JP2022085145A - 停留用のレール基礎ブロックおよびシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】クレーン等の停留用のストッパー受け部を備えたレール基礎を提供する。【解決手段】走行レール15を敷設するための略U字型のレール設置用の溝30を有するプレキャストされた基礎ブロック210であって、溝に沿って延びた少なくとも一方の側壁の一部を切り欠いたストッパー受け部70であって、停留時に、溝内に敷設される走行レール上の走行物の停留用のストッパー80が抜き差しされるストッパー受け部を有する基礎ブロックを提供する。この基礎ブロック210を含む複数のレール基礎ブロック20を、長手方向に少なくとも一列に、溝の両端の開口が合致するように埋設することにより、停留機能を備えたレール基礎10を施工できる。【選択図】図2
Description
この発明は、港湾、造船あるいは重機メーカーなどに用いられる大型の門型あるいは橋型の移動クレーン、ガントリークレーンなどの荷役設備用の軌条、あるいは貨物引込線などに用いられるレール基礎に関するものである。
特許文献1に記載された係留装置は、地上に敷設されたレール上を、脚部に設けた複数の車輪を有する走行装置を介して移動して荷物の吊り上げ吊り降ろしを行うクレーンを暴風時等の緊急避難時に、クレーン走行路に設けられたクレーン係留位置に停止させて係留するクレーンの係留装置であって、上記走行装置の大ロッカービームの中間にレールを挟むように設けられた門型フレームと、この門型フレームの下部に昇降機構を介して昇降するとともに、回転機構を介して回転する、先端にT字状緊締部分を有するロッドと、地上のクレーン係留位置にレールを挟んで埋設された内部にC型溝を有する基礎金具とからなり、上記昇降機構によりロッドを降下させて基礎金具のC型溝に嵌入し、上記回転機構によりロッドを90°回転して緊締するように構成されている。
クレーンなどの走行物を使用しないときや、レール上を勝手に動かないようにするために、走行物を所定の位置に停止した状態で維持する(駐車する、停留する、駐留する)ことが要求される。そのためには走行物の停留用のストッパーが挿入できて、荷重を支持する強度と重量とを備えた構造物が必要であり、現場において施工する際に時間とコストとを要する。
本発明の一態様は、走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を有するプレキャストされた基礎ブロックである。この基礎ブロックは、溝に沿って延びた少なくとも一方の側壁の一部を切り欠いたストッパー受け部であって、停留時に、溝内に敷設される走行レール上の走行物の停留用のストッパーが抜き差しされるストッパー受け部を有する。走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を備え、プレキャストされた複数のレール基礎ブロックであって、上記の基礎ブロックを少なくとも1つ含む複数のレール基礎ブロックを長手方向に少なくとも一列に、溝の両端の開口が合致するように埋設することにより、プレキャストされた(予め工場プレハブされた)コンクリート製のレール基礎ブロックを用いて、現場において、簡単に、停留機能を備えたレール基礎を施工できる。
このレール基礎は、予め側壁の一部が切り欠かれてストッパー受け部が形成されており、ストッパー受け部となる構造物を現場でレール基礎と別に施工する手間を省くことができる。また、基礎ブロック全体が、ストッパーを受ける構造物となり、ストッパー受け部を備えた基礎ブロックは、レール基礎をなす前後の他の基礎ブロックにより前後方向の動きが規定される。また、ストッパー受け部を利用してクレーンなどの走行物を停留させる際は、基礎ブロックにレールを介して走行物の重量(自重)が付加される。このため、停留の際に、ストッパーの前後の動きをストッパー受け部により規定でき、停留の際にストッパーにより加わる前後の荷重(負荷)をレール基礎ブロックにより安定的に支持できる。このため、ストッパー受け部を備えた基礎ブロックを用いてレール基礎を施工し、さらに、溝内に走行レールを装着して走行レールシステムを施工することにより、低コストで、短期間に、走行物を停留させる強度と重量とを備えたレール基礎および走行レールシステムを提供できる。
基礎ブロックのストッパー受け部は、側壁の一部を切り欠いた部分に装着された鋼製の補強部材を含んでもよい。走行物側から伸びるストッパーが基礎ブロックのコンクリートの表面に直に当たることを防止でき、コンクリートが破損することを抑制できる。側壁の一部を切り欠いた部分に埋設されたインサートであって、切り欠いた部分に装着される鋼製の補強部材を接続するためのインサートを含んでもよい。プレキャストされた基礎ブロックに、現場あるいは工場にて、インサートを用いて補助部材を取り付けることができる。ストッパー受け部は、側壁の一部を切り欠くように埋設された鋼製の補強部材を含んでもよい。屋外において雨水などがストッパー受け部に溜まることを抑制するために、補強部材は、溝に面した排水用の開口を含んでもよい。補強部材は、走行レールの延びる方向の前後に配置された側壁と、底壁とを含んでもよい。
基礎ブロックは、溝の底面に、一定の間隔で2列に埋設された複数の埋設金具であって、走行レールの押さえ金具を固定するための複数の埋設金具を有してもよい。レール設置用の埋設金具を工場プレハブ時に予め埋設しておくことにより、現場において精度よく、簡単にレールを施工することができる。埋設金物は、インサート(インサートナット)であってよく、ボルト(埋め込みボルト)であってもよく、プレートであってもよい。
図1に、本発明に係るレール基礎を使用した門型クレーン(橋形クレーン、ガントリークレーン)の一例を示している。ガントリークレーン2は、門型の構造体3と、門型の構造体3のガーター(横行梁)4に搭載されたホイスト(トロリ)5とを含み、運搬車あるいは運搬船などから荷物を吊り下げて搬入搬出する搬送装置(システム)を構成する。門型の構造体3は、車輪を備えた脚部(サドル、クレーンサドル)6を介して地上9に設置された2列の走行レールシステム(走行路、軌条)1に沿って縦方向(ガーター4と直交する方向)に移動し、荷物を搬送する。
これらのクレーン2は、使用しないときには、クレーン走行路の特定の停留位置(駐留位置、駐車位置)89まで移動して停止させ、停留用のストッパー80により強制的に移動を制限し、クレーン2が自走しないようにしている。停留用のストッパー80の一例は、左右の脚部6の一方または両方に設けられた、上下に動く棒状または板状の部材であり、レール基礎10に一体化されたストッパー受け部70に抜き差しすることによりクレーン2を強制的に停止させる。本発明においては、門型クレーン2の停留装置を兼ねたレール基礎10の施工方法および基礎ブロック20を提供する。すなわち、本発明の走行レールシステム1においては、基礎ブロック20により施工されたレール基礎10に走行レール15が設置され、走行レール15の上を門型クレーン2が走行する。さらに、基礎ブロック20にストッパー受け部70が予め設けられており、停留機能を備えたレール基礎10を容易に施工できる。この発明は、港湾、造船あるいは重機メーカーなどに用いられる大型の門型移動クレーンやガントリークレーンなどの荷役設備用の軌条(走行レールシステム)1に限定されず、貨物引込線などに好適なレール基礎10に関するものである。
図2に、レール基礎ブロックを用いて施工されたレール基礎10および走行レールシステム(軌条)1の概要を平面図により示している。図3に、走行レールシステム1およびレール基礎10の構造を断面図により示している。本例の走行レールシステム1は、ガントリークレーンなどが走行するための設備であり、レール(走行レール)15が延びた方向(長手方向)Xに延びたレール基礎10と、レール基礎10に設置されたレール15とを含む。本例のレール基礎10は、長手方向Xに一列に埋設された複数のレール基礎ブロック20を有する。基礎ブロック20は、ストッパー受け部70が設けられた第1のタイプの基礎ブロック210と、ストッパー受け部を含まない第2のタイプの基礎ブロック220とを含む。
ガントリークレーン基礎として、本例のレール基礎10を、複数列、典型的には2列に離れて平行に埋設して2列のレールを備えた走行レールシステム1を提供できる。本例の走行レールシステム1は、レール基礎10を構成するレール基礎ブロック20に予め埋設されたインサート50に、押さえ金具(固定用プレート、レールクリップ)17およびボルト18を介して固定された走行レール15を含む。レール基礎ブロック20は、工場においてプレキャストされたコンクリート製のブロックであって、プレキャストする単位は長辺が例えば、0.5m以上、あるいは1m以上であり、本例では2mに設定されている。
図4に、レール基礎ブロック20の第1のタイプの基礎ブロック210の外観を示し、図5に、第2のタイプの基礎ブロック220の外観を示している。さらに、図6に、レール基礎ブロック210を詳しく示している。図6(a)は、基礎ブロック210の側面図(長辺側)、図6(b)は、基礎ブロック210の平面図、図6(c)は図6(a)の反対側のストッパー受け部70が設けられた側の側面図(長辺側)、図6(d)は底面図、図6(e)は、基礎ブロック210のストッパー受け部70が設けられた部分の断面図(長辺側、e-e断面図)、図6(f)は、基礎ブロック210の側面図(端面図、短辺側)、図6(g)は、基礎ブロック210のストッパー受け部70が設けられた部分の断面図(短辺側、g-g断面図)を示す。基礎ブロック210の短辺側の側面図は、左右対称な形状であり、図6(f)と反対側の裏面の形状は、図6(f)と同一の輪郭を持つ略U字形である。
第1のタイプの基礎ブロック210および第2のタイプの基礎ブロック220を含むレール基礎ブロック20は、長手方向(X方向)に延びたレール設置用のU字型の溝30と、溝30の底面32に予め一定の間隔で埋設された複数のインサート(埋設金物)50とを有する。複数のインサート50に、押さえ金具17およびボルト18を用いて、所定の位置に、長手方向に延びた走行レール15を設置できる。インサート50は、レール15を取り付けるための埋設金物の一例であり、インサートの代わりに、埋設ボルトあるいは埋設プレートであってよい。
ストッパー受け部70を含む第1のタイプの基礎ブロック210と、ストッパー受け部70を含まない第2のタイプの基礎ブロック220とは、ストッパー受け部70の有無以外は共通する構成であり、それらを長手方向に並べることにより走行レール15を設置するための溝30を施工できる。コンクリート製のプレキャストされたレール基礎ブロック20(210および220)は、工場において鉄あるいはその他の金属を用いた高精度な型枠を用いて、品質管理された状態で製造される。したがって、所定の長さ、例えば、1mあるいはそれ以上の長さのコンクリート製のブロック20であって、所定の面について、その面の歪みや撓みなどが小さく、直線性に優れた面を備えたコンクリート製品を低コストで量産できる。本例においては、走行用レール15が設置される面(設置面、基準面)を含む溝30の精度を確保できるように、工場プレハブする際の型枠を設計し、コンクリートの注入位置などを決める。これにより、例えば、2mの単位で、直に走行用レール15を設置できる高精度な基盤あるいは基礎梁となるコンクリート製のレール基礎ブロック20を低コストで提供できる。このため、レール基礎ブロック20の施工を高い精度で行うことにより、レール基礎ブロック20の溝内に、再度、高さ調整用のモルタルを敷設して、鉄板などによる基礎構造を現場で構築しなくても、レール15を設置できるレール基礎10を施工できる。さらに、プレキャスト用(プレハブ用)の型枠の所定の位置にインサート50を取り付けることが可能であり、設置面40の両側の所定の位置に、所定の間隔で高い精度でインサート50が埋め込まれたレール基礎ブロック20を製造できる。したがって、レール基礎ブロック20を用いることにより、現場でアンカーを施工する手間と時間とを省くことができ、レール基礎10の施工に要する費用および時間を軽減できる。
走行レールシステム1の施工例を図3に示している。レール基礎10は、まず、地表あるいは路面9から、施工後にレール基礎ブロック210(20)の側壁21および22の上面(頂部)が路面9とほぼ同じレベルになるように掘削する。その後、基礎コンクリート(基礎材)8を施工し、その上に、くさびや高さ調整用のプレートなどで、複数のレール基礎ブロック20を、レール設置用のU字型の溝30の両端の開口35同士が合致するように基礎ブロック20の両端29を合わせ(接続し)、レール基礎10として誤差範囲となるように高さを調整して長手方向Xに並べる。さらに、高さ調整用の調整モルタルまたは調整コンクリート7を注入して長手方向Xに並べられた複数のレール基礎ブロック20の相互の位置や高さを固定することによりレール基礎10が施工される。レール基礎10の天場(上面、頂部)25は、路面9とほぼ同じレベルとなり、車両が、レール基礎10をどこでも、容易に横断することができる。また、レール基礎10に近づけて車両を停止することも可能となる。
このようにして、図2に示すように、第1のタイプの基礎ブロック210および第2のタイプの基礎ブロック220を含む複数のレール基礎ブロック20を直線状に並べて設置することによりレール基礎10を施工できる。さらに、次に、U字型の溝30の底面32の中心を設置面として走行レール15を搭載し、その両側に所定のピッチで予め埋設されているインサート50を利用して、押さえ金具17およびボルト18により走行レール15をレール基礎10に固定する。このようにして、クレーン用の走行レールシステム1を提供できる。
例えば、図5に示す、耐荷重22kg/mの普通レール用の基礎ブロック20の左右対称の第2のタイプの基礎ブロック220は、全体の長さが2mで、底面28aの幅(長手方向Xと直交する方向の距離)が650mmの細長い長方形で板状の基礎部28と、基礎部28から内部にU字型の溝30が形成するように上方に立ち上がった一対の側壁21および22とを含む。U字型の溝30の一例は幅が270mmであり、その両側に設けられた側壁21および22の一例は幅150mmである。本例の基礎部28は、側壁21および22の下側で外側に張り出した部分を含み、レール基礎ブロック220は、断面が逆Π字型で左右対称のコンクリート製ブロックとなっている。レール基礎ブロック220の側面は垂直であってもよく、下側に広がったテーパー状であってもよい。
図4に示すストッパー受け部70を備えた第1の基礎ブロック210も、基礎部28と、一対の側壁21および22とを含み、U字型の溝30が構成されており、基本的な寸法は共通する。これらの基礎ブロック210および220において、両側の側壁21および22の幅W2は共通(対称)であってもよく、非対称であってもよい。また、レール15を設定するインサート50は、溝30の底面32の中央を中心に配置されていてもよく、偏芯した位置を中心に配置されていてもよい。溝の底面の幅W1と、溝の両側の側壁の上面の幅の平均の幅W2とは、以下の条件(1)を満たしてもよい。
0.3≦W2/W1≦0.8・・・(1)
レールの耐荷重とは直には関係しない両側壁の平均の上面の幅W2を底面の幅W1の半分程度、すなわち、両側の側壁21および22の幅(2×W2)と底面32の幅W1とがほぼ同等になるように設計することにより、底面32の強度に対して側壁21および22の強度を大幅に向上できる。このため、側壁21および22により底面32の長手方向の歪みを防止でき、より高い精度で走行レール15を設置できるレール基礎ブロック20を提供できる。さらに、側壁21および22の強度を設定することにより、トラックなどの車両が、レールが設置されたレール基礎を横断する際に、側壁21および22によりトラックの荷重を支持できる。このため、横断用の補強や、横断用の構造を省くことが可能となり、低コストで、車両がスムーズに横断できるレール基礎ブロック20およびレール基礎10を提供できる。条件(1)の下限は、0.4であってもよく、上限は0.75であってもよく、0.70であってもよい。
0.3≦W2/W1≦0.8・・・(1)
レールの耐荷重とは直には関係しない両側壁の平均の上面の幅W2を底面の幅W1の半分程度、すなわち、両側の側壁21および22の幅(2×W2)と底面32の幅W1とがほぼ同等になるように設計することにより、底面32の強度に対して側壁21および22の強度を大幅に向上できる。このため、側壁21および22により底面32の長手方向の歪みを防止でき、より高い精度で走行レール15を設置できるレール基礎ブロック20を提供できる。さらに、側壁21および22の強度を設定することにより、トラックなどの車両が、レールが設置されたレール基礎を横断する際に、側壁21および22によりトラックの荷重を支持できる。このため、横断用の補強や、横断用の構造を省くことが可能となり、低コストで、車両がスムーズに横断できるレール基礎ブロック20およびレール基礎10を提供できる。条件(1)の下限は、0.4であってもよく、上限は0.75であってもよく、0.70であってもよい。
第1の基礎ブロック210は、図4および図6に示すように、略U字型の溝30に沿って延びた一方の側壁21の長手方向Xのほぼ中央に、側壁21の一部を切り欠いた部分71が設けられており、切り欠いた部分71に、上方が開いた箱型の鋼製、例えばステンレススチールまたはメッキ鋼板製の補強部材75が取り付けられてストッパー受け部70が形成されている。したがって、走行物であるクレーン2の脚部(サドル)6に設けられた停留用のストッパー80を、基礎ブロック210の側壁21の切り欠いた部分71の上方72から、抜き差し(挿入)することにより、停留時に、クレーン2を停留位置89に強制的に停止(駐車)させることができる。
側壁21の切り欠いた部分71の長さは、例えば250~350mm程度、幅150mm程度であり、本例では側壁21が切り欠いた部分71により中央で分断された状態となっている。切り欠いた部分71の寸法は、クレーン2に設けられたストッパー80の上下する板状または棒状の部分が支障なく、十分なクリアランスを設けて抜き差し(挿入、引き上げ)できるサイズであればよく、上記に限定されない。また、クリアランスを設けることにより、その範囲でストッパー受け部70の中でストッパー80が前後に移動する可能性はあるが、鋼製の補強部材75を切り欠いた部分71に装着しておくことにより、ストッパー80がコンクリート製の面に直に当たることはない。このため、コンクリート製の基礎ブロック210が損傷することを防止できる。
補強部材75は、基礎ブロック210をプレハブする際に、側壁21の一部を切り欠くように埋設されていてもよい。本例においては、図4に示すように、切り欠いた部分71に補強部材75を固定するためのインサート73が予め埋設されており、出荷前、または現場において、ネジ76により補強部材75を基礎ブロック210に装着(取り付け、固定)することができる。補強部材75は、ストッパー80が当たる可能性が高い方向に少なくとも鋼製の面が設けられていることが望ましい。例えば、補強部材75は、走行レール15の延びる方向Xの前後の壁面77aおよび77bと、底面77cとを備えていることが望ましい。本例の補強部材75は、さらに、外側に向いた壁面77dを設けて、土や砂などがストッパー受け部70に入り込みにくいようにしている。
さらに、補強部材75は、内側の溝30に面した排水用の開口78を含む。具体的には、箱型の補強部材75の内側の壁面77eの下側が開口78となっており、ストッパー受け部70に溜まる可能性がある雨水などの排水を、溝30を介して排出することができる。補強部材75は内側の壁面77eが設けられていなくてもよく、また、内側の壁面77eにドレン排水用の貫通孔を設けたり、ドレン配管を接続することにより排水用の開口を確保してもよい。
なお、切欠き部71に装着される補強部材75は樹脂製などの金属以外の材料で形成されてもよく、また、補強部材75を装着せずに、切欠き部71により、コンクリートの面が見えた状態でストッパー受け部70を構成してもよく、ストッパー受け部70としての機能を果たすことができる。一方、鋼製の補強部材75を切欠き部71に装着しておくことにより、レール基礎ブロック210およびそれを用いて施工されたレール基礎10の寿命を延ばすことができ、低コストで長寿命であって、クレーン2の駐留(停留)機能を備えたレール基礎ブロックを提供できる。
図7および図8に、停留位置(停止位置)89においてクレーン2を、ストッパー80およびストッパー受け部70を用いて停留(駐車)する様子を示している。クレーン2のサドル6に設けられたストッパー80は、サドル6に対して上下に動くストッパー本体81と、ホルダー82とを含む。停留位置89において、図8に示すように、ストッパー本体81を下げると、ストッパー本体81の先端83がストッパー受け部70に入り(挿入され)、クレーン2の動きが強制的に停止される。したがって、クレーン2を使用しないときにクレーン2が何らかの要因でレール15に沿って走行してしまう危険を回避できる。停留位置89は、クレーン2を使用しない際に、他の作業、例えば、荷物の搬送に障害とならない位置にクレーン2を固定できる位置であればよく、例えば、X方向に延びた走行レール15の端であってもよい。停留位置89は、一か所に限定されず、レール基礎10の複数の箇所にストッパー受け部70が設けられていてもよい。
すなわち、レール基礎10の施工方法は、走行レール15を敷設するための略U字型のレール設置用の溝30を備え、プレキャストされた複数のレール基礎ブロック20であって、ストッパー受け部70を備えた基礎ブロック210を少なくとも1つ含む複数のレール基礎ブロック20を、長手方向Xに少なくとも一列に、溝の両端の開口35が合致するように埋設することを有する。レールシステム1の施工方法は、さらに、レール基礎10の溝30に走行レール15を取り付けることを含む。また、クレーンの停留方法は、走行レールシステム1を走行するように設置されたクレーン2の脚部6の停留用のストッパー80を、レール基礎10のストッパー受け部70に挿入して停留することを含む。
本例のレール基礎10および走行レールシステム1においては、ストッパー受け部70を含む第1のタイプの基礎ブロック210と、ストッパー受け部を含まない第2のタイプの基礎ブロック220とを、長手方向Xに少なくとも一列に、内部の溝30の両端の開口35が合致するように埋設されており、複数の基礎ブロック20(210および220)により構成される直線に延びた溝30に走行レール15が装着される。したがって、クレーン2の停留に用いられるストッパー80を受けるストッパー受け部70がレール基礎10と同時に、一体で施工され、施工に要する時間および手間を大幅に低減できる。また、レール基礎10とストッパー受け部70が一体化されることにより、ストッパー80の荷重(負荷)を単独の構造物ではなく、複数の基礎ブロック20が連なって施工されたレール基礎10として受けることとなり、簡易な構成で、本例では、ストッパー受け部を含まない基礎ブロック220と基本的に共通する構成で、ストッパー受け部70を備えた基礎ブロック210を提供できる。
さらに、図8に示すように、停留位置89においては、クレーン2の自重が脚部6の車輪6a、および走行レール15を介してストッパー受け部70が設けられた長さ2mの基礎ブロック210に加えられており、基礎ブロック210の重量に加えて、クレーン2の動きに対抗する力に、クレーン2の自重を活かすことができる。このため、走行レール15が取り付けられる基礎ブロック210にストッパー受け部70を一体的に構成しておくことにより、基礎ブロック210を用い、より安全に、確実にクレーン2を停止(停留)できる走行レールシステム1を提供できる。
このように、ストッパー受け部70を含むレール基礎ブロック210を用いて、停留機能を備えた走行用レール用の基礎10および走行レールシステム(軌条)1を、短期間に低コストで施工できる。本発明のレール基礎ブロックを用いて施工できる軌条1は、ガントリークレーンまたは門型クレーン用の軌条に限定されず、他の重量物や装置などを、操作のため、あるいはメンテナンスのためなどに常設される軌条であってもよい。また、走行レールシステムは2列のレールが敷設されたシステムに限らず、2列のレールのいずれか一方の一列のレールがレール基礎ブロックを用いて施工されたものであってもよく、3列以上のレールが敷設されたシステムであってもよい。
1 走行レールシステム、 2 クレーン、 10 レール基礎
20 レール基礎ブロック
20 レール基礎ブロック
Claims (13)
- 走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を有するプレキャストされた基礎ブロックであって、
前記溝に沿って延びた少なくとも一方の側壁の一部を切り欠いたストッパー受け部であって、停留時に、前記溝内に敷設される走行レール上の走行物の停留用のストッパーが抜き差しされるストッパー受け部を有する基礎ブロック。 - 請求項1において、
前記ストッパー受け部は、前記側壁の一部を切り欠いた部分に装着された鋼製の補強部材を含む、基礎ブロック。 - 請求項1において、
前記側壁の一部を切り欠いた部分に埋設されたインサートであって、前記切り欠いた部分に装着される鋼製の補強部材を取り付けるためのインサートを含む、基礎ブロック。 - 請求項1において、
前記ストッパー受け部は、前記側壁の一部を切り欠くように埋設された鋼製の補強部材を含む、基礎ブロック。 - 請求項2ないし4のいずれかにおいて、
前記補強部材は、前記溝に面した排水用の開口を含む、基礎ブロック。 - 請求項2ないし5のいずれかにおいて、
前記補強部材は、前記走行レールの延びる方向の前後に配置された側壁と、底壁とを含む、基礎ブロック。 - 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記溝の底面に、一定の間隔で2列に埋設された複数の埋設金具であって、走行レールの押さえ金具を固定するための複数の埋設金具を有する、基礎ブロック。 - 走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を備え、プレキャストされたレール基礎ブロックを複数有し、
前記複数のレール基礎ブロックが長手方向に少なくとも一列に、前記溝の両端の開口が合致するように埋設されており、
前記複数のレール基礎ブロックは、請求項1ないし7のいずれかに記載の基礎ブロックを少なくとも1つ含む、レール基礎。 - 請求項8において、
前記複数のレール基礎ブロックは、前記溝の側壁の頂部が地表と一致するように埋設されている、レール基礎。 - 請求項8または9に記載のレール基礎と、
前記溝に装着された走行レールとを有する走行レールシステム。 - レール基礎の施工方法であって、
走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を備え、プレキャストされた複数のレール基礎ブロックであって、請求項1ないし7のいずれかに記載の基礎ブロックを少なくとも1つ含む複数のレール基礎ブロックを、長手方向に少なくとも一列に、前記溝の両端の開口が合致するように埋設することを有する施工方法。 - 走行レールシステムの施工方法であって、
走行レールを敷設するための略U字型のレール設置用の溝を備えた複数のレール基礎ブロックであって、請求項1ないし7のいずれかに記載の基礎ブロックを少なくとも1つ含む複数のレール基礎ブロックを、長手方向に少なくとも一列に、前記溝の両端の開口が合致するように埋設してレール基礎を施工することと、
前記レール基礎の前記溝に走行レールを取り付けることとを有する施工方法。 - クレーンの停留方法であって、
請求項10に記載の走行レールシステムを走行するように設置されたクレーンの脚部の前記停留用のストッパーを前記ストッパー受け部に挿入して停留することを有する、停留方法。
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2020
- 2020-11-27 JP JP2020196661A patent/JP2022085145A/ja active Pending
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