JP7183905B2 - 水圧転写フィルム、水圧転写フィルムの製造方法、及び加飾成形品の製造方法 - Google Patents

水圧転写フィルム、水圧転写フィルムの製造方法、及び加飾成形品の製造方法 Download PDF

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本発明は、水圧転写フィルム、水圧転写フィルムの製造方法、及び加飾成形品の製造方法に関する。
従来、水圧転写フィルムは、絵柄を印刷するための版を作製し、輪転印刷機を用いてグラビア印刷等により絵柄を形成していた。しかし、この手法では、顧客に対する初期提案時などの小ロットの場合でも版を作製する必要があり、大ロットの場合と同様のリードタイムが必要であるという問題があった。
上記問題を解決するために、インクジェット印刷で絵柄を形成する手段が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2003-145997号公報
特許文献1の手法では、汎用のインクジェット用顔料インキ及び汎用のインクジェットプリンタを用いることにより、初期提案時において迅速にサンプルを作製することができる。
一方、意匠性を高めるために、水圧転写フィルムはメタリック感を表現することが求められる場合がある。メタリック感を表現するためには、光輝性インキを用いて絵柄を形成する必要があるが、光輝性インキと汎用のインクジェットプリンタ用の顔料インキとは、組成が大きく異なるため、汎用のインクジェットプリンタでは光輝性インキで印刷することができない(例えば、顔料の粒子径、溶剤の種類、溶剤の量が異なる。特に、顔料の粒子径の違いが大きく、汎用のインクジェットプリンタでは、光輝性インキの光輝性顔料は目詰まりしてしまう。)。したがって、光輝性インキはグラビア印刷等のインクジェット印刷以外の手段で印刷するのが一般的である。
本発明者らは、メタリック感を備えた水圧転写フィルムを迅速に作製するための手法として、水溶性フィルム上にインクジェットプリンタでインクジェットインキ層を形成した後、グラビア印刷等のインクジェット印刷以外の手段で光輝性インキ層をベタ印刷する手法を検討した。しかし、かかる手法では、所望の意匠を有する水圧転写フィルムを迅速に作製することは達成できるものの、作製した水圧転写フィルムを用いて水圧転写を行って得られた加飾成形品において、元の水圧転写フィルムの状態から意匠が大きく変化するという課題が生じた。
そして、本発明者らはさらに検討を重ねた結果、水圧転写時に用いる活性化剤によってインクジェットインキ層の顔料が流動しやすくなることが上記課題の要因であることを見出し、これを解決するに至った。
本発明は、以下の[1]~[11]を提供することを課題とする。
[1]水溶性フィルム上に転写層を有する水圧転写フィルムであって、前記転写層は、インクジェットインキ層及び光輝性インキ層を前記水溶性フィルム側からこの順に有してなるとともに、前記インクジェットインキ層と前記光輝性インキ層との間、又は、前記光輝性インキ層の前記インクジェットインキ層とは反対側に、透明樹脂層を有してなる、水圧転写フィルム。
[2]前記インクジェットインキ層に含まれる顔料の平均粒子径D1と、前記光輝性インキ層に含まれる光輝性顔料の平均粒子径D2とが、D1<D2の関係を満たす、上記[1]に記載の水圧転写フィルム。
[3]前記インクジェットインキ層に含まれる顔料の平均粒子径D1が0.03~1.00μmである、上記[1]又は[2]に記載の水圧転写フィルム。
[4]前記光輝性インキ層に含まれる光輝性顔料の平均粒子径D2が2.00~50.00μmである、上記[1]~[3]の何れかに記載の水圧転写フィルム。
[5]前記透明樹脂層の厚みが0.1~25.0μmである、上記[1]~[4]の何れかに記載の水圧転写フィルム。
[6]前記透明樹脂層が前記水圧転写フィルムの実質的全面に形成されてなる、上記[1]~[5]の何れかに記載の水圧転写フィルム。
[7]前記透明樹脂層が硝化綿を含む、上記[1]~[6]の何れかに記載の水圧転写フィルム。
[8]前記インクジェットインキ層の少なくとも一部が、線幅2.0mm以下の線から構成される形状の繰り返しパターンである、上記[1]~[7]の何れかに記載の水圧転写フィルム。
[9]前記光輝性インキ層が前記水圧転写フィルムの実質的全面に形成されてなる、上記[1]~[8]の何れかに記載の水圧転写フィルム。
[10]下記の工程a1~a3を含む、水圧転写フィルムの製造方法。
工程a1:水溶性フィルム上に受容層を有する積層体Aの受容層側の面に、インクジェット印刷して、インクジェットインキ層を形成する工程。
工程a2:インクジェットインキ層上に透明樹脂層を形成する、又は、インクジェットインキ層上にインクジェット印刷以外の印刷手段で光輝性インキ層を形成する工程。
工程a3:工程a2で透明樹脂層を形成した場合には、透明樹脂層上にインクジェット印刷以外の印刷手段で光輝性インキ層を形成し、工程a2で光輝性インキ層を形成した場合には、光輝性インキ層上に透明樹脂層を形成する工程。
[11]下記の工程b1~b4を含む、加飾成形品の製造方法。
工程b1:上記[1]~[9]の何れかに記載の水圧転写フィルムの水溶性フィルム側が水面側に向くように、水圧転写フィルムを水面に浮遊させる工程。
工程b2:水圧転写フィルムの転写層側に活性剤組成物を塗布する工程。
工程b3:工程b1及びb2を経た水圧転写フィルムの転写層側から被転写体を押圧し、水圧によって転写層を被転写体の被転写面に密着させる工程。
工程b4:転写層上に付着している水溶性フィルムを除去する脱膜工程。
本発明の水圧転写フィルムによれば、インクジェットインキ層及び光輝性インキ層を有する水圧転写フィルムを水圧転写する前後の意匠の変化を抑制することができる。また、本発明の水圧転写フィルムの製造方法によれば、前述した効果を有する水圧転写フィルムを簡易に製造することができる。また、本発明の加飾成形品の製造方法によれば、水圧転写の前後の意匠の変化を抑制した加飾成形品を簡易に製造することができる。
本発明の水圧転写フィルムの一実施形態を示す断面模式図である。 本発明の水圧転写フィルムの他の実施形態を示す断面模式図である。 実施例1~2及び比較例1の水圧転写フィルムを用いて製造された加飾成形品を転写層側から撮像した写真である。
[水圧転写フィルム]
本発明の水圧転写フィルムは、水溶性フィルム上に転写層を有してなり、前記転写層は、インクジェットインキ層及び光輝性インキ層を前記水溶性フィルム側からこの順に有してなるとともに、前記インクジェットインキ層と前記光輝性インキ層との間、又は、前記光輝性インキ層の前記インクジェットインキ層とは反対側に、透明樹脂層を有してなるものである。
図1及び図2は、本発明の水圧転写フィルムの実施形態を示す断面模式図である。図1及び図2の水圧転写フィルム100は、水溶性フィルム10上に転写層20を有し、転写層20は、インクジェットインキ層22及び光輝性インキ層24を水溶性フィルム10側からこの順に有している。なお、図1及び図2ともに、転写層20の水溶性フィルム側には受容層21を有している。
また、図1の水圧転写フィルムの転写層20は、インクジェットインキ層22と光輝性インキ層24との間に透明樹脂層23を有している。図2の水圧転写フィルムの転写層20は、光輝性インキ層24のインクジェットインキ層22とは反対側に、透明樹脂層23を有している。
<水溶性フィルム>
水溶性フィルムは、水溶性もしくは水膨潤性を有するものであれば特に限定されるものではなく、従来水圧転写フィルムとして一般に使用されているフィルムの中から、適宜選択して用いることができる。
水溶性フィルムを構成する樹脂としては、例えばポリビニルアルコール樹脂、デキストリン、ゼラチン、にかわ、カゼイン、セラック、アラビアゴム、澱粉、蛋白質、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-イタコン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びアルギン酸ナトリウム等の各種水溶性樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が混合されて用いられてもよい。なお、水溶性フィルムは、水溶性樹脂に対して、マンナン、キサンタンガム、グアーガム等のゴム成分が添加されていてもよい。
これらのうち、製膜安定性が良好であり、水に対する膨潤性及び溶解性が安定しており、かつ汎用性があるとの点から、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂フィルムが好ましい。なお、ポリビニルアルコール樹脂フィルムは、PVA以外に、澱粉やゴム等の添加剤を含有していてもよい。
ポリビニルアルコール樹脂フィルムは、ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度、及び澱粉やゴム等の添加剤の配合量等を変えることにより、基材フィルムに対して転写用の意匠層を形成する際に必要な機械的強度、取り扱い中の耐湿性、水面に浮かべてからの吸水による柔軟化の速度、水中での延展(伸展)又は拡散に要する時間、転写工程での変形のし易さ等を適宜調節することができる。
ポリビニルアルコール樹脂フィルムとして好適なものは、特開昭54-92406号公報に説明されているようなものであり、例えば、PVA樹脂80質量%、高分子水溶性樹脂15質量%、澱粉5質量%の混合組成からなり、平衡水分3%程度のものが好適である。
また、ポリビニルアルコール樹脂フィルムは水溶性ではあるが、水に溶解する前段階では水に膨潤して軟化しつつも、フィルムとして存続することが好ましい。フィルムとして存続している状態にあるときに水圧転写を行なうことにより、水圧転写時の転写用の意匠層の過度の流動、変形を防止することができるからである。
水溶性フィルムの厚みは、10~100μmが好ましく、20~60μmがより好ましく、30~50μmがさらに好ましい。
水溶性フィルムの厚みを10μm以上であると、膜の均一性が良好で、かつ生産安定性が高い。一方、水溶性フィルムの厚みが100μm以下であると、水に対する溶解性が適度であり、かつ印刷適性に優れる。
なお、上記の水溶性フィルムは、例えば紙、不織布、布等の水浸透性を有する基材(以下「水浸透性基材」という。)と積層して使用することもできるが、この場合には、当該積層シートを水面に浮かべる前に水浸透性基材を水溶性フィルムから分離させるか、又は水面に浮かべた後の水の作用によって水浸透性基材が水溶性フィルムから分離するように構成しておくことが好ましい。
<転写層>
転写層は、インクジェットインキ層及び光輝性インキ層を水溶性フィルム側からこの順に有する。さらに、転写層は、インクジェットインキ層と光輝性インキ層との間、又は、光輝性インキ層のインクジェットインキ層とは反対側に、透明樹脂層を有する。
転写層が透明樹脂層を上記の所定の位置に有さない場合には、水圧転写時に用いる活性化剤によりインクジェットインキ層の顔料が流動しやすくなり、水圧転写の前後で意匠が大きく変化してしまう。この理由は、インクジェットインキ層と光輝性インキ層との組成の違いにあると考えられ、特に、インクジェットインキ層に含まれる顔料の平均粒子径が、光輝性インキ層に含まれる光輝性顔料の平均粒子径に比べて小さいことにあると考えられる。すなわち、水溶性フィルムに活性化剤を塗布し、転写層の各層の樹脂等が溶解乃至膨潤して軟化した際に、粒子径の大きい光輝性インキ層に含まれる光輝性顔料は流動しにくい一方で、粒子径の小さいインクジェットインキ層の顔料は流動しやすくなり、インクジェットインキ層の顔料が流動することによって意匠が変化すると考えられる。また、水圧転写時に水圧転写フィルムにかかる圧力、及び、水圧転写フィルムへの活性化剤の付着量は、全面均一ではないことから、前述したインクジェットインキ層の顔料の流動性が場所によって異なることで、水圧転写前後の意匠の変化がより顕著に認識されると考えられる。なお、意匠の変化としては、濃度の変化、形状のゆがみ等が挙げられる。
図3(c)は、比較例1の水圧転写フィルム(転写層が透明樹脂層を上記の所定の位置に有さない水圧転写フィルム)を用いて製造された加飾成形品を転写層側から撮像した写真である。一方、図3(a)及び(b)は、実施例1~2の水圧転写フィルム(転写層が透明樹脂層を上記の所定の位置に有する水圧転写フィルム)を用いて製造された加飾成形品を転写層側から撮像した写真である。図3(a)及び(b)と、図3(c)とを比較すると、図3(c)は、図3(a)及び(b)に比べて柄の線の濃度が薄くぼやけている。このように、転写層が透明樹脂層を上記の所定の位置に有さない水圧転写フィルムは、水圧転写時にインクジェットインキ層の顔料が流動して、意匠が変化してしまう。
一方、本発明の水圧転写フィルムは、転写層として、インクジェットインキ層及び光輝性インキ層に加えて、透明樹脂層を上記の所定の位置に有するため、インクジェットインキ層に対する活性剤のアタックを弱めることができ、水圧転写の前後で意匠が変化することを抑制できると考えられる。
上述した効果を発揮しやすくする観点から、インクジェットインキ層に含まれる顔料の平均粒子径D1と、前記光輝性インキ層に含まれる光輝性顔料の平均粒子径D2とは、D1<D2の関係を満たすことが好ましい。
<<インクジェットインキ層>>
インクジェットインキ層は、主として顔料を含む。また、インクジェットインキ層は、顔料の定着向上のための塗膜要素(バインダー樹脂)を有していてもよい。
インクジェットインキ層は、例えば、受容層上に、インクジェットインキを汎用のインクジェットプリンタでインクジェット印刷することにより形成することができる。インクジェットインキの顔料は、受容層上に定着してインクジェットインキ層を形成する。インクジェットインキにバインダー樹脂が含まれる場合、バインダー樹脂の全部または一部は、顔料とともに受容層上に定着してインクジェットインキ層を形成する。
インクジェットインキ層の厚みは特に限定されず、所望する濃度に応じてパス数を増減することにより調整できる。通常、インクジェットインキ層の厚みは1~10μm程度である。
インクジェットインキ層は、図1及び図2のように水圧転写フィルムの全面に形成されていてもよいが、水圧転写フィルムの面内の一部に形成されていることが好ましい。
インクジェットインキ層が水圧転写フィルムの面内の一部に形成されていると、インクジェットインキ層を有さない箇所にインクジェットインキ層の顔料が流動した場合に、水圧転写前後の意匠の変化が目立ちやすくなるが、本発明の構成ではかかる場合でも意匠の変化を抑制できる点で好ましい。
特に、インクジェットインキ層の少なくとも一部が、線幅2mm以下の線から構成される形状の繰り返しパターンである場合には、インクジェットインキ層の顔料が流動した箇所の意匠の変化が極めて目立ちやすくなるが、本発明の構成ではかかる場合でも意匠の変化を抑制できる点で好ましい。
―顔料―
インクジェットインキ層の顔料としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青及びコバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー及びフタロシアニンブルー等の有機顔料が挙げられる。
インクジェットインキ層の顔料の平均粒子径D1は、0.03~1.00μmであることが好ましく、0.05~0.80μmであることがより好ましく、0.10~0.60μmであることがさらに好ましい。
D1を0.03μm以上とすることにより、インクジェットインキ層の発色性を良好にしやすくできる。また、D1を1.00μm以下とすることにより、汎用のインクジェットプリンタへの適用の可能性を高めることができる。
本明細書において、インクジェットインキ層の顔料の平均粒子径D1は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値d50として測定したものである。
―バインダー樹脂―
インクジェットインキ層のバインダー樹脂は特に限定されないが、活性化剤により溶解乃至膨潤して軟化する(活性化する)ものが好ましい。
活性化剤により溶解乃至膨潤して軟化する(活性化する)樹脂は、活性化剤の組成により異なるため一概にはいえないが、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂(例えばポリエステルウレタン樹脂)、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、アセタール樹脂(例えばブチラール樹脂)、硝化綿などが挙げられ、これらを単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、アルキッド樹脂及び硝化綿が好ましく、硝化綿がより好ましい。
<<光輝性インキ層>>
光輝性インキ層は、主として、光輝性顔料及びバインダー樹脂を含む。
光輝性インキ層は、例えば、インクジェットインキ層上又は透明樹脂層上に、光輝性顔料及びバインダー樹脂を含む光輝性インキ層インキを、インクジェット印刷以外の印刷手段で印刷することにより形成することができる。
光輝性インキ層は水圧転写フィルムの実質的全面に形成されてなることが好ましい。
なお、本明細書において、水圧転写フィルムの実質的全面とは、水圧転写フィルムを平面視した際の実質的全面を意味する。また、実質的全面とは、水圧転写フィルムを平面視した全面積の90%以上を意味し、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上である。
光輝性インキ層の厚みは、転写加工性(被転写体の形状への追従性)及び優れた光輝性のバランスから、0.5~5μmが好ましく、0.5~3μmがより好ましく、0.5~2μmがさらに好ましい。
―光輝性顔料―
光輝性顔料としては、パール顔料及び金属鱗片から選ばれる一種以上を含むことが好ましい。
パール顔料としては、例えば、白色パール顔料、干渉パール顔料、着色パール顔料等が挙げられる。
白色パール顔料は、雲母、アルミニウム、ガラス等の鱗片状の母体を、二酸化チタン等の無色高屈折率材料かなる被覆層で覆ったものであり、かつ被覆層の厚みが0.1~0.15μm程度と比較的小さいものであり、光のほぼすべての波長を反射するため、白色もしくは銀色に見える。
干渉パール顔料は、被覆層が二酸化チタン等の無色高屈折率材料であり、かつ被覆層の厚みが白色パール顔料よりも大きく、0.15μm超のものである。この厚みによって、反射光及び透過光が変化し、種々の干渉色を生じる。虹彩色パールと呼ばれる場合もある。
着色パール顔料は、有彩色であり、被覆層を酸化第二鉄等の有色高屈折率材料としたもの、白色パール顔料の周囲をさらに酸化第二鉄等の有色高屈折率材料もしくはその他の有色顔料で被覆したもの、又は、被覆層中に顔料やその他の着色剤を添加したもの等がある。
金属鱗片の材質としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属や合金が挙げられる。
金属鱗片は、例えば、前記金属又は合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、撹拌した得られたものや、前記金属又は合金の粉末と溶剤とを混合し、媒体撹拌ミル、ボールミル、アトライター等で、該粉末を展延及び/又は粉砕して得られたもの、さらに、これらの表面が樹脂コートされたもの等を用いることができる。
光輝性インキ層の光輝性顔料の平均粒子径D2は、2.00~50.00μmであることが好ましく、3.00~30.00μmであることがより好ましく、5.00~20.00μmであることがさらに好ましい。
D2を2.00μm以上とすることにより、金属光沢感を良好にしやすくできる。また、D2を50.00μm以下とすることにより、分散性を良好にしやすくできる。
本明細書において、光輝性インキ層の光輝性顔料の平均粒子径D2は、水圧転写フィルムの平面方向から光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察した任意の20個の光輝性顔料の長さの平均値として求められる。なお、1個の光輝性顔料の長さは、1個の光輝性顔料の平面方向の最大長さを意味する。
光輝性インキ層の光輝性顔料の平均厚みは、取り扱い性及び金属光沢性を高める観点から、0.01~2.00μmであることが好ましく、0.02~1.50μmであることがより好ましく、0.05~1.00μmであることがさらに好ましい。
光輝性顔料の平均厚みは、水圧転写フィルムの断面を光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察した任意の20個の光輝性顔料の厚みの平均値として求められる。なお、1個の光輝性顔料の厚みは、1個の光輝性顔料の断面像を長さ方向に均等な長さで5つの領域に分割し、各領域の中央部の厚み(t、t、t、t、t)を測定し、t~tを平均したものを意味する。
―バインダー樹脂―
光輝性インキ層のバインダー樹脂は特に限定されないが、活性化剤により溶解乃至膨潤して軟化する(活性化する)ものが好ましい。
光輝性インキ層のバインダー樹脂の具体例は、インクジェットインキ層のバインダー樹脂で例示したものと同様のものが挙げられ、アルキッド樹脂及び硝化綿が好ましく、硝化綿がより好ましく、アルキッド樹脂と硝化綿との混合がさらに好ましい。
<<透明樹脂層>>
透明樹脂層は、インクジェットインキ層と光輝性インキ層との間、又は、光輝性インキ層のインクジェットインキ層とは反対側に位置する。
透明樹脂層の位置は、上記2か所の何れでもよいが、インキジェットインキ層と光輝性インキ層とが混ざり合うことを抑制し、水圧転写前後の意匠の変化をより抑制する観点から、インクジェットインキ層と光輝性インキ層との間に透明樹脂層が位置することが好ましい。また、透明樹脂層の樹脂は比較的活性化されにくいものが好ましいことを考慮すると、被転写体への密着性への観点からも、インクジェットインキ層と光輝性インキ層との間に透明樹脂層が位置することが好ましい。なお、透明樹脂層は、上記2か所の両方に形成してもよい。
透明樹脂層の厚みは0.1~25.0μmであることが好ましく、0.5~15.0μmであることがより好ましく、1.0~10.0μmであることがさらに好ましい。
透明樹脂層の厚みを0.1μm以上とすることにより、水圧転写の前後で意匠が変化することを抑制しやすくできる。また、透明樹脂層の厚みを25.0μm以下とすることにより、転写加工性(被転写体の形状への追従性)を良好にしやすくできる。
透明樹脂層は2層以上から形成してもよい。2層以上から透明樹脂層を形成する場合、合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
透明性樹脂層は水圧転写フィルムの実質的全面に形成されてなることが好ましい。なお、水圧転写フィルムの実質的全面の意味、及びその好適な範囲は上述したとおりである。
透明樹脂層の樹脂は特に限定されないが、活性化剤により溶解乃至膨潤して軟化する(活性化する)ものが好ましい。
透明樹脂層の樹脂の具体例は、インクジェットインキ層のバインダー樹脂で例示したものと同様のものが挙げられ、アルキッド樹脂及び硝化綿が好ましく、硝化綿がより好ましい。
なお、透明樹脂層の樹脂は、インクジェットインキ層のバインダー樹脂よりも、活性化剤により溶解乃至膨潤して軟化しにくい(活性化しにくい)ものが好ましい。例えば、透明樹脂層の樹脂とインクジェットインキ層のバインダー樹脂とが同系統の樹脂の場合、透明樹脂層の樹脂として、インクジェットインキ層のバインダー樹脂よりも分子量が大きいものを選択することが好ましい。また、アクリルポリオール樹脂は、活性化剤により比較的活性化しにくいため、アクリルポリオール樹脂の単独、あるいは、アルキッド樹脂及び硝化綿等にアクリルポリオール樹脂を混合することも好ましい。
透明樹脂層は、染料及び顔料等の着色剤を実質的に含有しないことが好ましい。実質的に含有しないとは、透明樹脂層の全固形分100質量%に対して、着色剤の含有量が1質量%以下であることを意味し、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
<<受容層>>
転写層は、受容層を含むことが好ましい。転写層内において、受容層はインクジェットインキ層よりも水溶性フィルム側に位置する。
また、受容層は、転写層内において、最も水溶性フィルム側に位置することが好ましい。かかる構成とすることにより、水圧転写後の加飾成形品において、受容層を保護層として機能させることもできる。
受容層の厚みは0.1~25.0μmであることが好ましく、0.5~15.0μmであることがより好ましく、1.0~10.0μmであることがさらに好ましい。
受容層の厚みを0.1μm以上とすることにより、インクジェット印刷適性を良好にしやすくできるとともに、水圧転写後に受容層を保護層として機能させやすくできる。また、受容層の厚みを25.0μm以下とすることにより、転写加工性(被転写体の形状への追従性)を良好にしやすくできる。
受容層は水圧転写フィルムの実質的全面に形成されてなることが好ましい。なお、水圧転写フィルムの実質的全面の意味、及びその好適な範囲は上述したとおりである。
受容層の樹脂は特に限定されないが、活性化剤により溶解乃至膨潤して軟化する(活性化する)ものが好ましい。
受容層のバインダー樹脂の具体例は、インクジェットインキ層のバインダー樹脂で例示したものと同様のものが挙げられ、アルキッド樹脂及び硝化綿が好ましく、硝化綿がより好ましい。
なお、受容層の樹脂は、インクジェットインキ層のバインダー樹脂よりも、活性化剤により溶解乃至膨潤して軟化しにくい(活性化しにくい)ものが好ましい。例えば、受容層の樹脂とインクジェットインキ層のバインダー樹脂とが同系統の樹脂の場合、受容層の樹脂として、インクジェットインキ層のバインダー樹脂よりも分子量が大きいものを選択することが好ましい。また、アクリルポリオール樹脂は、活性化剤により比較的活性化しにくいため、アクリルポリオール樹脂の単独、あるいは、アルキッド樹脂及び硝化綿等にアクリルポリオール樹脂を混合することも好ましい。
<その他の層、添加剤>
水圧転写フィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で、マットインキ層、伸展抑制層層などのその他の層を有していてもよい。
また、水圧転写フィルムを構成する各層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
[水圧転写フィルムの製造方法]
本発明の水圧転写フィルムの製造方法は、下記の工程a1~a3を含むものである。
工程a1:水溶性フィルム上に受容層を有する積層体Aの受容層側の面に、インクジェット印刷して、インクジェットインキ層を形成する工程。
工程a2:インクジェットインキ層上に透明樹脂層を形成する、又は、インクジェットインキ層上にインクジェット印刷以外の印刷手段で光輝性インキ層を形成する工程。
工程a3:工程a2で透明樹脂層を形成した場合には、透明樹脂層上にインクジェット印刷以外の印刷手段で光輝性インキ層を形成し、工程a2で光輝性インキ層を形成した場合には、光輝性インキ層上に透明樹脂層を形成する工程。
<工程a1>
工程a1は、水溶性フィルム上に受容層を有する積層体Aの受容層側の面に、インクジェット印刷して、インクジェットインキ層を形成する工程である。
インクジェット印刷は汎用のインクジェットプリンタを用いればよい。また、インクジェット印刷に用いるインクジェットインキは、平均粒子径D1が0.03~1.00μmの顔料等を含むものが好ましい。D1は、0.05~0.80μmであることがより好ましく、0.10~0.60μmであることがさらに好ましい。
<工程a2>
工程a2は、インクジェットインキ層上に透明樹脂層を形成する、又は、インクジェットインキ層上にインクジェット印刷以外の印刷手段で光輝性インキ層を形成する工程である。
工程a2において、透明樹脂層は、例えば、透明樹脂層を構成する成分を溶解又は分散してなるインキ(透明樹脂層用インキ)を調製し、該インキを印刷、乾燥することにより形成することができる。透明樹脂層用インキの印刷手法は、例えばグラビア印刷が挙げられる。
工程a2において、透明樹脂層は、上述した本発明の水圧転写フィルムの透明樹脂層の実施形態を満たすように形成することが好ましい。例えば、透明樹脂層を水圧転写フィルムの実質的全面に形成することが好ましい。
工程a2において、光輝性インキ層は、例えば、光輝性インキ層を構成する成分を溶解又は分散してなるインキ(光輝性インキ層用インキ)を調製し、該インキを印刷、乾燥することにより形成することができる。光輝性インキ層用インキに含まれる光輝性顔料の平均粒子径D2は2.00~50.00μmであることが好ましく、3.00~30.00μmであることがより好ましく、5.00~20.00μmであることがさらに好ましい。
インクジェット印刷以外の印刷手段としては、グラビア印刷、オフセット印刷が挙げられる。
工程a2において、光輝性インキ層は、上述した本発明の水圧転写フィルムの光輝性インキ層の実施形態を満たすように形成することが好ましい。例えば、光輝性インキ層を水圧転写フィルムの実質的全面に形成することが好ましい。
<工程a3>
工程a3は、工程a2で透明樹脂層を形成した場合には、透明樹脂層上にインクジェット印刷以外の印刷手段で光輝性インキ層を形成し、工程a2で光輝性インキ層を形成した場合には、光輝性インキ層上に透明樹脂層を形成する工程である。
工程a3において、光輝性インキ層又は透明樹脂層を形成する手段は、工程a2の手段と同様である。
[加飾成形品の製造方法]
本発明の加飾成形品の製造方法は、下記の工程b1~b4を含むものである。
工程b1:上述した本発明の水圧転写フィルムの水溶性フィルム側が水面側に向くように、水圧転写フィルムを水面に浮遊させる工程。
工程b2:水圧転写フィルムの転写層側に活性剤組成物を塗布する工程。
工程b3:工程b1及びb2を経た水圧転写フィルムの転写層側から被転写体を押圧し、水圧によって転写層を被転写体の被転写面に密着させる工程。
工程b4:転写層上に付着している水溶性フィルムを除去する脱膜工程。
<工程b1>
工程b1は、上述した本発明の水圧転写フィルムの水溶性フィルム側が水面側に向くように、水圧転写フィルムを水面に浮遊させる工程である。
工程b1は、工程b2の前又は後に行うことができる。
水圧転写フィルムを水面に浮遊させるには、枚葉の印刷物を1枚ずつ浮遊させてもよく、また水を一方向に流し、その水面上に連続帯状の水圧転写フィルムを、連続的に供給して浮遊させてもよい。
<工程b2>
工程b2は、水圧転写フィルムの転写層側に活性剤組成物を塗布する工程である。
工程b2は、工程b1の前又は後に行うことができる。工程b2で活性剤組成物を塗布することにより、転写層の樹脂が溶解乃至膨潤して軟化し(活性化し)、被転写体と密着しやすくなる。
-活性剤組成物-
活性剤組成物は、転写層の樹脂を活性化して、被転写体の被転写面に転写させる機能を有する組成物であれば特に制限はなく、また、被転写体の被転写面に各層を転写させるまで揮発又は蒸発しないような性状を有することが好ましい。
このような活性剤組成物としては、例えばエステル類、アセチレングリコール類、エーテル類、及び樹脂を含む組成物が好ましく挙げられる。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸tert-ブチル、シュウ酸ジブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチルなどが好ましく挙げられる。
アセチレングリコール類としては、メトキシブチルアセテート、エトキシブチルアセテート、エチルカルビトールアセテート、プロピルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどが好ましく挙げられる。
エーテル類としては、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソアミルセロソルブなどが好ましく挙げられる。
また、樹脂としては、アクリレート系単量体の単独又は共重合体などの熱可塑性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フタル酸アルキド樹脂、フタル酸ジアリル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂などが好ましく挙げられ、なかでも熱硬化性樹脂が好ましい。
活性剤組成物の好ましい各組成の含有量は、エステル類では5~40質量%、アセチレングリコール類では40~80質量%、エーテル類では5~30質量%、及び樹脂では1~20質量%程度である。
活性剤組成物の塗布は、グラビア印刷やスプレーコート法などにより行えばよく、その塗布量は通常1~50g/mであり、好ましくは3~30g/mであり、さらに好ましくは10~20g/mである。
<工程b3>
工程b3は、工程b1及びb2を経た水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって転写層を被転写体の被転写面に密着させる工程である。
工程b1及びb3においては、水溶性フィルムの種類などに応じて水温を調整することが好ましい。水温は通常25~50℃程度であり、好ましくは25~35℃である。
また、水圧転写フィルムに被転写体を押圧する時間は、通常20~120秒程度であり、好ましくは30~60秒である。
-被転写体-
被転写体としては、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、繊維系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂、あるいはこれらを混合した樹脂のほか、鉄、アルミニウム、銅などの金属、陶磁器、ガラス、琺瑯などのセラミックス、木材などの材料からなる構造体が挙げられる。これらの中で、通常、樹脂製構造体が多用される。なお、樹脂製構造体の表面には、成型時に、離型剤及び脂分などが付着することがある。このため、水圧転写の前に、樹脂製構造体の表面を脱脂処理するなどして清浄化しておくことが好ましい。
なお、被転写体を構成する素材が活性化剤により活性化するものであれば、転写層と被転写体との密着性をさらに良好なものとすることができる点で好ましい。
被転写面の形状は、平面形状である二次元形状であってもよいし、凹凸形状や曲面形状などの三次元形状であってもよい。
<工程b4>
工程b4は、転写層上に付着している水溶性フィルムを除去する脱膜工程である。工程b4は工程b3の後に行われる。
被転写体に転写された転写層上に付着している水溶性フィルムの除去は、例えば、水を用いてシャワー洗浄することで行うことができる。シャワー洗浄の条件は、水溶性フィルムを形成する材料などにより異なるが、通常は水温15~60℃程度、洗浄時間10秒~5分程度である。
工程b4の後、被転写体を十分乾燥し水分を蒸発させれば、被転写体の被転写面に転写層が付与された樹脂成形品が得られる。
<工程b5>
工程b5は、樹脂成形品の転写層上に、必要に応じトップコート層を形成する工程である。
トップコート層を形成する材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂)などの各種樹脂が挙げられる。トップコート層は、例えば、トップコート層を構成する成分を溶解又は分散してなるトップコート層用インキを、スプレー塗装、静電塗装、刷毛塗り、浸漬塗装、など公知の塗装方法により塗装、乾燥し、必要に応じで電離放射線を照射することにより形成できる。
トップコート層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは1~25μmであり、より好ましくは1~10μmである。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
1.水圧転写フィルム及びそれを用いた加飾成形品の作製
[実施例1]
<水圧転写フィルムの作製>
水溶性フィルム(厚み40μmのPVAフィルム)上の全面に、硝化綿及びアルキッド樹脂を溶剤で希釈してなる受容層用インキ(硝化綿とアルキッド樹脂との質量比=50:20)をグラビア印刷し、乾燥して、厚み7μmの受容層を形成した。

次いで、受容層上に、インクジェットプリンタを用いて黒色のインクジェットインキ(顔料の平均粒子径:0.21μm、塗膜要素として硝化綿を含有)をインクジェット印刷し、インクジェットインキ層を形成した。インクジェット印刷は、細線(線幅:0.2mm)を交差させた形状の繰り返しパターンとした(図3の細線パターン参照)。インクジェットインキ層の厚みは概ね2~5μmの範囲であった。
次いで、インクジェットインキ層を形成した側の全面に、硝化綿及びアルキッド樹脂を溶剤で希釈してなる透明樹脂層用インキ(硝化綿とアルキッド樹脂との質量比=50:20)をグラビア印刷し、乾燥して、厚み7μmの透明樹脂層を形成した。
次いで、透明樹脂層を形成した側の全面に、光輝性顔料(平均粒子径15μmのアルミ鱗片)及びバインダー樹脂(硝化綿とアルキッド樹脂との50:20混合物)を溶剤で希釈してなる光輝性インキ層用インキをグラビア印刷し、厚み1.0μmの光輝性インキ層を形成し、水溶性フィルム上に転写層(転写層の層構成は、受容層、インクジェットインキ層、透明樹脂層及び光輝性インキ層)を有する実施例1の水圧転写フィルムを得た。
<加飾成形品の作製>
実施例1の水圧転写フィルムの転写層側の表面に、下記組成の活性剤組成物を10g/m塗布し、水溶性フィルム側が水面側を向くように水面に浮遊させた。次いで、当該水圧転写フィルム上に被転写体を押圧し、水圧によって転写層を被転写体の被転写面に密着させた。その後、該被転写体の被転写面上より水溶性フィルムを除去する脱膜工程を行った。その後、被転写面上に2液硬化型のウレタン樹脂をスプレー塗装して厚さ10μmのトップコート層を形成し、被転写体上に転写層が密着してなり、転写層上にトップコート層を有する、実施例1の加飾成形品(加飾成形品の層構成は、被転写体、光輝性インキ層、透明樹脂層、インクジェットインキ層、受容層、トップコート層の順)を得た。実施例1の加飾成形品を転写層側から撮像した写真を図3(a)に示す。
-活性剤組成物の組成-
フタル酸系アルキド樹脂 6質量部
マイクロシリカ(顔料) 2質量部
フタル酸ジブチル 17質量部
溶剤(ブチルカルビトールアセテート) 60質量部
溶剤(ブチルセロソルブ) 15質量部
[実施例2]
透明樹脂層と光輝性インキ層との積層順を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の水圧転写フィルム及び加飾成形品を得た。実施例2の加飾成形品を転写層側から撮像した写真を図3(b)に示す。
[比較例1]
インクジェットインキ層を形成した側の全面に直接光輝性インキ層を形成し、透明樹脂層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の水圧転写フィルム及び加飾成形品(比較例1の加飾成形品の層構成は、被転写体、光輝性インキ層、インクジェットインキ層、受容層、トップコート層の順)を得た。比較例1の加飾成形品を転写層側から撮像した写真を図3(c)に示す。
2.評価
<水圧転写前後の意匠の変化>
実施例1の水圧転写フィルムと、実施例1の加飾成形品とを並べて配置し、水圧転写の前後で意匠が維持されているか否かを下記の基準で評価した。意匠が維持されているか否かのポイントは、「細線の濃度(高濃度ほど良好)」、及び「細線のゆがみ(ゆがんでいないほど良好)」とした。実施例2及び比較例1についても同様の評価を行った。結果を表1に示す。
A:水圧転写の前後で意匠が十分維持されている。
B:水圧転写の前後で意匠が若干変化している。
C:水圧転写の前後で意匠が大きく変化し、意匠が損なわれている。
Figure 0007183905000001
表1に示すように、透明樹脂層を所定の位置に有する実施例1及び2の水圧転写フィルムは、水圧転写の前後の意匠の変化を抑制できる一方で、透明樹脂層を所定の位置に有さない比較例1の水圧転写フィルムは、水圧転写の前後の意匠の変化を抑制できないことが確認できる。図3((a)が実施例1、(b)が実施例2、(c)が比較例1)を引用してさらに考察すると、実施例1~2が線の濃度が濃く、線のエッジがシャープであるのに対して、比較例1は、線の濃度が薄くぼやけており、精細な細線からなる意匠を維持できないことが確認できる。この原因は、比較例1の水圧転写フィルムは、透明樹脂層を所定の位置に有さずインクジェットインキ層の顔料が流動しやすいため、該顔料の一部が当初の位置から流出したのに対し、実施例1や実施例2の水圧転写フィルムは透明樹脂層が所定の位置に存在するため、活性剤によるインクジェットインキ層へのアタックが弱まり、インクジェットインキ層が過度に溶解して顔料が流動することが抑制されたことによるものと考えられる。
また、実施例1と実施例2との対比により、光輝性インキ層のインクジェットインキ層とは反対側に透明樹脂層を配置するよりも、インクジェットインキ層と光輝性インキ層との間に透明樹脂層を配置した方が、水圧転写の前後の意匠の変化をより抑制できることが確認できる。
10 水溶性フィルム
20 転写層
21 受容層
22 インクジェットインキ層
23 透明樹脂層
24 光輝性インキ層
100 水圧転写フィルム

Claims (11)

  1. 水溶性フィルム上に転写層を有する水圧転写フィルムであって、前記転写層は、インクジェットインキ層及び光輝性インキ層を前記水溶性フィルム側からこの順に有してなるとともに、前記インクジェットインキ層と前記光輝性インキ層との間、又は、前記光輝性インキ層の前記インクジェットインキ層とは反対側に、透明樹脂層を有してなる、水圧転写フィルム。
  2. 前記インクジェットインキ層に含まれる顔料の平均粒子径D1と、前記光輝性インキ層に含まれる光輝性顔料の平均粒子径D2とが、D1<D2の関係を満たす、請求項1に記載の水圧転写フィルム。
  3. 前記インクジェットインキ層に含まれる顔料の平均粒子径D1が0.03~1.00μmである、請求項1又は2に記載の水圧転写フィルム。
  4. 前記光輝性インキ層に含まれる光輝性顔料の平均粒子径D2が2.00~50.00μmである、請求項1~3の何れか1項に記載の水圧転写フィルム。
  5. 前記透明樹脂層の厚みが0.1~25.0μmである、請求項1~4の何れか1項に記載の水圧転写フィルム。
  6. 前記透明樹脂層が前記水圧転写フィルムの実質的全面に形成されてなる、請求項1~5の何れか1項に記載の水圧転写フィルム。
  7. 前記透明樹脂層が硝化綿を含む、請求項1~6の何れか1項に記載の水圧転写フィルム。
  8. 前記インクジェットインキ層の少なくとも一部が、線幅2.0mm以下の線から構成される形状の繰り返しパターンである、請求項1~7の何れか1項に記載の水圧転写フィルム。
  9. 前記光輝性インキ層が前記水圧転写フィルムの実質的全面に形成されてなる、請求項1~8の何れか1項に記載の水圧転写フィルム。
  10. 下記の工程a1~a3を含む、水圧転写フィルムの製造方法。
    工程a1:水溶性フィルム上に受容層を有する積層体Aの受容層側の面に、インクジェット印刷して、インクジェットインキ層を形成する工程。
    工程a2:インクジェットインキ層上に透明樹脂層を形成する、又は、インクジェットインキ層上にインクジェット印刷以外の印刷手段で光輝性インキ層を形成する工程。
    工程a3:工程a2で透明樹脂層を形成した場合には、透明樹脂層上にインクジェット印刷以外の印刷手段で光輝性インキ層を形成し、工程a2で光輝性インキ層を形成した場合には、光輝性インキ層上に透明樹脂層を形成する工程。
  11. 下記の工程b1~b4を含む、加飾成形品の製造方法。
    工程b1:請求項1~9の何れか1項に記載の水圧転写フィルムの水溶性フィルム側が水面側に向くように、水圧転写フィルムを水面に浮遊させる工程。
    工程b2:水圧転写フィルムの転写層側に活性剤組成物を塗布する工程。
    工程b3:工程b1及びb2を経た水圧転写フィルムの転写層側から被転写体を押圧し、水圧によって転写層を被転写体の被転写面に密着させる工程。
    工程b4:転写層上に付着している水溶性フィルムを除去する脱膜工程。
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