JP2022115532A - 金属部品の接合方法、接合部品の製造方法、及び金属部品の接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】金型の構造を複雑化することなく、十分な接合強度を確保できる、バーリング加工を用いたかしめ接合の技術を提供する。【解決手段】複数の金属部品の板状部を、バーリング加工で形成されたフランジ部2Aをかしめて接合する金属部品の接合方法である。バーリング工程103の前に、かしめ材2のフランジ部2Aを形成する領域ARAにおける、バーリング加工でフランジ部2Aの立ち上がり方向を向く面にノッチ2bを形成するノッチ形成工程102を有し、ノッチ2bは、上記下穴2aの周方向に沿って連続して又は断続的に当該下穴2aを囲むように形成される。【選択図】図6
Description
本発明は、2以上の金属部品の板状部の部分を、バーリング成形を用いたかしめ加工により接合する接合方法、それを適用した接合部品の製造方法及び金属部品の接合構造に関する技術である。
近年、自動車車体の衝突安全性向上と軽量化を両立させるため、車体部品の異種材接合技術の開発が進んでいる。一般的に自動車プレス部品の接合として、スポット溶接等の接合方法が用いられるが、異種材の接合は金属間化合物などの課題がある。また、超ハイテン材においてもLME等の溶接課題があり、溶接以外の接合方法が求められている。
上記スポット溶接の代替として、摩擦撹拌接合(FSW)やセルフピアシングリベット、メカニカルクリンチングといった接合方法の開発が進んでいる。しかし、自動車部品の量産にこれらの技術を適用する場合、摩擦撹拌接合やセルフピアシングリベットでは設備投資や追加部品のコストアップ、メカニカルクリンチングでは接合強度の低下といった課題が挙げられる。
ここで、特許文献1には、2枚の金属板の下穴が一致するように重ね合わせ、この状態でバーリング成形を施して筒状のフランジ部を形成した後に、筒状のフランジ部の端部周縁部を他方の金属板を包み込むように拡径方向へ屈曲してかしめることで、端部かしめ部と最外側に位置する金属板の間に、他の金属板を狭着することを記載されている。
また、特許文献2に記載のプレス成形方法は、丸穴を有するベース金属板の上に丸穴を有する被接合金属板を各穴の中心が一致するように重ね合わせ、バーリング加工用のパンチを被接合金属板の丸穴に圧入することで、バーリング部の周縁部がベース金属板の内周部に圧着し、2枚の金属板が接合される、ことが記載されている。
また、特許文献3には、薄板金属板の重ね合わせ部に突き破りポンチを差し込んで、ガイド孔を形成すると共に、このガイド孔の周縁を裏面に向かって屈曲させるバーリング加工を行った後に、カウンタポンチを薄板金属板の裏面から屈曲縁に押し付けることにより、屈曲縁を重ね合わせ部の裏面に折り返すヘミング加工を行って薄板金属板を重ね合わせ部で結合する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載のプレス成形方法では、バーリング加工により立ち上がるフランジ部が円筒状となっており、金属板面に対して垂直方向(板面に対し90度以下の立上り)までしか成形されない。このため、筒状のフランジ部の端部周縁部のかしめ工程で、フランジ部の先端部が潰されてかしめができない可能性がある。また、かしめ工程でフランジ部(バーリング部)の先端板端面が金型に潰されることで、当該金型が傷みやすくなり、量産コストが増加する可能性がある。
また、特許文献2に記載のプレス成形方法は、バーリング部の周縁部がベース金属板の端面に圧着する方法であり、この成形方法では、接合する金属板が薄板の場合に、十分な接合強度が得られない可能性がある。
更に、特許文献3に記載のプレス成形方法は、1つの工程で穴開けからかしめ加工まで実施することを前提としているため、金型構造が複雑になり、金型の製作費用や補修費などが増加する可能性がある。また、このプレス成形方法では、接合する板材の強度が高いハイテン材の場合には、金型制約上加工できない可能性がある。
本発明は、上記のような点を鑑みてなされたものであり、金型の構造を複雑化することなく、十分な接合強度を確保できる、バーリング加工を用いたかしめ接合の技術を提供することを目的とする。
課題解決のため、本発明の一態様は、複数の金属部品の板状部を、複数の金属部品の板状部を、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合方法であって、上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に下穴を形成する工程と、上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に開口を形成する工程と、上記かしめ材の下穴外周にバーリング加工を施して、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成するバーリング工程と、上記かしめ相手材の上記開口に上記フランジ部を通して複数の板状部を重ねた状態で、上記フランジ部をかしめて板状部同士を接合するかしめ工程と、を備え、上記バーリング工程の前に、上記かしめ材の上記フランジ部となる領域における、上記立ち上げ方向を向く面にノッチを形成するノッチ形成工程を有し、上記ノッチは、上記下穴の周方向に沿って連続して又は断続的に当該下穴を囲むように形成される、ことを要旨とする。
本発明の態様によれば、バーリング加工前に下穴の外周部に当該下穴を囲むようにしてノッチを形成することで、当該ノッチ形成位置を境界として、バーリング加工で形成されるフランジ部の先端側が、バーリング加工によって、拡径した状態(負角の状態)に成形されやすくなる。また、かしめの際に、フランジ部が、ノッチ位置で拡径方向に曲がりやすくなる。
このため、本発明の態様によれば、バーリング加工を用いたかしめ接合について、金型形状などの金型構造を複雑化することなく、十分な接合強度を確保できる接合構造体を取得することができる。この結果、本発明の態様によれば、例えば、自動車部品におけるハイテン材を用いたかしめ接合や、異種材接合が可能となり、自動車車体の軽量化に貢献できる。
次に、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態は、複数の金属部品の板状部を重ねて、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合技術に関する。すなわち、本実施形態は、バーリング加工を用いたかしめ接合の技術に関するものである。
本実施形態は、複数の金属部品の板状部を重ねて、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合技術に関する。すなわち、本実施形態は、バーリング加工を用いたかしめ接合の技術に関するものである。
ここで、「金属部品の板状部」と記載しているのは、少なくともかしめ接合される部分が板状となっていればよく、金属部品として、かしめ接合される箇所以外に板形状以外の部分を有していても良いことを表している。
本実施形態では、金属部品全体が板材からなる場合を例にして説明する。このため、金属部品及び金属部品の板状部をともに、金属板とも呼んで説明する。すなわち、本実施形態の例では、複数の金属板をかしめ接合する場合とする。また、バーリング加工を施す金属板をかしめ材と呼び、かしめ材以外の金属板をかしめ相手材と呼ぶ。
本実施形態の金属部品の接合方法は、図1に示すように、開口工程100、下穴工程101、バーリング工程103、及びかしめ工程104を備える。更に、本実施形態の接合方法は、ノッチ形成工程102を備える。各工程は、プレス加工で行われる。
開口工程100は、かしめ相手材の板状部における接合位置に開口を形成する工程である。
下穴工程101は、かしめ材の板状部(接合部)に下穴を形成する工程である。
バーリング工程103は、かしめ材の下穴外周にバーリング加工を施して、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部(立上り部)を形成する工程である。
かしめ工程104は、かしめ相手材の開口にフランジ部を通して複数の板状部を重ねた状態として、フランジ部をかしめて、複数の金属板同士(板状部同士)を接合する工程である。
下穴工程101は、かしめ材の板状部(接合部)に下穴を形成する工程である。
バーリング工程103は、かしめ材の下穴外周にバーリング加工を施して、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部(立上り部)を形成する工程である。
かしめ工程104は、かしめ相手材の開口にフランジ部を通して複数の板状部を重ねた状態として、フランジ部をかしめて、複数の金属板同士(板状部同士)を接合する工程である。
ノッチ形成工程102は、バーリング工程103の前に、上記かしめ材のフランジ部となる領域における、上記立ち上げ方向を向く面にノッチを形成する工程であって、形成するノッチは、下穴の周方向に沿って連続して又は断続的に当該下穴を囲むように形成する工程である。本実施形態のノッチ形成工程102では、上記ノッチ2bの形成と共に、ノッチ形成面とは反対面に対し、凸部2cを形成する。凸部2cを形成しなくても良い。
凸部2cは、平面視において、ノッチ2bと重なる位置に形成することが好ましい。また、凸部2cは、下穴の周方向に沿って連続して又は断続的に当該下穴を囲むように形成することが好ましい。
凸部2cは、平面視において、ノッチ2bと重なる位置に形成することが好ましい。また、凸部2cは、下穴の周方向に沿って連続して又は断続的に当該下穴を囲むように形成することが好ましい。
ここで、バーリング工程103の前に、下穴工程101及びノッチ形成工程102が行われるが、下穴工程101及びノッチ形成工程102の実行順序には特に限定はない。
次に、金属部品の具体的な接合方法の例を、図面を参照して説明する。
以下の例では、かしめ材及びかしめ相手材を構成する金属板がそれぞれ1枚ずつの場合とする。かしめ相手材が2枚以上であってもよい。
以下の例では、かしめ材及びかしめ相手材を構成する金属板がそれぞれ1枚ずつの場合とする。かしめ相手材が2枚以上であってもよい。
<開口工程100>
開口工程100は、図2に示すように、かしめ相手材1を厚さ方向でダイ10と板押え11とで拘束した状態で、開口形状と同じ断面形状のパンチ12を板厚方向に下降することで板を打ち抜き、かしめ相手材1に開口1aを形成する。なお、開口1aの径は、かしめ材2に設ける下穴2aの径よりも大きい。
開口工程100は、図2に示すように、かしめ相手材1を厚さ方向でダイ10と板押え11とで拘束した状態で、開口形状と同じ断面形状のパンチ12を板厚方向に下降することで板を打ち抜き、かしめ相手材1に開口1aを形成する。なお、開口1aの径は、かしめ材2に設ける下穴2aの径よりも大きい。
<下穴工程101(ノッチ形成工程102)>
下穴工程101も、図3に示すように、かしめ材2を厚さ方向で拘束するダイ13と板押え14と、下穴2aを開口する穴開け用のパンチ15と、を有する。本実施形態では、生産性を考慮して工程数を減らすために、下穴工程101がノッチ形成工程102を兼ねる。
下穴工程101も、図3に示すように、かしめ材2を厚さ方向で拘束するダイ13と板押え14と、下穴2aを開口する穴開け用のパンチ15と、を有する。本実施形態では、生産性を考慮して工程数を減らすために、下穴工程101がノッチ形成工程102を兼ねる。
このために、かしめ材2の下面に当接するダイ13の上面における、バーリング加工でフランジ部2Aとなるかしめ材2の領域と当接する部分に、ダイ13の貫通穴の外周を囲むように凹部13aが形成されている。
また、下穴工程101用のパンチは、パンチベース部15Aと、パンチベース部15Aから下方に突出した穴開け用のパンチ部15Bとを備える。穴開け用のパンチ部15Bの外周に位置するパンチベース部15Aの下面には、かしめ材2を介してダイ13の上面に対向し、そのパンチベース部15Aの下面における、上記ダイ13の上面に形成した凹部13aと対向する位置に、ノッチ形成用の突起部15Aaが形成されている。
本実施形態では、凹部13a及び突起部15Aaが、平面視で無端環状に形成されているとする。
本実施形態では、凹部13a及び突起部15Aaが、平面視で無端環状に形成されているとする。
そして、本実施形態の下穴工程101(ノッチ形成工程102)では、図3の(a)→(b)のように、ダイ13に向けてパンチ15を下降させることで、かしめ材2を板厚方向にプレスするプレス加工が行われる。すなわち、パンチ部15Bによって打ち抜かれることで、かしめ材2に対し下穴2aが開口する。更に、続くパンチ15の下降によって、下穴2aの外周領域(フランジ部2Aとなる領域ARA)の上面に、図4のように、下穴2aの外周を囲むノッチ2bを形成する。
本実施形態では、ノッチ2bを形成する同時に、上記ノッチ2bを形成する面とは反対側の面である下面に凸部2cを形成する。凸部2cは、ノッチ2bとかしめ材2の板厚方向(上下方向)で対向する位置に形成される。本実施形態では、凸部2cは、ノッチ2bと同様に、下穴2aの外周を囲むように形成される。
ここで、図4では、かしめ材2に形成されるノッチ2bが、下穴2aを囲むように無端環状に形成される場合を例示しているが、これに限定されない。例えば、ノッチ2bは、図5のように、下穴2aの外周を囲むように、下穴2aを囲むように外周方向に沿って断続的に形成されていてもよい。図4及び図5における、符号ARAは、バーリング加工の際に立ち上がってフランジ部2Aとなる領域を示す。
なお、ノッチ2bの形成は、下穴2aと同心に配置されることが好ましいが、下穴2aと同心状態になっていなくても良い。
また、図4では、下穴2aを囲む1条の無端環状のノッチ2bを形成する場合を例示しているが、これに限定されない。ノッチ2bを、下穴2aの外周を囲む2条以上の無端環状の凹部として形成してもよい。
また、図4では、下穴2aを囲む1条の無端環状のノッチ2bを形成する場合を例示しているが、これに限定されない。ノッチ2bを、下穴2aの外周を囲む2条以上の無端環状の凹部として形成してもよい。
また、ノッチ2b及び凸部2cの断面形状は、図3に示すように、例えば凹に先端に角部を有する断面3角形形状とする。この例では、ノッチ2bの底面に、曲率が急峻した角部が形成される。
ここで、ノッチ2bの深さは、1つのプレス加工で、下面側(反対の面)に凸部2cが形成できるだけの深さであればよい。例えば、ノッチ2bの深さ及び凸部2cの突出量はそれぞれ、下穴2aを形成する部分のかしめ材2の板厚の、5%以上100%未満とする。
また、上記説明では、下穴工程101とノッチ形成工程102とを、1つのプレス工程で行う場合を例示しているが、下穴工程101とノッチ形成工程102とを個別のプレス工程としてもよい。この場合、先にノッチ形成工程102を実行してから下穴工程101を実行するように構成してもよい。
また、凸部2cを形成しなくても良いが、凸部2cを形成する方が好ましい。
<バーリング工程103>
図6に示すように、かしめ材2における、下穴2aの外周であってフランジ部2Aとなる領域ARAの外側を、ダイ16と板押え17で拘束した状態で、下穴2aに対して下側(立上り方向とは反対側)から、図6の(a)→(b)→(c)のように、バーリング用のパンチ18を通過(上昇)させることで、下穴2aの外周を立ち上げてフランジ部2Aを形成する。
図6に示すように、かしめ材2における、下穴2aの外周であってフランジ部2Aとなる領域ARAの外側を、ダイ16と板押え17で拘束した状態で、下穴2aに対して下側(立上り方向とは反対側)から、図6の(a)→(b)→(c)のように、バーリング用のパンチ18を通過(上昇)させることで、下穴2aの外周を立ち上げてフランジ部2Aを形成する。
このとき、パンチ18が、フランジ部2Aの成形途中で、かしめ材2の下面の凸部2cを上方に押し上げることで、凸部2cに対し、凸部2cよりも先端側(下穴2a側)を拡径方向に変形させるモーメントが付与される(図6(b)参照)。この結果、バーリング用のパンチ18を上昇するだけで、つまり、バーリング加工によって、フランジ部2Aにおける、ノッチ形成位置よりも先端部側の部分が、ノッチ形成位置よりも付け根側(板側)の部分よりも、拡径方向に変形する。すなわち、ノッチ形成位置よりも先端部側の部分が、ノッチ形成位置よりも付け根の部分よりも、負角の状態となった負角部となる。
<かしめ工程104>
かしめ工程104は、バーリング工程103の後に実行される。
かしめ工程104では、まず、図7(a)のように、相対的に、かしめ相手材1の開口にフランジ部2Aを通して、かしめ材2の上にかしめ相手材1を重ねた状態とする。そして、フランジ部2A(立上り部)の外側を、ダイ19と板押え20で拘束した状態する。
かしめ工程104は、バーリング工程103の後に実行される。
かしめ工程104では、まず、図7(a)のように、相対的に、かしめ相手材1の開口にフランジ部2Aを通して、かしめ材2の上にかしめ相手材1を重ねた状態とする。そして、フランジ部2A(立上り部)の外側を、ダイ19と板押え20で拘束した状態する。
ここで、上記のかしめ相手材1とかしめ材2とを重ねた状態は、図8に示すように、バーリング工程103の際に実行しても良い。この場合には、バーリング工程103でのダイ16と板押え17での拘束を継続した状態のまま、以降のかしめの工程を実行することが可能となる。
かしめの工程は、上記のようにダイ19と板押え20で、重ねた金属板1、2を拘束した状態で、かしめ用のパンチ21を上方から加工させて、フランジ部2Aを潰す方向の荷重を負荷することで、外側に曲げ成形してかしめによる接合を行う。
かしめ用のパンチは、図7に示すように、ベース部21Aと、ベース部21Aから突出する突出部21Bとを備える。突出部21Bは、筒状のフランジ部2A内に挿入可能な柱状となっている。その突出部21Bの付け根とそれに続くベース部21Aの下面と間の肩部21Cが、プレス方向に対し斜めに傾斜している。肩部の輪郭は、直線状でなくてもよく、円弧形状となっていても良い。
そして、かしめの工程では、かしめ用のパンチ21をフランジ部2Aと同心して下降させると、ベース部21Aの下面によって、フランジ部2Aを下方に押圧する力が掛かる。このとき、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部が、パンチ21の下降方向(プレス方向)に対し、拡径方向に広がった負角を有することで、フランジ部2Aのうちの少なくとも先端部側が、外側(拡径方向)に曲がるようにしながら、フランジ部2Aが押し潰される(図7(b)参照)。これによって、フランジ部2Aに対し曲げ加工が行われ、フランジ部2Aの折り返し部分(曲げられた部分)を、かしめ相手材1に巻き付けてかしめた状態とすることができる。なお、この図7(b)が、かしめ接合の接合構造となる。
ここで、バーリング加工の際に、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部側の拡径方向の変形が不十分であっても、ノッチ形成位置で座屈しやすいことから、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部側は拡径方向に変形しやすくなっている。このことからも、かしめがスムーズに形成される。
このとき、パンチ21の肩部21Cの傾斜面で、曲げられるノッチ形成位置よりも先端部に続いている、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも付け根側の一部も、拡径方向に巻き込まれて曲げられ易くなり、よりフランジ部2Aにおける折り返し部の長さを稼ぐことができる。
そして、折り返し部分がベース部21Aで板厚方向にプレスされることで、フランジ部2Aに形成した凸部2cが潰されると共に、折り返し部と、折り返し部に板厚方向で対向するかしめ材2の面との間に、かしめ相手材1の開口の外周部が挟圧されてかしめ部が形成される。すなわち、複数の金属板のかしめ接合が行われる。
ここで、下穴2aの穴縁からのノッチ2bの成形位置X[mm](図4参照)は、例えば、(1)式の範囲とすることが好ましい。
0mm < X ≦ 20mm ・・・・(1)
なお、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置から先端部までの長さを稼ぐという観点からは、Xは5mm以上であることがより好ましい。また、Xの値が大きくなるほど伸びフランジ成形性が悪くなり、端面で割れが発生しやすくなるため、この観点から20mmを上限とした。
ここで、接合される金属板の引張強度について、特に限定はない。例えば、接合される金属板のうち、少なくともかしめ相手材1は、引張強度が270MPa以上の鋼板やアルミ合金材などの金属板から構成されてもよい。かしめ材2も、引張強度が270MPa以上の鋼板やアルミ合金材などの金属板であってもよい。異種材料同士の接合の場合には、かしめ材2の引張強度が、かしめ相手材1の引用強度よりも大きくなるように設定することが好ましい。
また、かしめ相手材1は、2枚以上であってもよい。
また、かしめ相手材1は、2枚以上であってもよい。
また、上記金属部品の接合方法で形成された金属部品の接合構造(図7(b)参照)では、パンチ21で押されることで、かしめ材2に形成した凸部2cが潰される。この凸部2cが潰されることで、反対側に形成されていた、ノッチ2bの凹も小さくなる可能性があるが、金属部品の接合構造は、かしめ接合部にノッチ2bによる凹が形成されている。もちろん、このノッチ2bによる凹が平坦となるように、かしめ用のパンチ21で荷重を負荷するように構成してもよい。
ここで、上記説明では、下穴2aが丸穴である場合を想定して記載しているが、下穴2aの断面形状が円形でなくても良い。例えば下穴2aの断面形状が、四隅の角部にRや面取りが付与された四角形形状や楕円形状であっても良い。また、必ずしも下穴2aの全周をバーリングする必要はなく、周方向の一部分だけをバーリングしてフランジ部2Aとしても良い。形成したフランジ部2Aをかしめることで、金属部品が接合可能であればよい。例えば、下穴が上記のような四角形状であれば、4隅の角部部分だけをバーリングしたり、4辺の部分だけをバーリングしたりしても良い。
(動作その他)
バーリング加工前にノッチ2bを形成しない場合、すなわち、平板状のかしめ材2に下穴を形成し(打抜きにより打抜き穴を加工し)、下穴に対してバーリング成形を施して、フランジ部2A(バーリング部)を形成した場合、図9(a)に示すように、フランジ部2Aは、円筒形状となって板面に対して垂直方向に成形される。このため、かしめの工程(図9(b)~(d)参照)にて、フランジ部2Aを上側から押し潰すと、図9(c)のように、フランジ部2Aの先端部の端面が潰れて、図9(d)のように、かしめができないか不十分である可能性がある。
バーリング加工前にノッチ2bを形成しない場合、すなわち、平板状のかしめ材2に下穴を形成し(打抜きにより打抜き穴を加工し)、下穴に対してバーリング成形を施して、フランジ部2A(バーリング部)を形成した場合、図9(a)に示すように、フランジ部2Aは、円筒形状となって板面に対して垂直方向に成形される。このため、かしめの工程(図9(b)~(d)参照)にて、フランジ部2Aを上側から押し潰すと、図9(c)のように、フランジ部2Aの先端部の端面が潰れて、図9(d)のように、かしめができないか不十分である可能性がある。
これに対し、本実施形態では、バーリング加工の際に、筒状のフランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部側が拡径しやすくなって、負角部が成形される。すなわち、フランジ部2Aの外周側に、周方向に沿ってノッチ2b(へこみ)が形成されて、フランジ部2Aが立ち上がる際に、その位置を支点として先端部側が拡径方向しやすくなる。
なお、バーリング加工の際に、仮に、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部側が拡径変形しないか拡径の変化が不十分の場合でも、板厚方向の荷重に対し、かしめの加工時にノッチ位置で拡径方向に座屈しやすいことから、ノッチ形成位置よりも先端部側が拡径しやすい。このため、かしめ加工の際に、ノッチ形成位置よりも先端部側が拡径するようにフランジ部2Aが潰されることで、フランジ部2Aが曲げ成形される。
もっとも、ノッチ2bと反対の面に、凸部2cを形成しておくと、パンチ18でフランジ部2Aを立ち上げるように成形する際に、そのパンチで凸部2cが上方を向く方向に凸部2cに荷重を付与させることで、より、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部側が拡径方向に成形されやすくなる。
このように、バーリング加工時に、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部側が、板面に対し垂直な方向よりも拡径方向(板面に対し90度よりも大きな角度での立上りとなる方向)に角度(負角)が付いた状態に成形される。
このため、かしめ工程104にて、パンチ21によって、フランジ部2Aに対し上側から荷重を掛けると(プレス成形すると)、少なくともフランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部側が、より確実に曲げ成形されるように押し潰されて、かしめ材2のかしめ加工(曲げ加工)時においてスムーズにかしめができるようになる。
(その他)
本開示は、以下のような構成も取ることができる。
本開示は、以下のような構成も取ることができる。
(1)本実施形態は、複数の金属部品の板状部を、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合方法であって、上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に下穴を形成する工程と、上記かしめ材の下穴外周にバーリング加工を施して、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成するバーリング工程と、上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に開口を形成する工程と、かしめ相手材の開口に上記フランジ部を通して複数の板状部を重ねた状態で、上記フランジ部をかしめて板状部同士を接合するかしめ工程と、を備え、上記バーリング工程の前に、上記かしめ材のフランジ部となる領域における、上記立ち上げ方向を向く面にノッチを形成するノッチ形成工程を有し、上記ノッチは、上記下穴の周方向に沿って連続して又は断続的に当該下穴を囲むように形成される。
この構成によれば、フランジ部2Aとなる領域にノッチを形成しておくことで、バーリング加工の際の、ノッチ形成位置によりも先端部側のフランジ部が拡径しやすくなる。この結果、かしめ材のかしめ加工時において、スムーズにかしめができるようになる。
(2)上記バーリング加工によって、上記フランジ部における、ノッチ形成位置よりも先端部側の部分を拡径方向に変形させる。すなわち、上記フランジ部について、先端部側の部分を、ノッチ形成位置よりも付け根側の部分に比べ拡径方向に変形させる。
この構成によれば、ノッチ形成位置よりも先端部側の部分が拡径した状態で、かしめ加工が行われることで、スムーズにかしめができるようになる。
この構成によれば、ノッチ形成位置よりも先端部側の部分が拡径した状態で、かしめ加工が行われることで、スムーズにかしめができるようになる。
(3)上記ノッチ形成工程は、板厚方向にプレスするプレス加工で、上記ノッチを形成すると共に、上記ノッチを形成する面とは反対側の面に凸部を形成する。
この構成によれば、バーリング加工時に、より確実に、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部側が拡径するようになる。
この構成によれば、バーリング加工時に、より確実に、フランジ部2Aにおけるノッチ形成位置よりも先端部側が拡径するようになる。
(4)上記下穴の穴縁からのノッチの成形位置X[mm]は、(1)式の範囲とする。
0mm < X ≦ 20mm ・・・・(1)
この範囲にノッチを形成することで、スムーズにかしめができるようになる。
0mm < X ≦ 20mm ・・・・(1)
この範囲にノッチを形成することで、スムーズにかしめができるようになる。
(5)上記金属部品のうち、少なくともかしめ相手材1は、引張強度が270MPa以上の金属板からなる。
この構成によれば、仮にかしめ相手材がアルミ合金材などの部材から構成されていても、より確実に異種材接合が可能となる。
この構成によれば、仮にかしめ相手材がアルミ合金材などの部材から構成されていても、より確実に異種材接合が可能となる。
(6)本実施形態の接合部品の製造方法は、複数の金属部品の板状部を、本実施形態に記載の金属部品の接合方法で接合することで、複数の金属部品を有する接合部品を製造する。
この構成によれば、バーリング加工を用いた接合部品をより簡易に製造可能となる。
接合部品は、例えば自動車車体部品である。
この構成によれば、バーリング加工を用いた接合部品をより簡易に製造可能となる。
接合部品は、例えば自動車車体部品である。
(7)複数の金属部品の板状部について、上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に形成された穴の外周部をバーリング加工で立ち上げられてなるフランジ部が、上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に形成された開口に挿入されることで上記複数の金属部品の板状部が重ねられ、当該フランジ部が上記開口の外周側に向けてかしめられることで、重ねられた上記複数の板状部分が接合された金属部品の接合構造であって、上記かしめ材のフランジ部における、上記バーリング加工で上記フランジ部の立上り方向を向く面にノッチが形成され、上記ノッチは、上記穴の周方向に沿って連続して又は断続的に当該穴を囲むように形成されている。
本実施形態に基づく上述のかしめ接合方法によって、本構造を構成することが可能である。
本実施形態に基づく上述のかしめ接合方法によって、本構造を構成することが可能である。
1 かしめ相手材(金属部品)
1a 開口
2 かしめ材(金属部品)
2A フランジ部
2a 下穴
2b ノッチ
2c 凸部
100 開口工程
101 下穴工程
102 ノッチ形成工程
103 バーリング工程
104 かしめ工程
ARA フランジ部となる領域
X ノッチの成形位置
1a 開口
2 かしめ材(金属部品)
2A フランジ部
2a 下穴
2b ノッチ
2c 凸部
100 開口工程
101 下穴工程
102 ノッチ形成工程
103 バーリング工程
104 かしめ工程
ARA フランジ部となる領域
X ノッチの成形位置
Claims (7)
- 複数の金属部品の板状部を、バーリング加工で形成されたフランジ部をかしめて接合する金属部品の接合方法であって、
上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に下穴を形成する工程と、
上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に開口を形成する工程と、
上記かしめ材の下穴外周にバーリング加工を施して、下穴の周囲を立ち上げてフランジ部を形成するバーリング工程と、
上記かしめ相手材の上記開口に上記フランジ部を通して複数の板状部を重ねた状態で、上記フランジ部をかしめて板状部同士を接合するかしめ工程と、
を備え、
上記バーリング工程の前に、上記かしめ材の上記フランジ部となる領域における、上記立ち上げ方向を向く面にノッチを形成するノッチ形成工程を有し、
上記ノッチは、上記下穴の周方向に沿って連続して又は断続的に当該下穴を囲むように形成される、
ことを特徴とする金属部品の接合方法。 - 上記バーリング加工によって、上記フランジ部における、ノッチ形成位置よりも先端部側の部分を、ノッチ形成位置よりも付け根側の部分に比べ、拡径方向に変形させる、ことを特徴とする請求項1に記載した金属部品の接合方法。
- 上記ノッチ形成工程は、板厚方向にプレスするプレス加工で、上記ノッチを形成すると共に、上記ノッチを形成する面とは反対側の面に凸部を形成し、
上記凸部は、上記下穴の周方向に沿って連続して又は断続的に当該下穴を囲むように形成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した金属部品の接合方法。 - 上記下穴の穴縁からのノッチの成形位置X[mm]は、(1)式の範囲とすることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した金属部品の接合方法。
0mm < X ≦ 20mm ・・・・(1) - 上記金属部品のうち、少なくともかしめ相手材は、引張強度が270MPa以上の金属板からなる、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載した金属部品の接合方法。
- 複数の金属部品の板状部を、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の金属部品の接合方法で接合する、接合部品の製造方法。
- 複数の金属部品の板状部について、上記複数の金属部品から選択した金属部品であるかしめ材の板状部に形成された穴の外周部をバーリング加工で立ち上げられてなるフランジ部が、上記かしめ材以外の金属部品であるかしめ相手材の板状部における接合位置に形成された開口に挿入されることで上記複数の金属部品の板状部が重ねられ、当該フランジ部が上記開口の外周側に向けてかしめられることで、重ねられた上記複数の板状部分が接合された金属部品の接合構造であって、
上記かしめ材のフランジ部における、上記バーリング加工で上記フランジ部の立上り方向を向く面にノッチが形成され、上記ノッチは、上記穴の周方向に沿って連続して又は断続的に当該穴を囲むように形成されている、金属部品の接合構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021012165A JP2022115532A (ja) | 2021-01-28 | 2021-01-28 | 金属部品の接合方法、接合部品の製造方法、及び金属部品の接合構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021012165A JP2022115532A (ja) | 2021-01-28 | 2021-01-28 | 金属部品の接合方法、接合部品の製造方法、及び金属部品の接合構造 |
Publications (1)
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JP2022115532A true JP2022115532A (ja) | 2022-08-09 |
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ID=82747599
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2021012165A Pending JP2022115532A (ja) | 2021-01-28 | 2021-01-28 | 金属部品の接合方法、接合部品の製造方法、及び金属部品の接合構造 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2022115532A (ja) |
-
2021
- 2021-01-28 JP JP2021012165A patent/JP2022115532A/ja active Pending
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