JP2022057709A - 輪切り凍結乾燥蛸の製造方法 - Google Patents

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【課題】凍結乾燥状態のままで食することができるし、水に浸して戻すことで生蛸のように食することができ、また長期保存にも適しているので非常食として保存することもできる輪切り凍結乾燥蛸を製造する製造方法を提供する。【解決手段】本発明を構成する手段は、(イ)頭を含む胴部から足を切断分離して蛸足を成形する蛸足成形工程、(ロ)成形した蛸足を洗浄した後、95℃以上の高温で短時間煮る煮込み工程、(ハ)煮た蛸足を冷気で冷やす冷却工程、(ニ)冷却した蛸足をマイナス30℃以下で10時間急速冷凍する急速冷凍工程、(ホ)冷凍した蛸足を高温水に浸漬して芯まで解凍し、その後冷却する解凍・冷却工程、(へ)冷却した蛸足の皮を剥ぎ、整形器で真直ぐな棒状に整形して再冷凍する整形冷凍工程、(ト)凍結した棒状蛸足は、表面を98℃の高温で10秒間加熱処理して半解凍状態にし、輪切り状にスライスするスライス工程、(チ)スライスして成形した輪切り状蛸足を凍結乾燥する凍結乾燥工程からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、凍結乾燥状態のままで食することもできるし、水に浸して戻すことで蛸の刺身として食することも、タコ焼きの材料にも用いることができ、しかも長期保存にも適しているので非常食にもなる輪切り凍結乾燥蛸を製造する製造方法に関する。
水揚げした蛸は頭を含む胴部から足を切り離し、切り離した足(以下、蛸足という。)は食用に供するために窯で煮る、又はボイラーの生蒸気で沸騰させた湯で煮るという何れかの加熱処理を行い、煮た蛸足は次工程のために冷水に漬けて冷やしている。そして、冷した蛸足は、佃煮等の食品にするために種々の加工を行っている。
しかし、蛸足は、加熱処理すると組織の特性によるのか理由は不明ですが螺旋状に丸くなることから、蛸足を輪切り状に薄くスライスするには手間が掛る、また均一な厚さにスライスするのが面倒である。
また、蛸足を煮過ぎた場合には、食すると硬く噛み切れないという問題、蛸足の吸盤と皮が煮ている間に取れて売り物にならないという問題、また美味しさが失われるという問題もある。更に、生蛸は軟体動物であるため、調理師の技量を持たない人にはスライス状或いはブロック状にカットすることは難しい面がある。
他方、凍結乾燥技術については技術が進化し、食品は米飯から汁物、魚類、果実等多様な食材が凍結乾燥食品の対象にされている。しかし、蛸足を凍結乾燥した食品は提供されていない。
見出せず。
上述のように、蛸足は調理のための加熱処理や、鮮度維持のための保冷処理を行うが、蛸足の特性から螺旋状に丸くなるため、輪切り状にスライスすること、長期保存のためには冷凍方法しかなく、食品加工や調理が面倒である、解凍に時間が掛るという問題がある。しかし、これらの問題を解決できる技術は提案されていない。また、蛸足を凍結乾燥した状態で食材として提供するという技術も未だ提案されていない。
本発明は上述した従来技術の未解決の問題点に鑑みなされたもので、凍結乾燥状態のままで食することができるし、水に浸して戻すことで生蛸のように食することができ、また長期保存にも適しているので非常食として用いることもできる輪切り凍結乾燥蛸を製造する製造方法を提供することを目的とする。
(1)上述した課題を解決するために構成した請求項1に係る本発明の手段は、以下の行程からなる。
(イ)頭を含む胴部から足を切断分離して蛸足を成形する蛸足成形工程、
(ロ)成形した蛸足を洗浄した後、高温で短時間煮る煮込み工程、
(ハ)煮た蛸足を冷気で冷やす冷却工程、
(ニ)冷却した蛸足を急速冷凍する急速冷凍工程、
(ホ)冷凍した蛸足を高温水に浸漬して芯まで解凍し、その後冷却する解凍・冷却工程、
(へ)冷却した蛸足の皮を剥ぎ、整形器で真直ぐな棒状に整形して再冷凍する整形冷凍工程、
(ト)凍結した棒状蛸足は、表面を高温で短時間加熱処理して半解凍状態にし、輪切り状にスライスするスライス工程、
(チ)該スライス工程により成形した輪切り状蛸足を凍結乾燥する凍結乾燥工程。
(2)前記煮込み工程は、蛸足を95℃以上の高温で4~6分間煮込むとよい。
(3)前記急速冷凍工程は、マイナス30℃以下の低温で10時間冷凍するとよい。
(4)前記解凍・冷却工程は、95℃以上の高温水に2分間浸漬するとよい。
(5)前記整形冷凍工程は、皮を剥いだ蛸足を前記整形器に収めてマイナス25℃の低温で再冷凍するとよい。
(6)前記スライス工程は、前記凍結した棒状蛸足の表面を95℃以上の高温で10秒間加熱して半解凍状態にして行うとよい。
(7)前記整形器は、長さを有し、上向き内面が凹湾曲状の受容器部と、下向き内面が凹湾曲状をなし、該受容器部に上方から嵌合可能な押え蓋部と、該押え蓋部を前記受容器部側に加圧する装着自在な加圧具とから構成するとよい。
本発明は上述の如く構成したから下記の諸効果を奏する。
(1)蛸足は、従来提案されていない方法により、輪切りの状態でそのまま食すること、水に漬けることで生蛸のように食することもできるし、調理にも時間を要しない便利性があり、また、保存食としても利用することができる。
(2)煮ると螺旋状に丸くなる蛸足を棒状に整形するので、所望の均等な厚さにスライスすることが容易にできる。
(3)煮込み後の冷却工程において、水ではなく冷気で冷却するので蛸足が水っぽくならない。
(4)整形器により蛸足を棒状に整形するので、従来は困難であった均一な厚さの輪切り状の蛸足にスライスすることができる。
本発明の実施の形態に係る輪切り凍結乾燥蛸の製造方法の工程図である。 本発明の実施の形態に係る整形器の外観斜視図である。 整形器の右側面図である。 蛸足を整形する使用状態説明図である。
以下、本発明の実施の形態を詳述する。先ず、漁獲した蛸、例えばミズ蛸は船上で頭を含む胴部から足を切り離す蛸足成形工程を行う。船上で胴部から足を切り離す解体を行うのは、漁獲直後に切り離すことで高い鮮度を保つためである。そして、水揚げした蛸の足(以下、蛸足という。)は工場で洗浄水より洗浄を行う。
洗浄した蛸足は煮沸容器により約95℃以上の高温で約4~6分間煮込み、煮蛸にする煮込み工程を行う。煮込み時間が長いと肉が固くなり、噛み切れない製品になるので時間管理が重要である。
上記煮込み工程により煮込んだ蛸足は、冷気で冷やす冷却工程を行う。冷水に漬けて冷やすのではなく、冷気例えば氷冷気で冷やすのは煮込んだ蛸足が水っぽくなるのを防ぐためである。
上記冷却工程により冷却した蛸足は、マイナス30℃以下の低温で約10時間急速冷凍する急速冷凍工程を行う。この急速冷凍工程により、肉の組織を引き締めることで旨味と食感を形成する。
しかる後、急速冷凍した蛸足は、約95℃以上の高温水に約2分間浸漬して撹拌し、蛸足の芯まで解凍する。蛸足の芯とは周囲より透明感のある中心部分で、タウリンの濃度が高い部分とされている。また、約2分という短時間で芯まで確実に解凍するために攪拌するとよい。この解凍・冷却工程は、肉に急激な温度変化を与えることで肉から皮を剥ぎ易くするためである。その後、次工程のために常温状態になるように冷却する。
上述の如くして皮を剥いだ蛸足は、後述する整形器1に収めて真直ぐな棒状に整形した状態にし、マイナス25℃前後の低温で再冷凍する整形冷凍工程を行う。このマイナス25℃前後の温度とする理由は、棒状に整形するためで、次工程で蛸足をスライスすることからあまり強く冷凍する必要はないことにある。
冷凍した棒状の冷凍蛸足は整形器1から取り出し、冷凍蛸足の表面を約95℃以上の高温で10秒間の短時間加熱して半解凍状態に処理する。この半解凍状態にすることで、刃物による切断が容易であり、かつ肉が崩れることもなく綺麗に輪切りにスライスすることができる。蛸足は約2~3mmの厚さにスライスするが、用途に応じてブロック状にスライスしてもよい。
上述の如くしてスライス工程により成形した輪切り蛸足は、凍結乾燥するための凍結乾燥工程を行う。この凍結乾燥の技術は公知技術であるので詳細な説明は省略する。凍結乾燥した輪切り蛸足は、チップ菓子のようにそのまま食することができるし、水に3~5分間漬けるだけで生蛸のようにして食することもできる。また、密閉した袋に収めることで保存食としても貯蔵することができる。
なお、前記急速冷凍工程により冷凍した蛸足は、その工程後にマイナス25℃の低温冷蔵庫で保管する冷凍保管工程を付加してもよい。その目的は、1回の蛸漁で5~30トンの漁獲量があり通年漁獲できるが、最盛期の5月~8月に安定した漁獲量があることから、通年市場に安定供給するために冷凍保管する必要があるためである。
次に、上記整形冷凍工程で用いる整形器1について説明する。該整形器1は図2乃至図4に示す構成のもので、塩化ビニル製或いはステンレス製の受容器部2と押え蓋部3とからなる。受容器部2は長さが例えば570mmの板体からなり、上方が開放して上向きの内面2Aは凹湾曲面に形成してあり、開口横幅は例えば56mmにしてある。
3は該受容器部2に上方から嵌合する押え蓋部で、該押え蓋部3は長さが受容器部2と同じ570mmであるが、嵌合可能なように若干幅狭の板体からなり、下向きの内面3Aが凹湾局面に形成してある。
解凍・冷却工程で常温に冷却した蛸足Aは受容器部2に収め、上から押え蓋部3を被せて棒状になるように押さえた状態にして整形し、例えばゴムバンド等の装着自在な加圧具4で一体化する。この状態で、マイナス25℃の低温で再度冷凍処理を行って棒状の冷凍蛸足にする。
なお、押え蓋部3は幅方向一側を受容器部2とヒンジ結合し、開閉可能に構成してもよい。
1 整形器
2 受容器部
2A 上向き内面
3 押え蓋部
3A 下向き内面
4 加圧具
(1)上述した課題を解決するために構成した請求項1に係る本発明の手段は、以下の工程からなる。
(イ)頭を含む胴部から足を切断分離して蛸足を成形する蛸足成形工程、
(ロ)成形した蛸足を洗浄した後、該蛸足を95℃以上の高温で4~6分間煮込む煮込み工程、
(ハ)煮た蛸足を冷気で冷やす冷却工程、
(ニ)冷却した蛸足を急速冷凍する急速冷凍工程、
(ホ)冷凍した蛸足を95℃以上の高温水に浸漬して芯まで解凍し、その後冷却する解凍・冷却工程、
(へ)冷却した蛸足の皮を剥ぎ、整形器で真直ぐな棒状に整形して再冷凍する整形冷凍工程、
(ト)冷凍した棒状蛸足は、表面を高温で短時間加熱して半解凍状態にし、輪切り状にスライスするスライス工程、
(チ)該スライス工程により成形した輪切り蛸足を凍結乾燥する凍結乾燥工程。
(2)前記急速冷凍工程は、マイナス30℃以下の低温で10時間冷凍するとよい。
(3)前記解凍・冷却工程は、95℃以上の高温水に2分間浸漬するとよい。
(4)前記整形冷凍工程は、皮を剥いだ蛸足を前記整形器に収めてマイナス25℃の低温で再冷凍するとよい。
(5)前記スライス工程は、前記凍結した棒状蛸足の表面を95℃以上で10秒間加熱して半解凍状態にして行うとよい。
(6)前記整形器は、長さを有し、上向き内面が凹湾曲状の受容器部と、下向き内面が凹湾曲状をなし、該受容器部に上方から嵌合可能な押え蓋部と、該押え蓋部を前記受容器部側に加圧する装着自在な加圧具とから構成するとよい。

Claims (7)

  1. 以下の工程からなる輪切り凍結乾燥蛸の製造方法:
    (イ)頭を含む胴部から足を切断分離して蛸足を成形する蛸足成形工程、
    (ロ)成形した蛸足を洗浄した後、高温で短時間煮る煮込み工程、
    (ハ)煮た蛸足を冷気で冷やす冷却工程、
    (ニ)冷却した蛸足を急速冷凍する急速冷凍工程、
    (ホ)冷凍した蛸足を高温水に浸漬して芯まで解凍し、その後冷却する解凍・冷却工程、
    (へ)冷却した蛸足の皮を剥ぎ、整形器で真直ぐな棒状に整形して再冷凍する整形冷凍工程、
    (ト)冷凍した棒状蛸足は、表面を高温で短時間加熱して半解凍状態にし、輪切り状にスライスするスライス工程、
    (チ)該スライス工程により成形した輪切り蛸足を凍結乾燥する凍結乾燥工程。
  2. 前記煮込み工程は、蛸足を95℃以上の高温で4~6分間煮込むものである請求項1記載の輪切り凍結乾燥蛸の製造方法。
  3. 前記急速冷凍工程は、マイナス30℃以下の低温で10時間冷凍するものである請求項1記載の輪切り凍結乾燥蛸の製造方法。
  4. 前記解凍・冷却工程は、95℃以上の高温水に2分間浸漬するものである請求項1記載の輪切り凍結乾燥蛸の製造方法。
  5. 前記整形冷凍工程は、皮を剥いだ蛸足を前記整形器に収めてマイナス25℃の低温で再冷凍するものである請求項1記載の凍結乾燥蛸の製造方法。
  6. 前記スライス工程は、前記凍結した棒状蛸足の表面を95℃以上で10秒間加熱して半解凍状態にして行うものである請求項1記載の輪切り凍結乾燥蛸の製造方法。
  7. 前記整形器は、長さを有し、上向き内面が凹湾曲状の受容器部と、下向き内面が凹湾曲状をなし、該受容器部に上方から嵌合可能な押え蓋部と、該押え蓋部を前記受容器部側に加圧する装着自在な加圧具とから構成してある請求項1記載の輪切り凍結乾燥蛸の製造方法。
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