JP2022115276A - ポリエーテルニトリル - Google Patents

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泰亮 平野
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Abstract

【課題】結晶性の高いポリエーテルニトリルを提供する。【解決手段】2,6-ジハロベンゾニトリルと芳香族ジオールを重合して得られるポリエーテルニトリルであって、2,6-ジハロベンゾニトリルの異性体純度が98%以上であることを特徴とする式(I)で示されるポリエーテルニトリル。【化1】TIFF2022115276000014.tif38170【選択図】なし

Description

本発明は、2,6-ジハロベンゾニトリルの異性体純度が98%以上であることを特徴とする2,6-ジハロベンゾニトリルと、芳香族ジオールを重合して得られるポリエーテルニトリルに関するものである。
ポリエーテルニトリルは、優れた耐熱性、耐薬品性、難燃性を有し、加えて耐摩耗性や耐摩擦性などの優れた機械特性を備えた、高度な性質を有するスーパーエンジニアリングプラスチックの1種である(特許文献1)。
特公平5-78576
しかしながら、特許文献1に示す方法では、得られるポリエーテルニトリルの結晶性が不十分であるといった問題があった。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
(1)2,6-ジハロベンゾニトリルと芳香族ジオールを重合して得られるポリエーテルニトリルであって、2,6-ジハロベンゾニトリルの異性体純度が98%以上であることを特徴とする式(I)で示されるポリエーテルニトリル。
Figure 2022115276000001
(式(I)において、Arは、式(a)から式(f)で表される単位から選ばれる骨格であり、Arは1種類または2種類以上の単位から構成されても良い)
Figure 2022115276000002
(式(a)から(f)中、Rは、炭素数1~6の直鎖状有機基、分岐状有機基、および環状有機基のいずれかで、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を1つまたは複数含んでいてもよい。なお、Rは、互いに等しいかまたは異なってもよい。aはRの置換基数を示し、0~4の整数である。Xは、水素原子またはメチル基である。)
(2)前記2,6-ジハロベンゾニトリルが、トルエンの塩素化およびゼオライトによる異性化工程を経て得られる2,6-ジハロトルエンを経て得られる2,6-ジハロベンゾニトリルである(1)に記載のポリエーテルニトリル。
(3)前記2,6-ジハロベンゾニトリルが、2,6-ジクロロベンゾニトリルである(1)または(2)に記載のポリエーテルニトリル。
(4)前記2,6-ジハロベンゾニトリルは、ガスクロマトグラフィー分析により検出されるガスクロマトグラムにおいて、ジハロベンゾニトリルの異性体に由来するピーク面積の総和を100%に対し、2,6-ジハロベンゾニトリルのピーク面積の割合が98%以上である(1)~(3)のいずれか記載のポリエーテルニトリル。
(5)前記2,6-ジハロベンゾニトリルは、ガスクロマトグラフィー分析により検出されるガスクロマトグラムにおいて、ジハロベンゾニトリルの異性体に由来するピーク面積の総和を100%に対し、2,6-ジハロベンゾニトリルのピーク面積の割合が99%以上である(1)~(4)のいずれか記載のポリエーテルニトリル。
(6)前記ポリエーテルニトリルが式(I)で示される繰り返し単位を有する(1)~(5)のいずれか記載のポリエーテルニトリル。
Figure 2022115276000003
(式(I)において、Arは、式(g)から式(l)で表される単位から選ばれる骨格を有り、Arは1種類または2種類以上の単位から構成されても良い)
Figure 2022115276000004
(ここで、Xは、水素原子またはメチル基である。)
(7)トルエンの塩素化およびゼオライトによる異性化工程を経て2,6-ジハロトルエンを得、得られた2,6-ジハロトルエンをニトリル化して、2,6-ジハロベンゾニトリルを得、得られた2,6-ジハロベンゾニトリルと、芳香族ジオールを重合するポリエーテルニトリルの製造方法。
(8)2,6-ジハロトルエンが、2,6-ジクロロトルエンであり、2,6-ジハロベンゾニトリルが、2,6-ジクロロベンゾニトリルである請求項8記載のポリエーテルニトリルの製造方法。
本発明によれば、結晶性の高いポリエーテルニトリルを提供できる。
以下、本発明について、実施形態とともに詳細に説明する。
(1)ポリエーテルニトリル
本発明のポリエーテルニトリルは、式(I)で示される繰り返し単位を有する式(I)で示されるポリエーテルニトリルを指す。
Figure 2022115276000005
(式(I)において、Arは、式(a)から式(f)で表される単位から選ばれる骨格であり、Arは1種類または、2種類以上の単位から構成されても良い)
Figure 2022115276000006
(式(a)から(f)中、Rは、炭素数1~6の直鎖状有機基、分岐状有機基、および環状有機基のいずれかで、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を1つまたは複数含んでいてもよい。なお、Rは、互いに等しいかまたは異なってもよい。aはRの置換基数を示し、0~4の整数である。Xは、水素原子またはメチル基である。)
さらに好ましい繰り返し単位は、(式(I)において、Arは、式(g)から式(l)で表される単位から選ばれる骨格であり、Arは1種類または2種類以上の単位から構成されても良い)
Figure 2022115276000007
(ここで、Xは、水素原子またはメチル基である。)
繰り返し数nの上限は、特に制限はないが、5~10000の範囲が例示でき、5~5000の範囲が好ましく、5~1000の範囲がさらに好ましく、5~500の範囲がより好ましい。
本発明におけるポリエーテルニトリルは、溶融状態から降温させた際の結晶化温度、すなわち、降温結晶化温度と融点の差はある程度小さい方が好ましい。具体的には、融点と降温結晶化温度の差は、40~100℃である必要がある。100℃を超えると、結晶性が大きく低下するので好ましくない。また40℃未満では、溶融したポリマーの固化速度が速く加工性が低下するため好ましくない。さらに、融点と降温結晶化温度の差は、40~90℃であることがより好ましい。なお、降温結晶化温度が観測されないものは非晶性であるので、好ましくない。
本発明におけるポリエーテルニトリルの重量平均分子量は、36000以上が好ましく、40000以上がより好ましい。その上限に特に制限はないが、通常、2,000,000以下が好ましく、1,000,000以下がより好ましく、500,000以下が更に好ましい。このような好ましい範囲では、成形加工性に優れる傾向にある。分散度は5以下が好ましく、4.8以下がより好ましい。その下限に特に制限はないが、通常1である。分散度がこの範囲では、成形加工性に優れる傾向にある。
(2)2,6-ジハロベンゾニトリル
本発明で用いるポリエーテルニトリルの機械特性を向上させるためには、高い結晶性であることが望ましい。高い結晶性を発現させるためには、ポリエーテルニトリルの原料である異性体純度が高い2,6-ジハロベンゾニトリルを用いることが望ましい。
本発明で用いる2,6-ジハロベンゾニトリルは、2,6-ジクロロベンゾニトリル、2,6-ジフルオロベンゾニトリル、2-クロロ-6-フルオロベンゾニトリル、が挙げられ、経済性の観点から、2,6-ジクロロベンゾニトリル、2,6-ジフルオロベンゾニトリルが好ましく、2,6-ジクロロベンゾニトリルがより好ましい。
2,6-ジハロベンゾニトリルは、ベンゼン環の3つの置換基が連続して隣り合う込み合った構造であるため、合成の難易度が高く、他の異性体との分離の難易度も高い。例えば、特公平5-339364でポリエーテルニトリルの原料として用いられている2,6-ジクロロベンゾニトリルは、2,3―ジクロロニトロベンゼンから合成されている。より異性体純度の高い2,6-ジクロロベンゾニトリルを合成する方法としては、ゼオライトによる異性化分離工程によりより高い異性体純度の2,6-ジクロロトルエンを経由する方法があげられる(例えば、特開平2-131440に記載の方法)。ゼオライトによる異性化分離工程によりより高い異性体純度の2,6-ジクロロトルエンを得ることができ、この2,6-ジクロロトルエンをニトリル化することで異性体純度の高い2,6-ジクロロベンゾニトリル得られるので好ましい。なお、2,6-ジクロロトルエンをニトリル化する方法は限定されないが、触媒存在下アンモニアと空気酸化を用いるアンモ酸化法を用いる方法が一般的である(例えば、特開平3-44362に記載の方法)。
ここでの2,6-ジハロベンゾニトリルの異性体純度はガスクロマトグラフィーによって求められ、2,6-ジハロベンゾニトリルに含まれる可能性のある立体異性体は、2,5-ジハロベンゾニトリル、2,3-ジハロベンゾニトリル、2,4-ジハロベンゾニトリル、3,4-ジハロベンゾニトリルがあげられる。
(3)ポリエーテルニトリルの製造方法
本発明で用いるポリエーテルニトリルは、2,6-ジハロベンゾニトリルと芳香族ジオールを重合して得られるポリエーテルニトリルで合成出来るものであれば特に限定はされず、いかなる製法も採用することが可能である。例えば、ヒドロキノンと、2,6-ジクロロベンゾニトリルと、塩基の混合物とを有機極性溶媒中で加熱することにより、製造できる。
本発明における芳香族ジオールは、下記一般式(m)~(r)で表わされる化合物が例示できる。
Figure 2022115276000008
上記式(m)~(r)中、Rは、炭素数1~6の直鎖状有機基、分岐状有機基、および環状有機基のいずれかで、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を1つまたは複数含んでいてもよい。aはRの置換基数を示し、0~4の整数である。なお、Rが複数存在する場合、Rは、互いに等しいかまたは異なってもよい。
本発明の芳香族ジオールは、具体的には、レゾルシノール、5-メトキシレゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、4-エチルレゾルシノール、3,5-ジヒドロキシアセトフェノン、4-ブチルレゾルシノール、2-アセチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-アセチルレゾルシノール、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-ベンゾイルレゾルシノール、4,6-ジアセチルレゾルシノール、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、4-プロピオニルレゾルシノール、3,5-ジヒドロキシベンズアミド、3,5-ジヒドロキシ-4-メチル安息香酸、2-ニトロレゾルシノール、2,6-ジヒドロキシ-4-メチル安息香酸、2,4-ジヒドロキシベンズアミド、ヒドロキノン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、カテコール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、メチルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、2,6-ジメチルヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、テトラメチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2-アセチルヒドロキノン、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、フェニルヒドロキノン、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3,6-ジヒドロキシベンゾノルボルナン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、1,2-ジヒドロキシナフタレン、4-メチルカテコール、3-メトキシカテコール、3-メチルカテコール、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、4-tert-ブチルカテコール、2,3-ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4-ジヒドロキシアセトフェノン、3,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、4-ニトロカテコール、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、カテコール-4-酢酸、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’ ,5,5’-テトラメチルビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテルが例示でき、経済性の観点から、レゾルシノール、ヒドロキノン、カテコール、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタンが好ましく、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンがより好ましい。
本発明における、芳香族ジオールの使用量については、2,6-ジハロベンゾニトリル1.00モルに対して、芳香族ジオールが、0.90~1.10モルの範囲であれば特に制限されないが、ポリマー物性の観点から、0.95~1.05モルの範囲が好ましく、0.95~1.00モルの範囲がより好ましい。
本発明における、塩基とは、有機塩基、無機塩基が挙げられる。具体的には、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンなどの有機塩基、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムなどのアルカリ金属の重炭酸塩、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウムなどのアルカリ土類金属の重炭酸塩、または水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物を挙げることができ、なかでも取り扱いの容易さ・反応性の観点から炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩、および炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの重炭酸塩が好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムがさらに好ましく、炭酸ナトリウムがよりいっそう好ましく用いられる。これらは単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても問題ない。また、これら塩基は無水物の形で用いることが好ましいが、水和物または水性混合物として用いることも可能である。なお、ここでの水性混合物とは水溶液、もしくは水溶液と固体成分の混合物、もしくは水と固体成分の混合物のことを指す。
本発明における、塩基の量は、芳香族ジオールの量に依存する。芳香族ジオールの水酸基の総モル数に対する塩基のモル比は、少なくとも1であり、反応性の観点から、1.2以上であることが好ましい。本発明における塩基は、過剰に用いても問題なく製造できることから、上限は特に制限されないが、現実的な上限は芳香族ジオールの水酸基の総モル数に対して、100である。好ましくは、芳香族ジオールの水酸基の総モル数に対する塩基のモル比は、1.2~10である。
本発明において、用いる有機極性溶媒としては、反応が阻害されないものであれば特に制限はない。このような有機極性溶媒の具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-メチルカプロラクタム、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、ジフェニルエーテルなどのジアリールエーテル類、ベンゾフェノン、アセトフェノンなどのケトン類、およびこれらの混合物などが挙げられる。これらはいずれも反応の安定性が高いため好ましく使用されるが、なかでもNMP、DMSO、スルホランが好ましく、NMPが特に好ましく用いられる。これら有機極性溶媒は高温領域での安定性に優れ、さらに入手性の観点からも好ましい有機極性溶媒であると言える。
本発明のポリエーテルニトリルの製造方法における有機極性溶媒の量は、好ましくは混合物に含まれる有機溶媒の合計量が、混合物に含まれる合計のベンゼン環成分1.0モルに対して0.50リットル以上が例示でき、より好ましくは1.00リットル以上、さらに好ましくは2.0リットル以上含むものが例示できる。また、混合物中の有機極性溶媒量の上限に特に制限はないが、混合物中の合計のベンゼン環成分1.0モルに対して100リットル以下であることが好ましく、50リットル以下がより好ましい。有機極性溶媒の使用量を多くすると、モノマーおよび生成過程のオリゴマーの溶解性が向上し、反応性末端基を効率的に導入することが可能であるが、有機極性溶媒の使用量が多すぎる場合、反応容器の単位体積当たりのポリエーテルニトリルの生成量が低下する傾向にあり、さらに反応に要する時間が長時間化する傾向にある。従って、生産性の観点から、前記した有機極性溶媒の使用範囲とすることが好ましい。なお、ここでの有機極性溶媒の量は、常温常圧下での溶媒の体積を基準とし、混合物における有機極性溶媒の使用量とは、反応系内に導入した有機極性溶媒量から脱水操作などにより反応系外に除外された有機極性溶媒量を差し引いた量である。また、ここでの混合物中のベンゼン環成分とは、反応によりポリエーテルニトリル中の繰り返し単位の構成成分となり得る原料に含まれるベンゼン環成分であり、これら原料におけるベンゼン環成分の「モル数」とは「化合物を構成するベンゼン環の数」を表す。
本発明のポリエーテルニトリルの製造方法では、反応進行に伴い、水が副生する。副生した水を除去する目的で、必要に応じて、水と共沸混合物を形成する有機化合物を添加することができる。このような有機化合物としては、水と共沸混合物を形成するものであれば特に制限されないが、反応溶媒より沸点が低い、非極性有機溶媒が好ましく、具体的には、トルエンが挙げられる。有機化合物の量は、反応を阻害しない範囲であれば特に制限されないが、上記有機極性溶媒の量に対して、体積比率で、0~50%の範囲が好ましく、0~20%の範囲がより好ましく、0~10%の範囲がさらに好ましい。
本発明のポリエーテルニトリルの製造方法では、窒素雰囲気下または減圧下で、加熱下で行われる。反応温度は、広範囲にわたって変えることができるが、少なくとも80℃、好ましくは少なくとも150℃の温度で実施され、最大でも400℃、製造性の観点から、好ましくは最大でも350℃の温度で実施されるのがよい。使用する化合物の昇華性や反応性を考慮して、150℃~350℃の範囲で、より好ましくは、150℃~200℃の範囲で、段階的に昇温させながら実施されるのが好ましい。さらに、反応性を向上させる目的で、攪拌させながら実施されるのがより好ましい。
本発明のポリエーテルニトリルの製造方法における反応時間は、反応温度、使用される試薬の性質および溶媒の存在にある程度依存して広く変わり得るが、0.1時間~100時間、好ましくは、製造性の観点から、0.5時間~50時間である。
本発明のポリエーテルニトリルの製造方法において、反応にかけられる圧力は、反応剤を反応媒体中で液相に維持できればよく、1気圧~10気圧の範囲の圧力を用いることができ、好ましくは、製造性の観点から、1気圧~2気圧の圧力である。
本発明のポリエーテルニトリルの製造方法において、製造されたポリエーテルニトリルは、前述した製造方法により得られた反応混合物から分離回収することにより得ることが可能である。上記製造方法により得られた反応混合物には、少なくともポリエーテルニトリルが含まれ、その他成分として、未反応原料、副生塩、未反応の塩基などが含まれる場合がある。この様な反応混合物からポリエーテルニトリルを回収する方法に特に制限はなく、例えば必要に応じて、副生塩に対して溶解性を有する溶剤と必要に応じて加熱下で接触させて回収する方法や、副生塩や未反応の有機塩基を減圧下除去する方法が例示できる。
副生塩に対して溶解性を有する溶剤と必要に応じて加熱下で接触させて回収する方法においては、このような特性を有する溶剤は一般に比較的極性の高い溶剤であり、用いた塩基や副生塩の種類により好ましい溶剤は異なるので限定はできないが、例えば、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノールに代表されるアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンに代表されるケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどに代表される酢酸エステル類、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-メチルカプロラクタム、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸といった酸類が例示でき、入手性、経済性の観点から、水、メタノール、アセトン、酢酸、塩酸、硫酸、NMPが好ましく、水、酢酸、塩酸、NMPがより好ましい。
副生塩や未反応の有機塩基を減圧下除去する方法においては、反応終了後に0.001気圧から1気圧の範囲で、必要に応じて加熱下で実施されてもよい。
本発明におけるポリエーテルニトリルは、赤外分光法や核磁気共鳴分光法により、構造を確認することができる。
本発明で得られるポリエーテルニトリルは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質に優れ、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形、押出成形することができる。この際、ポリエーテルニトリルを単独で用いてもよいし、所望に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色剤などを添加することもでき、本発明のポリエーテルニトリル以外の樹脂を配合することもできる。
その用途としては、電気・電子部品、家庭・事務電気製品部品、光学機器・精密機械関連部品、水廻り部品、自動車・車両関連部品、その他産業用途が例示できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
<分子量測定>
分子量はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めた。GPCは、センシュー科学社製SSC-7110を用いて、1-クロロナフタレン中250℃で測定し、ポリスチレン換算で算出した。
<融点・降温結晶化温度測定>
融点(Tm)・ガラス転移温度(Tg)・降温結晶化温度(Tc)の測定は、示差走査熱量(DSC)測定により求めた。DSC測定は、ティー・エー・インスツルメント社製Q20を用いて行った。50℃から400℃まで20℃/分で昇温させそのまま400℃で1分間保持後、400℃から50℃まで20℃/分で降温し、再度、50℃から400℃まで20℃/分で昇温させ、400℃で1分間保持後、400℃から100℃まで20℃/分で降温させた。融点は2度目の昇温時に得られた結果から算出し、降温結晶化温度は2度目の降温時に得られた結果から算出した。
<ジクロロベンゾニトリルの純度測定>
ジクロロベンゾニトリルの純度測定は、ガスクロマトグラフィー測定により求めた。ガスクロマトグラフィー測定は、島津製作所製GC-2010、Agilent Technologies社製ヒューズドシリカカラムを用いて行った。へリウムガスをキャリアガスとし、流速4.5mL/min、カラム温度100℃から250℃まで25℃/分で昇温、検出器温度300℃にて測定した。明細書中の異性体純度とは、ガスクロマトグラフィー分析により検出されるガスクロマトグラムにおいて、ジクロロベンゾニトリル異性体に由来するピーク面積の総和を100%に対し、2,6-ジクロロベンゾニトリルのピーク面積の割合を指す。
<実施例に用いた原料>
ヒドロキノン(富士フイルム和光純薬株式会社)
2,4-ジクロロベンゾニトリル(東京化成工業株式会社)
3,5-ジクロロベンゾニトリル(東京化成工業株式会社)
炭酸ナトリウム(関東化学株式会社)
NMP(富士フイルム和光純薬株式会社)
[実施例1]
攪拌装置、窒素導入管、ディーンスターク管を備えた300mLセパラブルフラスコに、ヒドロキノン 8.81g(80.0mmol)、ジクロロベンゾニトリル成分として、2,6-ジクロロベンゾニトリル 14.10g(82.00mmol、異性体純度99.6%)、炭酸ナトリウム 9.75g(92.0mmol)を仕込み、窒素雰囲気下で、NMP 80mL、トルエン 3mLを加え、160℃で0.5時間、次いで、200℃で4時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、NMP 80mL、水600mLを加えた。得られた固形物をさらに温水(80℃)600mLで洗浄することにより、14.0gの白色固体を得た。
ここで用いた2,6-ジクロロベンゾニトリルは、ゼオライトによる異性化分離工程により得られる特開平2-131440記載の方法で合成した2,6-ジクロロトルエンを原料とし、アンモニアと空気酸化を用いるアンモ酸化法(特開平3-44362に記載の方法)で合成した2,6-ジクロロベンゾニトリルを用いた。得られた2,6-ジクロロベンゾニトリルの異性体純度は99.6%であった。
得られたポリエーテルニトリルの数平均分子量(Mn)は8000、重量平均分子量(Mw)は38000であった。融点は、372℃、降温結晶化温度は、264℃であった。
[実施例2]
ジクロロベンゾニトリル成分として、2,6-ジクロロベンゾニトリル13.96g(81.18mmol)、2,5-ジクロロベンゾニトリル 0.14g(0.82mmol)の混合物(2,6-ジクロロベンゾニトリル異性体純度98.1%)を配合した以外は実施例1と同様の操作を行うことで、14.6gの白色固体を得た。
[比較例1]
ジクロロベンゾニトリル成分として、2,6-ジクロロベンゾニトリル12.69g(73.8mmol)、2,5-ジクロロベンゾニトリル 1.41g(8.20mmol)の混合物(2,6-ジクロロベンゾニトリル異性体純度89.2%)を配合した以外は実施例1と同様の操作を行うことで、14.6gの白色固体を得た。
[比較例2]
ジクロロベンゾニトリル成分として、2,6-ジクロロベンゾニトリル12.69g(73.8mmol)、2,4-ジクロロベンゾニトリル 1.41g(8.20mmol)の混合物(2,6-ジクロロベンゾニトリル異性体純度89.0%)を配合した以外は実施例1と同様の操作を行うことで、14.4gの白色固体を得た。
[比較例3]
ジクロロベンゾニトリル成分として、2,6-ジクロロベンゾニトリル12.69g(73.8mmol)、3,5-ジクロロベンゾニトリル 1.41g(8.20mmol)の混合物(2,6-ジクロロベンゾニトリル異性体純度89.2%)を配合した以外は実施例1と同様の操作を行うことで、14.7gの白色固体を得た。
[比較例4]
ジクロロベンゾニトリル成分として、2,6-ジクロロベンゾニトリル 14.10g(82.00mmol、異性体純度97.8%)を配合した。
ここで用いた2,6-ジクロロベンゾニトリルは、特開平01-238564記載の方法で得られた2,3-ジクロロベンゾニトリルから、特開昭55-51047に記載の方法で合成した2,6-ジクロロベンゾニトリルを用いた。上記以外は、実施例1と同様の操作を行うことで、14.7gの白色固体を得た。
Figure 2022115276000009
実施例1~2、比較例1~3の結果から、2,6-ジクロロベンゾニトリルの異性体純度が高い方が、結晶化温度が高く、結晶性が高いことが分かる。また、異性体純度が高い方が、高分子量化できることが分かる。比較例1と実施例4の比較により、ゼオライトによる異性化分離工程を経て合成した2,6-ジクロロベンゾニトリルを用いた実施例1の方が、結晶化温度が高く、高分子量化していることが分かる。

Claims (8)

  1. 2,6-ジハロベンゾニトリルと芳香族ジオールを重合して得られるポリエーテルニトリルであって、2,6-ジハロベンゾニトリルの異性体純度が98%以上であることを特徴とする式(I)で示されるポリエーテルニトリル。
    Figure 2022115276000010
    (式(I)において、Arは、式(a)から式(f)で表される単位から選ばれる骨格であり、Arは1種類または2種類以上の単位から構成されても良い)
    Figure 2022115276000011
    (式(a)から(f)中、Rは、炭素数1~6の直鎖状有機基、分岐状有機基、および環状有機基のいずれかで、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を1つまたは複数含んでいてもよい。なお、Rは、互いに等しいかまたは異なってもよい。aはRの置換基数を示し、0~4の整数である。Xは、水素原子またはメチル基である。)
  2. 前記2,6-ジハロベンゾニトリルが、トルエンの塩素化およびゼオライトによる異性化工程を経て得られる2,6-ジハロトルエンを経て得られる2,6-ジハロベンゾニトリルである請求項1記載のポリエーテルニトリル。
  3. 前記2,6-ジハロベンゾニトリルが、2,6-ジクロロベンゾニトリルである請求項1または2に記載のポリエーテルニトリル。
  4. 前記2,6-ジハロベンゾニトリルは、ガスクロマトグラフィー分析により検出されるガスクロマトグラムにおいて、ジハロベンゾニトリルの異性体に由来するピーク面積の総和を100%に対し、2,6-ジハロベンゾニトリルのピーク面積の割合が98%以上である請求項1~3のいずれか記載のポリエーテルニトリル。
  5. 前記2,6-ジハロベンゾニトリルは、ガスクロマトグラフィー分析により検出されるガスクロマトグラムにおいて、ジハロベンゾニトリルの異性体に由来するピーク面積の総和を100%に対し、2,6-ジハロベンゾニトリルのピーク面積の割合が99%以上である請求項1~4いずれか記載のポリエーテルニトリル。
  6. 前記ポリエーテルニトリルが式(I)で示される繰り返し単位を有する請求項1~5いずれか記載のポリエーテルニトリル。
    Figure 2022115276000012
    (式(I)において、Arは、式(g)から式(l)で表される単位から選ばれる骨格であり、Arは1種類または2種類以上の単位から構成されても良い)
    Figure 2022115276000013
    (ここで、Xは、水素原子またはメチル基である。)
  7. トルエンの塩素化およびゼオライトによる異性化工程を経て2,6-ジハロトルエンを得、得られた2,6-ジハロトルエンをニトリル化して、2,6-ジハロベンゾニトリルを得、得られた2,6-ジハロベンゾニトリルと、芳香族ジオールを重合するポリエーテルニトリルの製造方法。
  8. 2,6-ジハロトルエンが、2,6-ジクロロトルエンであり、2,6-ジハロベンゾニトリルが、2,6-ジクロロベンゾニトリルである請求項7記載のポリエーテルニトリルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024053304A1 (ja) * 2022-09-06 2024-03-14 本州化学工業株式会社 結晶化速度の向上したポリエーテルニトリル及びその製造方法、ポリエーテルニトリル樹脂組成物及びその製造方法

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