JP2022095702A - 脂質ナノ粒子の安定化製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】両親媒性ポリマーおよび1つ以上の脂質ナノ粒子構成成分を含む新規安定化組成物を提供する。【解決手段】安定化ナノ粒子製剤は、両親媒性ポリマーと、脂質ナノ粒子(LNP)とを含む。脂質ナノ粒子(LNP)は、イオン化可能脂質、リン脂質、構造脂質、PEG脂質、およびメッセンジャーRNA(mRNA)を含む。両親媒性ポリマーとLNPは、約0.0004:1~約100:1のwt/wt比で存在する。【選択図】なし

Description

本開示は、両親媒性ポリマーおよび1つ以上の脂質ナノ粒子構成成分を含む新規安定化組成物、ならびに1つ以上の治療薬および/もしくは予防薬を哺乳動物細胞もしくは臓器に送達させ、かつ/または哺乳動物細胞もしくは臓器中でポリペプチドを産生させるための脂質ナノ粒子を含む方法を提供する。
生物活性物質、例えば小分子薬物、タンパク質、および核酸の有効な標的化送達は、継続的な医学的課題を表す。特に、細胞への核酸の送達は、そのような種の相対的不安定性および低い細胞浸透性により困難となる。したがって、細胞への治療薬および/または予防薬、例えば核酸の送達を容易にするための方法および組成物を開発することが必要とされている。
脂質含有ナノ粒子または脂質ナノ粒子、リポソーム、およびリポプレックスは、生物活性物質、例えば小分子薬物、タンパク質、および核酸のための、細胞および/または細胞内コンパートメント中への輸送ビヒクルとして有効であることが証明されている。
種々のそのような脂質含有ナノ粒子が実証されているが、安全性、効力、および特異性の改善が依然として欠落している。
一態様において、本開示は、両親媒性ポリマーと、イオン化可能脂質またはその薬学的に許容可能な塩を含む脂質ナノ粒子(LNP:lipid nanoparticle)構成成分とを含む安定化ナノ粒子製剤を提供する。
安定化製剤は、以下の特徴の1つ以上を含み得る。
例えば、製剤は、水性製剤またはその凍結乾燥もしくは冷凍製剤である。
例えば、両親媒性ポリマーとLNPとの重量比は、約0.0004:1~約100:1(例えば、約0.001:1~約10:1、約0.001:1~約5:1、約0.001:1~約0.1:1、約0.005~約0.4:1、または約0.5:1~約4:1、約0.05:1~約5:1、約0.1:1~約5:1、または約0.05:1~約2.5:1、約1:1~約50:1、約2:1~約50:1、または約1:1~約25:1)である。
例えば、製剤は、4℃以下における少なくとも1ヵ月間の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。
例えば、製剤は、例えば、動的光散乱(DLS:dynamic light scattering)によって計測して最大30回の冷凍/解凍サイクル後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。
例えば、製剤は、精製前のLNP平均サイズと比較して精製プロセス後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。例えば、精製プロセスは、濾過を含む。
例えば、製剤は、凍結乾燥前のLNP平均サイズと比較して凍結乾燥後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。
例えば、製剤は、不純物(例えば、化学的および物理的不純物)を実質的に有さない。
例えば、製剤は、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約1%以下、または約0.5%以下の不純物を含有する。
例えば、不純物としては、構造脂質(例えば、コレステロール)を有するリン脂質(例えば、DSPC)の凝集物が挙げられる。例えば、不純物としては、構造脂質(例えば、コレステロール)を有さないリン脂質(例えば、DSPC)の凝集物が挙げられる。例えば、不純物としては、コレステロールを有するDSPCの凝集物が挙げられる。例えば、不純物としては、コレステロールを有さないDSPCの凝集物が挙げられる。
例えば、LNPは、冷凍または凍結乾燥後に少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも95%のクロマトグラフィー純度(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーもしくは「SEC」による、あるいは逆相HPLCもしくは「RP-HPLC」またはその両方による)を有する。
例えば、不純物としては、サブビジブル粒子状物質(例えば、1ミクロン超のサイズを有する粒子状物質)が挙げられる。
例えば、両親媒性ポリマーは、非イオン性である。
例えば、両親媒性ポリマーは、リオプロテクタントである。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポロキサマー(プルロニック(Pluronic)(登録商標))、ポロキサミン(テトロニック(Tetronic)(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)、およびポリビニルピロリドン(PVP)から選択される。例えば、両親媒性ポリマーは、P188である。
例えば、両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC:critical micelle concentration)を有する。
例えば、両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、約0.025%w/v~約3%w/vの範囲である。例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、約0.025%w/w~約3%w/wの範囲である。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.025%w/v~約1%w/vの範囲である。例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.025%w/w~約1%w/wの範囲である。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.1%w/v~約3%w/vの範囲である。例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.1%w/w~約3%w/wの範囲である。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.1%w/v~約2.5%w/v、約0.1%w/v~約1%w/v、または約0.1%w/v~約0.4%w/vの範囲である。例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.1%w/w~約2.5%w/w、約0.1%w/w~約1%w/w、または約0.1%w/w~約0.4%w/wの範囲である。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.1%w/v~約0.5%w/vの範囲である。例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.1%w/w~約0.5%w/wの範囲である。
例えば、製剤は、両親媒性ポリマーの濃度が増加する場合、凍結乾燥後にサブビジブル粒子状物質の量の減少を有する。例えば、サブビジブル粒子状物質の量は、両親媒性ポリマーの存在下において、それを有さない場合と比較して少なくとも10倍だけ(例えば、少なくとも50倍、100倍、または200倍だけ)減少する。
例えば、製剤は、糖、例えば二糖(例えば、スクロースもしくはトレハロースまたはそれらの組合せ)をさらに含む。
例えば、糖の濃度は、冷凍または凍結乾燥前に合計で0%w/w~約30%w/wの範囲である。例えば、糖の濃度は、冷凍または凍結乾燥前に0%w/w~約25%w/w(例えば、約0~25%w/w、0~20%w/w、0~15%w/w、0~10%w/w、約5%w/w、約8%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、または約25%w/w)の範囲である。
例えば、製剤は、塩、例えば塩化物塩、例えばNaClをさらに含む。
例えば、塩の濃度は、冷凍または凍結乾燥前に0mM~約300mM(例えば、70~140mM)の範囲である。
例えば、製剤は、酸化防止剤をさらに含む。
例えば、製剤は、冷凍または凍結乾燥前に約4~約8の範囲のpH値を有する。
例えば、製剤は、治療剤および/または予防剤、例えば核酸、例えばmRNAをさらに含む。例えば、mRNAは、少なくとも30ヌクレオチド長(例えば、少なくとも300ヌクレオチド長)である。
例えば、製剤は、例えば、冷凍または凍結乾燥前に約0.25mg/mL~約8mg/mL(例えば、約0.25mg/mL、約0.5mg/mL、約0.75mg/mL、約1mg/mL、約1.5mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約6mg/mL、約0.25~6mg/mL、約0.25~4mg/mL、約0.25~2mg/mL、または約0.5~2mg/mL、または約0.5~1mg/mL)の核酸(例えば、mRNA)を有する。
例えば、製剤は、本明細書に記載のとおり貯蔵し、投与前または投与中に希釈することができる。例えば、投与用製剤は、約0.01mg/mL~約2mg/mL(例えば、約0.01mg/mL、約0.025mg/mL、約0.05mg/mL、約0.075mg/mL、約0.1mg/mL、約0.3mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.5mg/mL、約2mg/mL、約0.025~1mg/mL、または約0.05~1mg/mL、または約0.5~1mg/mL)の核酸(例えば、mRNA)を有する。
例えば、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.025:1~約100:1(例えば、約0.025:1~約1:1、約0.1:1~約4:1、約10:1~約40:1、約1:1~約50:1、約2:1~約50:1、または約1:1~約25:1)である。例えば、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、LNP製剤を形成または処理するために約0.025:1~約1:1である(例えば、LNP構成成分と核酸を混合し、それらの混合物を精製し、製剤を濃縮し、および/または製剤のpHを調整する場合)。例えば、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、LNP製剤を冷凍および/または解凍するために約0.1:1~約4:1である。例えば、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、LNP製剤を凍結乾燥させるために約10:1~約40:1である。例えば、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、(例えば、ネブライゼーションに)使用されるLNP製剤を包装するために約0.25:1~約100:1(例えば、約0.5:1~約12:1)である。
例えば、治療剤および/または予防剤の封入効率は、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である。
例えば、封入効率は、約4℃以下における少なくとも1ヵ月間の貯蔵後に実質的に同一である。例えば、封入効率は、約4℃以下における少なくとも1ヵ月間の貯蔵後に20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)減少し得る。
例えば、封入効率は、最大30回の冷凍/解凍サイクル後に実質的に同一である。
例えば、封入効率は、精製前のものと比較して精製プロセス後に実質的に同一である。例えば、精製プロセスは、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過または「TFF」)を含む。
例えば、封入効率は、凍結乾燥前のものと比較して凍結乾燥後に実質的に同一である。
例えば、LNPと治療剤および/または予防剤とのwt/wt比は、約10:1~約60:1(例えば、約2:1~約30:1)である。
例えば、LNPの平均サイズは、約70nm~約130nm(例えば、約70~100nm)である。
例えば、製剤は、凍結乾燥時に約70℃以上のガラス転移温度(T)を有する。
例えば、製剤は、免疫原性(例えば、自然免疫応答の誘導)をほとんど有さないかまたはまったく有さない。例えば、製剤は、両親媒性ポリマーを含まない対応する製剤と比較して低い免疫原性を有する。一部の例において、両親媒性ポリマーを含む製剤は、製剤が導入される細胞の自然免疫応答を実質的に誘導しない。
例えば、治療または予防剤を含む製剤は、両親媒性ポリマーを含まない対応する製剤と比較して増加した治療指数を有する。
例えば、LNP構成成分は、中性脂質、例えばリン脂質またはその類似体もしくは誘導体をさらに含む。
例えば、LNP構成成分は、例えば、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、ウルソル酸、アルファ-トコフェロール、およびそれらの混合物からなる群から選択される構造脂質をさらに含む。
例えば、LNP構成成分は、例えば、PEG-修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG-修飾ホスファチジン酸、PEG-修飾セラミド、PEG-修飾ジアルキルアミン、PEG-修飾ジアシルグリセロール、PEG-修飾ジアルキルグリセロール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるPEG脂質をさらに含む。
例えば、LNP構成成分は、PEG脂質を含まないかまたは低PEGである。
例えば、LNP構成成分は、約30mol%~約60mol%のイオン化可能脂質、約0mol%~約30mol%のリン脂質、約18.5mol%~約48.5mol%の構造脂質、および約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。
例えば、LNP構成成分は、約50mol%のイオン化可能脂質、約10mol%のリン脂質、約38.5mol%の構造脂質、および約1.5mol%のPEG脂質を含む。
例えば、イオン化可能脂質は、イオン化可能アミノ脂質、例えば式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、および(IIe)のいずれかの化合物を含む。
例えば、製剤は、無菌である。
例えば、製剤は、約20℃~約25℃の範囲の温度において少なくとも1週間(例えば、少なくとも2週間、少なくとも1ヵ月間、少なくとも2ヵ月間、または少なくとも4ヵ月間)にわたって安定化される。
例えば、製剤は、約2℃~約8℃において少なくとも2週間(例えば、少なくとも1ヵ月間、少なくとも2ヵ月間、または少なくとも4ヵ月間)にわたって安定化される。
例えば、製剤は、約4℃以下において、例えば約-150℃~約0℃または約-80℃~約-20℃(例えば、約-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-130℃、または-150℃)の温度において少なくとも2週間(例えば、少なくとも1ヵ月間、少なくとも2ヵ月間、または少なくとも4ヵ月間)にわたって安定化される。
例えば、製剤は、約-20℃以下(例えば、約-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、または-80℃)において少なくとも1ヵ月間(例えば、少なくとも2ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、または少なくとも1年間)にわたって安定化される。
別の態様において、本開示は、免疫原性を低下させる方法であって、本開示の製剤を細胞中に導入することを含み、製剤は、両親媒性ポリマーを含まない対応する製剤によって誘導される細胞中での細胞免疫応答の誘導と比較して、製剤に対する細胞の細胞免疫応答の誘導を低減させる、方法を特徴とする。例えば、細胞免疫応答は、自然免疫応答、適応免疫応答、またはその両方である。
さらに別の態様において、本開示は、ストレスの適用時に脂質ナノ粒子(LNP)製剤を安定化させる方法であって、ストレスの適用前または適用中にLNP製剤に両親媒性ポリマーを添加することを含む方法を特徴とする。例えば、ストレスとしては、製剤を生成し、精製し、包装し、貯蔵し、および使用する場合に製剤に適用される任意のストレス、例えば熱、剪断、過剰撹拌、膜濃度分極(電荷状態の変化)、脱水、冷凍ストレス、乾燥ストレス、冷凍/解凍ストレス、ネブライゼーションストレスなどが挙げられる。ストレスは、製剤の1つ以上の不所望な特性変化、例えば不純物、サブビジブル粒子の量の増加、またはその両方、LNPサイズの増加、封入効率、治療効力の減少、またはその両方、および寛容性の減少(例えば、免疫原性の増加)を引き起こし得る。
さらに別の態様において、本開示は、脂質ナノ粒子(LNP)製剤を精製する方法であって、両親媒性ポリマーの存在下で第1のLNP製剤を濾過して第2のLNP製剤を得ることを含む方法を特徴とする。
本開示はまた、脂質ナノ粒子(LNP)製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させる方法であって、両親媒性ポリマーの存在下で第1のLNP製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させて第2のLNP製剤を得ることを含む方法を特徴とする。
安定化脂質ナノ粒子(LNP)製剤を生成する方法であって、第1の両親媒性ポリマーを、イオン化可能脂質およびmRNAを含む脂質組成物と混合して混合物を得ることを含む方法も開示される。例えば、混合は、第1の両親媒性ポリマーを脂質組成物と乱流またはマイクロ流体混合することを含む。例えば、本方法は、混合物を精製することをさらに含む。例えば、精製は、任意選択的に第2の両親媒性ポリマーを添加するタンジェンシャルフロー濾過を含む。例えば、本方法は、第3の両親媒性ポリマーを添加し、かつ任意選択的に塩、糖、またはそれらの組合せを添加して製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させることを含む。
本明細書に開示の方法のいずれも、本明細書の製剤について記載される特徴の1つ以上および以下の特徴の1つ以上を含み得る。
例えば、本方法は、第4の両親媒性ポリマーを添加して製剤を包装することをさらに含む。
例えば、第1、第2、第3、および第4の両親媒性ポリマーは、同一のポリマーである。
例えば、第1、第2、第3、および第4の両親媒性ポリマーは、異なる。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、非イオン性である。例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、非イオン性である。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、ポロキサマー(プルロニック(Pluronic)(登録商標))、ポロキサミン(テトロニック(Tetronic)(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)、およびポリビニルピロリドン(PVP)から選択される。例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、ポロキサマー(プルロニック(Pluronic)(登録商標))、ポロキサミン(テトロニック(Tetronic)(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)、およびポリビニルピロリドン(PVP)から選択される。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、P188である。例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、P188である。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、約30℃および大気圧において水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、約30℃および大気圧において水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、約0.1%w/v~約3%w/vまたは約0.1%w/w~約3%w/wの範囲の濃度において存在する。例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、約0.1%w/v~約3%w/vまたは約0.1%w/w~約3%w/wの範囲の濃度において存在する。
例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較してLNP平均サイズの増加を実質的に有さない。例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。
例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して多分散指数の増加を実質的に有さない。
例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)の多分散指数の増加を有する。
さらに別の態様において、本開示は、上記態様による製剤および薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を特徴とする。例えば、医薬組成物は、貯蔵および/または発送のために冷蔵されるかまたは冷凍される(例えば、4℃以下の温度、例えば約-150℃~約0℃または約-80℃~約-20℃の温度(例えば、約-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-130℃、または-150℃)において貯蔵される)。例えば、医薬組成物は、貯蔵および/または発送のために例えば約-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、または-80℃において冷蔵される液剤である。
別の態様において、本開示は、細胞(例えば、哺乳動物細胞)に治療薬および/または予防薬(例えば、mRNA)を送達する方法を提供する。この方法は、対象(例えば、哺乳動物、例えばヒト)に(i)両親媒性ポリマー、(ii)少なくとも1つの脂質ナノ粒子構成成分、ならびに(iii)治療薬および/または予防薬を含む本明細書に開示の製剤を投与することを含むステップを含み、投与は、細胞を製剤組成物と接触させることを含み、それにより治療薬および/または予防薬を細胞に送達する。
別の態様において、本開示は、細胞(例えば、哺乳動物細胞)中で目的のポリペプチドを産生する方法を提供する。本方法は、細胞を、(i)両親媒性ポリマー、(ii)少なくとも1つの脂質ナノ粒子構成成分、および(iii)目的のポリペプチドをコードするmRNAを含む本明細書に開示の製剤と接触させるステップを含み、それにより、mRNAは、細胞中で翻訳されてポリペプチドを産生し得る。
別の態様において、本開示は、疾患または障害の治療を、それを必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)において行う方法を提供する。本方法は、哺乳動物に、(i)両親媒性ポリマー、(ii)少なくとも1つの脂質ナノ粒子構成成分、ならびに(iii)治療有効量の治療薬および/または予防薬(例えば、mRNA)を含む本明細書に開示の製剤を投与するステップを含む。一部の実施形態において、疾患または障害は、機能不全のまたは異常なタンパク質またはポリペプチド活性により特徴付けられる。例えば、疾患または障害は、奇病、感染性疾患、癌および増殖性疾患、遺伝性疾患(例えば、嚢胞性線維症)、自己免疫疾患、糖尿病、神経変性疾患、心血管性および腎血管性疾患、ならびに代謝性疾患からなる群から選択される。
別の態様において、本開示は、哺乳動物臓器(例えば、肝臓、脾臓、肺、または大腿骨)に治療薬および/または予防薬を送達する(例えば、特異的に送達する)方法を提供する。この方法は、対象(例えば、哺乳動物)に、(i)両親媒性ポリマー、(ii)少なくとも1つの脂質ナノ粒子構成成分、ならびに(iii)治療薬および/または予防薬(例えば、mRNA)を含む本明細書に開示の製剤を投与するステップを含み、投与は、細胞を製剤と接触させることを含み、それにより標的臓器(例えば、肝臓、脾臓、肺、または大腿骨)に治療薬および/または予防薬を送達する。
別の態様において、本開示は、標的臓器(例えば、肝臓、脾臓、肺、または大腿骨)への治療薬および/または予防薬(例えば、mRNA)の送達を向上させる方法を特徴とする。この方法は、対象(例えば、哺乳動物)に、(i)両親媒性ポリマー、(ii)少なくとも1つの脂質ナノ粒子構成成分、ならびに(iii)治療薬および/または予防薬を含む本明細書に開示の製剤を投与することを含み、投与は、標的臓器を製剤と接触させることを含み、それにより標的臓器に治療薬および/または予防薬を送達する。
本開示はまた、本明細書に開示の製剤または医薬組成物を生成する方法を含む。
P188の濃度により影響を受ける脂質ナノ粒子(LNP)の直径を示すプロットであり、ナノ沈殿へのP188の添加が、得られたLNP分散液の平均直径を低減させたことを実証する。 緩衝液交換(透析)中のP188の添加が、マイクロフローイメージング(MFI:micro-flow imaging)により計測された最終生成物中の合計のサブビジブル粒子状物質レベル(>1μm)を有意に低減させた(約10×)ことを示すプロットである。 P188の添加が、冷凍/解凍ストレスを介するLNP直径の保存を改善したこと、ならびに塩(例えば、NaCl)およびP188の添加が、塩またはP188単独と対照的に粒子サイズ成長を有意に低減させる相乗効果を有したことを示すプロットである。 動的光散乱(DLS)により計測されたP188の濃度増加に伴うLNPサイズ制御のプロットである。淡灰色バーは、凍結乾燥前の平均LNPサイズを示し、暗灰色バーは、凍結乾燥後の平均LNPサイズを示す。エラーバーは、平均値の1標準誤差を示す。 動的光散乱(DLS)により計測されたP188の濃度増加に伴うLNPサイズ制御のプロットである。淡灰色バーは、凍結乾燥前の平均LNPサイズを示し、暗灰色バーは、凍結乾燥後の平均LNPサイズを示す。エラーバーは、平均値の1標準誤差を示す。 増加するP188含有率を用いる試料中のMFIにより計測されたサブビジブル粒子状物質の濃度のプロットである。淡灰色バーは、凍結乾燥前のサブビジブル粒子状物質の濃度を示し、暗灰色バーは、凍結乾燥後の濃度を示す。エラーバーは、平均値の1標準誤差を示す。 P188含有率の増加が、イオン化可能脂質を含有するLNPの特徴を改善することを示すプロットである。図6Aは、凍結乾燥前(淡灰色)および凍結乾燥後(暗灰色)のLNP直径のプロットである。エラーバーは、平均値の1標準誤差を表す。 P188含有率の増加が、イオン化可能脂質を含有するLNPの特徴を改善することを示すプロットである。図6Bは、凍結乾燥前(淡灰色)および凍結乾燥後(暗灰色)のサブビジブル粒子状物質の濃度のプロットである。エラーバーは、平均値の1標準誤差を表す。 PS20(図7A)の存在下での凍結乾燥前(淡灰色)および凍結乾燥後(暗灰色)のLNPサイズのプロットであり、ポリマーの添加が、ポリマーを有さない同一糖組成物と比較してサイズ成長を低減させることを実証する。 PVP(図7B)の存在下での凍結乾燥前(淡灰色)および凍結乾燥後(暗灰色)のLNPサイズのプロットであり、ポリマーの添加が、ポリマーを有さない同一糖組成物と比較してサイズ成長を低減させることを実証する。 ポリマーなし(図8A)の経時的なサブビジブル粒子状物質の濃度のプロットである。y軸は、群間で異なり、より低い値は、サブビジブル粒子状物質の良好な制御を示す。 PVP(図8B)ありの経時的なサブビジブル粒子状物質の濃度のプロットである。y軸は、群間で異なり、より低い値は、サブビジブル粒子状物質の良好な制御を示す。 PS20(図8C)ありの経時的なサブビジブル粒子状物質の濃度のプロットである。y軸は、群間で異なり、より低い値は、サブビジブル粒子状物質の良好な制御を示す。 異なる濃度のP188により影響を受ける乾燥ケーキのガラス転移(T)のプロットである。 製剤のネブライゼーションありおよびなしで計測された異なる濃度のP188により影響を受ける封入効率のプロットである。製剤緩衝液は、酢酸緩衝液中で0.1~2.0%の範囲のP188濃度を含有する。 製剤のネブライゼーションありおよびなしで計測された異なる濃度のP188により影響を受けるLNPサイズのプロットである。製剤緩衝液は、酢酸緩衝液中で0.1~2.0%の範囲のP188濃度を含有する。 P188の添加が、ネブライゼーション後のRNA封入を改善することを実証する封入効率のプロットである。低pH緩衝液およびP188の組合せは、製剤特徴を相乗的に改善する。 異なるポリマー(すなわち3kDa、10kDa、または29kDaの分子量を有するPVP、P124、P188、およびP237)の存在下でのネブライゼーション前後のLNP特徴付けデータ:LNPサイズ(図12A)のプロットである。 異なるポリマー(すなわち3kDa、10kDa、または29kDaの分子量を有するPVP、P124、P188、およびP237)の存在下でのネブライゼーション前後のLNP特徴付けデータ:封入効率(図12B)のプロットである。 DLSにより計測されたLNP直径により示される凍結乾燥製剤の安定性を示す一連のプロットである。行は、製剤を示す一方、列は、貯蔵温度を摂氏で示す。P188製剤1および2は、凍結乾燥製剤であり、同一産物の冷凍物と比較する。 それぞれ種々の冷凍/解凍(F/T:freeze/thaw)サイクル後に計測された3つの異なる製剤におけるMC3LNPサイズのプロットである。図中のMC3I、MC3II、およびMCIIIは、実施例4に記載の3つの異なる緩衝液条件下でのMC3-LNP製剤を指す。 それぞれ種々の冷凍/解凍(F/T:freeze/thaw)サイクル後に計測された3つの異なる製剤における封入効率(EE:encapsulation efficiency)のプロットである。図中のMC3I、MC3II、およびMCIIIは、実施例4に記載の3つの異なる緩衝液条件下でのMC3-LNP製剤を指す。
核酸を含有する脂質ナノ粒子(LNP)は、インタクト形態での核酸の細胞内送達を達成し、生物学的変化、例として治療効果を可能とするデリケートな送達系である。形成および貯蔵安定性、LNPのサイズおよび核酸の封入の程度は、性能の重要なパラメータである。100nm未満の平均サイズを有する粒子が製剤に関して通常好ましい。粒子サイズの成長および/または封入の損失は、一般に、LNPに適用されるストレスの不所望な結果である。
ストレスとしては、以下の1つ以上:調製(例えば、形成、精製、LNPの濃度増加、および凍結乾燥)、貯蔵(例えば、低温または他の条件)、取扱(例えば、振盪および解凍)および送達(例えば、硝子体内送達のための超微細針を介するまたは吸入のためのネブライゼーションを介する剪断)を挙げることができる。ストレスとしては、加熱、剪断、過剰撹拌、冷凍濃度、膜濃度分極(電荷状態の変化)、脱水などを挙げることもできる。LNPに対するストレスの影響は、効力の損失(核酸分解および/または粒子凝集に起因)ならびに寛容性の変化(例えば、免疫刺激)であり得る。LNPが凝集し、またはそれらがサブビジブル(ミクロン)粒子の集団と会合している限り、プロセスおよび生成物の安定性に関する懸念ならびに凝集物に関連する潜在的な寛容性の懸念が存在し得る。換言すると、LNP製剤(例えば、本明細書において考察されるもの)の生成、精製、包装、貯蔵、および使用からのストレスは、LNP製剤の安定性に対するリスクをもたらし、したがってLNP技術に基づく核酸ベース治療薬の有用性を低減させ得る。例えば、LNPを使用するプロセスにおいてストレスが適用される場合、LNPの安定性のための解決策が必要とされる。さらに、核酸を含有する安全および有効な産物を可能とするために、上記課題のための解決策が必要とされる。
本開示は、部分的には、それらの課題に対する解決策を提供する。一態様において、本開示は、両親媒性ポリマーと、イオン化可能脂質またはその薬学的に許容可能な塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)構成成分とを含む安定化ナノ粒子製剤に関する。両親媒性ポリマーは、1つ以上の脂質ナノ粒子(LNP)構成成分(例えば、イオン化可能脂質)と一緒になって、ナノ粒子を形成し得る。代わりにまたはさらに、両親媒性ポリマーは、脂質ナノ粒子を封入するかまたは部分的に封入し得る。代わりにまたはさらに、両親媒性ポリマーは、脂質ナノ粒子中に含められることができる。肉眼レベルにおいて、LNP分散液は、電荷相互作用(すなわち同じ電荷のクーロン反発)の組合せにより、および表面局在親水性部分により付与される立体的安定化により物理的に安定化される。上昇した濃度のナノ粒子において、分散液の安定性は、それらの環境中での粒子間相互作用または他の疎水性界面とのナノ粒子会合に由来し得る。それらの相互作用は、脂質再組織化、ファウリングおよび凝集を推進し得る。LNPの立体的安定化は、表面に結合し得る表面露出親水性ポリマーの濃度を増加させることにより改善することができる。両親媒性ポリマーは、疎水性界面に選択的に分配される一方、両親媒性ポリマーの親水性ポリマー領域は、バルク水溶液に向かって方向付けられたままである。理論により拘束されるものではないが、この相互作用を介して、両親媒性ポリマーは、ナノ粒子と疎水性界面との分子間相互作用を低減させ得る立体安定剤として機能し、それは、核酸およびオリゴヌクレオチド(例として、mRNA、siRNA、miRNA、lncRNAなど)を含む治療物において使用される脂質ナノ粒子の改善された安定性をもたらし得る。
核酸の性質は、例えば、siRNA(修飾および非修飾)、プラスミドDNA、およびmRNA間でかなり異なる。修飾核酸(例えば、siRNA)を含有するLNPは、一般に、物理的不安定性の理由から冷凍を目的としない(望ましくもない)冷蔵分散液として維持されている。したがって、貯蔵のための冷凍LNPは、一般的でなく、冷蔵が好ましい貯蔵条件であると考えられる。脂質-RNA液体製剤の冷蔵は、より一般的である(例えば、http://www.nature.com/mt/journal/v17/n5/full/mt200936a.htmlを参照されたい)。例えば、アルニラム(Alnylam)ALN-TTR-02フェーズIII製品は、リン酸緩衝液中の冷蔵LNP分散液である。現在、核酸負荷LNPの安定性は、そのサイズおよびmRNA中のヌクレオチド上の2’-ヒドロキシ官能基の必須と考えられる存在に起因して、核酸負荷LNPの製剤を冷凍しかつ凍結乾燥させることにより改善することができる。
本発明は、部分的には、核酸構成成分(例えば、mRNA、siRNA、miRNA、またはlicRNA)を含む脂質ナノ粒子が、脂質ナノ粒子の溶解またはそのRNA封入およびサイズの両方の制御損失をもたらさずにLNPと相互作用する有効量の両親媒性ポリマーの添加により、より安定にすることができるという発見に基づく。両親媒性ポリマーは、一般に、脂質構成成分を取り込み、LNPの破壊を引き起こし得る界面活性剤として作用する傾向を有するため、これは予期されない。例えば、トリトンX(TritonX)界面活性剤は、含有率分析中に封入薬剤の放出のためにLNPを破壊するために一般に使用される。膜および他の親油性材料は、トリトンX(TritonX)および他の界面活性剤により脱安定化させ、溶解させることができる(例えば、G.サヘイ(G.Sahay)ら著、ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)、第31巻、2013年、p.653~658を参照されたい)。安定性の意味とは別に、界面活性剤の包含は、LNP製剤の生体分布および薬理にも影響を与え得る。界面活性剤のレベル増加は、細胞取り込みおよび/またはエンドソームエスケープを阻害し、それによりLNPによって送達されるmRNAの発現レベルを低減させ得る。本開示の製剤の他の予測されない特徴としては、本明細書に開示の両親媒性ポリマーが、臨界ミセル濃度(CMC;その濃度を超えると界面活性剤が膜破壊剤および安定剤としてのその効力のほとんどを達成する濃度)を超えてLNP安定性と適合性であることが挙げられる。
LNPのライフサイクルは、複数の段階、例として形成、処理、貯蔵および使用中を有する。
形成は、沈殿(有機相中の脂質および水相中の核酸)を誘導するための溶液の乱流もしくはマイクロ流体混合、またはLNPを作出するための既に相分離した核酸および脂質の混合物を膜に通す押出のいずれかを含む。
処理は、LNPを(例えば、タンジェンシャルフロー濾過または「TFF」を介して)精製し、pH調整し、緩衝液交換し、濃縮するステップを含む。滅菌濾過も処理に含まれる。
貯蔵は、薬物生成物を、それらが最終パッケージング中に配置される前にその最終状態でまたはLNPのプロセス中貯蔵で貯蔵することを指す。貯蔵方式としては、限定されるものではないが、無菌バッグ中での冷蔵、バイアル中の冷蔵または冷凍製剤、バイアルおよびシリンジ中の凍結乾燥製剤などが挙げられる。
使用中は、LNP製剤が患者に投与されているかまたは投与のために処理されている段階を指す。
それぞれの段階において、LNPが安定でなくなる機会、例えばサイズ成長、不純物増加、および/または封入効率の損失が存在することが留意される。驚くべきことに、核酸を含有する脂質ナノ粒子は、有効量の両親媒性ポリマーの添加により、そのライフサイクル全体にわたり、より安定になることが発見された。
本開示に関する「安定性」、「安定化」および「安定」は、所与の製造、調製、輸送、貯蔵および/または使用中の条件下において、例えばストレス、例えば剪断力、冷凍/解凍ストレスなどが適用される場合の化学的または物理的変化(例えば、分解、粒子サイズ変化、凝集、封入の変化など)に対するLNPの耐性を指す。
本開示の「安定化」製剤は、好ましくは、所与の製造、調製、輸送、貯蔵および/または使用中の条件下でLNP製剤(例えば、mRNA負荷LNP製剤)の出発、標準、または参照調製物の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%、または99.5%の純度(例えば、クロマトグラフィー純度)を保持する。
本開示の「安定化」製剤は、好ましくは、所与の製造、調製、輸送、貯蔵および/または使用中の条件下で出発、標準、または参照LNP平均サイズの約20%、10%、5%、1%、0.5%以下の増加も有する。
例えば、製剤は、4℃以下における少なくとも1ヵ月間の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。例えば、製剤は、-20℃以下における少なくとも6ヵ月間(例えば、少なくとも1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。例えば、製剤は、約-80℃以下における少なくとも6ヵ月間(例えば、少なくとも1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。
例えば、製剤は、最大30回の冷凍/解凍サイクル後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。
例えば、製剤は、精製前のLNP平均サイズと比較して精製プロセス後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。例えば、精製プロセスは、濾過を含む。
例えば、製剤は、凍結乾燥前のLNP平均サイズと比較して凍結乾燥後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。
本開示の「安定化」製剤は、好ましくは、所与の製造、調製、輸送、貯蔵および/または使用中の条件下でLNP製剤(例えば、mRNA負荷LNP製剤)の出発、標準、または参照調製物のLNPサイズ分布の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%、または99.5%を保持する。
本開示の「安定化」製剤は、好ましくは、所与の製造、調製、輸送、貯蔵および/または使用中の条件下でLNP製剤(例えば、mRNA負荷LNP製剤)の出発、標準、または参照調製物の封入効率の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%、または99.5%を保持する。
例えば、封入効率は、約4℃以下(例えば、約-20℃以下または約-80℃以下)の少なくとも1ヵ月間(例えば、少なくとも6ヵ月間、1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に実質的に同一である。例えば、封入効率は、約4℃以下における少なくとも1ヵ月間の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)減少し得る。例えば、封入効率は、約-20℃以下における少なくとも6ヵ月間(例えば、少なくとも1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)減少し得る。例えば、封入効率は、約-80℃以下における少なくとも6ヵ月間(例えば、少なくとも1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)減少し得る。
例えば、封入効率は、最大30回の冷凍/解凍サイクル後に実質的に同一である。
例えば、封入効率は、精製前のものと比較して精製プロセス後に実質的に同一である。例えば、精製プロセスは、濾過を含む。
例えば、封入効率は、凍結乾燥前のものと比較して凍結乾燥後に実質的に同一である。
本開示の「安定化」製剤は、好ましくは、所与の製造、調製、輸送、貯蔵および/または使用中の条件下でLNP製剤(例えば、mRNA負荷LNP製剤)の出発、標準、または参照調製物の生物学的活性の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%、または99.5%も保持する。
例えば、製剤は、免疫原性(例えば、自然免疫応答の誘導)をほとんど有さないかまたはまったく有さない。例えば、免疫原性(例えば、自然免疫応答の誘導)は、約4℃以下(例えば、約-20℃以下または約-80℃以下)における少なくとも1ヵ月間(例えば、少なくとも6ヵ月間、1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に実質的に同一である。例えば、免疫原性(例えば、自然免疫応答の誘導)は、約4℃以下における少なくとも1ヵ月間の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)増加し得る。例えば、免疫原性(例えば、自然免疫応答の誘導)は、約-20℃以下における少なくとも6ヵ月間(例えば、少なくとも1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)増加し得る。例えば、免疫原性(例えば、自然免疫応答の誘導)は、約-80℃以下における少なくとも6ヵ月間(例えば、少なくとも1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)増加し得る。
例えば、免疫原性(例えば、自然免疫応答の誘導)は、最大30回の冷凍/解凍サイクル後に実質的に同一である。
例えば、製剤は、両親媒性ポリマーを含まない対応する製剤と比較して低い免疫原性(例えば、自然免疫応答の誘導)を有する。
例えば、治療または予防剤負荷LNP製剤の治療指数は、約4℃以下(例えば、約-20℃以下または約-80℃以下)における少なくとも1ヵ月間(例えば、少なくとも6ヵ月間、1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に実質的に同一である。例えば、治療指数は、約4℃以下における少なくとも1ヵ月間の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)減少し得る。例えば、治療指数は、約-20℃以下における少なくとも6ヵ月間(例えば、少なくとも1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)減少し得る。例えば、治療指数は、約-80℃以下における少なくとも6ヵ月間(例えば、少なくとも1年間、2年間、または3年間)の貯蔵後に約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)減少し得る。
例えば、治療指数は、最大30回の冷凍/解凍サイクル後に実質的に同一である。
例えば、治療または予防剤を含む製剤は、両親媒性ポリマーを含まない対応する製剤と比較して増加した治療指数を有する。
本開示の「安定化」製剤は、好ましくは、所与の製造、調製、輸送、貯蔵および/または使用中の条件下で不純物の出発、標準、または参照量の約20%、10%、5%、1%、0.5%以下の増加も有する。
本開示の「安定化」製剤は、好ましくは、所与の製造、調製、輸送、貯蔵および/または使用中の条件下でサブビジブル粒子の出発、標準、または参照量の約20%、10%、5%、1%、0.5%以下の増加も有する。
純度、LNP平均サイズ、封入効率、生物学的活性、免疫原性、治療指数、不純物の量は、任意の当技術分野において認識される方法を使用して測定することができる。例えば、LNP平均サイズは、動的光散乱(DLS)により計測することができる。例えば、製剤の構成成分の濃度は、定型的方法、例えば紫外線-可視光分光光度法および高速液体クロマトグラフィー(HPLC:high pressure liquid chromatography)を使用して測定することができる。例えば、サブビジブル粒子の量は、マイクロフローイメージング(MFI)により測定することができる。
ある実施形態において、本製剤は、約2~8℃の範囲の温度において、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも1ヵ月間、少なくとも2ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも8ヵ月間、少なくとも10ヵ月間、少なくとも12ヵ月間、少なくとも14ヵ月間、少なくとも16ヵ月間、少なくとも18ヵ月間、少なくとも20ヵ月間、少なくとも22ヵ月間、または少なくとも24ヵ月間にわたって安定化される。一実施形態において、製剤は、2~8℃において少なくとも2ヵ月間にわたって安定化される。
ある実施形態において、本製剤は、約4℃の温度において、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも1ヵ月間、少なくとも2ヵ月間、少なくとも3ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも5ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも7ヵ月間、少なくとも8ヵ月間、少なくとも9ヵ月間、少なくとも10ヵ月間、少なくとも11ヵ月間、または少なくとも12ヵ月間にわたって安定化される。一実施形態において、製剤は、約4℃において少なくとも2ヵ月間にわたって安定化される。
ある実施形態において、本製剤は、約-20℃の温度において、少なくとも1ヵ月間、少なくとも2ヵ月間、少なくとも4ヵ月間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも8ヵ月間、少なくとも10ヵ月間、少なくとも12ヵ月間、少なくとも14ヵ月間、少なくとも16ヵ月間、少なくとも18ヵ月間、少なくとも20ヵ月間、少なくとも22ヵ月間、または少なくとも24ヵ月間にわたって安定化される。一実施形態において、製剤は、-20℃において少なくとも6~12ヵ月間にわたって安定化される。一実施形態において、製剤は、-20℃において少なくとも24~36ヵ月間にわたって安定化される。
特定の実施形態において、本開示の製剤は、約-20℃~4℃の範囲の温度において、最大2mg/mLの核酸濃度(例えば、mRNA濃度)において、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、または少なくとも16週間にわたって安定化される。
特定の実施形態において、本開示の製剤は、約-20℃~4℃の範囲の温度において、最大1mg/mLの核酸濃度(例えば、mRNA濃度)において、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、または少なくとも16週間にわたって安定化される。
両親媒性ポリマー
本開示は、例えば、哺乳動物細胞または臓器への治療薬および/または予防薬の送達のための、両親媒性ポリマーおよび脂質ナノ粒子構成成分を含む安定化製剤を提供する。
例えば、両親媒性ポリマーは、非イオン性である。
例えば、両親媒性ポリマーは、ブロックコポリマーである。
例えば、両親媒性ポリマーは、リオプロテクタントである。
例えば、両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、例えば、冷凍または凍結乾燥前に製剤中で約そのCMC~CMCの約30倍(例えば、そのCMCの最大約25倍、約20倍、約15倍、約10倍、約5倍、または約3倍)の範囲である。
例えば、両親媒性ポリマーとLNPとの重量比は、約0.0004:1~約100:1(例えば、約0.001:1~約10:1、約0.001:1~約5:1、約0.001:1~約0.1:1、約0.005~約0.4:1、または約0.5:1~約4:1、約0.05:1~約5:1、約0.1:1~約5:1、または約0.05:1~約2.5:1、約1:1~約50:1、約2:1~約50:1、または約1:1~約25:1)である。
例えば、治療薬および/または予防薬が核酸(例えば、mRNA)を含む場合、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.025:1~約100:1(例えば、約0.025:1~約1:1、約0.1:1~約4:1、約10:1~約40:1、約1:1~約50:1、約2:1~約50:1、または約1:1~約25:1)である。例えば、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、核酸を含むLNP製剤を形成または処理するために約0.025:1~約1:1である(例えば、LNP構成成分と核酸を混合し、それらの混合物を精製し、製剤を濃縮し、および/または製剤のpHを調整する場合)。例えば、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、LNP製剤を冷凍および/または解凍するために約0.1:1~約4:1である。例えば、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、LNP製剤を凍結乾燥させるために約10:1~約40:1である。例えば、両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、(例えば、ネブライゼーションに)使用されるLNP製剤を包装するために約0.25:1~約100:1(例えば、約0.5:1~約12:1)である。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポロキサマー(プルロニック(Pluronic)(登録商標))、ポロキサミン(テトロニック(Tetronic)(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)、およびポリビニルピロリドン(PVP)から選択される。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポロキサマーである。例えば、両親媒性ポリマーは、以下の構造のポリマー:
Figure 2022095702000001
(式中、aは、10~150の整数であり、bは、20~60の整数である)
である。例えば、aは、約12であり、bは、約20であり、またはaは、約80であり、bは、約27であり、またはaは、約64であり、bは、約37であり、またはaは、約141であり、bは、約44であり、またはaは、約101であり、bは、約56である。
例えば、両親媒性ポリマーは、P124、P188、P237、P338、またはP407である。
例えば、両親媒性ポリマーは、P188(例えば、ポロキサマー188、CAS番号9003-11-6、コリホル(Kolliphor)P188としても公知)である。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポロキサミン、例えばテトロニック(tetronic
304)またはテトロニック(tetronic)904である。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、例えば3kDa、10kDa、または29kDaの分子量を有するPVPである。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポリソルベート、例えばPS20である。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、例えば、冷凍または凍結乾燥前に製剤中で約0.1%w/v~約3%w/vの範囲である。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、例えば、冷凍または凍結乾燥前に製剤中で約0.1%w/v~約1%w/vの範囲である。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、例えば、冷凍または凍結乾燥前に製剤中で約0.1%w/v~約0.5%w/vの範囲である。
例えば、製剤は、両親媒性ポリマーの濃度が増加する場合、凍結乾燥後にサブビジブル粒子状物質の量の減少を有する。例えば、サブビジブル粒子状物質の量は、両親媒性ポリマーの存在下でそれを有さない場合と比較して少なくとも10倍だけ(例えば、少なくとも50倍、100倍、または200倍だけ)減少する。
脂質
本開示は、中心アミン部分および少なくとも1つの生分解性基を含むイオン化可能脂質を提供する。本明細書に記載の脂質は、有利には、哺乳動物細胞または臓器への治療薬および/または予防薬の送達のための脂質ナノ粒子中で使用することができる。
一実施形態において、本明細書に記載のイオン化可能脂質化合物は、式(I)の化合物:
Figure 2022095702000002
(式中、
は、C5~20アルキル、C5~20アルケニル、-RYR’’、-YR’’、および-R’’M’R’からなる群から選択され;
およびRは、H、C1~14アルキル、C2~14アルケニル、-RYR’’、-YR’’、および-ROR’’からなる群から独立して選択され、またはRおよびRは、それらが付着している原子と一緒になって、複素環または炭素環を形成し;
は、C3~6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、および非置換C1~6アルキルからなる群から選択され、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、および-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、および5から独立して選択され;
それぞれのRは、C1~3アルキル、C2~3アルケニル、およびHからなる群から独立して選択され;
それぞれのRは、C1~3アルキル、C2~3アルケニル、およびHからなる群から独立して選択され;
MおよびM’は、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、およびヘテロアリール基から独立して選択され;
は、C1~3アルキル、C2~3アルケニル、およびHからなる群から選択され;
それぞれのRは、C1~3アルキル、C2~3アルケニル、およびHからなる群から独立して選択され;
それぞれのR’は、C1~18アルキル、C2~18アルケニル、-RYR’’、-YR’’、およびHからなる群から独立して選択され;
それぞれのR’’は、C3~14アルキルおよびC3~14アルケニルからなる群から独立して選択され;
それぞれのRは、C1~12アルキルおよびC2~12アルケニルからなる群から独立して選択され;
それぞれのYは、独立して、C3~6炭素環であり;
それぞれのXは、F、Cl、Br、およびIからなる群から独立して選択され;および
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、および13から選択される)
またはその塩もしくは異性体である。
ある実施形態において、式(I)の化合物のサブセットとしては、式(IA)の化合物:
Figure 2022095702000003
(式中、lは、1、2、3、4、および5から選択され;mは、5、6、7、8、および9から選択され;Mは、結合またはM’であり;Rは、非置換C1~3アルキル、または-(CHQであり、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、-NHC(O)N(R)、-N(R)C(O)R、または-N(R)S(O)Rであり;MおよびM’は、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基、およびヘテロアリール基から独立して選択され;およびRおよびRは、H、C1~14アルキル、およびC2~14アルケニルからなる群から独立して選択される)
またはその塩もしくは異性体が挙げられる。例えば、mは、5、7、または9である。例えば、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、または-NHC(O)N(R)である。例えば、Qは、-N(R)C(O)R、または-N(R)S(O)Rである。他の可変部、例えばR、R’およびnは、式(I)に定義のとおりである。
ある実施形態において、式(I)の化合物のサブセットとしては、式(II)の化合物:
Figure 2022095702000004
(式中、lは、1、2、3、4、および5から選択され;Mは、結合またはM’であり;Rは、非置換C1~3アルキル、または-(CHQであり、nは、2、3、または4であり、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、-NHC(O)N(R)、-N(R)C(O)R、または-N(R)S(O)Rであり;MおよびM’は、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、アリール基およびヘテロアリール基から独立して選択され;およびRおよびRは、H、C1~14アルキル、およびC2~14アルケニルからなる群から独立して選択される)
またはその塩もしくは異性体が挙げられる。他の可変部、例えばRおよびR’は、式(I)に定義のとおりである。
式(I)、(IA)、または(II)のいずれか1つの化合物は、適用可能な場合、以下の特徴の1つ以上を含む。
一部の実施形態において、Rが-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、または-CQ(R)である場合、(i)nが1、2、3、4もしくは5である場合、Qは、-N(R)でなく、または(ii)nが1もしくは2である場合、Qは、5、6、もしくは7員ヘテロシクロアルキルでない。
一部の実施形態において、Mは、M’である。
一部の実施形態において、MおよびM’は、独立して、-C(O)O-または-OC(O)-である。
一部の実施形態において、lは、1、3、または5である。
一部の実施形態において、Rは、非置換メチルまたは-(CHQであり、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、-NHC(O)N(R)、-N(R)C(O)R、または-N(R)S(O)Rである。
一部の実施形態において、Qは、OHである。
一部の実施形態において、Qは、-NHC(S)N(R)である。
一部の実施形態において、Qは、-NHC(O)N(R)である。
一部の実施形態において、Qは、-N(R)C(O)Rである。
一部の実施形態において、Qは、-N(R)S(O)Rである。
一部の実施形態において、nは、2である。
一部の実施形態において、nは、3である。
一部の実施形態において、nは、4である。
一部の実施形態において、Mは、不存在である。
一部の実施形態において、R’は、C1~18アルキル、C2~18アルケニル、-RYR’’、または-YR’’である。
一部の実施形態において、RおよびRは、独立して、C3~14アルキルまたはC3~14アルケニルである。
一部の実施形態において、式(I)の化合物は、式(IIa)の化合物:
Figure 2022095702000005
(式中、Rは、本明細書に記載のとおりである)
またはその塩もしくは異性体である。
別の実施形態において、式(I)の化合物は、式(IIb)の化合物:
Figure 2022095702000006
(式中、Rは、本明細書に記載のとおりである)
またはその塩もしくは異性体である。
別の実施形態において、式(I)の化合物は、式(IIc)または(IIe)の化合物:
Figure 2022095702000007
(式中、Rは、本明細書に記載のとおりである)
またはその塩もしくは異性体である。
さらなる実施形態において、式(I)の化合物は、式(IId)の化合物
Figure 2022095702000008
(式中、nは、2、3、または4であり;およびm、R’、R’’、R、R、R、およびRは、本明細書に記載のとおりである)
またはその塩もしくは異性体である。例えば、RおよびRのそれぞれは、C5~14アルキルおよびC5~14アルケニルからなる群から独立して選択することができる。
式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、および(IIe)のいずれか1つの化合物は、適用可能な場合、以下の特徴の1つ以上を含む。
一部の実施形態において、Rは、C3~6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、および-CQ(R)からなる群から選択され、Qは、C3~6炭素環、N、O、S、およびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員芳香族または非芳香族複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX3、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、および-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、および5から独立して選択される。
別の実施形態において、Rは、C3~6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、および-CQ(R)からなる群から選択され、Qは、C3~6炭素環、N、O、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-C(R)N(R)C(O)OR、ならびにオキソ(=O)、OH、アミノ、およびC1~3アルキルから選択される1つ以上の置換基により置換されているN、O、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロシクロアルキルから選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、および5から独立して選択される。
別の実施形態において、Rは、C3~6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、および-CQ(R)からなる群から選択され、Qは、C3~6炭素環、N、O、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、および5から独立して選択され;Qが5~14員複素環であり、(i)Rが-(CHQ(式中、nは、1または2である)であり、または(ii)Rが-(CHCHQR(nは、1である)であり、または(iii)Rが-CHQR、および-CQ(R)である場合、Qは、5~14員ヘテロアリールまたは8~14員ヘテロシクロアルキルのいずれかである。
別の実施形態において、Rは、C3~6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、および-CQ(R)からなる群から選択され、Qは、C3~6炭素環、N、O、およびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、それぞれのnは、1、2、3、4、および5から独立して選択される。
別の実施形態において、Rは、非置換C1~4アルキル、例えば非置換メチルである。
式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による脂質の中心アミン部分は、生理学的pHにおいてプロトン化され得る。したがって、脂質は、生理学的pHにおいて正電荷または部分正電荷を有し得る。このような脂質は、カチオン性またはイオン化可能(アミノ)脂質と称することができる。脂質は、双性イオン、すなわち正電荷および負電荷の両方を有する中性分子であり得る。
本開示の製剤および方法に好適なカチオン性またはイオン化可能脂質の他の例は、例えば、同時係属出願の2016年5月9日出願の米国仮特許出願第62/333,557号明細書、2015年9月17日出願の米国仮特許出願第62/220,085号明細書、2015年12月22日出願の米国仮特許出願第62/271,160号明細書、2015年12月22日出願の米国仮特許出願第62/271,146号明細書、2015年12月22日出願の米国仮特許出願第62/271,179号明細書、2015年12月22日出願の米国仮特許出願第62/271,137号明細書、2015年12月22日出願の米国仮特許出願第62/271,200号明細書、および2016年5月18日出願の米国仮特許出願第62/338,474号明細書(それらのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる)に記載されている。本開示の製剤および方法に好適なカチオン性またはイオン化可能脂質の追加の例は、例えば、米国特許出願公開第2015/0174261号明細書、米国特許出願公開第2014/308304号明細書、米国特許出願公開第2015/376115号明細書、国際公開第2014/172045号パンフレット、国際公開第2016/004202号パンフレット、米国特許出願公開第2015/174260号明細書、米国特許第9,006,487号明細書、および米国特許第3,872,171号明細書(それらのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる)に記載されている。
本明細書において使用される用語「アルキル」または「アルキル基」は、任意選択的に置換されている1つ以上の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上の炭素原子)を含む直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を意味する。表記「C1~14アルキル」は、1~14個の炭素原子を含む、任意選択的に置換されている直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素を意味する。特に規定のない限り、本明細書に記載のアルキル基は、非置換および置換アルキル基の両方を指す。
本明細書において使用される用語「アルケニル」または「アルケニル基」は、任意選択的に置換されている2つ以上の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上の炭素原子)および少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分枝鎖炭化水素を意味する。表記「C2~14アルケニル」は、2~14個の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、任意選択的に置換されている直鎖または分枝鎖炭化水素を意味する。アルケニル基は、1、2、3、4つ以上の炭素-炭素二重結合を含み得る。例えば、C18アルケニルは、1つ以上の二重結合を含み得る。2つの二重結合を含むC18アルケニル基は、リノレイル基であり得る。特に規定のない限り、本明細書に記載のアルケニル基は、非置換および置換アルケニル基の両方を指す。
本明細書において使用される用語「アルキニル」または「アルキニル基」は、任意選択的に置換されている2つ以上の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上の炭素原子)および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む直鎖または分枝鎖炭化水素を意味する。表記「C2~14アルキニル」は、2~14個の炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、任意選択的に置換されている直鎖または分枝鎖炭化水素を意味する。アルキニル基は、1、2、3、4つ以上の炭素-炭素三重結合を含み得る。例えば、C18アルキニルは、1つ以上の炭素-炭素三重結合を含み得る。特に規定のない限り、本明細書に記載のアルキニル基は、非置換および置換アルキニル基の両方を指す。
本明細書において使用される用語「炭素環」または「炭素環式基」は、1つ以上の炭素原子の環を含む、任意選択的に置換されている単環式または多環式系を意味する。環は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20員環であり得る。表記「C3~6炭素環」は、3~6つの炭素原子を有する単一環を含む炭素環を意味する。炭素環は、1つ以上の炭素-炭素二重または三重結合を含み得、非芳香族または芳香族であり得る(例えば、シクロアルキルまたはアリール基)。炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチル、および1,2-ジヒドロナフチル基が挙げられる。本明細書において使用される用語「シクロアルキル」は、非芳香族炭素環を意味し、任意の二重または三重結合を含んでも含まなくてもよい。特に規定のない限り、本明細書に記載の炭素環は、非置換および置換炭素環基の両方、すなわち任意選択的に置換されている炭素環を指す。
本明細書において使用される用語「複素環」または「複素環式基」は、少なくとも1つの環が少なくとも1つのヘテロ原子を含む1つ以上の環を含む、任意選択的に置換されている単環式または多環式系を意味する。ヘテロ原子は、例えば、窒素、酸素、または硫黄原子であり得る。環は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14員環であり得る。複素環は、1つ以上の二重または三重結合を含み得、非芳香族または芳香族であり得る(例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基)。複素環の例としては、イミダゾリル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、チアゾリル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、イソオキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、モルホリニル、ピロリル、ピロリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チオフェニル、ピリジニル、ピペリジニル、キノリル、およびイソキノリル基が挙げられる。本明細書において使用される用語「ヘテロシクロアルキル」は、非芳香族複素環を意味し、任意の二重または三重結合を含んでも含まなくてもよい。特に規定のない限り、本明細書に記載の複素環は、非置換および置換複素環基の両方、すなわち任意選択的に置換されている複素環を指す。
本明細書において使用される「生分解性基」は、哺乳動物実体中での脂質のより速い代謝を容易にし得る基である。生分解性基は、限定されるものではないが、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、アリール基、およびヘテロアリール基からなる群から選択することができる。本明細書において使用される「アリール基」は、1つ以上の芳香族環を含む、任意選択的に置換されている炭素環式基である。アリール基の例としては、フェニルおよびナフチル基が挙げられる。本明細書において使用される「ヘテロアリール基」は、1つ以上の芳香族環を含む、任意選択的に置換されている複素環式基である。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、フリル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、およびチアゾリルが挙げられる。アリールおよびヘテロアリール基の両方は、任意選択的に置換され得る。例えば、MおよびM’は、任意選択的に置換されているフェニル、オキサゾール、およびチアゾールからなる非限定的な基から選択することができる。本明細書の式において、MおよびM’は、上記生分解性基のリストから独立して選択することができる。特に規定のない限り、本明細書に記載のアリールまたはヘテロアリール基は、非置換および置換基の両方、すなわち任意選択的に置換されているアリールまたはヘテロアリール基を指す。
アルキル、アルケニル、およびシクリル(例えば、カルボシクリルおよびヘテロシクリル)基は、特に規定のない限り、任意選択的に置換され得る。任意選択の置換基は、限定されるものではないが、ハロゲン原子(例えば、塩化物、臭化物、フッ化物、またはヨウ化物基)、カルボン酸(例えば、-C(O)OH)、アルコール(例えば、ヒドロキシル、-OH)、エステル(例えば、-C(O)ORまたは-OC(O)R)、アルデヒド(例えば、-C(O)H)、カルボニル(例えば、-C(O)R、代わりにC=Oにより表される)、ハロゲン化アシル(例えば、-C(O)X(式中、Xは、臭化物、フッ化物、塩化物、およびヨウ化物から選択されるハロゲン化物である)、カルボネート(例えば、-OC(O)OR)、アルコキシ(例えば、-OR)、アセタール(例えば、-C(OR)R’’’’(式中、それぞれのORは、同一または異なり得るアルコキシ基であり、R’’’’は、アルキルまたはアルケニル基である)、ホスフェート(例えば、P(O) 3-)、チオール(例えば、-SH)、スルホキシド(例えば、-S(O)R)、スルフィン酸(例えば、-S(O)OH)、スルホン酸(例えば、-S(O)OH)、チアール(例えば、-C(S)H)、スルフェート(例えば、S(O) 2-)、スルホニル(例えば、-S(O)-)、アミド(例えば、-C(O)NR、または-N(R)C(O)R)、アジド(例えば、-N)、ニトロ(例えば、-NO)、シアノ(例えば、-CN)、イソシアノ(例えば、-NC)、アシルオキシ(例えば、-OC(O)R)、アミノ(例えば、-NR、-NRH、または-NH)、カルバモイル(例えば、-OC(O)NR、-OC(O)NRH、または-OC(O)NH)、スルホンアミド(例えば、-S(O)NR、-S(O)NRH、-S(O)NH、-N(R)S(O)R、-N(H)S(O)R、-N(R)S(O)H、または-N(H)S(O)H)、アルキル基、アルケニル基、およびシクリル(例えば、カルボシクリルまたはヘテロシクリル)基からなる群から選択することができる。上記のいずれにおいても、Rは、本明細書に定義のアルキルまたはアルケニル基である。一部の実施形態において、置換基自体は、例えば、本明細書に定義の1、2、3、4、5、または6つの置換基によりさらに置換され得る。例えば、C1~6アルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、4、5、または6つの置換基によりさらに置換基され得る。
約、およそ:本明細書において使用される用語「およそ」および「約」は、1つ以上の目的の値に適用される場合、記述される参照値と類似の値を指す。ある実施形態において、用語「およそ」または「約」は、特に記述のない限り、またはそうでなければ文脈から明らかでない限り(そのような数字が考えられる値の100%を超過する場合を除く)、記述される参照値のいずれかの方向(参照値よりも大きいまたは少ない)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下内に収まる値の範囲を指す。例えば、LNPの脂質構成成分中の所与の化合物の量に関して使用される場合、「約」は、引用値の+/-10%を意味し得る。例えば、約40%の所与の化合物を有する脂質構成成分を含むLNPは、30~50%の化合物を含み得る。
本明細書において使用される用語「化合物」は、示される構造の全ての異性体および同位体を含むことを意味する。「同位体」は、同一原子番号を有するが、原子核中の異なる中性子数から生じる異なる質量数を有する原子を指す。例えば、水素の同位体としては、トリチウムおよびデューテリウムが挙げられる。さらに、本開示の化合物、塩、または錯体は、定型的方法により溶媒または水分子との組合せで調製して溶媒和物および水和物を形成することができる。
本明細書において使用される用語「接触させること」は、2つ以上の実体間の物理的連結を確立することを意味する。例えば、哺乳動物細胞をLNPと接触させることは、哺乳動物細胞およびナノ粒子に物理的連結を共有させることを意味する。インビボおよびエクスビボの両方で細胞を外部実体と接触させる方法は、生物学分野において周知である。例えば、LNPおよび哺乳動物内に配置された哺乳動物細胞を接触させることは、種々の投与経路(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、および皮下)により実施することができ、様々な量の脂質ナノ粒子を用い得る。さらに、2つ以上の哺乳動物細胞をLNPにより接触させることができる。
本明細書において使用される用語「送達すること」は、行き先に実体を提供することを意味する。例えば、治療薬および/または予防薬を対象に送達することは、対象に治療薬および/または予防薬を含むLNPを(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、または皮下経路により)投与することを含み得る。哺乳動物または哺乳動物細胞へのLNPの投与は、脂質ナノ粒子と1つ以上の細胞を接触させることを含み得る。
本明細書において使用される用語「向上した送達」は、目的の標的組織への対照ナノ粒子(例えば、MC3、KC2、またはDLinDMA)による治療薬および/または予防薬の送達のレベルと比較して目的の標的組織(例えば、哺乳動物肝臓)へのナノ粒子による治療薬および/または予防薬のより多い(例えば、少なくとも1.5倍多い、少なくとも2倍多い、少なくとも3倍多い、少なくとも4倍多い、少なくとも5倍多い、少なくとも6倍多い、少なくとも7倍多い、少なくとも8倍多い、少なくとも9倍多い、少なくとも10倍多い)送達を意味する。特定の組織へのナノ粒子の送達のレベルは、組織中で産生されるタンパク質の量を前記組織の重量と比較すること、組織中の治療薬および/もしくは予防薬の量を前記組織の重量と比較すること、組織中で産生されるタンパク質の量を前記組織中のタンパク質の総量と比較すること、または組織中の治療薬および/もしくは予防薬の量を前記組織中の治療薬および/もしくは予防薬の総量と比較することにより計測することができる。標的組織へのナノ粒子の向上した送達は、治療されている対象において測定する必要がないことが理解され、それは、サロゲート、例えば動物モデル(例えば、ラットモデル)において測定することができる。
本明細書において使用される用語「特異的送達」、「特異的に送達する」、または「特異的に送達すること」は、標的外組織(例えば、哺乳動物脾臓)と比較して目的の標的組織(例えば、哺乳動物肝臓)へのナノ粒子による治療薬および/または予防薬のより多い(例えば、少なくとも1.5倍多い、少なくとも2倍多い、少なくとも3倍多い、少なくとも4倍多い、少なくとも5倍多い、少なくとも6倍多い、少なくとも7倍多い、少なくとも8倍多い、少なくとも9倍多い、少なくとも10倍多い)送達を意味する。特定の組織へのナノ粒子の送達のレベルは、組織中で産生されるタンパク質の量を前記組織の重量と比較すること、組織中の治療薬および/もしくは予防薬の量を前記組織の重量と比較すること、組織中で産生されるタンパク質の量を前記組織中のタンパク質の総量と比較すること、または組織中の治療薬および/もしくは予防薬の量を前記組織中の治療薬および/もしくは予防薬の総量と比較することにより計測することができる。例えば、腎血管標的化のため、治療薬および/または予防薬は、治療薬および/または予防薬の全身投与後に肝臓または脾臓に送達されるものと比較して組織1g当たり1.5、2倍、3倍、5倍、10倍、15倍、または20倍多い治療薬および/または予防薬が腎臓に送達される場合、肝臓および脾臓と比較して哺乳動物腎臓に特異的に提供される。標的組織に特異的に送達するナノ粒子の能力は治療されている対象において測定する必要がないことが理解され、それは、サロゲート、例えば動物モデル(例えば、ラットモデル)において測定することができる。
本明細書において使用される「封入効率(encapsulation efficiency)」は、LNPの調製において使用される治療薬および/または予防薬の初回総量に対する、LNPの一部になる治療薬および/または予防薬の量を指す。例えば、組成物に初回提供される合計100mgの治療薬および/または予防薬のうちの97mgの治療薬および/または予防薬がLNP中で封入される場合、封入効率は、97%として与えることができる。本明細書において使用される「封入(encapsulation)」は、完全、実質的、または部分的な囲い込み(enclosure)、閉じ込め(confinement)、包囲(surrounding)、または箱詰め(encasement)を指し得る。
本明細書において使用される核酸配列の「発現」は、ポリペプチドもしくはタンパク質へのmRNAの翻訳および/またはポリペプチドもしくはタンパク質の翻訳後修飾を指す。
本明細書において使用される用語「インビトロ」は、生物体(例えば、動物、植物、または微生物)内ではなく人工環境中、例えば試験管または反応容器中、細胞培養物中、ペトリ皿中などで生じるイベントを指す。
本明細書において使用される用語「インビボ」は、生物体(例えば、動物、植物、もしくは微生物またはそれらの細胞もしくは組織)内で生じるイベントを指す。
本明細書において使用される用語「エクスビボ」は、生物体(例えば、動物、植物、もしくは微生物またはそれらの細胞もしくは組織)外で生じるイベントを指す。エクスビボイベントは、天然(例えば、インビボ)環境から最小限に変更された環境中で生じ得る。
本明細書において使用される用語「異性体」は、化合物の任意の幾何異性体、互変異性体、双性イオン、立体異性体、エナンチオマー、またはジアステレオマーを意味する。化合物は、1つ以上のキラル中心および/または二重結合を含み得、したがって、立体異性体、例えば二重結合異性体(すなわち幾何E/Z異性体)またはジアステレオマー(例えば、エナンチオマー(すなわち(+)または(-))またはシス/トランス異性体)として存在し得る。本開示は、本明細書に記載の化合物の任意のおよび全ての異性体、例として立体的に純粋な形態(例えば、幾何的に純粋、エナンチオマー的に純粋、またはジアステレオマー的に純粋)ならびにエナンチオマーおよび立体異性体混合物、例えばラセミ体を包含する。化合物のエナンチオマーおよび立体異性体混合物ならびにそれらをそれらの構成エナンチオマーまたは立体異性体に分割する手段は、周知である。
本明細書において使用される「脂質構成成分」は、1つ以上の脂質を含む脂質ナノ粒子の構成成分である。例えば、脂質構成成分は、1つ以上のカチオン性またはイオン化可能、PEG化、構造、または他の脂質、例えばリン脂質を含み得る。
本明細書において使用される「リンカー」は、2つの部分を連結する部分、例えばキャップ種の2つのヌクレオシド間の連結部分である。リンカーは、1つ以上の基、例として、限定されるものではないが、ホスフェート基(例えば、ホスフェート、ボラノホスフェート、チオホスフェート、セレノホスフェート、およびホスホネート)、アルキル基、アミデート、またはグリセロールを含み得る。例えば、キャップ類似体の2つのヌクレオシドは、トリホスフェート基により、または2つのホスフェート部分およびボラノホスフェート部分を含む鎖によりそれらの5’位において結合させることができる。
本明細書において使用される「投与の方法」としては、対象に静脈内、筋肉内、皮内、皮下、または組成物を送達する他の方法を挙げることができる。投与の方法は、身体の特異的領域または系に標的送達(例えば、特異的に送達)するように選択することができる。
本明細書において使用される「修飾」は、非天然を意味する。例えば、RNAは、修飾RNAであり得る。すなわち、RNAは、非天然発生の1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはリンカーを含み得る。「修飾」種は、本明細書において「変更」種と称することもできる。種は、化学的、構造的、または機能的に修飾または変更することができる。例えば、修飾核酸塩基種は、非天然発生の1つ以上の置換を含み得る。
本明細書において使用される「N:P比」は、例えば、脂質構成成分およびRNAを含むLNP中の、脂質中のイオン化可能(生理学的pH範囲で)窒素原子とRNA中のホスフェート基とのモル比である。
本明細書において使用される「脂質ナノ粒子」は、1つ以上の脂質を含む組成物である。脂質ナノ粒子は、典型的には、マイクロメートル以下の桁でサイズ化され、脂質二重層を含み得る。本明細書において使用される脂質ナノ粒子は、特に規定のない限り、脂質ナノ粒子(LNP)、リポソーム(例えば、脂質ベシクル)、およびリポプレックスを包含する。例えば、LNPは、500nm以下の直径を有する脂質二重層を有するリポソームであり得る。
本明細書において使用される「天然発生」は、人工的助力を用いない天然での存在を意味する。
本明細書において使用される「患者」は、治療を求め得、もしくは治療が必要とされ得、治療を要求し、治療を受けており、治療を受ける対象、または特定の疾患もしくは病態について熟練者による治癒中の対象を指す。
本明細書において使用される「PEG脂質」または「PEG化脂質」は、ポリエチレングリコール構成成分を含む脂質を指す。
語句「薬学的に許容可能」は、妥当な利益/リスク比に見合い、過度の毒性も刺激もアレルギー応答も、他の問題も合併症もなく、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に好適である、正当な医学的判断の範囲内の化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために本明細書において使用される。
本明細書において使用される語句「薬学的に許容可能な賦形剤」は、本明細書に記載の化合物以外の、患者において実質的に非毒性および非炎症性である特性を有する任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁させ、錯化させ、または溶解させ得るビヒクル)を指す。賦形剤としては、例えば、抗接着剤、酸化防止剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、色素(着色料)、エモリエント剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、皮膜形成剤またはコーティング剤、香味剤、芳香剤、流動促進剤(流動向上剤)、滑沢剤、保存剤、印刷インク、吸着剤、懸濁または分散剤、甘味剤、水和水を挙げることができる。例示的な賦形剤としては、限定されるものではないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE(アルファ-トコフェロール)、ビタミンC、キシリトール、および本明細書に開示の他の種が挙げられる。
組成物は、1つ以上の化合物の塩も含み得る。塩は、薬学的に許容可能な塩であり得る。本明細書において使用される「薬学的に許容可能な塩」は、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することにより(例えば、遊離塩基基を好適な有機酸と反応させることにより)親化合物が変更される開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容可能な塩の例としては、限定されるものではないが、塩基性残基、例えばアミンの鉱酸または有機酸塩;酸性残基、例えばカルボン酸のアルカリまたは有機塩などが挙げられる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ならびに非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオン、例として、限定されるものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが挙げられる。本開示の薬学的に許容可能な塩としては、例えば、非毒性無機または有機酸から形成される親化合物の慣用の非毒性塩が挙げられる。本開示の薬学的に許容可能な塩は、慣用の化学的方法により塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、水中、または有機溶媒中、またはそれら2つの混合物中でそれらの化合物の遊離酸または塩基形態を化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることにより調製することができ;一般に、非水性媒体、例えばエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルが好ましい。好適な塩のリストは、「レミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、第17版、マック・パブリッシング・カンパニー(Mack Publishing Company)、イーストン、ペンシルベニア、1985年、p.1418、「薬学的塩:特性、選択、および使用(Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use)」、P.H.スタール(P.H.Stahl)およびC.G.ワーマス(C.G.Wermuth)編、ウィレー-VCH(Wiley-VCH)、2008年、ならびにベルジュ(Berge)ら著、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンス(Journal of Pharmaceutical Science)、第66巻、p.1~19、1977年(それらのそれぞれは、参照により全体として本明細書に組み込まれる)に見出される。
本明細書において使用される「リン脂質」は、ホスフェート部分および1つ以上の炭素鎖、例えば不飽和脂肪酸鎖を含む脂質である。リン脂質は、1つ以上の多重(例えば、二重または三重)結合(例えば、1つ以上の不飽和)を含み得る。リン脂質またはその類似体もしくは誘導体は、コリンを含み得る。リン脂質またはその類似体もしくは誘導体は、コリンを含み得ない。特定のリン脂質は、膜への融合を容易にし得る。例えば、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞または細胞内膜)の1つ以上の負荷電リン脂質と相互作用し得る。膜へのリン脂質の融合は、脂質含有組成物の1つ以上の要素が膜を通過することを可能とし得、例えば細胞へ1つ以上の要素の送達を許容する。
本明細書において使用される「多分散指数」は、系の粒子サイズ分布の均一性を説明する比である。例えば、0.3未満の小さい値は、狭い粒子サイズ分布を示す。
本明細書において使用される両親媒性「ポリマー」は、オリゴマーまたはポリマーを含む両親媒性化合物である。例えば、両親媒性ポリマーは、オリゴマー断片、例えば2つ以上のPEGモノマー単位を含み得る。例えば、本明細書に記載の両親媒性ポリマーは、PS20であり得る。
本明細書において使用される用語「ポリペプチド」または「目的のポリペプチド」は、典型的には、天然に産生され得(例えば、単離または精製され得)、または合成により産生され得るペプチド結合により結合しているアミノ酸残基のポリマーを指す。
本明細書において使用される「RNA」は、天然発生または非天然発生であり得るリボ核酸を指す。例えば、RNAは、修飾および/または非天然発生構成成分、例えば1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはリンカーを含み得る。RNAは、キャップ構造、鎖終結ヌクレオシド、ステムループ、ポリA配列、および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。RNAは、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有し得る。例えば、RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA:messenger RNA)であり得る。特定のポリペプチドをコードするmRNAの翻訳、例えば哺乳動物細胞内側でのmRNAのインビボ翻訳は、コードされるポリペプチドを産生し得る。RNAは、小分子干渉RNA(siRNA:small interfering RNA)、非対称干渉RNA(aiRNA:asymmetrical interfering RNA)、マイクロRNA(miRNA:microRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA:Dicer-substrate RNA)、小分子ヘアピンRNA(shRNA:small hairpin RNA)、mRNA、長鎖非コードRNA(lncRNA:long non-coding RNA)、およびそれらの混合物からなる非限定的な群から選択することができる。
本明細書において使用される「単一単位用量」は、1回の用量で/一度に/単一経路で/単一の接触点、すなわち単一の投与イベントで投与される任意の治療薬の用量である。
本明細書において使用される「分割用量」は、単一単位用量または総一日用量の2回以上の用量への分割量である。
本明細書において使用される「総一日用量」は、24時間の期間で与えられるかまたは処方される量である。これは、単一単位用量として投与することができる。
本明細書において使用される脂質ナノ粒子に関する「サイズ」または「平均サイズ」は、LNPの平均直径を指す。
本明細書において使用される用語「対象」は、例えば、実験、診断、予防、および/または治療目的のために本開示による組成物または製剤を投与することができる任意の生物体を指す。典型的な対象としては、動物(例えば、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒト)および/または植物が挙げられる。
本明細書において使用される「標的細胞」は、任意の1つ以上の目的の細胞を指す。細胞は、インビトロ、インビボ、インサイチュ、または生物体の組織もしくは臓器中で見出すことができる。生物体は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト、最も好ましくは患者であり得る。
本明細書において使用される「標的組織」は、治療薬および/または予防薬の送達が所望の生物学的および/または薬理学的効果をもたらす任意の1つ以上の目的の組織タイプを指す。目的の標的組織の例としては、特異的な組織、臓器、およびそれらの系または群が挙げられる。特定の用途において、標的組織は、腎臓、肺、脾臓、血管(例えば、冠動脈内または大腿骨内)中の血管内皮、または腫瘍組織(例えば、腫瘍内注射を介する)であり得る。「標的外組織」は、コードされるタンパク質の発現が所望の生物学的および/または薬理学的効果をもたらさない任意の1つ以上の組織タイプを指す。特定の用途において、標的外組織としては、肝臓および脾臓を挙げることができる。
用語「治療剤」または「予防剤」は、対象に投与された場合、治療、診断、および/もしくは予防効果を有し、ならびに/または所望の生物学的および/もしくは薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指す。治療剤は、「活性薬」または「活性剤」とも称される。このような薬剤としては、限定されるものではないが、細胞毒素、放射性イオン、化学療法剤、小分子薬物、タンパク質、および核酸が挙げられる。
本明細書において使用される用語「治療有効量」は、感染、疾患、障害、および/または病態を罹患し、または罹患しやすい対象に投与された場合に感染、疾患、障害、および/または病態を治療し、それらの症状を改善し、診断し、予防し、および/またはそれらの発症を遅延させるために十分である、送達すべき薬剤(例えば、核酸、薬物、組成物、治療剤、診断剤、予防剤など)の量を意味する。
本明細書において使用される「形質移入」は、細胞中への種(例えば、RNA)の導入を指す。形質移入は、例えば、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで行うことができる。
本明細書において使用される用語「治療すること」は、特定の感染、疾患、障害、および/または病態を部分的または完全に緩和し、良化させ、改善し、軽減させ、それらの発症を遅延させ、それらの進行を阻害し、それらの重症度を低減させ、および/またはそれらの1つ以上の症状もしくは特徴の発生を軽減させることを指す。例えば、癌を「治療すること」は、腫瘍の生存、成長、および/または拡散を阻害することを指し得る。治療は、疾患、障害、および/または病態に関連する病変発症のリスクを減少させる目的のために疾患、障害、および/もしくは病態の徴候を示さない対象ならびに/または疾患、障害、および/もしくは病態の早期徴候のみを示す対象に施与することができる。
本明細書において使用される「ゼータ電位」は、例えば、粒子組成物中の脂質の運動電位である。
脂質ナノ粒子
本開示はまた、(i)両親媒性ポリマーおよび(ii)イオン化可能脂質構成成分、例えばMC3または本明細書に記載の式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による化合物を含むナノ粒子を含む製剤を特徴とする。
一部の実施形態において、脂質ナノ粒子の最大寸法は、例えば、動的光散乱(DLS)、透過型電子顕微鏡観察、走査型電子顕微鏡観察、または別の方法により計測された場合、1μm以下(例えば、1μm、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、175nm、150nm、125nm、100nm、75nm、50nm以下)である。本明細書において使用される脂質ナノ粒子(LNP)としては、例えば、脂質ナノ粒子、リポソーム、脂質ベシクル、およびリポプレックスが挙げられる。一部の実施形態において、LNPは、1つ以上の脂質二重層を含むベシクルである。ある実施形態において、LNPは、水性コンパートメントにより離隔された2つ以上の同心円二重層を含む。脂質二重層は、官能化させ、および/または互いに架橋させることができる。脂質二重層は、1つ以上のリガンド、タンパク質、またはチャネルを含み得る。
LNPは、式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による少なくとも1つの化合物を含む脂質構成成分を含み、種々の他の構成成分も含み得る。例えば、LNPの脂質構成成分は、式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による脂質に加えて1つ以上の他の脂質を含み得る。
カチオン性/イオン化可能脂質
LNPは、式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による脂質に加えて1つ以上のカチオン性および/またはイオン化可能脂質(例えば、生理学的pHにおいて正電荷または部分正電荷を有し得る脂質)を含み得る。カチオン性および/またはイオン化可能脂質は、3-(ジドデシルアミノ)-N1,N1,4-トリドデシル-1-ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1-[2-(ジドデシルアミノ)エチル]-N1,N4,N4-トリドデシル-1,4-ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25-ジトリデシル-15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタン(KL25)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、(2R)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2R))、および(2S)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2S))からなる非限定的な群から選択することができる。これらに加え、カチオン性脂質は、環式アミン基を含む脂質であり得る。
PEG脂質
LNPの脂質構成成分は、1つ以上のPEGまたはPEG修飾脂質を含み得る。このような種は、代替的に、PEG化脂質と称することができる。PEG脂質は、ポリエチレングリコールにより修飾された脂質である。PEG脂質は、PEG-修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG-修飾ホスファチジン酸、PEG-修飾セラミド、PEG-修飾ジアルキルアミン、PEG-修飾ジアシルグリセロール、PEG-修飾ジアルキルグリセロール、およびそれらの混合物からなる非限定的な群から選択することができる。例えば、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質であり得る。
構造脂質
LNPの脂質構成成分は、1つ以上の構造脂質を含み得る。構造脂質は、限定されるものではないが、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、トマチン、ウルソル酸、アルファ-トコフェロール、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。一部の実施形態において、構造脂質は、コレステロールである。一部の実施形態において、構造脂質としては、コレステロールおよびコルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾン、およびヒドロコルチゾン)、またはそれらの組合せが挙げられる。
リン脂質
LNPの脂質構成成分は、1つ以上のリン脂質、例えば1つ以上の(多価)不飽和脂質を含み得る。リン脂質は、1つ以上の脂質二重層に集合し得る。一般に、リン脂質は、リン脂質部分および1つ以上の脂肪酸部分を含み得る。例えば、リン脂質は、式(III)による脂質:
Figure 2022095702000009
(式中、Rは、リン脂質部分を表し、およびRおよびRは、同一または異なり得る不飽和を有し、または有さない脂肪酸部分を表す)
であり得る。リン脂質部分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リゾホスファチジルコリン、およびスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択することができる。脂肪酸部分は、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、およびドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択することができる。非天然種、例として修飾および置換、例として分枝、酸化、環化、およびアルキンを有する天然種も企図される。例えば、リン脂質は、1つ以上のアルキン(例えば、1つ以上の二重結合が三重結合により置き換えられたアルケニル基)により官能化させ、またはそれに架橋させることができる。適切な反応条件下において、アルキン基は、アジドへの曝露時に銅触媒環化付加を受け得る。このような反応は、膜透過もしくは細胞認識を容易にするためのLNPの脂質二重層の官能化において、または有用な構成成分、例えば標的化もしくはイメージング部分(例えば、色素)へのLNPのコンジュゲート化において有用であり得る。
組成物および方法において有用なリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16リゾPC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME16.0PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、およびスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択することができる。一部の実施形態において、LNPは、DSPCを含む。ある実施形態において、LNPは、DOPEを含む。一部の実施形態において、LNPは、DSPCおよびDOPEの両方を含む。
アジュバント
一部の実施形態において、1つ以上の本明細書に記載の脂質を含むLNPは、1つ以上のアジュバント、例えばグルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(例えば、クラスAまたはB)、ポリ(I:C)、水酸化アルミニウム、およびPam3CSK4をさらに含み得る。
治療剤
脂質ナノ粒子は、1つ以上の治療薬および/または予防薬を含み得る。本開示は、哺乳動物に治療薬および/もしくは予防薬を含むLNPを投与し、ならびに/または治療薬および/もしくは予防薬を含むLNPと哺乳動物細胞を接触させることを含む、哺乳動物細胞または臓器に治療薬および/または予防薬を送達する方法、哺乳動物細胞中で目的のポリペプチドを産生する方法、ならびに疾患または障害の治療を、それを必要とする哺乳動物において行う方法を特徴とする。
治療薬および/または予防薬としては、生物活性物質が挙げられ、それらは、代替的に「活性剤」と称される。治療薬および/または予防薬は、細胞または臓器に送達されると、細胞、臓器、または他の身体組織もしくは系中で所望の変化を生じさせる物質であり得る。このような種は、1つ以上の疾患、障害、病態の治療において有用であり得る。一部の実施形態において、治療薬および/または予防薬は、特定の疾患、障害、または病態の治療において有用な小分子薬物である。脂質ナノ粒子中で有用な薬物の例としては、限定されるものではないが、抗新生物剤(例えば、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、カンプトテシン、シスプラチン、ブレオマイシン、シクロホスファミド、メトトレキサート、およびストレプトゾトシン)、抗腫瘍剤(例えば、アクチノマイシンD、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シトシンアラビノシド、アントラサイクリン、アルキル化剤、白金化合物、代謝拮抗物質、およびヌクレオシド類似体、例えばメトトレキサートならびにプリンおよびピリミジン類似体)、抗感染剤、局所麻酔薬(例えば、ジブカインおよびクロルプロマジン)、ベータアドレナリン作動遮断剤(例えば、プロプラノロール、チモロール、およびラベタロール)、抗高血圧剤(例えば、クロニジンおよびヒドララジン)、抗鬱薬(例えば、イミプラミン、アミトリプチリン、およびドキセピン)、抗癲癇薬(例えば、フェニトイン)、抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、およびプロメタジン)、抗生物質/抗菌剤(例えば、ゲンタマイシン、シプロフロキサシン、およびセフォキシチン)、抗真菌剤(例えば、ミコナゾール、テルコナゾール、エコナゾール、イソコナゾール、ブタコナゾール、クロトリマゾール、イトラコナゾール、ナイスタチン、ナフチフィン、およびアンホテリシンB)、抗寄生虫剤、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、免疫調節剤、神経伝達物質アンタゴニスト、抗緑内障剤、ビタミン、麻酔薬、およびイメージング剤が挙げられる。
一部の実施形態において、治療薬および/または予防薬は、細胞毒素、放射性イオン、化学療法薬、ワクチン、免疫応答を誘発する化合物、ならびに/または別の治療薬および/もしくは予防薬である。細胞毒素または細胞毒性剤としては、細胞に有害であり得る任意の薬剤が挙げられる。例としては、限定されるものではないが、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リポカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、メイタンシノイド、例えばメイタンシノール、ラケルマイシン(rachelmycin)(CC-1065)、およびそれらの類似体または相同体が挙げられる。放射性イオンとしては、限定されるものではないが、ヨウ素(例えば、ヨウ素125またはヨウ素131)、ストロンチウム89、リン、パラジウム、セシウム、イリジウム、ホスフェート、コバルト、イットリウム90、サマリウム153、およびプラセオジムが挙げられる。ワクチンとしては、感染性疾患、例えばインフルエンザ、麻疹、ヒトパピローマウイルス(HPV)、狂犬病、髄膜炎、百日咳、破傷風、ペスト、肝炎および結核に関連する1つ以上の病態に対する免疫を提供し得る化合物および調製物が挙げられ、感染性疾患由来抗原および/またはエピトープをコードするmRNAを挙げることができる。ワクチンとしては、癌細胞に対して免疫応答を指向する化合物および調製物も挙げられ、腫瘍細胞由来抗原、エピトープ、および/またはネオエピトープをコードするmRNAを挙げることができる。免疫応答を誘発する化合物としては、ワクチン、コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン)、および他の種を挙げることができる。一部の実施形態において、ワクチンおよび/または免疫応答を誘発し得る化合物は、式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による化合物(例えば、化合物3、18、20、26、または29)を含む組成物を介して筋肉内投与される。他の治療薬および/または予防薬としては、限定されるものではないが、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシル、ダカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、ラケルマイシン(CC-1065)、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧名ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソール、およびメイタンシノイド)が挙げられる。
他の実施形態において、治療薬および/または予防薬は、タンパク質である。本開示におけるナノ粒子において有用な治療タンパク質としては、限定されるものではないが、ゲンタマイシン、アミカシン、インスリン、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF:granulocyte-colony stimulation factor)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF:granulocyte-macrophage colony stimulation factor)、第VIR因子、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH:luteinizing hormone-releasing hormone)類似体、インターフェロン、ヘパリン、B型肝炎表面抗原、腸チフスワクチン、およびコレラワクチンが挙げられる。
ポリヌクレオチドおよび核酸
一部の実施形態において、治療剤は、ポリヌクレオチドまたは核酸(例えば、リボ核酸またはデオキシリボ核酸)である。用語「ポリヌクレオチド」には、その最も広い意味でオリゴヌクレオチド鎖であり、またはその中に取り込むことができる任意の化合物および/または物質が含まれる。本開示に従って使用される例示的なポリヌクレオチドとしては、限定されるものではないが、デオキシリボ核酸(DNA:deoxyribonucleic acid)、リボ核酸(RNA:ribonucleic acid)、例としてメッセンジャーmRNA(mRNA)、それらのハイブリッド、RNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクターなどの1つ以上が挙げられる。一部の実施形態において、治療薬および/または予防薬は、RNAである。本明細書に記載の組成物および方法において有用なRNAは、限定されるものではないが、ショートマ(shortmer)、アンタゴmir、アンチセンス、リボザイム、小分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA)、小分子ヘアピンRNA(shRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。ある実施形態において、RNAは、mRNAである。
ある実施形態において、治療薬および/または予防薬は、mRNAである。mRNAは、任意の目的のポリペプチド、例として任意の天然または非天然発生またはそうでなければ修飾ポリペプチドをコードし得る。mRNAによりコードされるポリペプチドは任意のサイズであり得、任意の二次構造または活性を有し得る。一部の実施形態において、mRNAによりコードされるポリペプチドは、細胞中で発現された場合に治療効果を有し得る。
別の実施形態において、治療薬および/または予防薬は、siRNAである。siRNAは、目的の遺伝子の発現を選択的にノックダウンまたは下方発現し得る。例えば、siRNAは、siRNAを含むLNPの、それを必要とする対象への投与時に特定の疾患、障害、または病態に関連する遺伝子をサイレンシングするように選択することができる。siRNAは、目的の遺伝子またはタンパク質をコードするmRNA配列に相補的な配列を含み得る。一部の実施形態において、siRNAは、免疫調節siRNAであり得る。
一部の実施形態において、治療薬および/または予防薬は、shRNAまたはそれをコードするベクターもしくはプラスミドである。shRNAは、核への適切な構築物の送達時に標的細胞内側で産生することができる。shRNAに関連する構築物および機序は、関連分野において周知である。
本開示における有用な核酸およびポリヌクレオチドは、典型的には、目的のポリペプチドをコードする連結ヌクレオシドの第1の領域(例えば、コード領域)、第1の領域の5’末端に局在する第1のフランキング領域(例えば、5’-UTR)、第1の領域の3’末端に局在する第2のフランキング領域(例えば、3’-UTR)、少なくとも1つの5’キャップ領域、および3’-安定化領域を含む。一部の実施形態において、核酸またはポリヌクレオチドは、ポリ-A領域またはコザック配列(例えば、5’-UTR中)をさらに含む。一部の場合、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドから切断され得る1つ以上のイントロンヌクレオチド配列を含有し得る。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドまたは核酸(例えば、mRNA)は、5’キャップ構造、鎖終結ヌクレオチド、ステムループ、ポリA配列、および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。核酸の領域のいずれか1つは、1つ以上の代替構成成分(例えば、代替ヌクレオシド)を含み得る。例えば、3’-安定化領域は、代替ヌクレオシド、例えばL-ヌクレオシド、逆位チミジン、もしくは2’-O-メチルヌクレオシドを含有し得、ならびに/またはコード領域、5’-UTR、3’-UTR、もしくはキャップ領域は、代替ヌクレオシド、例えば5-置換ウリジン(例えば、5-メトキシウリジン)、1-置換シュードウリジン(例えば、1-メチル-シュードウリジン)、および/もしくは5-置換シチジン(例えば、5-メチル-シチジン)を含み得る。
一般に、ポリヌクレオチドの最短長さは、ジペプチドをコードするために十分なポリヌクレオチド配列の長さであり得る。別の実施形態において、ポリヌクレオチド配列の長さは、トリペプチドをコードするために十分である。別の実施形態において、ポリヌクレオチド配列の長さは、テトラペプチドをコードするために十分である。別の実施形態において、ポリヌクレオチド配列の長さは、ペンタペプチドをコードするために十分である。別の実施形態において、ポリヌクレオチド配列の長さは、ヘキサペプチドをコードするために十分である。別の実施形態において、ポリヌクレオチド配列の長さは、ヘプタペプチドをコードするために十分である。別の実施形態において、ポリヌクレオチド配列の長さは、オクタペプチドをコードするために十分である。別の実施形態において、ポリヌクレオチド配列の長さは、ノナペプチドをコードするために十分である。別の実施形態において、ポリヌクレオチド配列の長さは、デカペプチドをコードするために十分である。
代替ポリヌクレオチド配列がコードし得るジペプチドの例としては、限定されるものではないが、カルノシンおよびアンセリンが挙げられる。
一部の場合、ポリヌクレオチドは、30ヌクレオチド長よりも長い。別の実施形態において、ポリヌクレオチド分子は、35ヌクレオチド長よりも長い。別の実施形態において、長さは、少なくとも40ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも45ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも55ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも50ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも60ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも80ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも90ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも100ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも120ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも140ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも160ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも180ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも200ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも250ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも300ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも350ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも400ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも450ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも500ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも600ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも700ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも800ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも900ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1000ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1100ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1200ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1300ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1400ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1500ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1600ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1800ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも2000ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも2500ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも3000ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも4000ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも5000ヌクレオチド、または5000ヌクレオチド超である。
核酸およびポリヌクレオチドは、1つ以上の天然発生構成成分、例として正準ヌクレオチドA(アデノシン)、G(グアノシン)、C(シトシン)、U(ウリジン)、またはT(チミジン)のいずれかを含み得る。一実施形態において、(a)5’-UTR、(b)オープンリーディングフレーム(ORF:open reading frame)、(c)3’-UTR、(d)ポリAテール、および(上記のa、b、c、またはd)の任意の組合せを含むヌクレオチドの全てまたは実質的に全てが天然発生正準ヌクレオチドA(アデノシン)、G(グアノシン)、C(シトシン)、U(ウリジン)、またはT(チミジン)を含む。
核酸およびポリヌクレオチドは、有用な特性、例として増加した安定性および/またはポリヌクレオチドが導入される細胞の自然免疫応答の実質的誘導の欠落を付与する本明細書に記載の1つ以上の代替構成成分を含み得る。例えば、代替ポリヌクレオチドまたは核酸は、対応する未変更ポリヌクレオチドまたは核酸に対してポリヌクレオチドまたは核酸が導入される細胞中での低減した分解を示す。これらの代替種は、タンパク質産生の効率、ポリヌクレオチドの細胞内保持、および/または接触される細胞の生存率を向上させ、低減した免疫原性を有し得る。
ポリヌクレオチドおよび核酸は、天然発生または非天然発生であり得る。ポリヌクレオチドおよび核酸は、1つ以上の修飾(例えば、変更または代替)核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはそれらの組合せを含み得る。LNPにおいて有用な核酸およびポリヌクレオチドは、任意の有用な修飾または変更、例えば核酸塩基、糖、またはヌクレオシド間結合の(例えば、結合ホスフェートの/ホスホジエステル結合の/ホスホジエステル骨格の)修飾または変更を含み得る。ある実施形態において、変更(例えば、1つ以上の変更)は、核酸塩基、糖、およびヌクレオシド間結合のそれぞれにおいて存在する。本開示による変更は、デオキシリボ核酸(DNA)(例えば、リボフラノシル環の2’-OHの2’-Hへの置換)、トレオース核酸(TNA:threose nucleic acid)、グリコール核酸(GNA:glycol nucleic acid)、ペプチド核酸(PNA:peptide nucleic acid)、ロックド核酸(LNA:locked nucleic acid)、それらのハイブリッドへのリボ核酸(RNA)の変更であり得る。追加の変更は、本明細書において記載される。
ポリヌクレオチドおよび核酸は、分子の全長に沿って均等に変更されていてもいなくてもよい。例えば、ヌクレオチドの1つ以上または全てのタイプ(例えば、プリンもしくはピリミジン、またはA、G、U、Cのいずれか1つ以上または全て)は、ポリヌクレオチドもしくは核酸中またはその所与の所定配列領域中で均等に変更されていてもいなくてもよい。一部の例において、ポリヌクレオチド中(またはその所与の配列領域中)の全てのヌクレオチドXは変更されており、Xは、ヌクレオチドA、G、U、Cのいずれか1つ、または組合せA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+CもしくはA+G+Cのいずれか1つであり得る。
異なる糖変更および/またはヌクレオシド間結合(例えば、骨格構造)は、ポリヌクレオチド中の種々の位置に存在し得る。当業者は、ポリヌクレオチドの機能が実質的に減少されないようにヌクレオチド類似体または他の変更がポリヌクレオチドの任意の位置に局在し得ることを認識する。変更は、5’-末端変更または3’-末端変更であり得る。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、3’-末端における変更を含む。ポリヌクレオチドは、約1%~約100%の代替ヌクレオチド(全ヌクレオチド含有率に対して、またはヌクレオチドの1つ以上のタイプ、すなわちA、G、UもしくはCのいずれか1つ以上に対してのいずれかで)または任意の介在割合(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、および95%~100%)の代替ヌクレオチドを含有し得る。任意の残りの割合は、正準ヌクレオチド(例えば、A、G、U、またはC)の存在により占有されることが理解される。
ポリヌクレオチドは、最小でゼロおよび最大で100%の代替ヌクレオチド、または任意の介在割合、例えば少なくとも5%の代替ヌクレオチド、少なくとも10%の代替ヌクレオチド、少なくとも25%の代替ヌクレオチド、少なくとも50%の代替ヌクレオチド、少なくとも80%の代替ヌクレオチド、または少なくとも90%の代替ヌクレオチドを含有し得る。例えば、ポリヌクレオチドは、代替ピリミジン、例えば代替ウラシルまたはシトシンを含有し得る。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド中のウラシルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が、代替ウラシル(例えば、5-置換ウラシル)により置き換えられている。代替ウラシルは、単一ユニーク構造を有する化合物により置き換えられ得、または異なる構造(例えば、2、3、4つ以上のユニーク構造)を有する複数の化合物により置き換えられ得る。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド中のシトシンの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%が、代替シトシン(例えば、5-置換シトシン)により置き換えられている。代替シトシンは、単一ユニーク構造を有する化合物により置き換えられ得、または異なる構造(例えば、2、3、4つ以上のユニーク構造)を有する複数の化合物により置き換えられ得る。
一部の例において、核酸は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)が導入される細胞の自然免疫応答を実質的に誘導しない。誘導される自然免疫応答の特徴としては、1)炎症促進性サイトカインの発現増加、2)細胞内PRR(RIG-I、MDA5などの活性化、および/または3)タンパク質翻訳の終結もしくは低減が挙げられる。
核酸としては、任意選択的に、他の薬剤(例えば、RNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、tRNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクター)を挙げることができる。一部の実施形態において、核酸としては、1つ以上の代替ヌクレオシドまたはヌクレオチドを有する1つ以上のメッセンジャーRNA(mRNA)(すなわち代替mRNA分子)を挙げることができる。
一部の実施形態において、核酸(例えば、mRNA)分子、製剤、組成物またはそれらに関連する方法は、全て参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2002/098443号パンフレット、国際公開第2003/051401号パンフレット、国際公開第2008/052770号パンフレット、国際公開第2009127230号パンフレット、国際公開第2006122828号パンフレット、国際公開第2008/083949号パンフレット、国際公開第2010088927号パンフレット、国際公開第2010/037539号パンフレット、国際公開第2004/004743号パンフレット、国際公開第2005/016376号パンフレット、国際公開第2006/024518号パンフレット、国際公開第2007/095976号パンフレット、国際公開第2008/014979号パンフレット、国際公開第2008/077592号パンフレット、国際公開第2009/030481号パンフレット、国際公開第2009/095226号パンフレット、国際公開第2011069586号パンフレット、国際公開第2011026641号パンフレット、国際公開第2011/144358号パンフレット、国際公開第2012019780号パンフレット、国際公開第2012013326号パンフレット、国際公開第2012089338号パンフレット、国際公開第2012113513号パンフレット、国際公開第2012116811号パンフレット、国際公開第2012116810号パンフレット、国際公開第2013113502号パンフレット、国際公開第2013113501号パンフレット、国際公開第2013113736号パンフレット、国際公開第2013143698号パンフレット、国際公開第2013143699号パンフレット、国際公開第2013143700号パンフレット、国際公開第2013/120626号パンフレット、国際公開第2013120627号パンフレット、国際公開第2013120628号パンフレット、国際公開第2013120629号パンフレット、国際公開第2013174409号パンフレット、国際公開第2014127917号パンフレット、国際公開第2015/024669号パンフレット、国際公開第2015/024668号パンフレット、国際公開第2015/024667号パンフレット、国際公開第2015/024665号パンフレット、国際公開第2015/024666号パンフレット、国際公開第2015/024664号パンフレット、国際公開第2015101415号パンフレット、国際公開第2015101414号パンフレット、国際公開第2015024667号パンフレット、国際公開第2015062738号パンフレット、国際公開第2015101416号パンフレット(それらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の特徴を含む1つ以上のポリヌクレオチドを含む。
核酸塩基代替物
代替ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、代替核酸塩基を含み得る。核酸の核酸塩基は、有機塩基、例えばプリンまたはピリミジンまたはそれらの誘導体である。核酸塩基は、正準(canonical)塩基(例えば、アデニン、グアニン、ウラシル、チミン、およびシトシン)であり得る。これらの核酸塩基は、向上した特性、例えば増加した安定性、例えばヌクレアーゼに対する耐性を有するポリヌクレオチド分子を提供するために変更し、または全体的に置き換えることができる。非正準または修飾塩基は、例えば、1つ以上の置換または修飾、例として、限定されるものではないが、アルキル、アリール、ハロ、オキソ、ヒドロキシル、アルキルオキシ、および/またはチオ置換;1つ以上の縮合または開環;酸化;および/または還元を含み得る。
代替ヌクレオチド塩基対合は、標準的なアデニン-チミン、アデニン-ウラシル、またはグアニン-シトシン塩基対だけでなく、ヌクレオチドおよび/または非標準または代替塩基を含む代替ヌクレオチド間で形成される塩基対(水素結合供与体および水素結合受容体の配置が、非標準塩基と標準塩基との間または2つの相補的非標準塩基構造間の水素結合を許容する)も包含する。このような非標準塩基対合の一例は、代替ヌクレオチドイノシンと、アデニン、シトシン、またはウラシルとの間の塩基対合である。
一部の実施形態において、核酸塩基は、代替ウラシルである。例示的な核酸塩基および代替ウラシルを有するヌクレオシドとしては、シュードウリジン(ψ)、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-アザ-ウラシル、6-アザ-ウラシル、2-チオ-5-アザ-ウラシル、2-チオ-ウラシル(sU)、4-チオ-ウラシル(sU)、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシ-ウラシル(hoU)、5-アミノアリル-ウラシル、5-ハロ-ウラシル(例えば、5-ヨード-ウラシルまたは5-ブロモ-ウラシル)、3-メチル-ウラシル(mU)、5-メトキシ-ウラシル(moU)、ウラシル5-オキシ酢酸(cmoU)、ウラシル5-オキシ酢酸メチルエステル(mcmoU)、5-カルボキシメチル-ウラシル(cmU)、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウラシル(chmU)、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウラシルメチルエステル(mchmU)、5-メトキシカルボニルメチル-ウラシル(mcmU)、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオ-ウラシル(mcmU)、5-アミノメチル-2-チオ-ウラシル(nmU)、5-メチルアミノメチル-ウラシル(mnmU)、5-メチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル(mnmU)、5-メチルアミノメチル-2-セレノ-ウラシル(mnmseU)、5-カルバモイルメチル-ウラシル(ncmU)、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウラシル(cmnmU)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル(cmnmU)、5-プロピニル-ウラシル、1-プロピニル-シュードウラシル、5-タウリノメチル-ウラシル(τmU)、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウラシル(τmU)、1-タウリノメチル-4-チオ-シュードウリジン、5-メチル-ウラシル(mU、すなわち核酸塩基デオキシチミンを有する)、1-メチル-シュードウリジン(mψ)、5-メチル-2-チオ-ウラシル(mU)、1-メチル-4-チオ-シュードウリジン(mψ)、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、3-メチル-シュードウリジン(mψ)、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウラシル(D)、ジヒドロシュードウリジン、5,6-ジヒドロウラシル、5-メチル-ジヒドロウラシル(mD)、2-チオ-ジヒドロウラシル、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシ-ウラシル、2-メトキシ-4-チオ-ウラシル、4-メトキシ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウラシル(acpU)、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジン(acpψ)、5-(イソペンテニルアミノメチル)ウラシル(inmU)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2-チオ-ウラシル(inmU)、5,2’-O-ジメチル-ウリジン(mUm)、2-チオ-2’-O_メチル-ウリジン(sUm)、5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(mcmUm)、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(ncmUm)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチル-ウリジン(cmnmUm)、3,2’-O-ジメチル-ウリジン(mUm)、および5-(イソペンテニルアミノメチル)-2’-O-メチル-ウリジン(inmUm)、1-チオ-ウラシル、デオキシチミジン、5-(2-カルボメトキシビニル)-ウラシル、5-(カルバモイルヒドロキシメチル)-ウラシル、5-カルバモイルメチル-2-チオ-ウラシル、5-カルボキシメチル-2-チオ-ウラシル、5-シアノメチル-ウラシル、5-メトキシ-2-チオ-ウラシル、および5-[3-(1-E-プロペニルアミノ)]ウラシルが挙げられる。
一部の実施形態において、核酸塩基は、代替シトシンである。例示的な核酸塩基および代替シトシンを有するヌクレオシドとしては、5-アザ-シトシン、6-アザ-シトシン、シュードイソシチジン、3-メチル-シトシン(m3C)、N4-アセチル-シトシン(ac4C)、5-ホルミル-シトシン(f5C)、N4-メチル-シトシン(m4C)、5-メチル-シトシン(m5C)、5-ハロ-シトシン(例えば、5-ヨード-シトシン)、5-ヒドロキシメチル-シトシン(hm5C)、1-メチル-シュードイソシチジン、ピロロ-シトシン、ピロロ-シュードイソシチジン、2-チオ-シトシン(s2C)、2-チオ-5-メチル-シトシン、4-チオ-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シトシン、2-メトキシ-5-メチル-シトシン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジン、リシジン(k2C)、5,2’-O-ジメチル-シチジン(m5Cm)、N4-アセチル-2’-O-メチル-シチジン(ac4Cm)、N4,2’-O-ジメチル-シチジン(m4Cm)、5-ホルミル-2’-O-メチル-シチジン(f5Cm)、N4,N4,2’-O-トリメチル-シチジン(m42Cm)、1-チオ-シトシン、5-ヒドロキシ-シトシン、5-(3-アジドプロピル)-シトシン、および5-(2-アジドエチル)-シトシンが挙げられる。
一部の実施形態において、核酸塩基は、代替アデニンである。例示的な核酸塩基および代替アデニンを有するヌクレオシドとしては、2-アミノ-プリン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノ-6-ハロ-プリン(例えば、2-アミノ-6-クロロ-プリン)、6-ハロ-プリン(例えば、6-クロロ-プリン)、2-アミノ-6-メチル-プリン、8-アジド-アデニン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチル-アデニン(m1A)、2-メチル-アデニン(m2A)、N6-メチル-アデニン(m6A)、2-メチルチオ-N6-メチル-アデニン(ms2m6A)、N6-イソペンテニル-アデニン(i6A)、2-メチルチオ-N6-イソペンテニル-アデニン(ms2i6A)、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデニン(io6A)、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデニン(ms2io6A)、N6-グリシニルカルバモイル-アデニン(g6A)、N6-トレオニルカルバモイル-アデニン(t6A)、N6-メチル-N6-トレオニルカルバモイル-アデニン(m6t6A)、2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイル-アデニン(ms2g6A)、N6,N6-ジメチル-アデニン(m62A)、N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイル-アデニン(hn6A)、2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイル-アデニン(ms2hn6A)、N6-アセチル-アデニン(ac6A)、7-メチル-アデニン、2-メチルチオ-アデニン、2-メトキシ-アデニン、N6,2’-O-ジメチル-アデノシン(m6Am)、N6,N6,2’-O-トリメチル-アデノシン(m62Am)、1,2’-O-ジメチル-アデノシン(m1Am)、2-アミノ-N6-メチル-プリン、1-チオ-アデニン、8-アジド-アデニン、N6-(19-アミノ-ペンタオキサノナデシル)-アデニン、2,8-ジメチル-アデニン、N6-ホルミル-アデニン、およびN6-ヒドロキシメチル-アデニンが挙げられる。
一部の実施形態において、核酸塩基は、代替グアニンである。例示的な核酸塩基および代替グアニンを有するヌクレオシドとしては、イノシン(I)、1-メチル-イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、4-デメチル-ワイオシン(imG-14)、イソワイオシン(imG2)、ワイブトシン(yW)、ペルオキシワイブトシン(o2yW)、ヒドロキシワイブトシン(OHyW)、非修飾ヒドロキシワイブトシン(OHyW)、7-デアザ-グアニン、キューオシン(Q)、エポキシキューオシン(oQ)、ガラクトシル-キューオシン(galQ)、マンノシル-キューオシン(manQ)、7-シアノ-7-デアザ-グアニン(preQ0)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアニン(preQ1)、アーケオシン(G+)、7-デアザ-8-アザ-グアニン、6-チオ-グアニン、6-チオ-7-デアザ-グアニン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアニン、7-メチル-グアニン(m7G)、6-チオ-7-メチル-グアニン、7-メチル-イノシン、6-メトキシ-グアニン、1-メチル-グアニン(m1G)、N2-メチル-グアニン(m2G)、N2,N2-ジメチル-グアニン(m22G)、N2,7-ジメチル-グアニン(m2,7G)、N2,N2,7-ジメチル-グアニン(m2,2,7G)、8-オキソ-グアニン、7-メチル-8-オキソ-グアニン、1-メチル-6-チオ-グアニン、N2-メチル-6-チオ-グアニン、N2,N2-ジメチル-6-チオ-グアニン、N2-メチル-2’-O-メチル-グアノシン(m2Gm)、N2,N2-ジメチル-2’-O-メチル-グアノシン(m22Gm)、1-メチル-2’-O-メチル-グアノシン(m1Gm)、N2,7-ジメチル-2’-O-メチル-グアノシン(m2,7Gm)、2’-O-メチル-イノシン(Im)、1,2’-O-ジメチル-イノシン(m1Im)、1-チオ-グアニン、およびO-6-メチル-グアニンが挙げられる。
ヌクレオチドの代替核酸塩基は、独立して、プリン、ピリミジン、プリンまたはピリミジン類似体であり得る。例えば、核酸塩基は、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、ヒポキサンチンの代替物であり得る。別の実施形態において、核酸塩基としては、例えば、塩基の天然発生および合成誘導体、例としてピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ(例えば、8-ブロモ)、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシおよび他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、デアザグアニン、7-デアザグアニン、3-デアザグアニン、デアザアデニン、7-デアザアデニン、3-デアザアデニン、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン、イミダゾ[1,5-a]1,3,5トリアジノン、9-デアザプリン、イミダゾ[4,5-d]ピラジン、チアゾロ[4,5-d]ピリミジン、ピラジン-2-オン、1,2,4-トリアジン、ピリダジン;または1,3,5トリアジンを挙げることもできる。ヌクレオチドが略記A、G、C、TまたはUを使用して示される場合、それぞれの文字は、代表的な塩基および/またはその誘導体を指し、例えばAとしては、アデニンまたはアデニン類似体、例えば7-デアザアデニンが挙げられる)。
糖上の変更
ヌクレオシドは、糖分子(例えば、5-炭素または6-炭素糖、例えばペントース、リボース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラクトース、またはそれらのデオキシ誘導体)を核酸塩基との組合せで含む一方、ヌクレオチドは、ヌクレオシドおよびホスフェート基または代替基(例えば、ボラノホスフェート、チオホスフェート、セレノホスフェート、ホスホネート、アルキル基、アミデート、およびグリセロール)を含有するヌクレオシドである。ヌクレオシドまたはヌクレオチドは、正準種、例えば正準核酸塩基、糖、およびヌクレオチドの場合、ホスフェート基を含むヌクレオシドもしくはヌクレオチドであり得、または1つ以上の代替構成成分を含む代替ヌクレオシドもしくはヌクレオチドであり得る。例えば、代替ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、ヌクレオシドまたはヌクレオチドの糖上で変更することができる。一部の実施形態において、代替ヌクレオシドまたはヌクレオチドは、構造:
Figure 2022095702000010
を含む。
式IV、V、VIおよびVIIのそれぞれにおいて、
mおよびnのそれぞれは、独立して、0~5の整数であり、
UおよびU’のそれぞれは、独立して、O、S、N(Rnu、またはC(Rnuであり、nuは、0~2の整数であり、それぞれのRは、独立して、H、ハロ、または任意選択的に置換されているアルキルであり;
1’、R2’、R1’’、R2’’、R、R、R、R、およびRのそれぞれは、独立して、存在する場合、H、ハロ、ヒドロキシ、チオール、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているアルコキシ、任意選択的に置換されているアルケニルオキシ、任意選択的に置換されているアルキニルオキシ、任意選択的に置換されているアミノアルコキシ、任意選択的に置換されているアルコキシアルコキシ、任意選択的に置換されているヒドロキシアルコキシ、任意選択的に置換されているアミノ、アジド、任意選択的に置換されているアリール、任意選択的に置換されているアミノアルキル、任意選択的に置換されているアミノアルケニル、任意選択的に置換されているアミノアルキニルであり、または不存在であり;Rと、R1’、R1’’、R2’、R2’’、またはRの1つ以上との組合せ(例えば、R1’およびRの組合せ、R1’’およびRの組合せ、R2’およびRの組合せ、R2’’およびRの組合せ、またはRおよびRの組合せ)は、一緒になって結合して、任意選択的に置換されているアルキレンまたは任意選択的に置換されているヘテロアルキレンを形成し、それらが付着している炭素と一緒になって、任意選択的に置換されているヘテロシクリル(例えば、二環式、三環式、または四環式ヘテロシクリル)を提供し;Rと、R1’、R1’’、R2’、またはR2’’の1つ以上との組合せ(例えば、R1’およびRの組合せ、R1’’およびRの組合せ、R2’およびRの組合せ、またはR2’’およびRの組合せ)は、一緒になって結合して、任意選択的に置換されているアルキレンまたは任意選択的に置換されているヘテロアルキレンを形成し、それらが付着している炭素と一緒になって、任意選択的に置換されているヘテロシクリル(例えば、二環式、三環式、または四環式ヘテロシクリル)を提供し;Rと、R1’、R1’’、R2’、R2’’、R、またはRの1つ以上との組合せは、一緒になって結合して、任意選択的に置換されているアルキレンまたは任意選択的に置換されているヘテロアルキレンを形成し、それらが付着している炭素と一緒になって、任意選択的に置換されているヘテロシクリル(例えば、二環式、三環式、または四環式ヘテロシクリル)を提供し;m’およびm’’のそれぞれは、独立して、0~3の整数(例えば、0~2、0~1、1~3、または1~2)であり;
、Y、およびYのそれぞれは、独立して、O、S、Se、-NRN1-、任意選択的に置換されているアルキレン、または任意選択的に置換されているヘテロアルキレンであり、RN1は、H、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているアルケニル、任意選択的に置換されているアルキニル、任意選択的に置換されているアリールであり、または不存在であり;
それぞれのYは、独立して、H、ヒドロキシ、チオール、ボラニル、任意選択的に置換されているアルキル、任意選択的に置換されているアルケニル、任意選択的に置換されているアルキニル、任意選択的に置換されているアルコキシ、任意選択的に置換されているアルケニルオキシ、任意選択的に置換されているアルキニルオキシ、任意選択的に置換されているチオアルコキシ、任意選択的に置換されているアルコキシアルコキシ、または任意選択的に置換されているアミノであり;
それぞれのYは、独立して、O、S、Se、任意選択的に置換されているアルキレン(例えば、メチレン)、または任意選択的に置換されているヘテロアルキレンであり;および
Bは、修飾または非修飾核酸塩基のいずれかである。
一部の実施形態において、2’-ヒドロキシ基(OH)は、いくつかの異なる置換基により修飾されるかまたは置き換えられ得る。2’-位における例示的な置換としては、限定されるものではないが、H、アジド、ハロ(例えば、フルオロ)、任意選択的に置換されているC1~6アルキル(例えば、メチル);任意選択的に置換されているC1~6アルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ);任意選択的に置換されているC6~10アリールオキシ;任意選択的に置換されているC3~8シクロアルキル;任意選択的に置換されているC6~10アリール-C1~6アルコキシ、任意選択的に置換されているC1~12(ヘテロシクリル)オキシ;糖(例えば、リボース、ペントース、または本明細書に記載の任意のもの);ポリエチレングリコール(PEG)、-O(CHCHO)CHCHOR(式中、Rは、Hまたは任意選択的に置換されているアルキルであり、nは、0~20の整数(例えば、0~4、0~8、0~10、0~16、1~4、1~8、1~10、1~16、1~20、2~4、2~8、2~10、2~16、2~20、4~8、4~10、4~16、4~20)である);「ロックド」核酸(LNA)(2’-ヒドロキシは、C1~6アルキレンまたはC1~6ヘテロアルキレン架橋により同一のリボース糖の4’-炭素への架橋により連結しており、例示的な架橋は、メチレン、プロピレン、エーテル、またはアミノ架橋を含んだ);本明細書に定義のアミノアルキル;本明細書に定義のアミノアルコキシ;本明細書に定義のアミノ;ならびに本明細書に定義のアミノ酸が挙げられる。
一般に、RNAは、酸素を有する5員環である糖基リボースを含む。例示的な非限定的代替ヌクレオチドとしては、リボース中の酸素の置き換え(例えば、S、Se、またはアルキレン、例えばメチレンまたはエチレンによる);二重結合の付加(例えば、リボースをシクロペンテニルまたはシクロヘキセニルにより置き換えるため);リボースの環縮小(例えば、シクロブタンまたはオキセタンの4員環を形成するため);リボースの環拡張(例えば、追加の炭素またはヘテロ原子を有する6または7員環、例えばアンヒドロヘキシトール、アルトリトール、マンニトール、シクロヘキサニル、シクロヘキセニル、およびモルホリノ(ホスホラミデート骨格も有する)を形成するため);多環式形態(例えば、トリシクロおよび「アンロック」形態、例えばグリコール核酸(GNA)(例えば、R-GNAまたはS-GNA(リボースは、ホスホジエステル結合に付着しているグリコール単位により置き換えられている))、トレオース核酸(TNA(リボースは、α-L-トレオフラノシル-(3’→2’)により置き換えられている)))、およびペプチド核酸(PNA(2-アミノ-エチル-グリシン結合がリボースおよびホスホジエステル骨格を置き換える))が挙げられる。
一部の実施形態において、糖基は、リボース中の対応する炭素の反対の立体化学配置を有する1つ以上の炭素を含有する。したがって、ポリヌクレオチド分子は、例えば、アラビノースまたはL-リボースを糖として含有するヌクレオチドを含み得る。
一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、糖がL-リボース、2’-O-メチル-リボース、2’-フルオロ-リボース、アラビノース、ヘキシトール、LNA、またはPNAである少なくとも1つのヌクレオシドを含む。
ヌクレオシド間結合上の変更
代替ヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合(例えば、ホスフェート骨格)上で変更することができる。本明細書において、ポリヌクレオチド骨格に関して、語句「ホスフェート」および「ホスホジエステル」は、互換的に使用される。骨格ホスフェート基は、酸素原子の1つ以上を異なる置換基により置き換えることにより変更することができる。
代替ヌクレオチドは、本明細書に記載の別のヌクレオシド間結合による非変更ホスフェート部分の大規模な置き換えを含み得る。代替ホスフェート基の例としては、限定されるものではないが、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、水素ホスホネート、ホスホラミデート、ホスホロジアミデート、アルキルまたはアリールホスホネート、およびホスホトリエステルが挙げられる。ホスホロジチオエートは、硫黄により置き換えられている非結合酸素の両方を有する。ホスフェートリンカーは、窒素(架橋ホスホラミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、および炭素(架橋メチレン-ホスホネート)による結合酸素の置き換えにより変更され得る。
代替ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、ボラン部分(BH)、硫黄(チオ)、メチル、エチル、および/またはメトキシによる非架橋酸素の1つ以上の置き換えを含み得る。非限定的な例として、同一位置(例えば、アルファ(α)、ベータ(β)またはガンマ(γ)位)における2つの非架橋酸素原子は、硫黄(チオ)およびメトキシにより置き換えることができる。
ホスフェート部分(例えば、α-チオホスフェート)のα位における酸素原子の1つ以上の置き換えは、非天然ホスホロチオエート骨格結合を介してRNAおよびDNAに安定性(例えば、エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼに対する)を付与するために提供される。ホスホロチオエートDNAおよびRNAは、増加したヌクレアーゼ耐性および結果的に細胞環境中でのより長い半減期を有する。
本開示に従って用いることができる他のヌクレオシド間結合、例としてリン原子を含有しないヌクレオシド間結合は、本明細書において記載される。
内部リボソーム進入部位
ポリヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位(IRES:internal ribosome entry site)を含有し得る。IRESは、mRNAの唯一のリボソーム結合部位として作用し得、または複数のリボソーム結合部位の1つとして機能し得る。2つ以上の機能的リボソーム結合部位を含有するポリヌクレオチドは、リボソームにより独立して翻訳されるいくつかのペプチドまたはポリペプチドをコードし得る(例えば、多シストロン性mRNA)。ポリヌクレオチドがIRESとともに提供される場合、第2の翻訳可能領域がさらに任意選択的に提供される。本開示に従って使用することができるIRES配列の例としては、限定されるものではないが、ピコルナウイルス(例えば、FMDV)、ペストウイルス(CFFV)、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎ウイルス(ECMV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ブタコレラウイルス(CSFV)、マウス白血病ウイルス(MLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)またはコオロギ麻痺病ウイルス(CrPV)からのものが挙げられる。
5’-キャップ構造
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、5’-キャップ構造を含み得る。ポリヌクレオチドの5’-キャップ構造は、核輸送およびポリヌクレオチド安定性の増加に関与し、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP:Cap Binding Protein)に結合し、それは、CBPとポリ-A結合タンパク質との会合により成熟環式mRNA種を形成することにより細胞中でのポリヌクレオチド安定性および翻訳能を担う。キャップは、mRNAスプライシング中の5’-近位イントロン除去の除去をさらに補助する。
内因性ポリヌクレオチド分子は5’-末端キャッピングされ得、ポリヌクレオチドの末端グアノシンキャップ残基と、5’-末端転写センスヌクレオチドとの間で5’-ppp-5’-トリホスフェート結合を生成する。次いで、この5’-グアニレートキャップがメチル化されて、N7-メチル-グアニレート残基が生成され得る。ポリヌクレオチドの5’末端の末端および/または末端前(anteterminal)転写ヌクレオチドのリボース糖は、任意選択的に、2’-O-メチル化され得る。グアニレートキャップ構造の加水分解および開裂を介する5’-デキャッピングは、分解のためにポリヌクレオチド分子、例えばmRNA分子を標的化し得る。
ポリヌクレオチドの変更は非加水分解性キャップ構造を生成し得、それは、デキャッピングを防止し、したがってポリヌクレオチド半減期を増加させる。キャップ構造加水分解は5’-ppp-5’ホスホロジエステル結合の開裂を要求するため、キャッピング反応中に代替ヌクレオチドを使用することができる。例えば、ニュー・イングランド・バイオラボ(New England Biolabs)(イプスウイッチ、マサチューセッツ)製のワクシニアキャッピング酵素を、製造業者の説明書に従ってα-チオ-グアノシンヌクレオチドとともに使用して5’-ppp-5’キャップ中でホスホロチオエート結合を作出することができる。追加の代替グアノシンヌクレオチド、例えばα-メチル-ホスホネートおよびセレノ-ホスフェートヌクレオチドを使用することができる。
追加の変更としては、限定されるものではないが、糖の2’-ヒドロキシ基上のポリヌクレオチド(上記)の5’-末端および/または5’-末端前ヌクレオチドのリボース糖の2’-O-メチル化が挙げられる。複数の区別される5’-キャップ構造を使用してポリヌクレオチド、例えばmRNA分子の5’-キャップを生成することができる。
5’-キャップ構造としては、国際特許出願公開の国際公開第2008127688号パンフレット、国際公開第2008016473号パンフレット、および国際公開第2011015347号パンフレット(それらのそれぞれのキャップ構造は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものが挙げられる。
本明細書において、合成キャップ類似体、化学キャップ、化学キャップ類似体、または構造もしくは機能的キャップ類似体とも称されるキャップ類似体は、それらの化学構造が天然(すなわち内因性、野生型、または生理学的)5’-キャップと異なる一方、キャップ機能を保持する。キャップ類似体は、化学的に(すなわち非酵素的に)または酵素的に合成し、ポリヌクレオチドに結合させることができる。
例えば、抗リバースキャップ類似体(ARCA:Anti-Reverse Cap Analog)キャップは、5’-5’-トリホスフェート基により結合している2つのグアノシンを含有し、一方のグアノシンは、N7-メチル基および3’-O-メチル基(すなわちN7,3’-O-ジメチル-グアノシン-5’-トリホスフェート-5’-グアノシン、mG-3’mppp-G、それは、同じく3’O-Me-m7G(5’)ppp(5’)Gと命名することができる)を含有する。他方の非変更グアノシンの3’-O原子は、キャッピングされるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-末端ヌクレオチドに結合される。N7-および3’-O-メチル化グアノシンは、キャッピングされるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の末端部分を提供する。
別の例示的なキャップは、ARCAと類似するが、グアノシン上の2’-O-メチル基を有するmCAP(すなわちN7,2’-O-ジメチル-グアノシン-5’-トリホスフェート-5’-グアノシン、mGm-ppp-G)である。
キャップは、ジヌクレオチドキャップ類似体であり得る。非限定的な例として、ジヌクレオチドキャップ類似体は、異なるホスフェート位置においてボラノホスフェート基またはホスホロセレノエート基により修飾され得、例えば米国特許第8,519,110号明細書(そのキャップ構造は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のジヌクレオチドキャップ類似体である。
代わりに、キャップ類似体は、当技術分野において公知の、および/または本明細書に記載のN7-(4-クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチドキャップ類似体であり得る。N7-(4-クロロフェノキシエチル)置換ジヌクレオチドキャップ類似体の非限定的な例としては、N7-(4-クロロフェノキシエチル)-G(5’)ppp(5’)GおよびN7-(4-クロロフェノキシエチル)-m3’-OG(5’)ppp(5’)Gキャップ類似体(例えば、コア(Kore)ら著、バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー(Bioorganic&Medicinal Chemistry)、2013年、第21巻、p.4570~4574(そのキャップ構造は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の種々のキャップ類似体およびキャップ類似体を合成する方法を参照されたい)が挙げられる。他の例において、本開示のポリヌクレオチドにおいて有用なキャップ類似体は、4-クロロ/ブロモフェノキシエチル類似体である。
キャップ類似体がインビトロ転写反応におけるポリヌクレオチドの同時キャッピングを可能とする一方、転写物の最大20%がキャップされないままである。これは、内因性細胞転写機構により産生されるポリヌクレオチドの内因性5’-キャップ構造とのキャップ類似体の構造的差異と同様、低減した翻訳能および低減した細胞安定性をもたらし得る。
代替ポリヌクレオチドは、酵素を使用して転写後にキャッピングしてより真性の5’-キャップ構造を生成することができる。本明細書において使用される語句「より真性の」は、内因性または野生型の特徴部を構造的または機能的のいずれかで厳密に反映し、または模倣する特徴部を指す。すなわち、「より真性の」特徴部は、従来技術の合成の特徴部または類似体と比較して良好な内因性、野生型、天然もしくは生理学的細胞機能、および/もしくは構造の代表例であり、または対応する内因性、野生型、天然、もしくは生理学的特徴部を1つ以上の点で上回るものである。本開示のポリヌクレオチドにおいて有用なより真性の5’-キャップ構造の非限定的な例は、とりわけ、当技術分野において公知の合成5’-キャップ構造と比較して(または野生型、天然もしくは生理学的5’-キャップ構造と比較して)キャップ結合タンパク質の向上した結合、増加した半減期、5’-エンドヌクレアーゼに対する低減した感受性、および/または低減した5’-デキャッピングを有するものである。例えば、組換えワクシニアウイルスキャッピング酵素および組換え2’-O-メチルトランスフェラーゼ酵素は、ポリヌクレオチドの5’-末端ヌクレオチドとグアノシンキャップヌクレオチドとの間で正準5’-5’-トリホスフェート結合を作出し得、キャップグアノシンはN7-メチル化を含有し、ポリヌクレオチドの5’-末端ヌクレオチドは、2’-O-メチルを含有する。このような構造は、Cap1構造と呼ばれる。このキャップは、例えば、当技術分野において公知の他の5’キャップ類似体構造と比較して高い翻訳能、細胞安定性、および細胞炎症促進性サイトカインの活性化低減をもたらす。他の例示的なキャップ構造としては、7mG(5’)ppp(5’)N、pN2p(Cap0)、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNp(Cap1)、7mG(5’)-ppp(5’)NlmpN2mp(Cap2)、およびm(7)Gpppm(3)(6,6,2’)Apm(2’)Apm(2’)Cpm(2)(3,2’)Up(Cap4)が挙げられる。
代替ポリヌクレオチドは、転写後にキャッピングすることができるため、およびこのプロセスは、より効率的であるため、代替ポリヌクレオチドのほぼ100%をキャッピングすることができる。これは、キャップ類似体がインビトロ転写反応の過程においてポリヌクレオチドに結合している場合の約80%とは対照的である。
5’-末端キャップとしては、内因性キャップまたはキャップ類似体を挙げることができる。5’-末端キャップとしては、グアノシン類似体を挙げることができる。有用なグアノシン類似体としては、イノシン、N1-メチル-グアノシン、2’-フルオロ-グアノシン、7-デアザ-グアノシン、8-オキソ-グアノシン、2-アミノ-グアノシン、LNA-グアノシン、および2-アジド-グアノシンが挙げられる。
一部の場合、ポリヌクレオチドは、修飾5’-キャップを含有する。5’-キャップ上の修飾は、ポリヌクレオチドの安定性を増加させ、ポリヌクレオチドの半減期を増加させ得、ポリヌクレオチド翻訳効率を増加させ得る。修飾5’-キャップとしては、限定されるものではないが、以下の修飾の1つ以上:キャッピングされるグアノシントリホスフェート(GTP)の2’-および/もしくは3’-位における修飾、メチレン部分(CH)による(炭素環式環を生成した)糖環酸素の置き換え、キャップ構造のトリホスフェート架橋部分における修飾、または核酸塩基(G)部分における修飾を挙げることができる。
5’-UTR
5’-UTRは、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)にフランキング領域として提供することができる。5’-UTRは、ポリヌクレオチド中に見出されるコード領域に対して同種または異種であり得る。複数の5’-UTRをフランキング領域中に含めることができ、同一配列または異なる配列であり得る。フランキング領域の任意の一部は、存在しない場合を含め、コドン最適化することができ、いずれも、コドン最適化前および/または後に独立して1つ以上の異なる構造または化学的変更を含有し得る。
米国仮特許出願第61/775,509号明細書の表21、ならびに米国仮特許出願第61/829,372号明細書の表21および表22(それらは、参照により本明細書に組み込まれる)に代替ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の開始および終止部位のリストが示されている。表21において、それぞれの5’-UTR(5’-UTR-005~5’-UTR68511)は、その天然または野生型(同種)転写物に対するその開始および終止部位により同定されている(ENST;ENSEMBLデータベースにおいて使用される識別子)。
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の1つ以上の特性を変更するため、代替ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のコード領域に対して異種である5’-UTRを遺伝子操作することができる。次いで、細胞、組織または生物体にポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を投与することができ、アウトカム、例えばタンパク質レベル、局在化、および/または半減期を計測して異種5’-UTRが代替ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)に対して有し得る有益な効果を評価することができる。1つ以上のヌクレオチド、例としてA、T、CまたはGが末端に付加され、または末端から除去された5’-UTRのバリアントを利用することができる。5’-UTRは、本明細書に記載の任意の様式でコドン最適化し、または変更することもできる。
5’-UTR、3’-UTR、および翻訳エンハンサーエレメント(TEE:translation enhancer element)
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTRは、少なくとも1つの翻訳エンハンサーエレメントを含み得る。用語「翻訳エンハンサーエレメント」は、ポリヌクレオチドから産生されるポリペプチドまたはタンパク質の量を増加させる配列を指す。非限定的な例として、TEEは、転写プロモータと開始コドンとの間に局在させることができる。5’-UTR中の少なくとも1つのTEEを有するポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、5’-UTRにおけるキャップを含み得る。さらに、少なくとも1つのTEEは、キャップ依存的またはキャップ非依存的翻訳を受けるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTR中に局在させることができる。
一態様において、TEEは、ポリヌクレオチドの翻訳活性、例えば、限定されるものではないが、キャップ依存的またはキャップ非依存的翻訳を促進し得るUTR中の保存エレメントである。これらの配列の保存は、ペネック(Panek)ら(ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)、2013年、p.1~10)により、ヒトを含む14種にわたり既に示されている。
1つの非限定的な例において、公知のTEEは、Gtxホメオドメインタンパク質の5’-リーダ中に存在し得る(チャッペル(Chappell)ら著、米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第101巻、p.9590~9594、2004年(そのTEEは、参照により本明細書に組み込まれる))。
別の非限定的な例において、TEEは、米国特許出願公開第2009/0226470号明細書および同第2013/0177581号明細書、国際特許出願公開の国際公開2009/075886号パンフレット、国際公開第2012/009644号パンフレット、および国際公開第1999/024595号パンフレット、米国特許第6,310,197号明細書、および同第6,849,405号明細書(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
さらに別の非限定的な例において、TEEは、内部リボソーム進入部位(IRES)、HCV-IRESまたはIRESエレメント、例えば、限定されるものではないが、米国特許第7,468,275号明細書、米国特許出願公開第2007/0048776号明細書および同第2011/0124100号明細書ならびに国際特許出願公開の国際公開2007/025008号パンフレットおよび国際公開第2001/055369号パンフレット(それらのそれぞれのIRES配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものであり得る。IRESエレメントとしては、限定されるものではないが、チャッペル(Chappell)ら(米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第101巻、p.9590~9594、2004年)およびゾウ(Zhou)ら(米国科学アカデミー紀要(PNAS)、第102巻、p.6273~6278、2005年)ならびに米国特許出願公開第2007/0048776号明細書および同第2011/0124100号明細書ならびに国際特許出願公開の国際公開2007/025008号パンフレット(それらのそれぞれのIRES配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているGtx配列(例えば、Gtx9-nt、Gtx8-nt、Gtx7-nt)を挙げることができる。
「翻訳エンハンサーポリヌクレオチド」は、本明細書において例示され、および/または当技術分野において開示される規定のTEE(例えば、米国特許第6,310,197号明細書、同第6,849,405号明細書、同第7,456,273号明細書、同第7,183,395号明細書、米国特許出願公開第20090/226470号明細書、同第2007/0048776号明細書、同第2011/0124100号明細書、同第2009/0093049号明細書、同第2013/0177581号明細書、国際特許出願公開の国際公開第2009/075886号パンフレット、国際公開第2007/025008号パンフレット、国際公開第2012/009644号パンフレット、国際公開第2001/055371号パンフレット、国際公開第1999/024595号パンフレット、ならびに欧州特許第2610341号明細書および同第2610340号明細書(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)またはそれらのバリアント、相同体もしくは機能的誘導体の1つ以上を含むポリヌクレオチドである。特異的TEEの1つまたは複数のコピーが、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)中に存在し得る。翻訳エンハンサーポリヌクレオチド中のTEEは、1つ以上の配列セグメントにおいて組織化することができる。配列セグメントは、本明細書において例示される特異的TEEの1つ以上を保有し得、それぞれのTEEは1つ以上のコピー中に存在する。複数の配列セグメントが翻訳エンハンサーポリヌクレオチド中に存在する場合、それらは、同種または異種であり得る。したがって、翻訳エンハンサーポリヌクレオチド中の複数の配列セグメントは、本明細書において例示される同一もしくは異なるタイプの特異的TEE、同一もしくは異なるコピー数の特異的TEEのそれぞれ、および/またはそれぞれの配列セグメント内の同一もしくは異なる組織化のTEEを保有し得る。
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、国際特許出願公開の国際公開第1999/024595号パンフレット、国際公開第2012/009644号パンフレット、国際公開第2009/075886号パンフレット、国際公開第2007/025008号パンフレット、国際公開第1999/024595号パンフレット、欧州特許第2610341号明細書および同第2610340号明細書、米国特許第6,310,197号明細書、同第6,849,405号明細書、同第7,456,273号明細書、同第7,183,395号明細書、ならびに米国特許出願公開第2009/0226470号明細書、同第2011/0124100号明細書、同第2007/0048776号明細書、同第2009/0093049号明細書、および同第2013/0177581号明細書(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の少なくとも1つのTEEを含み得る。TEEは、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTR中に局在させることができる。
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、米国特許出願公開第2009/0226470号明細書、同第2007/0048776号明細書、同第2013/0177581号明細書および同第2011/0124100号明細書、国際特許出願公開の国際公開第1999/024595号パンフレット、国際公開第2012/009644号パンフレット、国際公開第2009/075886号パンフレットおよび国際公開第2007/025008号パンフレット、欧州特許第2610341号明細書および同第2610340号明細書、米国特許第6,310,197号明細書、同第6,849,405号明細書、同第7,456,273号明細書、同第7,183,395号明細書(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のTEEとの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%の同一性を有する少なくとも1つのTEEを含み得る。
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTRは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、または60個超のTEE配列を含み得る。ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTR中のTEE配列は、同一TEE配列または異なるTEE配列であり得る。TEE配列は、ABABAB、AABBAABBAABB、もしくはABCABCABCのようなパターン、またはその変形であり得、1、2、または4回以上リピートさせることができる。これらのパターンにおいて、それぞれの文字A、B、またはCは、ヌクレオチドレベルにおいて異なるTEE配列を表す。
一部の場合、5’-UTRは、2つのTEE配列を離隔するためのスペーサを含み得る。非限定的な例として、スペーサは、15ヌクレオチドスペーサおよび/または当技術分野において公知の他のスペーサであり得る。別の非限定的な例において、5’-UTRは、5’-UTR中で少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4倍、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または10回以上リピートされるTEE配列-スペーサモジュールを含み得る。
他の例において、2つのTEE配列を離隔するスペーサは、本開示のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の翻訳を調節し得る当技術分野において公知の他の配列、例えば、限定されるものではないが、miR配列(例えば、miR結合部位およびmiRシード)を含み得る。非限定的な例として、2つのTEE配列を離隔するために使用されるそれぞれのスペーサは、異なるmiR配列またはmiR配列の構成成分(例えば、miRシード配列)を含み得る。
一部の例において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTR中のTEEは、米国特許出願公開第2009/0226470号明細書、同第2007/0048776号明細書、同第2013/0177581号明細書および同第2011/0124100号明細書、国際特許出願公開の国際公開1999/024595号パンフレット、国際公開第2012/009644号パンフレット、国際公開第2009/075886号パンフレットおよび国際公開第2007/025008号パンフレット、欧州特許第2610341号明細書および同第2610340号明細書、ならびに米国特許第6,310,197号明細書、同第6,849,405号明細書、同第7,456,273号明細書、および同第7,183,395号明細書(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示のTEE配列の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または99%超を含み得る。別の実施形態において、本開示のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTR中のTEEは、米国特許出願公開第2009/0226470号明細書、同第2007/0048776号明細書、同第2013/0177581号明細書および同第2011/0124100号明細書、国際特許出願公開の国際公開第1999/024595号パンフレット、国際公開第2012/009644号パンフレット、国際公開第2009/075886号パンフレットおよび国際公開第2007/025008号パンフレット、欧州特許第2610341号明細書および同第2610340号明細書、ならびに米国特許第6,310,197号明細書、同第6,849,405号明細書、同第7,456,273号明細書、および同第7,183,395号明細書(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示のTEE配列の5~30ヌクレオチド断片、5~25ヌクレオチド断片、5~20ヌクレオチド断片、5~15ヌクレオチド断片、5~10ヌクレオチド断片を含み得る。
ある場合、本開示のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTR中のTEEは、チャッペル(Chappell)ら(米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第101巻、p.9590~9594、2004年)およびゾウ(Zhou)ら(米国科学アカデミー紀要(PNAS)、第102巻、p.6273~6278、2005年)、ヴェレンジーク(Wellensiek)らにより開示されている補足表1および補足表2(「ヒトキャップ非依存的翻訳向上エレメントのゲノムワイドプロファイリング(Genome-wide profiling of human cap-independent translation-enhancing elements)」、ネイチャー・メソッズ(Nature Methods)、2013年、DOI:10.1038/NMETH.2522)(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示のTEE配列の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または99%超を含み得る。別の実施形態において、本開示のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTR中のTEEは、チャッペル(Chappell)ら(米国科学アカデミー紀要(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第101巻、p.9590~9594、2004年)およびゾウ(Zhou)ら(米国科学アカデミー紀要(PNAS)、第102巻、p.6273~6278、2005年)、ヴェレンジーク(Wellensiek)らにより開示されている補足表1および補足表2(「ヒトキャップ非依存的翻訳向上エレメントのゲノムワイドプロファイリング(Genome-wide profiling of human cap-independent translation-enhancing elements)」、ネイチャー・メソッズ(Nature Methods)、2013年、DOI:10.1038/NMETH.2522)(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示のTEE配列の5~30ヌクレオチド断片、5~25ヌクレオチド断片、5~20ヌクレオチド断片、5~15ヌクレオチド断片、5~10ヌクレオチド断片を含み得る。
一部の場合、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTRにおいて使用されるTEEは、IRES配列、例えば、限定されるものではないが、米国特許第7,468,275号明細書および国際特許出願公開の国際公開第2001/055369号パンフレット(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものである。
一部の例において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTRにおいて使用されるTEEは、米国特許出願公開第2007/0048776号明細書および同第2011/0124100号明細書ならびに国際特許出願公開の国際公開第2007/025008号パンフレットおよび国際公開第2012/009644号パンフレット(それらのそれぞれの方法は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の方法により同定することができる。
一部の場合、本開示のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTRにおいて使用されるTEEは、米国特許第7,456,273号明細書および同第7,183,395号明細書、米国特許出願公開第2009/0093049号明細書、ならびに国際特許出願公開の国際公開第2001/055371号パンフレット(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の転写調節エレメントであり得る。転写調節エレメントは、当技術分野において公知の方法、例えば、限定されるものではないが、米国特許第7,456,273号明細書および同第7,183,395号明細書、米国特許出願公開第2009/0093049号明細書、ならびに国際特許出願公開の国際公開第2001/055371号パンフレット(それらのそれぞれの方法は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の方法により同定することができる。
さらに他の例において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTRにおいて使用されるTEEは、米国特許第7,456,273号明細書および同第7,183,395号明細書、米国特許出願公開第2009/0093049号明細書、ならびに国際特許出願公開の国際公開第2001/055371号パンフレット(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のポリヌクレオチドまたはその一部である。
本明細書に記載の少なくとも1つのTEEを含む5’-UTRは、モノシストロン性配列、例えば、限定されるものではないが、ベクター系またはポリヌクレオチドベクター中に取り込むことができる。非限定的な例として、ベクター系およびポリヌクレオチドベクターとしては、米国特許第7,456,273号明細書および同第7,183,395号明細書、米国特許出願公開第2007/0048776号明細書、同第2009/0093049号明細書および同第2011/0124100号明細書、ならびに国際特許出願公開の国際公開第2007/025008号パンフレットおよび国際公開第2001/055371号パンフレット(それらのそれぞれのTEE配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものを挙げることができる。
本明細書に記載のTEEは、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の5’-UTRおよび/または3’-UTR中に局在させることができる。3’-UTR中に局在するTEEは、5’-UTR中に局在し、および/またはその中の取り込みについて記載されるTEEと同一でありかつ/または異なり得る。
一部の場合、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の3’-UTRは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55または60個超のTEE配列を含み得る。本開示のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の3’-UTR中のTEE配列は、同一TEE配列または異なるTEE配列であり得る。TEE配列は、ABABAB、AABBAABBAABB、もしくはABCABCABCのようなパターン、またはその変形であり得、1回、2回、または4回以上リピートさせることができる。これらのパターンにおいて、それぞれの文字A、B、またはCは、ヌクレオチドレベルにおいて異なるTEE配列を表す。
一例において、3’-UTRは、2つのTEE配列を離隔するためのスペーサを含み得る。非限定的な例として、スペーサは、15ヌクレオチドスペーサおよび/または当技術分野において公知の他のスペーサであり得る。別の非限定的な例として、3’-UTRは、3’-UTR中で少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または10回以上リピートされるTEE配列-スペーサモジュールを含み得る。
他の場合、2つのTEE配列を離隔するスペーサは、本開示のポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の翻訳を調節し得る当技術分野において公知の他の配列、例えば、限定されるものではないが、本明細書に記載のmiR配列(例えば、miR結合部位およびmiRシード)を含み得る。非限定的な例として、2つのTEE配列を離隔するために使用されるそれぞれのスペーサは、異なるmiR配列またはmiR配列の構成成分(例えば、miRシード配列)を含み得る。
一部の実施形態において、本開示のポリリボヌクレオチドは、miRおよび/またはTEE配列を含む。一部の実施形態において、本開示のポリリボヌクレオチド中へのmiR配列および/またはTEE配列の取り込みはステムループ領域の形状を変化させ得、それが翻訳を増加させ、および/または減少させ得る。例えば、ケッデ(Kedde)ら著、ネイチャー・セル・バイオロジー(Nature Cell Biology)、2010年、第12巻(10)、p.1014~20(参照により全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
センサー配列およびマイクロRNA(miRNA)結合部位
センサー配列は、例えば、マイクロRNA(miRNA)結合部位、転写因子結合部位、構造化mRNA配列および/またはモチーフ、内因性核酸結合分子のための偽受容体として作用するように遺伝子操作された人工結合部位、ならびにそれらの組合せを含む。センサー配列の非限定的な例は、米国特許出願公開第2014/0200261号明細書(その内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる)に記載されている。
一部の実施形態において、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む本開示のポリリボヌクレオチド(例えば、リボ核酸(RNA)、例えばメッセンジャーRNA(mRNA))は、センサー配列をさらに含む。一部の実施形態において、センサー配列は、miRNA結合部位である。
miRNAは、ポリリボヌクレオチドに結合し、ポリリボヌクレオチドの安定性を低減させることにより、またはその翻訳を阻害することにより遺伝子発現を下方調節する19~25ヌクレオチド長の非コードRNAである。miRNA配列は、「シード」領域、すなわち成熟miRNAの2~8位の領域中の配列を含む。miRNAシードは、成熟miRNAの2~8または2~7位を占め得る。一部の実施形態において、miRNAシードは、7つのヌクレオチド(例えば、成熟miRNAのヌクレオチド2~8)を含み得、対応するmiRNA結合部位中のシード相補的部位は、miRNAの1位と反対のアデノシン(A)によりフランキングされている。一部の実施形態において、miRNAシードは、6つのヌクレオチド(例えば、成熟miRNAのヌクレオチド2~7)を含み得、対応するmiRNA結合部位中のシード相補的部位は、miRNAの1位と反対のアデノシン(A)によりフランキングされている。例えば、グリムソン A(Grimson A)、ファー KK(Farh KK)、ジョンストン WK(Johnston WK)、ガレット-エンゲレ P(Garrett-Engele P)、リム LP(Lim LP)、バーテル DP(Bartel DP)著、モレキュラー・セル(Mol Cell.)、2007年、7月6日、第27巻(1)、p.91~105を参照されたい。標的細胞または組織のmiRNAプロファイリングを実施してその細胞または組織中のmiRNAの存在または不存在を決定することができる。一部の実施形態において、本開示のポリリボヌクレオチド(例えば、リボ核酸(RNA)、例えばメッセンジャーRNA(mRNA))は、1つ以上のマイクロRNA標的配列、マイクロRNA配列、またはマイクロRNAシードを含む。このような配列は、任意の公知のマイクロRNA、例えば米国特許出願公開第2005/0261218号明細書および米国特許出願公開第2005/0059005号明細書(それらのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる)において教示されるものに対応し得る。
本明細書において使用される用語「マイクロRNA(miRNAまたはmiR)結合部位」は、miRNAと相互作用し、それと会合し、またはそれに結合するために十分なmiRNAの全てまたは一領域との相補性を有するポリリボヌクレオチド内、例えばDNA内またはRNA転写物内、例として5’UTRおよび/または3’UTR中の配列を指す。一部の実施形態において、ポリペプチドをコードするORFを含む本開示のポリリボヌクレオチドは、miRNA結合部位をさらに含む。例示的な実施形態において、ポリリボヌクレオチド(例えば、リボ核酸(RNA)、例えばメッセンジャーRNA(mRNA))の5’UTRおよび/または3’UTRは、miRNA結合部位を含む。
miRNAとの十分な相補性を有するmiRNA結合部位は、ポリリボヌクレオチドのmiRNA媒介調節、例えばポリリボヌクレオチドのmiRNA媒介翻訳抑制または分解を容易にするために十分な相補性の程度を指す。本開示の例示的な態様において、miRNAとの十分な相補性を有するmiRNA結合部位は、ポリリボヌクレオチドのmiRNA媒介分解、例えばmRNAのmiRNAガイドRNA誘導サイレンシング複合体(RISC:RNA-induced silencing complex)媒介開裂を容易にするために十分な相補性の程度を指す。miRNA結合部位は、例えば、19~25ヌクレオチドmiRNA配列との、19~23ヌクレオチドmiRNA配列との、または22ヌクレオチドmiRNA配列との相補性を有し得る。miRNA結合部位は、miRNAの一部のみ、例えば天然発生miRNA配列の全長の1、2、3、または4ヌクレオチド未満の一部と相補的であり得る。所望の調節がmRNA分解である場合、完全長または完全相補性(例えば、天然発生miRNAの長さの全てまたは要部にわたる完全長相補性または完全相補性)が好ましい。
一部の実施形態において、miRNA結合部位は、miRNAシード配列との相補性(例えば、部分または完全相補性)を有する配列を含む。一部の実施形態において、miRNA結合部位は、miRNAシード配列との完全相補性を有する配列を含む。一部の実施形態において、miRNA結合部位は、miRNA配列との相補性(例えば、部分または完全相補性)を有する配列を含む。一部の実施形態において、miRNA結合部位は、miRNA配列との完全相補性を有する配列を含む。一部の実施形態において、miRNA結合部位は、1、2、もしくは3つのヌクレオチド置換、末端付加、および/またはトランケーションを除きmiRNA配列との完全相補性を有する。
一部の実施形態において、miRNA結合部位は、対応するmiRNAと同一の長さである。他の実施形態において、miRNA結合部位は、対応するmiRNAよりも5’末端、3’末端、またはその両方において1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチド短い。さらに他の実施形態において、マイクロRNA結合部位は、対応するマイクロRNAよりも5’末端、3’末端、またはその両方において2ヌクレオチド短い。対応するmiRNAよりも短いmiRNA結合部位は、依然として、miRNA結合部位の1つ以上を取り込むmRNAを分解し、またはmRNAの翻訳を防止し得る。
一部の実施形態において、miRNA結合部位は、ダイサーを含有する活性RISCの一部である対応する成熟miRNAに結合する。別の実施形態において、RISC中の対応するmiRNAへのmiRNA結合部位の結合は、miRNA結合部位を含有するmRNAを分解し、またはmRNAの翻訳を防止する。一部の実施形態において、miRNA結合部位は、miRNAを含むRISC複合体がmiRNA結合部位を含むポリリボヌクレオチドを開裂するようにmiRNAとの十分な相補性を有する。他の実施形態において、miRNA結合部位は、miRNAを含むRISC複合体がmiRNA結合部位を含むポリリボヌクレオチドの不安定性を誘導するように不完全な相補性を有する。別の実施形態において、miRNA結合部位は、miRNAを含むRISC複合体がmiRNA結合部位を含むポリリボヌクレオチドの転写を抑制するように不完全な相補性を有する。
一部の実施形態において、miRNA結合部位は、対応するmiRNAからの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のミスマッチを有する。
一部の実施形態において、miRNA結合部位は、それぞれ、対応するmiRNAの少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21個の連続ヌクレオチドに相補的な少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21個の連続ヌクレオチドを有する。
本開示のポリリボヌクレオチド中に1つ以上のmiRNA結合部位を遺伝子操作することにより、対象のmiRNAが利用可能である限り、分解または翻訳低減のためにポリリボヌクレオチドを標的化することができる。これは、ポリリボヌクレオチドの送達時の標的外効果を低減させ得る。例えば、本開示のポリリボヌクレオチドを組織または細胞に送達するのではなく、そこで役割を終えることを意図する場合、組織または細胞中で豊富なmiRNAは、miRNAの1つまたは複数の結合部位がポリリボヌクレオチドの5’UTRおよび/または3’-UTR中に遺伝子操作されている場合に目的の遺伝子の発現を阻害し得る。
逆に、miRNA結合部位は、それらが天然に発生するポリリボヌクレオチド配列から除去して特異的組織中でのタンパク質発現を増加させることができる。例えば、特異的miRNAについての結合部位をポリリボヌクレオチドから除去してmiRNAを含有する組織または細胞中でのタンパク質発現を改善することができる。
一実施形態において、本開示のポリリボヌクレオチドは、特異的細胞、例えば、限定されるものではないが、正常および/または癌性細胞に細胞毒性または細胞保護mRNA治療薬を指向するための5’UTRおよび/または3’UTR中の少なくとも1つのmiRNA結合部位を含み得る。別の実施形態において、本開示のポリリボヌクレオチドは、特異的細胞、例えば、限定されるものではないが、正常および/または癌性細胞に細胞毒性または細胞保護mRNA治療薬を指向するための5’UTRおよび/または3’UTR中の2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のmiRNA結合部位を含み得る。
複数の組織中での発現の調節は、1つ以上のmiRNA結合部位の導入または除去を介して達成することができる。miRNA結合部位を除去するか挿入するかの判定は、疾患におけるmiRNA発現パターンおよび/またはそれらのプロファイリングに基づいて行うことができる。miRNA、miRNA結合部位、ならびにそれらの発現パターンおよび生物学における役割の同定が報告されている(例えば、ボナウアー(Bonauer)ら著、カレント・ドラッグ・ターゲッツ(Curr Drug Targets)、2010年、第11巻、p.943~949;アナンド(Anand)およびチェレッシュ(Cheresh)著、カレント・オピニオン・イン・ヘマトロジー(Curr Opin
Hematol)、2011年、第18巻、p.171~176;コントレラス(Contreras)およびラオ(Rao)著、ルーキーミア(Leukemia)、2012年、第26巻、p.404~413(2011年、12月20日、doi:10.1038/leu.2011.356);バーテル(Bartel)著、セル(Cell)、2009年、第136巻、p.215~233;ランドグラフ(Landgraf)ら著、セル(Cell)、2007年、第129巻、p.1401~1414;ゲントナー(Gentner)およびナルディニ(Naldini)著、ティシュー・アンティゲンズ(Tissue Antigens)、2012年、第80巻、p.393~403ならびにそれらにおける全ての参照文献(それらのそれぞれは、参照により全体として本明細書に組み込まれる))。
miRNAおよびmiRNA結合部位は、任意の公知の配列、例として米国特許出願公開第2014/0200261号明細書、同第2005/0261218号明細書、および同第2005/0059005号明細書(それらのそれぞれは、参照により全体として本明細書に組み込まれる)に記載の非限定的な例に対応し得る。
miRNAがmRNAを調節し、それによりタンパク質発現を調節することが公知である組織の例としては、限定されるものではないが、肝臓(miR-122)、筋肉(miR-133、miR-206、miR-208)、内皮細胞(miR-17-92、miR-126)、骨髄細胞(miR-142-3p、miR-142-5p、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27)、脂肪組織(let-7、miR-30c)、心臓(miR-1d、miR-149)、腎臓(miR-192、miR-194、miR-204)、および肺上皮細胞(let-7、miR-133、miR-126)が挙げられる。
具体的には、miRNAは、免疫細胞(造血細胞とも呼ばれる)、例えば抗原提示細胞(APC:antigen presenting cell)(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)、マクロファージ、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞などにおいて示差的に発現されることが公知である。免疫細胞特異的miRNAは、免疫原性、自己免疫、感染に対する免疫応答、炎症、ならびに遺伝子療法および組織/臓器移植後の不所望な免疫応答に関与する。免疫細胞特異的miRNAは、造血細胞(免疫細胞)の発生、増殖、分化およびアポトーシスの多くの局面も調節する。例えば、miR-142およびmiR-146は、もっぱら免疫細胞中でのみ発現され、特に骨髄樹状細胞中で豊富である。ポリリボヌクレオチドに対する免疫応答は、ポリリボヌクレオチドの3’-UTRにmiR-142結合部位を付加することにより遮断することができ、組織および細胞中でのより安定な遺伝子移動を可能とすることが実証されている。miR-142は、抗原提示細胞中で外因性ポリリボヌクレオチドを効率的に分解し、形質導入された細胞の細胞毒性排除を抑制する(例えば、アンノニ A(Annoni A)ら著、ブラッド(blood)、2009年、第114巻、p.5152~5161;ブラウン BD(Brown BD)ら著、ネイチャー・メディシン(Nat med.)、2006年、第12巻(5)、p.585~591;ブラウン BD(Brown BD)ら著、ブラッド(blood)、2007年、第110巻(13)、p.4144~4152(それらのそれぞれは、参照により全体として本明細書に組み込まれる))。
抗原媒介免疫応答は、生物体に流入した場合、抗原提示細胞によりプロセシングされ、抗原提示細胞の表面上でディスプレイされる外来抗原によりトリガーされる免疫応答を指し得る。T細胞は、提示された抗原を認識し、抗原を発現する細胞の細胞毒性排除を誘導し得る。
本開示のポリリボヌクレオチドの5’UTRおよび/または3’UTR中へのmiR-142結合部位の導入は、miR-142媒介分解を介して抗原提示細胞中での遺伝子発現を選択的に抑制し得、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)中での抗原提示を制限し、それによりポリリボヌクレオチドの送達後の抗原媒介免疫応答を防止する。次いで、ポリリボヌクレオチドは、細胞毒性排除をトリガーせずに標的組織または細胞中で安定的に発現される。
一実施形態において、免疫細胞、特に抗原提示細胞中で発現されることが公知のmiRNAについての結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチド中に遺伝子操作してmiRNA媒介RNA分解を介して抗原提示細胞中でのポリリボヌクレオチドの発現を抑制し、抗原媒介免疫応答を抑えることができる。ポリリボヌクレオチドの発現は、免疫細胞特異的miRNAが発現されない非免疫細胞中で維持される。例えば、一部の実施形態において、肝臓特異的タンパク質に対する免疫原性反応を防止するため、任意のmiR-122結合部位を除去することができ、miR-142(および/またはmirR-146)結合部位を本開示のポリリボヌクレオチドの5’UTRおよび/または3’UTR中に遺伝子操作することができる。
APCおよびマクロファージ中での選択的分解および抑制をさらにドライブするため、本開示のポリリボヌクレオチドは、5’UTRおよび/または3’UTR中のさらなる負調節エレメントを単独でまたはmiR-142および/もしくはmiR-146結合部位との組合せのいずれかで含み得る。非限定的な例として、さらなる負調節エレメントは、構成的崩壊エレメント(CDE:Constitutive Decay Element)である。
免疫細胞特異的miRNAとしては、限定されるものではないが、hsa-let-7a-2-3p、hsa-let-7a-3p、hsa-7a-5p、hsa-let-7c、hsa-let-7e-3p、hsa-let-7e-5p、hsa-let-7g-3p、hsa-let-7g-5p、hsa-let-7i-3p、hsa-let-7i-5p、miR-10a-3p、miR-10a-5p、miR-1184、hsa-let-7f-1--3p、hsa-let-7f-2--5p、hsa-let-7f-5p、miR-125b-1-3p、miR-125b-2-3p、miR-125b-5p、miR-1279、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-132-3p、miR-132-5p、miR-142-3p、miR-142-5p、miR-143-3p、miR-143-5p、miR-146a-3p、miR-146a-5p、miR-146b-3p、miR-146b-5p、miR-147a、miR-147b、miR-148a-5p、miR-148a-3p、miR-150-3p、miR-150-5p、miR-151b、miR-155-3p、miR-155-5p、miR-15a-3p、miR-15a-5p、miR-15b-5p、miR-15b-3p、miR-16-1-3p、miR-16-2-3p、miR-16-5p、miR-17-5p、miR-181a-3p、miR-181a-5p、miR-181a-2-3p、miR-182-3p、miR-182-5p、miR-197-3p、miR-197-5p、miR-21-5p、miR-21-3p、miR-214-3p、miR-214-5p、miR-223-3p、miR-223-5p、miR-221-3p、miR-221-5p、miR-23b-3p、miR-23b-5p、miR-24-1-5p、miR-24-2-5p、miR-24-3p、miR-26a-1-3p、miR-26a-2-3p、miR-26a-5p、miR-26b-3p、miR-26b-5p、miR-27a-3p、miR-27a-5p、miR-27b-3p、miR-27b-5p、miR-28-3p、miR-28-5p、miR-2909、miR-29a-3p、miR-29a-5p、miR-29b-1-5p、miR-29b-2-5p、miR-29c-3p、miR-29c-5p、miR-30e-3p、miR-30e-5p、miR-331-5p、miR-339-3p、miR-339-5p、miR-345-3p、miR-345-5p、miR-346、miR-34a-3p、miR-34a-5p、miR-363-3p、miR-363-5p、miR-372、miR-377-3p、miR-377-5p、miR-493-3p、miR-493-5p、miR-542、miR-548b-5p、miR548c-5p、miR-548i、miR-548j、miR-548n、miR-574-3p、miR-598、miR-718、miR-935、miR-99a-3p、miR-99a-5p、miR-99b-3p、およびmiR-99b-5pが挙げられる。さらに、新規miRNAは、免疫細胞中でマイクロアレイハイブリダイゼーションおよびミクロトーム分析(例えば、ジマ DD(Jima DD)ら著、ブラッド(Blood)、2010年、第116巻、e118~e127;バズ C(Vaz
C)ら著、バイオメド・セントラル・ゲノミクス(BMC Genomics)、2010年、第11巻、p.288(それらのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる))を介して同定することができる。
肝臓中で発現されることが公知のmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-107、miR-122-3p、miR-122-5p、miR-1228-3p、miR-1228-5p、miR-1249、miR-129-5p、miR-1303、miR-151a-3p、miR-151a-5p、miR-152、miR-194-3p、miR-194-5p、miR-199a-3p、miR-199a-5p、miR-199b-3p、miR-199b-5p、miR-296-5p、miR-557、miR-581、miR-939-3p、およびmiR-939-5pが挙げられる。任意の肝臓特異的miRNAからのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドに導入し、またはそれから除去して肝臓中でのポリリボヌクレオチドの発現を調節することができる。肝臓特異的miRNA結合部位は、単独でまたはさらには本開示のポリリボヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位との組合せで遺伝子操作することができる。
肺中で発現されることが公知のmiRNAとしては、限定されるものではないが、let-7a-2-3p、let-7a-3p、let-7a-5p、miR-126-3p、miR-126-5p、miR-127-3p、miR-127-5p、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-130b-3p、miR-130b-5p、miR-133a、miR-133b、miR-134、miR-18a-3p、miR-18a-5p、miR-18b-3p、miR-18b-5p、miR-24-1-5p、miR-24-2-5p、miR-24-3p、miR-296-3p、miR-296-5p、miR-32-3p、miR-337-3p、miR-337-5p、miR-381-3p、およびmiR-381-5pが挙げられる。任意の肺特異的miRNAからのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドに導入し、またはそれから除去して肺中でのポリリボヌクレオチドの発現を調節することができる。肺特異的miRNA結合部位は、単独でまたはさらには本開示のポリリボヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位との組合せで遺伝子操作することができる。
心臓中で発現されることが公知のmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-1、miR-133a、miR-133b、miR-149-3p、miR-149-5p、miR-186-3p、miR-186-5p、miR-208a、miR-208b、miR-210、miR-296-3p、miR-320、miR-451a、miR-451b、miR-499a-3p、miR-499a-5p、miR-499b-3p、miR-499b-5p、miR-744-3p、miR-744-5p、miR-92b-3p、およびmiR-92b-5pが挙げられる。任意の心臓特異的マイクロRNAからのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドに導入し、またはそれから除去して心臓中でのポリリボヌクレオチドの発現を調節することができる。心臓特異的miRNA結合部位は、単独でまたはさらには本開示のポリリボヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位との組合せで遺伝子操作することができる。
神経系中で発現されることが公知のmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-124-5p、miR-125a-3p、miR-125a-5p、miR-125b-1-3p、miR-125b-2-3p、miR-125b-5p、miR-1271-3p、miR-1271-5p、miR-128、miR-132-5p、miR-135a-3p、miR-135a-5p、miR-135b-3p、miR-135b-5p、miR-137、miR-139-5p、miR-139-3p、miR-149-3p、miR-149-5p、miR-153、miR-181c-3p、miR-181c-5p、miR-183-3p、miR-183-5p、miR-190a、miR-190b、miR-212-3p、miR-212-5p、miR-219-1-3p、miR-219-2-3p、miR-23a-3p、miR-23a-5p、miR-30a-5p、miR-30b-3p、miR-30b-5p、miR-30c-1-3p、miR-30c-2-3p、miR-30c-5p、miR-30d-3p、miR-30d-5p、miR-329、miR-342-3p、miR-3665、miR-3666、miR-380-3p、miR-380-5p、miR-383、miR-410、miR-425-3p、miR-425-5p、miR-454-3p、miR-454-5p、miR-483、miR-510、miR-516a-3p、miR-548b-5p、miR-548c-5p、miR-571、miR-7-1-3p、miR-7-2-3p、miR-7-5p、miR-802、miR-922、miR-9-3p、およびmiR-9-5pが挙げられる。神経系中で豊富なmiRNAとしては、ニューロン中で特異的に発現されるもの、例として、限定されるものではないが、miR-132-3p、miR-132-3p、miR-148b-3p、miR-148b-5p、miR-151a-3p、miR-151a-5p、miR-212-3p、miR-212-5p、miR-320b、miR-320e、miR-323a-3p、miR-323a-5p、miR-324-5p、miR-325、miR-326、miR-328、miR-922ならびにグリア細胞中で特異的に発現されるもの、例として、限定されるものではないが、miR-1250、miR-219-1-3p、miR-219-2-3p、miR-219-5p、miR-23a-3p、miR-23a-5p、miR-3065-3p、miR-3065-5p、miR-30e-3p、miR-30e-5p、miR-32-5p、miR-338-5p、およびmiR-657がさらに挙げられる。任意のCNS特異的miRNAからのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドに導入し、またはそれから除去して神経系中でのポリリボヌクレオチドの発現を調節することができる。神経系特異的miRNA結合部位は、単独でまたはさらには本開示のポリリボヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位との組合せで遺伝子操作することができる。
膵臓中で発現されることが公知のmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-105-3p、miR-105-5p、miR-184、miR-195-3p、miR-195-5p、miR-196a-3p、miR-196a-5p、miR-214-3p、miR-214-5p、miR-216a-3p、miR-216a-5p、miR-30a-3p、miR-33a-3p、miR-33a-5p、miR-375、miR-7-1-3p、miR-7-2-3p、miR-493-3p、miR-493-5p、およびmiR-944が挙げられる。任意の膵臓特異的miRNAからのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドに導入し、またはそれから除去して膵臓中でのポリリボヌクレオチドの発現を調節することができる。膵臓特異的miRNA結合部位は、単独でまたはさらには本開示のポリリボヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位との組合せで遺伝子操作することができる。
腎臓中で発現されることが公知のmiRNAとしては、限定されるものではないが、miR-122-3p、miR-145-5p、miR-17-5p、miR-192-3p、miR-192-5p、miR-194-3p、miR-194-5p、miR-20a-3p、miR-20a-5p、miR-204-3p、miR-204-5p、miR-210、miR-216a-3p、miR-216a-5p、miR-296-3p、miR-30a-3p、miR-30a-5p、miR-30b-3p、miR-30b-5p、miR-30c-1-3p、miR-30c-2-3p、miR30c-5p、miR-324-3p、miR-335-3p、miR-335-5p、miR-363-3p、miR-363-5p、およびmiR-562が挙げられる。任意の腎臓特異的miRNAからのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドに導入し、またはそれから除去して腎臓中でのポリリボヌクレオチドの発現を調節することができる。腎臓特異的miRNA結合部位は、単独でまたはさらには本開示のポリリボヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位との組合せで遺伝子操作することができる。
筋肉中で発現されることが公知のmiRNAとしては、限定されるものではないが、let-7g-3p、let-7g-5p、miR-1、miR-1286、miR-133a、miR-133b、miR-140-3p、miR-143-3p、miR-143-5p、miR-145-3p、miR-145-5p、miR-188-3p、miR-188-5p、miR-206、miR-208a、miR-208b、miR-25-3p、およびmiR-25-5pが挙げられる。任意の筋肉特異的miRNAからのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドに導入し、またはそれから除去して筋肉中でのポリリボヌクレオチドの発現を調節することができる。筋肉特異的miRNA結合部位は、単独でまたはさらには本開示のポリリボヌクレオチド中の免疫細胞(例えば、APC)miRNA結合部位との組合せで遺伝子操作することができる。
miRNAは、異なるタイプの細胞、例えば、限定されるものではないが、内皮細胞、上皮細胞、および脂肪細胞中でも示差的に発現される。
内皮細胞中で発現されることが公知のmiRNAとしては、限定されるものではないが、let-7b-3p、let-7b-5p、miR-100-3p、miR-100-5p、miR-101-3p、miR-101-5p、miR-126-3p、miR-126-5p、miR-1236-3p、miR-1236-5p、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-17-5p、miR-17-3p、miR-18a-3p、miR-18a-5p、miR-19a-3p、miR-19a-5p、miR-19b-1-5p、miR-19b-2-5p、miR-19b-3p、miR-20a-3p、miR-20a-5p、miR-217、miR-210、miR-21-3p、miR-21-5p、miR-221-3p、miR-221-5p、miR-222-3p、miR-222-5p、miR-23a-3p、miR-23a-5p、miR-296-5p、miR-361-3p、miR-361-5p、miR-421、miR-424-3p、miR-424-5p、miR-513a-5p、miR-92a-1-5p、miR-92a-2-5p、miR-92a-3p、miR-92b-3p、およびmiR-92b-5pが挙げられる。多くの新規miRNAは、内皮細胞中でディープシーケンシング分析から発見される(例えば、ボエレンクル C(Voellenkle C)ら著、RNA、2012年、第18巻、p.472~484(参照により全体として本明細書に組み込まれる))。任意の内皮細胞特異的miRNAからのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドに導入し、またはそれから除去して内皮細胞中でのポリリボヌクレオチドの発現を調節することができる。
上皮細胞中で発現されることが公知のmiRNAとしては、限定されるものではないが、let-7b-3p、let-7b-5p、miR-1246、miR-200a-3p、miR-200a-5p、miR-200b-3p、miR-200b-5p、miR-200c-3p、miR-200c-5p、miR-338-3p、miR-429、miR-451a、miR-451b、miR-494、miR-802およびmiR-34a、miR-34b-5p、miR-34c-5p、miR-449a、miR-449b-3p、呼吸線毛上皮細胞中で特異的なmiR-449b-5p、let-7ファミリー、miR-133a、miR-133b、肺上皮細胞中で特異的なmiR-126、miR-382-3p、腎臓上皮細胞中で特異的なmiR-382-5p、および角膜上皮細胞中で特異的なmiR-762が挙げられる。任意の上皮細胞特異的miRNAからのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドに導入し、またはそれから除去して上皮細胞中でのポリリボヌクレオチドの発現を調節することができる。
さらに、miRNAの大きいグループが胚性幹細胞中で豊富であり、幹細胞自己再生、ならびに種々の細胞系統、例えば神経細胞、心臓細胞、造血細胞、皮膚細胞、骨形成原細胞および筋細胞の発生および/または分化を制御する(例えば、クップサミー KT(Kuppusamy KT)ら著、カレント・モレキュラー・メディシン(Curr.Mol Med)、2013年、第13巻(5)、p.757~764;ビディガル JA(Vidigal JA)およびベンチュラ A(Ventura A)著、セミナーズ・イン・キャンサー・バイオロジー(Semin Cancer Biol.)、2012年、第22巻(5~6)、p.428~436;ゴフ LA(Goff LA)ら著、プロス・ワン(PLoS One)、2009年、第4巻、e7192;モリン RD(Morin RD)ら著、ゲノム・リサーチ(Genome Res)、2008年、第18巻、p.610~621;ヨウ JK(Yoo JK)ら著、ステム・セルズ・アンド・ディベロップメント(Stem Cells Dev.)、2012年、第21巻(11)、p.2049~2057(それらのそれぞれは、参照により全体として本明細書に組み込まれる))。胚性幹細胞中で豊富なmiRNAとしては、限定されるものではないが、let-7a-2-3p、let-a-3p、let-7a-5p、let7d-3p、let-7d-5p、miR-103a-2-3p、miR-103a-5p、miR-106b-3p、miR-106b-5p、miR-1246、miR-1275、miR-138-1-3p、miR-138-2-3p、miR-138-5p、miR-154-3p、miR-154-5p、miR-200c-3p、miR-200c-5p、miR-290、miR-301a-3p、miR-301a-5p、miR-302a-3p、miR-302a-5p、miR-302b-3p、miR-302b-5p、miR-302c-3p、miR-302c-5p、miR-302d-3p、miR-302d-5p、miR-302e、miR-367-3p、miR-367-5p、miR-369-3p、miR-369-5p、miR-370、miR-371、miR-373、miR-380-5p、miR-423-3p、miR-423-5p、miR-486-5p、miR-520c-3p、miR-548e、miR-548f、miR-548g-3p、miR-548g-5p、miR-548i、miR-548k、miR-548l、miR-548m、miR-548n、miR-548o-3p、miR-548o-5p、miR-548p、miR-664a-3p、miR-664a-5p、miR-664b-3p、miR-664b-5p、miR-766-3p、miR-766-5p、miR-885-3p、miR-885-5p、miR-93-3p、miR-93-5p、miR-941、miR-96-3p、miR-96-5p、miR-99b-3pおよびmiR-99b-5pが挙げられる。多くの予測新規miRNAは、ディープシーケンシングによりヒト胚性幹細胞中で発見される(例えば、モリン RD(Morin RD)ら著、ゲノム・リサーチ(Genome Res)、2008年、第18巻、p.610~621;ゴフ LA(Goff LA)ら著、プロス・ワン(PLoS One)、2009年、第4巻、e7192;バール M(Bar M)ら著、ステム・セルズ(Stem cells)、2008年、第26巻、p.2496~2505(それらのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる))。
一実施形態において、胚性幹細胞特異的miRNAの結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドの3’UTR中に含め、またはそれから除去して胚性幹細胞の発生および/もしくは分化をモジュレートし、変性病態(例えば、変性疾患)における幹細胞の老化を阻害し、または疾患病態(例えば、癌幹細胞)における幹細胞の老化およびアポトーシスを刺激することができる。
種々の癌細胞/組織および他の疾患におけるmiRNAの示差的発現をプロファイリングするために多くのmiRNA発現研究が実施されている。一部のmiRNAは、ある癌細胞中では異常に過剰発現され、他の癌細胞中では過小発現される。例えば、miRNAは、癌細胞(国際公開第2008/154098号パンフレット、米国特許出願公開第2013/0059015号明細書、米国特許出願公開第2013/0042333号明細書、国際公開第2011/157294号パンフレット);癌幹細胞(米国特許出願公開第2012/0053224号明細書);膵臓癌および疾患(米国特許出願公開第2009/0131348号明細書、米国特許出願公開第2011/0171646号明細書、米国特許出願公開第2010/0286232号明細書、米国特許第8389210号明細書);喘息および炎症(米国特許第8415096号明細書);前立腺癌(米国特許出願公開第2013/0053264号明細書);肝細胞癌腫(国際公開第2012/151212号パンフレット、米国特許出願公開第2012/0329672号明細書、国際公開第2008/054828号パンフレット、米国特許第8252538号明細書);肺癌細胞(国際公開第2011/076143号パンフレット、国際公開第2013/033640号パンフレット、国際公開第2009/070653号パンフレット、米国特許出願公開第2010/0323357号明細書);皮膚T細胞性リンパ腫(国際公開第2013/011378号パンフレット);結腸直腸癌細胞(国際公開第2011/0281756号明細書、国際公開第2011/076142号明細書);癌陽性リンパ節(国際公開第2009/100430号パンフレット、米国特許出願公開第2009/0263803号明細書);上咽頭癌(欧州特許第2112235号明細書);慢性閉塞性肺疾患(米国特許出願公開第2012/0264626号明細書、米国特許出願公開第2013/0053263号明細書);甲状腺癌(国際公開第2013/066678号パンフレット);卵巣癌細胞(米国特許出願公開第2012/0309645号明細書、国際公開第2011/095623号パンフレット);乳癌細胞(国際公開第2008/154098号パンフレット、国際公開第2007/081740号パンフレット、米国特許出願公開第2012/0214699号明細書)、白血病およびリンパ腫(国際公開第2008/073915号パンフレット、米国特許出願公開第2009/0092974号明細書、米国特許出願公開第2012/0316081号明細書、米国特許出願公開第2012/0283310号明細書、国際公開第2010/018563号パンフレット(それらのそれぞれの内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる))において示差的に発現される。
非限定的な例として、ある癌および/または腫瘍細胞中で過剰発現されるmiRNAについてのmiRNA結合部位は、本開示のポリリボヌクレオチドの3’UTRから除去することができ、癌細胞中で過剰発現されるmiRNAにより抑制される発現を回復させ、したがって、対応する生物学的機能、例えば転写刺激および/または抑制、細胞周期停止、アポトーシスおよび細胞死を良化させる。miRNA発現が上方調節されない正常細胞および組織は、影響を受けないままである。
miRNAは、複雑な生物学的プロセス、例えば血管新生も調節し得る(例えば、miR-132)(アナンド(Anand)およびチェレッシュ(Cheresh)著、カレント・オピニオン・イン・ヘマトロジー(Curr Opin Hematol)、2011年、第18巻、p.171~176)。本開示のポリリボヌクレオチドにおいて、そのようなプロセスに関与するmiRNA結合部位は、除去するかまたは導入してポリリボヌクレオチドの発現を生物学的に関連する細胞タイプまたは関連する生物学的プロセスに合わせることができる。これに関して、本開示のポリリボヌクレオチドは、栄養要求性ポリリボヌクレオチドとして定義される。
ステムループ
ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ステムループ、例えば、限定されるものではないが、ヒストンステムループを含み得る。ステムループは、約25または約26ヌクレオチド長であるヌクレオチド配列、例えば、限定されるものではないが、国際特許出願公開の国際公開第2013/103659号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものであり得る。ヒストンステムループは、コード領域に対して3’で(例えば、コード領域の3’-末端に)局在させることができる。非限定的な例として、ステムループは、本明細書に記載のポリヌクレオチドの3’-末端に局在させることができる。一部の場合、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、2つ以上のステムループ(例えば、2つのステムループ)を含む。ステムループ配列の例は、国際特許出願公開の国際公開第2012/019780号パンフレットおよび国際公開第201502667号パンフレット(そのステムループ配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。一部の例において、ポリヌクレオチドは、ステムループ配列CAAAGGCTCTTTTCAGAGCCACCA(配列番号1)を含む。他の例において、ポリヌクレオチドは、ステムループ配列CAAAGGCUCUUUUCAGAGCCACCA(配列番号2)を含む。
ステムループは、ポリヌクレオチドの第2の末端領域中に局在させることができる。非限定的な例として、ステムループは、第2の末端領域中の非翻訳領域(例えば、3’-UTR)内に局在させることができる。
一部の場合、ヒストンステムループを含むポリヌクレオチド、例えば、限定されるものではないが、mRNAは、3’-安定化領域(例えば、少なくとも1つの鎖終結ヌクレオシドを含む3’-安定化領域)の付加により安定化させることができる。理論により拘束されるものではないが、少なくとも1つの鎖終結ヌクレオシドの付加は、ポリヌクレオチドの分解を減速させ得、したがってポリヌクレオチドの半減期を増加させ得る。
他の場合、ヒストンステムループを含むポリヌクレオチド、例えば、限定されるものではないが、mRNAは、オリゴ(U)の付加を防止し、および/または阻害し得るポリヌクレオチドの3’-領域の変更により安定化させることができる(例えば、国際特許出願公開の国際公開第2013/103659号パンフレットを参照されたい)。
さらに他の場合、ヒストンステムループを含むポリヌクレオチド、例えば、限定されるものではないが、mRNAは、3’-デオキシヌクレオシド、2’,3’-ジデオキシヌクレオシド3’-O-メチルヌクレオシド、3’-O-エチルヌクレオシド、3’-アラビノシド、ならびに当技術分野において公知の、および/または本明細書に記載の他の代替ヌクレオシドで終結するオリゴヌクレオチドの付加により安定化させることができる。
一部の例において、本開示のポリヌクレオチドは、ヒストンステムループ、ポリ-A領域、および/または5’-キャップ構造を含み得る。ヒストンステムループは、ポリ-A領域の前および/または後に存在し得る。ヒストンステムループおよびポリ-A領域配列を含むポリヌクレオチドは、本明細書に記載の鎖終結ヌクレオシドを含み得る。
他の例において、本開示のポリヌクレオチドは、ヒストンステムループおよび5’-キャップ構造を含み得る。5’-キャップ構造としては、限定されるものではないが、本明細書に記載のものおよび/または当技術分野において公知のものを挙げることができる。
一部の場合、保存ステムループ領域は、本明細書に記載のmiR配列を含み得る。非限定的な例として、ステムループ領域は、本明細書に記載のmiR配列のシード配列を含み得る。別の非限定的な例として、ステムループ領域は、miR-122シード配列を含み得る。
ある例において、保存ステムループ領域は、本明細書に記載のmiR配列を含み得、TEE配列も含み得る。
一部の場合、miR配列および/またはTEE配列の取り込みは、ステムループ領域の形状を変化させ、それが翻訳を増加させ、および/または減少させ得る(例えば、ケッデ(Kedde)ら著、「p27-3’UTR中のプミリオ誘導RNA構造スイッチは、miR-221およびmiR-22のアクセス性を制御する(A Pumilio-induced RNA structure switch in p27-3’UTR controls miR-221 and miR-22 accessibility」)、ネイチャー・セル・バイオロジー(Nature Cell Biology、2010年(参照により全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのヒストンステムループおよびポリ-A領域またはポリアデニル化シグナルを含み得る。少なくとも1つのヒストンステムループおよびポリ-A領域またはポリアデニル化シグナルをコードするポリヌクレオチド配列の非限定的な例は、国際特許出願公開の国際公開第2013/120497号パンフレット、国際公開第2013/120629号パンフレット、国際公開第2013/120500号パンフレット、国際公開第2013/120627号パンフレット、国際公開第2013/120498号パンフレット、国際公開第2013/120626号パンフレット、国際公開第2013/120499号パンフレットおよび国際公開第2013/120628号パンフレット(それらのそれぞれの配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。ある場合、ヒストンステムループおよびポリ-A領域またはポリアデニル化シグナルをコードするポリヌクレオチドは、病原体抗原またはその断片をコードし得、例えば国際特許出願公開の国際公開第2013/120499号パンフレットおよび国際公開第2013/120628号パンフレット(それらの両方の配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のポリヌクレオチド配列である。他の場合、ヒストンステムループおよびポリ-A領域またはポリアデニル化シグナルをコードするポリヌクレオチドは、治療タンパク質をコードし得、例えば国際特許出願公開の国際公開第2013/120497号パンフレットおよび国際公開第2013/120629号パンフレット(それらの両方の配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のポリヌクレオチド配列である。一部の場合、ヒストンステムループおよびポリ-A領域またはポリアデニル化シグナルをコードするポリヌクレオチドは、腫瘍抗原またはその断片をコードし得、例えば国際特許出願公開の国際公開第2013/120500号パンフレットおよび国際公開第2013/120627号パンフレット(それらの両方の配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のポリヌクレオチド配列である。他の場合、ヒストンステムループおよびポリ-A領域またはポリアデニル化シグナルをコードするポリヌクレオチドは、アレルギー性抗原または自己免疫自己抗原をコードし得、例えば国際特許出願公開の国際公開第2013/120498号パンフレットおよび国際公開第2013/120626号パンフレット(それらの両方の配列は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のポリヌクレオチド配列である。
ポリ-A領域
ポリヌクレオチドまたは核酸(例えば、mRNA)は、ポリA配列および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。ポリA配列は、全体的にまたは大部分がアデニンヌクレオチドまたはその類似体もしくは誘導体からなり得る。ポリA配列は、核酸の3’非翻訳領域に隣接して局在するテールであり得る。
RNAプロセシング中、アデノシンヌクレオチドの長鎖(ポリ-A領域)は、通常、メッセンジャーRNA(mRNA)分子に付加されて分子の安定性が増加する。転写直後、転写物の3’-末端は、遊離3’-ヒドロキシに開裂される。次いで、ポリ-Aポリメラーゼがアデノシンヌクレオチドの鎖をRNAに付加する。このプロセスは、ポリアデニル化と呼ばれ、100~250残基長のポリ-A領域を付加する。
ユニークなポリ-A領域長は、ある利点を本開示の代替ポリヌクレオチドに提供し得る。
一般に、本開示のポリ-A領域の長さは、少なくとも30ヌクレオチド長である。別の実施形態において、ポリ-A領域は、少なくとも35ヌクレオチド長である。別の実施形態において、長さは、少なくとも40ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも45ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも55ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも60ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも70ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも80ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも90ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも100ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも120ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも140ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも160ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも180ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも200ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも250ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも300ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも350ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも400ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも450ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも500ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも600ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも700ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも800ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも900ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1000ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1100ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1200ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1300ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1400ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1500ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1600ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1700ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1800ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも1900ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも2000ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも2500ヌクレオチドである。別の実施形態において、長さは、少なくとも3000ヌクレオチドである。
一部の例において、ポリ-A領域は、本明細書に記載の代替ポリヌクレオチド分子上で80ヌクレオチド、120ヌクレオチド、160ヌクレオチド長であり得る。
他の例において、ポリ-A領域は、本明細書に記載の代替ポリヌクレオチド分子上で20、40、80、100、120、140または160ヌクレオチド長であり得る。
一部の場合、ポリ-A領域は、代替ポリヌクレオチド全体の長さに対して設計される。この設計は、代替ポリヌクレオチドのコード領域の長さ、代替ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の特定の特徴部または領域の長さに基づくか、または代替ポリヌクレオチドから発現される最終産物の長さに基づき得る。代替ポリヌクレオチドの任意の特徴部(例えば、ポリ-A領域を含むmRNA部分以外)に対する場合、ポリ-A領域は、追加の特徴部よりも10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%長いことができる。ポリ-A領域は、それが属する代替ポリヌクレオチドの一部分として設計することもできる。これに関して、ポリ-A領域は、構築物の全長またはポリ-A領域を減算した構築物の全長の10、20、30、40、50、60、70、80、または90%以上であり得る。
ある場合、ポリ-A結合タンパク質のために遺伝子操作された結合部位および/またはポリヌクレオチド(例えば、mRNA)のコンジュゲーションを使用して発現を向上させることができる。遺伝子操作結合部位は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の局所微小環境のリガンドについての結合部位として作動し得るセンサー配列であり得る。非限定的な例として、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリ-A結合タンパク質(PABP:poly-A binding protein)およびその類似体の結合親和性を変更するための少なくとも1つの遺伝子操作結合部位を含み得る。少なくとも1つの遺伝子操作結合部位の取り込みは、PABPおよびその類似体の結合親和性を増加させ得る。
さらに、複数の区別されるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリ-A領域の3’-末端における代替ヌクレオチドを使用して3’-末端を介してPABP(ポリ-A結合タンパク質)に一緒に結合させることができる。形質移入実験を関連細胞系において実施することができ、形質移入の12時間、24時間、48時間、72時間、および7日後にタンパク質産生をELISAによりアッセイすることができる。非限定的な例として、形質移入実験を使用して少なくとも1つの遺伝子操作結合部位の付加の結果としてのPABPまたはその類似体の結合親和性に対する効果を評価することができる。
ある場合、ポリ-A領域を使用して翻訳開始をモジュレートすることができる。理論により拘束されるものではないが、ポリ-A領域は、次いで翻訳開始複合体と相互作用し得、したがってタンパク質合成に不可欠であり得るPABPをリクルートする。
ある場合、ポリ-A領域を本開示において使用して3’-5’-エキソヌクレアーゼ消化から保護することもできる。
一部の例において、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリA-Gカルテットを含み得る。G-カルテットは、DNAおよびRNA中の両方のG-リッチ配列により形成され得る4つのグアノシンヌクレオチドの環式水素結合の配列である。この実施形態において、G-カルテットは、ポリ-A領域の末端に取り込まれる。得られるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、安定性、タンパク質産生および他のパラメータ、例として半減期について種々の時点においてアッセイすることができる。ポリA-Gカルテットは、120ヌクレオチドのポリ-A領域を単独で使用して見られるものの少なくとも75%と同等のタンパク質産生をもたらすことが発見された。
一部の場合、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリ-A領域を含み得、3’-安定化領域の付加により安定化させることができる。ポリ-A領域を有するポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、5’-キャップ構造をさらに含み得る。
他の場合、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、ポリ-A-Gカルテットを含み得る。ポリ-A-Gカルテットを有するポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、5’-キャップ構造をさらに含み得る。
一部の場合、ポリ-A領域またはポリ-A-Gカルテットを含むポリヌクレオチド(例えば、mRNA)を安定化させるために使用することができる3’-安定化領域は、限定されるものではないが、国際特許出願公開の国際公開第2013/103659号パンフレット(そのポリ-A領域およびポリ-A-Gカルテットは、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものであり得る。他の場合、本開示により使用することができる3’-安定化領域は、鎖終結ヌクレオシド、例えば3’-デオキシアデノシン(コルジセピン)、3’-デオキシウリジン、3’-デオキシシトシン、3’-デオキシグアノシン、3’-デオキシチミン、2’,3’-ジデオキシヌクレオシド、例えば2’,3’-ジデオキシアデノシン、2’,3’-ジデオキシウリジン、2’,3’-ジデオキシシトシン、2’,3’-ジデオキシグアノシン、2’,3’-ジデオキシチミン、2’-デオキシヌクレオシド、またはO-メチルヌクレオシドを含む。
他の場合、ポリA領域またはポリ-A-Gカルテットを含むポリヌクレオチド、例えば、限定されるものではないが、mRNAは、オリゴ(U)の付加を予防し、および/または阻害し得るポリヌクレオチドの3’-領域の変更により安定化させることができる(例えば、国際特許出願公開の国際公開第2013/103659号パンフレットを参照されたい)。
さらに他の例において、ポリ-A領域またはポリ-A-Gカルテットを含むポリヌクレオチド、例えば、限定されるものではないが、mRNAは、3’-デオキシヌクレオシド、2’,3’-ジデオキシヌクレオシド3’-O-メチルヌクレオシド、3’-O-エチルヌクレオシド、3’-アラビノシド、ならびに当技術分野において公知のおよび/または本明細書に記載の他の代替ヌクレオシドで終結するオリゴヌクレオチドの付加により安定化させることができる。
鎖終結ヌクレオシド
核酸は、鎖終結ヌクレオシドを含み得る。例えば、鎖終結ヌクレオシドとしては、糖基の2’および/または3’位においてデオキシ化されたヌクレオシドを挙げることができる。このような種としては、3’-デオキシアデノシン(コルジセピン)、3’-デオキシウリジン、3’-デオキシシトシン、3’-デオキシグアノシン、3’-デオキシチミン、ならびに2’,3’-ジデオキシヌクレオシド、例えば2’,3’-ジデオキシアデノシン、2’,3’-ジデオキシウリジン、2’,3’-ジデオキシシトシン、2’,3’-ジデオキシグアノシン、および2’,3’-ジデオキシチミンを挙げることができる。
他の構成成分
LNPは、上記セクションに記載のものに加えて1つ以上の構成成分を含み得る。例えば、LNPは、1つ以上の疎水性小分子、例えばビタミン(例えば、ビタミンAまたはビタミンE)またはステロールを含み得る。
脂質ナノ粒子は、1つ以上の透過性向上剤分子、炭水化物、ポリマー、表面変更剤、または他の構成成分も含み得る。透過性向上剤分子は、例えば、米国特許出願公開第2005/0222064号明細書により記載されている分子であり得る。炭水化物としては、単糖(例えば、グルコース)および多糖(例えば、グリコーゲンならびにその誘導体および類似体)を挙げることができる。
ポリマーは、LNP中に含め、および/またはLNPを封入し、もしくは部分的に封入するために使用することができる。ポリマーは、生分解性および/または生体適合性であり得る。ポリマーは、限定されるものではないが、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカルボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、およびポリアリレート(polyarylate)から選択することができる。例えば、ポリマーとしては、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L-乳酸-co-グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン-co-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PEO-co-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PPO-co-D,L-ラクチド)、ポリアルキルシアノクリレート、ポリウレタン、ポリ-L-リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカルボネート、ポリアルキレン、例えばポリエチレンおよびポロプロピレン、ポリアルキレングリコール、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリアルキレンテレフタレート、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、例えばポリ(酢酸ビニル)、ポリハロゲン化ビニル、例えばポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリウレタン、誘導体化セルロース、例えばアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸のポリマー、例えばポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)ならびにそれらのコポリマーおよび混合物、ポリジオキソランおよびそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポロプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、トリメチレンカルボネート、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)(PAcM)、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)(PMOX)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEOZ)、ならびにポリグリセロールを挙げることができる。
表面変更剤としては、限定されるものではないが、アニオン性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、例えばジメチルジオクタデシル-アンモニウムブロミド)、糖または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコール、およびポロキサマー)、粘液溶解剤(例えば、アセチルシステイン、オオヨモギ、ブロメライン、パパイン、クレオデンドラム、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アンブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルソリン、チモシンβ4、ドルナーゼアルファ、ネルテネキシン、およびエルドステイン)、およびDNアーゼ(例えば、rhDNアーゼ)を挙げることができる。表面変更剤は、ナノ粒子内および/またはLNPの表面上で(例えば、コーティング、吸着、共有結合、または他のプロセスにより)配置することができる。
LNPは、1つ以上の官能化脂質も含み得る。例えば、脂質は、適切な反応条件下でアジドに曝露した場合に環化付加反応を受け得るアルキン基により官能化することができる。特に、脂質二重層は、この様式で膜透過、細胞認識、またはイメージングの容易化において有用な1つ以上の基により官能化することができる。LNPの表面は、1つ以上の有用な抗体とコンジュゲートすることもできる。標的細胞送達、イメージング、および膜透過において有用な官能基およびコンジュゲートは、当技術分野において周知である。
これらの構成成分に加えて、脂質ナノ粒子は、医薬組成物において有用な任意の物質を含み得る。例えば、脂質ナノ粒子は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤または副成分、例えば、限定されるものではないが、1つ以上の溶媒、分散媒、希釈剤、分散助剤、懸濁助剤、顆粒化助剤、崩壊剤、充填剤、流動促進剤、液体ビヒクル、結合剤、表面活性剤、等張化剤、増粘または乳化剤、緩衝剤、滑沢剤、油、保存剤、および他の種を含み得る。賦形剤、例えばワックス、バター、着色剤、コーティング剤、香味剤、および着香剤を含めることもできる。薬学的に許容可能な賦形剤は、当技術分野において周知である(例えば、「レミントンの製薬の科学および実践(Remington’s The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、A.R.ジェンナロ(A.R.Gennaro)著、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス(Lippincott,Williams&Wilkins)、ボルチモア、メリーランド、2006年を参照されたい)。
希釈剤の例としては、限定されるものではないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、トウモロコシデンプン、粉糖、および/またはそれらの組合せを挙げることができる。顆粒化および分散剤は、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘パルプ、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木質製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル-ピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファ化デンプン(デンプン1500)、微結晶性デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム(VEEGUM)(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物、および/またはそれらの組合せからなる非限定的なリストから選択することができる。
表面活性剤および/または乳化剤としては、限定されるものではないが、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、およびレシチン)、コロイド状粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]およびビーガム(VEEGUM)(登録商標)[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、およびモノステアリン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、およびカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末化セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノラウリル酸ポリオキシエチレンソルビタン[ツイン(TWEEN)(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[ツイン(TWEEN)(登録商標)60]、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン[ツイン(TWEEN)(登録商標)80]、モノパルミチン酸ソルビタン[スパン(SPAN)(登録商標)40]、モノステアリン酸ソルビタン[スパン(SPAN)(登録商標)60]、トリステアリン酸ソルビタン[スパン(SPAN)(登録商標)65]、モノオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン[スパン(SPAN)(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン[MYRJ(登録商標)45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシ化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシメチレン、およびソルトール(SOLUTOL)(登録商標))、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、クレモホル(CREMOPHOR)(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル、(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[BRIJ(登録商標)30])、ポリ(ビニル-ピロリドン)、モノラウリル酸ジエチレングリコール、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、プルロニック(PLURONIC)(登録商標)F68、ポロキサマー(POLOXAMER)(登録商標)188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドクサートナトリウム、ならびに/またはそれらの組合せを挙げることができる。
結合剤は、デンプン(例えば、トウモロコシデンプンおよびデンプンペースト);ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール);天然および合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワールガム(panwar gum)、ガティガム、イサポール外皮(isapol husk)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム((ビーガム(VEEGUM)(登録商標))、およびカラマツアラボガラクタン(larch arabogalactan));アルギン酸塩;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリレート;ワックス;水;アルコール;ならびにそれらの組合せ、または任意の他の好適な結合剤であり得る。
保存剤の例としては、限定されるものではないが、酸化防止剤、キレート剤、抗菌性保存剤、抗真菌性保存剤、アルコール保存剤、酸性保存剤、および/または他の保存剤を挙げることができる。酸化防止剤の例としては、限定されるものではないが、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、および/または亜硫酸ナトリウムが挙げられる。キレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、および/またはエデト酸三ナトリウムが挙げられる。抗菌性保存剤の例としては、限定されるものではないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、および/またはチメロサールが挙げられる。抗真菌性保存剤の例としては、限定されるものではないが、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、および/またはソルビン酸が挙げられる。アルコール保存剤の例としては、限定されるものではないが、エタノール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、フェノール、フェノール系化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸塩、および/またはフェニルエチルアルコールが挙げられる。酸性保存剤の例としては、限定されるものではないが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ-カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、および/またはフィチン酸が挙げられる。他の保存剤の例としては、限定されるものではないが、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、グリダント・プラス(GLYDANT PLUS)(登録商標)、フェノニップ(PHENONIP)(登録商標)、メチルパラベン、ジェルマール(GERMALL)(登録商標)115、ジェルマーベン(GERMABEN)(登録商標)II、ネオロン(NEOLONE)(商標)、ケーソン(KATHON)(商標)、および/またはユーキシル(EUXYL)(登録商標)が挙げられる。
緩衝剤の例としては、限定されるものではないが、クエン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、d-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、第二リン酸カリウム、第一リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、アミノスルホン酸緩衝液(例えば、HEPES)、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、および/またはそれらの組合せが挙げられる。滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの組合せからなる非限定的な群から選択することができる。
油の例としては、限定されるものではないが、アーモンド油、杏仁油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、クロフサスグリ種子油、ルリジサ油、ジュニパータール油、カモミール油、キャノーラ油、カラウェー油、カルナバ油、ヒマシ油、桂皮油、ココアバター油、ココナッツ油、タラの肝油、コーヒー油、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、月見草油、魚油、アマニ油、ゲラニオール油、ヒョウタン油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル油、ホホバ油、ククイナッツ油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、リツェアクベバ油、マカダミアナッツ油、ゼニアオイ油、マンゴー種子油、メドウフォーム種子油、ミンク油、ナツメグ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、パーム油、パーム核油、桃仁油、ピーナッツ油、ケシ油、カボチャ種子油、菜種油、米糠油、ローズマリー油、ベニバナ油、ビャクダン油、サザンカ油、セボリー油、シーバックソーン油、ゴマ油、シアバター油、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチベル油、胡桃油、および小麦胚芽油、ならびにステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、シメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、および/またはそれらの組合せが挙げられる。
製剤
本開示の製剤は、両親媒性ポリマーと、例えば脂質ナノ粒子の安定性を増加させるための少なくとも1つの脂質ナノ粒子構成成分とを含む。脂質ナノ粒子は、脂質構成成分および1つ以上の追加の構成成分、例えば治療薬および/または予防薬を含み得る。LNPは、1つ以上の規定の用途または標的について設計することができる。LNPの要素は、特定の用途もしくは標的に基づいて、および/または1つ以上の要素の効力、毒性、費用、使用容易性、利用可能性、もしくは他の特徴に基づいて選択することができる。同様に、LNPの特定の製剤は、例えば、要素の特定の組合せの効力および毒性に従って特定の用途または標的について選択することができる。LNP製剤の効力および寛容性は、製剤の安定性により影響を受け得る。
ある実施形態において、製剤中の両親媒性ポリマーの濃度は、例えば、冷凍または凍結乾燥前に約そのCMC~CMCの約30倍(例えば、そのCMCの最大約25倍、約20倍、約15倍、約10倍、約5倍、または約3倍)の範囲である。
ある実施形態において、両親媒性ポリマーとLNPとの重量比は、約0.0004:1~約100:1(例えば、約0.001:1~約10:1、約0.001:1~約5:1、約0.001:1~約0.1:1、約0.005~約0.4:1、または約0.5:1~約4:1、約0.05:1~約5:1、約0.1:1~約5:1、または約0.05:1~約2.5:1、約1:1~約50:1、約2:1~約50:1、または約1:1~約25:1)である。
LNPの脂質構成成分は、例えば、式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による脂質、リン脂質(例えば、不飽和脂質、例えばDOPEまたはDSPC)、PEG脂質、および構造脂質を含み得る。LNPの脂質構成成分は、例えば式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による脂質、リン脂質(例えば、不飽和脂質、例えばDOPEまたはDSPC)、および構造脂質を含み得る。脂質構成成分の要素は、規定の分率で提供することができる。
一部の実施形態において、LNPの脂質構成成分は、式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による脂質、リン脂質、PEG脂質、および構造脂質を含む。ある実施形態において、脂質ナノ粒子の脂質構成成分は、約30mol%~約60mol%の式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)の化合物、約0mol%~約30mol%のリン脂質、約18.5mol%~約48.5mol%の構造脂質、および約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含み、但し、合計mol%は、100%を超過しない。一部の実施形態において、脂質ナノ粒子の脂質構成成分は、約35mol%~約55mol%の式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)の化合物、約5mol%~約25mol%のリン脂質、約30mol%~約40mol%の構造脂質、および約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。特定の実施形態において、脂質構成成分は、約50mol%の前記化合物、約10mol%のリン脂質、約38.5mol%の構造脂質、および約1.5mol%のPEG脂質を含む。別の特定の実施形態において、脂質構成成分は、約40mol%の前記化合物、約20mol%のリン脂質、約38.5mol%の構造脂質、および約1.5mol%のPEG脂質を含む。一部の実施形態において、リン脂質は、DOPEまたはDSPCであり得る。他の実施形態において、PEG脂質は、PEG-DMGであり得、および/または構造脂質は、コレステロールであり得る。
脂質ナノ粒子は、1つ以上の規定の用途または標的について設計することができる。例えば、LNPは、治療薬および/または予防薬、例えばRNAを哺乳動物体内の特定の細胞、組織、臓器、またはそれらの系もしくは群に送達するように設計することができる。脂質ナノ粒子の物理化学的特性は、特定の身体標的についての選択性を増加させるように変更することができる。例えば、粒子サイズは、異なる臓器の有窓サイズに基づいて調整することができる。LNP中に含まれる治療薬および/または予防薬は、1つまたは複数の所望の送達標的に基づいて選択することもできる。例えば、治療薬および/または予防薬は、特定の適応症、病態、疾患、もしくは障害について、および/または特定の細胞、組織、臓器、もしくはそれらの系もしくは群への送達(例えば、局在化または特異的送達)について選択することができる。ある実施形態において、LNPは、目的のポリペプチドを産生するための細胞内で翻訳され得る目的のポリペプチドをコードするmRNAを含み得る。このような組成物は、特定の臓器に特異的に送達されるように設計することができる。一部の実施形態において、組成物は、哺乳動物肝臓に特異的に送達されるように設計することができる。
LNP中の治療薬および/または予防薬の量は、脂質ナノ粒子のサイズ、組成、所望の標的および/もしくは用途、または他の特性ならびに治療薬および/または予防薬の特性に依存し得る。例えば、LNPにおいて有用なRNAの量は、RNAのサイズ、配列、および他の特徴に依存し得る。LNP中の治療薬および/または予防薬ならびに他の要素(例えば、脂質)の相対量も変動し得る。一部の実施形態において、LNP中の脂質構成成分と治療薬および/または予防薬とのwt/wt比は、約5:1~約60:1、例えば5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、および60:1であり得る。例えば、脂質構成成分と治療薬および/または予防薬とのwt/wt比は、約10:1~約40:1であり得る。ある実施形態において、wt/wt比は、約20:1である。LNP中の治療薬および/または予防薬の量は、例えば、吸収分光光度法(例えば、紫外線-可視光分光光度法)を使用して計測することができる。
一部の実施形態において、LNPは1つ以上のRNAを含み、1つ以上のRNA、脂質、およびそれらの量は、規定のN:P比を提供するように選択することができる。組成物のN:P比は、1つ以上の脂質中の窒素原子と、RNA中のホスフェート基の数とのモル比を指す。一般に、より低いN:P比が好ましい。1つ以上のRNA、脂質、およびそれらの量は、約2:1~約30:1、例えば2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、20:1、22:1、24:1、26:1、28:1、または30:1のN:P比を提供するように選択することができる。ある実施形態において、N:P比は、約2:1~約8:1であり得る。他の実施形態において、N:P比は、約5:1~約8:1である。例えば、N:P比は、約5.0:1、約5.5:1、約5.67:1、約6.0:1、約6.5:1、または約7.0:1であり得る。例えば、N:P比は、約5.67:1であり得る。
一部の実施形態において、両親媒性ポリマーおよびLNPを含む製剤は、塩、例えば塩化物塩をさらに含み得る。
一部の実施形態において、両親媒性ポリマーおよびLNPを含む製剤は、糖、例えば二糖をさらに含み得る。一部の実施形態において、製剤は、糖をさらに含むが、塩、例えば塩化物塩を含まない。
物理的特性
LNPの特徴は、その構成成分に依存し得る。例えば、構造脂質としてコレステロールを含むLNPは、異なる構造脂質を含むLNPと異なる特徴を有し得る。同様に、LNPの特徴は、その構成成分の絶対または相対量に依存し得る。例えば、より高いモル分率のリン脂質を含むLNPは、より低いモル分率のリン脂質を含むLNPと異なる特徴を有し得る。特徴は、脂質ナノ粒子の調製の方法および条件によっても変動し得る。
脂質ナノ粒子は、種々の方法により特徴付けすることができる。例えば、顕微鏡観察(例えば、透過型電子顕微鏡観察または走査型電子顕微鏡観察)を使用してLNPの形態およびサイズ分布を試験することができる。動的光散乱または電位差測定(例えば、電位差滴定)を使用してゼータ電位を計測することができる。動的光散乱を利用して粒子サイズを測定することもできる。機器、例えばゼータサイザ・ナノZS(Zetasizer Nano ZS)(マルバーン・インスツルメンツ社(Malvern Instruments Ltd)、マルバーン、ウスターシャ、英国)を使用してLNPの複数の特徴、例えば粒子サイズ、多分散指数、およびゼータ電位を計測することもできる。
LNPの平均サイズは、例えば、動的光散乱(DLS)により計測して数十nm~数百nmであり得る。例えば、平均サイズは、約40nm~約150nm、例えば約40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、または150nmであり得る。一部の実施形態において、LNPの平均サイズは、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約60nm~約100nm、約60nm~約90nm、約60nm~約80nm、約60nm~約70nm、約70nm~約100nm、約70nm~約90nm、約70nm~約80nm、約80nm~約100nm、約80nm~約90nm、または約90nm~約100nmであり得る。ある実施形態において、LNPの平均サイズは、約70nm~約100nmであり得る。特定の実施形態において、平均サイズは、約80nmであり得る。他の実施形態において、平均サイズは、約100nmであり得る。
LNPは、相対的に均一であり得る。多分散指数を使用してLNPの均一性、例えば脂質ナノ粒子の粒子サイズ分布を示すことができる。小さい(例えば、0.3未満)多分散指数は、一般に、狭い粒子サイズ分布を示す。LNPは、約0~約0.25、例えば0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25の多分散指数を有し得る。一部の実施形態において、LNPの多分散指数は、約0.10~約0.20であり得る。
LNPのゼータ電位を使用して組成物の運動電位を示すことができる。例えば、ゼータ電位は、LNPの表面電荷を説明し得る。相対的に低い正または負電荷を有する脂質ナノ粒子が一般に所望される。なぜなら、より高荷電の種は、体内の細胞、組織、および他の要素と不所望に相互作用し得るためである。一部の実施形態において、LNPのゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、または約+5mV~約+10mVであり得る。
治療薬および/または予防薬の封入の効率は、提供される初回量に対する、調製後に封入され、またはそうでなければLNPと会合する治療薬および/または予防薬の量を説明する。封入効率は、高いことが望ましい(例えば、100%に近い)。封入効率は、例えば、1つ以上の有機溶媒または洗浄剤による脂質ナノ粒子の破壊の前後で、脂質ナノ粒子を含有する溶液中の治療薬および/または予防薬の量を比較することにより計測することができる。蛍光を使用して溶液中の遊離治療薬および/または予防薬(例えば、RNA)の量を計測することができる。本明細書に記載の脂質ナノ粒子について、治療薬および/または予防薬の封入効率は、少なくとも50%、例えば50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であり得る。一部の実施形態において、封入効率は、少なくとも80%であり得る。ある実施形態において、封入効率は、少なくとも90%であり得る。
LNPは、任意選択的に、1つ以上のコーティングを含み得る。例えば、LNPは、コーティングを有するカプセル剤、フィルム剤、または錠剤中で製剤化することができる。本明細書に記載の組成物を含むカプセル剤、フィルム剤、または錠剤は、任意の有用なサイズ、引張強度、硬度、または密度を有し得る。
医薬組成物
両親媒性ポリマーおよび脂質ナノ粒子を含む製剤は、医薬組成物として全体的または部分的に製剤化することができる。医薬組成物は、1つ以上の両親媒性ポリマーおよび1つ以上の脂質ナノ粒子を含み得る。例えば、医薬組成物は、1つ以上の両親媒性ポリマーと、1つ以上の異なる治療薬および/または予防薬を含む1つ以上の脂質ナノ粒子とを含み得る。医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤または副成分、例えば本明細書に記載のものをさらに含み得る。医薬組成物および薬剤の製剤化および製造のための一般的指針は、例えば、レミントンの製薬の科学および実践(Remington’s The Science and Practice of Pharmacy)、第21版、A.R.ジェンナロ(A.R.Gennaro)著、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス(Lippincott,Williams&Wilkins)、ボルチモア、メリーランド、2006年において利用可能である。慣用の賦形剤および副成分は、任意の慣用の賦形剤または副成分が本開示の製剤中のLNPの1つ以上の構成成分または1つ以上の両親媒性ポリマーと不適合性であり得る場合を除き、任意の医薬組成物において使用することができる。賦形剤または副成分は、構成成分または両親媒性ポリマーとのその組合せが任意の不所望な生物学的効果またはそうでなければ有害効果をもたらし得る場合、LNPの構成成分または製剤の両親媒性ポリマーと不適合性であり得る。
一部の実施形態において、1つ以上の賦形剤または副成分は、LNPを含む医薬組成物の総質量または容量の50%超を構成し得る。例えば、1つ以上の賦形剤または副成分は、医薬慣習の50%、60%、70%、80%、90%以上を構成し得る。一部の実施形態において、薬学的に許容可能な賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋である。一部の実施形態において、賦形剤は、ヒトにおける使用および獣医学的使用に承認される。一部の実施形態において、賦形剤は、米国食品医薬品局により承認される。一部の実施形態において、賦形剤は、医薬グレードである。一部の実施形態において、賦形剤は、米国薬局方(USP:United States Pharmacopoeia)、欧州薬局方(EP:European Pharmacopoeia)、英国薬局方、および/または国際薬局方の規格を満たす。
本開示による医薬組成物中の1つ以上の両親媒性ポリマー、1つ以上の脂質ナノ粒子、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤、および/または任意の追加の成分の相対量は、治療される対象のアイデンティティ、サイズ、および/または状態に応じて、ならびにさらに組成物を投与すべき経路に応じて変動する。例として、医薬組成物は、0.1%~100%(wt/wt)の1つ以上の脂質ナノ粒子を含み得る。別の例として、医薬組成物は、0.1%~15%(wt/vol)の1つ以上の両親媒性ポリマー(例えば、0.5%、1%、2.5%、5%、10%、または12.5%w/v)を含み得る。
ある実施形態において、本開示の脂質ナノ粒子および/または医薬組成物は、貯蔵または発送のために冷蔵または冷凍される(例えば、4℃以下の温度において、例えば約-150℃~約0℃または約-80℃~約-20℃(例えば、約-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-130℃または-150℃)の温度において貯蔵される。例えば、1つ以上の両親媒性ポリマーおよび1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、貯蔵および/または発送のために、例えば約-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、または-80℃において冷蔵される溶液または固体(例えば、凍結乾燥を介する)である。ある実施形態において、本開示はまた、有効量の両親媒性ポリマーを添加することにより、ならびに4℃以下の温度、例えば約-150℃~約0℃または約-80℃~約-20℃、例えば約-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-130℃または-150℃)の温度において脂質ナノ粒子および/またはその医薬組成物を貯蔵することにより脂質ナノ粒子の安定性を増加させる方法に関する。
脂質ナノ粒子および/または1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、任意の患者または対象、例として1つ以上の特定の細胞、組織、臓器、またはその系もしくは群、例えば腎臓系への治療薬および/または予防薬の送達により提供される治療効果から利益を受け得る患者または対象に投与することができる。脂質ナノ粒子および脂質ナノ粒子を含む医薬組成物の本明細書に提供される説明は、主にヒトへの投与に好適な組成物を対象とするが、そのような組成物は、一般に、任意の他の哺乳動物への投与に好適であることが当業者により理解される。組成物を種々の動物への投与に好適なものとするためのヒトへの投与に好適な組成物の修飾は十分理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、修飾する場合には単に通常の試験を用いてそのような修飾を設計および/または実施することができる。組成物の投与が企図される対象としては、限定されるものではないが、ヒト、他の霊長類、ならびに他の哺乳動物、例として商業関連の哺乳動物、例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、および/またはラットが挙げられる。
1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、薬理学分野において公知のまたは今後開発される任意の方法により調製することができる。一般に、このような調製方法は、活性成分を賦形剤および/もしくは1つ以上の他の副成分と会合させ、次いで所望または必要により、生成物を所望の単回または複数回用量単位に分割し、成形し、ならびに/またはパッケージングすることを含む。
本開示による医薬組成物は、バルクで、単回単位用量として、および/または複数の単回単位用量として調製し、パッケージングし、および/または販売することができる。本明細書において使用される「単位用量」は、所定量の活性成分(例えば、脂質ナノ粒子)を含む医薬組成物の区別される量である。活性成分の量は、一般に、対象に投与される活性成分の投与量および/またはそのような投与量の簡便な分量、例えばそのような投与量の2分の1もしくは3分の1などに等しい。
医薬組成物は、種々の投与の経路および方法に好適な種々の形態で調製することができる。例えば、医薬組成物は、液体剤形(例えば、エマルション剤、マイクロエマルション剤、ナノエマルション剤、液剤、懸濁液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤)、注射形態、固体剤形(例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤)、局所および/または経皮投与用の剤形(例えば、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤、およびパッチ剤)、懸濁液剤、散剤、および他の形態で調製することができる。
経口または非経口投与用の液体剤形としては、限定されるものではないが、薬学的に許容可能なエマルション剤、マイクロエマルション剤、ナノエマルション剤、液剤、懸濁液剤、シロップ剤、および/またはエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加え、液体剤形は、当技術分野において一般に使用される不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステルなど、ならびにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、追加の治療薬および/または予防薬、追加の薬剤、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、および/または着香剤を含み得る。非経口投与のためのある実施形態において、組成物は、可溶化剤、例えばクレモホル(Cremophor)(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、および/またはそれらの組合せと混合される。
注射用調剤、例えば滅菌注射用水性または油性懸濁液は、公知の技術に従って好適な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁剤を使用して製剤化することができる。滅菌注射用調剤は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤および/または溶媒中の滅菌注射用液剤、懸濁液剤、および/またはエマルション剤、例えば1,3-ブタンジオール中の液剤としてのものであり得る。用いることができる許容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P.、および等張塩化ナトリウム溶液がある。無菌固定油が溶媒または懸濁媒体として慣習的に用いられる。この目的のため、任意の無刺激の固定油、例として合成モノまたはジグリセリドを用いることができる。脂肪酸、例えばオレイン酸を注射剤の調製において使用することができる。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通す濾過により、および/または使用前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体中に溶解させ、もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を取り込むことにより、滅菌することができる。
活性成分の効果を延長するため、皮下または筋肉内注射からの活性成分の吸収を減速させることが望ましいことが多い。これは、水溶解度が低い結晶質または非晶質材料の液体懸濁液の使用により達成することができる。この場合、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は、したがって結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。代わりに、非経口投与される薬物形態の吸収遅延は、薬物を油ビヒクル中に溶解させ、または懸濁させることにより達成される。注射用デポー形態は、薬物のマイクロ封入マトリックスを生分解性ポリマー、例えばポリラクチド-ポリグリコリド中で形成することにより作製される。薬物とポリマーとの比および用いられる特定のポリマーの性質に応じて薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤は、身体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルション中で薬物を捕捉することにより調製される。
経直腸または経膣投与用組成物は、典型的には坐剤であり、それは、周囲温度において固体であるが、体温において液体であり、したがって直腸または膣腔で溶融し、活性成分を放出する好適な非刺激性賦形剤、例えばココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスと組成物を混合することにより調製することができる。
経口投与用の固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、フィルム剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体剤形において、活性成分は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容可能な賦形剤、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシア)、保湿剤(例えば、グリセロール)、崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、あるケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、溶解遅延剤(例えば、パラフィン)、吸収加速剤(例えば、第四級アンモニウム化合物)、湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土、ケイ酸塩)、および滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、ならびにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含み得る。
類似タイプの固体組成物は、軟および硬充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して用いることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば腸溶コーティングおよび医薬製剤化分野において周知の他のコーティングにより調製することができる。これらは、任意選択的に乳白剤を含み得、それらは、活性成分のみをまたはそれを優先的に腸管のある部分中において任意選択的に遅延様式で放出する組成物であり得る。使用することができる埋込型組成物は、ポリマー物質およびワックスを含む。類似タイプの固体組成物は、軟および硬充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して用いることができる。
組成物の局所および/または経皮投与用の剤形としては、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤、および/またはパッチ剤を挙げることができる。一般に、活性成分は、滅菌条件下で要求され得るとおりに薬学的に許容可能な賦形剤ならびに/または任意の必要とされる保存剤および/もしくは緩衝剤と混和される。さらに、本開示は、経皮パッチ剤の使用を企図し、それは、多くの場合、身体への化合物の制御送達を提供するという追加の利点を有する。このような剤形は、例えば、化合物を適切な媒体中に溶解させ、および/または分注することにより調製することができる。代わりにまたはさらに、速度は、律速膜を提供することにより、ならびに/または化合物をポリマーマトリックスおよび/もしくはゲル中に分散させることにより制御することができる。
本明細書に記載の皮内医薬組成物の送達における使用に好適なデバイスとしては、短針デバイス、例えば米国特許第4,886,499号明細書;同第5,190,521号明細書;同第5,328,483号明細書;同第5,527,288号明細書;同第4,270,537号明細書;同第5,015,235号明細書;同第5,141,496号明細書;および同第5,417,662号明細書に記載のものが挙げられる。皮内組成物は、皮膚中への針の有効な貫通長さを制限するデバイス、例えばPCT出願公開の国際公開第99/34850号パンフレットに記載のものおよびその機能的均等物により投与することができる。液体ジェット注射器を介して、および/または角質層を穿通し、真皮に到達するジェットを生成する針を介して液体組成物を真皮に送達するジェット注射デバイスが好適である。ジェット注射デバイスは、例えば、米国特許第5,480,381号明細書;同第5,599,302号明細書;同第5,334,144号明細書;同第5,993,412号明細書;同第5,649,912号明細書;同第5,569,189号明細書;同第5,704,911号明細書;同第5,383,851号明細書;同第5,893,397号明細書;同第5,466,220号明細書;同第5,339,163号明細書;同第5,312,335号明細書;同第5,503,627号明細書;同第5,064,413号明細書;同第5,520,639号明細書;同第4,596,556号明細書;同第4,790,824号明細書;同第4,941,880号明細書;同第4,940,460号明細書;ならびにPCT出願公開の国際公開第97/37705号パンフレットおよび国際公開第97/13537号パンフレットに記載されている。圧縮ガスを使用して粉末形態中のワクチンを加速して皮膚の外層を通して真皮に到達させる弾道粉末/粒子送達デバイスが好適である。代わりにまたはさらに、慣用のシリンジを皮内投与の古典的なツベルクリン法において使用することができる。
局所投与に好適な製剤としては、限定されるものではないが、液体および/もしくは半液体調剤、例えばリニメント剤、ローション剤、水中油型および/もしくは油中水型エマルション、例えばクリーム剤、軟膏剤、および/もしくはパスタ剤、ならびに/または液剤および/もしくは懸濁液剤が挙げられる。局所的に投与可能な製剤は、例えば、約1%~約10%(wt/wt)の活性成分を含み得るが、活性成分の濃度は、溶媒中の活性成分の溶解度の限度ほど高いことができる。局所投与用の製剤は、本明細書に記載の追加の成分の1つ以上をさらに含み得る。
医薬組成物は、口腔を介する経肺投与に好適な製剤で調製し、パッケージングし、および/または販売することができる。このような製剤は、活性成分を含む乾燥粒子を含み得る。このような組成物は、簡便には、粉末を分散させるように噴射剤流を指向することができる乾燥粉末リザーバを含むデバイスを使用する投与、および/または自己噴射溶媒/粉末分注容器、例えば密封容器中において低沸点噴射剤中で溶解され、および/または懸濁された活性成分を含むデバイスを使用する投与のために乾燥粉末の形態である。乾燥粉末組成物は、固体微粉末希釈剤、例えば糖を含み得、簡便には単位用量形態で提供される。
低沸点噴射剤としては、一般に、大気圧において65°F(約18.3℃)未満の融点を有する液体噴射剤が挙げられる。一般に、噴射剤は、組成物の50%~99.9%(wt/wt)を構成し得、活性成分は、組成物の0.1%~20%(wt/wt)を構成し得る。噴射剤は、追加の成分、例えば液体非イオン性および/もしくは固体アニオン性界面活性剤ならびに/または固体希釈剤(活性成分を含む粒子と同一のオーダの粒子サイズを有し得る)をさらに含み得る。
肺送達のために製剤化される医薬組成物は、活性成分を液剤および/または懸濁液剤の液滴の形態で提供し得る。このような製剤は、活性成分を含む、任意選択的に滅菌された水性および/または希アルコール液剤および/または懸濁液剤として調製し、パッケージングし、および/または販売することができ、簡便に、任意のネブライゼーションおよび/またはアトマイゼーションデバイスを使用して投与することができる。このような製剤は、1つ以上の追加の成分、例として、限定されるものではないが、香味剤、例えばサッカリンナトリウム、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、および/または保存剤、例えばメチルヒドロキシ安息香酸塩をさらに含み得る。この投与経路により提供される液滴は、約1nm~約200nmの範囲の平均直径を有し得る。
肺送達に有用であるとして本明細書に記載される製剤は、医薬組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に好適な別の製剤は、活性成分を含み、約0.2μm~500μmの平均粒子を有する粗粉である。このような製剤は、鼻からの吸入が行われる様式で、すなわち鼻に近接して保持される粉末の容器からの鼻孔に通す急速な吸入により投与される。
経鼻投与に好適な製剤は、例えば、約0.1%(wt/wt)ほどの少量~100%(wt/wt)ほどの多量の活性成分を含み得、本明細書に記載の追加の成分の1つ以上を含み得る。医薬組成物は、バッカル投与に好適な製剤で調製し、パッケージングし、および/または販売することができる。このような製剤は、例えば、慣用の方法を使用して作製される錠剤および/またはトローチ剤の形態であり得、例えば0.1%~20%(wt/wt)の活性成分であり得、残部は経口的に溶解性および/または分解性の組成物、ならびに任意選択的に本明細書に記載の追加の成分の1つ以上を含む。代わりに、バッカル投与に好適な製剤は、活性成分を含む粉末ならびに/またはエアロゾル化および/もしくはアトマイズ化溶液および/もしくは懸濁液を含み得る。このような粉末化、エアロゾル化、および/またはエアロゾル化製剤は、分散された場合、約0.1nm~約200nmの範囲の平均粒子および/または液滴サイズを有し得、本明細書に記載の任意の追加の成分の1つ以上をさらに含み得る。
医薬組成物は、経眼投与に好適な製剤で調製し、パッケージングし、および/または販売することができる。このような製剤は、例えば、水性または油性液体賦形剤中の、例えば0.1/1.0%(wt/wt)の活性成分の液剤および/または懸濁液剤を含む点眼薬の形態であり得る。このような液滴は、緩衝剤、塩、および/または本明細書に記載の他の任意の追加の成分の1つ以上をさらに含み得る。有用である他の眼内投与可能な製剤としては、微結晶形態でおよび/またはリポソーム調製物中に活性成分を含むものが挙げられる。点耳および/または点眼薬は、本開示の範囲内にあるものとして企図される。
LNP製剤を安定化させる方法
本開示は、ストレスの適用前または適用時にLNP製剤に両親媒性ポリマーを添加することにより、ストレスの適用時に脂質ナノ粒子(LNP)製剤を安定化させる方法を提供する。
一部の実施形態において、ストレスとしては、製剤の生成、精製、包装、貯蔵、輸送および使用時に製剤に適用される任意のストレス、例えば熱、剪断、過剰の撹拌、膜濃度分極(電荷状態の変化)、脱水、冷凍ストレス、乾燥ストレス、冷凍/解凍ストレス、ネブライゼーションストレスなどが挙げられる。例えば、ストレスは、製剤の1つ以上の不所望な特性変化、例えば不純物、サブビジブル粒子、またはその両方の量の増加、LNPサイズの増加、封入効率、治療効力、またはその両方の減少、および寛容性の減少(例えば、免疫原性の増加)を引き起こし得る。
一部の実施形態において、適用されるストレスは、LNP製剤の生成、例えば有機相を生成するための有機溶媒(例えば、エタノール)中での脂質構成成分の混合、水相を生成するための酸性溶液中へのmRNAの混合、水相のpH値の調整、および/またはLNP製剤を生成するための有機相と水相との混合に由来する。例えば、それぞれの前記混合ステップは、乱流混合またはマイクロ流体混合を含み得る。例えば、有機相と水相との混合前、それぞれの相は、例えば、濾過(例えば、タンジェンシャルフロー濾過またはTFF)を介して精製することができる。例えば、適用されるストレスは、そのような精製に由来する。
一部の実施形態において、適用されるストレスは、LNP製剤化後のLNPの処理、例えばタンジェンシャルフロー濾過(TFF:tangential flow filtration)による下流精製および濃縮に由来する。例えば、典型的なTFFプロセス中、LNP分散液は、種々の疎水性界面、剪断力、および乱流に曝露される。例えば、典型的なTFFプロセス中、膜細孔よりも大きい分子(すなわちLNP)は、膜表面に蓄積してゲルまたは濃度分極層を形成する。例えば、LNPの濃度増加は、脱安定化ストレスとして機能し、より大きい粒子状物質種を生成し得る分子間相互作用を促進する。
一部の実施形態において、適用されるストレスは、LNP製剤の精製に由来する。したがって、本開示はまた、脂質ナノ粒子(LNP)製剤を精製する方法であって、両親媒性ポリマーの存在下で第1のLNP製剤を濾過して第2のLNP製剤を得ることを含む方法を特徴とする。
一部の実施形態において、適用されるストレスは、LNP製剤の冷凍または凍結乾燥に由来する。したがって、本開示はまた、脂質ナノ粒子(LNP)製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させる方法であって、両親媒性ポリマーの存在下で第1のLNP製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させて第2のLNP製剤を得ることを含む方法を特徴とする。
例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較してLNP平均サイズの増加を実質的に有さない。例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)のLNP平均サイズの増加を有する。
例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して多分散指数の増加を実質的に有さない。
例えば、第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して約20%以下(例えば、約15%、約10%、約5%以下)の多分散指数の増加を有する。
安定化脂質ナノ粒子(LNP)製剤を生成する方法であって、第1の両親媒性ポリマーを、イオン化可能脂質およびmRNAを含む脂質組成物と混合して混合物を得ることを含む方法も開示される。例えば、混合は、第1の両親媒性ポリマーを脂質組成物と乱流またはマイクロ流体混合することを含む。例えば、本方法は、混合物を精製することをさらに含む。例えば、精製は、任意選択的に第2の両親媒性ポリマーを添加するタンジェンシャルフロー濾過を含む。例えば、本方法は、第3の両親媒性ポリマーを添加し、任意選択的に塩、糖、またはそれらの組合せを添加して製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させることを含む。例えば、本方法は、第4の両親媒性ポリマーを添加して製剤を包装することをさらに含む。
本明細書に開示の方法のいずれも、本明細書の製剤について記載された特徴の1つ以上および以下の特徴の1つ以上を含み得る。
例えば、第1、第2、第3、および第4の両親媒性ポリマーは、同一のポリマーである。
例えば、第1、第2、第3、および第4の両親媒性ポリマーは、異なる。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、非イオン性である。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、ブロックコポリマーである。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、ポロキサマー(プルロニック(Pluronic)(登録商標))、ポロキサミン(テトロニック(Tetronic)(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)、およびポリビニルピロリドン(PVP)から選択される。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、P188である。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、製剤中でポリマーの濃度が約そのCMC~CMCの約30倍(例えば、そのCMCの最大約25倍、約20倍、約15倍、約10倍、約5倍、または約3倍)の範囲になるように添加される。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、約0.025%w/v~約3%w/vまたは約0.025%w/w~約3%w/wの範囲の濃度において存在する。
例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、非イオン性である。
例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、ブロックコポリマーである。
例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、ポロキサマー(プルロニック(Pluronic)(登録商標))、ポロキサミン(テトロニック(Tetronic)(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)、およびポリビニルピロリドン(PVP)から選択される。
例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、P188である。
例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、約30℃および大気圧において水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、約30℃および大気圧において水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、製剤中でポリマーの濃度が約そのCMC~CMCの30倍(例えば、そのCMCの最大約25倍、約20倍、約15倍、約10倍、約5倍、または約3倍)の範囲になるように添加される。
例えば、第1、第2、第3、または第4の両親媒性ポリマーの少なくとも1つは、約0.025%w/v~約3%w/vまたは約0.025%w/w~約3%w/wの範囲の濃度において存在する。
例えば、第1の両親媒性ポリマーは、約0.025%w/v~約1%w/v(例えば、約0.025%w/v、約0.05%w/v、約0.1%w/v、約0.5%w/v、約1%w/v、約0.025~0.5%w/v、約0.05~1%w/v、約0.1~1%w/v、または約0.1~0.5%w/v)の範囲の濃度において存在する。例えば、第1の両親媒性ポリマーは、約0.025%w/w~約1%w/w(例えば、約0.025%w/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1%w/w、約0.025~0.5%w/w、約0.05~1%w/w、約0.1~1%w/w、または約0.1~0.5%w/w)の範囲の濃度において存在する。
例えば、第2の両親媒性ポリマーは、約0.025%w/v~約1%w/v(例えば、約0.025%w/v、約0.05%w/v、約0.1%w/v、約0.5%w/v、約1%w/v、約0.025~0.5%w/v、約0.05~1%w/v、約0.1~1%w/v、または約0.1~0.5%w/v)の範囲の濃度において存在する。例えば、第2の両親媒性ポリマーは、約0.025%w/w~約1%w/w(例えば、約0.025%w/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1%w/w、約0.025~0.5%w/w、約0.05~1%w/w、約0.1~1%w/w、または約0.1~0.5%w/w)の範囲の濃度において存在する。
例えば、第3の両親媒性ポリマーは、約0.1%w/v~約3%w/v(例えば、約0.1%w/v、約0.5%w/v、約1%w/v、約2%w/v、約2.5%w/v、約0.1~2.5%w/v、約0.1~1%w/v、約0.1~0.5%w/v、または約0.1~0.4%w/v)の範囲の濃度において存在する。例えば、第3の両親媒性ポリマーは、約0.1%w/w~約3%w/w(例えば、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1%w/w、約2%w/w、約2.5%w/w、約0.1~2.5%w/w、約0.1~1%w/w、約0.1~0.5%w/w、または約0.1~0.4%w/w)の範囲の濃度において存在する。
例えば、第4の両親媒性ポリマーは、約0.1%w/v~約3%w/v(例えば、約0.1%w/v、約0.5%w/v、約1%w/v、約2%w/v、約0.1~2.5%w/v、約0.1~1%w/v、約0.1~0.5%w/v、または約0.1~0.4%w/v)の範囲の濃度において存在する。例えば、第4の両親媒性ポリマーは、約0.1%w/w~約3%w/w(例えば、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1%w/w、約2%w/w、約2.5%w/w、約0.1~2.5%w/w、約0.1~1%w/w、約0.1~0.5%w/w、または約0.1~0.4%w/w)の範囲の濃度において存在する。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.025:1~約100:1である。
例えば、第1の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.025:1~約1:1である。
例えば、第2の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.025:1~約1:1である。
例えば、第3の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.1:1~約40:1である。
例えば、第3の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、製剤を冷凍するために約0.1:1~約4:1である。
例えば、第3の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、製剤を凍結乾燥させるために約10:1~約40:1である。
例えば、第4の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.25:1~約100:1(例えば、約0.5:1~約12:1)である。
例えば、両親媒性ポリマー、または第1、第2、第3もしくは第4の両親媒性ポリマーは、ポリマーとLNPとの重量比が約0.0004:1~約100:1(例えば、約0.001:1~約10:1、約0.001:1~約5:1、約0.001:1~約0.1:1、約0.005~約0.4:1、または約0.5:1~約4:1、約0.05:1~約5:1、約0.1:1~約5:1または約0.05:1~約2.5:1、約1:1~約50:1、約2:1~約50:1または約1:1~約25:1)になるように添加される。
細胞中でポリペプチドを産生する方法
本開示は、哺乳動物細胞中で目的のポリペプチドを産生する方法を提供する。ポリペプチドを産生する方法は、目的のポリペプチドをコードするmRNAを含むLNPを含む本開示の製剤と細胞を接触させることを含む。細胞と脂質ナノ粒子との接触時、mRNAが細胞中に取り込まれ、翻訳されて目的のポリペプチドが産生され得る。
一般に、目的のポリペプチドをコードするmRNAを含むLNPと哺乳動物細胞を接触させるステップは、インビボ、エクスビボ、培養物中、またはインビトロで実施することができる。細胞と接触させる脂質ナノ粒子の量、および/またはその中のmRNAの量は、接触させる細胞または組織のタイプ、投与手段、脂質ナノ粒子およびその中のmRNAの物理化学的特徴(例えば、サイズ、電荷、および化学組成)、ならびに他の因子に依存し得る。一般に、有効量の脂質ナノ粒子は、細胞中での効率的なポリペプチド産生を可能とする。効率についての測定基準としては、ポリペプチド翻訳(ポリペプチド発現により示される)、mRNA分解のレベル、および免疫応答指標を挙げることができる。
mRNAを含むLNPを細胞と接触させるステップは、形質移入を含み、または引き起こし得る。LNPの脂質構成成分中に含まれるリン脂質は、例えば、細胞または細胞内膜と相互作用し、および/または融合することにより形質移入を容易にし、および/または形質移入効率を増加させ得る。形質移入は、細胞内でのmRNAの翻訳を可能とし得る。
一部の実施形態において、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、治療的に使用することができる。例えば、LNP中に含まれるmRNAは、治療ポリペプチドを(例えば、翻訳可能領域中で)コードし、細胞への接触および/または細胞中への流入(例えば、形質移入)時に治療ポリペプチドを産生し得る。他の実施形態において、LNP中に含まれるmRNAは、対象の免疫を改善し、または増加させ得るポリペプチドをコードし得る。例えば、mRNAは、顆粒球コロニー刺激因子またはトラスツズマブをコードし得る。
ある実施形態において、LNP中に含まれるmRNAは、脂質ナノ粒子と接触させる細胞中で実質的に不存在であり得る1つ以上のポリペプチドを置き換え得る組換えポリペプチドをコードし得る。1つ以上の実質的に不存在のポリペプチドは、コード遺伝子またはその調節経路の遺伝子突然変異に起因して欠落し得る。代わりに、mRNAの翻訳により産生される組換えポリペプチドは、細胞中に存在するか、その表面上に存在するか、またはそれから分泌される内因性タンパク質の活性をアンタゴナイズし得る。アンタゴニスト性組換えポリペプチドは、内因性タンパク質の活性により引き起こされる有害効果、例えば突然変異により引き起こされる活性または局在化の変更を撲滅するために望ましいことがある。別の代替例において、mRNAの翻訳により産生される組換えポリペプチドは、細胞中に存在するか、その表面上に存在するか、またはそれから分泌される生物学的部分の活性を間接的または直接的にアンタゴナイズし得る。アンタゴナイズされる生物学的部分としては、限定されるものではないが、脂質(例えば、コレステロール)、リポタンパク質(例えば、低密度リポタンパク質)、核酸、炭水化物、および小分子毒素を挙げることができる。mRNAの翻訳により産生される組換えポリペプチドは、細胞内での、例えば特異的コンパートメント、例えば核内での局在化のために遺伝子操作することができ、または細胞からの分泌のためもしくは細胞の細胞膜へのトランスロケーションのために遺伝子操作することができる。
一部の実施形態において、mRNAを含むLNPと細胞を接触させることは、外因性核酸に対する細胞の自然免疫応答を低減させ得る。細胞は、翻訳可能領域を含む第1の量の第1の外因性mRNAを含む第1の脂質ナノ粒子と接触させることができ、第1の外因性mRNAに対する細胞の自然免疫応答のレベルを測定することができる。続いて、第2の量の第1の外因性mRNAを含む第2の組成物と細胞を接触させることができ、第2の量は、第1の量と比較して少ない第1の外因性mRNAの量である。代わりに、第2の組成物は、第1の外因性mRNAと異なる第1の量の第2の外因性mRNAを含み得る。第1および第2の組成物と細胞を接触させるステップは、1回以上繰り返すことができる。さらに、細胞中でのポリペプチド産生(例えば、翻訳)の効率を任意選択的に測定することができ、細胞は、標的のタンパク質産生効率が達成されるまで第1および/または第2の組成物と繰り返して再接触させることができる。
細胞および臓器に治療剤を送達する方法
本開示は、哺乳動物細胞または臓器に治療薬および/または予防薬を送達する方法を提供する。細胞への治療薬および/または予防薬の送達は、対象に治療薬および/または予防薬を含むLNPを含む本開示の製剤を投与することを含み、組成物の投与は、組成物と細胞を接触させることを含む。例えば、細胞または臓器にタンパク質、細胞毒性剤、放射性イオン、化学療法剤、または核酸(例えば、RNA、例えばmRNA)を送達することができる。治療薬および/または予防薬がmRNAである例において、脂質ナノ粒子との細胞の接触時、翻訳可能mRNAは、細胞中で翻訳されて目的のポリペプチドが産生され得る。しかしながら、細胞に実質的に翻訳可能でないmRNAを送達することもできる。実質的に非翻訳可能なmRNAは、ワクチンとして有用であり得、および/または細胞の翻訳構成成分を封鎖して細胞中での他の種の発現を低減させ得る。
一部の実施形態において、LNPは、特定のタイプまたはクラスの細胞(例えば、特定の臓器またはその系の細胞)を標的化し得る。例えば、目的の治療薬および/または予防薬を含むLNPは、哺乳動物の肝臓、腎臓、脾臓、大腿骨、または肺に特異的に送達することができる。特定のクラスの細胞、臓器、またはその系もしくは群への特異的送達は、例えば、哺乳動物へのLNPの投与時、治療薬および/または予防薬を含む脂質ナノ粒子が目的の行き先(例えば、組織)に他の行き先に対して高い比率で送達されることを意味する。一部の実施形態において、特異的送達は、別の行き先(例えば、脾臓)と比較して標的化される行き先(例えば、目的の組織、例えば肝臓)の組織1g当たりの治療薬および/または予防薬の量の2倍、5倍、10倍、15倍、または20倍超の増加をもたらし得る。一部の実施形態において、目的の組織は、肝臓、腎臓、肺、脾臓、大腿骨、血管(例えば、冠動脈内または大腿骨内)中の血管内皮または腎臓、および腫瘍組織(例えば、腫瘍内注射を介する)からなる群から選択される。
標的化または特異的送達の別の例として、LNP中にタンパク質結合パートナ(例えば、抗体またはその機能的断片、足場タンパク質、またはペプチド)または細胞表面上の受容体をコードするmRNAを含めることができる。mRNAは、さらにまたは代わりに使用されて脂質、炭水化物、または他の生物学的部分の合成および細胞外局在化を指向することができる。代わりに、LNPの他の治療薬および/または予防薬または要素(例えば、脂質またはリガンド)は、LNPが受容体を含む標的細胞集団とより容易に相互作用し得るように特定の受容体(例えば、低密度リポタンパク質受容体)についてのそれらの親和性に基づいて選択することができる。例えば、リガンドとしては、限定されるものではないが、特異的結合ペアのメンバー、抗体、モノクローナル抗体、Fv断片、単鎖Fv(scFv:single chain Fv)断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、単一ドメイン抗体、ラクダ化抗体およびその断片、ヒト化抗体およびその断片、ならびにそれらの多価形;多価結合試薬、例として単一または二重特異的抗体、例えばジスルフィド安定化Fv断片、scFvタンデム、ダイアボディ、トリボディ、またはテトラボディ;ならびにアプタマー、受容体、および融合タンパク質を挙げることができる。
一部の実施形態において、リガンドは、細胞標的化特異性のチューニングを可能とし得る表面結合抗体であり得る。これは、所望の標的化部位についての目的のエピトープに対する高度に特異的な抗体を生じさせることができるため、特に有用である。一実施形態において、複数の抗体が細胞の表面上で発現され、それぞれの抗体は、所望の標的についての異なる特異性を有し得る。このようなアプローチは、標的化相互作用のアビディティおよび特異性を増加させ得る。
リガンドは、例えば、生物学分野の当業者が、細胞の所望の局在化または機能に基づいて選択することができる。例えば、エストロゲン受容体リガンド、例えばタモキシフェンは、増加した数のエストロゲン受容体を細胞表面上に有するエストロゲン依存的乳癌細胞に細胞を標的化し得る。リガンド/受容体相互作用の他の非限定的な例としては、CCR1(例えば、関節リウマチにおける炎症関節組織もしくは脳、および/または多発性硬化症の治療のため)、CCR7、CCR8(例えば、リンパ節組織への標的化)、CCR6、CCR9、CCR10(例えば、腸組織に標的化するため)、CCR4、CCR10(例えば、皮膚に標的化するため)、CXCR4(例えば、通り抜けの全般的な向上のため)、HCELL(例えば、炎症および炎症性障害、骨髄の治療のため)、アルファ4ベータ7(例えば、腸粘膜標的化のため)、およびVLA-4NCAM-1(例えば、内皮に標的化するため)が挙げられる。一般に、標的化(例えば、癌転移)に関与する任意の受容体を本明細書に記載の方法および組成物における使用に利用することができる。
標的化される細胞としては、限定されるものではないが、肝細胞、上皮細胞、造血細胞、上皮細胞、内皮細胞、肺細胞、骨細胞、幹細胞、間葉細胞、神経細胞、心臓細胞、脂肪細胞、血管平滑筋細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、ベータ細胞、下垂体細胞、滑膜表層細胞、卵巣細胞、精巣細胞、線維芽細胞、B細胞、T細胞、網状赤血球、白血球、顆粒球、および腫瘍細胞を挙げることができる。
一部の実施形態において、LNPは、肝細胞を標的化し得る。アポリポタンパク質、例えばアポリポタンパク質E(apoE:apolipoproten E)は、中性またはほぼ中性の脂質含有脂質ナノ粒子と体内で会合することが示されており、受容体、例えば肝細胞の表面上に見出される低密度リポタンパク質受容体(LDLR:low-density lopoprotein receptor)と会合することが公知である。したがって、対象に投与される中性またはほぼ中性の電荷を有する脂質構成成分を含むLNPは、対象の体内でapoEを獲得し得、続いてLDLRを含む肝細胞に治療薬および/または予防薬(例えば、RNA)を標的化様式で送達し得る。
疾患および障害を治療する方法
脂質ナノ粒子は、疾患、障害、または病態の治療に有用であり得る。特に、このような組成物は、欠損または異常タンパク質またはポリペプチド活性により特徴付けられる疾患、障害、または病態の治療において有用であり得る。例えば、欠損または異常ポリペプチドをコードするmRNAを含むLNPを含む本開示の製剤を、細胞に投与し、または送達することができる。後続のmRNAの翻訳は、ポリペプチドを産生し得、それによりそのポリペプチドの不存在またはそれにより引き起こされる異常な活性により引き起こされる問題を低減させ、または排除する。翻訳は急速に生じ得るため、本方法および組成物は、急性疾患、障害、または病態、例えば敗血症、脳卒中、および心筋梗塞の治療において有用であり得る。LNP中に含まれる治療薬および/または予防薬は、所与の種の転写速度も変更し得、それにより遺伝子発現に影響を与える。
組成物を投与することができる、機能不全または異常タンパク質またはポリペプチド活性により特徴付けられる疾患、障害、および/または病態としては、限定されるものではないが、希少疾患、感染性疾患(ワクチンおよび治療薬の両方として)、癌および増殖性疾患、遺伝性疾患(例えば、嚢胞性線維症)、自己免疫疾患、糖尿病、神経変性疾患、心臓および腎血管疾患、ならびに代謝性疾患が挙げられる。複数の疾患、障害、および/または病態は、欠損(または実質的に縮小し、その結果、適切なタンパク質機能が生じない)タンパク質活性により特徴付けることができる。このようなタンパク質は、存在しなくてよく、またはそれらは本質的に非機能的であり得る。機能不全タンパク質の具体例は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子(CFTR:cystic fibrosis transmembrane conductance regulator)遺伝子のミスセンス突然変異バリアントであり、それは、嚢胞性線維症を引き起こすCFTRタンパク質の機能不全タンパク質バリアントを産生する。本開示は、RNAと、式(I)による脂質、リン脂質(任意選択的に不飽和)、PEG脂質、および構造脂質を含む脂質構成成分とを含むLNPを投与することにより対象におけるそのような疾患、障害、および/または病態を治療する方法であって、RNAは、対象の細胞中に存在する異常タンパク質活性をアンタゴナイズし、またはそうでなければ克服するポリペプチドをコードするmRNAであり得る方法を提供する。
本開示は、1つ以上の治療薬および/または予防薬を含む脂質ナノ粒子ならびにそれを含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。治療薬および予防薬という用語は、本開示の特徴および実施形態に関して本明細書において互換的に使用することができる。治療組成物、またはそのイメージング、診断、もしくは予防組成物は、対象に、疾患、障害、および/または病態の予防、治療、診断、もしくはイメージングおよび/または任意の他の目的に有効な任意の妥当な量および任意の投与経路を使用して投与することができる。所与の対象に投与される具体量は、対象の種、年齢、および全身状態;投与目的;特定の組成物;投与方式などに応じて変動し得る。本開示による組成物は、容易な投与および投与量の均等性のために単位剤形で製剤化することができる。しかしながら、本開示の組成物の総一日使用量は、担当医により正当な医学的判断の範囲内で決定されることが理解される。任意の特定の患者についての具体的な治療有効、予防有効、またはそうでなければ適切な用量レベル(例えば、イメージング用)は、種々の因子、例として治療されている障害(存在する場合)の重症度およびアイデンティティ;用いられる1つ以上の治療薬および/または予防薬;用いられる規定の組成物;患者の年齢、体重、全身健康、性別、および食事;用いられる規定の医薬組成物の投与時間、投与経路、および排泄速度;治療の継続時間;用いられる規定の医薬組成物との組合せでまたはそれと同時に使用される薬物;ならびに医学分野において周知の同様の因子に依存する。
1つ以上の治療薬および/または予防薬を含むLNPは、任意の経路により投与することができる。一部の実施形態において、本明細書に記載の1つ以上の脂質ナノ粒子を含む組成物、例として予防、診断、またはイメージング組成物は、種々の経路の1つ以上により、例として経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、鞘内、皮下、脳室内、経皮または皮内、皮膚間(interdermal)、直腸、膣内、腹腔内、局所(例えば、散剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、および/または滴剤により)、粘膜、鼻腔、バッカル、腸、硝子体内、腫瘍内、舌下、鼻腔内;気管内滴下注入、気管支滴下注入、および/または吸入により;経口スプレーおよび/もしくは散剤、鼻スプレー、および/もしくはエアロゾルとして、ならびに/または門脈カテーテルを介して投与される。一部の実施形態において、組成物は、静脈内、筋肉内、皮内、動脈内、腫瘍内、皮下、または吸入投与することができる。しかしながら、本開示は、薬物送達の科学において期待される進展を考慮する任意の適切な経路による本明細書に記載の組成物の送達または投与を包含する。一般に、ほとんどの適切な投与経路は、種々の因子、例として1つ以上の治療薬および/または予防薬を含む脂質ナノ粒子の性質(例えば、種々の身体環境、例えば血流および胃腸管中のその安定性)、患者の状態(例えば、患者が特定の投与経路を寛容し得るか否か)などに依存する。
ある実施形態において、本開示による組成物は、約0.0001mg/kg~約10mg/kg、約0.001mg/kg~約10mg/kg、約0.005mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.05mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、約2mg/kg~約10mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約0.0001mg/kg~約5mg/kg、約0.001mg/kg~約5mg/kg、約0.005mg/kg~約5mg/kg、約0.01mg/kg~約5mg/kg、約0.05mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約5mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約2mg/kg~約5mg/kg、約0.0001mg/kg~約2.5mg/kg、約0.001mg/kg~約2.5mg/kg、約0.005mg/kg~約2.5mg/kg、約0.01mg/kg~約2.5mg/kg、約0.05mg/kg~約2.5mg/kg、約0.1mg/kg~約2.5mg/kg、約1mg/kg~約2.5mg/kg、約2mg/kg~約2.5mg/kg、約0.0001mg/kg~約1mg/kg、約0.001mg/kg~約1mg/kg、約0.005mg/kg~約1mg/kg、約0.01mg/kg~約1mg/kg、約0.05mg/kg~約1mg/kg、約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.0001mg/kg~約0.25mg/kg、約0.001mg/kg~約0.25mg/kg、約0.005mg/kg~約0.25mg/kg、0.01mg/kg~約0.25mg/kg、約0.05mg/kg~約0.25mg/kg、または約0.1mg/kg~約0.25mg/kgの治療薬および/または予防薬(例えば、mRNA)を送達するために十分な投与量レベルにおいて所与の用量で投与することができ、1mg/kg(mpk)の用量は、対象の体重1kg当たり1mgの治療薬および/または予防薬を提供する。一部の実施形態において、約0.001mg/kg~約10mg/kgの用量のLNPの治療薬および/または予防薬(例えば、mRNA)を投与することができる。他の実施形態において、約0.005mg/kg~約2.5mg/kgの用量の治療薬および/または予防薬を投与することができる。ある実施形態において、約0.1mg/kg~約1mg/kgの用量を投与することができる。他の実施形態において、約0.05mg/kg~約0.25mg/kgの用量を投与することができる。用量は、1日1回以上、同一または異なる量で投与して所望レベルのmRNA発現および/または治療、診断、予防、もしくはイメージング効果を得ることができる。所望の投与量は、例えば、1日3回、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回送達することができる。ある実施形態において、所望の投与量は、複数回投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回以上の投与)を使用して送達することができる。一部の実施形態において、単一用量は、例えば、外科的処置前もしくは後にまたは急性疾患、障害、もしくは病態の場合において投与することができる。
1つ以上の治療薬および/または予防薬を含む脂質ナノ粒子は、1つ以上の他の治療、予防、診断、またはイメージング剤との組合せで使用することができる。「との組合せで」は、薬剤を同時に投与し、および/または送達のために一緒に製剤化しなければならないことを意味するものではないが、それらの送達方法は本開示の範囲内である。例えば、1つ以上の異なる治療薬および/または予防薬を含む1つ以上の脂質ナノ粒子を組合せで投与することができる。組成物は、1つ以上の他の所望の治療または医学的処置と同時に、その前に、またはそれに続いて投与することができる。一般に、それぞれの薬剤は、その薬剤について決定された用量においておよび/または時間スケジュールで投与される。一部の実施形態において、本開示は、組成物、またはそのイメージング、診断、もしくは予防組成物と、それらのバイオアベイラビリティを改善し、それらの代謝を低減させ、および/または修飾し、それらの排泄を阻害し、および/またはそれらの体内分布を修飾する薬剤との組合せの送達を包含する。
組合せにおいて利用される治療、予防、診断、またはイメージング活性剤は、単一組成物中で一緒に投与し、または異なる組成物中で別個に投与することができることがさらに認識される。一般に、組合せにおいて利用される薬剤は、それらが個々に利用されるレベルを超過しないレベルにおいて利用されることが予期される。一部の実施形態において、組合せにおいて利用されるレベルは、個々に利用されるものよりも低いことができる。
組合せレジメンにおいて用いるための治療法の特定の組合せ(治療薬または処置)について、所望の治療薬および/または予防薬の適合性ならびに達成すべき所望の治療効果が考慮される。用いられる治療法は、同一障害について所望の効果を達成し得(例えば、癌の治療に有用な組成物は、化学療法剤と同時に投与することができる)、またはそれらは、異なる効果(例えば、任意の有害効果、例えば輸注関連反応の制御)を達成し得ることも認識される。
LNPは、組成物の有効性および/または治療ウインドウを増加させるための薬剤との組合せで使用することができる。このような薬剤は、例えば、抗炎症化合物、ステロイド(例えば、コルチコステロイド)、スタチン、エストラジオール、BTK阻害剤、S1P1アゴニスト、グルココルチコイド受容体モジュレータ(GRM:glucocorticoid receptor mogulator)、または抗ヒスタミン薬であり得る。一部の実施形態において、LNPは、デキサメタゾン、メトトレキサート、アセトアミノフェン、H1受容体遮断剤、またはH2受容体遮断剤との組合せで使用することができる。一部の実施形態において、治療を、必要とする対象において行うか、または治療薬および/もしくは予防薬を対象(例えば、哺乳動物)に送達する方法は、LNPの投与前に1つ以上の薬剤により対象を前治療することを含み得る。例えば、対象は、有用な量(例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、または任意の他の有用な量)のデキサメタゾン、メトトレキサート、アセトアミノフェン、H1受容体遮断剤、またはH2受容体遮断剤により前治療することができる。前治療は、脂質ナノ粒子の投与の24時間以下(例えば、24時間、20時間、16時間、12時間、8時間、4時間、2時間、1時間、50分、40分、30分、20分、または10分)前に行うことができ、例えば増加投与量で1または2回以上行うことができる。
当業者は、本明細書に記載の開示による具体的な実施形態の多くの均等物を認識し、または定型未満の実験を使用して確認することができる。本開示の範囲は、上記の詳細な説明に限定されるものではく、添付の特許請求の範囲に記載のとおりである。
特許請求の範囲において、冠詞、例えば「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、それとは反対の指定があるかまたは文脈から特に明白でない限り、1つまたは2つ以上を意味し得る。群の1つ以上のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または詳細な説明は、それとは反対の指定があるかまたは文脈から特に明白でない限り、その群のメンバーの1つ、2つ以上、または全てが所与の生成物またはプロセスにおいて存在し、それらにおいて用いられ、またはそうでなければそれらと関連する場合に満たされるとみなされる。本開示は、群の厳密に1つのメンバーが所与の生成物またはプロセスにおいて存在し、それらにおいて用いられ、またはそうでなければそれらと関連する実施形態を含む。本開示は、群のメンバーの2つ以上または全てが所与の生成物またはプロセスにおいて存在し、それらにおいて用いられ、またはそうでなければそれらと関連する実施形態を含む。
用語「含む」は、オープンであるものとし、追加の要素またはステップの包含を許容するが要求しないことも留意される。したがって、用語「含む」が本明細書において使用される場合、用語「~から本質的になる」および「~からなる」も包含され、開示される。詳細な説明全体にわたり、組成物が規定の構成成分を有し、包含するまたは含むとして記載される場合、組成物はまた、引用される構成成分から本質的になり、またはそれからなることが企図される。同様に、方法またはプロセスが規定のプロセスステップを有し、包含するまたは含むとして記載される場合、そのプロセスはまた、引用される処理ステップから本質的になり、またはそれからなる。さらに、ステップの順序またはある動作を実施するための順序は、本発明が作動可能であるままである限り、重要でないことを理解すべきである。さらに、2つ以上のステップまたは動作を同時に実施することができる。
範囲が与えられる場合、端点が含まれる。さらに、特に指定されるかまたは文脈および当業者の理解から特に明白でない限り、範囲として表現される値は、文脈がそうでないと明確に指示しない限り、本開示の異なる実施形態において記述される範囲内において、その範囲の下限の単位の10分の1までの任意の具体的な値または部分範囲をとり得ることを理解すべきである。
さらに、従来技術の範囲内に収まる本開示の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲の任意の1つ以上から明示的に除外することができることを理解すべきである。このような実施形態は、当業者に公知であるとされるため、その除外が本明細書に明示的に記載されないとしても、それらを除外することができる。
全ての引用される資源、例えば参照文献、刊行物、特許出願、データベース、データベースエントリ、および本明細書に引用される技術は、引用において明示されないとしても参照により本出願に組み込まれる。引用資源および本出願の記述が矛盾する場合、本出願の記述が優先されるものとする。
(実施例)
実施例1:脂質ナノ粒子の生成
A.脂質ナノ粒子の生成
細胞への治療薬および/または予防薬の送達において使用される安定化、安全および有効な脂質ナノ粒子を調査するため、一連の製剤を調製し、試験した。具体的には、脂質ナノ粒子の脂質構成成分中の特定の要素およびそれらの比を最適化する。
ナノ粒子は、混合プロセス、例えば一方が治療薬および/または予防薬を含有し、他方が脂質構成成分を有する2つの流体流のマイクロ流体およびT字混合により作製することができる。
脂質組成物は、イオン化可能脂質、例えばMC3、式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、または(IIe)による化合物、リン脂質(例えば、DOPEまたはDSPC、アバンティ・ポーラ・リピッズ(Avanti
Polar Lipids)、アラバスター、アラバマから入手可能)、PEG脂質(例えば、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール、PEG-DMGとしても公知、アバンティ・ポーラ・リピッズ(Avanti Polar Lipids)、アラバスター、アラバマから入手可能)、および構造脂質(例えば、コレステロール、シグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich)、タウフキルヘン、独国から入手可能、またはコルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾン、およびヒドロコルチゾン)、またはそれらの組合せ)をエタノール中で約50mMの濃度において合わせることにより調製する。溶液は、例えば、-20℃における貯蔵のため冷蔵物でなければならない。脂質を合わせて所望のモル比(例えば、表1を参照されたい)を生じさせ、水およびエタノールにより約5.5mM~約25mMの最終脂質濃度に希釈する。
Figure 2022095702000011
Figure 2022095702000012
治療薬および/または予防薬ならびに脂質構成成分を含む脂質ナノ粒子は、治療薬および/または予防薬を脂質構成成分と治療薬および/または予防薬とのwt:wt比約5:1~約50:1において含む溶液と脂質溶液を合わせることにより調製する。脂質溶液は、約10ml/分~約18ml/分の流量においてナノアセンブル(NanoAssemblr)マイクロ流体ベースシステムを使用して治療薬および/または予防薬溶液中に迅速に注入して水とエタノールとの比約1:1~約4:1を有する懸濁液を生成する。
脂質ナノ粒子は、透析により処理してエタノールを除去し、緩衝液交換を達成することができる。10kDの分子量カットオフを有するスライド-A-ライザー(Slide-A-Lyzer)カセット(サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック社(Thermo Fisher Scientific Inc.)、ロックフォード、イリノイ)を使用して一次生成物の200倍の容量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS:phosphate buffered saline)(pH7.4)に対して製剤を2回透析する。最初の透析は、室温において3時間実施する。次いで、製剤を4℃において一晩透析する。得られるナノ粒子懸濁液は、0.2μmの滅菌フィルター(サルステッド(Sarstedt)、ヌンブレヒト、独国)に通してガラスバイアル中に濾過し、圧着クロージャにより密閉する。
上記の方法は、ナノ沈殿および粒子形成を誘導する。代替プロセス、例として、限定されるものではないが、T字合流管および直接注入を使用して同一のナノ沈殿を達成することができる。
B.脂質ナノ粒子の特徴付け
ゼータサイザ・ナノZS(Zetasizer Nano ZS)(マルバーン・インスツルメンツ社(Malvern Instruments Ltd)、マルバーン、ウスターシャ、英国))を使用して脂質ナノ粒子の粒子サイズ、多分散指数(PDI:polydispersity index)およびゼータ電位を測定することができ、粒子サイズの測定では1×PBS中およびゼータ電位の測定では15mMのPBS中で使用する。
紫外線-可視光分光光度法を使用して脂質ナノ粒子中の治療薬および/または予防薬(例えば、RNA)の濃度を測定することができる。900μLのメタノールおよびクロロホルムの4:1(v/v)混合物に1×PBS中の希釈された100μLの製剤を添加する。混合後、溶液の吸収スペクトルをDU800分光光度計(ベックマン・コールタ(Beckman Coulter)、ベックマン・コールタ社(Beckman Coulter,Inc.)、ブレア、カリフォルニア)上で例えば230nm~330nmで記録する。脂質ナノ粒子中の治療薬および/または予防薬の濃度は、組成物中で使用される治療薬および/または予防薬の吸光係数、ならびに例えば260nmの波長における吸光度と、例えば330nmの波長におけるベースライン値との差に基づいて計算することができる。
RNAを含む脂質ナノ粒子について、クォント-イット(QUANT-IT)(商標)リボグリーン(RIBOGREEN)(登録商標)RNAアッセイ(インビトロジェン・コーポレーション(Invitrogen Corporation)、カールスバッド、カリフォルニア)を使用して脂質ナノ粒子によるRNAの封入を評価することができる。試料は、TE緩衝溶液(10mMのトリス-HCl、1mMのEDTA、pH7.5)中でおよそ5μg/mLの濃度に希釈する。50μLの希釈試料をポリスチレン96ウェルプレートに移し、50μLのTE緩衝液または50μLの2%のトリトンX-100(Triton X-100)溶液のいずれかをウェルに添加する。プレートを37℃の温度において15分間インキュベートする。リボグリーン(RIBOGREEN)(登録商標)試薬をTE緩衝液中で1:100に希釈し、100μLのこの溶液をそれぞれのウェルに添加する。蛍光プレートリーダ(ワラック・ビクター1420マルチラベル・カウンター(Wallac Victor 1420 Multilablel Counter);パーキン・エルマー(Perkin Elmer)、ウォルサム、マサチューセッツ)を例えば約480nmの励起波長、および例えば約520nmの発光波長において使用して蛍光強度を計測することができる。試料のそれぞれの値から試薬ブランクの蛍光値を減算し、破壊された試料(トリトンX-100(Triton X-100)の添加により引き起こされる)の蛍光値により無傷の試料(トリトンX-100(Triton X-100)の添加なし)の蛍光強度を除算することにより、遊離RNAの割合を測定する。
C.インビボ製剤試験
種々の脂質ナノ粒子が治療薬および/または予防薬を標的細胞にどの程度効率的に送達するかをモニタリングするため、特定の治療薬および/または予防薬(例えば、修飾または天然発生RNA、例えばmRNA)を含む様々なナノ粒子組成物を調製し、げっ歯類集団に投与する。マウスに製剤、例えば実施例2において提供されるものを有するLNPを含む単回用量を静脈内、筋肉内、動脈内、または腫瘍内投与する。一部の例において、マウスに用量を吸入させることができる。用量サイズは、0.001mg/kg~10mg/kgの範囲であり得、10mg/kgは、マウスの体重それぞれ1kg当たりLNP中の10mgの治療薬および/または予防薬を含む用量を説明する。PBSを含む対照組成物を用いることもできる。
マウスへの脂質ナノ粒子の投与時、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA:enzyme-linked immunosorbent assay)、生物発光イメージング、または他の方法により用量送達プロファイル、用量応答、ならびに特定の製剤の毒性およびその用量を計測することができる。mRNAを含む脂質ナノ粒子について、タンパク質発現の経時変化を評価することもできる。評価のためにげっ歯類から回収される試料としては、血液、血清、および組織(例えば、筋肉内注射の部位からの筋肉組織および内部組織)を挙げることができ;試料回収は、動物の屠殺を必要とし得る。
mRNAを含む脂質ナノ粒子は、治療薬および/または予防薬の送達のための種々の製剤の効力、免疫原性および有用性の評価において有用である。mRNAを含む組成物の投与により誘導されるより高いレベルのタンパク質発現は、より高いmRNA翻訳および/または脂質ナノ粒子mRNA送達効率を示す。非RNA構成成分が翻訳機構自体に影響を与えると考えられないため、より高いレベルのタンパク質発現は、他の脂質ナノ粒子またはその不存在の場合に対して、所与の脂質ナノ粒子による治療薬および/または予防薬の送達のより高い効率を示す可能性が高い。
実施例2:製剤の安定性
Figure 2022095702000013
ある例において、PEG2000-DMG構成成分が除去された低PEG製剤を試験した。
ナノ沈殿中のポリマー包含
ポロキサマー188(P188)をナノ沈殿反応中に賦形剤として添加した。P188は、非イオン性および非細胞毒性であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)のコポリマーである。このポリマーは、静電気に非依存性の表面圧力依存様式で脂質単層と会合することが示されている(例えば、マスカリネク SA(Maskarinec SA)ら著、バイオフィジカル・ジャーナル(Biophys J.)、第82巻、2002年3月、p.1453~1459を参照されたい)。表面活性コポリマーとしてのP188は、脂質膜中への吸着または挿入に関与する。LNP製剤に関して、P188は、ポリマーのCMCにおいてまたはわずかにCMC超、すなわち約0.1%~1%w/vのP188において分散液に有益な影響を与える。
ナノ沈殿単位操作は、乱流またはマイクロ流体混合機内での脂質含有エタノール原液および酸性化mRNA溶液の混合からなる。析出反応は、部分水性媒体中のエタノール含有率の減少および急速に縮小する脂質溶解度に起因して生じる。超飽和系内において、ナノ粒子は、脂質の疎水性会合およびイオン化カチオン性脂質(および媒体中の他の荷電平衡化種)によるRNAの電荷捕捉の結果として形成し、成熟する。
脂質組成物中に含まれるPEG-脂質のレベルは、最終粒子サイズに影響を与える(例えば、チェン S(Chen S)ら著、ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース(J Control Rel)、第196巻、p.106~112、2015年)。PEG-脂質コンジュゲートは、分散液の立体安定化を提供することが意図され、大きい粒子直径は、形成中に極めて低レベルのPEG-脂質から生じる。ナノ沈殿中、P188は、立体安定剤としてPEG-脂質を補い得る。図1は、ナノ沈殿においてP188の濃度が増加するにつれ、得られるLNPの直径が低減されることを示す。粒子サイズは、文献CMC値と合致し、またはそれを超過するP188濃度においてプラトーになる。
P188により分散液に付与される安定化は、界面活性剤の両親媒性の表面活性粒子によるものであった。界面活性剤のCMC値未満では、添加されるP188分子は、界面領域、例としてLNP/水界面および他の親水性/疎水性界面(および空気/水界面)に分配される。界面活性剤の表面被覆が増加するにつれ、表面自由エネルギー(表面張力)が減少し、疎水性領域の利用可能な接触区域が減少される。CMC値以上において、界面活性剤の継続添加は、ミセル形成を促進して系の自由エネルギーをさらに減少させる。図1に実証されるとおり、ナノ沈殿中のLNPの安定化は、文献CMC値(約0.1%)に接近するP188濃度と一致すると考えられる。
TFF中のポリマー包含
ナノ沈殿後にLNPを処理するための重要な課題は、LNP集団よりも大きいサブビジブル凝集物の形成である。タンジェンシャルフロー濾過(TFF)による下流の精製および濃縮中、ナノ粒子分散液は、種々の疎水性界面、剪断力、および乱流に曝露される。典型的なTFFプロセス中、膜細孔よりも大きい分子(すなわちLNP)は、膜表面に蓄積してゲルまたは濃度分極層を形成する。LNPの濃度増加は、脱安定化ストレスとして機能し、より大きい粒子状物質種を生成し得る分子間相互作用を促進する。別個の試験において、TFFは、緩衝液交換の結果として粒子直径のわずかな変化を誘導することが実証された。しかしながら、透析プロセスは、マイクロフローイメージング(MFI)により検出されるとおり粒子状物質(>1μm)の濃度増加ももたらした。対照的に、TFF交換緩衝液中のP188の包含は、粒子のレベルを有意に低減させた(図2を参照されたい)。
最終生成物の貯蔵前のポリマー添加
TFF精製後、最終濾過およびバイアル充填前に安定化賦形剤の添加を介して製剤を濃縮し、またはpH調整し、修飾することができる。別個の実験において、NaClの添加により単一製剤のイオン強度を修飾した一方、P188の添加ありおよびなしで別個の実験群を調製した。2回以上の冷凍-解凍サイクル(取扱、調査、ラベリングなど)を必要とする見込みに起因して、-20℃への冷凍とそれに続く室温への解凍の複数のサイクルを調査した。分散液をかなり激しい冷凍/解凍ストレスイベントに供することにより、物理的安定性の差を明らかにした。
図3に示されるとおり、P188は、トリス/スクロース媒体に対してLNPサイズ成長を有意に低減させた一方、塩(NaCl)のさらなる添加は、サイズ制御のレベルを改善し、少なくとも19サイクルにわたり堅牢な冷凍-解凍プロファイルをもたらした。
凍結乾燥製剤の乾燥状態へのさらなる処理は、mRNAを有するLNPの安定化の機会である。凍結乾燥は、最適な処理および得られる生成物の安定性を確保するための製剤組成の追加の検討を要求する。
長期貯蔵について、凍結乾燥生成物は、安定性の改善および貯蔵温度上昇の機会を提供する。従来の研究は、LNPが、両方とも凍結乾燥(冷凍-乾燥)に存在する冷凍および乾燥ストレスに感受性であることを実証した。LNPサイズ制御およびサブビジブル粒子状物質の低減について凍結乾燥製剤へのP188の添加を調査した。
冷凍および凍結乾燥についての分散液の熱特性に対する塩の悪影響を考慮して、塩を凍結乾燥試験に含めなかった。代わりに、LNPのサイズを制御し、熱安定性を有する薬学的に洗練されたケーキ構造を促進するための増量剤として非結晶化二糖を調査した。二糖を含有する凍結乾燥製剤中に両親媒性ポリマーを取り込むことは、サイズ制御を改善し、サブビジブル粒子状物質を低減させることが見出された。さらに、P188の添加は、スクロース/トレハロース製剤についてのTにより計測されるとおり熱強度を増加させた(図9を参照されたい)。
LNP粒子サイズ制御に関して、ビヒクル中のスクロース/トレハロースの固定糖組成物にP188を補給して凍結乾燥後のLNPサイズに対するP188濃度の効果を調査した。図4A~4Bにおいて、固定スクロースおよびトレハロース含有率の存在下で2つの異なる濃度(すなわち0.5mg/mLおよび1mg/mL)におけるmRNAを凍結乾燥させ(図4A~4B中の「15-10」は、15%のスクロースおよび10%のトレハロースを指す)、変動レベルのP188を取り込んだ。P188濃度の増加は、LNPサイズ制御を改善することが明らかであり、最適範囲は、両方のLNP濃度において1.5~2%のP188である。重要なことに、P188の存在は、賦形剤の割合および比を増加させずにLNP濃度の2倍化を可能とし、それは、他の製剤では可能でなかった。
P188は、凍結乾燥プロセスにおいて生成されるサブビジブル粒子状物質を低減させる。図5は、P188含有率の増加に伴うサブビジブル粒子状物質の低減を明白に実証し、最終的に、2%のP188を添加した場合に界面活性剤なしと比較して粒子濃度を1logだけ低減させる。さらに、2%のP188条件は、任意の製剤中において生成されるサブビジブル粒子状物質の最小濃度を示す。
これまでの凍結乾燥研究のほとんどがMC3LNPを中心に展開されてきたが、式(I)のイオン化可能脂質を用いる最初の研究は、類似の結果を生成した。図6A~6Bは、MC3LNP製剤について上記のものと同一の条件下で凍結乾燥させた式(I)のイオン化可能脂質を含有するLNP製剤についてのサイズおよびサブビジブル粒子状物質の結果をまとめる。mRNAの濃度は、0.5mg/mLであった。一部の初期試験は、両親媒性ポリマーの添加により1mg/mLのmRNA製剤の安定性を達成することもできることを示唆した。
ポロキサマー188は、凍結乾燥中のLNPのサイズ成長の最小化において極めて有効であることが実証された。他の両親媒性ポリマーも改善を実証した。二糖とともにポリソルベート20(PS20またはツイン20(Tween20))およびポリビニルピロリドン(PVP)を含めた。図7A~7Bは、PS20およびPVPを含めた場合のLNPサイズ変化を実証した。図8A~8Cは、PS20およびPVPを含めた場合のサブビジブル粒子状物質の量の変化を実証する。試験された全ての製剤は、0.5mg/mLのmRNAをMC3LNPとともに含有した。
LNP中のワクチンmRNA候補を用いたデータは、PVPおよびPS20製剤が4℃において少なくとも2ヵ月間安定したままであったことを示唆する。凍結乾燥生成物の熱強度および安定性の別の態様は、ガラス転移温度Tである。P188の添加は、スクロース/トレハロース製剤のTを増加させた(図9を参照されたい)。長期貯蔵の相関が生成され得ることが多く、Tの現在の標的は、>70℃であり、理想的には>75℃である。
生成物使用中におけるポリマー添加
ネブライゼーションの試験は、使用中イベント中のLNPのストレス誘導変化の課題を説明する。対象の投与は、LNPに機械的ストレスを引き起こし得る振動メッシュネブライザーを使用する。両親媒性ポリマーの不存在下において、エクスビボでのネブライゼーションは、封入の有意な損失および粒子サイズの増加を引き起こすことが見出された(図10A~10B)。サイズおよび封入効率(EE)をネブライゼーション前および後に計測した。ネブライゼーション後にキャップからメッシュを通過しなかった分析用試料(プレメッシュと称される)およびエアロゾル化された材料(ポストメッシュと称される)を回収した。
製剤緩衝液へのP188の添加は、ネブライゼーション後の封入効率を有意に改善した。P188は、立体障害を提供して機械的ストレス時のLNPの凝集を防止し得る。いかなるポロキサマーも添加しない場合、ネブライゼーション後に封入効率は完全に損失した(図11を参照されたい)。
ネブライゼーション中の封入効率の維持は、低pH環境およびP188の取り込みの組合せ効果であると考えられる。わずかに酸性、例えば4.6のpHが、粒子凝集を防止し、粒子整合性を保存するのに役立つことが発見された(図11を参照されたい)。
酸性緩衝液への賦形剤の添加が封入効率を改善するという発見に基づき、いくつかの他のポリマーを製剤緩衝液中でスクリーニングした。酢酸緩衝液pH4.6にポロキサマーおよび種々の分子量のポリビニルピロリドン(PVP)を添加し、ネブライゼーション中のLNP統合性の保護について試験した。結果(図12Aおよび12Bを参照されたい)は、スクリーニングされた他のポリマーと比較して封入効率および粒子サイズが最良に維持されたため、P188が、試験された他のポリマーよりも優れていることを示す。
実施例3:凍結乾燥製剤の安定性
凍結乾燥製剤を実施例2に記載のものと同様の方法において調製した。緩衝溶液(20mMのトリス、pH8)中に20mMのトリス、8%のスクロース中で1mg/mLのmRNAを有する原液を透析し、次いで20mMのトリス、pH=8中でP188を含有する賦形剤原液と混合して25mMのLNP(MC3 50%、DSPC10%、コレステロール38.5%およびPEG-DMG1.5%)および2%w/vのP188を含む製剤を生成した。安定性試験のため、ウィートン(Wheaton)イグルー型ストッパーを有するウィートン(Wheaton)1型ガラスバイアル中に製剤の2mLのアリコートを装入した。凍結乾燥サイクル条件を以下に列記した。
冷凍:
0.5℃/分において25℃から-60℃に冷凍する。
-60℃において5時間保持する。
一次乾燥
66時間の30mTにおける-40℃棚温度。
二次乾燥
0.5℃/分において-40℃から10℃に傾斜させる。
66時間保持する。
サイクル終了:
窒素をオーバーレイ処理し、密栓する。
大気に通気する。
結果(図13を参照されたい)は、全ての凍結乾燥の場合、凍結乾燥プロセスステップ(プロットのゼロ未満の時間)の結果としてサイズが増加するが、安定性について経時的に一定のままであることを示す。逆に、冷凍製剤は、経時的に継続してサイズが増加する。
実施例4:冷凍製剤の安定性
製剤を実施例2に記載のものと同様の方法において調製した。適切量のトリス緩衝液、NaCl、およびポロキサマー188を濃縮mRNA-MC3LNP製剤中に添加して最終1mg/mLのmRNA濃度においてそれぞれのLNP製剤について3つの緩衝液条件を達成した。
条件I:20mMのトリス緩衝液、8%w/vのスクロース、0.4%w/vのP188条件II:20mMのトリス緩衝液、8%w/vのスクロース
条件III:20mMのトリス緩衝液、5%w/vのスクロース、140mMのNaCl、0.4%w/vのP188
0.5mLのそれぞれの製剤を2mLの滅菌バイアル中に装入した。それぞれのバイアルを-20℃において少なくとも2時間冷凍し、次いで室温に少なくとも30分間解凍した。それぞれの冷凍/解凍(F/T)サイクルについて、それぞれのバイアルからDLS計測のために1μLの製剤を取り出した。5回ごとのF/Tサイクルについてそれぞれのバイアルから25μLの製剤を取り出してリボグリーン(RIBOGREEN)(登録商標)RNAアッセイ(インビトロジェン・コーポレーション(Invitrogen Corporation)、カールスバッド、カリフォルニア)を使用して封入を評価し、マイクロフローイメージング(MFI)を介して粒子状物質(>1μm)を評価した。合計20回のF/Tサイクルを実施した。
以下の表は、冷凍/解凍サイクル前の一部の開始時特徴付けを示す。
Figure 2022095702000014
図14Aおよび14Bに示されるとおり、MC3LNPは、3つ全ての緩衝液条件にわたり類似の安定性を示した。
均等物
本開示をその詳細な説明とともに記載してきた一方、上記説明は、本開示を説明するものであり、その範囲を限定するものではなく、その範囲は、添付の特許請求の範囲の範囲により定義されることを理解すべきである。他の態様、利点、および変更形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
[項目1]
両親媒性ポリマーと、イオン化可能脂質またはその薬学的に許容可能な塩を含む脂質ナノ粒子(LNP)構成成分とを含む安定化ナノ粒子製剤。
[項目2]
水性製剤またはその凍結乾燥もしくは冷凍製剤である、項目1に記載の製剤。
[項目3]
前記両親媒性ポリマーとLNPとの重量比は、約0.0004:1~約100:1である、項目1または2に記載の製剤。
[項目4]
前記両親媒性ポリマーとLNPとの重量比は、約0.001:1~約10:1であるか、または約0.001:1~約5:1である、項目1~3のいずれか一項に記載の製剤。
[項目5]
前記両親媒性ポリマーとLNPとの重量比は、約0.001:1~約0.1:1、約0.005~約0.4:1、または約0.5:1~約4:1である、項目1~4のいずれか一項に記載の製剤。
[項目6]
約4℃以下における少なくとも1ヵ月間の貯蔵後に約20%以下のLNP平均サイズの増加を有する、項目1~5のいずれか一項に記載の製剤。
[項目7]
最大30回の冷凍/解凍サイクル後に約20%以下のLNP平均サイズの増加を有する、項目1~6のいずれか一項に記載の製剤。
[項目8]
精製前のLNP平均サイズと比較して精製プロセス後に約20%以下のLNP平均サイズの増加を有する、項目1~7のいずれか一項に記載の製剤。
[項目9]
精製プロセスは、濾過を含む、項目1~8のいずれか一項に記載の製剤。
[項目10]
凍結乾燥前のLNP平均サイズと比較して凍結乾燥後に約20%以下のLNP平均サイズの増加を有する、項目1~9のいずれか一項に記載の製剤。
[項目11]
不純物を実質的に有さない、項目1~10のいずれか一項に記載の製剤。
[項目12]
約20%以下、約10%以下、約5%以下、約1%以下、または約0.5%以下の不純物を含有する、項目1~11のいずれか一項に記載の製剤。
[項目13]
LNPは、冷凍または凍結乾燥後に少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも95%のクロマトグラフィー純度を有する、項目1~12のいずれか一項に記載の製剤。
[項目14]
前記両親媒性ポリマーは、非イオン性である、項目1~13のいずれか一項に記載の製剤。
[項目15]
前記両親媒性ポリマーは、リオプロテクタントである、項目1~14のいずれか一項に記載の製剤。
[項目16]
前記両親媒性ポリマーは、ポロキサマー(プルロニック(Pluronic)(登録商標))、ポロキサミン(テトロニック(Tetronic)(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)、およびポリビニルピロリドン(PVP)から選択される、項目1~15のいずれか一項に記載の製剤。
[項目17]
前記両親媒性ポリマーは、P188である、項目1~16のいずれか一項に記載の製剤。
[項目18]
両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する、項目1~17のいずれか一項に記載の製剤。
[項目19]
両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する、項目1~18のいずれか一項に記載の製剤。
[項目20]
前記両親媒性ポリマーの濃度は、約0.025%w/v~約3%w/vの範囲である、項目1~19のいずれか一項に記載の製剤。
[項目21]
前記両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.1%w/v~約3%w/vの範囲である、項目1~20のいずれか一項に記載の製剤。
[項目22]
前記両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.1%w/v~約2.5%w/v、約0.1%w/v~約1%w/v、または約0.1%w/v~約0.4%w/vの範囲である、項目1~21のいずれか一項に記載の製剤。
[項目23]
前記両親媒性ポリマーの濃度は、冷凍または凍結乾燥前に約0.1%w/v~約0.5%w/vの範囲である、項目1~22のいずれか一項に記載の製剤。
[項目24]
前記両親媒性ポリマーの濃度が増加する場合、凍結乾燥後にサブビジブル粒子状物質の量の減少を有する、項目1~23のいずれか一項に記載の製剤。
[項目25]
糖をさらに含む、項目1~24のいずれか一項に記載の製剤。
[項目26]
糖は、二糖である、項目1~25のいずれか一項に記載の製剤。
[項目27]
糖は、スクロースもしくはトレハロースまたはそれらの組合せである、項目1~26のいずれか一項に記載の製剤。
[項目28]
糖の合計濃度は、冷凍または凍結乾燥前に0%w/w~約30%w/wの範囲である、項目1~27のいずれか一項に記載の製剤。
[項目29]
塩をさらに含む、項目1~28のいずれか一項に記載の製剤。
[項目30]
塩は、塩化物塩、好ましくはNaClである、項目1~29のいずれか一項に記載の製剤。
[項目31]
塩の濃度は、冷凍または凍結乾燥前に0mM~約300mMの範囲である、項目1~30のいずれか一項に記載の製剤。
[項目32]
酸化防止剤をさらに含む、項目1~31のいずれか一項に記載の製剤。
[項目33]
冷凍または凍結乾燥前に約4~約8の範囲のpH値を有する、項目1~32のいずれか一項に記載の製剤。
[項目34]
治療剤および/または予防剤をさらに含む、項目1~33のいずれか一項に記載の製剤。
[項目35]
治療剤および/または予防剤は、核酸である、項目1~34のいずれか一項に記載の製剤。
[項目36]
冷凍または凍結乾燥前に約0.25mg/mL~約4mg/mLの核酸、好ましくは約0.5mg/mL~約2mg/mLの核酸を有する、項目1~35のいずれか一項に記載の製剤。
[項目37]
前記両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.025:1~約100:1である、項目1~36のいずれか一項に記載の製剤。
[項目38]
前記両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.025:1~約1:1である、項目1~37のいずれか一項に記載の製剤。
[項目39]
前記両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.1:1~約4:1である、項目1~38のいずれか一項に記載の製剤。
[項目40]
前記両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約10:1~約40:1である、項目1~39のいずれか一項に記載の製剤。
[項目41]
治療剤および/または予防剤は、リボ核酸(RNA)である、項目1~40のいずれか一項に記載の製剤。
[項目42]
RNAは、小分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA)、小分子ヘアピンRNA(shRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、長鎖非コードRNA(lncRNA)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、項目1~41のいずれか一項に記載の製剤。
[項目43]
RNAは、mRNAである、項目1~42のいずれか一項に記載の製剤。
[項目44]
mRNAは、ステムループ、鎖終結ヌクレオシド、ポリA配列、ポリアデニル化シグナル、および/または5’キャップ構造の1つ以上を含む、項目1~43のいずれか一項に記載の製剤。
[項目45]
mRNAは、少なくとも30ヌクレオチド長である、項目1~44のいずれか一項に記載の製剤。
[項目46]
mRNAは、少なくとも300ヌクレオチド長である、項目1~45のいずれか一項に記載の製剤。
[項目47]
治療剤および/または予防剤の封入効率は、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である、項目1~46のいずれか一項に記載の製剤。
[項目48]
封入効率は、約4℃以下における少なくとも1ヵ月間の貯蔵後に実質的に同一である、項目1~47のいずれか一項に記載の製剤。
[項目49]
封入効率は、最大30回の冷凍/解凍サイクル後に実質的に同一である、項目1~48のいずれか一項に記載の製剤。
[項目50]
封入効率は、精製前のものと比較して精製プロセス後に実質的に同一である、項目1~49のいずれか一項に記載の製剤。
[項目51]
封入効率は、凍結乾燥前のものと比較して凍結乾燥後に実質的に同一である、項目1~50のいずれか一項に記載の製剤。
[項目52]
LNPと治療剤および/または予防剤とのwt/wt比は、約10:1~約60:1である、項目1~51のいずれか一項に記載の製剤。
[項目53]
N:P比は、約2:1~約30:1である、項目1~52のいずれか一項に記載の製剤。
[項目54]
LNPの平均サイズは、約70nm~約100nmである、項目1~53のいずれか一項に記載の製剤。
[項目55]
凍結乾燥時に約70℃以上のガラス転移温度(T)を有する、項目1~54のいずれか一項に記載の製剤。
[項目56]
免疫原性をほとんど有さないかまたはまったく有さない、項目1~55のいずれか一項に記載の製剤。
[項目57]
治療剤または予防剤をさらに含み、かつ、前記両親媒性ポリマーを含まない対応する製剤と比較して増加した治療指数を有する、項目1~56のいずれか一項に記載の製剤。
[項目58]
前記LNP構成成分は、中性脂質をさらに含む、項目1~57のいずれか一項に記載の製剤。
[項目59]
中性脂質は、リン脂質またはその類似体もしくは誘導体である、項目1~58のいずれか一項に記載の製剤。
[項目60]
リン脂質は、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16リゾPC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME16.0PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、項目1~59のいずれか一項に記載の製剤。
[項目61]
前記LNP構成成分は、構造脂質をさらに含む、項目1~60のいずれか一項に記載の製剤。
[項目62]
構造脂質は、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、ウルソル酸、アルファ-トコフェロール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、項目1~61のいずれか一項に記載の製剤。
[項目63]
前記LNP構成成分は、PEG脂質をさらに含む、項目1~62のいずれか一項に記載の製剤。
[項目64]
PEG脂質は、PEG-修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG-修飾ホスファチジン酸、PEG-修飾セラミド、PEG-修飾ジアルキルアミン、PEG-修飾ジアシルグリセロール、PEG-修飾ジアルキルグリセロール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、項目1~63のいずれか一項に記載の製剤。
[項目65]
前記LNP構成成分は、約30mol%~約60mol%のイオン化可能脂質、約0mol%~約30mol%のリン脂質、約18.5mol%~約48.5mol%の構造脂質、および約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む、項目1~64のいずれか一項に記載の製剤。
[項目66]
前記LNP構成成分は、約50mol%のイオン化可能脂質、約10mol%のリン脂質、約38.5mol%の構造脂質、および約1.5mol%のPEG脂質を含む、項目1~65のいずれか一項に記載の製剤。
[項目67]
イオン化可能脂質は、イオン化可能アミノ脂質を含む、項目1~66のいずれか一項に記載の製剤。
[項目68]
イオン化可能脂質は、式(I)、(IA)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、および(IIe)のいずれかの化合物を含む、項目1~67のいずれか一項に記載の製剤。
[項目69]
前記LNP構成成分は、3-(ジドデシルアミノ)-N1,N1,4-トリドデシル-1-ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1-[2-(ジドデシルアミノ)エチル]-N1,N4,N4-トリドデシル-1,4-ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25-ジトリデシル-15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタン(KL25)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、(2R)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2R))、および(2S)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2S))からなる群から選択されるカチオン性および/またはイオン化可能脂質をさらに含む、項目1~68のいずれか一項に記載の製剤。
[項目70]
免疫原性を低下させる方法であって、項目1~69のいずれか一項に記載の製剤を細胞中に導入することを含み、前記製剤は、前記両親媒性ポリマーを含まない対応する製剤によって誘導される細胞中での細胞免疫応答の誘導と比較して、前記製剤に対する前記細胞の細胞免疫応答の誘導を低減させる、方法。
[項目71]
脂質ナノ粒子(LNP)製剤を精製する方法であって、両親媒性ポリマーの存在下で第1のLNP製剤を濾過して第2のLNP製剤を得ることを含む方法。
[項目72]
前記第1のLNP製剤は、核酸をさらに含み、および前記両親媒性ポリマーと前記核酸との重量比は、約0.025:1~約1:1である、項目71に記載の方法。
[項目73]
脂質ナノ粒子(LNP)製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させる方法であって、両親媒性ポリマーの存在下で第1のLNP製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させて第2のLNP製剤を得ることを含む方法。
[項目74]
前記第1のLNP製剤は、核酸をさらに含み、および前記両親媒性ポリマーと前記核酸との重量比は、約0.1:1~約40:1である、項目73に記載の方法。
[項目75]
前記両親媒性ポリマーと前記核酸との重量比は、前記第1のLNP製剤を冷凍するために約0.1:1~約4:1である、項目74に記載の方法。
[項目76]
前記両親媒性ポリマーと前記核酸との重量比は、前記第1のLNP製剤を凍結乾燥させるために約10:1~約40:1である、項目74に記載の方法。
[項目77]
ストレスの適用時に脂質ナノ粒子(LNP)製剤を安定化させる方法であって、ストレスの適用前または適用中に前記LNP製剤に両親媒性ポリマーを添加することを含む方法。
[項目78]
前記LNP製剤は、核酸をさらに含み、および前記両親媒性ポリマーと前記核酸との重量比は、約0.025:1~約100:1である、項目77に記載の方法。
[項目79]
前記ストレスは、前記LNP製剤の生成または精製時に適用され、および前記両親媒性ポリマーと前記核酸との重量比は、約0.025:1~約1:1である、項目78に記載の方法。
[項目80]
前記ストレスは、冷凍/解凍ストレスであり、および前記両親媒性ポリマーと前記核酸との重量比は、約0.1:1~約4:1である、項目78に記載の方法。
[項目81]
前記ストレスは、前記LNP製剤の凍結乾燥時に適用され、および前記両親媒性ポリマーと前記核酸との重量比は、約10:1~約40:1である、項目78に記載の方法。
[項目82]
安定化脂質ナノ粒子(LNP)製剤を生成する方法であって、第1の両親媒性ポリマーを、イオン化可能脂質およびmRNAを含む脂質組成物と混合して混合物を得ることを含む方法。
[項目83]
前記混合は、乱流またはマイクロ流体混合を含む、項目82に記載の方法。
[項目84]
前記第1の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.025:1~約1:1である、項目82または83に記載の方法。
[項目85]
前記混合物を精製することをさらに含む、項目82~84のいずれか一項に記載の方法。
[項目86]
精製は、任意選択的に第2の両親媒性ポリマーを添加するタンジェンシャルフロー濾過を含む、項目82~85のいずれか一項に記載の方法。
[項目87]
第2の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.025:1~約1:1である、項目82~86のいずれか一項に記載の方法。
[項目88]
第3の両親媒性ポリマーを添加し、かつ任意選択的に塩、糖、またはそれらの組合せを添加して前記製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させることをさらに含む、項目82~87のいずれか一項に記載の方法。
[項目89]
第3の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.1:1~約40:1である、項目82~88のいずれか一項に記載の方法。
[項目90]
第3の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、前記製剤を冷凍するために約0.1:1~約4:1である、項目82~89のいずれか一項に記載の方法。
[項目91]
第3の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、前記製剤を凍結乾燥させるために約10:1~約40:1である、項目82~90のいずれか一項に記載の方法。
[項目92]
第4の両親媒性ポリマーを添加して前記製剤を包装することさらに含む、項目82~91のいずれか一項に記載の方法。
[項目93]
第4の両親媒性ポリマーと核酸との重量比は、約0.25:1~約100:1または約0.5:1~約12:1である、項目82~92のいずれか一項に記載の方法。
[項目94]
前記両親媒性ポリマーは、非イオン性である、項目82~93のいずれか一項に記載の方法。
[項目95]
前記両親媒性ポリマーは、ポロキサマー(プルロニック(Pluronic)(登録商標))、ポロキサミン(テトロニック(Tetronic)(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)、およびポリビニルピロリドン(PVP)から選択される、項目82~94のいずれか一項に記載の方法。
[項目96]
前記両親媒性ポリマーは、P188である、項目82~95のいずれか一項に記載の方法。
[項目97]
両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する、項目82~96のいずれか一項に記載の方法。
[項目98]
両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する、項目82~97のいずれか一項に記載の方法。
[項目99]
前記両親媒性ポリマーは、約0.025%w/v~約3%w/vまたは約0.1%w/v~約3%w/vの範囲の濃度において存在する、項目82~98のいずれか一項に記載の方法。
[項目100]
第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較してLNP平均サイズの増加を実質的に有さない、項目82~99のいずれか一項に記載の方法。
[項目101]
第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して約20%以下のLNP平均サイズの増加を有する、項目82~100のいずれか一項に記載の方法。
[項目102]
第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して多分散指数の増加を実質的に有さない、項目82~101のいずれか一項に記載の方法。
[項目103]
第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して約20%以下の多分散指数の増加を有する、項目82~102のいずれか一項に記載の方法。
[項目104]
第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して封入効率の減少を実質的に有さない、項目82~103のいずれか一項に記載の方法。
[項目105]
第2のLNP製剤は、第1のLNP製剤と比較して約20%以下の封入効率の減少を有する、項目82~104のいずれか一項に記載の方法。

Claims (27)

  1. 両親媒性ポリマーと、脂質ナノ粒子(LNP)とを含む安定化ナノ粒子製剤であって、
    前記脂質ナノ粒子(LNP)は、イオン化可能脂質、リン脂質、構造脂質、PEG脂質、およびメッセンジャーRNA(mRNA)を含み、
    前記両親媒性ポリマーは、ポロキサマー、ポロキサミン、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、およびポリビニルピロリドンから選択され、
    前記両親媒性ポリマーと前記LNPは、約0.0004:1~約100:1のwt/wt比で存在する、製剤。
  2. 前記両親媒性ポリマーは、ポロキサマー188(P188)である、請求項1に記載の製剤。
  3. 両親媒性ポリマーは、約30℃および大気圧において水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)、または、約30℃および大気圧において水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの臨界ミセル濃度(CMC)を有する、請求項1または2に記載の製剤。
  4. 前記両親媒性ポリマーは、約0.025%w/v~約3%w/v、約0.1%w/v~3%w/v、約0.1%w/v~2.5%w/v、約0.1%w/v~約0.5%w/v、または約0.1%w/v~約0.4%w/vの濃度で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
  5. 糖をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
  6. 前記糖は、二糖である、請求項5に記載の製剤。
  7. 前記糖は、スクロースもしくはトレハロースまたはそれらの組合せである、請求項5または6に記載の製剤。
  8. 前記糖は、0%w/w~約30%w/wの合計濃度で存在する、請求項5~7のいずれか一項に記載の製剤。
  9. 塩をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
  10. 前記塩は、塩化物塩、好ましくはNaClである、請求項9に記載の製剤。
  11. 前記塩は、約0mM~約300mMの濃度で存在する、請求項9または10に記載の製剤。
  12. 前記mRNAは、約0.25mg/mL~約4mg/mL、好ましくは約0.5mg/mL~約2mg/mLの濃度で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の製剤。
  13. 前記両親媒性ポリマーと前記mRNAは、約0.025:1~約100:1、約0.025:1~約1:1、約0.1:1~約4:1、または約10:1~約40:1の重量比で存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の製剤。
  14. 前記mRNAの封入効率は、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%である、請求項1~13のいずれか一項に記載の製剤。
  15. 前記LNPと前記mRNAは、約10:1~約60:1のwt/wt比で存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載の製剤。
  16. 前記製剤は、約2:1~約30:1のN:P比を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の製剤。
  17. 前記LNPは、約70nm~約100nmの平均サイズを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の製剤。
  18. 前記製剤は、凍結乾燥時に約70℃以上のガラス転移温度(T)を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の製剤。
  19. 前記リン脂質は、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16リゾPC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME16.0PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、およびスフィンゴミエリン、並びにそれらの任意の組合せから選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の製剤。
  20. 前記構造脂質は、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、ウルソル酸、およびアルファ-トコフェロール、並びにそれらの任意の組合せから選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の製剤。
  21. 前記PEG脂質は、PEG-修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG-修飾ホスファチジン酸、PEG-修飾セラミド、PEG-修飾ジアルキルアミン、PEG-修飾ジアシルグリセロール、およびPEG-修飾ジアルキルグリセロール、並びにそれらの任意の組合せから選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の製剤。
  22. 前記LNPは、約50mol%のイオン化可能脂質、約10mol%のリン脂質、約38.5mol%の構造脂質、および約1.5mol%のPEG脂質を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の製剤。
  23. 前記イオン化可能脂質は、3-(ジドデシルアミノ)-N1,N1,4-トリドデシル-1-ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1-[2-(ジドデシルアミノ)エチル]-N1,N4,N4-トリドデシル-1,4-ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25-ジトリデシル-15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタン(KL25)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DODMA)、2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、(2R)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2R))、および(2S)-2-({8-[(3β)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2S))並びにそれらの任意の組合せから選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載の製剤。
  24. 請求項1~23のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子(LNP)製剤を精製する方法であって、両親媒性ポリマーの存在下で第1のLNP製剤を濾過して第2のLNP製剤を得ることを含む方法。
  25. 請求項1~23のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子(LNP)製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させる方法であって、両親媒性ポリマーの存在下で第1のLNP製剤を冷凍するかまたは凍結乾燥させて第2のLNP製剤を得ることを含む方法。
  26. ストレスの適用時に請求項1~23のいずれか一項に記載の脂質ナノ粒子(LNP)製剤を安定化させる方法であって、ストレスの適用前または適用中に前記LNP製剤に両親媒性ポリマーを添加することを含む方法。
  27. 請求項1~23のいずれか一項に記載の安定化脂質ナノ粒子(LNP)製剤を生成する方法であって、第1の両親媒性ポリマーを、イオン化可能脂質およびmRNAを含む脂質組成物と混合して混合物を得ることを含む方法。
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