JP2022064345A - 楔装置 - Google Patents

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【課題】重量物の載置面から当該重量物の下縁部が浮き上がった状態で当該重量物を横押しする際に、当該重量物を適正に横押しすることができる楔装置を提供する。【解決手段】一端が前方へ張り出すように基台2固設した薄肉の底板3と、前方に向かって下降するよう傾斜した上面41、並びに傾斜した上面41に設けた前後方向に並ぶ位置決め穴42を有する、底板上にスライド可能に設けた楔体4と、楔体4を前後方向へ押し引きする基台2に設けた楔体進退機構5と、本体61の前面下部から前方へ突出した突出部62、楔体4の上面41に摺接可能な傾斜下面63、及び傾斜下面63の両脇に楔体4の両側側面に沿うように形成した一対の案内面64を有する、楔体4上に載置するスライド体6と、位置決め穴42に抜取り可能に嵌る嵌合部71を有する、スライド体6の後退を阻止するためのストッパー7とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、床等の載置面上に置かれている重量物を移動する際に、重量物の下縁部を載置面から持ち上げることができ、しかも重量物の下縁部を浮かした状態で、その重量物を横押しすることができる楔装置に関する。
従来、上述のような楔装置には、一端が前方へ張り出すように基台に固設した薄肉の底板と、先端部が前記底板の一端部の上側に重なるように配置すると共に、先端部が上下方向に揺動可能に前記基台に枢着した薄肉の傾斜上板と、前記底板と傾斜上板との間に設けた、上面が前方に向かって下降するよう傾斜している楔体と、該楔体を前後方向に押し引きする楔体進退機構とを備えるものがある(特許文献1参照)。
この楔装置では、重量物の下縁部と床面との隙間に底板と傾斜上板の先端部を入れて、楔体進退機構により楔体を前進させることで、他のジャッキ等の爪を入れることができる高さまで重量物を持ち上げることができる。その際、楔体が前進するに従い傾斜上板が上昇し、重量物は傾斜上板と共に上昇する。
また、この楔装置は、重量物を横押しするために、つまり重量物を略水平方向に押すために用いる場合もある。その際、傾斜上板を後方へ旋回させて楔体の上側から退避させ、楔体の先端部の上面に重量物の下縁部を直接載せた後、押送機構により楔体を前進させることで、楔体によって重量物を前方へ押す。
実開平1-94309号公報
ところが、上述した従来の楔装置を重量物の横押しのために用いる場合、楔体の上面と重量物の下縁部との摩擦係数が小さいと、楔体の上面と重量物の下縁部との間に滑りが生じて楔体が前進すると共に重量体が上昇し、重量物を前進させることができなくなる。そのため、重量物の横押し作業を確実に行うことができない。また、重量物の下縁部と楔体の上面とが擦れるので、楔体の上面又は重量物の下縁部に傷が付き易い。そして楔体の上面の傷は、傾斜上板を使用して重量物を持ち上げるとき、傾斜上板と楔体との摺動の妨げになり、楔装置の寿命が短くなる原因にもなる。また重量物の下縁部の傷は、その外観を悪くする原因となり得る。
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、重量物の載置面から当該重量物の下縁部が浮き上がった状態で当該重量物を横押しする際に、当該重量物を適正に横押しすることができる楔装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の第一の側面に係る楔装置によれば、一端が前方へ張り出すように基台に固設した薄肉の底板と、前方に向かって下降するよう傾斜した上面、並びに該傾斜した上面に設けた一又は前後方向に並ぶ複数の位置決め穴を有する、前記底板上にスライド可能に設けた楔体と、前記楔体を前後方向に押し引きする、前記基台に設けた楔体進退機構と、本体の前面下部から前方へ突出した突出部、該突出部並びに前記本体の下側に形成した、前記傾斜した上面に摺接可能な下側傾斜面、及び前記下側傾斜面の両脇に前記楔体の側面に沿うように形成した一対の案内面を有する、前記楔体上に載置するスライド体と、前記位置決め穴に抜取り可能に嵌る嵌合部を有する、前記スライド体の後退を阻止するためのストッパーとを備えるよう構成できる。
前記構成によれば、楔体の上に載置したスライド体の突出部に重量物の下縁部を載せ、その下縁部を載置面から更に浮かせることで、重量物の荷重によりスライド体の突出部と楔体とを介して底板を載置面に押し付けて底板と載置面とに摩擦力を生じさせ、この摩擦力により、重量物を押すときに生じる反作用を受け止めると共に、嵌合部を位置決め穴に嵌めたストッパーによりスライド体の楔体に対する後退を阻止することで、楔体と一緒にスライド体を前進させることができるので、重量物を適正に横押しすることができる。
本発明の第二の側面に係る楔装置によれば、更に、前記上面を覆うことができる傾斜部、並びに前記底板の一端部に重ねることができる先端部、及び前記傾斜部の幅方向の両側に下向きに形成した一対の補強縁を有し、前記重量物の下縁部と前記載置面との隙間が、前記底板の厚みと前記突出部の厚みの和より小さいとき、前記楔体上に前記スライド体の代わりに載置する薄肉の上板を備えるよう構成できる。
前記構成により、重量部の下縁部と載置面との隙間の大きさに応じて、適宜上板とスライド体とを取り替えて使用することができるので、重量物の持ち上げや、載置面から下縁部が浮き上がった重量物の横押し作業を能率よく適正に行うことができる。またスライド体と上板との取り替えも簡単に短時間で行うことができる。
本発明の第三の側面に係る楔装置によれば、前記スライド体は前記本体の前面に階段状に形成した突出部を有するよう構成できる。
前記構成により、重量物の下縁部に係合する階段状の突出部の上面のうちの、載置面から重量物の下縁部の下面までの高さに極力近い高さの上面を選択し、その上面で重量物の下縁部の下面を支えることにより、スライド体を極力楔体の先端付近に配置した状態で重量物の下縁部の持ち上げを開始することができ、一度の操作による重量物の下縁部の持ち上げ量や重量物の横押し量を大きくすることができる。
本発明の第四の側面に係る楔装置によれば、前記突出部の上面は前記載置面に対して前方に行くに従い高くなるように傾いているよう構成できる。
前記構成により、スライド体の突出物を重量物の下縁部の下側に入れて楔装置をセットしたとき、突出部の前面と上面の角が重量物の下縁部の下面に当たり、その角でスライド体は重量物を確実に保持することができるので、当初から楔装置が安定し、重量物の下縁部の持ち上げや横押し作業を円滑に行うことができる。
本発明の第五の側面に係る楔装置によれば、前記楔体は、前記楔体進退機構に連結された基部と、該基部の前側に配置され、ボルトにより前記基部に固定される、前方に向かって下降するよう傾斜した上面を有する楔部とからなり、前記楔部は、予め準備されている前記上面の傾斜角度が互いに異なる複数の楔部のうちの一つであるよう構成できる。
前記構成により、重量物の持ち上げや横押しの条件に応じて、上面の傾斜角度が適正な楔部を基部に装着することができ、楔装置において楔体同士を交換する場合に比べて、楔部材の交換を簡単に短時間で行うことが可能になる。
本発明の第一実施形態に係る楔装置の正面図である。 本発明の第一実施形態に係る楔装置の平面図である。 図1に示すスライド体の右側面図である。 上板の正面図である。 図4に示す切断線A-A矢視断面図である。 楔装置による重量物の持ち上げ方法の説明図である。 楔装置による重量物の持ち上げ方法の説明図である。 楔装置による重量物の持ち上げ方法の説明図である。 楔装置による重量物の横押し方法の説明図である。 楔装置による重量物の横押し方法の説明図である。 楔装置による重量物の横押し方法の説明図である。 上板を用いた楔装置による重量物の持ち上げ方法の説明図である。 本発明の第二実施形態に係る楔装置の正面図である。 本発明の第三実施形態に係る楔装置の正面図である。 本発明の第四実施形態に係る楔装置の楔体の一例を示す平面図である。 図15におけるA-A矢視断面図である。 本発明の第四実施形態に係る楔装置の楔体の別例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための楔装置を例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(第一実施形態)
図1及び図2において、楔装置1は、一端が前方へ張り出すように基台2に固設した薄肉の底板3と、底板3上にスライド可能に設けた楔体4と、楔体4を前後方向に押し引きする、基台2に設けた楔体進退機構5と、楔体4上に載置するスライド体6と、スライド体6の後退を阻止するためのストッパー7とを備えている。
底板3は、ボルト32で基台2に固着した一対の補強縁31を有し、楔体4は、前方に向かって下降するよう傾斜した上面41、並びに該傾斜した上面41に設けた前後方向に並ぶ複数の位置決め穴42を有する。ストッパー7は、楔体4に形成した位置決め穴42に抜取り可能に嵌合する軸状の嵌合部71を有している。この実施形態では、楔体4の上面41の傾斜角度θは約11度である。なお、図1に示す底板3の底面は平坦であるが、底板3と載置面Fとの摩擦係数を高めるために、底板3の底面に多数の凹凸を形成したり、グリップ力のあるゴムを底板の底面に装着したりするとよい。
スライド体6は、その本体61の前面下部から前方へ突出した突出部62、該突出部62並びに本体61の下側に設けた、楔体4の上面41に摺接可能な傾斜下面63、及び、図3に示すように傾斜下面63の両脇に楔体4の両側側面に沿うように形成した対向する案内面64を有している。
この楔装置1では、図1に示すように重量物Lの下縁部Laと載置面Fとの隙間gが、底板3の厚みt0と突出部62の厚みt1の和(t0+t1)より大きいとき、スライド体6を使用することができる。
この実施形態の場合、楔装置1は、更に、図1及び図2に二点鎖線で示すように楔体4の上に載置する薄肉の上板8を備えている。この上板8は、重量物Lの下縁部Laと載置面Fとの隙間gが、底板3の厚みt0と突出部62の厚みt1の和(t0+t1)より小さいとき、つまり隙間gが小さいためスライド体6を重量物Lの下縁部Laの下側に入れることができないとき、スライド体6の代わりに使用する。
図4及び図5に示すように、上板8は、楔体4の上面41を覆うことができる傾斜部81、並びに底板3の一端部に重ねることができる先端部82、及び傾斜部81の幅方向の両側に下向きに形成した一対の補強縁83を有している。
(重量物の持ち上げ方法1)
次に、上述のように構成された楔装置1を使用して重量物Lの下縁部Laを持ち上げる方法について、図6~図8を参照して説明する。
図6において、重量物Lは、その下面が、図示しないブロック等の支持台によって支えられており、その下縁部Laが載置面Fから浮き上がった状態にある。重量物Lの下縁部Laと載置面Fとの隙間gは、その隙間gにスライド体6の突出部62を入れることができ大きさである。そこで、予め、スライド体6を、図示のように傾斜下面63と楔体4の上面41とが摺接するよう楔体4上に載置しておく。
次いで、作業者は、楔装置1を載置面F沿いに押して、スライド体6の突出部62を重量物Lの下縁部Laと載置面Fとの間に差し込む。途中、二点鎖線で示すようにスライド体6の本体61の前面が重量物Lの下縁部Laの正面に当接しても、その状態で楔装置1を更に前進させる。そうするとスライド体6は上昇し、図7に示すようにスライド体6の突出部62の上面が重量物Lの下縁部Laの下面に当たる。この状態で作業者は楔装置1を押すのを止め、楔装置1の重量物Lの下縁部Laに対する姿勢を適正にする。
次いで、楔体進退機構5を作動させ、この楔体進退機構5によって楔体4を前方へ押す。そうすると、楔体4は底板3上を滑って前進し、スライド体6の傾斜下面63が楔体4の傾斜した上面41を後方へ滑ると共にスライド体6が楔体4の傾斜した上面41によって押し上げられ、突出部62上の重量物Lの下縁部Laも突出部62と一緒に上昇する。そして、図8に示すように重量物Lの下縁部Laと載置面Fとの隙間が所要の大きさg1になると楔体進退機構5の作動を停止する。
(重量物の横押し方法)
次に、楔装置1を使用して重量物Lを横押しする方法について、図9~図11を参照して説明する。この方法では、楔装置1のスライド体6の突出部62を重量物Lの下縁部Laと載置面Fとの間に入れてから、図9に示すようにスライド体6の上面が重量物Lの下縁部Laの下面に当たるまでは、上述の楔装置1を使用して重量物Lの下縁部Laを持ち上げる方法と同じ処理を行う。
楔装置1が図9に示すようにセットされると、図10に実線で示すように、スライド体6の本体61の後端から一番近い位置決め穴42にストッパー7の嵌合部71を嵌めることでストッパー7を楔体4に装着する。
次いで、楔体進退機構5を作動させ、この楔体進退機構5によって楔体4を前方へ押す。そうすると、楔体4は底板3上を滑って前進し、スライド体6の傾斜下面63が楔体4の上面41を後方へ滑ると共にスライド体6が楔体4の傾斜下上面41によって押し上げられ、二点鎖線で示すように、楔体4に装着されているストッパー7の前面がスライド体6の本体61の後端に当接するまで、重量物Lの下縁部Laは上昇する。
ストッパー7の前面がスライド体6の本体61の後端に当接した後は、楔体4と共にスライド体6が前進し、スライド体6の突出部62の前面が重量物Lの下縁部Laの正面に接触した状態で重量物Lが前方へ押されて移動する。そして、図11に示すように、重量物Lが所要位置まで横方向に移動すると、楔体進退機構5の作動を停止する。
(重量物の持ち上げ方法2)
次に、重量物Lの下縁部Laと載置面Fとの隙間gが小さいため、スライド体6の突出部62を重量物Lの下縁部Laの下側に入れることができないとき、この楔装置1を使用して重量物Lの下縁部Laを持ち上げる方法について説明する。
まず、スライド体6の代わりに、図12に示すように上板8を楔体4上に載置し、その楔装置1を載置面F沿いに前進させて、上板8の先端部82を重量物Lの下縁部Laと載置面Fとの隙間gに入れる。そして更に楔装置1を前進させて、重量物Lの下縁部Laが上板8の傾斜部81に当たると楔装置1の前進を止める。
次いで、楔体進退機構5を作動させ、この楔体進退機構5によって楔体4を前方へ押す。この実施形態では、上板8の傾斜部81の下面と楔体4の傾斜した上面41との摩擦係数が、重量物Lの下縁部Laと上板8の傾斜部81の上面との摩擦係数より小さくなっており、楔体進退機構5によって楔体4を前方へ押すと、楔体4は前進し、重量物Lの下縁部Laを載せたまま上板8の傾斜部81の下面が楔体4の傾斜した上面41に沿って、楔体4に対して後方へ滑ると共に、重量物Lの下縁部Laが上昇する。そして重量物Lの下縁部Laと載置面Fとの隙間gが、所要の大きさ達すると、楔体進退機構5の作動を停止する。この状態で重量物Lの下側に、図示しないブロック等の支持台を入れ、この支持台によって重量物Lを支持することで、載置面Fから重量物Lの下縁部Laまでの高さを保持する。その後、図1に示すように上板8の代わりにスライド体6を楔体4の上に載置する。この実施形態の場合、重量物Lの下縁部Laが上板8と共に移動するので傷付きにくい。なお、上板8の傾斜部81の下面と楔体4の傾斜した上面41との摩擦係数を、重量物Lの下縁部Laと上板8の傾斜部81の上面との摩擦係数より小さくするために、例えば上板8の傾斜部81の下面と楔体4の傾斜した上面41との間に油を塗ることができる。また、必要に応じて、重量物Lの下縁部Laと上板8の傾斜部81の上面との摩擦係数より、上板8の傾斜部81の下面と楔体4の傾斜した上面41との摩擦係数の方を大きくしたり、或いは、従来のように予め上板8の後端部を基台2に枢着する等により上板8が後退しないよう拘束したりすることができる。この場合、楔体4の前進に伴い重量物Lの下縁部Laが上板8の上面を後方へ滑ると共に上昇する。
この実施形態によれば、スライド体6は楔体4の上に載置して装着するので、楔体4への着脱が容易であり、上板8との交換も素早く容易に行うことができる。またスライド体6の本体61の前面を重量物Lの下縁部Laの正面に押し当てた状態で楔装置1を押すと、スライド体6は上昇して突出部62の上面が重量物Lの下縁部Laの下面に当接するので、その状態で楔体進退機構5を始動することができ、重量物Lの下縁部Laと突出部62の上面との間に隙間がある状態で、楔体進退機構5を始動して突出部62を重量物Lの下縁部Laに衝突させる場合に比べて、楔装置1を載置面F上に、重量物Lの下縁部Laに対し適正に位置決めして設置することができる。またスライド体6の比較的面積が広い前面を重量物Lの下縁部Laの正面に押し当てて重量物Lを押すことができるので、横押しの際に重量物Lの下縁部Laの正面が傷付くのを抑制することができる。
(第二実施形態)
図13において、楔体4の傾斜した上面41の傾斜角度θを約6.5度として、第一実施形態の楔体4の傾斜角度θより小さくしている。そのため、楔体進退機構5による楔体4を前方に押す力を、第一実施形態に比べて小さくすることができる。またスライド体6は、本体61の前面に階段状に形成した突出部62及び突出部62aを有しており、重量物Lの下縁部Laの下面の高さに応じて、楔体進退機構5による楔体4の前進距離を極力短くするために突出部62及び突出部62aを使い分けることができるようになっている。
(第三実施形態)
図14において、スライド体6の傾斜下面63と突出部62の上面に平行な平面とのなす角度δは、楔体4の傾斜した上面41の傾斜角度θより大きくなっている。そのため、スライド体6を楔体4の上に載置したとき、突出部62の上面は底板3の上面と平行にならず、前方に行くに従い高くなるように傾く。そして突出部62の先端上部の角が、重量物Lの下縁部Laの略水平な下面に線接触する。この実施形態ではδは約16度、θは約11度となっている。重量物が例えば工作機械のように鋼鉄製であり、下面が傷つく恐れが少ない場合、又は多少傷がついても支障のない場合、突出部62の先端上部の角が重量物Lと突出部62の滑り止めとなる。
(第四実施形態)
図15は、本発明の第四実施形態に係る楔装置の楔体4の一例を示し、この楔体4は、楔体進退機構5のピストンロッド52に連結された基部45と、該基部45の前側に配置され、ボルト46により基部45に固定される、前方に向かって下降するよう傾斜した上面を有する楔部47とからなる。この楔装置には、図16、図17に示すように、上面41の底面48に対する傾斜角度が互いに異なる二つの楔部材47、49が予め準備されている。そして重量物を持ち上げる際や横押しする際の重量物の重量や載置面との摩擦状態等の条件に応じて楔部47と楔部49とを取替えて基部45の前側に装着することができる。この実施形態では楔部47の上面41の傾斜角度は約11度、楔部49の傾斜角度は約6.5度であるが、必要に応じて、楔部の上面の傾斜角を他の角度にしてもよく、また上面の傾斜角度が異なる楔部を3個以上準備しておいてもよい。
1…楔装置
2…基台
3…底板;31…補強縁
4…楔体;41…上面;42…位置決め穴;43…側面;45…基部;46…ボルト;
47…楔部;48…孔;49…楔部
5…楔体進退機構;51…シリンダ;52…ピストンロッド;53…接手
6…スライド体;61…本体部;62…突出部;63…傾斜下面;64…案内面
7…ストッパー;71…嵌合部
8…上板;81…傾斜部;82…先端部;83…補強縁
F…載置面
L…重量物;La…重量物の下縁部
θ…楔体の傾斜した上面の傾斜角度
δ…傾斜下面と突出部の上面に平行な平面とのなす角度
実開平4-94309号公報

Claims (5)

  1. 一端が前方へ張り出すように基台に固設した薄肉の底板と、
    前方に向かって下降するよう傾斜した上面、並びに該傾斜した上面に設けた一又は前後方向に並ぶ複数の位置決め穴を有する、前記底板上にスライド可能に設けた楔体と、
    前記楔体を前後方向に押し引きする、前記基台に設けた楔体進退機構と、
    本体の前面下部から前方へ突出した突出部、該突出部並びに前記本体の下側に形成した、前記傾斜した上面に摺接可能な下側傾斜面、及び前記下側傾斜面の両脇に前記楔体の側面に沿うように形成した一対の案内面を有する、前記楔体上に載置するスライド体と、
    前記位置決め穴に抜取り可能に嵌る嵌合部を有する、前記スライド体の後退を阻止するためのストッパーとを備える楔装置。
  2. 請求項1に記載の楔装置であって、更に、
    前記上面を覆うことができる傾斜部、並びに前記底板の一端部に重ねることができる先端部、及び前記傾斜部の幅方向の両側に下向きに形成した一対の補強縁を有し、前記重量物の下縁部と前記載置面との隙間が、前記底板の厚みと前記突出部の厚みの和より小さいとき、前記楔体上に前記スライド体の代わりに載置する薄肉の上板を備える楔装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の楔装置であって、
    前記スライド体は前記本体の前面に階段状に形成した突出部を有する楔装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一に記載の楔装置であって、
    前記突出部の上面は前記載置面に対して前方に行くに従い高くなるように傾いている楔装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一に記載の楔装置であって、
    前記楔体は、前記楔体進退機構に連結された基部と、該基部の前側に配置され、ボルトにより前記基部に固定される、前方に向かって下降するよう傾斜した上面を有する楔部とからなり、前記楔部は、予め準備されている前記上面の傾斜角度が互いに異なる複数の楔部のうちの一つである楔装置。
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