少なくともかしめ相手材は、引張強度が270MPa以上の金属板からなる。
この構成によれば、仮にかしめ相手材1がアルミ合金材などの部材から構成されていても、より確実に異種材接合が可能となる。
この構成によれば、仮にかしめ相手材1がアルミ合金材などの部材から構成されていても、より確実に異種材接合が可能となる。
(3)本実施形態の接合部品の製造方法では、複数の金属部品の板状部を、本実施形態に記載の金属部品の接合方法で接合する。
この構成によれば、バーリング加工を用いた接合部品をより簡易に製造可能となる。
接合部品は、例えば自動車車体部品である。
この構成によれば、バーリング加工を用いた接合部品をより簡易に製造可能となる。
接合部品は、例えば自動車車体部品である。
(4)複数の金属部品の板状部が重ねられ、上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に形成された穴の外周部をバーリング加工で立ち上げられたフランジ部が、上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に形成された開口に挿入され、当該フランジ部が上記開口の外周側に向けてかしめられることで、重ねられた上記複数の板状部分が接合された金属部品の接合構造であって、上記開口に挿入されてかしめられた上記フランジ部は、二つ折りされた形状となっており、上記フランジ部の先端部が、上記かしめ材の板状部に形成された上記穴の中心側に向いている、金属部品の接合構造。
本実施形態に基づく上述のかしめ接合方法によって、本構造を構成することが可能である。
本実施形態に基づく上述のかしめ接合方法によって、本構造を構成することが可能である。
1 かしめ相手材(金属部品)
1a 開口
2 かしめ材(金属部品)
2A フランジ部
2a 下穴
3 凹形状
100 開口工程
101 下穴工程
102 凹形状形成工程
103 バーリング工程
104 かしめ予成形工程
105 かしめ工程
1a 開口
2 かしめ材(金属部品)
2A フランジ部
2a 下穴
3 凹形状
100 開口工程
101 下穴工程
102 凹形状形成工程
103 バーリング工程
104 かしめ予成形工程
105 かしめ工程
Claims (4)
- 複数の金属部品の板状部を、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合方法であって、
上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に下穴を形成する工程と、
上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に開口を形成する工程と、
上記かしめ材の下穴外周にバーリング加工を施して、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成するバーリング工程と、
上記下穴と上記開口とを合わせてかしめ材の上にかしめ相手材を重ねた状態で、上記フランジ部をかしめて板状部同士を接合するかしめ工程と、
を備え、
上記バーリング工程の前に、上記かしめ材における上記下穴の外周部となる領域を、上記フランジ部の立ち上げ方向とは反対側に凹の凹形状とする凹形状形成工程、を有し、
上記凹形状内に、上記フランジ部となる領域が設定され、
上記バーリング工程では、上記凹形状形成工程で形成した凹形状内の外周部を拘束した状態で、下穴の周囲を立ち上げて上記フランジ部を形成し、
上記バーリング工程後の工程として、上記かしめ材における上記フランジ部の立上り方向とは反対側の面に上記かしめ相手材を配置した状態で、上記フランジ部を上記かしめ相手材に向けて曲げ加工を施して、上記フランジ部を上記かしめ相手材の配置側に向けて拡径した負角状態とするかしめ予成形工程を有し、
上記かしめ工程は、上記かしめ予成形工程後に、上記フランジ部を上記かしめ相手材に向けてかしめを行う、
ことを特徴とする金属部品の接合方法。 - 上記金属部品のうち、少なくともかしめ相手材は、引張強度が270MPa以上の金属板からなる、請求項1に記載した金属部品の接合方法。
- 複数の金属部品の板状部を、請求項1又は請求項2に記載の金属部品の接合方法で接合する、接合部品の製造方法。
- 複数の金属部品の板状部が重ねられ、上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に形成された穴の外周部をバーリング加工で立ち上げられたフランジ部が、上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に形成された開口に挿入され、当該フランジ部が上記開口の外周側に向けてかしめられることで、重ねられた上記複数の板状部分が接合された金属部品の接合構造であって、
上記開口に挿入されてかしめられた上記フランジ部は、二つ折りされた形状となっており、上記フランジ部の先端部が、上記かしめ材の板状部に形成された上記穴の中心側に向いている、
金属部品の接合構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021012168A JP2022115535A (ja) | 2021-01-28 | 2021-01-28 | 金属部品の接合方法、接合部品の製造方法、及び金属部品の接合構造 |
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JP2022115535A true JP2022115535A (ja) | 2022-08-09 |
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JP2021012168A Pending JP2022115535A (ja) | 2021-01-28 | 2021-01-28 | 金属部品の接合方法、接合部品の製造方法、及び金属部品の接合構造 |
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JP (1) | JP2022115535A (ja) |
-
2021
- 2021-01-28 JP JP2021012168A patent/JP2022115535A/ja active Pending
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