JP2022056184A - 樹脂製パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】剛性の低下を抑制しつつ、軽量化が可能な樹脂製パネルを提供する。【解決手段】本発明によれば、中空の樹脂成形体と、前記樹脂成形体内に配置されるコア材を有する、樹脂製パネルであって、前記コア材は、平面視で格子点上に配置された複数の凹部を備え、前記複数の凹部は、前記コア材のおもて面と裏面に交互に配置され、前記コア材の厚さをTとし、前記凹部の深さをHとし、前記凹部の直径をDとし、前記凹部のピッチをPとすると、H/Tは、0.2~0.8であり、D/Tは、0.1~0.8であり、P/Dは、2.5~5である、樹脂製パネルが提供される。【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂製パネルに関する。
特許文献1には、コア材を2枚の樹脂シートで挟んで構成された樹脂製パネルが開示されている。
特許文献1のような樹脂製パネルは、さらなる軽量化が要求される場合がある。樹脂製パネルを軽量化するためには、コア材に凹部や開口部を設けることによってコア材を軽量化することが考えられるが、コア材を軽量化すると、その分だけ、樹脂製パネルの剛性が低下してしまうという問題があり、樹脂製パネルの剛性の低下を抑制しつつ、樹脂製パネルを軽量化することは容易ではない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、剛性の低下を抑制しつつ、軽量化が可能な樹脂製パネルを提供するものである。
本発明によれば、中空の樹脂成形体と、前記樹脂成形体内に配置されるコア材を有する、樹脂製パネルであって、前記コア材は、平面視で格子点上に配置された複数の凹部を備え、前記複数の凹部は、前記コア材のおもて面と裏面に交互に配置され、前記コア材の厚さをTとし、前記凹部の深さをHとし、前記凹部の直径をDとし、前記凹部のピッチをPとすると、H/Tは、0.2~0.8であり、D/Tは、0.1~0.8であり、P/Dは、2.5~5である、樹脂製パネルが提供される。
本発明者は、コア材に形成する凹部の寸法及び配置を変更した場合に樹脂製パネルの剛性がどのように変化するのかについて試験を行ったところ、コア材に形成する凹部の寸法及び配置を上記のようにすることによって、剛性の低下を抑制しつつ樹脂製パネルの軽量化が可能になることを見出し、本発明の完成に到った。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の樹脂製パネルであって、前記コア材は、発泡倍率が20~50倍の発泡体で構成される、樹脂製パネルである。
好ましくは、前記記載の樹脂製パネルであって、前記複数の凹部の容積の合計をV1とし、前記コア材の容積をV2とすると、{V1/(V1+V2)}の値は、1~9%である、樹脂製パネルである。
好ましくは、前記記載の樹脂製パネルであって、前記コア材は、発泡倍率が20~50倍の発泡体で構成される、樹脂製パネルである。
好ましくは、前記記載の樹脂製パネルであって、前記複数の凹部の容積の合計をV1とし、前記コア材の容積をV2とすると、{V1/(V1+V2)}の値は、1~9%である、樹脂製パネルである。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
1.樹脂製パネル1の構造
図1~図2に示すように、本発明の一実施形態に係る樹脂製パネル1は、中空の樹脂成形体2と、コア材3を備える。コア材3は、樹脂成形体2内に配置される。
図1~図2に示すように、本発明の一実施形態に係る樹脂製パネル1は、中空の樹脂成形体2と、コア材3を備える。コア材3は、樹脂成形体2内に配置される。
図1に示すように、樹脂成形体2は、表壁2fと、裏壁2rを備える。表壁2fと裏壁2rは、間隔をおいて対向している。表壁2fと裏壁2rの周囲は、周囲壁2sによって繋がれている。樹脂成形体2の壁厚は、例えば、0.5~2mmであり、0.8~1.5mmが好ましい。
図1に示すように、表壁2fと裏壁2rの間にはコア材3が設けられている。コア材3は、表壁2fと裏壁2rの間のスペースを確保したり、樹脂製パネル1の強度や断熱性を高めたりする目的で配置される部材であり、好ましくは、発泡体で構成される。コア材3は、好ましくは、表壁2fと裏壁2rのそれぞれに溶着される。発泡体の発泡倍率は、例えば20~50倍であり、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50倍であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
コア材3は、図2Aに示す平面視で格子点上に配置された複数の凹部4を備える。平面視とは、コア材3の主面に垂直な方向から見ることを意味する。格子点とは、X方向(図2Aの左右方向)に延びる等間隔に配置された平行な複数の直線と、X方向に垂直なY方向(図2Aの上下方向)に延びる等間隔に配置された平行な複数の直線の直線の交点を意味する。X方向とY方向の一方又は両方は、好ましくは、コア材3の側縁に平行である。
複数の凹部4は、コア材3のおもて面3fと裏面3rに交互に配置される。交互に配置されるとは、ある凹部4がおもて面3fと裏面3rの一方に設けられているとき、X又はY方向に最近接の凹部4がおもて面3fと裏面3rの他方に設けられていることを意味する。言い換えると、複数の凹部4は、おもて面3fに配置されたおもて面側凹部4fと裏面側凹部4rを含み、おもて面側凹部4fと裏面側凹部4rが平面視で交互に配置される。凹部4をこのように配置することによって、おもて面3fで隣接する凹部4同士の間隔と、裏面3rで隣接する凹部4同士の間隔がそれぞれ大きくなるので、樹脂製パネル1の剛性が低下しにくい。
図2に示すように、コア材3の厚さをTとし、凹部4の深さをHとし、凹部4の直径をDとし、凹部4のピッチをPとすると、H/Tは、0.2~0.8であり、D/Tは、0.1~0.8であり、P/Dは、2.5~5である。なお、凹部4の深さ、直径、ピッチは、コア材3に存在する複数の凹部4についての深さ、直径、ピッチの平均値を意味する。直径とは、凹部4の断面が円形でない場合には、凹部4の外接円の直径を意味する。凹部4の断面形状は、深さ方向に一定であることが好ましい。凹部4の断面形状が深さ方向に一定でない場合、凹部4の直径は、凹部4の開口縁での直径を意味する。
H/Tが小さすぎると樹脂製パネル1の軽量化が不十分になる場合があり、H/Tが大きすぎると樹脂製パネル1の剛性低下が大きくなりすぎる場合がある。H/Tは、具体的には例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
D/Tが小さすぎると樹脂製パネル1の軽量化が不十分になる場合があり、D/Tが大きすぎると樹脂製パネル1の剛性低下が大きくなりすぎる場合がある。D/Tは、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
P/Dが小さすぎると樹脂製パネル1の剛性低下が大きくなりすぎる場合があり、P/Dが大きすぎると樹脂製パネル1の軽量化が不十分になる場合がある。P/Dは、具体的には例えば、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
厚さTは、例えば、10~30mmであり、具体的には例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
深さHは、例えば、4~12mmであり、具体的には例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
直径Dは、例えば、5~15mmであり、具体的には例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
ピッチPは、例えば、15~25mmであり、具体的には例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
複数の凹部4の容積の合計をV1とし、コア材3の容積をV2とすると、{V1/(V1+V2)}によって減容率が求まる。減容率の値は、1~9%であることが好ましい。この値が小さすぎると樹脂製パネル1の軽量化が不十分になる場合があり、この値が大きすぎると樹脂製パネル1の剛性低下が大きくなりすぎる場合がある。この値は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
2.樹脂製パネル1の製造方法
本実施形態の樹脂製パネル1の製造方法は、成形工程と、後処理工程を備える。
本実施形態の樹脂製パネル1の製造方法は、成形工程と、後処理工程を備える。
成形工程では、図3に示すように、金型21,22の間に樹脂シート41,コア材3、樹脂シート42をこの順に配置した状態で、金型21,22に閉じることによってバリ付きの樹脂製パネル1を形成することができる。
樹脂シート41,42は、例えばポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物で構成することができる。ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などが挙げられる。また、これらにガラス繊維、タルク、顔料などの添加剤を配合しても良い。樹脂シート41,42は、押出機で溶融混練して得られた溶融樹脂をTダイから押し出すことによって形成することができる。
金型21は、凹部21aを有するキャビティ面21bと、キャビティ面21bを取り囲むピンチオフ部21cを有する。金型22は、凹部22aを有するキャビティ面22bと、キャビティ面22bを取り囲むピンチオフ部22cを有する。金型21,22を閉じると、凹部21a,22aが合わさることによって、樹脂製パネル1の相補形状のキャビティが形成される。金型21,22は、好ましくは、多数の減圧吸引孔が設けられており、樹脂シート41,42を減圧吸引可能になっている。金型21,22を閉じる前に、金型21,22が樹脂シート41,42を減圧吸引して、樹脂シート41,42をキャビティ面21b,22bに沿った形状に賦形することが好ましい。
後処理工程では、バリ付きの樹脂製パネル1を金型21,22から取り出し、バリを除去することによって、バリのない樹脂製パネル1を得ることができる。
1.樹脂製パネル1の製造
上述した製造方法によって、実施例、比較例、参考例の樹脂製パネル1を製造した。実施例及び比較例では、表1に示す寸法及び配置の凹部4を有するコア材3を用いた。参考例では、凹部4が設けられていない以外は同条件のコア材3を用いた。
上述した製造方法によって、実施例、比較例、参考例の樹脂製パネル1を製造した。実施例及び比較例では、表1に示す寸法及び配置の凹部4を有するコア材3を用いた。参考例では、凹部4が設けられていない以外は同条件のコア材3を用いた。
樹脂製パネル1内でのコア材3の詳細は、以下の通りである。コア材3は、樹脂製パネル1内へのインサート前の厚さは16.5mmであり、インサート時に樹脂シートの熱で表面が溶融して、厚さが16.2mmとなる。
・樹脂:ポリオレフィンとポリスチレンの混合樹脂(積水化成品工業、商品名:ピオセラン)
・発泡倍率:35倍
・平面寸法:400mm×600mm
・厚さ:16.2mm
・凹部4の寸法・配置:表1の通り
・樹脂:ポリオレフィンとポリスチレンの混合樹脂(積水化成品工業、商品名:ピオセラン)
・発泡倍率:35倍
・平面寸法:400mm×600mm
・厚さ:16.2mm
・凹部4の寸法・配置:表1の通り
樹脂成形体2は、ポリプロピレン、LLDPE、ガラス繊維を質量比73:7:20で混合した樹脂組成物を用いて形成し、その壁厚は、0.9mmとした。
2.試験用サンプルの切り出し
得られた樹脂製パネル1から、樹脂製パネル1の端部を含まないように、平面寸法が300mm×300mmの試験用サンプルを切り出した。
得られた樹脂製パネル1から、樹脂製パネル1の端部を含まないように、平面寸法が300mm×300mmの試験用サンプルを切り出した。
3.曲げ試験
曲げ試験は、エー・アンド・デイ製、テンシロン万能試験機 RTF-1325を用いて行った。具体的には、試験用サンプルの左右両端を25mmずつの幅で支持した状態で、試験用サンプルの中央にΦ60mmの負荷子を試験速度50mm/分で押し付け、評価用サンプルが折れ曲がった時点での荷重を最大荷重とした。その結果を表1に示す。試験温度は、23℃とした。
曲げ試験は、エー・アンド・デイ製、テンシロン万能試験機 RTF-1325を用いて行った。具体的には、試験用サンプルの左右両端を25mmずつの幅で支持した状態で、試験用サンプルの中央にΦ60mmの負荷子を試験速度50mm/分で押し付け、評価用サンプルが折れ曲がった時点での荷重を最大荷重とした。その結果を表1に示す。試験温度は、23℃とした。
4.考察
表1中の減容率は、V1/(V1+V2)によって算出した。V1は、複数の凹部4の容積の合計を示し、V2は、コア材3の容積を示す。表1中の荷重低下率は、(L-L1)/Lによって算出した。Lは、参考例1の最大荷重を示し、L1は、実施例・比較例の最大荷重を示す。
表1中の減容率は、V1/(V1+V2)によって算出した。V1は、複数の凹部4の容積の合計を示し、V2は、コア材3の容積を示す。表1中の荷重低下率は、(L-L1)/Lによって算出した。Lは、参考例1の最大荷重を示し、L1は、実施例・比較例の最大荷重を示す。
減容率は、樹脂製パネル1の軽量化の度合いが示し、この値が大きいほど、樹脂製パネル1が軽量化されていることを示す。荷重低下率は、樹脂製パネル1の剛性低下の度合いを示し、この値が小さいほど、樹脂製パネル1の剛性低下が抑制されていることを示す。
表1を参照すると、実施例1では、(荷重低下率/減容率)の値が、比較例1~3(以下、「比較例」)よりも大幅に小さくなっていることが分かる。比較例では、減容率が大きいものの、荷重低下率が大きいため、(荷重低下率/減容率)の値が大きくなっている。一方、実施例1では、減容率は、比較例よりも小さいものの、荷重低下率が比較例よりも大幅に小さいため、(荷重低下率/減容率)の値が比較例よりも小さくなった。このことは、H/T、D/T、及びP/Dが所定の範囲内である凹部4を有するコア材3を用いることによって、樹脂製パネル1の剛性の低下を抑制しつつ、樹脂製パネル1が軽量化されたことを意味する。
1 :樹脂製パネル
2 :樹脂成形体
2f :表壁
2r :裏壁
2s :周囲壁
3 :コア材
3f :おもて面
3r :裏面
4 :凹部
4f :おもて面側凹部
4r :裏面側凹部
21 :金型
21a :凹部
21b :キャビティ面
21c :ピンチオフ部
22 :金型
22a :凹部
22b :キャビティ面
22c :ピンチオフ部
41 :樹脂シート
42 :樹脂シート
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22 :金型
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22c :ピンチオフ部
41 :樹脂シート
42 :樹脂シート
Claims (3)
- 中空の樹脂成形体と、前記樹脂成形体内に配置されるコア材を有する、樹脂製パネルであって、
前記コア材は、平面視で格子点上に配置された複数の凹部を備え、
前記複数の凹部は、前記コア材のおもて面と裏面に交互に配置され、
前記コア材の厚さをTとし、前記凹部の深さをHとし、前記凹部の直径をDとし、前記凹部のピッチをPとすると、
H/Tは、0.2~0.8であり、D/Tは、0.1~0.8であり、P/Dは、2.5~5である、樹脂製パネル。 - 請求項1に記載の樹脂製パネルであって、
前記コア材は、発泡倍率が20~50倍の発泡体で構成される、樹脂製パネル。 - 請求項1又は請求項2に記載の樹脂製パネルであって、
前記複数の凹部の容積の合計をV1とし、前記コア材の容積をV2とすると、{V1/(V1+V2)}の値は、1~9%である、樹脂製パネル。
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