JP2022062349A - 細胞培養容器及び細胞培養システム - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞培養を効率よく行い、収率を向上させること。【解決手段】実施形態に係る細胞培養容器は、細胞が播種される培養面を有する細胞培養容器であって、前記培養面は、所定の数に区分された細胞が離散的に播種される複数の播種領域を有し、前記複数の播種領域は、前記細胞が播種される側に凸部を有する。【選択図】図2

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、細胞培養容器及び細胞培養システムに関する。
iPS細胞(induced Pluripotent Stem cell)や、ES細胞(Embryonic Stem cell)などの幹細胞は、様々な機能を有する細胞への分化能を有するため、再生医療分野や、創薬分野などへの応用が期待されている。このような状況において、幹細胞を効率よく培養して、収率を向上させることが重要となっている。
特開2017-46592号公報 特許第6033980号公報 特許第5936134号公報
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、細胞培養を効率よく行い、収率を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
実施形態に係る細胞培養容器は、細胞が播種される培養面を有する細胞培養容器であって、前記培養面は、所定の数に区分された細胞が離散的に播種される複数の播種領域を有し、前記複数の播種領域は、前記細胞が播種される側に凸部を有する。
図1Aは、一般的な接着培養の一例を説明するための図である。 図1Bは、一般的な接着培養の一例を説明するための図である。 図2は、第1の実施形態に係る細胞培養容器の一例を示す斜視図である。 図3Aは、第1の実施形態に係る凸部の一例を示す図である。 図3Bは、第1の実施形態に係る凸部の一例を示す図である。 図3Cは、第1の実施形態に係る凸部の一例を示す図である。 図3Dは、第1の実施形態に係る凸部の一例を示す図である。 図3Eは、第1の実施形態に係る凸部の一例を示す図である。 図3Fは、第1の実施形態に係る凸部の一例を示す図である。 図3Gは、第1の実施形態に係る凸部の一例を示す図である。 図3Hは、第1の実施形態に係る凸部の一例を示す図である。 図4は、第1の実施形態に係る凸部における平坦領域の一例を示す図である。 図5は、第1の実施形態に係る基部の分割の一例を説明するための図である。 図6は、第1の実施形態に係る細胞培養システムの構成の一例を示す構成図である。 図7Aは、第1の実施形態に係る凸部におけるコーティングの一例を説明するための図である。 図7Bは、第1の実施形態に係る凸部におけるコーティングの一例を説明するための図である。 図7Cは、第1の実施形態に係る凸部におけるコーティングの一例を説明するための図である。 図7Dは、第1の実施形態に係る凸部におけるコーティングの一例を説明するための図である。 図7Eは、第1の実施形態に係る凸部におけるコーティングの一例を説明するための図である。 図8は、第1の実施形態係る細胞培養容器を用いた細胞培養について説明するための図である。 図9Aは、第2の実施形態に係る細胞培養容器の一例を示す斜視図である。 図9Bは、第2の実施形態に係る細胞培養システムの構成の一例を示す構成図である。 図10は、第2の実施形態に係る制御機能による制御の一例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、細胞培養容器及び細胞培養システムの実施形態について詳細に説明する。また、本願に係る細胞培養容器及び細胞培養システムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、実施形態は、内容に矛盾が生じない範囲で他の実施形態や従来技術との組み合わせが可能である。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(第1の実施形態)
本実施形態に係る細胞培養容器は、細胞が播種される培養面を有する細胞培養容器であって、培養面が、所定の数に区分された細胞が離散的に播種される複数の播種領域を有し、複数の播種領域が、細胞が播種される側に凸部を有することによって、細胞培養を効率よく行い、収率を向上させる。
具体的には、本実施形態に係る細胞培養容器は、接着培養によって増殖する細胞の細胞培養容器であり、細胞が接着する培養面に複数の播種領域が形成され、各播種領域に凸部が形成される。そして、各播種領域における凸部の頂端近傍に所定の数の細胞が播種される。すなわち、本実施形態に係る細胞培養容器は、培養面を立体形状とすることで、細胞増殖によって形成されるコロニーの細胞密度の上昇を抑止し、増殖不良及び細胞の死滅の増加を低減させる。また、本実施形態に係る細胞培養容器は、各播種領域に播種する細胞の数を所定の数(例えば、1個)とすることで、状態の良い細胞と状態の悪い細胞とが混在するコロニーの出現率を低下させる。
ここで、一般的な接着培養の一例を説明する。図1A及び図1Bは、一般的な接着培養の一例を説明するための図である。接着培養では、例えば、図1Aの上段の図に示すように、細胞を接着させるためのコーティング剤21によって培養面がコーティングされた細胞培養容器2に対象細胞C1が播種される。なお、図1Aでは、説明の便宜上、単一の対象細胞C1のみを示しているが、実際には、複数の対象細胞C1が細胞培養容器2に播種される。
そして、接着培養においては、対象細胞C1の種類に応じた液体培地22が細胞培養容器2内に注入され、対象細胞C1の種類に応じた培養条件で培養されることで、コロニーを形成させる。なお、液体培地22や培養条件は、例えば、温度、湿度、pH(potential of hydrogen)、浸透圧、酸素分圧、二酸化炭素分圧、ホルモン及び栄養素の濃度などが、対象細胞C1に最適となるように設計される。
その後、定期的な培地交換が行われ、コロニーが所定の状態(例えば、所定のサイズ等)となると、コロニーは、細胞培養容器2から剥離され、凍結されて保存される。ここで、一般的な接着培養では、細胞培養容器2として、シャーレや複数のウェルを有するマイクロプレート等が用いられる。このような細胞培養容器2における細胞培養では、図1Aに示すように、平面方向の増殖によるコロニーの広がりと、上方向の増殖によるコロニーの広がりが生じうる。
このようなコロニーが形成されると、例えば、図1Aの下段の図のコロニーの中心部分(細胞が3層となっている部分)のように、コロニー内で細胞密度が高い部分が生じる場合がある。この場合、コロニー内の細胞密度が高い部分では、例えば、細胞間の圧迫や、培地への接触度合いの低下が要因となり、細胞増殖の不良や、細胞の死滅の増加、死滅した細胞による他の細胞への負の影響などが引き起こされ、コロニー内の細胞の収率に悪影響を及ぼすものと考えられる。
また、一般的な接着培養では、複数の対象細胞が無作為に播種されるため、対象細胞が播種される位置が不規則であり、例えば、図1Bの上段の図に示すように、複数の対象細胞が近接した状態となる場合がある。この場合、例えば、図1Bの下段の図に示すように、対象細胞C1から増殖した細胞群と対象細胞C2から増殖した細胞群とを含むコロニーが形成される可能性がある。このようなコロニーでは、一方から増殖した細胞が状態の良い細胞であっても、他方から増殖した細胞の状態が悪い場合、コロニー全体では状態が悪いものと判断されることとなり、細胞の収率を低下させる一因となりうる。
そこで、本実施形態では、細胞培養容器の培養面を立体形状とすることで、細胞増殖による上方向への広がりを低減させ、コロニーの細胞密度の上昇を抑止する。その結果、本実施形態に係る細胞培養容器は、増殖不良や、細胞の死滅の増加、死滅した細胞による他の細胞への負の影響などが引き起こされることを低減させ、状態の良い細胞の収率を向上させる。また、本実施形態では、各播種領域に播種する細胞の数を所定の数(例えば、1個)とすることで、状態の良い細胞と状態の悪い細胞とが混在するコロニーの出現率を低下させ、状態の良い細胞の収率を向上させる。
以下、本実施形態に係る細胞培養容器の詳細について、例を上げて説明する。図2は、第1の実施形態に係る細胞培養容器1の一例を示す斜視図である。また、図2においては、細胞培養容器1の培養面に形成される凸部の断面図も示す。
例えば、細胞培養容器1は、図2に示すように、基部11と側壁とを有する。なお、図2においては、側壁を点線で示している。基部11は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、その他ポリオレフィン等の樹脂材料等の透明材料によって形成され、細胞が播種される培養面に複数の凸部12が形成される。なお、側壁も基部11と同一の透明材料によって形成される。
複数の凸部12が形成される培養面は、細胞を培養面に接着させるためのコーティング剤21(被膜)によって表面がコーティングされる。すなわち、培養面は、接着性細胞の足場材料が貼付される。ここで、コーティング剤21は、対象細胞の種類に応じて適宜選択される。
ここで、細胞培養容器1は、複数の凸部12がそれぞれ播種領域であり、図2の断面図に示すように、凸部12の頂端近傍に所定の数(例えば、1個)の対象細胞C1が播種される。なお、本実施形態に係る細胞培養容器1を適用可能な対象細胞C1は、接着性細胞であればよく、例えば、幹細胞(ES細胞、iPS細胞、間葉系幹細胞など)や、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞などが挙げられる。
例えば、iPS細胞を対象とする場合、細胞培養容器1は、末梢血由来の単核球に対して、エピソーマルプラスミドベクター又はウイルスベクターによって初期化因子が導入された細胞の細胞培養に適用することができる。すなわち、細胞培養容器1は、iPS細胞の樹立に係る細胞培養の細胞培養容器として適用することができる。
上述したように、本実施形態では、凸部12に対して所定の数(例えば、1個)の対象細胞C1が播種される。そこで、例えば、1個の対象細胞を凸部12に播種する場合、例えば、ゲルなどを用いたマイクロドロップによって対象細胞を調整することもできる。一例を挙げると、iPS細胞を樹立するための細胞を対象細胞とする場合、ゲルなどで作られた微小粒子に末梢血由来の単核球1個を包埋し、微小粒子内で初期化因子を導入させた後、微小粒子を凸部12の頂端近傍に載置する。これにより、凸部12に対して1個の対象細胞C1が播種される。
複数の凸部12は、隣接する凸部12間で適切な間隔となるように、培養面上に形成される。例えば、複数の凸部12は、培養後のコロニーのサイズに基づいて、隣接する凸部12で形成されたコロニーが接触することがないように設定された間隔で形成される。また、複数の凸部12のサイズについても、形成されるコロニーのサイズに基づいて、適宜設計される。なお、複数の凸部12は、基部11と同一の透明材料によって形成されるが、基部11と一体形成される場合でもよく、或いは、基部11と別体で形成されて基部11に付けられる場合でもよい。
上述したように、本実施形態に係る細胞培養容器1は、培養面に凸部12が形成され、凸部12上に所定の数の対象細胞C1が播種される。これにより、細胞培養容器1は、細胞増殖によるコロニーの広がりに対して重力の影響を加えることができ、コロニーの上方向への広がり(重力に反する方向への広がり)を低減させ、コロニーの細胞密度の上昇を抑止することができる。また、細胞培養容器1は、対象細胞C1間の干渉を抑止して、状態の良いコロニーを効率よく獲得することができる。
ここで、本実施形態に係る凸部12は、種々の形態で形成させることができる。図3A~図3Hは、第1の実施形態に係る凸部12の一例を示す図である。なお、図3A~図3Hは、培養面に形成された凸部12の中心を通る断面図を示す。
例えば、凸部12は、図3Aの左図に示すように、中心を通過する断面形状が半円となるように形成される。すなわち、凸部12は、半球形状で形成される。凸部12を図3Aのように形成した場合、細胞分裂によって凸部12上で増殖した細胞には、図3Aの右図に示す滑り力「f=mgsinθ」が働くこととなる。なお、上記式における「f」は、滑り力を示し、「m」は細胞の質量を示し、「g」は重力を示し、「θ」は細胞が位置する半球の中心からの角度を示す。
例えば、凸部12の中央に位置する対象細胞C1に対する滑り力は「f=0」となるが、増殖してコロニーが拡大するにつれて、周辺の細胞は滑り力「f」の力で凸部12の表面に沿った力を受けるため、平面上で増殖する場合よりもコロニーの広がりが容易となり、上方向への細胞の積み重なりの速度を減少させることが可能となる。その結果、細胞培養容器1は、増殖不良や、細胞の死滅の増加、死滅した細胞による他の細胞への負の影響などが引き起こされることを低減させることができる。
なお、滑り力「f」に抵抗する力は、「細胞間の粘力」及び「コーティング剤21に接着する力」である。
また、例えば、凸部12は、図3Bの左図に示すように、中心を通過する断面形状が、培養面の反対側に中心が偏心された半円形状となるように形成される。すなわち、凸部12は、半球の中心を培養面の反対側に偏心させた形状で形成される。凸部12を図3Bのように形成した場合も、細胞分裂によって凸部12上で増殖した細胞には、上記した滑り力「f=mgsinθ」が働くこととなるが、図3Bの右図に示すように中心を偏心させることにより、半球の中心からの角度「θ」の最大角度「θmax」が90°よりも小さくなる。すなわち、凸部12の原点からの角度「φ」が「φ>θ」となり、細胞の位置における「φ」が大きい場合でも、その細胞には、実際にはそれより小さな「θ」の時の滑り力が働くこととなる。したがって、凸部12の偏心の程度を調整することで、細胞にかかる滑り力「f」を制御することができる。
また、例えば、凸部12は、図3Cの左図に示すように、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を短軸とする半楕円形状となるように形成される。すなわち、凸部12は、基部11の平面方向に直交する方向を短軸とする半楕円体形状で形成される。凸部12を図3Cのように形成した場合、図3Cの右図に示すように、水平方向が長軸「a」、鉛直方向が短軸「b」となることで、培養の初期では滑り力を緩やかにし、培養が進行して細胞が周辺に広がるにつれて滑り力を大きくすることができる。
また、例えば、凸部12は、図3Dの左図に示すように、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を短軸とする半楕円形状であり、培養面の反対側に中心が偏心されるように形成される。すなわち、凸部12は、半楕円体の中心を培養面の反対側に偏心させた形状で形成される。凸部12を図3Dのように形成した場合も、図3Cと同様に、培養の初期では滑り力を緩やかにし、培養が進行して細胞が周辺に広がるにつれて滑り力を大きくすることができる。ここで、図3Dに示す凸部12では、図3Dの右図に示すように、偏心させる距離「d」を調整することで、細胞にかかる滑り力をさらに制御することができる。
また、例えば、凸部12は、図3Eの左図に示すように、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を長軸とする半楕円形状となるように形成される。すなわち、凸部12は、基部11の平面方向に直交する方向を長軸とする半楕円体形状で形成される。凸部12を図3Eのように形成した場合、図3Eの右図に示すように、水平方向が短軸「b」、鉛直方向が長軸「a」となることで、培養の初期段階から細胞に対して大きな滑り力がかかるようにすることができる。
また、例えば、凸部12は、図3Fの左図に示すように、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を長軸とする半楕円形状であり、培養面の反対側に中心が偏心されるように形成される。すなわち、凸部12は、半楕円体の中心を培養面の反対側に偏心させた形状で形成される。凸部12を図3Fのように形成した場合も、図3Eと同様に、培養の初期から大きな滑り力を細胞にかけることができる。ここで、図3Fに示す凸部12では、図3Fの右図に示すように、偏心させる距離「d」を調整することで、細胞にかかる滑り力をさらに制御することができる。
また、例えば、凸部12は、図3G及び図3Hに示すように、中心を通過する断面形状が、山型状となるように形成される。ここで、凸部12は、例えば、図3Gに示すように、傾斜部分が直線状になるように形成される。これにより、凸部12の全ての位置において滑り力を均一にすることができる。この場合、凸部12は、円錐や四角椎などの錐体形状で形成される。
また、例えば、凸部12は、図3Hに示すように、傾斜部分が曲線状になるように形成される。凸部12を図3Hのように形成した場合、培養の初期段階の滑り力を大きく、細胞が広がるにつれて、滑り力が小さくなるように制御することができる。なお、図3Hに示す凸部12では、傾斜部分の曲線を調整することで、滑り力のかかり方をさらに制御することができる。
上述したように、凸部12は、種々の形状で形成させることができるが、さらに、頂端近傍に平坦領域を形成させることもできる。図4は、第1の実施形態に係る凸部12における平坦領域の一例を示す図である。なお、図4では、凸部12が山型状で傾斜部分が直線状である場合の例を示すが、平坦領域は上述したいずれの形状の凸部にも適用可能である。また、図4は、培養面に形成された凸部12の中心を通る断面図を示す。
例えば、凸部12は、図4に示すように、頂端部に平坦領域12aが形成される。これにより、凸部12に対する細胞の播種を容易にすることができる。ここで、平坦領域12aは、播種する対象細胞の数に応じて設けられる場合でもよい。例えば、1つの凸部12に対して2個の対象細胞が播種される場合、凸部12は、頂端近傍に2箇所の平坦領域12aが形成される。なお、平坦領域12aの面積は、播種する対象細胞のサイズに基づいて設定される。
また、凸部12は、平坦領域12aの有無にかかわらず、対象細胞C1の播種位置に寒天様の細胞培養床を設けることができる。これにより、細胞の播種を容易にするとともに、凸部12上での対象細胞C1の安定性を向上させることもできる。
上述したように、細胞培養容器1は、培養面に複数の凸部12が形成され、各凸部12が播種領域となる。ここで、細胞培養容器1は、複数の播種領域に基づいて分割可能となるように、基部11を形成させることもできる。すなわち、細胞培養容器1の基部11は、播種領域(凸部12)に基づいて分割可能に形成される。
例えば、細胞培養容器1の基部11は、播種領域(凸部12)ごと、或いは、所定の大きさ(例えば、所定の凸部数)ごとに、スリット(溝)が設けられる。これにより、基部11は、播種領域(凸部12)ごと、或いは、所定の大きさごとに、分割可能となる。
図5は、第1の実施形態に係る基部11の分割の一例を説明するための図である。なお、図5では、細胞培養容器1における側壁が除去された状態を示す。例えば、基部11は、図5に示すように、単一の凸部12を含む播種領域R1ごと、或いは、6つの凸部12を含む播種領域R2ごとに、スリットが設けられる。これにより、基部11は、播種領域R1のサイズ、或いは、播種領域R2のサイズで分割可能となる。
このように、基部11が播種領域(凸部12)に基づいて分割可能に形成されることで、図5に示すように、状態の良いコロニーに注目し、状態の良いコロニーが形成されている播種領域を残し、それ以外を廃棄するように基部11を分割することで、細胞培養容器のサイズを小さくすることができる。
通常、細胞培養は、CO2インキュベータなどの装置内に細胞培養容器が載置され、管理された環境下で行われる。通常の細胞培養容器では、大きさが変化することがないため、細胞培養容器内に状態の良いコロニーが少ない場合でも、培養の期間中、CO2インキュベータ内の一定容積を占有することとなる。
それに対して、本実施形態に係る細胞培養容器1は、例えば、状態の良いコロニーが形成されている播種領域のみを残すように基部11を分割して、分割した基部11を液体培地に入れることで、CO2インキュベータ内で占有する容積を最小限とすることができる。したがって、CO2インキュベータを効率よく利用することができ、状態の良い細胞を短時間でより多く得ることを可能にする。
また、細胞培養容器1では、凸部12に所定の数(例えば、1個)の対象細胞が播種され、培養されることから、対象細胞の分裂サイクル、培養期間、及び、状態の良いコロニーが形成されている凸部12の数に基づいて、状態の良い細胞の数をカウントすることができ、収量を効率よく制御することを可能にする。例えば、細胞培養で目標とする細胞数が100万個である場合に、凸部12に播種した対象細胞の数と、対象細胞の分裂サイクルと、培養期間と、状態の良いコロニーが形成されている凸部12の数とに基づいて、細胞数が100万個に達したか否かを容易に判断することができる。
また、本実施形態にかかる細胞培養容器1は、細胞培養後、分割された基部11ごと凍結保存することができる。例えば、細胞増殖によって形成されたコロニーは、分割された基部11の凸部12から剥離されることなく、極低温窒素ガスが吹き付けられ、凍結される。そして、凍結されたコロニーは、凸部12に接着した状態で、凍結保存される。
通常、平面の培養容器で培養されたコロニーは、スクレイパーなどで力学的に剥離されて、凍結保存される。この方法では、細胞に物理的な力が働き、細胞が損傷し易い。そのため、予想収量に至らなかったり、細胞内物質が流失して拡散したりするなどの負の影響が生じる可能性がある。
一方、本実施形態では、コロニーは、凸部12に接着した状態で凍結されて保存される。したがって、本実施形態では、凍結保存の段階で上記した負の影響が生じることを回避することができる。また、本実施形態では、分割した基部11を凍結保存することにより、細胞培養容器全体で凍結保存する場合よりも、凍結保存に係るコストを大幅に低減させることができる。
なお、凍結保存された細胞は、適切な環境で保管され、使用される際に出荷される。例えば、iPS細胞の樹立に細胞培養容器1が利用された場合、凍結保存されたiPS細胞が、iPS細胞受領側に出荷される。
上述したように、本実施形態に係る細胞培養容器1は、状態の良いコロニーが形成されている播種領域を残し、それ以外を廃棄するように基部11を分割することができるが、状態の悪い細胞(コロニー)を除去するための細胞培養システムを構築することもできる。
図6は、第1の実施形態に係る細胞培養システム100の構成の一例を示す構成図である。細胞培養システム100は、例えば、図6に示すように、カメラ110と、吸引器120と、情報処理装置130とを有する。
カメラ110は、情報処理装置130と接続され、情報処理装置130による制御のもと、細胞培養容器1の培養面のカメラ画像を撮影する。そして、カメラ110は、撮影したカメラ画像を情報処理装置130に送信する。
吸引器120は、吸引ノズル121と、除去ブラシ122とを有し、情報処理装置130と接続される。そして、吸引器120は、情報処理装置130による制御のもと、吸引処理を実行する。例えば、吸引器120は、アスピレータなどにより実現される。
情報処理装置130は、処理回路131と、記憶回路132とを有し、カメラ110及び吸引器120にそれぞれ接続される。なお、図6における情報処理装置130では、処理回路131及び記憶回路132のみが示されているが、実際には、情報処理装置130は、入力インターフェースや、ディスプレイなども備える。
記憶回路132は、処理回路131に接続されており、各種データを記憶する。例えば、記憶回路132は、カメラ110によって撮影されたカメラ画像や、カメラ画像に基づく判定処理にて参照する参照情報、処理回路131が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。例えば、記憶回路132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路131は、入力インターフェースを介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、細胞培養システム100の動作を制御する。例えば、処理回路131は、プロセッサによって実現される。
処理回路131は、記憶回路132によって記憶されたプログラムを読み出して実行することで、取得機能131a、判定機能131b、及び、制御機能131cを実行する。なお、判定機能131bは、判定部の一例である。また、制御機能131cは、制御部の一例である。
取得機能131aは、カメラ110を制御することで、細胞培養容器1の培養面のカメラ画像を取得する。例えば、取得機能131aは、載置台に載置された細胞培養容器1のカメラ画像を撮影するように、カメラ110を制御する。ここで、載置台は、細胞培養容器1を常に一定の位置に固定するための固定機構を有し、載置台に載置された細胞培養容器1は、固定機構によって固定される。
判定機能131bは、細胞培養容器にて培養されている細胞の培養状態を判定する。具体的には、判定機能131bは、カメラ110によって撮影されたカメラ画像に基づいて、細胞培養容器1の各凸部12で増殖している細胞の培養状態をそれぞれ判定する。例えば、判定機能131bは、各凸部12における細胞の培養状態を判定して、凸部12の位置情報(例えば、固定機構によって固定された状態の載置台における座標位置)と対応付けて、記憶回路132に格納する。
一例を挙げると、判定機能131bは、細胞培養容器1の各凸部12を撮影したカメラ画像に基づいて、各凸部12上で形成されたコロニーの形状やサイズなどを計測する。そして、判定機能131bは、計測したコロニーの形状やサイズなどに基づいて、各凸部12で形成されたコロニーの状態の良し悪しを判定する。
ここで、記憶回路132は、判定機能131bの判定処理に用いられる参照情報を記憶する。参照情報は、コロニーの状態ごとにコロニーの形状やサイズなどが対応付けられた情報であり、例えば、状態の良いコロニーの形状及びサイズと、状態の悪いコロニーの形状及びサイズとが、培養期間ごとに対応付けられた情報である。
判定機能131bは、判定処理の対象となるコロニーの培養期間に応じた参照情報を記憶回路132から読み出し、読み出した参照情報と計測したコロニーの形状やサイズとを比較することで、各凸部12で形成されたコロニーの状態の良し悪しを判定する。例えば、判定機能131bは、図6に示すように、状態の良いコロニーを「OK」とし、状態の悪いコロニーを「NG」として判定する。また、判定機能131bは、コロニーが形成されていないものを「不生育」として判定する。
なお、コロニーの状態を判定するための情報は、コロニーの形状及びサイズに限らず、その他種々の情報が用いられる場合でもよい。また、判定機能131bによる判定処理に、機械学習が用いられる場合でもよい。かかる場合には、例えば、コロニーのカメラ画像と、当該コロニーの状態を判別した判別結果とを教師データとして学習済みモデルが生成される。判定機能131bは、カメラ110によって撮影されたカメラ画像を入力データとして学習済みモデルに入力させることで、判別結果を出力させる。
制御機能131cは、細胞の培養状態の判定結果に基づいて、細胞培養容器1から細胞を除去するように制御する。具体的には、制御機能131cは、コロニーの状態を判定した判定結果と凸部12の位置情報とを対応付けた情報を記憶回路132から読み出し、「NG」が対応付けられた凸部12の位置に、除去ブラシ122が先端に取り付けられた吸引ノズルを移動させる。そして、制御機能131cは、除去ブラシ122によって凸部12からコロニーを剥離させ、剥離させたコロニーを吸引ノズル121によって吸引させることで、細胞培養容器1から細胞を除去する。
細胞培養システム100は、培養期間において定期的(例えば、培地交換時など)に上述した判定処理と状態の悪いコロニーの除去を行うことで、対象細胞の生育環境を維持することができる。例えば、「NG」と判定されたコロニーに存在する死細胞や、生育不良の細胞、異質細胞などからは、細胞の正常な増殖に不要な細胞内物質、伝達物質などが発せられている可能性がある。細胞培養システム100は、状態の悪いコロニーを早期に除去することで、このような物質が細胞培養容器1内に拡散することを抑止することができ、細胞の正常な生育に貢献することが可能となる。
上述したように、細胞培養容器1によって形成されたコロニーは、分割した基部11ごと凍結保存され、細胞を用いる際に基部11から剥離される。例えば、凍結保存されたiPS細胞が、iPS細胞受領側に出荷される場合、コロニーが凸部12に接着した状態で出荷され、iPS細胞を分化させるiPS細胞受領側でコロニーが剥離される。
そこで、細胞培養容器1は、接着されたコロニーの剥離を容易にするように、培養面上を種々の形態でコーティングさせることができる。具体的には、凸部12は、細胞を培養面に接着させるためのコーティングが表面の一部に形成される。図7A~図7Eは、第1の実施形態に係る凸部12におけるコーティングの一例を説明するための図である。
例えば、凸部12は、図7Aに示すように、コーティング剤21によるコーティングが表面上に点在するように形成される。一例を挙げると、コーティング剤21は、1つの細胞を10点前後で接着させるように、対象細胞の直径(例えば、10~20μm)に基づいて、サイズ及びコーティング位置が決定され、決定された位置に塗布される。ここで、コーティング位置の分布は、対象細胞のサイズと凸部12の形状に基づいて、各種の配置(例えば、同心円状、格子状など)が設計される。これにより、凍結保存されたコロニーの解凍後の剥離を容易にするとともに、細胞分裂に伴う細胞の移動も容易にすることができる。
また、例えば、凸部12は、図7Bに示すように、コーティング剤21によるコーティングが頂端近傍のみに形成される。一例を挙げると、コーティング剤21は、対象細胞の直径(例えば、10~20μm)に基づいて、サイズが決定され、決定されたサイズで頂端近傍に塗布される。
また、例えば、凸部12は、図7Cに示すように、まずカバー材23(被覆材)によって被覆され、その上面にコーティング剤21が塗布される。ここで、カバー材23は、例えば、セルロース材などである。また、カバー材23の表面に塗布されるコーティング剤21は、図7Cに示すように表面全体の場合でもよく、或いは、図7A及び図7Bに示すように表面の一部の場合でもよい。これにより、例えば、凍結後にカバー材23を凸部12から分離させることで、その後のコロニーの剥離を容易にすることができる。ここで、凸部12の表面にフッ素コートを施すことで、カバー材23の分離をより容易にすることができる。
また、例えば、凸部12は、図7Dに示すように、網目状のカバー材によって被覆され、当該カバー材上にコーティング剤21が塗布される。ここで、カバー材は、例えば、セルロース材などである。また、カバー材の網目の形状は、例えば、矩形パターンや放射状などであり、凸部12の形状に応じて設計される。また、網目のサイズは、対象細胞の直径の数倍~10倍程度の細かさを有するように設計される。これにより、例えば、凍結後にカバー材を凸部12から分離させることで、その後のコロニーの剥離を容易にすることができる。また、凸部12の表面にフッ素コートを施すことで、カバー材の分離をより容易にすることができる。
また、例えば、凸部12は、図7Eに示すように、内部に中空の密閉空間が形成され、密閉空間における気体の体積の変化に伴って形状が変化する複数の凹凸部を表面に有する。一例を挙げると、凸部12は、基部11の内部と連通した中空が内部に形成される。そして、凸部12は、所定の分布で複数の貫通孔が形成される。さらに、凸部12は、図7Eに示すように、内面にシリコンゴム12bが張られ、複数の貫通孔が内側からシリコンゴム12bによって覆われる。
シリコンゴム12bは、密閉空間内の気体の体積の変化に伴って伸縮することで、凸部12の表面上で凸形状及び凹形状を形成する。すなわち、シリコンゴム12bは、密閉空間内の気体の体積の膨張によって、凸部12の表面の複数の貫通孔の位置に微小な凸部を形成する。また、シリコンゴム12bは、密閉空間内の気体の体積の収縮によって、凸部12の表面の複数の貫通孔の位置に微小な凹部を形成する。
ここで、複数の貫通孔は、図7Aで説明したコーティング剤の分布或いは図7Dで説明したカバー材の網目のサイズの細かさと同様の分布で、凸部12に設けられる。また、シリコンゴム12bは、図7Eに示すように、複数の貫通孔から露出している表面にコーティング剤21が塗布される。
このように伸縮性のシリコンゴム12bによって凸部12に凹凸部が形成される細胞培養容器1は、例えば、対象細胞の培養温度で凸部12の表面に微小な凸部を形成させる程度の体積の気体が密閉空間内に封入される。これにより、培養中は図7Eの上段の図に示すように、微小な凸部の表面に塗布されているコーティング剤21が細胞と接することとなり、対象細胞を定着させることができる。
一方、コロニー形成後の凍結において、極低温の窒素ガスの吹き付けによって密閉空間内の気体が冷却されて体積が収縮すると、図7Eの下段の図に示すように、シリコンゴム12bが収縮して凸部12の表面に微小な凹部を形成することとなる。その結果、細胞に接着されていたシリコンゴム12bの表面が外れ、コロニーの剥離を容易にすることができる。ここで、複数の貫通孔以外の凸部12の表面に対してフッ素コートを施すことで、コロニーの剥離をより容易にすることができる。
また、凸部12が図7Eに示す構造を有する場合、凍結処理前に密閉空間内を減圧させてシリコンゴム12bを収縮させ、微小な凹部を形成させることで、細胞に弾力があるうちに凸部12から細胞を剥離させ、凍結するようにしてもよい。なお、上記した例では、凸部12の内面に伸縮性のあるシリコンゴム12bを張りつける場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、伸縮性があり、かつ、細胞の培養を阻害しない材料であれば、どのようなものが用いられてもよい。
上述したように、凸部12は、種々の形態のコーティング剤21が塗布されるが、コーティング剤21が塗布されていない表面領域に対して、細胞の接着性を低下させる処置が施される場合でもよい。例えば、図7A及び図7Bに示す凸部12において、コーティング剤21が塗布された領域以外の領域に対して、フッ素コートを施したり、非接着性のコーティング剤が塗布されたりする場合でもよい。或いは、コーティング剤21が塗布された領域以外の領域に微小な凹部を設けることで、細胞の接着性を低下させる場合でもよい。
上述したように、第1の実施形態によれば、培養面が所定の数に区分された細胞が離散的に播種される複数の播種領域を有する。複数の播種領域は、細胞が播種される側に凸部を有する。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、細胞増殖によって形成されるコロニーの細胞密度の上昇を抑止し、増殖不良及び細胞の死滅の増加を低減させることで、細胞培養を効率よく行い、収率を向上させることを可能にする。
以下、本実施形態に係る細胞培養容器1を用いた細胞培養について、図8を用いて説明する。図8は、第1の実施形態係る細胞培養容器1を用いた細胞培養について説明するための図である。ここで、図8においては、対象細胞の直径を「d」の剛体と仮定した場合について示す。また、図8では、細胞間の粘着を「fr」とし、細胞の培養面への粘着を「fs」として説明する。
例えば、細胞の重心が変わらない仮定した場合の最初の分裂では、図8の2段目の図に示すように、2つの細胞の細胞中心は「(d/2)×2=直径程度」離れることとなる。さらに、2回目の分裂では、図8の3段目の図に示すように、分裂した細胞が外側に「d」の距離だけ広がっていく。
そして、3回目の分裂では、図8の4段目の図に示すように、中心付近の細胞から分裂した細胞は水平方向へ広がることが困難となり、上方向へ広がっていき始める。このとき、本実施形態に係る細胞培養容器1のように培養面の凸部12で培養されていると、図8の4段目の図に示すように、周辺の細胞は、「f=mgsinθ」の滑り力で斜め下に引っ張られているため、粘着力「fr」及び粘着力「fs」とのバランスで、面積が広がる方向へ誘導される。その結果、コロニーの中心部分の密度が粗となり、中心付近の細胞の上方向への分裂が抑えられ、コロニーの細胞密度の上昇を抑止することができる。
また、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、凸部12に対して所定の数(例えば、1個)の対象細胞が播種されることから、細胞の収量を容易に制御することができ、細胞培養を効率よく行い、収率を向上させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、複数の播種領域は、凸部12の頂端近傍に細胞が播種される。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、凸部12の傾斜を利用して、細胞増殖時の広がりを面積が広がる方向へ誘導することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、凸部は、半球形状で形成されている。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、凸部12上の細胞に滑り力を働かせることができる。
また、第1の実施形態によれば、凸部12は、中心を通過する断面形状が、培養面の反対側に中心が偏心された半円形状となるように形成されている。また、凸部12は、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を短軸とする半楕円形状となるように形成されている。また、凸部12は、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を短軸とする半楕円形状であり、培養面の反対側に中心が偏心されるように形成されている。また、凸部12は、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を長軸とする半楕円形状となるように形成されている。また、凸部12は、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を長軸とする半楕円形状であり、培養面の反対側に中心が偏心されるように形成されている。また、凸部12は、中心を通過する断面形状が、山型状となるように形成されている。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、細胞にかかる滑り力を種々変化させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、凸部12は、細胞を培養面に接着させるための被膜が表面の一部に形成されている。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、細胞培養によって形成されたコロニーの剥離を容易にすることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、凸部12は、内部に中空の密閉空間が形成され、密閉空間における気体の体積の変化に伴って形状が変化する複数の凹凸部を表面に有する。複数の凹凸部(シリコンゴム)は、細胞を培養面に接着させるための被膜が形成されている。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、密閉空間内の気体の体積の変化を用いて、凸部12からコロニーを剥離させることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、凸部12は、頂端近傍に平坦領域12aが形成されている。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、対象細胞の播種を容易にすることを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、培養面を含む基部11は、複数の播種領域の区分に基づいて分割可能に形成されている。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、細胞培養に係るコストを低減することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、コーティング剤21は、凸部12の表面に点在して形成されている。また、コーティング剤21は、凸部12の頂端近傍のみに形成されている。また、培養面は、カバー材によって被覆され、当該カバー材上に細胞を接着させるためのコーティングが形成されている。また、凸部12は、網目状のカバー材によって被覆され、当該カバー材上に細胞を接着させるためのコーティングが形成されている。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養容器1は、コロニーの剥離を容易に行うことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、判定機能131bは、細胞培養容器1にて培養されている細胞の培養状態を判定する。制御機能131cは、細胞の培養状態の判定結果に基づいて、細胞培養容器1から細胞を除去するように制御する。したがって、第1の実施形態に係る細胞培養システム100は、細胞の生育環境を維持することを可能にする。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、培養面の各播種領域に凸部12を有する細胞培養容器1について説明した。第2の実施形態では、播種領域の面積を変化可能な細胞培養容器について説明する。図9Aは、第2の実施形態に係る細胞培養容器1aの一例を示す斜視図である。
例えば、細胞培養容器1aは、図9Aに示すように、基部11aと側壁とを有する。基部11aは、伸縮可能なシリコンゴム等の軟質材料によって形成され、細胞が播種される培養面に複数の播種領域R3が設けられる。なお、側壁も基部11aと同一の軟質材料によって形成される。
そして、基部11aは、表面にコーティング剤21が塗布される。コーティング剤21が塗布された後、各播種領域R3は、所定の数に区分された細胞が離散的に播種される。すなわち、各播種領域R3は、所定の数の細胞がそれぞれ播種される。例えば、播種領域R3は、第1の実施形態で説明したものと同様に、所定の数(例えば、1個)の対象細胞が播種される。なお、播種領域R3のサイズは、形成されるコロニーのサイズに基づいて、適宜設計される。
上述したように、細胞培養容器1aは、伸縮可能な材料によって形成されており、以下で説明する細胞培養システムによって、播種領域の面積が制御される。図9Bは、第2の実施形態に係る細胞培養システム200の構成の一例を示す構成図である。細胞培養システム200は、例えば、図9Bに示すように、カメラ210と、ピン制御機構221と、情報処理装置230とを有する。
また、細胞培養容器1aは、図9Bに示すように、底面にピン222が設けられる。具体的には、細胞培養容器1aは、播種領域R3の区分に応じたピン222が設けられる。例えば、ピン222は、各播種領域R3の境界にそれぞれ設けられる。
カメラ210は、情報処理装置230と接続され、情報処理装置230による制御のもと、細胞培養容器1aの培養面のカメラ画像を撮影する。そして、カメラ210は、撮影したカメラ画像を情報処理装置230に送信する。
ピン制御機構221は、情報処理装置230と接続され、情報処理装置230による制御のもと、細胞培養容器1aの底面に設けられたピン222の位置を移動させる。
情報処理装置230は、処理回路231と、記憶回路232とを有し、カメラ210及びピン制御機構221にそれぞれ接続される。なお、図9Bにおける情報処理装置230では、処理回路231及び記憶回路232のみが示されているが、実際には、情報処理装置230は、入力インターフェースや、ディスプレイなども備える。
記憶回路232は、処理回路231に接続されており、各種データを記憶する。例えば、記憶回路232は、カメラ210によって撮影されたカメラ画像や、カメラ画像に基づく判定処理にて参照する参照情報、処理回路231が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。例えば、記憶回路232は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路231は、入力インターフェースを介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、細胞培養システム200の動作を制御する。例えば、処理回路231は、プロセッサによって実現される。
処理回路231は、記憶回路232によって記憶されたプログラムを読み出して実行することで、取得機能231a、判定機能231b、及び、制御機能231cを実行する。なお、判定機能231bは、判定部の一例である。また、制御機能231cは、制御部の一例である。
取得機能231aは、カメラ210を制御することで、細胞培養容器1aの培養面のカメラ画像を取得する。例えば、取得機能231aは、載置台に載置された細胞培養容器1aのカメラ画像を撮影するように、カメラ210を制御する。
判定機能231bは、細胞培養容器にて培養されている細胞の培養状態を判定する。具体的には、判定機能231bは、カメラ210によって撮影されたカメラ画像に基づいて、細胞培養容器1aの各播種領域R3で増殖している細胞の培養状態をそれぞれ判定する。例えば、判定機能231bは、各播種領域R3における細胞の培養状態を判定して、播種領域R3の位置情報と対応付けて、記憶回路232に格納する。ここで、判定機能231bによる細胞の状態の判定は、第1の実施形態に係る判定機能131bと同様に行うことができる。
制御機能231cは、細胞の培養状態の判定結果に基づいて、播種領域R3のサイズを変化させるように制御する。具体的には、制御機能231cは、「OK」と判定された播種領域R3の面積を広げるように、ピン制御機構221を制御する。例えば、制御機能231cは、「OK」と判定された播種領域R3の面積を広げる方向へ、底面に設けられたピン222を移動させる。
図10は、第2の実施形態に係る制御機能231cによる制御の一例を示す図である。例えば、制御機能231cは、図10に示すように、4×4の播種領域のうち、細胞の状態が良いと判定された播種領域(OKで示す領域)について、面積を拡大するように、ピン222の位置を移動させる。これにより、第2の実施形態に係る細胞培養システム200は、状態の良い細胞を優先して、増殖させることができる。
上述したように、第2の実施形態によれば、細胞が播種される培養面を有する細胞培養容器1aは、培養面が、所定の数に区分された細胞が離散的に播種される複数の播種領域R3を有する。培養面全体が伸縮可能な材質で形成されている。したがって、第2の実施形態に係る細胞培養容器1aは、培養面の面積を変化させることを可能にする。
また、第2の実施形態によれば、判定機能231bは、細胞培養容器1aにて培養されている細胞の培養状態を判定する。制御機能231cは、細胞の培養状態の判定結果に基づいて、播種領域のサイズを変化させるように制御する。したがって、第2の実施形態に係る細胞培養容器1aは、状態の良い細胞を優先して、コロニーのサイズに応じた培養面の面積に調整することを可能にする。
(その他の実施形態)
これまで第1及び第2の実施形態について説明したが、上述した第1及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
また、上述した実施形態では、処理回路131、231が有する各処理機能について説明した。ここで、例えば、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路132、232に記憶される。処理回路131、231は、各プログラムを記憶回路132、232から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路131、231は、図6又は図9Bに示した各処理機能を有することとなる。
なお、図1では、単一の処理回路131、231によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路131、231は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路131、231が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
また、上述した各実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、細胞培養を効率よく行い、収率を向上させることができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1、1a 細胞培養容器
11、11a 基部
12 凸部
12a 平坦領域
12b シリコンゴム
21 コーティング剤
23 カバー材
131b、231b 判定機能
131c、231c 制御機能

Claims (20)

  1. 細胞が播種される培養面を有する細胞培養容器であって、
    前記培養面は、所定の数に区分された細胞が離散的に播種される複数の播種領域を有し、
    前記複数の播種領域は、前記細胞が播種される側に凸部を有する、
    細胞培養容器。
  2. 前記複数の播種領域は、前記凸部の頂端近傍に前記細胞が播種される、請求項1に記載の細胞培養容器。
  3. 前記凸部は、半球形状で形成されている、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  4. 前記凸部は、中心を通過する断面形状が、前記培養面の反対側に中心が偏心された半円形状となるように形成されている、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  5. 前記凸部は、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を短軸とする半楕円形状となるように形成されている、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  6. 前記凸部は、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を短軸とする半楕円形状であり、前記培養面の反対側に中心が偏心されるように形成されている、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  7. 前記凸部は、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を長軸とする半楕円形状となるように形成されている、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  8. 前記凸部は、中心を通過する断面形状が、鉛直方向を長軸とする半楕円形状であり、前記培養面の反対側に中心が偏心されるように形成されている、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  9. 前記凸部は、中心を通過する断面形状が、山型状となるように形成されている、請求項1又は2に記載の細胞培養容器。
  10. 前記凸部は、前記細胞を前記培養面に接着させるための被膜が表面の一部に形成されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の細胞培養容器。
  11. 前記凸部は、内部に中空の密閉空間が形成され、前記密閉空間における気体の体積の変化に伴って形状が変化する複数の凹凸部を表面に有し、
    前記複数の凹凸部は、前記細胞を前記培養面に接着させるための被膜が形成されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の細胞培養容器。
  12. 前記凸部は、頂端近傍に平坦領域が形成されている、請求項1~11のいずれか1つに記載の細胞培養容器。
  13. 前記培養面を含む基部は、前記複数の播種領域の区分に基づいて分割可能に形成されている、請求項1~12のいずれか1つに記載の細胞培養容器。
  14. 前記被膜は、前記凸部の表面に点在して形成されている、請求項10に記載の細胞培養容器。
  15. 前記被膜は、前記凸部の頂端近傍のみに形成されている、請求項10に記載の細胞培養容器。
  16. 前記培養面は、被覆材によって被覆され、当該被覆材上に前記細胞を接着させるための被膜が形成されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の細胞培養容器。
  17. 前記凸部は、網目状の被覆材によって被覆され、当該被覆材上に前記細胞を接着させるための被膜が形成されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の細胞培養容器。
  18. 請求項1~17のいずれか1つに記載の細胞培養容器と、
    前記細胞培養容器にて培養されている細胞の培養状態を判定する判定部と、
    前記細胞の培養状態の判定結果に基づいて、細胞培養容器から細胞を除去するように制御する制御部と、
    を備える、細胞培養システム。
  19. 細胞が播種される培養面を有する細胞培養容器であって、
    前記培養面は、所定の数に区分された細胞が離散的に播種される複数の播種領域を有し、
    前記培養面全体が伸縮可能な材質で形成されている、
    細胞培養容器。
  20. 請求項19に記載の細胞培養容器と、
    前記細胞培養容器にて培養されている細胞の培養状態を判定する判定部と、
    前記細胞の培養状態の判定結果に基づいて、前記播種領域のサイズを変化させるように制御する制御部と、
    を備える、細胞培養システム。
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