JP2022076590A - 軟磁性合金粉末及びその圧粉体並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな飽和磁化を有し、樹脂との親和性が高く、高透磁率かつ高飽和磁束密度の圧粉磁心を製造可能な、軟磁性合金粉末及びその圧粉体並びにそれらの製造方法を提供する。【解決手段】質量濃度で、Ni:40.0~50.0%及びCl:10~10000ppmを含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金粉末であって、平均粒径が0.10~2.00μmであり、平均結晶子径が前記平均粒径の0.5倍以上であることを特徴とする軟磁性合金粉末である。さらに、粒子の中心から該粒子の半径の0.9倍までの範囲内にある該粒子内の任意の点におけるNi濃度が、該粒子全体の平均Ni含有率の0.7~1.3倍であることが好ましい。これにより、大きな飽和磁化を有し、樹脂との親和性が高く、高透磁率かつ高飽和磁束密度の圧粉磁心の製造が容易になる。【選択図】図1

Description

本発明は、合金粉末及びその圧粉体に係り、特に高周波で使用されるインダクタ向けコア材として好適な軟磁性合金粉末及びそれを樹脂で結合した圧粉体、並びにそれらの製造方法に関する。
携帯機器の分野、特にスマートフォンやタブレットPC等に代表される小型携帯機器では、近年目覚ましく、高機能化・多機能化が進んでいる。それに伴い、搭載する電源回路のインダクタにも搭載台数の増加や集積回路ICの高機能化に伴う大電流化への対応という要求が強くなっている。また、携帯機器のより一層の小型化・薄型化の要求に対応して、コイル自体の小型化・低背化の要求も強くなっている。
高周波で動作させるインダクタのコア材料には、渦電流損失の抑制が必須であるため、従来、電気抵抗の大きなフェライトが用いられてきた。しかし、酸化物であるフェライトは飽和磁束密度が低く、直流重畳特性が悪いため、パワーインダクタの大電流化のニーズが増加してきているにも関わらず、大電流を流すことができなかった。このため、最近では、小型インダクタ用コア材料として、飽和磁束密度が高い金属系の軟磁性材料が注目されている。ところが、金属系軟磁性材料は、電気抵抗が小さく、渦電流損失の抑制のためには、微粉化が必須となる。
そもそもインダクタとして機能するためには、インダクタンスが大きいことが前提条件であるが、インダクタンスはコア材料の透磁率に比例するため、コア材としては、透磁率の高い材料が望ましい。
そして、優れた高透磁率の合金として開発されたものとしては、Ni-Fe合金があり、パーマロイと呼ばれている。パーマロイは、Niの量によって磁気特性が大きく変化することが知られており、その磁気特性に応じて、様々な用途に使い分けられている。
例えば、Niを78%前後含有する組成のパーマロイでは、結晶磁気異方性と磁歪定数の双方がほぼゼロとなるため、Ni-Fe合金の中では、初透磁率が最大となる。この組成の合金は、一般に78パーマロイまたはパーマロイAと呼ばれ、トランスの磁心などに用いられる。この78パーマロイにMoやCuを添加して更に透磁率を上昇させたものは、パーマロイCと呼ばれ、トランスの磁心や磁気ヘッドに用いられている。
また、78パーマロイよりもNi含有量が少ないNi含有量が45%前後の組成のパーマロイは、45パーマロイまたはパーマロイBと呼ばれており、この組成のパーマロイは、78パーマロイよりは、初透磁率は小さくなるが、飽和磁束密度は高くなるため、トランスの磁心や磁極、磁気シールド等の用途に適しており、広く用いられている。
これらのパーマロイの合金粉末は、従来、ガスアトマイズ法や機械的粉砕法によって製造されている。
近年のスイッチング電源の動作周波数では、渦電流損失の抑制のために金属系軟磁性材料に要求される粒子サイズは、平均粒径1μm以下というレベルに到達している。ところが、ガスアトマイズ法で製造可能な微粉は、平均粒径で数十μmというサイズが限界であり、平均粒径1μm以下というサイズのパーマロイ合金粉末の製造は不可能である。
また、パーマロイのように延性に富む合金は、微粉化すると再凝着するため、機械的粉砕法によって平均粒径1μm以下というサイズまで粉砕することは不可能であり、また粉砕時に導入された歪によって、軟磁気特性は大きく劣化し、本来、パーマロイが有している高い透磁率は得られないことが知られている。
パーマロイAの平均粒径1μm以下というサイズの微粒子の製造方法で、上記以外の製造方法としては、特許文献1に、塩化ニッケルと塩化鉄を主原料とする気相還元法(「化学的気相法」=Chemical Vapor Depositionともいい、以下略して、「CVD法」ともいう。)によって製造されたパーマロイAの合金粉末が開示されている。また、特許文献2も同様の気相還元法によってパーマロイA及びCの合金粉末を製造する方法が開示されている。さらに、特許文献3には、ニッケルと鉄の酸化物を原料として水素ガス等の還元性ガスにより製造されたパーマロイB(45%Ni-55%Fe)の合金粉末が開示されている。
特許第4209614号公報 特開2003-49203号公報 特開2012-197474号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の対象は、Niの含有率が55~90質量%のいわゆるNiリッチの組成範囲の合金に限られており、初透磁率を重視した飽和磁束密度が低いタイプのパーマロイであり、フェライトよりは飽和磁束密度が大きいが、現在のインダクタに要求されるレベルの飽和磁束密度には、全く不十分であった。
これらの軟磁性材料の微粉は、インダクタのコアとして使用するためには、微粉同士を電気的に絶縁した状態で所定の形状に成形しなければならず、そのために絶縁性の樹脂と混錬し所定の形状の圧粉体を製造し圧粉磁心として使用に供している。
圧粉磁心としての磁気特性は、軟磁性粉末の磁気特性だけではなく、軟磁性粉末の充填状態にも大きく依存し、充填率が低いほど、圧粉磁心としての磁気特性も低下する。
また、渦電流損失低減の観点からは、軟磁性粉末の粒径は小さい程好ましいが、従来のサブミクロンの軟磁性粉末は樹脂と混錬した場合に凝集を起こし易く、個々の軟磁性粉末粒子の表面にまで樹脂が行き渡らないため、粉末粒子同士が電気的に短絡し、渦電流損失が増大してしまい、せっかく製造した微粉のメリットを生かせない状況にあった。
また、特許文献3の対象は、Niの含有率としては、40~50質量%のいわゆるパーマロイBの組成範囲に相当する合金であり、高い飽和磁束密度が期待できる組成範囲であるが、製造原料としてNiとFeの酸化物を用いた固相還元法であること、またその還元温度が400℃~700℃と非常に低温(であることをメリットとして挙げている。)であるために、生成したNi-Fe合金粒子の球状性が悪く、圧粉磁心に成形した場合の充填率が低く飽和磁束密度が低くなる。また、還元温度が低く、原子の拡散速度が十分でないため、粒子内の組成や組織の均一性が低く、粒子内部における磁壁のスムーズな移動に支障を来すため、保磁力が高くなり、圧粉磁心の透磁率が低くなり損失が増大するという問題がある。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、高透磁率かつ高飽和磁束密度かつ低損失の圧粉磁心を製造することができる、樹脂との親和性が高く、大きな飽和磁化を有した軟磁性合金粉末を提供することを目的とする。
本発明者は、平均粒径1μm以下というサイズのパーマロイB合金粉末単独での磁気特性を高めるとともに、合金粉末と樹脂との親和性を高め、個々の合金粉末の粒子表面に樹脂を充分に被覆させることにより、合金粉末の粒子同士の電気的絶縁性を確保することで、優れた高周波軟磁気特性を有する圧粉磁心を実現できる合金粉末の組成及び粒子形態について鋭意検討した。その結果、パーマロイB合金粉末中に一定量のClを含有させること、また合金粉末の個々の粒子内部の均質性を高めることが肝要であることを見出した。
また、上記のような均質性の高いパーマロイB合金をCVD法で製造する方法を検討した。従来、特許文献1を含め、CVD法によるパーマロイ合金粉末の製造においては、Niの塩化物ガスとFeの塩化物ガスの還元を同時に行っていたが、Niの塩化物の還元に比べ、Feの塩化物の還元は困難であるため、Ni中にFeを15~25質量%程度までしか、合金化させることができなかった。そのため、Feを50~60質量%含むパーマロイB合金は、従来は、CVD法では製造することが困難であった。そこで、本発明者は、CVD法を用いたパーマロイB合金の製造方法について、鋭意検討したところ、NiとFeの還元反応を同時ではなく、順次行うことで均質な合金粉末を得る方法を新規に知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
〔1〕質量濃度で、Ni:40.0~50.0%及びCl:10~10000ppmを含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金粉末であって、該合金粉末の平均粒径が、0.10~2.00μmであり、平均結晶子径が、前記平均粒径の0.5倍以上であることを特徴とする軟磁性合金粉末。
〔2〕〔1〕における前記合金粉末において、粒子の中心から該粒子の半径の0.9倍までの範囲内にある該粒子内の任意の点におけるNi濃度が、該粒子全体の平均Ni含有率の0.7~1.3倍であることを特徴とする軟磁性合金粉末。
〔3〕〔1〕又は〔2〕において、前記合金粉末の保磁力が、15Oe以下であることを特徴とする軟磁性合金粉末。
〔4〕〔1〕ないし〔3〕のいずれか一つにおいて、前記合金粉末の飽和磁化が、130emu/g以上であることを特徴とする軟磁性合金粉末。
〔5〕〔1〕ないし〔4〕のいずれか一つの軟磁性合金粉末と樹脂との結合物であることを特徴とする圧粉体。
〔6〕〔5〕において、前記樹脂が、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂であることを特徴とする圧粉体。
〔7〕化学的気相法により、質量濃度で、Ni:40.0~50.0%及びCl:10~10000ppmを含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金粉末であって、該合金粉末の平均粒径が、0.10~2.00μmであり、平均結晶子径が、前記平均粒径の0.5倍以上である合金粉末を生成することを特徴とする軟磁性合金粉末の製造方法。
〔8〕〔7〕における前記合金粉末において、粒子の中心から該粒子の半径の0.9倍までの範囲内にある該粒子内の任意の点におけるNi濃度が、該粒子全体の平均Ni含有率の0.7~1.3倍であることを特徴とする軟磁性合金粉末の製造方法。
〔9〕〔7〕又は〔8〕において、前記化学的気相法が、Ni塩化物を還元してNi粒子を生成し、前記Ni粒子表面でFe塩化物の還元反応を行い、前記Ni粒子を核として当該表面をFeで被覆した複合粒子とした後、γNi-Fe固溶体単相となる温度領域で溶体化処理を行い、粒子内が均一な組成の合金粒子を得る方法であることを特徴とする軟磁性合金粉末の製造方法。
〔10〕〔9〕において、前記還元反応の温度が800~1100℃であり、前記溶体化処理の温度が900~1300℃であることを特徴とする軟磁性合金粉末の製造方法。
〔11〕化学的気相法により、質量濃度で、Ni:40.0~50.0%及びCl:10~10000ppmを含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金粉末であって、該合金粉末の平均粒径が、0.10~2.00μmであり、平均結晶子径が、前記平均粒径の0.5倍以上である軟磁性合金粉末を生成し、該軟磁性合金粉末に、樹脂を混合し、圧縮成形したことを特徴とする圧粉体の製造方法。
〔12〕〔11〕における前記合金粉末において、粒子の中心から該粒子の半径の0.9倍までの範囲内にある該粒子内の任意の点におけるNi濃度が、該粒子全体の平均Ni含有率の0.7~1.3倍であることを特徴とする圧粉体の製造方法。
〔13〕〔11〕又は〔12〕において、前記化学的気相法が、Ni塩化物を還元してNi粒子を生成し、前記Ni粒子表面でFe塩化物の還元反応を行い、前記Ni粒子を核として当該表面をFeで被覆した複合粒子とした後、γNi-Fe固溶体単相となる温度領域で溶体化処理を行い、粒子内が均一な組成の合金粒子を得る方法であることを特徴とする圧粉体の製造方法。
〔14〕〔13〕において、前記還元反応の温度が800~1100℃であり、前記溶体化処理の温度が900~1300℃であることを特徴とする圧粉体の製造方法。
〔15〕〔11〕ないし〔14〕のいずれか一つにおいて、前記樹脂が、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂であることを特徴とする圧粉体の製造方法。
本発明によれば、飽和磁化が大きく、樹脂密着性に優れた軟磁性合金粉末が容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、高透磁率で、高磁束密度かつ低損失の圧粉磁心の製造が容易になるという効果もある。
従って、本発明によれば、飽和磁束密度が高く直流重畳特性に優れた圧粉磁心を製造できるNi-Fe系軟磁性合金粉末を提供することが可能となり、本発明のNi-Fe系軟磁性合金粉末は、電子機器の高周波化並びに小型化が急速に進展している技術的趨勢に対応できる電子部品素材として、今後重要な役割が期待される。
Ni濃度均質性に関する実験における本発明例1のNi濃度分布を示す図である。 Ni濃度均質性に関する実験における従来例1のNi濃度分布を示す図である。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。
[合金粉末の組成]
本発明の軟磁性合金粉末は、Ni-Fe二元系合金、いわゆるパーマロイ合金の中で、Niが45%前後のパーマロイBと呼ばれる合金の粉末に属する。つまり、本発明の軟磁性合金粉末は、質量濃度で、Ni:40.0~50.0%及びCl:10~10000ppmを含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金粉末であって、該合金粉末の平均粒径が、0.10~2.00μmであり、平均結晶子径が、前記平均粒径の0.5倍以上である軟磁性合金粉末である。さらに、前記合金粉末の粒子の中心から該粒子の半径の0.9倍までの範囲内にある該粒子内の任意の点におけるNi濃度(%)が、該粒子全体の平均Ni含有率(%)の0.7~1.3倍であることが好ましい。以下、組成における%およびppmは、質量濃度であることを意味する。
次に、合金粉末の組成限定の理由について説明する。
[Ni:40.0~50.0%]
本発明の合金粉末のNi含有率は、40.0~50.0%の範囲に限定した。この範囲とすることにより、保磁力が低く、合金の飽和磁束密度と透磁率が高くなる。Ni含有率が40.0%を下回ると、合金の飽和磁束密度と透磁率が共に大きく低下する。一方、Ni含有率が50.0%を上回ると、合金の飽和磁束密度が急激に低下する。好ましくは、43.0~50.0%であり、より好ましくは、45.0~50.0%である。
[Cl:10~10000ppm]
Cl(塩素)を添加すると、樹脂と混合して圧粉磁心を製造した場合に、個々の粉末粒子間の絶縁性及び樹脂中の軟磁性粉末の体積率に極めて大きな影響を与える。すなわち、この範囲のClの存在が、樹脂との親和性を高め、粉末の充填密度を高めて、高透磁率にして、かつ高飽和磁束密度の圧粉磁心の製造を容易にする。Clの含有率が、10ppmより少ない場合には、軟磁性粉末と樹脂との親和性改善の効果に乏しく、個々の軟磁性粉末粒子の表面を樹脂で被覆できないことから、軟磁性粉末粒子間の電気的絶縁が不十分であるため、渦電流損失が増大する。一方、Clの含有率が、10000ppmより多い場合には、発錆し軟磁性粉末が腐食されるため、保磁力が増大し、飽和磁化が低下する。このため、Clの含有率は、10~10000ppmの範囲に限定した。好ましくは、30~1000ppmであり、より好ましくは、50~500ppmである。
また、上記の発錆の程度(発錆率)に関しては、合金粉末の耐錆性測定方法により調べることができる。この耐錆性測定方法は、合金粉末を樹脂に埋め込み固定した後、断面を鏡面研磨して、耐錆性測定用試験片とし、この試験片を恒温恒湿槽中に所定時間保持した後、試験片内の粒子について、ランダムに20個を選定し、発錆の有無を観察し、発錆している粒子の割合(発錆率)を算出するものである。なお、恒温恒湿槽は、温度:60℃、相対湿度:95%の条件で保持し、恒温恒湿槽中の保持時間は2000時間とする。こうして求めた本発明の合金粉末の発錆率は、使用上の不具合が発生しないことから10%以下であることが好ましい。さらに、5%以下であることがより好ましい。
[不可避的不純物]
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
なお、Fe以外の不可避的不純物元素として、C、N、P、S、Mn、Cu、Al等の元素が挙げられる。これらの不可避的不純物は、合金粉末の飽和磁化を低下させる元素であるが、合計で3%以下の含有であれば、実用上致命的とまで言える磁気特性の低下は生じないため、許容できる。なお、コアの飽和磁束密度の向上という観点からは、上記した元素の含有は、合計で1%以下とすることがより好ましい。
[合金粉末の平均粒径:0.10~2.00μm]
次に、平均粒径の限定理由について説明する。
合金粉末の平均粒径が、0.10~2.00μmの範囲であれば、軟磁性粉末の保磁力は低く、樹脂と混錬しても凝集し難く、樹脂中の粉体充填率も良好で、圧粉磁心として使用する際の飽和磁束密度が高くなる。しかし、平均粒径が、0.10μmより小さいと、軟磁性粉末の保磁力が増大する。また、凝集性が強いため、樹脂と混錬した場合には、軟磁性粉末同士が間に樹脂を介することなく直に接触した、ほぐれ難く嵩高い凝集体を形成するため、樹脂中での磁性体の流動性が悪く、充填率が上がらず、圧粉磁心としての飽和磁束密度が低下すると共に、個々の軟磁性粉末粒子間の電気的絶縁が確保できないため、圧粉磁心として使用する際の渦電流損失が増大する。一方、平均粒径が、2.00μmより大きいと、粒子間の絶縁が確保できていたとしても、粒子サイズが大きいため粒子内の渦電流が無視できない大きさとなり、圧粉磁心として使用する際の渦電流損失が増大するため、好ましくない。このため、平均粒径は、0.10~2.00μmの範囲に限定した。
平均粒径の測定方法は、合金粉末粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)観察し、撮像して倍率2万倍で測定粒子数1000~2000個のSEM画像解析により求めた個数基準のD50とする。なお、好ましくは0.20~1.50μmであり、より好ましくは0.20~1.00μmである。
[平均結晶子径]
次に、平均結晶子径について説明する。
通常、一個の粒子は、方位の異なる複数の結晶の複合体で構成されている。結晶子とは、その複合体を構成する、個々の結晶のことをいう。それら一つ一つの結晶の範囲内では、結晶方位が揃っており、それぞれを単結晶とみなすことができる。単結晶のX線回折では、ある特定の入射角の時に、すべての結晶格子がBraggの回折条件を同時に満たすため、極めてシャープな回折ピークが得られる。これに対して、結晶子サイズ(「結晶子径」ともいう。)が小さくなると、粒子を構成する結晶(結晶子)の数が増え、それぞれの結晶毎に、ばらばらの結晶方位を持っているため、回折ピークの幅は広がることになる。X線回折法では、Scherrerの式を用いて結晶子径を算出することができる。本発明においては、「JIS H 7805 X線回折法による金属触媒の結晶子径測定方法」によって算出した値で結晶子径を定義している。
同一粒径の粒子で比較した場合、結晶子径が大きい程、結晶性が高く、単結晶の飽和磁化の値に近づくため、大きな飽和磁化を示すと同時に保磁力が低下する。一方、結晶子径が小さい場合には、粒界や欠陥の多い構造となるため、飽和磁化は低下する。またそれらは同時に、磁壁移動の障害ともなるため、保磁力も増加する。したがって、軟磁気特性の点から、結晶子径は大きい方が望ましい。
ほぼ単結晶に近い内部構造を有することが望ましいという観点から、平均結晶子径は、平均粒径の0.5倍以上、すなわち、平均粒径の半分以上の大きさであることに限定した。より好ましくは、平均粒径の0.7倍以上、さらに好ましくは、平均粒径の0.8倍以上であることが望ましい。
なお、平均結晶子径と平均粒径の比の上限値は、実質的に1.0である。すなわち、粒子が一つの単結晶から形成されている場合には、結晶子径=粒径となり、本来であれば、その比は1.0である。ここで、実質的とした意味は、平均結晶子径は、前述したように、X線回折により求めているが、平均粒径は、SEM観察による画像解析を基準にして求めるものである。したがって、両者の測定方法が異なるために、仮に全ての粒子が完全に単結晶であった場合でも、平均結晶子径と平均粒径が全く同一の値とはならない可能性があり、その比が1.0を超える場合もあるので、前記の上限値を実質的に1.0とした。
[粒子内部のNi濃度均質性指標]
次に、粒子内部のNi濃度の均質性指標について説明する。
前述したように、従来のパーマロイ合金粉末の製造方法であるアトマイズ法などでは、本発明が目的とする平均粒径1μm以下というサイズの微粉末を得ることが難しく、磁気特性も好ましいものではなかった。そこで、平均粒径1μm以下というサイズの微粉末が作製可能な製法である従来のCVD法を用いてパーマロイの合金粉末を製造したところ、従来のCVD法によるパーマロイ合金粉末の製造においては、Niの塩化物ガスとFeの塩化物ガスの還元を同時に行っていたが、Niの塩化物の還元に比べ、Feの塩化物の還元は困難であるため、Feに比べてNiを多く含んだ粒子が生成し易く、Ni中にFeを15~25質量%程度までしか、合金化させることができなかった。収率を度外視して大量の未反応の塩化物が残ることを承知の上で、過剰量のFeの塩化物ガスを装入し強引にFe濃度を増加させようとしても、Niの方が速く還元されるため、粒子の中心付近はNi濃度が高く、表面付近はFe濃度が高くなりやすく均質性の高い粒子を製造することが困難であった。しかしながら、後述する本発明のCVD法を用いることにより、均質な合金粉末を得ることができるようになった。
上記の均質性指標に関する実験を行ったので、その内容について説明する。
CVD反応装置を用い、Ni含有率の値が46.0質量%または48.0質量%となるように調整した純度99.5質量%のNiCl2と純度99.5質量%のFeCl3とを準備し、後述する本発明のCVD法と、従来のCVD法により、Ni-Fe合金粉末を生成した。
本発明のCVD法による本発明例1~4は、まずNiCl2を、反応装置内で1000℃で気化させ、そこに水素ガスを反応させて、核となるNiの微粒子を製造し、さらに、そこにFeCl3を1000℃で気化させたガスを導入して、水素ガスを反応させて、Ni粒子の表面に、Feを析出・成長させ、最後に1100℃で複合粒子に溶体化処理をかけた後、冷却し、Ni-Fe合金粉末を回収した。
また、従来のCVD法による従来例1と2は、NiCl2とFeCl3を収率を度外視してFeが大過剰となる様な比率で混合した物を、この反応装置に連続的に装入し、1000℃に加熱した状態において、アルゴンガスを搬送ガスとして、NiCl2及びFeCl3を同時に気化させた。そして、塩化物蒸気と水素ガスとを接触、混合させ、還元反応を起こさせて、Ni-Fe合金の微粉末を生成した。
さらに、本発明例及び従来例ともに、得られた合金粉末に、純水を用いて洗浄する脱塩素工程を施し、塩素含有率を調整した。
表1に本発明例1~4と従来例1、2で得られた合金粉末の化学組成、平均粒径、粒子内のNi濃度の最小値と最大値、それらの平均Ni含有率との比を示し、さらに磁気特性も示す。
なお、Ni、Fe、Clの組成は湿式法で測定し、平均粒径は走査型電子顕微鏡の画像解析で測定した。また粒子内のNi濃度は、後述するエネルギー分散型X線分析法(EDX)により分析して求めた。
Figure 2022076590000002
表1に示す従来例1の粒子内のNi濃度の分布の例を図2に示した。図2の横軸は、粒子の中心位置(中心側)を0とし、粒子の表面(表面側)を10とし、その間を10等分した位置を示し、縦軸はNi濃度(質量%)を示したものである。この従来例1のNi濃度の分布の測定例である図2においては、表面近傍において、Ni濃度が10.1%程度まで低下し、中心部では72.4%と高くなっており、粒子内のNi濃度の均質性は得られていない。この理由は、従来のCVD法では、Niの塩化物ガスとFeの塩化物ガスを混合して反応管に流し、これを水素で同時に還元して合金粉を得ており、還元されやすいNiが先に還元され粒子の中心付近に、還元されにくいFeが粒子の表面付近に、それぞれ濃化していたからである。
これに対し、表1に示す本発明例1の粒子内のNi濃度の分布の例を示す図1においては、粒子の中心から表面近傍にかけてのNi濃度の分布は、45.4~48.1%の範囲内にあり、Ni濃度の均質性が得られている。この理由は、従来のプロセスでは無かった溶体化処理工程を付け加えることで、粒子の表面から中心まで、均一な組成のパーマロイ合金粉末が製造できることとなったからである。
表1から明らかなように、本発明例のNi-Fe合金粉末は、非常に優れた磁気特性を示している。
以上の実験で述べたように、粒子内部の均質性は、磁気特性に大きな影響を与えることが明らかになったことから、粒子内部の均質性を評価する指標として、粒子中のNi濃度に着目した。すなわち、粒子の中心から該粒子半径の0.9倍までの範囲内にある該粒子内の任意の点におけるNi濃度が、該粒子全体の平均Ni含有率の0.7~1.3倍にあることが好ましい。
ここで、粒子の中心から粒子半径の0.9倍までの範囲内の粒子内を採用した理由は、粒子の表面は酸化の影響を受けているので、これを除外し、酸化の影響を受けていない粒子内部の状況により均質性を確認するようにしたものである。
上記のNi濃度の値は、前述の実験例においても記載したように、粉末を樹脂に埋めて集束イオンビーム(FIB)加工装置で任意の粒子を切断した断面をエネルギー分散型X線分析法(EDX)により分析して得られるものである。粒子全体を平均したNi含有率は、EDXのビーム径を粒子径に合わせて測定した値である。粒子内のNi濃度の最小値~最大値の範囲が、平均のNi含有率の0.7~1.3倍の範囲にあることは、粒子の内部の均質性を担保するものである。より好ましくは、0.8~1.2倍の範囲であり、さらに好ましくは、0.9~1.1倍の範囲が望ましい。
以上のような粒子内部の均質性指標を用いることにより、Ni濃度の均質性を判断することができ、上記の好適範囲内とすることで、保磁力や飽和磁化などの磁気特性に優れた合金粉末を得ることができる。
[合金粉末の磁気特性]
[保磁力]
本発明における合金粉末の保磁力の測定は、合金粉末を所定の容器に入れ、パラフィンを融解、凝固させて固定したものを振動試料型磁力計(VSM)を用いて、印加磁界:1200kA/mの条件で測定した。本発明の目的とするインダクタや変圧器の磁心などの用途では保磁力は小さいことが望ましい。具体的には、15Oe以下であることが好ましい。より好ましくは、10Oe以下である。
[飽和磁化]
本発明における合金粉末の飽和磁化の測定は、前記の保磁力の測定と同様に、VSMを用いて、印加磁界:1200kA/mの条件で測定した。本発明の目的とするインダクタや変圧器の磁心などの用途では飽和磁化は大きいことが望ましい。具体的には、130emu/g以上であることが好ましい。より好ましくは、142emu/g以上である。
[合金粉末の製造方法]
つぎに、本発明の合金粉末の製造方法について説明する。
本発明の合金粉末は、CVD法を用いて製造する。CVD法は、前述したように、Ni及びFe等の合金元素を、高温の塩素ガスと反応させて生成した各元素の塩化物ガス、あるいは、Ni、Feなどの各元素の塩化物を高温に加熱して気化させた塩化物ガスを所定の比率で混合させた混合ガスに、それぞれ適した温度で、水素ガスなどの還元性ガスを反応させて塩化物を還元し、Ni、Fe等を含有する所望組成の合金粉末を得る方法である。
しかし、本発明のCVD法は、従来のCVD法とは異なり、Niの塩化物とFeの塩化物の還元を同時には行わずに、CVD反応の初期において、まずNi塩化物を還元してNi微粒子を生成させ、その後、生成したNi微粒子の触媒効果を利用して、このNi微粒子の表面においてFe塩化物の還元反応を促進させて、Ni微粒子を核として表面をFeが覆う複合粒子を製造する。その後、γNi-Fe固溶体単相となる温度領域での溶体化処理を行い、粒子内が均一な組成のNi-Fe合金粉末粒子を得る、というプロセスからなるものであり、CVD反応装置の内部で、一連のプロセスを完了させるものである。
ここで、CVD反応の初期に行うNi塩化物の還元反応は、Ni塩化物を800~1100℃に加熱し、気化させて、還元性ガス(例えば、水素ガス)と反応させて行うことによりNi微粒子(0.05~1.5μm程度)を生成するものであり、続くFe塩化物の還元反応は、生成したNi微粒子の表面上で、高温(800~1100℃程度)で気化させたFe塩化物に還元性ガス(例えば、水素ガス)と反応させて行うものである。この還元反応の温度が800℃未満では、十分な還元反応が起こらず、また1100℃を超えると、還元反応の平衡定数が減少するため、還元率は低下するため残留塩素が増加する。従って還元温度は、800~1100℃の範囲が望ましい。より好ましくは、900~1000℃の範囲である。さらに、その後に行う前述の溶体化処理は、900~1300℃の温度域で行うことが好ましい。900℃未満では、十分な均質化が起こらないため、下限温度を900℃とした。溶体化処理温度が高いことは、均質性向上および結晶子サイズ増大の観点からは、何ら支障はないが、必要以上に溶体化処理温度を上昇させることは、エネルギーコストの上昇を招くだけでなく、1300℃を超えると、冷却過程において生成粒子同士が融着し連結粒子が発生し、磁気特性の低下を招くため、上限温度は1300℃とした。より好ましくは、1000~1200℃の範囲である。
また、本発明の合金粉末のCVD法では、それぞれの塩化物ガスの濃度、還元性ガスの濃度、流量、さらに還元反応の温度及び反応時間などは、適宜調整して所望の合金粉末を得るようにすることが望ましい。
上記の還元反応後、得られた合金粉末は、さらに脱塩素工程を施される。
脱塩素工程は、溶剤を用いて、得られた合金粉末を洗浄し、塩素濃度を調整する工程である。使用する溶剤としては、未反応の塩化物や還元反応によって生成した副生成物を溶解する溶剤を用いることが好ましい。このような溶剤としては、水、アルコール等が例示される。所定の塩素濃度に到達したところで、脱塩素工程は終了し、目標の合金粉末が得られる。
[圧粉体]
本発明の合金粉末を樹脂中で分散させることにより、充填密度の高い低磁心損失の圧粉体を製造することが容易になる。
圧粉体の製造方法としては、特段の制約はなく、公知の方法で製造が可能である。まず、前記合金粉末と、結合剤としての樹脂とを混合し、前記合金粉末が樹脂中に分散した混合物を得る。また、必要に応じて、得られた混合物を造粒して造粒物としてもよい。その混合物または造粒物を圧縮成形することにより、成形体(圧粉体)が得られる。
結合剤として混合する樹脂としては、前記合金粉末表面との親和性が向上する樹脂であることが好ましく、具体的には、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。また、紫外線硬化型樹脂としては、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂等が挙げられる。さらに、熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ナイロン樹脂(ポリアミド系樹脂)が挙げられる。これらの樹脂が前記合金粉末表面との親和性の向上に効果を示した。
そして、混合物または造粒粉を金型内に充填して圧縮成形し、製造すべき圧粉体の形状を有する成形体(圧粉磁心)が得られる。なお、樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合には、50~200℃で熱処理を行っても良い。得られた圧粉体は、前記合金粉末と樹脂とが密に結合した結合物である。
[圧粉体の鉄損]
磁心損失(鉄損)は、磁性材の磁心を持つインダクタや変圧器などのコイルにおいて、その磁心の物性のために発生する損失のことであって、変圧器などの効率を低下させる要因の一つである。鉄損の測定は、合金粉末をエポキシ樹脂中に混合し分散させた混合粉をリング状金型(外径:13.0mm、内径:8.0mm)に充填し、プレス成型したのち、樹脂を硬化させて、厚さ:3.0mmのトロイダルコア(圧粉磁心)とし、1次側20ターン、2次側20ターンの巻線を与えてコイルとした。そのコイルをB-Hアナライザ(岩通計測株式会社製SY-8218)を用いて、磁束密度0.010T、周波数800kHzの条件で鉄損を測定した。本発明の圧粉体の鉄損は、200kW/m3以下である。さらに好ましくは、150kW/m3以下である。
以下、さらに本発明について、実施例に基づき、さらに説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例のみに限定されるものではない。
表2に示す組成の合金粉末を製造した。
Figure 2022076590000003
原料として、Niの塩化物、Feの塩化物をそれぞれ準備した。そして、まずNi塩化物を、反応装置内で1000℃で気化させる。そこに水素ガスを反応させて、核となるNiの微粒子を製造する。さらに、そこにFeの塩化物を1000℃で気化させた塩化物ガスを導入して、そこに水素ガスを反応させて、Ni粒子の表面に、Feを析出・成長させ、最後に、反応装置の後段において1100℃で5~10秒間、この複合粒子に溶体化処理をかけて、冷却・回収する。ついで、得られた各種合金粉末に、純水を用いて洗浄する脱塩素工程を施し、塩素含有率を調整した。
得られた各種合金粉末について、磁気特性、耐錆性、鉄損を調査した。調査方法は次のとおりとした。
(1)磁気特性
得られた各種合金粉末について、振動試料型磁力計(東英工業社製)を用いて、保磁力、飽和磁化を測定した。
(2)耐錆性
得られた各種合金粉末を、樹脂に埋め込み固定したのち、断面を鏡面研磨して、耐錆性測定用試験片とした。これら試験片を、恒温恒湿槽中に所定時間保持したのち、試験片内の粒子について、ランダムに20個を選定し、発錆の有無を観察し、発錆している粒子の割合を算出した。なお、恒温恒湿槽は、温度:60℃、相対湿度:95%の条件で保持した。また、恒温恒湿槽中の保持時間は2000時間とした。
(3)鉄損
得られた各種合金粉末を、表1に示す粉体体積率で樹脂(エポキシ樹脂)中に混合し分散させ、各種混合粉とした。これら混合粉をリング状金型(外径:13mm、内径:8mm)に充填し、プレス成型したのち、樹脂を硬化させて、厚さ:3mmのトロイダルコアを製造した。得られたコアに、1次側20ターン、2次側20ターンの巻線を与えて、B-Hアナライザ(岩通計測株式会社製SY-8218)を用いて、磁束密度10mT、周波数800kHzの条件で、鉄損(コアロス)を測定した。
(4)平均粒径と平均結晶子径
得られた合金粉末について、SEM観察し撮像して倍率2万倍で測定粒子数1000~2000個のSEM画像解析により求めた個数基準のD50を平均粒径とした。また、平均結晶子径は、前述した「JIS H 7805」に基づいて測定した。
(5)個々の粒子内のNi濃度(粒子内部の均質性指標)
合金粉末を構成する個々の粒子における粒子内の任意の点におけるNi濃度は、粉末を樹脂に埋めて集束イオンビーム(FIB)加工装置で任意の粒子を切断した断面をエネルギー分散型X線分析法(EDX)により分析して測定した。そして、個々の粒子の中心から粒子半径の0.9倍までの範囲内にある任意の点におけるNi濃度を求め、その中の最小値及び最大値を抽出し、また、その粒子全体の平均Ni含有率は、EDXのビーム径を粒子径に合わせて測定した。抽出した最小値及び最大値と、測定した平均Ni含有率との比を求めた。
以上の得られた結果を、表2にまとめて記載する。
表2の第1Grは、Cl含有率が低いデータであり、粉末体積率が悪く鉄損が大きくなっている。第2Grは、Ni含有率を変化させたデータであり、Ni含有率が好適範囲外では保磁力が悪く鉄損も大きくなる。第3Grは、Cl含有率を変化させたデータであり、好適範囲外では粉体体積率が悪く鉄損も大きくなる。第4Grは、粒子の均質性指標を変化させたデータであり、溶体化処理温度が適切な範囲にある場合には、Ni濃度と平均Ni含有率との比の最小値と最大値が好適範囲内にあり、磁気特性などが良くなっている。第5Grは、還元温度を変化させることによって、平均結晶子径を変化させたデータであり、還元温度が適正範囲に無い場合には、平均結晶子径が小さく、かつ組成の均質性が悪く、そのため磁気特性が悪くなっている。最後の第6Grは、平均粒径を変化させたデータであり、好適範囲外では、鉄損などの磁気特性が悪くなっている。
なお、表中で、例えば、「100<」は「100より大きい」を意味する。
各データで、実施例と記載したデータは、いずれも、10Oe以下の低保磁力で、130emu/g以上の高い飽和磁化を保持し、耐錆性に優れた合金粉末であり、さらに圧粉コアとした場合に鉄損が150kW/m3以下である、コアロスの低い圧粉コアを製造できる、という顕著な効果を奏する。
一方、本発明の範囲を外れる比較例と記載したデータは、保磁力が20Oeを超えて高いか、飽和磁化が130emu/g未満と低いか、あるいは耐錆性が低下している合金粉末であり、圧粉コアとした場合に鉄損が300kW/m3を超えてコアロスが高い圧粉コアとなっている。
以上のように、本発明は、鉄系軟磁性材料とはケタ違いに大きな100,000という最大透磁率と、1.5TというパーマロイCの約2倍の大きな飽和磁束密度を合わせもつことで知られているパーマロイBという合金の、平均粒径1μm以下というサイズの微粒子をCVD法により製造する技術を提供するものである。

Claims (15)

  1. 質量濃度で、Ni:40.0~50.0%及びCl:10~10000ppmを含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金粉末であって、該合金粉末の平均粒径が、0.10~2.00μmであり、平均結晶子径が、前記平均粒径の0.5倍以上であることを特徴とする軟磁性合金粉末。
  2. 前記合金粉末において、粒子の中心から該粒子の半径の0.9倍までの範囲内にある該粒子内の任意の点におけるNi濃度が、該粒子全体の平均Ni含有率の0.7~1.3倍であることを特徴とする請求項1に記載の軟磁性合金粉末。
  3. 前記合金粉末の保磁力が、15Oe以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の軟磁性合金粉末。
  4. 前記合金粉末の飽和磁化が、130emu/g以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の軟磁性合金粉末。
  5. 前記軟磁性合金粉末と樹脂との結合物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の圧粉体。
  6. 前記樹脂が、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の圧粉体。
  7. 化学的気相法により、質量濃度で、Ni:40.0~50.0%及びCl:10~10000ppmを含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金粉末であって、該合金粉末の平均粒径が、0.10~2.00μmであり、平均結晶子径が、前記平均粒径の0.5倍以上である合金粉末を生成することを特徴とする軟磁性合金粉末の製造方法。
  8. 前記合金粉末において、粒子の中心から該粒子の半径の0.9倍までの範囲内にある該粒子内の任意の点におけるNi濃度が、該粒子全体の平均Ni含有率の0.7~1.3倍であることを特徴とする請求項7に記載の軟磁性合金粉末の製造方法。
  9. 前記化学的気相法が、Ni塩化物を還元してNi粒子を生成し、前記Ni粒子表面でFe塩化物の還元反応を行い、前記Ni粒子を核として当該表面をFeで被覆した複合粒子とした後、γNi-Fe固溶体単相となる温度領域での溶体化処理を行い、粒子内が均一な組成の合金粒子を得る方法であることを特徴とする請求項7又は8に記載の軟磁性合金粉末の製造方法。
  10. 前記還元反応の温度が800~1100℃であり、前記溶体化処理の温度が900~1300℃であることを特徴とする請求項9に記載の軟磁性合金粉末の製造方法。
  11. 化学的気相法により、質量濃度で、Ni:40.0~50.0%及びCl:10~10000ppmを含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金粉末であって、該合金粉末の平均粒径が、0.10~2.00μmであり、平均結晶子径が、前記平均粒径の0.5倍以上である軟磁性合金粉末を生成し、該軟磁性合金粉末に、樹脂を混合し、圧縮成形したことを特徴とする圧粉体の製造方法。
  12. 前記合金粉末において、粒子の中心から該粒子の半径の0.9倍までの範囲内にある該粒子内の任意の点におけるNi濃度が、該粒子全体の平均Ni含有率の0.7~1.3倍であることを特徴とする請求項11に記載の圧粉体の製造方法。
  13. 前記化学的気相法が、Ni塩化物を還元してNi粒子を生成し、前記Ni粒子表面でFe塩化物の還元反応を行い、前記Ni粒子を核として当該表面をFeで被覆した複合粒子とした後、γNi-Fe固溶体単相となる温度領域で溶体化処理を行い、粒子内が均一な組成の合金粒子を得る方法であることを特徴とする請求項11又は12に記載の圧粉体の製造方法。
  14. 前記還元反応の温度が800~1100℃であり、前記溶体化処理の温度が900~1300℃であることを特徴とする請求項13に記載の圧粉体の製造方法。
  15. 前記樹脂が、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1項に記載の圧粉体の製造方法。
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