JP2022077784A - フィルタ装置およびそれを搭載した高周波フロントエンド回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイプレクサにおいて、ローバンド側フィルタの特性の低下を抑制しつつ、ハイバンド側フィルタにおける高周波数側の減衰特性を向上させる。【解決手段】フィルタ装置100は、複数の誘電体層が積層された積層体110と、アンテナ端子TAと、第1端子T1および第2端子T2と、フィルタFLT1およびフィルタFLT2とを備える。フィルタFLT1は、アンテナ端子TAと第1端子T1との間に接続され、第1通過帯域を有する。フィルタFLT2は、アンテナ端子TAと第2端子T2との間に接続され、第1通過帯域とは異なる第2通過帯域を有する。フィルタFLT2は、互いに磁気結合する複数のLC並列共振器RC1~RC3と、第2端子T2に接続されたインダクタL25とを含む。インダクタL25は、複数のLC並列共振器のうち、第2端子T2に最も近い共振器RC3に含まれるインダクタL24と磁気結合している。【選択図】図2
Description
本開示は、フィルタ装置およびそれを搭載した高周波フロントエンド回路に関し、より特定的には、2つのLCフィルタを含むダイプレクサにおける減衰特性を向上させるための技術に関する。
国際公開第2016/152206号(特許文献1)には、複数の絶縁体層が積層された積層体に、互いに異なる通過帯域を有する2つのフィルタ回路が形成されたダイプレクサが開示されている。国際公開第2016/152206号(特許文献1)に開示されたダイプレクサにおいては、ハイバンド側のフィルタ回路には2つのループインダクタ(第1ループインダクタ,第2ループインダクタ)が含まれており、第1ループインダクタの第1ループ面は、第2ループインダクタの第2ループ面からはみだした状態で、当該第2ループ面に対向するように配置されている。このような構成によって、積層体内において、導体の引き回しが複雑になることを抑制することができる。
上述のようなダイプレクサは、たとえば、携帯電話、スマートフォンあるいはタブレットなどの携帯端末や、通信機能を備えたパーソナルコンピュータなどの通信装置に用いられる。
近年、Wi-Fiおよび第5世代移動通信システム(5G)の通信規格などにおいて、上記のような通信装置に用いる電波の高周波数化および広帯域化が進められている。これに伴って、ダイプレクサなどのフィルタ装置においては、通過帯域の周波数の2倍波あるいは3倍波などの、より高い周波数帯域の信号に対しても高い減衰特性が必要とされている。
ダイプレクサのように、異なる通過帯域を有する複数のフィルタ回路を含む場合に、特定の通過帯域のフィルタ回路(たとえば、ハイバンド側のフィルタ回路)における高周波数側の減衰特性を改善すると、かえって他の通過帯域(たとえば、ローバンド側)のフィルタ回路の特性に影響が及ぶ場合があった。
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数のフィルタを含む積層LCフィルタ装置において、他の通過帯域のフィルタの特性の低下を抑制しつつ、特定の通過帯域のフィルタにおける高周波数側の減衰特性を向上させることである。
本開示のフィルタ装置は、複数の誘電体層が積層された積層体と、積層体に形成された共通端子、第1端子および第2端子と、第1LCフィルタおよび第2LCフィルタとを備える。第1LCフィルタは、共通端子と第1端子との間に接続され、第1通過帯域を有する。第2LCフィルタは、共通端子と第2端子との間に接続され、第1通過帯域とは異なる第2通過帯域を有する。第2LCフィルタは、互いに磁気結合する複数のLC並列共振器と、第2端子に接続された第1インダクタとを含む。第1インダクタは、複数のLC並列共振器のうち、第2端子に最も近い共振器に含まれる第2インダクタと磁気結合している。
本開示によるフィルタ装置においては、互いに異なる通過帯域を有する2つのLCフィルタを備えたフィルタ装置(ダイプレクサ)において、第2LCフィルタの第2端子に接続された第1インダクタが、第2端子に最も近いLC並列共振器に含まれる第2インダクタと磁気結合する構成を有している。これによって、第2LCフィルタの通過帯域よりも高周波数側に減衰極を追加することができるので、第1LCフィルタの特性の低下を抑制しつつ、第2LCフィルタにおける高周波数側の減衰特性を向上させることができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
(通信装置の基本構成)
図1は、実施の形態に従うフィルタ装置100が適用された高周波フロントエンド回路20を含む通信装置10のブロック図である。高周波フロントエンド回路20は、アンテナ装置ANTで受信された高周波信号を、予め定められた複数の周波数帯域に分波して後続の処理回路へ伝達する。高周波フロントエンド回路20は、たとえば、携帯電話、スマートフォンあるいはタブレットなどの携帯端末や、通信機能を備えたパーソナルコンピュータなどの通信装置に用いられる。
図1は、実施の形態に従うフィルタ装置100が適用された高周波フロントエンド回路20を含む通信装置10のブロック図である。高周波フロントエンド回路20は、アンテナ装置ANTで受信された高周波信号を、予め定められた複数の周波数帯域に分波して後続の処理回路へ伝達する。高周波フロントエンド回路20は、たとえば、携帯電話、スマートフォンあるいはタブレットなどの携帯端末や、通信機能を備えたパーソナルコンピュータなどの通信装置に用いられる。
図1を参照して、通信装置10は、フィルタ装置100を含む高周波フロントエンド回路20と、RF信号処理回路(以下、「RFIC」とも称する。)30とを含む。図1に示される高周波フロントエンド回路20は、受信系フロントエンド回路である。高周波フロントエンド回路20は、フィルタ装置100と、増幅回路LNA1,LNA2とを含む。
フィルタ装置100は、互いに異なる周波数範囲を通過帯域とするフィルタFLT1(第1フィルタ)およびフィルタFLT2(第2フィルタ)を含むダイプレクサである。以降の説明においては、フィルタ装置100を「ダイプレクサ」と称する場合がある。
フィルタFLT1は、共通端子であるアンテナ端子TAと、第1端子T1との間に接続される。フィルタFLT1は、ローバンド(LB)群の周波数範囲を通過帯域とし、ハイバンド(HB)群の周波数範囲を非通過帯域とするローパスフィルタである。フィルタFLT2は、アンテナ端子TAと第2端子T2との間に接続される。フィルタFLT2は、ハイバンド群の周波数範囲を通過帯域とし、ローバンド群の周波数範囲を非通過帯域とするハイパスフィルタである。なお、フィルタFLT1およびフィルタFLT2は、バンドパスフィルタとして形成されてもよい。
フィルタFLT1,FLT2の各々は、アンテナ装置ANTで受信した高周波信号のうち、各フィルタの通過帯域に対応する高周波信号のみを通過させる。これにより、アンテナ装置ANTからの受信信号を予め定められた複数の周波数帯域の信号に分波する。
増幅回路LNA1,LNA2の各々は、いわゆる低雑音増幅器である。増幅回路LNA1,LNA2は、対応するフィルタを通過した高周波信号を低雑音で増幅し、RFIC30へ伝達する。
RFIC30は、アンテナ装置ANTで送受信された高周波信号を処理するRF信号処理回路である。具体的には、RFIC30は、アンテナ装置ANTから高周波フロントエンド回路20の受信側信号経路を介して入力された高周波信号を、ダウンコンバートなどにより信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をベースバンド信号処理回路(図示せず)へ出力する。
図1のように高周波フロントエンド回路20が受信回路として用いられる場合、フィルタ装置100においては、アンテナ端子TAが入力端子INとなり、第1端子T1および第2端子T2がそれぞれ第1出力端子OUT1および第2出力端子OUT2となる。一方で、高周波フロントエンド回路は送信回路としても用いることができる。この場合には、フィルタ装置100の第1端子T1および第2端子T2の各々が入力端子となり、アンテナ端子TAが共通の出力端子となる。その場合、増幅回路に含まれる増幅器としてパワーアンプが用いられる。
(フィルタ装置の構成)
図2は、図1におけるフィルタ装置(ダイプレクサ)100の一例の等価回路を示す図である。図1で説明したように、フィルタFLT1はアンテナ端子TAと第1端子T1との間に接続されている。また、フィルタFLT2はアンテナ端子TAと第2端子T2との間に接続されている。
図2は、図1におけるフィルタ装置(ダイプレクサ)100の一例の等価回路を示す図である。図1で説明したように、フィルタFLT1はアンテナ端子TAと第1端子T1との間に接続されている。また、フィルタFLT2はアンテナ端子TAと第2端子T2との間に接続されている。
フィルタFLT1は、直列腕回路を形成するインダクタL11,L12およびキャパシタC12,C13,C15と、並列腕回路を形成するインダクタL13およびキャパシタC11,C14とを含む。インダクタL11の一方端はアンテナ端子TAに接続され、他方端はインダクタL12の一方端に接続される。インダクタL12の他方端は、キャパシタC13の一方端に接続される。キャパシタC13の他方端と第1端子T1との間に、キャパシタC15が接続される。すなわち、アンテナ端子TAと第1端子T1との間に、インダクタL11、インダクタL12、キャパシタC13およびキャパシタC15が、この順で直列に接続される。キャパシタC12は、インダクタL12に並列に接続される。
並列腕回路のキャパシタC11は、インダクタL11とインダクタL12との間の接続ノードと、接地端子GNDとの間に接続される。キャパシタC14は、直列腕回路のキャパシタC13とキャパシタC14との接続ノードに接続される。インダクタL13は、キャパシタC14と接地端子GNDとの間に接続される。フィルタFLT1は、これらの構成によって、バンドパスフィルタとして機能する。
フィルタFLT2は、直列腕回路を形成するインダクタL25およびキャパシタC21,C25~C27と、並列腕回路を形成するインダクタL21~L24およびキャパシタC22~C24とを含む。キャパシタC21の一方端はアンテナ端子TAに接続され、他方端はキャパシタC25の一方端に接続される。キャパシタC25の他方端は、キャパシタC26の一方端に接続される。キャパシタC26と第2端子T2との間にインダクタL25が接続される。すなわち、アンテナ端子TAと第2端子T2との間に、キャパシタC21、キャパシタC25、キャパシタC26およびインダクタL25が、この順で直列に接続される。キャパシタC27は、直列接続されたキャパシタC25,C26に並列に接続される。
キャパシタC21とキャパシタC25との間の接続ノードに、インダクタL22およびキャパシタC22が並列接続されることによって形成されたLC並列共振器RC1が接続される。共振器RC1と接地端子GNDとの間にインダクタL21が接続される。
キャパシタC25とキャパシタC26との間の接続ノードと、インダクタL22との間に、インダクタL23およびキャパシタC23が並列接続されることによって形成されたLC並列共振器RC2が接続される。また、キャパシタC26とインダクタL25との間の接続ノードと、インダクタL22との間に、インダクタL24およびキャパシタC24が並列接続されることによって形成されたLC並列共振器RC3が接続される。
LC並列共振器RC1~RC3は、互いに磁気結合している。また、第2端子T2に最も近い共振器RC3に含まれるインダクタL24は、インダクタL25と磁気結合している。このような、共振器間の磁気結合および共振器とインダクタとの間の磁気結合によって、通過帯域よりも高周波数側および低周波数側に減衰極が形成されるので、フィルタFLT2はバンドパスフィルタとして機能する。
実施の形態のフィルタ装置100の例においては、フィルタFLT1の通過帯域は2.4GHz~2.5GHz付近に設定されており、フィルタFLT2の通過帯域は5.15GHz~7.13GHz付近に設定されている。したがって、フィルタ装置100においては、フィルタFLT1がローパスフィルタとして機能し、フィルタFLT2がハイパスフィルタとして機能する。
次に、図3~図6を用いて、フィルタ装置100の詳細な構成について説明する。図3は、フィルタ装置100の外形斜視図である。図4は図2のフィルタ装置100の内部を示す斜視図であり、図5および図6はフィルタ装置100の積層構造の一例を示す分解斜視図である。
フィルタ装置100は、複数の誘電体層LY1~LY18を積層方向に積層することによって形成された、直方体または略直方体の積層体110を備えている。積層体110の各誘電体層は、たとえば低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)などのセラミック、あるいは樹脂により形成されている。積層体110の内部において、各誘電体層に形成された複数の電極、および、誘電体層間に形成された複数のビアによって、フィルタFLT1,FLT2を構成するためのインダクタおよびキャパシタが形成される。なお、図4~図6においては、積層体110の誘電体は省略してあり、内部に形成される配線パターン、ビアおよび端子の導電体のみが示されている。また、図5は積層体110の側面113側から見た分解斜視図であり、図6は積層体110の側面114側から見た分解斜視図である。
本明細書において「ビア」とは、異なる誘電体層に形成された電極を接続するために、誘電体層中に形成される導体を示す。ビアは、たとえば、導電ペースト、めっき、および/または金属ピンなどによって形成される。また、以下の説明においては、積層体110の積層方向を「Z軸方向」とし、Z軸方向に垂直であって積層体110の長辺に沿った方向を「X軸方向」とし、積層体110の短辺に沿った方向を「Y軸方向」とする。また、以下では、各図におけるZ軸の正方向を上側、負方向を下側と称する場合がある。
積層体110の上面111(第1層LY1)には、フィルタ装置100の方向を特定するための方向性マークDMが配置されている。図3に示されるように、積層体110の外表面には、当該フィルタ装置100と外部機器とを接続するための外部端子(アンテナ端子TA、第1端子T1、第2端子T2および接地端子GND)が配置されている。具体的には、積層体110において、上面111からY軸の負方向の側面113を通って下面112へ至る経路、および、上面111からY軸の正方向の側面114を通って下面112へ至る経路に、各外部端子が略C字形状に形成されている。側面113には、第1端子T1、第2端子T2および接地端子GNDの側面電極が配置されている。また、側面114には、アンテナ端子TAおよび接地端子GNDの側面電極が配置されている。なお、基本的には、各外部端子は、下面112に形成された電極によって実装基板などに実装される。
図4においては、概略的には、積層体110の右側(X軸の正方向)部分にローバンド側のフィルタFLT1が形成され、左側(X軸の負方向)部分にハイバンド側のフィルタFLT2が形成されている。
まず、ローパスフィルタであるフィルタFLT1の詳細について説明する。アンテナ端子TAにおける下面112(第18層LY18)に形成された電極は、側面113に形成された電極によって、第2層LY2に形成された帯状の平板電極PL1の一方端に接続されている。平板電極PL1は、積層体110の積層方向の軸(Z軸)周りに巻回された平面コイルを形成している。平板電極PL1の他方端にはビアVL1が接続されている。平板電極PL1は、ビアVL1を介して第3層LY3に形成された帯状の平板電極PL1Aの一方端に接続されている。平板電極PL1Aも、Z軸周りに巻回された平面コイルを形成している。平板電極PL1Aの他方端には、ビアVL1Aが接続されている。平板電極PL1Aは、当該ビアVL1Aを介して、第4層LY4に形成された略U字形状の平板電極PL1Bの一方端に接続されている。平板電極PL1~PL1B、およびビアVL1,VL1Aによって、図2におけるインダクタL11が形成される。
平板電極PL1Bの他方端にはビアVL1Bが接続されている。平板電極PL1Bは、ビアVL1Bを介して、第15層LY15に形成されたキャパシタ電極PC3に接続される。キャパシタ電極PC3は、積層体110を積層方向から平面視した場合に、第17層LY17に形成された平板電極PG1と重なるように配置されている。平板電極PG1は、ビアVG1,VG2によって、下面112(第18層LY18)の接地端子GNDに接続される。また、平板電極PG1は、側面113,114に形成された接地端子GNDの電極にも接続される。キャパシタ電極PC3と平板電極PG1とによって、図2におけるキャパシタC11が形成される。
第4層LY4の形成された平板電極PL1Bには、同じく第4層LY4に形成された帯状の平板電極PL2も接続される。平板電極PL2は略C字形状を有しており、端部にはビアVL2が接続される。平板電極PL2は、ビアVL2を介して第3層に形成された帯状の平板電極PL2Aの一方端に接続される。平板電極PL2Aは、略C字形状を有しており、他方端にはビアVL2Aが接続される。平板電極PL2Aは、ビアVL2Aを介して、第2層LY2に形成された帯状の平板電極PL2Bの一方端に接続される。
平板電極PL2Bは、略C字形状を有している。平板電極PL2Bの他方端には、ビアVL2Bが接続されている。ビアVL2Bは、第5層LY5でオフセットして、第13層LY13に形成されたキャパシタ電極PC8に接続されている。平板電極PL2~PL2BおよびビアVL2~VL2Bによって、図2におけるインダクタL12が形成される。
第13層LY13に形成されたキャパシタ電極PC8は、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第12層LY12に形成されたキャパシタ電極PC10および第15層LY15に形成されたキャパシタ電極PC3,PC4と部分的に重なるように配置されている。キャパシタ電極PC4およびキャパシタ電極PC10は、ビアVB1によって互いに接続されている。キャパシタ電極PC3とキャパシタ電極PC8とによって、図2におけるキャパシタC12が形成される。また、キャパシタ電極PC8とキャパシタ電極PC4、PC10とによって、図2におけるキャパシタC13が形成される。
キャパシタ電極PC4,PC10は、ビアVB1を介して、第10層LY10に形成されたキャパシタ電極PC14および第17層LY17に形成されたキャパシタ電極PC1とも接続されている。キャパシタ電極PC1,PC4は、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第16層LY16に形成されたキャパシタ電極PC2と部分的に重なるように配置されている。キャパシタ電極PC2は、積層体110の側面113の第1端子T1に接続されている。キャパシタ電極PC2とキャパシタ電極PC1,PC4とによって、図2におけるキャパシタC15が形成される。
キャパシタ電極PC10は、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第11層LY11に形成されたキャパシタ電極PC11とも部分的に重なるように配置されている。また、キャパシタ電極PC14は、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第11層LY11に形成されたキャパシタ電極PC11および第9層LY9に形成されたキャパシタ電極PC16と部分的に重なるように配置されている。キャパシタ電極PC11およびキャパシタ電極PC14は、ビアVB2によって互いに接続されている。キャパシタ電極PC10,PC14と、キャパシタ電極PC11、PC16とによって、図2におけるキャパシタC14が形成される。
ビアVB2は、さらに第8層LY8に形成された帯状の平板電極PL3の一方端にも接続されている。平板電極PL3は、略C字形状を有している。平板電極PL3の他方端には、ビアVL3が接続されている。平板電極PL3は、ビアVL3を介して、第7層LY7に形成された帯状の平板電極PL3Aの一方端に接続されている。平板電極PL3Aは、略C字形状を有している。平板電極PL3Aの他方端には、ビアVL3Aが接続されている。平板電極PL3Aは、ビアVL3Aを介して、第6層LY6に形成された帯状の平板電極PL3Bの一方端に接続されている。
平板電極PL3Bは、略C字形状を有している。平板電極PL3Bの他方端には、ビアVL3Bが接続されている。平板電極PL3Bは、ビアVL3Bを介して、第5層LY5に形成された帯状の平板電極PL3Cの一方端に接続されている。平板電極PL3Cは、略J字形状を有している。平板電極PL3Cの他方端は、側面113に形成された接地端子GNDに接続されている。平板電極PL3~PL3CおよびビアVL3~VL3Bによって、図2におけるインダクタL13が形成される。このようにして、フィルタFLT1が形成される。
次に、ハイパスフィルタであるフィルタFLT2の詳細について説明する。下面112に形成されたアンテナ端子TAは、ビアVA1,VA2によって、第14層LY14に形成されたキャパシタ電極PC6に接続される。キャパシタ電極PC6は、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第13層LY13に形成されたキャパシタ電極PC9と部分的に重なるように配置されている。キャパシタ電極PC6とキャパシタ電極PC9とによって、図2におけるキャパシタC21が形成される。
キャパシタ電極PC9は、ビアVC1によって、第11層LY11に形成されたキャパシタ電極PC12、および第9層LY9に形成されたキャパシタ電極PC18に接続される。キャパシタ電極PC12の一部は、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第17層LY17に形成された平板電極PG1と重なるように配置されている。キャパシタ電極PC12と平板電極PG1とによって、図2のキャパシタC22が形成される。
また、キャパシタ電極PC12およびキャパシタ電極PC18は、ビアVC2によっても互いに接続されている。さらに、キャパシタ電極PC12,PC18は、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第10層LY10に形成されたキャパシタ電極PC15に部分的に重なるように配置されている。キャパシタ電極PC12,PC18とキャパシタ電極PC15とによって、図2におけるキャパシタC25が形成される。
キャパシタ電極PC18は、ビアVL4を介して、第2層LY2に形成された平板電極PG2に接続される。平板電極PG2は、側面113,114に形成された電極およびビアVG3,VG4によって、第17層LY17の平板電極PG1および接地端子GNDに接続される。側面113,114に形成された電極およびビアVG1~VG4によって、図2におけるインダクタL21が形成される。
平板電極PG2は、ビアVL4A,VL5Aによって、第10層LY10のキャパシタ電極PC15に接続されている。ビアVL4、平板電極PG2およびビアVL4Aによって、図2におけるインダクタL22が形成される。
キャパシタ電極PC15は、ビアVL5およびビアVL5Aを介して、第15層LY15に形成されたキャパシタ電極PC5にも接続されている。キャパシタ電極PC5は、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第17層LY17の平板電極PG1に重なるように配置されている。キャパシタ電極PC5と平板電極PG1とによって、図2におけるキャパシタC23が形成される。また、ビアVL5,VL5Aおよび平板電極PG2によって、図2のインダクタL23が形成される。
第11層LY11のキャパシタ電極PC12と、同じく第11層LY11に形成されたキャパシタ電極PC13とは、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第9層LY9に形成されたキャパシタ電極PC17に部分的に重なるように配置されている。キャパシタ電極PC12、PC13,PC17によって、図2におけるキャパシタC27が形成される。
キャパシタ電極PC13は、ビアVL6によって第14層に形成されたキャパシタ電極PC7に接続される。キャパシタ電極PC7は、積層体110をZ軸方向から平面視した場合に、第17層LY17の平板電極PG1と重なるように配置されている。キャパシタ電極PC7と平板電極PG1とによって、図2におけるキャパシタC24が形成される。
キャパシタ電極PC7は、ビアVL6Aによって、第2層LY2の平板電極PG2に接続される。平板電極PG2およびビアVL6Aによって、図2におけるインダクタL24が形成される。また、ビアVL5,VL5A,VL6Aは、互いに隣接して配置されており、これらのビア同士の間の静電容量によって、図2におけるキャパシタC26が形成される。
キャパシタ電極PC13は、ビアVL7によって、第4層LY4に形成された平板電極PL7に接続される。平板電極PL7は、側面113に形成された第2端子T2の電極に接続される。ビアVL7、平板電極PL7および第2端子T2の側面電極によって、図2におけるインダクタL25が形成される。図4~図6に示されるように、ビアVL7は、ビアVL6Aに隣接して平行に配置されており、かつ、ビアVL7が他のビアよりもビアVL6Aに近接して配置されている。このような配置にすることによって、ビアVL7とビアVL6Aとの磁気結合を強めることができる。
このように、第2端子T2に最も近いLC並列共振器RC3のインダクタL24を形成するビアVL6Aと、インダクタL25を形成するビアVL7とが磁気結合することによって、フィルタFLT2の高周波数側の非通過帯域に、追加の減衰極を形成することができる。これにより、高周波数側の非通過帯域における減衰量を大きくすることができるので、対象とする通過帯域の信号の高次数倍の信号に対する減衰特性を向上させることができる。
また、LC並列共振器と結合するインダクタL25が、第2端子T2に接続するように設けられており、共通端子であるアンテナ端子TAとインダクタL25との間に複数のキャパシタおよびインダクタが接続されている。これによって、インダクタL25とアンテナ端子TAとの磁気結合を低減できるため、インダクタL25を追加してもアンテナ端子TAから見たときのインピーダンス変化を小さくすることができる。さらに、インダクタL25とローバンド側のフィルタFLT1との物理的距離を大きくすることができるため、インダクタL25とフィルタFLT1との間の意図しない電界結合および/または磁気結合を低減することができる。これらの総合的な効果によって、当該インダクタL25によるローバンド側のフィルタFLT1への影響は小さくなる。したがって、このようにインダクタL25を配置することによって、ローバンド側のフィルタFLT1への影響を抑制しつつ、高周波数側の減衰特性を向上させることができる。
(通過特性)
次に、実施の形態のフィルタ装置100の通過特性について比較例を用いて説明する。図7は、比較例のフィルタ装置100Xの等価回路図である。
次に、実施の形態のフィルタ装置100の通過特性について比較例を用いて説明する。図7は、比較例のフィルタ装置100Xの等価回路図である。
図7を参照して、フィルタ装置100Xにおいては、フィルタ装置100におけるハイバンド側のフィルタFLT2が、フィルタFLT2Xに置き換わった構成を有している。比較例のフィルタFLT2Xにおいては、実施の形態のフィルタFLT2におけるインダクタL25が設けられていない。フィルタFLT2Xのその他の構成はフィルタFLT2と同様であるため、図7において図2と重複する要素の説明は繰り返さない。
図8は、実施の形態のフィルタ装置100および比較例のフィルタ装置100Xにおける通過特性を説明するための図である。図8の上段には、実施の形態のフィルタ装置100における、ローバンド側のフィルタFLT1およびハイバンド側のフィルタFLT2の、挿入損失(実線LN10,LN15)および反射損失(破線LN11,LN16)が示されている。また、図8の下段には、比較例のフィルタ装置100Xにおける、ローバンド側のフィルタFLT1およびハイバンド側のフィルタFLT2Xの、挿入損失(実線LN20,LN25)および反射損失(破線LN21,LN26)が示されている。なお、図8の各グラフにおいて、横軸には周波数が示されており、縦軸には挿入損失および反射損失が示されている。
図8を参照して、ハイバンド側のフィルタにおいては、通過帯域における挿入損失については、実施の形態の場合と比較例の場合でほぼ同じレベルとなっている。しかしながら、通過帯域よりも高周波数側の非通過帯域においては、実施の形態における挿入損失(実線LN15)が、比較例における挿入損失(実線LN25)比べて大きくなっている。特に、通過帯域(5.15GHz~7.13GHz)の2倍波および3倍波に対応する10GHz~22GHzの帯域幅においては減衰量が40dB以上となっており、実施の形態において高い減衰特性が得られていることがわかる。
一方、ローバンド側のフィルタにおいては、実施の形態および比較例のいずれのフィルタも、ほぼ同程度の通過特性となっている。したがって、実施の形態のフィルタ装置100のように、LC並列共振器と磁気結合するインダクタをハイバンド側のフィルタに追加しても、ローバンド側のフィルタへの影響がほとんどないことがわかる。
以上のように、ハイバンド側のフィルタに複数のLC並列共振器を含むフィルタ装置(ダイプレクサ)において、ハイバンド側の出力端子側にインダクタを設けて、出力端子に最も近い共振器に含まれるインダクタと磁気結合させることによって、ローバンド側のフィルタへの影響を抑制しつつ、ハイバンドの通過帯域よりも高周波数側の減衰特性を大幅に向上させることができる。
なお、上記の説明においては、外部端子の電極が積層体の側面にわたって配置される構成について説明したが、積層体の下面のみに外部端子が配置されるLGA(Land Grid Array)構成であってもよい。ただし、この場合には、インダクタの一部として利用していた側面電極の部分を、内部のビアとして形成することが必要となる、したがって、本実施の形態のように、側面電極を有する外部端子を用いることによって、積層体内部の省スペース化を実現することができ、結果としてフィルタ装置を小型化することができる。
また、上記の説明においては、ハイバンド側のフィルタに含まれるLC並列共振器が3段構成である例について説明したが、共振器の数はこれに限定されず、2つあるいは4つ以上の共振器を含むフィルタとしてもよい。共振器の数を増加すると減衰極の数を増加できるため、減衰特性を改善できるが、逆に通過帯域における損失も増加する。そのため、フィルタに含まれる共振器の数は、所望の減衰特性および通過特性に応じて適宜選択される。
さらに、フィルタ装置は、3つ以上のフィルタを含むマルチプレクサであってもよい。
なお、上記の説明においては、ハイバンド側のフィルタとして、複数のLC並列共振器と出力端子に接続されたインダクタとを含むフィルタを用いる構成の例について説明したが、上記の構成はハイバンド側のフィルタに代えてあるいは加えてローバンド側のフィルタに適用してもよい。ローバンド側のフィルタの2倍波あるいは3倍波の周波数帯域がハイバンド側のフィルタの通過帯域に重なると、ハイバンド側のフィルタ特性に影響が生じる可能性がある。そのため、ローバンド側のフィルタに上記の構成を適用することで、高周波数側の減衰特性を改善することができるので、高調波によるハイバンド側のフィルタへの影響を低減することができる。また、この場合にも、ローバンド側フィルタの出力端子側にインダクタを配置することによって、アンテナ端子から見た時のインピーダンス変化を低減させ、インピーダンス変化に伴うハイバンド側フィルタの特性劣化を抑制できる。
本実施の形態における「フィルタFLT1」および「フィルタFLT2」は、本開示における「第1LCフィルタ」および「第2LCフィルタ」にそれぞれ対応する。本実施の形態における「インダクタL25」および「インダクタL24」は、本開示における「第1インダクタ」および「第2インダクタ」にそれぞれ対応する。本実施の形態における「共振器RC1」、「共振器RC2」、および「共振器RC3」は、本開示における「第1共振器」~「第3共振器」にそれぞれ対応する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 通信装置、20 高周波フロントエンド回路、100,100X フィルタ装置、110 積層体、111 上面、112 下面、113,114 側面、ANT アンテナ装置、C11~C15,C21~C27 キャパシタ、DM 方向性マーク、FLT1,FLT2,FLT2X フィルタ、GND 接地端子、IN 入力端子、L11~L13,L21~L25 インダクタ、LNA1,LNA2 増幅回路、LY1~LY18 誘電体層、OUT1 第1出力端子、OUT2 第2出力端子、PC1~PC18 キャパシタ電極、PG1,PG2,PL1~PL1B,PL2~PL2B,PL3~PL3C,PL7 平板電極、RC1,RC2,RC3 LC並列共振器、T1 第1端子、T2 第2端子、TA アンテナ端子、VA1,VA2,VB1,VB2,VC1,VC2,VG1~VG4,VL1~VL1A,VL2~VL2B,VL3~VL3B,VL4,VL4A,VL5,VL5A,VL6,VL6A,VL7 ビア。
Claims (5)
- 複数の誘電体層が積層された積層体と、
前記積層体に形成された共通端子、第1端子および第2端子と、
前記共通端子と前記第1端子との間に接続され、第1通過帯域を有する第1LCフィルタと、
前記共通端子と前記第2端子との間に接続され、前記第1通過帯域とは異なる第2通過帯域を有する第2LCフィルタとを備え、
前記第2LCフィルタは、
互いに磁気結合する複数のLC並列共振器と、
前記第2端子に接続された第1インダクタとを含み、
前記第1インダクタは、前記複数のLC並列共振器のうち、前記第2端子に最も近い共振器に含まれる第2インダクタと磁気結合している、フィルタ装置。 - 前記共通端子、前記第1端子および前記第2端子は、前記積層体の側面に配置された側面電極を含む、請求項1に記載のフィルタ装置。
- 前記複数のLC並列共振器は、前記共通端子から前記第2端子に向かって接続され、互いに磁気結合する第1~第3共振器を含み、
前記第2インダクタは、前記第3共振器に含まれる、請求項1または2に記載のフィルタ装置。 - 前記第2通過帯域は、前記第1通過帯域よりも高い周波数帯域を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルタ装置を備えた、高周波フロントエンド回路。
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JP2020188778A JP2022077784A (ja) | 2020-11-12 | 2020-11-12 | フィルタ装置およびそれを搭載した高周波フロントエンド回路 |
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- 2020-11-12 JP JP2020188778A patent/JP2022077784A/ja active Pending
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