JP2023098496A - 接合用シート、及び接合体の製造方法 - Google Patents

接合用シート、及び接合体の製造方法 Download PDF

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Kotaro Masuyama
光平 乙川
Kohei Otokawa
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清隆 中矢
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Abstract

【課題】電子部品の組立てや実装などにおいて、部材同士の接合強度を向上させる接合用シート、および接合体の製造方法を提供する。【解決手段】接合用シート10は、銅製であり、ヤング率が15GPa以下であり、かつ、充填率が45%以上である。好ましくは、ヤング率は、1GPa以上10GPa以下であり、充填率は45%以上60%以下である。また、接合用シートは、熱伝導率が1W/mK以上20W/mK以下であり、銅の焼結体を含み、銅粒子に対するバインダーとして作用する沸点が150℃以上の溶媒を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、接合用シート、及び接合体の製造方法に関する。
電子部品の組立てや実装時などにおいて、2つ以上の部品を接合させる場合、接合材が用いられることがある。例えば特許文献1には、接合材として、銅粒子と、沸点が150℃以上の溶媒とを混合して常温でプレスして形成された接合用シートが記載されている。
特開2021-116463号公報
このような接合用シートは、部材同士の接合強度を向上させることが求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、部材同士の接合強度を向上可能な接合用シート、及び接合体の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る接合用シートは、銅製であり、ヤング率が15GPa以下であり、かつ、充填率が45%以上である。
接合用シートは、ヤング率が1GPa以上10GPa以下であることが好ましい。
接合用シートは、充填率が45%以上60%以下であることが好ましい。
接合用シートは、熱伝導率が1W/mK以上20W/mK以下であることが好ましい。
接合用シートは、銅の焼結体を含むことが好ましい。
接合用シートは、銅粒子と、沸点が150℃以上の溶媒とを含むことが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る接合体の製造方法は、前記接合用シートを第1の部材上に配置するステップと、前記接合用シート上に第2の部材を配置することで、第1の部材と第2の部材との間に前記接合用シートが配置された積層体を得るステップと、前記積層体を加熱することで、前記第1の部材と前記第2の部材が接合された接合体を製造するステップと、を含む。
本発明によれば、部材同士の接合強度を向上することができる。
図1は、本実施形態に係る接合用シートの模式図である。 図2は、接合用シートの模式的な一部拡大図である。 図3は、本実施形態に係る接合用シートの製造方法を説明するフローチャートである。 図4は、接合体の製造方法を説明するための模式図である。 図5は、第2実施形態に係る接合用シートの模式図である。 図6は、第2実施形態に係る接合用シートの製造方法を説明するフローチャートである。 図7は、接合体の製造方法を説明するための模式図である。 図8は、各例の接合用シートの特性および評価結果を示す表である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(第1実施形態)
(接合用シート)
図1は、本実施形態に係る接合用シートの模式図である。本実施形態に係る接合用シート10は、部材同士を接合するシート状の部材である。接合用シート10は、銅製である。本実施形態では、接合用シート10は、銅の焼結体であり、図1に示すように、複数の銅粒子12が焼結により結合した構造となっている。接合用シート10は、150℃以上300℃以下で加熱した際に、焼結がさらに進行するものであることが好ましい。ここで焼結が進行するとは、銅粒子12同士の結合がさらに進むことで充填率が増加することを指す。接合用シート10は、焼結体を含むため、焼結を進めることで適切に部材同士を接合させることができる。なお、第1実施形態の接合用シート10は、銅の焼結体を含むものであればよく、焼結していない銅粒子を一部に含んでいてもよい。
接合用シート10は、充填率が45%以上であり、45%以上60%以下であることが好ましく、45%以上55%以下であることがより好ましく、45%以上50%以下であることが更に好ましい。充填率がこの範囲となることで、表面積を大きくして焼結を適切に進行させることができるため、部材同士を適切に接合できる。
充填率とは、真密度に対するかさ密度の比率(かさ密度/真密度)である。ここでの真密度とは、焼結体の中にポアやクラック等が存在しないと仮定した場合の物質(ここでは銅)そのものの密度、すなわち理論密度を指す。また、かさ密度とは、接合用シート10の重量を、接合用シート10の外部寸法から求めた体積によって除した値を指す。外部寸法から求めた体積とは、接合用シート10の気孔も含めた全容積を指す。
真密度は、例えば銅の密度の文献値(例えば8.96g/cm)を用いることができる。また、かさ密度は、天秤と三次元測定機およびマイクロメータを用いて測定できる。例えば、三次元測定機及びマイクロメータにより、接合用シート10の面積と厚みとを測定し、面積と厚みとを乗じた値を、外部寸法から求めた体積とする。そして、天秤により接合用シート10の重量を測定し、測定した重量を、外部寸法から求めた体積で除した値を、かさ密度とする。
なお、後述のように、接合用シート10には、銅の焼結体に樹脂が含浸される場合がある。この場合の充填率とは、樹脂を除いた銅の焼結体についての充填率を指す。以降においても、充填率以外の接合用シート10の特性を規定しているが、同様に、樹脂を除いた銅の焼結体についての特性を指すものとしてよい。
接合用シート10は、一方側の主面である表面10aと他方側の主面である表面10b
の算術平均粗さRaが、1μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、1μm以上30μm以下であることが更に好ましい。接合用シート10は、表面10aと表面10bとの少なくとも一方の算術平均粗さRaが上記範囲であってもよい。算術平均粗さRa(表面粗さ)がこの範囲となることで、更なる焼結を適切に進行させることができ、部材同士を適切に接合できる。
なお、算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2001の規定に従って測定できる。
図2は、接合用シートの模式的な一部拡大図である。接合用シート10は、それぞれの銅粒子12の粒径Dの平均値である平均粒径が、100nm以上200nm以下であることが好ましく、120nm以上180nm以下であることがより好ましく、140nm以上160nm以下であることが更に好ましい。平均粒径がこの範囲となることで、接合用シート10の表面積を大きく保って、更なる焼結を適切に進行させることができる。
なお、接合用シート10においては、銅粒子12同士は焼結により結合しているため、銅粒子12の平均粒径とは、接合用シート10を、結合した銅粒子12同士を界面で区切り、区切ったそれぞれの銅粒子12の粒径の平均値であるといえる。例えば、BET比表面積に基づいて算出したBET径を、銅粒子12の平均粒径としてよい。この場合、比表面積測定装置(カンタクローム・インスツルメンツ社製、QUANTACHROME AUTOSORB-1)を用いて、接合用シート10の窒素ガスの吸着量を測定し、BET法により接合用シート10の比表面積を求めた。得られた比表面積S(m/g)と、銅粒子の密度ρ(g/cm)とを用いて、下記の式よりBET径を算出して、それを銅粒子12の平均粒径としてよい。
BET径(nm)=6000/(ρ(g/cm)×S(m/g))
接合用シート10は、ヤング率が、15GPa以下であり、1GPa以上15GPa以下であることが好ましく、1GPa以上10GPa以下であることがより好ましく、1GPa以上8GPa以下であることが更に好ましい。ヤング率がこの範囲となることで、接合時に部材に追従して適切に変形することが可能となり、部材同士を適切に接合できる。
ヤング率は、ナノインデンテーション法の規格であるISO14577に準拠した装置であるピコデンターHM500(フィッシャーインストルメンツ社製、解析ソフトはWIN-HCU ver.7.0)を用いて測定できる。ナノインデンテーション法とは試料に印加する荷重と押し込み深さから硬度やヤング率を算出する手法である。
本実施形態では、接合用シート10の上面を、当該装置と解析ソフトを用い、無作為に5箇所選定し計5回測定したときに得られる押し込みヤング率の平均値を、接合用シート10のヤング率とする。測定条件は、端子はビッカース圧子、押し込み深さは2μm、押し込み速さは0.067μm/秒、測定温度は25℃とし、接合用シート10を、接合用シート10よりも大きいサイズの0.4mm厚のシリコンウエハ上に載せた状態で測定した。以降のヤング率についても、同様の方法での測定値を指してよい。
接合用シート10は、熱伝導率が10W/mK以上20W/mK以下であることが好ましく、15W/mK以上55W/mK以下であることがより好ましく、20W/mK以上50W/mK以下であることが更に好ましい。熱伝導率がこの範囲となることで、接合する部材の熱を好適に伝えることができる。
熱伝導率は、例えば比抵抗から換算し求めることができる。具体的には10mm×10mmに成形した接合用シートの25℃におけるシート抵抗を、ロレスター(MCP-250T、三菱油化社製)を用い四探針法で測定し、さらにシート膜厚を乗し比抵抗を算出する。25℃における熱伝導率はWiedemann-Franz則を用い、比抵抗を換算することで求める。
接合用シート10は、厚みWが0.1mm以上1mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.7mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上0.5mm以下であることが更に好ましい。厚みWは、図1に示すように、表面10aのうちで最も表面10aから突出している箇所と、表面10bのうちで最も表面10bから突出している箇所との間の、厚み方向である方向Zにおける距離を指す。
また、接合用シート10を方向Zに投影した場合の投影面積が、10000mm以下であることが好ましく、6400mm以下であることがより好ましく、3600mm以下であることが更に好ましい。
厚みWや投影面積がこの範囲となる接合用シート10とすることで、部材を適切に接合できる。
また、接合用シート10の厚みWを接合用シート10の充填率(%)で除した値(厚みW/充填率)を、大面積接合指数D1と定義する。この場合、大面積接合指数D1は、2.0以上8.3以下であることが好ましく、2.2以上5.0以下であることがより好ましい。
大面積接合指数D1がこの範囲となることで、部材同士を適切に接合できる。
接合用シート10は、銅の焼結体に、樹脂が含浸していてもよい。すなわち、接合用シート10は、内部の気孔内の少なくとも一部に樹脂が充填されていてもよい。ここでの樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。樹脂を含浸させることで、接合用シート10に適切な機能を付与することができる。
(接合用シートの製造方法)
図3は、本実施形態に係る接合用シートの製造方法を説明するフローチャートである。
(銅粒子の準備)
図3に示すように、本製造方法においては、最初に、銅粒子12Aを準備する(ステップS10)。ここでの銅粒子12Aは、接合用シート10の原料となる銅の粒子であり、仮焼結前の銅の粉末であるともいえる。すなわち、銅粒子12Aを仮焼結することで、銅粒子12が仮焼結により結合した接合用シート10が製造される。仮焼結前の銅粒子が銅粒子12Aで、仮焼結後の銅粒子が銅粒子12であるといえる。
銅粒子12Aは、BET径が50nm以上300nm以下であることが好ましい。BET径は、銅粒子12Aを真球体もしくは立方体とみなして、BET法により求められる銅粒子のBET比表面積と真密度とから算出される粒子径である。具体的には、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
銅粒子12AのBET径が50nm以上であると、強固な凝集体を形成しにくい。このため、仮焼結後の銅粒子12の表面を後述の溶媒20によって均一に被覆することができる。一方、銅粒子12AのBET径が300nm以下であると、反応面積が大きく、加熱による焼結性が高くなるので、強固な接合層を形成可能となる。銅粒子12AのBET径は、80nm以上200nm以下の範囲内にあることが好ましく、80nm以上170nm以下の範囲内にあることが特に好ましい。
銅粒子12AのBET比表面積は、2.0m/g以上8.0m/g以下の範囲内にあることが好ましく、3.5m/g以上8.0m/g以下の範囲内にあることがより好ましく、4.0m/g以上8.0m/g以下の範囲内にあることが特に好ましい。また、銅粒子12Aの形状は、球状に限らず、針状、扁平な板状でもよい。
銅粒子12Aは、表面が、有機物の膜である有機保護膜で被覆されていることが好ましい。有機保護膜で被覆されていることにより、銅粒子12Aの酸化が抑制され、銅粒子12Aの酸化による焼結性の低下がさらに起こりにくくなる。なお、銅粒子12Aを被覆する有機保護膜は、溶媒20によって形成されるものでなく、溶媒20由来のものでないといえる。また、銅粒子12Aを被覆する有機保護膜は、銅の酸化により形成される酸化銅の膜ではないともいえる。
銅粒子12Aが有機保護膜で被覆されていることは、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて、銅粒子12Aの表面を分析することに確認することができる。このため、本実施形態において、銅粒子12Aは、飛行時間型二次イオン質量分析法を用いて、表面を分析することによって検出されるCuイオンの検出量に対するC イオンの検出量の比(C /Cu比)が0.001以上であることが好ましい。C /Cu比は、0.05以上0.2以下の範囲内にあることがさらに好ましい。なお、本分析における銅粒子12Aの表面とは、銅粒子12Aから有機保護膜を除去した際の銅粒子12Aの表面でなく、被覆している有機保護膜を含んだ銅粒子12Aの表面(すなわち有機保護膜の表面)を指す。
銅粒子12Aは、飛行時間型二次イオン質量分析法を用いて、表面を分析することによってC イオンやC以上のイオンが検出されてもよい。Cuイオンの検出量に対するC イオンの検出量の比(C /Cu比)は0.001以上であることが好ましい。また、Cuイオンの検出量に対するC以上のイオンの検出量の比(C以上のイオン/Cu比)は0.005未満であることが好ましい。
飛行時間型二次イオン質量分析法において検出されるC イオンとC イオンとC以上のイオンは、銅粒子12Aの表面を被覆している有機保護膜に由来する。このためC /Cu比とC /Cu比のそれぞれが0.001以上であると、銅粒子12Aの表面が酸化しにくくなり、かつ銅粒子12Aが凝集しにくくなる。また、C /Cu比及びC /Cu比が0.2以下であると、銅粒子12Aの焼結性を過度に低下させずに銅粒子12Aの酸化と凝集を抑制でき、さらに加熱時における有機保護膜の分解ガスの発生を抑えることができるので、ボイドが少ない接合層を形成することができる。銅粒子12Aの保存中の耐酸化性をより一層向上し、かつ低温度での焼結性をより一層向上させるために、C /Cu比及びC /Cu比は0.08以上0.16以下の範囲内にあることが好ましい。また、C以上のイオン/Cu比が0.005倍以上であると、粒子表面に脱離温度が比較的高い有機保護膜が多く存在するため、結果として焼結性が十分に発現せず強固な接合層が得られにくい。C以上のイオン/Cu比は0.003倍未満であることが好ましい。
有機保護膜は、クエン酸由来であることが好ましい。クエン酸由来の有機保護膜で被覆された銅粒子12Aの製造方法は後述する。銅粒子12Aの有機保護膜の被覆量は、銅粒子100質量%に対して0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲内にあることが好ましく、0.8質量%以上1.8質量%以下の範囲内にあることがより好ましく、0.8質量%以上1.5質量%以下の範囲内にあることがさらに好ましい。有機保護膜の被覆量が0.5質量%以上であることによって、銅粒子12Aを有機保護膜により均一に被覆することができ、銅粒子12Aの酸化をより確実に抑制することができる。また、有機保護膜の被覆量が2.0質量%以下であることによって、加熱による有機保護膜の分解によって発生するガスにより、銅粒子の焼結体(接合層)にボイドが発生することを抑制することができる。有機保護膜の被覆量は、市販の装置を用いて測定することができる。例えば、差動型示差熱天秤TG8120-SL(RIGAKU社製)を用いて、被覆量を測定できる。この場合例えば、試料は、凍結乾燥により水分を除去した銅粒子を用いる。銅粒子の酸化を抑制するため窒素(G2グレード)ガス中で測定し、昇温速度は10℃/minとし、250℃から300℃まで加熱したときの重量減少率を、有機保護膜の被覆量と定義できる。すなわち、被覆量=(測定後の試料重量)/(測定前の試料重量)×100(wt%)である。測定は同一ロットの銅粒子で各々3回行い、相加平均値を被覆量としてよい。
銅粒子12Aは、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下、300℃の温度で30分加熱したときに、有機保護膜の50質量%以上が分解することが好ましい。クエン酸由来の有機保護膜は、分解時に二酸化炭素ガス、窒素ガス、アセトンの蒸発ガス及び水蒸気を発生する。
クエン酸由来の有機保護膜で被覆された銅粒子12Aは、例えば、以下のようにして製造することができる。先ず、クエン酸銅の水分散液を用意し、このクエン酸銅水分散液にpH調整剤を加えてpHを2.0以上7.5以下に調整する。次に、不活性ガス雰囲気下でこのpH調整したクエン酸銅水分散液に、還元剤として、銅イオンを還元できる1.0倍当量分以上1.2倍当量分以下のヒドラジン化合物を添加して混合する。得られた混合液を、不活性ガス雰囲気下で、得られた混合液を60℃以上80℃以下の温度に加熱し1.5時間以上2.5時間以下保持する。これにより、クエン酸銅から溶出した銅イオンを還元して銅粒子12Aを生成させると共に、この銅粒子12Aの表面にクエン酸由来の有機保護膜を形成させる。
クエン酸銅の水分散液は、蒸留水、イオン交換水のような純水に、粉末状のクエン酸銅を25質量%以上40質量%以下の濃度となるように添加し、撹拌羽を用いて撹拌し、均一に分散させることによって調製できる。pH調整剤としては、クエン酸三アンモニウム、クエン酸水素アンモニウム、クエン酸などが挙げられる。この中でマイルドにpH調整しやすいことからクエン酸三アンモニウムが好ましい。クエン酸銅水分散液のpHを2.0以上とするのは、クエン酸銅から溶出した銅イオンの溶出速度を速くして、銅粒子の生成を速やかに進行させ、目標とする微細な銅粒子12Aを得られるようにするためである。また、pHを7.5以下とするのは、溶出した銅イオンが水酸化銅(II)となることを抑制して、銅粒子12Aの収率を高くするためである。また、pHを7.5以下とすることによって、ヒドラジン化合物の還元力が過度に高くなることを抑制でき、目標とする銅粒子12Aが得られやすくなる。クエン酸銅水分散液のpHは4以上6以下の範囲内に調整することが好ましい。
ヒドラジン化合物によるクエン酸銅の還元は不活性ガス雰囲気下で行われる。液中に溶出した銅イオンの酸化を防止するためである。不活性ガスの例としては、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。ヒドラジン化合物は、酸性下でクエン酸銅を還元するときに、還元反応後に残渣を生じないこと、安全性が比較的高いこと及び取扱いが容易であることなどの利点がある。このヒドラジン化合物としては、ヒドラジン一水和物、無水ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジンなどが挙げられる。これらのヒドラジン化合物の中では、硫黄や塩素といった不純物となり得る成分を含まないヒドラジン一水和物、無水ヒドラジンが好ましい。
一般的にpH7未満の酸性液中で生成した銅は溶解してしまう。しかし本実施形態では、pH7未満の酸性液に還元剤であるヒドラジン化合物を添加混合し、得られた混合液中に銅粒子12Aを生成させる。このため、クエン酸銅から生成したクエン酸由来の成分が銅粒子12Aの表面を速やかに被覆するので、銅粒子12Aの溶解が抑制される。pHを調整した後のクエン酸銅の水分散液は、温度50℃以上70℃以下にして、還元反応を進行しやすくすることが好ましい。
不活性ガス雰囲気下でヒドラジン化合物を混合した混合液を60℃以上80℃以下の温度に加熱し1.5時間以上2.5時間以下保持するのは、銅粒子12Aを生成させると共に、生成した銅粒子12Aの表面に有機保護膜を形成し被覆するためである。不活性ガス雰囲気下で加熱保持するのは、生成した銅粒子12Aの酸化を防止するためである。出発原料であるクエン酸銅は通常35質量%程度の銅成分を含む。この程度の銅成分を含むクエン酸銅水分散液に還元剤であるヒドラジン化合物を添加して、上記の温度で昇温加熱し、上記の時間で保持することにより、銅粒子12Aの生成と、銅粒子12Aの表面での有機保護膜の生成とがバランスよく進行するので、銅粒子100質量%に対して、有機保護膜の被覆量が0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲内にある銅粒子12Aを得ることができる。加熱温度が60℃未満で保持時間が1.5時間未満では、クエン酸銅が完全に還元せずに、銅粒子12Aの生成速度が遅くなりすぎて、銅粒子12Aを被覆する有機保護膜の量が過剰となるおそれがある。また加熱温度が80℃を超えかつ保持時間が2.5時間を超えると、銅粒子12Aの生成速度が速くなりすぎて、銅粒子12Aを被覆する有機保護膜の量が少なりすぎるおそれがある。好ましい加熱温度は65℃以上75℃以下であり、好ましい保持時間は2時間以上2.5時間以下である。
混合液で生成された銅粒子12Aを、不活性ガス雰囲気下で混合液から、例えば遠心分離機を用いて、固液分離して、凍結乾燥法、減圧乾燥法で乾燥することにより、表面が有機保護膜で被覆された銅粒子12Aを得る。この銅粒子12Aは、表面が有機保護膜で被覆されているため、接合用シート10として用いるまで、大気中に保存しても酸化しにくくなる。
(銅粒子の型への充填)
次に、図3に示すように、準備した銅粒子12Aを型に充填する(ステップS12)。銅粒子12Aを充填する型の形状や材質は任意であってよい。
(銅粒子の仮焼結)
次に、型に充填された銅粒子12Aを所定温度で加圧して、銅粒子12Aを仮焼結させることで、接合用シート10を生成する(ステップS14)。本ステップにおいては、型に充填された銅粒子12Aを、所定圧力で加圧しつつ、所定温度で所定時間保持することで、銅粒子12Aを仮焼結させて接合用シート10を生成する。ここでの所定圧力は、1MPa以上30MPa以下であることが好ましく、1MPa以上20MPa以下であることがより好ましく、1MPa以上10MPa以下であることが更に好ましい。またここでの所定温度は、40℃以上250℃以下であることが好ましく、40℃以上200℃以下であることがより好ましく、40℃以上150℃以下であることが更に好ましい。ここでの所定時間(所定圧力、所定温度で保持する時間)は、1分以上30分以下であることが好ましく、2分以上25分以下であることがより好ましく、3分以上15分以下あることが更に好ましい。
このような条件で銅粒子12Aを仮焼結させることで、接合時に適切に変形することで適切に接合可能な接合用シート10を適切に製造できる。
なお、接合用シート10は、以上の方法で製造されることに限られず、接合用シート10の製造方法は任意であってよい。
(接合体の製造方法)
次に、接合用シート10を用いて部材同士を接合することにより接合体100を製造する方法について説明する。図4は、接合体の製造方法を説明するための模式図である。本実施形態では、接合用シート10を接合層として、第1の部材Aと第2の部材Bとを接合して、接合体100を製造する。第1の部材Aと第2の部材Bは任意のものであってよいが、例えば、第1の部材Aと第2の基材Bとのうちの一方が基板で、他方が電子部品であってよい。すなわち、基板と電子部品とが接合層で接合された半導体モジュールを、接合体100として製造してよい。基板としては、特に限定されないが、例えば、無酸素銅板、銅モリブデン板、高放熱絶縁基板(例えば、DCB(Direct Copper Bond))、LED(Light Emitting Diode)パッケージなどの半導体素子搭載用基材等が挙げられる。また電子部品としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ダイオード、ショットキーバリヤダイオード、MOS-FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、サイリスタ、ロジック、センサー、アナログ集積回路、LED、半導体レーザー、発信器等の半導体素子が挙げられる。
本製造方法においては、図4のステップS20に示すように、第1の部材Aの表面に、接合用シート10を配置する。図4の例では、接合用シート10の表面10bが第1の部材Aの表面に接触するように、第1の部材A上に接合用シート10が配置される。
次に、ステップS22に示すように、接合用シート10の表面10a(第1の部材Aに接触していない側の表面)上に、溶媒20を塗布する。溶媒20は、銅粒子12に対するバインダーとして作用する。溶媒20は、有機溶媒である。なお、溶媒20の添加は必須ではない。
溶媒20は、沸点が150℃以上であることが好ましく、沸点が200℃以下であることが好ましい。溶媒20の沸点は、150℃以上300℃以下であることがより好ましく、200℃以上250℃以下であることが更に好ましい。また、溶媒20は、分子量が100以上1000以下の範囲内であることが好ましく、200以上800以下の範囲内にあることがより好ましく、200以上600以下の範囲内にあることが特に好ましい。また、溶媒は、末端に還元性基を有する化合物であることが好ましい。還元性基は水酸基であることが好ましい。また、溶媒20は、誘電率が4以上80以下であることが好ましく、10以上45以下であることがより好ましく、20以上40以下であることが更に好ましい。なお、誘電率は、液体用誘電率測定計(日本ルフト社製、Model 871)で測定してよい。
溶媒20としては、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物を用いることができる。ジオール化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールを挙げることができる。トリオール化合物の例としては、グリセリン、ブタントリオール、ポリオキシプロピレントリオールを挙げることができる。これらの有機溶媒及び高分子溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒20は、接合用シート10に対して、質量比で0.5%以上10%以下添加されることが好ましく、1%以上8%以下添加されることが好ましく、2%以上5%以下添加されることが更に好ましい。溶媒20の添加量がこの範囲となることで、接合性を適切に保つことができる。
ステップS24に示すように、溶媒20は、接合用シート10の気孔に浸入して気孔内に充填される。すなわち、接合用シート10は、溶媒20が含浸された状態になるといえる。
その後、ステップS26に示すように、溶媒20が含浸された接合用シート10の表面10a上に、第2の部材Bが配置される。すなわち、第1の部材Aと第2の部材Bとの間に、溶媒20が含浸された接合用シート10が配置された状態となる。
その後、第1の部材Aと第2の部材Bとの間に接合用シート10が配置された積層体を、加熱することで、接合用シート10の焼結をさらに進行させて、第1の部材Aと第2の部材Bとが接合層(焼結された接合用シート10)で接合された接合体100が生成される。積層体の加熱温度は、例えば、150℃以上300℃以下の範囲内としてよい。積層体の加熱時間としては、例えば、10分間以上1時間以下の範囲内としてよい。積層体の加熱は、不活性ガス雰囲気下、積層体の積層方向に積層体を加圧しながら行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスを用いることができる。積層体の加圧圧力は、0.5MPa以上30MPa以下の範囲内にあることが好ましい。
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る接合用シート10は、銅製であり、ヤング率が15GPa以下であり、かつ、充填率が45%以上である。本実施形態に係る接合用シート10は、ヤング率がこのように比較的小さいことで接合時に部材に追従して適切に変形でき、充填率がこの範囲であることで表面積を大きくして焼結を適切に進行させることができるため、部材同士を適切に接合できる。
接合用シート10は、ヤング率が1GPa以上10GPa以下であることが好ましい。ヤング率がこの範囲となることで、部材同士をより適切に接合できる。
接合用シート10は、充填率が45%以上60%以下であることが好ましい。充填率がこの範囲であることで、部材同士をより適切に接合できる。
接合用シート10は、熱伝導率が10W/mK以上20W/mK以下であることが好ましい。熱伝導率がこの範囲であることで、接合体100の伝熱性を適切に担保することができる。
接合用シート10は、銅の焼結体を含むことが好ましい。接合用シート10は、銅の焼結体を含むことで、部材同士を適切に接合できる。
本実施形態に係る接合体100の製造方法は、接合用シート10を第1の部材A上に配置するステップと、接合用シート10上に第2の部材Bを配置することで、第1の部材と第2の部材との間に前記接合用シートが配置された積層体を得るステップと、積層体を加熱することで、第1の部材Aと第2の部材Bが接合された接合体100を製造するステップと、を含む。本製造方法によると、接合用シート10を用いることで、接合体100を適切に製造できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る接合用シート10Aは、銅の焼結体を含まない点で、第1実施形態とは異なる。すなわち、本開示に係る接合用シートは、銅粒子12Aが焼結したものであってもよいし、銅粒子12Aが焼結していないものであってもよい。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図5は、第2実施形態に係る接合用シートの模式図である。第2実施形態に係る接合用シート10Aは、第1実施形態同様に銅製であるが、銅の焼結体ではない。図5に示すように、接合用シート10Aは、銅粒子12Aと溶媒20とを含む。すなわち、接合用シート10Aは、焼結(仮焼結)していない状態の銅粒子12Aを含む。
接合用シート10Aに含まれる銅粒子12Aの特性は、第1実施形態の接合用シート10の仮焼結前の原料である銅粒子12Aと同様であるため、説明を省略する。
接合用シート10Aに含まれる溶媒20の特性は、第1実施形態において接合用シート10による部材A、Bの接合に用いた溶媒20と同様であるため、説明を省略する。
接合用シート10Aにおける銅粒子12Aと溶媒20との含有割合は、質量比で99:1~90:10(=銅粒子:溶媒)であることが好ましい。すなわち、接合用シート10Aは、銅粒子12Aの含有量が90質量%以上99質量%以下の範囲内にあり、溶媒20の含有量が1質量%以上10質量%以下の範囲内にあることが好ましい。銅粒子12Aと溶媒20との含有割合は、質量比で99:1~92:8であることがより好ましく、質量比で98:2~95:5であることが更に好ましい。
接合用シート10Aは、焼結体を含まないという以外の特性は、第1実施形態の接合用シート10と同様であってよい。すなわち例えば、接合用シート10Aは、充填率、ヤング率、熱伝導率、厚みW、投影面積、大面積接合指数D1が、第1実施形態の接合用シート10と同じ範囲であってよい。また、これらの特性の測定方法も第1実施形態と同じであってよい。
(接合用シートの製造方法)
図6は、第2実施形態に係る接合用シートの製造方法を説明するフローチャートである。図6に示すように、本製造方法においては、銅粒子12Aと溶媒20とを準備して(ステップS30)、準備した銅粒子12Aと溶媒20とを混合する(ステップS32)。銅粒子12Aと溶媒20とを混合する工程においては、銅粒子12Aと溶媒20との含有割合が、好ましくは質量比で99:1~90:10(=銅粒子:溶媒)、より好ましくは質量比で99:1~92:8、更に好ましくは質量比で98:2~95:5となるように、銅粒子12Aと溶媒20とを混合してよい。銅粒子12Aと溶媒20との混合は任意の方法で行ってよいが、例えば、自転公転ミキサーやプラネタリーミキサーを用いることができる。
次に、銅粒子12Aと溶媒20との混合物を用いて、接合用シート10Aを成形する(ステップS34)。本工程では、銅粒子12Aと溶媒20との混合物を、常温下において所定圧力で所定時間の間加圧してシート状に成型することで、接合用シート10Aとする。常温とは室温を指してよいが、それに限られず、銅粒子12Aの焼結が進行しない程度の温度(例えば100℃以下)であってよい。またここでの所定圧力は、1MPa以上30MPa以下であることが好ましく、5MPa以上25MPa以下であることがより好ましく、10MPa以上20MPa以下であることが更に好ましい。ここでの所定時間(所定圧力で保持する時間)は、1分以上30分以下であることが好ましく、2分以上25分以下であることがより好ましく、3分以上20分以下であることが更に好ましい。
このような条件で接合用シート10Aを成形することで、接合時に適切に変形することで適切に接合可能な接合用シート10を製造できる。なお、混合物をシート状に成形する方法としては、加圧ローラを利用した圧延処理法、金型を利用したプレス処理法を用いることができる。なお、例えば混合物をシート状に成型した成形体を所定の形状に切断することで、接合用シート10Aとしてもよい。
なお、接合用シート10Aは、以上の方法で製造されることに限られず、接合用シート10Aの製造方法は任意であってよい。
(接合体の製造方法)
次に、接合用シート10Aを用いて部材同士を接合することにより接合体100Aを製造する方法について説明する。図7は、接合体の製造方法を説明するための模式図である。本実施形態では、接合用シート10Aを接合層として、第1の部材Aと第2の部材Bとを接合して、接合体100Aを製造する。
接合体100Aは、第1の部材Aと第2の部材Bとの間に、接合用シート10Aを配置して、積層体を得て、得られた積層体を加熱して、接合用シート10Aの銅粒子12Aを焼結させて接合層を形成することにより製造することができる。積層体の加熱温度は、例えば、150℃以上300℃以下の範囲内にある。積層体の加熱時間としては、例えば、10分間以上1時間以下の範囲内にある。積層体の加熱は、不活性ガス雰囲気下、積層体の積層方向に積層体を加圧しながら行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスを用いることができる。積層体の加圧圧力は、0.5MPa以上30MPa以下の範囲内にあることが好ましい。
以上説明したように、第2実施形態に係る接合用シート10Aは、銅粒子12Aと、沸点が150℃以上の溶媒20とを含む。第2実施形態に係る接合用シート10Aは、仮焼結されていない銅粒子12Aと溶媒20との成型体であり、ヤング率が15GPa以下、充填率が45%以上であるため、接合時に部材に追従して適切に変形でき、表面積を大きくして焼結を適切に進行させることができるため、部材同士を適切に接合できる。
(実施例)
次に、実施例について説明する。図8は、各例の接合用シートの特性および評価結果を示す表である。
(実施例1)
(銅粒子の準備)
実施例1においては、クエン酸銅・2.5水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)とイオン交換水とを、撹拌羽を用いて撹拌混合して、濃度30質量%のクエン酸銅の水分散液を調製した。次いで、得られたクエン酸銅水分散液に、pH調整剤としてのクエン酸アンモニウム水溶液を加えて、クエン酸銅水分散液のpHを5に調整した。次に、得られたクエン酸銅水分散液を50℃まで昇温し、その温度を保持しながら、窒素ガス雰囲気下で、銅イオンの還元剤としてのヒドラジン一水和物水溶液(2倍希釈)を一時に添加し、撹拌羽を用いて撹拌混合した。ヒドラジン一水和物水溶液の添加量は、銅イオン全量を還元させるのに必要な量に対して1.2倍当量分とした。得られた混合液を窒素ガス雰囲気下で70℃まで昇温し、その温度で2時間保持して、銅粒子を生成させた。生成した銅粒子を、遠心分離機を用いて回収した。回収した銅粒子を減圧乾燥法で乾燥して、銅粒子を作製した。
比表面積測定装置(カンタクローム・インスツルメンツ社製、QUANTACHROME AUTOSORB-1)を用いた。事前に脱気温度を50℃、脱気時間60分にて吸着ガスを除去した後、銅粒子の窒素ガスの吸着量を測定し、BET法により銅粒子の比表面積を求めた。得られた比表面積S(m/g)と、銅粒子の密度ρ(g/cm)とを用いて、下記の式よりBET径を算出した。
BET径(nm)=6000/(ρ(g/cm)×S(m/g))
(接合用シートの生成)
準備した銅粒子を充填する型として、外寸50mm角×30mmで内寸30mm角×30mmの穴が空いているアルミフレームを用意した。このアルミフレームに銅粒子1.5gを充填し、30mm角×20mmのアルミブロックで均一にならしたうえで、溶媒としてPEG(ポリエチレングリコール)を添加し、大気中で、20MPa、40℃の条件で、15分間ホットプレス処理して、接合用シートを生成した。ホットプレス装置はCYPT-50kN(新東工業社製)を用いた。ホットプレス処理の後、室温に冷却して、アルミブロックに挟まれた30mm角×0.4mmの接合用シートをアルミブロックから剥がし、目的の接合用シートを得た。
(接合用シートの特性)
ピコデンターを用いて接合用シートのヤング率を測定した。ヤング率の測定方法は、本実施形態で説明した方法を用いた。
また、接合用シートの充填率を測定した。充填率は、次のように測定した。接合用シートの外部寸法から求めた体積を、ノギスとマイクロメータによって測定した。具体的には、接合用シートの水平方向の2辺を各5点ずつ無作為に測定し、各々の平均値の積を接合用シートの面積とした。更にマイクロメータ―で接合用シートの厚みを10点無作為に測定し、平均値を接合用シートの厚みとした。面積と厚みの積を接合用シートの外部寸法から求めた体積とした。次に接合用シートの重量を測定した。そして、接合用シートの重量を、接合用シート10の外部寸法から求めた体積によって除した値を、かさ密度として算出した。外部寸法から求めた体積とは、接合用シート10の気孔も含めた全容積を指す。そして、真密度を8.96g/cmとして、真密度に対するかさ密度の比率を、充填率として算出した。
また、接合用シートの熱伝導率を測定した。具体的には、10mm×10mmに成形した接合用シートの25℃におけるシート抵抗を、ロレスター(MCP-250T、三菱油化社製)を用い四探針法で測定し、さらにシート膜厚を乗し比抵抗を算出した。そして、25℃における熱伝導率を、Wiedemann-Franz則を用い、比抵抗を換算することで求めた。
ヤング率、充填率、熱伝導率の測定値を図8に示す。
図8において、銅粒子の少なくとも一部が焼結された接合用シートを、すなわち銅の焼結体を含む接合用シートを、焼結体「〇」とした。そして、図5において、全ての銅粒子が焼結されていない接合用シートを、すなわち銅の焼結体を含まない接合用シートを、焼結体「×」とした。また、図8において、接合用シートに添加した溶媒の種類を示した。図8に示すように、例1の接合用シートは、焼結体を含まず、銅粒子と、沸点が150℃以上の溶媒としてのPEGとを含むものである。
(実施例2-8)
実施例2-8においては、加熱温度、印加圧力、加圧時間の少なくとも1つを図8のように変更した以外は実施例1と同様の方法で接合用シートを生成した。ヤング率、充填率、熱伝導率の測定値、焼結体を含むか否か、及び接合用シートに添加した溶媒を図8に示す。なお、実施例1、2が、第2実施形態のように、焼結体を含まずに、銅粒子と、沸点が150℃以上の溶媒とを含む接合用シートであり、実施例3-8が、第1実施形態のように焼結体を含む接合用シートであり、実施例3-8の接合用シートは、沸点が150℃以上の溶媒を含まない。
(比較例1-2)
比較例1-2においては、加熱温度、印加圧力、加圧時間の少なくとも1つを図8のように変更した以外は実施例1と同様の方法で接合用シートを生成した。ヤング率、充填率、熱伝導率の測定値、焼結体を含むか否か、及び接合用シートに添加した溶媒を図8に示す。
(評価)
各例の、接合用シートを用いて部材同士を接合した接合体を製造して、接合体のシェア強度を評価した。各例の接合用シートを、市販のカッターナイフを用いて切断して、接合用シート片(2.5mm角×500μm厚)を作製した。30mm角×1mm厚の無酸素銅基板の上に、上記の接合用シート片(2.5mm角×500μm厚)を配置した。次いで、その接合用シート片の上に、溶媒としてポリエチレングリコールをシート片重量0.95gあたり0.05gとなるよう塗布して含浸させた後、2.5mm角×1mm厚の無酸素銅ダミー素子を配置した。こうして、無酸素銅基板と無酸素銅ダミー素子とが接合用シート片を介して積層された積層体を得た。得られた積層体を、ダイボンダー(アルファーデザイン株式会社製、HTB-MM)を用いて、窒素ガス雰囲気下、加圧圧力5MPa、温度250℃の条件で、15分間保持することにより2.5mm角の無酸素銅基板と無酸素銅ダミー素子とが銅接合層を介して接合された接合体(サンプルA)を作製した。
得られた接合体(サンプルA)のシェア強度を、JIS Z 3198-7(鉛フリーはんだ試験方法-第7部:チップ部品のはんだ継手せん断試験方法)に準拠した方法により測定した。具体的には、ボンドテスタ(Nordson DAGE社製、SERIES 4000)のツールを用いて無酸素銅ダミー素子に荷重を加え、無酸素銅ダミー素子が銅接合層から剥離したときの荷重(最大せん断荷重)を測定した。ツールの移動速度は50μm/secとし、ツールの先端と無酸素銅基板のギャップは50μmとした。得られた最大せん断荷重を、ニュートン換算し、銅接合層の面積(2.5mm×2.5mm)で除することに求めた値をシェア強度(単位:MPa)とした。接合体は7個作製し、それぞれの接合体についてシェア強度を測定した。その結果を図8に示す。
本評価においては、シェア強度が40MPa以上を〇(合格)とし、シェア強度が40MPa未満を×(不合格)とした。図8に示すように、ヤング率が15GPa以下であり充填率が45%以上となる実施例の接合用シートを用いた場合、接合体のシェア強度が高く、接合強度を向上できていることが分かる。一方、ヤング率が15GPa以下、充填率が45%以上の少なくとも一方を満たさない比較例の接合用シートを用いた場合、接合体のシェア強度が低く、接合強度を向上できてないことが分かる。
(オプションの評価)
オプションの評価として、接合用シートを用いて製造した接合体における接合層の緻密度を測定した。接合用シートを、市販のカッターナイフを用いて切断して、接合用シート片(10mm角×500μm厚)を作製した。30mm角×1mm厚の無酸素銅基板の上に、上記の接合用シート片(10mm角×500μm厚)を配置した。次いで、その接合用シート片の上に、溶媒としてポリエチレングリコールをシート片重量0.95gあたり0.05gとなるよう塗布して含浸させた後、10mm角×1mm厚の無酸素銅ダミー素子を配置した。こうして、無酸素銅基板と無酸素銅ダミー素子とが接合用シート片を介して積層された積層体を得た。得られた積層体を、ダイボンダー(アルファーデザイン株式会社製、HTB-MM)を用いて、窒素ガス雰囲気下、加圧圧力5MPa、温度250℃の条件で、15分間保持することにより2.5mm角の無酸素銅基板と無酸素銅ダミー素子とが銅接合層を介して接合された接合体(サンプルB)を作製した。
得られた接合体(サンプルB)の銅接合層部分について、超音波探傷装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、FINE-SAT)を用いて超音波探傷像を測定した。得られた超音波探傷像を、画像処理ソフト(米国国立衛生研究所製ImageJ)を用いて2値化して、ボイド(空洞)と接合体(銅粒子焼結体)とに分け、下記の式よりボイド率を算出した。
ボイド率(%)=(ボイド部分の総面積/銅接合層の面積(10mm×10mm))×100
接合体は7個作製し、それぞれの接合体についてボイド率を測定した。その結果を図8に示す。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
10、10A 接合用シート
12、12A 銅粒子
20 溶媒

Claims (7)

  1. 銅製であり、ヤング率が15GPa以下であり、かつ、充填率が45%以上である、
    接合用シート。
  2. ヤング率が1GPa以上10GPa以下である、請求項1に記載の接合用シート。
  3. 充填率が45%以上60%以下である、請求項1又は請求項2に記載の接合用シート。
  4. 熱伝導率が1W/mK以上20W/mK以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接合用シート。
  5. 銅の焼結体を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接合用シート。
  6. 銅粒子と、沸点が150℃以上の溶媒とを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接合用シート。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の接合用シートを第1の部材上に配置するステップと、
    前記接合用シート上に第2の部材を配置することで、第1の部材と第2の部材との間に前記接合用シートが配置された積層体を得るステップと、
    前記積層体を加熱することで、前記第1の部材と前記第2の部材が接合された接合体を製造するステップと、
    を含む、
    接合体の製造方法。
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