JP2022114900A - 接合用シート - Google Patents

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光平 乙川
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Abstract

【課題】銅粒子を用いた接合用シートであって、銅粒子の酸化による焼結性の低下が起こりにくく、緻密でボイドが少ない接合層を形成でき、電子部品などを高い強度で接合することができる接合用シートを提供する。【解決手段】接合用シート1は、銅粒子2と、沸点が150℃以上の溶媒3とを含み、銅粒子2と溶媒3の含有量比が、質量比で99:1~90:10であって、銅粒子2のBET径が40nm以上750nm以下の範囲内にあり、溶媒の分子量が1000以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、接合用シートに関する。
電子部品の組立てや実装時において、2つ以上の部品を接合させる場合、一般的に接合材が用いられる。このような接合材として、金属粒子を溶剤に分散させたペースト状の接合材が知られている。ペースト状の接合材を用いて部品を接合する際は、一方の部品の表面に接合材を塗布し、塗布面に他方の部品を接触させ、この状態で加熱して、金属粒子を焼結させて接合層を形成することにより接合することができる。特許文献1には、銀粒子のペーストが記載されている。
また、接合材として、金属粒子を部分的に焼結させたシート状の接合材が知られている。シート状の接合材を用いて部品を接合する際は、部品と部品との間に接合材を配置し、この状態で加熱して、金属粒子の未焼結部分を焼結させて接合層を形成することにより接合することができる。シート状の接合材は、ペースト状の接合材と比較すると、加熱時に溶剤が揮発しないため、接合層にボイド(気泡)が形成されにくい点で有利である。特許文献2には、銀粒子を焼結させたシート状の接合材が記載されている。
特許第6428339号公報 特許第6245933号公報
銀は、導電性や熱伝導性に優れている点で、電子部品などの接合材の材料として有用である。しかしながら、銀は、イオンマイグレーションや硫化が発生しやすいという問題がある。特に、近年の電子部品の狭ピッチ化や配線パターンの細線化により、接合層でイオンマイグレーションや硫化が発生すると、電子部品のピッチ間や配線パターン間に短絡が起こりやすい。このため、接合材の材料に銅を用いることが考えられる。また、銅は銀よりも安価であり電子部品の製造コスト抑制に有用である。しかしながら、銅は銀と比較して酸化しやすい。このため、銅粒子を焼結させた接合用シートは、銅粒子の酸化によって焼結が起こりにくくなりやすいという問題があった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、銅粒子を用いた接合用シートであって、銅粒子の酸化による焼結性の低下が起こりにくく、緻密でボイドが少ない接合層を形成でき、電子部品などを高い強度で接合することができる接合用シートを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の接合用シートは、銅粒子と、沸点が150℃以上の溶媒とを含み、前記銅粒子と前記溶媒の含有量比が、質量比で99:1~90:10であって、前記銅粒子のBET径が40nm以上750nm以下の範囲内にあり、前記溶媒の分子量が1000以下である。
本発明の接合用シートは、銅粒子と溶媒とを含み、銅粒子が溶媒で被覆されるので、銅粒子が酸化しにくい。また、溶媒は、沸点が150℃以上とされているので、揮発しにくい。よって、本発明の接合用シートは、銅粒子の酸化による焼結性の低下が起こりにくく、また形状安定性が向上する。さらに、銅粒子は、BET径が40nm以上750nm以下の範囲内にあり微細であるので焼結性が高く、銅粒子と溶媒の含有量比が質量比で99:1~90:10の範囲内にあり、銅粒子の含有量が90質量%以上とされているので、加熱によって緻密な銅粒子の焼結体(接合層)を形成することができる。また、溶媒の含有量が10質量%以下であるため、加熱時に生成する溶媒の揮発ガスや分解ガスの量が少ない。また、溶媒の分子量を1000以下とすることで、加熱後に溶媒が残留することを抑制できる。よって、本発明の接合用シートによれば、緻密でボイドが少ない接合層を形成でき、電子部品などを高い強度で接合することができる。
また、本発明の接合用シートは、前記溶媒の分子量が200以上600以下であることが好ましい。溶媒の分子量がこの範囲となることで、加熱後に溶媒が残留することをより適切に抑制できる。
また、本発明の接合用シートは、溶媒が、ジオール化合物及びトリオール化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。この場合、ジオール化合物及びトリオール化合物は、銅粒子との密着性が高いので、長期間にわたって揮発しにくい。よって、銅粒子の酸化による焼結性の低下を長期間にわたって抑制することができると共に、接合用シートの形状安定性が長期間にわたって向上する。
また、本発明の接合用シートにおいては、前記銅粒子は、表面が有機保護膜で被覆されていることが好ましい。銅粒子の表面が有機保護膜で被覆されることにより、銅粒子の酸化を抑制できる。
ここで、本発明の接合用シートにおいては、前記銅粒子の表面は、飛行時間型二次イオン質量分析法によって分析することによって検出されるCuイオンの検出量に対するC イオンの検出量の比が、0.001以上となっていることが好ましい。
銅粒子の表面のCuイオンの検出量に対するC イオンの検出量の比が、0.001以上となることで、銅粒子の表面が有機保護膜に適切に被覆され、銅粒子の酸化をより好適に抑制できる。
本発明によれば、銅粒子を用いた接合用シートであって、銅粒子の酸化による焼結性の低下が起こりにくく、緻密でボイドが少ない接合層を形成でき、電子部品などを高い強度で接合することができる接合用シートを提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る接合用シートの模式断面図である。 本発明の一実施形態に係る接合用シートの製造方法を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る接合用シートを用いて作製した接合体の模式断面図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る接合用シートについて添付した図面を参照して説明する。
本実施形態の接合用シートは、例えば、基板と電子部品との間に配置し、この状態で加熱して、銅粒子を焼結させて接合層を形成することにより、基板と電子部品とが接合層を介して接合した接合体を形成するための接合材として使用されるものである。
図1は、本発明の一実施形態に係る接合用シートの模式断面図である。
図1に示すように、接合用シート1は銅粒子2と溶媒3とを含む。銅粒子2と溶媒3との割合は、質量比で99:1~90:10(=銅粒子:溶媒)とされている。すなわち、接合用シート1は、銅粒子2の含有量が90質量%以上99質量%以下の範囲内にあり、溶媒3の含有量が1質量%以上10質量%以下の範囲内にある。
接合用シート1は、緻密度が50%以上90%以下の範囲内にあることが好ましい。緻密度は、銅粒子2が空間的に接合用シート1を占める割合である。緻密度が60%以上であると、銅粒子2同士の密着性が高くなるので、緻密でボイドが少ない接合層をより形成しやすくなる。また、緻密度が90%以下であると、銅粒子2の表面を溶媒3で覆うことができるので、銅粒子2の酸化が起こりにくくなり、銅粒子の酸化による焼結性の低下をより抑制することができる。緻密度は、55%以上75%以下の範囲内にあることがより好ましく、60%以上70%以下の範囲内にあることが特に好ましい。接合用シート1の緻密度は、接合用シート1の断面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を観察し、得られたSEM画像を2値化して、銅粒子2の部分と溶媒3を含む空間部分とに分けることによって算出することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により算出することができる。
接合用シート1の形状やサイズは、特に制限はない。接合用シート1は、例えば、直径が1mm以上50mmの円形シート、一辺が1mm以上50mm以下の矩形シートであってもよい。接合用シート1の厚さは、特に制限はないが、50μm以上1000μm以下の範囲内にあることが好ましい。
銅粒子2は、BET径が40nm以上750nm以下の範囲内とされている。BET径は、銅粒子2を真球体もしくは立方体とみなして、BET法により求められる銅粒子のBET比表面積と真密度とから算出される粒子径である。具体的には、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
銅粒子2のBET径が40nm以上であると、強固な凝集体を形成しにくい。このため、銅粒子2の表面を溶媒3によって均一に被覆することができる。一方、銅粒子2のBET径が750nm以下であると、反応面積が大きく、加熱による焼結性が高くなるので、強固な接合層を形成可能となる。銅粒子2のBET径は、50nm以上750nm以下であることが好ましく、50nm以上300nm以下であることがより好ましく、80nm以上200nm以下の範囲内にあることがより好ましく、80nm以上170nm以下の範囲内にあることが特に好ましい。
銅粒子2のBET比表面積は、2.0m/g以上8.0m/g以下の範囲内にあることが好ましく、3.5m/g以上8.0m/g以下の範囲内にあることがより好ましく、4.0m/g以上8.0m/g以下の範囲内にあることが特に好ましい。また、銅粒子2の形状は、球状に限らず、針状、扁平な板状でもよい。
銅粒子2は、表面が、有機物の膜である有機保護膜で被覆されていることが好ましい。有機保護膜で被覆されていることにより、銅粒子2の酸化が抑制され、銅粒子2の酸化による焼結性の低下がさらに起こりにくくなる。なお、銅粒子2を被覆する有機保護膜は、溶媒3によって形成されるものでなく、溶媒3由来のものでないといえる。また、銅粒子2を被覆する有機保護膜は、銅の酸化により形成される酸化銅の膜ではないともいえる。
銅粒子2が有機保護膜で被覆されていることは、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて、銅粒子2の表面を分析することに確認することができる。このため、本実施形態において、銅粒子2は、飛行時間型二次イオン質量分析法を用いて、表面を分析することによって検出されるCuイオンの検出量に対するC イオンの検出量の比(C /Cu比)が0.001以上であることが好ましい。C /Cu比は、0.05以上0.2以下の範囲内にあることがさらに好ましい。なお、本分析における銅粒子2の表面とは、銅粒子2から有機保護膜を除去した際の銅粒子2の表面でなく、被覆している有機保護膜を含んだ銅粒子2の表面(すなわち有機保護膜の表面)を指す。
銅粒子2は、飛行時間型二次イオン質量分析法を用いて、表面を分析することによってC イオンやC以上のイオンが検出されてもよい。Cuイオンの検出量に対するC イオンの検出量の比(C /Cu比)は0.001以上であることが好ましい。また、Cuイオンの検出量に対するC以上のイオンの検出量の比(C以上のイオン/Cu比)は0.005未満であることが好ましい。
飛行時間型二次イオン質量分析法において検出されるC イオンとC イオンとC以上のイオンは、銅粒子2の表面を被覆している有機保護膜に由来する。このためC /Cu比とC /Cu比のそれぞれが0.001以上であると、銅粒子2の表面が酸化しにくくなり、かつ銅粒子2が凝集しにくくなる。また、C /Cu比及びC /Cu比が0.2以下であると、銅粒子2の焼結性を過度に低下させずに銅粒子2の酸化と凝集を抑制でき、さらに加熱時における有機保護膜の分解ガスの発生を抑えることができるので、ボイドが少ない接合層を形成することができる。銅粒子2の保存中の耐酸化性をより一層向上し、かつ低温度での焼結性をより一層向上させるために、C /Cu比及びC /Cu比は0.08以上0.16以下の範囲内にあることが好ましい。また、C以上のイオン/Cu比が0.005倍以上であると、粒子表面に脱離温度が比較的高い有機保護膜が多く存在するため、結果として焼結性が十分に発現せず強固な接合層が得られにくい。C以上のイオン/Cu比は0.003倍未満であることが好ましい。
有機保護膜は、クエン酸由来であることが好ましい。クエン酸由来の有機保護膜で被覆された銅粒子2の製造方法は後述する。銅粒子2の有機保護膜の被覆量は、銅粒子100質量%に対して0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲内にあることが好ましく、0.8質量%以上1.8質量%以下の範囲内にあることがより好ましく、0.8質量%以上1.5質量%以下の範囲内にあることがさらに好ましい。有機保護膜の被覆量が0.5質量%以上であることによって、銅粒子2を有機保護膜により均一に被覆することができ、銅粒子2の酸化をより確実に抑制することができる。また、有機保護膜の被覆量が2.0質量%以下であることによって、加熱による有機保護膜の分解によって発生するガスにより、銅粒子の焼結体(接合層)にボイドが発生することを抑制することができる。有機保護膜の被覆量は、市販の装置を用いて測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
銅粒子2は、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下、300℃の温度で30分加熱したときに、有機保護膜の50質量%以上が分解することが好ましい。クエン酸由来の有機保護膜は、分解時に二酸化炭素ガス、窒素ガス、アセトンの蒸発ガス及び水蒸気を発生する。
クエン酸由来の有機保護膜で被覆された銅粒子2は、例えば、以下のようにして製造することができる。先ず、クエン酸銅の水分散液を用意し、このクエン酸銅水分散液にpH調整剤を加えてpHを2.0以上7.5以下に調整する。次に、不活性ガス雰囲気下でこのpH調整したクエン酸銅水分散液に、還元剤として、銅イオンを還元できる1.0倍当量分以上1.2倍当量分以下のヒドラジン化合物を添加して混合する。得られた混合液を、不活性ガス雰囲気下で、得られた混合液を60℃以上80℃以下の温度に加熱し1.5時間以上2.5時間以下保持する。これにより、クエン酸銅から溶出した銅イオンを還元して銅粒子2を生成させると共に、この銅粒子2の表面にクエン酸由来の有機保護膜を形成させる。
クエン酸銅の水分散液は、蒸留水、イオン交換水のような純水に、粉末状のクエン酸銅を25質量%以上40質量%以下の濃度となるように添加し、撹拌羽を用いて撹拌し、均一に分散させることによって調製できる。pH調整剤としては、クエン酸三アンモニウム、クエン酸水素アンモニウム、クエン酸などが挙げられる。この中でマイルドにpH調整しやすいことからクエン酸三アンモニウムが好ましい。クエン酸銅水分散液のpHを2.0以上とするのは、クエン酸銅から溶出した銅イオンの溶出速度を速くして、銅粒子の生成を速やかに進行させ、目標とする微細な銅粒子2を得られるようにするためである。また、pHを7.5以下とするのは、溶出した銅イオンが水酸化銅(II)となることを抑制して、銅粒子2の収率を高くするためである。また、pHを7.5以下とすることによって、ヒドラジン化合物の還元力が過度に高くなることを抑制でき、目標とする銅粒子2が得られやすくなる。クエン酸銅水分散液のpHは4以上6以下の範囲内に調整することが好ましい。
ヒドラジン化合物によるクエン酸銅の還元は不活性ガス雰囲気下で行われる。液中に溶出した銅イオンの酸化を防止するためである。不活性ガスの例としては、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。ヒドラジン化合物は、酸性下でクエン酸銅を還元するときに、還元反応後に残渣を生じないこと、安全性が比較的高いこと及び取扱いが容易であることなどの利点がある。このヒドラジン化合物としては、ヒドラジン一水和物、無水ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジンなどが挙げられる。これらのヒドラジン化合物の中では、硫黄や塩素といった不純物となり得る成分を含まないヒドラジン一水和物、無水ヒドラジンが好ましい。
一般的にpH7未満の酸性液中で生成した銅は溶解してしまう。しかし本実施形態では、pH7未満の酸性液に還元剤であるヒドラジン化合物を添加混合し、得られた混合液中に銅粒子2を生成させる。このため、クエン酸銅から生成したクエン酸由来の成分が銅粒子2の表面を速やかに被覆するので、銅粒子2の溶解が抑制される。pHを調整した後のクエン酸銅の水分散液は、温度50℃以上70℃以下にして、還元反応を進行しやすくすることが好ましい。
不活性ガス雰囲気下でヒドラジン化合物を混合した混合液を60℃以上80℃以下の温度に加熱し1.5時間以上2.5時間以下保持するのは、銅粒子2を生成させると共に、生成した銅粒子2の表面に有機保護膜を形成し被覆するためである。不活性ガス雰囲気下で加熱保持するのは、生成した銅粒子2の酸化を防止するためである。出発原料であるクエン酸銅は通常35質量%程度の銅成分を含む。この程度の銅成分を含むクエン酸銅水分散液に還元剤であるヒドラジン化合物を添加して、上記の温度で昇温加熱し、上記の時間で保持することにより、銅粒子2の生成と、銅粒子2の表面での有機保護膜の生成とがバランスよく進行するので、銅粒子100質量%に対して、有機保護膜の被覆量が0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲内にある銅粒子2を得ることができる。加熱温度が60℃未満で保持時間が1.5時間未満では、クエン酸銅が完全に還元せずに、銅粒子2の生成速度が遅くなりすぎて、銅粒子2を被覆する有機保護膜の量が過剰となるおそれがある。また加熱温度が80℃を超えかつ保持時間が2.5時間を超えると、銅粒子2の生成速度が速くなりすぎて、銅粒子2を被覆する有機保護膜の量が少なりすぎるおそれがある。好ましい加熱温度は65℃以上75℃以下であり、好ましい保持時間は2時間以上2.5時間以下である。
混合液で生成された銅粒子2を、不活性ガス雰囲気下で混合液から、例えば遠心分離機を用いて、固液分離して、凍結乾燥法、減圧乾燥法で乾燥することにより、表面が有機保護膜で被覆された銅粒子2を得る。この銅粒子2は、表面が有機保護膜で被覆されているため、接合用シートとして用いるまで、大気中に保存しても酸化しにくくなる。
溶媒3は、銅粒子2に対するバインダーとして作用する。また、溶媒3は、銅粒子2を被覆して銅粒子2の酸化を防止する酸化防止剤として作用する。
溶媒3は、沸点が150℃以上とされている。このため、溶媒3は揮発しにくく、接合用シート1中に長期間にわたって保持される。溶媒3の沸点の上限は、接合用シート1を加熱して銅粒子2を焼結させる温度よりも低い温度である。溶媒3の沸点は、200℃以下であることが好ましい。
溶媒3は、室温で液体であることが好ましい。溶媒3は、凝固点が30℃以上であるがことが好ましい。溶媒3が室温で液体であると、接合用シート1の製造において、銅粒子2と溶媒3との混合が容易に行うことができる。
溶媒3は、分子量が1000以下となっている。溶媒3が高分子化合物である場合、分子量は数平均分子量である。溶媒3の分子量を1000以下とすることで、加熱後に溶媒が接合層中に残留することを抑制して、ボイドの発生を抑制できる。また、溶媒3は、分子量が100以上1000以下の有機溶媒であることが好ましい。溶媒3として上記の分子量を有する有機溶媒を用いることにより、銅粒子2と溶媒3とを混合することによって銅粒子2の表面を溶媒3で均一に被覆することができ、接合用シート1の保存時に溶媒が流出しにくくなる。加えて、上記の有機溶媒は沸点が適切な範囲内にあるため、保存中に溶媒が揮発してシートが乾燥することによる形状変化を抑制することができ、かつ加熱後に溶媒が接合層中に残留することを抑制することができる。有機溶媒の分子量は200以上800以下の範囲内にあることがより好ましく、200以上600以下の範囲内にあることが特に好ましい。なお、分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー法(装置:東ソー社製LC-8020)を用いて以下の方法で測定できる。カラムとしてAsahipac GF-310HQ(昭和電工社製)を装着した。カラムオーブンを40℃とし、基準物質をポリエチレングリコールとし、移動相として0.05M NaCl4含有メタノール溶媒を用いた。移動相は、1ml/minの流速で流し、高分子量サンプル0.02mlを注入し、得られたスペクトルから分子量を算出した。
溶媒3は、末端に還元性基を有する化合物であることが好ましい。還元性基を有することによって、銅粒子2の酸化を抑制することができる。還元性基は水酸基であることが好ましい。銅粒子2を焼結させるためには、銅粒子2の表面の有機保護膜を加熱等により脱離させる必要がある。一方で、有機保護膜が脱離した銅粒子2は酸化によって焼結性が低下しやすく、銅粒子2の焼結によって得られる接合層(銅焼結体)は接合強度が低下しやすい。溶媒3として、水酸基を有する溶媒を用いることにより銅粒子2の酸化を抑制でき、銅粒子2の焼結によって得られる接合層の接合強度の低下を抑えることができる。また、一般に水酸基を有する溶媒は沸点が高い傾向にあるので、水酸基を有する溶媒を用いた接合用シート1は、溶媒3が揮発しづらく、シートの形状安定性がより向上する。
溶媒3としては、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物を用いることができる。ジオール化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールを挙げることができる。トリオール化合物の例としては、グリセリン、ブタントリオール、ポリオキシプロピレントリオールを挙げることができる。これらの有機溶媒及び高分子溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、本実施形態の接合用シート1の製造方法について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る接合用シートの製造方法を示すフロー図である。
本実施形態の接合用シートは、図2に示すように、混合工程と、成形工程とを含む方法によって製造することができる。
混合工程S01は、銅粒子2と溶媒3とを混合する工程である。銅粒子2と溶媒3との混合は、自転公転ミキサーやプラネタリーミキサーを用いることができる。
成形工程S02は、混合工程S01で得られた混合物をシート状に成形する工程である。
混合物をシート状に成形する方法としては、加圧ローラを利用した圧延処理法、金型を利用したプレス処理法を用いることができる。
以上のようにして所定の厚さに調整されたシート状の混合物を、所定の形状に切断することによって、接合用シート1を得ることができる。
次に、本実施形態の接合用シートを用いた接合体の製造方法について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る接合用シートを用いて作製した接合体の模式断面図である。
図3に示すように、接合体11は、基板12と、接合層13と、電子部品14とを備える。基板12と電子部品14とは、接合層13を介して接合されている。
基板12としては、例えば、絶縁板と、この絶縁板の上に形成された配線パターンとを有する備えるプリント配線板を用いることができる。プリント配線板としては特に制限はなく、フレキシブルプリント配線板、リジットプリント配線板、リジットフレキシブルプリント配線板を用いることができる。
電子部品14としては、例えば、半導体素子、抵抗、キャパシタ、水晶発振器を用いることはできる。半導体素子の例としては、SBD(Schottky Barrier Diode)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、LSI(Large Scale Integration)、LEDチップ、LED-CSP(LED-Chip Size Package)が挙げられる。
接合体11は、基板12と電子部品14との間に、上述の接合用シートを配置して、積層体を得て、得られた積層体を加熱して、接合用シートの銅粒子を焼結させて接合層13を形成することにより製造することができる。積層体の加熱温度は、例えば、150℃以上300℃以下の範囲内にある。積層体の加熱時間としては、例えば、10分間以上1時間以下の範囲内にある。積層体の加熱は、不活性ガス雰囲気下、積層体の積層方向に積層体を加圧しながら行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスを用いることができる。積層体の加圧圧力は、0.5MPa以上30MPa以下の範囲内にあることが好ましい。
以上のような構成とされた本実施形態である接合用シート1は、銅粒子2と溶媒3とを含み、銅粒子2が溶媒3で被覆されるので、銅粒子2が酸化しにくい。また、溶媒3は、沸点が150℃以上とされているので、揮発しにくい。よって、本実施形態の接合用シート1は、銅粒子2の酸化による焼結性の低下が起こりにくく、また形状安定性が向上する。また、溶媒3は、分子量が1000以下であるため、加熱後に溶媒3が接合層中に残留することを抑制して、ボイドの発生を抑制できる。さらに、銅粒子2は、BET径が40nm以上750nm以下の範囲内にあり微細であるので焼結性が高く、銅粒子2と溶媒3の含有量比が質量比で99:1~90:10の範囲内にあり、銅粒子2の含有量が90質量%以上とされているので、加熱によって緻密な銅粒子2の焼結体(接合層)を形成することができる。また、溶媒3の含有量が10質量%以下であるため、加熱時に生成する溶媒の揮発ガスや分解ガスの量が少ない。よって、本実施形態の接合用シート1によれば、緻密でボイドが少ない接合層を形成でき、電子部品などを高い強度で接合することができる。
また、本実施形態の接合用シート1においては、溶媒3の分子量が200以上600以下であることが好ましい。溶媒3の分子量がこの数値範囲となることで、ボイドの発生をより好適に抑制できる。
また、本実施形態の接合用シート1において、銅粒子3は、表面が有機保護膜で被覆されている。接合用シート1は、銅粒子2の表面が有機保護膜で被覆されているので、銅粒子が酸化しにくい。銅粒子が酸化した場合、酸化銅の膜が接合性を低下させるため、本実施形態のように有機保護膜により銅粒子を酸化し難くすることで、接合性の低下を抑制できる。
また、本実施形態の接合用シート1においては、銅粒子の表面は、飛行時間型二次イオン質量分析法によって分析することによって検出されるCuイオンの検出量に対するC イオンの検出量の比が、0.001以上となっていることが好ましい。Cuイオンの検出量に対するC イオンの検出量の比が、0.001以上となっていることで、銅粒子の表面が有機保護膜に適切に被覆され、銅粒子の酸化をより好適に抑制できる。
本実施形態の接合用シート1においては、溶媒3が、還元性基を有する場合、溶媒3が還元性を有するので、銅粒子2の酸化がより起こりにくくなる。よって、銅粒子2の酸化による焼結性の低下をより抑制することができる。
また、本実施形態の接合用シート1においては、溶媒3の還元性基が、水酸基である場合、水酸基は銅粒子に対する親和性が高いので、銅粒子2の酸化がさらに起こりにくくなると共に、溶媒3が揮発しにくくなる。よって、銅粒子2の酸化による焼結性の低下をさらに抑制することができると共に、接合用シート1の形状安定性がより向上する。
さらに、本実施形態の接合用シート1においては、溶媒3が、ジオール化合物及びトリオール化合物の少なくとも一方を含む場合、ジオール化合物及びトリオール化合物は、銅粒子2との密着性が高いので、長期間にわたって揮発しにくい。よって、銅粒子の酸化による焼結性の低下を長期間にわたって抑制することができると共に、接合用シートの形状安定性が長期間にわたって向上する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態の接合用シート1を用いた接合体11として、図3では、基板12と電子部品14とを、接合層13を介して接合したものを説明したが、接合用シート1の用途はこれに限定されるものではない。例えば、接合用シート1は、2つの基板同士を接合する際に利用することができる。具体的には、ベース基板と相対的にベース基板よりもサイズが小さい基板(サブマウント基板)とを接合する際に用いることができる。またパワーモジュールにおいて、複数の半導体素子を組み込んだセラミック回路基板とヒートシンクとを接合する際に用いることができる。また、接合用シート1は、LEDデバイスにおいてLED素子とサブマウント基板を接合する際に用いることができる。
[銅粒子Aの作製]
クエン酸銅・2.5水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)とイオン交換水とを、撹拌羽を用いて撹拌混合して、濃度30質量%のクエン酸銅の水分散液を調製した。次いで、得られたクエン酸銅水分散液に、pH調整剤としてのクエン酸アンモニウム水溶液を加えて、クエン酸銅水分散液のpHを5に調整した。次に、得られたクエン酸銅水分散液を50℃まで昇温し、その温度を保持しながら、窒素ガス雰囲気下で、銅イオンの還元剤としてのヒドラジン一水和物水溶液(2倍希釈)を一時に添加し、撹拌羽を用いて撹拌混合した。ヒドラジン一水和物水溶液の添加量は、銅イオン全量を還元させるのに必要な量に対して1.2倍当量分とした。得られた混合液を窒素ガス雰囲気下で70℃まで昇温し、その温度で2時間保持して、銅粒子を生成させた。生成した銅粒子を、遠心分離機を用いて回収した。回収した銅粒子を減圧乾燥法で乾燥して、銅粒子Aを作製した。
[銅粒子Bの作製]
クエン酸銅水分散液のpHを2.0に調整したこと以外は、銅粒子Aの作製と同様にして、銅粒子Bを作製した。
[銅粒子Cの作製]
クエン酸銅水分散液のpHを7.5に調整したこと以外は、銅粒子Aの作製と同様にして、銅粒子Cを作製した。
[銅粒子Dの作製]
クエン酸銅水分散液のpHを1.7に調整したこと以外は、銅粒子Aの作製と同様にして、銅粒子Dを作製した。
[銅粒子Eの作製]
クエン酸銅水分散液のpHを8.0に調整したこと以外は、銅粒子Aの作製と同様にして、銅粒子Eを作製した。
[銅粒子Fの作製]
銅微粒子FはDOWAエレクトロニクス社製のRCV11(Type-B)を用いたこと以外は、銅粒子Aの作製と同様にして作製した。
得られた銅粒子A~Fについて、BET径と、被覆層の成分を下記の方法により測定した。その結果を、下記の表1に示す。
(BET径)
比表面積測定装置(カンタクローム・インスツルメンツ社製、QUANTACHROME AUTOSORB-1)を用いて、銅粒子の窒素ガスの吸着量を測定し、BET法により銅粒子の比表面積を求めた。得られた比表面積S(m/g)と、銅粒子の密度ρ(g/cm)とを用いて、下記の式よりBET径を算出した。
BET径(nm)=6000/(ρ(g/cm)×S(m/g))
(被覆層の成分)
飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS:ULVAC PHI社製、nanoTOFII)を用いCuイオンに対するC イオンとC イオン、C以上のイオンを検出した。具体的には、銅粉をIn箔表面に埋没したものを測定用試料とした。測定範囲は100μm平方の範囲、一次イオンはBi ++(30kV)、測定時間は5分の条件で測定してTOF-SIMSスペクトルを得た。得られたTOF-SIMSスペクトルから、Cu、C イオン、C イオン及びC以上のイオンの検出量を求め、各イオンの検出量を、それぞれCuイオンの検出量で除して、C /Cu比、C /Cu比及びC以上のイオン/Cu比を算出した。
(被覆量)
差動型示差熱天秤TG8120-SL(RIGAKU社製)を用いて、銅粒子の被覆量を測定した。試料は、凍結乾燥により水分を除去した銅粒子を用いた。銅粒子の酸化を抑制するため窒素(G2グレード)ガス中で測定し、昇温速度は10℃/minとし、250℃から300℃まで加熱したときの重量減少率を、有機保護膜の被覆量と定義した。すなわち、被覆量=(測定後の試料重量)/(測定前の試料重量)×100(wt%)である。なお測定は同一ロットの銅粒子で各々3回行い、相加平均値を被覆量とした。
Figure 2022114900000002
[本発明例1]
銅粒子と、バインダーとしてのポリエチレングリコール(分子量:200)とを、質量比で95:5の割合で混合した。次いで、得られた混合物を、加圧ローラを有する粉末圧延機(大野ロール株式会社製、2RM-63K)を用いて、加圧ローラのギャップ幅500μmの条件で圧延処理することにより、厚さ500μmの銅シートを得た。得られた銅シートの緻密度を、下記の方法により測定した。また、得られた銅シートを用いて作製した接合体のシェア強度とボイド率とを、下記の方法に測定した。その結果を表2に示す。
(緻密度)
銅シートをエポキシ樹脂で封止した後、銅シートの厚み方向に対して水平方向に、銅シートを切断した。銅シートの切断面に対して、機械研磨とクロスポリッシュ加工を施すことにより銅シートの断面出しを行った。次いで、銅シートの切断面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて50000倍で観察した。得られたSEM像を、画像処理ソフト(米国国立衛生研究所製ImageJ)を用いて2値化して、粒子部と空孔部とに分け、下記の式より緻密度を算出した。
緻密度(%)=(粒子部の総面積/(粒子部の総面積+空孔部の総面積))×100
緻密度は、無作為に撮影した10カ所のSEM像について測定した。表2に示した値は、10カ所のSEM像から算出された緻密度の平均値である。
(接合体のシェア強度)
銅シートを、市販のカッターナイフを用いて切断して、銅シート片(2.5mm角×500μm厚)を作製した。30mm角×1mm厚の無酸素銅基板の上に、上記の銅シート片(2.5mm角×500μm厚)を配置した。次いで、その銅シート片の上に、2.5mm角×1mm厚の無酸素銅ダミー素子を配置した。こうして、無酸素銅基板と無酸素銅ダミー素子とが銅シート片を介して積層された積層体を得た。得られた積層体を、ダイボンダー(アルファーデザイン株式会社製、HTB-MM)を用いて、窒素ガス雰囲気下、加圧圧力5MPa、温度250℃の条件で、15分間保持することにより2.5mm角の無酸素銅基板と無酸素銅ダミー素子とが銅接合層を介して接合された接合体(サンプルA)を作製した。
得られた接合体(サンプルA)のシェア強度を、JIS Z 3198-7(鉛フリーはんだ試験方法-第7部:チップ部品のはんだ継手せん断試験方法)に準拠した方法により測定した。具体的には、ボンドテスタ(Nordson DAGE社製、SERIES 4000)のツールを用いて無酸素銅ダミー素子に荷重を加え、無酸素銅ダミー素子が銅接合層から剥離したときの荷重(最大せん断荷重)を測定した。ツールの移動速度は50μm/secとし、ツールの先端と無酸素銅基板のギャップは50μmとした。得られた最大せん断荷重を、ニュートン換算し、銅接合層の面積(2.5mm×2.5mm)で除することに求めた値をシェア強度(単位:MPa)とした。接合体は7個作製し、それぞれの接合体についてシェア強度を測定した。表2に示した値は、7個の接合体のシェア強度の平均である。シェア強度が20MPa以上のものは良、20MPa未満であるものは不可である。
(接合体のボイド率)
銅シートを、市販のカッターナイフを用いて切断して、銅シート片(10mm角×500μm厚)を作製した。30mm角×1mm厚の無酸素銅基板の上に、上記の銅シート片(10mm角×500μm厚)を配置した。次いで、その銅シート片の上に、10mm角×1mm厚の無酸素銅ダミー素子を配置した。こうして、無酸素銅基板と無酸素銅ダミー素子とが銅シート片を介して積層された積層体を得た。得られた積層体を、ダイボンダー(アルファーデザイン株式会社製、HTB-MM)を用いて、窒素ガス雰囲気下、加圧圧力5MPa、温度250℃の条件で、15分間保持することにより2.5mm角の無酸素銅基板と無酸素銅ダミー素子とが銅接合層を介して接合された接合体(サンプルB)を作製した。
得られた接合体(サンプルB)の銅接合層部分について、超音波探傷装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、FINE-SAT)を用いて超音波探傷像を測定した。得られた超音波探傷像を、画像処理ソフト(米国国立衛生研究所製ImageJ)を用いて2値化して、ボイド(空洞)と接合体(銅粒子焼結体)とに分け、下記の式よりボイド率を算出した。
ボイド率(%)=(ボイド部分の総面積/銅接合層の面積(10mm×10mm))×100
接合体は7個作製し、それぞれの接合体についてボイド率を測定した。表2に示した値は、7個の接合体のボイド率の平均である。ボイド率が10%未満のものは良、10%以上のものは不可である。
[本発明例2~16、比較例1~4]
銅粒子の種類、バインダーの種類、沸点、数平均分子量、銅粒子とバインダーとの配合量を、下記の表2に示すように代えたこと以外は、本発明例1と同様にして銅シートを作製した。なお、表2において、PEGは、ポリエチレングリコールを表し、DEGは、ジエチレングリコールを表し、EGは、エチレングリコールを表す。そして、本発明例1と同様にして、得られた銅シートの緻密度を測定し、また、得られた銅シートを用いて作製した接合体のシェア強度とボイド率とを測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2022114900000003
BET径が40nm以上750nm以下の範囲内にある銅粒子と、バインダーとして沸点が150℃以上であって、分子量が1000以下溶媒とを、質量比で99:1~90:10(銅粒子:溶媒)の範囲内にて含む本発明例1~16の銅シートを用いた接合体は、いずれもシェア強度が15MPa以上と高く、ボイド率が10%未満と低い値を示しており、銅粒子の酸化による焼結性の低下が起こりにくく、緻密でボイドが少ない接合層を形成でき、電子部品などを高い強度で接合することができることが分かる。
これに対して、バインダーとして、分子量が1000以下ではなく、常温で固体のポリエチレングリコールを含む比較例1の銅シートを用いた接合体は、シェア強度が大きく低下し、ボイド率が大きく上昇し、緻密でボイドが少ない接合層を形成できないことが分かる。比較例1では、分子量が高いため、接合体を作製する際の加熱時に、ポリエチレングリコールが揮発せずに、接合層中に残存したため、ボイド率が高くなってしまったと考えられる。また、バインダーとして沸点が80℃のエタノールを含む比較例2の銅シートを用いた接合体は、ボイド率が上昇し、緻密でボイドが少ない接合層を形成できないことが分かる。接合体を作製する際の加熱時に、エタノールが一時に揮発することによって空孔が大きくなったためと考えられる。
バインダーであるポリエチレングリコールの含有量比が本発明の上限を超える比較例3では、圧延処理によって得られた銅シートが、粉末圧延機の加圧ローラの表面に強い付着力で付着した。加圧ローラから銅シートを引き剥がす際に、銅シートが破損して、接合体を作製するのに最低限必要な寸法の銅シートを回収できなかったため、接合体のシェア強度とボイド率は評価できなかった。バインダーであるポリエチレングリコールの含有量比が本発明の下限を下回る比較例4では、圧延処理によって得られた銅シートに多数のクラックが生じた。このクラックによって銅シートが破損して、接合体を作製するのに最低限必要な寸法の銅シートを回収できなかったため、接合体のシェア強度とボイド率は評価できなかった。
1 接合用シート
2 銅粒子
3 溶媒
11 接合体
12 基板
13 接合層
14 電子部品

Claims (5)

  1. 銅粒子と、沸点が150℃以上の溶媒とを含み、
    前記銅粒子と前記溶媒の含有量比が、質量比で99:1~90:10であって、
    前記銅粒子のBET径が40nm以上750nm以下の範囲内にあり、
    前記溶媒の分子量が1000以下である、接合用シート。
  2. 前記溶媒の分子量が200以上600以下である、請求項1に記載の接合用シート。
  3. 前記溶媒が、ジオール化合物及びトリオール化合物の少なくとも一方を含む、請求項1又は請求項2に記載の接合用シート。
  4. 前記銅粒子は、表面が有機保護膜で被覆されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接合用シート。
  5. 前記銅粒子の表面は、飛行時間型二次イオン質量分析法によって分析することによって検出されるCuイオンの検出量に対するC イオンの検出量の比が、0.001以上となっている、請求項4に記載の接合用シート。
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