JP2019025409A - 触媒用ゼオライト及びゼオライト触媒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する方法、また、その方法に使用しうる吸湿性の低い取扱いの容易なゼオライト触媒の製造方法を提供する。【解決手段】短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライトを含む担体に対し、(I)硫酸化合物で処理する工程、(II)アルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも1種を担持する工程、(III)周期表第3族遷移元素、第4族遷移元素、第5族遷移元素、第6族遷移元素、第7族遷移元素、第8族遷移元素、第9族遷移元素、第10族遷移元素、第11族遷移元素、及び第12族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種の遷移元素を担持する工程、を含むことを特徴とする、ゼオライト触媒の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、触媒用ゼオライト及びゼオライト触媒の製造方法に関する。より詳しくは、細孔径の制御された触媒用ゼオライトの製造方法に関する。また、固体酸触媒として、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する方法に使用しうるゼオライト触媒の製造方法に関する。
アルミノケイ酸塩の一種であるゼオライトは、結晶構造に分子サイズの微細空孔を有し、そのサイズに見合った分子を吸着・脱着したり、サイズの異なる分子を分離したりできる。ゼオライトは、例えば分離膜、イオン交換体、種々の吸着剤や触媒の担体など幅広い用途に用いられている。
ところで、ゼオライトのカチオン交換は、カチオンの密度の減少及び/又は細孔付近に通常位置するカチオンの移動により、細孔の大きさを効果的に大きくし得ることが報告されている(非特許文献1)。
また、アニオン交換による、チタノシリケートのモレキュラーシーブのポアの制御も報告されている(非特許文献2)。
また、ゼオライトの細孔径を制御する方法として、シラン化(シリル化)剤を用いてゼオライトにシリカ(SiO)を担持させるに際して、シラン化(シリル化)処理を繰返し行なうことによりシリカの担持量を調整し、これによりゼオライトの細孔径を制御する方法が提案されている(特許文献1)。
特開昭63−230515号公報
D. W. Breck, "Zeolite Molecular Sieves: Structure, Chemistry, and Use" (Union Carbide Corporation, Tarrytown, New York) New York, London, Sydney, and Toronto., John Wiley and Sons, 1974. pp. 633-645 J. Am. Chem. Soc., 2009, Vol. 131, No. 2, pp. 609−614
本発明者らの検討の結果、シラン化(シリル化)剤により細孔径を制御する方法は、細孔の入口付近への付着量が多い上に、再現性良く処理することは難しいことがわかった。
また、ゼオライトの酸点をアルカリ土類金属元素で中和することにより、細孔径、細孔容積を調節する場合、酸点量が減少してしまうことが知られている。
上記に鑑み、本発明の第一の実施形態は、再現良く細孔径が制御された、工業的に有利な、触媒用ゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の第二の実施形態は、再現良く細孔径が制御された、酸点量を特定量以上有する触媒用ゼオライトを提供することを目的とする。
本発明の第三の実施形態は、高選択率でヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する方法に使用しうる吸湿性の低い取扱いの容易なゼオライト触媒を提供する。
本発明の第四の実施形態は、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する方法に使用しうる吸湿性の低い取扱いの容易なゼオライト触媒の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の範囲の細孔径を有するゼオライトに対して(I)硫酸化合物により処理する工程、(II)アルカリ土類金属を担持する工程、を行うことで、細孔径が制御された触媒用ゼオライトを、再現良く簡便に製造できることを見出した。
また、(I)硫酸化合物により処理する工程、(II)アルカリ土類金属元素を担持する工程を行うことにより、細孔容積、細孔径が制御された新規な触媒用ゼオライトが得られることを見出した。
さらに、この(I)硫酸化合物により処理する工程、(II)アルカリ土類金属元素を担持する工程を行って得られたゼオライトよりなる遷移金属複合化固体酸触媒を用いることで、ヒドロシランからオリゴシランを高収率・高選択率で得られることを見出した。
本発明の実施形態には以下が含まれる。
<1> 短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライト(「原料ゼオライト」という)を含む担体に対し、
(I)硫酸化合物で処理する工程、(II)アルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも1種を担持する工程、
(III)周期表第3族遷移元素、第4族遷移元素、第5族遷移元素、第6族遷移元素、第7族遷移元素、第8族遷移元素、第9族遷移元素、第10族遷移元素、第11族遷移元素、及び第12族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種の遷移元素を担持する工程、を含むことを特徴とする、ゼオライト触媒の製造方法。
<2> 原料ゼオライト触媒のシリカ/アルミナ比が10から500である、<1>記載のゼオライト触媒の製造方法。
<3> アルカリ土類金属元素がカルシウム、ストロンチウム、バリウムのいずれか一種または二種以上の混合物である、<1>又は<2>に記載のゼオライト触媒の製造方法。<4> 遷移元素が、第6族遷移元素である、<1>〜<3>のいずれかに記載のゼオライト触媒の製造方法。
<5> 担体が、原料ゼオライトと、バインダーとしてのアルミナを含む、球状又は円柱状の成形体であり、アルミナの含有量(アルミナ、他の元素を担持する前のゼオライト100質量部に対して)が、10質量部以上30質量部以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載のゼオライト触媒の製造方法。
<6> 遷移元素の総含有量が、下記式(1)の条件を満たす量である、<1>〜<5>のいずれかに記載のゼオライト触媒の製造方法。
(式(1)中、AM/Alはゼオライト触媒に含有されている前記アルカリ土類元素の総原子数を原料ゼオライトに含有されているアルミニウムの原子数で除した原子比を、TM/Alはゼオライト触媒に含有されている遷移元素の総原子数を原料ゼオライトに含有されているアルミニウムの原子数で除した原子比を表す。)
<7> 硫酸化合物で処理する工程が、2〜25質量%の硫酸水溶液または2〜25質量%の硫酸アンモニウム水溶液を原料ゼオライトを含む担体に含浸させる工程である、<1>〜<6>のいずれかに記載のゼオライト触媒の製造方法。
<8> <1>〜<7>のいずれかに記載の製造方法で得られたゼオライト触媒を用いて、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する反応工程を含むオリゴシランの製造方法。
<9> 硫黄(S)を0.1質量%以上3質量%以下、アルカリ土類金属元素を0.5質量%以上10質量%以下、第6族遷移元素を0.5質量%以上10質量%以下、含有することを特徴とする、ゼオライト触媒。
<10> アルカリ土類金属元素を2.1質量%以上含有する<9>に記載のゼオライト触媒。
本発明の第一の実施形態によると、再現良く細孔径が制御された、工業的に有利な、触媒用ゼオライトの製造方法が提供される。
本発明の第二の実施形態によると、再現良く細孔径が制御された、触媒用ゼオライトが提供される。
本発明の第三の実施形態によると、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する方法に使用しうる吸湿性の低い取扱いが容易なゼオライト触媒が提供される。
本発明の第四の実施形態によると、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する方法に使用しうる吸湿性の低い取扱いが容易なゼオライト触媒の製造方法が提供される。
オリゴシランの製造方法に使用することができる反応器の概念図である((a):回分反応器、(b):連続槽型反応器、(c):連続管型反応器)。 反応温度のプロファイルを表した概念図である。 実施例及び比較例に使用した反応装置の概念図である。 実施例1、比較例1で用いた触媒およびその担体の原料である粉末状のH−ZSM−5のアンモニアTPD(昇温脱離法)の測定結果を示す図である。
1.第一の実施形態:触媒用ゼオライトの製造方法
本発明の第一の実施形態は、再現良く細孔径が制御された、工業的に有利な、触媒用ゼオライトの製造方法を提供する。
本発明の第一の態様は、短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライト(以下、単に「ゼオライト」又は「原料ゼオライト」と表記することがある)に対し、(I)硫酸化合物で処理する硫酸化合物処理工程、(II)アルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも1種を担持するアルカリ土類金属元素担持工程、を含む。
触媒用ゼオライトの製造方法は、(I)硫酸化合物処理工程、(II)アルカリ土類金属元素担持工程、を含むものであれば、その他については特に限定されない。
(I)硫酸化合物処理工程、(II)アルカリ土類金属元素担持工程、を行う順番は限定されず、(I)硫酸化合物処理工程を行った後に(II)アルカリ土類金属元素担持工程を行ってもよいし、(II)アルカリ土類金属元素担持工程を行った後に(I)硫酸化合物処理工程を行ってもよい。何れにしても、ゼオライトへの担持の観点から、アルカリ土類金属元素担持工程、硫酸化合物処理工程を独立して行う。
以下、各工程について詳細に説明する。
(ゼオライト)
本発明の一態様である製造方法で製造される触媒用ゼオライトは、短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライト(以下、「原料ゼオライト」ともいう)を原料として用いる。この範囲の細孔を有するゼオライトは、遷移元素を担持した場合の熱安定性の点で好ましく、またジシラン選択率の点でより好ましい。ゼオライトの細孔空間は、脱水素縮合の反応場として働くものと考えられ、「短径0.43nm以上、長径0.69nm以下」という細孔サイズが、過度な重合を抑制して、オリゴシランの選択率を向上させるために最適であると考えられる。
なお、「短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライト」は、実際に「短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔」を有するゼオライトの
みを意味するものではなく、結晶構造から理論的に計算された細孔の「短径」と「長径」がそれぞれ後述の条件を満たすゼオライトも含まれるものとする。ちなみに細孔の「短径」と「長径」については、「ATLAS OF ZEOLITE FRAMEWORK TYPES, Ch. Baerlocher, L.B.McCusker and D.H. Olson, Sixth Revised Edition 2007,published on behalf of the structure Commission of the international Zeolite Association」を参考にすることができる。
ゼオライトの短径は、好ましくは0.45nm以上、特に好ましくは0.47nm以上である。
ゼオライトの長径は、好ましくは0.65nm以下、特に好ましくは0.60nm以下である。
なお、細孔の断面構造が円形であること等によってゼオライトの細孔径が一定である場合には、細孔径が「0.43nm以上0.69nm以下」であるものと考える。
複数種類の細孔径を有するゼオライトの場合は、少なくとも1種類の細孔の細孔径が「0.43nm以上0.69nm以下」であればよい。
具体的なゼオライトとしては、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association)でデータベース化されている構造コ−ドで、AFR、AFY、ATO、BEA、BOG、BPH、CAN、CON、DFO、EON、EZT、GON、IMF、ISV、ITH、IWR、IWV、IWW、MEI、MEL、MFI、OBW、MOZ、MSE、MTT、MTW、NES、OFF、OSI、PON、SFF、SFG、STI、STF、TER、TON、TUN、USI、VETに該当するゼオライトが好ましい。
構造コ−ドが、ATO、BEA、BOG、CAN、IMF、ITH、IWR、IWW、MEL、MFI、OBW、MSE、MTW、NES、OSI、PON、SFF、SFG、STF、STI、TER、TON、TUN、VETに該当するゼオライトがより好ましい。
構造コ−ドが、BEA、MFI、TON、に該当するゼオライトが特に好ましい。
構造コ−ドがBEAに該当するゼオライトとしては、*Beta(ベータ)、[B−Si−O]−*BEA、[Ga−Si−O]−*BEA、[Ti−Si−O]−*BEA、Al−rich beta、CIT−6、Tschernichite、pure silica beta等を挙げられる(*は3種類の構造の類似した多型の混晶であることを表す。)。
構造コ−ドがMFIに該当するゼオライトとしては、*ZSM−5、[As−Si−O]−MFI、[Fe−Si−O]−MFI、[Ga−Si−O]−MFI、AMS−1B、AZ−1、Bor−C、Boralite C、Encilite、FZ−1、LZ−105、Monoclinic H−ZSM−5、Mutinaite、NU−4、NU−5、Silicalite、TS−1、TSZ、TSZ−III、TZ−01、USC−4、USI−108、ZBH、ZKQ−1B、ZMQ−TB、organic−free ZSM−5等が挙げられる。
構造コ−ドがTONに該当するゼオライトとしては、*Theta−1、ISI−1、KZ−2、NU−10、ZSM−22等が挙げられる。
特に好ましいゼオライトは、ZSM−5、ベータ、ZSM−22である。
シリカ/アルミナ比(モル/モル比)としては、5〜5000が好ましく、10〜500がより好ましく、15〜100が特に好ましい。
ゼオライトは市販品を入手して使用してもよいし、自らゼオライトを調製して使用してもよい。
ゼオライトは、粉体を球状又は円柱状に成形した成形体の形態であってもよく、粉体を成形するためにアルミナや粘土化合物等のバインダーを使用してもよい。バインダーとしてアルミナを使用する場合のアルミナの含有量(アルミナ、後述する硫黄、アルカリ土類金属元素及び遷移元素を含まない(元の粉状の)ゼオライト100質量部、すなわち、アルミナ、他の元素を担持する前のゼオライトの合計100質量部に対して)は、好ましく
は5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、担体強度を保ちながら十分な触媒活性を確保することができる。
(I)硫酸化合物処理工程
本発明の一態様である製造方法は、上記ゼオライトを硫酸化合物で処理する工程(I)を含む。
(硫酸化合物)
硫酸化合物としては、硫酸、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩、硫酸ジメチルのような硫酸エステル類などが挙げられる。
中でも、入手容易性と安全性の観点から、好ましくは、濃度が2質量%以上25質量%以下の希硫酸または硫酸アンモニウム溶液を、より好ましくは濃度が5質量%以上20質量%以下の希硫酸または硫酸アンモニウム溶液を用いることが好ましい。
硫酸化合物としては市販品を所望の濃度に調製して用いることができる。
(硫酸化合物処理方法)
硫酸化合物処理方法としては、含浸法等が挙げられる。なお、含浸法は、硫酸化合物が溶解した溶液にアルカリ土類金属元素を担持させたゼオライト、または担持する前のゼオライトを接触させる方法である。溶媒については水またはメタノール、エタノール、アセトニトリルのような有機溶媒を用いることができるが、通常は純水が用いられる。例えば、市販の硫酸アンモニウムを純水に溶解させ、硫酸アンモニウム溶液を調製し、その中に、アルカリ土類金属元素を担持させる前後のゼオライトを完全に含浸させ、均一に処理するために撹拌してから、5分〜10時間静置してもよい。撹拌には、エバポレーター等を溶媒を留去するのではなく回転機器として用いることができる。また、市販の希硫酸を用い、目的の濃度に調製し、その中に、アルカリ土類金属元素を担持させる前又は後のゼオライトを完全に含浸させ、均一に処理するために撹拌してから硫酸溶液の溶媒を蒸発する、またはデカンテーション等により硫酸溶液を分離してもよい。アルカリ土類金属元素担持後のゼオライトに硫酸化合物を接触させる場合には、硫酸化合物溶液の溶媒を蒸発後またはゼオライトと硫酸化合物溶液を分離後、必要に応じて水洗を数回行ってもよい。アルカリ土類金属元素を担持前のゼオライトに硫酸化合物溶液を接触させる場合には、ゼオライトに硫酸化合物溶液を接触後水洗すると硫酸根が洗い流され、ゼオライト表面の酸点を被覆する効果が低減する可能性があるので、硫酸化合物溶液接触後の水洗はしない方が好ましい。
その後、熱風乾燥器、マッフル炉(電気炉)等を用いて加熱処理を行う。加熱処理条件は、好ましくは、50℃〜400℃で0.5時間〜24時間、より好ましくは100℃〜150℃で1時間〜3時間である。例えば、熱風乾燥器を用いて、110℃で2時間乾燥させる。
この工程によりゼオライトに硫黄(S)が担持される。本発明の一実施形態により製造されうるゼオライトについて、炭素硫黄分析装置(HORIBA EMIA−920V堀場製作所製)により分析を行うことにより、硫黄を分析することが出来る。
(II)アルカリ土類金属元素担持工程
本発明の一態様であるゼオライトの製造方法は、短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライトにアルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも1種を担持する工程を含む。
(アルカリ土類金属元素)
本発明の一態様である製造方法に用いるアルカリ土類金属元素からなる群より選択され
る少なくとも1種について以下に説明する。
アルカリ土類金属としては、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げられる。
この中でも、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)がイオン半径と硫酸塩の溶媒(水、有機溶媒)に対する難溶性が高い点、また、入手容易性、安全性の点で好ましく、バリウム(Ba)がより好ましい。なお、イオン半径が小さいアルカリ土類金属を用いると、細孔制御を行うのに、より多くのモル数が必要になるので、イオン半径は大きい方が好ましい。
(担持方法)
ゼオライトへのアルカリ土類金属元素の担持方法としては、含浸法、イオン交換法等が挙げられる。なお、含浸法は、アルカリ土類金属元素を含む化合物が溶解した溶液にゼオライトを接触させて、アルカリ土類金属元素をゼオライト表面に吸着させる方法である。溶媒については通常は純水が用いられるが、アルカリ土類金属元素を含む化合物を溶解するものであればメタノール、エタノール、酢酸やジメチルホルムアミドのような有機溶媒を用いることもできる。また、イオン交換法は、アルカリ土類金属元素が溶解時にイオンに解離できる化合物が溶解した溶液にゼオライトを接触させて、ゼオライトの酸点にアルカリ土類金属元素のイオンを導入する方法である。この場合も溶媒は純水が通常は用いられるが、アルカリ土類金属元素イオンを溶解するものであればメタノール、エタノール、酢酸やジメチルホルムアミドのような有機溶媒を用いることもできる。また、含浸法、イオン交換法の後に、乾燥、焼成等の加熱処理を行ってもよい。
カルシウム(Ca)を担持させる場合の溶液としては、塩化カルシウム(CaCl)水溶液、硝酸カルシウム(Ca(NO)水溶液、酢酸カルシウム(Ca(OCOCH)水溶液等が挙げられる。
ストロンチウム(Sr)を含有させる場合の溶液としては、硝酸ストロンチウム(Sr(NO)水溶液等が挙げられる。
バリウム(Ba)を担持させる場合の溶液としては、塩化バリウム(BaCl)水溶液、硝酸バリウム(Ba(NO)水溶液、酢酸バリウム(Ba(OCOCH)の水溶液等が挙げられる。
溶液におけるアルカリ土類金属元素を含む化合物の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
溶液の温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上であり、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。
ゼオライトと溶液の接触(含浸)時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上であり、含浸時間が長くてもそれほど悪影響は与えないがゼオライトの生産効率の点から好ましくは2日以下、より好ましくは1日以下、さらに好ましくは12時間以下である。
含浸法、イオン交換法の後に行う、乾燥、焼成等の加熱処理の条件について、以下に説明する。
加熱温度は、少なくとも乾燥できる温度であり、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上であり、好ましくは1000℃以下、より好ましくは500℃以下、さらに好ましくは400℃以下、特に好ましくは300℃以下である。加熱時間としては所定の温度に到達してから、好ましくは30分以上、24時間以内であり、より好ましくは1時間以上、12時間以内である。前記範囲内であると、活性のより高い触媒を製造することができる。
また、実施する雰囲気は、通常大気雰囲気である。
(細孔容積)
第一の実施形態で得られる触媒用ゼオライトの細孔容積は、窒素吸着の非局在化密度汎関数法(NLDFT)により求めることができ、(I)工程及び(II)工程を行う前のゼオライト(原料ゼオライト)に比較して細孔容積は減少する。
(酸点量)
第一の実施形態で得られる触媒用ゼオライトの酸点量は、アンモニア昇温脱離法(TPD)により求めることができ、(I)工程及び(II)工程を行う前のゼオライト(原料ゼオライト)に比較して酸点量は減少するが、その減少量を少なくすることができる。本発明の第一の実施形態で得られる触媒用ゼオライトの酸点量は、原料ゼオライトの酸点量に比較して、0.2倍〜1.0倍、好ましくは0.5倍〜1.0倍である。
2.第二の実施形態:触媒用ゼオライト
本発明の第二の実施形態は、硫酸化合物に基因する硫黄(S)及びアルカリ土類金属元素を含有し、細孔径、細孔容積が制御された、酸点量を特定量以上有する触媒用ゼオライトを提供する。
本発明の第二の実施形態のゼオライト(以下、「触媒用ゼオライト」と記載することがある。)は、硫黄(S)を0.1質量%以上3質量%以下含有し、原料ゼオライト(硫黄元素担持前)に比較して、0.2倍〜1.0倍の酸点量を含有する。
本発明の触媒用ゼオライトの硫黄含有量は、好ましくは、0.2質量%〜2.0質量%である。硫黄含有量は、元素分析により求めることができる。
本発明の触媒用ゼオライトのアルカリ土類金属元素含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、より特に好ましくは1.0質量%以上、最も好ましくは2.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
本発明のゼオライトは、原料ゼオライト(硫黄元素担持前)に比較して、0.2倍〜1.0倍、好ましくは0.5倍〜1.0倍の酸点量を有する。酸点量は、アンモニア昇温脱離法(TPD)により求められる。
細孔径は、好ましくは、3.0nm〜8.0nmであり、より好ましくは、3.5nm〜7.0nmであり、アルゴン吸着の非局在化密度汎関数法(NLDFT)により求められる。また、原料ゼオライトの細孔容積に比較して、好ましくは0.1倍〜0.9倍であり、より好ましくは0.2倍〜0.8倍である。
細孔容積は、窒素吸着の非局在化密度汎関数法(NLDFT)により求められる。
本発明の第二の実施形態の触媒用ゼオライトは、本発明の第一の実施形態の方法により製造することができる。
本発明の第二の実施形態の触媒用ゼオライトの原料、製造方法の詳細は第一の実施形態の項に記載の内容を適用できる。
3.第三の実施形態:ゼオライト触媒
本発明の第三の実施形態は、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する方法に使用しうる活性の高いゼオライト触媒(以下、「ゼオライト触媒」、「触媒」とも記載する。)を提供する。
本発明の触媒は、第一の実施形態に係る製造方法により製造される触媒用ゼオライト又は第二の実施形態に係る触媒用ゼオライトを含み、さらに周期表第3族遷移元素、第4族遷移元素、第5族遷移元素、第6族遷移元素、第7族遷移元素、第8族遷移元素、第9族遷移元素、第10族遷移元素、第11族遷移元素、及び第12族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種の遷移元素(以下、単に「遷移元素」とも表記する)を含んでなる遷移金属複合化固体酸触媒である。また、本発明の触媒は、後述の第四の実施形態の
製造方法により製造されることが好ましい。
触媒中、カチオンで存在しているアルカリ土類金属元素は、触媒としても作用する。一方、アルカリ土類金属元素は硫酸化合物により中和され硫酸塩となっていると推測され、吸湿による触媒の活性低下を抑制することが可能となる。本発明の触媒は、吸湿性が低く、取扱いが容易であるという効果を奏する。
硫黄(S)は被毒物質であり触媒活性を低下させるため、通常取り除くべきものと考えられる。本発明者らの検討の結果、アルカリ土類金属元素担持工程とは独立に、硫酸化合物で処理する工程を行うことで、驚くべきことに、得られたゼオライトを含む触媒を用いてオリゴシランなどを製造した際の収率・選択率を向上させることが出来、また、原料コストの低下を実現することが判明した。
本実施形態の触媒におけるアルカリ土類金属元素の状態や組成は特に限定されないが、金属酸化物(単一の金属酸化物、複合金属酸化物)やイオンの状態が挙げられる。また、原料ゼオライトの表面(外表面及び/又は細孔内)に金属酸化物、金属塩の状態で担持されているもの、イオン交換や複合化で内部(担体骨格)にアルカリ土類金属元素が導入されたものが挙げられる。このようなアルカリ土類金属元素を含有することによって、初期のシランの転化率を抑えて過剰な消費を抑制するとともに、初期のジシランの選択率を高くすることができる。また、初期のシランの転化率を抑えることで、触媒寿命をより長くすることもできるものと言える。 本発明の触媒において、ゼオライトの表面及び/又は内部に含有する、前記遷移元素の総含有量及び前記アルカリ土類金属元素の総含有量(遷移元素及びアルカリ土類金属元素を含有した状態であるゼオライト触媒に対して)が、下記式(1)の条件を満たす量であることが好ましい。
(式(1)中、AM/Alはゼオライト触媒に含有されているアルカリ土類金属元素の総原子数を原料ゼオライトに含有されているアルミニウムの原子数で除した原子比を、TM/Alはゼオライト触媒に含有されている遷移元素の総原子数を原料ゼオライトに含有されているアルミニウムの原子数で除した原子比を表す。)
ゼオライトに含有されているアルミニウムの原子数は、ゼオライト中の酸点の量と相関性があるが、それから算出される「(AM/Al)/(1−TM/Al)」の値によって、遷移元素及びアルカリ土類金属元素等に由来するイオンにイオン交換されていないゼオライト中の酸点の割合を把握することができる。なお、「AM」、「TM」、「Al」の値は、例えば触媒を強酸等で全量溶解させて、その溶液を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MASS)等で分析することで決定することができる。また、より簡易的な方法として、ゼオライト、アルカリ土類金属元素、遷移元素の仕込量から決定することも挙げられる。
遷移元素はこのゼオライトの酸点と相互作用することにより、触媒活性を発現すると考えられる。ただし、Alよりも過剰量使用しても、活性発現の効果がなくなるばかりでなく、Alとの相互作用がより大きくなり、ゼオライト中のAl原子を格子外に脱落させてしまうことがあり、Al原子数を上回らない当量の範囲で使用すべきである(上記式中の分母はマイナスにならないように)。一方、遷移元素と相互作用しないAlは酸点として残っており、この酸点により副反応が生起し、特に反応初期の選択率や触媒寿命に対して悪影響を与える。そのために、この酸点は中和しておくことが望ましい。
アルカリ土類金属元素を用いれば、ゼオライト中の酸点とイオン交換により、酸点をほぼ中和できるので、この酸点を反応に影響を与えない程度に、一部を中和しておくことが望ましい。一方で酸点よりも過剰に使用した場合には活性が低下してしまうので、過剰量
の使用は避けたほうがよい。
そこで、「(AM/Al)/(1−TM/Al)」の値は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上であり、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下である。上記範囲内であると、ゼオライト触媒中の酸点が適度に残存していることになり、より効率良くオリゴシランを製造することができる。
ゼオライト触媒におけるアルカリ土類金属元素の総含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、より特に好ましくは1.0質量%以上、最も好ましくは2.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。上記範囲内であると、より効率良くオリゴシランを製造することができる。
(遷移元素)
遷移金属である、周期表「第3族遷移元素」、「第4族遷移元素」、「第5族遷移元素」、「第6族遷移元素」「第7族遷移元素」、「第8族遷移元素」、「第9族遷移元素」、「第10族遷移元素」、「第11族遷移元素」、「第12族遷移元素」の具体的種類は特に限定されない。
第3族遷移元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド(La)、サマリウム(Sm)等が挙げられる。
第4族遷移元素としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)が挙げられる。
第5族遷移元素としては、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)が挙げられる。
第6族遷移元素としては、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)が挙げられる。
第7族遷移元素としては、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)が挙げられる。
第8族遷移元素としては、鉄(Fe)、ルテニウム(Mo)、オスミウム(Os)が挙げられる。
第9族遷移元素としては、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、Ir(イリジウム)が挙げられる。
第10族遷移元素としては、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)が挙げられる。
第11族遷移元素としては、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)が挙げられる。
第12族遷移元素としては、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)が挙げられる。
本発明で使用されるのにより好ましい遷移元素は、第4族遷移元素、第5族遷移元素、第6族遷移元素である。
さらに好ましい遷移元素は、第5族遷移元素、第6族遷移元素であり、特に好ましい遷移元素は第6族遷移元素である。
さらに好ましい具体的な遷移元素としては、タングステン(W)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)が挙げられる。
中でも特に好ましい遷移元素は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)である。
ゼオライト触媒における遷移元素の総含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。上記範囲内であると、より効率良くオリゴシランを製造することができる。
本発明の第三の実施形態に係るゼオライト触媒の担体は、市販品を入手して使用してもよいし、自ら担体を調製して使用してもよい。
担体の具体的種類は、第一の実施形態で用いた短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライト(原料ゼオライト)を含むが、該原料ゼオライト以外にも、本発明の効果を損ねない範囲で、シリカ、アルミナ、チタニア、該ゼオライト以外のゼオライト、活性炭、リン酸アルミニウム等を含んでいてもよい。また、担体は、第一の実施形態で用いた短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライトのみから構成されていてもよい。
担体は、粉体を球状、円柱状(ペレット状)、リング状、ハニカム状等に成形した成形体の形態であってもよく、粉体を成形するためにアルミナや粘土化合物等のバインダーを使用してもよい。バインダーの使用量があまりに少ないと成形体の強度を保つことができないし、バインダーの使用量があまりに多いと触媒活性への悪影響を与えるので、バインダーとしてアルミナを使用する場合のアルミナの含有量は、原料ゼオライト100質量部に対して好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、担体強度を保ちながら十分な触媒活性を確保することができる。
4.第四の実施形態:ゼオライト触媒の製造方法
本発明の第四の実施形態は、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する方法、また、メタンから芳香族化合物を生成する方法に使用しうる活性の高いゼオライト触媒の製造方法を提供する。
本実施形態に係るゼオライト触媒の製造方法は、短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライトを含む担体に対し、(I)硫酸化合物で処理する硫酸化合物処理工程、(II)アルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも1種を担持するアルカリ土類金属元素担持工程、(III)周期表第3族遷移元素、第4族遷移元素、第5族遷移元素、第6族遷移元素、第7族遷移元素、第8族遷移元素、第9族遷移元素、第10族遷移元素、第11族遷移元素、及び第12族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種の遷移元素を担持する遷移元素担持工程、を含む。
本実施形態に係るゼオライト触媒の製造方法は、触媒活性の観点から、(I)硫酸化合物処理工程を行った後に(II)アルカリ土類金属元素担持工程を行うことが好ましい。そして、(II)アルカリ土類金属元素担持工程の後、(III)遷移元素担持工程を行うことが好ましい。
本実施形態に係るゼオライト触媒の製造方法に用いられる原料、(I)硫酸化合物処理工程、(II)アルカリ土類金属元素担持工程の詳細は第一の実施形態、第三の実施形態の項に記載の内容を適用できる。また、触媒の形状は、担体の形状そのままでもよいし、担体が粉体の場合は、粉体を球状、円柱状(ペレット状)、リング状、ハニカム状等に成型した成形体の形態にしてもよい。
(III)遷移元素担持工程
本発明の一実施形態に係る製造方法は、前記硫酸化合物処理工程、アルカリ土類金属元素担持工程で処理されたゼオライトに対し、(III)周期表第3族遷移元素、第4族遷移元素、第5族遷移元素、第6族遷移元素、第7族遷移元素、第8族遷移元素、第9族遷移元素、第10族遷移元素、第11族遷移元素、及び第12族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種の遷移元素を担持する工程を含む。
担持処理後のゼオライトにおける遷移元素の状態や組成は特に限定されず、ゼオライトの表面及び/又は内部に含有されることができる。例えば、表面が酸化されていてもよい金属(単体金属、合金)の状態、金属酸化物(単一の金属酸化物、複合金属酸化物)の状態が挙げられる。また、ゼオライトの表面(外表面及び/又は細孔内)に金属や金属酸化
物の状態で担持されているもの、イオン交換や複合化で担体内部(担体骨格)に遷移元素が導入されたものが挙げられる。
(遷移元素担持方法)
触媒用ゼオライトに前記遷移元素を担持させる方法としては、含浸法、イオン交換法、前駆体を昇華等により揮発させてゼオライトに蒸着させる方法等が挙げられる。なお、含浸法は、遷移元素含有化合物(「遷移元素の前駆体)ともいう」が溶解した溶液にゼオライトを接触させて、遷移元素含有化合物をゼオライト表面に吸着させる方法である。溶媒については通常は純水が用いられるが、遷移元素含有化合物を溶解するものであればメタノール、エタノール、酢酸やジメチルホルムアミドのような有機溶媒を用いることもできる。また、イオン交換法は、遷移元素のイオンが溶解した溶液にゼオライト等酸点を持ったゼオライトを接触させて、ゼオライトの酸点に遷移元素のイオンを導入する方法である。この場合も溶媒は純水が通常は用いられるが、遷移元素を溶解するものであればメタノール、エタノール、酢酸やジメチルホルムアミドのような有機溶媒を用いることもできる。蒸着方法は遷移元素そのものまたは遷移元素酸化物を加熱して、昇華等により揮発させて担体に蒸着させる方法である。なお、含浸法、イオン交換法、蒸着法等の後に、乾燥、還元雰囲気または酸化雰囲気での焼成等の処理を行い、触媒として所望の金属または金属酸化物の状態に調製することができる。
遷移元素の前駆体としては、モリブデンの場合には七モリブデン酸アンモニウム、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸、塩化モリブデン、酸化モリブデン等が挙げられる。タングステンの場合には、パラタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、塩化タングステン等が挙げられる。チタンの場合にはオキシ硫酸チタン、塩化チタン、テトラエトキシチタン等が挙げられる。バナジウムの場合にはオキシ硫酸バナジウム、塩化バナジウム等が挙げられる。
以下、遷移元素の前駆体の水溶液にゼオライトを接触させる方法における詳細な条件を説明する。
タングステン(W)を含有させる場合の前駆体としては、タングステン酸アンモニウム五水和物((NH101241・5HO)、リンタングステン酸、ケイタングステン酸等が挙げられる。
バナジウム(V)を含有させる場合の前駆体としては、オキシ硫酸バナジウム(VOSO・nHO(n=3〜4))が挙げられる。
モリブデン(Mo)を含有させる場合の前駆体としては、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物((NHMo24・4HO)、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸等が挙げられる。
水溶液における遷移元素の前駆体の濃度は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは通常30質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
水溶液の温度は、好ましくは通常5℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上であり、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。
触媒用ゼオライトと水溶液の接触(含浸)時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、さらに好ましくは1時間以上であり、含浸時間が長くてもそれほど悪影響は与えないが触媒の生産効率の点から好ましくは2日以下、より好ましくは1日以下、さらに好ましくは12時間以下である。
含浸法、イオン交換法、蒸着法等の後に、乾燥、還元雰囲気または酸化雰囲気での焼成等の処理を行ってもよい。加熱温度等の条件について、以下詳細に説明する。
加熱温度は、好ましくは500℃以上、より好ましくは600℃以上、さらに好ましくは700℃以上であり、好ましくは1000℃以下、より好ましくは900℃以下、さら
に好ましくは800℃以下である。
ただし、ゼオライトの種類によっては、適用できる温度が異なることがあり、例えばゼオライトがZSM−5である場合の加熱温度は、好ましくは700℃以上、より好ましくは750℃以上、さらに好ましくは800℃以上であり、好ましくは1050℃以下、より好ましくは1000℃以下、さらに好ましくは950℃以下である。
また、ゼオライトがベータ型である場合の加熱温度は、好ましくは500℃以上、より好ましくは600℃以上、さらに好ましくは700℃以上であり、好ましくは1000℃以下、より好ましくは900℃以下、さらに好ましくは800℃以下である。
加熱時間としては所定の温度に到達してから、好ましくは30分以上、24時間以内であり、より好ましくは1時間以上、12時間以内である。前記範囲内であると、活性のより高い触媒を製造することができる。
また、加熱を実施する雰囲気は、通常大気雰囲気である。
5.ゼオライト触媒の使用方法:水素カップリング方法
本発明の一実施形態は、第三の実施形態のゼオライト触媒又は第四の実施形態の製造方法により得られたゼオライト触媒を用いて脱水素反応を行うステップを含む、脱水素カップリング方法である。
本発明の第三の実施形態のゼオライト触媒又は第四の実施形態に係る製造方法により得られたゼオライト触媒は、テトラヒドロシラン(SiH、「シラン」、「モノシラン」ともいう)を脱水素縮合させてオリゴシランを生成する脱水素カップリング方法や、メタンから芳香族化合物を生成する脱水素カップリング方法などの触媒として高い活性を有する。
メタンからベンゼン等の芳香族に至るメカニズムとしては、まずメタンが脱水素カップリングしてエチレン等が生成し、さらに環化三量化が進行する、又はメタンから脱水素したメチレン中間体が順次環状化してベンゼンへの反応が進行していると考えられる。モリブデン担持ゼオライト触媒が特に優れているのは、非常に安定であるメタンの脱水素反応にモリブデンが触媒として有効に作用するとともに、ゼオライトの酸点と形状選択性により、コ−キングを抑えながらベンゼン環への環状化を、有効に促進しているためと推測される。
同様に、シランからオリゴシランへの反応に関しても、シランの脱水素カップリングをモリブデンが反応を加速しているとともに、ゼオライトの酸点と形状選択性により固体状ポリシランの生成を抑えながら、この場合には原子半径の違いにより環化せずにシリレン中間体等が二量化し、ジシランや更にトリシランへ反応していくものと推測される。本発明の一実施形態のゼオライト触媒は、硫黄(S)を0.1質量%〜3質量%、アルカリ土類金属元素を0.5質量%以上10質量%以下、第6族遷移元素を0.5質量%以上10質量%以下含有し、ヒドロシランを脱水素縮合させる触媒として用いられることが好ましい。
5.1 オリゴシランの製造方法
オリゴシランの製造に使用する反応器、操作手順、反応条件等は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。以下、反応器、操作手順、反応条件等について具体例を挙げて説明するが、これらの内容に限定されるものではない。
反応器は、図1(a)に示されるような回分反応器、図1(b)に示されるような連続槽型反応器、図1(c)に示されるような連続管型反応器の何れのタイプの反応器を使用してもよい。
操作手順は、例えば回分反応器を用いる場合、乾燥させた本発明に係るゼオライト触媒を反応器内に設置し、反応器内の空気を減圧ポンプ等を利用して除去した後、ヒドロシラン等を投入して密閉し、反応器内を反応温度まで昇温して反応を開始する方法が挙げられる。
一方、連続槽型反応器又は連続管型反応器を用いる場合、乾燥させた本発明に係るゼオライト触媒を反応器内に設置し、反応器内の空気を減圧ポンプ等を利用して除去した後、ヒドロシラン等を流通させ、反応器内を反応温度まで昇温して反応を開始する方法が挙げられる。
反応器には、ヒドロシラン及び本発明に係るゼオライト触媒以外の化合物を投入又は流通させてもよい。ヒドロシラン及び本発明に係るゼオライト以外の化合物としては、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガス等のガスやシリカ、水素化チタンなどのヒドロシランに対してほとんど反応性の無い固形物等が挙げられるが、特に水素ガスの存在下で行われることが好ましい。水素ガスの存在下であると、ゼオライト等の劣化が抑制されて、長時間安定的にオリゴシランを製造することができる。
ヒドロシランの脱水素縮合によって、下記反応式(i)に示されるようにジシラン(Si)が生成することになるが、生成したジシランの一部は下記反応式(ii)に示されるようにテトラヒドロシラン(SiH)とジヒドロシリレン(SiH)に分解されるものと考えられる。さらに生成したジヒドロシリレンは、下記反応式(iii)に示されるように重合して固体状のポリシラン(SiHとなり、このポリシランがゼオライトの表面に吸着して、ヒドロシランの脱水素縮合活性が低下するためにジシランを含むオリゴシランの収率等が低下するものと考えられる。
一方、水素ガスが存在すると、下記反応式(iv)に示されるようにジヒドロシリレンからテトラヒドロシランが生成して、ポリシランの生成が抑制されるため、長時間安定的にオリゴシランを製造することができるものと考えられる。
2SiH → Si + H (i)
Si → SiH + SiH (ii)
nSiH → (SiH (iii)
SiH +H →SiH (iv)
なお、反応器内は、水分が極力含まれないことが好ましい。例えば、反応前にゼオライト触媒や反応器を十分に乾燥させたりすることが好ましい。
反応温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは200℃以上であり、好ましくは450℃以下、より好ましくは400℃以下、さらに好ましくは350℃以下である。上記範囲内であると、より効率良くオリゴシランを製造することができる。なお、反応温度は、図2(a)に示されるように、反応工程中において一定に設定するほか、図2(b1)、(b2)に示されるように、反応開始温度を低めに設定し、反応工程中において昇温させても、或いは図2(c1)、(c2)に示されるように、反応開始温度を高めに設定し、反応工程中において降温させてもよい(反応温度の昇温は、図2(b1)に示されるように連続的であっても、図2(b2)に示されるように段階的であってもよい。同様に反応温度の降温は、図2(c1)に示されるように連続的であっても、図2(c2)に示されるように段階的であってもよい。)。特に反応開始温度を低めに設定し、反応工程中において反応温度を昇温させることが好ましい。反応開始温度を低めに設定することによって、本発明に係るゼオライト等の劣化が抑制され、より効率良くオリゴシランを製造することができる。反応温度を昇温させる場合の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。
反応圧力は、絶対圧力で好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.15MPa以上、さらに好ましくは0.2MPa以上であり、好ましくは1000MPa以下、より好ましくは500MPa以下、さらに好ましくは100MPa以下である。なお、ヒドロシランの分圧は、好ましくは0.0001MPa以上、より好ましくは0.0005MPa以上、さらに好ましくは0.001MPa以上であり、好ましくは通常100MPa以
下、より好ましくは50MPa以下、さらに好ましくは10MPa以下である。上記範囲内であると、より効率良くオリゴシランを製造することができる。
反応工程が水素ガスの存在下で行われる場合の水素ガスの分圧は、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.03MPa以上、さらに好ましくは0.05MPa以上であり、好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下、さらに好ましくは1MPa以下である。上記範囲内であると、長時間安定的にオリゴシランを製造することができる。
連続槽型反応器又は連続管型反応器を用いる場合、流通させるヒドロシランの流量は、触媒との接触時間が短いと転化率が低くなりすぎるし、あまりに長いとポリシランが生成しやすくなるので、接触時間が0.01秒から30分になるように設定することが好ましい。この場合、本発明に係るゼオライト触媒1.0gに対して、ガスマスフローで設定した流量(1分間に流通させるテトラヒドロシランガスの標準状態(0℃-1atm)での体積換算量)は好ましくは0.01mL/分以上、より好ましくは0.05mL/分以上、さらに好ましくは0.1mL/分以上であり、好ましくは1000mL/分以下、より好ましくは500mL/分以下、さらに好ましくは100mL/分以下である。上記範囲内であると、より効率良くオリゴシランを製造することができる。また、オートクレーブ等により回分式で反応を行う場合にも、長時間にわたり反応を行うとポリシランができやすくなるし、あまりに短時間では反応転化率が低くなりすぎるので、反応時間は1分から1時間、より好ましくは5分から30分程度にしたほうがよい。
反応工程が水素ガスの存在下で行われる場合の流通させる水素ガスの流量は、本発明に係るゼオライト1.0gに対して、ガスマスフローで設定した流量(1分間に流通させるテトラヒドロシランガスの標準状態(0℃-1atm)での体積換算量)は好ましくは0.01mL/分以上、より好ましくは0.05mL/分以上、さらに好ましくは0.1mL/分以上であり、好ましくは100mL/分以下、より好ましくは50mL/分以下、さらに好ましくは10mL/分以下である。上記範囲内であると、長時間安定的にオリゴシランを製造することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例及び比較例は、図3に示される反応装置(概念図)の反応管9内の固定床にゼオライト触媒を固定して、ヘリウムガス等で希釈したテトラヒドロシランを含む反応ガスを流通させることにより行った。生成したガスは、株式会社島津製作所社製ガスクロマトグラフGC−17Aを用いて、TCD検出器で分析を行った。ジシラン等の定性分析は、MASS(質量分析計)で行った。なお、図3のフィルター10は、反応ガスサンプルリング用ではあるが、実施例では特に冷却等を行いサンプリングするような操作はせず、直接反応ガスをガスクロマトグラフに導入して分析した。本評価に使用した反応装置は試験、研究用であるため、生成物を安全な形で系外に排出するための除害装置13を装備している。また、以下の実施例、比較例において、110℃での乾燥は「いすゞ製作所社製 熱風循環式定温乾燥器 ASF−111S」を使用した。また、900℃での焼成は「ヤマト科学社製電気炉 FO−100」を使用した。
<実施例1>
硫酸化合物(硫酸)処理、バリウム(Ba)、モリブデン(Mo)、担持粉末状ゼオライトの調製
粉末状のH−ZSM−5(シリカ/アルミナ比=23、東ソー製:製品名HSZ(登録商標) 品種822HOA)5.0gに、10質量%硫酸水溶液6.0gを100mLナスフラスコ中で良く混合し、エバポレーターにより、40℃の水浴に漬けて、突沸しない
ようにゆっくりと減圧しながら、水分を蒸発させた。引き続き、酢酸バリウム(一水和物)40質量%水溶液(大崎工業株式会社製)0.636g(Ba換算で原料ゼオライト100質量部に対して2.5質量部担持に相当、硫酸はBaの6.7倍モル)に純水5.12gを混合した酢酸バリウム水溶液を加えよく混合した後、40℃の水浴に漬けて、突沸しないようにゆっくりと減圧しながら、水分を蒸発させ、最終的に水浴の温度を80℃まで上げて、2時間減圧下(10kPa程度)に乾燥させた。この乾燥した担体と(NHMo24・4HO0.0920g(Mo換算で原料ゼオライト100質量部に対して1.0質量部%担持に相当)を純水6.0gに溶解した溶液を、100mLナスフラスコ中でよく混合し、エバポレーターにより、40℃の水浴に漬けて、突沸しないようにゆっくりと減圧しながら、水分を蒸発させた。引き続き、大気雰囲気下、110℃で2時間乾燥させた後、大気雰囲気下、900℃で2時間焼成して、硫酸化合物処理Mo1.0質量%、Ba2.4質量%担持ZSM−5(粉末状)を得た。
<実施例2>
硫酸化合物処理(硫酸アンモニウム)、バリウム(Ba)、モリブデン(Mo)担持粉末状ゼオライトの調製
実施例1の10質量%硫酸水溶液6.0gの代わりに、硫酸アンモニウム0.241g(Baの2倍モル)を純水6.0gに溶解した溶液を用いた以外は、実施例1と同様に処理して、硫酸化合物処理Mo1.0質量%、Ba2.4質量%担持ZSM−5(粉末状)を得た。
<実施例3>
硫酸化合物(硫酸)処理、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)担持粉末状ゼオライトの調製
実施例1の10質量%硫酸水溶液6.0gの代わりに、10質量%硫酸水溶液を12.0g用い、酢酸バリウム水溶液の代わりに、酢酸カルシウム0.986g(Ca換算で原料ゼオライト100質量部に対して5.0質量部担持に相当、硫酸はCaの1.96倍モル)を純水5.0gに溶解した溶液を用いた以外は、実施例1と同様に処理して、硫酸化合物処理Mo0.9質量%、Ca4.7質量%担持ZSM−5(粉末状)を得た。
<比較例1>
硫酸化合物未処理、バリウム(Ba)、モリブデン(Mo)担持粉末状ゼオライトの調製
実施例1の硫酸処理を省略した以外は実施例1と同様の操作により、硫酸化合物未処理Mo1.0質量%、Ba2.4質量%担持ZSM−5(粉末状)を得た。
<実施例4>
硫酸化合物処理、モリブデン(Mo)、バリウム (Ba)担持ペレット状ゼオライトの調製
酢酸バリウム(一水和物)40質量%水溶液(大崎工業株式会社製)26.7g(Ba換算で担体(ペレット状のH−ZSM−5)100質量部に対して2.5質量部担持に相当)に純水を加え、88.4mL(担体(ペレット状のH−ZSM−5)の吸水量の95体積%)とし、担体(ペレット状のH−ZSM−5:(シリカ/アルミナ比=23、東ソー製:製品名HSZ(登録商標) 品種822HOD3A、アルミナ18〜22質量%含有(SDS記載値))300mL(213g)と混合し、ポアフィリング法にて完全に含浸させ、大気雰囲気下、110℃、2時間乾燥した。この乾燥した担体に、硫酸アンモニウム2.57gに純水を加え、74.5mL(担体(ペレット状のH−ZSM−5)の吸水量の約80体積%)とした溶液を加え、同様にポアフィリング法にて完全に含浸させ、大気雰囲気下、110℃、2時間乾燥した。この担体に、(NHMo24・4HO3.92g(Mo換算で担体(ペレット状のH−ZSM−5)100質量部に対して1.0質量部担持に相当)に純水を加え、74.5mL(担体(ペレット状のH−ZS
M−5)の吸水量の約80体積%)とした溶液を加え、同様にポアフィリング法にて完全に含浸させ、大気雰囲気下、110℃、2時間乾燥した後、大気雰囲気下、900℃で4時間焼成して、硫酸化合物処理 Mo1.0質量%、Ba2.4質量%担持ZSM−5(ペレット状)を得た。
<比較例2>
硫酸化合物未処理、モリブデン(Mo)バリウム(Ba)担持ペレット状ゼオライトの調製
酢酸バリウム(一水和物)40質量%水溶液(大崎工業株式会社製)26.7gに純水を加え、88.4mL(担体(ペレット状のH−ZSM−5)の吸水量の95体積%)とし、ペレット状のH−ZSM−5(シリカ/アルミナ比=23、東ソー製:製品名HSZ(登録商標) 品種822HOD3A、アルミナ18〜22質量%含有(SDS記載値))300mL(213g)と混合し、ポアフィリング法にて完全に含浸させ、大気雰囲気下で110℃、2時間乾燥した。この担体に、モリブデン酸アンモニウム(4水和物)3.92gに純水を加え、74.5mL(担体(ペレット状のH−ZSM−5)の吸水量の約80体積%)とした溶液を加え、同様にポアフィリング法にて完全に含浸させた後、実施例4と同様に乾燥、焼成処理して、硫酸化合物処理 Mo1.0質量%、Ba2.4質量%担持ZSM−5(ペレット状)を得た。
<実施例5>
硫酸化合物処理、モリブデン(Mo)、硫酸バリウム(Ba)担持ペレット状ゼオライトの調製
ペレット状のH−ZSM−5(シリカ/アルミナ比=23、東ソー製:製品名HSZ(登録商標) 品種822HOD3A、アルミナ18〜22質量%含有(SDS記載値))14.2gに、10質量%硫酸溶液6.29g(比重1.066(20℃)として、5.59mL、担体(ペレット状のH−ZSM−5)の吸水量の95体積%、Baに対して硫酸イオンは2.4倍モル)をポアフィリング法にて完全に含浸させ、実施例4と同様に乾燥処理を行った。この乾燥した担体に酢酸バリウム(一水和物)40質量%水溶液(大崎工業株式会社製)1.78g(Ba換算で担体(ペレット状のH−ZSM−5)100質量部に対して2.5質量%担持に相当)に純水を加え、6.0mL(担体(ペレット状のH−ZSM−5)の吸水量の約80体積%)とした溶液をポアフィリング法にて完全に含浸させ、大気雰囲気下、110℃で2時間乾燥した。この乾燥した担体に(NHMo4・4HO0.261g(Mo換算で担体(ペレット状のH−ZSM−5)100質量部に対して1.0質量部担持に相当)を含有する水溶液5.0mLを用いてポアフィリング法にて完全に含浸させ、1時間風乾した後、引き続き、900℃での焼成時間を2時間に変更した以外は実施例4と同様に乾燥、焼成処理して、硫酸化合物処理Mo1.0質量%、Ba2.4質量担持ZSM−5(ペレット状)を得た。
実施例1〜5および比較例1,2によりそれぞれ得られた触媒の硫黄分を前述の炭素硫黄分析装置により求めた結果を、表1に示す。
<反応評価>
各実施例、比較例で得られた触媒を用いてオリゴシランを製造することにより反応評価を行った。
各実施例、比較例で得られた触媒 1.0gを反応管(内径8mm、長さ50mm、材質:SUS-316L)に設置(充填高さ約2〜8mm)し、減圧ポンプを使って反応管内の空気を除去した後、ヘリウムガスで置換した。反応管にヘリウムガスを20mL/分の速度で流通させ、300℃に昇温後、1時間流通させた。その後、200℃に温度を下げた後、アルゴンとシランの混合ガス(Ar:20%、SiH:80%(体積比))2mL/分と水素ガス2mL/分とヘリウムガス16mL/分をガスミキサーで混合して反応管に流通させた。5分後にヘリウムガスを止め、アルゴンとシランの混合ガスの流量を3mL/分に、水素ガスの流量を1mL/分に変更し、この条件で継続的に反応させた。反応時間(反応管内のガス滞留時間)は2秒(ペレット状)〜3.4秒(粉末状)であった。反応開始5時間後の反応ガスの組成はガスクロマトグラフィで分析し、シランの転化率、ジシランの収率、ジシランの選択率の算出結果を表2に示した。
<反応評価結果>
各実施例、比較例で調製した触媒を用いてそれぞれ反応評価を行い、反応が安定した6時間後の結果を表2に示す。なお、比較例2、実施例4、5においては、調製したペレット触媒をそれぞれ2つに分け、一方は焼成終了後デシケーターで保存、他方は85℃−85%RHの雰囲気で1時間処理(吸湿処理)し、それぞれの触媒で反応評価を行った。
表2より、硫酸化合物で処理した触媒を用いた実施例4,5に比べて、硫酸化合物で処理していない触媒を用いた比較例2では、85℃−85%RH処理を行うことで、吸湿処理の影響を大きく受けている(吸湿処理により反応性が低下している)ことがわかる。
また、比較例2で吸湿処理をした触媒を、再度大気雰囲気下、900℃で2時間処理した後、反応を行ったところ、6時間後の反応成績は、シラン転化率9.2%、ジシラン収率4.3%、ジシラン選択率46.7%で、吸湿処理なしの成績と同レベルには戻らなかった。すなわち、本発明のゼオライト触媒は、吸湿性が低く、取扱いが容易であることが示された。
アンモニアTPDの測定結果
実施例1、比較例1においてMoを担持する前の段階、すなわち酢酸バリウム処理した段階で担体を取り出し、別途大気雰囲気下で900℃−2時間焼成したゼオライトのアンモニアTPDを測定した結果を図4に示す。また、アンモニア脱離量を表3に示す。図4、表3には、実施例1及び比較例1で用いた原料ゼオライト(ZSM−5)の結果も併せて示す。
測定装置はマイクロトラック・ベル社製 BELCAT IIを使用した。サンプルを測定装置に所定量(50mg程度)を仕込み200℃で真空予備乾燥(1時間)後、常圧に戻し、室温でアンモニアを流通させ、再度減圧にして未吸着のアンモニアを除いた後昇温(10℃/min)しながら、脱離するアンモニア量を経時質量計で定量した。
表3より、実施例1の方が比較例1に比べてアンモニア脱離量が原料ゼオライト(ZSM−5)のアンモニア脱離量に近いことから、ゼオライト(ZSM−5)自体の酸点量を多く保持していることがわかる。また、図4からもピークの大きさが未処理ゼオライト>実施例1>比較例1の順となっており、実施例1の方が比較例1に比べてゼオライト(ZSM−5)自体の酸点量を多く保持していることがわかる。特に400〜600℃でのアンモニアの脱離量が比較例1に比べて実施例1の方が多く、強い酸点が多く残存していることが示唆される。
本発明の一態様により得られるゼオライト触媒は、固体酸触媒として、特に、ヒドロシランを脱水素縮合させる触媒や、メタンのベンゼン化反応触媒として非常に有用である。本発明の一態様により得られる触媒を用いることにより得られるジシランは半導体シリコ
ンの製造ガスとして利用されることができ、ジシランの収率・選択率の向上から、半導体産業における生産性の向上が期待できる。また、本発明の一態様により得られる触媒を用いてメタンからベンゼンを高収率・高選択率で得られることが期待される。
1 テトラヒドロシランガス(SiH)ボンベ(Ar20体積%混合)
2 水素ガス(H)ボンベ
3 ヘリウムガス(He)ボンベ
4 緊急遮断弁(ガス検連動遮断弁)
5 減圧弁
6 マスフローコントローラ(MFC)
7 圧力計
8 ガスミキサー
9 反応管
10 フィルター
11 ロータリーポンプ
12 ガスクロマトグラフィ装置
13 除害装置

Claims (10)

  1. 短径0.43nm以上、長径0.69nm以下の細孔を有するゼオライト(「原料ゼオライト」という)を含む担体に対し、
    (I)硫酸化合物で処理する工程、
    (II)アルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも1種を担持する工程、
    (III)周期表第3族遷移元素、第4族遷移元素、第5族遷移元素、第6族遷移元素、第7族遷移元素、第8族遷移元素、第9族遷移元素、第10族遷移元素、第11族遷移元素、及び第12族遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種の遷移元素を担持する工程、を含むことを特徴とする、ゼオライト触媒の製造方法。
  2. 前記原料ゼオライトのシリカ/アルミナ比が10から500である、請求項1記載のゼオライト触媒の製造方法。
  3. 前記アルカリ土類金属元素がカルシウム、ストロンチウム、バリウムのいずれか一種または二種以上の混合物である、請求項1又は2に記載のゼオライト触媒の製造方法。
  4. 前記遷移元素が、第6族遷移元素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
  5. 担体が、前記原料ゼオライトと、バインダーとしてのアルミナを含む、球状又は円柱状の成形体であり、アルミナの含有量が、原料ゼオライト100質量部に対して10質量部以上30質量部以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
  6. 前記遷移元素の総含有量が、下記式(1)の条件を満たす量である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
    (式(1)中、AM/Alはゼオライト触媒に含有されている前記アルカリ土類元素の総原子数を原料ゼオライトに含有されているアルミニウムの原子数で除した原子比を、TM/Alは原料ゼオライト触媒に含有されている遷移元素の総原子数を原料ゼオライトに含有されているアルミニウムの原子数で除した原子比を表す。)
  7. 前記硫酸化合物で処理する工程が、2〜25質量%の硫酸水溶液または2〜25質量%の硫酸アンモニウム水溶液を原料ゼオライトを含む担体に含浸させる工程である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゼオライト触媒の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で得られたゼオライト触媒を用いて、ヒドロシランを脱水素縮合させてオリゴシランを生成する反応工程を含む、オリゴシランの製造方法。
  9. 硫黄(S)を0.1質量%以上3質量%以下、アルカリ土類金属元素を0.5質量%以上10質量%以下、第6族遷移元素を0.5質量%以上10質量%以下、含有することを特徴とする、ゼオライト触媒。
  10. アルカリ土類金属元素を2.1質量%以上含有する請求項9に記載のゼオライト触媒。
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