JP2022065397A - アルミニウム顔料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水性塗料中での貯蔵安定性に優れ、光輝性や隠蔽性などの光学特性にも優れたアルミニウム顔料を提供する。【解決手段】金属アルミニウム粒子表面上に10~50nmの膜厚の表面被覆酸化ケイ素層が存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層中に酸化アルミニウムが存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層の表面のXPS(X線光電子分光)によって測定したケイ素に対するAl3+の相対元素濃度が2~10モル%であることを特徴とするアルミニウム顔料。【選択図】なし

Description

本発明は、塗料組成物もしくはインキ組成物等、特に水性塗料もしくは水性インキ等に適するアルミニウム顔料及びアルミニウム顔料の製造方法に関する。
従来から、メタリック塗料用、印刷インキ用、プラスチック練り込み用等に、メタリック感を重視する美粧効果を得る目的で金属顔料が使用されている。近年、塗料分野においては、省資源、無公害化対策として、有機溶剤の使用量の少ない水性塗料への転換の必要性が高まっているが、金属顔料を含むメタリック塗料においては、未だ、実用可能な水性塗料の例は少ない。この理由として、金属顔料は水性塗料中で腐食し易いことが挙げられる。水性塗料中に金属粉末が存在する場合には、各種金属の性質に基づいて、酸性、中性、塩基性のいずれか、あるいは複数の領域において水による腐食が起こり、水素ガスが発生する。これは塗料メーカーやインキメーカーにおける塗料やインキの製造工程や、自動車、家電メーカー、印刷メーカー等における塗装工程や印刷工程において、安全上極めて重大な問題である。
特許文献1では、酸化ケイ素多層膜で表面を被覆されたアルミニウム顔料が開示されている。
また、特許文献2では、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物とケイ素含有化合物で被覆された金属顔料組成物が開示されている。
しかし、これらの特許文献において、高い貯蔵安定性と優れた光学特性との完全な両立は達成できておらず、水性化処理前後での光学特性の損失、すなわち色調の低下は抑制しきれていなかった。また、より過酷な環境下、すなわち、より高温かつ高いpHの水中で安定に存在するのは困難であった。
特開2004-124069 特開2019-151678
本発明は、上記従来技術で成しえなかった高い貯蔵安定性と優れた光学特性を両立したアルミニウム顔料を提供すること、すなわち塗料組成物もしくはインキ組成物等、特に水性塗料もしくは水性インキ等に使用可能で、その塗料等の貯蔵安定性に優れ、かつ塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性などの光学特性にも優れたアルミニウム顔料及びアルミニウム顔料の製造方法を提供することを目的とする。なお、本発明では、水や水性塗料もしくは水性インキ中における金属顔料の耐腐食性を「貯蔵安定性」と記載する。
本発明者は、製造後のアルミニウム顔料をXPS解析して検出される酸化アルミニウム(Al3+)と酸化ケイ素(ケイ素)の量を一定量に収めることによって、薄い酸化ケイ素被覆層、すなわち最小限の厚さの耐水保護膜でありながら高い貯蔵安定性を有するアルミニウム顔料が得られることを見出した。さらなる検討の結果、上記アルミニウム顔料製造のためには、塩基性化合物と水との濃度および投入様式の調節による、アルミニウムの酸化反応とアルコキシシランの加水分解および加水分解物の縮合反応の反応性制御が重要であることを発見し、本発明を完成するに至った。
本発明は下記のとおりである。
[1]
金属アルミニウム粒子表面上に10~50nmの膜厚の表面被覆酸化ケイ素層が存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層中に酸化アルミニウムが存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層の表面のXPS(X線光電子分光)によって測定したケイ素に対するAl3+の相対元素濃度が2~10モル%であることを特徴とするアルミニウム顔料。
下記[2]から[11]は、いずれも本発明の好ましい一態様または一実施形態である。
[2]
前記表面被覆酸化ケイ素層が、前記顔料中の金属アルミニウム粒子100質量部に対して5~18質量部存在する、[1]に記載のアルミニウム顔料。
[3]
前記表面被覆酸化ケイ素層の膜厚が、10~40nmである、[1]又は[2]に記載のアルミニウム顔料。
[4]
ケイ素に対するAl3+の相対元素濃度が、2~8モル%である、[1]~[3]のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料。
[5]
金属アルミニウム粒子を、アルゴン雰囲気下、親水性有機溶媒中で塩基性触媒として10~16質量%濃度塩基性化合物の水溶液の存在下に、ケイ素含有化合物として下記一般式(1)のアルコキシシランと反応させることを特徴とするアルミニウム顔料の製造方法。
Si(OR (1)
(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、Rが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。)
[6]
超音波照射およびアルゴンガスバブリングにより脱気した親水性有機溶媒中で反応させることを特徴とする[5]に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
[7]
親水性有機溶媒が、イソプロピルアルコール、2-ブタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される少なくとも1種である、[5]又は[6]に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
[8]
塩基性化合物が、アンモニアおよびアミン系化合物から選択される少なくとも1種である、[5]~[7]のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
[9]
一般式(1)のアルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、およびテトラブトキシシランから選択される少なくとも1種である、[5]~[8]のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
[10]
ケイ素含有化合物が、下記一般式(2)のシランカップリング剤又はその部分縮合物を更に含有する、[5]~[9]のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
Si(OR4-m (2)
(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から30の炭化水素基であってヘテロ原子を含んでもよく、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。RとRは同一でも異なっていてもよく、R、またはRが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
[11]
アルミニウム顔料が、金属アルミニウム粒子表面上に10~50nmの膜厚の表面被覆酸化ケイ素層が存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層中に酸化アルミニウムが存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層の表面のXPS(X線光電子分光)によって測定したケイ素に対する酸化アルミニウムの相対元素濃度が2~10モル%であることを特徴とするアルミニウム顔料である、[5]~[10]のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
なお、本発明において、200℃、15分の加熱条件で揮発することなく残存するものを「不揮発分」と定義する。
本発明の金属顔料を塗料組成物もしくはインキ組成物等、特に水性塗料もしくは水性インキ等に用いた場合においては、貯蔵安定性と、塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性に優れた金属顔料を得ることができる。
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
<アルミニウム顔料>
本発明は、金属アルミニウム粒子表面上に10~50nmの膜厚の表面被覆酸化ケイ素層が存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層中に酸化アルミニウムが存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層の表面のXPS(X線光電子分光)によって測定したケイ素に対するAl3+の相対元素濃度が2~10モル%であることを特徴とするアルミニウム顔料である。
本発明のアルミニウム顔料の粒子表面には耐水保護膜として酸化ケイ素被覆層が存在し、当該酸化ケイ素被覆層中に酸化アルミニウム層が存在する。これら2種の酸化物で形成される層の組成は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光、別名ESCA)により相対元素濃度を測定することにより確認することができる。
XPSとは、高真空下でX線により固体表面を励起し、表面より放出される光電子を測定する分析法である。本分析法により、表面近傍数nmに存在する元素の酸化状態や濃度に関する情報が得られ、表面のケイ素、酸化アルミニウムとして存在するアルミニウム(以降Al3+とする)の相対濃度を特定できる。
<XPS分析法>
本発明では、酸化ケイ素で表面を被覆された金属アルミニウム粒子表面における相対元素濃度を測定する。
上記ケイ素濃度、Al3+濃度は、以下の条件で測定した。
測定装置:アルバックファイ Versa probeII
励起源:mono.AlKα 20kV×5mA 100W
分析サイズ:100μmφ×1.4mm 100μmφのX線ビームを1.4mm幅で振動
光電子取り出し角:45°
取り込み領域
Survey scan:0~1100eV
Narrow scan:Al 2p、Si 2p、O 1s、C 1s
パスエネルギー
Survey scan:117.4eV
Narrow scan:46.95eV
本発明のアルミニウム顔料は、その粒子表面のケイ素に対するAl3+の相対元素濃度をXPSによって測定したときに、Al3+の元素濃度がケイ素に対して2~10モル%である。なお、この数値はAl3+の元素濃度をA、ケイ素の元素濃度をBとしたときに、((A/B)×100)の式から算出できる。この値が2モル%を下回る場合、酸化ケイ素層が厚いことによる色調の低下や、酸化アルミニウムが少なすぎることによる貯蔵安定性の低下が確認される。反対に上限値を上回る場合、酸化アルミニウムが過剰に形成されたことによる変色や、酸化ケイ素層が薄いことによる貯蔵安定性の低下が確認される。Al3+の元素濃度のケイ素に対する割合は、好ましくは2~8モル%、より好ましくは2~6モル%である。
<表面被覆酸化ケイ素層の膜厚測定>
本発明ではSTEM(走査型透過電子顕微鏡)により撮影した表面被覆アルミニウムの断面図から、画像解析ソフトImage-Pro Plus ver. 7.0を用いて金属アルミニウムと酸化ケイ素層との境界部から粒子表面まで平均距離を測定し、その値を表面被覆酸化ケイ素層の平均膜厚とした。
上記断面図は以下の条件で観察した。
装置:S-5500(日立ハイテク)
加速電圧:30.0 kV
検出器:BF-STEM(明視野透過像)
前処理:アセトン洗浄および風乾した試料をエポキシ系樹脂で樹脂包埋した後、ウルトラミクロトーム法で超薄切片を作製、Cuメッシュに積載して検鏡用試料とする。
本発明のアルミニウム顔料の表面被覆酸化ケイ素層の膜厚は、酸化ケイ素層によるアルミニウム顔料本来の輝度の低下を防ぐ観点より10~50nmであり、好ましくは10~40nm、より好ましくは10~30nmである。
<表面被覆酸化ケイ素層の存在量の測定>
本発明のアルミニウム顔料中の金属アルミニウム粒子に対する表面被覆酸化ケイ素層の存在量は、下記のように測定する。
2gのアルミニウム粉末を50℃の2mol/L塩酸に溶解させた後、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で中和させてから濾過、水で洗浄後の不揮発分から収率を算出し、表面被覆酸化ケイ素層の量を測定する。
表面被覆酸化ケイ素層は、本発明のアルミニウム顔料中の金属アルミニウム粒子100質量部に対して、好ましくは5~18質量部、より好ましくは5~17質量部、更により好ましくは6~15質量部存在する。
<アルミニウム顔料の製造方法>
また、本発明は、下記のアルミニウム顔料の製造方法である。
金属アルミニウム粒子を、アルゴン雰囲気下、親水性有機溶媒中で塩基性触媒として10~16質量%濃度塩基性化合物の水溶液の存在下に、ケイ素含有化合物として下記一般式(1)のアルコキシシランと反応させることを特徴とするアルミニウム顔料の製造方法。
Si(OR (1)
(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、Rが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。)
本発明のアルミニウム顔料は、好ましくは、ケイ素含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と、金属アルミニウム粒子とを含有し、該ケイ素含有化合物が、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン一種以上と、必要に応じて下記一般式(2)で表されるシランカップリング剤、並びにそれらの部分縮合物から選ばれる少なくとも一種とを含有し、該ケイ素含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物を、金属アルミニウム粒子100質量部に対して、加水分解および縮合反応が完了した状態換算で合計5~18質量部含有する。
Si(OR (1)
(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、Rが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。)
Si(OR4-m (2)
(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から30の炭化水素基であってヘテロ原子を含んでもよく、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。RとRは同一でも異なっていてもよく、R、またはRが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
上記2種の酸化物(酸化ケイ素及び酸化アルミニウム)で形成された層が一定の比で存在すると、本アルミニウム顔料を直接高温かつ高pHの水に浸漬しても金属アルミニウム分の腐食を効果的に防ぐことができる。したがって、塗料化した際、すなわちより温和な条件下での貯蔵安定性は従来の表面被覆アルミニウム顔料に比べて非常に高くなり、幅広い環境下での使用に耐える塗膜を作製しやすいため、好ましい。
本発明のアルミニウム顔料は、金属アルミニウム粒子を、アルゴン雰囲気下、親水性有機溶媒中で塩基性触媒として10~16質量%濃度塩基性化合物の水溶液の存在下に、ケイ素含有化合物として下記一般式(1)のアルコキシシランと反応させる(水性化処理する)ことにより製造することが好ましい。
Si(OR (1)
(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、Rが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。)
<金属アルミニウム粒子>
本発明に用いる金属アルミニウム粒子は、例えば、未処理のアルミニウム顔料を挙げることができ、特に制限は無いが、粒子形状としては鱗片状のものが好ましく、粒径としては、メディアン径(d50)が2から20μmであることが好ましく、4から15μmであることがさらに好ましい。粒子平均厚みとしては、0.02から0.4μmが好ましく、0.03μmから0.2μmがさらに好ましい。本発明において好適に用いることができるアルミニウム顔料としては、表面光沢性、白度、光輝性等メタリック用顔料に要求される性能を実現できるような表面性状、粒径、形状を有するものが適している。未処理のアルミニウム顔料は、通常ペースト状態で市販されており、これをそのまま用いてもよいし、予め有機溶剤等で表面の脂肪酸等を除去して用いてもよい。また、メディアン径(d50)が3から30μm、平均厚み(t)が5から50nmのいわゆるアルミニウム蒸着箔も使用可能である。
<ケイ素含有化合物>
本発明に用いるケイ素含有化合物は、好ましくは、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランの少なくとも一種と、必要に応じて下記一般式(2)で表されるシランカップリング剤、並びにそれらの部分縮合物から選ばれる少なくとも一種とを含有する。
Si(OR (1)
(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、Rが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。)
Si(OR4-m (2)
(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から30の炭化水素基であってヘテロ原子を含んでもよく、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。RとRは同一でも異なっていてもよく、R、またはRが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
式(1)のRにおける炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル基等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、とくにメチル、エチル、プロピル、およびブチルが好ましい。また、4つのRは、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。このような式(1)のアルコキシシランの好ましい例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
式(2)のRにおける炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル、ステアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であっても、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基やアミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基などヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい。これらの中でも、特に炭素数が1から18の炭化水素基が好ましい。また、Rが2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。分子中のRの数は、式(2)において、m=1から3、すなわち1から3個であるが、m=1または2であることがより好ましい。
式(2)のRにおける炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、特にメチル、エチル、プロピル、およびブチル基が好ましい。また、R3が2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。
このような式(2)のシランカップリング剤の好ましい例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジヘキシルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ジオクチルジメトキシシラン、ジオクチルジエトキシシラン、ジオクチルエトキシブトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ジデシルジメトキシシラン、ジデシルジエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジオクタデシルジメトキシシラン、ジオクタデシルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリブトキシシラン等が挙げられる。この中でも特に、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシランが好ましい。
本発明においては、上記一般式(1)で表されるアルコキシシランは、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、一般式(2)で表されるシランカップリング剤も、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、(1)で表されるシランカップリング剤のみを、2種以上を組み合わせて使用してもよいし、一般式(1)で表されるシランカップリング剤と一般式(2)で表されるシランカップリング剤とを組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解物および/またはその縮合物の生成量は、本アルミニウム顔料の製造にあたって使用した一般式(1)で表されるアルコキシシランの質量に、当該アルコキシシランが全て加水分解し、縮合反応した場合の反応前後の質量比を乗ずることにより、決定することができる。
例えば、一般式(1)で表されるアルコキシシランとしてテトラエトキシシラン(TEOS)を使用した場合には、以下の加水分解および縮合反応前後の質量比を用いて、アルコキシシランの加水分解物および/またはその縮合物の生成量を算出する。
(加水分解)
Si(OC (分子量:208) + 4H
→ Si(OH) (分子量:96) + (COH)
(縮合)
Si(OH) (分子量:96)+ Si(OH) (分子量:96)
→ (SiO (分子量:60×2) + 4H
以上の加水分解および縮合反応前後で、質量は60/208=0.288倍となる。
したがって、例えば未処理のアルミニウム顔料100質量部に対して、TEOSを40質量部使用した場合、その加水分解物および/またはその縮合物の生成量は、その0.288倍、すなわち11.5質量部になる。
上記一般式(2)のシランカップリング剤においても同様に算出する。
本発明に使用されるケイ素含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物は、金属アルミニウム粒子(例えば、未処理のアルミニウム顔料)に親水性有機溶媒を加えたスラリー状態で混合するのが望ましい。
<塩基性触媒>
本発明の製造方法においては、系中で酸化アルミニウム層を構築する観点から、10~16質量%濃度塩基性化合物の水溶液を塩基性触媒として用いる。塩基性化合物としては窒素化合物が望ましい。アンモニア水およびアミン系化合物がより好ましい。代表的なアミン系化合物はモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどが例示される。
これら塩基性化合物は濃度を調節した水溶液の形態で塩基性触媒として用いるのが好ましい。塩基性化合物はアルコキシシランに対して物質量比で1~5当量用いるのが好ましく、塩基性化合物水溶液の濃度は10~16質量%として添加するのが好ましい。塩基性化合物水溶液の濃度は、より好ましくは10~15質量%、更により好ましくは10~14質量%、最も好ましくは11~13質量%である。また、塩基性触媒の添加はアルコキシシランを一括添加した後に、50分以内(より好ましくは5~50分以内、更に好ましくは10~50分以内)に全量の投入が完了する添加速度で徐々に加えるのが好ましい。
<親水性有機溶媒>
本発明の製造方法に用いる親水性有機溶媒は、5分間の超音波照射とアルゴンガスバブリングおよび減圧により完全に脱気した状態で用いるのが望ましい。この理由としては、溶媒中の溶存酸素による望まないアルミニウムの酸化反応を抑制することが挙げられる。これにより、酸化アルミニウム層の形成は水性化処理時に使用する塩基性化合物と水の濃度によって調節可能となる。
また、有機溶媒の種類としては塩基性触媒とケイ素含有化合物およびアルミニウム顔料との反応性を向上させる観点から親水性有機溶媒が好ましい。より好ましくはアルコール系溶媒、さらに好ましくは第2級アルコール類がよい。その中でも特に好ましい第2級アルコール類としては、イソプロピルアルコール、2-ブタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
<混合配位型ヘテロポリアニオン化合物>
本発明の製造方法では必要に応じて混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を、金属アルミニウム粒子(例えば、未処理のアルミニウム顔料)100質量部に対して、0.01から10質量部添加してもよい。混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を添加すると、金属アルミニウム粒子(例えば、未処理のアルミニウム顔料)に由来する酸化被膜を効率的に除去できる。混合配位型ヘテロポリアニオンは、一種類の元素から成るヘテロポリアニオンのポリ原子のうちのいくつかを、別の元素で置換した構造を持つものであり、それぞれのヘテロポリアニオンの混合物とは異なる物性を示すものである。化学式で表記する場合、混合配位型ヘテロポリアニオンを[XpMqNrOs]と表すと、ヘテロポリアニオンは[XpMqOs]となり、さらにイソポリアニオン[MqOs]とも区別される。ただし、ヘテロ原子であるXはB,Si,Ge,P,As等のIIIB、IVB、VB族の元素を表し、それらの中でもB、Si、Pが好ましい。ポリ原子であるM、NはTi,Zr,V,Nb,Ta,Mo,W等の遷移金属を表し、Ti,Zr,V,Nb,Mo,Wが好ましい。また、p、q、r、sは原子の数を表し、tは酸化数を表す。ヘテロポリアニオン化合物は数多くの構造を持つため、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は更に数多くの構造を持ち得るが、代表的かつ好ましい混合配位型ヘテロポリアニオン化合物としては、以下の混合配位型へテロポリ酸:HPWMo12-x40・nHO(リンタングストモリブデン酸・n水和物)、H3+xPVMo12-x40・nHO(リンバナドモリブデン酸・n水和物)、HSiWMo12-x40・nHO(ケイタングストモリブデン酸・n水和物)、H4+xSiVMo12-x40・nHO(ケイバナドモリブデン酸・n水和物)等が例示される(但し、1≦x≦11、n≧0)。
本発明の金属顔料の製造に際して、アルコキシシランと、更に任意に用いられるシランカップリング剤との、金属アルミニウム粒子(例えば、未処理のアルミニウム顔料)への混合、塩基性触媒を用いたケイ素含有化合物の加水分解、縮合反応処理の順序は厳密に制御する必要がある。
好ましくは、まず、アルゴンガス雰囲気下、各化合物の説明項目で述べた例から選ばれる親水性有機溶媒に超音波照射、アルゴンガスバブリングと減圧を5分間繰り返す。その後、未処理のアルミニウム顔料を投入し、スラリー状態で混合する。次にケイ素含有化合物として一般式(1)のアルコキシシランを加えた後、説明項目で述べた様式で塩基性触媒を添加し、アルミニウムの酸化、ケイ素含有化合物の加水分解、縮合反応処理することが好ましい。混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は上記工程(ケイ素含有化合物を加える工程)の前に加えるのが好ましく、任意でシランカップリング剤を添加する場合には上記工程(ケイ素含有化合物を加える工程)の後に行うのが好ましい。
Si(OR (1)
(式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、Rが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。)
本発明によって得られる金属顔料は、有機溶剤系の塗料、インキ等に用いることもできるが、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料もしくは水性インキに加えることによりメタリック水性塗料もしくはメタリック水性インキとすることができる。また、樹脂等と混練して耐水性のバインダー、フィラーとして用いることもできる。酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤は、金属顔料を水性塗料もしくは水性インキ、または樹脂等に配合する際に添加してもよい。
本発明によって得られる金属顔料は、塗料やインキに用いる場合は、そのまま(水性)塗料もしくは(水性)インキに加えてもよいが、予め溶媒に分散させてから加える方が好ましい。使用する溶媒としては、水や、テキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。また、これらの樹脂類としては例えば、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリエーテル樹脂類、エポキシ樹脂類、フッ素樹脂類、ロジン樹脂類などが挙げられる。
アクリル樹脂類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-4-ヒドロキシブチル等の活性水素を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類;およびメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル、p-スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸等のその他の重合性モノマー類等から選ばれた単独または混合物を重合させて得られるアクリル樹脂類が挙げられる。
その重合方法としては、乳化重合が一般的であるが、懸濁重合、分散重合、溶液重合でも製造できる。乳化重合では段階的に重合することもできる。
ポリエステル樹脂類としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸の群から選ばれた単独または混合物と、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2-エチル-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、2,2,4-トリメチルペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールなどのジオール類、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類、例えばジグリセリン、ジメチロールプロパン、ペンタエリトリトールなどのテトラオール類の群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステル樹脂類、および例えば低分子量ポリオールの水酸基にε-カプロラクトンを開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
ポリエーテル樹脂類としては、多価ヒドロキシ化合物の単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコキシド、アルキルアミンなどの強塩基性触媒を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール類および、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。これらの樹脂類は水に乳化、分散あるいは溶解することが好ましい。そのために、樹脂類に含まれるカルボキシル基、スルホニル基などを中和することができる。
カルボキシル基、スルホニル基などの中和するための中和剤としては、例えばアンモニア、水溶性アミノ化合物である例えばモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどから選択される1種以上を用いることができる。好ましくは、第三級アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
好ましい樹脂類は、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類である。必要に応じて、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。更には一般的に塗料に加えられる無機顔料、有機顔料、体質顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、分散剤、沈降防止剤、レべリング剤、増粘剤、消泡剤と組み合わせてもよい。塗料への分散性をよくするために、更に界面活性剤を添加してもよいし、塗料の保存安定性をよくするために、更に酸化防止剤、光安定剤、および重合禁止剤を添加してもよい。
以下に、本発明の実施例、比較例を参照しながら、本発明をより具体的に説明する。なお、以下の実施例は、例示の目的で記載されたものであり、いかなる意味においても本発明を限定するものではない。
[実施例1]
アルゴン雰囲気下、市販のアルミペースト(旭化成株式会社製、商品名「GX-4100(平均粒子径10μm、不揮発分74%)」135gを、超音波照射とアルゴンガスバブリングおよび減圧によって脱気した103gのプロピレングリコールモノメチルエーテル中で混錬しリンタングストモリブデン酸(HPWMo40)の水和物0.5gをプロピレングリコールモノメチルエーテル5gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を60℃に保ちながら1時間撹拌した。その後、アルコキシシランとして43gのテトラエトキシシランを添加した後、150gの12%アンモニア水を15分かけて添加し、3時間撹拌した。その後、シランカップリング剤として0.2gの3-アミノプロピルトリメトキシシランを添加し、2時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分50%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例2]
150gの12%アンモニア水を48分かけて添加した以外は実施例1と同様に行い、不揮発分50%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例3]
120gの15%アンモニア水を20分かけて添加した以外は実施例1と同様に行い、不揮発分50%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例4]
43gのテトラエトキシシランを22gに変更し、70gの12%アンモニア水を14分かけて添加した以外は実施例1と同様に行い、不揮発分50%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例5]
43gのテトラエトキシシランを64gに変更し、219gの12%アンモニア水を45分かけて添加した以外は実施例1と同様に行い、不揮発分50%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[比較例1]
脱気操作を省略した以外は実施例3と同様に行い、不揮発分50%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[比較例2]
120gの15%アンモニア水を90分かけて添加した以外は実施例1と同様に行い、不揮発分50%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[比較例3]
43gのテトラエトキシシランを129gに変更し、350gの15%アンモニア水を90分かけて添加した以外は実施例1と同様に行い、不揮発分50%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[比較例4]
市販のアルミペースト(旭化成株式会社製、商品名「GX-4100(平均粒径10 μm、不揮発分74%)」)135gに465gのイソプロピルアルコールを加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンタングストモリブデン酸(HPWMo40)の水和物1.0gをイソプロピルアルコール5gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を40℃に保ちながら1時間攪拌した。その後、10gのテトラエトキシシランを添加した後、210gの1.2%アンモニア水を3時間かけて添加した。その後更に、シランカップリング剤として1.23gのメチルトリメトキシシランを添加し、2時間攪拌した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[比較例5]
市販のアルミペースト(旭化成株式会社製、商品名「GX-4100(平均粒子径10 μm)を上記実施例および比較例の処理前の参考例として使用した。
[評価1(貯蔵安定性(ガス発生)評価)]
水性化処理したアルミペースト20g(不揮発分10g)をフラスコに採取し、60℃の恒温水槽で168時間(1週間)まで水素ガス累積発生量を観察した。ガスの発生量に応じて下記のように評価し、塗料中の貯蔵安定性の指標とした。
◎:実験誤差範囲(±約0.3mL)で0 mL
○:1.0 mL未満
△:1.0 mL以上5.0 mL未満
×:5.0 mL以上20 mL未満
××:20mL以上
[水性メタリック塗料の調製]
以下の成分を有する水性メタリック塗料を調製した。
アルミニウム顔料組成物:不揮発分として12.0g
イソプロピルアルコール:18.0g
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤、松本油脂製薬株式会社
製、商品名「アクチノールL5」):6.0g
精製水:12.0g
水溶性アクリル樹脂(※1):110.0g
メラミン樹脂(※2):18.0g
※1:三井化学(株)製、アルマテックス WA911
※2:日本サイテックインダストリーズ(株)製、サイメル350
上記を混合後、ジメチルエタノールアミンでpHを9.0~9.1に、カルボン酸系増粘剤と精製水で粘度を650から750mPa・s(B型粘度計、No.3ロータ、60回転、25℃)に調整した。調製された水性メタリック塗料を用いて、以下の評価を行った。
[評価2(塗膜色調評価)]
上記の塗料を用いて塗膜を作製し、輝度、隠蔽性の評価を行った。
・輝度
関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR-200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源と受光角0度と-35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角-35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:水性化処理前後での差が20未満のもの
○:水性化処理前後での差が20~50のもの
△:水性化処理前後での差が50~100のもの
×:水性化処理前後での差が101以上のもの
・隠蔽性
PETシートに塗布した塗膜を目視で判定した。
○:水性化処理前後での差がほぼみられないもの
△:水性化処理前後での差がわずかなもの
×:水性化処理前後での差が明らかなもの
各実施例および比較例で変更した条件を表1に、XPSによる表面Al3+/Si(%)と各評価結果を表2に示す。
Figure 2022065397000001
Figure 2022065397000002
本発明は、塗料組成物もしくはインキ組成物等、特に水性塗料若しくは水性インキ等に使用可能で高温、高pHの水中での貯蔵安定性にも優れており、なおかつ塗膜にしたときの光輝性や隠蔽力の低下が少ない金属顔料を提供することが可能であるなど実用上高い価値を有するものであり、塗料やインキの製造や、自動車、家電、印刷等の産業の各分野において、高い利用可能性を有する。

Claims (11)

  1. 金属アルミニウム粒子表面上に10~50nmの膜厚の表面被覆酸化ケイ素層が存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層中に酸化アルミニウムが存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層の表面のXPS(X線光電子分光)によって測定したケイ素に対するAl3+の相対元素濃度が2~10モル%であることを特徴とするアルミニウム顔料。
  2. 前記表面被覆酸化ケイ素層が、前記顔料中の金属アルミニウム粒子100質量部に対して5~18質量部存在する、請求項1に記載のアルミニウム顔料。
  3. 前記表面被覆酸化ケイ素層の膜厚が、10~40nmである、請求項1又は2に記載のアルミニウム顔料。
  4. ケイ素に対するAl3+の相対元素濃度が、2~8モル%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料。
  5. 金属アルミニウム粒子を、アルゴン雰囲気下、親水性有機溶媒中で塩基性触媒として10~16質量%濃度塩基性化合物の水溶液の存在下に、ケイ素含有化合物として下記一般式(1)のアルコキシシランと反応させることを特徴とするアルミニウム顔料の製造方法。
    Si(OR (1)
    (式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、Rが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。)
  6. 超音波照射およびアルゴンガスバブリングにより脱気した親水性有機溶媒中で反応させることを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
  7. 親水性有機溶媒が、イソプロピルアルコール、2-ブタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される少なくとも1種である、請求項5又は6に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
  8. 塩基性化合物が、アンモニアおよびアミン系化合物から選択される少なくとも1種である、請求項5~7のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
  9. 一般式(1)のアルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、およびテトラブトキシシランから選択される少なくとも1種である、請求項5~8のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
  10. ケイ素含有化合物が、下記一般式(2)のシランカップリング剤又はその部分縮合物を更に含有する、請求項5~9のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
    Si(OR4-m (2)
    (式中、Rは水素原子、または炭素原子数1から30の炭化水素基であってヘテロ原子を含んでもよく、Rは水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。RとRは同一でも異なっていてもよく、R、またはRが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
  11. アルミニウム顔料が、金属アルミニウム粒子表面上に10~50nmの膜厚の表面被覆酸化ケイ素層が存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層中に酸化アルミニウムが存在し、当該表面被覆酸化ケイ素層の表面のXPS(X線光電子分光)によって測定したケイ素に対する酸化アルミニウムの相対元素濃度が2~10モル%であることを特徴とするアルミニウム顔料である、請求項5~10のいずれか1項に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
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