JP2022073602A - トンネル掘削機 - Google Patents

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雅彦 杉山
Masahiko Sugiyama
芳人 中島
Yoshito Nakajima
日出男 水野
Hideo Mizuno
茂 田中
Shigeru Tanaka
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Abstract

【課題】注入孔に対する掘削土砂の固着を抑制することにより、注入孔の機能を確保し続けるとともに、切羽周辺の適切な位置から注入液を注入することにより、注入液による掘削土砂の改良効果を向上させること。【解決手段】トンネル掘削機1は、筒状の掘削機本体10と、前記掘削機本体10の前端において回転可能に設けられるカッタヘッド11と、前記カッタヘッド11の前面に突設される突出部材35と、を備える。前記突出部材35の内部には注入孔50が貫通形成されており、前記注入孔50の前端の注入口51は前記突出部材35の先端部に配置されている。トンネル掘削時に切羽掘削面2に配置される前記突出部材35の先端部の前記注入口51から、前記切羽掘削面2付近の掘削土砂に、水、加泥材または気泡材の少なくともいずれかを含む注入液を注入する。【選択図】図5

Description

本発明は、水、加泥材、気泡材等を切羽に注入しながら掘削するトンネル掘削機に関する。
一般的なトンネル掘削機は、カッタヘッドを回転させ、そのカッタヘッドの前面に装着された複数のカッタビットが前方の地山を切削し切羽を形成することにより、トンネルを掘削する。トンネルの掘削により生じる掘削土砂は、カッタヘッドの背面側にあるチャンバ内に一度蓄えられた後、トンネル掘削機内に設けられたスクリューコンベヤによって、トンネル延伸方向後方に向けて運搬および排出される。
上記トンネル掘削機のうち泥土圧式シールド掘削機は、切羽に加圧注入した添加材(加泥材、気泡材等)を、掘削土砂と撹拌混合して改良土とし、この改良土の泥土を切羽と隔壁との間に充満させ、シールド掘削機の推進ジャッキの推進力により加圧する。これにより、切羽の土圧に対抗する圧力を切羽全体に作用させて、切羽の安定を図りながら、スクリューコンベヤで排土調整して掘進するので、広範な地山に適応できる。
従来の泥土圧式シールド掘削機においては、水、加泥材または気泡材等(以下、注入液という。)を切羽周辺の掘削土砂に注入するための注入孔は、カッタヘッド構成部材の前面(例えば、カッタスポークの前面、またはカッタスポーク間に配置される面板などを含む。以下、「カッタヘッド前面」という。)に設けられていた。例えば、特許文献1、2には、機体後方から流路を通じてカッタヘッドに供給される加泥材を、カッタヘッド前面に形成された注入口(流路出口)から切羽周辺の掘削土砂に注入するシールド掘削機が記載されている。
特開2003-193791号公報 特開2015-161139号公報
しかしながら、上記従来のシールド掘削機は、カッタヘッド前面に設けられた注入孔から切羽に対して注入液を注入する構造であった。このため、注入孔から切羽最前端まで注入液が到達しにくく、この間においては、期待した注入液の効果(例えば、掘削土砂の塑性流動性や付着防止性の向上など)が得られないという問題があった。したがって、切羽最前端とカッタヘッド前面との間で掘削土砂が十分に改良されないため、この十分に改良されない掘削土砂が、カッタヘッド前面に突設される複数のビット間に滞留および固着する。このため、掘削土砂の固着物によって注入孔が閉塞してしまい、注入孔の機能を維持できなくなるという問題が生じていた。
特に、泥土圧式シールド掘削機を用いて支障物切削や長距離施工する場合には、上記の問題が顕著であった。これらの場合、カッタヘッド前面に多数のビットが細かなピッチで密に並べて配置されるので、密に配置されたビット間の狭い隙間に、十分に改良されていない掘削土砂が滞留して固着しやすい。このため、カッタヘッド前面に設けられた注入孔が固着物によって閉塞しやすいので、注入孔から注入液を掘削土砂に注入し難くなり、注入液の効果が大きく低下してしまう。さらに、密に配置されたビットが注入液拡散の障壁となるため、注入孔から離れた箇所にまで注入液が拡散しにくい。このため、注入孔の周辺の限られた狭いスペースでしか注入液が機能しなくなるという問題も発生するため、カッタヘッド全体では、期待される注入液の効果が得られなくなる。
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、注入孔に対する掘削土砂の固着を抑制することにより、注入孔の機能を確保し続けるとともに、切羽周辺の適切な位置から注入液を注入することにより、注入液による掘削土砂の改良効果を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、
筒状の掘削機本体と、
前記掘削機本体の前端において回転可能に設けられるカッタヘッドと、
前記カッタヘッドの前面に突設される突出部材と、
を備え、
前記突出部材の内部には注入孔が貫通形成されており、前記注入孔の前端の注入口は前記突出部材の先端部に配置されており、
トンネル掘削時に切羽掘削面に配置される前記突出部材の先端部の前記注入口から、前記切羽掘削面付近の掘削土砂に、水、加泥材または気泡材の少なくともいずれかを含む注入液を注入する、トンネル掘削機が提供される。
前記突出部材は、カッタビットであるようにしてもよい。
前記カッタビットは、先行ビットであるようにしてもよい。
前記注入孔は、前記突出部材の内部を前記カッタヘッドの軸方向に貫通しているようにしてもよい。
前記注入孔に逆止弁が設けられるようにしてもよい。
前記注入孔には、前記注入液を噴出するノズルが取り付けられ、
前記ノズルは、前記突出部材の内部に埋設されているようにしてもよい。
前記突出部材の先端部には、前記注入孔の前端の前記注入口を拡張する座グリ穴が形成されており、
前記ノズルは、前記突出部材の先端部側から前記座グリ穴を通じて前記突出部材の内部に挿入されて、前記注入孔に取り付けられるようにしてもよい。
前記掘削機本体の後方から前記カッタヘッドまで前記注入液を搬送し、前記注入孔に前記注入液を供給する供給機構をさらに備えるようにしてもよい。
本発明によれば、注入孔に対する掘削土砂の固着を抑制することにより、注入孔の機能を確保し続けるとともに、切羽周辺の適切な位置から注入液を注入することにより、注入液による掘削土砂の改良効果を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るトンネル掘削機を示す概略断面図である。 同実施形態に係るカッタヘッドの一例を示す正面図である。 同実施形態に係るカッタヘッド前面に多数のカッタビットが細かなピッチで密に並べて配置された状態を示す斜視図である。 同実施形態に係るカッタヘッドのカッタビットにより、切羽掘削面の地山を切削する状態を模式的に示す断面図である。 同実施形態に係る注入孔と従来の注入孔の配置の違いを模式的に示す断面図である。 同実施形態に係る注入孔が貫通形成された先行ビットを正面側から見た断面図である。 同実施形態に係る注入孔が貫通形成された先行ビットを側面側から見た断面図である。 同実施形態に係る先行ビットの先端部に埋設されたノズルを示す部分拡大断面図である。 同実施形態の変更例に係る突出部材を模式的に示す断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
<1.トンネル掘削機の全体構成>
まず、図1、図2を参照して、本発明の一実施形態に係るトンネル掘削機1の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係るトンネル掘削機1を示す概略断面図である。図2は、本実施形態に係るカッタヘッド11の一例を示す正面図である。
なお、以下の説明では、トンネル掘削機1の進行方向(切羽に向かうトンネル延伸方向)を前方または前面側と称し、当該進行方向の逆方向(坑口に向かうトンネル延伸方向)を後方または背面側と称する場合もある。また、円筒形状を有するトンネル掘削機1の軸方向、径方向、周方向をそれぞれ、単に軸方向、径方向、周方向と称する場合もある。なお、トンネル掘削機1の軸方向は、トンネル掘削機1の進行方向(前方)と一致する。
本実施形態に係るトンネル掘削機1は、例えば、土砂層を含む地山を掘削可能な泥土圧式のシールド掘削機である。図1に示すように、本実施形態に係るトンネル掘削機1は、円筒状の掘削機本体10と、円盤状のカッタヘッド11と、カッタヘッド11の後方に配置される隔壁12と、カッタ中央軸13とを備える。
カッタヘッド11は、掘削機本体10の前端に設けられる略円盤状の回転体である。カッタヘッド11の中心部には、カッタ中央軸13の前端が嵌入されており、カッタヘッド11は、カッタ中央軸13を中心に回転可能に軸支されている。
図1、図2に示すように、カッタヘッド11は、外周リング31と、内周リング32と、カッタスポーク33と、センターカッタ34と、カッタビット35と、土砂通過部36と、補助カッタスポーク37とを有する。
このうち、外周リング31は、カッタヘッド11の外周部を形成しており、内周リング32は、外周リング31よりもカッタ径方向内側に配置されている。また、複数のカッタスポーク33は、カッタヘッド11の前面において、カッタ中央軸13を中心として放射状に配置されている。カッタヘッド11の前面の中心部には、センターカッタ34が装着されている。さらに、カッタスポーク33の前面には、多数のカッタビット35が装着されている。
そして、カッタヘッド11には、上記外周リング31、内周リング32およびカッタスポーク33相互の間に、複数の土砂通過部36が形成されている。土砂通過部36は、周方向に間隔を空けて放射状に配置された複数のカッタスポーク33間の隙間(開口部)である。かかる土砂通過部36は、カッタヘッド11によって切羽の地山を掘削した際に発生する掘削土砂を、掘削機本体10内(後述するチャンバ17内)に取り込むための掘削土砂取込口として機能する。
図2に示すように、カッタヘッド11の前面に例えば6本のカッタスポーク33が放射状に配置されている。また、カッタヘッド11の外周部においては、相隣接するカッタスポーク33の間に、補助カッタスポーク37も配置されている。これらのカッタスポーク33および補助カッタスポーク37は、例えば、中空断面構造を有する四角筒状の構造体であり、カッタヘッド11の回転中心(カッタ中央軸13)を中心として、放射状に配置されている。具体的には、カッタスポーク33は、カッタヘッド11の中心部から外周部まで、径方向に延在すると共に、当該カッタヘッド11の周方向において等間隔で配置されている。一方、補助カッタスポーク37は、カッタヘッド11の径方向の中間部から外周部まで、径方向に延在すると共に、当該カッタヘッド11の周方向において等間隔で配置されている。そして、カッタスポーク33と補助カッタスポーク37とは、周方向において交互に配置されている。
これらカッタスポーク33および補助カッタスポーク37の前面(例えば、カッタスポーク33等が四角筒状の構造体である場合、当該カッタスポーク33等の前板33a)には、複数のカッタビット35(以下、「ビット35」と略称する場合もある。)が装着されている。以下では、カッタスポーク33に装着されるビット35について詳細に説明するが、補助カッタスポーク37に装着されるビット35も同様である。
カッタビット35は、例えば、先行ビット35Aと、ティースビット35Bを含む。また、他のカッタビットとして、摩耗検知ビット(超音波式、多段式、油圧式等)、シェルビットなどが含まれてもよい。
先行ビット35Aは、カッタスポーク33の前面に設けられ、切羽前方に向けて突出するビットである。先行ビット35Aは、例えば、図2、図4に示すようにカッタスポーク33の前面の幅方向中央部に設けられてもよい。複数の先行ビット35Aが、カッタスポーク33の前面の所定の径方向位置に装着される。先行ビット35Aは、切羽の地山をほぐしたり、地山に切れ目を入れたりして、ティースビット35Bよりも先行して地山を掘削することにより、ティースビット35Bの掘削負荷を低減するためのものである。先行ビット35Aは、例えば、支障物切削用の特殊先行ビットであってもよい。
先行ビット35Aの刃先位置がティースビット35Bの刃先位置よりも切羽前端側(トンネル前方側)に位置するように、先行ビット35Aがカッタスポーク33に取り付けられている(後述する図4を参照。)。図1に示すように、本実施形態では、先行ビット35Aは、切羽最前端位置である切羽掘削面2を形成するビットとして配置されている。切羽掘削面2は、カッタヘッド11の複数のビット35により掘削される切羽のうち、ビット35の先端部(刃先位置)により掘削される切羽最前端位置に配置される掘削面である。本実施形態に係る切羽掘削面2は、カッタヘッド11の前面に突設された複数のビット35のうち、複数の先行ビット35Aの先端部(刃先位置)により掘削される略円板形若しくは略円錐状の掘削面を意味する。
また、カッタスポーク33の前面の幅方向両側部には、左右一対を1組として、複数組のティースビット35B、35Bが装着されている。ティースビット35Bは、主に地山の掘削を行うカッタビット(メインビット)である。ティースビット35Bは、当該掘削によって発生した掘削土砂を土砂通過部36から取り込むように誘導する機能も有する。カッタヘッド11の正逆2方向の回転による掘削を可能とするため、左右一対のティースビット35B、35Bが、カッタスポーク33の幅方向の両側部において径方向同位置に取り付けられる。
センターカッタ34は、カッタヘッド11の回転中心付近の切羽を掘削するカッタビットである。センターカッタ34は、先行ビット35Aおよびティースビット35Bによる掘削よりも先行して、切羽中心部を掘削する。このセンターカッタ34による掘削面は、本実施形態に係る切羽掘削面2に含まれる。
図1に戻り、トンネル掘削機1の各部の説明を続ける。図1に示すように、掘削機本体10におけるカッタヘッド11よりも後方には、隔壁12が配置されている。隔壁12は、トンネル延伸方向に対して垂直に配置される円板状の壁体であり、隔壁12の外周縁は掘削機本体10の内周面10aに取り付けられる。カッタヘッド11と隔壁12は、トンネル延伸方向に所定間隔を空けて配置される。隔壁12の後方には、トンネル掘削機1の各種設備が配置されており、隔壁12は、切羽で生じる掘削土砂から当該設備を隔離する。隔壁12の下部には、掘削土砂を排出するための開口部である排出口12aが形成されている。
隔壁12の中心部には、カッタ中央軸13が回転可能に支持されている。さらに、隔壁12には、リング状の回転リング14が、カッタ中央軸13を中心として回転可能に支持されている。回転リング14の前部には、複数の連結ビーム15が周方向に所定の間隔で設けられている。複数の連結ビーム15は、カッタヘッド11と回転リング14を連結する。連結ビーム15の前端は、カッタヘッド11の内周リング32とカッタスポーク33との接続部に連結されている。一方、回転リング14の後部には、外歯式のリングギヤ14aが設けられている。さらに、隔壁12の後方にはカッタ旋回用モータ16が設けられている。このカッタ旋回用モータ16の駆動ギヤ16aは、回転リング14のリングギヤ14aと噛み合っている。
カッタ旋回用モータ16を駆動させることにより、その駆動ギヤ16aの回転がリングギヤ14aから回転リング14および連結ビーム15に伝達される。これにより、カッタヘッド11を、カッタ中央軸13を中心として回転させることができる。
カッタヘッド11と隔壁12との間には、チャンバ17が画成されている。チャンバ17は、カッタヘッド11の背面と、隔壁12の前面と、掘削機本体10の内周面10aとにより区画された、略円柱状の空間である。カッタヘッド11による地山掘削に伴って発生する掘削土砂は、カッタヘッド11に形成された土砂通過部36(掘削土砂取込口)を通じて、チャンバ17内に取り込まれる。チャンバ17は、掘削土砂を一時的に蓄えるための空間(室)として機能する。チャンバ17内に取り込まれた掘削土砂は、隔壁12の下部にある排出口12aを通じて、チャンバ17から後述のスクリューコンベヤ20内に排出される。
また、掘削機本体10の隔壁12よりも後方側には、ビーム18が設けられる。ビーム18の両端は、掘削機本体10の内周面10aに取り付けられる。ビーム18の背面には、エレクタ装置(図示せず。)が設けられる。エレクタ装置は、掘削機本体10の軸方向、径方向および周方向(すなわち、トンネル延伸方向、径方向および周方向)に移動可能に設けられる。かかるエレクタ装置は、覆工部材であるセグメントSを把持可能であり、把持したセグメントSをトンネルTの内壁面(坑壁)に沿って組み立てる。
セグメントSは、掘削されたトンネルTの内壁面に沿った湾曲形状を有する環片である。上記エレクタ装置を駆動させることにより、複数のセグメントSをトンネル周方向に沿ってリング状に組み立てることができる。これにより、トンネルTの内壁面が複数のセグメントSにより覆工され、内壁面の崩落を防止できる。
さらに、掘削機本体10内には、複数の推進ジャッキ19が、内周面10aに沿って、トンネル延伸方向に延びるよう設けられる。複数の推進ジャッキ19は、内周面10aの周方向に所定の間隔で並設される。これらの推進ジャッキ19は、トンネル延伸方向に伸縮可能な駆動ロッド19aを有している。この駆動ロッド19aの先端は、既設のセグメントSの前端面と対向している。
かかる推進ジャッキ19の駆動ロッド19aを、後方に向けて伸長し、セグメントSを押圧することにより、掘削機本体10に推進反力を付与することができる。すなわち、推進ジャッキ19がセグメントSを押圧したときに発生する推進反力によって、掘削機本体10は前進可能である。掘削時には、切羽と隔壁12との間に充満した掘削土砂を、推進ジャッキ19の推進反力で加圧することにより、切羽の土圧に対抗する圧力を切羽全体に作用させて、切羽の安定を図ることがきできる。このような加圧により切羽の安定を図りながら、推進ジャッキ19の推力により、回転するカッタヘッド11の前面を切羽の地山に押し付けることで、切羽の地山を掘削することができる。
また、掘削機本体10内における隔壁12の後方側には、スクリューコンベヤ20が設けられる。スクリューコンベヤ20は、スクリュー羽根21と、筒体22と、土砂排出口23と、駆動部25とを備える。スクリューコンベヤ20の筒体22は、掘削機本体10内において、後方側に向かうにつれて上方に位置するように、傾斜して配置される。スクリューコンベヤ20の筒体22の前端の開口部は、上記隔壁12の排出口12aに接続されている。これにより、スクリューコンベヤ20の筒体22の内部空間は、隔壁12の排出口12aを通じてチャンバ17と連通する。筒体22の内部には、スクリュー羽根21が回転可能に設けられている。筒体22の後部の周面下部側には、土砂排出口23が設けられる。土砂排出口23は、スクリュー羽根21により筒体22内の後方側に運搬された掘削土砂を筒体22の外部に排出する開口部である。筒体22の後端には、スクリュー羽根21を回転駆動させるための駆動部25が設置されている。駆動部25によりスクリュー羽根21を回転駆動させることで、チャンバ17内に蓄えられた掘削土砂をスクリューコンベヤ20内に取り込んで、掘削機本体10の後方に向けて運搬し、土砂排出口23から排出することができる。
<2.添加材(注入液)の構成>
次に、カッタヘッド11より前方の切羽周辺やチャンバ17内で、掘削土砂に注入される添加材(加泥材、気泡材等)について説明する。
本実施形態に係るトンネル掘削機1を用いた泥土圧式シールド工法は、カッタヘッド11により掘削した掘削土砂を切羽掘削面2と隔壁12の間に充満させ、必要に応じて加泥材、気泡材等の添加材を注入、混合して改良土の泥土とし、その土圧により切羽の安定を図りながら掘進し、掘削土砂をスクリューコンベヤ20で排土する工法である。ここで、切羽の安定に必要な土圧を保持し、シールド掘削機の掘進量に応じて適切な土量の泥土を排出するためには、チャンバ17内に充満した泥土が適正な流動性を有することと、地下水に対する止水性を有することが求められる。このために、切羽周辺の掘削土砂やチャンバ17内の掘削土砂に、加泥材、気泡材等の掘進用添加材を注入し、チャンバ17内に設けられた攪拌翼(図示せず。)等により掘削土砂と添加材とを混練して、改良土の泥土にする。なお、地下水に対する止水性とは、掘削土砂に地下水に対する透水性を持たせないことを意味する。掘削土砂の透水性が高いと、排出土砂の水分による噴発やトンネル掘削機1の水没を起こす可能性がある。このため、地下水に対する掘削土砂の透水性を低下させるように、即ち、掘削土砂の止水性を向上させるようにする必要がある。
このように、泥土圧式シールド工法では、掘削土砂の塑性流動性の向上、掘削土砂の止水性の向上、トンネル掘削機に対する掘削土砂の付着防止、カッタビット等の摩耗低減、カッタヘッド等のトルク低減などを主目的として、掘削土砂に加泥材が注入される。また、気泡シールド工法では、礫質土・砂礫質土・砂質土・粘土質土といった全土質に対応するため、掘削土砂の塑性流動性や止水性の向上、掘削土砂の減量化等を主目的として、気泡材が掘削土砂に注入される。気泡材は、界面活性剤を主剤とした特殊な微細粒子からなる添加材である。気泡材は、空気分で添加材の容積を増やすとともに、撹拌性を高めることができるので、液体とした場合の正味の添加材の添加量を少なくできる。
上記の加泥材や気泡材等の添加材は、次に示すように、使用する材料に基づいて4種に分類される。
(1)鉱物系(材料:粘土、ベントナイト)
掘削土砂を塑性流動性および止水性の高い泥土とするために必要な微細粒子を、粘土・ベントナイト等を主材として補給するための添加材である。幅広い土質に適用できる。
(2)高吸水性樹脂系(材料:吸水性樹脂)
自重の数百倍の水を吸収してゲル状となる吸水性樹脂により、地下水による希釈劣化が少なく、高水圧地盤での奮発防止に大きな効果をもたらす。
(3)水溶性高分子系(材料:セルロース系、アクリル系、多糖類系の高分子化合物)
掘削土砂中の粘性を増大させる効果があり、ポンプ圧送性を向上させる。鉱物系添加材との併用で効果を発揮することが多い。主原料の成分によって、セルロース系(CMC等)、アクリル系(PHPA等)、多糖類系(グアガム等)がある。
(4)界面活性剤系(材料:特殊起泡材と圧縮空気で作られる気泡材)
掘削土砂の流動性と止水性を向上することができ、トンネル掘削機に対する掘削土砂の付着を防止する効果がある。
これら各種の添加材は、掘削対象の地山の土質(礫質土、砂質土、粘性土等)や排土方法等によって使い分けられる。例えば、透水性が高い砂礫層や礫質土に対しては、高吸水性樹脂系や、水溶性高分子系のうちアクリル系・多糖類系の添加材などが使用される。また、砂礫層や砂質土に対しては、水溶性高分子系のうちセルロース系・アクリル系の添加材などが使用される。また、粘着力が高いシルトや粘性土に対しては、界面活性剤系や、水溶性高分子系のうちアクリル系の添加材などが使用される。また、鉱物系の添加材は、幅広い土質に適用できる。
礫質土や砂質土のように、微細粒子の含有量が少ない地山を掘削する場合、切羽周辺やチャンバ17内で掘削土砂に注入される添加材は、微細粒子としての役目を果たし、掘削土砂の性状を、塑性流動性および止水性の高い泥土に改良する。上記のように地山の土質に応じて添加材を使い分けるために、地山の土質に適した1種または2種以上の添加材の主材を予め配合しておく。そして、配合された添加材の混合物に水を添加した水溶液若しくは混合液を、切羽周辺やチャンバ17内の掘削土砂に注入して混錬し、泥土を作製する。これによって、掘削土砂を適切な泥土に改良でき、泥土の塑性流動性や止水性、付着防止性などを、切羽の安定に必要な土圧の保持や適切な泥土の排土の観点において適切なレベルで確保できる。
本実施形態では、上記のような加泥材、気泡材等の添加材の主材に水を混合して水溶液若しくは混合液とし、当該水溶液若しくは混合液を注入液として掘削土砂に注入する。なお、以下の説明において「添加材を注入する」、「添加材の注入」などと記載した場合は、液体の添加材(添加材の主材に水を混合した水溶液若しくは混合液)を注入することを意味する。
<3.注入機構の全体構成>
次に、図1等を参照して。注入液を切羽周辺の掘削土砂に注入する注入機構の全体構成について説明する。なお、注入液は、水、加泥材または気泡材の少なくともいずれかを含む液体である。例えば、本実施形態に係る注入液は、上記の加泥材、気泡材等の添加材および水を含む液体である。注入液に含まれる水は、例えば、添加材の溶媒として機能してもよいし、または、水単独として、掘削時の摩擦熱により加熱されるカッタビット35等の各種部材を冷却するための冷却水として機能してもよい。
本実施形態に係るトンネル掘削機1は、トンネル掘削中に切羽周辺の掘削土砂に注入液を注入するための注入機構を備えている。注入機構は、注入液をカッタヘッド11まで搬送して注入孔50に供給する供給機構40(図1参照。)と、注入液を噴出して掘削土砂に注入する注入孔50(図5等参照。)とを備える。
図1に示すように、供給機構40は、掘削機本体10の機体後方から機体前端のカッタヘッド11まで注入液を搬送して、カッタヘッド11に形成された注入孔50に注入液を供給するための流路である。供給機構40は、配管41(第1流路)と、配管42(第2流路)と、配管43(第3流路)と、ロータリジョイント45(回転式管継手)と、注入液製造装置(図示せず。)と、注入液送出用ポンプ(図示せず。)とを備える。
ロータリジョイント45は、例えば、カッタ中央軸13(センターシャフト)の後端に連結されている。ロータリジョイント45は、略円筒形状のアウトサイドボディ(固定部)と、当該アウトサイドボディの内周側に回転自在に係合する略円柱形状のインサイドボディ(回転部)とを有する。アウトサイドボディには、外部からロータリジョイント45内に注入液を取り入れるための開口部が形成され、当該開口部には、注入液製造装置(図示せず。)と連通する配管41(第1流路)が接続されている。また、アウトサイドボディとインサイドボディには、注入液をカッタヘッド11に送るための連通流路が形成されている。この連通流路は、配管42(第2流路)に連通している。
配管42(第2流路)は、カッタ中央軸13の内部(センターシャフト内)に軸方向に延びるように設けられる。配管43(第3流路)は、カッタヘッド11の内部に径方向に延びるように設けられる。配管42(第2流路)と配管43(第3流路)は、相互に連通している。さらに、配管43(第3流路)は、カッタヘッド11の構成部材の前面(例えば、カッタスポーク33の前板33a)に接続され、当該カッタヘッド11の突出部材(例えば、カッタビット35)に内蔵される注入孔50と連通している。なお、注入孔50の周辺構成の詳細については後述する。
ここで、上記の供給機構40による注入液の供給動作について説明する。添加材を含む注入液は、例えば、地上またはトンネル坑内に設置される注入液製造装置(図示せず。)で製造される。そして、製造された注入液は、注入液送出ポンプ(図示せず。)により、配管41を通じてトンネル掘削機1の掘削機本体10内に送られる。さらに、注入液は、図1に示すように、配管41からロータリジョイント45内に導入され、ロータリジョイント45内の連通流路と、カッタ中央軸13内の配管42と、カッタヘッド11内の配管43を通じて、カッタヘッド11に供給される。そして、配管43を通じて供給される注入液は、図5に示すように、カッタヘッド11の背面側から注入孔50内に供給され、注入孔50の前端の注入口51から、カッタヘッド11の前方の切羽周辺の掘削土砂に注入される。なお、注入液の注入量の制御方法としては、例えば、トンネル掘削機1の掘進速度に応じて注入量を自動的に増減させる制御方法(掘進速度制御方式)を用いることができる。
以上のような構成の供給機構40により注入液を供給することで、トンネル掘削中に連続的かつ円滑に、掘削機本体10の後方からカッタヘッド11の前面側の注入孔50まで注入液を供給し続けながら、注入孔50から切羽周辺の掘削土砂に注入液を注入することができる。
<4.注入孔の構成>
次に、図1~図5を参照して、本実施形態に係るトンネル掘削機1の特徴であるカッタヘッド11の注入孔50とその周辺構成について説明する。以下の説明では、まず、本実施形態に係る注入孔50の説明に先立ち、カッタヘッド11の構成部材の前面(以下、「カッタヘッド11の前面」という場合もある。)に設けられる従来の注入孔60の問題点について、図3~図5を参照しながら説明する。
(1)従来技術の問題点
図3は、カッタヘッド11の前面に多数のカッタビット35(例えば先行ビット35A)が細かなピッチで密に並べて配置された状態を示す斜視図である。図4は、カッタヘッド11のカッタビット35(例えば先行ビット35A、ティースビット35B)により、切羽掘削面2の地山を切削する状態を模式的に示す断面図である。図5は、本実施形態に係る注入孔50と従来の注入孔60の配置の違いを模式的に示す断面図である。
図3に示すように、カッタヘッド11の前面において、カッタスポーク33の前板33a上に、多数の先行ビット35Aが細かなピッチで密に並べて配置される場合がある。このように多数の先行ビット35Aが密集配置される場合、図3~図5に示すように、相隣接する先行ビット35A間の狭い隙間に掘削土砂が滞留、固着しやすいため、掘削土砂の固着物5により当該隙間が閉塞しやすい。
このような状況において、上記特許文献1、2等に記載の従来技術では、図5の下側に示すように、注入液を噴出するための注入孔60を、カッタヘッド11の前面(例えば、カッタスポーク33の前板33a)に設けることが一般的であった。
この場合、カッタスポーク33の前板33aに配置される従来の注入孔60は、切羽最前端位置(切羽掘削面2)までの距離がある。このため、カッタヘッド11の前面に設けられた注入孔60から噴出される注入液が切羽最前端位置(切羽掘削面2)の地山まで到達せず、注入液に含まれる加泥材、気泡材、水等の機能を十分に発揮できない。この結果、切羽最前端から前板33aまでの間の領域で掘削土砂が固着しやすくなるという問題があった。
かかる問題が原因となり、図5に示すように、密集配置された先行ビット35A間の狭い隙間が掘削土砂の固着物5により閉塞し、当該固着物5により注入孔60の注入口61(流路出口)が閉塞してしまう。このため、従来の注入孔60の配置では、注入液を注入する機能が固着物5により阻害され、注入孔60の機能を維持できなくなるという問題が生じていた。この結果、注入液に含まれる添加材の効果(例えば、掘削土砂を塑性流動化する効果や、固着防止効果など)が低下するので、ますます掘削土砂がカッタヘッド11の前面に固着しやすくなるという問題があった。
特に、泥土圧式シールド掘削機を用いて支障物切削や長距離施工する場合には、上記の問題が顕著であった。これらの場合は特に、カッタスポーク33の前板33a上に多数の先行ビット35Aを細かなピッチで密集して配置する必要がある。このため、密集配置された先行ビット35A間の狭い隙間に掘削土砂が滞留して固着し、前板33aに設けられた注入孔60が固着物5により閉塞しやすいので、注入液の効果が大きく低下してしまう。また、密集配置された先行ビット35Aが、注入液の拡散を妨げる障壁となるため、注入孔60から離れた箇所にまで注入液が拡散しにくくなる。このため、注入孔60の周辺の限られた狭いスペースでしか注入液が機能しなくなり、カッタヘッド11の前面全体では、期待される注入液の効果が得られなくなる。
例えば、掘削対象の地山に支障物が残置されている場合には、カッタヘッド11に装着される先行ビット35Aとして、支障物切削用の特殊先行ビットが用いられる。ここで、支障物は、例えば、地中に残されたコンクリート杭(RC杭、PHC杭、PC杭等)、H型鋼、鋼矢板、松杭などである。
かかるコンクリート杭などの支障物を切削する場合、多数の先行ビット35Aを細かなピッチで密集して配置する上に、低い掘削速度で掘削が行われる。このため、切羽の掘削により新たに発生した掘削土砂で、古い掘削土砂を排土口(土砂通過部36)に向けて押し出す機能が弱まる。したがって、掘削土砂がその場で滞留しやすくなり、先行ビット35A間の狭い隙間に固着しやすくなる。それ故、先行ビット35A間の狭い隙間が掘削土砂の固着物5で目詰まりすることによって、先行ビット35Aの周囲に掘削土砂が自由に流動できる空間がなくなるので、先行ビット35Aの切削機能を発揮できなくなり、掘削に支障が生じる恐れもある。さらに、コンクリート杭を切削する場合、コンクリートの特性として、先行ビット35Aによるコンクリートの切削・粉砕後にコンクリート粉が再固化する場合もある。このため、コンクリート粉を含む固着物が、密集配置された先行ビット35A間の狭い隙間に詰まりやすいという問題もある。
また、トンネル掘削機1により長距離施工する場合、カッタヘッド11の前面に、高低差を有する多数のビット35が配置される。かかるビット35の高低差配置などが原因で、カッタヘッド11に装着されるビット数が増加するため、カッタヘッド11の前面におけるビット35の取付ピッチが狭くなる。その結果、上述した支障物切削の場合と同様に、長距離施工の場合でも、ビット35間の狭い隙間に掘削土砂が滞留して固着しやすくなる。したがって、カッタヘッド11の前面に設けられた注入孔60が掘削土砂の固着物5により閉塞し、注入孔60の機能を維持できなくなり、注入液の効果が損なわれてしまう。
そこで、本願発明者は、上記従来技術に係る掘削土砂の滞留および固着と、注入孔60の閉塞という問題を解決すべく、その解決手段について鋭意検討した。この結果、従来の注入孔60の位置(カッタヘッド11の構成部材の前面の位置)よりも切羽最前端に近い位置から注入液を注入すれば、カッタヘッド11の前面に対する掘削土砂の固着を効果的に抑制できることを見出し、本実施形態に係る注入孔50の特徴的構成に想到した。以下に本実施形態に係る注入孔50の特徴的構成について詳述する。
(2)本実施形態に係る注入孔50の概略構成
図5は、従来の注入孔60と、本実施形態に係る注入孔50の双方を例示している。従来の注入孔60は、カッタヘッド11の前面(例えばカッタスポーク33の前板33a)に設けられる。一方、本実施形態に係る注入孔50は、カッタヘッド11の前面から突出する突出部材(例えばカッタビット35)に設けられる。
図5に示すように、本実施形態に係る注入孔50は、カッタヘッド11の前面から前方に向けて突出して設けられる突出部材の内部に貫通形成される。ここで、本実施形態では、突出部材として、例えば、切羽を切削するためにカッタヘッド11の前面に突設されるカッタビット35(例えば、図5に示す先行ビット35Aなど)を用いる。このため、注入孔50は、突出部材であるカッタビット35の内部に貫通形成されることになる。そして、注入孔50の前端の注入口51(注入液の噴出口)は、カッタビット35の先端部に配置される。トンネル掘削時に、カッタビット35の先端部により、切羽掘削面2(切羽最前端位置)が形成されるため、注入孔50の前端の注入口51は切羽掘削面2(切羽最前端位置)に配置されることとなる。一方、注入孔50の後端の流入口52は、次に説明する貫通孔38に接続されている。
貫通孔38は、カッタスポーク33の前板33aを軸方向に貫通する孔である。貫通孔38は、カッタスポーク33の前板33aのうち、カッタビット35の基部が取り付けられる位置に形成されている。貫通孔38の前端は、注入孔50の後端の流入口52に接続されており、貫通孔38の後端は、前述した供給機構40の配管43(第3流路)に接続されている。つまり、貫通孔38は、カッタビット35内の注入孔50と連通するとともに、供給機構40の配管43とも連通している。かかる貫通孔38は、注入孔50とともに注入液の流路となる。
かかる構成により、供給機構40の配管43を通じて供給される注入液は、まず、カッタスポーク33の前板33aに貫通形成された貫通孔38を通じて、カッタビット35に貫通形成された注入孔50に流入する。このとき、注入液は、注入孔50の後端の流入口52から、注入孔50内に流入する。そして、注入液は、注入孔50の内部を前方に向けて流動して、カッタビット35の先端部に配置される注入口51から噴出され、カッタビット35の先端部の周辺の掘削土砂に注入される。
以上のように、本実施形態によれば、カッタビット35内に注入孔50を貫通形成し、当該注入孔50の前端の注入口51をカッタビット35の先端部に配置する。かかる構成により、トンネル掘削時に、切羽掘削面2(切羽最前端位置)に配置されるカッタビット35の先端部の注入口51から、切羽掘削面2付近の掘削土砂に添加材を注入できる。これにより、カッタヘッド11の前面からビット長分だけ前方に離隔した切羽掘削面2(切羽最前端位置)において、ビット35による掘削直後の掘削土砂に対して添加材を注入して混合できる。したがって、切羽掘削面2(切羽最前端位置)とカッタヘッド11前面との間の領域で、添加材による掘削土砂の改良(例えば、掘削土砂の塑性流動化、止水性および付着防止性の向上等)を好適に促進できる。よって、カッタヘッド11の前面におけるカッタビット35間の狭い隙間に対して、掘削土砂が滞留および固着することを好適に抑制できる。加えて、カッタビット35の先端部に注入口51を配置することで、注入口51が掘削土砂の固着物5により閉塞しにくいので、注入孔50の機能を確保し続けることができ、注入液の効果を維持できる。
さらに、本実施形態によれば、切羽最前端位置から注入液を注入するための注入孔50が設けられる突出部材として、カッタビット35(例えば、図5に示す先行ビット35A)を用いる。これにより、注入孔50の周囲にカッタビット35の超硬チップを配置することができるので、注入孔50を内蔵する突出部材を硬質化でき、トンネル掘削中に突出部材が破損、摩耗しにくいという利点がある。さらに、カッタヘッド11に必須の切削ツールである既存のカッタビット35を、注入孔50を内蔵する突出部材として兼用できる。したがって、カッタヘッド11に別途の突出部材を設ける必要がなく、既存のカッタビット35を有効利用して、部品数を低減できるという利点もある。
また、注入孔50が形成されるカッタビット35は、図4に示すように、カッタスポーク33の前板33aから切羽前方に向けて最も突出する先行ビット35A(例えば、支障物切削用の特殊先行ビット)であることが好ましい。これにより、切羽最前端位置(切羽掘削面2)に配置される先行ビット35Aの先端部の注入口51から、注入液を注入できるので、上記の効果(カッタヘッド11前面に対する掘削土砂の滞留や固着を抑制し、注入孔50の機能を維持する効果)をより一層高めることができる。
さらに、注入孔50は、図5に示すように、カッタビット35等の突出部材の内部をカッタヘッド11の軸方向(トンネル延伸方向)に直線的に貫通していることが好ましい。これにより、注入液がカッタビット35内の注入孔50を流通するときの流動抵抗や流動距離、圧力損失を低減できる。したがって、注入孔50の前端の注入口51から注入液を好適に噴出させて、掘削土砂に注入できるので、上記の効果が向上する。
また、カッタヘッド11の前面に装着される多数のビット35の全てに対して、注入孔50を設ける必要はない。カッタヘッド11の前面に装着される多数のビット35のうち、周方向および径方向に分散配置される一部のビット35だけに、注入孔50を設け、その他のビット35には注入孔50を設けなくてもよい。例えば、カッタヘッド11の前面において、略同一の径方向位置で周方向に沿って配置される多数のビット35のうち、1個または数個のビット35のみに対して、注入孔50を設ければよい。ただし、注入孔50を備えるビット35が、カッタヘッド11の前面の外周部のみまたは内周部のみに偏って配置されないように、注入孔50を備えるビット35を、周方向および径方向に分散配置することが好ましい。かかる分散配置により、注入孔50を備えるビット35の設置数を低減して、当該ビット35を効率的に配置しつつ、切羽掘削面2全体に対して略均等に分散して注入液を注入できるようになる。
さらに、上記のような注入孔50を備えるビット35の分散配置に関連し、供給機構40は、当該分散配置された注入孔50に対して注入液を適切に分配する機能を有してもよい。例えば、供給機構40は、配管41、42、43の組合せからなる配管系統を複数装備してもよい。あるいは、供給機構40は、配管41、42、43の配管系統の分岐を適宜選択切替する機能(例えば、切替バルブ)を装備してもよい。
(3)本実施形態に係る注入孔50の詳細構成
次に、図6~図8を参照して、本実施形態に係る注入孔50の詳細構成の具体例について説明する。図6、図7はそれぞれ、本実施形態に係る注入孔50が貫通形成された先行ビット35Aを正面側、側面側から見た断面図である。図8は、本実施形態に係る先行ビット35Aの先端部に埋設されたノズル53を示す部分拡大断面図である。
図6、図7に示すように、先行ビット35Aは、カッタスポーク33の前板33aからカッタヘッド11の軸方向前方(図6、7の上方)に突出するように配置されている。先行ビット35A内には、注入孔50が軸方向に貫通形成されている。注入孔50は、カッタスポーク33の前板33a内に貫通形成された挿入孔39と同軸上に配置されている。挿入孔39には、前述した供給機構40の配管43の端部が挿入されており、配管43の端部は、接続金具54を介して注入孔50の後端の流入口52に接続されている。
先行ビット35Aの内部に設けられた注入孔50の途中に、注入液を噴出するためのノズル53が取り付けられている。すなわち、先行ビット35Aの内部にノズル53が埋設されている。このノズル53は逆止弁を備える。
図6~図8に示すように、先行ビット35Aの先端部には、注入孔50の前端の注入口51を拡張するように座グリ穴55が形成されている。座グリ穴55は、先行ビット35Aの先端部内における注入孔50の一部(注入孔50の拡径部)である。注入孔50のうち、座グリ穴55の内径φは、座グリ穴55以外の部分である小径部56の内径φよりも大きい。
座グリ穴55は、ノズル53を取り付けるためのスペースとして活用される。ノズル53は、先行ビット35Aの先端部側から座グリ穴55を通じて先行ビット35Aの内部に挿入されて、先行ビット35Aの内部において注入孔50の小径部56の前端部に取り付けられる。この際、座グリ穴55に挿入可能なノズル取付専用工具(図示せず。)を用いて、ノズル53が注入孔50に取り付けられる。ノズル53の基部53aは、小径部56内に押し込まれるように配置され、ノズル53のヘッド部53bは、座グリ穴55内に突出するように配置される。ノズル53のヘッド部53bと注入孔50の小径部56との間にはパッキン57が設けられている。かかるパッキン57により、ノズル53と注入孔50の隙間から注入液が漏れ出さないようにシールすることができる。
このように、先行ビット35Aの先端部に、注入孔50の前端部の注入口51を拡径する座グリ穴55を形成することで、先行ビット35Aの内部にノズル53を容易に埋設することができる。この結果、ノズル53のヘッド部53bは、座グリ穴55内の奥側に収容されて、先行ビット35Aの外部に露出しない。
以上のように、本実施形態では、先行ビット35A内に設けられた注入孔50に、逆止弁付きのノズル53を装着して、先行ビット35A内にノズル53を埋設する。そして、カッタヘッド11の背面側から供給機構40の配管43を通じて注入孔50に供給される注入液を、ノズル53から座グリ穴55内に噴出し、さらに、先行ビット35Aの先端部の注入口51から外部に噴出する。
かかる構成により、硬質の突出部材である先行ビット35Aの内部にノズル53を埋設できるので、実際の噴出口であるノズル53を保護して破損を防止できる。また、掘削進行に伴って、先行ビット35Aの先端部がある程度摩耗したとしても、その内部に埋設されたノズル53は破損することなく、注入液を安定的に噴出し続けることができる。
また、本実施形態では、注入孔50にノズル53(例えば、注入液の流路を絞る小径部のノズル)を設けている。これにより、小径部を通過させることで、注入液の流速を上げて拡散効率を向上できる効果がある。さらに、一定長の小径部を通過させることで、注入の方向性を整えることができる効果もある。このように、ノズル53を設けることにより、注入液の流速や注入の方向性を整えることができるというメリットがある。また、スプレータイプのノズル53を用いた場合には、強制拡散により注入液を広範囲に分散して噴射できるので、掘削土砂に対する添加の均一性を向上させることもできる。
また、本実施形態に係る注入孔50のサイズ(小径部56の内径φ)は、カッタヘッド11の前面に形成される従来一般的な注入孔60(図5参照。)のサイズよりも小さい。例えば、従来一般的な注入孔60の内径は10mm以上であるのに対し、本実施形態に係る注入孔50の小径部56の内径φは、例えば10mmより小さくなる。この理由は、本実施形態では、カッタビット35の内部に注入孔50を形成するために、注入孔50をコンパクトなサイズにする必要があるからである。このため、注入孔50のサイズは、カッタビット35の厚みよりも小さくなるように調整され、特に、小径部56の部分で流路が小径化する。この結果、他の供給機構40の配管41、42、43の部分では注入液の供給能力は十分にあるものの、注入孔50の近辺だけ部分的に流路が小径化して、流路断面積が減少する。そこで、注入孔50の部分を通過する注入液の流速を増加させて流量を確保したいが、注入液の供給圧力や流路断面積差などが原因で、注入孔50の部分で、従来の注入孔60の場合よりも流量が減少する可能性がある。
しかしながら、本実施形態によれば、たとえ注入孔50を通じた注入液の供給量が減少したとしても、従来の注入孔60の場合よりも、注入液の効果を向上できる。即ち、従来の注入孔60では、固着物5により注入口61が閉塞してしまうので、注入液の注入機能そのものの確実性に不安があるという問題があった。また、従来の注入孔60では、地山から切削された後にほぐれきった掘削土砂に対して注入液が添加されるため、注入液の添加状態にムラ(不均一性)が発生する。このため、注入液を大量に添加しないと、掘削土砂全体で注入液の効果が期待できないという問題もあった。
これに対し、本実施形態に係る注入孔50によれば、カッタビット35の先端部の注入口51から切羽最前端位置(切羽掘削面2)に注入液を注入する。これにより、注入口51が固着物5により閉塞しないので、注入液の注入機能を確実に維持することができる。さらに、切羽最前端位置で地山から切削された直後の掘削土砂に対して、時間を空けることなく連続的に注入液を添加できる。さらに、切削直後の掘削土砂と、当該掘削土砂に注入された注入液は、回転するカッタヘッド11のカッタビット35等の間を通過するときに、当該カッタビット35等により撹拌されるため、両者が混練されることが期待できる。よって、本実施形態によれば、ほぐれきった掘削土砂に添加する場合と比べて、注入液の添加状態の均一性を実現でき、最小限の添加量でも注入液の効果を得ることが可能である。よって、注入孔50を通じた注入液の供給量が少なくても、問題なく注入液の効果を得ることができる。さらに、注入孔50が小径化されているので、注入孔50を流れる注入液の流速が速くなる。したがって、掘削土砂に対して添加される注入液が拡散する効果も期待できるので、注入液の添加状態の均一性をより向上できる。
また、支障物切削の場合は、そもそも支障物に対するカッタビット35の切込み量が浅く、掘削速度も遅い。このため、注入孔50からの注入液の供給量が少量であっても、支障なく支障物切削を実施することができる。
また、カッタビット35に形成される注入孔50内に逆止弁を設けることが好ましい。例えば、図6~図8に示したように、注入孔50内に、逆止弁を有するノズル53を取り付けることによって、注入孔50内に逆止弁を容易に設置できる。また、注入孔50にノズル53を設置せずに、注入孔50の任意の箇所に逆止弁のみを取り付けてもよい。
注入孔50に逆止弁を設置することにより、注入孔50から切羽に向けて注入液を噴出する方向にのみ流体を流動させ、その逆方向(外部から注入孔50に流入する方向)には流体を流動させないようにすることができる。これにより、注入孔50内を注入液が逆流することを防止できる。さらに、切羽周辺の掘削土砂が注入口51から注入孔50の前端部内に逆流してきたとしても、逆止弁により、当該掘削土砂が注入孔50の深部にまで侵入することを防止できる。このように、逆止弁は、注入液の逆流防止手段と、掘削土砂の侵入防止手段としての機能を兼ね備える。
<5.トンネル掘削機によるトンネル施工方法>
以上、本実施形態に係るトンネル掘削機1の構成について詳述した。次に、本実施形態に係るトンネル掘削機1を用いたトンネル施工方法と、トンネル掘削機1の動作について説明する。
本実施形態に係るトンネル掘削機1を用いてトンネル構造体を施工する場合、図1に示すように、まず、カッタヘッド11を回転させながら、複数の推進ジャッキ19を伸長させて既設のセグメントSに押し付ける。これにより、掘削機本体10がその既設のセグメントSから推進反力を得て前進すると共に、回転するカッタヘッド11によりトンネル掘削機1の前方の切羽の地山が掘削されて、トンネルTの掘削が進行する。
このカッタヘッド11による掘削時には、多数のカッタビット35の先端部は切羽最前端位置である切羽掘削面2に配置され、当該カッタビット35は切羽掘削面2に沿って周回しながら、当該切羽掘削面2の地山を切削する。
かかる掘削時には、添加材、水等を含む注入液が、供給機構40によりカッタヘッド11まで供給されている。当該注入液は、カッタヘッド11が備える多数のカッタビット35のうち一部に設けられた注入孔50を通じて、掘削土砂に注入される。このとき、一部のカッタビット35の先端部の注入口51から注入液が噴出され、切羽最前端位置において切羽掘削面2付近の掘削土砂に注入される。これにより、切羽掘削面2とカッタヘッド11前面との間の領域で、注入液に含まれる添加材の作用により掘削土砂が改良土の泥土となり、当該掘削土砂の塑性流動性や固着防止性、止水性などが向上する。
かかる掘削土砂の改良土は、カッタヘッド11の前面におけるビット35周辺に滞留および付着しにくい。このため、カッタビット35の先端部に設けられた注入口51が、掘削土砂の固着物5により閉塞することを防止できる。よって、注入孔50の機能を確保し続けることができ、カッタビット35の先端部の注入口51から、注入液を安定的に注入し続けることができる。
また、上記掘削によって発生した掘削土砂は、カッタヘッド11の開口部である土砂通過部36を通じてチャンバ17内に取り込まれて蓄積される。チャンバ17は、蓄積された掘削土砂と推進ジャッキ19によって所定の内圧に維持される。そして、チャンバ17内に蓄積された掘削土砂は、隔壁12の下部の排出口12aを通じて、スクリューコンベヤ20の筒体22の先端部内に移動する。そして、掘削土砂は、駆動部25により回転するスクリュー羽根21によって、スクリューコンベヤ20の筒体22内を後方側に向けて運搬されて、後部側の土砂排出口23から排出される。
また、上記のような掘削および排土動作と同時に、収縮させた推進ジャッキ19の後方側において、エレクタ装置によって、セグメントSがトンネルTの内壁面に沿ってリング状に順次組み立てられる。
以上のようにして、トンネル掘削機1は、カッタヘッド11の掘削量に見合う土砂量を、スクリューコンベヤ20によって円滑に排出して、チャンバ17内を常に掘削土砂によって充満させることにより、切羽の安定化を図りつつ、トンネルTを連続的に掘削する。これと同時に、推進ジャッキ19の伸長によって、既設のセグメントSから推進反力を得て掘進しながら、推進ジャッキ19の後方側において、新設のセグメントSが組み立てられる。
<6.まとめ>
以上、本実施形態に係るトンネル掘削機1と、当該トンネル掘削機1を用いたトンネル施工方法について詳述した。
本実施形態によれば、カッタヘッド11のカッタビット35内に注入孔50を形成し、注入孔50の注入口51をカッタビット35の先端部に配置する。これにより、カッタビット35により切削して崩した切羽掘削面2の地山に対して、時間を空けることなく直ちに、水や加泥材、気泡材等の注入液を注入できる。さらに、当該注入液と掘削土砂は、回転するカッタヘッド11のカッタビット35等の間を通過するときに、当該カッタビット35等により撹拌されるため、注入液と掘削土砂を好適に混練することができる。この結果、切羽最前端位置(切羽掘削面2)とカッタヘッド11の前面との間の領域において掘削土砂を適切に改良して、掘削土砂の滞留と固着を防止できる。さらに、注入孔50の注入口51を切羽最前端位置に配置することで、注入口51が掘削物の固着物5で閉塞することを抑制できるので、切羽最前端位置からの注入液の注入機能を確保し続けることができる。
特に、支障物切削や長距離施工など、多数のビット35を細かなピッチで密に並べて配置する場合には、本実施形態に係る注入孔50とそれを用いた注入方法は、非常に有効な技術である。
また、本実施形態によれば、ビット35内の注入孔50の前端部に、大径の座グリ穴55を設けて、ノズル53をビット35の内部に埋設する。これにより、ノズル53の露出を防ぐことができるとともに、ビット35がある程度摩耗してもノズル53の機能を確保できる。
また、本実施形態に係る注入孔50は、ビット35内に形成されるため、カッタヘッド11の構成部材(カッタスポークや、カッタスポーク間の面板)の前面に形成される従来の注入孔60よりも、小径になる。しかし、本実施形態に係る注入孔50によれば、少ない注入量でも、切羽最前端に注入液を注入できるので、従来の注入孔60よりも高い注入効果を得ることができる。
また、本実施形態に係る注入孔50に逆止弁を設けることにより、注入孔50に対する掘削土砂の侵入や、注入孔50内における逆流を防止できる。また、注入孔50に油圧等の圧力を作用させて、注入孔50の閉塞物を除去する手段を予め設けてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、注入孔50を設ける突出部材として、カッタビット35を用いた。しかし、本発明の突出部材は、カッタビット35の例に限定されない。突出部材は、カッタヘッド11から前方に向けて突出し、その先端部が切羽掘削面2に到達する部材であれば、カッタビット35以外の他の部材、例えば、単なるブロック部材または突起などで構成されてもよい。カッタビット35以外の他の突出部材に注入孔を設ける場合であっても、上記のようにカッタヘッド11前面に対する掘削土砂の滞留や固着を抑制し、注入孔50の機能を維持する効果を得ることができる。
ここで、図9を参照して、突出部材として、カッタビット35以外の部材を採用する例について説明する。図9に示すように、注入孔50が設けられる突出部材は、鋼製のブロック部材35Xであってもよい。この場合、鋼製のブロック部材35Xが配置されたカッタスポーク33とは別のカッタスポークにおいて、ブロック部材35Xと同じ半径位置に先行ビット35Aを配置してもよい。これにより、当該先行ビット35Aにより切羽の切削機能を分担し、鋼製のブロック部材35Xにより注入液の注入機能を分担することができる。よって、当該先行ビット35Aよりも柔らかい部材でブロック部材35Xを構成したとしても、先行ビット35Aが切削機能を分担するので、ブロック部材35Xは、切羽掘削面2へ注入液を注入し続けることが可能となる。
また、上記実施形態では、注入孔50内にノズル53を設置し、ノズル53から注入液を噴射したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、注入孔内にノズルを設置せずに、注入孔の前端の開口(注入口)から注入液を噴出してもよい。
また、上記実施形態では、カッタヘッドの構成部材であるカッタスポーク33および補助カッタスポーク37は、例えば、中空断面構造を有する四角筒状の構造体(中空部材)で構成されていたが、本発明は、かかる例に限定されない。カッタスポークおよび補助カッタスポークは、中空部材でなくてもよく、例えば、中実部材(中実の丸材、その他のブロック材など)で構成されてもよい。例えば、カッタスポークを中実部材で構成する場合、中実のカッタスポークの前面に、カッタビットと、注入孔が貫通形成される突出部材とを装着し、中実のカッタスポークの内部に注入液が流れる流路を形成して、当該流路と注入孔を連通してもよい。
また、上記実施形態では、カッタヘッド11の先行ビット35Aに注入孔60を設ける例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、カッタヘッド11のティースビット35B、センターカッタ34、その他の各種のカッタビット、切削ツール等に注入孔60を設けてもよい。例えば、センターカッタ34に注入孔60を設ける場合、センターカッタ34によるカッタヘッド11の中央部付近の掘削面に対しても、センターカッタ34の注入孔60から注入液を注入できる。このセンターカッタ34によるカッタヘッド11の中央部付近の掘削面も切羽掘削面2に含まれる。
また、上記では、トンネル掘削機が泥土圧式シールド掘削機である例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、泥水式シールド掘削機においても、粘着性の高い地山を掘削する場合や、支障物の切削又は発進・到達壁の切削において泥水環境を作らずに対応する場合など、水、加泥材、気泡材の注入が有効なケースがある。したがって、本発明は、泥水式シールド掘削機にも適用でき、上記の効果を得ることが可能である。
本発明は、泥土圧式シールド掘削機、泥水式シールド掘削機等のトンネル掘削機に適用可能である。
1 トンネル掘削機
2 切羽掘削面
5 固着物
10 掘削機本体
11 カッタヘッド
12 隔壁
13 カッタ中央軸
17 チャンバ
19 推進ジャッキ
20 スクリューコンベヤ
33 カッタスポーク
33a 前板
35 カッタビット
35A 先行ビット
35B ティースビット
36 土砂通過部
37 補助カッタスポーク
38 貫通孔
40 供給機構
41、42、43 配管
45 ロータリジョイント
50 注入孔
51 注入口
52 流入口
53 ノズル
54 接続金具
55 座グリ穴
56 小径部
57 パッキン
S セグメント
T トンネル

Claims (8)

  1. 筒状の掘削機本体と、
    前記掘削機本体の前端において回転可能に設けられるカッタヘッドと、
    前記カッタヘッドの前面に突設される突出部材と、
    を備え、
    前記突出部材の内部には注入孔が貫通形成されており、前記注入孔の前端の注入口は前記突出部材の先端部に配置されており、
    トンネル掘削時に切羽掘削面に配置される前記突出部材の先端部の前記注入口から、前記切羽掘削面付近の掘削土砂に、水、加泥材または気泡材の少なくともいずれかを含む注入液を注入する、トンネル掘削機。
  2. 前記突出部材は、カッタビットである、請求項1に記載のトンネル掘削機。
  3. 前記カッタビットは、先行ビットである、請求項2に記載のトンネル掘削機。
  4. 前記注入孔は、前記突出部材の内部を前記カッタヘッドの軸方向に貫通している、請求項1~3のいずれか1項に記載のトンネル掘削機。
  5. 前記注入孔に逆止弁が設けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載のトンネル掘削機。
  6. 前記注入孔には、前記注入液を噴出するノズルが取り付けられ、
    前記ノズルは、前記突出部材の内部に埋設されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のトンネル掘削機。
  7. 前記突出部材の先端部には、前記注入孔の前端の前記注入口を拡張する座グリ穴が形成されており、
    前記ノズルは、前記突出部材の先端部側から前記座グリ穴を通じて前記突出部材の内部に挿入されて、前記注入孔に取り付けられる、請求項6に記載のトンネル掘削機。
  8. 前記掘削機本体の後方から前記カッタヘッドまで前記注入液を搬送し、前記注入孔に前記注入液を供給する供給機構をさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のトンネル掘削機。
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