JP2022115292A - 刈刃防護装置、刈払機及び刈払い方法 - Google Patents

刈刃防護装置、刈払機及び刈払い方法 Download PDF

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Abstract

【課題】刈払機の使用時に利便性を劣化させず、かつ作業時および非作業時において操縦者並びに刈刃を保護する刈刃防護装置、刈払機及び刈払い方法を提供する。【解決手段】主管21の先端に回転する刈刃23が設けられた刈払機20において、前記刈刃23を防護する刈刃防護装置1であって、前記刈刃防護装置1を前記刈払機20に対し一体的に、または着脱可能に取り付ける取付部11と、前記取り付けられた状態で、前記刈刃23を防護する防護部10と、前記取付部11に対し前記防護部10を直線移動可能に支持するスライド部12とを有し、前記スライド部12は、前記防護部10が前記刈刃23の外周の全部を覆う第一の位置と、前記防護部10が前記刈刃23の外周の一部を覆い、他部が露出するような第二の位置とに直線移動し、前記スライド部12を、前記取付部11に対して前記第一の位置において固定可能な係止機構を有する、刈刃防護装置1を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、刈刃防護装置、刈払機及び刈払い方法に関する。
刈払機による事故原因として、キックバックなどによる転倒時の刈刃との接触も多くを占めている。近年刈払機については、安全性検査においても刈刃停止装置を段階評価の対象装備とするなど、刈刃との接触による事故軽減対策を進めているが、コストや使用時の利便性の理由から実用化を含め十分な普及には至っておらず、その対策が急務となっている。
刈刃との接触を防止する技術としては、特許文献1が先行出願されており、その構造は刈刃を保護するカバーが作業中には作業の邪魔にならないよう移動可能なものである。
特開2016-158528
特許文献1では、非作業中の刈刃との接触は考慮されていない。さらに、刈払い作業中の草詰まりへの対策もされていない。
本発明は、刈払機の使用時に利便性を劣化させず、かつ作業時および非作業時において操縦者並びに刈刃を保護する刈刃防護装置、刈払機及び刈払い方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明によれば、主管の先端に回転する刈刃が設けられた刈払機において、前記刈刃を防護する刈刃防護装置であって、前記刈刃防護装置を前記刈払機に対し一体的に、または着脱可能に取り付ける取付部と、前記取り付けられた状態で、前記刈刃を防護する防護部と、前記取付部に対し前記防護部を直線移動可能に支持するスライド部と、を有し、前記スライド部は、前記防護部が前記刈刃の外周の全部を覆う第一の位置と、前記防護部が前記刈刃の外周の一部を覆い、他部が露出するような第二の位置と、に移動し、前記スライド部を、前記取付部に対して前記第一の位置において固定可能な係止機構を有する、刈刃防護装置が提供される。
本発明にかかる刈刃防護装置は、平面視において、前記刈刃の回転方向が時計回りであるときには、前記第二の位置において前記防護部が覆う一部は刈刃の左部分であり、かつ前記防護部から露出する他部は刈刃の右部分であり、平面視において、前記刈刃の回転方向が反時計回りであるときには、前記第二の位置において前記防護部が覆う一部は刈刃の右部分であり、かつ前記防護部から露出する他部は刈刃の左部分であるように構成されていてもよい。
前記防護部が前記第一の位置において最も安定するように前記防護部を付勢する付勢機構をさらに有していてもよい。
前記刈払機の姿勢変化を検知するセンサと、前記センサの出力に応じて前記防護部を前記直線移動させる駆動制御部と、をさらに有し、前記刈払機または前記刈刃防護装置において、前記センサが閾値以下の前記加速度を検知するときは、前記駆動制御部により前記防護部を前記加速度の向きとは逆側における前記第二の位置に移動させ、前記閾値より大きい前記加速度を検知するときは、前記駆動制御部により前記防護部を前記第一の位置に移動させるように構成されていてもよい。
別の観点では、本発明によれば、上記の刈刃防護装置が取り付けられた、刈払機が提供される。
さらに別の観点では、本発明によれば、上記の刈払機を用いて被接触物の刈払いを行う、刈払い方法であって、前記防護部を、前記刈払いの開始時において、前記第一の位置から、第二の位置に移動させて前記刈払いを行い、その後、前記防護部を、前記刈払いの終了時において、前記第二の位置から第一の位置に移動させる、刈払い方法が提供される。
本発明によれば、刈払機の使用時に利便性を劣化させず、かつ作業時および非作業時において操縦者並びに刈刃を保護する刈刃防護装置、刈払機及び刈払い方法を提供することができる。
第1実施形態にかかる刈刃防護装置を刈払機に取り付けたときの概略を示す模式図である。 第1実施形態にかかる刈刃防護装置が取り付けられる刈払機の一例を示す模式図である。 第1実施形態にかかる刈刃防護装置における付勢機構の概略を示す模式図である。 刈払機に対して取り付けた第1実施形態にかかる刈刃防護装置の動作の概略を示す模式図である。 第1実施形態にかかる刈刃防護装置が防護モードまたは切断モードをとるときの概略を示す模式図である。 第1実施形態にかかる刈刃防護装置を取り付けた刈払機を用いた被接触物の刈払い方法の概略を示す模式図である。 第1実施形態における刈刃の切断部と防護部との関係の概略を示す模式図である。 第2実施形態にかかる刈刃防護装置の概略を示す模式図である。 第2実施形態にかかる刈刃防護装置を取り付けた刈払機を用いた被接触物の刈払い方法の概略を示す模式図である。 第2実施形態における刈刃の切断部と防護部との関係の概略を示す模式図である。 第1実施形態および第2実施形態にかかる刈刃防護装置1における係止機構の他の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、3次元空間において互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を規定する。各図において共通の構成要素には同じ符号を付することにより、重複した説明を省略する。
(第1実施形態にかかる刈刃防護装置)
図1は、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1を後述する刈払機20に取り付けたときの概略を示す模式図である。図1(a)、(b)はそれぞれ上記刈払機20の平面図および側面図である。また、本明細書においては、平面視における上記刈払機20の後述する主管21の長さ方向をY軸とし、平面視においてY軸に直交する方向をX軸とし、またX-Y平面に直交する方向をZ軸とする。ただし、上記刈払機20の右方向をX軸正方向、左方向をX軸負方向とする。また、前記主管21における後述する刈刃23が設けられる方向を前方向、その反対側を後方向とし、前方向をY軸正方向、後方向をY軸負方向とする。また、上方向をZ軸正方向、下方向をZ軸負方向とする。
第1実施形態にかかる刈刃防護装置1は、リング状の防護部10と、取付部11と、防護部10と一体的に設けられたスライド部12とを有する。
スライド部12は略直方体形状の部材であって、スライド部12の右端及び左端は、防護部10の上面(Z軸方向正方向側の面)に対し、平面視において防護部10の直径と概ね重なる位置に取り付けられている。
取付部11は本実施形態においては略直方体形状の部材であり、図1(a)の左右方向(X軸方向)に取付部11を貫通する中空の孔として、スライド軸受13が設けられている。スライド軸受13は、スライド部12を図1における左右方向(X軸方向)に直線移動可能に支持する。これにより、防護部10は取付部11に対して相対的に、スライド部12と一体的に左右方向(X軸方向)に直線移動する。この際、スライド部12は、防護部10の上面に接続される部分までを限度に直線移動しうる。これは、スライド部12が上記の限度まで直線移動すると、取付部11の左右方向(X軸方向)の側面に防護部10の内周が当接し、直線移動が停止するためである。
また、取付部11のZ軸方向負方向側の面には図示しないねじ穴が設けられ、ねじによる締結によって後述する刈払機20に取り付けられる。
刈刃防護装置1には、防護部10を中心位置において取付部11に対して固定するための係止機構が設けられる。
係止機構として、取付部11のY軸負方向側の面には、スライド軸受13まで貫通する孔が設けられる。また取付部11には、当該孔を通って、図1(a)における上下方向(Y軸方向)に抜き差しが可能な係止ピン14が設けられ、スライド部12のY軸負方向側の側面には係止ピン14が嵌る係止溝15が設けられている。なお中心位置とは、X-Y平面におけるリング状の防護部10の中心が、主管21の延長線上にあるような場合を指す。
係止ピン14が係止溝15に挿入されると、スライド部12は取付部11に対して動かず、係止状態となる。係止ピン14がY軸負方向(図1(a)下方向)に抜かれ、係止溝15から係止ピン14から抜き出されることで、係止状態が解除され、可動状態となる。なお本明細書においては、係止ピン14および係止溝15を合わせて、係止機構と称する。
可動状態とは、係止機構において係止ピン14が係止溝から抜き出され、スライド部12がスライド軸受13をスライドし得る状態となることを指す。これによって、スライド部12と、スライド部12に一体的に設けられる防護部10が、取付部11に対して直線移動可能となる。
係止ピン14は、図示しない操縦者が、Y軸方向に操作できるように設けられている。係止ピン14の操作のためには、例えば、係止ピン14が係止溝15に係合する方向に付勢されるように図示しないバネを設け、ハンドル26に取付けた図示しないレバーと係止ピン14とを、ワイヤなどで接続し、操縦者が当該レバーを引くと、当該付勢する力に逆らって係止ピン14を引くような構成であってもよい。
なお、係止ピン14は図中ではくさび形として図示したが、本発明はかかる例に限定されない。係止ピン14が係止溝15に挿入されることでスライド部12が取付部11に対して動かない係止状態を実現するものであればよく、係止ピン14は四角柱形、円柱形、円錐形、その他任意の形状であってよい。また、係止溝15は係止ピン14の形状に対応し、係止状態において係止ピン14が嵌り、係止状態を維持し得るような形状であればよい。
スライド部12には付勢機構が備えられている。付勢機構として、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1では、取付部11の側面にはそれぞれ防護部10の内径まで延びる弾性部材たるバネ16が設けられている。バネ16はスライド部12の外側に設けられている。バネ16は押しバネでも引きバネでも問題は無いが、本実施形態としては押しバネを用いることとする。付勢機構の意義については後述する。
なお、バネ16はスライド部12において取付部11を挟んでX軸正方向側(図1(a)右側)とX軸負方向側(図1(a)左側)との2か所に設けられている。本明細書においては説明の便宜上、X軸正方向側のバネ16を右バネ16a、X軸負方向側のバネ16を左バネ16bと称し、これらを併せて単にバネ16と称する。また、説明の便宜上、取付部11の中心を通ってY軸に平行な直線(一点鎖線)によって区別される防護部10の、X軸正方向側を防護部10の右部分10a、X軸負方向側を防護部10の左部分10bと称する。
右バネ16aはその両端が取付部11の右端およびスライド部12の右端に固定されている。また、左バネ16bはその両端が取付部11の左端およびスライド部12の左端に固定されている。
次に、本実施形態にかかる刈刃防護装置1が取り付けられる刈払機20について、図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態にかかる刈刃防護装置1が取り付けられる刈払機20の一例を示す模式図である。刈払機20は、刈払機20の構成要素を保持する構造体としての役割を有する中空のパイプである主管21と、主管21の先端21aに設けられるギアボックス22と、ギアボックス22内において、主管21の内部に設けられた図示しない回転軸に接続され、ギアボックス22を中心として回転する刈刃23と、主管21の末端21bに設けられ、刈刃23の回転を駆動する駆動源24と、駆動源24の後部に設けられた加速度センサ25と、図示しない操縦者が把持し刈払機20の操縦に供するハンドル26と、刈刃23の主管21側(図1のY軸負方向側)の一部を覆うように主管21の先端21aに隣接して設けられる飛散防止カバー27と、を有する。
本例における刈払機20は、刈払い作業時にあっては、駆動源24からの回転動力が主管21の内部に設けられた図示しない回転軸を回転させ、当該回転軸の回転がギアボックス22内の図示しない回転ギアに伝えられ、これに連動する刈刃23が回転する仕組みを有する。
加速度センサ25は、刈払機20の姿勢変化によって生じる加速度を検知し、検知結果を駆動源24に出力する。キックバックによる反動や、操縦者の転倒などによって刈払機20に大きな加速度が生じた場合、加速度センサ25においてこれを検知して、駆動源24に対して検知結果を出力する。当該出力に基づき、駆動源24は、刈刃23の回転動力の供給を停止する。すなわち、加速度センサ25は駆動源24と協調して刈刃23の回転を停止することで、安全装置としての役割を果たす。
ここで、刈刃防護装置1には係止ピン14のY軸方向の移動を駆動するモータを有する、図示しない駆動機構を設けてもよい。このとき、加速度センサ25を係止ピン14の図示しない駆動機構に電気的に接続し、上記出力が駆動機構に入力されたときには駆動機構のモータによって係止ピン14がY軸正方向へ移動し、係止溝15に挿入されることで係止状態となるようにしてもよい。これによって、操縦者の転倒などの際に防護部10を係止状態とし、操縦者ならびに刈刃23を保護することができる。
なお、刈刃23の外周は図2(a)では滑らかな曲線(円)として図示したが、この外周は刈刃23の実際の外周の形状を示したものではない。刈刃23の実際の外周の形状としては、既知のものを採用可能であり、特に限定されない。例えば円盤状ノコ刃であってもよい。以下、刈刃23の外周であって回転時に被接触物に接触し切断する部位を、刈刃23の切断部30と称する。言い換えれば、刈払い時に切断部30が草などの被接触物(不図示)に接触したときに、当該被接触物が切断される。
上記のような構成を有する本実施形態にかかる刈払機20は、図示しない操縦者がハンドル26を把持し、主管21を左右に揺動させながら刈刃23の切断部30を被接触物に接触させることで、被接触物を切断することができる。本明細書においては、上記のようにして被接触物を切断することを、刈払いと称する。
ここで、ふたたび図1に戻り、刈刃防護装置1の刈払機20への取り付けについて説明する。刈刃防護装置1は取付部11を介して刈払機20のギアボックス22上に取り付けられる。本実施形態においては、取付部11の取り付けは、例えば平面視においてスライド部12がX軸方向と略平行となるようにする。
なお、刈刃防護装置1の刈払機20への取り付けの方法は特に限定されない。例えば、図示しない任意の締結具による締結であってもよい。当該締結は、たとえば、取付部11が上側(図1(a)のZ軸正方向側)からギアボックス22を覆うようにかぶせられ、取付部11の側面に設けた図示しないネジにより挟み込むように取り付けることとしてもよい。あるいは、取付部11をギアボックス22と一体構造としてもよい。また、取り付け箇所はギアボックス22上に代えて、主管21であってもよい。このとき、図示しない任意の取り付け具を介して取り付けられてもよい。その他、取り付け箇所および取り付け方法は本発明の趣旨に反しない限りにおいて任意に決定し得る。
本実施形態にかかる刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20においては、非作業時において、防護部10が刈刃23の切断部30の全部を平面視において覆っている。ここで、平面視において覆うとは、刈刃23の外周側から刈刃23に接触しようとする被接触物が、刈刃23の切断部30には接触せず、防護部10のみに接触するように配置されていることを意味する。
本明細書では、刈刃防護装置1を刈払機20に取り付けた状態において、刈刃23の外周側から接触しようとする被接触物が刈刃23の切断部30に接触せず、防護部10にのみ接触しうる状態を、刈刃防護装置1における防護モードと称する。また、防護モードにおける防護部10の位置を、第一の位置と称する。第一の位置の詳細については後述する。
非作業時にあって、刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20を使用しないときは、防護部10が中心位置にあるときに係止ピン14を係止溝15に嵌り合わせ、係止状態とする。これによって被接触物(不図示)や操縦者に刈刃が接触せず、非作業時において操縦者および刈刃23を保護することができる。
ここで、本発明における付勢機構の意義について、図3を用いて説明する。図3は、簡略化のため刈払機20から取り外された状態の刈刃防護装置1の概略を示す模式図であり、図3(a)~(c)は防護部10が中心位置にある状態の刈刃防護装置1の平面図、正面図および側面図である。また、図3(d)~(f)は、後述する慣性力などの外力によって、防護部10が中心位置からX軸正方向に直線移動している状態の刈刃防護装置1の平面図、正面図および側面図である。
バネ16は、可動状態において防護部10が図3(a)~(c)に示す中心位置において最も安定するように設けられている。最も安定とは、防護部10に対する外力によってこの中心位置から防護部10が移動しているときに、当該移動によってバネ16が伸長する場合にはバネ16は収縮する力を生じ、収縮する場合は伸長する力を生じ、その結果防護部10がバネ16によって中心位置へと付勢されることをいう。
図3(d)~(f)に示すように外力によって防護部10およびスライド部12が取付部11に対して例えばX軸正方向へ直線移動した場合は、バネ16の収縮あるいは伸長によってX軸負方向にスライド部12を移動させる力を生じる。その後、外力がなくなった場合には、右バネ16aおよび左バネ16bの力が釣り合うまで防護部10が移動し、最終的に図3(a)~(c)に示す中心位置において防護部10およびスライド部12が停止する。第1実施形態においては、外力に対抗するようにバネ16の収縮あるいは伸長の力が生じていることを付勢と称し、バネ16aおよびバネ16bによる当該力を合計して付勢力と称する。
なお本実施の形態では、防護部10が中心位置にあるときに、バネ16aおよび16bがともに自然長であるように設けられている。ただし、本発明はかかる例に限定されず、防護部10を中心位置に付勢するためにはバネ16は自然長ではなくてもよい。例えば防護部10が中心位置にあるときに、バネ16aおよび16bがともに反発力を生じるように圧縮状態で設けられ、防護部の左右で均等に力を生じ拮抗しているような構成であってもよい。
次に、刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20による作業時における刈刃防護装置1の直線移動の概要を、図4を用いて説明する。
図4は、刈払機20に対して取り付けた刈刃防護装置1の動作の概略を示す模式図である。図4(a)で刈刃防護装置1は、図1に示す係止状態から係止ピン14が係止溝15から離れ、図2(a)~(c)と同様の可動状態となっており、防護部10が中心位置にある。
ここで防護部10を右方向に移動させるように外力が作用すると、可動状態である刈刃防護装置1は、図4(b)に示す通り防護部10が刈刃23の切断部30を平面視において一部を覆い、他部を覆わない位置に直線移動する。刈刃23刈刃23この状態では、被接触物(不図示)は、防護部10に覆われた上記一部において防護部10のみに接触し、刈刃23の切断部30には接触しない。一方で、被接触物(不図示)は、防護部10に覆われていない上記他部において刈刃23の切断部30に接触し、切断される。本明細書では、刈刃防護装置1を刈払機20に取り付けた状態において、被接触物(不図示)が上記他部において刈刃23の切断部30に接触し得るような状態を、刈刃防護装置1における切断モードと称する。また、切断モードにおける防護部10の位置を、第二の位置と称する。第二の位置の詳細については後述する。
次に、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1の防護部10が直線移動可能な所定範囲の意義について、図5を用いて説明する。
図5は、刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20の一部を示す部分図において、刈刃防護装置1が上記防護モードまたは上記切断モードをとるときの概略を示す模式図である。なお、簡略化のため刈払機20の一部を省略するが、図5(a)~(e)はすべて、図1および図4に示される刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20と同様の構成を有する。
図5(a)で刈刃防護装置1は可動状態であり、防護部10が中心位置にある。上記の通り、外力が働くと防護部10およびスライド部12が図中X軸方向に所定範囲を直線移動する。図5(b)は防護部10がX軸正方向に移動した場合を示し、図5(c)は防護部10がX軸負方向に移動した場合を示す。
図5(b)、(c)では防護部10が刈刃23の切断部30の全部を平面視において覆っている。この状態では、被接触物(不図示)が刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20に接触するとき、刈刃23の切断部30には接触せず、防護部10のみに接触する。すなわち、図5(b)、(c)では刈刃防護装置1は防護モードにある。一方、図5(b)に示す、切断部30が防護部10に覆われる位置から防護部10がさらにX軸正方向に移動すると、防護部10のX軸負方向側の端から、刈刃23の切断部30のX軸負方向側の端が露出し、図5(d)に示す状態となる。また、図5(c)に示す、切断部30が防護部10に覆われる位置から防護部10がさらにX軸負方向に移動すると、防護部10のX軸正方向側の端から、刈刃23の切断部30のX軸正方向側の端が露出し、図5(e)に示す状態となる。図5(d)、(e)では、刈刃防護装置1は切断モードにある。
ここで、図5(b)においてX軸正方向側で刈刃防護装置1が防護モードから切断モードに変わる直前の位置から、図5(a)の位置を経て、図5(c)においてX軸負方向側で刈刃防護装置1が防護モードから切断モードに変わる直前の位置までを、防護部10における第一の位置と称する。防護部10が図5(a)~(c)の例に示す第一の位置にあるとき、刈刃防護装置1は防護モードとなる。
また、以下の範囲を第二の位置と称する。すなわち、図5(b)において防護部10がさらにX軸正方向に移動し切断モードに変わった直後の位置から、図5(d)の位置を含み、防護部10がさらにX軸正方向に移動したときの範囲と、図5(c)において防護部10がさらにX軸負方向に移動し切断モードに変わった直後の位置から、図5(e)の位置を含み、防護部10がさらにX軸負方向に移動したときの範囲と、を含む範囲である。防護部10が図5(d)、(e)の例に示す状態を含む第二の位置にあるとき、刈刃防護装置1は切断モードとなる。
上記の通り、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1におけるスライド部12には、付勢機構における弾性部材としてバネ16が設けられている。図5(b)、(d)で防護部10がX軸正方向に移動しているとき、右バネ16aは伸長し、左バネ16bは収縮している。また、図5(c)、(e)で防護部10がX軸負方向に移動しているとき、右バネ16aは収縮し、左バネ16bは伸長している伸長または収縮したバネ16は、防護部10が中心位置に戻るように付勢力を生じる。当該付勢力の大きさはバネ16の強さ(すなわちバネ定数の大きさなど)によって変わり得るが、後述する第1実施形態にかかる刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20を用いた被接触物(不図示)の刈払い方法において、刈払機20の操縦者が刈払いを行う際に生じる、上記外力である慣性力(後述)よりも、付勢力が小さくなり得るように、バネ16の強さを決定すればよい。また、慣性力(後述)が付勢力よりも大きくなり得るように、防護部10およびスライド部12の質量を決定すればよい。
なお、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1の付勢機構において、バネ16は取付部11を挟んで両側にバネ16aおよびバネ16bの2つを設けたが、本発明はかかる例に限定されず、バネ16を設ける場所や、数量については適宜設定し得る。例えば、スライド部12を中空の部材として、当該中空の部分にバネ16を設けることとしてもよい。また、スライド部12をY軸方向に複数設けて、それぞれについてバネ16を設けることとしてもよい。また、弾性部材としてバネ16を用いたが、バネ16に代えて、ガススプリングなどを設けてもよい。また弾性部材として、一端が主管21に接続され、他端が防護部10またはスライド部12に接続される、ピアノ線からなる直線状のバネを用いてもよい。この場合、当該直線状のバネは外力がない場合に防護部10が中心位置となるように接続され、外力によって直線状のバネが屈曲することで防護部10が第一の位置と第二の位置を直線移動可能であるように設けられる。さらに、上記例を組合わせることで付勢機構を構成してもよい。
また、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1の防護部10は、中心位置からX軸正方向および負方向のいずれの第二の位置にも直線移動し得ることとしたが、これに代えて、中心位置からX軸正方向における第二の位置までを移動し、かつ中心位置からX軸負方向へは移動しないように構成されてもよい。または、中心位置からX軸負方向における第二の位置までを移動し、かつ中心位置からX軸正方向へは移動しないように構成されてもよい。また、上記2通りの構成が、切り替え可能であってもよい。
上記構成は、刈刃防護装置1が取り付けられる刈払機20における、刈刃23の回転方向が、平面視において反時計回りか時計回りかによって、適切なものを選択することが好ましい。例えば、刈刃23の上記回転方向が、平面視において反時計回りの場合は、防護部10が中心位置からX軸正方向における第二の位置までを移動し、かつ中心位置からX軸負方向へは移動しないように構成された刈刃防護装置1を選択することが好ましい。また、刈刃23の回転方向が時計回りの場合は、防護部10が中心位置からX軸負方向における第二の位置までを移動し、かつ中心位置からX軸正方向へは移動しないように構成された刈刃防護装置1を選択することが好ましい。これによって、仮に被接触物(不図示)が切断不能であって地面から動かないような場合に、防護部10から露出する刈刃23と、当該被接触物(不図示)とが接触したときに、回転する刈刃23によって刈払機20の全体がY軸正方向に移動するため、後述するキックバックの危険性を減らすことができるためである。
また、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1の防護部10において、防護部10の形状はリング状としたが、本発明はかかる例に限定されない。防護部10の形態・形状については、防護部10が第一の位置にあるときに刈刃防護装置1が防護モードとなり、第二の位置にあるときに切断モードとなる限りにおいて、自由に選択され得る。
例えば防護部10において右部分10aと左部分10bが分割されていてもよい。さらに、右部分10aを固定し、左部分10bのみが直線移動可能となるように、スライド部12、スライド軸受13および付勢機構を設けてもよい。または、左部分10bを固定し、右部分10aのみが直線移動可能となるように、スライド部12、スライド軸受13および付勢機構を設けてもよい。
なお、上記の通り防護部10がいくつかの部分に分割されている場合は、防護部10の上記部分のうちのいくつかの部分が平面視において刈刃23の切断部30の一部を覆い、かつ他部を防護部10の上記部分のうちの他の部分が覆わない位置にある状態を、当該例における切断モードとする。
上記の通り防護部10がいくつかの部分に分割されている場合、さらに、右部分を固定し、左部分のみが直線移動可能となるように、スライド部12、スライド軸受13および付勢機構を設けてもよい。この場合、上記例における刈刃防護装置1を取り付ける刈払機20において、刈刃の回転方向は平面視において反時計回りであることが望ましい。すなわち、反時計回りに回転する刈刃23のうち、切断モードにおいては防護部10の左部分のみが直線移動し、左部分から露出する刈刃23の部分において被接触物(不図示)に接触することが好ましい。これによって、キックバックの危険性を減らすことができる。
上記例において、同様の理由により、刈刃23の回転方向が時計回りであるような刈払機20に取り付ける刈刃防護装置1においては、左部分を固定し、右部分のみが直線移動可能となるようにすることが好ましい。
次に、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20を用いた被接触物の刈払い方法について、図6、図7を用いて説明する。
図6は、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20を、図示しない操縦者がハンドル26を把持し、矢印で示す方向(以下、刈払い方向)に振り、操縦者を中心として主管21の先端21aを90度回転させて刈払いを行うときの刈払い方法の概略を示す模式図である。
図6において、破線の四半円弧は上記刈払い中における主管21の先端21aの位置の軌跡を示している。破線の四半円弧上に示した(a)~(e)は、上記刈払い中における主管21の先端21aの位置を示している。また、上記刈払いにおいて主管21の先端を90度回転させた後の刈払機20の状態を示す例を、二点鎖線で記載した。
上記刈払いの開始前、主管21の先端21aが図6(a)の位置にある。図示しない操縦者は、ハンドル26を把持し、操縦者の体を中心に、刈払い方向に刈払機20を回転させるように力を加える。上記力は、刈払いの開始直後である図6(b)を経て、主管21の先端21aが図6(c)の位置に至るまで加え、これによって主管21の先端21aと、これに一体的に設けられた刈刃23が刈払い方向において正の加速度を有し、すなわち加速しながら移動する。
主管21の先端21aが図6(c)の位置を通り過ぎた後、上記力を加えるのをやめ、あるいは上記力と逆向きの力を加える。すなわち、図6(c)において加速を終了する。これによって主管21の先端21aと刈刃23が、刈払い方向において0(ゼロ)または負の加速度を有し、すなわち等速で、または減速しながら、移動する。その後図示しない操縦者は、主管21の先端21aが図6(d)を経て図6(e)の位置に来た時に刈払いを停止する。本明細書においては、図6(a)から図6(b)までを刈払いの開始時と称し、図6(d)から図6(e)までを刈払いの終了時と称する。
なお、上記の刈払いを1回としてこれを反復して複数回行うことで、任意の被接触物(不図示)の刈払いを行ってもよい。
図7は、図6において主管21の先端21aが(a)から(e)まで動くときの、刈刃23の切断部30と防護部10との関係の概略を示す模式図である。図7(a)~(e)は、それぞれ図6の(a)~(e)の各位置と対応している。例えば図6で主管21の先端21aが(c)の位置にあるとき、刈刃23の切断部30と防護部10との関係は、図7(c)に示す通りになっている。
いま、図7(b)、(c)において、主管21の先端21aと刈刃23の切断部30がX軸負方向に加速する一方で、刈刃防護装置1において防護部10には、慣性によってその場にとどまろうとするX軸正方向の見かけの力(以下、第一の慣性力と称する)が生じており、これによって刈刃23の切断部30に対し相対的にX軸正方向に移動している。なお、第一の慣性力は、防護部10及びスライド部12を合わせた質量と、上記加速度との積によって概算される。
ここで、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1におけるスライド部12には、付勢機構における弾性部材としてバネ16が設けられている。図7(b)、(c)でX軸正方向に第一の慣性力が生じ、第一の慣性力によって防護部10がX軸正方向に移動しているとき、右バネ16aは伸長し、左バネ16bは収縮している。当該伸長または収縮したバネ16は、防護部10を中心位置に移動させるようにX軸負方向の付勢力を生じる。
図7(b)では防護部10及びスライド部12に働くX軸正方向の第一の慣性力が、これらをX軸負方向に押し戻そうとするバネ16の付勢力よりも大きく、スライド部12はX軸正方向にさらに移動することで、防護部10が図7(c)に示す位置まで移動する。図7(c)では、X軸正方向の第一の慣性力がX軸負方向の付勢力と釣り合うか、または左バネ16bがそれ以上収縮しない長さにまで短縮し密着状態となっており、防護部10はX軸方向のいずれにも移動しない。
主管21の先端21aが図6(c)を過ぎた後、刈払い方向における加速度が負となったとき、主管21の先端21aと刈刃23の切断部30が減速する一方で、刈刃防護装置1において防護部10には、慣性によって等速で移動しようとするX軸負方向の見かけの力(以下、第二の慣性力と称する)が生じており、これによって刈刃23の切断部30に対し相対的にX軸負方向に移動する。第二の慣性力と付勢力を合わせた力によって、防護部10が図7(d)に示す位置を経て、図7(e)に示す停止状態の位置へ移動する。
本刈払い方法においては、第一の慣性力が付勢力を上回り防護部10が第二の位置へ移動した状態、すなわち切断モードであるときに被接触物(不図示)の切断が行われる。したがって、図示しない操縦者は刈払いの一回のうち、刈払いの効率を維持するのに十分な時間において切断モードが維持されるように、第一の慣性力が付勢力を上回るように加速しながら刈払機20を回転させる。
上記刈払い方法によると、図6(b)の直後から図6(d)の直前までにおいて、防護部10から露出する刈刃23の切断部30に接触した被接触物(不図示)の切断が行われる。
ところで、刈払いによって切断された被接触物(不図示)は、当該切断された部分が刈刃23の上に乗って、または刈刃23の一部に引っかかって刈刃23の回転方向へ運ばれ、刈刃23と飛散防止カバー27との間に詰まる(以下、草詰まりと称する)可能性がある。なお、飛散防止カバー27は通常、刈刃23に近い位置の主管21に、刈刃23が切断した被接触物が、操縦者側へ飛散しないように防止するように取り付けられる。
これに対し、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1を取り付けた刈払機20を用いた刈払い方法によると、図7(c)に示す切断モードから図7(e)に示す刈払いの一回の終了時までにおいて、防護部10は第二の慣性力と付勢力によって中心位置へ移動する。すなわち、刈刃23の切断部30が刈払いの一回ごとに防護部10によって覆われる。これによって、刈刃23と主管21との間に詰まった被接触物(不図示)の切断された部分を、刈払いの一回ごとに間から押しだすという作用が期待でき、草詰まりを軽減する。上記作用により、草詰まりを予防するという効果を奏する。
なお、上記において刈払いは、図示しない操縦者が、操縦者を中心として主管21の先端21aを90度回転させて行うこととしたが、本発明はかかる例に限定されず、任意の回転角度で刈払いの一回を行ってもよく、また一回ごとに異なる回転角度で刈払いの各一回を行っても構わない。いずれの刈払いの一回においても、第一の慣性力が付勢力を上回るように加速しながら刈払機20を回転させることができればよい。
また、上記において刈払いは、主管21の先端21aが真円弧上をたどるように回転させて行うこととしたが、本発明はかかる例に限定されない。ただし、刈払い時に生じる慣性力が、スライド部12の直線移動の方向に略一致していることが好ましい。例えば図6の例のように主管21の先端21aが真円弧をたどる場合は、刈払い時に加速度が生じる向きが刈刃防護装置1におけるスライド部12の直線移動の方向と略一致し、慣性力のすべてが防護部10のX軸方向の移動に寄与するため、好ましい。このほか、例えばスライド部12の直線移動の方向に平行な方向へ直線的に刈払いを行ってもよい。また、主管21の先端21aが任意の楕円弧をたどるように刈払いを行ってもよい。
(第2実施形態にかかる刈刃防護装置)
以下、本発明の第2実施形態にかかる刈刃防護装置40について説明する。
図8は、第2実施形態にかかる刈刃防護装置40を取り付けた刈払機20に取り付けたときの概略を示す模式図である。図8において、第2実施形態にかかる刈刃防護装置40は、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1と同様に、防護部10、取付部11、スライド部12、スライド軸受13、係止ピン14、係止溝15を有する。上記構成については、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1と同様の作用および効果を有するので、説明を省略する。また、第2実施形態にかかる刈刃防護装置40は、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1と同様にして刈払機20に対し取り付けられる。刈払機20の構成についても上記と同様の構成を有するため、説明を省略する。
第2実施形態にかかる刈刃防護装置40は、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1と異なり、取付部11の内部に駆動制御部41が備えられている。駆動制御部41はモータ42を備え、モータ42とスライド部12が、例えば図示しない任意のギアによって接続されることで、モータ42の回転がスライド部12に伝えられる。スライド部12は、モータ42の回転が伝えられることによってX軸方向に直線移動する。
駆動制御部41は、モータ42の回転方向を変更可能に制御する。駆動制御部41におけるモータ42の回転方向の変更によって、スライド部12の直線移動の方向をX軸正方向またはX軸負方向に変更させることができる。
モータ42によってスライド部12は、中心位置から一定距離移動した第二の位置で停止する。このとき停止する位置は、第二の位置で刈刃防護装置40が切断モードを維持し、切断部30に対して被接触物(不図示)が十分に広い範囲で接触し得る場所とする。例えば、図8(b)に示すような位置であってもよい。
駆動制御部41はさらに、防護部10における加速度を検出する加速度センサ43を有する。加速度センサ43は刈払機20または刈刃防護装置40における加速度を検知し、検知結果を駆動制御部41に出力する。駆動制御部41は、加速度センサ43から入力される加速度の検知結果によってモータ42の回転方向を変更させ、スライド部12の直線移動の方向を変化させる。すなわち、加速度センサ43が加速度を検知するときに、駆動制御部41によってモータ42が駆動し、スライド部12および防護部10を移動させる。
加速度センサ43が所定の閾値以下の加速度を検知するとき、上記加速度の検知結果が駆動制御部41に出力され、駆動制御部41は防護部10を上記の第二の位置に移動したのち停止する(図8(b))。
ここで、刈刃23の切断部30に対し、切断されずかつ地面に固定され動かないような被接触物(不図示)が接触したとき、当該被接触物(不図示)と回転する刈刃23が弾き合い、刈払機20全体を大きく弾き返すキックバックが生じる場合がある。当該キックバックによって予期しない方向に刈払機20が移動した結果、操縦者は刈払機20のコントロールを失い、操縦者の転倒や、あるいは周囲や操縦者自身に回転する刈刃23が接触するなどの危険が及ぶ場合がある。
これについて、第2実施形態にかかる刈刃防護装置40は、加速度センサ43において所定の閾値より大きい加速度を検知した場合に、中心位置に移動し、停止するように構成されている。上記キックバックにおいては、刈払機20と被接触物(不図示)との接触の際に、刈払機20または刈刃防護装置40に予期しない大きな加速度が生じた場合は、操縦者がコントロールを失いやすいため特に問題となる。そこで、第2実施形態にかかる刈刃防護装置40において、駆動制御部41が参照する上記閾値は、上記キックバックで危険が生じると思われる加速度より小さく、かつ通常の刈払いで生じる程度の加速度より大きい範囲で設定する。
上記閾値をあらかじめ設定した駆動制御部41によっては、上記閾値より大きい加速度を検知するときは、防護部10を中心位置に移動させて固定する(図8(a))。なお、上記第二の位置における固定は、加速度センサ43が上記閾値より大きい加速度を検知した場合にはただちに解除される。これに対し、上記中心位置における固定は、操縦者が安全を確認した上で解除可能とするため、例えば図示しない別途の解除スイッチによって解除される。
このとき、加速度センサ43が上記閾値より大きい加速度を検知した場合の上記中心位置における固定は、係止ピン14が移動することによる、係止ピン14による係止であってもよい。このために、駆動制御部41はさらに、係止ピン14の上記移動を行う図示しない機構を備えていてもよい。この場合、上記解除スイッチによる解除は、係止ピン14をY軸負方向に移動させることによる係止状態の解除であってもよい。
なお、第2実施形態において駆動制御部41には加速度センサ43が設けられることとしたが、これに代えて、例えば刈刃防護装置40が取り付けられるべき刈払機20にあらかじめ備えられた加速度センサ25と駆動制御部41とを電気的に接続し、加速度の検知および駆動制御部41に対する出力を行うこととしてもよい。または、加速度センサ25と加速度センサ43を共に用いて、いずれかまたは両方において閾値を超える加速度を検知するときには防護部10を中心位置に移動させて固定することとしてもよい。
また、加速度センサ43において上記閾値以下の加速度を検知するときは、防護部10を第二の位置に移動させて固定することで切断モードとすることとしたが、例えば加速度センサ43が加速度を検知しないとき(すなわち、加速度が0(ゼロ)のとき)には、駆動制御部41によって防護部10が中心位置または第一の位置に移動し、防護モードとするようにしてもよい。これにより非作業時においては、予期しない刈刃との接触から操縦者を保護する効果を奏する。また、後述する刈払いの一回の終了時に停止した状態において防護部10が中心位置または第一の位置に移動することで、草詰まりの予防効果を奏する。
また、第2実施形態にかかる刈刃防護装置40の防護部10は、中心位置からX軸正方向および負方向のいずれの第二の位置にも直線移動し得ることとしたが、これに代えて、中心位置からX軸正方向における第二の位置までを移動し、かつ中心位置からX軸負方向へは移動しないように構成されてもよい。または、中心位置からX軸負方向における第二の位置までを移動し、かつ中心位置からX軸正方向へは移動しないように構成されてもよい。また、上記の構成が、切り替え可能であってもよい。
上記構成は、刈刃防護装置40が取り付けられる刈払機20における刈刃23の回転方向が、平面視において反時計回りか時計回りかによって、適切なものを選択することが好ましい。例えば、刈刃23の上記回転方向が、平面視において反時計回りの場合は、防護部10が中心位置からX軸正方向における第二の位置までを移動し、かつ中心位置からX軸負方向へは移動しないように構成されたものを選択することが好ましい。また、刈刃23の回転方向が時計回りの場合は、防護部10が中心位置からX軸負方向における第二の位置までを移動し、かつ中心位置からX軸正方向へは移動しないように構成されたものを選択することが好ましい。これによって、仮に被接触物(不図示)が切断不能であって地面から動かないような場合に、防護部10から露出する刈刃23と、当該被接触物(不図示)とが接触したときに、回転する刈刃23によって刈払機20の全体がY軸正方向に移動するため、キックバックの危険性を減らすことができる。
次に、第2実施形態にかかる刈刃防護装置40を取り付けた刈払機20を用いた刈払い方法について図10を用いて説明する。なお、以下の方法においては、第2実施形態にかかる刈刃防護装置40において加速度センサ43が加速度を検知しないとき(すなわち、加速度が0(ゼロ)のとき)に駆動制御部41によって防護部10が中心位置に移動するように構成される。また、刈払機20における刈刃23の回転方向は反時計回りとし、刈刃防護装置40における防護部10は、中心位置からX軸正方向における第二の位置までを移動し、かつ中心位置からX軸負方向へは移動しないように構成される。
図9は、第2実施形態にかかる刈刃防護装置40を取り付けた刈払機20を、図示しない操縦者がハンドル26を操作し、矢印で示す方向(以下、刈払い方向)に、操縦者を中心として主管21の先端を90度回転させて刈払いを行うときの刈払い方法の概略を示す模式図である。
図9において、破線の四半円弧は上記刈払い中における主管21の先端21aの位置の軌跡を示している。破線の四半円弧上に示した(a)~(e)は、上記刈払い中における主管21の先端21aの位置を示している。また、上記刈払いにおいて主管21の先端を90度回転させた後の刈払機20を、一点鎖線で記載した。
上記刈払いの開始時、主管21の先端21aが図9(a)の位置にあ。図示しない操縦者は、ハンドル26を把持し、操縦者の体を中心に、刈払い方向に刈払機20を回転させるように力を加える。上記力は、主管21の先端21aが図9(c)の位置に至るまで加え、これによって主管21の先端21aと、これに一体的に設けられた刈刃23が刈払い方向において正の加速度を有し、すなわち加速しながら移動する。
主管21の先端21aが図9(c)の位置を通り過ぎた後、上記力を加えるのをやめ、あるいは上記力と逆向きの力を加える。これによって主管21の先端21aと刈刃23が、刈払い方向において負の加速度を有し、すなわち減速しながら移動する。その後図示しない操縦者は、主管21の先端21aが図9(d)を経て図9(e)の位置に来た時に刈払機20を停止させる。本明細書においては、図9(a)から図9(b)までを刈払いの開始時と称し、図9(d)から図9(e)までを刈払いの終了時と称する。
上記の刈払いを1回としてこれを複数回行うことで、任意の被接触物(不図示)の刈払いを行ってもよい。
図10は、図9において刈払機20の主管21の先端21aが(a)から(e)まで動くときの、刈刃23の切断部30と防護部10との関係の概略を示す模式図である。図10(a)~(e)は、それぞれ図9の(a)~(e)の各位置と対応している。例えば図9で主管21の先端21aが(c)の位置にあるとき、刈刃23の切断部30と防護部10との関係は、図10(c)に示す通りになっている。
今、図9(a)では、停止状態において加速度が生じていないため、加速度センサ43が加速度を検知せず、図10(a)に示す通り防護部10が中心位置に移動している。
図9(a)の直後、刈払いの開始に伴い、刈刃防護装置40において刈払い方向に正の加速度が生じると、駆動制御部41における加速度センサ43が当該正の加速度を検知し、検知結果を駆動制御部41に出力する。駆動制御部41は、当該加速度をあらかじめ設定した閾値以下であるとして、モータ42に信号を出力し、モータ42はスライド部12をX軸正方向に速やかに移動させる。これによって、図9(b)の位置で、図10(b)に示す通り刈刃防護装置40は切断モードとなる。
その後、図9(c)で図示しない操縦者が刈払い方向に力を加えるのをやめ、刈払機20が減速に転じ、刈刃防護装置40において刈払い方向に負の加速度が生じると、駆動制御部41における加速度センサ43が当該負の加速度を検知し、検知結果を駆動制御部41に出力する。駆動制御部41は、当該加速度をあらかじめ設定した閾値以下であるとして、モータ42に信号を出力し、モータ42はスライド部12をX軸正方向における第二の位置に維持する。これによって、図9(d)の位置で、図10(d)に示す通り刈刃防護装置40は切断モードが維持されている。
さらに、図9(e)で刈払機20が停止状態となったとき、刈刃防護装置40において加速度が生じていないため、加速度センサ43が加速度を検知せず、図10(e)に示す通り防護部10が中心位置に移動する。
第2実施形態にかかる刈刃防護装置40を取り付けた刈払機20を用いた刈払い方法によると、図9(b)~(d)に示す切断モードから図9(e)に示す刈払いの一回の終了時までにおいて、防護部10はモータ42の駆動によって中心位置へ移動する。すなわち、刈刃23の切断部30が刈払いの一回ごとに防護部10によって覆われる。これによって、刈刃23と主管図示しない飛散防止カバーとの間に詰まった被接触物(不図示)の切断された部分を、刈払いの一回ごとに間から押しだすという作用が期待でき、草詰まりを軽減する。
なお、上記において刈払いは、図示しない操縦者が、操縦者を中心として主管21の先端を90度回転させて行うこととしたが、本発明はかかる例に限定されず、任意の回転角度で刈払いの一回を行ってもよく、また一回ごとに異なる回転角度で刈払いの各一回を行っても構わない。いずれの刈払いの一回においても、第一の慣性力が付勢力を上回るように加速しながら刈払機20を回転させることができればよい。
第1実施形態にかかる刈刃防護装置1において、係止ピン14がスライド部12に設けられた係止溝15に嵌り合うことによって係止状態とする係止機構を設けたが、本発明はかかる例に限定されない。係止機構は、例えば図11に示すような構成であってもよい。
図11は、第1実施形態にかかる刈刃防護装置1における係止機構の他の一例を示す模式図である。係止機構は、係止ピン14が例えば図11に示すように、略Y字型の部材であり、取付部11の上面(Z軸正方向側の面)にスライド軸受13まで貫通するように設けられる係止溝50と、係止溝50にはまり込むようにしてスライド部12に一体的に設けられる係止軸51を有していてもよい。この場合、係止軸51は、その上端(Z軸正方向側の端部)が取付部11の上面よりも高くなるように設けられる。これにより、係止ピン14が係止軸51と係合する図11(a)の場合は係止状態となり、係止ピン14が係止軸51から離れる図11(b)の場合は可動状態とすることができる。なお、上記係止機構は第2実施形態にかかる刈刃防護装置40において同様に設けてもよい。
第1実施形態および第2実施形態において、刈刃防護装置1の刈払機20への取り付けは、取付部11に図示しないネジ穴を設けて、ねじによる締結によって行うこととしたが、これに代えて取付部11をギアボックス22上に接着剤などによって接着することによって取り付けることとしてもよい。また、取付部11とギアボックス22とが着脱可能ではなく、これらが一体的に構成されていてもよい。
また、第1実施形態および第2実施形態において、スライド部12における防護部10の直線移動の方向がX軸と平行となるように刈刃防護装置1を刈払機20に取り付けることとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図4、図8のような取り付けと比較して、刈刃防護装置1を刈払機20に対して平面視において時計回りに30°程度回転させて取り付けることとしてもよい。これによって、防護部10の直線移動の方向は、図4、図8の例と比較して平面視において時計回りに30°程度回転した方向となる。当該構成によっては、防護部10が第二の位置に移動するとき、左側上部の刈刃23の切断部30が露出しやすくすることができ、刈刃23の回転方向が反時計回りであるような場合に好適である。
本発明は、被接触物の刈払いのための刈払機に取り付けることで、作業時および非作業時に操縦者と刈刃を保護する刈刃防護装置に利用することができる。また、当該刈刃防護装置を取り付けた刈払機を用いた被接触物の刈払いに用いることができる。
X X軸
Y Y軸
Z Z軸
1 刈刃防護装置
10 防護部
11 取付部
12 スライド部
13 スライド軸受
14 係止ピン
15 係止溝
16a 右バネ
16b 左バネ
20 刈払機
21 主管
22 ギアボックス
23 刈刃
24 駆動源
25 加速度センサ
26 ハンドル
27 飛散防止カバー
30 切断部
40 刈刃防護装置
41 駆動制御部
42 モータ
43 加速度センサ
50 係止溝
51 係止軸

Claims (6)

  1. 主管の先端に回転する刈刃が設けられた刈払機において、前記刈刃を防護する刈刃防護装置であって、
    前記刈刃防護装置を前記刈払機に対し一体的に、または着脱可能に取り付ける取付部と、
    前記取り付けられた状態で、前記刈刃を防護する防護部と、
    前記取付部に対し前記防護部を直線移動可能に支持するスライド部と、を有し、
    前記スライド部は、
    前記防護部が前記刈刃の外周の全部を覆う第一の位置と、
    前記防護部が前記刈刃の外周の一部を覆い、他部が露出するような第二の位置と、に直線移動し、
    前記スライド部を、前記取付部に対して前記第一の位置において固定可能な係止機構を有する、
    刈刃防護装置。
  2. 平面視において、前記刈刃の回転方向が時計回りであるときには、前記第二の位置において前記防護部が覆う一部は刈刃の左部分であり、かつ前記防護部から露出する他部は刈刃の右部分であり、
    平面視において、前記刈刃の回転方向が反時計回りであるときには、前記第二の位置において前記防護部が覆う一部は刈刃の右部分であり、かつ前記防護部から露出する他部は刈刃の左部分である、請求項1に記載の刈刃防護装置。
  3. 前記防護部が前記第一の位置において最も安定するように前記防護部を付勢する付勢機構をさらに有する、請求項1または2に記載の刈刃防護装置。
  4. 前記刈払機の姿勢変化を検知するセンサと、前記センサの出力に応じて前記防護部を前記直線移動させる駆動制御部と、をさらに有し、
    前記刈払機または前記刈刃防護装置において、前記センサが閾値以下の加速度を検知するときは、前記駆動制御部により前記防護部を前記第二の位置に移動させ、
    前記閾値より大きい前記加速度を検知するときは、前記駆動制御部により前記防護部を前記第一の位置に移動させる、請求項1または2に記載の刈刃防護装置。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の刈刃防護装置が取り付けられた、刈払機。
  6. 請求項5に記載の刈払機を用いて被接触物の刈払いを行う、刈払い方法であって、
    前記刈払いの開始時において、前記防護部を前記第一の位置から第二の位置に移動させて前記刈払いを行い、その後、
    前記刈払いの終了時において、前記防護部を前記第二の位置から第一の位置に移動させる、刈払い方法。
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