JP2022073606A - バリア紙、並びに、前記バリア紙を含む容器及び蓋材、並びに、バリア紙の製造方法 - Google Patents

バリア紙、並びに、前記バリア紙を含む容器及び蓋材、並びに、バリア紙の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】紙基材層を含むバリア紙に関して、ガスバリア性に優れたバリア紙を提供する。【解決手段】紙基材層10、接着剤層30、無機蒸着層40をこの順に有し、前記接着剤層30と前記無機蒸着層40とが接してなり、前記接着剤層30の厚みの標準偏差が0.80μm以下である、バリア紙。【選択図】図1

Description

本発明は、バリア紙、並びに、前記バリア紙を含む容器及び蓋材、並びに、バリア紙の製造方法に関する。
近年、マイクロプラスチックなどによる環境問題が大きく取り上げられている。紙を用いた製品においても、環境負荷を低減する為に、製品をできるだけ紙のみで構成することによってリサイクル性を向上したり、生分解性を向上したりすることが求められ始めた。
従来から、食品、医療、化成品、化粧品等の内容物の水分や酸素による品質低下を抑制する包装方法として、ガスバリア性の高い包装材料を用いる手法、内容物の収容部を窒素ガス等の不活性ガスによってガス置換する手法、還元鉄粉などが包装された脱酸素剤を同梱する手法等が実施されている。しかし、前述した手法は、性能が不十分であったり、包装コストが上昇したり、ゴミが増えたり、水分がある環境下でしか性能が発揮しなかったり、誤飲したりする問題点が挙げられている。
リサイクル及び焼却処理時の環境負荷低減のために、紙材を用いた包装材料が注目され始めている。しかし、紙材のみではガスバリア性が不十分である。紙材のガスバリア性を高める手法として、紙材の表面を樹脂でコーティングする手法、金属箔又は無機蒸着層を有する樹脂フィルムを紙材に積層したりする手法が考えられる。しかし、前述した手法は、リサイクル性及び生分解性が低下したり、樹脂成分を原因として焼却時に焼却炉を傷めたり、金属箔による焼却残差を大量に発生させたりする問題があった。
特許文献1には、多糖類と珪素化合物との重縮合物からなる目止め層を表面に有する紙またはパルプモールドからなる基材に、プラズマ重合によるガスバリア性の薄膜層を積層した積層体が開示されている。
しかしながら、特許文献1の積層体は、目止め層の厚さを数10μm程度に厚くする必要があり、目止め層の塗布形成方法が限定される。
さらに、特許文献1の積層体は、ガスバリア性の薄膜層を形成するプラズマ重合装置に紙またはパルプモールドからなる基材を入れることを要する。このために、特許文献1の積層体は、基材から発生する紙粉またはパルプ粉によって、プラズマ重合装置内をプラズマ重合に適合した気圧まで減圧することが阻害され易く、安定したガスバリア性の薄膜層の形成が困難であった。また、特許文献1の積層体は、高レベルのガスバリア性を得ることが困難であった。
特許第4622201号公報
本発明の課題は、紙基材層を含むバリア紙に関して、ガスバリア性に優れたバリア紙を提供することである。
本発明者らは検討した結果、バリア紙を、紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有する構成とし、さらに、接着剤層の厚みの標準偏差を所定の値とすることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明は、以下の[1]~[4]を提供する。
[1]紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有し、前記接着剤層と前記無機蒸着層とが接してなり、前記接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μm以下である、バリア紙。
[2]前記[1]に記載のバリア紙を含む容器。
[3]前記[1]に記載のバリア紙を含む蓋材。
[4]下記の工程1~2を含む、バリア紙の製造方法。
工程1:離型性を有する支持体上に無機蒸着層を有する無機蒸着層供与体と、紙基材層とを、接着剤層を介して貼り合わせて、バリア紙中間体を作製する工程。但し、工程1において、前記無機蒸着層供与体は、前記離型性を有する支持体を基準として、前記無機蒸着層を有する側の面が前記紙基材層側を向くように配置する。
工程2:工程1で得たバリア紙中間体から前記離型性を有する支持体を剥離して、下記のバリア紙を得る工程。
(バリア紙)
紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有し、前記接着剤層と前記無機蒸着層とが接してなり、前記接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μm以下である、バリア紙。
本発明のバリア紙は、紙基材層を含むバリア紙のガスバリア性を良好にすることができる。また、本発明の容器又は蓋材は、ガスバリア性を良好にすることができる。また、本発明のバリア紙の製造方法は、ガスバリア性に優れたバリア紙を簡易に製造することができる。
本発明のバリア紙の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明のバリア紙の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明のバリア紙の一実施形態を示す概略断面図である。 従来のバリア紙の一実施形態を示す概略断面図である。 表面形状の測定箇所の一例を説明する図である。
[バリア紙]
本実施形態のバリア紙は、紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有し、前記接着剤層と前記無機蒸着層とが接してなり、前記接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μm以下である。
本明細書において、「標準偏差」は、特に断りのない限り、「標準偏差1σ」を意味する。
また、本明細書において、「AA~BB」の数値範囲は、「AA以上BB以下」の数値範囲を意味する。
図1~図3は、本発明のバリア紙100の一実施形態を示す概略断面図である。図1~図3のバリア紙100は、紙基材層10、接着剤層30、無機蒸着層40をこの順に有し、接着剤層30と無機蒸着層40とが接している。また、図1~図3のバリア紙100は、紙基材層10と接着剤層30との間に目止め層20を有している。また、図2のバリア紙100は、無機蒸着層40の接着剤層30とは反対側に剥離層50を有している。また、図3のバリア紙100は、無機蒸着層40の接着剤層30とは反対側に剥離層50及びヒートシール層60を有している。
図1~図4のバリア紙100において、「無機蒸着層40の紙基材層10とは反対側の面」は、図中の「X」の面を示している。
下記(1)~(8)に、本実施形態のバリア紙の積層構成の例を示す。なお、下記(1)~(8)において、接着剤層と無機蒸着層とが接して積層されているものとする。
(1)紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有する積層構成。
(2)紙基材層、接着剤層、無機蒸着層、剥離層をこの順に有する積層構成。
(3)紙基材層、接着剤層、無機蒸着層、保護層をこの順に有する積層構成。
(4)紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有し、さらに、無機蒸着層の接着剤層とは反対側にヒートシール層又はシーラント層を有する積層構成。
(5)紙基材層、接着剤層、無機蒸着層、剥離層をこの順に有し、さらに、剥離層の無機蒸着層とは反対側にヒートシール層又はシーラント層を有する積層構成。
(6)紙基材層、接着剤層、無機蒸着層、保護層をこの順に有し、さらに、保護層の無機蒸着層とは反対側にヒートシール層又はシーラント層を有する積層構成。
(7)紙基材層、接着剤層、無機蒸着層、保護層、剥離層をこの順に有し、さらに、剥離層の無機蒸着層とは反対側にヒートシール層又はシーラント層を有する積層構成。
(8)紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有し、さらに、紙基材層の接着剤層とは反対側及び無機蒸着層の接着剤層とは反対側に、ヒートシール層又はシーラント層を有する積層構成。
本実施形態のバリア紙は、図1~図3の積層構成、及び、上記(1)~(8)の積層構成に限定されない。本実施形態のバリア紙は、本発明の効果を阻害しない範囲で、印刷層、機能層、補強層、第2の接着剤層等のその他の層を有していてもよい。その他の層が配置箇所としては、「紙基材層と接着剤層との間」、「紙基材層の接着剤層とは反対側」、「無機蒸着層の接着剤層とは反対側」が挙げられる。
本実施形態のバリア紙を使用する際のバリア紙の向きは特に制限されない。本実施形態のバリア紙を包装材料として用いる場合にもバリア紙の向きは制限されないが、接着剤層を基準として無機蒸着層側が内層側となるように使用することが好ましい。なお、包装材料における内側とは、内容物側を意味する。
<紙基材層>
紙基材層を構成する紙基材は、汎用の紙基材を用いることができる。
紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ-ル紙、クラフト紙、板紙、コート紙、キャストコート紙、ミルク原紙、加工原紙、上質紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、樹脂コート紙、剥離原紙、両面コート剥離原紙等が挙げられる。
紙基材層は、1層で構成されていてもよく、同一又は異なる2以上の紙基材を含む多層で構成されていてもよい。2以上の紙基材間は接着剤等の汎用の積層手段によって積層することができる。
紙基材層の坪量及び厚みは特に制限されない。バリア紙に適切な強度や腰を付与する目的から、紙基材層の坪量は30g/m以上600g/m以下が好ましく、50g/m以上450g/m以下がより好ましい。また、バリア紙に適切な強度や腰を付与する目的から、紙基材層の厚みは5μm以上200μm以下が好ましく、30μm以上100μm以下がより好ましく、40μm以上80μm以下が更に好ましい。
紙基材層の原料パルプとしては、平滑性の観点から、針葉樹パルプ(N材)と広葉樹パルプ(L材)を混合したものが好ましい。平滑性をより高める観点から、広葉樹パルプ(L材)の混合率が50質量%以上90質量%以下が好ましい。
紙基材が充分な耐熱性を有するためには中性紙であることが好ましく、サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを用いてサイズした中性紙がより好ましい。
紙基材層は、必要に応じて、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等の添加剤を含有していてもよい。
また、紙基材層は、紙基材層と接する層との密着性を良好にするため、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、グロー放電処理、サンドブラスト処理等の物理的な表面処理、化学薬品を用いた酸化処理等の化学的な表面処理を予め施しておくこともできる。
バリア紙の総厚みに対する紙基材層の厚みの割合は、60%以上100%未満が好ましく、63%以上90%以下がより好ましく、65%以上80%以下がより好ましい。
前記割合を60%以上とすることにより、リサイクル性及び生分解性が低下することを抑制しやすくできる。また、前記割合を100%未満とすることにより、バリア性を維持しやすくできる。
<接着剤層>
本実施形態のバリア紙は、紙基材層と無機蒸着層との間に接着剤層を有する。また、接着剤層は、無機蒸着層と接して積層されてなることを要する。
接着剤層と無機蒸着層とが接して積層されてなることにより、無機蒸着層の接着剤層側にクラックが生じた際に、接着剤層がクラックを補修し、バリア性を維持しやすくできる。また、紙基材層と無機蒸着層との間に接着剤層を有することにより、Ra1、σRa1、Rku1等の表面形状を後述する範囲にしやすくできる。
接着剤層は、紙基材層の一方の側の面上の略全面に有することが好ましい。「略全面」とは、紙基材層の一方の側の面積の95%以上を意味し、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは100%である。
接着剤層を構成する接着剤としては、湿気硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤、乾燥硬化型接着剤、UV硬化型接着剤、感熱接着剤(例えば、ホットメルト型接着剤)、感圧接着剤(いわゆる粘着剤)等が挙げられる。
上記の接着剤は、汎用の接着剤であってもよいし、特定の接着剤であってもよい。
汎用の接着剤としては、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステル系ポリウレタン接着剤、ポリエーテル系ポリウレタン接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤が挙げられる。また、汎用の接着剤として、ポリオレフィン系樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂が挙げられる。これらの接着剤は、単独または複数を組み合せて使用できる。
特定の接着剤は、無機蒸着層を保護する接着剤が好ましい。
無機蒸着層を保護する接着剤とは、ガスバリア性を発揮する無機蒸着層を保護することによって、バリア紙のガスバリア性を維持しやすくする接着剤である。例えば、バリア紙に屈曲負荷が掛かった場合に、無機蒸着層のクラック発生を抑制し、屈曲負荷後に無機蒸着層に微小なクラックが生じ始めた場合においても、ガスバリア性の低下を抑制する作用を発揮することができる接着剤である。
無機蒸着層を保護する接着剤のより詳細な実施形態は後述する。
接着剤層のガラス転移温度は、好ましくは-30℃以上80℃以下であり、より好ましくは0℃以上70℃以下であり、更に好ましくは25℃以上70℃以下である。ガラス転移温度を-30℃以上とすることにより、接着剤層の凝集力が不足することなく、接着剤層と接着剤層に接する層との密着力を維持しやすくできる。ガラス転移温度を80℃以下とすることにより、室温付近において、接着剤層と接着剤層に接する層との密着力を良好にしやすくできる。
接着剤層の残留溶剤は少ないことが好ましい。接着剤層中の残留溶剤は、6mg/m以下であることが好ましい。残留溶剤量は0mg/mであることが最も好ましいが、実用的には6mg/m以下であることが好ましい。
接着剤層中の残留溶剤量を6mg/m以下にすることによって、「残留溶剤により接着力が低下することの抑制」、「乾燥時の接着剤層の体積収縮により、無機蒸着層の接着剤層側の面に、歪及び微小な剥離欠陥が生じ、ガスバリア性が低下することの抑制」、「バリア紙からの溶剤臭が発生することの抑制」が期待できる。接着剤層中の残留溶剤量を低減する為には、揮発性の高い溶剤を用いたり、無溶剤型または水性型の接着剤を用いて接着剤層を形成したりすることが好ましい。
バリア紙が接着剤層以外に溶剤を含有する層を含んでいない場合は、バリア紙全体の溶剤含有量を測定することによって、接着剤層の溶剤含有量として検出することができる。
接着剤層の厚みは、1μm以上20μm以下が好ましく、2μm以上10μm以下がより好ましい。
接着剤層の厚みを1μm以上とすることにより、接着剤層と接着剤層に接する層との密着力を良好にしやすくできる。また、接着剤層の厚みを20μm以下とすることにより、費用対効果を適切にすることができ、さらには接着剤層を形成しやすくすることができる。
接着剤層を構成する接着剤が、無機蒸着層を保護する接着剤の場合、接着剤層の厚みは、上記範囲内で厚い範囲とすることが好ましい。具体的には、接着剤層を構成する接着剤が、無機蒸着層を保護する接着剤の場合、接着剤層の厚みは、1.5μm以上20μm以下が好ましい。厚みを1.5μm以上とすることにより、無機蒸着層を保護しやすくでき、厚みを20μm以下とすることにより、接着剤層自身の剛性が強くなり過ぎて、無機蒸着層の保護効果が低下することを抑制できる。
本明細書において、接着剤層の厚みは、例えば、下記(x1)~(x4)の手法により算出できる。接着剤層以外の層の厚みも下記(x1)~(x4)と同様の手法で算出できる(但し、下記(x2)~(x4)において、「接着剤層」を「厚みを算出する層(例えば、紙基材層、目止め層等)」に読み替えるものとする。)。
(x1)バリア紙を紙面に対して垂直方向に切断したサンプル1を作製する。
(x2)前記サンプル1の幅方向の任意の箇所の断面写真1を撮像する。前記断面写真1に基づき、接着剤層の厚みを1μm間隔で15箇所測定する。
(x3)前記サンプル1の幅方向の別の4箇所の断面写真2~5を撮像する。前記断面写真2~5のそれぞれに基づき、接着剤層の厚みを1μm間隔で15箇所測定する。
(x4)前記(x2)及び(x3)で得られた合計75箇所の厚みの平均値を、接着剤層の厚みとする。
本実施形態のバリア紙は、接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μm以下であることを要する。
接着剤層の厚みの標準偏差を0.80μm以下とすることにより、バリア性を良好にすることができる。
本実施形態のバリア紙は、接着剤層が無機蒸着層に接している。このため、接着剤層の体積が経時的に変化して応力が生じると、前記応力が接着剤層に直接伝わることになる。そして、接着剤層の厚みのバラツキが大きい場合、前記応力が場所によって異なることになるため、無機蒸着層に局所的な欠陥が生じる可能性がある。そして、局所的にバリア性が弱い領域から水蒸気又はガスが透過する結果、接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μmを超えるバリア紙は、バリア性を良好にしにくいと考えられる。一方、接着剤層の厚みの標準偏差を0.80μm以下とすることにより、前述したような不具合が生じ難く、バリア性を良好にできると考えられる。
また、本実施形態のバリア紙は、透湿性が高い紙基材層を有しており、湿気を原因として接着剤層の体積変化が生じやすい。よって、本実施形態のバリア紙の積層構成において、接着剤層の厚みの標準偏差を0.80μm以下とする構成は、バリア性を良好にするために有利な構成であると考えられる。
接着剤層の厚みの標準偏差は、0.60μm以下であることが好ましく、0.50μm以下であることがより好ましく、0.45μm以下であることがさらに好ましい。
接着剤層の厚みの標準偏差の下限は特に制限されないが、0.10μm以上であることが好ましく、0.20μm以上であることがより好ましい。
接着剤層の厚みの標準偏差は、上記(x1)~(x4)の75箇所の厚みから算出した標準偏差(標準偏差1σ)を意味する。
接着剤層の厚みの変動係数は、0.17以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。接着剤層の変動係数を前記範囲とすることにより、接着剤層の標準偏差による効果をより発揮しやすくできる。
接着剤層の厚みの変動係数は特に制限されないが、0.02以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。
変動係数は、標準偏差を平均値で除した無次元の値である。
接着剤層の厚みの標準偏差及び変動係数を上記範囲にしやすくするためには、紙基材と接着剤層との間に目止め層を有することが好ましい。
接着剤層は、本発明の効果を阻害しない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、架橋剤、着色剤等の添加剤を含むことができる。
《無機蒸着層を保護する接着剤》
無機蒸着層を保護する接着剤としては、ウレタン系樹脂組成物が好ましい。ウレタン系樹脂組成物は、1分子内に水酸基を2個以上有する特定のポリオールと、1分子内にイソシアネート基を2個以上有する特定のイソシアネート化合物とを含有することが好ましい。また、無機蒸着層を保護する接着剤は、リン酸化合物をさらに含有してもよい。また、無機蒸着層を保護する接着剤は、無機化合物を含有してもよい。
―ポリオール―
1分子内に水酸基を2個以上有するポリオールには、1分子内に水酸基を2個以上有し、主骨格がポリエステル構造部、ポリエステルポリウレタン構造部、ポリエーテル構造部、イソシアヌル環構造部、及びポリエーテルポリウレタン構造部なる群から選ばれる1種または2種以上を有するものが好まし。前記ポリオールは、前記主骨格として、ポリエステル構造部および/またはポリエステルポリウレタン構造部を有するものがより好ましく、ポリエステル構造部および/またはポリエステルポリウレタン構造部と、イソシアヌル環構造部とを有するものが更に好ましい。
前記水酸基はアルコール性水酸基が好ましいが、フェノール性水酸基を含んでいてもよい。
前記ポリエステル構造部は、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類とを公知慣用の方法で重縮合反応させて得ることができるが、合成方法はこれに限定されない。
前記ポリエステル構造部は、o-芳香族ジカルボン酸類と脂肪族ジオールとから形成されたポリエステル構造部を含むものが最も好ましい。
前記ポリエステル構造部又は前記ポリエステルポリウレタン構造部における多価カルボン酸類由来構造部は、70質量%以上100質量%以下がo-芳香族ジカルボン酸類由来構造部であることが好ましい。ここで、o-芳香族ジカルボン酸類とは、o-芳香族ジカルボン酸及びその誘導体を指し、誘導体としては、無水物やエステル類が挙げられる。
多価カルボン酸類とは、多価カルボン酸及びその無水物やエステル等の誘導体を指し、例えば、脂肪族多価カルボン酸類と芳香族多価カルボン酸類が挙げられる。
脂肪族多価カルボン酸類としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族多価カルボン酸類としては、o-フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,3-アントラキノンジカルボン酸、2,3-アントラセンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物、ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、ジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等が挙げられる。
o-芳香族ジカルボン酸類としては、o-フタル酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,3-アントラキノンジカルボン酸、2,3-アントラセンジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物、ジカルボン酸のエステル等が挙げられる。
上記の多価カルボン酸類は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、脂肪族多価アルコール及び芳香族多価フェノールが挙げられる。
脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のジオール類;グリセロール、1,2,4-ブタントリオール等のトリオール類;エリスリトール、ペンタエリトール、ジペンタエリスリトール等のテトラオール類;等が挙げられる。
芳香族多価フェノールとしては、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF及びテトラメチルビフェノール等が挙げられ、さらには、これらのエチレンオキサイド伸長物、これらの水添化脂環族等が挙げられる。
上記の多価アルコールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとして、トリオール類に由来する構造部を、無機蒸着層を保護する接着剤中に5質量%以上含有した場合には、接着剤が多官能化され、接着力及び強度を向上することができる。
例えば、多価アルコールにトリオール類のグリセロールを用いた場合の、主骨格にポリエステル構造部を有するポリオールは、下記式(1)、(2)で表される。
Figure 2022073606000002

(式中、R、R、Rは、各々独立に、水素原子又は一般式(2)で表される基を表し、少なくとも一つは、一般式(2)で表される基を表す。)
Figure 2022073606000003

(式は平均の組成を表し、式中の、nは1~5の数を表し、Xは置換および/または非置換の、1,2-フェニレン基、1,2-ナフチレン基、2,3-ナフチレン基、2,3-アントラキノンジイル基、及び2,3-アントラセンジイル基からなる群から選ばれる1種または2種以上であり、Yは炭素原子数2~6のアルキレン基を表す。)
―イソシアネート化合物―
1分子内にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有していれば、芳香族または脂肪族のどちらでもよく、低分子化合物または高分子化合物のどちらでもよい。例えば、イソシアネート基が2個のジイソシアネート化合物や、3個以上のポリイソシアネート化合物等の公知の化合物が使用できる。または、イソシアネートブロック化剤を用いて汎用の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物を用いることもできる。
上記の中でも、イソシアネート化合物は、主骨格に、芳香族環構造部、および/または芳香族環を含むポリウレタン構造部を含むものが好ましい。
接着性の観点からは、ポリイソシアネート化合物が好ましく、ガスバリア性の観点からは、芳香族環を有するものが好ましい。特に、メタキシレン骨格を含むイソシアネート化合物が、ウレタン基の水素結合だけでなく芳香環同士のπ-πスタッキングによってガスバリア性を向上させることが期待されて、好ましい。
1分子内にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物の具体的としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート;前述したイソシアネート化合物の3量体;前述したイソシアネート化合物の過剰量と、下記(a)~(c)等とを反応して得られるアダクト体、ビュレット体及びアロファネート体;等が挙げられる。
(a)エチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びメタキシリレンジアミン等の低分子活性水素化合物。
(b)前記低分子活性水素化合物のアルキレンオキシド付加物。
(c)ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類及びポリアミド類等の高分子活性水素化合物。
イソシアネート化合物としては、これらの中でも、メタキシレンジイソシアネート、又はメタキシレンジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物が好ましい。
―リン酸化合物―
リン酸化合物としては、リン酸類および/またはリン酸有機エステルを用いることができ、モノマーであっても、ポリマーであってもよい。リン酸化合物は、リン原子に接続した水酸基を有していることが好ましい。リン酸化合物は、無機蒸着層を保護する接着剤の密着性を高めることができる。
リン酸類は、リン酸や、ピロリン酸またはポリリン酸のようなリン酸の多量体を指す。
リン酸有機エステルの有機基は、アルキル基、ポリアルキレンエーテル基、(メタ)アクリロイル基、置換または非置換フェニル基からなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
無機蒸着層を保護する接着剤中のリン酸化合物の含有量は、0.005質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1%質量%以下がより好ましい。
上記範囲より少ない場合、リン酸化合物を含有した効果を得難い場合があり、上記範囲よりも多くても、含有した効果はさほど向上せず、他の成分の含有量が少なることの悪影響が出やすくなる虞がある。
リン酸化合物としては、例えば下記式(3)または(4)で表される化合物が挙げられる。
リン酸化合物の具体例としては、リン酸、ピロリン酸、トリリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、イソドデシルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等が挙げられる。
Figure 2022073606000004

(式は平均の化学構造を表し、式中の、R、R、Rは、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換または非置換フェニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる1種または2種以上であり、少なくとも一つは水素原子であり、nは1~4の数を表す。)
Figure 2022073606000005

(式は平均の化学構造を表し、式中の、R4、R5は、水素原子、炭素数1~30のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、置換または非置換フェニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる1種または2種以上であり、n1、n2は1~4の数、xは0~30の数、yは0~30の数を表し、x+y>0である。)
―無機化合物―
無機蒸着層を保護する接着剤は、無機化合物を含有していてもよい。無機化合物を含有することによって酸素バリア性を向上させることができる。
無機蒸着層を保護する接着剤中の無機化合物の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましい。無機化合物の含有量を5質量%以上とすることにより、上述の板状無機化合物による効果を発揮しやすくできる。また、無機化合物の含有量を50質量%以下とすることにより、接着力が低下することを抑制しやすくできる。
無機化合物の形状は特に制限されないが、板状の形状が好ましい。
また、無機化合物のアスペクト比は3以上が好ましく、10以上がより好ましく、40以上がさらに好ましい。また、無機化合物のアスペクト比は500以下が好ましい。
無機化合物は、接着剤の粘度の増加の抑制、及び接着剤のチキソ性の上昇の抑制の観点から、水による膨潤性が低く、非イオン性で無電荷であるものが好ましい。特に、無機化合物が板状の形状の場合に、無機化合物が前記性質を示すことが好ましい。
板状無機化合物としては、例えば、フィロケイ酸塩鉱物等の含水ケイ酸塩、ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等のカオリナイト-蛇紋族粘土鉱物、パイロフィライト、タルク、ケロライ等のパイロフィライト-タルク族、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト族粘土鉱物、バーミキュライト等のバーミキュライト族粘土鉱物、白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等の雲母又はマイカ族粘土鉱物、クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等の緑泥石族、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。上記の板状無機化合物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよく、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の中でも、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物、パイロフィライト-タルク族、雲母又はマイカ族粘土鉱物、緑泥石族、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウムは、水に対して非膨潤性であることから好ましく、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物とパイロフィライト-タルク族は、さらに層間電化を持たない非イオン性であることからより好ましい。
無機化合物の平均粒子径は特に限定はないが、0.1μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上20μm以下がより好ましい。平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、上述の板状無機化合物による効果を発揮しやすくできる。また、平均粒子径を100μm以下とすることにより、塗工性の低下を抑制しやすくできる。
本明細書において、平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50を意味する。
無機蒸着層を保護する接着剤の市販品としては、DIC(株)社製の、溶剤型バリア性接着剤パスリム(主剤VM001/硬化剤108CP)や、無溶剤型バリア性接着剤パスリム(主剤NSRD011/硬化剤NSRD006)等が知られている。
接着剤層は、接着剤層を構成する成分を含む塗布液を、紙基材層上、無機蒸着層上(無機蒸着層供与体の無機蒸着層上)、又は、セパレータ上に塗布、乾燥し、必要に応じて硬化することにより形成することができる。
<無機蒸着層>
無機蒸着層は、接着剤層の紙基材層とは反対側に位置する。また、無機蒸着層は、接着剤層と接している。言い換えると、無機蒸着層と接着剤層との間には、他の層を有していない。
無機蒸着層は、接着剤層の紙基材層とは反対側の面上の略全面に有することが好ましい。「略全面」とは、接着剤層の紙基材層とは反対側の面積の95%以上を意味し、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは100%である。
本実施形態のバリア紙は、無機蒸着層の紙基材層とは反対側の面の算術平均粗さをRa1、前記Ra1の標準偏差をσRa1と定義した際に、σRa1が0.030μm以下であることが好ましい。
本明細書において、算術平均粗さとは、JIS B0601:2001に規定する算術平均粗さRaを意味する。但し、算術平均粗さを算出する際のカットオフλs及びカットオフλcは何れも「0」とする。
無機蒸着層の紙基材層とは反対側の面は、図1~4のXの面を意味する。図1~3は、本発明のバリア紙の一実施形態を示す概略断面図であり、図4は、従来のバリア紙の一実施形態を示す概略断面図である。
以下、無機蒸着層の紙基材層とは反対側の面のことを「面X」と称する場合がある。
σRa1を0.030μm以下とすることにより、バリア性を良好にすることができる。この理由は以下のように考えられる。
まず、σRa1が0.030μmを超えることは、無機蒸着層の紙基材層とは反対側の面の算術平均粗さの値が、場所ごとに大きく異なることを意味している。無機蒸着層の算術平均粗さの値が場所ごとで大きく異なる場合、無機蒸着層の物理特性も場所ごと異なりやすくなる。このため、σRa1が0.030μmを超える場合、無機蒸着層の面内の局所的な領域において、バリア性が小さくなる箇所が生じやすくなると考えられる。そして、局所的にバリア性が弱い領域から水蒸気又はガスが透過する結果、σRa1が0.030μmを超えるバリア紙は、バリア性を良好にしにくいと考えられる。
一方、σRa1が0.030μm以下であると、無機蒸着層の面内の局所的な領域において、バリア性が小さくなる箇所が生じにくくなる。このため、σRa1が0.030μm以下のバリア紙は、バリア性を良好にやすいと考えられる。
σRa1は、0.025μm以下であることがより好ましく、0.022μm以下であることがさらに好ましく、0.020μm以下であることがよりさらに好ましい。
σRa1の下限は特に制限されないが、0.001μm以上であることが好ましく、0.002μm以上であることがより好ましく、0.005μm以上であることがさらに好ましい。
本明細書において、Ra1は72箇所の算術平均粗さRaの平均値を意味する。また、本明細書においてσRa1は、72箇所の算術平均粗さRaの標準偏差(標準偏差1σ)を意味する。
本明細書において、Ra1、σRa1及び後述するRku等の表面形状に関するパラメータを算出する72の測定箇所は、測定サンプルの外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に6等分した36の領域内で行うことが好ましい。具体的には、前記36の領域内において、縦方向及び横方向の表面形状を測定し、72(36箇所×2方向=72箇所の測定値)の測定値を得る。表面形状は36の領域内の中央近傍で測定することが好ましい。なお、測定サンプルは、折り曲げ部を除いてサンプリングすることが好ましい(例えば、バリア紙を用いて形成されてなる容器からサンプリングする場合、折り曲げ部を除いてサンプリングすることが好ましい。)。
測定サンプルが四角形の場合、図5に示すように、四角形の外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に6等分した36の領域内で測定する。そして、前記36の領域内で、縦方向及び横方向の表面形状を測定し、72の測定値を得る。そして、72の測定値の平均からRa1を算出し、72の測定値の標準偏差(標準偏差1σ)からσRa1を算出する。なお、測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これら形状に内接する四角形を描き、該四角形に関して、上記手法により72の測定値を得ることが好ましい。
無機蒸着層の紙基材層とは反対側の面の表面形状は、例えば、非接触式の表面形状測定器で測定できる。非接触式の表面形状測定器は、共焦点方式及び白色干渉方式等が挙げられる。本実施形態では、非接触式の表面形状測定器の中でも共焦点方式で表面形状を測定している。
図1~3のように、無機蒸着層の紙基材層とは反対側の面(面X)が表面に露出していない場合には、共焦点方式の表面形状測定器の光の焦点を面Xに合わせることにより、面Xの表面形状を測定することができる。
共焦点方式の表面形状測定器としては、例えば、キーエンス社の商品名「VK-X150」が挙げられる。
共焦点方式の表面形状測定器では、任意の面積の表面形状を測定することができる。そして、測定した任意の面積内において、任意の位置の横方向を選択すれば、当該位置の横方向のRa1を算出することができ、任意の位置の縦方向を選択すれば、当該位置の縦方向の算術平均粗さを算出することができる。上記の共焦点方式の表面形状測定器(キーエンス社の商品名「VK-X150」)の場合、2次元表示された表面形状の画面上において、任意の位置の横方向又は任意の位置の縦方向を選択することにより、選択した方向の算術平均粗さを算出することができる。
個々の測定における測定領域の大きさは特に制限されないが、下限は縦100μm×横100μm以上とすることが好ましく、上限は縦500μm×横500μm以下とすることが好ましい。
本明細書において、Ra1及びσRa1は、例えば、下記(A1)~(A4)の手順で算出することができる。後述するRku1も、例えば、下記(A1)~(A4)と同様の手順で算出することができる(但し、下記(A3)及び(A4)の「算術平均粗さ」を「粗さ曲線のクルトシス」に読み替え、下記(A4)の「Ra1」を「Rku1」に読み替える。)。
(A1)上記のように測定サンプルを36の領域に区分けする。
(A2)共焦点方式の表面形状測定器を用いて、36の領域内の中央近傍の任意の面積の表面形状を測定する。
(A3)上記(A2)で測定された任意の面積の表面形状データに基づいて、36の領域内の横方向の算術平均粗さRa及び縦方向の算術平均粗さRaを算出する。ここまでの作業で、72(36箇所×2方向=72箇所の測定値)の算術平均粗さRaが得られる。
(A4)72箇所の算術平均粗さRaの平均値を算出し、算出した平均値を当該サンプルのRa1とする。また、72箇所の算術平均粗さRaの標準偏差を算出し、算出した標準偏差を当該サンプルのσRa1とする。
σRa1を0.030μm以下としやすくするためには、紙基材層の粗さが無機蒸着層に反映されることを抑制することが好ましい。このため、紙基材層と無機蒸着層との間には、接着剤層を配置することが好ましく、目止め層及び接着剤層を配置することがより好ましい。
また、σRa1を0.030μm以下としやすくするためには、転写法により無機蒸着層を形成し、かつ、離型性を有する支持体として表面形状が略平滑な支持体を用いることが好ましい。前述のように形成した無機蒸着層は、離型性を有する支持体の略平滑な表面形状が反映されるため、σRa1を小さくしやすくできる。
上述したσRa1を小さくしやすくするための手段は、Ra1を後述する範囲としやすくする手段、及び、Rkuを後述する範囲としやすくする手段としても有用である。
本実施形態のバリア紙は、Ra1が0.100μm以下であることが好ましい。Ra1を0.100μm以下とすることにより、σRa1を0.030μm以下とすることによる効果をより発揮しやすくできる。
Ra1は0.080μm以下であることがより好ましく、0.070μm以下であることがより好ましく、0.065μm以下であることがより好ましい。
Ra1の下限は特に制限されないが、0.001μm以上であることが好ましく、0.002μm以上であることがより好ましく、0.005μm以上であることがさらに好ましい。
本実施形態のバリア紙は、σRa1/Ra1が0.40以下であることが好ましく、0.30以下であることがより好ましい。σRa1/Ra1を0.40以下とすることにより、σRa1を0.030μm以下とすることによる効果をより発揮しやすくできる。
σRa1/Ra1は、標準偏差を平均値で除した無次元の値であり、いわゆる変動係数である。
無機蒸着層の紙基材層とは反対側の面の粗さ曲線のクルトシスをRku1と定義した際に、Rku1が3.0超であることが好ましい。表面形状の高さ分布を、低い箇所、平均的な箇所、高い箇所に区分した場合、Rku1が3.0を超えることは、平均的な箇所が多く、低い箇所及び高い箇所が少ないことを意味する。したがって、Rku1が3.0を超えることにより、無機蒸着層の面内の局所的な領域でバリア性が小さくなることを抑制し、バリア性を良好にしやすくできる。
Rku1は、5.0以上であることがより好ましく、7.5以上であることがより好ましく、10.0以上であることがより好ましい。
Rku1の上限は特に制限されないが、30.0以下であることが好ましく、25.0以下であることがより好ましく、20.0以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、Rku1は72箇所の粗さ曲線のクルトシスの平均値を意味する。
また、本明細書において、粗さ曲線のクルトシスとは、JIS B0601:2001に規定する粗さ曲線のクルトシスRkuを意味する。但し、算術平均粗さを算出する際のカットオフλs及びカットオフλcは何れも「0」とする。
無機蒸着層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相蒸着法(PVD)、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD)が挙げられる。
無機蒸着層は、透明であってもよいし不透明であってもよい。無機蒸着層が不透明であれば、バリア紙に遮光性を付与し、内容物の品質を維持しやすくできる。無機蒸着層が透明であれば、電子レンジで使用しやすい点、内容物充填後に金属探知機で検査しやすい点、印刷層の色が沈んだ色となりにくい点で好ましい。
無機蒸着層を構成する無機化合物としては、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等が挙げられる。無機蒸着層を構成する無機化合物は、2種以上の無機化合物を混合してもよい。
上記の無機化合物を構成する金属元素の具体例としては、例えば、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、バリウム(Ba)、クロム(Cr)等が挙げられる。
無機化合物の具体例としては、上記金属、上記金属の酸化物、上記金属の窒化物、上記金属の炭化物が挙げられ、さらに、酸化インジウム錫(ITO)、SiO膜などの複合的な無機化合物も挙げられる。金属の酸化物は、無機蒸着層を透明にしやすく、また、化学的に安定な傾向である点で好ましい。また、金属の酸化物は、電子レンジで使用しやすい点、内容物充填後に金属探知機で検査しやすい点、印刷層の色が沈んだ色となりにくい点において好ましい。
無機化合物の中でも、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素が好ましく、酸化アルミニウム及び酸化珪素がより好ましい。
無機化合物の平均組成の表記は、例えば、SiO、AlO、SiO等のようにMO、MOで表される(ただし、式中、Mは金属元素を表し、x、yの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)。金属酸化物の場合、xの値の範囲は、ケイ素は、0~2、アルミニウムは、0~1.5、マグネシウムは、0~1、カルシウムは、0~1、カリウムは、0~0.5、スズは、0~2、ナトリウムは、0~0.5、ホウ素は、0~1、5、チタンは、0~2、鉛は、0~1、ジルコニウムは0~2、イットリウムは、0~1.5の範囲の値をとることができる。
上記のMOにおいて、x=0の場合は金属である。また、xの範囲の上限は、完全に酸化した場合の値である。
本実施形態においては、酸化アルミニウムはxが0.5~1.5の範囲の値のものが好ましく、酸化珪素はxが1.0~2.0の範囲の値のものが好ましい。
無機蒸着層は、1層で構成されていてもよく、同一または異なる組成の多層によって構成されていてもよい。
無機蒸着層の厚みは、30Å以上3000Å以下が好ましく、40Å以上2500Å以下がより好ましく、50Å以上2000Å以下がさらに好ましい。無機蒸着層の厚みを30Å以上とすることにより、バリア性を良好にしやすくでき、無機蒸着層の厚みを3000Å以下とすることにより、無機蒸着層にクラックが生じることを抑制しやすくできる。
更に詳しくは、上記のPVD法においては、酸化アルミニウムからなる無機蒸着層の厚さは、30Å以上1000Å以下が好ましく、50Å以上500Å以下がより好ましい。
また、上記のCVD法においては、酸化珪素からなる無機蒸着層の厚さは、30Å以上3000Å以下が好ましく、100Å以上300Å以下がより好ましい。
無機蒸着層は、例えば、「接着剤層上に直接無機化合物を蒸着して形成する手法(直接蒸着法)」、「転写法」により形成することができる。
転写法は、離型性を有する支持体上に無機蒸着層を有する無機蒸着層供与体と、紙基材層とを、接着剤層を介して貼り合わせて、紙基材層上に無機蒸着層を転写により形成する手法である。
直接蒸着法と転写法とを対比すると、転写法は、紙基材層が蒸着雰囲気に晒されることによる不具合が生じず、接着剤層と無機蒸着層との密着性を良好にしやすい点で好ましい。また、転写法は、Ra1、σRa1及びRku1を上述した範囲にしやすくできる点で好ましい。
転写法は、接着剤層の形成の仕方により、「1.無機蒸着層供与体の無機蒸着層上に接着剤層を形成するタイプ」、「2.紙基材層上に接着剤層を形成するタイプ」、「3.無機蒸着層供与体の無機蒸着層上、及び紙基材上の両方に接着剤層を形成するタイプ」、「4.紙基材層と無機蒸着層供与体との間に接着剤層を供給するタイプ」が挙げられる。これらの中でも、「2」及び「4」のタイプが好ましい。無機蒸着層上に接着剤層等の他の層を形成する際には無機蒸着層に欠陥が生じる可能性があるが、「2」及び「4」のタイプは前述した可能性を排除できるためである。また、「2」及び「4」の中でも、紙基材層と接着剤層との密着性を良好にしやすい「2」が好ましい。
接着剤層と無機蒸着層との間の層間密着強度は、JIS K5600-5-6に則ったクロスカット試験において分類0~3の何れかであることが好ましい。上記範囲よりも低い分類4または5であると、接着剤層と無機蒸着層との間で剥離が生じてガスバリア性が低下し易い。
上記の層間密着強度の評価の概略は下記のとおりである。
バリア紙上の無機蒸着層に、カッターナイフ等で無機蒸着層を貫通して切り込み、複数個の直角の格子パターンを形成する。この際、複数個の直角の格子パターンを連続してきれいに形成し得るようなクロスカット用治具を用いることが好ましい。
次に、接着用セロハンテープ等のような片面に粘着剤層を有する接着テープを、上記で形成した全格子を覆うように貼り付ける。
そして、テンシロンを用いて、貼り付けた接着テープを端から剥離し、無機蒸着層の剥がれ具合を目視で観察して、下記の評価基準で結果を分類する。
格子パターンの1辺のサイズは、1mm以上5mm以下が好ましく、1.5mm以上3mm以下がより好ましい、2mm程度がさらに好ましい。格子パターンの個数は、15個以上50個以下が好ましく、20個以上30個以下がより好ましく、25個程度がさらに好ましい。接着テープの幅と長さは、形成した格子パターンの全てを覆えて、かつ剥がし易いサイズが好ましい。接着テープの剥離は、テンシロン等を用いて、好ましくは1mm/分以上5mm/分以下、より好ましくは2mm/分以上4mm/分以下、さらに好ましくは3mm/分程度の等速度で行うことが好ましい。
分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれが無い。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さな剥がれがある。但しクロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜のカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれがある。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%以上15%以下の間。
分類3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的、又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は目の色々な部分が、部分的に、又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは15%を超え、35%を下回る範囲。
分類4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、および又は、数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に35%を上回ることがない範囲。
分類5:分類4でも分類できない剥がれ程度のいずれか。
<目止め層>
本実施形態のバリア紙は、紙基材層と接着剤層との間に目止め層を有することが好ましい。目止め層を有することにより、接着剤層の厚みの標準偏差及び変動係数を上述した範囲にしやすくできる。また、紙基材層と無機蒸着層との間に、接着剤層に加えて目止め層を有することにより、σRa1等の表面形状を上述した範囲にしやすくできる。
目止め層としては、クレーコート層及び樹脂層が挙げられる。
クレーコート層は、クレー及びバインダーを含むことが好ましい。
クレーとしては、一般的にクレーと呼ばれるものであれば、特に限定することなく用いることができる。クレーの具体例としては、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト、マイカ等が挙げられる。タルクは硬度が低く(モース硬度1)、耐熱性に優れるため、耐熱性の向上やエンボス加工時の寸法安定性を向上させることができる。
バインダーとしては、通常、ラテックス系のバインダー(例えば、スチレンブタジエンラテックス、アクリル系ラテックス酢酸ビニル系ラテックス)、水溶性のバインダー(例えば、デンプン(変性デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン)、ポリビニルアルコール、カゼイン等)が挙げられる。
クレーコート層は、クレーコート層の表面の平滑性向上のため、炭酸カルシウム、二酸化チタン、非晶質シリカ、発泡性硫酸バリウム、サチンホワイト等の顔料を含むことが好ましい。顔料の中でも、炭酸カルシウム及び二酸化チタンが好ましく、炭酸カルシウムがより好ましい。
クレーコート層は、さらに、顔料分散剤、消泡剤、発泡防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、耐水化剤、保水剤等の添加剤を含有していてもよい。
クレーコート層の厚みは、乾燥後の坪量が5g/m以上40g/m以下であることが好ましく、10g/m以上40g/m以下であることがより好ましい。乾燥後の坪量を5g/m以上とすることにより、上述した目止め層の効果を発揮しやすくできる。また、乾燥後の坪量を40g/m以下とすることにより、クレーコート層の凝集破壊を抑制しやすくできる。また、クレーコート層の厚みは、3μm以上40μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。
クレーコート層は、例えば、紙基材層上に、クレーコート層を構成する成分を含む塗布液を汎用の塗布方法により塗布、乾燥することにより、形成することができる。
樹脂層を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)などが挙げられる。樹脂層は、例えば、紙基材層上にコーティングすることにより形成できる。
樹脂層の厚みは、上述した目止め層の効果を発揮しやすくため、10μm以上であることが好ましい。また、樹脂層の厚みは、リサイクル性のため、60μm以下が好ましい。
<剥離層、保護層、ヒートシール層、シーラント層>
本実施形態のバリア紙は、無機蒸着層の接着剤層とは反対側に、剥離層、保護層、ヒートシール層及びシーラント層から選ばれる1以上の層を有することが好ましい。
《剥離層》
バリア紙は、無機蒸着層の接着剤層とは反対側に剥離層を有していてもよい。
剥離層は、無機蒸着層供与体から離型性を有する支持体を剥離しやすくするために、必要に応じて設けられる層である。
離型性を有する支持体上に剥離層及び無機蒸着層を無機蒸着層供与体を用いて、紙基材層に対して、接着剤層を介して無機蒸着層及び剥離層を転写した場合には、無機蒸着層の接着剤層とは反対側に剥離層が位置することになる。無機蒸着層の接着剤層とは反対側に剥離層を位置させることにより、剥離層を無機蒸着層の保護層として機能させることができる。
また、剥離層は、離型性を有する支持体の表面形状を平均化かつ平坦化しやすくできる。このため、剥離層を有することにより、σRa1等の表面形状を上述した範囲にしやすくできる。
剥離層層は、無機蒸着層の接着剤層とは反対側の面上の略全面に有することが好ましい。「略全面」とは、無機蒸着層の接着剤層とは反対側の面積の95%以上を意味し、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは100%である。
剥離層は、無機蒸着層の転写を達成するためのバランスの良い接着強度を発揮するものであれば特に制限は無いが、樹脂および/またはワックスを含有することが好ましい。
樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アセタール系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
ワックスとしては、カルバナワックス、パラフィン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン径ワックス等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン系ワックスが好ましい。
剥離層は、σRa1等の表面形状を上述した範囲にしやすくするため、顔料、マット剤等の粒子を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、剥離層を構成する全固形分の0.1質量%以下を意味し、好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.01質量%以下である。
剥離層の塗工量は、0.2g/m以上5.0g/m以下が好ましい。また、剥離層の厚みは、0.1μm以上10μm以下が好ましい。
《保護層》
バリア紙は保護層を有していてもよい。保護層は、無機蒸着層を保護するために、無機蒸着層の接着剤層とは反対側に有することが好ましい。
また、保護層は、離型性を有する支持体の表面形状を平均化かつ平坦化しやすくできる。このため、保護層を有することにより、σRa1等の表面形状を上述した範囲にしやすくできる。
保護層は、無機蒸着層の接着剤層とは反対側の面上の略全面に有することが好ましい。「略全面」とは、無機蒸着層の接着剤層とは反対側の面積の95%以上を意味し、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上、最も好ましくは100%である。
保護層は、例えば、「1.無機蒸着層上に保護層塗布液を塗布、乾燥すること」、「2.無機蒸着層上に保護層を転写すること」、「3.離型性を有する支持体上に保護層及び無機蒸着層をこの順に有する無機蒸着層供与体を準備し、紙基材層に対して、接着剤層を介して、無機蒸着層及び保護層を転写すること」により形成することができる。これらの中でも、作業性の向上及び無機蒸着層の欠陥抑制のために、「3」が好ましい。
保護層は、樹脂成分の単独であってもよいし、無機成分の単独であってもよいし、樹脂成分と無機成分との混合であってもよい。
一例として、保護層は、水溶性高分子及び金属アルコキシド系化合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。また、保護層は、水溶性高分子及び金属アルコキシド系化合物のうち、水溶性高分子から選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、水溶性高分子から選ばれる1種以上と、金属アルコキシド系化合物から選ばれる1種以上とを含むことがさらに好ましい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体等が挙げられ、これらの中でもバリア性の観点から、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。すなわち、保護層は、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、ポリビニルアルコールを含むことがより好ましい。
保護層が、水溶性高分子及び金属アルコキシド系化合物を含有する場合、金属アルコキシド系化合物の合計量100質量部に対する水溶性高分子の含有量は、5質量部以上500質量部以下であることが好ましく、7質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、8質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。
金属アルコキシド系化合物としては、金属アルコキシド、金属アルコキシド加水分解物及び金属アルコキシド重合物が挙げられる。
金属アルコキシドは、M(OR)の一般式で表される化合物である。式中、Mは、Si、Ti、Al及びZr等の金属を示し、Rは、メチル基及びエチル基等のアルキル基を示す。金属アルコキシドの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びイソプロポキシアルミニウム等が挙げられる。
保護層は、例えば、保護層を構成する成分を含む塗布液を、無機蒸着層供与体の離型性を有する支持体上に塗布、乾燥することにより形成することができる。該塗布液中には、シランカップリング剤、硬化剤及び分散剤等の添加剤を含有してもよい。
保護層は、σRa1等の表面形状を上述した範囲にしやすくするため、顔料、マット剤等の粒子を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、保護層を構成する全固形分の0.1質量%以下を意味し、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。
保護層の厚みは、無機蒸着層を保護してバリア性を良好にしやすくするため、下限が70nm以上であることが好ましく、85nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましい。
また、保護層の厚みは、上限が480nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。保護層の厚みを480nm以下とすることにより、保護層に生じる応力を抑制し、前記応力により無機蒸着層にクラックが生じることを抑制しやすくできる。
《ヒートシール層》
バリア紙はヒートシール層を有していてもよい。ヒートシール層は、無機蒸着層の接着剤層とは反対側に有することが好ましい。また、バリア紙がヒートシール層を有する場合、ヒートシール層から無機蒸着層を保護するため、無機蒸着層とヒートシール層との間には、剥離層及び保護層の少なくとも何れかを有することが好ましい。
ヒートシール層は、例えば、バリア紙を容器の形態にする際の接着剤層としての機能を有する。
ヒートシール層は、例えば、汎用の熱可塑性樹脂から形成することができる。ヒートシール層の厚みは、通常15μm以上100μm以下程度である。
ヒートシール層は、例えば、「1.無機蒸着層上にヒートシール層を溶融押し出しすること」、「2.無機蒸着層上にヒートシール層塗布液を塗布、乾燥すること」、「3.無機蒸着層上にヒートシール層を転写すること」、「4.離型性を有する支持体上にヒートシール層及び無機蒸着層をこの順に有する無機蒸着層供与体を準備し、紙基材層に対して、接着剤層を介して、無機蒸着層及びヒートシール層を転写すること」、「5.無機蒸着層上にヒートシール層をドライラミネートすること」により形成することができる。
これらの中でも、無機蒸着層の蒸着コストの低減の観点から、「1」、「2」、「3」及び「5」が好ましい。また、「1」、「2」、「3」及び「5」の場合、無機蒸着層とヒートシール層との間には、剥離層及び保護層の少なくとも何れかを有することが好ましい。また、無機蒸着層とヒートシール層との間に剥離層及び保護層の少なくとも何れかを有する場合には、「1」、「2」、「3」及び「5」の中では、「1」、「2」及び「5」が好ましく、「2」がより好ましい(ヒートシール層塗布液の溶剤を剥離層又は保護層がブロックするため、溶剤により無機蒸着層が劣化することを抑制できる。このため、作業性を考慮すると「2」がより好ましい)。
《シーラント層》
バリア紙はシーラント層を有していてもよい。シーラント層は、無機蒸着層の接着剤層とは反対側に有することが好ましい。また、バリア紙がシーラント層を有する場合、シーラント層から無機蒸着層を保護するため、無機蒸着層とシーラント層との間には、剥離層及び保護層の少なくとも何れかを有することが好ましい。
シーラント層は、例えば、バリア紙を容器として用いた際に、容器に入れられる内容物と、バリア紙の他の層とが接触することを防止し、内容物を保護する機能を有する。
シーラント層の厚みは、特に限定されるものではなく、バリア紙の用途及び内容物の種類や性質等に応じて適宜設定される。シーラント層の厚みは、10μm以上200μm以下であることが好ましい。バリア紙で容器が形成される場合、シーラント層の厚みは、より好ましくは15μm以上150μm以下、更に好ましくは20μm以上100μm以下である。
シーラント層を構成する材料としては、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体等のプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)が挙げられ、これらのうち1種または2種以上の樹脂を用いることができる。
シーラント層は、単層で構成しても、2層以上の多層で構成しても良い。
シーラント層はヒートシール性を有していることが好ましい。シーラント層が多層構成の場合、シーラント層の無機蒸着層とは反対側がヒートシール性を有していることが好ましい。
また、バリア紙を蓋付容器の蓋体として用いる場合は、シーラント層はイージーピール性を有していることが好ましい。イージーピール性とは、例えば、蓋付容器を開封する際、蓋体を容器本体から剥離しやすいという特性を言う。
イージーピール性を有するシーラント層は、2種以上の樹脂を用いて、一の樹脂(容器本体との密着性が良好な樹脂)と他の樹脂(容器本体との密着性が良好ではなく、前記一の樹脂と非相溶な樹脂)とを混合することにより形成することができる。このような樹脂は容器の素材によって異なるため一概には言えないが、容器本体がポリプロピレンから形成されている場合、一の樹脂(容器本体との密着性が良好な樹脂)であるポリプロピレンと、他の樹脂(容器本体との密着性が良好ではなく、前記一の樹脂と非相溶な樹脂)であるポリエチレン、ポリブテン及びポリスチレンから選ばれる一種以上とを混合した樹脂からシーラント層を形成することにより、ポリプロピレン製の容器に対してイージーピール性を付与できる。
なお、シーラント層を多層構成として、シーラント層の容器本体と接合される側のみにイージーピール性を付与してもよい。
シーラント層は、例えば、「1.無機蒸着層上にシーラント層を溶融押し出しすること」、「2.無機蒸着層上にシーラント層塗布液を塗布、乾燥すること」、「3.無機蒸着層上にシーラント層を転写すること」、「4.離型性を有する支持体上にシーラント層及び無機蒸着層をこの順に有する無機蒸着層供与体を準備し、紙基材層に対して、接着剤層を介して、無機蒸着層及びシーラント層を転写すること」、「5.無機蒸着層上にシーラント層をドライラミネートすること」により形成することができる。
これらの中でも、無機蒸着層の蒸着コストの低減の観点から、「1」、「2」、「3」及び「5」が好ましい。また、「1」、「2」、「3」及び「5」の場合、無機蒸着層とシーラント層との間には、剥離層及び保護層の少なくとも何れかを有することが好ましい。
<印刷層>
バリア紙は印刷層を有していてもよい。印刷層は、紙基材層の接着剤層とは反対側に有することが好ましい。
印刷層としては、例えば、文字(商品名、製品表示、品質表示等)、図形、写真、記号、模様、パターン等を印刷により形成した層、並びに、一面に印刷した層(いわゆるベタ印刷層)等が挙げられる。
印刷層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。印刷層の厚みは、通常、0.2μm以上10.0μm以下であり、好ましくは0.5μm以上8.0μm以下、より好ましくは0.7μm以上5.0μm以下である。
印刷層の形成に用いられるインキとしては、バインダー樹脂に、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが用いられる。
バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<補強層>
バリア紙は補強層を有していてもよい。補強層は、紙基材層の接着剤層とは反対側、及び/又は、無機蒸着層の接着剤層とは反対側に有することが好ましい。
補強層は、例えば、バリア紙に、機械的強度、耐変形性、耐落下衝撃性、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性から選ばれる1以上の機能を付与するために形成される。
補強層としては、押し出し成膜またはインフレーション成膜された樹脂フィルム、樹脂コーティング膜、合成紙等が挙げられる。
補強層に含有される樹脂には、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース、ニトロセルロース等が挙げられる。
補強層を構成する樹脂フィルムは、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれのものでも使用することができる。
補強層の厚みは、特に制限はないが、1μm以上300μm以下であることが好ましい。
<機能層>
バリア紙は機能層を有していてもよい。機能層は、紙基材層の接着剤層とは反対側、及び/又は、無機蒸着層の接着剤層とは反対側に有することが好ましい。
機能層としては、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性を付与する機能層、内容物中に含まれる香料成分等の吸着が少なく保香性に優れる機能層、遮光性を付与する機能層、酸素を吸収する機能層等が挙げられる。
バリア性及び保香性の観点からは、機能層は、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれる1以上の樹脂を含むことが好ましい。
遮光性の観点からは、機能層は、酸化チタン、カーボンブラック及びアルミ鱗片等の遮光性の高い材料からなる粒子と、バインダー樹脂とを含むことが好ましい。
酸素吸収性の観点からは、機能層は、鉄紛等の酸素吸収性の高い材料からなる粒子と、バインダー樹脂とを含むことが好ましい。
<物性>
バリア紙は、温度23℃、相対湿度90%において、JIS K7126法に準拠して測定した酸素透過度が、0.01cc/m/24hr/atm以上10cc/m/24hr/atm以下が好ましく、0.01cc/m/24hr/atm以上5cc/m/24hr/atm以下がより好ましい。酸素透過度を0.01cc/m/24hr/atmより小さくすることは困難である。酸素透過度を10cc/m/24hr/atm以下とすることにより、内容物の劣化を抑制しやすくできる。
バリア紙は、温度40℃、相対湿度90%において、JIS K7129法に準拠して測定した水蒸気透過度が、0.01g/m/24hr以上20g/m/24hr以下が好ましく、0.01g/m/24hr以上10g/m/24hr以下がより好ましい。水蒸気透過度を0.01g/m/24hrより小さくすることは困難である。水蒸気透過度を20g/m/24hr以下とすることにより、内容物の劣化を抑制しやすくできる。
<二次加工>
バリア紙には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、耐磨耗機能、潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことも可能である。
二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。
<用途>
本実施形態のバリア紙は、例えば、内容物を直接収容する容器(一次容器)、包装された内容物を収容する容器(二次容器)、又は蓋材として用いることができる。本実施形態のバリア紙を容器又は蓋材として用いる場合、接着剤層を基準として無機蒸着層側を内層側として用いることが好ましい。
[容器]
本実施形態の容器は、上述した本実施形態のバリア紙を含むものである。
容器としては、例えば、内容物を直接収容する容器(一次容器)、包装された内容物を収容する容器(二次容器)が挙げられる。一次容器及び二次容器は、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合された蓋体とを有する蓋付容器であってもよい。
一次容器としては、パウチ、ラミチューブ、カップ、トレー等が挙げられる。
これらの容器において、上述した本実施形態のバリア紙は、容器本体として用いたり、容器本体の蓋材として用いたりすることができる。
バリア紙は、接着剤層を基準として無機蒸着層側が容器の内容物側となるように配置することが好ましい。
内容物としては、コーヒー豆、茶葉、チーズ、スナック類、米菓、生菓子、半生菓子、果物、ナッツ、野菜、果物、魚製品、肉製品、練り製品、干物、薫製、佃煮、生米、米飯類、餅、幼児食品、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、スパイス類、乳製品等、ペットフード等の食品;ビール、ワイン、フルーツジュース、緑茶、コーヒー等の飲料;医薬品;化粧品;シャンプー、リンス、洗剤等の日用品;金属部品;電子部品;等が挙げられる。
[蓋材]
本実施形態の蓋材は、上述した本実施形態のバリア紙を含むものである。
本実施形態の蓋材は、例えば、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合された蓋体とを有する蓋付き容器の蓋材として用いることができる。
[バリア紙の製造方法]
本実施形態のバリア紙の製造方法は、下記の工程1~2を含むものである。
工程1:離型性を有する支持体上に無機蒸着層を有する無機蒸着層供与体と、紙基材層とを、接着剤層を介して貼り合わせて、バリア紙中間体を作製する工程。但し、工程1において、前記無機蒸着層供与体は、前記離型性を有する支持体を基準として、前記無機蒸着層を有する側の面が前記紙基材層側を向くように配置する。
工程2:工程1で得たバリア紙中間体から前記離型性を有する支持体を剥離して、下記のバリア紙を得る工程。
<バリア紙>
紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有し、前記接着剤層と前記無機蒸着層とが接してなり、前記接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μm以下である、バリア紙。
<工程1>
工程1は、離型性を有する支持体上に無機蒸着層を有する無機蒸着層供与体と、紙基材層とを、接着剤層を介して貼り合わせて、バリア紙中間体を作製する工程である。但し、工程1において、前記無機蒸着層供与体は、前記離型性を有する支持体を基準として、前記無機蒸着層を有する側の面が前記紙基材層側を向くように配置する。
《無機蒸着層供与体》
無機蒸着層供与体は、離型性を有する支持体上に無機蒸着層を有する。
無機蒸着層供与体は、離型性を有する支持体上と、無機蒸着層との間に、剥離層及び保護層から選ばれる1以上の層を有していてもよい。離型性を有する支持体上と無機蒸着層との間に剥離層及び保護層の両方を有する場合、離型性を有する支持体側から剥離層、保護層の順に有することが好ましい。
剥離層及び保護層の実施の形態は上述した通りである。
無機蒸着層供与体は、離型性を有する支持体上と、無機蒸着層との間に、ヒートシール層及びシーラント層から選ばれる1以上の層を有していてもよい。なお、無機蒸着層供与体がヒートシール層及びシーラント層から選ばれる1以上の層を有する場合、
ヒートシール層及びシーラント層から無機蒸着層を保護するため、ヒートシール層及びシーラント層から選ばれる1以上の層と、無機蒸着層との間には、剥離層及び保護層の少なくとも何れかを有することが好ましい。
ヒートシール層及びシーラント層の実施の形態は上述した通りである。
無機蒸着層供与体は、さらに、必要に応じて、補強層、機能層等のその他の層を有していてもよい。
-離型性を有する支持体-
離型性を有する支持体は、無機蒸着層の形成工程、及び、工程1~2の転写作業に適するものであれば、特に制限なく使用できる。
本明細書において、「離型性を有する支持体」のことを「離型性支持体」と称する場合がある。
離型性支持体は、樹脂からなるフィルムが好ましい。離型性支持体は、1層で構成されていてもよく、同一組成の樹脂層又は異なる組成の樹脂層が2以上積層されたものでもよい。
離型性支持体に含有される樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ナイロンMXD6等の芳香族ポリアミド、汎用ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC);ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ジアリールフタレート樹脂;シリコーン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリウレタン系樹脂;セルロース系樹脂;ポリ(メタ)アクリル系樹脂;アセタール系樹脂;フッ素系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体;エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH);ポリビニルアルコール;ポリアクリロニトリル;バイオマス由来のポリエチレンテレフタレート;バイオマス由来のポリエチレン;等が挙げられる。これらの樹脂は、1種で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの樹脂は、リサイクル(ミカルリサイクル、マテリアルリサイクル等)した樹脂であってもよい。
これらの中でも、特に、ポリエステル系樹脂および/またはポリアミド系樹脂を含有することが好ましく、PETが特に好ましい。
離型性支持体の厚みは特に限定されないが、6μm以上300μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下であることがより好ましい。
無機蒸着層供与体の無機蒸着層の実施の形態は上述した通りである。
離型性支持体上への無機蒸着層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相蒸着法(PVD)、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD)が挙げられる。
具体的に説明すると、上記のPVD法では、例えば、巻き取り式蒸着機を使用し、真空チャンバーの中で、巻き出しロールから出た離型性支持体を蒸着チャンバーの中に入れる。ここで、坩堝で熱せられた蒸着源を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素吹き出し口より酸素等を噴出させながら、冷却したコーティングドラム上の離型性支持体の上に、マスクを介して無機蒸着層を形成する。
上記のCVD法では、蒸着チャンバー内に配置された巻き出しロールから繰り出した離型性支持体の表面に、蒸着原料揮発供給装置から供給されるモノマーガスとしての有機珪素化合物、酸素ガス、不活性ガス等からなる混合ガスを導入し、プラズマによって酸化珪素等の無機蒸着層を形成することができる。
無機蒸着層の形成時には、SiOプラズマ等の前処理により、離型性支持体(又は離型性支持体上に形成した剥離層又は保護層等)の表面を清浄化して、その表面に極性基やフリーラジカル等を発生させることによって、無機蒸着層と、離型性支持体(又は離型性支持体上に形成した剥離層又は保護層等)との密接着性を高くすることができる。
さらに、少なくとも2室以上の製膜室からなるプラズマ化学気相成長装置を使用して無機蒸着層を連続的に2層以上を積層させれば、大気に開放せず連続的に蒸着することにより、クラックの発生原因となる異物、塵埃等が無機蒸着層に混入することを防止でき、ガスバリア性を向上することができる。
更にまた、無機蒸着層の組成を異なる2種以上の多層にすれば、無機蒸着層が異なる不連続層であることから、酸素ガス、水蒸気等の透過をより効率的に抑制することができる。
紙基材層の実施の形態は上述した通りである。
本実施形態のバリア紙の製造方法では、工程1の前に、紙基材層の少なくとも一方の面に目止め層を形成することが好ましい。目止め層の実施の形態は上述した通りである。
紙基材層上に目止め層を形成した場合、工程1では、無機蒸着層供与体の無機蒸着層を有する側の面(面1)と、紙基材層の目止め層を形成した側の面(面2)とを対向させて、前記面1と前記面2とを接着剤層を介して積層する。
接着剤層の実施の形態は上述した通りである。
工程1において、接着剤層は、例えば、下記1~4のように形成又は供給することができる。下記「2」、「3」及び「4」の場合、紙基材層上に目止め層を形成し、目止め層上に接着剤層を形成することが好ましい。これらの中でも、「2」及び「4」のタイプが好ましい。無機蒸着層上に接着剤層を形成する際には無機蒸着層に欠陥が生じる可能性があるが、「2」及び「4」のタイプは前述した可能性を排除できるためである。また、「2」及び「4」の中でも、紙基材層と接着剤層との密着性を良好にしやすい「2」が好ましい。また、「2」の場合、後述する、「B1.接着剤層塗布液を塗布、乾燥する手段」で接着剤層を形成することが好ましい。
1.無機蒸着層供与体の無機蒸着層上に接着剤層を形成する。
2.紙基材層上に接着剤層を形成する。
3.無機蒸着層供与体の無機蒸着層上、及び紙基材上の両方に接着剤層を形成する。
4.紙基材層と無機蒸着層供与体との間に接着剤層を供給する。
上記「1」、「2」及び「3」において接着剤層を形成する具体的手段としては、「B1.接着剤層塗布液を塗布、乾燥する手段」、「B2.セパレータ上に接着剤層を有する積層体1を作製し、積層体1をドライラミネートした後、セパレータを剥離する手段」が挙げられる。
上記「4」の具体的手段としては、例えば、セパレータ上に接着剤層を有する積層体1を作製し、積層体1のセパレータを剥離しながら、紙基材層と無機蒸着層供与体との間に接着剤層を供給する手段が挙げられる。
接着剤層の形成に先んじて、アンカーコート層を形成してもよい。
無機蒸着層供与体と、紙基材層とを、接着剤層を介して貼り合わせて、バリア紙中間体を得る手段としては、汎用のラミネート手段が挙げられる。
バリア紙中間体の具体的な積層構成としては、例えば、本実施形態のバリア紙の積層構成として例示した上記(1)~(8)に離型性支持体を追加した積層構成が挙げられる。離型性支持体を追加する箇所は、接着剤層を基準として無機蒸着層側の最表面である。
<工程2>
工程2は、工程1で得たバリア紙中間体から前記離型性を有する支持体を剥離して、下記のバリア紙を得る工程である。
(バリア紙)
紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有し、前記接着剤層と前記無機蒸着層とが接してなり、前記接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μm以下である、バリア紙。
バリア紙中間体には複数の界面が存在する。複数の界面のうち、通常は、接着力が最も低い界面が最初に剥離する。このため、離型性支持体のみを剥離する場合には、離型性支持体と、離型性支持体に接する層との界面の接着力が最も弱くなるようにすればよい。また、離型性支持体及び剥離層を剥離する場合には、剥離層と、剥離層に接する層との界面の接着力が最も弱くなるようにすればよい。
工程2で得られるバリア紙の実施形態は、上述した本実施形態のバリア紙の実施形態と同様である。例えば、工程2で得られるバリア紙は、Ra1が0.100μm以下であることが好ましい。また、工程2で得られるバリア紙は、σRa1が0.030μm以下であることが好ましい。また、工程2で得られるバリア紙は、Rku1が3.0超であることが好ましい。また、工程2で得られるバリア紙は、接着剤層の厚みの変動係数が0.17以下であることが好ましい。
バリア紙が、紙基材層の接着剤層とは反対側に印刷層を有する場合、印刷層は、工程1の前に形成してもよいし、工程1と工程2との間に形成してもよいし、工程2の後に形成してもよい。
工程2で得られたバリア紙に対して、さらに層を積層してもよい。例えば、工程2で得られたバリア紙が、無機蒸着層の接着剤層とは反対側に、保護層、ヒートシール層及びシーラント層から選ばれる層を有していない場合、これらの層を形成してもよい。また、工程2で得られたバリア紙が印刷層を有していない場合、工程2の後に紙基材層の接着剤層とは反対側に印刷層を形成してもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.測定、評価
実施例及び比較例のバリア紙について以下の評価、測定を行った。結果を表1に示す。
1-1.厚み(無機蒸着層に接する有機層であって、無機蒸着層の紙基材層側に位置する層の厚み)
実施例1及び比較例1のバリア紙を50mm×50mmの大きさにカットしたカットサンプルを作製した。次いで、前記カットサンプルをエポキシ樹脂で包埋した包埋サンプルを作製した。次いで、包埋サンプルを、包埋サンプルの平面に対して垂直方向にダイヤモンドカッターで切断した。次いで、サンプルの断面をSTEMで撮影可能とするために、断面にスパッタリングでオスミウム膜を形成した。次いで、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて、包埋サンプルの露出した断面写真を撮影した。STEMは、日立ハイテクノロジー社製の商品名「S-4800 TYPE I」を用いた。
撮影した断面写真を元に、明細書本文のx1~x4の記載に従い、実施例1のバリア紙の接着剤層の厚み、及び、比較例1のバリア紙のプライマー層の厚みを測定した。実施例1のバリア紙の接着剤層、及び、比較例1のバリア紙のプライマー層は、無機蒸着層に接する有機層であり、無機蒸着層の紙基材層側に位置している点で共通する層である。実施例1のバリア紙の接着剤層の厚み、及び、比較例1のバリア紙のプライマー層の厚みは、明細書本文のx1~x4の記載に従い、75箇所で測定した。そして、75箇所の平均値を、実施例1のバリア紙の接着剤層の厚み、及び、比較例1のバリア紙のプライマー層の厚みとした。また、75箇所の厚みの標準偏差を、実施例1のバリア紙の接着剤層の厚みの標準偏差、及び、比較例1のバリア紙のプライマー層の厚みの標準偏差とした。
なお、上記一連の作業は、温度23℃±5℃、相対湿度40%以上65%以下の雰囲気で実施した。また、測定開始前に、前記雰囲気にサンプルを30分以上晒した。
1-2.表面形状の測定
非接触式かつ共焦点方式の表面形状測定器(キーエンス社の商品名「VK-X150」)を用いて、実施例及び比較例のバリア紙の無機蒸着層の紙基材層とは反対側の面に光の焦点を合わせ、前記面(面X)の表面形状を測定した。前記測定器の測定ステージのガラス板上にバリア紙を置き、バリア紙の両端をテープで固定した状態で測定した。測定領域は縦203.55μm×横271.49μmとした。表面形状を測定する際のカットオフλs及びカットオフλcは何れも「0」とした。
明細書本文の記載に従い、72箇所の測定を実施し、72箇所の測定値を元に、σRa1、Ra1、Rku1を算出した。解析ソフトは、キーエンス社の商品名「マルチファイル解析アプリケーションVK-Xシリーズ」を用いた。測定条件の詳細を以下に示す。
なお、上記一連の作業は、温度23℃±5℃、相対湿度40%以上65%以下の雰囲気で実施した。また、測定開始前に、前記雰囲気にサンプルを30分以上晒した。
<測定条件表示>
・ユーザーモード:エキスパート
・対物レンズ:標準レンズ 50.0倍
・レンズNA:0.800
・測定サイズ:標準
・測定モード:表面形状
・RPD:ON
・測定品質:高精度
・測定ピッチ:0.13μm
・Z測定距離:サンプル毎に異なる値を設定した(サンプル毎に、無機蒸着層の紙基材層とは反対側の面までの焦点距離が異なるため。)。
・ダブルスキャン:OFF
・明るさ1:実施例1では6980、比較例1では6760、比較例2では6410(明るさが異なる理由は、下記の「レーザー照明フィルター」の光量の違い、及び、サンプルの積層構成の相違等のため。)
・明るさ2:空欄
・レーザー照明フィルター:実施例1では光量100%、比較例1及び2では光量30%(光量が異なる理由は、測定器が自動で調整するため。)
・光学ズーム:1.0倍
・平均回数:1回
・フィルタ:OFF
・ファインモード:ON
・ライン本数:空欄
・ライン位置1:空欄
・ライン位置2:空欄
・ライン位置3:空欄
・カメラゲイン:0dB
・シャッタースピード:オート
・ホワイトバランス:マニュアル
・ホワイトバランスR:135
・ホワイトバランスB:149
・受光光量補正モード:γ補正
・γ補正値:0.45
・γオフセット:0%
・白黒反転:OFF
・ヘッド種別:VK-X110
・光量偏心補正:ON
・像面湾曲補正:ON
・XYキャリブレーション:265,391nm/pixel
・Zキャリブレーション:0.100nm/digit
・鮮やかさ:6
・コントラスト:5
・明るさ:53
・AIノイズ除去:ON
・斜面ノイズフィルター:ON
1-3.密着性
JIS K5600-5-6に準拠して、バリア紙に対してクロスカット試験を実施して、無機蒸着層と接着剤層との界面密着性を評価した。
クロスカット用治具を用いて、バリア紙の無機蒸着層側に、1辺2mmの25個(縦5個×横5個)のマス目を単一刃によって形成した。マス目を形成する際は、単一刃で無機蒸着層を貫通させた。次いで、セロハンテープ(幅15mm×長さ75mm)を、全てのマス目を覆うように貼り付けた。次いで、テンシロンを用いて、貼り付けたテープを端から3mm/分で剥離し、無機蒸着層の剥がれ具合を目視で観察して、下記の評価基準で結果を分類した。
分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれが無い。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さな剥がれがある。但しクロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜のカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれがある。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%以上15%以下の間。
分類3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的、又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は目の色々な部分が、部分的に、又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影
響を受けるのは15%を超え、35%を下回る範囲。
分類4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、および又は、数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に35%を上回ることがない範囲。
分類5:分類4でも分類できない剥がれ程度のいずれか。
1-4.酸素透過度
日立ハイテクサイエンス社の「Mocon酸素透過率測定装置、品番:OX-TRAN 2/20」を用いて、温度23℃、相対湿度90%におけるバリア紙の酸素透過度を測定した。表中の「Fail」は測定限界(200cc/m/day/atm)以上の値だったことを示す。
1-5.水蒸気透過度
日立ハイテクサイエンス社の「Mocon酸素透過率測定装置、品番:PERMATRAN-W 3/33」を用いて、温度40℃、相対湿度90%におけるバリア紙の水蒸気透過度を測定した。表中の「Fail」は測定限界(50g/m/day)以上の値だったことを示す。
2.材料
以下の材料を準備した。
(1)積層体1
紙基材層上に目止め層を有してなる積層体1として、大王製紙社の商品名「リュウオウコート(片面コート。坪量55g/m、総厚み:約49μm、紙基材層の厚み:約35μm、目止め層(クレーコート層)の厚み:約14μm)」を準備した。
(2)紙基材層1
紙基材層1として、紙基材の単層からなる晒紙(坪量50g/m、大王製紙社の商品名「ナゴヤ晒竜王」、厚み約58μm)を準備した。
(3)接着剤1
接着剤1として、DIC社の溶剤型バリア性接着剤「商品名:パスリム、(主剤:VM001、硬化剤:108CP)」を準備した。
(4)プライマー剤1
プライマー剤1として、マイケルマン社の「商品名:MC1548A」を準備した。
3.無機蒸着層転写体の作製
離型性支持体(東洋紡社のPETフィルム、厚み12μm、片面コロナ処理品)のコロナ処理面に、剥離剤希釈液(昭和インク社の剥離剤(品番:k-45-3)と、酢酸エチルとの質量比1:1混合品)を、乾燥後の層厚が1.0g/m(約1μm)になるようにバーコート法によって塗布し、80℃のオーブンで1分間乾燥させて剥離層を形成した。
次いで、剥離層上に、真空蒸着法によって、無機蒸着層として酸化アルミニウム蒸着層を形成し、離型性支持体(厚み12μmのPET)、剥離層(1.0g/m)、無機蒸着層(厚み40nmのアルミニウム蒸着層)をこの順に有する、無機蒸着層転写体1を得た。
4.バリア紙の作製
[実施例1]
前記積層体1の目止め層を有する側の面に、前記接着剤1を塗布、乾燥して、厚み2.9μmの接着剤層を形成した。
次いで、接着剤1の塗布面と、無機蒸着層転写体1の無機蒸着層側の面とを対向させて、貼り合わせてた。次いで40℃で3日間エージングを行い、紙基材層、目止め層、接着剤層、無機蒸着層、剥離層、離型性支持体(PET)をこの順に有する実施例1のバリア紙中間体を得た。
次いで、実施例1のバリア紙中間体から離型性支持体を剥離して、紙基材層、目止め層、接着剤層、無機蒸着層、剥離層をこの順に有する実施例1のバリア紙を得た。
[比較例1]
紙基材層1の一方の面に、前記プライマー剤1を塗布、乾燥して、厚み6.2μmのプライマー層を形成した。
次いで、プライマー層上に、真空蒸着法によって、無機蒸着層として酸化アルミニウム蒸着層を形成し、紙基材層、プライマー層、無機蒸着層(厚み40nmのアルミニウム蒸着層)をこの順に有する比較例1のバリア紙を得た。
[比較例2]
前記積層体1の目止め層を有する側の面に、真空蒸着法によって、無機蒸着層として酸化アルミニウム蒸着層を形成し、紙基材層、目止め層、無機蒸着層(厚み40nmのアルミニウム蒸着層)をこの順に有する比較例2のバリア紙を得た。
5.結果
Figure 2022073606000006
表1の結果から、接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μm以下である実施例のバリア紙は、バリア性が良好であることが確認できる。
比較例1のバリア紙は、接着剤層に相当するプライマー層の厚みの標準偏差が1.20μmであるため、バリア性を良好にできないものであった。また、比較例2のバリア紙は、接着剤層に相当する層を有していないため、バリア性を良好にできないものであった。
100:バリア紙
10:紙基材層
20:目止め層
30:接着剤層
40:無機蒸着層
50:剥離層
60:ヒートシール層
70:プライマー層

Claims (11)

  1. 紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有し、前記接着剤層と前記無機蒸着層とが接してなり、前記接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μm以下である、バリア紙。
  2. 前記接着剤層の厚みの変動係数が0.17以下である、請求項1に記載のバリア紙。
  3. 前記接着剤層の厚みが1μm以上20μm以下である、請求項1又は2に記載のバリア紙。
  4. 前記無機蒸着層の前記紙基材層とは反対側の面の算術平均粗さをRa1と定義した際に、Ra1が0.100μm以下である、請求項1~3の何れかに記載のバリア紙。
  5. 前記無機蒸着層の前記紙基材層とは反対側の面の粗さ曲線のクルトシスをRku1と定義した際に、Rku1が3.0超である、請求項1~4の何れかに記載のバリア紙。
  6. 前記紙基材層と前記接着剤層との間に目止め層を有する、請求項1~5の何れかに記載のバリア紙。
  7. 前記無機蒸着層の接着剤層とは反対側に、剥離層、保護層、ヒートシール層及びシーラント層から選ばれる1以上の層を有する、請求項1~6の何れかに記載のバリア紙。
  8. 前記紙基材層の接着剤層とは反対側に印刷層を有する、請求項1~7の何れかに記載のバリア紙。
  9. 請求項1~8の何れかに記載のバリア紙を含む容器。
  10. 請求項1~8の何れかに記載のバリア紙を含む蓋材。
  11. 下記の工程1~2を含む、バリア紙の製造方法。
    工程1:離型性を有する支持体上に無機蒸着層を有する無機蒸着層供与体と、紙基材層とを、接着剤層を介して貼り合わせて、バリア紙中間体を作製する工程。但し、工程1において、前記無機蒸着層供与体は、前記離型性を有する支持体を基準として、前記無機蒸着層を有する側の面が前記紙基材層側を向くように配置する。
    工程2:工程1で得たバリア紙中間体から前記離型性を有する支持体を剥離して、下記のバリア紙を得る工程。
    (バリア紙)
    紙基材層、接着剤層、無機蒸着層をこの順に有し、前記接着剤層と前記無機蒸着層とが接してなり、前記接着剤層の厚みの標準偏差が0.80μm以下である、バリア紙。
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