JP2016158527A - 携帯用作業機 - Google Patents

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淳 久下沼
Atsushi Kugenuma
淳 久下沼
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Abstract

【課題】
簡単な構成で確実に刈刃の回転を停止させることが可能な、携帯用作業機を得る。
【解決手段】
駆動源と、前記駆動源により回転させられ、対象を切断する先端工具を有する駆動部と、前記駆動部の回転を制動する制動手段と、を備えた携帯用作業機において、前記制動手段を作動させる力を蓄積可能な蓄力手段を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、先端工具を回転させることで対象を切断する作業機、特に刈払機などの携帯用作業機に関するものである。
刈払機、チェーンソー、パワーカッタ等、作業者が携帯して使用する携帯用作業機は、動力源として小型の空冷エンジンや電動モータが用いられる。特許文献1に示す従来のエンジン刈払機は、エンジンの駆動力により先端工具である刈刃(回転刃)が回転することで、切断対象となる草を刈る。
特開2014−234752号公報
エンジン刈払機において、操作者が操作終了時等に迅速に刈刃の回転を停止できるように、刈刃の回転を制動するブレーキ機構が考案されている。このブレーキ機構は、刈刃の固定された回転軸とスプラインで嵌合した刃受け金具にブレーキドラムを対向させ、ブレーキシューのライニングをブレーキドラムに押付けることで、刃受け金具を制動する。また、ブレーキシューはハンドルに設けられたブレーキレバーとブレーキワイヤによって接続され、操作者がブレーキレバーを握るとブレーキワイヤが引かれ、ブレーキワイヤの引張力によりブレーキシューがブレーキドラムに押付けられる構成となっている。
しかしながらブレーキの操作する際には、操作者は刈払機のハンドルに設けられたブレーキレバーを操作する必要があるため、刈刃を迅速に停止したい場合には不向きである。例えば作業中に刈刃が障害物等へ接触した場合にはエンジン刈払機が跳ね返されるため、このはずみで周囲の壁などに刈刃を接触させる前に回転を停止させることが望ましい。しかしながら、操作者が瞬時にブレーキレバーを操作して刈刃の回転を停止させることは難しく、エンジンのスロットル操作に連動して手動でブレーキを解除することは、作業者にとっては操作が煩雑である。また、操作者がブレーキレバーを握ることによるブレーキワイヤの引張力でブレーキが作動する構成とすると、ブレーキレバーが十分に操作されず、刈刃の回転が止まらない可能性もある。さらに、刈刃の回転を停止できたとしても、刈刃が周囲の壁などに接触することは避けることが望ましい。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記の問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る携帯用作業機は、駆動源と、前記駆動源により回転させられ、対象を切断する先端工具を有する駆動部と、前記駆動部の回転を制動する制動手段と、を備えた携帯用作業機において、前記制動手段を作動させる力を蓄積可能な蓄力手段を備える、ことを特徴とする。
また、前記蓄力手段は気体を蓄積可能な蓄圧部であり、前記力は前記気体が有する圧力であってもよい。
また、前記制御手段は、前記力により前記駆動部へ当接することで回転を制動してもよい。
また、前記作業機は、前記作業機に加わる加速度を検出する加速度検出器を備え、前記加速度検出器が検出する加速度が設定値を超えると、前記力が解放されてもよい。
また、前記加速度検出器は、前記作業機に対して移動可能に設けられたウエイト部と、前記ウエイト部に接続され、前記ウエイト部の移動を抑制するばね部と、を有し、前記加速度により前記ウエイトが移動すると前記力が解放されてもよい。
また、前記作業機は、前記先端工具の回転径方向における外周側へ伸長可能な可変保護部を備え、前記可変保護部は前記力により伸長してもよい。
また、前記作業機は、前記先端工具の回転径方向における外周側へ伸長可能な袋状のエアバッグとして構成され、前記エアバッグの内部へ前記気体が侵入することで伸長してもよい。
上記の構成によれば、簡単な構成で確実に刈刃の回転を停止させることが可能となる。
本発明の実施の形態となる刈払機の上面図 本発明の実施の形態となる刈払機におけるギヤケース周辺側面図 本発明の実施の形態となる刈払機における加速度検出器の上面図 本発明の実施の形態となる刈払機における加速度検出後の加速度検出器の上面図 本発明の実施の形態となる刈払機における制動手段作動時のギヤケース周辺側面図 本発明の変形例となる刈払機におけるギヤケース周辺側面図 本発明の変形例となる刈払機におけるエアバッグ伸長時のギヤケース周辺上面図 本発明の別の変形例となる刈払機における加速度検出器の構成図
以下に本発明の実施の形態となる作業機について説明する。ここでは、エンジンを動力源とする刈払機を例として説明する。
図1に示すように、刈払機1は、駆動源として小型空冷2サイクルエンジン14を備える。エンジン14が駆動したことにより生じる回転力は、シャフト15内に設けられた駆動軸16を通してギヤケース2内部に伝達される。また、シャフト15上には加速度検出器4とガスカートリッジ5が設けられており、加速度検出器4とギヤケース2には、両者を連結しガスの圧力を伝播する中空のガス管7が接続されている。
図2(a)に示すように、ギヤケース2は駆動部として回転軸201とスプライン等で嵌合された歯受金具202と歯押金具203とを備え、歯受金具202と歯押金具203との間に先端工具となる刈刃3が配置される。この刈刃3はナット205の摩耗を防止するナットカバ204を介し、ナット205により固定される。また、駆動軸16と回転軸201には、それぞれ駆動歯車208と従動歯車209とが互いに噛み合うように設けられているため、駆動軸16の回転力は駆動歯車208と従動歯車209を経由して回転軸201へと伝わり、回転軸201の回転に連動して刈刃3が回転する。刈刃3は図1に示すように回転方向17へ向かって左回転を行う。
ギヤケース2には刈刃3の回転を制動するための制動手段として、ブレーキ207が設けられる。このブレーキ207周辺の拡大図を図2(b)に示す。このブレーキ207は、ピストン207aとライニング(当接部)207bとから構成される。ピストン207aは円環状の形状を有し、回転軸201の軸方向に摺動可能に設けられている。ピストン207aは通常はピストンスプリング206により上方へ付勢されているが、ギヤケース2に一端が接続されたガス管7により圧力が伝播された場合には下方へ移動するように構成されている。またライニング207bはピストン207aの下面に設けられており、歯受金具202に当接することで、摩擦力により刈刃3の回転を制動する。なお、このライニング207bを設けず、ピストン207aの下面が直接歯受金具202に当接する構成としてもよい。
図3には、加速度検出器4およびガスカートリッジ5の断面図を示す。ガス管7における、ギヤケース2に接続される一端とは反対側の他端には、加速度検出器4が接続される。加速度検出器4の左側には、カートリッジ本体501とカートリッジ蓋502とから構成されるガスカートリッジ5(蓄圧部)が着脱自在に取り付けられる。カートリッジ本体501は金属等で構成され、内部に高圧のガス(気体)を貯蔵しており、カートリッジ本体501の右端に設けられた開口は該ガスが内部から漏れ出さないようにカートリッジ蓋502により遮断されている。カートリッジ蓋502も金属等で構成され、カートリッジ本体501からガスが漏れ出さないように剛性を有するが、肉薄部504を鋭利な物体が貫通することで、ガスを噴出させることも容易に可能である。また、ガスカートリッジ5にはねじの切られた雄ねじ部503が設けられており、加速度検出器4に設けられた雌ねじ部8と螺合することで加速度検出器4に取り付けられる。
加速度検出器4内部には、ウエイト402が左右方向に移動可能に設けられている。ウエイト402はスプリング6(ばね部)を介して内壁401に接続されており、スプリング6の弾性力によってガスカートリッジ5側(左方向)へと付勢されている。また、ウエイト402のスプリング6が接続される側(右側)とは反対側の面(左側)には針403が設けられており、ウエイト402は、針403がカートリッジ蓋502の肉薄部504に当接した状態(作業状態)に保持される。なお、スプリング6がウエイト402を付勢する弾性力は、通常の刈払い作業における振動等で針403が肉薄部504を貫通しない程度に調整されている。
次に、本発明に係る作業機のブレーキ機構の挙動について、図4および図5を用いて説明する。刈払機1を用いた刈払い作業中に刈刃3が木などの障害物に接触した場合、回転する刈刃3が障害物に引っかかり、ギヤケース2は図1に示す反発方向18(右方向)へ向かって急激に動く。このとき加速度検出器4も同様に右方向へ急激に移動するが、加速度検出器4内部に設けられたウエイト402には慣性が働くためその場に残ろうとする。これによりウエイト402には加速度分の慣性力が左方向へと加わるため、ウエイト402に加わる力の大きさは、該慣性力とスプリング6の弾性力との合成力の大きさとなる。該合成力の大きさが設定値を超えた場合、針403がカートリッジ蓋502の肉薄部504を貫通し、カートリッジ本体501内部に貯蔵された高圧ガスが外部へと噴出する。
ガスカートリッジ5から高圧ガスが放出された際の、ブレーキ207周辺の様子を図5に示す。ガスカートリッジ5から高圧ガスが放出されると、圧力はガス管7を通じてギヤケース2にまで伝播する。この圧力はギヤケース2内のガス伝達路210を経由して円環上のピストン207aに伝達され、ピストンスプリング206により上方へ付勢されていたピストン207aは下方へ移動する。この移動により、ピストン207aの下面に設けられたライニング207bは歯受金具202と当接し、摩擦力によって刈刃3の回転を制動する。
以上の構成によれば、刈払機1はブレーキ207を作動させる力を蓄積可能な蓄力手段としてガスカートリッジ5を備える構成としたため、電源の必要なモータなど複雑な機構を備えない簡単な構成としながら、強い制動力によって刈刃3の回転を止めることが可能となる。
また、ブレーキ207のライニング207bが歯受金具202へ当接することで刈刃3の回転を制動する構成としたため、ベルト等を用いたブレーキと比較して安定して強い制動力が得られる。
また、刈払機1に加速度検出器4を設け、加速度検出器4が検出する加速度が設定値を超えるとブレーキ207が作動する構成としたため、刈刃3が障害物等に接触し跳ね返されたり、作業者が刈り払い作業中に転倒した場合等に、操作者が煩雑なブレーキ操作を行わなくてもブレーキ207が作動し、迅速に刈刃3の回転を停止させることが可能である。
また、加速度検出器4はウエイト402とスプリング406を有し、刈払機1に加わる加速度によりウエイト402が移動するとガスカートリッジ5から高圧ガスが噴出される構成としたため、加速度センサ等を有さない簡単な構成でブレーキ207を作動させることが可能となる。
次に、本発明の変形例を図6および図7を用いて説明する。図6に示すように、ギヤケース2はガス伝達路210から分岐した分岐路211を有し、この分岐路211の先にはエアバッグ(可変保護部)9が設けられている。エアバッグ9は内部に気体が入り込める袋状であり、内部に気体が充満すると刈刃3の上部を横方向に伸長し、その先端は刈刃3の外周まで到達するように構成される。
ガスカートリッジ5から高圧ガスが放出されると、圧力はガス管7とガス伝達路210を経由してピストン207aへ伝達されると同時に、分岐路211を経由してエアバッグ9へも伝達される。この圧力によって高圧ガスはエアバッグ9内部へと入り込み、ブレーキ207が作動するのと並行して、エアバッグ9が展開する。伸長状態のエアバッグ9aは、刈刃3の上面を外周まで覆うように展開する。
本発明の変形例に係る構成によれば、ガスカートリッジ5が有する高圧ガスの圧力によってブレーキ207を作動させる構成としたため、ブレーキ207と同一の動力源を用いてエアバッグ9などの別部材を作動させることも可能となる。
また、ガスカートリッジ5が有する高圧ガスの圧力によってブレーキ207を作動させる刈払機1において、刈払機1が刈刃3の外周側へ伸長可能な袋状のエアバッグ9を備え、該高圧ガスがエアバッグ9の内部に進入することで伸長する構成としたため、刈刃3が障害物に跳ね返されたときに周囲の物体に接触しないように、刈刃3を保護することができる。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、本願発明は請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは、当業者に理解されるところである。例えば、本実施の形態において加速度検出器4は内壁401およびウエイト402、針403、スプリング6からなる構成としたが、これを加速度センサを用いる構成に置き換えてもよい。この場合刈払機1は図8に示すように、加速度検出器4またはギヤケース2の周辺に加速度センサ10と、先端に針12を備えたソレノイド11、ソレノイド11を駆動させる制御回路13、電源19を備える。刈刃3が障害物に接触し、ギヤケース2が右方向に急激に移動した場合には、加速度センサ10が加速度検出器4にかかる加速度を検出し、設定値以上の加速度が検出されると制御回路13がソレノイド11を作動させる。ソレノイド11が作動すると針12は左方向へと移動し、カートリッジ蓋502の肉薄部504を貫通することでカートリッジ本体501内部に貯蔵された高圧ガスが外部へと噴出し、この圧力によってブレーキ207が作動する。
また、本実施の形態においては、加速度検出器4に所定の加速度が加わるとウエイト402が移動し、針403がカートリッジ蓋502を貫通することで高圧ガスが噴出される構成としたが、針403を設けず、ウエイト402の移動に伴ってカートリッジ蓋502が開閉する構成としてもよい。さらに、ガスカートリッジ5に気体注入口を設け、カートリッジ本体501から高圧ガスが噴出されたのちに再注入可能な構成としてもよい。これらの構成を用いると、ブレーキ207が作動するたびにガスカートリッジ5を交換する必要が無いことから、使用する際のコストが削減できる。
また、本実施の形態においてブレーキ207を作動する手段はガスカートリッジ5内部に貯蔵された高圧ガスの圧力となる構成としたが、これ以外の方法でブレーキを作動させてもよい。例えば、ライニング207bを歯受金具202側に付勢するスプリング等の弾性体を設け、通常作業時は該スプリングが圧縮されライニング207bと歯受金具202は当接しないが、所定の加速度が加わるとスプリングが解放されライニング207bが歯受金具202に当接するように付勢される構成としてもよい。
また、本実施の形態においてブレーキ207はライニング207bが歯受金具202に当接し刈刃2の回転を制動するディスクブレーキ状の構成としたが、例えば回転軸201の周囲に巻きつくようにバンドブレーキを設け、所定の加速度が加わるとバンドブレーキが回転軸201を締付けることにより刈刃3の回転を制動する構成としてもよい。
また、本実施の形態においてギヤケース2は刈刃3の外周側へ伸長可能な袋状のエアバッグ9を備え、刈刃3の周囲を保護できる構成としたが、ギヤケース2が折り畳み式の可動保護カバーを設け、所定の加速度が加わると前記可動保護カバーが刈刃3の外周を覆うように展開する構成としてもよい。
また、本実施の形態においては動力源がエンジンである刈払機であるものとしたが、同様の回転工具で、作業者が携えて使用される携帯用作業機であれば、動力源を問わず同様の効果を奏することは明らかである。
1 刈払機
2 ギヤケース
201 回転軸
202 歯受金具
203 歯押金具
204 ナットカバ
205 ナット
206 ピストンスプリング
207 ブレーキ
207a ピストン
207b ライニング
208 駆動歯車
209 従動歯車
210 ガス伝達路
211 分岐路
3 刈刃
4 加速度検出器
401 内壁
402 ウエイト
403 針
5 ガスカートリッジ
501 カートリッジ本体
502 カートリッジ蓋
503 雄ねじ部
504 肉薄部
6 スプリング
7 ガス管
8 雌ねじ部
9 エアバッグ
10 加速度センサ
11 ソレノイド
12 針
13 制御回路
14 小型空冷2サイクルガソリンエンジン
15 シャフト
16 駆動軸
17 回転方向
18 反発方向
19 電源

Claims (7)

  1. 駆動源と、
    前記駆動源により回転させられ、対象を切断する先端工具を有する駆動部と、
    前記駆動部の回転を制動する制動手段と、を備えた携帯用作業機において、
    前記制動手段を作動させる力を蓄積可能な蓄力手段を備える、
    ことを特徴とする携帯用作業機。
  2. 前記蓄力手段は気体を蓄積可能な蓄圧部であり、前記力は前記気体が有する圧力である、ことを特徴とする、請求項1に記載の携帯用作業機。
  3. 前記制動手段は、前記力により前記駆動部へ当接することで回転を制動する当接部を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯用作業機。
  4. 加速度を検出する加速度検出器を備え、
    前記加速度検出器が検出する加速度が設定値を超えると、前記力が解放される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯用作業機。
  5. 前記加速度検出器は、移動可能に設けられたウエイト部と、前記ウエイト部に接続され、前記ウエイト部の移動を抑制するばね部と、を有し、
    前記加速度により前記ウエイトが移動すると前記力が解放される、ことを特徴とする請求項4に記載の携帯用作業機。
  6. 前記作業機は、前記先端工具の回転径方向における外周側へ伸長可能な可変保護部を備え、
    前記可変保護部は前記力により伸長する、ことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の携帯用作業機。
  7. 前記作業機は、前記先端工具の回転径方向における外周側へ伸長可能な袋状のエアバッグを備え、前記エアバッグの内部へ前記気体が進入することで伸長する、ことを特徴とする請求項2に記載の携帯用作業機。
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