JP2022067546A - トラクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】前輪の切れ角を検出するための構成の簡素化を図りつつ、この構成を容易に適用することができるトラクタを提供する。【解決手段】トラクタは、旋回リンク31と、前輪切れ角検出機構33と、を備える。旋回リンク31は、ギアケース25とギアボックス27とを連結し、ギアボックス27の旋回軸線49を中心として当該ギアボックス27と一体的に回転可能に構成される。前輪切れ角検出機構33は、フロントアクスルケース及びギアケース25に対して外側に、かつ、ギアボックス27に対して外側に配置され、旋回リンク31の回転角度を検出する。【選択図】図5

Description

本発明は、トラクタに関する。
従来から、前輪の切れ角を検出するための前輪切れ角検出機構を備えるトラクタが知られている。特許文献1は、この種のトラクタを開示する。
特許文献1のトラクタは、エンジン、前輪、及びフロントアクスル機構を備える。フロントアクスル機構は、エンジンからの動力を前輪に伝達するとともに、トラクタの操舵を行うために前輪の切れ角を調節することができる。フロントアクスル機構には、前輪の切れ角を検出する前輪切れ角検出機構が設けられている。
特許第5972157号公報
上記特許文献1の構成では、前輪の切れ角を検出するための構成が複雑であり、構成の簡素化という点で改善の余地があった。
具体的に説明すると、上記特許文献1の構成では、前輪ケースを支持するサポート部材が設けられるとともに、前輪切れ角検出機構に備えられた回転角度伝達軸がサポート部材を貫通する構造が採用されている。そのため、直進走行を自動制御する機能を既存のトラクタに追加したい場合に、前輪の切れ角を検出するための構成をトラクタに対して適用する(特に、後付けで適用する)ことが困難であった。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、前輪の切れ角を検出するための構成の簡素化を図りつつ、この構成を容易に適用することができるトラクタを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下の構成のトラクタが提供される。即ち、このトラクタは、主ケースと、旋回ケースと、を備える。前記主ケースは、機体フレームに連結される。前記旋回ケースは、前記主ケースに対して旋回可能に連結されるととともに、前輪を回転可能に支持する。前記トラクタは、旋回リンクと、前輪切れ角検出機構と、を備える。前記旋回リンクは、前記主ケースと前記旋回ケースとを連結し、前記旋回ケースの旋回軸線を中心として当該旋回ケースと一体的に回転可能に構成される。前記前輪切れ角検出機構は、前記主ケースに対して外側に、かつ、前記旋回ケースに対して外側に配置され、前記旋回リンクの回転角度を検出する。
これにより、前輪の切れ角を検出するための構成の簡素化を図りつつ、この構成をトラクタに容易に適用することができる。例えば、この構成はトラクタに対して後付けでも簡単に適用することができる。
前記のトラクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記前輪切れ角検出機構は、支持部材と、角度センサと、を備える。前記支持部材は、前記主ケース側に固定される。前記角度センサは、前記旋回リンクの回転角度に応じた信号を出力する。前記角度センサは、センサ本体と、検出アームと、を備える。前記検出アームは、前記センサ本体に対して回転可能である。前記センサ本体は、前記支持部材に固定される。
これにより、簡単な構造で、前記前輪切れ角検出機構をトラクタに適用することができる。
前記のトラクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記前輪切れ角検出機構は、回転可能な検出アームを有する角度センサを備える。前記検出アーム側及び前記旋回リンク側の一方に設けられたピン部と、前記検出アーム側及び前記旋回リンク側の他方に設けられた取付部と、により、前記検出アームと前記旋回リンクとが連結される。
これにより、簡単な構造で、前記検出アームと前記旋回リンクとを一体的に回転させることができる。
前記のトラクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記旋回リンクには中空カバーが固定される。前記中空カバーは、前記検出アームと前記旋回リンクとが連結される部分の周囲を覆う。前記中空カバーの内部空間の少なくとも一部は、下方に開放されている。
これにより、前記検出アームと前記旋回リンクとが連結される部分に、泥等が入り込まないようにすることができる。仮に泥等が中空カバーに入った場合でも、下方へ容易に落下させて排出することができる。
前記のトラクタにおいては、前記前輪切れ角検出機構を上方及び側方のうち少なくとも何れかから覆うカバー体を備えることが好ましい。
これにより、カバー体を用いて、前輪切れ角検出機構における泥等からの保護機能を向上させることができる。
前記のトラクタにおいては、前記カバー体は、前記前輪切れ角検出機構の少なくとも一部を当該カバー体の下側から外側に露出させる開放部を有することが好ましい。
これにより、カバー体の内側に泥等が侵入した場合であっても、この泥等をカバー体の外側へ開放部を通じて排出することができる。
本発明の一実施形態に係るトラクタの側面図。 トラクタの左側前部の構成を示す斜視図。 フロントアクスル機構の斜視図。 フロントアクスル機構のうち、旋回リンク及び前輪切れ角検出機構付近の構成を示す斜視図。 前輪切れ角検出機構付近の構成を詳細に示す斜視図。 旋回リンクの構成を示す斜視図。 旋回リンク及び前輪切れ角検出機構の構成を示す斜視図。 フロントアクスル機構において前輪切れ角検出機構及びその近傍を下方から見た場合の斜視図。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るトラクタ1の側面図である。図2は、トラクタ1の左側前部の構成を示す斜視図である。なお、以下の説明では、トラクタ1が前進する方向に対して左側を「左」と呼び、右側を「右」と呼ぶ。左右方向が、トラクタ1の車幅方向に相当する。
図1に示すように、トラクタ1は、機体フレーム3等で構成される走行機体5を備えている。走行機体5は、左右の前輪7にフロントアクスル機構21(図2参照)を介して支持されるとともに、左右の後輪9に支持されている。走行機体5は、その後部に作業機を着脱可能に構成されている。作業機としては、例えば、耕耘機、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等の種々の作業機を選択することができる。
トラクタ1の走行機体5の前部に、ボンネット11が配置されている。ボンネット11は、その内部を露出することができるように開閉可能に設けられている。ボンネット11の内部には、駆動源としてのエンジン等が配置されている。本実施形態においてエンジンはディーゼルエンジンから構成されているが、他の形式のエンジンであっても良い。
ボンネット11の後方に、トラクタ1の運転部15が配置されている。運転部15は、運転席17及びステアリングハンドル19を備えている。運転席17には、トラクタ1の運転者が座ることができる。ステアリングハンドル19は、運転席17の前方に配置されている。運転者は、運転席17近傍に設けられた操作具、及びステアリングハンドル19を用いて、トラクタ1の走行操作等を行うことができる。
トラクタ1においては、ボンネット11内のエンジンが動力を発生させる。運転者によるトラクタ1の走行操作に応じて、この動力が、エンジンの後方に配置されたミッションケース等を介して後輪9に伝達されるとともに、フロントアクスル機構21を介して前輪7に伝達される。これにより、トラクタ1を走行させることができる。ステアリングハンドル19の操作により左右の前輪7の切れ角を変更させて、トラクタ1の進行方向の調節(例えば、左側又は右側への旋回)を行うことができる。
次に、図3から図7を参照して、フロントアクスル機構21について説明する。図3は、フロントアクスル機構21の斜視図である。図4は、フロントアクスル機構21のうち、旋回リンク31及び前輪切れ角検出機構33付近の構成を示す斜視図である。図5は、前輪切れ角検出機構33の構成を詳細に示す斜視図である。図6は、旋回リンク31の構成を示す斜視図である。図7は、旋回リンク31及び前輪切れ角検出機構33の構成を示す斜視図である。
フロントアクスル機構21は、エンジンからの動力を左右の前輪7に伝達することができる。図3に示すように、フロントアクスル機構21は、主ケースとしてのフロントアクスルケース23及びギアケース25と、旋回ケースとしてのギアボックス27と、前車軸29と、旋回リンク31と、前輪切れ角検出機構33と、ステアリングシリンダ35と、を備えている。ギアケース25、ギアボックス27、及び前車軸29は、車体の左右に配置されている。
フロントアクスル機構21は、一部(旋回リンク31、前輪切れ角検出機構33、及びステアリングシリンダ35)を除いて、実質的に左右対称に構成されている。そこで、以下では、主としてフロントアクスル機構21の左側の構成について説明する。
フロントアクスルケース23は、左右方向に延びるように設けられている。フロントアクスルケース23は、機体フレーム3の下方に配置されている。フロントアクスルケース23は、その左右方向中央部で機体フレーム3に揺動可能に連結されている。フロントアクスルケース23には、動力を伝達するための動力伝達部材(ギア及び軸等)が収容されている。
ギアケース25は、その内部空間がフロントアクスルケース23の内部空間と繋がるように、フロントアクスルケース23の左端部(長手方向一端部)に連結されている。ギアケース25は、ケース本体41と、軸状部43と、蓋部45と、を有する。ケース本体41は、上端部に開口部を有する。軸状部43は、ケース本体41から概ね下方へ突出するように設けられている。
軸状部43は、中空に形成されている。そして、ケース本体41及び軸状部43に、動力伝達部材が収容されている。蓋部45は、ケース本体41における前記開口部を閉塞するように、ケース本体41の上端部に固定されている。
ギアボックス27は、その内部空間がギアケース25の内部空間と繋がるように、ギアケース25に取り付けられている。ギアボックス27は、ギアケース25の下方及び左側方(車幅方向外側)に配置されている。ギアケース25の軸状部43の一部がギアボックス27に挿入されている。これにより、ギアボックス27がギアケース25に対して回転可能に連結されている。
ギアボックス27は、図3に鎖線で示される旋回軸線49を中心として回転することができる。旋回軸線49は、ギアケース25の軸状部43の軸線と同軸に配置されている。ギアボックス27には、動力伝達部材が収容されている。
前車軸29は、ギアボックス27に回転可能に支持されている。前車軸29は、その軸方向が左右方向に沿うように配置され、ギアボックス27から左側方へ突出するように設けられている。前車軸29の突出部に、前輪7が固定されている。こうして、ギアボックス27に、前車軸29を介して、前輪7が回転可能に支持されている。
前車軸29は、ギアボックス27内の動力伝達部材と連結されている。ギアボックス27内の動力伝達部材は、ギアケース25内の動力部材を介して、フロントアクスルケース23内の動力伝達部材と連結されている。エンジンからの動力は、フロントアクスルケース23内の動力伝達部材から前車軸29に伝達されて、前輪7を回転させることができる。
また、ギアボックス27が旋回軸線49を中心として回転することによって、前車軸29及び前輪7は、ギアボックス27と一体的に旋回する。これにより前輪7の切れ角が変更されて、トラクタ1の進行方向が変化する。
例えば図4に示すように、旋回リンク31は、ギアケース25とギアボックス27とを連結するように設けられている。旋回リンク31は、ギアボックス27の旋回軸線49を中心として、当該ギアボックス27と一体的に回転可能に構成されている。従って、旋回リンク31は、前輪7と一体的に旋回する。
図5及び図6に示すように、旋回リンク31は、アーム部51と、回転軸53と、筒状部(中空カバー)55と、伝動プレート(伝動部)57と、を備えている。
アーム部51は、ギアケース25とギアボックス27とに跨るように配置されている。アーム部51は、矩形の板状部材で構成されており、L字のレバー状に形成されている。アーム部51は、長手方向一側に配置された第1部63と、長手方向他側に配置された第2部65と、を有する。アーム部51の長手方向途中部には、屈曲部分61が形成されている。第1部63と第2部65は、屈曲部分61を介して互いに接続される。
第1部63は、ギアケース25の蓋部45の上方に配置されている。第1部63は、回転軸53を介して、ギアケース25の蓋部45に回転可能に支持されている。ギアボックス27の上部には、凹部69が形成されている。第2部65において屈曲部分61から遠い側の端部は、凹部69に挿入されている。従って、ギアボックス27がギアケース25に対して相対回転すると、アーム部51もギアボックス27と一体的に、回転軸53を中心としてギアケース25に対して相対回転する。
回転軸53は、アーム部51の第1部63に固定されている。回転軸53は、アーム部51の第1部63から概ね下方に向かって突出するように設けられている。
回転軸53は、旋回軸線49と同軸に配置されるとともに、ギアケース25の蓋部45に設けられた貫通状の差込孔に差し込まれている。回転軸53は、ギアケース25の蓋部45に回転可能に支持されている。回転軸53のギアケース25に対しての組付けは、公知の止め輪等の手段によって行われる。回転軸53と差込孔の間には、Oリング等からなる図示しないシール部材が設けられている。これにより、泥等がギアケース25の内部に侵入するのを防止することができる。
筒状部55は、アーム部51の第1部63に固定されている。筒状部55は、アーム部51の第1部63から概ね上方に向かって突出するように設けられている。筒状部55は、回転軸53と同軸に配置されている。筒状部55は、本実施形態では、円筒状に形成されている。筒状部55の外径は、第1部63の長手方向長さよりも短い。
伝動プレート57は、筒状部55の内周部に固定されている。伝動プレート57は、回転軸53に沿って見たとき、筒状部55の内側の空間の一部を占めるように配置されている。伝動プレート57は、アーム部51が回転するとき、筒状部55を介してアーム部51と一体的に回転する。伝動プレート57には、貫通孔(取付部)67が形成されている。貫通孔67は、伝動プレート57を回転軸53と平行な向きに貫通するように設けられている。貫通孔67は、アーム部51の第1部63の上方に配置されている。
前輪切れ角検出機構33は、旋回リンク31の回転角度に基づいて、ギアケース25に対するギアボックス27の回転角度を前輪7の切れ角として検出する。
詳細は後述するが、左右のギアボックス27は、図3に示すタイロッド93により連結されている。従って、左右の前輪7の一方の切れ角を検出すれば、反対側の切れ角も取得することができる。そのため、前輪切れ角検出機構33は、フロントアクスル機構21の左右一方にのみ設けられている。本実施形態において、前輪切れ角検出機構33は左側に配置されているが、右側に配置されても良い。
前輪切れ角検出機構33は、ステー(支持部材)71と、ポテンショメータ(角度センサ)73と、を備える。
ステー71は、例えば図5に示すように、ギアケース25側に固定されている。本実施形態では、ステー71は、ギアケース25の蓋部45の上方に配置された状態で、ギアケース25に固定されている。ステー71と蓋部45との間には、スペーサ機能を有する長いナットが配置されている。これにより、ステー71と蓋部45との間には、旋回軸線49の方向で適宜の隙間が形成される。この隙間に、旋回リンク31の第1部63及び筒状部55が位置している。
ポテンショメータ73は、ステー71に取り付けられている。ポテンショメータ73は、ギアケース25に対する旋回リンク31の相対的な回転角度を電気信号として検出する。ポテンショメータ73は、旋回リンク31の回転角度に基づいて前輪7の切れ角を検出することができる。ポテンショメータ73は、トラクタ1の制御装置と接続され、検出結果を当該制御装置に出力する。
ポテンショメータ73は、ポテンショメータ本体(センサ本体)74と、検出アーム75と、を備える。ポテンショメータ本体74は、ステー71の上面に配置され、ステー71にネジによって固定される。検出アーム75は、ポテンショメータ本体74の外部に突出するように設けられている。検出アーム75は、ステー71の下方であって、筒状部55の内部に位置する。検出アーム75は、ポテンショメータ本体74に対して、旋回リンク31の回転軸線と一致する軸線を中心として回転する。
図7に示すように、検出アーム75の先端部には、概ね下方へ突出するように連結ピン77が設けられている。連結ピン77は、旋回リンク31の伝動プレート57に形成された貫通孔67に差し込まれている。従って、旋回リンク31(言い換えれば、前輪7)の旋回に連動して、ポテンショメータ73の検出アーム75を回転させることができる。
本実施形態では、伝動プレート57の貫通孔67は、図6に示すように、筒状部55の径方向を長手方向とする長孔に形成されている。従って、貫通孔67に差し込まれた連結ピン77は、貫通孔67の長手方向へ移動可能となっている。この長孔によって、ポテンショメータ73の検出アーム75が回転する軸線と、旋回リンク31が回転する軸線と、のズレを吸収することができる。
筒状部55は、旋回リンク31のうち第1部63の上面に固定される。筒状部55は、検出アーム75が回転する空間の外側を円状に360°にわたって取り囲むように配置されている。従って、旋回リンク31がどの回転位相にあったとしても、貫通孔67及び連結ピン77の部分に泥等が周囲から侵入することを防止することができる。図6に示すように、筒状部55の内部空間のうち第1部63及び伝動プレート57と重なっていない部分は、下方向に開放されている。従って、筒状部55の内部に泥等が入った場合でも、容易に下方へ排出することができる。
図5においては図示が省略されているが、図4に示すように、前輪切れ角検出機構33にカバー体81が設けられている。カバー体81は、前輪切れ角検出機構33をその上方及び側方から覆っている。カバー体81は、板状部材から構成されている。
カバー体81は、第1被覆部83と、第1被覆部83に対して下方に位置する第2被覆部85と、を有する。第1被覆部83及び第2被覆部85は、それぞれ、下側を開放させる凹状に形成されている。第1被覆部83の下端部は、第2被覆部85の平面部と接している。第1被覆部83と第2被覆部85は、溶接等の適宜の手段によって互いに固定される。
第1被覆部83は、ポテンショメータ73に上方から被さるように配置されている。第2被覆部85は、ステー71に上方から被さるように配置されている。第2被覆部85は、ステー71に取り付けられている。
図8に示すように、第2被覆部85の内部空間は、ステー71の下方(ギアケース25の周囲の空間)に向かって開放されている。具体的に説明すると、第2被覆部85には、下側を開放させる開放部89が形成されている。前輪切れ角検出機構33の一部(例えば、ステー71)が、この開放部89を介して、当該第2被覆部85の下側の空間に対して露出している。これにより、カバー体81の内側に泥等が侵入した場合であっても、この泥等をカバー体81の外側へ容易に排出することができる。
図3に示すステアリングシリンダ35は、前輪7の切れ角を変更するために用いられる。ステアリングシリンダ35は、ステアリングハンドル19の操作に応じて伸縮する。ステアリングシリンダ35は、その伸縮方向(長手方向)が左右方向に沿うようにフロントアクスルケース23の前方に配置されている。ステアリングシリンダ35の伸縮方向一端部は、フロントアクスルケース23に連結されている。ステアリングシリンダ35の伸縮方向他端部は、右側のギアボックス27に連結されている。右側のギアボックス27は、ナックルアーム91及びタイロッド93を用いて、左側のギアボックス27と連結されている。
次に、前輪7の切れ角が変更されるときのフロントアクスル機構21の動作について説明する。
ステアリングハンドル19の操作に応じて、ステアリングシリンダ35に対して作動油の供給/排出が行われ、ステアリングシリンダ35が伸縮する。
ステアリングシリンダ35が伸長する場合、右側のギアボックス27が、トラクタ1の右側を向くように、旋回軸線49を中心として旋回する。これに伴って、左側のギアボックス27が、トラクタ1の右側を向くように、旋回軸線49を中心として旋回する。その結果、ギアボックス27に前車軸29を介して支持された前輪7が旋回軸線49回りに旋回し、トラクタ1の右側への操舵が行われるように前輪7の切れ角が変更される。
ステアリングシリンダ35が収縮する場合、右側のギアボックス27が、トラクタ1の左側を向くように、旋回軸線49を中心として旋回する。これに伴って、左側のギアボックス27が、トラクタ1の左側を向くように、旋回軸線49を中心として旋回する。その結果、ギアボックス27に前車軸29を介して支持された前輪7が旋回軸線49回りに旋回し、トラクタ1の左側への操舵が行われるように前輪7の切れ角が変更される。
左側のギアボックス27の旋回時には、旋回リンク31が当該左側のギアボックス27と一体的に回転する。旋回リンク31の回転に応じて、筒状部55の伝動プレート57は、旋回軸線49を中心とする円上を移動する。伝動プレート57の移動と連動して、ポテンショメータ73の検出アーム75が回転する。ポテンショメータ73は、検出アーム75の回転角度に応じた電気信号をトラクタ1の制御装置に出力する。制御装置は、ポテンショメータ73の検出結果に基づいて、前輪7の切れ角を得ることができる。
本実施形態の旋回リンク31は、ギアケース25が備える軸状部43の周囲に配置されている。また、旋回リンク31は、その回転軸53が蓋部45の図略の穴に差し込まれている部分を除き、ギアケース25の外部に配置されている。更に、前輪切れ角検出機構33を構成するステー71及びポテンショメータ73の何れも、フロントアクスルケース23に対して外部のみ、ギアケース25に対して外部のみ、かつ、ギアボックス27に対して外部のみに配置される。
従って、切れ角検出機能がない既存のトラクタ1の構成を変更して本実施形態とする場合に、フロントアクスルケース23、ギアケース25、及びギアボックス27の内部の構成を殆ど変更する必要がない。言い換えれば、既存の構成に対して簡単な変更(例えば、蓋部45への支持穴の形成)を加えた後、旋回リンク31及び前輪切れ角検出機構33を付加すれば、切れ角検出機能を外付け的に実現することができる。
前輪切れ角検出機構33は前輪7の近傍に位置するため、泥等が掛かり易い。しかしながら、ポテンショメータ73に泥等が掛かることは、カバー体81の第1被覆部83によって防止される。旋回リンク31及び検出アーム75との連結部分に泥等が掛かることは、第2被覆部85及び筒状部55によって防止される。従って、耐久性を向上させることができる。
以上に説明したように、本実施形態のトラクタ1は、主ケースとしてのフロントアクスルケース23及びギアケース25と、旋回ケースとしてのギアボックス27と、を備える。フロントアクスルケース23は、機体フレーム3に連結されるとともに、ギアケース25と一体的に連結される。ギアボックス27は、ギアケース25に対して旋回可能に連結されるととともに、前輪7を回転可能に支持する。トラクタ1は、旋回リンク31と、前輪切れ角検出機構33と、を備える。旋回リンク31は、ギアケース25とギアボックス27とを連結し、ギアボックス27の旋回軸線49を中心として当該ギアボックス27と一体的に回転可能に構成される。前輪切れ角検出機構33は、フロントアクスルケース23及びギアケース25に対して外側に(外側のみに)、かつ、ギアボックス27に対して外側に(外側のみに)配置され、旋回リンク31の回転角度を検出する。
これにより、前輪7の切れ角を検出するための構成の簡素化を図りつつ、この構成をトラクタ1に容易に適用することができる。例えば、前輪切れ角検出機構33を、フロントアクスルケース23、ギアケース25、及びギアボックス27に対して、これらの外側から組み付けるだけで、前輪切れ角の検出機能を実現することができる。従って、既存のトラクタ1に対して後付けする場合に好適である。
また、本実施形態のトラクタ1において、前輪切れ角検出機構33は、ステー71と、ポテンショメータ73と、を備える。ステー71は、フロントアクスルケース23側に固定される。ポテンショメータ73は、旋回リンク31の回転角度に応じた信号を出力する。ポテンショメータ73は、ポテンショメータ本体74と、検出アーム75と、を備える。検出アーム75は、ポテンショメータ本体74に対して回転可能である。ポテンショメータ本体74は、ステー71に固定される。
これにより、簡単な構造で、前輪切れ角検出機構33をトラクタ1に適用することができる。
また、本実施形態のトラクタ1において、前輪切れ角検出機構33は、回転可能な検出アーム75を有するポテンショメータ73を備える。検出アーム75側に設けられた連結ピン77と、旋回リンク31側に設けられた貫通孔67と、により、検出アーム75と旋回リンク31とが連結される。
これにより、簡単な構造で、検出アーム75と旋回リンク31とを一体的に回転させることができる。
本実施形態のトラクタ1において、旋回リンク31には筒状部55が固定される。筒状部55は、検出アーム75と旋回リンク31とが連結される部分の周囲を覆う。筒状部55の内部空間の少なくとも一部は、下方へ開放されている。
これにより、検出アーム75と旋回リンク31とが連結される部分に泥等が周囲から入り込まないように、筒状部55によって保護することができる。仮に泥等が筒状部55の内部に入った場合でも、下方へ容易に落下させて排出することができる。
また、本実施形態のトラクタ1は、前輪切れ角検出機構33を当該前輪切れ角検出機構33の上方又は側方から覆うカバー体81を備える。
これにより、前輪切れ角検出機構33を泥等から保護することができる。
また、本実施形態のトラクタ1において、カバー体81は、前輪切れ角検出機構33の少なくとも一部を当該カバー体81の下側から外側に露出させる開放部89を有する。
これにより、カバー体81の内部に泥等が侵入した場合であっても、この泥等を、開放部89を通じて落下させて、外部へ容易に排出することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記の実施形態では、フロントアクスル機構21は、主ケースとしてフロントアクスルケース23及びギアケース25を備え、旋回ケースとしてギアボックス27を備える構成としている。しかし、フロントアクスル機構21の構成は、特に限定されない。
前輪切れ角検出機構33は、前輪7と一体的に回転しないようにフロントアクスルケース23及びギアケース25側、即ち主ケース側に固定されるものであれば良く、固定のための構成は特に限定されない。前輪切れ角検出機構33は、フロントアクスルケース23及びギアケース25の少なくとも一方に直接又は間接的に固定され得る。
前輪切れ角検出機構33において、ポテンショメータ73の検出アーム75は、旋回リンク31と連動して回転するように互いに連結されていれば良い。上記の実施形態の構成に代えて、連結ピンを旋回リンク31側(例えば伝動プレート57)に設け、貫通孔を検出アーム75側に設けても良い。
連結ピン77は、検出アーム75及び旋回リンク31の一方に直接又は間接的に設けられ得る。貫通孔67は、検出アーム75及び旋回リンク31の他方に直接又は間接的に設けられ得る。
検出アーム75と旋回リンク31とを連結するための構成は、連結ピン77と貫通孔67とを用いる構成に限定されない。例えば、貫通孔67の代わりに、筒状部55の径方向に細長く形成され、回転軸53に近い側が開放された溝を伝動プレート57に形成することができる。貫通孔67及び上記の溝の代わりに、伝動プレート57の厚み方向で貫通しない凹部を採用することもできる。
筒状部55を省略することができる。伝動プレート57を省略し、アーム部51が備える第1部63に貫通孔67を形成することもできる。
カバー体81として、第1被覆部83及び第2被覆部85が一体となった構成を採用することもできる。カバー体81を構成する第1被覆部83及び第2被覆部85のうち一方を省略することができる。カバー体81の全体を省略することもできる。
カバー体81は、前輪切れ角検出機構33の少なくとも上方及び側方の一方を覆うことができるものであれば良く、その構成は特に限定されない。例えば、カバー体81は、前輪切れ角検出機構33をその上方からだけ覆うものであっても良いし、前輪切れ角検出機構33をその側方からだけ設けられるものであっても良い。
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
1 トラクタ
3 機体フレーム
7 前輪
23 フロントアクスルケース(主ケース)
25 ギアケース(主ケース)
27 ギアボックス(旋回ケース)
31 旋回リンク
33 前輪切れ角検出機構
55 筒状部(中空カバー)
67 貫通孔(取付部)
71 ステー(支持部材)
73 ポテンショメータ(角度センサ)
74 ポテンショメータ本体(センサ本体)
75 検出アーム
77 連結ピン(ピン部)
81 カバー体
89 開放部

Claims (6)

  1. 機体フレームに連結される主ケースと、
    前記主ケースに対して旋回可能に連結されるととともに、前輪を回転可能に支持する旋回ケースと、
    を備えるトラクタにおいて、
    前記主ケースと前記旋回ケースとを連結し、前記旋回ケースの旋回軸線を中心として当該旋回ケースと一体的に回転可能に構成された旋回リンクと、
    前記主ケースに対して外側に、かつ、前記旋回ケースに対して外側に配置され、前記旋回リンクの回転角度を検出する前輪切れ角検出機構と、
    を備えることを特徴とするトラクタ。
  2. 請求項1に記載のトラクタであって、
    前記前輪切れ角検出機構は、
    前記主ケース側に固定された支持部材と、
    前記旋回リンクの回転角度に応じた信号を出力する角度センサと、
    を備え、
    前記角度センサは、
    センサ本体と、
    前記センサ本体に対して回転可能な検出アームと、
    を備え、
    前記センサ本体は、前記支持部材に固定されることを特徴とするトラクタ。
  3. 請求項1又は2に記載のトラクタであって、
    前記前輪切れ角検出機構は、回転可能な検出アームを有する角度センサを備え、
    前記検出アーム側及び前記旋回リンク側の一方に設けられたピン部と、前記検出アーム側及び前記旋回リンク側の他方に設けられた取付部と、により、前記検出アームと前記旋回リンクとが連結されることを特徴とするトラクタ。
  4. 請求項3に記載のトラクタであって、
    前記旋回リンクには中空カバーが固定され、
    前記中空カバーは、前記検出アームと前記旋回リンクとが連結される部分の周囲を覆い、
    前記中空カバーの内部空間の少なくとも一部は、下方へ開放されていることを特徴とするトラクタ。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載のトラクタであって、
    前記前輪切れ角検出機構を上方及び側方のうち少なくとも何れかから覆うカバー体を備えることを特徴とするトラクタ。
  6. 請求項5に記載のトラクタであって、
    前記カバー体は、前記前輪切れ角検出機構の少なくとも一部を当該カバー体の下側から外側に露出させる開放部を有することを特徴とするトラクタ。
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