JP2022058560A - 光透過性に優れた生物材料を調製するための組成物およびその利用 - Google Patents

光透過性に優れた生物材料を調製するための組成物およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】光透過性に優れた生物材料を調製するための組成物およびその利用に関するものであって、処理が簡便で、またハイスループット且つ低倍率でのイメージングに適した透明化技術を提供する。【解決手段】脂質除去能を有する化合物、生体色素脱色能を有する化合物、脱灰能を有する化合物、屈折率調整能を有する化合物、および組織膨潤能を有する化合物のうちの少なくとも1つを含んでいる溶液を用いる透明化技術。【選択図】なし

Description

本発明は、光透過性に優れた生物材料を調製するための組成物およびその利用に関する。
近年、組織内遺伝子発現、細胞内局在、細胞形態の高度な観察を行うために、透明化試薬を用いて組織の光透過性を高める前処理(透明化処理)が行われており、種々の透明化試薬および前処理方法が開発されている。
例えば、非特許文献1および非特許文献2には、ベンジルベンゾエート/ベンジルアルコール(benzylbenzoate/benzylalchol(BABB法))を用いた透明化処理技術が開示されている。BABB法は、有機溶媒を用いた古典的な組織透明化方法であり、シート照明マクロズーム顕微鏡に適用する透明化サンプルを作製する方法として応用されている。
非特許文献3には、フルクトースを用いて屈折率の調整を行う技術(SeeDB法)が開示されている。処理の間に生じる生体組織の変化を最小限に抑えることを主目的としているため、分子レベルの構造、膜構造、および軸索の形状等がほぼ完全に保たれている。そして、2光子顕微鏡および最適化したレンズを用いることによって全脳レベルの観察が可能である。
非特許文献4および特許文献1には、水溶性試薬を用いることによって蛍光シグナルの消失を最小限に抑えることに成功した技術(Scale法)が開示されている。この技術も処理の間に生じる生体組織の変化を最小限に抑えることを主目的としており、主に神経科学における神経軸索の観察およびアルツハイマー病組織のアミロイド班の検出などの利用を目的としている。
非特許文献5には、電気泳動装置を用いた物理化学的な方法によって透明化を行う技術(CLARITY法)が開示されている。CLARITY法は、アクリルアミドポリマーを用いて固めた脳組織を、電気泳動装置を用いて物理化学的に処理して脂質成分を除去することによって透明化を実現する。組織内の分子レベルの構造が保たれた状態で、高度な透明化が約2週間で実現する。蛍光タンパク質ラベリングおよび免疫染色のいずれにも適応可能である。
非特許文献6には、CLARITY法における電気泳動装置を用いた物理化学的な方法の難解さを改良し、CLARITY法で用いられているSDS(界面活性剤)溶液の潅流により透明化を行う技術(PACT法、PARS法)が開示されている。
非特許文献7には、CLARITY法における電気泳動装置を用いた物理化学的な方法の難解さを改良し、CLARITY法で用いられているSDS(界面活性剤)溶液を高温で処理することにより透明化を行う技術(SWITCH法)が開示されている。
国際公開第2012/161143号公報
Hans-Ulrich Dodt et al."Ultramicroscopy: three-dimensional visualization of neuronal networks inthe whole mouse brain" Nature Methods vol.4 no.4: 331-336 (2007) Klaus Becker et al."Chemical Clearing and Dehydration of GFP Expressing Mouse Brains"PLoS ONE vol.7 issue 3: e33916 (2012) Meng-Tsen Ke et al. "SeeDB:a simple and morphology-preserving optical clearing agent for neuronal circuitreconstruction" advance online publication (published online 23 June 2013) Hiroshi Hama et al. "Scale:a chemical approach for fluorescence imaging and reconstruction of transparentmouse brain" Nature Neuroscience vol.14 no.11: 1481-1490 (2011) Kwanghun Chung et al."Structural andmolecularinterrogation of intact biological systems"Nature vol.497: 332-339 (2013) Bin Yang et al. "Single-CellPhenotyping within Transparent Intact Tissue through Whole-Body Clearing"Cell vol.158: 945-958 (2014) Evan Murray et al. "Simple,Scalable Proteomic Imaging for High-Dimensional Profiling of IntactSystems" Cell vol.163: 1500-1514 (2015)
しかしながら、非特許文献1および非特許文献2に記載のBABB法では、脱水処理および有機溶剤処理に起因して蛍光タンパク質の消退が激しく、シグナルの検出が短期間で不可能となる。また、一般的に有機溶剤は安全面での懸念がある。
非特許文献3に記載のSeeDB法は、全脳レベルの観察が可能であるもののスキャンニングに数日間を要する。また、2光子顕微鏡での利用が想定されているため、処理された組織(特に成体脳)の透明度は、シート照明系の顕微鏡に適応し得るほど高くない。
非特許文献4に記載のScale法は、共焦点顕微鏡および2光子顕微鏡での利用が想定されているため、処理された組織(特に成体脳)の透明度は、シート照明系の顕微鏡に適応し得るほど高くない。
非特許文献5に記載のCLARITY法、ならびに非特許文献6に記載のPACT法およびPARS法は、工程が煩雑でありかつ専用のデバイスを必要とするため、多サンプルの適応に向いていない。
非特許文献7に記載のSWITCH法は、界面活性剤を用いた高温での処理を必要とするため蛍光タンパク質の消退が激しい。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、処理が簡便で、またハイスループット且つ低倍率でのイメージングに適した透明化技術を提供することを主目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らは種々の独自の観点に基づいた大規模なスクリーニングを行った。その結果、生物材料の透明化を行い得る複数の化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る組成物は、光透過性に優れた生物材料を調製するため組成物であって、以下の(A)~(E)のうちの少なくとも1つ:
(A)高い脂質除去能を有する化合物
(B)N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンよりも高い脱色活性を示す化合物
(C)EDTAと酸と塩基との組み合わせ
(D)水に対して60wt%以上溶解し、且つ、60~80wt%の範囲内の少なくとも1点の濃度の水溶液における屈折率が1.47~1.50の範囲内である化合物
(E)尿素よりも高い膨潤活性を示す化合物
を含んでいる溶液であることを特徴とする。
本発明に係る方法は、光透過性に優れた生物材料を調製する方法であって、上記の(A)~(E)のうちの少なくとも1つを含んでいる溶液を、生物材料に浸潤させる工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る光透過性に優れた生物材料は、上記の(A)~(E)のうちの少なくとも1つを含んでいる溶液が浸潤していることを特徴とする。
本発明は、化学的な処理をベースにした技術であり、特殊なデバイスの使用および手技の煩雑さがない。さらに、本発明は、多サンプルのハイスループットな解析を可能とするレベルにまで高度な透明化を簡便な処理により実現することができる。
本発明の実施例における、脱脂活性と化合物カテゴリとの相関を示す図である。 本発明の実施例における、脱脂活性とpHとの相関を示す図である。 本発明の実施例における、マウス半脳の透明化と脱脂効率を示す図である。 本発明の実施例における、マウス半脳の透明度とリン脂質含量との相関を示す図である。 本発明の実施例における、10wt% #0070+10wt% ケミカルによるヒト脳白質の透明化の比較を示す図である。 本発明の実施例における、10wt% #0070+10wt% 界面活性剤によるヒト脳白質の透明化の比較を示す図である。 本発明の実施例における、EGFPの蛍光強度とpHとの相関を示す図である。 本発明の実施例における、塩基性ケミカルによるマウス半脳の透明度の比較を示す図である。 本発明の実施例における、10wt% #0414+10wt% ケミカルによるマウス腎臓の透明化および脱脂効率を示す図である。 本発明の実施例における、#0414カクテルによるEGFPの消光効率を示す図である。 本発明の実施例における、10wt% #0414+10wt%TritonX-100によるマウス全脳の透明化を示す図である。 本発明の実施例における、マウス脾臓の脱色効率を示す図である。 本発明の実施例における、EDTAカクテルによるマウス大腿骨の透明化およびGFPに対する蛍光消光を示す図である。 本発明の実施例における、ハイドロキシアパタイト懸濁液の可溶化試験を示す図である。 本発明の実施例における、EDTA+♯0414カクテルによるハイドロキシアパタイト懸濁液の可溶化におけるpH依存性を示す図である。 本発明の実施例における、EDTA+♯0414カクテルによるハイドロキシアパタイト懸濁液の可溶化における温度依存性およびEDTA濃度依存性を示す図である。 本発明の実施例における、10wt%EDTA+塩基性ケミカルによる脱灰活性比較を示す図である。 本発明の実施例における、各種屈折率調整剤によるマウス腎臓の透明化を示す図である。 本発明の実施例における、各種屈折率調整剤によるマウス肺の透明化を示す図である。 本発明の実施例における、ゼラチンを用いた膨潤スクリーニングにおける上位化合物を示す図である。 本発明の実施例における、膨潤活性試薬♯1352による脱脂処理後脳の膨潤を示す図である。 本発明の実施例における、♯0640+♯1352混合溶液による透明化膨潤脳を示す図である。 本発明の実施例における、マウス肝臓およびヒト脳白質を含む組織の透明化を示す図である。 本発明の実施例における、マウス脳組織の透明化を示す図である。 本発明の実施例における、脱脂処理組織の屈折率調整を示す図である。 本発明の実施例における、マウス臓器および全身の透明化を示す図である。 本発明の実施例における、ヒト組織の透明化を示す図である。 本発明の実施例における、ヒト脳組織の透明化を示す図である。 本発明の実施例における、マーモセット脳の透明化を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔1.組成物〕
本発明は、光透過性に優れた生物材料を調製するための組成物を提供する。本発明に係る組成物は、後述の(A)~(E)のうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)を含んでいる溶液であることを特徴とする。
本発明において使用される場合、用語「光透過性」は、入射光に対して透過光がどの程度通過するか、または励起光照射による蛍光がどの程度通過し、また散乱が低いかの程度をいい、「光透過性に優れた」という表現は、一例として、観察対象への入射光に対する観察対象からの出射光(すなわち透過光)の割合が高いことをいう。光透過性は、例えば、入射光に対する透過光の割合について、光を遮断する物質(例えば黒色の厚みのあるプラスチックまたは金属など)の場合を0%とし、水のような透明な液体の場合を100%として、百分率で表わすことができる。一実施形態に係る光透過性に優れた生物材料において、入射光に対する透過光の割合は、分光測色計を用いて測定した光透過率が40%以上であり、好ましくは、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、または99%以上である。
本発明の適用対象となる生物材料の種類は特に限定されないが、植物由来の材料または動物由来の材料が好ましく、魚類、両生類、爬虫類、鳥類または哺乳類(哺乳動物)等の動物由来の材料がより好ましく、哺乳動物由来の材料が特に好ましい。また、哺乳動物の種類は特に限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒトを除く霊長類(マーモセット等)等の実験動物;イヌ、ネコ等の愛玩動物(ペット);ウシ、ウマ等の家畜;ヒト;が挙げられる。
また、生物材料は、個体そのものであってもよく(生きているヒト個体そのものは除く)、多細胞生物の個体から取得した器官、組織、体液(例えば、血液、唾液、血清、血漿、尿、滑液、髄液等)あるいは細胞であってもよい。生物は成体であってもよいし、胎仔であってもよい。本発明に係る組成物は優れた透明化処理能力を有するので、生物材料が、多細胞動物由来の組織または器官(例えば、骨、脳、心臓、肺、肝臓、脾臓または腎臓の全体またはその一部)、あるいはヒトを除く多細胞動物の個体(例えば、胚、成体等)そのものであっても透明化処理を適用可能である。また、生物材料は、パラホルムアルデヒド等で固定化処理された材料であってもよく、固定化されていない材料であってもよい。
生物材料は、具体的には例えば、蛍光性化学物質を注入した生体組織、蛍光性化学物質で染色を行った生体組織、蛍光タンパク質を発現した細胞を移植した生体組織、または蛍光タンパク質を発現した遺伝子改変動物の生体組織等であってもよい。
本発明を用いれば、生物材料の光透過性を顕著に高めることができるので、ハイスループットでイメージングを可能とする。具体的には、
・蛍光タンパク質、蛍光物質のシグナルの消失が最小限に抑制される。
・多サンプル(数十個~数百個)を同時に並行して処理することができる。
・シート照明顕微鏡との併用が実現する程度に高度な透明化が実現する。
・組織領域の構築に対する影響を最小限に抑制することができる。
・成体のような、大きく且つ多様な組織からなるサンプルに対しても、効果的に透明化を実現する。
さらに、本発明に係る組成物を用いる透明化処理は、ある程度まで可逆的である。具体的には、透明化処理後の生物材料を、平衡塩類溶液に浸漬するだけで、透明化状態を解除し、保存、免疫組織化学的アッセイ、または生化学的アッセイ等の用途に使用することが可能である。平衡塩類溶液とは、具体的には例えば、PBS、HBSSなどリン酸塩によって緩衝液化された平衡塩類溶液;トリス塩酸塩によって緩衝液化された平衡塩類溶液(TBS);人口脳脊髄液(ACSF);MEM、DMEM、およびHam’s F-12などの細胞培養用の基礎培地;等が挙げられる。透明化処理の前後においてタンパク質等の抗原性が変化されることなく保存されるため、通常の組織染色、および免疫染色の手法を用いた分析が可能である。
((A)脱脂除去能を有する化合物)
本発明に係る組成物に含まれ得る(A)の化合物は、脂質除去能を有する化合物である。(A)の化合物は、一例において、高い脂質除去能を有する。
(A)の化合物は、一実施形態において、実施例に記載の方法で測定した際の混合溶液のOD600が0.336以下の化合物である。(A)の化合物は、別の実施形態において、例えば、ポリエーテル、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アミン、アミノアルコール、多価アルコール、界面活性剤様芳香族エーテル、およびピリジンのうちの少なくとも1つである。組織内への浸透性の高さの観点では、アミンおよびポリアルコールが好ましく、アミンがより好ましい。
アミンは、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、および第4級アミンの何れであってもよい。また、化合物中に含まれるアミン基の数は、1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上であり得る。アミンの炭化水素部分は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよいし、環状であってもよい。アミンの炭化水素部分は、飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。また、ベンゼン環等の芳香環を有していてもよい。アミンの炭化水素部分の炭素数は特に限定されないが、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、または2~8個であり得る。
(A)の化合物のより具体的な一例として、表1に記載の化合物およびその類似体が挙げられる。一例において、表1の#0070(1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)およびその類似体が好ましい。#0070の類似体としては、例えば、ビス(アミノアルキル)シクロアルキルが挙げられる。アミノアルキル基におけるアルキルの炭素数は特に限定されないが、例えば、1~8個であり得、好ましい一例では1個である。また、シクロアルキル部分におけるアルキルの炭素数は特に限定されないが、例えば、3~8個であり得、好ましい一例では6個である。また、2つのアミノアルキル基が結合する位置は特に限定されず、1,2-、1,3-、または1,4-であり得る。表1に記載の化合物およびその類似体の中では、安価であり且つ臭気が少ないという観点から、表1の#0070(1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)が好ましい。
また、(A)の化合物は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。一実施形態において、(A)の化合物は、ポリエーテル、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アミン、アミノアルコール、多価アルコール、界面活性剤様芳香族エーテル、およびピリジンのうちの複数種類の組み合わせであり得る。一例において、アミンと界面活性剤とを組み合わせることが好ましい場合がある。好ましいアミンと界面活性剤との組み合わせとしては、例えば、#0070と#0631との組み合わせ、#0070とSDSとの組み合わせが挙げられ、なかでも#0070と#0631との組み合わせがより好ましい。
また、生物材料が蛍光タンパク質を含む場合、pHが5~12、好ましくは7~11の化合物を用いることが好ましい。なかでも、透明度の観点からは、♯0389および♯0414が好ましく、♯0414がより好ましい。♯0414は、さらに他の化合物と組み合わせてもよく、好ましい組み合わせとしては、♯0414とTriton X-100との組み合わせ、♯0414とTween-40との組み合わせ、♯0414と#1051との組み合わせ、♯0414と#0694との組み合わせ、♯0414とスクロースとの組み合わせ等が挙げられ、なかでも♯0414とTriton X-100との組み合わせがより好ましい。
組成物における(A)の化合物の濃度は、特に限定されないが、例えば、5~60wt%であることが好ましく、10~40wt%であることがより好ましく、15~30wt%であることがさらに好ましい(2種類以上含む場合は合計値)。一例において、アミンと界面活性剤とを組み合わせる場合、アミンを10~20wt%、界面活性剤を5~10wt%とすることができる。
((B)生体色素脱色能を有する化合物)
本発明に係る組成物に含まれ得る(B)の化合物は、生体色素脱色能を有する化合物である。(B)の化合物は、一例において、高い生体色素脱色能を有する。
(B)の化合物は、一実施形態において、アミノアルコール(N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン)よりも高い脱色活性を示す化合物である。脱色活性は、例えば、実施例に記載の方法で測定することができる。
(B)の化合物は、別の実施形態において、例えば、アルキルイミダゾール、ホスフィン、界面活性剤、アミン、ピリジン、アミノアルコール、アルコール、ベンジルアミド、およびピラゾロンのうちの少なくとも1つである。
(B)の化合物のより具体的な一例として、表2に記載の化合物およびその類似体が挙げられる。一例において、(B)の化合物は、蛍光タンパク質の蛍光を保持するものが好ましく、そのような化合物としては、表2に記載の#0441、#0470、#0484、#0635、#0651、#0938、#1283およびそれらの類似体が挙げられる。
蛍光タンパク質の蛍光を保持し、且つ、高い脱色活性を示す観点から、#0651、#0938、およびそれらの類似体が好ましく、#0938およびそれらの類似体がより好ましい。
#0938の類縁体としては、アルキルイミダゾール類に包含される化合物が挙げられる。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよいし、環状であってもよい。アルキル基は、飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~8個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、または1~2個であり得る。また、アルキル基の結合位置は特に限定されないが、好ましくは1位(1-アルキルイミダゾール)である。安価である観点では、1-メチルイミダゾールが好ましい。
(B)の化合物は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
組成物における(B)の化合物の濃度は、特に限定されないが、例えば、5~40wt%であることが好ましく、5~30wt%であることがより好ましく、10~20wt%であることがさらに好ましい(2種類以上含む場合は合計値)。
(B)の化合物は、一例において、ヘムとの親和性が高く、タンパク質を破壊せずにヘモグロビンからヘムを脱離させることができ得る。
((C)脱灰能を有する化合物)
本発明に係る組成物に含まれ得る(C)の化合物は、脱灰能を有する化合物である。(C)の化合物は、一例において、高い脱灰能を有する。
(C)の化合物は、一実施形態において、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)と酸と塩基との組み合わせである。EDTAと酸と塩基とを組み合わせることにより、効率的に脱灰を行い得る。また、一例において、蛍光タンパク質のシグナルの消失が最小限に抑制される。
酸としては、例えば、ハロゲン化モノカルボン酸、ヒドロキシモノカルボン酸、脂肪属モノカルボン酸、アルキルアミノモノカルボン酸、アセチルアミノモノカルボン酸、その他モノカルボン酸、ジカルボン酸、リンゴ酸、チオジカルボン酸、酒石酸、マロン酸、その他ジカルボン酸、多価カルボン酸、糖類、テトラフルオロホウ酸塩、ホスホン酸類、スルホン酸類、ハイドロカーボン、アミン類の酸塩、および芳香族アミンの酸塩が挙げられる。一例において、酸は、組織損傷の観点から、pHが2.0以上であることが好ましい。
より具体的な酸としては、表4に記載の化合物が挙げられる。また、表4に記載の化合物の中で、好ましい酸としては、実施例におけるScore値が0.9以下の化合物が挙げられる。また、表4に記載の化合物の中で、より好ましい酸としては、#1165および#1300が挙げられる。酸は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
塩基としては、一例において、脱脂除去能を有する化合物が好ましい。塩基として具体的には、上記(A)で説明した脱脂除去能を有する塩基(アミン、アミノアルコール、およびピリジン)が挙げられ、これらの中で、好ましくはアミノアルコールであり、より好ましくは#0414およびその類似体である。#0414の類似体としては、N-アルキルジアルコールアミンが挙げられる。N-アルキルジアルコールアミンにおけるアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分枝状であってもよいし、環状であってもよい。N-アルキルジアルコールアミンにおけるアルキル基は、飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。N-アルキルジアルコールアミンにおけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、例えば、1~8個であり得、好ましい一例では4個である。2つのアルコール部分の炭素数は、特に限定されず、また互いに同じでも異なっていてもよいが、例えば、1~8個であり得、好ましい一例では2個である。塩基は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
塩基としては、別の一例において、イミダゾール類縁体が好ましく、#1352がより好ましい。その他にも、#1278(4-メチルモルホリン)等のヘテロ環状アミン、および#0370(2-アミノ-6-メチルピリジン)も好ましいものとして挙げられる。
(C)を含む溶液のpHは、6~11であることが好ましく、7~9であることがより好ましく、8付近であることがさらに好ましい。
(C)を含む溶液におけるEDTA濃度は、特に限定されないが、5~25wt%であることが好ましく、7.5~20wt%であることがより好ましく、10wt%付近であることがさらに好ましい。(C)を含む溶液における酸の濃度は、特に限定されないが、5~25wt%であることが好ましく、7.5~20wt%であることがより好ましく、10wt%付近であることがさらに好ましい。(C)を含む溶液における塩基の濃度は、特に限定されず、溶液のpHが目的のpHとなるような濃度とすればよい。(C)を含む溶液の調製方法の一例では、EDTAと酸とを含む溶液に塩基を添加する。
((D)屈折率調整能を有する化合物)
本発明に係る組成物に含まれ得る(D)の化合物は、屈折率調整能を有する化合物である。(D)の化合物は、一例において、高い屈折率調整能を有する。
(D)の化合物は、一実施形態において、水に対して60wt%以上溶解し、且つ、60~80wt%の範囲内の少なくとも1点の濃度の水溶液における屈折率が1.47~1.50の範囲内である化合物である。
(D)の化合物は、別の実施形態において、例えば、ベンジルアミン、ピリジン、アミン、ベンジルアミノアルコール、ヒドラジン、およびチオ尿素のうちの少なくとも1つである。
(D)の化合物のより具体的な一例として、表3に記載の化合物およびその類似体が挙げられる。収縮を抑制する観点において、(D)の化合物は、塩を含まない化合物であることが好ましい。そのような化合物としては、表3に記載の#0370、#0389、#0587、#0609、#0640、#1102、#1283、およびこれらの類似体が挙げられる。また、これらの化合物の中で、より高い透明度が達成され得る観点では、#0587、#0640、#1102、#1283、およびこれらの類似体が好ましく、#0587およびこれらの類似体がより好ましい。
また、表3に記載の化合物およびその類似体において、蛍光タンパク質の蛍光を保持する観点では、#0640、#0450、#1283、#0864、#1052、#0788、#0389、およびこれらの類似体が好ましい。
さらに、より高い透明度が達成され得る観点で、#0640と#1283との組み合わせ、#0640とニコチンアミド(#0855)との組み合わせ、およびHistodenzと#1283との組み合わせも好ましい。
(D)の化合物は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
組成物における(D)の化合物の濃度は、一例において、屈折率が1.47~1.53となる濃度であることが好ましく、具体的には、例えば、50~90wt%であることが好ましく、60~85wt%であることがより好ましく、70~80wt%であることがさらに好ましい(2種類以上含む場合は合計値)。上記に列挙した具体的な組み合わせにおいては、例えば、前者を40~50wt%、後者を25~35wt%とすることが好ましい。
((E)組織膨潤能を有する化合物)
本発明に係る組成物に含まれ得る(E)の化合物は、組織膨潤能を有する化合物である。(E)の化合物は、一例において、高い組織膨潤能を有する。
(E)の化合物は、一実施形態において、尿素よりも高い膨潤活性を示す化合物である。膨潤活性は、例えば、実施例に記載の方法で測定することができる。
(E)の化合物としては、例えば、図20に記載の化合物、イミダゾール誘導体およびアンチピリン類縁体が挙げられる。
(E)の化合物は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
組成物における(E)の化合物の濃度は、特に限定されないが、例えば、5~40wt%であることが好ましく、5~30wt%であることがより好ましく、5~25wt%であることがさらに好ましい(2種類以上含む場合は合計値)。
(B)の化合物は、一例において、生物材料の形状を維持しつつ体積を4~10倍に膨張させ得る。
(組み合わせ)
1つの組成物中に(A)~(E)のうちの複数が含まれていてもよい。
一例において、組成物は(A)および(E)の少なくとも何れか一方を必須に含むことが好ましい。生物材料が血液またはミオグロビン等の生体色素を豊富に含む場合、組成物は(B)を含んでいることが好ましい。また、生物材料が骨組織を含む場合、組成物は(C)を含んでいることが好ましい。
(溶媒)
本発明に係る組成物に使用される溶媒の種類は、上述した有効成分を溶解し得る限り特に限定されないが、水を主溶媒として用いることが好ましく、水のみを溶媒として用いることが特に好ましい。なお、本発明において、「水を主溶媒として用いる」とは、使用される全溶媒に占める水の体積の割合が他の溶媒と比較して最も多いことを指し、好ましくは使用される全溶媒の体積の合計の50%を超え100%以下の量の水を用いることを指す。また、水を主溶媒として用いて調製された本発明に係る組成物を、水溶液としての試薬と称する。
なお、水を主溶媒として用いた場合には、例えば、固定化した標本にはジメチルスルホキシド(DMSO)を水と混合し用いてもよい。例えば固定化した標本にDMSOを混合して用いれば、生物材料に対する試薬の浸透性の向上、および角質表面を有する組織の透明化処理促進等の効果が期待される。
溶媒として水を用いる主な利点は、以下のとおりである:
1)本発明に係る組成物の有効成分は水への溶解性に優れているため、本発明に係る組成物の調製が容易かつ低コストとなる;
2)有機溶媒を主溶媒として用いる場合と比較して、透明化処理時に処理対象となる生物材料の脱水を伴わない。そのため、生物材料が収縮するという問題を抑制可能となる;
3)有機溶媒を主溶媒として用いる場合と比較して、蛍光タンパク質に損傷を与える可能性が著しく低減される。そのため、透明化処理を受けた生物材料を、蛍光タンパク質を用いて観察可能となる;
4)固定化された材料に限定されず、生材料の透明化処理に適用可能となる;
5)透明化処理が可逆的となり、透明化処理後の生体試料を必要に応じて透明化処理前の状態に戻すことができる;
6)有機溶媒を主溶剤として用いる場合と比較して、取り扱いの安全性がより高くなる。
また、本発明に係る組成物は、透明化処理の対象となる生物材料に好適なpHの維持が可能な緩衝液であってもよい。さらに、本発明に係る組成物は、透明化処理の対象となる生物材料の変形を招来せず、かつ生物材料内に有効成分が充分に浸透する程度に、その浸透圧が調整されていてもよい。
(さらなる任意成分)
本発明に係る組成物において、溶液は、必要に応じて、さらなる任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、pH調整剤、および浸透圧調整剤等が挙げられる。
〔2.方法〕
本発明は、光透過性に優れた生物材料を調製する方法を提供する。本発明に係る方法は、上述の(A)~(E)のうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)を含んでいる溶液を、生物材料に浸潤させる工程(浸潤工程)を含むことを特徴とする。溶液については、上記で説明したとおりである。
また、本発明に係る方法は、一実施形態において、(A)~(E)のうちの少なくとも1つを含んでいる溶液(第一溶液)を、生物材料に浸潤させる工程(第一浸潤工程)と、(A)~(E)のうちの別の少なくとも1つを含んでいる溶液(第二溶液)を、生物材料に浸潤させる工程(第二浸潤工程)とを含んでいてもよく、さらに、(A)~(E)のうちのさらに別の少なくとも1つを含んでいる溶液(第三溶液)を、生物材料に浸潤させる工程(第三浸潤工程)、(A)~(E)のうちのさらに別の少なくとも1つを含んでいる溶液(第四溶液)を、生物材料に浸潤させる工程(第四浸潤工程)、および(A)~(E)のうちのさらに別の少なくとも1つを含んでいる溶液(第五溶液)を、生物材料に浸潤させる工程(第五浸潤工程)、のうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)を含んでいてもよい。
(浸潤工程)
浸潤工程では、(A)の化合物による脱脂、(B)の化合物による脱色、(C)の化合物による脱灰、(D)の化合物による屈折率調整、および(E)の化合物による膨潤のうちの少なくとも1つが行われる。すなわち、本発明に係る方法は、(A)の化合物による脱脂工程、(B)の化合物による脱色工程、(C)の化合物による脱灰工程、(D)の化合物による屈折率調整工程、および(E)の化合物による膨潤工程のうちの少なくとも1つ(1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)を含む。複数の工程を含む場合、それらの工程は、別々に行われてもよいし、2つ以上が同時に行われてもよい。
脱脂工程に供された生物材料は、光散乱物質(主に脂質)が除去されて、優れた光透過性を示す。そのため、脱脂工程は、脂質を多く含有している生物材料(例えば、脂質を多く含有している器官または組織)を透明化する場合において特に効果的な工程である。脱脂工程は、例えば、25~45℃において1~10日程度行えばよい。
脱色工程に供された生物材料は、生体色素(主に血液中のヘモグロビン)が脱色されて、優れた光透過性を示す。そのため、脱色工程は、血液を透明化する場合、および血液を多く含有している生物材料(例えば、血液を多く含有している器官または組織)を透明化する場合において特に効果的な工程である。脱色工程は、例えば、25~45℃において1~5日程度行えばよい。
脱灰工程に供された生物材料は、カルシウムを多く含有している組織(骨および歯など)が脱灰されて、優れた光透過性を示す。そのため、脱灰工程は、カルシウムを多く含有している生物材料(例えば、カルシウムを多く含有している器官または組織)を透明化する場合において特に効果的な工程である。脱灰工程は、例えば、25~45℃において3~10日程度行えばよい。
屈折率調整工程に供された生物材料は、液体成分とタンパク質等の生体分子との屈折率が近くなっているため、優れた光透過性を示す。そのため、あらゆる生物材料に対して効果的な工程である。屈折率調整工程は、例えば、25~37℃において1~4日程度行えばよい。
膨潤工程に供された生物材料は、膨潤しているため、優れた光透過性を示す。また、光学解像度も向上する。そのため、あらゆる生物材料に対して効果的な工程である。膨潤工程は、例えば、10~35℃において1~7日程度行えばよい。
各工程の順序は、特に限定されないが、5つ全てを行う場合には、下記(1)→(2)→(3)の順に行うことが好ましい。
(1)脱脂工程、脱色工程
(2)脱灰工程、膨潤工程
(3)屈折率調整工程
(1)において、脱脂工程と脱色工程とは別々に行ってもよいし、同時に行ってもよい。一例において、脱脂工程に用いる(A)の化合物と脱色工程に用いる(B)の化合物とが部分的にまたは全部が共通しており、同時に行うことができる。あるいは、(A)の化合物と(B)の化合物とを混合して同時に行ってもよい。また、別々に行う場合には、どちらを先に行ってもよいが、脱脂工程を先に行うことが好ましい。(2)において、脱灰工程と膨潤工程との順序は特に限定されず、どちらを先に行ってもよい。
5つの工程のうちの少なくとも1つを行わない場合も、上記の順序に従うことが好ましい。
(さらなる任意工程)
本発明に係る方法では、任意のタイミングで、生物材料を洗浄する工程(洗浄工程)を行ってもよい。洗浄工程は、例えば、浸潤工程を開始する前、各浸潤工程の合間、および/または浸潤工程を終了した後等のタイミングで行うことができる。洗浄は、例えば、PBSまたは蒸留水等を用いて行えばよい。また、洗浄は、各洗浄工程につき、例えば、1~5回行えばよい。
本発明に係る方法では、任意のタイミングで、透明化された生物材料を、例えば、室温または低温環境下で保存してもよい(透明化試料保存工程)。その場合、生物材料は、乾燥を防ぐために、上記溶液またはPBS等の平衡塩類溶液に浸漬した状態で保存することが好ましい。
本発明に係る方法は、本発明以外の透明化方法と組み合わせてもよい。例えば、脱脂工程および脱色工程を本発明の方法で行い、屈折率調整を本発明以外の透明化方法(例えば、SeeDB法)で行ってもよい。
透明化された生物材料は、例えば、光学顕微鏡によって観察する工程(観察工程)に供される。観察工程に供される生物材料は、必要に応じて、本発明の透明化処理を施す前に、または透明化処理後で観察工程前に、染色またはマーキング等の可視化処理工程が施されてもよい。例えば、可視化処理工程に蛍光タンパク質を用いる場合には、透明化処理の前に、生きた生物材料に対して蛍光タンパク質遺伝子を導入して、蛍光タンパク質を発現させる。また、可視化処理工程として、蛍光性化学物質(蛍光タンパク質は除く)の生物材料への注入、または蛍光性化学物質を用いた生物材料の染色を行う場合には、透明化処理の前に行うことが好ましいが、透明化処理の後に行うこともできる。さらに、可視化処理工程として、蛍光性化学物質以外の化学物質を用いた染色を行うこともできる。
観察工程は、あらゆる種類の光学顕微鏡を用いて行うことができる。例えば、観察工程は、シート照明顕微鏡、二光子レーザー顕微鏡、および/または共焦点顕微鏡等を用いて行うことができる。本発明の方法は、特に、低倍率での多サンプルのハイスループットな解析に好適に適用することができる。
〔3.キット〕
本発明はまた、光透過性に優れた生物材料を調製するための組成物を含むキットを提供する。
本明細書中において使用される場合、用語「キット」は、特定の材料(例えば構成成分)を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュなど)を備えた包装が意図される。キットは、各材料を使用するための指示書を備えていることが好ましい。本明細書中においてキットの局面において使用される場合、「備えた(備えている)」は、キットを構成する個々の容器のいずれかの中に上記材料が内包されている状態が意図される。また、本発明に係るキットは、複数の異なる組成物を1つに梱包した包装であってもよく、上記組成物は、溶液形態の場合、複数の異なる容器中に内包されていてもよい。本発明に係るキットは、その複数の構成要素を同一の容器に混合して備えていても別々の容器に備えていてもよい。「指示書」は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD-ROMなどの電子媒体に付されていてもよく、キットの用途を実現するための手順が記載されている。本発明に係るキットはまた、希釈剤、溶媒、洗浄液またはその他の試薬を内包した容器を備えていてもよい。さらに、本発明に係るキットは、キットの用途を実現するための手順を実行するために必要な器具および試薬を備えていてもよい。
一例において、キットは、上述の組成物を複数備えていてもよい。例えば、脱脂工程と脱色工程を別個に行う場合には、キットは、(A)を含んでいる組成物と(B)を含んでいる組成物とを備え得る。一実施形態において、キットは、(A)を含んでいる組成物と(B)を含んでいる組成物と(C)を含んでいる組成物と(D)を含んでいる組成物と(E)を含んでいる組成物とのうちの少なくとも2つ(2つ、3つ、4つ、または5つ)を備えている。また、別の実施形態において、キットは、(A)~(E)のうちの少なくとも2つ(2つ、3つ、4つ、または5つ)を含んでいる組成物と(A)~(E)のうちの別の少なくとも1つ(1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)を含んでいる組成物とを少なくとも備えている。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2016-092025号の明細書および図面に記載される内容を取り入れるものとする。さらに本明細書で引用した全ての刊行物および特許をそのまま参照として本明細書に取り入れるものとする。
〔1.透明化試薬の探索〕
1619種類の水溶性化合物のライブラリを対象に、透明化に求められる(A)脂質除去能、(B)生体色素の脱色能、(C)脱灰能、(D)屈折率調整能、および(E)組織膨潤能の5つのパラメータのそれぞれについて、良好な化合物をハイスループットに評価するための実験手法を開発した。
(A.脂質除去能)
文献:Susaki et al., Cell, 157, 726-739,2014.に記載の固定脳組織可溶化アッセイ法を用いて、1619種類の水溶性化合物のライブラリから脂質除去能を有する化合物をスクリーニングした。
具体的には、摘出したマウス脳をカッターナイフを用いて剪断し、更に超音波破砕した。これらの懸濁液に対して等体積量の8%PFA溶液を加えて、4℃で1時間固定した。遠心操作により上清を除去し、PBSで3回洗浄し、1脳当たり2mLになるようにPBSを加えて固定脳組織懸濁液を得た。1/3.5に希釈した懸濁液20μLに対して、10wt%ケミカルを130μL加えて37℃終夜振盪させた後、これらの混合溶液の600nmにおける吸光度(濁度)を計測した。固定脳懸濁液の濁度が低下するケミカル溶液は、散乱因子となる脳組織内の脂質を可溶化することで光の散乱を低減させることが期待できる。濁度低下に寄与する上位50ケミカルを化学的性質から分類した結果、界面活性剤、アミノアルコール、脂肪族性アミン、およびピリジンが効果的であることが示された(表1、図1)。また、固定脳懸濁液の濁度低下は、溶液のpHと相関しており、塩基性であるほど濁度低下が著明となった(図2)。
次いで、一連の化合物の哺乳類組織に対する脂質除去効率を検討した。マウス半脳に対して10wt%ケミカル溶液を3日間37℃で処理し、PBS洗浄後、CUBIC-2A(22.5wt%スクロース、22.5wt%アンチピリン、25wt%尿素、10wt%トリエタノールアミン)により屈折率調整を行った。脳組織の透過率を測定後、PBS洗浄を行い、組織を破砕し、懸濁液の脂質量(リン脂質量およびコレステロール量)を定量した(図3)。その結果、残留リン脂質量と組織の透過度との間に高い相関が観測された(図4)。すなわち、リン脂質量が低減すればするほど、組織の透明度が上昇していることを意味している。この結果より、脂質の除去が透明度に寄与することを直接的に実証した。重要なことに、♯1035、♯1455、♯1460およびTriton X-100に代表される界面活性剤と比較して、アミノアルコールおよび脂肪族性アミンなどの塩基性のケミカル、ならびに♯1051などの一部の中性ケミカルでは高度に脱脂および透明化が進行した。このことから、上述の塩基性のケミカルおよび一部の中性ケミカルは、界面活性剤と比較して、組織内への浸透性という観点においてより優れていることが示された。得られた塩基性のケミカルのうち、価格および試薬の臭気などの観点から、♯0070(1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)が選択された。
♯0070をベースに脱脂活性が最大化するように相乗的に脱脂に寄与する組み合わせの検討を行った(図5)。ヒト脳白質小片に対して、10wt%♯0070+10wt%ケミカルのカクテルにより4日間37℃で処理し、PBS洗浄後、CUBIC-2Aにより屈折率調整を行った。その結果、界面活性剤であるSDSとの組み合わせが、組織の損傷を伴わずに高度な透明化を実現する観点において最も優れていることがわかった。
さらに、最適な界面活性剤を探索するために、様々な10wt% ♯0070+10wt%界面活性剤のカクテルを調製し、ヒト脳白質に対する透明化を比較した(図6)。その結果、10wt%♯0070+10wt% ♯0631のカクテルが最適な組み合わせであることが分かった。
代表的な蛍光タンパク質であるEGFPの蛍光は、37℃においてpHが12以上では消光されることが示された(図7)。したがって、pHが11~12の塩基性ケミカルに限定して、マウス半脳の透明度の比較を行った(図8)。マウス半脳に対して10wt%ケミカル溶液を3日間37℃で処理し、PBS洗浄後、CUBIC-2Aにより屈折率調整を行った。これらの結果から♯0389および♯0414が選択されたが、その後様々な検討を重ねた結果、臓器の透明度は♯0414の方が優れていたことから、♯0414(N-ブチルジエタノールアミン)が高効率な脱脂ケミカルとして選択された。
続いて♯0414をベースに脱脂活性が最大化するように相乗的に脱脂に寄与する組み合わせの検討を行った(図9)。マウス腎臓に対して、10wt%♯0414+10wt%ケミカルのカクテルにより1日間37℃で処理し、PBS洗浄後、CUBIC-2Aにより屈折率調整を行った。その結果、Triton X-100との組み合わせが脱脂活性および透明度共に最適であることが示された。さらに、♯0414+Triton X-100のカクテルは様々な混合比において、EGFPの消光を誘発しないことが示された(図10)。マウス全脳に対して、10wt%♯0414+10wt% Triton X-100カクテルにより3日間37℃で処理し、PBS洗浄後、CUBIC-2Aにより屈折率調整を行った。その結果、従来のCUBIC-1試薬に比べて飛躍的に透明度および脱脂効率の向上が確認された(図11)。
(B.生体色素脱色能)
ウシ凝固血液に対して各種化合物水溶液を混合後、上清に回収されたヘムの吸光度を計測することで脱色能を評価するハイスループットなスクリーニング系を構築した。これを用いて、1619種類の水溶性化合物のライブラリから生体色素脱色能を有する化合物をスクリーニングした。
具体的には、ウシの血液に対して等量の8%PFA溶液を混合し、4℃で終夜反応させた。混合液を1500×gで5分間遠心してPFAを含む上清を廃棄し、初期体積のPBSを加えて凝固血液サンプルを調製した。各種10wt%化合物水溶液150μLに対して、凝固血液サンプル50μLを加えて、37℃で終夜反応させた。反応液を1500×gで5分間遠心した後に、上清100μLをプレートに加えて吸光度を測定した。水に溶解せずに懸濁したサンプルは脱色効果が弱いにも関わらず吸光度が高い値を示すため、散乱の指標としてOD720、ヘムの溶出の指標としてOD420を計測し、OD420-OD700を各ケミカルの脱色活性として定義し、既に脱色活性を示すことが分かっているアミノアルコール(N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン)よりも高い脱色活性群を同定した(表2)。このスクリーニングにより、脱色活性が顕著な化合物群として、アルキルイミダゾールおよびピリジニウム塩を代表とする界面活性剤、ならびにアルキルアミンなどの塩基類が同定された。
一連の化合物の哺乳類組織に対する脱色効率を検討するために、マウス脾臓に対してEGFPの消光を誘発しない各種10wt%ケミカル溶液を37℃で終夜処理した後に、上清のOD420を測定し、臓器の透過写真を撮影した(図12)。その結果、#0938(1-エチルイミダゾール)が最も高いマウス脾臓の脱色活性を示した。この試薬は、1g当たり176円と高価であるため、脱色活性が同等な代替品として1-メチルイミダゾールを用いることとした(1g当たり25.8円)。ヘムはヘモグロビンにおいて、酸素とヒスチジンに配位されて結合している。1-アルキルイミダゾールはヒスチジンと類似の骨格を有しているため、ヘムに対する親和性が高いと予想され、強い脱色活性を示したと考えられる。一方、1位の窒素原子がアルキル化されていないイミダゾールでは脱色活性がほとんど観察されなかったことから、1位の窒素原子のアルキル化がヘムに対する親和性を向上させていると考えられる。
(C.脱灰能)
1619種類の水溶性化合物のライブラリから脱灰活性を有する化合物を包括的にスクリーニングするために、骨組織の主成分であるハイドロキシアパタイトを用いたスクリーニング系を構築した。ハイドロキシアパタイト(200mg/mL)を40v/v%グリセロールに懸濁させて各種化合物水溶液に混合後、濁度を計測した。具体的には、200mg/mLのハイドロキシアパタイト40v/v%グリセロール懸濁液を96wellプレートリーダーに20μLずつ分注し、各種試薬を130μLずつ加えて37℃で終夜振盪および撹拌した。その後、OD600を計測することで脱灰活性の評価を行った。水で処理したときのOD600の値をScore1.0としたときの各種化合物水溶液のScore値を算出した。Score値が0に近い程、脱灰活性が強いケミカルであることを示している。脱灰は一般的に塩酸および硝酸などの強酸によって速やかに進行することが知られているが、これらの条件下では蛍光タンパク質のシグナルを観察することはできない。一方、中性域のEDTAは蛍光タンパク質のシグナルを保持することはできるものの強酸に比べて脱灰能が弱く、長時間の脱灰操作が必要となる。本発明において、中性域のEDTAと組み合わせて飛躍的に脱灰活性を示す溶液の開発を行った。スクリーニングの結果、pHが2.0を下回るとほとんどの化合物においてScoreが0になった。そこで、pHが2.0以上の化合物群を構造式の特徴毎にソートしたリストを表4に示した。これらの化合物のグループ中、Score値の低い化合物を枠囲みで示した。
これらの化合物が脱灰に有効であるかを検証するために10wt%EDTA+10wt%脱灰候補化合物の混合溶液を脱脂試薬としての有用性が見出された♯0070液によりpH7~8に中和したカクテルを調製した。マウス大腿骨に対して、NaOHによりpH7~8に調整したEDTA-Na液、またはEDTA-脱灰候補化合物-♯0070液で処理した後に、大腿骨の透光度変化を計測した(実験は独立して2回行った)。その結果、従来のEDTA-Na液に比べて、EDTA-脱灰候補化合物-♯0070液の方が飛躍的に脱灰活性を示すことを発見した(図13)。また、GFPに対する消光も全く確認されなかった。図13の結果から、EDTA-#1165-♯0070液、およびEDTA-#1300-♯0070液が最も効果的な脱灰試薬であることが示された。
次に、pH調整に用いた塩基ケミカルの最適化の検討を試みた。大腿骨を用いた実験系では実験誤差が大きいので、より詳細にEDTAによる脱灰活性の最適化を行うために、ハイドロキシアパタイトを用いた評価系による検討を行った。具体的には、60または200mg/mLのハイドロキシアパタイト40v/v%グリセロール懸濁液を96wellプレートリーダーに20μLずつ分注し、各種試薬を130μLずつ加えて37℃で終夜振盪および撹拌した。その後、OD600を計測することで脱灰活性の評価を行った。10wt%EDTAに対して、脱脂試薬としての有用性が見出された♯0070、♯0390、♯0414、♯1027、♯1439、および♯1456に代表される塩基性アミンを用いてpH8程度に中和したカクテルを用いて、10wt%EDTA-♯0414が最も効果的に脱灰作用を示した(図14)。
10wt%EDTAを♯0414で中和したカクテル(EDTA-♯0414)、および10wt% ♯0414をEDTAで中和したカクテル(♯0414-EDTA)の脱灰活性に対するpH依存性を調べたところ、pH8付近において従来のEDTA-NaOH溶液に比べて顕著な脱灰活性が確認された(図15)。温度依存性およびEDTA濃度依存性を検討したところ、高温であればあるほど脱灰活性が強く、EDTA濃度はおよそ10wt%程度が最大の脱灰活性を示した(図16)。これらの条件を元に水酸化ナトリウムで周辺組織を溶解させたマウス大腿骨の透明化を行ったところ、効率よく脱灰が進行した。
さらに、ハイドロキシアパタイトを用いた評価系により塩基ケミカルの包括的な探索を行った。具体的には、150mg/mLのハイドロキシアパタイト40v/v%グリセロール懸濁液を96wellプレートリーダーに20μLずつ分注し、各種試薬を130μLずつ加えて37℃で終夜振盪および撹拌した。その後、OD600を計測することで脱灰活性の評価を行った。10wt%EDTAに対して、pH11以上の塩基性ケミカルを用いてpH8程度に中和したカクテルにより脱灰処理を行った(図17)。相対的な脱灰活性を比較した結果、イミダゾール類縁体が他のカテゴリよりも優位に脱灰活性が高く、なかでも#1352(イミダゾール)による中和カクテルが最も高い脱灰を示した。その他では、ヘテロ環状アミンの#1278(4-メチルモルホリン)による中和カクテルおよびピリジン骨格の#0370(2-アミノ-6-メチルピリジン)による中和カクテルが高い脱灰活性を示した。
(D.屈折率調整能)
一般に水溶液の屈折率は溶質の濃度に依存して上昇することが知られており、個々の試薬により単位重量当たりの屈折率は異なっている。したがって、高屈折率水溶液を調製するために求められる性質は、(1)水溶性が極めて高いこと、(2)低濃度の水溶液で屈折率が高い溶剤であること、の2点である。1619種類の水溶性化合物のライブラリから(2)に該当する試薬を網羅的に探索するために、各種10wt%化合物水溶液の589nmにおける屈折率を測定し、屈折率の高い化合物をスクリーニングした。さらにその中から水溶性の高い化合物を選別するために、60~80wt%水溶液を調製し、屈折率が1.47~1.50の化合物群を同定した(表3)。
収縮を抑制する観点から、これらの化合物群の中から塩を含まない7種類の化合物に対して屈折率調整の効果を比較検討した。具体的には、8週齢の雄性マウスの腎臓を、10wt%♯0414+10wt% Triton X-100混合溶液中で37℃で4日間振盪させた後、PBSで洗浄を行った。さらに1/2倍に希釈した高屈折率溶液中で37℃で終夜振盪させ、次いで原液の高屈折率溶液中でさらに37℃で終夜振盪させた後、透過画像および組織の透光度を測定した(図18)。なお、比較として、CUBIC-2A溶液、70wt% Histodenz溶液、および70wt%スクロース溶液を用いた。その結果、既に報告されている高濃度Histodenz溶液および高濃度スクロース溶液に比べて、♯0587、♯0640、♯1102、および♯1283の透明度が、臓器の見た目および透光度共に高い結果を得た。
続いて、これらのケミカルのカクテルによる高度な屈折率調整剤の探索を目的として、各種46wt%/30wt%混合溶液を調整した。8週齢の雄性マウスの肺を10wt% ♯0414+10wt% Triton X-100混合溶液中で37℃で4日間振盪させた後、PBSで洗浄を行った。さらに1/2倍に希釈した高屈折率溶液中で37℃で終夜振盪させ、次いで原液の高屈折率溶液中でさらに37℃で終夜振盪させた後、透過画像および組織の透光度を測定した(図19)。その結果、何れも良好な透明度を達成したが、なかでも46wt%#0640+30wt%#1283、46wt%#0640+30wt%ニコチンアミド(#0855)、および46wt% Histodenz+30wt%#1283が、最も高い透明度を達成した。
(E.組織膨潤能)
組織に対して膨潤を引き起こすことで、組織の透明度を上げることができることが一般に知られている。脳の膨潤収縮とゼラチンの膨潤収縮の挙動とが高い相関を示すことを確認し、ゼラチンを用いるスクリーニング系を確立した。9%のゼラチン水溶液と0.8%パラホルムアルデヒド溶液とを混合し、混合された溶液を96ウェルプレート上に200μL分注したのちに4℃で16時間インキュベートした。固まったゼラチンプレートに対して、1619種類の水溶性化合物のライブラリ各種10wt%化合物水溶液を170μL分注し、室温で72時間インキュベートを行った。その後ゼラチンプレートを、3回ほど純水を用いて洗浄し、水をよくふき取り、水の吸収波長の1つである975nmの吸光度を測定した。1619種類の水溶性化合物のライブラリから尿素の膨潤活性をScore 1として尿素を超える化合物群をスクリーニングした。その結果、膨潤活性をもつ水溶性化合物が同定された(図20)。
同定された化合物が実際にマウス脳に対して膨潤させる活性があるかを検証するために、上記化合物のうち#1352を用いて12時間おきに液交換して3日間、CUBIC-1を用いて脱脂処理を行った脳を振盪させた。その結果、脳の高い膨潤が観察された(図21)。また、膨潤された脳が実際に高い透明度を示すかどうかを検証するために、#1352にて膨潤させた脳を、高い屈折率調整能をもつ55wt%#0640+5wt% #1352混合溶液中で振盪させたところ、膨潤されたまま非常に高い透明度を持つ脳サンプルを作製することに成功した(図22)。
〔2.透明化試薬の使用例〕
(1.マウス肝臓およびヒト脳白質を含む組織の透明化)
マウス肝臓およびヒト脳白質を含む組織の透明化は、例えば、以下の手順で行うことができる。
(1)4%パラホルムアルデヒド溶液で還流固定したマウス肝臓、またはホルマリン固定したヒト脳組織を、PBSに浸漬する。
(2)Permeabilization solution(Sol. PE:10wt% 1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、10 wt% ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはドデシル硫酸ナトリウム)に37℃で2~4日間ほど浸漬する。
(3)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄する。
(4)Clearing solution(Sol. CL: 22.5wt% スクロース、22.5wt% アンチピリン、10wt% トリエタノールアミン、25% 尿素)に50℃で2~4日間ほど浸漬する。
(5)必要に応じて、再度PBSで洗浄し、保存する。
上記の手順で実際に行った結果を図23に示す。
(2.マウス脾臓の脱色)
マウス脾臓の脱色は、例えば、以下の手順で行うことができる。
(1)4%パラホルムアルデヒド溶液で還流固定した脾臓組織をPBSに浸漬する。
(2)10wt% ♯0441(ベンゼトニウムクロリド)、♯0484(1-(3-アミノプロピル)イミダゾール)、♯0651(デシルジメチル(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩)、♯0938(1-エチルイミダゾール)、または♯1283(N-メチルニコチンアミド)に37℃で2~4日間ほど浸漬する。対照として♯10(N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン)、またはCUBIC-1、PBSに37℃で2~4日間ほど浸漬したものも作製する。(3)脱色された脾臓を撮影する。上清に溶出されたヘムを420nmの吸収を測定することで定量する。
上記の手順で実際に行った結果を図12に示す。
(3.マウス脳組織の透明化)
マウス脳組織の透明化は、例えば、以下の手順で行うことができる。
(1)4%パラホルムアルデヒド溶液で還流固定したマウス脳組織をPBSに浸漬する。半脳に切り分ける。
(2)Brain delipidation solution(10wt%N-ブチルジエタノールアミン、10wt% Triton X-100)に37℃で2~4日間ほど浸漬する。
(3)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄する。
(4)Clearing solution(Sol. CL: 22.5wt% スクロース、22.5wt% アンチピリン、10wt% トリエタノールアミン、25% 尿素)に37℃で1日間ほど浸漬する。
(5)必要に応じて、再度PBSで洗浄し、保存する。
上記の手順で実際に行った結果を図24に示す。
(4.脱脂処理組織の屈折率調整)
脱脂処理組織の屈折率調整は、例えば、以下の手順で行うことができる。
(1)4%パラホルムアルデヒド溶液で還流固定したマウス脳組織を4%パラホルムアルデヒド溶液で後固定した後、PBSに浸漬する。半脳に切り分ける。
(2)切り分けられた脳組織をCUBIC-1に37℃で3~5日間ほど浸漬する。
(3)PBSに1日間ほど浸漬する。
(4)70wt% ♯0389(N-ベンジルエタノールアミン)、60wt% ♯0640(アンチピリン)、または70wt% ♯0788(N,N-ジメチルベンズアミド)に室温で1日間ほど浸漬する。
上記の手順で実際に行った結果を図25に示す。
(5.マウス各種臓器の透明化)
マウス各種臓器(脳、心臓、肺、肝臓および腎臓)の透明化は、例えば、以下の手順で行うことができる。
(1)4%パラホルムアルデヒド溶液で還流固定したマウス臓器を摘出し、4℃で終夜4%パラホルムアルデヒド溶液で後固定する。
(2)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄する。
(3)Permeabilization CUBIC-L solution(Sol. PE CUBIC-L:10wt% N-ブチルジエタノールアミン、10 wt%Triton X-100)に37℃で2~4日間ほど浸漬する。
(4)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄する。
(5)蒸留水で1/2倍希釈したClearing CUBIC-R solution(Sol. CL CUBIC-R: 46wt% アンチピリン、30wt% ニコチンアミド)に室温で終夜浸漬する。
(6)原液Sol. CL CUBIC-Rに2日間浸漬する。
上記の手順で実際に行った結果を図26の左に示す。
(6.マウス全身の透明化)
マウス個体全身の透明化は、例えば、以下の手順で行うことができる。
(1)4%パラホルムアルデヒド溶液で還流固定した後、Sol. PE CUBIC-Lを100~200mL全身に灌流させる。
(2)Sol. PE CUBIC-Lに37℃で7日間浸漬する。この間、2日に1回の液交換を行う。
(3)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄し、PBSに室温で終夜浸漬する。
(4)蒸留水で1/2倍希釈したSol. CL CUBIC-Rに室温で終夜浸漬する。
(5)原液Sol. CL CUBIC-Rに2日間浸漬する。
上記の手順で実際に行った結果を図26の中央に示す。
(7.マウス背骨の透明化)
マウス背骨の透明化は、例えば、以下の手順で行うことができる。
(1)4%パラホルムアルデヒド溶液で還流固定したマウス背骨を摘出し、4℃で終夜4%パラホルムアルデヒド溶液で後固定する。
(2)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄する。
(3)Sol. PE CUBIC-Lに37℃で3日間浸漬する。
(4)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄する。
(5)Decalcification CUBIC-B solution(Sol. DC CUBIC-B:10wt% EDTA、15wt% イミダゾール)に37℃で6日間浸漬する。
(6)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄する。
(7)Sol. PE CUBIC-Lに37℃で3日間浸漬する。
(8)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄する。
(9)蒸留水で1/2倍希釈したSol. CL CUBIC-Rに室温で終夜浸漬する。
(10)原液Sol. CL CUBIC-Rに2日間浸漬する。
上記の手順で実際に行った結果を図26の右に示す。
(8.ヒト組織の透明化)
(1)ホルマリン固定したヒト組織をPBSに浸漬し、数回、各数時間ずつ洗浄し、室温で終夜PBSに浸漬する。
(2)Sol. PEに37℃で5~10日間ほど浸漬する。
(3)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄し、PBSに室温で終夜浸漬する。
(4)蒸留水で1/2倍希釈したSol. CL CUBIC-Rに室温で終夜浸漬する。
(5)原液Sol. CL CUBIC-Rに2日間浸漬する。
上記の手順で実際に行った結果を図27に示す。
(9.ヒト脳組織の透明化)
(1)ホルマリン固定したヒト組織をPBSに浸漬し、数回、各数時間ずつ洗浄し、室温で終夜PBSに浸漬する。
(2)Sol. PE CUBIC-HBL solution(Sol. PE CUBIC-HBL:10wt% N-ブチルジエタノールアミン、10wt%Triton X-100、15wt% イミダゾール)に37℃で5~10日間ほど浸漬する。
(3)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄し、PBSに室温で終夜浸漬する。
(4)蒸留水で1/2倍希釈したSol. CL CUBIC-Rに室温で終夜浸漬する。
(5)原液Sol. CL CUBIC-Rに2日間浸漬する。
上記の手順で実際に行った結果を図28に示す。
(10.マーモセット脳の透明化)
(1)4%パラホルムアルデヒド溶液で還流固定したマーモセット脳を摘出し、4℃で終夜4%パラホルムアルデヒド溶液で後固定する。
(2)PBSで数回、各数時間ずつ洗浄する。
(3)Sol. PE CUBIC-Lに37℃で21日間ほど浸漬する。この間、2日に1回の液交換を行う。
(4)0.01%アジ化ナトリウム入りPBS(以下、AzidoPBS)に室温で1週間浸漬する。この間、毎日液交換を行う。
(5)10μg/mLプロピジウムヨージドおよび1.5M NaCl含有PBSに37℃で12日間浸漬する。
(6)AzidoPBSに2日間浸漬し、洗浄する。この間、半日に1回の液交換を行う。
(7)蒸留水で1/2倍希釈したSol. CL CUBIC-Rに室温で終夜浸漬する。
(8)原液Sol. CL CUBIC-Rに4日間浸漬する。
(9)AzidoPBSに浸漬し、2日間洗浄する。この間、半日に1回の液交換を行う。
(10)10wt%イミダゾール水溶液に室温で2日間浸漬する。この間、半日に1回の液交換を行う。
(11)蒸留水で1/2倍希釈した1wt%#0414含むSol. CL CUBIC-R(以下、Sol. CL CUBIC-R2)に室温で4日間浸漬する。
(12)Sol. CL CUBIC-R2に室温で7日間浸漬する。途中1回の液交換を行う。
(13)AzidoPBSに2日間浸漬し、洗浄する。この間、半日に1回の液交換を行う。(14)Sol. PE CUBIC-Lに室温で3日間浸漬する。その後、37℃で2週間浸漬し、さらに45℃で1週間浸漬する。一連の工程において、2日間に1回の液交換を行う。
(15)AzidoPBSに2日間浸漬し、洗浄する。この間、半日に1回の液交換を行う。(16)10μg/mLプロピジウムヨージドおよび1.5M NaCl含有PBSに37℃で7日間浸漬する。
(17)AzidoPBSに2日間浸漬し、洗浄する。この間、半日に1回の液交換を行う。(18)10wt%イミダゾール水溶液に室温で2日間浸漬する。この間、半日に1回の液交換を行う。
(19)蒸留水で1/2倍希釈したSol. CL CUBIC-R2に室温で3日間浸漬する。
(20)Sol. CL CUBIC-R2に室温で7日間浸漬する。途中1回の液交換を行う。
上記の手順で実際に行った結果を図29に示す。
Figure 2022058560000001
Figure 2022058560000002
Figure 2022058560000003
Figure 2022058560000004
Figure 2022058560000005
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Figure 2022058560000009
Figure 2022058560000010
Figure 2022058560000011
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Figure 2022058560000013
Figure 2022058560000014
Figure 2022058560000015
Figure 2022058560000016
本発明は、例えば、ハイスループットな組織内遺伝子発現、細胞局在、および細胞形態の観察を全組織レベルで行う際に利用することができる。

Claims (3)

  1. 以下の(A)~(E)のうちの少なくとも1つ:
    (A)高い脂質除去能を有する化合物
    (B)N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンよりも高い脱色活性を示す化合物
    (C)EDTAと酸と塩基との組み合わせ
    (D)水に対して60wt%以上溶解し、且つ、60~80wt%の範囲内の少なくとも1点の濃度の水溶液における屈折率が1.47~1.50の範囲内である化合物
    (E)尿素よりも高い膨潤活性を示す化合物
    を含んでいる溶液であることを特徴とする、光透過性に優れた生物材料を調製するための組成物。
  2. 光透過性に優れた生物材料を調製する方法であって、
    以下の(A)~(E)のうちの少なくとも1つ:
    (A)高い脂質除去能を有する化合物
    (B)N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンよりも高い脱色活性を示す化合物
    (C)EDTAと酸と塩基との組み合わせ
    (D)水に対して60wt%以上溶解し、且つ、60~80wt%の範囲内の少なくとも1点の濃度の水溶液における屈折率が1.47~1.50の範囲内である化合物
    (E)尿素よりも高い膨潤活性を示す化合物
    を含んでいる溶液を、生物材料に浸潤させる工程を含むことを特徴とする方法。
  3. 以下の(A)~(E)のうちの少なくとも1つ:
    (A)高い脂質除去能を有する化合物
    (B)N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンよりも高い脱色活性を示す化合物
    (C)EDTAと酸と塩基との組み合わせ
    (D)水に対して60wt%以上溶解し、且つ、60~80wt%の範囲内の少なくとも1点の濃度の水溶液における屈折率が1.47~1.50の範囲内である化合物
    (E)尿素よりも高い膨潤活性を示す化合物
    を含んでいる溶液が浸潤していることを特徴とする、光透過性に優れた生物材料。
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