JP2022066955A - 化粧シート、及び化粧板 - Google Patents

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恵里香 田淵
Erika Tabuchi
由美 中山
Yumi Nakayama
靖史 薮原
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【課題】高い輝度感と高い意匠性の両方を備えた化粧シート、及び化粧板を提供する。【解決手段】化粧シート10は、基材シート1の一方の面側に、プライマー層2と、そのプライマー層2の上側にインクジェットインキを用いて形成されたシルバー絵柄印刷層(インクジェット印刷層)3とを少なくとも備える。上記インクジェットインキは、銀ナノ粒子を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シート、及び化粧板に係り、特に、住宅等の建築物における壁材、天井材、床材、造作材等の内装材や建具、家具什器類、住設機器や家電製品の外装、自動車等の車両内装等に使用するための光輝性印刷層を有する化粧シート、化粧板に好適な技術に関する。
従来から、照明光を反射して光輝性を呈する特殊な意匠効果を得る目的で、光輝性顔料を適当なバインダー樹脂中に練り込んでなる光輝性インキを使用して、光輝性を有する絵柄等を基材上に印刷してなる光輝性印刷物が、各種の用途に広く使用されている(例えば、特許文献1、2)。また、光輝性顔料は、一般に、鱗片状アルミニウム粉末(アルミフレーク)等の金属粉や、二酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料(パール顔料)等からなる。
例えば、建材や家具、家電製品の筐体等の表面装飾において、天然木に特有の照り感や深み感、木肌感等を印刷技術によって再現する目的で、木目の絵柄に光輝性層を付加した化粧シートや化粧板が使用されている。また、木目柄以外にも、石目柄、抽象柄等に例えば絹目調やパール調、メタリック調等、光輝性のある意匠感を表現した、各種の光輝性化粧シート及び化粧板(以下、単に「化粧シート」と称する)が広い分野で使用されている。
ところで、光輝性顔料としては、粒径が数μm程度から100μm以上に及ぶ各種のものが市販されている。印刷技法を使用する光輝性化粧シートには、この光輝性顔料を練り込んだシルバーインキなどのメタリックインキ(粉の形状によってミラーインキ、リゲルインキ、ホログラムインキ、ステラインキと呼ばれることもある)や、パールインキの印刷適性上の制約のために、通常平均粒径が概ね30μm以下の光輝性顔料が使用されている。
一方で、現在インクジェット印刷はさまざまな分野で、さまざまな用途に実用化がなされており、身近な存在となっている。例えば、一般家庭においても、インクジェット印刷は、パソコンの出力装置にあるいは年賀状や写真のプリンターに使用されることが多く、また産業用においてもバーコードプリンター、あるいは看板、POP、広告媒体など商業印刷物への利用例も多い。
インクジェット印刷の利点として、プリンターが比較的安価で且つ高画質が得られる点が第一にある。また、印刷といっても印刷用の版を必要とせず、パソコンや専用の機器からのデータによって目的の印刷物を得ることができる。これは単に印刷用の版の価格が節約できるということにとどまらず、印刷までに要する時間を短縮し、校正刷りといわれる試作、試し刷りを簡略なものにできるなどの利点が多い。
一方、従来の化粧シートでは、グラビア印刷によって模様が印刷されていた。グラビア印刷によれば、高速度で大量の印刷を行えるという利点がある。しかしながら、グラビア印刷は、少量の印刷しか行わない場合には経済的ではなく、また、模様が複雑である場合には印刷品質の点で適さない場合がある。これに対し、特許文献3に記載の技術では、化粧シートの印刷に、インクジェット印刷を用いることが提案されている。この際、例えば、化粧シートの意匠性を向上するために、インクジェットインキに光輝性顔料を混ぜて、インクジェット印刷層に光輝性を付与することが考えられる。
しかしながら、特許文献4、5に記載されているように、インクジェット印刷の問題点として、微小な液滴の吐出にはノズル内径を10μmオーダーまで小さくする必要がある。一方で光輝性顔料は粒径が大きいものが多いため、光輝性顔料を分散したインキを用いた場合、ノズル内での目詰まりの問題が生じ、安定したインクの吐出が難しい場合がある。
一方で、分散性が高く、インクジェット印刷に適したインキとして、金属ナノ粒子を用いたインキが期待されるが、印刷基材の表面が粗いと金属ナノ粒子の配列が乱れやすく、粒子で覆われる表面積が小さくなるばかりか、粒子の散乱光が互いに打ち消しあうため、十分な光輝性が発現しない場合がある。
以上の理由から、光輝性顔料を混ぜたインクジェットインキで印刷を行うことは一般に難しく、特許文献1、2のように光輝性層は塗工法によりベタ膜で利用するか、グラビア印刷等の別手法で印刷するしかなく、意匠性が低く印刷工程も複雑なものが多い、という問題があった。つまり、従来の化粧シートには、高い輝度感と高い意匠性の両方を備えたものが少ないという問題があった。
特許第4725226号公報 特許第6107180号公報 特開2001―71447号公報 特開2004-299378号公報 特許第4834981号公報
T. Togashi, S. Ojima, I. Sato, K. Kanaizuka, and M. Kurihara, Chem. Lett., 2016, 45, 646-648
本発明は、上記のような問題、状況を鑑みて発案されたものであり、その目的とするところは、高い輝度感と高い意匠性の両方を備えた化粧シート、及び化粧板を提供することにある。
発明者は、平滑なプライマー層を設け、その上側に、銀ナノ粒子を含んだインクジェット印刷層を併せて設ける構成とすることで、インクジェット印刷法で印刷でき、高い輝度感を有する化粧シート及び化粧板を提供することができるとの知見を得た。
課題解決のために、本発明の一態様に係る化粧シートは、基材シートの一方の面側に、プライマー層と、そのプライマー層の上側にインクジェットインキを用いて形成されたインクジェット印刷層とを少なくとも備え、上記インクジェットインキは、銀ナノ粒子を含む。
また、本発明の一態様に係る化粧板は、上述した化粧シートと、上記化粧シートの上記基材シート他方の面側に配置された基板と、を備えている。
本発明の態様によれば、高い輝度感と高い意匠性の両方を備えた化粧シート、及び化粧板を得ることができる。具体的には、本発明の態様によれば、平滑なプライマー層の上側に、銀ナノ粒子を含んだインクジェットインキを用いて絵柄印刷層を印刷するため、インクジェット印刷法でも、高い輝度感を有する化粧シート及び化粧板が得られる。
本発明の第1実施形態に係る化粧シートの構成を例示する模式断面図である。 本発明の第2実施形態に係る化粧シートの構成を例示する模式断面図である。 本発明の第3実施形態に係る化粧シートの構成を例示する模式断面図である。 本発明の第4実施形態に係る化粧シートの構成を例示する模式断面図である。 本発明の第1実施形態に係る化粧シートを備えた化粧板の構成を例示する模式断面図である。 本発明の実施例1で得られた銀ナノ粒子のトルエン分散液を基板に塗布し乾燥させた後、観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 本発明の実施例1で得られた銀ナノ粒子の粒度分布及び累積度数(%)を示す図である。 本発明の実施例1で塗工したプライマー層の表面を観察したレーザー顕微鏡像を示す図である。 本発明の実施例2で得られた銀ナノ粒子のn-ブタノール分散液を基板に塗布し乾燥させた後、観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 本発明の実施例3で得られた銀ナノ粒子のn-ブタノール分散液を基板に塗布し乾燥させた後、観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 本発明の実施例4で得られた銀ナノ粒子のn-ブタノール分散液を基板に塗布し乾燥させた後、観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 本発明の実施例5で得られた銀ナノ粒子のn-ブタノール分散液を基板に塗布し乾燥させた後、観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 本発明の実施例6で得られた銀ナノ粒子の水分散液を基板に塗布し乾燥させた後、観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 本発明の実施例7で得られた銀ナノ粒子の水分散液を基板に塗布し乾燥させた後、観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 本発明の比較例4で得られた銀ナノ粒子の水分散液を基板に塗布し乾燥させた後、観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る化粧シート及び化粧板の各構成について、図面を用いて説明する。
同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付ける。各図面において、見易さのため構成要素の厚さや比率は誇張されていることがあり、構成要素の数も減らして図示していることがある。また、本発明は以下の実施形態そのままに限定されるものではなく、主旨を逸脱しない限りにおいて、適宜の組み合わせ、変形によって具体化できる。
本発明の実施形態に係る化粧シートは、いずれも、基材シートの上に、平滑なプライマー層と、インクジェットインキを用いて形成されたインクジェット印刷層を少なくとも備え、そのインクジェットインキは、銀ナノ粒子を含む、という共通した特徴を有している。なお、銀ナノ粒子を含めることで光輝性を付与した印刷層である光輝性層がインクジェット印刷法により作製したものであるかどうかは、ルーペ等で例えばその印刷層に表現された木目柄等の絵柄を拡大観察したときに、茶色等で印刷されているか、赤青黄黒の多色で印刷されているかどうかにより容易に判別できる。
従来、粒径の大きい光輝性顔料のインクジェットインキ化は難しく、吐出できる装置も存在するものの、限られたものとなっていた。また、輝度感の調節が難しく、求める意匠性での印刷は困難であった。一方、粒径の小さい金属ナノ粒子では、インクジェットインキ化は比較的容易であるが、輝度感が不十分な場合が多く、こちらも求める意匠性での印刷は難しい。
本願発明者は、平滑なプライマー層上に、銀ナノ粒子を含んだインクジェットインキ(以下、単に「銀ナノ粒子インキ」とも称する)を用いて光輝性層を印刷することで、銀ナノ粒子による反射が強まり、意匠性と光輝性の両方が高くなることを見出した。例えば建材特有の細線やグラデーション、アルミを用いたインキでは表現の難しい淡い光沢を特徴とするパール調の意匠などを印刷、再現可能である。
以下、本実施形態で用いた銀ナノ粒子インキの構成について詳しく説明する。
本実施形態で用いるプライマー層は、表面粗さSa(算術平均高さ)が1μm以下である平滑な表面であることが好ましい。表面粗さSaは、表面の平均面に対して、各点の高さのさの絶対値の平均を表しており、ISO25178表面性状(面粗さ測定)で定められている。なお、表面粗さが0.5μm以下だと、銀ナノ粒子により表面が密に覆われやすく、効率よく輝度感が発現するため、特に好ましい。また、表面粗さが1μmより大きいと、粒子で覆われるプライマー層の表面積が小さくなるうえ、粒子の散乱光が打ち消しあうため輝度感は発現しにくい。
なお、上記表面粗さSa(算術平均高さ)の下限値に特に限定はなく、表面粗さSaが0μmであってもよい。
本実施形態で用いるプライマー層の材料としては、平滑な表面が作製可能であれば問わない。プライマー層の材料としては、例えば、エステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン系アクリル樹脂(ウレタンアクリレート)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等を挙げることができるが、その他の層との密着・接着性が良いものが好ましい。
プライマー層には、目的とする用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。また、シリカ微粒子を混合することによる吸インク層や、色素の混合によるカラー層を兼ねても良い。
プライマー層の厚みは特に制限はなく、用いる材料や用途によって適宜変更してよい。ただし、プライマー層の下層の表面が粗い場合は、プライマー層の表面が平滑になるよう十分な厚みを設けるのが好ましい。
また、プライマー層の塗工方式は公知の塗工方式を採用すればよい。例えば、グラビア方式やインクジェット方式、スクリーン方式等の他、バーコート等でも塗工が可能である。
本実施形態で用いる銀ナノ粒子の表面は、アミン化合物を主成分として含む保護分子により覆われていることが好ましい。ここでいう「主成分」とは、銀ナノ粒子の表面を覆っている複数の保護分子のうち最も多い成分(分子)をいう。
本実施形態に係る銀ナノ粒子は、例えば、メジアン径(D50)が1nm以上250nm以下の範囲内であり、有機溶媒や水といった分散媒に分散可能である。なお、銀ナノ粒子のメジアン径(D50)が1nmより小さいと視認性(光輝性)が低下し、銀ナノ粒子のメジアン径(D50)が250nmより大きいと分散性が低下することがある。平均一次粒子径は、Nanotrac UPA-EX150粒度分布計(動的光散乱法、日機装社)を用い、0.1質量%分散液にて測定した粒度分布から求めた。
銀ナノ粒子の形状としての制限はないが、特には球状、平板状、多角形状等のいずれか、又は複数の形状のものを含むことが好ましい。平板状の銀ナノ粒子は表面積が大きく、粒子が少量であっても視認性(光輝性)がよいことが期待される。また、銀ナノ粒子の形状が球状であると、大きさが均一になりやすく、銀ナノ粒子が隙間なく並ぶことが期待できる。このため、球状の銀ナノ粒子も視認性(光輝性)がよいことが期待される。
銀ナノ粒子を構成する銀の原料としては、含銀化合物のうちで、加熱により容易に分解して金属銀を生成する銀化合物が好ましく使用される。
このような銀化合物としては、例えば、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、安息香酸、フタル酸などのカルボン酸と銀が化合したカルボン酸銀の他、塩化銀、硝酸銀、炭酸銀等がある。そして、それらの銀化合物の中でも、分解により容易に金属を生成し、かつ、銀以外の不純物を生じにくい観点からシュウ酸銀が好ましく用いられる。
シュウ酸銀は、銀含有率が高いとともに、加熱によりシュウ酸イオンが二酸化炭素として分解除去される。このために、還元剤を必要とせず熱分解により金属銀がそのまま得られ、不純物が残留しにくい点で有利といえる。
銀化合物を加熱分解する際は、アルコールや脂肪酸、高分子等を添加してもよい。これらの添加により、粒径の調整や、良分散媒の変化や、分散安定性の向上が期待される。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール等、脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸等、高分子としては、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等が挙げられる。
銀ナノ粒子の表面を保護するアミン化合物は、特に、その構造に制限はないが、銀原子への配位の容易さから、1級のアミノ基であるRNH2(Rは炭化水素基)を有することが好ましい。2級アミノ基も配位可能であるが、反応性は1級よりも低下する。
また、アミノ基を複数有するジアミン化合物でもよい。ジアミン化合物の場合は、1級アミノ基と3級アミノ基とを備えると、1級アミノ基が選択的に銀原子に配位し、嵩高い3級アミノ基は外側を向くことになるため、銀ナノ粒子の表面が保護されやすい。
アミンとしては、例えば、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、1,2-ジメチルプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、n-ノニルアミン、n-アミノデカン、n-アミノウンデカン、n-ヘキサデシルアミン、n-ヘプタデシルアミン、n-オクタデシルアミン、n-オレイルアミン、等を挙げることができる。
更にジアミンとしては、例えば、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、N,N-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、N,N-ジブチルアミノプロパン、N,N-ジイソブチル1,3-ジアミノプロパン、等が挙げられるが、この限りではない。また、複数の異なるアミンを同時に用いてもよい。
このように、本実施形態で用いる銀ナノ粒子は、例えば、シュウ酸銀とアミンを混合して熱分解することにより、シュウ酸銀アミン錯体を経て製造された銀ナノ粒子であってもよい。シュウ酸銀とアミンとを熱分解して銀ナノ粒子を製造する技術としては、例えば、特開2012-162767号公報や特許第5574761号公報に記載されたものが例示できる。上述の手法であれば、銀イオンを還元するための還元剤を混合する必要がなく、単純な手法で銀ナノ粒子を製造することが可能である。また、上述の手法で得られた銀ナノ粒子は、主にアミン分子のアミノ基が銀粒子表面に配位しており、分散媒中での分散性が高い。また、製造する際の条件によって粒子の大きさや分散性を変更可能なことから、これらを用いた銀ナノ粒子インキは、用いる銀ナノ粒子やその濃度によって光輝性を調節した意匠を表現可能である。
また、シュウ酸銀を熱分解させる際に、粒子の表面に配位する分子としてポリビニルピロリドンを用いて銀ナノ粒子を製造する方法もある(非特許文献1)。この手法で合成した銀ナノ粒子にはプレート状のものも含まれ、印刷時に高い輝度感が期待される。
塗液における銀ナノ粒子の添加量は、例えば、分散媒に対して1質量%以上50質量%以下の範囲内であることが好ましい。なお、金属光沢が強くなることから、銀ナノ粒子の添加量は、15質量%以上であることが特に好ましい。銀ナノ粒子の添加量が1質量%を下回ると印刷物としての視認性(光輝性)が低下し、50質量%を上回ると分散性が低下することがある。
本実施形態に係る銀ナノ粒子を分散溶媒として用いられる溶剤等に分散させる際、分散剤を用いてもよい。分散剤は、大きく分けてアニオン系、カチオン系、ノニオン系に分類でき、粒子表面の電位や分散媒に応じて適宜選択する。アニオン系は、硫酸エステル型、リン酸エステル型、カルボン酸型、スルホン酸型が代表的なもので主にエチレンオキサイド(EO)付加型の分子構造をとるものが多い。カチオン系は、第4級アンモニウム塩型でCl塩型、非Cl塩型、EO付加型に分類できる。ノニオン系は、アルキレンオキサイド付加型、カルカノールアミド型に大別できる。本実施形態に係る銀ナノ粒子の表面修飾はアミン錯体となっていることから、特に、アニオン系が好ましい。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル琥珀酸塩、等が好ましく、特にポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(塩)が好ましい。具体的には、フォスファノールRB-40、RD-510Y、RD720N、RL-210、RS-410(東邦化学工業)、NIKKOL DDP-8NV、DDP-2、DDP-4、DDP-6、DDP-8、DDP-10(日光ケミカルズ)、プライサーフ A212C、A215C、A208F、M208F、A208A、A208B、A210B、A219B、DB-01、AL、DBS(第一工業製薬)、等を挙げることができるがこの限りではない。
本実施形態に係る銀ナノ粒子インキは、上述した分散剤の他にも色素や消泡剤、レベリング剤、硬化剤、等の添加剤を有してもよい。
本実施形態に係る銀ナノ粒子インキが有する分散媒としては、例えば、水、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、シクロヘキサノン、テルピネオール等のテルペン類等の各成分を挙げることができる。分散媒は、狙いとする塗液の物性に合わせて上記成分を適宜混合して用いてよい。
塗液における上記成分の配合割合は特に限定するものではないが、インクジェット印刷法のようにノズル内での塗液の乾燥を防止する必要がある場合は、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1-ブタノール、シクロヘキサノン、テルピネオールのような沸点110℃以上の有機溶剤1種以上を、合計でインクジェット塗布用塗液(銀ナノ粒子インキ)中に1質量%以上含有していることがより好ましい。塗液中における上記成分の含有量が1質量%より少ないと、塗液の乾燥が起こりやすくなり、ノズルの目詰まりの原因となることがある。上記成分の含有量に上限はないが、多すぎると塗液の乾燥に必要な時間が延びることがある。
本実施形態に係る銀ナノ粒子インキを印刷した層(インクジェット印刷層)の色としては、銀由来のシルバー以外にも、銀ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴由来の青色、緑色、黄色、赤色、等の色が表現可能だが、これに限らない。銀ナノ粒子の大きさや形状、表面修飾、インキの濃度、基材上の粒子密度等が色に影響する。
以下、本発明の実施形態に係る化粧シートの具体的な構成例について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る化粧シート10の構成を例示する模式断面図である。
第1実施形態に係る化粧シート10では、基材シート1上に、プライマー層2が設けられ、プライマー層2の上に、銀ナノ粒子インキを用いたインクジェット印刷法によって、シルバー絵柄印刷層(光輝性絵柄印刷層)3が形成されている。銀ナノ粒子インキを用いて形成されたシルバー絵柄印刷層3は、同時に光輝性層K1となり、化粧シート10に輝度感を付与し、意匠性を高める機能を有する。
ここで、本実施形態に係る「シルバー絵柄印刷層3」の色はシルバー(銀色)に限定されるものではない。これは、上述のように、含まれる銀ナノ粒子の大きさや形状、表面修飾、インキの濃度、基材上の粒子密度等によって、その色が変わるためである。本実施形態では、後述する「カラー絵柄印刷層」と区別するために、銀ナノ粒子を含んで形成された光輝性絵柄印刷層を便宜的に「シルバー絵柄印刷層」と称する。
シルバー絵柄印刷層3は、シルバー絵柄印刷層3全体の質量に対して、銀ナノ粒子を90質量%以上含有していれば好ましく、95質量%以上含有していればより好ましく、98質量%以上含有していれば更に好ましい。銀ナノ粒子の含有率が90質量%以上であれば、シルバー絵柄印刷層3に効果的に輝度感を付与することができる。
シルバー絵柄印刷層3の厚さは、5nm以上500nm以下の範囲内であれば好ましく、10nm以上400nm以下の範囲内であればより好ましい。シルバー絵柄印刷層3の厚さが上記数値範囲内であれば、インクジェット印刷法によって印刷されてインクジェット印刷層に、効果的に光輝性を付与することができる。
なお、シルバー絵柄印刷層3は、図1に示すように、基材シート1の表面の少なくとも一部を覆うように形成されていてもよいし、基材シート1の表面全部を覆うように形成されていてもよい。
基材シート1の材料としては、柔軟性があり、熱可塑性で成形性がよく、印刷適性のある、いずれもシート状のポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、又はアクリル樹脂、ポリオレフィン系のポリプロピレン樹脂、あるいはポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂の他に、いずれもシート状の紙、鋼板、木材等が挙げられる。これらは、基材シート1の用途、仕様に応じ、適宜選択することができる。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る化粧シート20の構成を例示する模式断面図である。
第2実施形態に係る化粧シート20では、図1に示した第1実施形態に係る化粧シート10が備える銀ナノ粒子インキを用いて形成されたシルバー絵柄印刷層3と、図2に示した第2実施形態に係る化粧シート20が備える着色インキを用いて形成されたカラー絵柄印刷層3’とが、基材シート1の同一平面上(プライマー層2の上)に重ならないようにして形成されている。そのため、シルバー絵柄印刷層3だけが光輝性層K1となり、その部分のみが輝度感を示すような意匠性の高い化粧シート20が得られる。
なお、銀ナノ粒子インキを用いて形成されたシルバー絵柄印刷層3と、着色インキを用いて形成されたカラー絵柄印刷層3’との形成順序はどちらが先であってもよい。つまり、基材シート1の上に、銀ナノ粒子インキを用いたインクジェット印刷法によってシルバー絵柄印刷層3を形成した後に、着色インキを用いてカラー絵柄印刷層3’を形成してもよいし、着色インキを用いてカラー絵柄印刷層3’を形成した後に、銀ナノ粒子インキを用いたインクジェット印刷法によってシルバー絵柄印刷層3を形成してもよい。
なお、シルバー絵柄印刷層3(光輝性層K1)とカラー絵柄印刷層3’とは、図2に示すように、基材シート1の表面の一部が露出するように形成されていてもよいし、シルバー絵柄印刷層3(光輝性層K1)とカラー絵柄印刷層3’とで基材シート1の表面全部を覆うように形成されていてもよい。
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係る化粧シート30の構成を例示する模式断面図である。
第3実施形態に係る化粧シート30では、着色インキで形成されたパターンをカラー絵柄印刷層3’とし、その上にプライマー層2を塗工し、更にプライマー層2の上にインクジェット印刷法によって、銀ナノ粒子インキを用いたシルバー絵柄印刷層3(光輝性層K4)が形成されている。そのため、第3実施形態に係る化粧シート30は、光輝性層K4が任意の色で着色された輝部分を有するような意匠性の高い化粧シート30となる。なお、カラー絵柄印刷層3’は、図3に示すように、基材シート1の表面の一部のみを覆うように形成されていてもよいし、基材シート1の表面全部を覆うように形成されていてもよい。
なお、シルバー絵柄印刷層3(光輝性層K4)も、図3に示すように、プライマー層2の表面の一部のみを覆うように形成されていてもよいし、プライマー層2の表面全部を覆うように形成されていてもよい。
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態に係る化粧シート40の構成を例示する模式断面図である。
第4実施形態に係る化粧シート40では、図1示した第1実施形態に係る化粧シート10の表面を表面保護層4が被覆している。つまり、化粧シート40は、シルバー絵柄印刷層3よりも上層を構成する最表層として、表面保護層4を備えた化粧シートである。
表面保護層4の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、又はこれらの樹脂の混合物を含むものを用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂等を用いることができる。また、熱硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタン結合を有する熱硬化型樹脂を用いることができる。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型樹脂を用いることができる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂を使用できる。これらの材料を用いることで、表面保護層4の硬度を向上でき、耐摩耗性や、耐擦傷性、耐溶剤性等の表面物性を向上することができる。
また、表面保護層4には、各種機能を付与するために、抗菌剤、防カビ剤等の機能性添加剤を添加してもよい。また、必要に応じて、表面保護層4に紫外線吸収剤や光安定化剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系を用いることができる。また、光安定化剤としては、例えば、ヒンダードアミン系を用いることができる。更に、汚染防止性能やセロテープ(登録商標)離型性が求められる場合には、シリコーン骨格を持つ離型剤を添加することができる。この場合、離型剤の種類は特に限定されないが、樹脂組成物に対して反応性を有する末端官能基を持つシリコーン離型剤を用いることで、汚染防止性能やセロテープ(登録商標)離型性の耐久性を向上することができる。表面保護層4は、塗液を乾燥、硬化して塗膜にしてもよいし、予めシート化したものを貼り合わせてもよい。
第4実施形態に係る化粧シート40は、図1に示した第1実施形態に係る化粧シート10の表面を表面保護層4が被覆しているが、同様に、図2~図3にそれぞれ示した第2実施形態の化粧シート20~第3実施形態の化粧シート30の各表面を、上記の表面保護層4で被覆した形態であってもよい。
表面保護層4の厚さは、シルバー絵柄印刷層3(光輝性層K1)の全体を覆うことができれば特に制限されてないが、1μm以上100μm以下の範囲内であれば好ましく、10μm以上80μm以下の範囲内であればより好ましい。表面保護層4の厚さが上記数値範囲内であれば、シルバー絵柄印刷層3を効果的に保護することができ、且つ化粧シート50の柔軟性を維持することができる。
図5は、本発明の第1実施形態に係る化粧シート10を備えた化粧板50の構成を例示する模式断面図である。
図5に示すように、本実施形態に係る化粧板50は、基板6の一面上に、図4に示した化粧シート40を積層した積層構造になっている。そして、基板6と化粧シート40との間には接着層5が設けられており、接着層5により基板6と化粧シート40とが接着されている。
基板6としては、例えば、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、ハードボードなどの木質板や金属板を用いることができる。また、接着層5としては、例えば熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂などを用いることができる。
図5に示した化粧板50は、基板6の一面上に、図4に示した化粧シート40を積層した積層構造となっているが、同様に、図2~図3にそれぞれ示した第2実施形態の化粧シート20から第3実施形態の化粧シート30の各表面を表面保護層4が被覆した化粧シートを積層した積層構造であってもよい。
次に、本実施形態に係る化粧シートについての実施例を説明する。
以下に示す材料構成及び工程によって、第2実施形態又は第3実施形態に係る化粧シート20を例にして説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
〔プライマー塗液の調製〕
ソルバインM(日信化学工業社)5gをMEK3gに溶解させ、プライマー塗液とした。
〔シュウ酸銀の合成〕
シュウ酸二水和物(関東化学社)9.92gに蒸留水60mLを加え加温しながら溶解させ、110℃のオイルバス中で撹拌しながら、硝酸銀(関東化学社)26.7gに20mLの蒸留水を加え加温しながら溶解させたものを加え、1時間加熱撹拌を続けた。析出したシュウ酸銀を自然ろ過で回収し、更に熱水200mL、メタノール(関東化学社)50mLでろ過洗浄した後、遮光デシケーター内で減圧しながら室温乾燥した。こうして得たシュウ酸銀の収量は、21.6g(収率90.4%)であった。
〔銀ナノ粒子の合成〕
N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業社)3.26gにオレイン酸(関東化学社)0.13gを加えたところに、上述の工程で得たシュウ酸銀1.90gを加え、110℃のオイルバスで加熱撹拌した。1分以内で二酸化炭素の発泡が起こり、数分後に褐色の懸濁液に変化した。5分間加熱後、冷却したところにメタノール30mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると青色固形物である銀ナノ粒子1.48g(銀基準収率97.0%)を得た。
得られた銀ナノ粒子を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社、SEM S-4800)を用いてS-TEMモード(加速電圧30kV)で観察したところ、粒子径が5~20nm程度の球状粒子が観察された。その結果を図6に示す。より詳しくは、図6は、実施例1で得た銀ナノ粒子のトルエン分散液を基板(銅メッシュ・マイクログリッド)に垂らし乾燥させた後に観察した銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像である。
次に、得られた銀ナノ粒子がトルエンに分散したことから、トルエン分散液の動的光散乱粒度測定(日機装社、Nanotrac UPA-EX150)を行った。その結果、銀ナノ粒子は平均粒子径15nmで良好に分散していることが分かった。その結果を図7に示す。また、図7に示した実線は、累積度数(%)を示している。
〔インキの調製〕
上述の工程で得た銀ナノ粒子0.20gをトルエン(関東化学社)1.8gとテルピネオール(異性体混合物、富士フイルム和光純薬社)0.2gに添加し、撹拌して分散液とした。この場合、分散溶媒2.0gに対して銀ナノ粒子0.2gのため、銀ナノ粒子の質量%は10%となる。分散液をシリンジフィルター(Whatman社、25mmGD/Xシリンジフィルター(GF/B 1.0μm))に通し、インクジェット印刷用の銀ナノ粒子インキとした。
〔化粧シート20の作製〕
基材シート1としては、PVCフィルム(リケンテクノス社製FZ)を用いた。次に、プライマー層2としてプライマー塗液をワイヤーバー#7にて塗工し、40℃に加熱したオーブンで1分間加熱、溶剤を除去した。プライマー層の表面粗さを測定したところ、Sa0.463μmであった。なお、表面粗さの測定は3D測定レーザー顕微鏡(オリンパス社、LEXT OLS4000)を用い測定した。作製したプライマー層2の表面を撮影した画像を図8に示す。
続いて、カラー絵柄印刷層3’として、光輝性顔料を含まないインクジェットインキ(イエロー、マゼンダ、シアン)を用い、インクジェット印刷機で解像度305dpi、610dpiの木目画像をそれぞれ印刷した。更に、光輝性絵柄印刷層3として、上記の銀ナノ粒子インキを用いてインクジェット印刷機で中間色の木目柄を印刷した。更に、表面保護層4として、PVCフィルムを熱ラミネートで貼り合わせた。こうして、実施例1の化粧シートを作製した。
<実施例2>
銀ナノ粒子の合成において、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業社)3.26gの代わりにn-ヘキシルアミン(東京化成工業社)1.43gとN,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業社)1.21gを混合したものを使用した以外は実施例1と同様に操作して銀ナノ粒子を得た。得られた銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を図9に示した。得られた銀ナノ粒子を、トルエンとテルピネオールの代わりに、n-ブタノール(関東化学社)を分散媒とし、分散剤としてプライサーフA208F(第一工業製薬社)を分散剤として用いた以外は実施例1と同様に操作し、実施例2の化粧シートを作製した。
<実施例3>
銀ナノ粒子の合成を以下のように変更した。N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業社)6.51g、オレイン酸(関東化学社)0.25g、n-ブタノール(関東化学社)9.60gを加えたところに、シュウ酸銀1.92gを加え、95℃のオイルバスで加熱撹拌した。加熱後、数分後に色が変わり始め、18分で二酸化炭素の発泡が起こり褐色の懸濁液に変化した。5分間加熱後、冷却したところにメタノール30mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると青色固形物である銀ナノ粒子1.29g(銀基準収率95.0%)を得た。得られた銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を図10に示した。得られた銀ナノ粒子を用いて実施例2と同様に作製し、実施例3の化粧シートを作製した。
<実施例4>
銀ナノ粒子の合成において、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業社)6.51gの代わりにn-ヘキシルアミン(東京化成工業社)1.47gとN,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業社)1.24gを混合したものを使用した以外は実施例3と同様に操作して銀ナノ粒子を得た。得られた銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を図11に示した。得られた銀ナノ粒子を用いて実施例2と同様に作製し、実施例4の化粧シートを作製した。
<実施例5>
銀ナノ粒子の合成において、n-ブタノール(関東化学社)の代わりにn-ヘキサノール(関東化学社)を使用した以外は実施例3と同様に操作して銀ナノ粒子を得た。得られた銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を図12に示した。得られた銀ナノ粒子を用いて実施例2と同様に作製し、実施例5の化粧シートを作製した。
<実施例6>
銀ナノ粒子の合成を以下のように変更した。ゼラチン(関東化学社)0.32gとN,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業社)2.56gを蒸留水8.00gに溶解させたところにシュウ酸銀0.96gを加え、100℃のオイルバスで3時間加熱撹拌した。反応液をさましたところで、蒸留水50mLで希釈し、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると銀ナノ粒子0.61g(銀基準収率90.0%)を得た。得られた銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を図13に示した。得られた銀ナノ粒子を、水を分散媒とし、分散剤としてプライサーフAL(第一工業製薬社)を分散剤として用いた以外は実施例1と同様に作製し、実施例6の化粧シートを作製した。
<実施例7>
銀ナノ粒子の合成を以下のように変更し、表面をポリビニルピロリドンで修飾した銀ナノ粒子を作製した。水4.0gにポリビニルピロリドンK30(和光富士フイルム)2.4gを添加し水溶液を調製した分散媒に、シュウ酸銀0.48gを加え、80℃のオイルバスで加熱攪拌した。その加熱攪拌を5時間実施することで灰色に変化した分散液を得た。その分散液について、放熱したところに水40mLを加え、遠心分離(ベックマン・コールター社製、AvantiHP-26XP、15、000rpm30分間)により分離することで、灰色固形物0.35gを得た。得られた銀ナノ粒子の走査型電子顕微鏡像を図14に示した。得られた銀ナノ粒子を、水を分散媒とし、分散剤としてプライサーフAL(第一工業製薬社)を分散剤として用いた以外は実施例1と同様に作製し、実施例7の化粧シートを作製した。
<実施例8>
銀ナノ粒子として、大阪ソーダ社製の銀ナノ粒子を用い、シクロヘキサノンを分散媒とし、分散剤としてプライサーフAL(第一工業製薬社)を分散剤として用いた以外は実施例1と同様に作製し、実施例8の化粧シートを作製した。
大阪ソーダ社製の銀ナノ粒子のD50を測定したところ、265nmであった。
<実施例9>
実施例1と同様の材料を用い、カラー絵柄印刷層3’を印刷した後に、プライマー層2を塗工、その上から光輝性絵柄印刷層3印刷し、表面保護層4を塗工することで図3に示した第3実施形態に係る化粧シート30を、実施例9として作製した。
<比較例1>
光輝性絵柄印刷層として、光輝性顔料を含むグラビアインキ(東洋インキ社製ラミスター(登録商標))を用いて木目柄をグラビア印刷機で印刷した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の化粧シートを作製した。
<比較例2>
絵柄印刷層として、光輝性顔料を含まないUVインキ(コニカミノルタ社製)を用いて木目柄をインクジェット印刷機で印刷した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の化粧シートを作製した。
<比較例3>
絵柄印刷層として、銀ナノ粒子を含まないUVシルバーインキ(ミマキエンジニアリング社製)を用いて木目柄をインクジェット印刷機で印刷した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の化粧シートを作製した。
<比較例4>
プライマー層2を塗工しない以外は実施例1と同様にして、比較例4の化粧シートを作製した。プライマー層の表面粗さSaは1.367μmであった。表面を撮影した画像を図15に示す。
[評価方法]
以上作製した各実施例及び各比較例の化粧シートについて、輝度感及び意匠性について評価を行った。
・輝度感
輝度感は、化粧シートの表面に対する、人の目による官能試験によって実行した。
評価の判定基準は、次の通りである。
輝度感は、被験者100人のうちの50人以上が同一の判定結果に基づき評価した。
すなわち、50人以上が、木目の輝きとして自然であり、天然木の自然な光沢が再現できていると評価したものを「○」と判定した。
また、50人以上が、木目として不自然なほど輝きが強すぎるために、天然木の自然な光沢が再現できていないと評価したものや、木目として輝きが弱すぎるために、天然木の自然な光沢が再現できていないと評価したものを「×」と判定した。
なお、インキによって色味は異なるため、色は考慮せず、輝きのみを評価した。
・意匠性
意匠性は、化粧シートの表面に対する、人の目による官能試験によって実行した。
評価の判定基準は、次の通りである。
意匠性は、被験者100人のうちの50人以上が同一の判定結果に基づき評価した。
すなわち、50人以上が、木目柄の細線(数μm幅)の輪郭がぼやけずにきちんと再現できていると感じたものを「○」と判定した。
また、50人以上が、木目柄の細線(数μm幅)の輪郭がぼやけて再現できていないと感じたものを「×」と判定し、部分的に印刷ムラがあるものを「△」と判定した。
なお、木目柄の細線の輪郭の確認には、拡大率100倍の顕微鏡を用いた。
[評価結果]
実施例1~9、及び比較例1~4評価結果を表1に示す。
Figure 2022066955000002
表1から分かるように、本発明の条件を満たす実施例1~6、9の化粧シートでは、輝度感と意匠性の両方が良好であった。実施例7、8では輝度感は十分であったものの、印刷の一部にムラがみられた。
一方、グラビア印刷機を用いた比較例1では細線がぼやけ、意匠性が不足していた。また、光輝性顔料を含まないUVインキをインクジェット印刷した比較例2では輝度感が不足する結果となった。また、銀ナノ粒子を含まないUVシルバーインキをインクジェット印刷した比較例3では輝度感が過剰な結果となった。プライマー層を設けなかった比較例4では、解像度を上げれば輝度感も向上したが、プライマー層を設けた場合に比べると輝度感が発現しにくい結果となった。
1 基材シート
2 プライマー層
3 シルバー絵柄印刷層(光輝性絵柄印刷層)
3’ カラー絵柄印刷層
4 表面保護層
5 接着層
6 基板
10、20,30,40 化粧シート
50 化粧板
K1,K2,K3 光輝性層

Claims (8)

  1. 基材シートの一方の面側に、プライマー層と、そのプライマー層の上側にインクジェットインキを用いて形成されたインクジェット印刷層とを少なくとも備え、
    上記インクジェットインキは、銀ナノ粒子を含むことを特徴とする化粧シート。
  2. 上記プライマー層の表面は、表面粗さSa(算術平均高さ)が1μm以下の平滑さを有することを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 上記銀ナノ粒子は、アミン化合物を主として含む保護分子により表面が保護された銀ナノ粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧シート。
  4. 上記銀ナノ粒子のメジアン径(D50)は、1nm以上250nm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 上記インクジェット印刷層は、上記銀ナノ粒子を含む光輝性絵柄印刷層を構成することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の化粧シート。
  6. 上記基材シートの一方の面側に、着色インキを用いて形成されたカラー絵柄印刷層を更に備えることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の化粧シート。
  7. 上記インクジェット印刷層よりも上層に、表面保護層を備えることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の化粧シート。
  8. 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の化粧シートと、上記化粧シートの上記基材シートの他方の面側に配置された基板と、を備えることを特徴とする化粧板。
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