本発明は、壁構造体に関するものである。
木造や軽量鉄骨造等の建築物では、枠材の表面及び裏面に外側面材及び内側面材をそれぞれ張り付けた壁構造体がよく用いられている。
例えば、特許文献1には、C鋼胴縁の外側の側面に外装材が固定され、C鋼胴縁の内側の側面に断熱パネルが固定された壁の断熱構造体が開示されている。
ところで、枠材の表面及び裏面に外側面材及び内側面材をそれぞれ張り付けた壁構造体では、例えば、外側面材側から加熱されると、壁内部の空間の上部に熱気が溜まることにより、内側面材に熱伝導して、内側面材側の温度が上昇し易いので、火災の拡大を防止する観点から改善の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る壁構造体は、枠状に設けられた枠材と、上記枠材の一方の表面側に設けられ、周縁部が該枠材に固定された面材とを備えた壁構造体であって、上記枠材の他方の表面側の枠内には、無機繊維系の断熱材が設けられ、上記枠材の枠内には、該枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側の枠内には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材が設けられているので、仮に、面材側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、枠材の他方の表面側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられているので、面材側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材の下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、枠材の他方の表面側への熱伝導を遅らせることができ、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することができる。そのため、仮に、面材側(屋外側)で火災が発生した際に、屋内側の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
上記枠材の他方の表面側に設けられ、周縁部が該枠材に固定された他の面材を備え、上記他の面材の上記横桟材側の表面には、上記断熱材が設けられていてもよい。
上記の構成によれば、枠材に固定された他の面材(後述する第2面材)の横桟材側の表面には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材が設けられているので、仮に、面材(後述する第1面材)側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、他の面材(第2面材)側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられているので、面材(第1面材)側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材の下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、他の面材(第2面材)側への熱伝導を遅らせることができ、面材(第1面材)及び他の面材(第2面材)の間の熱伝導を抑制することができる。そのため、仮に、面材(第1面材)側(屋外側)で火災が発生した際に、他の面材(第2面材)側(屋内側)の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
上記横桟材の厚さは、上記枠材の厚さよりも小さく、上記横桟材の上記他の面材側の部分は、上記断熱材の表層に食い込んでいてもよい。
上記の構成によれば、横桟材の厚さが枠材の厚さよりも小さく、横桟材の他の面材(第2面材)側の部分が断熱材の表層に食い込んでいるので、枠材の枠内を横桟材よりも上の上部空間と横桟材よりも下の下部空間とに仕切ることができ、枠内に発生した熱気を上部空間の枠内上部及び下部空間の枠内中部に独立して溜めることができる。
上記断熱材における上記横桟材に重ならない部分の厚さと上記横桟材の厚さとの和は、上記枠材の厚さよりも大きくなっていてもよい。
上記の構成によれば、断熱材における横桟材に重ならない部分の厚さと横桟材の厚さとの和が枠材の厚さよりも大きくなっているので、断熱材が横桟材に重なる部分で圧縮されて、横桟材の他の面材側の部分が断熱材の表層に具体的に食い込んだ状態になる。
上記横桟材の厚さは、上記枠材の厚さと等しく、上記断熱材は、上記横桟材よりも上側の部分と、上記横桟材よりも下側の部分とに分離して設けられていてもよい。
上記の構成によれば、横桟材の厚さが枠材の厚さと等しく、断熱材が横桟材よりも上側の部分と横桟材よりも下側の部分とに分離して設けられているので、断熱材を横桟材に重なる部分で圧縮することなく、枠材の枠内を横桟材よりも上の上部空間と横桟材よりも下の下部空間とに仕切ることができる。
本発明によれば、枠材の他方の表面側の枠内には、無機繊維系の断熱材が設けられ、枠材の枠内には、枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられているので、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る壁構造体の縦断面図である。
本発明の第2の実施形態に係る壁構造体の縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1は、本発明に係る壁構造体の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の壁構造体50aの縦断面図である。
壁構造体50aは、図1に示すように、枠状に設けられた枠材10と、枠材10の一方の表面側(図中の左側(屋外側))に面材として設けられた第1面材15と、枠材10の他方の表面側(図中の右側(屋内側))に他の面材として設けられた第2面材20と、枠材10の枠内に枠内の空間を仕切るように設けられた横桟材25aと、第2面材20の第1面材15又は横桟材25a側の表面に板状に設けられた断熱材30とを備えている。なお、壁構造体50aの屋外側(図1中の左側)には、例えば、窯業系サイディングや金属系サイディング等の外装材40が縦型の通気胴縁(不図示)を介して設けられている。
枠材10は、例えば、無垢の木材、合板、木質繊維板、集成材、単板積層材等の木質材料を単独で又は複合して形成されている。また、枠材10は、上記木質材料を単独で又は複合して形成された一対の縦角材及び一対の横角材を矩形状に連結して構成されている。ここで、枠材10は、その厚さTaが例えば105mm程度であり、その高さが例えば3000mm程度であり、その幅が1000mm程度である。
第1面材15は、図1に示すように、その周縁部が枠材10の一方の表面(図中の左面)に釘等により固定され、枠材10の枠内を遮蔽するように設けられている。ここで、第1面材15は、例えば、厚さ9mm程度の火山性ガラス質複層板(例えば、大建工業株式会社製の商品名「ダイライト(登録商標)」)のような無機質板等の面材により形成されていることが好ましいが、例えば、石膏ボードやケイ酸カルシウム板等の他の無機質板を使用することもできる。
第2面材20は、図1に示すように、その周縁部が枠材10の他方の表面(図中の右面)に釘等により固定され、枠材10の枠内を遮蔽するように設けられている。ここで、第2面材20は、例えば、火山性ガラス質複層板のような無機質板や構造用合板等の面材により形成されていることが好ましいが、例えば、石膏ボードやケイ酸カルシウム板等の他の無機質板を使用することもできる。
横桟材25aは、例えば、無垢の木材、合板、木質繊維板、集成材、単板積層材等の木質材料を単独で又は複合して形成されている。ここで、横桟材25aは、その厚さTbが枠材10の厚さTaよりも小さく例えば60mm程度であり、その高さが45mm程度であり、枠材10(高さ3000mm程度)の高さ1500mm~2000mm程度の位置になるように枠材10を構成する一対の縦角材の対向する内面に固定されている。なお、横桟材25aの第2面材20側の部分は、図1に示すように、断熱材30の表層に食い込んでいる。
断熱材30は、例えば、ロックウールやガラスウール等の無機繊維をマット状に成形加工したものにより形成され、その厚さTcが60mm程度である。ここで、断熱材30における横桟材に重ならない部分の厚さTcと横桟材25aの厚さTbとの和は、枠材10の厚さTaよりも大きくなっている(Tb+Tc>Ta)。
上述した壁構造体50aは、建築物の外壁に用いられ、横桟材25aが設けられているので、例えば、屋外の火災により、第1面材15側から加熱されても、枠材10の枠内に発生した熱気を枠内上部及び横桟材25aの下部の枠内中部の2か箇所に分散して溜めるように構成されている。
以上説明したように、本実施形態の壁構造体50aによれば、枠材10に固定された第2面材20の第1面材10側の表面には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材30が設けられているので、仮に、第1面材15側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、第2面材20側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材10の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材25aが設けられているので、第1面材15側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材25aの下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、第2面材20側への熱伝導を遅らせることができ、第1面材15及び第2面材20の間の熱伝導を抑制することができる。そのため、第1面材15側で火災が発生した際に、第2面材20側の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
また、本実施形態の壁構造体50aによれば、横桟材25aの厚さTbが枠材10の厚さTaよりも小さく、横桟材25aの第2面材20側の部分が断熱材30の表層に食い込んでいるので、枠材10の枠内を横桟材25aよりも上の上部空間と横桟材25aよりも下の下部空間とに仕切ることができ、枠内に発生した熱気を上部空間の枠内上部及び下部空間の枠内中部に独立して溜めることができる。さらに、横桟材25aの第2面材20側の部分が断熱材30の表層に食い込んでいるので、後述する第2の実施形態の壁構造体50bのように、断熱材30を略半分のサイズに切断する手間がなく、第2面材20の第1面材15側に断熱材30を配置する施工を行うことができる。
《第2の実施形態》
図2は、本発明に係る壁構造体の第2の実施形態を示している。ここで、図2は、本実施形態の壁構造体50bの縦断面図である。なお、以下の実施形態において、図1と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記第1の実施形態では、枠材10及び横桟材25aの厚さが互いに異なる壁構造体50aを例示したが、本実施形態では、枠材10及び横桟材25bの厚さが互いに等しい壁構造体50bを例示する。
壁構造体50bは、図2に示すように、枠状に設けられた枠材10と、枠材10の一方の表面側(図中の左側(屋外側))に設けられた第1面材15と、枠材10の他方の表面側(図中の右側(屋内側))に設けられた第2面材20と、枠材10の枠内に枠内の空間を仕切るように設けられた横桟材25bと、第2面材20の第1面材15側の表面に板状に設けられた断熱材30a及び30bとを備えている。なお、壁構造体50bの屋外側(図2中の左側)には、例えば、窯業系サイディングや金属系サイディング等の外装材40が縦型の通気胴縁(不図示)を介して設けられている。
横桟材25bは、例えば、無垢の木材、合板、木質繊維板、集成材、単板積層材等の木質材料を単独で又は複合して形成されている。ここで、横桟材25bは、その厚さが枠材10の厚さTa(図1参照)と等しく例えば105mm程度であり、その高さが45mm程度であり、枠材10(高さ3000mm程度)の高さ1500mm~2000mm程度の位置になるように枠材10を構成する一対の縦角材の対向する内面に固定されている。
断熱材30a及び30bは、図2に示すように、横桟材25bよりも上側及び下側の部分にそれぞれ分離して設けられている。ここで、断熱材30a及び30bは、例えば、ロックウールやガラスウール等の無機繊維をマット状に成形加工したものにより形成され、その厚さが60mm程度である。
上述した壁構造体50bは、建築物の外壁に用いられ、横桟材25bが設けられているので、例えば、屋外の火災により、第1面材15側から加熱されても、枠材10の枠内に発生した熱気を枠内上部及び横桟材25bの下部の枠内中部の2か箇所に分散して溜めるように構成されている。
以上説明したように、本実施形態の壁構造体50bによれば、枠材10に固定された第2面材20の第1面材10側の表面には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材30a及び30bが設けられているので、仮に、第1面材15側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、第2面材20側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材10の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材25bが設けられているので、第1面材15側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材25bの下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、第2面材20側への熱伝導を遅らせることができ、第1面材15及び第2面材20の間の熱伝導を抑制することができる。そのため、第1面材15側で火災が発生した際に、第2面材20側の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
また、本実施形態の壁構造体50bによれば、横桟材25bの厚さが枠材10の厚さと等しく、断熱材30a及び30bが横桟材25よりも上側の部分と横桟材25bよりも下側の部分とに分離して設けられているので、上記第1の実施形態1の壁構造体50aのように、断熱材30を横桟材に重なる部分で圧縮することなく、枠材10の枠内を横桟材25bよりも上の上部空間と横桟材25bよりも下の下部空間とに仕切ることができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、横桟材が1つ設けられた壁構造体を例示したが、本発明は、横桟材が複数設けられた壁構造体等にも適用することができる。
上記各実施形態では、第1面材及び第2面材を備えた壁構造体を例示したが、本発明は、第2面材が省略された壁構造体等にも適用することができる。
上記各実施形態では、横桟材が設けられた壁構造体を例示したが、本発明は、横桟材が設けられた屋根構造体等にも適用することができる。
上記各実施形態では、枠材を備えた壁構造体を例示したが、本発明は、隣り合う枠材の縦角材が共用化された連続する複数の壁構造体等にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することができるので、極めて有用である。
10 枠材
15 第1面材(面材)
20 第2面材(他の面材)
25a,25b 横桟材
30,30a,30b 断熱材
50a,50b 壁構造体
本発明は、壁構造体に関するものである。
木造や軽量鉄骨造等の建築物では、枠材の表面及び裏面に外側面材及び内側面材をそれぞれ張り付けた壁構造体がよく用いられている。
例えば、特許文献1には、C鋼胴縁の外側の側面に外装材が固定され、C鋼胴縁の内側の側面に断熱パネルが固定された壁の断熱構造体が開示されている。
ところで、枠材の表面及び裏面に外側面材及び内側面材をそれぞれ張り付けた壁構造体では、例えば、外側面材側から加熱されると、壁内部の空間の上部に熱気が溜まることにより、内側面材に熱伝導して、内側面材側の温度が上昇し易いので、火災の拡大を防止する観点から改善の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る壁構造体は、枠状に設けられた枠材と、上記枠材の一方の表面側に設けられ、周縁部が該枠材に固定された面材とを備えた壁構造体であって、上記枠材の他方の表面側の枠内には、無機繊維系の断熱材が設けられ、上記枠材の枠内には、該枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられ、上記面材と上記断熱材との間には、上記横桟材により上下に仕切られた空隙が設けられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側の枠内には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材が設けられているので、仮に、面材側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、枠材の他方の表面側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられているので、面材側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材の下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、枠材の他方の表面側への熱伝導を遅らせることができ、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することができる。そのため、仮に、面材側(屋外側)で火災が発生した際に、屋内側の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
上記枠材の他方の表面側に設けられ、周縁部が該枠材に固定された他の面材を備え、上記他の面材の上記横桟材側の表面には、上記断熱材が設けられていてもよい。
上記の構成によれば、枠材に固定された他の面材(後述する第2面材)の横桟材側の表面には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材が設けられているので、仮に、面材(後述する第1面材)側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、他の面材(第2面材)側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられているので、面材(第1面材)側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材の下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、他の面材(第2面材)側への熱伝導を遅らせることができ、面材(第1面材)及び他の面材(第2面材)の間の熱伝導を抑制することができる。そのため、仮に、面材(第1面材)側(屋外側)で火災が発生した際に、他の面材(第2面材)側(屋内側)の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
上記横桟材の厚さは、上記枠材の厚さよりも小さく、上記横桟材の上記他の面材側の部分は、上記断熱材の表層に食い込んでいてもよい。
上記の構成によれば、横桟材の厚さが枠材の厚さよりも小さく、横桟材の他の面材(第2面材)側の部分が断熱材の表層に食い込んでいるので、枠材の枠内を横桟材よりも上の上部空間と横桟材よりも下の下部空間とに仕切ることができ、枠内に発生した熱気を上部空間の枠内上部及び下部空間の枠内中部に独立して溜めることができる。
上記断熱材における上記横桟材に重ならない部分の厚さと上記横桟材の厚さとの和は、上記枠材の厚さよりも大きくなっていてもよい。
上記の構成によれば、断熱材における横桟材に重ならない部分の厚さと横桟材の厚さとの和が枠材の厚さよりも大きくなっているので、断熱材が横桟材に重なる部分で圧縮されて、横桟材の他の面材側の部分が断熱材の表層に具体的に食い込んだ状態になる。
上記横桟材の厚さは、上記枠材の厚さと等しく、上記断熱材は、上記横桟材よりも上側の部分と、上記横桟材よりも下側の部分とに分離して設けられていてもよい。
上記の構成によれば、横桟材の厚さが枠材の厚さと等しく、断熱材が横桟材よりも上側の部分と横桟材よりも下側の部分とに分離して設けられているので、断熱材を横桟材に重なる部分で圧縮することなく、枠材の枠内を横桟材よりも上の上部空間と横桟材よりも下の下部空間とに仕切ることができる。
本発明によれば、枠材の他方の表面側の枠内には、無機繊維系の断熱材が設けられ、枠材の枠内には、枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられているので、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る壁構造体の縦断面図である。
本発明の第2の実施形態に係る壁構造体の縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1は、本発明に係る壁構造体の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の壁構造体50aの縦断面図である。
壁構造体50aは、図1に示すように、枠状に設けられた枠材10と、枠材10の一方の表面側(図中の左側(屋外側))に面材として設けられた第1面材15と、枠材10の他方の表面側(図中の右側(屋内側))に他の面材として設けられた第2面材20と、枠材10の枠内に枠内の空間を仕切るように設けられた横桟材25aと、第2面材20の第1面材15又は横桟材25a側の表面に板状に設けられた断熱材30とを備えている。なお、壁構造体50aの屋外側(図1中の左側)には、例えば、窯業系サイディングや金属系サイディング等の外装材40が縦型の通気胴縁(不図示)を介して設けられている。
枠材10は、例えば、無垢の木材、合板、木質繊維板、集成材、単板積層材等の木質材料を単独で又は複合して形成されている。また、枠材10は、上記木質材料を単独で又は複合して形成された一対の縦角材及び一対の横角材を矩形状に連結して構成されている。ここで、枠材10は、その厚さTaが例えば105mm程度であり、その高さが例えば3000mm程度であり、その幅が1000mm程度である。
第1面材15は、図1に示すように、その周縁部が枠材10の一方の表面(図中の左面)に釘等により固定され、枠材10の枠内を遮蔽するように設けられている。ここで、第1面材15は、例えば、厚さ9mm程度の火山性ガラス質複層板(例えば、大建工業株式会社製の商品名「ダイライト(登録商標)」)のような無機質板等の面材により形成されていることが好ましいが、例えば、石膏ボードやケイ酸カルシウム板等の他の無機質板を使用することもできる。
第2面材20は、図1に示すように、その周縁部が枠材10の他方の表面(図中の右面)に釘等により固定され、枠材10の枠内を遮蔽するように設けられている。ここで、第2面材20は、例えば、火山性ガラス質複層板のような無機質板や構造用合板等の面材により形成されていることが好ましいが、例えば、石膏ボードやケイ酸カルシウム板等の他の無機質板を使用することもできる。
横桟材25aは、例えば、無垢の木材、合板、木質繊維板、集成材、単板積層材等の木質材料を単独で又は複合して形成されている。ここで、横桟材25aは、その厚さTbが枠材10の厚さTaよりも小さく例えば60mm程度であり、その高さが45mm程度であり、枠材10(高さ3000mm程度)の高さ1500mm~2000mm程度の位置になるように枠材10を構成する一対の縦角材の対向する内面に固定されている。なお、横桟材25aの第2面材20側の部分は、図1に示すように、断熱材30の表層に食い込んでいる。
断熱材30は、例えば、ロックウールやガラスウール等の無機繊維をマット状に成形加工したものにより形成され、その厚さTcが60mm程度である。ここで、断熱材30における横桟材に重ならない部分の厚さTcと横桟材25aの厚さTbとの和は、枠材10の厚さTaよりも大きくなっている(Tb+Tc>Ta)。
上述した壁構造体50aは、建築物の外壁に用いられ、横桟材25aが設けられているので、例えば、屋外の火災により、第1面材15側から加熱されても、枠材10の枠内に発生した熱気を枠内上部及び横桟材25aの下部の枠内中部の2か箇所に分散して溜めるように構成されている。
以上説明したように、本実施形態の壁構造体50aによれば、枠材10に固定された第2面材20の第1面材10側の表面には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材30が設けられているので、仮に、第1面材15側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、第2面材20側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材10の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材25aが設けられているので、第1面材15側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材25aの下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、第2面材20側への熱伝導を遅らせることができ、第1面材15及び第2面材20の間の熱伝導を抑制することができる。そのため、第1面材15側で火災が発生した際に、第2面材20側の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
また、本実施形態の壁構造体50aによれば、横桟材25aの厚さTbが枠材10の厚さTaよりも小さく、横桟材25aの第2面材20側の部分が断熱材30の表層に食い込んでいるので、枠材10の枠内を横桟材25aよりも上の上部空間と横桟材25aよりも下の下部空間とに仕切ることができ、枠内に発生した熱気を上部空間の枠内上部及び下部空間の枠内中部に独立して溜めることができる。さらに、横桟材25aの第2面材20側の部分が断熱材30の表層に食い込んでいるので、後述する第2の実施形態の壁構造体50bのように、断熱材30を略半分のサイズに切断する手間がなく、第2面材20の第1面材15側に断熱材30を配置する施工を行うことができる。
《第2の実施形態》
図2は、本発明に係る壁構造体の第2の実施形態を示している。ここで、図2は、本実施形態の壁構造体50bの縦断面図である。なお、以下の実施形態において、図1と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記第1の実施形態では、枠材10及び横桟材25aの厚さが互いに異なる壁構造体50aを例示したが、本実施形態では、枠材10及び横桟材25bの厚さが互いに等しい壁構造体50bを例示する。
壁構造体50bは、図2に示すように、枠状に設けられた枠材10と、枠材10の一方の表面側(図中の左側(屋外側))に設けられた第1面材15と、枠材10の他方の表面側(図中の右側(屋内側))に設けられた第2面材20と、枠材10の枠内に枠内の空間を仕切るように設けられた横桟材25bと、第2面材20の第1面材15側の表面に板状に設けられた断熱材30a及び30bとを備えている。なお、壁構造体50bの屋外側(図2中の左側)には、例えば、窯業系サイディングや金属系サイディング等の外装材40が縦型の通気胴縁(不図示)を介して設けられている。
横桟材25bは、例えば、無垢の木材、合板、木質繊維板、集成材、単板積層材等の木質材料を単独で又は複合して形成されている。ここで、横桟材25bは、その厚さが枠材10の厚さTa(図1参照)と等しく例えば105mm程度であり、その高さが45mm程度であり、枠材10(高さ3000mm程度)の高さ1500mm~2000mm程度の位置になるように枠材10を構成する一対の縦角材の対向する内面に固定されている。
断熱材30a及び30bは、図2に示すように、横桟材25bよりも上側及び下側の部分にそれぞれ分離して設けられている。ここで、断熱材30a及び30bは、例えば、ロックウールやガラスウール等の無機繊維をマット状に成形加工したものにより形成され、その厚さが60mm程度である。
上述した壁構造体50bは、建築物の外壁に用いられ、横桟材25bが設けられているので、例えば、屋外の火災により、第1面材15側から加熱されても、枠材10の枠内に発生した熱気を枠内上部及び横桟材25bの下部の枠内中部の2か箇所に分散して溜めるように構成されている。
以上説明したように、本実施形態の壁構造体50bによれば、枠材10に固定された第2面材20の第1面材10側の表面には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材30a及び30bが設けられているので、仮に、第1面材15側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、第2面材20側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材10の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材25bが設けられているので、第1面材15側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材25bの下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、第2面材20側への熱伝導を遅らせることができ、第1面材15及び第2面材20の間の熱伝導を抑制することができる。そのため、第1面材15側で火災が発生した際に、第2面材20側の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
また、本実施形態の壁構造体50bによれば、横桟材25bの厚さが枠材10の厚さと等しく、断熱材30a及び30bが横桟材25よりも上側の部分と横桟材25bよりも下側の部分とに分離して設けられているので、上記第1の実施形態1の壁構造体50aのように、断熱材30を横桟材に重なる部分で圧縮することなく、枠材10の枠内を横桟材25bよりも上の上部空間と横桟材25bよりも下の下部空間とに仕切ることができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、横桟材が1つ設けられた壁構造体を例示したが、本発明は、横桟材が複数設けられた壁構造体等にも適用することができる。
上記各実施形態では、第1面材及び第2面材を備えた壁構造体を例示したが、本発明は、第2面材が省略された壁構造体等にも適用することができる。
上記各実施形態では、横桟材が設けられた壁構造体を例示したが、本発明は、横桟材が設けられた屋根構造体等にも適用することができる。
上記各実施形態では、枠材を備えた壁構造体を例示したが、本発明は、隣り合う枠材の縦角材が共用化された連続する複数の壁構造体等にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することができるので、極めて有用である。
10 枠材
15 第1面材(面材)
20 第2面材(他の面材)
25a,25b 横桟材
30,30a,30b 断熱材
50a,50b 壁構造体
本発明は、壁構造体に関するものである。
木造や軽量鉄骨造等の建築物では、枠材の表面及び裏面に外側面材及び内側面材をそれぞれ張り付けた壁構造体がよく用いられている。
例えば、特許文献1には、C鋼胴縁の外側の側面に外装材が固定され、C鋼胴縁の内側の側面に断熱パネルが固定された壁の断熱構造体が開示されている。
ところで、枠材の表面及び裏面に外側面材及び内側面材をそれぞれ張り付けた壁構造体では、例えば、外側面材側から加熱されると、壁内部の空間の上部に熱気が溜まることにより、内側面材に熱伝導して、内側面材側の温度が上昇し易いので、火災の拡大を防止する観点から改善の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る壁構造体は、枠状に設けられた枠材と、上記枠材の一方の表面側に設けられ、周縁部が該枠材に固定された面材とを備え、上記面材が屋外側に配置される壁構造体であって、上記枠材の他方の表面側の枠内には、無機繊維系の断熱材が設けられ、上記枠材の枠内には、該枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられ、上記面材と上記断熱材との間には、上記横桟材により上下に仕切られた空隙が上記枠内の空間に発生した熱気を溜めるように設けられていることを特徴とする。
上記の構成によれば、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側の枠内には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材が設けられているので、仮に、面材側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、枠材の他方の表面側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられているので、面材側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材の下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、枠材の他方の表面側への熱伝導を遅らせることができ、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することができる。そのため、仮に、面材側(屋外側)で火災が発生した際に、屋内側の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
上記枠材の他方の表面側に設けられ、周縁部が該枠材に固定された他の面材を備え、上記他の面材の上記横桟材側の表面には、上記断熱材が設けられていてもよい。
上記の構成によれば、枠材に固定された他の面材(後述する第2面材)の横桟材側の表面には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材が設けられているので、仮に、面材(後述する第1面材)側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、他の面材(第2面材)側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられているので、面材(第1面材)側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材の下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、他の面材(第2面材)側への熱伝導を遅らせることができ、面材(第1面材)及び他の面材(第2面材)の間の熱伝導を抑制することができる。そのため、仮に、面材(第1面材)側(屋外側)で火災が発生した際に、他の面材(第2面材)側(屋内側)の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
上記横桟材の厚さは、上記枠材の厚さよりも小さく、上記横桟材の上記他の面材側の部分は、上記断熱材の表層に食い込んでいてもよい。
上記の構成によれば、横桟材の厚さが枠材の厚さよりも小さく、横桟材の他の面材(第2面材)側の部分が断熱材の表層に食い込んでいるので、枠材の枠内を横桟材よりも上の上部空間と横桟材よりも下の下部空間とに仕切ることができ、枠内に発生した熱気を上部空間の枠内上部及び下部空間の枠内中部に独立して溜めることができる。
上記断熱材における上記横桟材に重ならない部分の厚さと上記横桟材の厚さとの和は、上記枠材の厚さよりも大きくなっていてもよい。
上記の構成によれば、断熱材における横桟材に重ならない部分の厚さと横桟材の厚さとの和が枠材の厚さよりも大きくなっているので、断熱材が横桟材に重なる部分で圧縮されて、横桟材の他の面材側の部分が断熱材の表層に具体的に食い込んだ状態になる。
上記横桟材の厚さは、上記枠材の厚さと等しく、上記断熱材は、上記横桟材よりも上側の部分と、上記横桟材よりも下側の部分とに分離して設けられていてもよい。
上記の構成によれば、横桟材の厚さが枠材の厚さと等しく、断熱材が横桟材よりも上側の部分と横桟材よりも下側の部分とに分離して設けられているので、断熱材を横桟材に重なる部分で圧縮することなく、枠材の枠内を横桟材よりも上の上部空間と横桟材よりも下の下部空間とに仕切ることができる。
本発明によれば、枠材の他方の表面側の枠内には、無機繊維系の断熱材が設けられ、枠材の枠内には、枠内の空間を仕切るように横桟材が設けられているので、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る壁構造体の縦断面図である。
本発明の第2の実施形態に係る壁構造体の縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1は、本発明に係る壁構造体の第1の実施形態を示している。ここで、図1は、本実施形態の壁構造体50aの縦断面図である。
壁構造体50aは、図1に示すように、枠状に設けられた枠材10と、枠材10の一方の表面側(図中の左側(屋外側))に面材として設けられた第1面材15と、枠材10の他方の表面側(図中の右側(屋内側))に他の面材として設けられた第2面材20と、枠材10の枠内に枠内の空間を仕切るように設けられた横桟材25aと、第2面材20の第1面材15又は横桟材25a側の表面に板状に設けられた断熱材30とを備えている。なお、壁構造体50aの屋外側(図1中の左側)には、例えば、窯業系サイディングや金属系サイディング等の外装材40が縦型の通気胴縁(不図示)を介して設けられている。
枠材10は、例えば、無垢の木材、合板、木質繊維板、集成材、単板積層材等の木質材料を単独で又は複合して形成されている。また、枠材10は、上記木質材料を単独で又は複合して形成された一対の縦角材及び一対の横角材を矩形状に連結して構成されている。ここで、枠材10は、その厚さTaが例えば105mm程度であり、その高さが例えば3000mm程度であり、その幅が1000mm程度である。
第1面材15は、図1に示すように、その周縁部が枠材10の一方の表面(図中の左面)に釘等により固定され、枠材10の枠内を遮蔽するように設けられている。ここで、第1面材15は、例えば、厚さ9mm程度の火山性ガラス質複層板(例えば、大建工業株式会社製の商品名「ダイライト(登録商標)」)のような無機質板等の面材により形成されていることが好ましいが、例えば、石膏ボードやケイ酸カルシウム板等の他の無機質板を使用することもできる。
第2面材20は、図1に示すように、その周縁部が枠材10の他方の表面(図中の右面)に釘等により固定され、枠材10の枠内を遮蔽するように設けられている。ここで、第2面材20は、例えば、火山性ガラス質複層板のような無機質板や構造用合板等の面材により形成されていることが好ましいが、例えば、石膏ボードやケイ酸カルシウム板等の他の無機質板を使用することもできる。
横桟材25aは、例えば、無垢の木材、合板、木質繊維板、集成材、単板積層材等の木質材料を単独で又は複合して形成されている。ここで、横桟材25aは、その厚さTbが枠材10の厚さTaよりも小さく例えば60mm程度であり、その高さが45mm程度であり、枠材10(高さ3000mm程度)の高さ1500mm~2000mm程度の位置になるように枠材10を構成する一対の縦角材の対向する内面に固定されている。なお、横桟材25aの第2面材20側の部分は、図1に示すように、断熱材30の表層に食い込んでいる。
断熱材30は、例えば、ロックウールやガラスウール等の無機繊維をマット状に成形加工したものにより形成され、その厚さTcが60mm程度である。ここで、断熱材30における横桟材に重ならない部分の厚さTcと横桟材25aの厚さTbとの和は、枠材10の厚さTaよりも大きくなっている(Tb+Tc>Ta)。
上述した壁構造体50aは、建築物の外壁に用いられ、横桟材25aが設けられているので、例えば、屋外の火災により、第1面材15側から加熱されても、枠材10の枠内に発生した熱気を枠内上部及び横桟材25aの下部の枠内中部の2か箇所に分散して溜めるように構成されている。
以上説明したように、本実施形態の壁構造体50aによれば、枠材10に固定された第2面材20の第1面材10側の表面には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材30が設けられているので、仮に、第1面材15側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、第2面材20側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材10の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材25aが設けられているので、第1面材15側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材25aの下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、第2面材20側への熱伝導を遅らせることができ、第1面材15及び第2面材20の間の熱伝導を抑制することができる。そのため、第1面材15側で火災が発生した際に、第2面材20側の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
また、本実施形態の壁構造体50aによれば、横桟材25aの厚さTbが枠材10の厚さTaよりも小さく、横桟材25aの第2面材20側の部分が断熱材30の表層に食い込んでいるので、枠材10の枠内を横桟材25aよりも上の上部空間と横桟材25aよりも下の下部空間とに仕切ることができ、枠内に発生した熱気を上部空間の枠内上部及び下部空間の枠内中部に独立して溜めることができる。さらに、横桟材25aの第2面材20側の部分が断熱材30の表層に食い込んでいるので、後述する第2の実施形態の壁構造体50bのように、断熱材30を略半分のサイズに切断する手間がなく、第2面材20の第1面材15側に断熱材30を配置する施工を行うことができる。
《第2の実施形態》
図2は、本発明に係る壁構造体の第2の実施形態を示している。ここで、図2は、本実施形態の壁構造体50bの縦断面図である。なお、以下の実施形態において、図1と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記第1の実施形態では、枠材10及び横桟材25aの厚さが互いに異なる壁構造体50aを例示したが、本実施形態では、枠材10及び横桟材25bの厚さが互いに等しい壁構造体50bを例示する。
壁構造体50bは、図2に示すように、枠状に設けられた枠材10と、枠材10の一方の表面側(図中の左側(屋外側))に設けられた第1面材15と、枠材10の他方の表面側(図中の右側(屋内側))に設けられた第2面材20と、枠材10の枠内に枠内の空間を仕切るように設けられた横桟材25bと、第2面材20の第1面材15側の表面に板状に設けられた断熱材30a及び30bとを備えている。なお、壁構造体50bの屋外側(図2中の左側)には、例えば、窯業系サイディングや金属系サイディング等の外装材40が縦型の通気胴縁(不図示)を介して設けられている。
横桟材25bは、例えば、無垢の木材、合板、木質繊維板、集成材、単板積層材等の木質材料を単独で又は複合して形成されている。ここで、横桟材25bは、その厚さが枠材10の厚さTa(図1参照)と等しく例えば105mm程度であり、その高さが45mm程度であり、枠材10(高さ3000mm程度)の高さ1500mm~2000mm程度の位置になるように枠材10を構成する一対の縦角材の対向する内面に固定されている。
断熱材30a及び30bは、図2に示すように、横桟材25bよりも上側及び下側の部分にそれぞれ分離して設けられている。ここで、断熱材30a及び30bは、例えば、ロックウールやガラスウール等の無機繊維をマット状に成形加工したものにより形成され、その厚さが60mm程度である。
上述した壁構造体50bは、建築物の外壁に用いられ、横桟材25bが設けられているので、例えば、屋外の火災により、第1面材15側から加熱されても、枠材10の枠内に発生した熱気を枠内上部及び横桟材25bの下部の枠内中部の2か箇所に分散して溜めるように構成されている。
以上説明したように、本実施形態の壁構造体50bによれば、枠材10に固定された第2面材20の第1面材10側の表面には、耐火性に優れた無機繊維系の断熱材30a及び30bが設けられているので、仮に、第1面材15側から加熱されても、燃え広がりを抑制して、第2面材20側に熱を伝わり難くすることができる。さらに、枠材10の枠内には、その枠内の空間を仕切るように横桟材25bが設けられているので、第1面材15側から加熱されて枠内に発生した熱気が枠内上部だけでなく横桟材25bの下部の枠内中部にも溜まることになる。これにより、枠内に発生した熱気が枠内の上部及び中部の2か箇所に分散されるので、第2面材20側への熱伝導を遅らせることができ、第1面材15及び第2面材20の間の熱伝導を抑制することができる。そのため、第1面材15側で火災が発生した際に、第2面材20側の温度上昇を抑制することができ、屋内への火災の拡大を抑制することができる。
また、本実施形態の壁構造体50bによれば、横桟材25bの厚さが枠材10の厚さと等しく、断熱材30a及び30bが横桟材25よりも上側の部分と横桟材25bよりも下側の部分とに分離して設けられているので、上記第1の実施形態1の壁構造体50aのように、断熱材30を横桟材に重なる部分で圧縮することなく、枠材10の枠内を横桟材25bよりも上の上部空間と横桟材25bよりも下の下部空間とに仕切ることができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、横桟材が1つ設けられた壁構造体を例示したが、本発明は、横桟材が複数設けられた壁構造体等にも適用することができる。
上記各実施形態では、第1面材及び第2面材を備えた壁構造体を例示したが、本発明は、第2面材が省略された壁構造体等にも適用することができる。
上記各実施形態では、横桟材が設けられた壁構造体を例示したが、本発明は、横桟材が設けられた屋根構造体等にも適用することができる。
上記各実施形態では、枠材を備えた壁構造体を例示したが、本発明は、隣り合う枠材の縦角材が共用化された連続する複数の壁構造体等にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、一方の表面側に面材が設けられた枠材の他方の表面側への熱伝導を抑制することができるので、極めて有用である。
10 枠材
15 第1面材(面材)
20 第2面材(他の面材)
25a,25b 横桟材
30,30a,30b 断熱材
50a,50b 壁構造体