JP2022102323A - ヒートシール紙、包装袋 - Google Patents

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泰友 野一色
Yasutomo Noishiki
裕太 社本
Yuta SHAMOTO
三代子 田中
Miyoko Tanaka
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Abstract

【課題】基材破壊最低シール温度が低く、ヒートシール性に優れたヒートシール紙および該ヒートシール紙を用いた包装袋を提供すること。【解決手段】紙基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、前記ヒートシール層が、ヒートシール性樹脂、顔料、およびシランカップリング剤が配合されてなる、ヒートシール紙。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒートシール紙およびこれを用いた包装袋に関する。
ヒートシール方式を利用した包装体は、一般の工業製品の包装の他、食品、医薬、医療器具の包装など広く利用されている。
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量のうち、包装容器セクターでのプラスチック生産量が多く、プラスチックごみの原因となっている。プラスチックは半永久的に分解されず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化し、生態系に深刻な悪影響を与えている。その対策として、プラスックを紙に代替することが提案されている。
たとえば、特許文献1には、紙基材の少なくとも一方の面上にアイオノマーを含むヒートシール層が2層以上形成されてなるヒートシール紙が記載されている。
特許第6580291号公報
しかし、特許文献1に記載のヒートシール紙は、基材破壊最低シール温度が高いという問題があった。なお、基材破壊最低シール温度とは、ヒートシールしたヒートシール紙を剥離した際に、基材破壊が観察される、最低のヒートシール温度を意味し、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
よって、本発明は、基材破壊最低シール温度が低く、ヒートシール性に優れたヒートシール紙および該ヒートシール紙を用いた包装袋を提供することを目的とする。
本発明の課題は、以下の構成によって解決することができる。
<1> 紙基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、前記ヒートシール層が、ヒートシール性樹脂、顔料、およびシランカップリング剤が配合されてなる、ヒートシール紙。
<2> 前記シランカップリング剤が、アミノ基、エポキシ基、および酸無水物基よりなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する、<1>に記載のヒートシール紙。
<3> 前記シランカップリング剤の配合量が、ヒートシール性樹脂および顔料の合計量100質量部に対して、0.03質量部以上5.0質量部以下である、<1>または<2>に記載のヒートシール紙。
<4> 前記ヒートシール性樹脂が、水分散性樹脂バインダーである、<1>~<3>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<5> 前記ヒートシール性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、オレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体、および生分解性樹脂よりなる群から選択される少なくとも1つである、<1>~<4>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<6> 前記ヒートシール層中の前記ヒートシール性樹脂の配合量が、30質量%以上90質量%以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<7> 前記ヒートシール層中の前記顔料の配合量が、5質量%以上65質量%以下である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<8> 前記ヒートシール層が、滑剤をさらに含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<9> 前記滑剤が、ポリエチレンワックスおよびカルナバワックスよりなる群から選択される少なくとも1種である、<8>に記載のヒートシール紙。
<10> 前記ヒートシール層中の滑剤の含有量が0.2質量%以上30質量%以下である、<8>または<9>に記載のヒートシール紙。
<11> 前記紙基材が、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の引張エネルギー吸収量をY、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の比引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が120J/m以上であり、Yに対するXの比(X/Y)が0.5以上2.0以下であり、XおよびYの相乗平均が2.0J/g以上である、<1>~<10>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<12> 前記紙基材を構成する原料パルプが、未晒クラフトパルプである、<1>~<11>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<13> 前記紙基材を構成するパルプは、JIS P 8211:2011に準拠して測定されるカッパー価が30以上60以下である、<1>~<12>のいずれか1つに記載のヒートシール紙。
<14> <1>~<13>のいずれか1つに記載のヒートシール紙を用いた包装袋。
本発明によれば、基材破壊最低シール温度が低く、ヒートシール性に優れたヒートシール紙および該ヒートシール紙を用いた包装袋を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。また、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む総称である。
<ヒートシール紙>
本発明の実施形態に係るヒートシール紙(以下、単に「ヒートシール紙」ともいう)は、紙基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、前記ヒートシール層が、ヒートシール性樹脂、顔料、およびシランカップリング剤が配合されてなる。本実施形態のヒートシール紙を用いると、ヒートシールした際に、基材破壊最低シール温度が低く、ヒートシール性に優れる。また、該ヒートシール紙を密封袋状にしたときに、ヒートシール性に優れた包装袋とすることができる。
上記の効果が得られる詳細な理由は不明であるが、一部は以下のように推定される。すなわち、シランカップリング剤を用いてヒートシール層を形成すると、顔料やヒートシール性樹脂と架橋反応を生じ、ヒートシール層と紙基材との密着性が高まると考えられ、また、ヒートシール時に、ヒートシール層同士の接着性も高まると考えられる。その結果、より低い温度でも十分なヒートシール性が得られ、基材破壊最低シール温度の低いヒートシール紙が得られたものと考えられる。
[紙基材]
紙基材を構成するパルプとしては、針葉樹、広葉樹等から得られる木材パルプ;古紙パルプ;ケナフ、バガス、竹、コットン等の非木材繊維パルプ;合成パルプ等が挙げられる。これらのパルプは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、木材パルプを原料とする紙基材が好ましく、針葉樹パルプを主成分とする原料パルプからなることがより好ましい。「針葉樹パルプを主成分とする原料パルプ」とは、原料パルプ中、針葉樹パルプの含有量が50質量%超のものをいい、針葉樹パルプの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。針葉樹パルプは、平均繊維長が長く、針葉樹パルプを原料パルプとして用いた紙基材は、優れた耐衝撃性および加工性を有する傾向にある。
針葉樹パルプとしては、優れた耐衝撃性および加工性を有するヒートシール紙を得る観点から、好ましくはダグラスファーおよびマツよりなる群から選ばれる1種以上から得られたパルプであり、より好ましくはダグラスファーから得られたパルプである。
紙基材を構成する原料パルプは、晒クラフトパルプおよび未晒クラフトパルプよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、未晒クラフトパルプであることがより好ましい。
パルプの叩解度は、特に限定するものではないが、カナダ標準濾水度(CSF)として、200mL以上650mL以下が好ましく、350mL以上600mL以下がより好ましい。パルプのCSFが前記範囲内であれば、包装袋とする際に、必要な紙力が得られやすい。200mL以上であれば、繊維間結合が高くなりすぎて、包装袋等への加工の際に、ヒートシール層が破壊される現象の発生を抑えることができる。また、650mL以下であれば、紙表面の平滑性が良好となり、印刷適性を維持することができる。
CSFは、JIS P 8121-2:2012「パルプ-ろ水度試験方法-第2部:カナダ標準ろ水度法」に従って測定される。
(カッパー価)
JIS P 8211:2011に準拠して測定される、紙基材を構成するパルプのカッパー価は、優れた耐衝撃性および加工性を有するヒートシール紙を得る観点から、好ましくは30以上であり、そして、好ましくは60以下、より好ましくは55以下、さらに好ましくは50以下、さらに好ましくは46以下である。紙基材を構成するパルプのカッパー価は、JIS P 8220-1:2012に準拠して離解した紙基材パルプを試料として、JIS P 8211:2011に準拠して測定される。
(引張エネルギー吸収量)
本発明のヒートシール紙に用いられる紙基材は、耐衝撃性および加工性に優れるヒートシール紙を得る観点からは、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が120J/m以上であり、Yに対するXの比(X/Y)が0.5以上2.0以下であることが好ましい。
耐衝撃性および加工性を向上させる観点から、XおよびYの相乗平均(XとYの積の平方根)は、より好ましくは150J/m以上、さらに好ましくは180J/m以上、よりさらにより好ましくは200J/m以上である。XおよびYの相乗平均の上限は、特に限定されないが、好ましくは400J/m以下である。
耐衝撃性および加工性を向上させる観点から、Yに対するXの比(X/Y)は、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上である。Yに対するXの比(X/Y)は、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。
(比引張エネルギー吸収量)
本発明のヒートシール紙に用いられる紙基材は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の比引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が2.0J/g以上であることが好ましい。
耐衝撃性および加工性を向上させる観点から、XおよびYの相乗平均(XとYの積の平方根)は、より好ましくは2.4J/g以上である。XおよびYの相乗平均の上限は、特に限定されないが、好ましくは5.0J/g以下、より好ましくは4.0J/g以下である。
(坪量)
紙基材の坪量は、特に限定されないが、たとえば包装袋用途であれば、優れた加工性および強度を得る観点から、好ましくは30g/m以上、より好ましくは50g/m以上、さらに好ましくは60g/m以上、特に好ましくは70g/m以上であり、そして、好ましくは150g/m以下、より好ましくは140g/m以下、さらに好ましくは120g/m以下である。
紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
(紙厚)
紙基材の紙厚は、特に限定されないが、たとえば包装袋用途であれば、優れた加工性および強度を得る観点から、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは40μm以上、よりさらに好ましくは60μm以上、特に好ましくは80μm以上であり、そして、好ましくは200μm以下、より好ましくは180μm以下、さらに好ましくは160μm以下である。
紙基材の紙厚は、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(密度)
紙基材の密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.3g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上であり、そして、好ましくは1.2g/cm以下、より好ましくは1.0g/cm以下である。紙基材の密度は、上述した測定方法により得られた、紙基材の坪量および厚さから算出される。
(任意成分)
紙基材には、必要に応じて、たとえば、アニオン性、カチオン性もしくは両性の歩留剤、濾水性向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、填料等の内添助剤、耐水化剤、染料、蛍光増白剤等の任意成分を含んでいてもよい。
乾燥紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。乾燥紙力増強剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
サイズ剤としては、ロジンサイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤等の内添サイズ剤、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体等の表面サイズ剤が挙げられる。サイズ剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
定着剤としては、硫酸バンド、ポリエチレンイミン等が挙げられる。定着剤の含有量は、特に限定されないが、原料パルプ(絶乾質量)あたり、好ましくは3.0質量%以下である。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機填料、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機填料が挙げられる。
紙基材としては、たとえば、紙匹を収縮させるクルパック処理を施したクルパック紙等を用いることができる。
(紙基材の製造方法)
紙基材を製造する方法としては、パルプを含有する紙料を抄紙する方法が挙げられる。なお、紙料は、添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、たとえば前記で挙げた添加剤が挙げられる。
紙料は、パルプスラリーに添加剤を添加することにより調製できる。
パルプスラリーは、パルプを水の存在下で叩解することにより得られる。パルプの叩解方法、叩解装置は特に限定されず、公知の叩解方法、叩解装置と同様であってよい。
紙料におけるパルプの含有量は、特に限定されず、通常用いられている範囲であってよい。たとえば、紙料の総質量に対して、60質量%以上100質量%未満である。
紙料の抄紙は定法により実施できる。たとえば、紙料をワイヤ等に流延させ、脱水して湿紙を得て、必要に応じて複数の湿紙を重ね、この単層または多層の湿紙をプレスし、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、複数の湿紙を重ねない場合は単層抄きの紙が得られ、複数の湿紙を重ねる場合は多層抄きの紙が得られる。
複数の湿紙を重ねる際に、湿紙の表面(他の湿紙を重ねる面)に接着剤を塗布してもよい。
[ヒートシール層]
本実施形態に係るヒートシール紙は、紙基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層のヒートシール層を有する。ヒートシール層は、ヒートシール性樹脂、顔料、およびシランカップリング剤が配合されてなる。
ヒートシール層は、加熱、超音波等で溶融し、接着する層である。紙基材上にヒートシール層を欠点なく均質に形成する観点から、本実施形態に係るヒートシール紙は、紙基材の少なくとも一方の面に、ヒートシール層を2層以上有することが好ましい。この際、2層以上のヒートシール層の組成は、同じであっても異なっていてもよい。
また、ヒートシール性を付与する観点から、紙基材の少なくとも一面の最上層にヒートシール層を有する。
(ヒートシール性樹脂)
ヒートシール層は、ヒートシール性樹脂を配合してなる。なお、「ヒートシール性樹脂を配合してなる」とは、ヒートシール層が、ヒートシール性樹脂を含有するヒートシール層用組成物により形成されていることを意味し、たとえば一部のヒートシール性樹脂が、シランカップリング剤と反応している態様を含むものである。他の成分についても同様である。
ヒートシール性樹脂は、水分散性樹脂バインダーであることが好ましい。水分散性樹脂バインダーとは、水溶性ではないが、エマルションやサスペンションのように水中で微分散された状態となる樹脂バインダーをいう。水分散性樹脂バインダーを用いてヒートシール層を水系塗工することで、再離解性に優れ、紙として再生利用可能なヒートシール紙を得ることができる。なお、水分散性樹脂バインダーが下記の滑剤にも該当する場合は、滑剤に分類するものとする。
ヒートシール性樹脂の骨格となるポリマーとしては、特に限定されないが、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/ブタジエン系共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体(たとえば、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体)、スチレン/アクリル系共重合体(たとえば、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1つの単量体から得られるアクリル系樹脂、アクリロニトリル/スチレン系共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン系共重合体、ABS系樹脂、AAS系樹脂、AES系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ-4-メチルペンテン-1樹脂、ポリブテン-1樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、フッ化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アセタール系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体(エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体)、生分解性樹脂(ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、3-ヒドロキシブタン酸・3-ヒドロキシヘキサン酸共重合体)、およびこれらの変性物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、高いヒートシール強度を有することから、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体および生分解性樹脂よりなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体としては、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられる。中でも、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましく、エチレン-アクリル酸共重合体がより好ましい。なお、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体は、アイオノマーであってもよい。
本発明において、ヒートシール層に含まれるヒートシール性樹脂は、エチレン-酢酸ビニル共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、塗工時の装置の汚れを抑制し、操業性を向上させる観点では、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体がさらに好ましい。
エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体としては、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては、マイケルマンジャパン合同会社製のMP4983R、MP4990R、住友精化株式会社製のザイクセン(登録商標)A、ザイクセン(登録商標)AC、三井化学株式会社製のケミパールSシリーズ等が挙げられる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体としては、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては、住化ケムテックス株式会社製のスミカフレックスS-201HQ、S-305、S-305HQ、S-400HQ、S-401HQ、S-408HQE、S-450HQ、S-455HQ、S-456HQ、S-460HQ、S-467HQ、S-470HQ、S-480HQ、S-510HQ、S-520HQ、S-752、S-755、昭和電工株式会社製のポリゾールAD-2、AD-5、AD-6、AD-10、AD-11、AD-14、AD-56、AD-70、AD-92、ジャパンコーティングレジン株式会社製のアクアテックスEC1200、EC1400、EC1700、EC1800、MC3800などが挙げられる。
ヒートシール層中のヒートシール性樹脂の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらにより好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。上記範囲内であれば、高いヒートシール強度を有するヒートシール紙を得ることができる。
すなわち、本発明の一実施形態によれば、ヒートシール層中のエチレン-酢酸ビニル共重合体およびエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、さらにより好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
(顔料)
ヒートシール紙のブロッキング抑制の観点から、ヒートシール層は、上記のヒートシール性樹脂に加えて、顔料を配合してなる。
顔料としては特に限定されるものではなく、従来の顔料塗工層に使用されている各種顔料が例示される。具体的には、カオリン、焼成カオリン、構造化カオリン、デラミネーテッドカオリン等の各種カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、炭酸カルシウムと他の親水性有機化合物との複合合成顔料、サチンホワイト、リトポン、二酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、中空もしくは密実である有機顔料のプラスチックピグメント、バインダーピグメント、プラスチックビーズ、マイクロカプセルなどが例示される。これらの中でも、ブロッキング抑制効果に優れることから、好ましくはカオリンである。顔料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
顔料の平均粒径は特に限定されないが、耐ブロッキング性およびヒートシール性の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、そして、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。なお、顔料の平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒径分布測定装置によって測定される値を採用するものとする。
ヒートシール層中の顔料の含有量は、ヒートシール性樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、特に好ましくは40質量部以上であり、そして、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
また、ヒートシール層中の顔料の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは65質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。
(シランカップリング剤)
本発明において、ヒートシール紙の基材破壊最低シール温度を低下させる観点から、ヒートシール層は、上記のヒートシール性樹脂、顔料に加えて、シランカップリング剤を配合してなる。なお、ヒートシール層にシランカップリング剤が配合されていることは、TOF-MS(飛行時間型質量分析法)で検出できる。
シランカップリング剤は、分子内に、少なくとも1つのアルコキシシリル基と、少なくとも1つの、前記アルコキシシリル基以外の反応性の官能基とを有する化合物である。アルコキシシリル基としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基のいずれでもよいが、反応性の観点から、トリアルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基以外の反応性の官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アミノ基、イソシアナト基、ウレイド基、酸無水物基が例示される。これらの中でも、アミノ基、エポキシ基、および酸無水物基が好ましく、アミノ基がより好ましい。
エポキシ基含有シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が例示される。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示され、これらの中でも、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
酸無水物基含有シランカップリング剤としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が例示される。
シランカップリング剤としては、市販品を使用してもよく、たとえば、信越化学工業株式会社製のKBM-303、KBM-402、KBM-403、KBE-402、KBE-403、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-903、KBE-9103P、KBM-573、X-12-967Cなどが例示される。
シランカップリング剤の配合量は、低い基材破壊最低シール温度を得る観点から、ヒートシール性樹脂および顔料の合計量100質量部に対して、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上、特に好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、さらに好ましくは2.0質量部以下、特に好ましくは1.5質量部以下である。
(滑剤)
ヒートシール紙の滑り性付与およびブロッキング抑制の観点から、ヒートシール層は、上記のヒートシール性樹脂、顔料、およびシランカップリング剤に加えて、滑剤を含有することが好ましい。滑剤とは、ヒートシール層に配合することにより、ヒートシール層表面の摩擦係数を低減させることができる物質である。
滑剤としては、特に限定されず、たとえばワックス、金属石鹸、脂肪酸エステル等を使用することができる。滑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ワックスとしては、たとえば、動物または植物由来のワックス(たとえば、ミツロウ、カルナバワックスなど)、鉱物ワックス(たとえば、マイクロクリスタリンワックスなど)、石油ワックス等の天然ワックス;ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、ポリエステルワックス等の合成ワックス等が挙げられる。金属石鹸としては、たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸ナトリウム石鹸、オレイン酸カリ石鹸、ヒマシ油カリ石鹸、およびそれらの複合体等が挙げられる。
上記の滑剤の中でも、融点が高く、比較的高温環境下においても塗工層が軟化しにくくなり、ブロッキング抑制効果に優れることから、ポリエチレンワックスが好ましい。また、融点が比較的低くワックス成分が塗工層表面に形成されやすく、ブロッキング抑制効果に優れることから、カルナバワックスも好ましい。すなわち、滑剤としては、ポリエチレンワックスおよびカルナバワックスよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ポリエチレンワックスとしては、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては、三井化学株式会社製ケミパールW-310等が挙げられる。カルナバワックスとしても、合成品、市販品のいずれを使用してもよく、市販品としては中京油脂株式会社製セロゾール524等が挙げられる。
ヒートシール層が滑剤を含有する場合、滑剤の含有量は、ヒートシール層中、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
ヒートシール層が滑剤を含有する場合、滑剤の含有量は、ヒートシール性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下である。
[ヒートシール紙の製造方法]
本発明のヒートシール紙の製造方法は、特に限定されない。
たとえば、紙基材が、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の引張エネルギー吸収量をY、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の比引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が120J/m以上であり、Yに対するXの比(X/Y)が0.5以上2.0以下であり、XおよびYの相乗平均が2.0J/g以上である場合、原料パルプのカッパー価を30以上60以下とする蒸解処理を行なう蒸解工程と、蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する叩解工程と、叩解処理した原料パルプを抄紙する抄紙工程と、を含む方法により得られた紙基材の少なくとも一方の面上に、少なくとも1層のヒートシール層を塗工する塗工工程を含む製造方法が好ましい。当該製造方法のそれぞれの工程について、以下に説明する。
(蒸解工程)
蒸解工程は、原料パルプのカッパー価を好ましくは30以上60以下とする蒸解処理を行なう工程である。特に限定されないが、原料パルプの材料として用いられる原料チップを、水酸化ナトリウムを含む薬液で処理することにより、カッパー価が30以上60以下である原料パルプが得られる。水酸化ナトリウムを含む薬液による処理方法としては、公知の薬液を使用する公知の処理方法を用いることができる。
原料パルプのカッパー価を30以上60以下とすることにより、優れた耐衝撃性および加工性を有する紙基材および該紙基材を用いたヒートシール紙が得られる。当該観点から、原料パルプのカッパー価は、50以下とすることが好ましく、45以下とすることがより好ましい。
原料パルプの材料として用いられる原料チップは、針葉樹パルプを主成分とすることが好ましい。「針葉樹パルプを主成分とする原料チップ」とは、原料チップ中、針葉樹の含有量が50質量%超のものをいい、針葉樹の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
原料パルプに、漂白処理を施さなくてもよいし、漂白処理を施してもよい。原料パルプは、晒クラフトパルプおよび未晒クラフトパルプよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、未晒クラフトパルプであることがより好ましい。
(叩解工程)
叩解工程は、蒸解処理した原料パルプを好ましくは20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理する工程である。叩解処理の方法は特に限定されないが、蒸解処理した原料パルプを水中に分散させて、上記の原料パルプ濃度の分散液を作製し、叩解することが好ましい。叩解処理方法としては、特に限定されないが、たとえば、ダブルディスクリファイナー、シングルディスクリファイナー、コニカルリファイナー等の叩解機を用いて行うことができる。
蒸解処理した原料パルプを20質量%以上45質量%以下含有する分散液を叩解処理することにより、優れた耐衝撃性および加工性を有する紙基材および該紙基材を用いたヒートシール紙が得られるとともに、生産性に優れる。
(抄紙工程)
抄紙工程は、叩解処理した原料パルプを抄紙する工程である。抄紙方法については、特に限定されず、たとえばpHが4.5付近で抄紙を行う酸性抄紙法、pHが約6~約9で抄紙を行う中性抄紙法等が挙げられる。抄紙工程では、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙工程用薬剤を適宜添加できる。抄紙機についても、特に限定されず、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。
本発明のヒートシール紙に用いられる紙基材は、上述した蒸解工程と、叩解工程と、抄紙工程と、を含む方法により得ることができる。抄紙工程の後に、必要に応じて、クルパック設備を用いて紙匹を収縮させるクルパック工程を有していてもよい。クルパック設備としては、公知のものを用いることができる。なお、本発明のヒートシール紙に用いられる紙基材の製造方法は、上記方法に限定されない。
また、本発明のヒートシール紙の製造方法は、紙基材の表面を薬剤で処理する表面処理工程を含んでいてもよい。表面処理工程に用いられる薬剤としては、サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤等が挙げられる。表面処理工程に用いられる装置としては、公知の装置を用いることができる。
本発明のヒートシール紙の製造方法は、上記のように得られた紙基材上の少なくとも一方の面上に、ヒートシール層を塗工する塗工工程を含む。なお、ヒートシール層塗工液(ヒートシール層塗料)は、二度以上塗工してもよい。
紙基材に複数のヒートシール層を形成する場合において、逐次的にヒートシール層を形成する上記の方法が好ましいが、これに限定されるものではなく、同時多層塗工法を採用してもよい。同時多層塗工法とは、複数種の塗工液をそれぞれ別個にスリット状ノズルから吐出させて、液体状の積層体を形成し、それを紙基材上に塗工することにより、多層のヒートシール層を同時に形成する方法である。
ヒートシール層塗工液を紙基材に塗工するための塗工設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いればよい。塗工設備としては、たとえば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロールコーター、サイズプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー等が挙げられる。
ヒートシール層を乾燥するための乾燥設備には、特に限定されず、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、たとえば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板等が挙げられる。また、乾燥温度は、乾燥時間等を考慮して、適宜設定すればよい。
ヒートシール層塗工液の溶媒としては、特に限定されず、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、ヒートシール層塗工液の分散媒としては、水が好ましい。すなわち、ヒートシール層塗工液は、ヒートシール層用水系組成物であることが好ましい。
ヒートシール層塗工液の固形分量は、特に限定されず、塗工性および乾燥容易性の観点から適宜選択すればよいが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
ヒートシール層の合計塗工量(乾燥後)は、好ましくは1g/m以上、より好ましくは2g/m以上、さらに好ましくは4g/m以上、特に好ましくは5g/m以上であり、そして、好ましくは50g/m以下、より好ましくは30g/m以下、さらに好ましくは20g/m以下、特に好ましくは10g/m以下である。
本実施形態のヒートシール層紙がヒートシール層を2層以上有する場合、1層あたりの塗工量(乾燥後)は、好ましくは0.5g/m以上、より好ましくは1g/m以上、さらに好ましくは2g/mであり、そして、好ましくは25g/m以下、より好ましくは15g/m以下、さらに好ましくは10g/m以下である。
<用途>
本発明に係るヒートシール紙は、食品、生活雑貨や日用品(石鹸、おむつ)などの包装袋として好適に使用できる。従って、本発明は、上記ヒートシール紙を用いた包装袋についても提供する。
以下に、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、以下の操作は23℃、相対湿度50%RHの条件で行った。また、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
[実施例1]
<ヒートシール層塗料の調製>
エチレン-アクリル酸共重合体(固形分42%)164部、カルナバワックス(固形分30%)3.8部、カオリンA(平均粒径8μm)の濃度50%水分散液60部、シランカップリング剤(有効シラン濃度1%)100部を混合し、固形分濃度が30%になるよう水を加えて撹拌しヒートシール層塗料(濃度30%)を得た。
<ヒートシール紙の製造>
得られたヒートシール層塗料を、坪量100g/m、厚さ125μm、密度0.80g/cmの超伸張紙(王子マテリア株式会社製、XおよびYの相乗平均:320J/m、Yに対するXの比(X/Y):1.2、XおよびYの相乗平均:3.2J/g、パルプ種:未晒針葉樹(ダグラスファー)クラフトパルプ100質量%、原料パルプのカッパー価45)にヒートシール層の乾燥後の塗工量が6g/mとなるように、グラビアコーター(スムージングバーを使用)で塗工しヒートシール層を形成した。
なお、上記紙基材において、XはJIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量であり、YはJIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の引張エネルギー吸収量であり、XはJIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量であり、YはJIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の比引張エネルギー吸収量である。以降の実施例および比較例においても同様である。
[実施例2]
実施例1のヒートシール層塗料のエチレン-アクリル酸共重合体(固形分42%)の配合量を161部、カルナバワックス(固形分30%)の配合量を7.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例3]
実施例1のヒートシール層塗料のエチレン-アクリル酸共重合体(固形分42%)の配合量を143部、カルナバワックス(固形分30%)の配合量を33部に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例4]
実施例1のヒートシール層塗料のエチレン-アクリル酸共重合体(固形分42%)の配合量を125部、カルナバワックス(固形分30%)の配合量を58部に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例5]
実施例1のヒートシール層塗料のシランカップリング剤(有効シラン濃度1%)の配合量を30部に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例6]
実施例2のヒートシール層塗料のシランカップリング剤(有効シラン濃度1%)の配合量を30部に変更した以外は、実施例2と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例7]
実施例3のヒートシール層塗料のシランカップリング剤(有効シラン濃度1%)の配合量を30部に変更した以外は、実施例3と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例8]
実施例4のヒートシール層塗料のシランカップリング剤(有効シラン濃度1%)の配合量を30部に変更した以外は、実施例4と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例1]
実施例1のヒートシール層塗料のシランカップリング剤の配合をなくした以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例2]
実施例2のヒートシール層塗料のシランカップリング剤の配合をなくした以外は、実施例2と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例3]
実施例3のヒートシール層塗料のシランカップリング剤の配合をなくした以外は、実施例3と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例4]
実施例4のヒートシール層塗料のシランカップリング剤の配合をなくした以外は、実施例4と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例9]
実施例1の紙基材を坪量80g/m、厚さ113μm、密度0.71g/cmの未晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製、XおよびYの相乗平均:65J/m、Yに対するXの比(X/Y):1.2、XおよびYの相乗平均:0.8J/g)に変更した以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例10]
実施例2の紙基材を坪量80g/m、厚さ113μm、密度0.71g/cmの未晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製、XおよびYの相乗平均:65J/m、Yに対するXの比(X/Y):1.2、XおよびYの相乗平均:0.8J/g)に変更した以外は、実施例2と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例11]
実施例3の紙基材を坪量80g/m、厚さ113μm、密度0.71g/cmの未晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製、XおよびYの相乗平均:65J/m、Yに対するXの比(X/Y):1.2、XおよびYの相乗平均:0.8J/g)に変更した以外は、実施例3と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例12]
実施例4の紙基材を坪量80g/m、厚さ113μm、密度0.71g/cmの未晒クラフト紙(王子マテリア株式会社製、XおよびYの相乗平均:65J/m、Yに対するXの比(X/Y):1.2、XおよびYの相乗平均:0.8J/g)に変更した以外は、実施例4と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例5]
実施例9のヒートシール層塗料のシランカップリング剤の配合をなくした以外は、実施例9と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例6]
実施例10のヒートシール層塗料のシランカップリング剤の配合をなくした以外は、実施例10と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例7]
実施例11のヒートシール層塗料のシランカップリング剤の配合をなくした以外は、実施例11と同様にしてヒートシール紙を得た。
[比較例8]
実施例12のヒートシール層塗料のシランカップリング剤の配合をなくした以外は、実施例12と同様にしてヒートシール紙を得た。
[評価]
<紙基材の破裂強度>
紙基材の破裂強度は、JIS P 8112:2008に従って測定した。
<紙基材の突刺し強度>
紙基材の突刺し強度は、JIS Z 1707:2019に従って測定した。
<ヒートシール剥離強度の測定>
1組のヒートシール紙をヒートシール層が向き合うように重ね、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製、TP-701-B)を用いて、130~180℃(10℃刻み)、0.2MPa、1秒の条件でヒートシールした。続いて、ヒートシールされた試験片を15mm幅にカットし、引張試験機を用いて引張速度300mm/minでT字剥離し、剥離後のヒートシール部分について、紙基材が破壊されているか目視で確認し、基材破壊する最低のヒートシール温度を基材破壊最低シール温度とした。
Figure 2022102323000001
Figure 2022102323000002
結果を上記表1に示す。実施例1~8のヒートシール紙は、シランカップリング剤を含有していない比較例1~4のヒートシール紙に比べて、基材破壊最低シール温度が低く、ヒートシール性に優れていた。同様に、実施例9~12のヒートシール紙は、シランカップリング剤を含有していない比較例5~8のヒートシール紙に比べて、基材破壊最低シール温度が低く、ヒートシール性に優れていた。

Claims (14)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面に、少なくとも1層のヒートシール層を有するヒートシール紙であって、
    前記ヒートシール層が、ヒートシール性樹脂、顔料、およびシランカップリング剤が配合されてなる、
    ヒートシール紙。
  2. 前記シランカップリング剤が、アミノ基、エポキシ基、および酸無水物基よりなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する、請求項1に記載のヒートシール紙。
  3. 前記シランカップリング剤の配合量が、ヒートシール性樹脂および顔料の合計量100質量部に対して、0.03質量部以上5.0質量部以下である、請求項1または2に記載のヒートシール紙。
  4. 前記ヒートシール性樹脂が、水分散性樹脂バインダーである、請求項1~3のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
  5. 前記ヒートシール性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、オレフィン-不飽和カルボン酸系共重合体、および生分解性樹脂よりなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1~4のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
  6. 前記ヒートシール層中の前記ヒートシール性樹脂の配合量が、30質量%以上90質量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
  7. 前記ヒートシール層中の前記顔料の配合量が、5質量%以上65質量%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
  8. 前記ヒートシール層が、滑剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
  9. 前記滑剤が、ポリエチレンワックスおよびカルナバワックスよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載のヒートシール紙。
  10. 前記ヒートシール層中の滑剤の含有量が0.2質量%以上30質量%以下である、請求項8または9に記載のヒートシール紙。
  11. 前記紙基材が、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の引張エネルギー吸収量をY、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の比引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が120J/m以上であり、Yに対するXの比(X/Y)が0.5以上2.0以下であり、XおよびYの相乗平均が2.0J/g以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
  12. 前記紙基材を構成する原料パルプが、未晒クラフトパルプである、請求項1~11のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
  13. 前記紙基材を構成するパルプは、JIS P 8211:2011に準拠して測定されるカッパー価が30以上60以下である、請求項1~12のいずれか1項に記載のヒートシール紙。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載のヒートシール紙を用いた包装袋。
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