JP2014069337A - 水圧転写フィルムおよび水圧転写体 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット工法により印刷可能であると共に表面強度を高めつつ転写性を維持する水圧転写フィルムを提供する。
【解決手段】水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルム(10)と、支持体フィルム(10)の片面にコートされ、溶剤系インクジェットインクの溶媒を吸収するインク受容性樹脂層(20)と、インク受容性樹脂層(20)上に形成された絵柄層(30)と、インク受容性樹脂層(20)および絵柄層(30)を覆うように形成された保護層(40)とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルム(10)と、支持体フィルム(10)の片面にコートされ、溶剤系インクジェットインクの溶媒を吸収するインク受容性樹脂層(20)と、インク受容性樹脂層(20)上に形成された絵柄層(30)と、インク受容性樹脂層(20)および絵柄層(30)を覆うように形成された保護層(40)とを備える。
【選択図】図1
Description
この発明は、例えば、凹凸のある立体面や曲面を有する成形品に絵柄層を転写させることで意匠を付与する水圧転写工法において使用される水圧転写フィルムに関する。
水圧転写工法は、意匠性に富む絵柄層を凹凸のある立体面や曲面を有する成形品に付与させることができる技術として知られている(例えば、特許第2757346号公報(特許文献1))。
従来、水圧転写工法で用いられる水圧転写フィルムの製造には、支持体であるポリビニルアルコールフィルムなどの水溶性または水膨潤性フィルムの上に、グラビア印刷等の印刷手段によって絵柄層を形成する方法が採用されていた。
しかし、近年の多品種小ロット生産の要求増加に伴い、インクジェット工法により絵柄層を形成する方法が注目を集めている(例えば、特許第3952748号公報(特許文献2)、特許第4585009号公報(特許文献3))。
しかしながら、インクジェット工法により絵柄を形成した場合、絵柄層は、インクジェット吐出できる限られた材料にて描画されるため、結果として、絵柄層の機械的強度・耐温湿度性が弱いという課題があった。
すなわち、従来のインクジェット印刷フィルムでは、絵柄層が最表面となるため、意匠面となる絵柄層にキズが入りやすかったり、印刷しロール状に巻き取った後で高温多湿の環境に持ち込むと、ブロッキングが発生しやすくなったり、転写工程において活性剤をグラビアコーターで塗布しようとすると、擦りによりキズついたりするなどの課題があった。
特許第4585009号公報(特許文献3)では、支持体フィルムの上にインクジェット描画をした後、その上から接着層を形成する技術が例示されているものの、これら課題を解決する術は、詳細には示されていない。
そこで、この発明の課題は、インクジェット工法により印刷可能であると共に表面強度を高めつつ転写性を維持する水圧転写フィルムおよび水圧転写体を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の水圧転写フィルムは、
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、
この支持体フィルムの片面にコートされ、溶剤系インクジェットインクの溶媒を吸収するインク受容性樹脂層と、
このインク受容性樹脂層上に形成された絵柄層と、
上記インク受容性樹脂層および上記絵柄層を覆うように形成された保護層と
を備えることを特徴としている。
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、
この支持体フィルムの片面にコートされ、溶剤系インクジェットインクの溶媒を吸収するインク受容性樹脂層と、
このインク受容性樹脂層上に形成された絵柄層と、
上記インク受容性樹脂層および上記絵柄層を覆うように形成された保護層と
を備えることを特徴としている。
この発明の水圧転写フィルムによれば、上記支持体フィルムと上記インク受容性樹脂層と上記絵柄層と上記保護層とを備える。これにより、高精細印刷・転写が可能で転写体の意匠性が良い溶剤系インクによる絵柄印刷フィルムにおいて、機械的、耐環境的な外乱の影響を受けない高品質のものを得ることが可能となる。
また、一実施形態の水圧転写フィルムでは、
上記絵柄層は、アクリル樹脂バインダーと着色顔料からなるインクジェットインクを、上記インク受容性樹脂層上に描画することで、形成され、
上記インク受容性樹脂層および上記保護層は、上記アクリル樹脂バインダーよりも平均分子量が高いアクリル樹脂からなる。
上記絵柄層は、アクリル樹脂バインダーと着色顔料からなるインクジェットインクを、上記インク受容性樹脂層上に描画することで、形成され、
上記インク受容性樹脂層および上記保護層は、上記アクリル樹脂バインダーよりも平均分子量が高いアクリル樹脂からなる。
この実施形態の水圧転写フィルムによれば、上記インク受容性樹脂層および上記保護層をアクリル樹脂としている。アクリル樹脂は、活性剤などの非水系溶剤に対して膨潤、再溶解しやすく、膨潤、再溶解している状態では軟化しているため変形が容易であり、かつ溶剤成分が乾燥するとそのままの形状を保持しようとする性質があり、軟化前の形状に戻ろうとする力が働かない。このため、水圧転写工程時にフィルムにシワが入り、意匠が損なわれることを防止することができる。また、アクリル樹脂は非水系溶剤に対して溶解可能であり、インク受容性樹脂層としての性能を持たせるために、高分子化した場合における粘度上昇も小さく、取り扱いも容易であるため、水溶性、水膨潤性シートにも容易にコートすることができる。
さらに、上記絵柄層として、アクリル樹脂バインダーを含むインクジェットインクとすることで、インク受容性樹脂層上での絵柄の高精細描画が可能となる。インクジェットヘッドから吐出できるインクの粘度は一般的に低く(例えば2〜20cp)、アクリル樹脂バインダーの平均分子量が大きくなると動粘度が高くなってしまい、安定してインク吐出させることができない。ゆえに、アクリル樹脂バインダーの平均分子量が小さくするしかなく、これは引っ掻き強度が弱く、ガラス転移温度も低くなる要因となる。そこで、アクリル樹脂バインダーに対して保護層に用いるアクリル樹脂の平均分子量を大きくすることで、これら不具合を解決することが出来る。また、インク受容性樹脂層として、アクリル樹脂バインダーに比べて平均分子量の大きなアクリル樹脂を用いることで、インクジェットインク溶媒に負けてクラックが発生させるなどの不具合を防止することができる。
また、一実施形態の水圧転写フィルムでは、上記保護層は、上記インク受容性樹脂層と同種の有機溶媒を受容する特性を有する。
この実施形態の水圧転写フィルムによれば、後工程である転写工程では、有機溶媒を塗布することで、インク受容性樹脂層および絵柄層を軟化させるが、塗布表面となる保護層に、インク受容性樹脂層と同種の溶媒を吸収し膨潤する特性を持たせることで、インク受容性樹脂層および絵柄層に効率的に有機溶媒を浸透させることが可能となる。これにより、転写時にシワの発生が少なく、良好な転写を可能とする。なお、インク受容性樹脂層と保護層の樹脂を同一の樹脂とすることで、より転写安定性を保つことが可能となる。
また、一実施形態の水圧転写フィルムでは、
上記インク受容性樹脂層は、イソシアネート架橋されたアクリル樹脂であり、
上記絵柄層を形成するための上記インクジェットインクは、グリコールエステル、グリコールエーテル、または、グリコールエステルおよびグリコールエーテルの混合溶媒を、主溶媒とする。
上記インク受容性樹脂層は、イソシアネート架橋されたアクリル樹脂であり、
上記絵柄層を形成するための上記インクジェットインクは、グリコールエステル、グリコールエーテル、または、グリコールエステルおよびグリコールエーテルの混合溶媒を、主溶媒とする。
この実施形態の水圧転写フィルムによれば、高精細に印刷されたインクジェット印刷フィルムを得ることができる。
また、一実施形態の水圧転写体では、
被転写体と、
この被転写体に転写される請求項1から4の何れか一つに記載の水圧転写フィルムと
を備え、
上記水圧転写フィルムは、接触方式で活性剤を塗布され、この活性剤を介して、上記被転写体に転写される。
被転写体と、
この被転写体に転写される請求項1から4の何れか一つに記載の水圧転写フィルムと
を備え、
上記水圧転写フィルムは、接触方式で活性剤を塗布され、この活性剤を介して、上記被転写体に転写される。
この実施形態の水圧転写体によれば、絵柄層の上に保護層を有する水圧転写フィルムを用いることで、活性剤をスプレー方式等の非接触方式ではなく、グラビアコートやワイヤーバーコート等の接触方式で塗布しても絵柄層にキズが入らない。このため、転写作業が容易で高品位な水圧転写体をえることが可能となる。
この発明の水圧転写フィルムおよび水圧転写体によれば、上記支持体フィルムと上記インク受容性樹脂層と上記絵柄層と上記保護層とを備えるので、インクジェット工法により印刷可能であると共に、印刷面側の機械的、耐環境的な外乱による影響を受けない。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
<水圧転写フィルムの構成>
図1は、本発明にかかる水圧転写フィルムの断面模式図である。図1に示すように、水圧転写フィルム1は、支持体フィルム10と、インク受容性樹脂層20と、絵柄層30と、保護層40とを備える。インク受容性樹脂層20は、支持体フィルム10の片面にコートされる。インク受容性樹脂層20は、透明であり、略均一の厚みで形成される。絵柄層30は、インク受容性樹脂層20の上に部分的に形成される。なお、絵柄層30は、絵柄によっては、インク受容層樹脂20上の全てに形成されている場合もある。保護層40は、絵柄層30、および、絵柄層30の形成されていないインク受容性樹脂層20を覆うように、形成されている。
<水圧転写フィルムの構成>
図1は、本発明にかかる水圧転写フィルムの断面模式図である。図1に示すように、水圧転写フィルム1は、支持体フィルム10と、インク受容性樹脂層20と、絵柄層30と、保護層40とを備える。インク受容性樹脂層20は、支持体フィルム10の片面にコートされる。インク受容性樹脂層20は、透明であり、略均一の厚みで形成される。絵柄層30は、インク受容性樹脂層20の上に部分的に形成される。なお、絵柄層30は、絵柄によっては、インク受容層樹脂20上の全てに形成されている場合もある。保護層40は、絵柄層30、および、絵柄層30の形成されていないインク受容性樹脂層20を覆うように、形成されている。
上記支持体フィルム10は、水溶性または水膨潤性を有するシートであれば良く、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デキストリン、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルブチルセルロース等の樹脂をシート状に形成したものが用いられる。支持体フィルム10の厚さとしては、10〜100μmが好ましい。本実施の形態では、厚さ30μmのポリビニルアルコール樹脂からなるシートを使用している。
上記インク受容性樹脂層20は、溶剤系インクジェットインクの溶媒を吸収し、転写工程において十分な柔軟性を得られるものではあればよいが、一例としては、アクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体が挙げられる。印刷性と転写性を両立させるためには、インク受容性樹脂層20の厚みが2〜7μmであることが望ましい。2μm以下では、インク量が多いと、インク受容性樹脂層20に層厚み全域に亘るひび割れが発生してしまい、転写品質が悪化する一方、7μm以上では、転写時にシワが発生する可能性が高くなる。
上記絵柄層30は、後述するインクジェットインクにより描画されたのち、乾燥することで固化される。この厚みは、1μm以下である。
上記保護層40は、インク受容性樹脂層20と同種のものを用いることが望ましく、転写時の柔軟性の点から、この厚みは、2μm以下であることが望ましい。
<水圧転写フィルムの製造方法>
図2A〜図2Fは、本発明にかかる水圧転写フィルムの製造工程と、そのフィルムを用いた転写工程とを示す模式図である。
<水圧転写フィルムの製造方法>
図2A〜図2Fは、本発明にかかる水圧転写フィルムの製造工程と、そのフィルムを用いた転写工程とを示す模式図である。
図2Aに示すように、支持体フィルム10を用意し、この支持体フィルム10上に、アクリル樹脂を非水系溶媒に溶解した塗工液を塗工し、非水系溶媒を蒸発させることで、図2Bに示すように、支持体フィルム10上にインク受容性樹脂層20を形成する。
上記インク受容性樹脂層20に用いられるアクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体などの1種単独または2種以上の混合物が用いられる。本実施の形態では、アクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体を用いた。
なお、アクリル樹脂溶解する非水系溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の1価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチレングリコール・モノ・メチルエーテル、エチレングリコール・モノ・エチルエーテル、エチレングリコール・モノ・ブチルエーテル、ジエチレングリコール・モノ・メチルエーテル、ジエチレングリコール・モノ・エチルエーテル、ジエチレングリコール・モノ・ブチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコール・モノ・エチルエーテル・アセテート、エチレングリコール・モノ・ブチルエーテル・アセテート、ジエチレングリコール・モノ・メチルエーテル・アセテート、ジエチレングリコール・モノ・エチルエーテル・アセテート、ジエチレングリコール・モノ・ブチルエーテル・アセテート等の酢酸エステル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類が単独あるいは混合溶剤として使用させる。本実施の形態では、非水系溶媒の主成分(主溶媒)として酢酸エチルを使用している。また、アクリル樹脂の軟化性を高めるためにアクリル樹脂に適した可塑剤を導入しても良い。さらに、耐紫外線性を高めるために、有機系紫外線吸収剤又は酸化金属系微粒子を導入しても良い。
我々の検討の結果では、水圧転写フィルム1の支持体フィルム10としては、転写の安定性の面で、水溶性ポリビニルアルコールが良い。そして、樹脂成分としては、アクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体を用い酢酸エチルを溶媒とした塗工液を用いることで、水溶性ポリビニルアルコール表面に対し、2〜7μm厚の薄層コートであっても安定したコートが可能となり好適であった。
更に、樹脂成分として前述のアクリル樹脂を用い酢酸エチルを溶媒とした塗工液に対して、酢酸エチル溶媒で希釈したイソシアネート溶液を少量(〜1%)添加したのち、水溶性ポリビニルアルコール表面に塗工し乾燥させることで、印刷性と転写工程での柔軟性を更に兼ね備えた水圧転写フィルム1を得ることが可能となる。イソシアネート溶液の添加により、インク受容性樹脂層20は、イソシアネート基により部分的に三次元網目構造を形成し、インク受容特性を調製することができる。このイソシアネート溶液の最適添加量は、アクリル樹脂成分および後述する活性剤成分により異なるが、印刷性と転写性を更に高めるためには、インク溶媒および活性剤溶媒に適するように、実験により導出された量のイソシアネート溶液を添加することが望ましい。
アクリル樹脂を非水系溶媒に溶解した塗工液を支持体フィルム10上に塗工させる方法としては、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート等のコーティング手段を用いることができるが、支持体フィルム10は一般的にロール形状で梱包されており、ロール・ツー・ロールと呼ばれる処理方法が好ましく、グラビアコート、ロールコート、ダイコート等のコーティング手段が好ましい。
また、塗工液を支持体フィルム10上に塗工した後、オーブン等の乾燥手段により加熱乾燥されることでインク受容性樹脂層20が形成されるが、加熱乾燥することにより支持体フィルム10が水圧転写工程において、着水後の軟化、溶解、膨潤する時間に変化が起きないよう、加熱する温度は40〜80℃、加熱時間は1分〜10分であることが好ましい。本実施の形態では、80℃のオーブンにより1分加熱乾燥している。
図2Cに示すように、インクジェット装置を用いてインク受容性樹脂層20上に任意の絵柄を印刷する。インクジェット装置は、有機溶剤系インクに対応した汎用のインクジェット装置を用いればよく、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色にて任意の絵柄を印刷する。インクジェット装置としては、静電吸引型、圧電方式、バブルジェット方式等、種々のインクジェット駆動方式を採用することができる。ロール巻きされたフィルムを用いる場合、ロール紙対応のインクジェットプリンターを用いて、巻き取り前に温風乾燥させることが望ましい。
図2Dに示すように、絵柄層30を付けたフィルムに保護層40をスプレー塗布によりコートする。印刷後にロール状に巻かれたフィルムの場合、引き出しながら、汎用のスプレーガンで塗布したのち巻取り前に温風乾燥させる。また、別の塗工方法として、アプリケーター工法やダイコート工法など、絵柄層30に塗工ツールが接触しないものが望ましい。
図2Eに示すように、絵柄印刷が行われ保護層40が形成された水圧転写フィルム1の保護層40側に、接触型の塗布手段50(ワイヤーバー又はグラビアコーター)を用いて活性剤60を塗布する。活性剤60は、一例としてキシレン、酢酸ブチル、エチルベンゼン、メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピレートの混合溶媒からなり、保護層40、絵柄層30、インク受容性樹脂層20を半溶解して、軟化させる役目を担う。
ここで、保護層40がない従来のインクジェット印刷フィルムでは、ワイヤーバー又はグラビアコーターのように、フィルムにワイヤー若しくは版が接触する方式でコートしようとすると、キズが入ってしまっていた。
本発明の構成では、保護層40が形成されているため、インクジェットで描画され機械的強度が弱い絵柄層30にダメージを与えることがない。また、インク受容性樹脂層20が形成された水圧転写フィルム1では、インク受容性樹脂層20を軟化させるためには、充分な量の活性剤60を塗布する必要があるが、スプレー塗布方式であっても多量に塗布しようとすると平均分子量が小さく耐溶剤性の弱い絵柄層30が先に滲んでしまう恐れがあった。しかし、本発明では、保護層40で守られているために、滲みが発生しにくい。
また、印刷されてロール巻き状態で保管されたフィルムは、高温・多湿条件にさらすと、絵柄層30のガラス転移温度が低いために、インク受容性樹脂層20に比べて絵柄層30の軟化・べとつきが発生しやすく、ブロッキングを起こしやすかった。
なお、保護層40は、透明であることが望ましい。絵柄層30は、着色されたものであるため、キズが目立ちやすいが、保護層として透明物を用いることで、仮にキズが入っても目立たない。
図2Fに示すように、水圧転写フィルム1を着水させたのち、被転写体70をゆっくりと押し当てて、水圧転写フィルム1を、活性剤を介して、被転写体70に転写させる。そして、水洗工程を経て、水圧転写体が形成される。
<インクジェットインク>
本発明による非水系インクジェットインクの組成物は、顔料と、顔料を分散させる分散剤と、樹脂と、溶媒の成分が少なくとも含まれている。以下、各成分について説明する。
本発明による非水系インクジェットインクの組成物は、顔料と、顔料を分散させる分散剤と、樹脂と、溶媒の成分が少なくとも含まれている。以下、各成分について説明する。
(顔料)
非水系インクジェットインクの組成物に使用される顔料は、特に限定されるものではなく、無機顔料でも有機顔料でも適宜選択できる。
非水系インクジェットインクの組成物に使用される顔料は、特に限定されるものではなく、無機顔料でも有機顔料でも適宜選択できる。
無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カオリナイト、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、べんがら、クロムバーミリオン、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、コバルトグリーン、コバルトブルー、群青、紺青などが挙げられる。
有機顔料としては、モノアゾ顔料、ジアゾ顔料、ジアゾ縮合顔料、アゾメチン顔料などのアゾ顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イミダゾロン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、オキサジン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料などの多環式顔料などが挙げられる。
具体的には、例えば、ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、34、35、37、42、53、65、74、81、83、93、94、95、110、111、128、129、138、150、151、153、154、155、157、175、180、ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、17:1、27、29、60、ピグメントグリーン7、36、ピグメントレッド5、17、22、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、53:1、57:1、101、112、122、146、177、178、179、185、202、254,255、ピグメントバイオレット、19、23、50、ピグメントオレンジ13、16、ピグメントブラック7、ピグメントホワイト6、18、21などが挙げられる。これらの顔料は1種もしくは2種以上を混合して用いることができる。
分散処理後の顔料の平均一次粒子径は、分散性と吐出性を考慮すると50〜200nmであることが好ましく、さらには60〜150nmであることがより好ましい。顔料の平均一次粒子径が上記範囲より小さい場合、凝集性が高まったり、発色性が悪くなったりする。また、逆に上記範囲より大きい場合、ノズルの目詰まりが起こりやすくなり、吐出性が不安定化する。
インク組成物に占める配合量として、好ましくは1〜15重量%であり、より好ましくは、2〜10重量%である。顔料の配合量が上記範囲より少ない場合、発色性が悪くなり、淡い色目しか表現できず、逆に上記範囲より多い場合、インク組成物自体の粘度安定性が悪くなり、インク品質が十分に保てなくなる。
これらの顔料を顔料分散剤にて効果的に有機溶剤中に安定に分散させるためには、顔料の表面に反応性の官能基(ヒドロキシル基、カルボキシ基、スルホン酸基等)を備えているほうが、顔料分散剤との相互作用が高まり好適である。反応性の官能基がない場合でも、酸素プラズマ処理、UV照射処理などの表面処理を行えば、反応性の官能基を導入できる。
(顔料分散剤)
非水系インクジェットインクの組成物に使用される顔料分散剤としては、イオン性の界面活性剤や、アニオン性、もしくはカチオン性の高分子化合物等が使用できる。特に、塩基性官能基が分子鎖中に含まれる高分子化合物が、有機溶媒中での顔料表面に吸着性がよく、安定した分散効果が得られるので好ましい。
非水系インクジェットインクの組成物に使用される顔料分散剤としては、イオン性の界面活性剤や、アニオン性、もしくはカチオン性の高分子化合物等が使用できる。特に、塩基性官能基が分子鎖中に含まれる高分子化合物が、有機溶媒中での顔料表面に吸着性がよく、安定した分散効果が得られるので好ましい。
具体的には、市販の商品として、BYKChemie社製Disperbyk−161、162、163、166、182、183、184、185、2000、2050、2150、味の素ファインテクノ株式会社製アジスパーPB−821、822、881、楠本化成株式会社製ディスパロンDA−703−50などが挙げられる。
顔料分散剤は、顔料の種類、使用する有機溶剤の種類に応じて適宜選択する必要がある。顔料分散剤のインク組成物に占める配合量として、有機顔料に対しては好ましくは10〜100重量%、より好ましくは15〜80重量%で、無機顔料に対しては、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%で添加される。上記範囲より小さい場合、目的の分散性能が発揮されず凝集性が高くなり、逆に上記範囲より大きい場合、粘度が高くなるために吐出性が不安定化もしくはノズル目詰まりを引き起こす。
(バインダー樹脂)
本発明に用いる非水系インクジェットインクの組成物に含まれる樹脂としては、インクジェット吐出性の観点から求められる制約条件と水圧転写フィルム1上への描画性の観点から求められる制約条件とを両立させることが不可欠である。
本発明に用いる非水系インクジェットインクの組成物に含まれる樹脂としては、インクジェット吐出性の観点から求められる制約条件と水圧転写フィルム1上への描画性の観点から求められる制約条件とを両立させることが不可欠である。
吐出性について、まずインクジェット装置に見合った吐出するのにふさわしい粘度範囲で、なおかつ、吐出状態のばらつきが少なく、経時安定性も高くなくてはならない。そのためには、分子量が高過ぎず、なおかつ、分子構造や重合度のばらつきが少ない樹脂であることが望ましい。
描画性について、柔軟なインク受容性樹脂層20の伸展挙動に対して着弾形状も追従性を高めるためには、分子量が高過ぎず、なおかつ、分子設計の自由度が高い樹脂であることが重要である。
柔軟なインク受容性樹脂層20として、構造設計性に優れるアクリル樹脂を対象とする場合、インク組成物の分子設計の必要性を考慮した上で、本発明に用いる樹脂としてはアクリル樹脂がもっとも好適である。
アクリル樹脂としては、単体のモノマーもしくは複数のモノマーを公知のラジカル重合によって共重合させることで得られる。モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリ
ル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
ル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
他には、官能基を持つモノマーも用いることができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有モノマー、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有アクリル酸エステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、フマル酸アミド等のアミド基含有モノマー、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等の3級アミノ基含有モノマーなどが挙げられる。これらのモノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせても使用できる。
本発明に用いられるインクジェット用インク組成物に含まれるアクリル樹脂の重量平均分子量は、5000〜20000の範囲であることが好ましく、さらには、7000〜15000の範囲であることがより好ましい。インクジェット用インク組成物に含まれるアクリル樹脂の重量平均分子量がこの範囲より小さい場合、造膜性、色の定着性、光沢性のないインクジェット用インクになってしまう。また、逆に、インクジェット用インク組成物に含まれるアクリル樹脂の重量平均分子量が上記範囲より大きい場合、ノズルの目詰まりが起こりやすくなり、吐出性が不安定になる。
また、インクのバインダー樹脂の重量平均分子量は、インク受容性樹脂層20のアクリル樹脂の重量平均分子量に比べ低いことが望ましい。上記水圧転写フィルム1の絵柄層30およびインク受容性樹脂層20は、転写工程において、有機溶剤からなる活性剤をコートすることで軟化される。しかし、絵柄層30のバインダー樹脂の重量平均分子量の方がインク受容性樹脂層20のアクリル樹脂の重量平均分子量に比べ高い場合、絵柄層30の部分が活性剤で軟化されにくくなるだけでなく、絵柄層30の下に位置するインク受容性樹脂層20に活性剤が均一に浸透するのを阻害してしまい、絵柄濃度の違いで場所毎に柔軟性(転写時の付き回り)の差が大きくなってしまうためである。なお、この有機溶剤は、水圧転写フィルムの特性により適宜選択することが可能である。
上記インクジェット用インク組成物に占めるアクリル樹脂の配合量は、好ましくは、2〜8重量%の範囲である。アクリル樹脂の配合量がこの範囲より少ない場合、インク受容性樹脂層20への着弾後の形状保持力が弱くなったり、顔料の定着性が悪くなったりという問題が生じ、逆に上記範囲より多い場合、インクジェット用インク組成物の粘度が高くなり、インクジェットの吐出安定性が悪くなる。
なお、吐出性能や描画性能が低下しない範囲で、上記アクリル樹脂以外にも、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ロジン系樹脂、アルキッド系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、セルロース系樹脂などを少量添加することで、着弾形状や発色性などの特性を補完することも可能である。
(有機溶剤)
本発明の非水系インクジェット用インク組成物に含まれる有機溶媒の主溶媒は、グリコールエステル系およびグリコールエーテル系溶媒を用いている。このグリコールエステル系およびグリコールエーテル系溶媒は、上記の顔料、顔料を分散させる分散剤、アクリル樹脂を溶解することができ、かつ、インクジェット吐出に適した溶液特性を与えることができる。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物に含まれる有機溶媒の主溶媒は、グリコールエステル系およびグリコールエーテル系溶媒を用いている。このグリコールエステル系およびグリコールエーテル系溶媒は、上記の顔料、顔料を分散させる分散剤、アクリル樹脂を溶解することができ、かつ、インクジェット吐出に適した溶液特性を与えることができる。
グリコールエステル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。グリコールエステル系溶媒の溶剤は樹脂溶解性が良いため、分子量が高いアクリル樹脂であっても均一に溶解分散させやすく、アクリル樹脂の適用範囲が広がる。
更に、グリコールエステル系溶媒は、前述のインク受容性樹脂層20に単に吸収されるだけでなく、その表層の一部を溶解させることで、インク中のバインダー樹脂とインク受容性樹脂層20の密着性を高める効果も有するため、溶剤中にグリコールエステル系溶媒が含まれていることは好適である。中でも、バインダー樹脂を安定的に分散させるとともに、インク受容性樹脂層20との密着性の効果が高い、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
グリコールエーテル系溶媒は、インクジェット用インクの溶媒として良く用いられている。これは、乾燥によるインクジェットノズルの詰まり等の不具合に関連する沸点およびインクジェットヘッドから安定的に微小液滴を吐出させるための指標となる粘度が異なる複数の溶媒があり、その混合性が良いため、複数のグリコールエーテル溶媒を混ぜ合わせ、インクジェットヘッドの特性、使用環境に沿った形にブレンドすることが多いからである。
上記インクジェット用インク組成物全体の粘度低下に寄与することができる低沸点のグリコールエーテル系溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(124℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(135℃)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(144℃)、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル(152℃)、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(171℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(121℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(133℃)、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル(150℃)、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(170℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(171℃)などが挙げられる(溶剤名の後の括弧の数値は沸点を示す)。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが好ましい。
また、沸点が高くノズル詰まりの原因となる乾燥性を遅くできるグリコールエーテル系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(189℃)、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(230℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(212℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(256℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(249℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(216℃)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(256℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(189℃)、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル(212℃)、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル(229℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(242℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(215℃)などが挙げられる(溶剤名の後の括弧の数値は沸点を示す)。中でも、インク受容性樹脂層20がアクリル樹脂の場合、インク受容性樹脂層20への浸透性の点で、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが好ましい。
本発明では、このようなグリコールエーテル系溶媒を単独でまたは複数を組み合わせて用いることで、インクジェット用インクが、インク受容性樹脂層20へ十分に浸透し、かつ、溶解によりインク受容性樹脂層20を損傷させることがない。そのため、インクジェット用インクとインク受容性樹脂層20とは相性がよく、薄い吸収層であっても割れや滲みが生じにくく、印刷性と転写性を安定して両立させることができ、印刷性および転写性に適したインクジェット用インクを調合することが可能となる。
本実施例では、インク受容性樹脂層20はイソシアネート架橋されたアクリル樹脂であり、上記絵柄層を形成するためのインクジェットインクは、グリコールエステル又はグリコールエーテル、若しくはグリコールエステルおよびグリコールエーテル混合溶媒を主溶媒とすることで、良好な印刷フィルムを得た。
(比較実験例)
厚み30μmの水圧転写用ポリビニルアルコールフィルムに、インク受容性樹脂層として、重量平均分子量100000のアクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体に、イソシアネート架橋剤を、固形分比にして0.3%配合した酢酸エチル溶媒からなる塗工液を、ダイコート工法で塗工して乾燥させ、厚み5μmとした。
厚み30μmの水圧転写用ポリビニルアルコールフィルムに、インク受容性樹脂層として、重量平均分子量100000のアクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体に、イソシアネート架橋剤を、固形分比にして0.3%配合した酢酸エチル溶媒からなる塗工液を、ダイコート工法で塗工して乾燥させ、厚み5μmとした。
次に、重量平均分子量7000のアクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体をバインダー樹脂として、着色顔料とグリコールエステルおよびグリコールエーテル混合溶媒を混合することで得たインクジェットインクを用いて、赤色100%濃度相当のベタ印刷したサンプルを作成した。
そして、ポリビニルアルコール/インク受容性樹脂層/赤ベタ絵柄層からなるサンプルを比較サンプルAとした。このサンプルAに対して、保護層として、重量平均分子量30000のアクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体の酢酸エチル溶媒を全面に亘ってアプリケーター塗布して厚み1μmの保護層を形成した(サンプルB)。また、サンプルAに対して、サンプルBと同じ保護層を厚み5μmとなるようにアプリケーター塗布した(サンプルC)。また、サンプルAに対して、保護層として、重量平均分子量100000のアクリル酸ブチルと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体の酢酸エチル溶媒を、全面に亘ってアプリケーター塗布して厚み1μmの保護層を形成した(サンプルD)。また、サンプルAに対して、ポリウレタン樹脂を用いて酢酸エチル溶媒からなる塗工液をアプリケーター塗布して厚み1μmの保護層を形成した(サンプルE)。なお、アクリル樹脂の分子量の調整は反応開始剤の量、反応時間、温度等の合成環境条件により行い、分子量の計測は光散乱法を用いた。
活性剤塗布には、#8および#16のワイヤーバーを用いた。なお、ワイヤーバーの番手と塗布量の間には一般的に(番手)×2.4(μm)が成り立ち、塗布量は#8では約19μm、#16では約38μmとなる。また、番手が大きいほど、ワイヤー径が太くキズが入りやすい。また、グラビアコートの場合も塗布量が多くなるとピットの凹凸が大きくなり、キズが入りやすくなる。
図3は、サンプルA〜Eについてそれぞれ、#8および#16のワイヤーバーで活性剤塗布した際の、絵柄層へのキズの発生の有無と、転写したときのシワの発生とを確認した結果である。キズの発生では、全域に亘って発生していれば×、部分的に発生していれば△、キズが目視されなければ○と示す。シワの発生では、しわが発生すれば×、曲率が大きいものを転写したときだけシワが発生すれば△、シワが発生がなくなれば○と示す。
この結果から、インク受容性樹脂層を有するインクジェット印刷フィルムにワイヤーバー等の接触方式で活性剤を塗布する場合には、保護層が無ければよい転写品を作成することが難しいことがわかる。また、保護層としてはアクリル樹脂が望ましく、その厚みは1μm程度あれば良い。なお、5μmとなると転写性が悪化するとともに、保護層コートの段階で、塗工液の溶媒成分の過多により、インク受容性樹脂層および絵柄層にムラが生じていた。
なお、この発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
1 水圧転写フィルム
10 支持体フィルム
20 インク受容性樹脂層
30 絵柄層
40 保護層
50 接触型塗布手段
60 活性剤
70 被転写体
10 支持体フィルム
20 インク受容性樹脂層
30 絵柄層
40 保護層
50 接触型塗布手段
60 活性剤
70 被転写体
Claims (5)
- 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、
この支持体フィルムの片面にコートされ、溶剤系インクジェットインクの溶媒を吸収するインク受容性樹脂層と、
このインク受容性樹脂層上に形成された絵柄層と、
上記インク受容性樹脂層および上記絵柄層を覆うように形成された保護層と
を備えることを特徴とする水圧転写フィルム。 - 請求項1に記載の水圧転写フィルムにおいて、
上記絵柄層は、アクリル樹脂バインダーと着色顔料からなるインクジェットインクを、上記インク受容性樹脂層上に描画することで、形成され、
上記インク受容性樹脂層および上記保護層は、上記アクリル樹脂バインダーよりも平均分子量が高いアクリル樹脂からなることを特徴とする水圧転写フィルム。 - 請求項1または2に記載の水圧転写フィルムにおいて、
上記保護層は、上記インク受容性樹脂層と同種の有機溶媒を受容する特性を有することを特徴とする水圧転写フィルム。 - 請求項1から3の何れか一つに記載の水圧転写フィルムにおいて、
上記インク受容性樹脂層は、イソシアネート架橋されたアクリル樹脂であり、
上記絵柄層を形成するための上記インクジェットインクは、グリコールエステル、グリコールエーテル、または、グリコールエステルおよびグリコールエーテルの混合溶媒を、主溶媒とすることを特徴とする水圧転写フィルム。 - 被転写体と、
この被転写体に転写される請求項1から4の何れか一つに記載の水圧転写フィルムと
を備え、
上記水圧転写フィルムは、接触方式で活性剤を塗布され、この活性剤を介して、上記被転写体に転写されることを特徴とする水圧転写体。
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---|---|---|---|---|
JP2014069503A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Dainippon Printing Co Ltd | 水圧転写フィルム及びこれを用いた加飾成形品の製造方法 |
JP2020157585A (ja) * | 2019-03-26 | 2020-10-01 | 大日本印刷株式会社 | 水圧転写フィルム、水圧転写フィルムの製造方法、及び加飾成形品の製造方法 |
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-
2012
- 2012-09-27 JP JP2012214866A patent/JP2014069337A/ja active Pending
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