JP2022092772A - 艶消し塗料組成物および塗装物品、ならびに塗装物品の製造方法 - Google Patents

艶消し塗料組成物および塗装物品、ならびに塗装物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】艶のバラツキの小さな塗膜を得られる艶消し塗料組成物を提供する。【解決手段】塗膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、艶消し剤(C)、粘性調整剤(D)および非水溶媒(E)を含む艶消し塗料組成物であって、前記粘性調整剤(D)は、重合体架橋微粒子(D1)と、アミド化合物(D2)と、を含み、前記重合体架橋微粒子(D1)は、溶解した前記塗膜形成性樹脂(A)を含む前記非水溶媒(E)に不溶であり、かつ、前記艶消し塗料組成物中に分散しており、20℃、ずり速度0.1s-1(/秒)で、コーンプレート型粘度計により測定される、塗装1.5分後の粘度η1は、26,000mPa・s以上72,000mPa・s以下である、艶消し塗料組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、艶消し塗料組成物および塗装物品、ならびに塗装物品の製造方法に関する。
金属基材やプラスチック基材などの被塗物の表面には、種々の役割を持つ複数の塗膜が形成される。塗膜は、被塗物を保護すると同時に被塗物に意匠性を付与する。特許文献1および2には、艶消しの質感を呈する塗料組成物が開示されている。
特表2013-544301号公報 国際公開第2016/017778号
しかし、特許文献1および2に記載された塗料組成物を用いると、得られる塗膜の艶にバラツキが生じる場合がある。特に被塗物の形状が複雑であると、艶のバラツキは大きくなり易い。
本発明の目的は、艶のバラツキの小さな塗膜を得られる艶消し塗料組成物を提供することである。本発明の目的は、また、上記塗料組成物により形成される塗膜を有する塗装物品およびその製造方法を提供することである。
本発明は、下記態様[1]~[11]を提供する。
[1]
塗膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、艶消し剤(C)、粘性調整剤(D)および非水溶媒(E)を含む艶消し塗料組成物であって、
前記粘性調整剤(D)は、重合体架橋微粒子(D1)と、アミド化合物(D2)と、を含み、
前記重合体架橋微粒子(D1)は、溶解した前記塗膜形成性樹脂(A)を含む前記非水溶媒(E)に不溶であり、かつ、前記艶消し塗料組成物中に分散しており、
20℃、ずり速度0.1s-1(/秒)で、コーンプレート型粘度計により測定される、塗装1.5分後の粘度ηは、26,000mPa・s以上72,000mPa・s以下である、艶消し塗料組成物。
[2]
前記艶消し塗料組成物を水平面に塗装し、1分経過した後に硬化させた塗膜の60度鏡面光沢度G60と、
前記艶消し塗料組成物を鉛直面に塗装し、7分経過した後に硬化させた塗膜の60度鏡面光沢度G60とは、
|G60-G60|<10
の関係を満たす、上記[1]に記載の艶消し塗料組成物。
[3]
前記重合体架橋微粒子(D1)の含有量は、前記塗膜形成性樹脂(A)および前記硬化剤(B)の合計の固形分100質量部に対して、0.5質量部以上5質量部以下である、上記[1]または[2]に記載の艶消し塗料組成物。
[4]
前記アミド化合物(D2)の含有量は、前記塗膜形成性樹脂(A)および前記硬化剤(B)の合計の固形分100質量部に対して、0.05質量部以上2.0質量部以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の艶消し塗料組成物。
[5]
前記塗膜形成性樹脂(A)は、水酸基含有樹脂を含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載の艶消し塗料組成物。
[6]
前記硬化剤(B)は、イソシアネート化合物を含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載の艶消し塗料組成物。
[7]
前記艶消し剤(C)は、シリカを含む、上記[1]~[6]のいずれかに記載の艶消し塗料組成物。
[8]
固形分割合は、40質量%以上55質量%以下である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の艶消し塗料組成物。
[9]
23℃で、フローカップ法により測定される粘度ηは、21秒以上35秒以下である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の艶消し塗料組成物。
[10]
被塗物と、
前記被塗物上に形成された着色塗膜と、
前記着色塗膜上に形成された艶消しクリヤー塗膜と、を備え、
前記艶消しクリヤー塗膜は、上記[1]~[9]のいずれかに記載の艶消し塗料組成物により形成される、塗装物品。
[11]
被塗物上に、着色塗料組成物を塗装して未硬化の着色塗膜を形成する工程と、
前記未硬化の着色塗膜上に、上記[1]~[9]のいずれかに記載の艶消し塗料組成物を塗装して未硬化の艶消しクリヤー塗膜を形成する工程と、
前記未硬化の着色塗膜および前記未硬化の艶消しクリヤー塗膜を硬化させる硬化工程と、を備える、塗装物品の製造方法。
本発明によれば、艶のバラツキの小さな塗膜を得られる艶消し塗料組成物が提供される。本発明によれば、また、上記塗料組成物により形成される塗膜を有する塗装物品およびその製造方法が提供される。
本発明の一実施形態に係る塗装物品を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る塗装物品の製造方法のフローチャートである。
艶消し塗料組成物には、通常、艶消し剤(代表的には、シリカ粒子)が配合されている。艶消し剤によって塗膜の表面に微小な凹凸が形成されて、マットな質感が得られる。艶のバラツキは、この艶消し剤の沈降の程度の差が影響していると考えられる。特に、自動車のバンパーのように、複雑な立体形状を有する被塗物においては、塗装部位間での艶消し剤の沈降の程度の差が大きくなり易い。また、塗膜を硬化させるための加熱炉内において、被塗物の昇温速度は部位によって異なる場合がある。複雑な立体形状を有する被塗物の場合、特に昇温速度のバラツキは大きくなり易い。そのため、硬化までの時間にも差が生じて、艶消し剤の沈降の程度の差はさらに大きくなる。
そこで、少なくとも2種類の粘性調整剤を併用して、塗料組成物の塗装直後の粘度をある範囲に制御する。これにより、塗装部位や昇温速度の違いによって生じる艶消し剤の沈降の程度の差が小さくなって、艶のバラツキが抑制される。
具体的には、粘性調整剤として、重合体架橋微粒子(D1)とアミド化合物(D2)とを使用して、20℃、ずり速度0.1s-1(/秒)の条件で、コーンプレート型粘度計により測定される、塗装1.5分後(1分30秒後)の粘度(以下、塗着粘度と称する。)ηを、26,000mPa・s以上72,000mPa・s以下にする。
塗着粘度ηが26,000mPa・s以上であることにより、塗膜の過度な流動が抑制されるとともに、艶消し剤が沈降し難くなる。そのため、被塗物が水平および鉛直な塗装面を有する形状であっても、また、塗膜の昇温速度に差がある場合であっても、艶消し剤の沈降の程度の差が小さくなって、艶のバラツキが抑制される。また、塗膜のタレも抑制される。塗着粘度ηが72,000mPa・s以下であることにより、塗膜はレベリングされて、外観が向上する。
塗着粘度ηは、26,500mPa・s以上が好ましく、27,000mPa・s以上がより好ましい。塗着粘度ηは、71,000mPa・s以下が好ましく、70,000mPa・s以下がより好ましい。
重合体架橋微粒子(D1)は、高分子の有機化合物であって、粒子内に架橋構造を有する。重合体架橋微粒子(D1)は、溶媒に不溶であり、艶消し塗料組成物中に均一に分散している。そのため、当該粒子間で相互作用は働き難く、艶消し塗料組成物の粘度(以下、塗料粘度ηと称する。)を大きくは上昇させない。ところが、溶媒の少なくとも一部が揮発するなどして、艶消し塗料組成物における重合体架橋微粒子(D1)の密度が高まると、重合体架橋微粒子(D1)は、粒子間の相互作用により、粘度を急激に上昇させる。つまり、重合体架橋微粒子(D1)は、溶媒の少なくとも一部が揮発する塗装の後の艶消し塗料組成物の粘度(塗着粘度)を高める作用を有する。さらに、重合体架橋微粒子(D1)によって、硬化工程における塗膜の粘度も高く維持される。
アミド化合物(D2)は、分子内に1以上のアミド基を有しており、分子内で、あるいは他の化合物との間で水素結合を形成し易い。そのため、アミド化合物(D2)は、塗料粘度ηを高める作用を有する。アミド化合物(D2)は、さらに、塗着粘度ηの向上にも寄与する。加えて、アミド化合物(D2)は、塗料組成物にチキソトロピー性を付与する。
しかし、アミド化合物(D2)のみを用いて、塗料粘度ηを適切な範囲に調整するには、高い割合でアミド化合物(D2)を配合する必要がある。すると、塗膜形成性樹脂や硬化剤の割合が小さくなって、質の高い塗膜を得ることは困難である。一方、重合体架橋微粒子(D1)のみを配合すると、塗料組成物は十分なチキソトロピー性を示さず、艶消し剤の沈降や凝集が生じ易くなる。艶消し塗料組成物に重合体架橋微粒子(D1)とともにアミド化合物(D2)を配合することにより、艶のバラツキが小さく、さらには質の高い塗膜を得ることができる。
本実施形態に係る艶消し塗料組成物によれば、水平な塗装面における艶感と、鉛直な塗装面における艶感とのバラツキが抑制される。艶消し塗料組成物を水平面に塗装し、1分経過した後に硬化させた塗膜の60度鏡面光沢度G60と、艶消し塗料組成物を鉛直面に塗装し、7分経過した後に硬化させた塗膜の60度鏡面光沢度G60との関係は、|G60-G60|<10が好ましい。60度鏡面光沢度Gは、艶が高くなり易い条件で測定されている。一方、60度鏡面光沢度Gは、艶が低くなり易い条件で測定されている。60度鏡面光沢度G60と60度鏡面光沢度G60との差が10より小さい塗料組成物は、被塗物の形状や塗装条件に関わらず、艶のバラツキが抑制された塗膜を形成することができる。|G60-G60|は、9以下が好ましく、8以下がより好ましい。通常、60度鏡面光沢度G60は60度鏡面光沢度G60より大きい。
60度鏡面光沢度Gは、以下のようにして測定される。
まず、塗装試料を作成する。塗装試料は、艶消し塗料組成物を、回転霧化塗装機(例えば、ABB社製、RB-1000)により、温度23℃、ベル回転数27,000rpm、シェーピングエアー400nl(out)250nl(in)、ガン速度700mm/秒、ガンピッチ65mm、離間距離17cmの条件で、乾燥膜厚が25μm以上30μm以下になるように、水平に設置された樹脂板(例えば、ポリプロピレン樹脂板)に塗装して得られる。塗装後、塗装試料を、塗装面を水平に保ったまま23℃で1分間静置する。次いで、塗装試料を120℃に加熱する。塗装試料の温度が120℃になってから、20分間加熱して、塗膜を硬化させる。得られた硬化塗膜を室温まで放冷した後、60度鏡面光沢度G60を、JIS Z 8741 鏡面光沢度-測定方法に準拠して測定する。
塗装試料は、複数の塗膜が形成された被塗物であってもよい。この場合、艶消し塗料組成物は、未硬化の塗膜上に塗装されてもよい。
60度鏡面光沢度G60は、以下のようにして測定される。
まず、塗装試料を作成する。塗装試料は、上記と同様にして作成される。その後、塗装試料を、速やかに鉛直に立てて、23℃で7分間静置する。次いで、塗装試料を上記と同様に加熱して、塗膜を硬化させる。得られた硬化塗膜の60度鏡面光沢度G60を、上記と同様にして測定する。
60度鏡面光沢度Gおよび60度鏡面光沢度G60は特に限定されず、所望の質感および色味に応じて適宜設定される。60度鏡面光沢度Gおよび60度鏡面光沢度G60は、例えば、20%以上85%以下程度である。
塗着粘度ηは、以下のようにして測定される。ブリキ板に、回転霧化塗装機(例えば、ABB社製、RB-1000)により、温度23℃、ベル回転数27,000rpm、シェーピングエアー400nl(out)250nl(in)、ガン速度700mm/秒、ガンピッチ65mm、離間距離17cmの条件で、乾燥膜厚が25μm以上30μm以下になるように、艶消し塗料組成物を静電塗装する。塗装から1.5分以内に、塗装試料から塗膜を掻きとって、密閉可能なサンプル瓶内に保存する。保存後1時間以内に、20℃、ずり速度0.1s-1(/秒)の条件で、コーンプレート型粘度計によりサンプル瓶内のサンプルの粘度を測定する。塗着粘度ηは、異なる5つの塗装試料から得られたサンプルの粘度の平均値である。
A.艶消し塗料組成物
本実施形態に係る艶消し塗料組成物(以下、単に塗料組成物と称す場合がある。)は、塗膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、艶消し剤(C)、粘性調整剤(D)および非水溶媒(E)を含む。塗料組成物は、少なくとも塗膜形成性樹脂(A)を含む溶液と、硬化剤(B)を含む溶液とからなる2液型であってよい。これら溶液は、塗装直前に混合して使用される。本実施形態に係る艶消し塗料組成物は、塗装に適した粘度(塗料粘度η)に調整されている。
塗料組成物の調製方法は特に限定されず、ディスパー、ホモジナイザー、ロール、サンドグラインドミルまたはニーダー等を用いて上述の材料を攪拌、混練または分散する等、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。
調製の際、塗膜形成性樹脂(A)および非水溶媒(E)を含むワニスを調製し、このワニスに、硬化剤(B)、艶消し剤(C)および粘性調整剤(D)を加えて、混合することができる。これにより、粘性調整剤(D)をさらに均一に分散させることができる。その後、さらに非水溶媒(E)を加えて、塗料粘度ηを調整してもよい。硬化剤(B)は、使用直前に混合されてもよい。
塗料組成物の固形分割合は、40質量%以上55質量%以下であることが好ましい。これにより、塗料粘度ηおよび塗着粘度ηを所望の範囲に調整し易くなる。塗料組成物の固形分割合は、44質量%以上がより好ましく、47質量%以上がさらに好ましい。塗料組成物の固形分割合は、53質量%以下がより好ましく、52質量%以下がさらに好ましい。塗料組成物の固形分は、非水溶媒(E)等の希釈成分を除く全成分である。
23℃で、フローカップ法により測定される塗料粘度ηは、21秒以上35秒以下が好ましい。塗料粘度ηが上記範囲であることにより、使用できる塗装機や塗装条件等が制限されることなく、自由度の高い塗装が可能となるとともに、塗装ムラのない塗膜が得られ易くなる。塗料組成物が重合体架橋微粒子(D1)とともにアミド化合物(D2)を含むことにより、塗料粘度ηを容易に上記範囲に調整することができる。2液型塗料である場合、塗料粘度ηは、塗膜形成性樹脂(A)を含む溶液と、硬化剤(B)を含む溶液とを混合した直後に測定される。
塗料粘度ηは、22秒以上がより好ましく、23秒以上がさらに好ましい。塗料粘度ηは、34秒以下がより好ましく、33秒以下がさらに好ましい。塗料粘度ηは、JIS K5600-2-2:1999の「3.フローカップ法」に準拠して、23℃下、No4フォードカップで測定される。塗料粘度ηは、同じ構成の異なる5つの塗料組成物の粘度の平均値である。
[粘性調整剤(D)]
粘性調整剤(D)は、少なくとも重合体架橋微粒子(D1)およびアミド化合物(D2)を含む。この2種の粘性調整剤を併用することにより、塗料組成物の粘度を塗装に適した範囲に調整しながら、塗着粘度を高めることができる。
重合体架橋微粒子(D1)とアミド化合物(D2)との割合は、塗料粘度ηおよび塗着粘度ηに応じて適宜設定される。重合体架橋微粒子(D1)とアミド化合物(D2)との割合(=D1/D2)は、例えば、1.0以上であってよく、1.2以上であってよく、1.5以上であってよい。D1/D2は、例えば、20以下であってよく、15以下であってよく、12以下であってよい。
(重合体架橋微粒子(D1))
重合体架橋微粒子(D1)は、主鎖に炭素-炭素結合を含む高分子化合物であって、分子内に架橋構造を有する。重合体架橋微粒子(D1)は、溶解した塗膜形成性樹脂(A)を含む非水溶媒(E)(以下、樹脂溶液と称する場合がある。)に対して不溶であって、粒子形状を保持しながら塗料組成物中に均一に分散することができる。重合体架橋微粒子(D1)は、例えば、(メタ)アクリル樹脂である。
重合体架橋微粒子(D1)は、原料モノマーを重合することによって調製される。重合方法は特に限定されない。なかでも、エマルション重合が好ましい。重合は、1段階重合であってよく、多段階重合であってよい。
重合体架橋微粒子(D1)は、例えば、以下のようにして調製される。
エチレン性不飽和単量体(D11)と架橋性単量体(D12)とを水性溶媒中で公知の方法により乳化重合して、重合体架橋微粒子を含むエマルションを得る。その後、エマルションに含まれる水を除去する。これにより、重合体架橋微粒子(D1)が得られる。水の除去は、例えば、水性溶媒の有機溶媒への置換、共沸、遠心分離、濾過、乾燥によって行われる。水性溶媒を有機溶媒に置換する場合、重合体架橋微粒子(D1)は、有機溶媒に分散した状態で得られる。
乳化重合は、公知の乳化剤および/または分散剤を用いて行うことができる。なかでも、均一な粒径の重合体架橋微粒子(D1)が得られ易い点で、両性イオン基を有する乳化剤が好ましい。重合体架橋微粒子(D1)の粒径は、塗料粘度および塗着粘度に影響を与える場合がある。
エチレン性不飽和単量体(D11)として、代表的には、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。本明細書において「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む概念である。
エチレン性不飽和単量体(D11)として、上記のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルとともに、これと共重合し得る他のエチレン性不飽和結合を有する単量体を用いてもよい。他の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
架橋性単量体(D12)として、代表的には、分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体(D12a)、および、相互に反応し得る基をそれぞれ有する2種のエチレン性不飽和基含有単量体の組み合わせ(D12b)が挙げられる。単量体(D12a)および単量体の組み合わせ(D12b)は、それぞれ単独で、あるいは組み合わせて用いられる。
単量体(D12a)としては、例えば、多価アルコールの重合性不飽和モノカルボン酸エステル、多塩基酸の重合性不飽和アルコールエステル、および、2以上のビニル基を有する芳香族化合物が挙げられる。
具体的には、単量体(D12a)として、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールアリロキシジメタクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタンジメタクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルエタントリメタクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパンジアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパンジメタクリレート、1,1,1-トリスヒドロキシメチルプロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリデート、ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレートおよびジビニルベンゼンが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
単量体の組み合わせ(D12b)としては、例えば、グリシジル基含有エチレン性不飽和単量体とカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体との組み合わせ、ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体とイソシアナート基含有エチレン性不飽和単量体との組み合わせが挙げられる。
グリシジル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートが挙げられる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸が挙げられる。ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアルコール、メタアリルアルコールが挙げられる。イソシアナート基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、ビニルイソシアナート、イソプロベニルイソシアナートが挙げられる。これらは、それぞれ1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
重合体架橋微粒子(D1)の原料モノマーとして、さらに、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体(D13)を用いてもよい。単量体(D13)として、代表的には、カルボキシル基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体、含窒素単量体が挙げられる。カルボキシル基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。ヒドロキシル基含有単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアルコール、メタクリルアルコールが挙げられる。含窒素単量体として、例えば、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
重合体架橋微粒子(D1)は、上記以外の方法、例えば、非水溶媒系における分散重合により調製されてもよい。
重合体架橋微粒子(D1)は、市販品であってもよい。重合体架橋微粒子(D1)の市販品としては、例えば、Setalux1801 SA-53、Setalux1850 SA-50(Allnex社製)が挙げられる。
重合体架橋微粒子(D1)は、均一な構造を有していてよく、多層構造を有していてもよい。
重合体架橋微粒子(D1)の含有量は、塗膜形成性樹脂(A)および硬化剤(B)の合計の固形分(以下、樹脂固形分と称す場合がある。)100質量部に対して、0.5質量部以上5質量部以下であることが好ましい。これにより、所望の塗着粘度が得られ易い。重合体架橋微粒子(D1)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、1.0質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。重合体架橋微粒子(D1)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、4.0質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
重合体架橋微粒子(D1)の粒子径は特に限定されない。重合体架橋微粒子(D1)の平均粒子径は、例えば、10nm以上40,000nm以下である。重合体架橋微粒子(D1)の平均粒子径は、15nm以上であってよく、20nm以上であってよい。重合体架橋微粒子(D1)の平均粒子径は、5,000nm以下であってよく、1,000nm以下であってよく、500nm以下であってよい。重合体架橋微粒子(D1)の平均粒子径は、レーザ回折・散乱方式の粒度分布測定装置を用いた体積基準の粒度分布における、50%平均粒子径(D50)である。
(アミド化合物(D2))
アミド化合物(D2)は、分子内に1以上のアミド基を有する化合物である。なかでも、アミド化合物(D2)は、脂肪酸アミド化合物を含むことが好ましい。
脂肪酸アミド化合物としては、例えば、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸モノアミド;オレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸物アミド;メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等のメチロールアミド類;メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド類;エタノールアミンジステアレート等の脂肪酸エステルアミドが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
脂肪酸アミド化合物の市販品としては、例えば、A670-20M、A650-20X、A603-20X、603-10X、6850-20X、6840-10X、6820-20M、6810-20X、6900-10X、6900-20XN、6900-20X、6901-20X(以上、楠本化成株式会社製)が挙げられる。これらは、溶剤によってペースト化された脂肪酸アミド化合物を含む。
アミド化合物(D2)の分子量は特に限定されない。アミド化合物(D2)の数平均分子量(Mn)は、例えば、1,000以上2,000以下である。これにより、所望の塗料粘度が得られ易い。
アミド化合物(D2)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、0.05質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。これにより、所望の塗着粘度が得られ易い。アミド化合物(D2)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.15質量部以上がより好ましい。アミド化合物(D2)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、1.8質量部以下が好ましく、1.6質量部以下がより好ましい。
(他の粘性調整剤)
塗料組成物は、必要に応じて、他の粘性調整剤を含んでもよい。他の粘性調整剤としては、例えば、無機系粘性剤、セルロース誘導体、ウレタン会合型粘性剤が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
無機粘性剤としては、例えば、層状シリケート(ケイ酸塩鉱物)、ハロゲン化鉱物、酸化鉱物、炭酸塩鉱物、ホウ酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、モリブデン酸塩鉱物、タングステン酸塩鉱物、リン酸塩鉱物、ヒ酸塩鉱物、バナジン酸塩鉱物が挙げられる。
セルロース誘導体としては、例えば、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートが挙げられる。
ウレタン会合型粘性剤は特に限定されない。ウレタン会合型粘性剤としては、例えば、疎水性鎖を分子中に持つポリウレタン系粘性剤、主鎖の少なくとも一部が疎水性ウレタン鎖であるウレタン-ウレア系粘性剤が挙げられる。
[塗膜形成性樹脂(A)]
塗膜形成性樹脂(A)は、加熱によって硬化剤と反応して、三次元の硬化塗膜を形成する。塗膜形成性樹脂(A)の少なくとも一部は、塗料組成物において、非水溶媒(E)に溶解している。
塗膜形成性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、例えば、4,000以上10,000以下であってよい。これにより、塗料組成物を他の未硬化の塗膜上に塗装したとき、混相が発生するのが抑制され易い。加えて、塗料組成物の速乾性が向上する。さらに、得られる塗膜の耐ガソホール性、耐候性および外観が向上し易い。塗膜形成性樹脂(A)のMwは、9,000以下であってよく、8,000以下であってよく、7,000以下であってよい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから、標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出できる。
塗膜形成性樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、10℃以上50℃以下が好ましい。これにより、得られる塗膜の耐汚染性、耐擦り傷性および硬度が向上し易い。さらに、塗料組成物の速乾性も向上し易い。塗膜形成性樹脂(A)のTgは、15℃以上がより好ましい。塗膜形成性樹脂(A)のTgは、40℃以下がより好ましく、35℃以下が特に好ましい。
Tgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、以下の方法により求められる。昇温速度10℃/minにて20℃から150℃に昇温する工程(工程1)と、工程1の後、降温速度10℃/minにて150℃から-50℃に降温する工程(工程2)と、工程2の後、昇温速度10℃/minにて-50℃から150℃に昇温する工程(工程3)とを行い、工程3の昇温時のチャートから得られる値を、Tgとする。
塗膜形成性樹脂(A)の溶解性パラメータ(solubility parameter。以下、SP値と称する。)は特に限定されず、その少なくとも一部が非水溶媒(E)に溶解できればよい。塗膜形成樹脂(A)のSP値(SP)は、例えば、9.0以上11.5以下であってよい。SPと非水溶媒(E)のSP値(SP)との差△SPは、例えば、2.0以下であり、1.8以下が好ましい。SP値は、例えば、文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A-1、5、1671~1681(1967)を参考にして実測することができる。
塗膜形成性樹脂(A)の含有量は、得られる塗膜の強度の観点から、塗料組成物の固形分の30質量%以上80質量%以下が好ましい。塗膜形成性樹脂(A)の含有量は、塗料組成物の固形分の40質量%以上がより好ましく、45質量%以上が特に好ましい。塗膜形成性樹脂(A)の含有量は、塗料組成物の固形分の70質量%以下がより好ましく、65質量%以下が特に好ましい。
塗膜形成性樹脂(A)は、架橋剤と反応し得る官能基を有する樹脂を含む限り特に限定されず、クリヤー塗膜において従来公知の樹脂が使用される。架橋剤と反応し得る官能基としては、例えば、水酸基、カチオン性官能基(例えば、アミノ基、モノ-またはジ-置換アミノ基、アンモニウム基)、アニオン性官能基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基)が挙げられる。なかでも、水酸基を含有する樹脂が好ましい。
水酸基含有樹脂の水酸基価(OHV)は、80mgKOH/g以上220mgKOH/g以下が好ましい。これにより、架橋密度が高くなって、耐候性、耐水性および耐湿性等が向上し易くなる。水酸基含有樹脂の水酸基価は、80mgKOH/g以上がより好ましく、110mgKOH/g以上がさらに好ましい。水酸基含有樹脂の水酸基価は、210mgKOH/g以下がより好ましく、205mgKOH/g以下がさらに好ましく、180mgKOH/g以下が特に好ましい。
水酸基含有樹脂の酸価(AV)は、2mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であってよい。これにより、得られる塗膜の外観が良好になり易い。さらに、塗料組成物を他の未硬化の塗膜上に塗装したとき、混相が発生するのが抑制され易い。水酸基含有樹脂の酸価は、3mgKOH/g以上であってよい。水酸基含有樹脂の酸価は、20mgKOH/g以下であってよく、15mgKOH/g以下であってよい。水酸基価および酸価は、JIS K 0070に記載されている水酸化カリウム水溶液を用いる中和滴定法により求めることができる。
母体である樹脂は特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(アルキド樹脂を含む。以下、同じ。)が挙げられる。好ましい塗膜形成性樹脂(A)としては、水酸基含有アクリル樹脂および水酸基含有ポリエステル樹脂が挙げられる。
塗膜形成性樹脂(A)は、水酸基含有アクリル樹脂および水酸基含有ポリエステル樹脂の双方を含んでよい。この場合、水酸基含有アクリル樹脂の含有量は、樹脂固形分の40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。水酸基含有アクリル樹脂の含有量は、樹脂固形分の80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。水酸基含有ポリエステル樹脂の含有量は、樹脂固形分の0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。水酸基含有ポリエステル樹脂の含有量は、樹脂固形分の5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂は、例えば、水酸基含有の(メタ)アクリルモノマーとその他の(メタ)アクリルモノマーとを重合させることにより得られる。(メタ)アクリルモノマーとは、アクリル酸およびそのエステル、メタクリル酸およびそのエステルのうちの少なくとも一つである。
水酸基含有の(メタ)アクリルモノマーは特に限定されず、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、プラクセルFM-1(ダイセル化学社製、ε-カプロラクトン変性メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)、ポリエチレングリコールモノアクリレートあるいはモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートあるいはモノメタクリレートを挙げることができる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
その他の(メタ)アクリルモノマーは特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの無水物等の酸基含有不飽和モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、等のアルキル(メタ)アクリレート類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド系モノマーが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
水酸基含有ポリエステル樹脂は、例えば、多価アルコールと多塩基酸またはその無水物とを重縮合(エステル反応)することにより得られる。
多価アルコールは特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピル-2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオネート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-(ヒドロキシエチル)イソシアネートが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
多塩基酸またはその無水物は特に限定されず、例えば、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、無水エンド酸が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
水酸基含有ポリエステル樹脂は、ラクトン、油脂または脂肪酸、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などを用いて変性されていてもよい。油脂または脂肪酸は特に限定されず、例えば、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、荏の油、ケシ油、紅花油、大豆油、桐油などの油脂、またはこれらの油脂から抽出した脂肪酸が挙げられる。
[硬化剤(B)]
塗料組成物は、硬化剤(B)を含む。これにより、塗膜形成性樹脂が架橋されて、得られる塗膜の耐久性が向上する。
硬化剤(B)の含有量は、例えば、塗料組成物の樹脂固形分の20質量%以上50質量%以下であり、30質量%以上45質量%以下が好ましい。
硬化剤(B)は特に限定されず、塗膜形成性樹脂が有する硬化性官能基の種類に応じて適宜選択される。硬化剤(B)としては、例えば、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、イソシアネート化合物が好ましい。特に、水酸基含有樹脂とともにイソシアネート化合物を用いることにより、塗膜の密着性が向上し易い。
ポリイソシアネートは、1分子中に平均で2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されない。ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイシシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環式ポリイソシアネート;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;これらの変性体(例えば、ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトンイミン、ビューレット体、イソシアヌレート等)が挙げられる。
塗料組成物は、イソシアネート化合物以外の硬化剤として、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂等の他の硬化剤を含み得る。他の硬化剤の含有量は、例えば、塗料組成物の樹脂固形分の10質量%以上30質量%以下であってよい。
[艶消し剤(C)]
艶消し剤(C)は、塗膜の表面に微小な凹凸を形成して、塗膜に艶消しの質感を与える。
艶消し剤(C)の平均粒子径は、艶消し能力および貯蔵安定性等の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が特に好ましい。艶消し剤(C)の平均粒子径は、同様の観点から、10μm以下が好ましく、9μm以下がより好ましく、8μm以下が特に好ましい。艶消し剤(C)の平均粒子径は、レーザ回折・散乱方式の粒度分布測定装置を用いた体積基準の粒度分布における、50%平均粒子径(D50)である。D50は、艶消し剤(C)をアセトンおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤に添加して1分間超音波によって分散させて、所定の透過率範囲となる濃度に調整した後、測定される。
艶消し剤(C)の吸油量は、艶消し能力等の観点から、100mL/100g以上が好ましい。艶消し剤(C)の吸油量は、同様の観点から、400mL/100g以下が好ましく、380mL/100g以下がより好ましく、360mL/100g以下が特に好ましい。吸油量は、JIS K 5101-13-2:2004に準じて測定される。
艶消し剤(C)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下であることが好ましい。これにより、所望の艶消し効果が得られ易い。艶消し剤(C)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましい。艶消し剤(C)の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、18質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。
艶消し剤(C)としては、塗料において従来公知のものが使用される。艶消し剤は、無機物の微粒子であってよく、有機物の微粒子(以下、樹脂ビーズと称す場合がある。)であってよい。
無機微粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化アルミニウム粒子、二酸化チタン粒子、二酸化ジルコニウム粒子、ジルコン粒子、酸化スズ粒子および酸化マグネシウム粒子が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
なかでも、艶消し能力および貯蔵安定性等の観点から、シリカ粒子が好ましい。シリカ粒子の形状は特に限定されず、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状または不定形状であってよい。
シリカ粒子の市販品としては、例えば、富士シリシア社製のサイリシアシリーズ(サイリシア350、サイリシア430、サイリシア435、サイリシア436、サイリシア450等)、サイロホービックシリーズ(サイロホービック100、サイロホービック200、サイロホービック702、サイロホービック100、4004等)、サイロスフェアシリーズ(サイロスフェア1504、サイロスフェア1510等)、グレースジャパン社製のSYLOIDシリーズ(サイロイドW300、サイロイドW500等)、エボニックデグサジャパン社製のACEMATTシリーズ(ACEMATT HK460、ACEMATT HK400、ACEMATT OK412、ACEMATT OK520、ACEMATT TS100、ACEMATT 3200、ACEMATT 3300、ACEMATT 3600等)、日本シリカ工業社製のNIPGELシリーズ(NIPGEL AZ-200等)、NIPSILシリーズ(NIPSIL E-200A、NIPSIL SS-50B、NIPSIL SS-178B等)、水澤化学社製のミズカシルシリーズ(ミズカシルP-73、P-526等)、塩野義製薬社製のカープレックスシリーズ(カープレックス CS-8等)、日本アエロジル社製のAEROSILシリーズ(AEROSIL 200、AEROSIL R805及びAEROSIL R972等)、昭和化学工業社製のラヂオライトシリーズ(ラヂオライト100、ラヂオライト200、ラヂオライト500、ラヂオライト500R、ラヂオライト500RS等)が挙げられる。
無機微粒子は、有機化合物および/または無機化合物で表面処理されていてもよい。なかでも、貯蔵安定性等の観点から、無機微粒子は、有機化合物で表面処理されていることが好ましい。有機化合物での処理としては、例えば、ポリエチレンワックス処理、シラン化合物処理が挙げられる。なかでも、ポリエチレンワックス処理が好ましい。
樹脂ビーズとしては、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂ビーズ、MMA-EGDM(エチレングリコールジメタクリレート)共重合樹脂ビーズ、ナイロン樹脂ビーズ、ポリテトラフルオロエチレン樹脂ビーズが挙げられる。
樹脂ビーズの市販品としては、例えば、積水化成品工業社製「テクポリマーシリーズ(商品名)」、住友スリーエム社製「ダイニオンシリーズ(商品名)」が挙げられる。
[非水溶媒(E)]
非水溶媒(E)は、希釈成分の1つであり、塗膜形成性樹脂(A)の少なくとも一部を溶解できる限り、特に限定されない。塗料組成物は、非水溶媒(E)以外の希釈成分(代表的には、水)を含んでいてもよい。
非水溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン、ミネラルスプリット等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒;アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、t-ブチルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、テトラリン、デカリン等の芳香族炭化水素系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸アルミ等のエステル系有機溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n-プロピルセロソルブ、i-プロピルセロソルブ、n-ブチルセロソルブ、i-ブチルセロソルブ、i-アミルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ベンジルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶媒;メチルカルビトール、エチルカルビトール、n-プロピルカルビトール、i-プロピルカルビトール、n-ブチルカルビトール、i-ブチルカルビトール、i-アミルカルビトール、酢酸カルビトール、フェニルカルビトール、ベンジルカルビトール等のカルビトール系有機溶媒;エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノーn-ブチルエーテル、エチレングリコールモノーt一ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジオキサンなどのエーテル系有機溶媒が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒の市販品としては、例えば、「ロウス」、「ミネラルスピリットEC」、「シェルゾール71」、「VM&Pナフサ」、「シェルTS28ソルベント」〔以上、シェル社製〕、「アイソパーC」、「アイソパーE」、「アイソパーG」、「アイソパーH」、「アイソパーM」、「ナフサ3号」、「ナフサ5号」、「ナフサ6号」、「ソルベント7号」(以上、エクソンケミカル社製)、「IPソルベント1016」、「IPソルベント1620」、「IPソルベント2028」、「IPソルベント2835」〔以上、出光興産(株)製〕、「ホワイトゾール」〔ジャパンエナジー(株)製〕、「三菱ミネラルターペン」、「ダイヤモンドソルベント」、「ペガゾールAN-45」、「ペガゾール3040」〔以上、JXTGエネルギー(株)製〕が挙げられる。芳香族炭化水素系有機溶媒の市販品としては、例えば、「ソルベッソ100」(エクソンケミカル社製)、「ソルベッソ150」(エクソンケミカル社製)が挙げられる。
[その他]
塗料組成物は、透明性を阻害しない範囲において、着色顔料、光輝性顔料および体質顔料の少なくとも1種を含んでいてよい。各顔料の詳細は後述する。
塗料組成物は、その他、塗料分野において一般的に配合される添加剤を含んでいてよい。添加剤としては、例えば、例えば消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン)、酸化防止剤、表面調整剤、造膜助剤、防錆剤が挙げられる。
B.塗装物品
本実施形態に係る塗装物品は、被塗物と、被塗物上に形成された着色塗膜と、着色塗膜上に形成された艶消しクリヤー塗膜と、を備える。艶消しクリヤー塗膜は、上記の艶消し塗料組成物により形成される。そのため、塗装物品の艶のバラツキは小さく、塗装物品は優れた外観を有する。
[被塗物]
被塗物の材質は特に限定されない。被塗物の材質としては、例えば、金属、樹脂、ガラスが挙げられる。被塗物の形状も特に限定されない。本実施形態によれば、複雑な立体形状を有する被塗物に対しても、バラツキのない艶消しの質感が得られる。
金属としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛またはこれらの合金が挙げられる。金属製の被塗物としては、具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体および自動車車体用の部品が挙げられる。
金属製の被塗物は、表面処理されていてもよい。表面処理としては、例えば、リン酸塩処理、クロメート処理、ジルコニウム化成処理、複合酸化物処理が挙げられる。金属製の被塗物は、表面処理後、さらに電着塗料によって塗装されていてもよい。電着塗料は、カチオン型であってよく、アニオン型であってよい。
樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。樹脂製の被塗物としては、具体的には、スポイラー、バンパー、ミラーカバー、グリル、ドアノブ等の自動車部品が挙げられる。
樹脂製の被塗物は、脱脂処理されていることが好ましい。樹脂製の被塗物は、脱脂処理後、さらにプライマー塗料により塗装されていてよい。プライマー塗料は特に限定されず、その上方に塗装される塗料の種類に応じて適宜選択すればよい。
[着色塗膜]
着色塗膜は、1層であってよく、2層以上の積層塗膜であってよい。着色塗膜は、1層または2層以上のいわゆる中塗り塗膜であり得、1層または2層以上のいわゆるベース塗膜であり得、これらの組み合わせであり得る。
(ベース塗膜)
ベース塗膜は、例えば、塗膜形成性樹脂と、硬化剤と、粘性調整剤と、希釈成分と、顔料とを含むベース塗料組成物により形成される。ベース塗料組成物は、必要に応じて種々の上記添加剤を含み得る。各ベース塗膜に含まれる成分は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ベース塗料組成物は、溶剤系であってもよいし、水系であってもよい。溶剤系のベース塗料組成物に配合される塗膜形成性樹脂、硬化剤、粘性調整剤および希釈成分としては、艶消し塗料組成物に配合されるものとして例示された各成分を挙げることができる。水系のベース塗料組成物には、水系用に調製された塗膜形成性樹脂、硬化剤および粘性調整剤と、希釈成分として水が使用できる。
ベース塗膜の厚さは特に限定されず、目的に応じて適宜設定される。ベース塗膜の1層当たりの厚さは、例えば、15μm以上50μm以下であってよい。ベース塗膜の1層当たりの厚さは、18μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。ベース塗膜の1層当たりの厚さは、45μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。ベース塗膜の厚さは、例えば、電磁式膜厚計により測定される。ベース塗膜の厚さは、任意の5点におけるベース塗膜の厚さの平均値である。他の塗膜の厚さも同様に測定および算出される。
〈顔料〉
顔料としては、例えば、着色顔料、光輝性顔料および体質顔料が挙げられる。
着色顔料としては、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料および金属錯体顔料等の有機系着色顔料:黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラックおよび二酸化チタン等の無機系着色顔料が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
光輝性顔料としては、例えば、金属片(アルミニウム、クロム、金、銀、銅、真鍮、チタン、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等)、金属酸化物片、パール顔料、金属あるいは金属酸化物で被覆されたガラスフレーク、金属酸化物で被覆されたシリカフレーク、グラファイト、ホログラム顔料およびコレステリック液晶ポリマー挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
体質顔料として、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレーおよびタルクが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
全顔料の濃度、すなわち、ベース塗料組成物の樹脂固形分100質量%に対する全顔料の質量割合(PWC)は、0.1質量%以上50質量%以下が好ましい。これにより、得られる塗膜の外観が良好になる。全顔料のPWCは、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が特に好ましい。全顔料のPWCは、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。
着色顔料および体質顔料のPWCは特に限定されない。光輝性顔料のPWCは、例えば、1質量%以上40質量%以下であってよい。光輝性顔料のPWCは、5質量%以上が好ましい。光輝性顔料のPWCは、30質量%以下が好ましい。
(中塗り塗膜)
中塗り塗膜は、被塗物とベース塗膜との間に介在する。中塗り塗膜によって塗装面が均一になって、ベース塗膜のムラが抑制され易くなる。
中塗り塗膜は、例えば、塗膜形成性樹脂と、硬化剤と、粘性調整剤と、希釈成分と、顔料とを含む中塗り塗料組成物により形成される。中塗り塗料組成物は、必要に応じて種々の上記添加剤を含み得る。
中塗り塗料組成物は、溶剤系であってもよいし、水系であってもよい。塗膜形成性樹脂、硬化剤、粘性調整剤、希釈成分および顔料としては、ベース塗料組成物に配合されるものとして例示された各成分を挙げることができる。
中塗り塗膜の厚さは特に限定されない。塗装物品の外観および耐チッピング性の点で、中塗り塗膜の厚さは5μm以上40μm以下が好ましい。中塗り塗膜の厚さは、15μm以上がより好ましい。中塗り塗膜の厚さは、30μm以下がより好ましい。
[艶消しクリヤー塗膜]
艶消しクリヤー塗膜は、上記の艶消し塗料組成物により形成され、通常、塗装物品の最外に配置される。艶消しクリヤー塗膜は、塗装物品の光沢を抑制するとともに、下層に配合される顔料等の脱落および飛び出しを防止する。
艶消しクリヤー塗膜の厚さは特に限定されない。耐擦傷性および外観の観点から、艶消しクリヤー塗膜の乾燥後の厚さは、15μm以上60μm以下であってよい。艶消しクリヤー塗膜の厚さは、20μm以上が好ましい。艶消しクリヤー塗膜の厚さは、40μm以下が好ましい。
図1は、本実施形態に係る塗装物品を模式的に示す断面図である。塗装物品10は、被塗物11と、被塗物11上に形成された中塗り塗膜12と、中塗り塗膜12上に形成されたベース塗膜13と、ベース塗膜13上に形成された艶消しクリヤー塗膜14と、を備える。
C.塗装物品の製造方法
塗装物品は、被塗物上に、着色塗料組成物を塗装して未硬化の着色塗膜を形成する工程と、未硬化の着色塗膜を硬化させる工程と、着色塗膜上に、艶消し塗料組成物を塗装して未硬化の艶消しクリヤー塗膜を形成する工程と、未硬化の艶消しクリヤー塗膜を硬化させる工程と、を備える方法により製造される。
着色塗膜を形成する工程は、被塗物上に、中塗り塗料組成物を塗装して未硬化の中塗り塗膜を形成する工程と、未硬化の中塗り塗膜を硬化させる工程と、ベース塗料組成物を塗装して未硬化のベース塗膜を形成する工程と、未硬化のベース塗膜を硬化させる工程と、を備えてもよい。
艶消しクリヤー塗膜が形成される際、着色塗膜は硬化していてもよく、未硬化であってもよい。なかでも、生産性、付着性および耐水性の観点から、各塗膜を硬化させることなく積層した後(いわゆる、ウェット・オン・ウェット塗装)、これら複数の未硬化の塗膜を同時に硬化させることが好ましい。すなわち、塗装物品は、被塗物上に、着色塗料組成物を塗装して未硬化の着色塗膜を形成する工程と、未硬化の着色塗膜上に、艶消し塗料組成物を塗装して未硬化の艶消しクリヤー塗膜を形成する工程と、未硬化の着色塗膜および未硬化の艶消しクリヤー塗膜を硬化させる工程と、を備える方法により製造されることが好ましい。
図2は、本実施形態に係る塗装物品の製造方法のフローチャートである。図示例において、着色塗膜を形成する工程は、被塗物上に、中塗り塗料組成物を塗装して未硬化の中塗り塗膜を形成する工程(S11)と、未硬化の中塗り塗膜上にベース塗料組成物を塗装して未硬化のベース塗膜を形成する工程(S12)とを含む。さらに、硬化工程(S14)は、未硬化の中塗り塗膜の形成工程(S11)、未硬化のベース塗膜の形成工程(S12)および未硬化の艶消しクリヤー塗膜の形成工程(S13)の後、実施される。
以下、各工程を詳細に説明する。
(I)未硬化の中塗り塗膜を形成する工程
未硬化の中塗り塗膜は、上記の中塗り組成物を被塗物に塗装することにより形成される。
塗装方法は特に限定されない。塗装方法としては、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装が挙げられる。これらの方法と静電塗装とを組み合わせてもよい。なかでも、塗着効率の観点から、回転霧化式静電塗装が好ましい。回転霧化式静電塗装には、例えば、通称「マイクロ・マイクロベル(μμベル)」、「マイクロベル(μベル)」、「メタリックベル(メタベル)」などと呼ばれる回転霧化式の静電塗装機が用いられる。
中塗り塗料組成物の塗装量は特に限定されない。中塗り塗料組成物は、例えば、硬化後の中塗り塗膜の厚さが5μm以上40μm以下になるように、塗装される。
中塗り塗料組成物を塗装した後、予備乾燥(プレヒートとも称される)を行ってもよい。これにより、中塗り塗料組成物に含まれる希釈成分が、硬化工程において突沸することが抑制されて、ワキの発生が抑制され易くなる。さらに、予備乾燥により、未硬化の中塗り塗膜とその上に塗装される塗料組成物とが混ざりあうことが抑制されて、混相が形成され難くなる。そのため、得られる塗装物品の外観が向上し易くなる。
予備乾燥の条件は特に限定されない。予備乾燥としては、例えば、20℃以上25℃以下の温度条件で15分以上30分以下放置する方法、50℃以上100℃以下の温度条件で30秒以上10分以下加熱する方法が挙げられる。
中塗り塗料組成物の塗料粘度は特に限定されない。中塗り塗料組成物の20℃でB型粘度計により測定される塗料粘度は、例えば、500cps/6rpm以上6,000cps/6rpm以下である。
中塗り塗料組成物の固形分含有率は特に限定されない。中塗り塗料組成物の固形分含有率は、30質量%以上70質量%以下が好ましい。中塗り塗料組成物の固形分は、中塗り塗料組成物から希釈成分を除いた全成分である。
(II)未硬化のベース塗膜を形成する工程(S12)
未硬化のベース塗膜は、上記のベース塗料組成物を対象物に塗装することにより形成される。
塗装方法は特に限定されない。塗装方法としては、例えば、中塗り塗料組成物の塗装方法と同様の方法が挙げられる。なかでも、塗着効率の観点から、回転霧化式静電塗装が好ましい。
ベース塗料組成物の塗装量は特に限定されない。ベース塗料組成物は、例えば、硬化後のベース塗膜の厚さが15μm以上50μm以下になるように、塗装される。
ベース塗料組成物を塗装した後、予備乾燥を行ってもよい。予備乾燥の条件は特に限定されず、中塗り塗膜の予備乾燥と同様であってよい。
ベース塗料組成物の塗料粘度は特に限定されない。ベース塗料組成物の20℃でB型粘度計により測定される塗料粘度は、例えば、500cps/6rpm以上6,000cps/6rpm以下である。
ベース塗料組成物の固形分割合は特に限定されない。ベース塗料組成物の固形分割合は、30質量%以上70質量%以下が好ましい。ベース塗料組成物の固形分は、ベース塗料組成物から希釈成分を除いた全成分である。
(III)未硬化の艶消しクリヤー塗膜を形成する工程(S13)
未硬化の艶消しクリヤー塗膜は、上記の艶消し塗料組成物を着色塗膜上に塗装することにより形成される。艶消し塗料組成物はアミド化合物(D2)を含むため、塗料粘度ηが適度に高い。よって、未硬化のベース塗膜上に艶消し塗料組成物を塗装しても、混相の発生は抑制される。
塗装方法は特に限定されない。塗装方法としては、例えば、中塗り塗料組成物の塗装方法と同様の方法が挙げられる。なかでも、塗着効率の観点から、回転霧化式静電塗装が好ましい。
艶消し塗料組成物の塗装量は特に限定されない。艶消し塗料組成物は、例えば、硬化後の艶消しクリヤー塗膜の厚さが15μm以上60μm以下になるように、塗装される。
艶消し塗料組成物を塗装した後、予備乾燥を行ってもよい。予備乾燥の条件は特に限定されず、中塗り塗膜の予備乾燥と同様であってよい。
(IV)硬化工程(S14)
未硬化の各塗膜を硬化させる。各塗膜は加熱により硬化し得る。本工程では、中塗り塗膜、ベース塗膜および艶消しクリヤー塗膜が一度に硬化される。
加熱条件は、各塗料組成物の組成や被塗物の材質等に応じて適宜設定される。加熱温度は、例えば80℃以上160℃以下であり、100℃以上140℃以下であってよい。加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定すればよい。加熱温度が100℃以上140℃以下の場合、加熱時間は、例えば10分以上60分以下であり、20分以上30分以下であってよい。艶消し塗料組成物は重合体架橋微粒子(D1)を含むため、塗着粘度ηが適度に高い。よって、硬化条件によらず、艶消し剤(C)の沈降の程度の差が小さくなって、艶のバラツキが抑制された塗膜が得られる。
加熱装置としては、例えば、熱風、電気、ガス、赤外線等の加熱源を利用した乾燥炉が挙げられる。また、これらの加熱源を2種以上併用した乾燥炉を用いると、乾燥時間が短縮されるため好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例により何ら制限されるものではない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り質量基準による。
[実施例1]
(1)艶消し塗料組成物の調製
塗膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、艶消し剤(C)、粘性調整剤(D)および非水溶媒(E)を、表1に記載の組成で配合して攪拌することにより、艶消し塗料組成物を調製した。
表1に記載された各成分は、以下の通りである。
(A)塗膜形成性樹脂(水酸基含有アクリル樹脂)
攪拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入口および冷却管を備えた反応装置に、酢酸ブチルを57部仕込み、窒素ガスを導入しながら、攪拌下で120℃まで昇温した。この反応装置に、メタクリル酸0.8部、2-エチルヘキシルアクリレート26.8部、メチルメタクリレート33.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート39.4部からなる混合物と、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート7.5部を酢酸ブチル5部に溶解した溶液と、を3時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成させた。その後、この反応装置に、さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート0.2部を酢酸ブチル5部に溶解した溶液を、1時間かけて滴下した。反応装置内を120℃に保ったまま2時間熟成して、反応を完了し、水酸基含有アクリル樹脂を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂の不揮発分は60%、重量平均分子量は5,500、ガラス転移温度は20℃であった。水酸基価(OHV)は、モノマー配合から170と算出された。
(B)硬化剤
B1:ポリイソシアネート化合物、デスモジュールN3900、住化コベストロウレタン株式会社製、NCO/OH=1.1
B2:ポリイソシアネート化合物、デスモジュールN3400、住化コベストロウレタン株式会社製、NCO/OH=1.1
(C)艶消し剤
シリカ:ポリエチレンワックス処理シリカ、ACEMATT OK520、エボニックデグサジャパン社製、D50=6.5μm
(D)粘性調整剤
(D1)重合体架橋微粒子
まず、両イオン性基を有するポリエステル樹脂を、次のようにして調製した。
攪拌器、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサーおよびデカンタ-を備えた2Qコルベンに、ビスヒドロキシエチルタウリン134部、ネオペンチルグリコール130部、アゼライン酸236部、無水フタル酸186部およびキシレン27部を仕込んだ。内容物を加熱して、反応により生成する水を、キシレンと共沸させることにより除去した。還流開始から約2時間かけて、190℃にまで昇温し、カルボン酸相当の酸化が145になるまで攪拌および脱水を継続した。その後、140℃まで冷却した。温度を140℃に維持したまま、「カージュラEIOJ」(シェル社製、パーサティック酸グリシジルエステル)314部を、30分かけて滴下した。その後、2時間攪拌を継続して、反応を終了し、両イオン性基を有するポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の酸価は59、ヒドロキシル価は90、数平均分子量Mnは1054であった。
別途、攪拌器、冷却器および温度制御装置を備えた1Lの反応容器に、脱イオン水281部、上記で得たポリエステル樹脂30部およびジメチルエタノールアミン3部を仕込んだ。攪拌下、温度を80℃に維持して、上記ポリエステル樹脂を溶解させた。続いて、この反応容器に、アゾビスシアノ吉草酸1.0部を脱イオン水45部およびジメチルエタノールアミン0.9部に溶解した溶液を添加した。さらに、n-ブチルアクリレート30部、スチレン70部、およびエチレングリコールジメタクリレート60部からなる混合溶液を、60分かけて滴下した。さらにアゾビスシアノ吉草酸0.5部を脱イオン水15部およびジメチルエタノールアミン0.4部に溶解した溶液を添加した。その後、80℃で2時間、攪拌して、不揮発分40%、粒径0.12μmのエマルションを得た。このエマルションを噴霧乾燥して、重合体架橋微粒子(D1)を得た。
得られた重合体架橋微粒子(D1)を、メチルアミルケトンおよびキシレンを重量比1:1で混合した溶媒に、超音波分散機により分散させて、重合体架橋粒子の分散溶液(加熱残分40%)を得た。
(D2)アミド化合物:脂肪酸アミド化合物、ディスパロン6901-20X、楠本化成株式会社製
(E)非水溶媒
希釈溶剤T-6110(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製)、SP=9.8
得られた艶消し塗料組成物を用いて、以下のようにして、塗装物品を製造した。
(2)被塗物の準備
ポリプロピレン基材を2枚準備し、それぞれイソプロピルアルコールで拭いた後、エアーブローで乾燥した。
(3-1)未硬化の中塗り塗膜の形成
それぞれの被塗物上に、回転霧化塗装機(ABB社製、RB-1000)により、中塗り塗料組成物(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製、水性中塗り塗料WB-1200(ダークグレー))を静電塗装した。次いで、80℃3分間プレヒートして、乾燥後の厚さが10μmの未硬化の中塗り塗膜を得た。
(4-1)未硬化のベース塗膜の形成
それぞれの未硬化の中塗り塗膜上に、回転霧化塗装機(ABB社製、RB-1000)により、ベース塗料組成物(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製、水性ベースAR-3020-1(グレーメタリック))を静電塗装した。次いで、80℃3分間プレヒートして、乾燥後の厚さが15μmの未硬化のベース塗膜を得た。
(5-1)未硬化の艶消しクリヤー塗膜の形成
それぞれの未硬化のベース塗膜上に、カートリッジベルにより、乾燥後の厚さが25μmになるように上記の艶消し塗料組成物を静電塗装して、未硬化の艶消しクリヤー塗膜を得た。このようにして、積層塗膜を有する2つの塗装試料を作成した。
(6)塗膜の硬化
(a)水平状態下での硬化
一方の塗装試料を、塗装面を水平に保ったまま温度23℃で1分間静置した後、120℃に加熱した。塗装試料の温度が120℃になってから、20分間加熱して、塗膜を硬化させた。このようにして塗装物品Hを得た。
(b)鉛直状態下での硬化
他方の塗装試料を、速やかに鉛直に立てて、温度23℃で7分間静置した後、120℃に加熱した。塗装試料の温度が120℃になってから、20分間加熱して、塗膜を硬化させた。このようにして塗装物品Vを得た。
(7)評価
得られた塗料組成物および塗装物品について、以下の要領で評価した。結果を表1に示す。
(60度鏡面光沢度G60、G60
得られた塗装物品HおよびVを室温まで放冷した後、光沢計(ビックガードナー社製、AG-4446)を用いて、JIS Z 8741 鏡面光沢度-測定方法に準拠して60度鏡面光沢度を測定した。
(バラツキ抑制効果)
60度鏡面光沢度Gと60度鏡面光沢度Gとの差が10未満を良、10以上を不良とした。
(塗料粘度η
調製直後の艶消し塗料組成物の粘度をJIS K5600-2-2:1999の「3.フローカップ法」に準拠して、23℃下、No4フォードカップで測定した。
(塗着粘度η
ブリキ板に、回転霧化塗装機(ABB社製、RB-1000)により、乾燥膜厚が25μmになるように、艶消し塗料組成物を静電塗装した。塗装から1.5分以内に、塗装試料から塗膜を掻きとって、密閉可能なサンプル瓶内に保存した、保存後1時間以内に、20℃、ずり速度0.1s-1(/秒)の条件で、コーンプレート型粘度計(TAインスツルメント社製、コーンプレート半径:40mm)により、サンプル瓶内のサンプルの粘度を測定した。
[実施例2-5、比較例1-6]
塗膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、艶消し剤(C)、粘性調整剤(D)および非水溶媒(E)を、表1に記載の組成で配合して攪拌することにより、艶消し塗料組成物を調製した。
得られた艶消し塗料組成物を用いて、実施例1と同様にして、塗装物品HおよびVを得た。艶消し塗料組成物の塗料粘度、塗装物品HおよびVの評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
Figure 2022092772000002
[実施例6]
(1)艶消し塗料組成物の調製
塗膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、艶消し剤(C)、粘性調整剤(D)および非水溶媒(E)を、表2に記載の組成で配合して攪拌することにより、艶消し塗料組成物を調製した。表2に記載された各成分は、上記の通りである。
(2)被塗物の準備
実施例1と同様にして、2つの被塗物を得た。
それぞれの被塗物に対して、以下のように未硬化の中塗り塗膜の作成(3-2)、ベース塗膜の形成(4-2)および未硬化の艶消しクリヤー塗膜の形成(5-2)を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、塗装物品HおよびVを得た。艶消し塗料組成物の塗料粘度、塗装物品HおよびVの評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
(3-2)未硬化の中塗り塗膜の形成
それぞれの被塗物上に、回転霧化塗装機(ABB社製、RB-1000)により、中塗り塗料組成物(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製、溶剤中塗りR-357(ホワイト))を非静電塗装した。次いで、60℃3分間プレヒートして、乾燥後の厚さが25μmの未硬化の中塗り塗膜を得た。
(4-2)未硬化のベース塗膜の形成
それぞれの未硬化の中塗り塗膜上に、回転霧化塗装機(ABB社製、RB-1000)により、ベース塗料組成物(日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製、水性ベースAR-3020(マイカ))を非静電塗装した。次いで、80℃3分間プレヒートして、乾燥後の厚さが15μmの未硬化のベース塗膜を得た。
(5-2)未硬化の艶消しクリヤー塗膜の形成
それぞれの未硬化のベース塗膜上に、カートリッジベルにより、乾燥後の厚さが25μmになるように上記の艶消し塗料組成物を非静電塗装して、未硬化の艶消しクリヤー塗膜を得た。このようにして、積層塗膜を有する2つの塗装試料を作成した。
[実施例7、8、比較例7、8]
塗膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、艶消し剤(C)、粘性調整剤(D)および非水溶媒(E)を、表2に記載の組成で配合して攪拌することにより、艶消し塗料組成物を調製した。
得られた艶消し塗料組成物を用いて、実施例6と同様にして、塗装物品HおよびVを得た。艶消し塗料組成物の塗料粘度、塗装物品HおよびVの評価を、実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
Figure 2022092772000003
実施例1-8の塗装物品は、艶のバラツキが抑制されている。一方、比較例1-8は、艶のバラツキが大きい。
本発明の艶消し塗料組成物は、特に自動車車体および自動車部品を塗装するのに好適に用いられる。
10 塗装物品
11 被塗物
12 中塗り塗膜(着色塗膜)
13 ベース塗膜(着色塗膜)
14 艶消しクリヤー塗膜

Claims (11)

  1. 塗膜形成性樹脂(A)、硬化剤(B)、艶消し剤(C)、粘性調整剤(D)および非水溶媒(E)を含む艶消し塗料組成物であって、
    前記粘性調整剤(D)は、重合体架橋微粒子(D1)と、アミド化合物(D2)と、を含み、
    前記重合体架橋微粒子(D1)は、溶解した前記塗膜形成性樹脂(A)を含む前記非水溶媒(E)に不溶であり、かつ、前記艶消し塗料組成物中に分散しており、
    20℃、ずり速度0.1s-1(/秒)で、コーンプレート型粘度計により測定される、塗装1.5分後の粘度ηは、26,000mPa・s以上72,000mPa・s以下である、艶消し塗料組成物。
  2. 前記艶消し塗料組成物を水平面に塗装し、1分経過した後に硬化させた塗膜の60度鏡面光沢度G60と、
    前記艶消し塗料組成物を鉛直面に塗装し、7分経過した後に硬化させた塗膜の60度鏡面光沢度G60とは、
    |G60-G60|<10
    の関係を満たす、請求項1に記載の艶消し塗料組成物。
  3. 前記重合体架橋微粒子(D1)の含有量は、前記塗膜形成性樹脂(A)および前記硬化剤(B)の合計の固形分100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下である、請求項1または2に記載の艶消し塗料組成物。
  4. 前記アミド化合物(D2)の含有量は、前記塗膜形成性樹脂(A)および前記硬化剤(B)の合計の固形分100質量部に対して0.05質量部以上2.0質量部以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の艶消し塗料組成物。
  5. 前記塗膜形成性樹脂(A)は、水酸基含有樹脂を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の艶消し塗料組成物。
  6. 前記硬化剤(B)は、イソシアネート化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の艶消し塗料組成物。
  7. 前記艶消し剤(C)は、シリカを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の艶消し塗料組成物。
  8. 固形分割合は、40質量%以上55質量%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の艶消し塗料組成物。
  9. 23℃で、フローカップ法により測定される粘度ηは、21秒以上35秒以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の艶消し塗料組成物。
  10. 被塗物と、
    前記被塗物上に形成された着色塗膜と、
    前記着色塗膜上に形成された艶消しクリヤー塗膜と、を備え、
    前記艶消しクリヤー塗膜は、請求項1~9のいずれか1項に記載の艶消し塗料組成物により形成される、塗装物品。
  11. 被塗物上に、着色塗料組成物を塗装して未硬化の着色塗膜を形成する工程と、
    前記未硬化の着色塗膜上に、請求項1~9のいずれか1項に記載の艶消し塗料組成物を塗装して未硬化の艶消しクリヤー塗膜を形成する工程と、
    前記未硬化の着色塗膜および前記未硬化の艶消しクリヤー塗膜を硬化させる硬化工程と、を備える、塗装物品の製造方法。
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