JP2022098958A - 画像読取装置、画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】読み取った原稿の画像をより少ないデータ量で適切に出力することができる画像読取装置を提供する。【解決手段】画像読取装置1000は、読取センサ208により読み取られた画像に基づいて、原稿の傾き量を検知する斜行検知部271と、傾き量が所定量より小さい場合は読取センサ208により読み取られた画像の傾きを傾き量が低減されるように傾き量だけ補正し、傾き量が所定量より大きい場合は読取センサ208により読み取られた画像の傾きを傾き量が低減されるように所定量だけ補正する斜行補正部270と、を備える。画像読取装置1000は、傾き量が所定量より大きい場合は斜行補正部270により所定量だけ傾きが補正された画像を、当該画像を包含する定型サイズのうち最小サイズよりも小さいサイズであって且つ当該画像に外接する矩形のサイズ以上のサイズで出力する。【選択図】図3

Description

本発明は、原稿等のシートに形成された画像(原稿画像)を読み取る画像読取装置及び画像読取装置を備える画像形成装置に関する。
複写機や複合機等は、画像形成装置と、原稿から原稿画像を光学的に読み取るスキャナ等の画像読取装置と、を備える。画像形成装置は、画像読取装置が原稿画像を読み取って生成する画像データに基づいてシート状の記録紙に画像を形成する。画像読取装置は、原稿台ガラスに載置された原稿の原稿画像を読み取ることができる。また、画像読取装置は、自動原稿搬送装置(以下、「ADF:Auto Document Feeder」という。)を備える場合がある。ADFは、給紙トレイを有し、給紙トレイに載置された原稿を1枚ずつ画像読取装置の読取位置へ搬送する。画像読取装置は、ADFにより搬送される原稿から原稿画像を読み取る。給紙トレイに複数枚の原稿が載置されることで、画像読取装置は、複数枚の原稿から連続して原稿画像の読み取りを行うことができる。ADFを用いて原稿を搬送しながら原稿画像を読み取る場合、ADFの組み付け精度や原稿を搬送するローラの製造誤差等に起因して原稿が斜行することで、読み取った画像(読取画像)内の原稿画像に傾きが生じることがある。また、原稿が傾いた状態でADFの給紙トレイに載置される場合にも、読取画像内の原稿画像に傾きが生じることがある。
読取画像内の原稿画像に傾きが生じる場合、読取画像から原稿画像の傾き量を算出し、算出した傾き量に基づいて画像処理により原稿画像の傾きを補正する技術が知られている。そのために読取画像は、原稿画像を含んで、原稿のサイズよりも広い領域を読み取って得られる画像となる。読取画像内の原稿画像の傾きを補正し、補正後の読取画像から原稿サイズの画像を切り出すことで、傾きがなく、画像の欠落もない原稿画像の読取結果(出力画像)が得られる。
画像処理による傾き補正は、補正に使用するメモリの容量や画像処理による画像品質の低下防止等の理由で、一般的に、補正可能な傾き量の限界を示す最大補正角度が設定される。最大補正角度は、ADFの給紙トレイに正常に載置された矩形の原稿に発生し得る搬送時の斜行量よりも大きく設定される。そのために、ADFの給紙トレイに正常に載置された矩形の原稿からは、傾きがなく、原稿画像の欠落もない出力画像が得られる。読取画像内の原稿画像の傾き量が最大補正角度を超えた場合、傾き補正を行うことで、出力画像に原稿画像の欠落が生じる。特許文献1には、読取画像内の原稿画像の傾き量が最大補正角度を超えた場合に、最大補正角度まで傾きを補正した後に原稿のサイズよりも一段階大きなサイズで画像を切り出すことで、原稿端部の画像の欠落を防止する技術を開示する。
特開2016-158162号公報
特許文献1のように原稿サイズよりも大きいサイズで切り出すことで原稿端部の画像の欠落を防止できるが、この場合、原稿画像の外領域の画像が多く含まれた出力画像となる。出力画像に原稿画像の外領域の画像が含まれる場合、外領域の画像が含まれない場合と比較して出力画像のデータ量が多くなる。これは、記憶容量やデータ転送時間、或いは画像処理の処理時間の増加につながり、ユーザにとっては好ましくない。
本発明は、上記の問題に鑑み、読み取った原稿の画像をより少ないデータ量で適切に出力することができる画像読取装置を提供することを主たる課題とする。
本発明の画像読取装置は、原稿を搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記原稿から画像を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像に基づいて、前記搬送方向における前記原稿の先端側の辺の前記搬送方向に直交する幅方向に対する傾き角度に対応する傾き量を決定する決定手段と、前記傾き量が所定量より小さい場合は前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを前記傾き量が低減されるように前記傾き量だけ補正し、前記傾き量が前記所定量より大きい場合は前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを前記傾き量が低減されるように前記所定量だけ補正する補正手段と、前記傾き量が前記所定量より小さい場合は前記補正手段により前記傾き量だけ傾きが補正された画像を、当該画像を前記原稿のサイズで出力し、前記傾き量が前記所定量より大きい場合は前記補正手段により前記所定量だけ傾きが補正された画像を、当該画像を包含する定型サイズのうち最小サイズよりも小さいサイズであって且つ当該画像に外接する矩形のサイズ以上のサイズで出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、読み取った原稿の画像をより少ないデータ量で適切に出力することができる画像読取装置を提供することができる。
画像読取装置の構成図。 画像形成装置の構成図。 制御システムの構成図。 読取画像内の原稿画像の傾き補正の説明図。 読取画像から原稿画像を抽出する処理の説明図。 読取画像から原稿画像を抽出する従来の処理の説明図。 (a)~(c)は、読取画像から原稿画像を抽出する処理の説明図。 (a)~(c)は、読取画像から原稿画像を抽出する処理の説明図。 最大補正角度越えの斜行補正の有無の設定画面の例示図。 ジョブに応じた処理を表すフローチャート。 (a)、(b)は、コピージョブにおける画像状態の説明図。 (a)、(b)は、スキャンジョブにおける画像状態の説明図。 画像読取処理を表すフローチャート。 先端に切り欠きがある原稿の傾き補正の説明図。 画像読取装置を上方から見た図。 (a)~(e)は、斜行検知失敗時の原稿切り出しの説明図。 画像読取処理を表すフローチャート。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の画像読取装置の構成図である。画像読取装置1000は、原稿から原稿画像を読み取る画像読取部(以下、「リーダ」という。)200と、ADF100と、を有する。ADF100は、リーダ200による原稿画像の読取位置へ原稿を搬送する原稿搬送装置である。画像読取装置1000は、原稿から読み取った原稿画像を表す画像データを生成する。
ADF100は、1枚以上の原稿で構成される原稿束Sを積載する給紙トレイ30を備える。原稿の搬送方向で給紙トレイ30の下流側には、搬送開始前に原稿束Sが給紙トレイ30から突出して下流側へ進出することを規制する分離パッド21及び分離ローラ2と、給紙ローラ1とが設けられる。分離ローラ2の下流側には、原稿の搬送方向の上流側から順に、引抜ローラ3、搬送ローラ4、5、読取上流ローラ51、読取下流ローラ52、搬送ローラ7、及び排紙ローラ12が、搬送経路に沿って設けられる。読取上流ローラ51と読取下流ローラ52との間が、リーダ200による原稿画像の読取位置に相当する。読取位置には、ADF100側にガラス対向部材6が設けられ、リーダ200側に流し読みガラス201が設けられる。
給紙トレイ30は、基端部に原稿有無検知センサ14を備えており、給紙トレイ30上の原稿の有無が判断できるようになっている。給紙ローラ1は、原稿の給送時に、給紙トレイ30に積載された原稿束Sの原稿面に落下して回転する。これにより、原稿束Sの最上面の原稿が給紙される。給紙ローラ1によって給紙された原稿は、分離ローラ2と分離パッド21の作用によって1枚に分離される。原稿の分離は公知の分離技術によって実現されている。
分離ローラ2と分離パッド21によって分離された原稿は、引抜ローラ3、搬送ローラ4、及び搬送ローラ5により順に搬送経路を搬送される。読取上流ローラ51は、搬送ローラ5から搬送されてきた原稿をガラス対向部材6と流し読みガラス201との間を通過させて、読取下流ローラ52へ搬送する。原稿画像は、原稿がガラス対向部材6と流し読みガラス201との間を搬送される間に読み取られる。読取下流ローラ52へ搬送された原稿は、搬送ローラ7、排紙ローラ12の順に搬送されて、排紙トレイ13へ排出される。ADF100は、原稿が給紙トレイ30上に複数枚有る場合には、最終原稿の原稿画像が読み取られて排紙トレイ13へ排出するまで、原稿の給送を繰り返し行う。
搬送経路には、原稿の搬送方向の上流側から順に、原稿検知センサ15、16、17、18、19が配置される。原稿検知センサ15、16、17、18、19は、それぞれ搬送経路を搬送される原稿を検知する。原稿検知センサ15、16、17、18、19が原稿を検知したタイミングに基づいて、原稿の給紙、分離、搬送、読み取り、排出のタイミングが制御される。例えば、原稿検知センサ18が原稿の搬送方向の先端を検知したタイミングと原稿検知センサ18から読取位置までの距離に基づいて、リーダ200による原稿画像の読取開始タイミングが制御される。原稿検知センサ15、16、17、18、19は、様々なサイズの原稿を検知できるよう、原稿の搬送方向に直交する方向(幅方向)で搬送経路上の中央に配置される。
リーダ200は、筐体内に読取ユニット202を備え、筐体のADF100側に、前述の流し読みガラス201、シェーディング白板210、及び原稿台ガラス209を備える。読取ユニット202は、光源203a、203b、複数のミラー204a、204b、204c、及び読取センサ208を備える。光源203a、203bには、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を用いることができる。
光源203a、203bは、ガラス対向部材6と流し読みガラス201との間を通過する原稿に対して、流し読みガラス201を介して光を照射する。照射された光は原稿により反射される。原稿による反射光は、ミラー204a、204b、204cにより反射されて、読取センサ208により読み取られる。読取センサ208は、複数の受光素子が直線状に配列されて構成される。複数の受光素子は、原稿の搬送方向に対して直交する方向に配列されている。複数の受光素子が配列される方向が主走査方向となる。原稿の搬送方向が副走査方向となる。読取センサ208は、原稿画像を主走査方向に1ラインずつ読み取ることになる。
シェーディング白板210は、リーダ200のシェーディング補正を行う際の基準となる白色部材である。シェーディング白板210は、原稿画像の読み取り前に読取ユニット202により読み取られる。読取ユニット202によるシェーディング白板210の読取結果に基づいて、シェーディングによる白レベルの基準データが作成される。
原稿台ガラス209は、原稿が、画像が形成された面をリーダ200の筐体側(原稿台ガラス209側)に向けて載置される。読取ユニット202は、原稿台ガラス209に載置された原稿に対して光源203a、203bにより光を照射し、その反射光を読取センサ208で受光することで、原稿台ガラス209に載置された原稿の原稿画像を1ラインずつ読み取ることができる。
読取ユニット202は、ADF100により搬送される原稿の原稿画像を読み取る際には流し読みガラス201の直下から移動せずに読取動作を行う。読取ユニット202は、原稿台ガラス209に載置された原稿から原稿画像を読み取る際には矢印A方向に移動しながら読取動作を行う。矢印A方向は、原稿の搬送方向と同じであり、副走査方向である。ADF100を用いて搬送中の原稿から原稿画像を読み取る読取処理を「流し読み」といい、原稿台ガラス209に載置された原稿から原稿画像を読み取る読取処理を「固定読み」という。
なお、流し読みでは、後述する画像処理による読取画像内の原稿画像の傾き補正の他に、原稿の搬送過程で機械的に原稿の斜行を補正する方法が知られている。本実施形態では、機械的に原稿の斜行を補正することは行わず、画像処理による傾き補正のみで読取画像内の原稿画像の傾きを補正する。しかし、機械的に原稿の斜行を補正する方法と、画像処理による傾き補正を併用してもよい。機械的に原稿の斜行を補正する方法は、例えば次のように行われる。
原稿を引抜ローラ3により搬送ローラ4へ搬送する際に、搬送ローラ4を停止させておく。引抜ローラ3により、停止した状態の搬送ローラ4へ原稿の先端が突き当てられる。さらに引抜ローラ3の回転が進むと、原稿の先端側にループが形成される。必要量のループが形成されるタイミングで引抜ローラ3を停止させ、その後、搬送ローラ4を回転させることで、原稿は斜行が解消された状態で搬送される。
図2は、図1の画像読取装置1000が取り付けられた画像形成装置の構成図である。画像形成装置2000は、前述の画像読取装置1000、プリンタ400、及び操作部304を備える。本実施形態の画像形成装置2000は、プリント機能、コピー機能、スキャナ機能等を有する。画像形成装置2000は、コピー機能の際に、画像読取装置1000で読み取った原稿の原稿画像を表す画像データに基づいて、プリンタ400により記録紙に画像を形成する。プリント機能の際には、画像形成装置2000は、パーソナルコンピュータ等の外部装置から取得した画像データに基づいて、プリンタ400により記録紙に画像を形成する。スキャン機能の際に画像形成装置2000は、画像読取装置1000で読み取った原稿の原稿画像を表す画像データをパーソナルコンピュータやスマートフォン、クラウド等の外部装置へ送信、或いは画像読取装置1000に内蔵されている記憶装置に保存する。
操作部304は、入力インタフェース及び出力インタフェースを備えるユーザインタフェースである。入力インタフェースは、キーボタン、タッチパネル等である。出力インタフェースは、ディスプレイ、スピーカ等である。
プリンタ400は、カラー画像を記録紙に形成する。そのためにプリンタ400は、複数の画像形成部412y、412m、412c、412k、複数の露光器413y、413m、413c、413k、中間転写ベルト414、二次転写部416、及び定着器417を備える。プリンタ400は、記録紙を収容する給紙カセット419、420を備える。給紙カセット419と給紙カセット420とには、同じ記録紙を収容してもよいが、種類やサイズが異なる記録紙を収容してもよい。
画像形成部412yは、イエロー(y)の画像の形成に用いられる。画像形成部412yは、ドラム形状の感光体である感光ドラム415yを有する。画像形成部412mは、マゼンタ(m)の画像の形成に用いられる。画像形成部412mは、ドラム形状の感光体である感光ドラム415mを有する。画像形成部412cは、シアン(c)の画像の形成に用いられる。画像形成部412cは、ドラム形状の感光体である感光ドラム415cを有する。画像形成部412kは、ブラック(k)の画像の形成に用いられる。画像形成部412kは、ドラム形状の感光体である感光ドラム415kを有する。感光ドラム415y、415m、415c、415kは、帯電、露光、及び現像の各工程により、対応する色のトナー像が表面に形成される。
露光器413y、413m、413c、413kは、画像形成部412y、412m、412c、412kに対応して設けられる。露光器413yはイエローの画像を表す画像データに基づいて変調したレーザ光を、ドラム軸を中心に回転する感光ドラム415yに照射する。感光ドラム415yは、表面が一様に帯電した状態でレーザ光によりドラム軸方向に走査されることで静電潜像が形成される。露光器413mはマゼンタの画像を表す画像データに基づいて変調したレーザ光を、ドラム軸を中心に回転する感光ドラム415mに照射する。感光ドラム415mは、表面が一様に帯電した状態でレーザ光によりドラム軸方向に走査されることで静電潜像が形成される。露光器413cはシアンの画像を表す画像データに基づいて変調したレーザ光を、ドラム軸を中心に回転する感光ドラム415cに照射する。感光ドラム415cは、表面が一様に帯電した状態でレーザ光によりドラム軸方向に走査されることで静電潜像が形成される。露光器413kはブラックの画像を表す画像データに基づいて変調したレーザ光を、ドラム軸を中心に回転する感光ドラム415kに照射する。感光ドラム415kは、表面が一様に帯電した状態でレーザ光によりドラム軸方向に走査されることで静電潜像が形成される。
静電潜像が形成された感光ドラム415yは、イエローの現像剤により静電潜像が現像されて、表面にイエローのトナー像が形成される。静電潜像が形成された感光ドラム415mは、マゼンタの現像剤により静電潜像が現像されて、表面にマゼンタのトナー像が形成される。静電潜像が形成された感光ドラム415cは、シアンの現像剤により静電潜像が現像されて、表面にシアンのトナー像が形成される。静電潜像が形成された感光ドラム415kは、ブラックの現像剤により静電潜像が現像されて、表面にブラックのトナー像が形成される。
感光ドラム415y、415m、415c、415kのそれぞれに形成されたトナー像は、中間転写ベルト414に重畳するように転写される。中間転写ベルト414は、矢印B方向に所定の速度で回転しており、感光ドラム415y、415m、415c、415kのそれぞれから、それぞれのタイミングでトナー像が転写される。トナー像が重畳して転写されることで、中間転写ベルト414にフルカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルト414は、回転することで、担持したトナー像を二次転写部416へ搬送する。
給紙カセット419、420と二次転写部416との間の記録紙の搬送経路にはレジストローラ422が配置される。記録紙は、給紙カセット419、420からレジストローラ422まで給送される。レジストローラ422は、記録紙が給送されてくるタイミングでは停止している。記録紙は、停止したレジストローラ422に先端が衝突して先端側にループが形成されることで斜行が補正される。レジストローラ422は、中間転写ベルト414が担持したトナー像を二次転写部416へ搬送するタイミングに応じて記録紙を二次転写部416へ搬送する。二次転写部416は、中間転写ベルト414のトナー像を記録紙に転写する。トナー像が転写された記録紙は定着器417へ搬送される。
定着器417は、ヒータを内蔵する定着ローラ423と加圧ローラ424とを備える。定着器417は、定着ローラ423と加圧ローラ424とでトナー像が転写された記録紙を挟持搬送する。この際、定着ローラ423と加圧ローラ424とにより、トナー像が記録紙に熱圧着される。このように記録紙に画像が形成される。画像が形成された記録紙は、排紙ローラ433により機外へ排出される。
(制御システム)
図3は、以上のような構成の画像形成装置2000の動作を制御する制御システムの構成図である。制御システムは、リーダ200とプリンタ400に分散して配置される。制御システムは、コントローラ300を有している。コントローラ300は、画像形成装置2000の全体の動作を制御する。コントローラ300は、例えばプリンタ400の筐体内に設けられる。
リーダ200は、CPU(Central Processing Unit)251、ROM(Read Only Memory)252、及びRAM(Random Access Memory)253を備える。CPU251は、ROM252に格納されたコンピュータプログラムを実行することで画像読取装置1000(リーダ200及びADF100)の動作を制御する。RAM253は、CPU251が処理を実行する際の作業領域を提供する。CPU251は、通信ライン501を介してコントローラ300に通信可能に接続されており、コントローラ300からの指示に応じて画像読取装置1000の動作を制御する。
CPU251には、画像読取機能を実現するために、光源203、読取センサ208、光学系モータ226、画像メモリ260、画像処理部261、及び画像転送部255がバスを介して接続されている。光学系モータ226は、読取ユニット202(光源203及び読取センサ208)を図1の矢印A方向に移動させるための駆動源である。画像メモリ260は、読取センサ208から出力された読取画像を表す画像データを一時的に格納する記憶装置である。画像処理部261は、画像メモリ260に格納された読取データ(読取画像)に対して必要に応じて画像処理を行う。画像転送部255は、画像データをコントローラ300へ転送する。
CPU251には、原稿搬送機能を実現するために、搬送経路に沿って設けられる各種ローラを駆動する搬送系モータ111がバスを介して接続されている。CPU251には、搬送経路に沿って設けられる各種搬送系センサ110(原稿検知センサ15、16、17、18、19)がバスを介して接続されている。CPU251には、給紙トレイ30上の原稿の有無を検知する原稿有無検知センサ14がバスを介して接続されている。搬送系モータ111は、CPU251から出力される駆動パルスにより制御される。搬送系モータ111は、搬送経路に沿って設けられた各種ローラの駆動源である。搬送系モータ111は、1つ又は複数のモータであり、各モータが1以上のローラを回転駆動する。CPU251は、出力した駆動パルス数を計測可能であり、これにより原稿の搬送距離を管理することができる。搬送系モータ111、搬送系センサ110、及び原稿有無検知センサ14はADF100に設けられる。
CPU251には、バックアップ部256がバスを介して接続されている。バックアップ部256は、リーダ200及びADF100の制御に用いる作業用データの一部や、機体毎に設定される設定値等を保存するための記憶装置である。
また、CPU251には、読取センサ208により読み取られた原稿画像の斜行補正を実現するために、斜行検知部271及び斜行補正部270がバスを介して接続されている。斜行検知部271による斜行検知機能、斜行補正部270による斜行補正機能及び原稿切り出し機能の詳細は後述する。
プリンタ400は、CPU401、ROM402、RAM403、及び印刷部404を備える。CPU401は、ROM402に格納されたコンピュータプログラムを実行することでプリンタ400の動作を制御する。RAM403は、CPU401が処理を実行する際の作業領域を提供する。印刷部404は、CPU401の制御によりプリンタ400内の各ユニットの動作を制御して、記録紙への画像形成を行う。CPU401は、通信ライン502を介してコントローラ300に通信可能に接続されており、コントローラ300からの指示に応じてプリンタ400の動作を制御する。
コントローラ300は、リーダ200及びプリンタ400に接続されており、リーダ200及びプリンタ400のそれぞれに指示を送信してこれらの動作を制御する。コントローラ300は、CPU301、ROM302、及びRAM303を備える。CPU301は、ROM302に格納されたコンピュータプログラムを実行することで画像形成装置2000(画像読取装置1000及びプリンタ400)の動作を制御する。RAM303は、CPU301が処理を実行する際の作業領域を提供する。CPU301には、操作部304、画像転送部308、画像処理部305、画像メモリ306、及び外部インタフェース(I/F)307がバスを介して接続されている。
画像転送部308は、リーダ200の画像転送部255から画像データを受信して、受信した画像データを画像メモリ306へ格納する。スキャナ機能の場合、画像転送部308は、画像メモリ306に格納された画像データを、外部I/F307を経由してコンピュータ等の外部装置へ送信する。コピー機能の場合、画像転送部308は、画像メモリ306に格納された画像データを印刷部404へ転送する。画像処理部305は、画像メモリ306に格納された画像データに対して、必要に応じて画像処理を行う。
CPU301は、操作部304から画像形成装置2000に対する動作指示を受け付ける。また、CPU301は、操作部304によりユーザに対するメッセージ、読み取った画像、画像形成装置2000へ動作指示を行うための設定画面等の表示を行う。CPU301は、通信ライン501を介して、リーダ200のCPU251に画像読取制御に関する制御コマンド及び制御用データの送受信を行う。例えば、CPU301は、操作部304から画像読取開始指示を受け付け、CPU251に画像読取開始要求を送信する。また、例えば、CPU301は、CPU251から異常発生通知を取得し、異常の種類に応じたメッセージを操作部304に表示させる。CPU301は、通信ライン502を介してプリンタ400のCPU401に接続されており、CPU401との間で画像形成制御に関する制御コマンド及び制御用データの送受信を行う。例えば、CPU301は、操作部304から画像形成開始指示を受け付けて、CPU401に画像形成開始要求を送信する。
以上のような構成の制御システムによる画像読取装置1000の動作制御について説明する。
画像読取装置1000の動作中、リーダ200のCPU251は、原稿有無検知センサ14の検知結果を監視する。検知結果に変化があった場合、CPU251は、その都度、通信ライン501を介して原稿有無検知センサ14の検知結果をコントローラ300のCPU301へ通知する。CPU301は、通知された原稿有無検知センサ14の検知結果に基づいて、給紙トレイ30上に原稿束Sが積載されているか否かを判断することができる。
CPU301は、操作部304から画像読取開始指示を受け付けると、通信ライン501を介してCPU251へ画像読取開始要求を送信する。リーダ200は、CPU301からの画像読取開始要求に応答して原稿の読み取りを開始する。画像読取開始要求は、「固定読み開始要求」と「流し読み開始要求」とのいずれかである。「固定読み開始要求」は、固定読みの開始を要求する。「流し読み開始要求」は、流し読みの開始を要求する。操作部304から原稿読取開始指示を受け付けたタイミングで給紙トレイ30上に原稿束Sが積載されていなければ、CPU301は、CPU251へ「固定読み開始要求」を送信する。操作部304から原稿読取開始指示を受け付けたタイミングで給紙トレイ30上に原稿束Sが積載されていれば、CPU301は、CPU251へ「流し読み開始要求」を送信する。リーダ200は、CPU301からの画像読取開始要求が「固定読み開始要求」と「流し読み開始要求」のいずれであるかに応じて、固定読みと流し読みとのいずれかを開始する。
本実施形態では、コントローラ300が制御するジョブにはコピージョブとスキャンジョブの二種類がある。コピージョブは、画像読取装置1000が固定読み又は流し読みにより原稿から原稿画像を読み取り、プリンタ400が画像読取装置1000による原稿画像の読取結果を記録紙上に印刷するジョブである。スキャンジョブは、画像読取装置1000が固定読み又は流し読みにより原稿から原稿画像を読み取り、その読取結果を外部I/F307を経由して予めユーザにより指定された送信先(外部装置)に送信するジョブである。
なお、本実施形態のスキャンジョブでは外部I/F307を介して読取結果が送信されるが、これに限らない。例えばスキャンジョブの際には、コントローラ300に画像保存用の記憶装置を設け、この記憶装置に読み取った画像を表す画像データを保存するようにしてもよい。
CPU301は、操作部304から動作指示を受け付ける。操作部304からの動作指示には、コピージョブの開始指示とスキャンジョブの開始指示とがある。動作指示には画像読取開始指示が含まれる。動作指示を受け付けたCPU301は、通信ライン501を介してCPU251に画像読取開始要求を送信する。CPU251は、画像読取開始要求を取得して、画像読取処理を開始する。
コピージョブの場合、原稿画像の読取結果である画像データが画像転送部255、画像転送部308により画像メモリ306に格納された後、画像転送部308により印刷部404へ転送される。印刷部404は、取得した画像データに基づいて前述の方法で記録紙に画像を形成する。すべての画像データについて画像形成が終了すると、CPU301はコピージョブを終了する。
スキャンジョブの場合、原稿画像の読取結果である画像データが画像転送部255、画像転送部308により画像メモリ306に格納された後、外部I/F307を経由し画像送信先へ送信される。すべての画像データが送信されると、CPU301はスキャンジョブを終了する。
(傾き補正)
図4は、読取画像内の原稿画像の傾き補正の説明図である。画像読取装置1000が原稿から読み取った原稿画像は、読取センサ208から読取画像として出力される。図4では、流し読みで原稿画像が読み取られた場合の読取画像を表す。流し読みの場合、原稿が斜行する可能性があるために、読取画像は原稿サイズよりも大きい領域を読み取った結果となる。具体的には、画像読取装置1000として許容する量の上限まで斜行が発生していた場合であっても、原稿全体を読み取ることが可能なように読取領域が拡大して設定される。
読取領域の主走査方向の長さ(主走査幅)は、読取センサ208で読取可能な最大幅で固定される。読取領域の副走査方向の長さ(副走査長)は、読取開始のタイミングと読取終了のタイミングを調整して決定される。読取開始のタイミングは、原稿の先端が読取位置に到達するタイミングよりも前倒しに調整される。読取終了のタイミングは、原稿の後端が読取位置を通過するタイミングよりも後ろ倒しに調整される。具体的には、原稿検知センサ18が原稿の先端を検知したタイミングと原稿検知センサ18の検知位置から読取位置までの距離に基づいて、原稿先端が読取位置に到達するタイミングよりも前に、読取開始のタイミングが設定される。原稿の後端についても、原稿検知センサ18が原稿後端を検知してから原稿後端が読取位置に到達した後のタイミングに、読取終了のタイミングを設定する。このように読取開始のタイミングと読取終了のタイミングを設定することで、原稿画像を含み、原稿のサイズよりもより大きな領域の読取画像が得られる。
斜行検知部271は、読取画像に基づいて斜行検知を行う。斜行検知部271は、まず、読取画像内の原稿画像から原稿端を抽出する。原稿の読み取り時には、原稿の厚みにより原稿端の外側に影が生じる。斜行検知部271は、この影を用いて斜行検知領域内で原稿端を抽出する。斜行検知部271は、読取画像から影の部分をエッジとして抽出する。斜行検知部271は、連続してエッジを抽出した部分から原稿の先端側の原稿端を検知し、この先端の原稿端に基づいて原稿の斜行量(原稿画像の傾き量)を決定する。原稿の斜行量は、主走査方向に対する原稿の傾き角度である。
斜行検知部271は、原稿画像の先端部分が含まれるように斜行検知領域を設定する。斜行検知部271は、斜行検知領域内で抽出したエッジのうち、主走査方向の両端のエッジを除いたエッジ(先端候補エッジ画素)の回帰直線から、先端部の原稿の影の位置を判定する。斜行検知部271が、判定した原稿の影の内側を原稿画像と判定する。すなわち、斜行検知部271は、原稿の影の1つ内側の画素を原稿先端として判定する。
原稿先端の判定後、斜行検知部271は、読取画像の画像先端と原稿先端との成す角度から、斜行量θを算出する。また、斜行検知部271は、原稿のエッジから、左先端頂点及び右先端頂点の座標も合わせて算出する。所定の頂点の座標、例えば左先端頂点(以下、「基準端点」と呼ぶ。)の座標は、後述する斜行補正(原稿画像の傾き補正)の際に回転処理の基準となる。さらに、斜行検知部271は、主走査方向に並ぶ二つの頂点(左先端頂点及び右先端頂点)の座標から、原稿画像の先端幅Wを算出する。なお、本実施形態では、原稿先端から斜行量を算出する構成としているが、他の端部、例えば、原稿画像の側端から斜行量を算出する構成であってもよい。
図5は、読取画像から原稿画像を抽出する処理の説明図である。原稿画像の抽出のために、読取画像に対して傾き補正(斜行補正)及び原稿領域の切り出し(原稿切り出し)が行われる。図5では、読取ユニット202(読取センサ208)から出力される読取画像は、原稿画像が右肩下がりで傾き量(斜行量)θ1だけ傾いている。斜行量θ1は、所定量、本実施形態では斜行補正部270で補正可能な最大の角度である最大補正角度θMAXより小さい角度である。出力画像は、読取画像に対して斜行補正及び原稿切り出しを行って抽出した原稿画像である。
斜行補正部270は、CPU251により予め設定された出力主走査幅、出力副走査長、斜行補正量(角度)、及び回転基準点(座標)に基づいて、読取画像の画像データの各画素について出力の可否及び出力の順番を制御する。出力主走査幅は、出力画像の主走査方向の幅であり、図5では原稿画像の先端幅Wに等しい。出力副走査長は、出力画像の副走査方向の長さであり、図5では原稿画像の副走査方向の長さ(副走査長L)に等しい。斜行補正量は、斜行量θ1に等しい。回転基準点は、基準端点である。出力の可否により、原稿のサイズに応じた領域の原稿切り出しが行われる。出力の順番の制御により画素の並べ替えが行われる。画素の並べ替えにより、回転基準点を中心として原稿画像が回転し、斜行(傾き)が補正(低減)される。
CPU251は、原稿検知センサ18による原稿先端の検知タイミングと原稿後端の検知タイミングから、その間の原稿の搬送距離(以下、「搬送路上の原稿長」と呼ぶ)L0を取得する。このとき、原稿の斜行量θにより、原稿の副走査長Lが次の式で算出される。
L=L0*cosθ …(式1)
CPU251は、斜行検知部271で算出された原稿の先端幅Wと、式1により算出された副走査長Lと、に基づいて、出力主走査幅と出力副走査長を斜行補正部270へ設定する。CPU251は、斜行補正量と回転基準点として、斜行検知部271で算出された斜行量θ1と基準端点の座標とを斜行補正部270へ設定する。
斜行補正部270は、原稿画像領域内の各画素のデータを順に選択して出力することで、斜行補正及び原稿切り出しを行う。斜行補正部270は、CPU251により設定された斜行補正量、回転基準点、出力主走査幅、及び出力副走査長に基づいて、例えばアフィン変換により画素のデータの選択と出力を行う。なお、本実施形態の画像読取装置1000では、アフィン変換に用いるメモリ容量の制約により5°以下の斜行補正しか行えないものとする。すなわち、斜行補正部270の最大補正角度θMAXが5°である。
アフィン変換は、斜行量θを補正するための画素の位置(主走査方向位置X、副走査方向位置Y)を算出する。x0及びy0は、回転基準点が回転中心となるように、斜行補正されたデータを平行移動させるための移動量である。x0及びy0は、回転基準点の座標と斜行補正量から算出される。これにより、画像の先端部および側端部の出力位置を合わせることが可能となる。アフィン変換の一般式は以下の式2-1、式2-2で表される。
X = xcosθ ‐ ysinθ + x0 …(式2-1)
Y = xsinθ + ycosθ + y0 …(式2-2)
X:主走査方向の補正後の画素位置、Y:副走査方向の補正後の画素位置
x:補正前の主走査方向の画素位置、y:補正前の副走査方向の画素位置
x0:主走査方向の平行移動量(主走査傾き補正基準位置)
y0:副走査方向の平行移動量(副走査傾き補正基準位置)
θ:斜行量
具体的には、回転基準点(X=0,Y=0)から出力を開始し、アフィン変換式により、補正後の1ライン分(出力主走査幅に基づいた画素数分)の画像データが出力される。1ライン分の画像データの出力後は、次のラインの画像データが出力される。これが出力副走査長に応じたライン数分繰り返し行われる。
斜行補正部270は、入力された画像データに対して以上の処理を行うことで、原稿画像の全体の画素を順にコントローラ300へ出力する。斜行補正部270により出力された画素の画像データは、画像転送部255から順にコントローラ300へ転送される。コントローラ300は、送られてきた画素毎の画像データを受け取った画像転送部308により、画素をライン毎に順番に並べることで、図5の補正後の出力画像を生成する。原稿外領域の画素の画像データは出力されないため、出力画像は、読取画像から原稿画像の領域が切り出された画像になる。なお、本実施形態では、アフィン変換による画像回転により斜行補正を行う構成となっているが、他の方法で斜行補正が行われてもよい。
原稿が傾いた状態でADF100の給紙トレイ30に載置された場合、読取画像内の原稿画像に発生する斜行量(傾き量)は、最大補正角度θMAXを超えることがある。このときに、最大補正角度θMAXまで斜行補正したうえで、原稿のサイズに応じて画像を切り出してしまうと、原稿の端部の画像が欠落する可能性がある。
図6は、読取画像に発生した斜行量が最大補正角度θMAXを超えた場合に読取画像から原稿画像を抽出する従来の処理(斜行補正及び原稿切り出し)の説明図である。図6により、この場合の原稿端部の画像の欠落について説明する。
読取画像内の原稿画像は、主走査方向に対して斜行量θ2だけ傾いている。斜行量θ2は、斜行補正部270で補正可能な最大補正角度θMAXよりも大きい(θ2>θMAX)。従来は、このような読取画像に対して、図5で説明した処理と同様に斜行補正及び原稿切り出しが行われる。
CPU251は、斜行検知により算出された原稿の先端幅Wと前述の式1で算出した副走査長Lに基づいて、出力主走査幅と出力副走査長を斜行補正部270へ設定する。また、CPU251は、斜行検知により算出された基準端点の座標を回転基準点として斜行補正部270へ設定する。斜行検知により算出された斜行量θ2が最大補正角度θMAXを超えていることから、CPU251が、斜行補正量として最大補正角度θMAXを斜行補正部270へ設定する。これにより、出力画像の原稿画像は、斜行量θ2が最大補正角度θMAXだけ低減して傾きが残った状態となる。つまり残った傾きの斜行量θ3はθ3=θ2-θMAXとなる。原稿画像が斜行量θ3だけ傾いた状態で、原稿の主走査幅、副走査長で切り出しが行われるため、出力画像には原稿外領域が含まれる。また原稿画像のうち出力領域に含まれない欠落領域が発生する。
このような出力画像における欠落領域の発生を防止しつつ出力画像に含まれる原稿外領域を最小とするため、本実施形態では、読取画像内の原稿画像に発生する斜行量が最大補正角度θMAXを超える場合に、以下のように、斜行補正及び原稿切り出しを行う。
図7は、読取画像から斜行量が最大補正角度θMAXを超えた原稿画像を抽出する処理(斜行補正及び原稿切り出し)の説明図である。ここでは、読取画像内の原稿画像の斜行量が最大補正角度θMAXを超える場合に、出力画像における原稿画像の欠落領域の発生を防止しつつ、出力画像に含まれる原稿外領域を最小とする。
図7(a)に示すように、読取画像内の原稿画像は、図6の読取画像内の読取画像と同様に、主走査方向に対して斜行量θ2(θ2>θMAX)だけ傾いている。従来のように斜行補正及び原稿切り出しを行うことで、図6の出力画像と同様に、出力画像の原稿画像には斜行量θ3が残った状態となる。図7(b)は、読取画像の先端部分の拡大図である。図7(c)は、出力画像の先端部分の拡大図である。このとき、CPU251は、出力主走査幅W’及び出力画像の出力副走査長L’を以下の式3-1、式3-1によって算出して、斜行補正部270に設定する。
W’= Lsinθ’+ Wcosθ’ …(式3-1)
L’= Wsinθ’+ Lcosθ’ …(式3-2)
W’:出力主走査幅、L’:出力副走査長
W:斜行検知により算出された原稿先端の幅,L:式1により算出された原稿副走査長
θ’:出力画像における原稿領域の斜行量
ここで、出力画像における原稿領域の斜行量θ’は、図7(c)においてはθ’=θ2-θMAX=θ3とする。
出力画像の原稿画像の斜行量θ’は、読取画像の原稿画像に発生する斜行量が最大補正角度θMAXを超えた場合の斜行補正の有無(以下、「最大補正角度越えの斜行補正の有無」と呼ぶ。)に応じて2通りの値を取る。最大補正角度越えの斜行補正の有無は、操作部304を用いてユーザにより設定可能である。最大補正角度越えの斜行補正を行う場合、最大補正角度θMAXまで画像の回転が行われるため、出力画像の原稿画像の斜行量θ’は、斜行補正を行った後の残斜行量となる。最大補正角度越えの斜行補正を行わない場合、画像の回転が行われないため、出力画像の原稿画像の斜行量θ’は、斜行検知により算出された斜行量となる。図7(c)は前者、すなわちθ’=θ2-θMAX=θ3の場合を示している。後者の場合についての詳細は後述する。
CPU251は、最大補正角度越えの斜行補正の有無に応じて、斜行補正量θ’を斜行補正部270へ設定する。したがって、図7(a)では斜行補正量θ3が斜行補正部270へ設定される。さらに、CPU251は、回転基準点を斜行補正部270に設定する。回転基準点は、図7(b)に示すように、基準端点を通り斜行量θ3だけ傾いた直線上で、基準端点から距離L*sinθ3だけ離れた点である。出力主走査幅W’、出力副走査長L’、斜行補正量θ3、及び回転基準点に基づいて斜行補正及び原稿切り出しを行うと、出力画像では、最大補正角度θMAXまで原稿画像の回転が行われる。また、出力画像内の原稿画像の欠落領域の発生を防止しつつ、出力画像に含まれる原稿外領域を最小とすることができる。出力画像は、最大補正角度θMAXまで傾きが補正された原稿画像を、原稿画像を包含する定型サイズのうち最小サイズよりも小さいサイズであって且つ該原稿画像に外接する矩形のサイズ以上のサイズで切り出して生成される。
図8は、先端が斜めにカットされた原稿の読取画像から原稿画像を抽出する処理(斜行補正及び原稿切り出し)の説明図である。読取画像内の原稿画像に発生した斜行量は、最大補正角度θMAXを超えている。読取画像内の原稿画像に発生する斜行量が最大補正角度θMAXを超える場合に、最大補正角度越えの斜行補正を行わずに、出力画像の原稿画像の欠落領域の発生を防止しつつ、出力画像に含まれる原稿外領域を最小とする方法について説明する。
図8(a)に示すように、原稿は、先端が主走査方向に対して右肩下がりに角度θ4だけ斜めにカットされている。この原稿が主走査方向に対して右肩下がりに角度θ5だけ傾いた状態で読み取られた場合、読取画像内の原稿画像の斜行量θ6は、斜行検知部271により、斜行量θ6=θ4+θ5と検知される。なお、角度θ4及び斜行量θ6は、最大補正角度θMAXに対しθ4≦θMXとθ6>θMAXを満たすものとする。角度θ4は、最大補正角度θMAX以下(θ4≦θMX)であり、斜行量θ6は、最大補正角度θMAXより大きい(θ6>θMAX)角度である。
本実施形態では、前述の通り原稿の先端から斜行量を算出する構成となっている。先端が斜めにカットされた原稿の場合、読取画像内の原稿画像には、実際に原稿に発生した斜行量(角度θ5)以上の斜行(斜行量θ6)が発生していると検知されてしまう。そのため、読取画像の原稿画像に発生した斜行量が最大補正角度θMAXを超えている場合であっても、実際の原稿画像の斜行量は最大補正角度θMAXを下回っている可能性がある。したがって、読取画像の原稿画像に発生した斜行量が最大補正角度θMAXを超えたために最大補正角度θMAXまで原稿画像の回転を行うと、実際に原稿に発生した斜行量以上に原稿画像が回転をしてしまう可能性がある。そこで、最大補正角度越えの斜行補正の有無をユーザが設定できるようにする。斜行補正なしが設定されている場合には、斜行補正を行わずに原稿切り出しのみが行われる。
図9は、最大補正角度越えの斜行補正の有無の設定画面の例示図である。各画面は、操作部304に表示される。ユーザは、表示された画面に応じて操作部304により最大補正角度越えの斜行補正の有無を設定する。
画面1701は、画像形成装置2000に各種設定を行うための設定登録画面の先頭画面である。画像読取に関する設定を行うために、操作部304により画面1701から「スキャン仕様設定」ボタンが選択されると、操作部304の表示がスキャン仕様設定画面1702に切り替わる。スキャン仕様設定画面1702から操作部304により「斜行補正設定」ボタンが選択されると、斜行補正に関する設定を行うための斜行補正設定画面1703に操作部304の表示が切り替わる。斜行補正設定画面1703では、前述の最大補正角度越えの斜行補正の有無が設定可能である。図8に例示する先端が斜めにカットされた原稿の原稿画像を読み取る場合、斜行補正設定画面1703で「無効」が設定されることで、斜行補正を行わずに原稿切り出しのみが行われる。
図8(a)の原稿から原稿画像を読み取る場合、CPU251は、出力主走査幅W’及び出力副走査長L’を前述の式3-1、式3-2により算出して斜行補正部270へ設定する。ただし式3-1、式3-2における出力画像の原稿画像の斜行量θ’は、θ’=θ6として計算される。また、CPU251は、最大補正角度越えの斜行補正の無しの設定に応じて、斜行補正量0°(斜行補正しない)を斜行補正部270へ設定する。CPU251は、回転基準点を以下の通り求めて、斜行補正部270へ設定する。図8(b)に示すように、基準端点を通り画像先端と平行な直線上で、基準端点から距離L*sinθ6だけ離れた点が回転基準点となる。
出力主走査幅W’、出力副走査長L’、斜行補正量0°、及び回転基準点に基づいて斜行補正及び原稿切り出しが行われる。これにより図8(a)の出力画像及び図8(c)に示すように、画像の回転を行わずに、出力画像における欠落領域の発生を防止しつつ、出力画像に含まれる原稿外領域を最小とすることができる。
図10は、画像形成装置2000によるジョブに応じた処理を表すフローチャートである。画像形成装置2000は、コピージョブやスキャンジョブを行うことができる。コピージョブでは、画像読取装置1000が原稿から原稿画像を読み取り、読み取った原稿画像を表す画像データをプリンタ400へ送信する。プリンタ400は、画像読取装置1000から取得した画像データに基づく画像を記録紙に形成することで、原稿画像が複写された記録紙を生成することができる。スキャンジョブでは、画像読取装置1000が原稿から原稿画像を読み取り、読み取った原稿画像を表す画像データを外部装置へ送信する。図11及び図12は、流し読みの場合のコピージョブとスキャンジョブにおける画像状態の説明図である。
CPU301は、操作部304からジョブの開始指示(コピージョブの開始指示又はスキャンジョブの開始指示)を受け付けて、ジョブを開始する。CPU301は、まず、ジョブの開始指示に基づいてジョブの種類を判断する(S101)。ここでは、CPU301は、指示されたジョブがコピージョブとスキャンジョブのいずれであるかを判断する。CPU301は、CPU251に画像読取開始要求を送信する(S102)。画像読取開始要求は、前述の通り「固定読み開始要求」及び「流し読み開始要求」のいずれかである。CPU251は、CPU301から受信した画像読取開始要求に基づいて、画像読取処理を行う(S103)。画像読取処理により、リーダ200から画像データ(出力画像)が転送される。CPU301は、画像転送部308により出力画像の画像データを受信して画像メモリ306に格納する(S104)。CPU301は、ジョブの種類がコピージョブであるか否かを判断する(S105)。
図11は、流し読みの場合のコピージョブにおける各処理時点での画像状態を表す。図11(a)は原稿が斜行量θ1だけ斜行した状態を表す。図11(b)は原稿が斜行量θ2だけ斜行している状態を表す。図5で説明したように、斜行量θ1は、最大補正角度θMAXより小さい角度である。図7(a)で説明したように、斜行量θ2は、最大補正角度θMAXより大きい角度である。
リーダ200は、読取画像内の原稿画像に対して斜行補正及び原稿切り出しを行い、出力画像を出力する。コントローラ300は、リーダ200から取得する出力画像の画像データに対して、必要に応じて後述する転送画像サイズ設定及びセンタリング処理を行う。コントローラ300は、処理後の画像(転送画像)の画像データをプリンタ400へ送信する。プリンタ400は、コントローラ300から取得する転送画像の画像データに基づいて記録紙上に画像(形成画像)を形成する。
ジョブの種類がコピージョブである場合(S105:Y)、CPU301は、S104の処理で取得した出力画像のサイズに応じて、出力画像が形成可能な最小の規定サイズを、記録紙サイズに選択する(S106)。例えば、原稿がB5Rサイズの場合、図11(a)に示すように、斜行補正及び原稿切り出しにより傾きが補正されて原稿画像が切り出されることで、出力画像がB5Rサイズとなる。B5Rサイズの画像が形成可能な最小の規定サイズはB5Rであるため、記録紙サイズとしてB5Rが選択される。図11(b)に示すように、斜行補正及び原稿切り出しにより傾きが残った状態で原稿外領域も含めて原稿切り出しが行われると、出力画像はB5Rサイズより大きくなる。この場合、例えば、出力画像が形成可能な最小の規定サイズとして、記録紙サイズにA4Rが選択される。
CPU301は、選択した記録紙サイズを、プリンタ400に転送する画像(転送画像)のサイズとして設定する(S107)。CPU301は、プリンタ400に画像形成開始要求を送信する(S108)。以上により、出力画像のサイズが転送画像のサイズ以下となる。CPU301は、転送画像のサイズに合わせて、出力画像をセンタリングする処理(以下、「画像センタリング処理」と呼ぶ。)を行う。
出力画像のサイズが転送画像のサイズと等しい場合(S109:N)、出力画像と転送画像が同一サイズであるため、センタリング処理は不要である。この場合、CPU301は、図11(a)に示すように、出力画像をそのまま転送する(S111)。出力画像のサイズが転送画像のサイズより小さい場合(S109:Y)、出力画像よりも転送画像のほうが大きくなるため、センタリング処理が必要となる。この場合、CPU301は、図11(b)に示すように、転送画像の中心に出力画像が配置されるように、出力画像の周囲に余白を付加して転送画像と同サイズの画像とする画像処理(画像センタリング処理)を画像処理部305により行う(S110)。CPU301は、画像センタリング処理後の画像を表す画像データをプリンタ400へ転送する(S111)。CPU401は、S108の処理でコントローラ300から送信された画像形成開始要求と、S111の処理でコントローラ300から転送された画像データに基づいて、画像形成処理を行う(S112)。コピージョブの場合は、以上のように処理が行われる。複数枚の原稿のコピー処理の場合には、S103~S112の処理が繰り返し行われることになる。
図12は、流し読みの場合のスキャンジョブにおける各処理時点での画像状態を表す。図12(a)は原稿が斜行量θ1だけ斜行した状態を表す。図12(b)は原稿が斜行量θ2だけ斜行している状態を表す。図5で説明したように、斜行量θ1は、最大補正角度θMAXより小さい角度である。図7(a)で説明したように、斜行量θ2は、最大補正角度θMAXより大きい角度である。リーダ200は、読取画像に対して斜行補正及び原稿切り出しを行い、出力画像を出力する。コントローラ300は、リーダ200から取得する出力画像の画像データを、送信画像の画像データとして外部I/F307により外部装置へ送信する。
ジョブの種類がスキャンジョブの場合(S105:N)、CPU301は、外部装置へ送信する画像(送信画像)のサイズとして、S104の処理で取得した出力画像のサイズを設定する(S120)。CPU301は、外部装置へ出力画像の画像データをそのまま送信する(S121)。すなわち、図12(a)のように斜行補正及び原稿切り出しにより傾きが補正されて原稿画像が切り出された場合は、原稿画像の形で送信画像が送信される。図12(b)のように斜行補正及び原稿切り出しにより傾きが残った状態で原稿外領域も含めて原稿切り出しが行われる場合、傾きが残った状態で原稿外領域も含めた形で送信画像が送信される。スキャンジョブの場合は、以上のように処理が行われる。複数枚の原稿のスキャン処理の場合には、S103、S104、S105、S120、S121の処理が繰り返し行われることになる。
図13は、図10のS103の画像読取処理を表すフローチャートである。ここで説明する画像読取処理は、流し読み処理である。この処理は、CPU251がCPU301から画像読取開始要求を取得することで開始される。
CPU251は、流し読みを指示する画像読取開始要求を取得すると、原稿の搬送を開始する(S201)。CPU251は、給紙トレイ30に積載された原稿束Sの最上面の原稿をリーダ200の読取位置へ搬送する。CPU251は、読取位置を通過する原稿の原稿画像を読取ユニット202により読み取る(S202)。CPU251は、読取ユニット202から出力される読取画像の画像データに対して、斜行検知部271により斜行検知を行う(S203)。CPU251は、斜行検知により検知された斜行量(斜行検知量)θと斜行補正部270の最大補正角度θMAXの大小関係を判断する(S204)。
斜行検知量θが最大補正角度θMAX以下の場合(S204:Y)、CPU251は、図5で説明したように、出力主走査幅、出力副走査長、斜行補正量θ、及び基準端点(回転基準点)を斜行補正部270へ設定する(S205)。出力主走査幅は、斜行検知により算出された原稿の先端幅である。出力副走査長は式1で算出された副走査長Lである。斜行補正量は、斜行検知により算出された斜行量である。回転基準点は、基準端点の座標である。
斜行検知量θが最大補正角度θMAXを超える場合(S204:N)、CPU251は、画像読取開始要求に先行してユーザにより設定された最大補正角度越えの斜行補正の有無を確認する(S220)。最大補正角度越えの斜行補正を行う場合(S220:Y)、CPU251は、図7で説明したように、残斜行量θ2-θMAXに応じた出力主走査幅W’、出力副走査長L’、回転基準点、及び最大補正角度θMAXを斜行補正部270へ設定する(S221)。残斜行量に応じた出力主走査幅W’、出力副走査長L’は、式3-1、式3-2により斜行量θ’をθ’=θ2-θMAXとして算出される。回転基準点は、斜行検知により算出された基準端点の座標と、斜行補正後の残斜行量θ2-θMAXに基づき、前述の方法で算出される。
最大補正角度越えの斜行補正を行わない場合(S220:N)、CPU251は、図8で説明したように、斜行検知量に応じた出力主走査幅W’、出力副走査長L’、回転基準点、及び斜行補正量0°を斜行補正部270へ設定する(S230)。斜行検知量に応じた出力主走査幅W’、出力副走査長L’は、式3-1、式3-2で斜行量θ’をθ’=θとして算出される。回転基準点は、斜行検知により算出された基準端点の座標と、斜行補正後の残斜行量θに基づいて前述の方法で算出される。
CPU251は、S205、S221、S230の処理のいずれかで斜行補正部270に設定された設定値に基づいて、斜行補正部270により斜行補正及び原稿切り出しを行う(S206)。CPU251は、S206の処理で得られる出力画像を表す画像データをコントローラ300へ出力する(S207)。CPU251は、出力が完了した後に、給紙トレイ30に次の原稿が積載されているか否かの判断を行う(S208)。原稿が積載されている場合(S208:Y)、CPU251は、S201以降の処理を繰り返し行う。最終原稿の画像出力まで完了して給紙トレイ30に原稿がなくなった場合(S208:N)、CPU251は、最終原稿の搬送完了をまって原稿搬送を停止する(S209)。以上により、流し読みによる画像読取処理が終了する。
以上のような処理により、本実施形態の画像形成装置2000は、読取画像に最大補正角度を超える斜行が発生している場合に、原稿端部の画像の欠落を防止したうえで、読取画像に含まれる原稿外領域を少なくすることが可能となる。
(第2実施形態)
第2実施形態の画像形成装置2000、画像読取装置1000、プリンタ400、及び制御システムの構成は、第1実施形態と同様である。そのためにこれらの構成の説明は省略する。先端に切り欠きやタブがある原稿は、原稿先端が直線ではない。このように先端が直線ではない原稿は、斜行量が正常に検知できない。
図14は、先端に切り欠きがある原稿の傾き補正の説明図である。図14により、斜行量(傾き量)が正常に検知できない場合について説明する。図14では、流し読みで原稿画像が読み取られた場合の読取画像を表す。原稿の先端の切り欠きは、例えば、束に綴じられた帳票を手で切り離した際に、綴じられていた部分に発生する。このような原稿の読取画像から、斜行検知量域内でエッジが抽出される。
図14の原稿の場合、原稿先端に切り欠きがあることから、先端候補エッジ画素の位置が副走査方向にばらついている。そのために先端候補エッジ画素の回帰直線が、本来の原稿先端から乖離してしまう。つまり原稿先端が誤判定される。誤判定した原稿先端に基づいて斜行量(傾き量)、基準端点の座標、及び原稿先端の幅を算出すると、斜行補正及び原稿切り出し処理により、原稿端部の画像の欠落が発生してしまう可能性がある。
原稿先端の誤判定による原稿端部の画像の欠落を防止するため、斜行検知部271は、先端候補エッジ画素の回帰直線の信頼性判定を行う。信頼性判定により先端候補エッジ画素の回帰直線が信頼できないと判定された場合、斜行検知部271は、先端候補エッジ画素の回帰直線が本来の原稿の先端位置から乖離していると判断する。この場合、斜行検知部271は、斜行量が正常に算出できない(以下、「斜行検知失敗」と呼ぶ。)と判断して斜行検知処理を終了する。斜行検知部271は、例えば、先端候補エッジ画素の主走査方向及び副走査方向の座標の共分散が所定値以下の場合に先端候補エッジ画素の回帰直線の信頼性があると判定し、所定値を超えている場合に先端候補エッジ画素の回帰直線の信頼性がないと判定する。斜行検知失敗の場合、斜行検知結果として、斜行量だけではなく、基準端点の座標と原稿先端の幅も得られない状態となる。
図15は、画像読取装置1000を上方から見た図である。給紙トレイ30には、載置された原稿の主走査方向の辺を規制する一対の原稿ガイド板31が設けられる。給紙トレイ30に積載された原稿は、原稿ガイド板31により主走査方向の辺が揃えられる。画像読取装置1000は、一対の原稿ガイド板31間の幅Cを検知する原稿ガイド幅検知センサ10を備える。CPU251は、原稿ガイド幅検知センサ10により原稿ガイド板31間の幅Cを検知する。
ユーザが原稿を給紙トレイ30上に載置し、原稿ガイド板31を原稿の主走査方向の二辺に合わせた場合、原稿の主走査方向の長さ(原稿幅)が原稿ガイド板31間の幅Cとなる。CPU251は、原稿ガイド板31間の幅Cにより原稿幅を検知可能である(以降、原稿ガイド板31間の幅Cを「トレイ幅」と呼ぶ。)。斜行検知失敗の場合、斜行検知によって得られるはずの原稿の先端幅が得られないため、後述する方法でトレイ幅に基づいて原稿切り出しが行われる。
給紙トレイ30上に正常に(まっすぐ)載置された原稿に対しても、読取ユニット202やADF100の組み付け精度、原稿搬送に用いる各ローラの製造誤差等に起因して、読取画像内の原稿画像が傾くことがある。給紙トレイ30上に正常に載置された原稿に対して設計上発生し得る斜行量の最大値を、「想定最大斜行量θi」とする。本実施形態では、斜行検知が失敗した場合に、想定最大斜行量θiの斜行が発生していても原稿端部の画像の欠落を防止できるよう原稿切り出しが行われる。なお、本実施形態の画像読取装置1000は、想定最大斜行量θi=3.5°とする。
想定最大斜行量θiは、原稿が給紙トレイ30上に正常に載置されることを前提としているため、原稿が傾いた状態で給紙トレイ30に載置された場合は、その分、原稿端部の画像の欠落が発生してしまう可能性が高くなる。この場合も想定した上で原稿端部の画像の欠落を防止したい場合は、例えば、想定最大斜行量θiに、給紙トレイ30に載置された時点での許容する傾き量を加えてもよい。
また、原稿が斜行する際の回転中心の位置によって、読取画像内の原稿画像の主走査方向及び副走査方向の配置位置が異なる。本実施形態の画像読取装置1000では、想定最大斜行量θiのうち、給紙ローラ1及び分離ローラ2による給紙及び分離の過程で発生する斜行が支配的である。給紙ローラ1及び分離ローラ2は、図15に示す通りADF100の搬送経路で主走査方向の中央に配置されている。このことから、本実施形態では原稿先端の主走査方向中央を回転中心として、想定最大斜行量θiが発生するものと仮定する。こちらについても、実際の回転中心が原稿先端の主走査方向中央からずれた場合、その分、原稿端部の画像の欠落が発生してしまう可能性が高くなる。この場合も想定した上で原稿端部の画像の欠落を防止したい場合は、例えば、後述する出力主走査幅や出力副走査長を算出する過程で、一定のマージンを加えるようにしてもよい。
図16は、斜行検知失敗時の原稿切り出しの説明図である。図16(a)は、斜行検知失敗時に原稿の読取画像から出力画像を得るまでの画像状態を表す。斜行検知が失敗して原稿先端の判定ができない場合、斜行検知部271は、原稿検知センサ18が原稿先端を検知したタイミングと原稿検知センサ18の検知位置から読取位置までの距離に基づいて、仮想的な原稿先端位置(以下、「想定先端ライン」と呼ぶ。)を判定する。
また、前述の通り、斜行検知部271は、原稿検知センサ18が原稿先端を検知したタイミングと原稿の後端を検知したタイミングとから、搬送路上の原稿長L0を判定する。斜行検知部271は、原稿が給紙トレイ30上に載置されていた際の原稿ガイド板31間の幅Cから、トレイ幅WT(原稿の実際の幅)を判定する。
図16(b)は、原稿が想定最大斜行量θiだけ斜行していた場合の原稿切り出しの説明図である。読取画像に対して原稿端部の画像の欠落を防止したうえで、出力画像に含まれる原稿外領域が少なくなるように、原稿切り出しが行われる。図16(c)は、図16(b)の読取画像の先端部分の拡大図である。図16(d)は、図16(b)の読取画像の後端部分の拡大図である。図16(e)は、図16(b)の出力画像の先端部分の拡大図である。
図16(c)に示す通り、読取画像の主走査方向中央から原稿画像の左上頂点までの幅は、WT/2*cosθiとなる。また、原稿画像の左上頂点から左下頂点までの長さは、原稿長Lに対してL*sinθiとなる。原稿長Lは、前述の式1からL=L0*cosθiである。原稿が右肩上がりに想定最大斜行量θiだけ斜行する場合(図16(b)の出力画像の点線)、読取画像の主走査方向中央から原稿画像の右上頂点までの幅及び原稿画像の右上頂点から右下頂点までの幅が、同様の式で求められる。以上により、図16(b)に示す原稿切り出しによる出力画像の出力主走査幅W’は、以下の式4によって求められる。
W’ = (Lsinθi + WTcosθi/2)*2
= 2L0sinθicosθi + WTcosθi …(式4)
図16(c)に示す通り、想定先端ラインから原稿画像の右上頂点までの長さは、WT/2*sinθiとなる。また、図16(d)に示す通り、原稿後端の主走査方向中央位置から原稿検知センサ18による原稿後端検知位置までの原稿画像後端の辺の長さは、L*tanθiとなる。そのために原稿検知センサ18による原稿後端検知位置から原稿画像の右下頂点までの原稿画像後端の辺の長さは、WT/2-L*tanθiとなる。したがって、原稿検知センサ18による原稿後端検知位置から原稿画像の右下頂点までの長さは、sinθi*(WT/2-L*tanθi)となる。以上により、図16(b)の出力画像における出力副走査長L’は、以下の式5によって求められる。
L’ = WT/2*sinθi+L0+sinθi*(WT/2-L*tanθi) = L0cos2θi + WTsinθi …(式5)
CPU251は、式4及び式5により算出された出力主走査幅W’及び出力副走査長L’を斜行補正部270へ設定する。また、CPU251は、斜行補正量0°(斜行補正しない)を斜行補正部270へ設定する。さらに、CPU251は、回転基準点を以下の通り求めて、斜行補正部270へ設定する。図16(c)に示すように、想定先端ラインの主走査方向中央から上にWT/2*sinθi進み、左にWT/2*cosθi進んだ点が原稿画像の左上頂点となる。さらにそこから左にL*sinθi進んだ点が回転基準点となる。
出力主走査幅W’、出力副走査長L’、斜行補正量0°、及び回転基準点に基づいて斜行補正及び原稿切り出しが行われる。これにより図16(b)に示すように、想定最大斜行量θiだけ原稿が斜行していた場合に、出力画像の画像の欠落領域の発生を防止しつつ、出力画像に含まれる原稿外領域を最小とすることができる。この方法により図16(a)の読取画像に対して斜行補正及び原稿切り出しを行うと、図16(a)に示す出力画像を得ることができる。
図17は、第2実施形態による図10のS103の画像読取処理を表すフローチャートである。ここで説明する画像読取処理は、流し読み処理である。この処理は、CPU251がCPU301から画像読取開始要求を取得することで開始される。
S301~S303の処理は、図13のS201~S203の処理と同様であるために説明を省略する。CPU251は、S303の処理による斜行検知を失敗したか否かを判断する(S304)。斜行検知の失敗は、斜行量、基準端点の座標、及び原稿先端の幅が斜行検知の処理により得られか否かにより判断される。少なくとも一つが得られない場合に斜行検知が失敗したと判断される。
斜行検知が失敗した場合(S304:Y)、CPU251は、想定最大検知量に応じた値を斜行補正部270へ設定する(S340)。具体的には、CPU251は、式4及び式5により算出した出力主走査幅W’及び出力副走査長L’ を斜行補正部270へ設定する。CPU251は、斜行補正量0°を斜行補正部270へ設定する。CPU251は、図16(c)で説明した前述の方法で回転基準点を算出して、斜行補正部270へ設定する。CPU251は、S340の処理で斜行補正部270に設定された設定値に基づいて、斜行補正部270により斜行補正及び原稿切り出しを行う(S306)。
斜行検知が成功した場合(S304:N)、CPU251は、図13のS204~S209、S220、S221、S230と同様の処理により、画像読取処理を行う(S305~S310、S320、S321、S330)。以上により、流し読みによる画像読取処理が終了する。
以上のような処理により、本実施形態の画像形成装置2000は、読取画像から斜行量を正常に取得できず、想定最大斜行量の斜行が発生していた場合であっても、原稿端部の画像の欠落を防止し、読取画像に含まれる原稿外領域を少なくすることが可能となる。

Claims (12)

  1. 原稿を搬送方向に搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段により搬送される前記原稿から画像を読み取る読取手段と、
    前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像に基づいて、前記搬送方向における前記原稿の先端側の辺の前記搬送方向に直交する幅方向に対する傾き角度に対応する傾き量を決定する決定手段と、
    前記傾き量が所定量より小さい場合は前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを前記傾き量が低減されるように前記傾き量だけ補正し、前記傾き量が前記所定量より大きい場合は前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを前記傾き量が低減されるように前記所定量だけ補正する補正手段と、
    前記傾き量が前記所定量より小さい場合は前記補正手段により前記傾き量だけ傾きが補正された画像を、当該画像を前記原稿のサイズで出力し、前記傾き量が前記所定量より大きい場合は前記補正手段により前記所定量だけ傾きが補正された画像を、当該画像を包含する定型サイズのうち最小サイズよりも小さいサイズであって且つ当該画像に外接する矩形のサイズ以上のサイズで出力する出力手段と、
    を備えることを特徴とする、
    画像読取装置。
  2. 前記搬送手段により搬送される前記原稿の搬送方向の長さを検知する検知手段をさらに備えており、
    前記決定手段は、前記搬送方向に直交する方向の前記傾き量に応じた前記原稿の幅を検知し、
    前記補正手段は、前記傾き量が前記所定量より大きい場合に、前記傾き量と前記所定量との差である残斜行量、前記原稿の幅、及び前記原稿の搬送方向の長さから、出力する画像の前記搬送方向に直交する方向の長さである出力主走査幅と前記出力する画像の前記搬送方向の長さである出力副走査長を取得し、前記出力主走査幅、前記出力副走査長、及び前記所定量に基づいて、前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを補正することを特徴とする、
    請求項1記載の画像読取装置。
  3. 前記補正手段は、前記傾き量が前記所定量を超える場合に、前記所定量で前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを補正し、傾きを補正した前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像から、前記出力主走査幅と前記出力副走査長とで得られる領域の画像を切り出すことを特徴とする、
    請求項2記載の画像読取装置。
  4. 前記傾き量が前記所定量を超える場合に補正を行うか否かを設定する設定手段をさらに備えており、
    前記補正手段は、
    前記傾き量が前記所定量を超える場合に補正を行う設定の場合に、前記残斜行量、前記原稿の幅、及び前記原稿の搬送方向の長さから第1出力主走査幅と第1出力副走査長を取得し、前記第1出力主走査幅、前記第1出力副走査長、及び前記所定量に基づいて、前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを補正し、
    前記傾き量が前記所定量を超える場合に補正を行わない設定の場合に、前記傾き量、前記原稿の幅、及び前記原稿の搬送方向の長さから第2出力主走査幅と第2出力副走査長を取得し、前記第2出力主走査幅と前記第2出力副走査長とに基づいて、前記傾き量を0°として前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを補正することを特徴とする、
    請求項2又は3記載の画像読取装置。
  5. 前記補正手段は、前記傾き量が前記所定量を超える場合に補正を行わない設定の場合に、前記傾き量を0°で前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを補正の傾きを補正し、前記傾き量が前記所定量を超える場合に補正を行わない設定の場合に、前記傾き量を0°として前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを補正し、傾きを補正したとして前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像から前記第2出力主走査幅と前記第2出力副走査長とで得られる領域の画像を切り出すことを特徴とする、
    請求項4記載の画像読取装置。
  6. 前記原稿が載置される給紙トレイと、
    前記給紙トレイに載置された前記原稿の前記搬送方向に直交する方向の幅を検知する幅検知手段と、
    前記決定手段が傾きの検知を失敗したか否かを判断する判断手段と、をさらに備えており、
    前記補正手段は、前記決定手段が傾きの検知を失敗したと判断された場合に、前記搬送手段により搬送される前記原稿に発生し得る最大の傾き量、前記幅検知手段で検知された前記幅、及び前記原稿の搬送方向の長さから、出力する画像の前記搬送方向に直交する方向の長さである第3出力主走査幅と前記出力する画像の前記搬送方向の長さである第3出力副走査長を取得し、前記第3出力主走査幅と前記第3出力副走査長とに基づいて、前記傾き量を0°として前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを補正することを特徴とする、
    請求項2~5のいずれか1項記載の画像読取装置。
  7. 前記決定手段は、前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像のエッジを抽出し、抽出したエッジに基づいて前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の搬送方向の先端を検知し、前記搬送方向に直交する方向と前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の前記先端との成す角度から前記傾き量を算出することを特徴とする、
    請求項1~6のいずれか1項記載の画像読取装置。
  8. 前記決定手段は、前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像のエッジを抽出し、抽出したエッジに基づいて前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の頂点の座標を算出し、所定の頂点の座標を前記傾きを補正する際の回転基準点とし、
    前記補正手段は、前記決定手段で回転基準点とされた頂点を基準として、前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の傾きを補正することを特徴とする、
    請求項1~7のいずれか1項記載の画像読取装置。
  9. 前記決定手段は、前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像のエッジを抽出し、抽出したエッジに基づいて前記読取手段により読み取られた前記原稿の画像の頂点の座標を算出し、前記搬送方向に直交する方向に並ぶ二つの頂点により前記原稿の幅を検知することを特徴とする、
    請求項2~8のいずれか1項記載の画像読取装置。
  10. 前記搬送手段により前記原稿が搬送される搬送経路に設けられ、前記搬送経路を搬送される前記原稿を検知する原稿検知手段をさらに備えており、
    前記検知手段は、前記原稿検知手段が搬送される前記原稿を検知したタイミングに基づいて前記原稿の搬送方向の長さを検知することを特徴とする、
    請求項2~9のいずれか1項記載の画像読取装置。
  11. 前記所定量は、前記補正手段で補正可能な最大の傾き量であることを特徴とする、
    請求項1~10のいずれか1項記載の画像読取装置。
  12. 請求項1~11のいずれか1項記載の画像読取装置と、
    前記画像読取装置から出力される画像を表す画像データを取得する取得手段と、
    前記取得手段で取得した前記画像データに基づいて記録紙に画像を形成する印刷手段と、を備えることを特徴とする、
    画像形成装置。
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