JP2022098852A - 水田作業機 - Google Patents

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宏行 竹内
Hiroyuki Takeuchi
全紀 森田
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Abstract

【課題】接地フロートの損傷を防止することが可能な耐久性の高い水田作業機を提供する。【解決手段】機体の後部に昇降自在に支持されて、田面に農用資材を供給する作業装置を備え、作業装置には、田面に接地追従する接地フロート11が設けられており、接地フロート11の上面には、接地フロート11が上昇非作業状態において、機体に固定された固定部材18に当接する凸部11Aが突出形成されている。【選択図】図7

Description

本発明は、田面に苗を植え付ける苗植付装置を装備した乗用型田植機や、田面に種子を供給する播種装置を装備した乗用型直播機等の水田作業機に関する。
水田作業機の一例である乗用型田植機では、特許文献1に開示されているように、苗植付装置(作業装置に相当)を機体の後部に昇降自在に支持したものがある。苗植付装置には、田面に接地追従するセンターフロートが苗植付装置の左右中央に配置され、センターフロートの右側及び左側に、田面に接地追従するサイドフロートが配置されている。
1つのセンターフロート及び2つのサイドフロートで構成される3つの接地フロートは、田面に接地した下降作業状態と、田面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降可能となっている。
特開2014-30406号公報
水田作業機は、これら3つの接地フロートを上昇非作業状態として、トラック等で運搬されることがある。この場合、運搬時の振動等を受けて、植付伝動ケース等が連結される支持フレームの角部に接地フロートが強く当接し、接地フロートに穴が開いてしまうおそれがある。その結果、接地フロートの穴から水が入り、重量アップ及び植付精度不良を引き起こしてしまう。そこで、接地フロートの損傷を防止することが可能な耐久性の高い水田作業機が望まれている。
本発明に係る水田作業機の特徴構成は、機体の後部に昇降自在に支持されて、田面に農用資材を供給する作業装置を備え、前記作業装置には、田面に接地追従する接地フロートが設けられており、前記接地フロートの上面には、前記接地フロートが上昇非作業状態において、前記機体に固定された固定部材に当接する凸部が突出形成されている点にある。
本構成における接地フロートの上面には、接地フロートが上昇非作業状態において、機体に固定された固定部材に当接する凸部が突出形成されている。固定部材としては、作業装置の植付伝動ケース等が連結される支持フレームが挙げられる。接地フロートが上昇非作業状態において、この固定部材に凸部を当接させておけば、水田作業機をトラック等で運搬する際に振動を受けた場合でも、該凸部が緩衝部位となって、接地フロートに穴が開くことが防止される。その結果、穴から水が入り、接地フロートの重量アップ及び植付精度不良を引き起こしてしまうといった不都合を防止できる。
また、接地フロートの上面に凸部を形成すれば、接地フロート自体の剛性が高まり、この凸部を固定部材と当接する部位に設けていることから、効果的に剛性を高めることができる。このように、接地フロートの損傷を防止することが可能な耐久性の高い水田作業機を提供できた。
本発明において、前記凸部は、前記固定部材に当接する部位が曲面形状となっていると好適である。
本構成のように、凸部のうち、固定部材に当接する部位を曲面形状とすれば、振動等により、接地フロートと固定部材との当接箇所が変化したとしても、曲面形状に沿って接地フロートの姿勢が修正される。その結果、接地フロートと固定部材との当接箇所を一定に維持して、接地フロートの損傷を防止することができる。
乗用型田植機の左側面図である。 乗用型田植機の後半部分の平面図である。 苗植付装置の左側面図である。 苗植付装置の概略平面図である。 センターフロート付近の左側面図である。 サイドフロート付近の左側面図である。 上昇非作業状態にあるサイドフロートの斜視図である。 苗植付装置の作動状態を示す概略図である。 植付深さレバーの基端部を拡大した斜視図である。 グリス注入部を示す拡大断面図である。 グリス注入部の変形例を示す拡大断面図である。
図1に示すように、Fは機体Kの「前方向」を示し、Bは機体Kの「後方向」を示し、Uは機体Kの「上方向」を示し、Dは機体Kの「下方向」を示している。また、図2に示すように、Rは機体Kの「右方向」を示し、Lは機体Kの「左方向」を示している。
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び図2に示すように、乗用型田植機において、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた機体Kの後部に、リンク機構3が上下揺動自在に連結されている。
リンク機構3の後部に、6条植型式の苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されており、機体Kの後部に苗植付装置5が昇降自在に支持されている。リンク機構3を昇降操作する油圧シリンダ4が備えられており、油圧シリンダ4により苗植付装置5が機体Kに対して昇降操作される。
図1~図3に示すように、整地装置53が、苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート11)と機体Kとの間に位置するように、苗植付装置5の右部及び左部に亘って配置されて、昇降自在に苗植付装置5に支持されている。
(苗植付装置の構成)
図1~図4に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース17、3個の植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右側部及び左側部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた植付アーム8、苗植付装置5の下部に上下に揺動自在に支持されたセンターフロート9及びサイドフロート11(接地フロートに相当)、6個の苗のせ面を備えた苗のせ台10、苗のせ台10の苗のせ面の各々に備えられた縦送り機構25等を備えている。
図3及び図4に示すように、左右方向に配置された状態で機体Kに固定された支持フレーム18(固定部材に相当)に、フィードケース17及び植付伝動ケース6が連結されており、植付伝動ケース6が支持フレーム18から後側に延出されている。
フィードケース17が、リンク機構3の後部下部の前後方向の軸芯周りに、ローリング自在に支持されている。これにより、苗植付装置5の全体が、ローリング自在に支持されている。
図4に示すように、フィードケース17から横送り軸19が延出され、横送り軸19の端部がブラケット20を介して支持フレーム18に支持されている。横送り軸19の回転に伴って往復横送り駆動される送り部材21が、横送り軸19に外嵌されており、送り部材21が苗のせ台10に接続されている。
図2~図4に示すように、植付伝動ケース6にガイドレール38が左右方向に支持されて、苗のせ台10の下部がガイドレール38に沿って横移動自在に支持されている。支持フレーム18の右端部及び左端部に、上下向きの縦フレーム26が連結されて上側に延出され、縦フレーム26の上部に亘って横フレーム50が連結されている。苗のせ台10の上部の前面にガイドレール27が連結され、横フレーム50に備えられたローラー51に、ガイドレール27が横移動自在に支持されている。
苗のせ台10の下部がガイドレール38に支持され、苗のせ台10の上部が横フレーム50に支持されて、苗のせ台10が、ガイドレール38及び横フレーム50に沿って左右に往復横送り駆動される。
図2に示すように、苗のせ台10の6個の苗のせ面の各々に、幅広のベルト型式の縦送り機構25が備えられている。図4に示すように、フィードケース17から縦送り軸36が延出されて、縦送り軸36の端部がブラケット37を介して支持フレーム18に支持されている。入力軸28の動力により縦送り軸36が回転駆動されており、縦送り軸36に一対の駆動アーム36aが連結されている。
6個の縦送り機構25に動力を伝達する入力部(図示せず)が苗のせ台10に備えられて、入力部が縦送り軸36の駆動アーム36aの間に配置されている。苗のせ台10が往復横送り駆動の右端部又は左端部に達すると、入力部が縦送り軸36の一方の駆動アーム36aに達して、縦送り軸36の一方の駆動アーム36aにより入力部が駆動され、6個の縦送り機構25が所定ストロークだけ作動して、苗のせ台10の苗が下側に送られる。
(前輪及び後輪、苗植付装置への伝動構造)
図1に示すように、機体Kの前部に、エンジン49が支持されている。エンジン49の動力が、静油圧式無段変速装置(図示せず)からギヤ変速式の副変速装置(図示せず)を介して、前輪1及び後輪2に伝達される。
図1及び図4に示すように、静油圧式無段変速装置と副変速装置との間から分岐した動力が、株間変速装置(図示せず)、植付クラッチ44(図8参照)及びPTO軸22を介して、フィードケース17に備えられた入力軸28に伝達される。
図4に示すように、入力軸28の動力が、縦送り軸36に伝達されて、縦送り軸36が回転駆動される。入力軸28の動力が、横送り変速機構29を介して横送り軸19に伝達されて、横送り軸19が回転駆動される。
入力軸28の動力が、伝動チェーン30、植付伝動ケース6に亘って架設された伝動軸23、植付伝動ケース6に備えられた植付伝動軸32に伝達される。植付伝動軸32の動力が、伝動チェーン34及び植付駆動軸35を介して、回転ケース7に伝達される。
図1~図3に示すように、植付クラッチ44(図8参照)が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が回転駆動されるのであり、植付アーム8が、苗のせ台10の下部から苗(農用資材に相当)を取り出して、田面Gに植え付ける(供給する)。苗のせ台10が往復横送り駆動の右端部又は左端部に達すると、6個の縦送り機構25により苗のせ台10の苗が下側に送られる。植付クラッチ44が遮断状態に操作されると、苗のせ台10、回転ケース7及び縦送り機構25が停止する。
(施肥装置の構成)
図1~図3に示すように、機体Kにおいて運転座席31の後側に、肥料を貯留するホッパー12、及び、繰り出し部13が備えられている。繰り出し部13の左側に、ブロア14が備えられている。
センターフロート9及びサイドフロート11に2個の作溝器15が連結されて、6個の作溝器15が備えられている。ホース16が、繰り出し部13から苗植付装置5に延出されて、作溝器15に接続されている。
施肥装置において、副変速装置の動力が、施肥クラッチ45(図8参照)を介して繰り出し部13に伝達される。施肥クラッチ45が伝動状態に操作されると、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13により繰り出されて、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給され、作溝器15を介して肥料が田面Gに供給される。施肥クラッチ45が遮断状態に操作されると、繰り出し部13が停止する。
(昇降操作レバーによる苗植付装置の昇降構造)
図2及び図8に示すように、運転座席31の右側に昇降操作レバー24が備えられており、昇降操作レバー24は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在である。
油圧シリンダ4に作動油を給排操作する機械操作型式の制御弁33が機体Kに備えられている。昇降操作レバー24と、制御弁33、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45とが、機械的に接続されている。
図8に示すように、昇降操作レバー24が上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作されると、制御弁33、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が、以下のように操作される。
昇降操作レバー24が上昇位置に操作されると、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が遮断状態に操作され、制御弁33が上昇位置に操作され、油圧シリンダ4が収縮作動して、苗植付装置5が上昇する。
昇降操作レバー24が中立位置に操作されると、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が遮断状態に操作されて、制御弁33が中立位置に操作され、油圧シリンダ4が停止して、苗植付装置5の昇降が停止する。
昇降操作レバー24が下降位置に操作されると、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が遮断状態に操作され、制御弁33が下降位置に操作され、油圧シリンダ4が伸長作動して、苗植付装置5が下降する。
昇降操作レバー24が下降位置に操作された状態で、センターフロート9が田面Gに接地すると、後述する苗植付装置5の昇降制御が作動する状態となる。これにより、植付アーム8による苗の植付深さが設定植付深さに維持されるように、制御弁33及び油圧シリンダ4が作動して、苗植付装置5が自動的に昇降操作される状態となる。
昇降操作レバー24が植付位置に操作されると、前述の下降位置と同様に、苗植付装置5の昇降制御が作動し、且つ、植付クラッチ44及び施肥クラッチ45が伝動状態に操作される。
(整地装置の構成)
図1及び図2に示すように、整地装置53が、機体Kと苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート11)との間に位置するように、苗植付装置5の右部及び左部に亘って配置され、苗植付装置5に昇降自在に支持されている。
図3及び図4に示すように、整地装置53の左部に、整地伝動ケース81が備えられている。苗植付装置5の左端の植付伝動ケース6において、植付伝動軸32の部分よりも外側に、支持ケース66が連結されている。整地伝動ケース81の後部が、苗植付装置5の左右方向の軸芯P2周りに、上下に揺動自在に支持ケース66に支持されて、整地伝動ケース81が前側に延出されている。
整地装置53の右部に整地支持アーム83が備えられている。支持フレーム18の右端部に、ブラケット68が連結されている。整地支持アーム83の後部が、苗植付装置5の左右方向の軸芯P2周りに、上下に揺動自在にブラケット68に支持されて、整地支持アーム83が前側に延出されている。
整地伝動ケース81の前部及び整地支持アーム83の前部に亘って、断面正方形状の駆動軸61が支持されている。合成樹脂により一体的に構成された小幅で小径の整地体62と、合成樹脂により一体的に構成された小幅で大径の整地体63とが備えられて、整地体62,63が駆動軸61に一体で回転するように取り付けられている。駆動軸61に取り付けられたボス部材57及びスペーサ64により、整地体62,63の位置が決められている。
整地伝動ケース81と整地支持アーム83とに亘って、支持フレーム67が連結されている。金属製の泥除けカバー65が、整地体62,63の後側に位置するように支持フレーム67に連結されている。整地体62,63が回転駆動されて田面Gが整地される際、整地体62,63により田面Gの泥が後側に跳ね飛ばされても、泥除けカバー65により泥が止められる。
以上のように、整地装置53は、整地伝動ケース81、整地支持アーム83、駆動軸61、整地体62,63、泥除けカバー65、支持フレーム67等を備えている。整地伝動ケース81及び整地支持アーム83が軸芯P2周りに上下に揺動することによって、整地装置53が苗植付装置5に昇降操作される。
図4に示すように、苗植付装置5に伝達された動力が、左端の植付伝動ケース6の植付伝動軸32から、支持ケース66の内部の伝動軸69及びトルクリミッター70、整地伝動ケース81の内部の伝動チェーン71を介して、駆動軸61に伝達される。これにより、駆動軸61及び整地体62,63が、図2に示すように、軸芯P1周りに反時計方向に回転駆動される。
(センターフロート及びサイドフロートに関する構造)
図5及び図6に示すように、植付伝動ケース6の下部の左右方向の軸芯P4周りに、支持軸41が回転自在に支持されて、支持軸41に連結された支持アーム41aが、後側の斜め下側に延出されている。
図2に示すように、田面Gに接地追従するセンターフロート9が、苗植付装置5の左右中央に配置されている。センターフロート9の右側及び左側に、田面Gに接地追従するサイドフロート11が配置されている。図5及び図6に示すように、支持軸41の支持アーム41aの後部の左右方向の軸芯P5周りに、センターフロート9及びサイドフロート11の後部が上下に揺動自在に支持されている。
図6に示すように、サイドフロート11を支持する支持軸41の支持アーム41aに亘って、規制軸39が取り付けられている。細長い平板状の規制部材46が備えられて、規制部材46の長手方向に沿って長孔46aが開口されており、規制部材46の長孔46aに規制軸39が挿入されている。
サイドフロート11の前部11aの上面に、ブラケット47が配置されている。ブラケット47は、アングル形状に構成されており、ブラケット47の上部47aに、規制部材46の下部がピン48を介して揺動自在に接続されている。
ブラケット47の下部47bが、サイドフロート11の上面に配置され、平板状の補強部材60が、サイドフロート11の下面に配置されている。ボルト75が、サイドフロート11、ブラケット47の下部47b及び補強部材60を貫通するように配置されて、ブラケット47の下部47bと補強部材60との間に、サイドフロート11が挟み込まれて締め付けられており、ボルト75により、ブラケット47がサイドフロート11に連結されている。
サイドフロート11が軸芯P5周りに下側に揺動すると、規制部材46がサイドフロート11と一緒に下側に移動していく。規制部材46の長孔46aの上端部が規制軸39に達して、規制部材46の長孔46aの上端部に規制軸39が当たることによって、サイドフロート11の下側への揺動が止められるのであり、サイドフロート11が下限位置に達した状態となる。
サイドフロート11が軸芯P5周りに上側に揺動すると、規制部材46がサイドフロート11と一緒に下側に移動していく。規制部材46の長孔46aの下端部が規制軸39に達して、規制部材46の長孔46aの下端部に規制軸39が当たることによって、サイドフロート11の上側への揺動が止められるのであり、サイドフロート11が上限位置に達した状態となる。
(植付深さレバーに関する構造)
図5に示すように、人為的に操作可能な植付深さレバー42が、接続プレート42Aを介して支持軸41に連結されて前側の斜め上側に延出されている。レバーガイド43が支持フレーム18に連結されており、植付深さレバー42がレバーガイド43に挿入されている。
植付深さレバー42により支持軸41の支持アーム41aを回動操作して、軸芯P5の位置(センターフロート9及びサイドフロート11の苗植付装置5に対する支持位置)を上下に変更して、設定高さA1を変更することができる(図8も参照)。
植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることによって、軸芯P5の位置(センターフロート9及びサイドフロート11の苗植付装置5に対する支持位置)を固定して、設定高さA1を設定することができる。
図9に示すように、本実施形態における植付深さレバー42の接続プレート42Aと連結される基端部42aは、植付伝動ケース6と干渉しないようにオフセットされている。また、植付深さレバー42には、基端部42aを補強する補強部材42bが設けられている。植付深さレバー42の基端部42aをオフセットすることにより、基端部42aに切り欠きを設ける必要がなく、レバー操作力を精度良く支持軸41の支持アーム41aに伝達することができる。
図5に示すように、支持フレーム18におけるセンターフロート9の上側の部分に、支持ブラケット77が連結されている。支持ブラケット77の前部の左右方向の軸芯P6周りに、支持リンク78が揺動自在に支持され、支持リンク78の下部と植付深さレバー42の接続プレート42Aとに亘って、連係ロッド82が接続されている。
支持ブラケット77の上側の部分に、支持リンク79が揺動自在に支持されて、支持リンク78,79の上部に、支持部材80が揺動自在に接続されている。支持リンク78,79により平行リンクが形成されており、植付深さレバー42の操作に連動して連係ロッド82によって、支持部材80が前側の斜め下側及び後側の斜め上側に平行移動するのであり、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることにより、支持部材80の位置が決まる。
図5及び図8に示すように、苗植付装置5に対するセンターフロート9の上下動を機械的に取り出して制御弁33に伝達する昇降制御部88が、制御弁33とセンターフロート9とに亘って接続されている。昇降制御部88は、支持ブラケット77、支持リンク78,79、支持部材80、連係ロッド82を備えており、以下の説明のように、感知ロッド84、感知アーム85、感知ワイヤ86等を備えている。
センターフロート9の前部9aの前端部の右側部分に、感知ロッド84が接続されている。支持部材80の左右方向の軸芯P7周りに、感知アーム85が上下に揺動自在に支持されている。感知アーム85の前後中間部に軸芯P7が位置しており、感知ロッド84の上部と感知アーム85の後部とが接続されている。
支持部材80の前部にワイヤ受け部80aが連結されており、感知ワイヤ86のアウター86bが、支持部材80のワイヤ受け部80aに接続されている。感知ワイヤ86のインナー86aに接続部材87が接続され、接続部材87の長孔87aに、感知アーム85の前部のピン85aが挿入されて、感知アーム85の前部と感知ワイヤ86のインナー86aとが接続されている。感知ワイヤ86が機体Kに延出されて、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁33に接続されている。
以上の構造によって、センターフロート9に対する苗植付装置5の昇降(苗植付装置5に対するセンターフロート9の昇降)により、感知アーム85が上下に揺動し、感知ワイヤ86のインナー86aが引き操作及び戻し操作されて、制御弁33が操作される。
センターフロート9に対して苗植付装置5が上昇すると(苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降すると)、感知ロッド84が下降して、感知アーム85の前部が上昇するように、感知アーム85が揺動する。
感知アーム85の前部に、下限位置ピン85bが横向きに連結されている。苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降した場合、感知アーム85の下限位置ピン85bが支持部材80のワイヤ受け部80aの下部に当たることにより、感知アーム85の揺動が止められて、苗植付装置5に対するセンターフロート9の下限位置が決まる。
これにより、苗植付装置5が田面Gから上側に離れる位置に上昇した場合、感知アーム85の下限位置ピン85bが支持部材80のワイヤ受け部80aの下部に当たる下限位置で、センターフロート9が止められて、これ以上に下降しない状態となる。
(苗植付装置の昇降制御)
センターフロート9に対する苗植付装置5の昇降に基づいて、苗植付装置5が設定高さA1に維持されるように(植付アーム8による苗の植付深さが設定植付深さに維持されるように)、昇降制御部88により制御弁33が操作されて、油圧シリンダ4が伸縮作動する状態について説明する。
図5及び図8に示す状態は、植付深さレバー42により設定高さA1を設定し、軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置を設定した状態である。支持部材80(軸芯P7)が田面Gから中立高さA0に位置して、制御弁33が中立位置に操作され、苗植付装置5の昇降が停止し、苗植付装置5が田面Gから設定高さA1に維持された状態である。
植付アーム8は苗植付装置5に対して一定の軌跡で回転駆動されるので、苗植付装置5が田面Gから設定高さA1に維持されると、植付アーム8による苗の植付深さは、設定高さA1に対応する設定植付深さとなる。
図5及び図8に示す状態において、苗植付装置5が設定高さA1から下降すると(苗植付装置5が田面Gに接近すると)、支持部材80(軸芯P7)も一緒に設定高さA1から下降するのであり、植付アーム8による苗の植付深さが設定植付深さよりも深くなり、苗植付装置5に対してセンターフロート9が上昇する状態となる。
これにより、センターフロート9の上昇が、感知ロッド84及び感知アーム85を介して感知ワイヤ86に伝達され、感知ワイヤ86のインナー86aが苗植付装置5側に引き操作されて、制御弁33が上昇位置に操作され、油圧シリンダ4が収縮作動して、苗植付装置5及び支持部材80(軸芯P7)が上昇する。
苗植付装置5の上昇に伴って、苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降する状態となり、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁33側に戻し操作される。支持部材80(軸芯P7)が中立高さA0に達すると、制御弁33が中立位置に操作され、油圧シリンダ4が停止して、苗植付装置5の上昇が設定高さA1で停止するのであり、植付アーム8による苗の植付深さが設定植付深さに戻る。
この場合、制御弁33を上昇位置から下降位置に付勢する下降付勢バネ(図示せず)が備えられているので、前述のように苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降する際に、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁33側に引き操作される状態となり、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁33側に無理なく戻し操作される。
図5及び図8に示す状態において、苗植付装置5が設定高さA1から上昇すると(苗植付装置5が田面Gから離間すると)、支持部材80(軸芯P7)も一緒に設定高さA1から上昇するのであり、植付アーム8による苗の植付深さが設定植付深さよりも浅くなって、苗植付装置5に対してセンターフロート9が下降する状態となる。
これにより、センターフロート9の下降が感知ロッド84及び感知アーム85を介して感知ワイヤ86に伝達され、感知ワイヤ86のインナー86aが制御弁33側に戻し操作されて、前述の下降付勢バネにより制御弁33が下降位置に操作され、油圧シリンダ4が伸長作動して、苗植付装置5及び支持部材80(軸芯P7)が下降する。
苗植付装置5の下降に伴って、苗植付装置5に対してセンターフロート9が上昇する状態となり、感知ワイヤ86のインナー86aが苗植付装置5側に引き操作される。支持部材80(軸芯P7)が中立高さA0に達すると、制御弁33が中立位置に操作され、油圧シリンダ4が停止し、苗植付装置5の設定高さA1で下降が停止するのであり、植付アーム8による苗の植付深さが設定植付深さに戻る。
図5及び図8に示す状態において植付深さレバー42を深側(下側)に操作すると、植付深さレバー42により軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置が上昇して苗植付装置5に接近する状態となり、設定高さA1が低くなる。
植付深さレバー42の深側(下側)への操作に伴って、連係ロッド82により支持リンク78,79が上側に操作され、支持部材80(軸芯P7)が中立高さA0に維持されるのであり、支持部材80(軸芯P7)に対して苗植付装置5の位置が下側に設定される。
この状態で、支持部材80(軸芯P7)が中立高さA0に維持されるように、苗植付装置5が自動的に昇降操作されると、苗植付装置5が低い設定高さA1に維持されて、植付アーム8による苗の植付深さ(設定植付深さ)が深いものとなる(接地フロートの上昇作業状態)。
図5及び図8に示す状態において植付深さレバー42を浅側(上側)に操作すると、植付深さレバー42により軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置が下降して苗植付装置5から離間する状態となり、設定高さA1が高くなる。
植付深さレバー42の浅側(上側)への操作に伴って、連係ロッド82により支持リンク78,79が下側に操作され、支持部材80(軸芯P7)が中立高さA0に維持されるのであり、支持部材80(軸芯P7)に対して苗植付装置5の位置が上側に設定される。
この状態で、支持部材80(軸芯P7)が中立高さA0に維持されるように、苗植付装置5が自動的に昇降操作されると、苗植付装置5が高い設定高さA1に維持されて、植付アーム8による苗の植付深さ(設定植付深さ)が浅いものとなる。
植付深さレバー42を深側(下側)に操作した状態(軸芯P5(センターフロート9及びサイドフロート11)の位置が上昇して苗植付装置5に接近する状態)で、苗植付装置5による作業を停止する場合がある(接地フロートの上昇非作業状態)。この状態で、乗用型田植機をトラック等で運搬すると、支持フレーム18の両端に位置するサイドフロート11の上面が、支持フレーム18の角部に強く当接し、サイドフロート11に穴が開いてしまうおそれがある。
そこで、図6~図7に示すように、本実施形態におけるサイドフロート11の上面には、サイドフロート11が上昇非作業状態(図7の状態)において、機体Kに固定された支持フレーム18に当接する凸部11Aが突出形成されている。サイドフロート11の前部11aには、支持フレーム18に対向する上面の左右両端部に一対の凸部11Aが形成されており、凸部11Aの支持フレーム18に当接する部位が曲面形状となっている。
このように、サイドフロート11が上昇非作業状態において、支持フレーム18に凸部11Aを当接させておけば、水田作業機をトラック等で運搬する際に振動を受けた場合でも、凸部11Aが緩衝部位となって、サイドフロート11に穴が開くことが防止される。その結果、穴から水が入り、サイドフロート11の重量アップ及び植付精度不良を引き起こしてしまうといった不都合を防止できる。また、サイドフロート11の上面に11Aを形成すれば、サイドフロート11自体の剛性が高まり、この凸部11Aを支持フレーム18と当接する部位に設けていることから、効果的に剛性を高めることができる。
(グリス注入部の構造)
図1及び図3に示すように、植付アーム8の内部には回転駆動軸やベアリング等の植付爪駆動部材(不図示)が収納されており、この植付爪駆動部材を潤滑するためのグリスを注入するグリス注入部8Aが植付アーム8に設けられている。
図10に示すように、本実施形態におけるグリス注入部8Aは、グリスが注入されるニップル部81Aと、ニップル部81Aと隣り合う位置に設けられた空気抜き穴82Aと、ニップル部81Aを覆い、空気抜き穴82Aを閉塞するゴム栓83Aとを有している。植付アーム8の内部にグリスを注入する際には、ゴム栓83Aを取り外す必要がある。このように、ゴム栓83Aを設けることにより、空気抜き穴82Aが外気と連通するため、グリス注入により植付アーム8の内部圧力が高まり、植付アーム8が破損するといった不都合がない。なお、このゴム栓83Aは、紐等で植付アーム8の筐体と接続させておくことで紛失を防止することができる。
図11には、グリス注入部8Aの変形例が示されている。本変形例では、植付アーム8の筐体のうち、ニップル部81Aとは異なる位置に、ゴム製の注油プラグ84Aを設けている。注油プラグ84Aは、植付アーム8の筐体内面に当接可能な円環状の抜け出し防止部84aと、抜け出し防止部84aに隣接するネジ部84bと、抜け出し防止部84aとは反対側でネジ部84bに隣接するシール部84cとが、一体形成されている。植付アーム8の内部にグリスを注入する際には、注油プラグ84Aを取り外して使用するが、注油プラグ84Aの取り外しを忘れることがある。本変形例では、変形容易なゴム製の注油プラグ84Aを用いており、グリス注入により植付アーム8の内部圧力が高まった場合でも、植付アーム8の筐体を破損することなく、注油プラグ84Aが抜け出し方向に移動する。このとき、抜け出し防止部84aにより注油プラグ84Aの脱落を防止し、シール部84cがシール機能を維持した状態で変形するので、泥水の浸入を防止することができる。
(発明の実施の別形態)
(1)苗植付装置5を、6条植型式ではなく、4条植型式や、8条植型式、10条植型式に構成してもよい。8条植型式及び10条植型式であると、センターフロート9に対して、右側に2個のサイドフロート11が配置され、左側に2個のサイドフロート11が配置される。
(2)サイドフロート11の凸部11Aは、支持フレーム18に対向する上面の左右両端部に設ける必要はなく、支持フレーム18の両端部に対向する一対のサイドフロート11の夫々の左右両端部のうち、支持フレーム18の最も外側にある角端部に対向するサイドフロート11端部の上面1箇所のみに設けても良い。また、凸部11Aの形状は、支持フレーム18に当接する部位が曲面形状に限定されず、例えば、角柱状に形成しても良い。
(3)サイドフロート11の凸部11Aに関する構造が、センターフロート9にも備えられるように構成してもよい。この場合、センターフロート9の前部9aには、支持フレーム18に対向する上面の左右両端部に一対の凸部が形成されていることが好ましい。また、センターフロート9の凸部の支持フレーム18に当接する部位が曲面形状となっていることが好ましい。
(4)整地装置53が備えられなくてもよい。整地装置53が備えられない場合、整地装置53を昇降操作する装置(電動モータ56や昇降ギヤ54等)等が不要になる。
本発明は、乗用型田植機ばかりではなく、田面Gに種子(農用資材に相当)を供給する播種装置(図示せず)(作業装置に相当)を機体Kの後部に支持した乗用型播種機にも適用できるのであり、田面Gに肥料や薬剤(農用資材に相当)を供給する供給装置(図示せず)(作業装置に相当)を機体Kの後部に支持した水田作業機にも適用できる。
5 苗植付装置(作業装置)
11 サイドフロート(接地フロート)
11A 凸部
18 支持フレーム(固定部材)
G 田面
K 機体

Claims (2)

  1. 機体の後部に昇降自在に支持されて、田面に農用資材を供給する作業装置を備え、
    前記作業装置には、田面に接地追従する接地フロートが設けられており、
    前記接地フロートの上面には、前記接地フロートが上昇非作業状態において、前記機体に固定された固定部材に当接する凸部が突出形成されている水田作業機。
  2. 前記凸部は、前記固定部材に当接する部位が曲面形状となっている請求項1に記載の水田作業機。
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