JP2022101113A - ゼオライト触媒及びその製造方法、並びにオリゴシランの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
遷移元素が担持されたゼオライトは、例えば、石油精製・石油化学用触媒、排ガス中の酸化窒素(NOx)化合物を還元する選択的触媒的還元(SCR)法の自動車用途触媒などの用途で使用されている。また、既存のゼオライト触媒の改良が試みられており、例えば、特許文献1には、ゼオライト及び特定の遷移元素を含むオリゴシラン製造用触媒を長寿命化する方法として、アルミニウムを導入してから遷移元素を導入することを特徴とする触媒の製造方法が開示されている。特許文献2には、高活性、高温下で安定な脱水素用の固体触媒に使用可能なゼオライト触媒とその製造方法、1,3-ブタジエンの製造方法を提供することを目的とし、ゼオライトの骨格中に導入したゼオライト触媒に白金を担持することで、脱水素反応の反応効率ならびにブタジエン収率を高めることができたことが開示されている。
本発明は、触媒性能が改善された、遷移元素が担持されたゼオライト触媒及びその製造方法を提供することを主たる目的とする。
本発明の実施形態には以下が含まれる。
[1]遷移元素が担持されたゼオライト触媒であって、
前記ゼオライト触媒は短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下の細孔を有するゼオライトを含み、
前記遷移元素は周期表第5族遷移元素及び第6族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記遷移元素が前記ゼオライト100質量部に対して2.0質量部以上、12.0質量部以下担持されており、
前記ゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対する前記ゼオライト触媒のAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比が0.04以上、0.07以下であり、
前記ゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのX線回折パターン(CuKα線)において、2θ=20.5~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピークの強度に対する、前記ゼオライト触媒のX線回折パターン(CuKα線)において、2θ=20.5~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピークの強度の比が、0.48以上、0.90以下である、ゼオライト触媒。
[2]前記ゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対する前記ゼオライト触媒のAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比が1.8以上、2.5以下である、[1]に記載のゼオライト触媒。
[3]前記ゼオライトが、構造コードAFR、AFY、ATO、BEA、BOG、BPH、CAN、CON、DFO、EON、EZT、FER、GON、IMF、ISV、ITH、IWR、IWV、IWW、MEI、MEL、MFI、OBW、MOR、MOZ、MSE、MTT、MTW、NES、OFF、OSI、PON、SFF、SFG、STI、STF、TER、TON、TUN、USI、及びVETのゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載のゼオライト触媒。
[4]前記遷移元素がバナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のゼオライト触媒。
[5]遷移元素が担持されたゼオライト触媒の製造方法であって、
前記ゼオライト触媒は短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下の細孔を有するゼオライトを含み、
前記遷移元素は周期表第5族遷移元素及び第6族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記ゼオライトを700℃以上、1000℃未満の温度で加熱する加熱処理工程、及び
前記加熱処理工程後のゼオライト100質量部に対して前記遷移元素を2.0質量部以上、12.0質量部以下となるように担持する遷移元素導入工程、
を含む、ゼオライト触媒の製造方法。
[6]前記加熱処理工程の温度が800℃以上、950℃以下である、[5]に記載のゼオライト触媒の製造方法。
[7]前記ゼオライトが、構造コードAFR、AFY、ATO、BEA、BOG、BPH、CAN、CON、DFO、EON、EZT、FER、GON、IMF、ISV、ITH、IWR、IWV、IWW、MEI、MEL、MFI、OBW、MOR、MOZ、MSE、MTT、MTW、NES、OFF、OSI、PON、SFF、SFG、STI、STF、TER、TON、TUN、USI、及びVETのゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[5]又は[6]に記載のゼオライト触媒の製造方法。
[8]前記ゼオライトが、構造コードBEA、MFI及びTONからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[7]に記載のゼオライト触媒の製造方法。
[9]前記遷移元素がバナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、[5]~[8]のいずれかに記載のゼオライト触媒の製造方法。
[10]前記ゼオライト触媒が、周期表第1族典型元素及び第2族典型元素からなる群より選択される少なくとも1種の典型元素をさらに含む、[5]~[9]のいずれかに記載のゼオライト触媒の製造方法。
[11]前記ゼオライト触媒中、前記遷移元素の担持量がゼオライト100質量に対して4.0質量部以上、8.0質量部以下である、[5]~[10]のいずれかに記載のゼオライト触媒の製造方法。
[12]前記遷移元素がモリブデンを含む、[9]~[11]のいずれかに記載のゼオラ
イト触媒の製造方法。
[13]前記ゼオライト触媒が、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する脱水素縮合用の触媒である、[5]~[12]のいずれかに記載のゼオライト触媒の製造方法。
[14]ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する脱水素縮合工程を含み、
前記脱水素縮合工程を[1]~[4]のいずれかに記載のゼオライト触媒又は[5]~[13]のいずれかに記載のゼオライト触媒の製造方法により製造されるゼオライト触媒の存在下で行う、オリゴシランの製造方法。
[15]前記脱水素縮合工程の温度が150℃以上、250℃以下である、[14]に記載のオリゴシランの製造方法。
本発明の一実施形態に係るゼオライト触媒は、遷移元素が担持されたゼオライト触媒であって、短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下の細孔を有するゼオライトを含み、前記遷移元素は周期表第5族遷移元素及び第6族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記遷移元素が前記ゼオライト100質量部に対して2.0質量部以上、12.0質量部以下担持されており、前記ゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対する前記ゼオライト触媒のAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比(以下、「4配位に基づく27Al-NMRの強度比」ともいう)が0.04以上、0.07以下であり、前記ゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのX線回折パターン(CuKα線)において、2θ=22.8~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピークの強度に対する、前記ゼオライト触媒のX線回折パターン(CuKα線)において、2θ=20.5~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピ
ークの強度の比(以下、「XRD強度比」ともいう)が、0.48以上、0.90以下である。前記ゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対する前記ゼオライト触媒のAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比(以下、「5配位に基づく27Al-NMRの強度比」ともいう)は、1.8以上、2.5以下であることが好ましい。
ゼオライト触媒の物性は、以下の方法により決定することができる。
本発明の一実施形態に係るゼオライト触媒は、ゼオライト触媒に含まれるゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対するゼオライト触媒のAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比が0.04以上、0.07以下である。また、ゼオライト触媒に含まれるゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対するゼオライト触媒のAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比は1.8以上、2.5以下であることが好ましい。
ゼオライトの骨格中に組み込まれた4配位のAlはSi-O結合に囲まれているため、高活性種であると予想されるAl-O-Mo結合が形成されにくく、そのために、高活性な触媒活性点になりにくいので、少ない方が好ましい。ゼオライトを所定の温度で焼成した場合には、ゼオライト骨格中の4配位のAlがゼオライト骨格外の近傍に脱離して5配位、6配位のAlに変化することにより、4配位のAlのピークが減少する。このようにして脱離したAlが例えば、Moなどの遷移元素と相互作用することにより高活性な触媒活性点に変化するものと考えられる。従って、Al原子の4配位に基づく27Al-NMRの強度比は低い方が望ましい。後述の実施例、比較例の結果から、高温(900℃)で加熱処理すると、低温(500℃)で加熱処理する場合に比べて、4配位のAlに基づく57ppmのピーク強度が顕著に低減することが示された。ただし、4配位の割合を低くなるように脱Alを促進しすぎると、後述するようにゼオライトの骨格が破壊されるので4配位に基づく27Al-NMR強度比は0.04以上である必要がある。
5配位のAlは、欠陥が形成されていることから、高活性種であると予想されるAl-O-Mo結合が形成されやすく多い方が好ましい。ただし、5配位の割合を高くなるように脱Alを促進しすぎると後述するようにゼオライトの骨格が破壊されるので5配位に基づく27Al-NMR強度比は1.8以上、2.5以下の範囲が好ましい。
27Al-NMR測定は、核磁気共鳴装置(例えば、Bruker AVANCE NEO 400)により、[1H:400MHz、27Al=104.3MHz]、外部標準物質 αアルミナ=10.6ppmを用いて、プローブ径:4mm、MAS回転速度:10kHz、温度:室温、繰り返し待ち時間:1秒、積算回数:1024回、の条件で実施する。
4配位、5配位に基づく27Al-NMRにおけるピーク位置はゼオライトの構造コード毎に異なり、構造コ-ドがBEAであるBeta(ベータ)ゼオライトでは4配位では55ppmに位置する。
後述の表19には実施例、比較例で用いたMFI骨格であるZSM-5ゼオライトの4配位のAlに相当する57ppmおよび、5配位のAlに相当する32ppmのピークの強度を記載した。表19では、MFIゼオライト(500℃加熱処理品(後述の比較例1-2))の強度を1として、各サンプル/MFIゼオライト(500℃加熱処理品)の値を27Al-NMR強度比として求めた値を示している。一般的に、ゼオライト骨格は500℃以下の焼成ではほとんど変化しないと言われており、本発明者らの検討によっても500℃以下の焼成ではゼオライト骨格は変化しておらず、ゼオライトの27Al-NMRの測定値としては分析誤差範囲で同じ値が出ると推定される。したがって、未焼成品または500℃以下の焼成品の27Al-NMRのシフト値をその構造コードのゼオライト
の27Al-NMRの測定値として用いる。好ましくは、空気または不活性ガス雰囲気下500℃で0.5時間以上6時間以下加熱処理した焼成ゼオライトの27Al-NMRのシフト値を用いる。
本発明の一実施形態に係るゼオライト触媒について、触媒に含有されるゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのX線回折(XRD)パターン(CuKα線)において、2θ=20.5~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピークの強度に対する、ゼオライト触媒のX線回折パターン(CuKα線)において、2θ=20.5~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピークの強度の比(以下、「XRD強度比」ともいう)が、0.48以上、0.90以下である。XRD強度比は小数第三位を四捨五入して求めることとする。
ゼオライト骨格に基づくXRDのピーク強度に対するゼオライト触媒の骨格に基づくXRDのピーク強度の比を求めることにより、触媒においてゼオライト骨格が保持されている割合が求められる。前述のようにゼオライトを所定の温度で加熱処理(焼成)した場合には、ゼオライト骨格中の4配位のAlがゼオライト骨格外の近傍に脱離して5配位、6配位のAlに変化していくが、ここでもう一点重要なこととして、ゼオライト骨格が保持されている必要がある。ゼオライトの骨格を維持できなくなる、すなわち、ゼオライト触媒のXRDパターンにおいてゼオライト骨格を示すピークが小さくなりすぎると、活性が極端に低下する。加熱処理温度があまりに高温であるとゼオライト骨格が破壊されてしまい触媒活性がなくなると考えられる。一方、処理温度が低すぎるとゼオライト骨格は保持されるものの四配位のAlがゼオライト内に留まってしまい高活性な触媒活性点が出来ない。従って、前述の27Al-NMR強度比とXRD強度比は、セットで重要なパラメーターである。また、ゼオライトに遷移元素を担持した後に強加熱することによっても、ゼオライト骨格は破壊されXRD強度比は低下する。したがって、本実施形態において、XRD強度比は、0.48以上、0.90以下とする。遷移元素を担持することによりゼオライトの耐熱性は低下するので、遷移元素を担持する前にゼオライトを高温で焼成することが重要であり、後加熱処理工程の処理温度は加熱処理工程より低い温度に設定して処理する。
XRD測定は、X線源:Cu Kαを備えるX線回折装置(例えば、PANalytical製 X’ Pert Pro MPD)を用いて、出力:45kV 40mA、検出器:PIXel1D、走査域 2q:5-90、Step幅:0.006565°、Time/step:29.07sの条件で実施する。
なお、表19には、実施例、比較例で用いたZSM-5の構造コードMFI骨格を示すピークの内、23.1°の強度の値を記載した。ピークが存在する位置は構造コード毎に異なり、構造コ-ドがBEAであるBeta(ベータ)では22°、構造コ-ドがTONであるZSM-22では21°にある。上述したように、一般的に、ゼオライト骨格は500℃以下の焼成ではほとんど変化しないと言われている。したがって、未焼成品または500℃以下の焼成品のXRDパターンをその構造コードのゼオライトのXRDパターンとして用いることができる。表19においては、MFI(500℃加熱処理品(後述の比較例1-2))の強度を1として、各サンプル/MFI(500℃加熱処理品)の値をXRD強度比とした。
本発明の一実施形態に係るゼオライト触媒は短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下の細孔を有するゼオライトを含む。
「短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下の細孔を有するゼオライト」は、実際に「短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下の細孔」を有するゼオライトのみを意味するものではなく、結晶構造から理論的に計算された細孔の「短径」と「長径」がそれぞれ前述の条件を満たすゼオライトも含まれるものとする。ちなみに細孔の「短
径」と「長径」については、「ATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES, Ch. Baerlocher, L.B.McCusker and D.H. Olson, Sixth Revised Edition 2007,published on behalf of the
Structure Commission of the International Zeolite Association」を参考にすることができる。
細孔の短径は、好ましくは0.43nm以上、より好ましくは0.45nm以上、さらに好ましくは0.47nm以上である。
細孔の長径は、好ましくは0.69nm以下、より好ましくは0.65nm以下、さらに好ましくは0.60nm以下である。
なお、細孔の断面構造が円形であること等によってゼオライトの細孔径が一定である場合には、細孔径が「0.43nm以上0.69nm以下」であるものと考える。
具体的なゼオライトとしては、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association)でデータベース化されている構造コ-ドが、AFR、AFY、ATO、BEA、B
OG、BPH、CAN、CON、DFO、EON、EZT、FER、GON、IMF、ISV、ITH、IWR、IWV、IWW、MEI、MEL、MFI、OBW、MOR、MOZ、MSE、MTT、MTW、NES、OFF、OSI、PON、SFF、SFG、STI、STF、TER、TON、TUN、USI、VETのゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
構造コ-ドが、ATO、BEA、BOG、CAN、FER、IMF、ITH、IWR、IWW、MEL、MFI、OBW、MOR、MSE、MTW、NES、OSI、PON、SFF、SFG、STF、STI、TER、TON、TUN、又はVETのゼオライトがより好ましい。
構造コ-ドが、BEA、MFI、TON、MOR、又はFERのゼオライトがさらに好ましい。
構造コ-ドが、BEA、MFI及びTONのゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが殊更に好ましく、構造コードがBEA、MFI、TONのゼオライトが特に好ましい。
構造コ-ドがBEAのゼオライトとしては、Beta(ベータ)、[B-Si-O]-BEA、[Ga-Si-O]-BEA、[Ti-Si-O]-BEA、Al-rich beta、CIT-6、Tschernichite、pure silica beta等を挙げられる。
構造コ-ドがMFIのゼオライトとしては、ZSM-5、[As-Si-O]-MFI、[Fe-Si-O]-MFI、[Ga-Si-O]-MFI、AMS-1B、AZ-1、Bor-C、Boralite C、Encilite、FZ-1、LZ-105、Monoclinic H-ZSM-5、Mutinaite、NU-4、NU-5、Silicalite、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB、organic-free ZSM-5等が挙げられる。
構造コ-ドがTONのゼオライトとしては、Theta-1、ISI-1、KZ-2、NU-10、ZSM-22等が挙げられる。
構造コ-ドがMORのゼオライトとしては、モルデナイトが挙げられる。
構造コ-ドがFERのゼオライトとしては、フェリエライトが挙げられる。
特に好ましいゼオライトは、ZSM-5、ベータ、ZSM-22であり、これらの中でZSM-5が最も好ましい。
シリカ/アルミナ比(モル/モル比)としては、5~5000が好ましく、10~500がより好ましく、15~100が特に好ましい。
複数種類の細孔径を有するゼオライトの場合は、少なくとも1種類の細孔の細孔径が「0.43nm以上0.69nm以下」であればよい。
遷移元素は周期表第5族遷移元素及び第6族遷移元素からなる群より選択される少なく
とも1種である。周期表第5族遷移元素としては、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)が挙げられる。周期表第6族遷移元素としては、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)が挙げられる。
遷移元素は、ゼオライト触媒を用いる反応により適宜選択すればよい。オリゴシラン製造用触媒としては、遷移元素は、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、モリブデンおよびタングステンの少なくとも1種を含むことがより好ましく、モリブデンを含むことが特に好ましい。
ゼオライト触媒における遷移元素の状態や組成は特に限定されず、例えば、金属酸化物(単一の金属酸化物、複合金属酸化物)やイオンの状態が挙げられる。すなわち、遷移元素は、担体の表面(外表面及び/又は細孔内)に金属酸化物、金属塩の状態で担持されていてもよいし、担体骨格に導入されていてもよい。遷移元素は金属酸化物(単一の金属酸化物、複合金属酸化物)としてゼオライトに含有されていることが好ましい。
触媒における遷移元素の総含有量(担体100質量部に対して)は、遷移元素の質量として仕込み量で、好ましくは2.0質量部以上12.0質量部以下である。好ましくは4.0質量部以上であり、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下である。なお、遷移元素の量は仕込み量と実質的に同じであるとする。
ゼオライト触媒は、周期表第1族典型元素及び第2族典型元素からなる群より選択される少なくとも1種の典型元素(以下、「典型元素」と略す場合がある。)を含有してもよい。遷移元素が担持されたゼオライト触媒における典型元素の状態や組成は特に限定されないが、金属酸化物(単一の金属酸化物、複合金属酸化物)やイオンの状態が挙げられる。また、担体の表面(外表面及び/又は細孔内)に金属酸化物、金属塩の状態で担持されているもの、イオン交換や複合化で内部(担体骨格)に典型元素が導入されたものが挙げられる。
第1族典型元素としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)が挙げられる。
第2族典型元素としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げられる。
この中でも、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)を含有することが好ましい。
ゼオライト触媒における典型元素の総含有量(担体100質量部に対して)は、仕込み量で、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上、特に好ましくは0.5質量部以上、より特に好ましくは1.0質量部以上、最も好ましくは2.1質量部以上であり、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは4質量部以下である。なお、典型元素の量は仕込み量と実質的に同じであるとする。
ゼオライト触媒の大きさは、触媒を用いる反応器に充填できるサイズであればよい。ゼオライトはもともとは、粉状であり、1次粒子の大きさは、3~20μmで2次粒子としては0.01mm~0.5mmであり、粉状としてそのまま使用できる。反応容器に充填しやすいようにビーズ状、ペレット状に成形して用いることが好ましい。この場合のビ-ズやペレットの大きさは、特に制限がないが、直径0.15mm~4.8mmに成形されたものを用いることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る製造方法により得られるゼオライト触媒は、担体として、本発明の効果を損なわない範囲で、特定の細孔径を有するゼオライト以外の担体(以下、「その他の担体」という。)を含むことができる。その他の担体としては、例えば、シリカ
、アルミナが挙げられる。シリカ、アルミナは遷移元素を担持した場合の熱安定性の点で好ましい。
本発明の一実施形態に係る発明は、遷移元素が担持されたゼオライト触媒の製造方法であって、前記ゼオライト触媒は短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下の細孔を有するゼオライトを含み、前記遷移元素は周期表第5族遷移元素及び第6族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記ゼオライトを700℃以上、1000℃未満の温度で加熱する加熱処理工程、及び前記加熱処理工程後のゼオライト100質量部に対して前記遷移元素を2.0質量部以上、12.0質量部以下となるように担持する遷移元素導入工程、を含むことを特徴とする。
ゼオライトは、その特性を十分に発現させるために、よく乾燥させた状態で使用する。ゼオライトの乾燥は、例えば、大気雰囲気下150℃~180℃で2、3時間加熱する方法が挙げられる。より厳密な乾燥を必要とする場合には、例えば、真空中(10-1~10-3mmHg)または乾燥ガス気流下で、300~350℃に加熱し、3、4時間乾燥する方法が挙げられる。
遷移元素が担持されたゼオライト触媒を製造する場合も、通常、十分に乾燥させたゼオライトに遷移元素を導入する。一方で、例えば、MFI型ゼオライトは、600℃以上の高温で焼成すると4配位のAlが骨格から脱離し、ブレンステッド酸量が低下することが報告されている(J. Phys. Chem. C 2016, 120, 20103-20113)。このように、ゼオライ
トはその骨格構造にもよるが、高温ではその骨格が壊れ所望の触媒性能を発現できなくなるため、遷移元素導入前の乾燥は、通常は300℃程度で、高くても500℃程度までの温度で行う。
本発明者らは、特定の細孔径を有するゼオライトに対し、従来の知見からはゼオライトの分解が生じるため避けられている高温での熱処理を行った後に遷移元素を導入することで、驚くべきことに、遷移元素導入前に高温で熱処理を行わなかった場合よりも触媒性能の向上、すなわち、より高い活性を実現できることを見出し、新規なゼオライト触媒及びその製造方法を完成させた。
本実施形態において、「ゼオライト」、「遷移元素」、「典型元素」は「1.ゼオライト触媒」の説明が適用される。
本発明の一実施形態に係るゼオライト触媒の製造方法は、上記の特定の細孔径を有するゼオライトに対し、遷移元素を導入する前に、700℃以上、1000℃未満の温度で加熱する加熱処理工程を含む。
加熱処理工程の温度は、通常常圧下で700℃以上、1000℃未満である。加熱処理工程の温度は、好ましくは800℃以上、より好ましくは850℃以上であり、好ましくは950℃以下、より好ましくは930℃以下である。加熱処理を上記温度範囲内で行うことにより、好ましい比表面積を有するゼオライト触媒とすることができる。また、加熱媒体の温度は、加熱媒体にもよるが、容器内の温度を見ながら適切に設定すればよい。
加熱処理工程の雰囲気は特に限定されないが、触媒性能向上の観点から、大気雰囲気又は不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
加熱処理工程の時間は、処理温度やゼオライトの構造にもよるが、通常5分以上24時間以下の範囲で行うことが好ましい。加熱処理工程の時間は、好ましくは10分以上であ
り、より好ましくは20分以上であり、さらに好ましくは30分以上であり、好ましくは12時間以下であり、より好ましくは10時間以下であり、さらに好ましくは8時間以下、特に好ましくは6時間以下である。加熱処理を上記範囲内で行うことにより、遷移元素が担持されたゼオライト触媒の比表面積を効率良く所望の範囲とすることができる。
本発明の一実施形態に係るゼオライト触媒の製造方法は、上記の加熱処理工程後のゼオライト100質量部に対して周期表第5族遷移元素及び第6族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種の遷移元素(以下、単に「遷移元素」ともいう。)を2.0質量部以上、12.0質量部以下となるように担持させる遷移元素導入工程を含む。
含浸法、イオン交換法、蒸着法等による遷移元素導入工程を実施した後に、乾燥、不活性雰囲気、還元雰囲気または酸化雰囲気での焼成等の後加熱処理を行ってもよい。後加熱
処理工程は、触媒性能向上の観点から、遷移元素導入前の加熱処理工程の温度より低い温度で行うことが好ましい。中でも、不活性雰囲気または酸化雰囲気で焼成することがより好ましい。具体的には、例えば大気雰囲気で100℃以上、150℃以下の温度で含浸やイオン交換時の溶媒を乾燥させ、その後、300℃以上、700℃以下で、1時間~24時間、大気雰囲気又は不活性雰囲気下で焼成処理を行うことが挙げられる。
触媒への典型元素の導入方法としては、含浸法、イオン交換法等が挙げられる。具体的には、例えば、国際公開第2017/141889号の記載を参照して、典型元素を含有するゼオライト触媒を製造することが出来る。
本発明の一実施形態に係るゼオライト触媒の製造方法により得られたゼオライト触媒の27Al-NMR強度比、XRD強度比は、「1.ゼオライト触媒」にて上述した方法により決定することができる。本実施形態に係るゼオライト触媒の製造方法により、ゼオライト触媒に含まれるゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対する前記ゼオライト触媒のAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比が0.04以上、0.07以下であり、ゼオライト触媒に含まれるゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対する前記ゼオライト触媒のAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比が1.8以上、2.5以下であり、ゼオライト触媒に含まれるゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのX線回折パターン(CuKα線)において、2θ=20.5~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピークの強度に対する、前記ゼオライト触媒のX線回折パターン(CuKα線)において、2θ=20.5~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピークの強度の比が、0.48以上、0.90以下であるゼオライト触媒を好適に製造することができる。
上記の製造方法により得られるゼオライト触媒は、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する脱水素縮合用の触媒として特に好適に用いられる。ゼオライトの細孔空間は、脱水素縮合の反応場として働くものと考えられ、「短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下」という細孔サイズが、過度な重合を抑制して、オリゴシランの選択率を向上させるために最適であると考えられる。さらに、遷移元素の含有量を担体100質量部に対して好ましくは2.0質量部以上、より好ましくは4.0質量部以上、好ましくは12.0質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下とすることで、より効率良くオリゴシランを製造することができる。また、周期表第1族典型元素及び第2族典型元素からなる群より選択される少なくとも1種の典型元素を含有することによって、初期のモノシランの転化率を抑えて過剰な消費を抑制するとともに、初期のジシランの選択率を高くすることができる。また、初期のモノシランの転化率を抑えることで、触媒寿命をより長くすることもできるものといえる。
本発明の一実施形態に係るオリゴシランの製造方法は、ヒドロシランの脱水素縮合によってオリゴシランを生成させる脱水素縮合工程(以下、「反応工程」と略す場合がある。)を含む製造方法であり、前述の触媒の存在下で行われるものであれば、その他は特に限定されない。なお、前述の本発明の一実施形態に係る製造方法により得られる遷移元素が担持されたゼオライト触媒を、単に「触媒」とも称する。
本発明において「オリゴシラン」とは、(モノ)シランが複数個(10個以下)重合したシランのオリゴマーを意味するものとし、具体的にはジシラン、トリシラン、テトラシ
ラン等が含まれるものとする。また、「オリゴシラン」は、直鎖状のオリゴシランのみに限られず、分岐構造、架橋構造、環状構造等を有するものであってもよいものとする。
また、「ヒドロシラン」とは、ケイ素-水素(Si-H)結合を有する化合物を意味するものとし、具体的にはテトラヒドロシラン(SiH4)が含まれるものとする。さらに「ヒドロシランの脱水素縮合」とは、例えば下記反応式に示されるように、水素が脱離するヒドロシラン同士の縮合によって、ケイ素-ケイ素(Si-Si)結合が形成する反応を意味するものとする。
反応器は、図1(a)に示されるような回分反応器、図1(b)に示されるような連続槽型反応器、図1(c)に示されるような連続管型反応器の何れのタイプの反応器を使用してもよい。
一方、連続槽型反応器又は連続管型反応器を用いる場合、乾燥させた触媒を反応器内に設置し、反応器内の空気を減圧ポンプ等を利用して除去した後、ヒドロシラン等を流通させ、反応器内を反応温度まで昇温して反応を開始する方法が挙げられる。
ヒドロシランの脱水素縮合によって、下記反応式(i)に示されるようにジシラン(Si2H6)が生成することになるが、生成したジシランの一部は下記反応式(ii)に示されるようにテトラヒドロシラン(SiH4)とジヒドロシリレン(SiH2)に分解されるものと考えられる。さらに生成したジヒドロシリレンは、下記反応式(iii)に示されるように重合して固体状のポリシラン(SiH2)nとなり、このポリシランがゼオライトの表面に吸着して、ヒドロシランの脱水素縮合活性が低下するためにジシランを含むオリゴシランの収率等が低下するものと考えられる。
2SiH4 → Si2H6 + H2 (i)
Si2H6 → SiH4 + SiH2 (ii)
nSiH2 → (SiH2)n (iii)
なお、反応器内は、水分が極力含まれないことが好ましい。例えば、反応前にゼオライト触媒や反応器を十分に乾燥させたりすることが好ましい。
るように、反応工程中において一定に設定するほか、図2(b1)、(b2)に示されるように、反応開始温度を低めに設定し、反応工程中において昇温させても、或いは図2(c1)、(c2)に示されるように、反応開始温度を高めに設定し、反応工程中において降温させてもよい(反応温度の昇温は、図2(b1)に示されるように連続的であっても、図2(b2)に示されるように段階的であってもよい。同様に反応温度の降温は、図2(c1)に示されるように連続的であっても、図2(c2)に示されるように段階的であってもよい。)。特に反応開始温度を低めに設定し、反応工程中において反応温度を昇温させることが好ましい。反応開始温度を低めに設定することによって、ゼオライト触媒の劣化が抑制され、より効率良くオリゴシランを製造することができる。反応温度を昇温させる場合の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。
・MFI型(ZSM-5)ゼオライト:
<100>短径 0.51nm、長径 0.55nm
<010>短径 0.53nm、長径 0.56nm
なお、細孔の短径、長径の数値は、「ATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES, Ch. Baerlocher,L.B. McCusker and D.H. Olson, Sixth Revised Edition 2007,published on behalf of the Structure Commission of the International Zeolite Association」に記載されているものである。
粉状(平均粒径:5μm)のZSM-5(東ソー製 HSZ820NHA シリカ/アルミナ=23)5.9gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は5.1gであった。
粉状(平均粒径:5μm)のZSM-5(東ソー製 HSZ820NHA シリカ/アルミナ=23)5.6gを500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は5.1gであった。
粉状(平均粒径:5μm)のZSM-5(東ソー製 HSZ820NHA シリカ/アルミナ=23)5.9gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は5.1gであった。上記900℃加熱処理したZSM-5 2.1gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.15g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして4質量部に相当)を水4gに溶解した水溶液を加え、室温で1時間攪拌を行った。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.2gであった。
粉状(平均粒径:5μm)のZSM-5(東ソー製 HSZ820NHA シリカ/アルミナ=23)5.6gを500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は5.1gであった。上記の500℃加熱処理したZSM-5 2.7gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.10g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして2質量部に相当)を水4gに溶解した水溶液を加え、室温で1時間攪拌を行った。その後、110℃に昇温して乾燥させ、900℃の空気雰囲気下1時間で加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.6gであった。
粉状(平均粒径:5μm)のZSM-5(東ソー製 HSZ820NHA シリカ/アルミナ=23)5.6gを500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は5.1gであった。上記500℃加熱処理したZSM-5 2.7gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.20g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして4質量部に相当)を水4gに溶解した水溶液を加え、室温で1時間攪拌を行った。その後、110℃に昇温して乾燥させ、900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.6gであった。
粉状(平均粒径:5μm)のZSM-5(東ソー製HSZ820NHA シリカ/アルミナ=23)5.6gを500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は5.1gであった。上記500℃加熱処理したZSM-5 1.9gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.14g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして4質量部に相当)を水4gに溶解した水溶液を加え、室温で1時間攪拌を行った。そ
の後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は1.9gであった。
柱状(3mmφ)のZSM-5(東ソー製HSZ822HOD3A シリカ/アルミナ=23、バインダーとしてのアルミナを20質量%含有)8.3gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は8.0gであった。上記900℃加熱処理したZSM-5 2.0gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.036g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして1質量部に相当)と水0.8gの水溶液を加え、室温で含浸した。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.0gであった。
柱状(3mmφ)のZSM-5(東ソー製HSZ822HOD3A シリカ/アルミナ=23、バインダーとしてのアルミナを20質量%含有)8.3gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は8.0gであった。上記900℃加熱処理したZSM-5 2.0gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.074g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして2質量部に相当)と水 0.8gの水溶液を加え、室温で含浸した。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.1gであった。
柱状(3mmφ)のZSM-5(東ソー製HSZ822HOD3A シリカ/アルミナ=23、バインダーとしてのアルミナを20質量%含有)8.3gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は8.0gであった。上記900℃加熱処理したZSM-5 2.0gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.15g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして4質量部に相当)と水0.8gの水溶液を加え、室温で含浸した。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.1gであった。
柱状(3mmφ)のZSM-5(東ソー製 HSZ822HOD3A シリカ/アルミナ=23、バインダーとしてのアルミナを20質量%含有)8.3gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は8.0gであった。上記900℃加熱処理したZSM-5 2.0gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.30g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして8質量部に相当)と水 0.8gの水溶液を加え、室温で含浸した。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.2gであった。
柱状(3mmφ)のZSM-5(東ソー製 HSZ822HOD3A シリカ/アルミナ=23、バインダーとしてのアルミナを20質量%含有)7.0gを800℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は6.9gであった。上記800℃加熱処理したZSM-5 2.0gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.15g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして4質量部に相当)を水0.8gに溶解した水溶液を加え、室温で含浸した。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.1gであった。
柱状(3mmφ)のZSM-5(東ソー製 HSZ822HOD3A シリカ/アルミ
ナ=23、バインダーとしてのアルミナを20質量%含有)10.2gを1000℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は9.9gであった。上記1000℃加熱処理したZSM-5 2.0gを(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.15g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして4質量部に相当)を水0.8gに溶解した水溶液を加え、室温で含浸した。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.1gであった。
柱状(3mmφ)のZSM-5(東ソー製 HSZ822HOD3A シリカ/アルミナ=23、バインダーとしてのアルミナを20質量%含有)8.3gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は8.0gであった。上記で900℃加熱処理したZSM-5 2.0gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.15g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして4質量部に相当)と水0.8gの水溶液を加え、室温で含浸した。その後、110℃に昇温して乾燥させ、300℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.1gであった。
柱状(3mmφ)のZSM-5(東ソー製 HSZ822HOD3A シリカ/アルミナ=23、バインダーとしてのアルミナを20質量%含有)8.3gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は8.0gであった。上記で900℃加熱処理したZSM-5 2.0gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.15g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして4質量部に相当)を水0.8gに溶解した水溶液を加え、室温で含浸した。その後、110℃に昇温して乾燥させ、700℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は2.1gであった。
粉状(平均粒径:5μm)のZSM-5(東ソー製 HSZ820NHA シリカ/アルミナ=23)5.0gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は4.4gであった。上記900℃加熱処理したZSM-5 0.50gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.019g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして2質量部に相当)を水4gに溶解した水溶液を加え、室温で1時間攪拌を行った。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は0.51gであった。
粉状(平均粒径:5μm)のZSM-5(東ソー製 HSZ820NHA シリカ/アルミナ=23)5.0gを900℃空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は4.4gであった。上記で900℃加熱処理したZSM-5 0.50gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.074g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして8質量部に相当)を水1gに溶解した水溶液を加え、室温で1時間攪拌を行った。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を行った。加熱処理後の質量は0.54gであった。
粉状(平均粒径:5μm)のZSM-5(東ソー製 HSZ820NHA シリカ/アルミナ=23)5.0gを900℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理した。加熱処理後の質量は4.4gであった。上記900℃加熱処理したZSM-5 0.50gに(NH4)6Mo7O24・4H2O 0.11g(担体(ZSM-5)100質量部に対してMoとして12質量部に相当)を水1gに溶解した水溶液を加え、室温で1時間攪拌を行った。その後、110℃に昇温して乾燥させ、500℃の空気雰囲気下で1時間加熱処理を
行った。加熱処理後の質量は0.57gであった。
[比較例2-1]
比較例1-1で調製したゼオライト(SiO2/Al2O3モル比=23)0.05gを反応管(材質:SUS316、長さ:410mm、外径:6.0mm、肉厚:2.0mm)に入れ、反応管を減圧ポンプで減圧して空気を除去した後にHeガスに置換した。反応管にHeガス10ml/分を流通させ、250℃に昇温後1時間流通させた。その後Arガス20体積%、モノシラン(テトラヒドロシラン)ガス80体積%の混合ガス4.0ml/分を流通させた。所定の圧力(絶対圧力0.4MPa)に達してから、所定の時間経過後の反応ガス組成をTCD検出器つきガスクロマトグラフで分析した。評価結果を表1に示す。
比較例1-2で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-1と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。反応時間とジシラン収率の関係を表2に示す。
実施例1-1で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-1と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。反応時間とジシラン収率の関係を表3に示す。
比較例1-3で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-1と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。反応時間とジシラン収率の関係を表4に示す。
比較例1-4で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-1と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。反応時間とジシラン収率の関係を表5に示す。
比較例1-5で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-1と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。反応時間とジシラン収率の関係を表6に示す。
比較例1-6で調製したゼオライト(SiO2/Al2O3モル比=23、バインダーとしてのアルミナを20質量%含有)ペレットを内径2mmの反応管に入れるため、乳鉢で1mm未満に粉砕し、粉砕したもののうち0.05gを触媒として用いた以外は、比較例2-1と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。反応時間とジシラン収率の関係を表7に示す。
実施例1-2で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-6と同様に触媒を反応管に充填、反応を行い、反応ガスを分析した。反応時間とジシラン収率の関係を表8に示す。
実施例1-3で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-6と同様に触媒を反応管に充填、反応を行い、反応ガスを分析した。反応時間とジシラン収率の関係を表9、図6に示す。
実施例1-4で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-6と同様に触媒を反応管に充填、反応を行い、反応ガスを分析した。反応時間とジシラン収率の関係を表10に示す。
[実施例2-5]
実施例1-5で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-6と同様に触媒を反応管に充填、反応を行い、反応ガスを分析した。結果を表11、図6に示す。
比較例1-7で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-6と同様に触媒を反応管に充填、反応を行い、反応ガスを分析した。結果を表12、図6に示す。
[実施例2-6]
実施例1-6で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-6と同様に触媒を反応管に充填、反応を行い、反応ガスを分析した。結果を表13に示す。
実施例1-7で調製した触媒を用いた以外は、比較例2-6と同様に触媒を反応管に充填、反応を行い、反応ガスを分析した。結果を表14に示す。
[実施例2-8]
実施例1-8で調製した触媒を用い、反応温度を200℃に変更した以外は、実施例2-1と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。結果を表15、図7に示す。
実施例1-1で調製した触媒を用いた以外は、実施例2-8と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。結果を表16、図7に示す。
実施例1-9で調製した触媒を用いた以外は、実施例2-8と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。結果を表17、図7に示す。
実施例1-10で調製した触媒を用いた以外は、実施例2-8と同様に反応を行い、反応ガスを分析した。結果を表18、図7に示す。
2 水素ガス(H2)ボンベ
3 ヘリウムガス(He)ボンベ
4 緊急遮断弁(ガス検連動遮断弁)
5 減圧弁
6 マスフローコントローラ(MFC)
7 圧力計
8 ガスミキサー
9 反応管
10 フィルター
11 ロータリーポンプ
12 ガスクロマトグラフ
13 除害装置法
Claims (15)
- 遷移元素が担持されたゼオライト触媒であって、
前記ゼオライト触媒は短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下の細孔を有するゼオライトを含み、
前記遷移元素は周期表第5族遷移元素及び第6族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記遷移元素が前記ゼオライト100質量部に対して2.0質量部以上、12.0質量部以下担持されており、
前記ゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対する前記ゼオライト触媒のAl原子の4配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比が0.04以上、0.07以下であり、
前記ゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのX線回折パターン(CuKα線)において、2θ=20.5~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピークの強度に対する、前記ゼオライト触媒のX線回折パターン(CuKα線)において、2θ=20.5~23.8°に検出されるピークのうち、最も強度が高いピークの強度の比が、0.48以上、0.90以下である、ゼオライト触媒。 - 前記ゼオライトと同等の構造コードのゼオライトのAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度に対する前記ゼオライト触媒のAl原子の5配位に基づく27Al-NMRにおけるピークの強度の比が1.8以上、2.5以下である、請求項1に記載のゼオライト触媒。
- 前記ゼオライトが、構造コードAFR、AFY、ATO、BEA、BOG、BPH、CAN、CON、DFO、EON、EZT、FER、GON、IMF、ISV、ITH、IWR、IWV、IWW、MEI、MEL、MFI、OBW、MOR、MOZ、MSE、MTT、MTW、NES、OFF、OSI、PON、SFF、SFG、STI、STF、TER、TON、TUN、USI、及びVETのゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のゼオライト触媒。
- 前記遷移元素がバナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のゼオライト触媒。
- 遷移元素が担持されたゼオライト触媒の製造方法であって、
前記ゼオライト触媒は短径が0.43nm以上、長径が0.69nm以下の細孔を有するゼオライトを含み、
前記遷移元素は周期表第5族遷移元素及び第6族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記ゼオライトを700℃以上、1000℃未満の温度で加熱する加熱処理工程、及び
前記加熱処理工程後のゼオライト100質量部に対して前記遷移元素を2.0質量部以上、12.0質量部以下となるように担持する遷移元素導入工程、
を含む、ゼオライト触媒の製造方法。 - 前記加熱処理工程の温度が800℃以上、950℃以下である、請求項5に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 前記ゼオライトが、構造コードAFR、AFY、ATO、BEA、BOG、BPH、CAN、CON、DFO、EON、EZT、FER、GON、IMF、ISV、ITH、IWR、IWV、IWW、MEI、MEL、MFI、OBW、MOR、MOZ、MSE、M
TT、MTW、NES、OFF、OSI、PON、SFF、SFG、STI、STF、TER、TON、TUN、USI、及びVETのゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5又は6に記載のゼオライト触媒の製造方法。 - 前記ゼオライトが、構造コードBEA、MFI及びTONからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 前記遷移元素がバナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項5~8のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 前記ゼオライト触媒が、周期表第1族典型元素及び第2族典型元素からなる群より選択される少なくとも1種の典型元素をさらに含む、請求項5~9のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 前記ゼオライト触媒中、前記遷移元素の担持量がゼオライト100質量に対して4.0質量部以上、8.0質量部以下である、請求項5~10のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 前記遷移元素がモリブデンを含む、請求項9~11のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- 前記ゼオライト触媒が、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する脱水素縮合用の触媒である、請求項5~12のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
- ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する脱水素縮合工程を含み、
前記脱水素縮合工程を請求項1~4のいずれか1項に記載のゼオライト触媒又は5~13のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法により製造されるゼオライト触媒の存在下で行う、オリゴシランの製造方法。 - 前記脱水素縮合工程の温度が150℃以上、250℃以下である、請求項14に記載のオリゴシランの製造方法。
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