JP2022069147A - 二酸化炭素の還元方法および還元装置 - Google Patents

二酸化炭素の還元方法および還元装置 Download PDF

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Sunao Nakamura
猛志 辻
Takeshi Tsuji
佳樹 渋谷
Yoshiki Shibuya
敏彦 岩▲崎▼
Toshihiko Iwasaki
晃司 山本
Koji Yamamoto
康夫 鈴木
Yasuo Suzuki
隆史 佐竹
Takashi Satake
恭兵 小澤
Kyohei Ozawa
敦 平山
Atsushi Hirayama
秀駿 川畑
Hidetoshi Kakwabata
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Abstract

Figure 2022069147000001
【課題】例えば、エネルギ消費を減らすことが可能な二酸化炭素の還元方法および還元装置を提供する。
【解決手段】還元炉において有機物を含む固体または液体の還元剤を用いて二酸化炭素を還元し少なくとも一酸化炭素を含む生成ガスを得る二酸化炭素の還元方法は、還元剤を還元炉に投入し、二酸化炭素を還元炉に供給し、酸素を還元炉に供給し、還元炉内で有機物を酸素によって部分酸化し、還元炉内で有機物の部分酸化によって発生する熱を利用して二酸化炭素を還元剤によって還元する。還元炉には、二酸化炭素と酸素とを混合した混合ガスを供給してもよいし、二酸化炭素と酸素とを別々に供給してもよい。また、還元炉内で、還元剤と生成ガスとを熱交換させてもよい。
【選択図】図4

Description

本発明は、二酸化炭素の還元方法および還元装置に関する。
温室効果ガスによる気候変動の対策として、二酸化炭素の排出削減および炭素の再利用が求められている。しかしながら、エネルギ源の大半が化石燃料由来である以上、気候変動対策に多くのエネルギを費やしては意味がない。
二酸化炭素を還元して一酸化炭素を得る試みは、製鉄業においては、従来行われてきた。例えば、特許文献1~3には、石炭を乾留してコークスを得るコークス炉において、当該コークス炉内に二酸化炭素を吹き込むことにより二酸化炭素を還元して一酸化炭素を生成するとともに、コークス炉の副生産物であり燃料に使用可能なコークス炉ガスを増量する方法が、示されている。
特開2020-84184号公報 特許第6346641号公報 特表2013-515834号公報
しかしながら、上記特許文献1~3の技術では、還元反応の吸熱分が炉内温度維持のための還元炉側の燃料消費を増やしてしまい、コークス炉の本来の製品であるコークスが部分酸化されて一酸化炭素になることにより目減りしてしまうという問題があった。
また、二酸化炭素の還元のためにより多くのエネルギと製品コークスの一部とを消費してしまうとともに、代わりに増えるコークス炉ガスについてはタールや煤塵のために廃熱回収がままならず、結果として環境負荷を増やすことにもなっていた。
また、従来、別の目的の装置内で付随的に二酸化炭素の還元が行われる場合もあった。しかしながら、このような装置では、本来の目的が優先され、付随的な二酸化炭素の還元のために投入するエネルギを削減しようとする試みは見られなかった。
このように、従来の二酸化炭素を還元する試みが、技術としてはある程度確立されているにも拘わらず普及していない理由としては、例えば、二酸化炭素の還元のためにそれまで廃熱回収で発電していたものが発電できなくなること、還元に必要なエネルギが余りにも多く結果的にエネルギ消費を増加させることが受け入れられないこと、二酸化炭素の還元が主目的ではないため二酸化炭素の処理量に制限があること、などがあげられる。
上述したような二酸化炭素の還元方法および装置の問題点を解決し、二酸化炭素の還元を普及させるためには、二酸化炭素の還元を第一の目的とした方法および装置を構築することにより、二酸化炭素の還元に対する制約を減らすことが肝要である。
そこで、本発明は、より簡便な方法によって、より効率良く、かつより少ないエネルギ消費で二酸化炭素を一酸化炭素に還元することが可能な、二酸化炭素の還元方法および還元装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る二酸化炭素の還元方法は、
(1)還元炉において有機物を含む固体または液体の還元剤を用いて二酸化炭素を還元し少なくとも一酸化炭素を含む生成ガスを得る二酸化炭素の還元方法であって、前記還元剤を還元炉に投入し、二酸化炭素を前記還元炉に供給し、酸素を前記還元炉に供給し、前記還元炉内で前記有機物を前記酸素によって部分酸化し、前記還元炉内で前記有機物の部分酸化によって発生する熱を利用して前記二酸化炭素を前記還元剤によって還元する。
(2)上記(1)の二酸化炭素の還元方法にあっては、前記還元炉に二酸化炭素と酸素とを混合した混合ガスを供給してもよい。
(3)上記(1)の二酸化炭素の還元方法にあっては、前記還元炉に二酸化炭素と酸素とを別々に供給してもよい。
(4)上記(1)~(3)のうちいずれか一つの二酸化炭素の還元方法にあっては、前記還元炉内で、前記還元剤と前記生成ガスとを熱交換させてもよい。
(5)上記(4)の二酸化炭素の還元方法にあっては、前記還元炉内を下降する前記還元剤と、前記還元炉内を上昇する前記生成ガスとを、熱交換させてもよい。
(6)上記(4)または(5)の二酸化炭素の還元方法にあっては、前記還元剤と前記生成ガスとを、直接的に接触させて熱交換させてもよい。
(7)上記(4)または(5)の二酸化炭素の還元方法にあっては、前記還元剤と前記生成ガスとを、前記還元炉内に設けられた熱伝導性を有した内壁を介して間接的に熱交換させてもよい。
(8)上記(1)~(7)のうちいずれか一つの二酸化炭素の還元方法にあっては、前記還元炉外で、前記還元炉に投入される前の前記還元剤と前記還元炉から排出された前記生成ガスとを熱交換させてもよい。
(9)上記(1)~(8)のうちいずれか一つの二酸化炭素の還元方法にあっては、前記還元炉外で、前記還元炉に供給される前の酸素および二酸化炭素のうち少なくともいずれか一方と前記還元炉から排出された前記生成ガスとを熱交換させてもよい。
(10)上記(1)~(9)のうちいずれか一つの二酸化炭素の還元方法にあっては、水の電気分解によって得られた酸素を前記還元炉に供給してもよい。
(11)上記(1)~(10)のうちいずれか一つの二酸化炭素の還元方法にあっては、窒素製造装置によって得られた酸素を含むオフガスを前記還元炉に供給してもよい。
また、本発明の一態様に係る二酸化炭素の還元装置は、
(12)還元炉を備え、前記還元炉内に有機物を含む固体または液体の還元剤を移送する経路、前記還元炉内に二酸化炭素を含む第一原料ガスを供給する第一流路、および前記還元炉内に酸素を含む第二原料ガスを供給する第二流路が設けられ、前記還元炉内で、前記有機物を前記酸素によって部分酸化し、当該有機物の部分酸化によって発生する熱を利用して前記二酸化炭素を前記還元剤によって還元し少なくとも一酸化炭素を含む生成ガスを得る。
本発明によれば、より簡便な方法によって、より効率良く、かつより少ないエネルギ消費で二酸化炭素を一酸化炭素に還元することが可能な、二酸化炭素の還元方法および還元装置を、提供することができる。
図1は、温度とエンタルピー変化との相関関係を示すグラフである。 図2は、温度とエントロピー変化との相関関係を示すグラフである。 図3は、温度と自由エネルギ変化との相関関係を示すグラフである。 図4は、第1実施形態の実施例1および実施例2の還元設備の概略構成図である。 図5は、第1実施形態の実施例3の還元設備の概略構成図である。 図6は、第1実施形態の実施例4の還元設備の概略構成図である。 図7は、第2実施形態の還元設備のブロック図である。 図8は、第3実施形態の還元設備のブロック図である。 図9は、第4実施形態の還元設備のブロック図である。
以下、本発明の例示的な実施形態および実施例が開示される。以下に示される実施形態および実施例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態および実施例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
以下に示される複数の実施形態および実施例は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態および実施例の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
また、本明細書において、序数は、ガスや、流路等を区別するために便宜上付与されており、優先度や順番を示すものではない。
また、図中のZ方向は、還元炉20,20Aにおける鉛直方向上向きを示している。
[第1実施形態]
[還元方法]
二酸化炭素の還元としては、コークス炉に二酸化炭素を吹き込んで一酸化炭素に還元する以下の反応式(1)による反応が一般的に良く用いられている。この還元反応は、Boudouard反応であり、吸熱反応である。
C+CO→2CO-Q ・・・(1)
ここに、Qは、熱エネルギである。
還元剤として有機物を含む材料を利用し、Boudouard反応によって二酸化炭素を還元する際、Boudouard反応は式(1)に示されるように吸熱反応であるため、熱(反応熱)を与えなければ反応が生じない。
この際、反応熱として、外部から加熱したり熱源を導入したりすることなく、Boudouard反応が生じている同じ系の中で生じた別の反応で発生した熱を利用するのが、理想的である。
なお、当該還元反応において、触媒などにより反応を促進してもよい。
反応熱の付与とともに、反応の進行は重要である。反応の進行を示す熱力学的な指標として、自由エネルギ変化の値があることはよく知られている。反応が進行するためには、自由エネルギ変化は負の値になる必要がある。自由エネルギ変化ΔGは、以下の式(2)で表される。
ΔG=ΔH-T・ΔS ・・・(2)
ここで、ΔHは、エンタルピー変化(反応熱の正負逆の値)、Tは、絶対温度、ΔSは、エントロピー変化である。すなわち、自由エネルギ変化ΔGは、反応によるエンタルピー変化ΔHから、反応によるエントロピー変化ΔSと絶対温度Tとの積を減じた値となる。
二酸化炭素の還元のような吸熱反応の場合、エンタルピー変化ΔHは大きな正の値となる。よって、自由エネルギ変化ΔGは、絶対温度Tが高くなることによって、ようやく負の値となることが多い。ここで、エントロピー変化ΔSが大きな正の値となる反応は、気体の反応であれば分子数が増える反応であり、また相変化を伴う場合には固体から液体となる反応や液体から気体となる反応である。とりわけ固体原料から気体分子を生成する反応では、エントロピーの増加が著しい。
Boudouard反応は、固体の炭素一原子が二酸化炭素の一分子と反応して二分子の一酸化炭素となる反応であり、エントロピー変化ΔSは大きな正の値となることが期待できる。公表されている熱力学データを利用して、Boudouard反応のエンタルピー変化ΔH、エントロピー変化ΔSおよび自由エネルギ変化ΔGについて比較的広い温度範囲で計算すると図1~3のグラフのようになる。
図1は、温度とエンタルピー変化ΔHとの相関関係を示すグラフである。図2は、温度とエントロピー変化ΔSとの相関関係を示すグラフである。また、図3は、温度と自由エネルギ変化ΔGとの相関関係を示すグラフである。なお、図1~3において、温度は、絶対温度ではなく、セルシウス温度[℃]で表されている。
図2に示されるように、温度400~1400[℃]の範囲において、エントロピー変化ΔSは、正の値ではあるものの、エンタルピー変化ΔHと比べると1/1000程度である。このため、自由エネルギ変化ΔGは、比較的低温の領域では正の値になり、温度が700[℃]以上、すなわち絶対温度が略973[K]以上で、負の値になる。したがって、700[℃]よりも高い高温度域において、Boudouard反応が進むことが期待できる。
[部分酸化反応の利用]
このような高温度域での還元に必要な反応熱としては、還元炉内で、還元剤として当該還元炉内に投入される有機物を含む固体を部分酸化せしめ、その際に発生する反応熱を利用するのが、最も簡便な方法である。これは、二酸化炭素を含む原料ガスに適量の酸素を事前に合流させておくことにより、容易に実現できる。また、部分酸化によって得られる生成物は、二酸化炭素の還元の生成物と同じ一酸化炭素となる。このため、後段において、反応によって生成された生成ガスの利用を、より容易に行える。
部分酸化に用いる酸素を含む原料ガスとしては、空気を用いるのが簡単である。空気には、窒素など、酸素以外に、反応に影響を与えない成分が含まれている。少量であれば、反応に影響を与えない成分が原料ガスに含まれていることは、それほど大きな問題ではない。しかしながら、空気には窒素が含まれる割合が高いため、酸素ガスのみを供給する場合に比べて、供給すべきガス量が大幅に増大してしまう。ガス量の増大は、還元炉を含む設備の大型化をもたらす。また、ガス量の増大は、熱のロスの増大に繋がり、ひいては余分なエネルギの消費に繋がる。したがって、酸素を含む原料ガスとしては、酸素濃度がより高いガスを用いるのが好ましい。一例として、酸素を含む原料ガスは、純酸素であるのが好ましい。また、別の一例として、酸素を含む原料ガスとして、酸素を富化した空気を使用してもよい。
純酸素は、工業的には深冷分離法で製造される場合が多い。深冷分離法によって製造された純酸素のコストの多くは、電気代が占めている。よって、深冷分離法によって製造された純酸素の使用は、エネルギの過剰消費と同義となってしまう。
近年、余剰な自然エネルギを利用して水を電気分解し水素を製造する設備が数多く建設されている。当該設備においては、水素の製造とともに発生する純酸素が大気に放散されている。大局的なエネルギ消費の観点から、部分酸化のための酸素を含む原料ガスとして、水の電気分解によって生じた純酸素を用いるのは、有意義である。電気分解において消費された電気エネルギは、主目的である水素を生成するために消費され、副産物としての純酸素の生成には消費されていないと見做すことができるからである。この場合、電気分解に使用する電気は、再生可能エネルギを利用して得るのがさらによい。また、同様の観点から、酸素を含む原料ガスとして、窒素製造装置によって生成されるオフガスを用いてもよい。オフガスは、酸素濃度が40~50%であり、上述した酸素富化空気の一例である。窒素製造装置において消費されたエネルギは、主目的である窒素の生成のために消費され、副産物としてのオフガスの生成には消費されていないと見做すことができる。
すなわち、酸素を含む原料ガスとしては、より酸素濃度の高いガスを用いるのが好適である。これにより、酸素を含む原料ガスの供給に要するエネルギ消費、ひいては二酸化炭素の還元に要するエネルギ消費をより低減することができるからである。
ここで、酸素は、事前に二酸化炭素と所定の比率で混合し、酸素と二酸化炭素とを含む混合ガスとして、還元炉に供給するのが好ましい。酸素を二酸化炭素と所定の比率で混合した後に還元炉に供給することにより、還元炉内の場所による酸素濃度のばらつきを小さくし、ひいては、還元炉内で、局所的に完全酸化による高温や熱供給不足による還元不能が生じるのを抑制することができる。
また、二酸化炭素は、酸素と二酸化炭素との混合ガスとは別に、二酸化炭素を含む原料ガスとして、還元炉に供給してもよい。二酸化炭素を含むガスは、低温では不活性であるため、還元剤の流動促進や還元炉内壁への付着物防止などの各種用途に、有効に利用することができる。
[還元剤および原料ガス]
上述したように、二酸化炭素の還元反応をより効率的に進行するためには、エントロピーの増大する反応であること、すなわち還元反応においてエントロピー変化ΔSが正のより大きな値をとることが必要である。この観点から、還元剤は、固体であることが望ましい。一般的に、燃料の用途では、有機物を含む材料として、炭化水素などの油類が広く用いられている。油類は、発熱量が大きく、少量で多くの熱エネルギを発生させるため、二酸化炭素の還元剤として好適である。しかしながら、多くの油類は、常温では液体であり、高温域への昇温過程で気化して気体分子になってしまう。このため、高温の反応場においてはエントロピー変化ΔSが小さくなり、二酸化炭素の還元反応は進行し難くなってしまう。よって、二酸化炭素の還元剤としては、発熱量も大きくさらに気化し難い有機物として、例えば、アスファルトなどの重質炭化水素や、重合によりさらに重質化した樹脂類などの固体であることが望ましい。
一般的に、重質炭化水素類は、昇温過程で融解し、さらに分解して油化することが考えられる。しかしながら、重質炭化水素類は、軽質炭化水素とは異なり、酸素との接触で部分酸化する際には大量の煤を発生することが知られている。煤は、炭素を多く含む固体であり、二酸化炭素の還元反応を進行する上では極めて好適な還元剤である。
発熱量の観点では、還元剤として、燃料としても使用される炭化水素類を用いるのが有利である。また、コストを考慮した場合には、還元剤として、より安価で入手しやすい少量の酸素原子を含む樹脂類やセルロースなどを用いてもよい。また、炭化水素系の物質が大半を占めている物であれば、若干の不純物があっても還元炉の微少な変更や周辺装置の若干の追加で利用可能となる場合も多い。さらに十分な発熱量を期待できる物として、例えば廃棄物などを用いることも可能である。還元剤として廃棄物を用いる場合には、設備の構成は少々複雑になるものの、何より二酸化炭素の還元に加えて廃棄物の処理という大きな付加価値が得られる。ただし、この場合でも、あくまでも二酸化炭素の還元を主目的とし、還元剤として多少の犠牲を払って廃棄物を使用するというコンセプトで設備を設計、建設し、かつ運用することが肝要である。そうしなければ、従来技術と同様に中途半端となってしまい、普及させることが難しくなる。特に、上述の自由エネルギ変化ΔGに関しては、実際に使用する還元剤毎に熱力学計算を行い、エネルギ消費が最小となるように二酸化炭素と酸素および還元剤の量を設定し、バランスが取れるような制御により操業することが肝要である。
炭化水素に代表される有機物を還元剤として用いる場合、生成ガス中には必ず水素化合物が含まれることになる。炭化水素を不完全燃焼させる場合には、水素分子に還元される反応が最もエントロピー変化ΔSが大きくなり、高温の反応場では水素が多く生成される。また、熱エネルギを多く必要とする場合など、条件によっては、酸素の導入量が多い場合に生成される水素化合物の中で、水分子が増加する。しかしながら、上述した二酸化炭素の還元反応においては、系全体の発熱量が大きくなるので、エネルギの供給は、相乗効果で増加し、僅かな酸素導入量の増加によって満足されるため、大量の水分子が生成されることはない。また、後段の一酸化炭素の利用においては、水素が入っていることで付加価値が高くなることも多く、生成ガス中の水素分子の存在はむしろ好ましい。また、同じく生成ガス中の水分子も少量ならば問題なく、仮に多くなってしまった場合にも、冷却凝縮や吸着分離による除去が比較的簡単であり、こちらも後段の生成ガスの利用という観点では問題にはならない。
[還元設備の概要]
還元反応の進行に要するエネルギを還元剤の部分酸化による発熱だけでまかない、外部加熱などを使用しないことは、エネルギ消費を極力少なくするという観点から、大変重要である。すなわち、還元炉に、常温の有機物を含む固体の還元剤ならびに原料ガスとして二酸化炭素と酸素を含む常温の混合ガスを供給し、還元炉内で高温の反応場を形成し、還元炉から排出される生成ガスが十分に熱回収されて100~300[℃]程度となっていれば、熱のロスは、生成ガスの持ち出す廃熱と還元炉からの放熱だけとなり、画期的な省エネルギによる二酸化炭素の還元を実現できる。
具体的に、混合ガスは、還元炉に例えば下部から供給され、反応場に到達する。他方、固体の還元剤は、還元炉に例えば上部から供給され、反応場へ向けて自由落下する。この間、還元剤は、還元炉内での生成ガスとの直接的な接触や反応場からの輻射伝熱などにより適度に予熱される。そして、反応場において、部分酸化反応により化学エネルギが熱エネルギとなって昇温し、エントロピーが増大する反応が進行することで二酸化炭素の還元が生じ、一酸化炭素が生成される。高温の生成ガスは還元剤や原料ガスと熱交換し、温度が低下した状態で排出される。
還元剤は、熱容量が大きく、昇温に大きな熱と時間を要する。したがって、還元反応によって生成された高温の生成ガスから還元反応する前の還元剤に熱を与えることは有効である。これにより、還元剤は加熱され、反応を開始するのに必要な温度により迅速にあるいはより容易に到達することができ、他方、生成ガスは冷却され、当該生成ガスが持ち出す廃熱をより小さくすることができる。
このような還元剤と生成ガスとの熱交換を実現するため、例えば、還元炉内で、投入された固体の還元剤が反応場に達する経路と、反応を終えた生成ガスが出口に向かう経路とを同じとし、還元剤と生成ガスとを、互いに還元炉内の同じ場所で対向しながら移動する状態で直接接触させるのが、好適である。
また、上記二つの経路は、還元炉内の熱伝導性を有した内壁により隔たれてもよい。この場合も、還元剤と生成ガスとは内壁を介して熱交換することができる。この場合、直接接触による熱交換と比べると伝熱効率が劣るため、十分な熱交換量を確保するためには二つの経路を長くするのが好適である。
また、高温の反応場に放射率の高い放熱板を設置することにより、放熱板からの輻射熱を、離れた場所に存在する低温の固体である還元剤に、与えるようにしてもよい。
また、還元炉外の熱交換器において、還元剤と生成ガスとの熱交換を行ってもよい。この場合、還元剤を、融解する温度以下で固体のまま還元炉へ投入する方法と、融解する温度まで予熱して液体で還元炉へ投入する方法と、がある。いずれの場合も、還元炉内で酸素により部分酸化される際には、大半が固体の煤となるため、二酸化炭素の還元反応は効率よく進行することができる。
上述した熱交換手段を複合的に利用して、還元剤と生成ガスとの間で十分な熱交換を行い、エネルギ消費をより一層少なくすることができる。
他方、混合ガス(原料ガス)は熱容量が小さいため、還元炉の内部あるいは外部における生成ガスとの熱交換により、反応に必要十分な温度まで昇温することが可能である。
[還元設備および実験結果]
[実施例1]
図4は、本実施形態の実施例1の還元設備10の概略構成図である。還元設備10は、還元炉20を備えている。還元炉20は、縦型の円筒状の形状を有している。還元設備10は、還元装置の一例である。
還元剤は、固体または液体の状態で、例えばコンベヤや配管等によって構成される経路26を介して移送され、例えば上端20bの中央から、還元炉20内の上部に投入される。なお、還元炉20内の上部とは、還元炉20内の、上端20bと下端20cとの間の中央位置Mよりも上側の部分である。
二酸化炭素を主体とする第一原料ガスは、流路21に導入され、酸素を主体とする第二原料ガスは、流路22に導入される。流路21と流路22とは合流して流路23となり、当該流路23が、還元炉20の下部に接続されている。すなわち、流路21に導入された第一原料ガスと流路22に導入された第二原料ガスとが合流して混合された混合ガスが、流路23を通って還元炉20内の下部へ供給される。このような構成において、第一原料ガスは、流路21および流路23を通って還元炉20内へ供給される。流路21および流路23は、第一流路の一例である。また、第二原料ガスは、流路22および流路23を通って還元炉20内へ供給される。流路22および流路23は、第二流路の一例である。なお、還元炉20内の下部とは、還元炉20内の、還元炉20の上端20bと下端20cとの間の中央位置Mよりも下側の部分である。第二原料ガスは、還元炉20の下部のうち、内管20aの下端20a1と還元炉20の下端20cとの間に供給されるのが好ましい。
また、流路21は、流路22との合流点の前段、すなわち流路23の上流で、流路24に分岐され、当該流路24は、還元炉20の上部へ接続されている。すなわち、流路21に導入された第一原料ガスの一部は、流路24を通り、還元炉20内の上部、すなわち流路21とは別の部分に、供給される。流路24は、第四流路の一例である。
還元炉20内には、内管20aが設けられている。内管20aは、縦型の円筒状の形状を有するとともに、還元炉20と略同心に配置されている。また、内管20aは、還元炉20の上端20bと接続されるとともに、還元炉20の高さの2/3程度の高さを有している。すなわち、内管20aの下端20a1と還元炉20の下端20cとの間には、還元炉20の高さの1/3程度の距離がある。内管20aは、内壁の一例である。
還元剤および流路24を通った第一原料ガスは、還元炉20内の内管20aの内側に導入される。よって、還元炉20内で、還元剤および第一原料ガスは、内管20aの内側を下向きに移動する。
内管20aの下端20a1の近傍、すなわち、還元炉20の下端20cから当該還元炉20の高さの1/3程度の範囲が、反応場Rとなる。反応場Rにおいて、還元剤と混合ガス中の酸素との部分酸化反応が生じ、当該部分酸化反応によって生じた熱を反応熱として利用して還元剤による混合ガス中の二酸化炭素の還元反応が生じる。
還元反応により生成された一酸化炭素と水素を含む生成ガスは、反応場Rから還元炉20内で内管20aの外側を通って上昇する。還元炉20の上部には、流路25が接続されている。よって、内管20aの外側を上昇した生成ガスは、流路25から還元炉20外へ排出される。流路25は、第五流路の一例である。なお、流路21~25は、いずれも、例えば、配管等によって構成される。
内管20aは、熱伝導性を有する材料によって作られている。上述したように、導入された還元剤および第一原料ガスは、内管20aの内側で下方へ移動し、反応直後の高温の生成ガスは、内管20aの外側で上方へ移動する。このような移動の際に、還元剤と生成ガスとが内管20aおよび第一原料ガスを介して間接的に熱交換し、これにより、還元剤が加熱されるとともに、生成ガスが冷却される。内管20aは、還元炉20内における還元剤およびガスの流路を構成するとともに、熱交換における熱伝導部材として機能している。
本発明の全ての実施例において、還元剤としてはアスファルトを使用した。表1は、元素分析による還元剤の組成を示す。また、表2は、還元剤の投入量、第一原料ガスの組成および流量、第二原料ガスの組成および流量、ならびに理想的な反応が生じた場合の生成ガスの組成を示す。
Figure 2022069147000002
Figure 2022069147000003
表2に示されるような原料ガスと還元剤のバランスでは、反応場Rの温度を適切な温度に近づけるため、反応場Rの予熱を行うのが有利である。還元反応は1000[℃]程度の温度にしないと反応平衡が理想的な状態に近づかず、また、温度を上げることにより反応速度の上昇が期待できるからである。この点、本実施形態のように、部分酸化反応の反応熱を二酸化炭素の還元反応に利用する方法においては、例えば、第二原料ガスの流量を多くして系内の酸素濃度を通常状態よりも高くすることにより、部分酸化反応の一部を完全酸化反応として発熱量を多くし、これを熱源として利用することができる。このような方法によれば、反応場Rの加熱のためにヒータのような特別な装備を要しない分、還元炉20の構成をより簡素化することができるという利点が得られる。ただし、常温では自発的な連鎖反応は発生しないので、酸素濃度を高くするために第二原料ガスが多く流れている状態で、着火した還元剤を別途用意して適量投入することで点火して燃焼させ、その後、通常の着火しない還元剤を投入することにより連鎖反応を維持することが必要である。
表3は、各実施例における実験結果を示す表である。表3は、各実施例における原料ガス、還元剤、生成ガス、および反応場Rの温度と、生成ガスの流量とを示している。また、表4は、各実施例における生成ガスの成分組成と、煤の量とを示している。
Figure 2022069147000004
Figure 2022069147000005
実施例1では、反応場Rの温度を監視しながら加熱を続け、1200[℃]まで昇温できたところで、酸素濃度を通常状態よりも高めるために流量を増やしていた第二原料ガスを、通常状態の所定の流量に調整した。これにより予熱を終え、二酸化炭素の還元反応に移行した。
その後、しばらくは反応場Rの温度が緩やかに下降したが、安定するのを待ち、約2時間後に生成ガスの流量と温度の測定を行った。このときの温度の測定結果が1079[℃]であった。
さらに、その後1時間にわたって、生成ガスの流路に濾紙を挿入し、到来する煤の量を測定した。
生成ガスの分析結果から、外部加熱無しで二酸化炭素の99%以上が一酸化炭素に還元されたことがわかる。また、還元剤由来の水素も99%以上が有価な水素分子として存在し、水に変換されたものは微量であった。また、生成ガスの温度も300[℃]前後まで低下しており、十分な熱交換が出来て好適な反応条件が維持され続けたものと考えられる。
他に、還元剤の分解過程で発生したとみられるメタンが少量検出され、微量の煤も捕集されたが、いずれの副生成物も工業的に生産されている合成ガスと比べて同等以下の含有量であり、生成ガスの利用において問題を生じることはないと考えられる。以上より、目的である最小限のエネルギ投入で二酸化炭素を還元することができたと考えられる。
[実施例2]
実施例2では、実施例1と同じ図4に示した還元設備10により、実験を行った。ただし、反応場Rの温度が800[℃]を超えたところで予熱を終えた。
その後、しばらくは反応場Rの温度が緩やかに上昇したが、安定するのを待ち、約2時間後に生成ガスの流量と温度の測定を行った。このときの温度の測定結果が843[℃]であった。
生成ガスの分析結果から、実施例1と比較して二酸化炭素の残量が多く、水分子も多かった。その分、還元剤が部分酸化されずにメタンおよび煤として残留した。これは、予熱が不十分で反応場Rの温度が好適な温度に達していなかったことが原因と考えられる。また生成ガスの温度も500[℃]前後で、熱交換も十分にできなかったことが推測される。すなわち、予熱不足が反応の転化率の低下を招き、さらに伝熱不足も引き起こして悪循環から抜け出すことができなかったものと考えられる。
[実施例3]
図5は、実施例3の還元設備10Aの概略構成図である。還元設備10Aは、還元炉20A内に内管20aが設けられていない点、および混合ガスの流路23が還元炉20Aの下部としての下端20cの中央に接続されている点で、上記実施例1,2と相違している。
還元剤は、還元炉20Aの上端20bの中央に投入され、当該中央から周囲に広がりながら下降する。また、実施例3では、流路24を通る第一原料ガスの流量をごく少量としたため、還元炉20A内を下降する第一原料ガスについては、考慮する必要がない。
反応場Rは、第一原料ガスが供給される還元炉20Aの下端20cの中央からすぐ上の、当該下端20cから当該還元炉20Aの高さの1/5付近に位置した。
本実施例では、反応により生成されて還元炉20A内を上昇する一酸化炭素および水素を含む生成ガスと、還元炉20A内を下降してくる還元剤とが、直接的に接触して熱交換し、還元剤が加熱されるとともに、生成ガスが冷却される。本実施例では、反応場Rの温度が1200[℃]を超えたところで予熱を終え、二酸化炭素の還元反応に移行後すぐに生成ガスの流量と温度の測定を行った。
本実施例は、直接接触による伝熱でより多くの熱回収をすることでエネルギ消費をさらに低減することを目的とし、予熱も十分に行った。しかしながら、生成ガスの分析結果から、未還元の二酸化炭素が30%近くも残留したこと、還元剤由来の炭化水素成分が多量に存在したこと、ならびに生成ガスが高温で流出したことがわかった。
これは、反応場Rの温度は十分に高く維持されたものの、生成ガスとの対向した流れによる直接接触による熱交換によって加熱された還元剤が、昇温過程で熱分解されて一部は軽質の炭化水素ガスとなって生成ガスの流れに乗ってしまい、反応場Rに到達することなく還元炉20Aから排出されたことが原因と考えられる。還元剤にアスファルトを使用する場合には対向流の直接接触による熱交換は、それほど効果的にはならなかった。
[実施例4]
図6は、実施例4の還元設備10Bの概略構成図である。還元設備10Bは、酸素を主体とする第二原料ガスを、二酸化炭素を主体とする第一原料ガスと混合することなく還元炉20に供給する点で、上記実施例1と相違している。本実施例でも、反応場Rの温度が1200[℃]を超えたところで加熱を終えた。その後、生成ガス流量と温度は不安定であったが、平均値を測定値とした。
生成ガスの分析結果から、未還元の二酸化炭素が多く残留したが、炭化水素はほとんど存在しなかったことが判明した。その代わりに大量の煤が捕集され、還元剤は反応場Rまで到達したにも拘わらず、部分酸化されずに煤として生成ガスと一緒に排出されたことが判明した。さらに、生成ガスの温度も高温で、こちらも不安定だった。このことから、生成ガスの組成も不安定だったものと推測され、生成ガスの分析値は、本実施例の反応状況を正確に表したものではなかったものと考えられる。
酸素を主体とする第二原料ガスを単独で供給する場合、その供給口の周辺だけが酸化雰囲気となり、還元剤を完全酸化させてしまい、高温を発生したものと推測される。このときに発生した熱は、別の供給口から供給した二酸化炭素を主体とする第一原料ガスには十分に与えることができず、未還元の二酸化炭素と余剰の熱が不均一のまま生成ガスとして排出されたものと推測される。簡便かつコンパクトな還元炉20とすることで放熱によるエネルギのロスを小さくすることも重要であるため、反応場Rでの生成ガスの滞留時間は極力短くする必要がある。よって、第一原料ガスと第二原料ガスとは、混合させて供給することが望ましい。
以上、説明したように、本実施形態では、還元炉20内で有機物の部分酸化によって発生する熱を利用して二酸化炭素を還元し、少なくとも一酸化炭素を含む生成ガスを得る。
本実施形態によれば、より簡便な方法によって、より効率良く、かつより少ないエネルギ消費で二酸化炭素を一酸化炭素に還元することが可能な、二酸化炭素の還元方法および還元設備10(還元装置)を、得ることができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の還元設備10Cのブロック図である。図7に示されるように、還元設備10Cは、流路24が設けられず、第一原料ガスが混合ガスとは別に還元炉20に供給されない点で、第1実施形態の実施例1の還元設備10と相違している。
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態によれば、例えば、還元設備10Cをより簡素な構成によって実現できるという利点がある。なお、還元設備10Cは、還元炉20に替えて内管20aの無い還元炉20A(図5参照)を備えてもよい。
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の還元設備10Dのブロック図である。図8に示されるように、還元設備10Dは、還元炉20外に、混合ガスと生成ガスとの熱交換器31が設けられている点で、第2実施形態と相違している。
混合ガスは、例えば常温で熱交換器31に導入される。また、生成ガスは、還元炉20において熱回収を十分に行わないことにより、常温よりも高い温度で熱交換器31に導入される。熱交換器31は、熱伝導性を有した内壁(不図示)を介して混合ガスと生成ガスとが互いに分離されるとともに熱的に接続されるよう、構成されている。熱交換器31内では、混合ガスと生成ガスとの熱交換により、混合ガスが加熱されるとともに、生成ガスが冷却される。
本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態によれば、例えば、混合ガスの温度を還元炉20内での反応に適した温度に近づけることができるので、還元炉20においてより効率よく反応を生じさせることができる。さらに、本実施形態によれば、還元炉20での反応によって生じた熱エネルギを利用して混合ガスを加熱することができるため、他の加熱装置等によって混合ガスを加熱した場合に比べて、エネルギ消費を減らすことができる。なお、還元設備10Dは、還元炉20に替えて内管20aの無い還元炉20Aを備えてもよい。
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態の還元設備10Eのブロック図である。図9に示されるように、還元設備10Eは、還元炉20外に、混合ガスと生成ガスとの熱交換器32が設けられている点で、第2実施形態と相違している。
還元剤は、例えば常温で熱交換器32に導入される。また、生成ガスは、還元炉20において熱回収を十分に行わないことにより、常温よりも高い温度で熱交換器32に導入される。熱交換器32は、熱伝導性を有した内壁(不図示)を介して還元剤と生成ガスとが互いに分離されるとともに熱的に接続されるよう、構成されている。熱交換器32内では、還元剤と生成ガスとの熱交換により、還元剤が加熱されるとともに、生成ガスが冷却される。なお、還元設備10Eは、還元炉20に替えて内管20aの無い還元炉20Aを備えてもよい。
本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態によれば、例えば、還元剤によってはある程度加熱することで溶融液化し、還元炉20への投入が容易になるものもあり、還元炉20をより簡便でコンパクトなものとし、より効率よく反応を生じさせることができる。さらに、本実施形態によれば、還元炉20での反応によって生じた熱エネルギを利用して還元剤を加熱することができるため、他の加熱装置等によって還元剤を加熱した場合に比べて、エネルギ消費を減らすことができる。なお、還元設備10Eは、還元炉20に替えて内管20aの無い還元炉20Aを備えてもよい。
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
また、還元炉を備え、前記還元炉内に有機物を含む固体または液体の還元剤を移送する経路、前記還元炉内に二酸化炭素を含む第一原料ガスを供給する第一流路、および前記還元炉内に酸素を含む第二原料ガスを供給する第二流路が設けられ、前記還元炉内で、前記有機物を前記酸素によって部分酸化し、当該有機物の部分酸化によって発生する熱を利用して前記二酸化炭素を前記還元剤によって還元し少なくとも一酸化炭素を含む生成ガスを得る二酸化炭素の還元装置は、以下のような形態として実施することができる。
前記二酸化炭素の還元装置には、前記第一流路と前記第二流路とが合流し前記還元炉に前記第一原料ガスおよび前記第二原料ガスを供給する第三流路が設けられてもよい。
前記二酸化炭素の還元装置には、前記還元炉内の前記第一流路とは異なる場所に前記第一原料ガスを供給する第四流路が設けられてもよい。
前記二酸化炭素の還元装置では、前記経路は、前記還元炉内の上部に前記還元剤を移送し、前記第一流路は、前記還元炉内の下部に前記第一原料ガスを供給し、前記第二流路は、前記還元炉内の下部に前記第二原料ガスを供給してもよい。
前記二酸化炭素の還元装置は、前記還元炉内に熱伝導性を有した内管を備えてもよい。
前記二酸化炭素の還元装置では、前記還元炉から前記生成ガスを排出する第五流路が設けられ、前記経路は、前記還元炉内の上部かつ前記内管の内側に前記還元剤を投入し、前記第五流路は、前記還元炉内の上部かつ前記内管の外側から前記生成ガスを排出してもよい。
前記二酸化炭素の還元装置には、前記還元炉内の前記第一流路とは異なる場所としての前記還元炉内の上部かつ前記内管の内側に前記第一原料ガスを供給する第四流路が設けられてもよい。
前記二酸化炭素の還元装置には、前記還元炉内から前記生成ガスを排出する第五流路が設けられ、前記還元炉外で、前記第五流路を流れる前記生成ガスと、前記経路で移送される前記還元剤、前記第一流路を流れる前記第一原料ガス、および前記第二流路を流れる前記第二原料ガスのうち少なくとも一つと、を熱交換する熱交換器を備えてもよい。
10,10A~10E…還元設備(還元装置)
20,20A…還元炉
20a…内管(内壁)
20a1…(内管の)下端
20b…上端
20c…(還元炉の)下端
21…流路(第一流路)
22…流路(第二流路)
23…流路(第一流路、第二流路、混合流路)
24…流路(第四流路)
25…流路(第五流路)
26…経路
31,32…熱交換器
M…中央位置
R…反応場

Claims (12)

  1. 還元炉において有機物を含む固体または液体の還元剤を用いて二酸化炭素を還元し少なくとも一酸化炭素を含む生成ガスを得る二酸化炭素の還元方法であって、
    前記還元剤を還元炉に投入し、
    二酸化炭素を前記還元炉に供給し、
    酸素を前記還元炉に供給し、
    前記還元炉内で前記有機物を前記酸素によって部分酸化し、
    前記還元炉内で前記有機物の部分酸化によって発生する熱を利用して前記二酸化炭素を前記還元剤によって還元する、二酸化炭素の還元方法。
  2. 前記還元炉に二酸化炭素と酸素とを混合した混合ガスを供給する、請求項1に記載の二酸化炭素の還元方法。
  3. 前記還元炉に二酸化炭素と酸素とを別々に供給する、請求項1に記載の二酸化炭素の還元方法。
  4. 前記還元炉内で、前記還元剤と前記生成ガスとを熱交換させる、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  5. 前記還元炉内を下降する前記還元剤と、前記還元炉内を上昇する前記生成ガスとを、熱交換させる、請求項4に記載の二酸化炭素の還元方法。
  6. 前記還元剤と前記生成ガスとを、直接的に接触させて熱交換させる、請求項4または5に記載の二酸化炭素の還元方法。
  7. 前記還元剤と前記生成ガスとを、前記還元炉内に設けられた熱伝導性を有した内壁を介して間接的に熱交換させる、請求項4または5に記載の二酸化炭素の還元方法。
  8. 前記還元炉外で、前記還元炉に投入される前の前記還元剤と前記還元炉から排出された前記生成ガスとを熱交換させる、請求項1~7のうちいずれか一つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  9. 前記還元炉外で、前記還元炉に供給される前の酸素および二酸化炭素のうち少なくともいずれか一方と前記還元炉から排出された前記生成ガスとを熱交換させる、請求項1~8のうちいずれか一つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  10. 水の電気分解によって得られた酸素を前記還元炉に供給する、請求項1~9のうちいずれか一つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  11. 窒素製造装置によって得られた酸素を含むオフガスを前記還元炉に供給する、請求項1~10のうちいずれか一つに記載の二酸化炭素の還元方法。
  12. 還元炉を備え、
    前記還元炉内に有機物を含む固体または液体の還元剤を移送する経路、前記還元炉内に二酸化炭素を含む第一原料ガスを供給する第一流路、および前記還元炉内に酸素を含む第二原料ガスを供給する第二流路が設けられ、
    前記還元炉内で、前記有機物を前記酸素によって部分酸化し、当該有機物の部分酸化によって発生する熱を利用して前記二酸化炭素を前記還元剤によって還元し少なくとも一酸化炭素を含む生成ガスを得る、二酸化炭素の還元装置。
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