JP2022088154A - タイヤのシミュレーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 制動性能を精度よく解析することが可能なシミュレーション方法を提供する。【解決手段】 タイヤのシミュレーション方法である。この方法では、コンピュータが、タイヤモデルを、路面モデルに対するタイヤモデルのスリップ率が増加するように、路面モデル上で転動させる転動工程P3と、スリップ率が増加する過程のタイヤモデルに基づいて、タイヤの制動性能に関する物理量を計算する工程P4とを実行する。転動工程P3は、タイヤモデルの回転数及び路面モデルの移動速度の一方を維持しつつ、タイヤモデルの回転数及び路面モデルの移動速度の他方を小さくすることにより、スリップ率を増加させる工程を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤのシミュレーション方法に関する。
下記特許文献1には、タイヤの制動解析を含む前後力シミュレーション方法が記載されている。この方法では、路面速度及びタイヤ回転速度を含む所定の解析条件の下、タイヤを複数の要素に分割したタイヤFEMモデルを、所定荷重で接地及び転動させている。そして、路面速度及び回転速度を変更することにより、それらで定まるスリップ率を異ならせて、スリップ率と摩擦係数との関係が取得される。
特開2018-96783号公報
ところで、FEMシミュレーションでは、タイヤモデル及び路面モデルにおいて、現実では見られないような振動が生じる場合がある。このような振動は、計算された物理量を、実際のタイヤの物理量から解離させる傾向がある。上記の方法では、このような振動が生じやすい傾向があり、制動性能の解析精度の向上には、さらなる改善の余地があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、制動性能を精度よく解析することが可能なシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、タイヤのシミュレーション方法であって、前記タイヤをモデリングしたタイヤモデルを、コンピュータに入力する工程と、前記タイヤが転動する路面をモデリングした路面モデルを、前記コンピュータに入力する工程とを含み、前記コンピュータが、前記タイヤモデルを、前記路面モデルに対する前記タイヤモデルのスリップ率が増加するように、前記路面モデル上で転動させる転動工程と、前記スリップ率が増加する過程の前記タイヤモデルに基づいて、前記タイヤの制動性能に関する物理量を計算する工程とを実行し、前記転動工程は、前記タイヤモデルの回転数及び前記路面モデルの移動速度の一方を維持しつつ、前記タイヤモデルの回転数及び前記路面モデルの移動速度の他方を小さくすることにより、前記スリップ率を増加させる工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記スリップ率を増加させる工程は、前記移動速度を維持しつつ、前記回転数を小さくしてもよい。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記スリップ率を増加させる工程は、前記回転数を維持しつつ、前記移動速度を小さくしてもよい。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記転動工程は、予め定められた第1走行速度に基づいて、前記回転数及び前記移動速度を設定する工程と、前記第1走行速度よりも大きな第2走行速度での動摩擦係数を、前記タイヤモデルと前記路面モデルとの間に設定する工程と、前記回転数、前記移動速度、及び、前記動摩擦係数に基づいて、前記第2走行速度で転動中のタイヤモデルを疑似的に計算する工程とを含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記コンピュータが、前記物理量に基づいて、前記第2走行速度での前記制動性能を評価する工程をさらに含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記物理量は、前記タイヤモデルの動摩擦係数μとスリップ率Sとの関係を示すμ-S曲線を含んでもよい。
本発明のタイヤのシミュレーション方法は、上記の工程を採用することにより、制動性能を精度良く解析することが可能となる。
タイヤのシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。 タイヤのシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 タイヤモデル及び路面モデルの一例を示す斜視図である。 タイヤモデルの一例を示す断面図である。 転動工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 動摩擦係数μとすべり速度との関係の一例を示すグラフである。 動摩擦係数μとスリップ率との関係を示すμ-S曲線の一例を示すグラフである。 (a)は実施例1の接地圧分布、(b)は比較例の接地圧分布を示す図である。 (a)は実施例1の制動力分布、(b)は比較例の制動力分布を示す図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。なお、各図面は、発明の内容の理解を高めるためのものであり、誇張された表示が含まれる他、各図面間において、縮尺等は厳密に一致していない点が予め指摘される。
[タイヤのシミュレーション方法(第1実施形態)]
本実施形態のタイヤのシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)では、タイヤの制動性能に関する物理量が、コンピュータを用いて計算される。
図1は、タイヤのシミュレーション方法を実行するためのコンピュータ1の一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、例えば、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成されている。本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。したがって、コンピュータ1は、タイヤのシミュレーション装置として構成される。
[タイヤモデル入力工程]
図2は、タイヤのシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、タイヤをモデリングしたタイヤモデルが、コンピュータ1に入力される(工程P1)。図3は、タイヤモデル2及び路面モデル3の一例を示す斜視図である。図4は、タイヤモデル2の一例を示す断面図である。なお、図3では、タイヤモデル2が簡略化して示されており、トレッド部2aのトレッドパターンや、図4に示した要素F(i)などが省略されている。
タイヤモデル2は、解析対象のタイヤ(図示省略)をモデリングしたものである。なお、解析対象のタイヤは、実在するか否かについては問われない。また、解析対象のタイヤとしては、乗用車用の空気入りタイヤが例示されるが、トラック・バスなどの重荷重用タイヤ、及び、エアレスタイヤ等、他のカテゴリーのタイヤであってもよい。
図4に示されるように、タイヤモデル2は、例えば、解析対象のタイヤ(図示省略)が、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素F(i)(i=1、2、…)でモデリング(離散化)されることによって定義されうる。
数値解析法としては、例えば、有限要素法、有限体積法、差分法、又は、境界要素法(本実施形態では、有限要素法)が適宜採用されうる。要素F(i)には、例えば、三次元の4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は、6面体ソリッド要素などが用いられる。各要素F(i)は、複数の節点4を含んで構成されている。各要素F(i)には、要素番号、節点4の番号、節点4の座標値、及び、材料特性(例えば密度、ヤング率、減衰係数、熱伝導率、及び、熱伝達率等)などの数値データが定義される。
本実施形態の工程P1では、例えば、解析対象のタイヤ(図示省略)のトレッドゴム等を含むゴム部分、カーカスプライ及びベルトプライが、要素F(i)でそれぞれ離散化(モデリング)される。これにより、タイヤモデル2には、ゴム部材モデル(例えば、トレッドゴムモデルなど)5、カーカスプライモデル6、及び、ベルトプライモデル7が設定される。
次に、本実施形態の工程P1では、タイヤのリム(図示省略)をモデリングしたリムモデル11によって、タイヤモデル2のビード部2c、2cが拘束される。そして、予め定められた内圧条件に相当する等分布荷重wに基づいて、タイヤモデル2の変形が計算される。
内圧条件は、適宜設定されうる。例えば、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧が、内圧条件として設定されるのが望ましい。
タイヤモデル2の変形計算(後述の転動計算を含む)は、各要素F(i)の形状及び材料特性などをもとに、各要素F(i)の質量マトリックス、剛性マトリックス、及び、減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらの各マトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、前記各種の条件を当てはめて運動方程式が作成され、これらが微小時間(単位時間)T(x)(x=0、1、…)毎に計算される。これにより、タイヤモデル2の変形計算が行われる。
タイヤモデル2の変形計算(後述する転動計算を含む)には、例えば、LSTC社製の LS-DYNA などの市販の有限要素解析アプリケーションソフトが用いられる。微小時間T(x)は、求められるシミュレーション精度に基づいて、適宜設定(例えば、1μ秒)される。
このように、本実施形態の工程P1では、内圧充填後のタイヤモデル2が計算される。タイヤモデル2は、コンピュータ1に記憶される。
[路面モデル入力工程]
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、図3に示されるように、タイヤが転動する路面(図示省略)をモデリングした路面モデル3が、コンピュータ1に入力される(工程P2)。工程P2では、路面に関する情報に基づいて、路面が、数値解析法(本実施形態では、有限要素法)により取り扱い可能な有限個の要素G(i)(i=1、2、…)を用いて離散化される。これにより、工程P2では、路面をモデリングした路面モデル3が設定される。
要素G(i)は、変形不能に定義された剛平面要素として定義される。要素G(i)には、複数の節点8が設けられている。さらに、要素G(i)は、要素番号や、節点8の座標値等の数値データが定義される。
本実施形態では、平滑な表面を有する路面モデル3が定義されているが、このような態様に限定されない。例えば、アスファルト路面のような微小凹凸、不規則な段差、窪み、うねり、又は、轍等の実走行路面に近似した凹凸などが設けられた路面モデル3(図示省略)が定義されてもよい。路面モデル3は、コンピュータ1に記憶される。
[転動工程(第1実施形態)]
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤモデル2を、路面モデル3に対するタイヤモデル2のスリップ率S(図示省略)が増加するように、路面モデル3上で転動させる(転動工程P3)。図5は、転動工程P3の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の転動工程P3では、先ず、予め定められた第1走行速度V1に基づいて、タイヤモデル2の回転数(回転速度)N1、及び、路面モデル3の移動速度M1が設定される(工程P31)。第1走行速度V1は、例えば、評価対象のタイヤのカテゴリーや、評価される制動性能等に基づいて、適宜設定されうる(第1実施形態では、例えば、10~80km/h)。
タイヤモデル2の回転数(回転速度)N1、及び、路面モデル3の移動速度M1は、第1走行速度V1で、タイヤモデル2が転動(自由転動)可能なようにそれぞれ設定される。回転数N1及び移動速度M1は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の転動工程P3は、タイヤモデル2と路面モデル3との間に、初期の動摩擦係数μが定義される(工程P32)。本実施形態では、タイヤモデル2と路面モデル3との接触部10を構成する要素F(i)に、動摩擦係数μがそれぞれ定義される。動摩擦係数μは、適宜特定されうる。本実施形態では、予め定められた動摩擦係数μとすべり速度Jとの関係に基づいて、動摩擦係数μが定義される。
図6は、動摩擦係数μとすべり速度Jとの関係の一例を示すグラフである。このグラフに示されるように、すべり速度Jが大きくなるほど、動摩擦係数μが小さくなる。このように、動摩擦係数μは、すべり速度依存性を有している。
図6に示した関係は、適宜取得されうる。本実施形態では、先ず、評価対象のタイヤのトレッドゴムと同一配合を有するゴム片(図示省略)が取得される。次に、複数のすべり速度において、ゴム片の動摩擦係数μが測定される。これにより、図6の関係が取得されうる。
ゴム片の動摩擦係数μは、予め定められた接地圧及び温度において測定されうる。これらの接地圧及び温度は、例えば、タイヤモデル2に与えられる転動条件等に基づいて適宜設定されうる。なお、図6の関係は、ゴム片を用いた実測に代えて、コンピュータ1によるシミュレーションで求められてもよい。
本実施形態の工程P32では、第1走行速度V1で自由転動しているタイヤモデル2の動摩擦係数μが定義される。自由転動時において、回転数N1及び移動速度M1は互いに等しくなる。このため、自由転動時のすべり速度J(すなわち、|回転数(回転速度)N1-移動速度M1|)は、「0」となる。したがって、工程P32では、図6において、すべり速度Jが「0」の動摩擦係数μが、図3に示した接触部10を構成する要素F(i)に定義される。初期の動摩擦係数μは、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の転動工程P3は、タイヤモデル2を、路面モデル3上で自由転動させる(工程P33)。
本実施形態の工程P33は、先ず、タイヤモデル2を、路面モデル3に接触させる。タイヤモデル2と路面モデル3との間には、従来のシミュレーションと同様に、すり抜けを防ぐ条件が予め定義されている。
次に、本実施形態の工程P33では、予め定められた荷重条件Lやキャンバー角に基づいて、タイヤモデル2の変形が計算される。これにより、工程P33では、路面モデル3に接地した荷重負荷後のタイヤモデル2が計算される。荷重条件Lは、適宜設定されうる。本実施形態では、例えば、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている正規荷重が、荷重条件Lとして設定されるのが望ましい。
次に、本実施形態の工程P33では、タイヤモデル2の回転軸2sに、回転数N1が設定される。さらに、工程P33では、路面モデル3に、移動速度M1が設定される。なお、動摩擦係数μは、微小時間T(x)ごとに変化する接触部10に逐次設定される。これにより、工程P33では、スリップ率Sが0%なるように、タイヤモデル2を路面モデル3上で自由転動させることができる。なお、タイヤモデル2には、スリップ角や横力等(図示省略)が定義されてもよい。
次に、本実施形態の転動工程P3は、タイヤモデル2のスリップ率Sを増加させる(工程P34)。本実施形態の工程P34では、タイヤモデル2の回転数(回転速度)L1及び路面モデル3の移動速度M1の一方を維持しつつ、タイヤモデル2の回転数N1及び路面モデル3の移動速度M1の他方を小さくすることにより、スリップ率Sが増加させられる。
このように、本実施形態の転動工程P3では、回転数(回転速度)L1及び移動速度M1の一方が維持されるため、回転数L1の変化に伴うタイヤモデル2の振動の増加、又は、移動速度M1の変化に伴う路面モデル3の振動の増加を抑制することができる。これにより、転動工程P3では、タイヤモデル2及び路面モデル3の双方の振動が増幅し合うのを抑制でき、タイヤモデル2及び路面モデル3に、現実では見られないような振動が生じるのを防ぐことができる。したがって、本実施形態のシミュレーション方法では、例えば、回転数L1及び移動速度M1の双方を変更している特許文献1に比べて、制動性能を精度よく解析することが可能となる。
本実施形態の工程P34は、路面モデル3の移動速度M1を維持しつつ、タイヤモデル2の回転数(回転速度)L1を小さくしている。これにより、転動工程P3では、路面モデル3の振動の増加を防ぐことができるため、タイヤに比べてほとんど振動しない実際の路面を再現することができる。したがって、本実施形態では、制動性能を精度良く解析することが可能となる。
なお、工程P34では、タイヤモデル2の回転数L1を維持しつつ、路面モデル3の移動速度M1が小さくされてもよい。この場合でも、上記の振動の増幅を抑制できるため、タイヤモデル2及び路面モデル3に、現実では見られないような振動が生じるのを防ぐことが可能となる。
本実施形態の工程P34は、タイヤモデル2のスリップ率Sを、微小時間(単位時間)T(x)ごとに漸増させている。これにより、工程P34では、微小時間T(x)ごとに変動するスリップ率Sや、動摩擦係数μなどの物理量が計算されうる。なお、スリップ率Sの漸増は、タイヤモデル2の回転数N1の漸減、及び、路面モデル3の移動速度M1の漸減の一方によって実現されうる。
また、工程P34では、微小時間T(x)でのすべり速度Jと、図6に示した動摩擦係数μとすべり速度Jとの関係とに基づいて、動摩擦係数μが更新される。これにより、工程P34では、すべり速度依存性を有する動摩擦係数μに基づいて、スリップ率Sなどの物理量が精度良く計算されうる。工程P34で計算される物理量は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の転動工程P3では、タイヤモデル2のスリップ率Sが、予め定められた閾値以上か否かが判断される(工程P35)。閾値は、例えば、評価されるタイヤのカテゴリーや制動性能に基づいて、適宜設定(例えば、5%~20%)されうる。
工程P35において、スリップ率Sが閾値以上であると判断された場合(工程P35で「Y」)、転動工程P3の一連の処理が終了する。一方、工程P35において、スリップ率Sが閾値未満であると判断された場合(工程P35で「N」)、工程P34及び工程P35が再度実行される。これにより、転動工程P3では、スリップ率Sが0%から閾値まで増加する過程のタイヤモデル2の物理量が、微小時間T(x)ごとに取得されうる。
本実施形態では、スリップ率Sの閾値(上限値)が予め設定されているため、タイヤモデル2の回転数N1及び路面モデル3の移動速度M1の一方を維持しつつも、現実的なスリップ率Sの範囲内で、上記の物理量が計算されうる。
[タイヤの制動性能に関する物理量を計算する工程]
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、スリップ率Sが増加する過程のタイヤモデル2に基づいて、タイヤの制動性能に関する物理量を計算する(工程P4)。本実施形態では、スリップ率Sが0%から閾値まで増加する過程で計算されたタイヤモデル2の上記の物理量(例えば、動摩擦係数μとスリップ率Sなど)を用いて、タイヤの制動性能に関する物理量が計算される。
タイヤの制動性能に関する物理量は、制動性能を評価できるものであれば、適宜計算されうる。本実施形態では、タイヤモデル2の動摩擦係数μとスリップ率Sとの関係を示すμ-S曲線が含まれる。このようなμ-S曲線は、転動工程P3で計算されたスリップ率S、及び、それに対応する動摩擦係数μが用いられることによって容易に求められうる。なお、タイヤの制動性能に関する物理量には、タイヤモデル2の接地圧分布や、制動力分布が含まれてもよい。このような制動性能に関する物理量は、コンピュータ1に記憶される。
[評価工程]
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤの制動性能に関する物理量に基づいて、タイヤの制動性能を評価する(工程P5)。制動性能の評価は、適宜行われる。本実施形態では、上記の物理量(例えば、μ-S曲線)が、予め定められた目標値を満たす場合に、制動性能が良好であると評価(判断)される。なお、目標値は、タイヤに求められる制動性能に応じて、適宜設定される。
工程P5において、タイヤの制動性能が良好であると判断された場合(工程P5で「Y」)、タイヤモデル2の作成に用いられたタイヤの設計因子(タイヤに関する情報)に基づいて、タイヤが設計及び製造される(工程P6)。一方、制動性能が良好でないと判断された場合(工程P5で「N」)、タイヤの設計因子の少なくとも1つが変更されて(工程P7)、工程P1~工程P5が再度実施される。
このように、本実施形態のシミュレーション方法は、制動性能が良好と判断されるまで、タイヤの設計因子が変更されるため、制動性能が良好なタイヤを、確実に設計及び製造することができる。
[転動工程(第2実施形態)]
これまでの実施形態の転動工程P3では、第1走行速度V1で転動中のタイヤモデル2が計算されたが、このような態様に限定されない。例えば、第1走行速度V1よりも大きな第2走行速度V2で転動(高速転動)中のタイヤモデル2が計算されてもよい。なお、高速転動中のタイヤモデル2は、低速転動中のタイヤモデル2に比べて変形量が大きくなり、その振動が大きくなる傾向がある。このため、第2走行速度V2での制動性能の解析精度の向上には、改善の余地がある。
上記の振動を抑制するために、この実施形態の転動工程P3では、第1走行速度V1で転動中のタイヤモデルを計算しつつ、第2走行速度V2での動摩擦係数μが定義されることにより、第2走行速度V2で転動するタイヤモデル2が擬似的に計算される。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号が付され、説明が省略されることがある。
第1走行速度V1及び第2走行速度V2は、適宜設定される。この実施形態において、第2走行速度V2は、例えば、評価対象のタイヤのカテゴリーや、評価される制動性能等に基づいて、適宜設定されうる(例えば、80~120km/h)。一方、第1走行速度V1は、タイヤモデル2の振動を防ぐ観点に基づいて、適宜設定(小さく設定)されうる(例えば、10~30km/h)。
この実施形態の工程P32(初期の動摩擦係数μを定義)では、これまでの実施形態と同様に、図6において、すべり速度Jが「0」の動摩擦係数μが、図3に示した接触部10を構成する要素F(i)に定義される。これは、走行速度(第1走行速度V1及び第2走行速度V2)の大きさに関わらず、すべり速度Jが「0」となる自由転動時においては、動摩擦係数μが等しくなるからである。
一方、この実施形態の工程P34(タイヤモデル2のスリップ率Sを増加)では、第2走行速度V2での動摩擦係数(以下、「第2動摩擦係数」ということがある。)μ2が、タイヤモデル2と路面モデル3との間に設定される。これは、すべり速度J及び動摩擦係数μが、走行速度依存性(即ち、第1走行速度V1及び第2走行速度V2に応じて異なる傾向)を有するためである。
この実施形態の工程P34では、図6に示した動摩擦係数μとすべり速度Jとの関係に基づいて、第2動摩擦係数μ2が特定される。一般に、すべり速度Jは、走行速度に比例して大きくなる傾向がある。したがって、第2走行速度V2でのすべり速度(以下、「第2すべり速度」ということがある。)J2は、第1走行速度V1でのすべり速度(以下、「第1すべり速度」ということがある。)J1よりも大きくなる。
第2すべり速度J2は、第1走行速度V1と第2走行速度V2との比(V2/V1)に、第1すべり速度J1を乗じた値(即ち、J1(V2/V1))に近似する。したがって、第2動摩擦係数μ2は、図6において、第2すべり速度J2(即ち、J1(V2/V1)で求められる近似値)に対応する動摩擦係数として特定される。これにより、この実施形態では、第2走行速度V2で高速転動するタイヤモデル2が計算されなくても、第1走行速度V1で低速転動するタイヤモデル2の第1すべり速度J1に基づいて、第2動摩擦係数μ2が微小時間T(x)ごとに特定されうる。
この実施形態の工程P34では、タイヤモデル2と路面モデル3との間に、第2動摩擦係数μ2が設定される。これにより、この実施形態の工程P34では、第1走行速度V1で転動しているタイヤモデル2において、第1走行速度V1での転動時に比べて、相対的に大きなスリップ率S(図示省略)が計算される。このようなスリップ率Sは、第2走行速度V2で高速転動しているタイヤモデル2(タイヤ)でのスリップ率Sに近似する。したがって、この実施形態の転動工程P3では、第1走行速度V1に基づく低速転動中のタイヤモデル2を安定(即ち、タイヤモデル2の振動を抑制)して計算しつつ、第2走行速度V2で高速転動中のタイヤモデル2を疑似的に計算することが可能となる。
この実施形態の工程P34では、第1走行速度V1の回転数N1及び移動速度M1、並びに、第2動摩擦係数μ2に基づいて転動中のタイヤモデル2の物理量(スリップ率Sや動摩擦係数μなど)が、第2走行速度V2でのタイヤモデル2の物理量として取得される。そして、図2に示した工程P4では、これらの物理量を用いて、タイヤの制動性能に関する物理量(μ-S曲線)が計算される。
[評価工程(第2実施形態)]
この実施形態の工程P5では、コンピュータ1が、タイヤの制動性能に関する物理量に基づいて、第2走行速度V2での制動性能が評価される。この実施形態では、第1走行速度V1で低速転動中のタイヤモデル2を安定して計算しつつ、第2走行速度V2で高速転動中のタイヤモデル2を疑似的に計算することができるため、第2走行速度V2での物理量が安定して取得される。したがって、この実施形態では、第2走行速度V2での制動性能を精度よく解析することが可能となる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2に示した処理手順に基づいて、タイヤモデルのスリップ率が増加するように、路面モデル上でタイヤモデルを転動させて、タイヤの制動性能に関する物理量が計算された(実施例1、実施例2及び比較例)。
実施例1及び2では、図5に示した処理手順に基づいて、路面モデルの移動速度の一方を維持しつつ、タイヤモデルの回転数が小さく設定されることによって、タイヤモデルのスリップ率を増加させた。
実施例1では、100km/hに設定された第1走行速度に基づいて、タイヤモデルの回転数、路面モデルの移動速度、及び、動摩擦係数が設定された。そして、実施例1では、第1走行速度(100km/h)で転動中のタイヤモデルが擬似的に計算された。
一方、実施例2では、20km/hに設定された第1走行速度に基づいて、タイヤモデルの回転数、及び、路面モデルの移動速度が設定された。さらに、実施例2では、100km/hに設定された第2走行速度に基づく動摩擦係数が設定された。そして、実施例2では、第2走行速度で転動中のタイヤモデルが擬似的に計算された。
実施例1及び2では、図5に示した処理手順に基づいて、路面モデルの移動速度の一方を維持しつつ、タイヤモデルの回転数が小さく設定されることによって、タイヤモデルのスリップ率が増加させられた。
比較例では、実施例1と同様に、100km/hに設定された第1走行速度に基づいて、タイヤモデルの回転数、路面モデルの移動速度、及び、動摩擦係数が設定された。そして、比較例では、特許文献1と同様に、タイヤモデルの回転数及び路面モデルの移動速度の双方が変更されることにより、タイヤモデルのスリップ率が増加させられた。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:205/55R17
内圧:250kPa
荷重:5kN
スリップ率の閾値:10%
図7は、動摩擦係数μとスリップ率との関係を示すμ-S曲線の一例を示すグラフである。図7では、実施例1及び比較例のμ-S曲線が代表して示されている。図8(a)は、実施例1の接地圧分布である。図8(b)は、比較例の接地圧分布を示す図である。図9(a)は、実施例1の制動力分布である。図9(b)は、比較例の制動力分布を示す図である。図8及び図9では、スリップ率が10%のときの分布が示されている。なお、制動力とは、タイヤモデルが路面モデルから受ける接触反力(タイヤモデルと路面モデルとの接触判定により算出)のうち、タイヤ進行方向成分を取り出したものである。
テストの結果、図7に示されるように、実施例1は、比較例に比べて、動摩擦係数μの振れ幅が小さくなっている。これは、実施例1が、比較例とは異なり、タイヤモデル及び路面モデルにおいて、現実では見られないような振動の発生を防げたためである。さらに、実施例2は、低速転動中のタイヤモデルを安定して計算しつつ、高速転動中のタイヤモデルが疑似的に計算されたため、高速転動中のタイヤモデルを計算している実施例1に比べて、振動の発生をより効果的に防ぐことができた。
実施例1では、図8(a)及び図9(a)に示されるように、実際のタイヤと同様の分布で、接地圧及び制動力が安定して求められた。なお、図示されていないが、実施例2では、実施例1に比べて、接地圧及び制動力がより安定して求められた。
一方、比較例では、図8(b)及び図9(b)に示されるように、分布の中央側において、接地圧及び制動力が局部的に小さくなっており、接地圧及び制動力を安定して求めることができなかった。これは、比較例が、実施例1及び2に比べて、タイヤモデルの変形が大きくなっており、上述の振動が生じたためである。
このように、実施例1及び2は、比較例に比べて、タイヤの制動性能に関する物理量を安定して求めることができるため、制動性能を精度よく解析することができた。
P3 転動工程
P4 制動性能に関する物理量を計算する工程

Claims (6)

  1. タイヤのシミュレーション方法であって、
    前記タイヤをモデリングしたタイヤモデルを、コンピュータに入力する工程と、
    前記タイヤが転動する路面をモデリングした路面モデルを、前記コンピュータに入力する工程とを含み、
    前記コンピュータが、
    前記タイヤモデルを、前記路面モデルに対する前記タイヤモデルのスリップ率が増加するように、前記路面モデル上で転動させる転動工程と、
    前記スリップ率が増加する過程の前記タイヤモデルに基づいて、前記タイヤの制動性能に関する物理量を計算する工程とを実行し、
    前記転動工程は、前記タイヤモデルの回転数及び前記路面モデルの移動速度の一方を維持しつつ、前記タイヤモデルの回転数及び前記路面モデルの移動速度の他方を小さくすることにより、前記スリップ率を増加させる工程を含む、
    タイヤのシミュレーション方法。
  2. 前記スリップ率を増加させる工程は、前記移動速度を維持しつつ、前記回転数を小さくする、請求項1に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  3. 前記スリップ率を増加させる工程は、前記回転数を維持しつつ、前記移動速度を小さくする、請求項1に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  4. 前記転動工程は、予め定められた第1走行速度に基づいて、前記回転数及び前記移動速度を設定する工程と、
    前記第1走行速度よりも大きな第2走行速度での動摩擦係数を、前記タイヤモデルと前記路面モデルとの間に設定する工程と、
    前記回転数、前記移動速度、及び、前記動摩擦係数に基づいて、前記第2走行速度で転動中のタイヤモデルを疑似的に計算する工程とを含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  5. 前記コンピュータが、前記物理量に基づいて、前記第2走行速度での前記制動性能を評価する工程をさらに含む、請求項4に記載のタイヤのシミュレーション方法。
  6. 前記物理量は、前記タイヤモデルの動摩擦係数μとスリップ率Sとの関係を示すμ-S曲線を含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
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