JP2016130432A - 樹脂製パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】2つの長尺の補強材を連結するときに、連結する部位において剛性低下を抑制し、かつ2つの補強材の上面および下面が同一平面となるようにした樹脂製パネルを提供すること。【解決手段】本発明は、構造体を樹脂シートで覆った樹脂製パネルである。当該構造体は、長尺の部材であって断面形状が同一である2つの補強材(301,303)と、当該2つの補強材(301,303)を互いに直交させ、当該2つの補強材(301,303)の上面(30U)同士が同一平面となり、かつ当該2つの補強材の下面同士が同一平面となるように、当該2つの補強材(301,303)を連結する連結部材(140)と、を備える。【選択図】図10B

Description

本発明は、樹脂製パネル、およびその製造技術に関する。
従来から、樹脂製パネルが、自動車、航空機等の輸送機械用、建材用、電気機器のハウジング用、スポーツ・レジャー用等多用途に用いられてきた。樹脂製パネルは、芯材を表皮材シートで覆うものであるが、芯材の一方の面のみを表皮材シートで覆うものと、芯材の両方の面を表皮材シートで覆うものが存在する。芯材の一方の面のみを表皮材シートで覆う樹脂製パネルは、例えば建材用等、使用者に視認されないために芯材の他方の面を表皮材シートで覆う必要がない用途などに用いられる。芯材の両方の面を表皮材シートで覆う樹脂製パネルは、サンドイッチパネルとも呼称される。樹脂製パネルは、2枚の表皮材シート、両表皮材シートとの間に介在する芯材とを有する。すなわち、樹脂製パネルは、表皮材シート、芯材および表皮材シートの積層構造が基本的形態である。
従来、芯材となる樹脂発泡体に金属製の補強材をインサートしたものが知られている。例えば引用文献1には、中空二重壁構造の中空部に、中空部内の空間と略同一形状に予め成形された熱可塑性樹脂からなる芯材に補強材を嵌合して芯材と補強材が一体となった芯材を内装することにより、内装する芯材の位置決めが的確にできて、ガタツキ防止や成形収縮による変形を起こすことがないようにした樹脂製パネルが開示されている。
特開2010−174577号公報
従来の樹脂製パネルでは、芯材の形状、大きさによっては、少なくとも2つの長尺の補強材がT字型となるように、一方の補強材の先端を他方の補強材を側面に当接させるように連結することがある。その場合、一方の補強材と他方の補強材が接触する面では、両者が分離した状態となっており、当該面の近傍において補強材による剛性向上が図れず、樹脂製パネルにおいて局所的な剛性低下を生じさせる。また、補強材の剛性低下を避けるために一方の補強材を他方の補強材の内挿させた場合には、2つの補強材の上面および/または下面が同一平面とならず、樹脂製パネルの外観あるいは機能性を損なうことになる。
本発明を上述した点に鑑みてなされたものであり、その目的は、2つの長尺の補強材を連結するときに、連結する部位において剛性低下を抑制し、かつ2つの補強材の上面および下面が同一平面となるようにした樹脂製パネルを提供することである。
本発明の第1の観点は、構造体を樹脂シートで覆った樹脂製パネルである。
この樹脂製パネルにおいて、上記構造体は、長尺の部材であって断面形状が同一である2つの補強材と、前記2つの補強材を互いに直交させ、前記2つの補強材の上面同士が同一平面となり、かつ前記2つの補強材の下面同士が同一平面となるように、前記2つの補強材を連結する連結部材と、を備える。
上記樹脂製パネルにおいて補強材は、長手方向に沿って、補強材の上面を有する上面部と、補強材の下面を有する下面部と、上面部と下面部を厚さ方向で支持する支持部と、前記支持部と対向して設けられた開口と、上面部の開口側の端から下面部に向けて突出する第1の突出部と、下面部の開口側の端から上面部に向けて突出する第2の突出部と、を備えてもよい。上記樹脂製パネルにおいて連結部材は、全体として直方体状であって、前記2つの補強材のうち一方の第1の補強材の第1の突出部と係合する第1の溝が形成された上面と、前記第1の補強材の第2の突出部と係合する第2の溝が形成された下面と、第1の溝および第2の溝と直交し、かつ前記2つの補強材のうち他方の第2の補強材の支持部を受け入れるようにして上面から下面に亘って設けられた切り欠き部と、を備えてもよい。
上記樹脂製パネルは、第1の補強材の開口から第1の補強材の上面部と下面部の間に挿入され、かつ第2の補強材の開口から第2の補強材の上面部と下面部の間に挿入される樹脂発泡材、をさらに備えてもよい。
本発明に係る樹脂製パネルによれば、2つの長尺の補強材を連結するときに、連結する部位において剛性低下を抑制し、かつ2つの補強材の上面および下面が同一平面となるようにすることができる。
実施形態の樹脂製パネルの斜視図及びその一部の拡大破断図。 実施形態の樹脂製パネル用芯材の斜視図。 実施形態の樹脂製パネル用芯材の複数の樹脂発泡材の元となる発泡体の斜視図。 図3に示す発泡体を成形する工程を説明するための図。 図3に示す発泡体を成形する工程を説明するための図。 実施形態の芯材10の複数の樹脂発泡材の元となる発泡体の平面図。 図5に示すA−A,B−B,C−C,D−Dの断面図。 図5に示すE部の拡大斜視図。 実施形態の樹脂製パネルに使用される補強材の斜視図である。 実施形態の樹脂製パネルに使用される連結部材の構造を示す斜視図および三面図である。 実施形態の樹脂製パネル用芯材において、補強材同士を連結部材を用いて連結する方法を説明する図。 実施形態の樹脂製パネル用芯材において、補強材同士を連結部材を用いて連結する方法を説明する図。 実施形態の樹脂製パネル用芯材において、補強材同士を連結部材を用いて連結する方法を説明する図。 実施形態の樹脂製パネル用芯材を組み立てる工程を示す図。 実施形態の樹脂製パネル用芯材の断面図。 実施形態の樹脂製パネルの成形装置の全体構成を示す図。 実施形態の樹脂製パネルの成形方法において、樹脂シートと分割金型の形成面との間で密閉空間が形成された状態を示す図。 実施形態の樹脂製パネルの成形方法において、樹脂シートが分割金型の形成面に沿った形状に形成された状態を示す図。 実施形態の樹脂製パネルの成形方法において、芯材を分割金型内に挿入した状態を示す図。 実施形態の樹脂製パネルの成形方法において、分割金型を閉位置まで移動させた状態を示す図。 実施形態の変形例において、溶融状態の樹脂シートに対して芯材を押し付ける前の状態を示す図。 実施形態の変形例において、溶融状態の樹脂シートに対して芯材を分割金型の形成面に達するまで押し付けた後の状態を示す図。
以下、本発明の樹脂製パネル、樹脂製パネル用芯材、及びこれらの製造方法の一実施形態について説明する。
(1)樹脂製パネル、及び樹脂製パネル用芯材
図1に示すように、実施形態に係る樹脂製パネル1の外形は、おもて面1aと裏面1b、及びおもて面1aと裏面1bの間に介在する側壁面1cからなる。おもて面1a、裏面1b、及び側壁面1cは熱可塑性樹脂の樹脂シートSa,Sbによって構成されており、その内部には芯材10が内装されている。つまり、樹脂製パネル1は、熱可塑性樹脂の樹脂シートSa,Sbによって、芯材10を挟み込むようにしたサンドイッチ構造となっている。芯材10は、本発明の構造体の一例である。
実施形態の樹脂製パネル1において、表皮材シートとなる樹脂シートSa,Sbは、その樹脂材料を限定しないが、樹脂製パネル1の剛性を確保するために非発泡樹脂から形成されることが好ましい。例えば、成形性を考慮して、樹脂シートSa,Sbは、主材料であるポリプロピレン(PP)にポリスチレン(PS)とスチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体樹脂(SEBS)を混合させてもよい。
図2に示すように、芯材10は、樹脂発泡材201〜209が、補強材301〜308によって補強された構造を備えた発泡構造体である。補強材301〜308は、芯材10の平面視で全体として井の字型のレイアウトによって樹脂発泡材201〜209を補強する。補強材を井の字型のレイアウトに配置することによって、芯材10の周縁からの外力に対する剛性を高くしつつ、芯材10の中央付近の上下方向の外力に対する剛性をも高くすることができる。
後述するが、補強材301〜308はそれぞれ同一の断面形状であり、補強材同士が交差する位置では、図2において視認されない連結部材140(後述する)によって補強材同士が相互に連結されている。補強材301および補強材302は長手方向において同一長さであり、補強材303,304,306,307は長手方向において同一長さであり、補強材305および補強材308は長手方向において同一長さである。
以下の説明では、補強材301〜308の各々を区別しないで説明するときには、総称して「補強材30」として言及する。補強材30は長尺状の部材であり、その断面形状がH形の部材(いわゆるH形押出リンフォース)であるが、補強材30の形状はこれに限られない。補強材30の断面形状は、例えばC形、コ字形、角形パイプ状あるいは円形パイプ状等であってもよく、樹脂発泡材201〜209に嵌合一体化可能な形状であれば適宜のものでよい。補強材30は、好ましくはアルミニウムなどの金属製あるいは硬質のプラスチック製である。
芯材10のおもて面および裏面は、それぞれ同一平面となっている。つまり、芯材10として組み立てられた状態では、樹脂発泡材201〜209のおもて面および裏面は、補強材301〜308のおもて面および裏面とそれぞれ同一平面となっている。
樹脂発泡材201〜209の厚さ、および、補強材30の厚さは、樹脂製パネル1としての目標厚さ、さらには、樹脂製パネル1の目標の剛性を確保するための樹脂シートの厚さに応じて適宜決定され、特に限定されるものではない。
実施形態の樹脂製パネル1において、樹脂発泡材201〜209は例えば熱可塑性樹脂を用いて成形される。その樹脂材料は限定しないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンや、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のアクリル誘導体のいずれか、又は2種類以上の混合物を含む。樹脂発泡材201〜209は樹脂製パネル1の体積に占める割合が大きく、軽量化のために発泡材を用いて発泡させた発泡樹脂であることが好ましいが、発泡倍率は特に限定するものではない。
実施形態の樹脂製パネル1において、樹脂発泡材201〜209に使用されうる発泡材としては、公知の物理発泡材、化学発泡材及びその混合物が挙げられる。例えば、物理発泡材としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス等の無機系物理発泡材、及びブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡材を適用できる。また、化学発泡材としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン又はアゾビスイソブチロニトリルなどの有機発泡材、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、ショウノウ酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ酸などのポリカルボン酸と、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムアルミニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムなどの無機炭酸化合物の混合物や、クエン酸ニ水素ナトリウム、シュウ酸カリウムなどのポリカルボン酸の塩が無機発泡材として挙げられる。
樹脂シートSa,Sb及び樹脂発泡材201〜209は、剛性及び強度を増加させる目的で、ガラスフィラーを混入した樹脂材料を用いて成形するようにしてもよい。
ガラスフィラーとしては、ガラス繊維、ガラスクロスやガラス不織布などのガラス繊維布、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミルドガラスなどが挙げられる。ガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、クオーツ、低誘電率ガラス、高誘電率ガラスなどが挙げられる。
なお、ガラスフィラーに限らず、剛性を上げるためのタルク、炭酸カルシウム、珪灰石(Wollastonite)、マグネシウム系材料等の無機フィラー、カーボンファイバー等を混入させてもよい。
(2)芯材10及びその製造方法
次に、図3〜図12を参照して、本実施形態の芯材10及びその製造方法について説明する。
図3は、実施形態の芯材10の樹脂発泡材201〜209の元となる発泡体20の斜視図である。図4A及び図4Bは、図3に示す発泡体20を成形する工程を順に説明するための図である。図5は、実施形態の芯材10の樹脂発泡材201〜209の元となる発泡体20の平面図である。図6(a)〜(d)はそれぞれ、図5に示すA−A,B−B,C−C,D−Dの断面図である。図7は、図5に示すE部の拡大斜視図である。図8は、実施形態の樹脂製パネルに使用される補強材30の斜視図である。図9は、実施形態の樹脂製パネルに使用される連結部材140の構造を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は三面図である。図10A〜10Cはそれぞれ、実施形態の樹脂製パネル用芯材において、補強材30同士を連結部材140を用いて連結する方法を説明する図である。図11は、実施形態の芯材10を組み立てる工程を示す図である。図12は、実施形態の芯材10の断面図であり、(a)は図2のX−X断面を、(b)は図2のY−Y断面を示す。
(2−1)複数の樹脂発泡材の元となる発泡体
本実施形態の樹脂発泡材201〜209は、一体物として成形される発泡体20を割断することによって作製される。図3に示すように、発泡体20の外形は、おもて面20aと裏面20b、及びおもて面20aと裏面20bの間に介在する側壁面20cからなる。
図3に示すように、発泡体20のおもて面20aには、芯材10として組み立てられた場合に補強材30が配置されるべき位置に直線状の4個の溝部D1〜D4が形成されている。溝部D1〜D4が交差する位置には、補強材30同士を連結する連結部材140との干渉を避けるために開口部A1〜A4が形成されている。すなわち、溝部D1と溝部D2が交差する位置に開口部A1が形成され、溝部D1と溝部D3が交差する位置に開口部A2が形成され、溝部D3と溝部D4が交差する位置に開口部A3が形成され、溝部D2と溝部D4が交差する位置に開口部A4が形成されている。
図3には示していないが、発泡体20の裏面20bにおいても、平面視でおもて面20aの4個の溝部D1〜D4と対応する位置に、同様に4個の溝部D1〜D4が形成されている。溝部D1〜D4は、発泡体20を割断し、かつ割断後に8個の補強材301〜308を嵌合するために設けられている。発泡体20の溝部の構造については後で詳述する。
(2−2)複数の樹脂発泡材の元となる発泡体の成形
発泡体20は、図4A及び図4Bに示す成形装置50を使用してビーズ法型内発泡成形法によって成形される。図4A(a)に示すように、成形装置50には対向して配置される型51,52が設けられる。型51,52はそれぞれ、空室53,54の一部を構成している。空室53,54には、冷却管41,42が配設されている。
図4A(a)に示す状態から型51,52を閉じると、図4A(b)に示すように型51,52による密閉空間であるキャビティ50aが形成される。型51,52が閉じられた状態で、フィーダ43,44を通して発泡ビーズを充填する。充填される発泡ビーズの量は、例えばキャビティ50aの容積の105〜110%である。次に、図4B(c)に示すように、蒸気注入口55,56より、空室53,54に蒸気(例えば蒸気圧3.0〜3.5kgf/cm2 )を、例えば10〜30秒間注入する。蒸気は型に形成された細孔から発泡ビーズ内の気泡、個々間の空隙に入り込み、ビーズ相互を融着させる。その後、図4B(d)に示すように、冷却水注入口57,58から冷却水を冷却管41,42に注入し、型51,52に噴霧して型51,52および発泡体20を冷して発泡体20を固化させる。次いで、図4B(e)に示すように型を開けて発泡体20を取り出す。発泡体20はその後、例えば50〜70°Cの部屋に12〜24時間置いて養生させることで硬化を促進させ、ヒケ、変形を防止する。
(2−3)複数の樹脂発泡材の元となる発泡体の詳細形状の一例
次に、発泡体20の溝部D1〜D4の詳細形状について、図5〜7を参照して説明する。以下では、おもて面20a側の溝部D1についてのみ説明するが、他の溝部D2〜D4、および、裏面20b側の溝部も同様の形状である。なお、本実施形態では、各溝部の中央にあるおもて面20aに直交する面を想定したときに、その面を挟んで各溝部は対称的な構造になっている。
溝部D1では、発泡体20のおもて面20aを基準に所定の段差量をもって係合面211,221が形成されている。図5に示すように、係合面211,221は、発泡体20のおもて面20aの一辺から当該辺に対向する他辺に亘って溝部D1のほぼ全域で形成されている。
係合面211,221は、断面形状がH形の補強材301(H形押出リンフォース)が係合し、それによって、図2に示すように樹脂発泡材201〜205,209が補強材301に一体嵌合するために設けられている。おもて面20aと係合面211,221の間の段差量は、樹脂発泡材201〜205,209が補強材301に一体嵌合した状態において樹脂発泡材201〜205,209のおもて面(つまり、発泡体20のおもて面20a)と補強材301の上面とが概ね同一平面上となる限り、適宜設定されてよい。また、係合面211,221の幅は、少なくとも補強材301が係合可能な長さが確保されていればよい。
図5に示すように、係合面211,221が延びる方向に沿って突起211a,221aがそれぞれ6箇所形成されているが、突起211a,221aの個数は一例に過ぎず、図示された個数に限られない。突起211a,221aは、断面形状がH形の補強材301(H形押出リンフォース)が係合したときに、補強材301と係合面211,221の間に生ずる面圧を高め、それによって樹脂発泡材201〜205,209の補強材301に対する嵌合力を大きくすることを目的として設けられている。つまり、突起211a,221aを設けることで、各樹脂発泡材を補強材301に嵌合した後に、各樹脂発泡材が補強材301から離脱し難くすることができる。
なお、図5及び図6では、突起211a,221aがすべての箇所で対向する位置に設けている場合が示されているが、この場合に限られない。突起211a及び突起221aはそれぞれ係合面211及び係合面221上で互いに独立した位置に設けてもよい。
突起211a,221aの高さ、係合面211,221が延びる方向に沿った長さ、及び各突起の個数は、各樹脂発泡材と補強材301を組み立てるときの作業性(つまり、嵌合するときの力)と、各樹脂発泡材を補強材301に嵌合した後の離脱力とを勘案して、適宜に設定される。
図5及び図6に示した例では、突起211a,221aはそれぞれ、係合面211,221の端に形成されているが、この例に限られない。補強材301が係合面211,221に係合している範囲であれば、補強材301と係合面211,221の間に生ずる面圧を高めることができるため、突起211a,221aは係合面211,221の端に形成されていなくても構わない。
図6で明瞭に見られるように、好ましくは、係合面211,221の間には、発泡体20を溝部D1において割断するための溝として、溝の深さが比較的浅い浅溝230aと、溝の深さが比較的深い深溝230bとが形成される。図5及び図6に示した例では、11箇所の浅溝230aと10箇所の深溝230bが設けられている。発泡体20を溝部D1において割断するための溝として浅溝230aと深溝230bを設ける理由は、以下のとおりである。すなわち、仮に深溝のみを設けた場合には、後の工程において発泡体20を割断する力が少なくて済み、作業性が向上するが、発泡体20を成形する工程において深溝に相当する位置での型のキャビティの通路が狭いために発泡ビーズをフィーダからキャビティの全域に充填し難くなる。一方、仮に浅溝のみを設けた場合には、発泡体20を成形する工程において発泡ビーズをフィーダから充填しやすくなるが、後の工程において発泡体20を溝部D1において割断する力が大きくなってしまい、作業性が悪化する。そこで、成形性と作業性を両立する観点から、浅溝230aと深溝230bを設けている。
なお、図5に示したように、浅溝230aと深溝230bはそれぞれ複数個を交互に設けることが好ましい。これは、成形性と作業性を両立しつつ、係合面211,221が延びる方向に沿って複数の浅溝の位置が分散されるため、発泡体20の割断位置の精度が良好となるためである。
図7に示すように、図5のE部、つまり溝部D1の一端には、芯材10を組み立てた後に補強材301の脱落を防止するためのストッパ212,222が形成されていることが好ましい。
なお、図7に示す例では、ストッパ212,222はおもて面20aと同一の平面を構成しているが、これに限られない。ストッパ212,222は、補強材301がその長手方向に沿って移動して脱落することを防止できればよいので、必ずしもおもて面20aと同一平面である必要はなく、補強材301が係合する係合面211,221よりもおもて面20a側に突出していればよい。
(2−4)補強材および連結部材の構造
次に、補強材30および連結部材140の構造について、図8および図9を参照して説明する。
図8に示すように、補強材30は長尺状の部材であり、その長手方向に沿って、上面部31、下面部32、支持部33、第1の突出部31a、第2の突出部32a、および、開口30Gを備える。前述したように、補強材301〜308は、図8に示す補強材30の構造を備え、それぞれ全長が個別に設定されている。
上面部31は、補強材30の上面30Uを有する。下面部32は、補強材30の下面30Lを有する。上面30Uは芯材10のおもて面と同一平面であり、下面30Lは芯材10の裏面と同一平面である。支持部33は、上面部31と下面部32の中央において上面部31と下面部32を厚さ方向で支持し、上面30Uおよび下面30Lのそれぞれと直交する方向に延びている。開口30Gは、支持部33と対向して設けられている。かかる構成によって、補強材30の断面形状はH形をなしている。
第1の突出部31aは、上面部31の開口30G側の端から下面部32に向けて突出している。第2の突出部32aは、下面部32の開口30G側の端から上面部31に向けて突出している。
図9に示すように、連結部材140は全体として直方体状であり、上面140U、下面140L、第1の側面140S1、および、第2の側面140S2を備える。
第1の補強材30と第2の補強材30とを連結する場合を想定すると、連結部材140の上面140Uには、第1の補強材30の上面部31側に設けられた第1の突出部31aと係合する第1の溝141が形成されている。連結部材140の下面140Lには、第1の補強材30の下面部32側に設けられた第2の突出部32aと係合する第2の溝142が形成されている。
連結部材140の切り欠き部143は、第1の溝141および第2の溝142と直交し、かつ第2の補強材30の支持部33を受け入れるようにして上面140Uから下面140Lに亘って設けられている。
(2−5)補強材同士の連結
次に、連結部材140を用いた補強材30同士の連結について、図10A〜10Cを参照して説明する。
図10A〜10Cは、補強材301と補強材303を連結部材140を用いて連結する場合について説明するが、他の2つの補強材の連結も同様にして行われる。つまり、補強材301と、補強材304,305,308の各々との連結も同様にして行われ、補強材302と、補強材305,306,307,308の各々との連結も同様にして行われる。
図10Aに示す状態S1では、補強材301の一端から連結部材140が嵌め込まれる。ここで、連結部材140の第1の溝141が補強材301の上面部31側に設けられた第1の突出部31aと係合し、かつ連結部材140の第2の溝142が補強材301の下面部32側に設けられた第2の突出部32aと係合した状態で、連結部材140が補強材301の長手方向に摺動可能となっている。
連結部材140が補強材301に嵌め込まれた状態では、連結部材140の上面140Uは補強材301の上面30Uよりも下方に位置しており、上面140Uの下面140Lは補強材301の下面30Lよりも上方に位置している。
図10Bに示す状態S2では、補強材301に嵌め込んだ連結部材140を補強材301の長手方向に沿って、補強材303を補強材301に連結すべき位置まで摺動させた状態を示している。
図10Bに示す状態S3では、補強材301の長手方向に直交する方向から補強材303を連結部材140に嵌め込もうとする状態を示している。このとき、連結部材140の上面140Uと下面140Lに亘って設けられた切り欠き部143に補強材303の支持部33が挿入され、連結部材140の切り欠き部143と補強材303の支持部33が係合する。さらに、連結部材140の上面140Uおよび下面140Lがそれぞれ補強材303の上面部31および下面部32に内接し、連結部材140の第1の側面140S1の両面が補強材303の第1の突出部31aおよび第2の突出部32aに内接する。つまり、連結部材140のうち補強材301から突出する部分が補強材303の内側に挿入された状態となり、その状態で補強材303がその長手方向に摺動可能となっている。
補強材303の端部が補強材301に当接するまで補強材303を摺動させると、図10Cに示す状態S4となる。この状態では、補強材301の上面30Uと補強材303の上面30Uとが同一平面となり、補強材301の下面30Lと補強材303の下面30Lとが同一平面となる。すなわち、各補強材の上面同士および下面同士がそれぞれ同一平面となるように、補強材30の高さよりも連結部材140の高さが低く設定されている。
(2−6)発泡体の割断、及び芯材の組み立て
次に、発泡体20が成形された後の工程について、図11および図12説明する。
発泡体20が成形されると、発泡体20を4箇所の溝部D1〜D4の浅溝230a及び深溝230bにおいて割断して、9個の樹脂発泡材201〜209に分割する。次いで、図10A〜10Cを参照して説明したように連結部材140を用いて補強材30同士を連結しながら、9個の樹脂発泡材201〜209の各々を補強材30の開口30Gから補強材30の内部に挿入して、9個の樹脂発泡材201〜209と補強材301〜308が一体となった芯材10を組み立てる。
図2を参照すると、芯材10の組み立て方法の一例は、以下の(i)〜(vii)の順に示すとおり、芯材10の端E1側から端E2側の方向に沿って組み立てられる。なお、これとは逆に、芯材10の端E2側から端E1側の方向に沿って組み立ててもよい。
(i) 芯材10の端E1側から2個ずつの連結部材140を補強材301および補強材302にそれぞれ嵌め込み、補強材304,305,306が連結する位置まで移動させる。
(ii) (i)において嵌め込んだ2個ずつの連結部材140の切り欠き部143(4箇所)に補強材304,305,306の支持部33を挿入する。それによって、補強材304の一端を補強材301に連結し、補強材306の一端を補強材302に連結する。補強材305の一端を、補強材304に対向する位置において補強材301に連結し、補強材305の他端を、補強材306に対向する位置において補強材302に連結する。
(iii) 樹脂発泡材204を補強材301,304の内部に挿入し、樹脂発泡材205を補強材301,302,305の内部に挿入し、樹脂発泡材206を補強材302,306の内部に挿入する。
(iv) 樹脂発泡材203を補強材301,304の内部に挿入し、樹脂発泡材201を補強材301,302,305の内部に挿入し、樹脂発泡材207を補強材302,306の内部に挿入する。
(v) 芯材10の端E2側から2個ずつの連結部材140を補強材301および補強材302にそれぞれ嵌め込み、樹脂発泡材201,203,207に当接するまで移動させる。
(vi) (v)において嵌め込んだ2個ずつの連結部材140の切り欠き部143(4箇所)に補強材303,307,308の支持部33を挿入する。それによって、補強材303の一端を補強材301に連結し、補強材307の一端を補強材302に連結する。補強材308の一端を、補強材303に対向する位置において補強材301に連結し、補強材308の他端を、補強材307に対向する位置において補強材302に連結する。
(vii) 樹脂発泡材202を補強材301,303の内部に挿入し、樹脂発泡材209を補強材301,302,308の内部に挿入する(図11参照)。樹脂発泡材208を補強材302,307の内部に挿入する。
以上の(i)〜(vii)の工程を経て、芯材10が完成する。
図12(a)(図2に示す芯材10のX−X断面図)に例示するように、本実施形態の芯材10では、樹脂発泡材201〜209が補強材30に挿入された状態において、各樹脂発泡材の突起211a,221aが形成された箇所では各樹脂発泡材(図12(a)では、樹脂発泡材201,203)の補強材30(図12(a)では、補強材301)に対する面圧が高くなり、また、仮に各樹脂発泡材(図12(a)では、樹脂発泡材201,203)に対してそれぞれ図中の右方向又は左方向の力が加わった場合でも補強材30の第1の突出部31aおよび第2の突出部32aが各樹脂発泡材の突起211a,221aと当接するため、各樹脂発泡材が補強材30から離脱し難い構成となっている。
図12(b)(図2に示す芯材10のY−Y断面図)に示すように、本実施形態の芯材10では、補強材30の内部間(図12(b)では、補強材301と補強材303の内部間、および、補強材301と補強材308の内部間)を架橋するようにして連結部材140が補強材同士を強固に連結するため、連結される補強材同士が接する部位(具体的には、補強材301の第1の突出部31aおよび第2の突出部32aの近傍の位置)での芯材10の剛性の低下が抑制される。
本実施形態の芯材10では、連結部材140の第1の溝141は補強材30の第1の突出部31aと係合し、連結部材140の第2の溝142は補強材30の第2の突出部32aと係合しているため、補強材30に嵌め込まれた連結部材140が、当該補強材30の長手方向と直交する方向に脱落することはない。また、本実施形態の芯材10では、図11に示したように樹脂発泡材201〜209が補強材30の内部に挿入されるため、補強材30にいったん嵌め込まれた連結部材140が当該補強材30の長手方向に沿ってスライド移動して補強材30から外れることがない。
本実施形態の芯材10では、連結される補強材30(図12(b)では、補強材301,303)の上面同士および下面同士が同一平面となる。そのため、芯材10を樹脂シートSa,Sbで覆った場合に、樹脂製パネル1のおもて面1aおよび裏面1bの全域で平坦となり、樹脂製パネル1の外観あるいは機能性を損なうことがない。
(3)樹脂製パネルの成形方法
次に、図13〜19を参照して、実施形態の樹脂製パネル1を、金型を用いて成形する装置および方法について説明する。
先ず、実施形態の樹脂製パネル1の成形装置について説明する。
図13に示すように、実施形態の成形装置90は、押出装置60と、押出装置60の下方に配置された型締装置70とを有する。押出装置60から押出された溶融状態の樹脂シートPは、型締装置70に送られ、型締装置70において溶融状態の樹脂シートPが成形される。なお、図13では、型締装置70及び溶融状態の樹脂シートPのみを断面図で示してある。
押出装置60は、Tダイ61A,61B、アキュムレータ81A,81B、プランジャー82A,82B、押出機83A,83B、及び樹脂供給ホッパー84A,84Bを備える。押出装置60では、樹脂原料が押出機を用いて可塑化溶融させられ、この溶融樹脂がTダイ61A,61Bでダイ外へ押し出される。押出装置60において、押出機83A,83Bの押出能力は、樹脂製パネル1の大きさにより適宜選択することができるが、樹脂製パネル1の成形サイクルを短縮させる観点から、50kg/時以上であることが好ましい。
押出装置60では、樹脂シートの押出速度は、Tダイ61A,61B及びアキュムレータ81A,81Bにより設定される。また、ドローダウンを防止する観点から、Tダイ61A,61Bにおける樹脂シートの押し出しは、40秒以内に完了することが好ましく、30秒以内に完了するのがさらに好ましい。このため、アキュムレータ81A,81Bに貯留された溶融樹脂材料は、Tダイ61A,61Bから1cm2当たり50kg/時以上、好ましくは60kg/時以上で押し出されることになる。このとき、Tダイ61A,61Bのダイ先端のスリットを樹脂シートの押出速度に応じて変化させることでドローダウンの影響をさらに抑制することができる。すなわち、Tダイ61A,61Bのスリットの間隔を押出開始から徐々に広げ、押出終了時に最大とすることで、樹脂シートの自重による肉厚変化を抑制し、上下方向の広い範囲に亘り樹脂シートを均一な厚さとすることができる。これにより、後述する一対の分割金型を開位置から閉位置へ移動させる時点において、樹脂シートの厚みを均一にすることができる。
図13を再度参照すると、型締装置70は、溶融状態の樹脂シートPの供給方向に対して略直交する方向に、開位置と閉位置との間で移動させられる一対の分割金型71A,71Bを有する。一対の分割金型71A,71Bは、各々に対応する形成面72A,72Bを対向させた状態で配置される。形成面72A,72Bの表面には、樹脂製パネル1の略外形に応じて凹凸部が設けられてもよい。
一対の分割金型71A,71Bの各々において、各々に対応する形成面72A,72Bの上下端近傍には、ピンチオフ部74A,74Bが形成されている。このピンチオフ部74A,74Bはそれぞれ、形成面72A,72Bのまわりに環状に形成され、対向する分割金型71B,71Aに向かって突出する。これにより、一対の分割金型71A,71Bを型締する際、それぞれのピンチオフ部74A,74Bの先端部が当接し、溶融状態の樹脂シートPの周縁にパーティングラインPLが形成されるようになっている。
一対の分割金型71A,71Bには、形成面72A,72Bの周囲において、形成面72A,72Bから突出可能に摺動部75A,75Bが設けられている。摺動部75A,75Bは、形成面72A,72Bから突出した状態において、その端面が樹脂シートPに接触し、それにより、樹脂シートPと一対の分割金型71A,71Bの形成面72A,72Bとの間に密閉空間が形成されるようにして、設けられている。
一対の分割金型71A,71Bには、真空チャンバ73A,73Bが内蔵されている。真空チャンバ73A,73Bは、真空ポンプおよび真空タンク(いずれも図示せず)と接続されている。真空チャンバ73A,73Bと形成面72A,72Bの間には、密閉空間の真空吸引のために連通する連通路(図示せず)が設けられている。
一対の分割金型71A,71Bは、金型駆動装置(図示せず)によって、開位置と閉位置の間を移動可能となるように駆動される。開位置では、一対の分割金型71A,71Bの間に、2枚の溶融状態の連続した樹脂シートPが、互いに間隔を隔てて配置可能となっている。2枚の樹脂シートPは、成形後に、樹脂製パネル1における樹脂シートSa,Sbとなる。閉位置では、一対の分割金型71A,71Bのピンチオフ部74A,74Bが当接する。
次に、樹脂製パネル1の成形方法について説明する。
先ず、図13に示したように、押出装置60から溶融状態の樹脂シートPが各ダイスリットから鉛直下方に押し出される。この押し出された樹脂シートPはそれぞれ、ローラ65A,65Bを通して、一対の分割金型71A,71Bの間に供給される。この時点で、一対の分割金型71A,71Bは開位置にある。
なお、樹脂製パネル1の表面に装飾シート(例えば布製の装飾シート)を付加する場合には、垂下する樹脂シートPと装飾シートを、ローラ65A,65Bにより互いに圧着させることができる。このとき、装飾シートは、その内面が布状であることが、樹脂シートPとの溶着を強くするうえで好適である。ローラ65A,65Bは、表面にフッ素の薄膜でコーティングを施し、また70〜100℃程度に加熱することが樹脂の付着防止および溶着強度の向上のうえで好ましい。
また、あらかじめ、装飾シートを分割金型の形成面に設置しておき、樹脂シートPの成形と同時に、樹脂シートPを装飾シートに溶着させてもよい。
尚、布製の装飾シートとしては、不織布が好ましい。特に、かえしのある針を突き刺して機械的に繊維を結合させてなるニードルパンチ不織布を用いることが、溶着強度向上のうえで好ましい。
次に、図14に示すように、形成面72A,72Bの周囲にある摺動部75A,75Bを突出させて、その端面を樹脂シートPに接触させる。これにより、樹脂シートPと一対の分割金型71A,71Bの形成面72A,72Bとの間に密閉空間が形成される。そして、真空チャンバ73A,73Bと形成面72A,72Bの間に設けられた連通路(図示せず)によって、密閉空間内の空気を吸引する。この吸引により、2枚の樹脂シートPがそれぞれ、一対の分割金型71A,71Bの形成面72A,72Bに押圧させられ、図15に示すように、形成面72A,72Bに沿った形状、すなわち、樹脂製パネル1の略外形に形成される。
尚、形成面72A,72Bの周囲にある摺動部75A,75Bの先端から樹脂シートP側の空気を吸引できるように構成することで、樹脂シートPを摺動部75A,75Bに接触させた状態で、確実に保持することができる。また、密閉空間を吸引して樹脂シートPを形成面72A,72Bに沿った形状にするときに、皺が発生することを抑制できる。
次に、マニピュレータ(図示せず)を用いて一対の分割金型71A,71Bの間で芯材10を位置決めし、図16に示すように、側方より一方の分割金型(図16では、分割金型71B)に押し付けるようにして挿入する。これにより、芯材10が樹脂シートPに溶着する。なお、樹脂材料にもよるが、樹脂シートPは成形後の冷却により1%前後収縮する。分割金型71A,71Bの形成面72A,72Bは、その収縮を見込んで形状が設定されている。すなわち、形成面72A,72Bは、樹脂シートの成形後の目標寸法よりも僅かに大きく設定されている。そのため、常温状態の芯材10を余裕を持って分割金型内に挿入することができる。
次に、図17に示すように、一対の分割金型71A,71Bを開位置から閉位置まで移動させて、型締する。これにより、一方の樹脂シートP(図面右側)に対して溶着されていた芯材10は、他方の樹脂シートP(図面左側)に対しても溶着される。さらに、一対の分割金型71A,71Bのピンチオフ部74A,74Bにおいて、一対の樹脂シートPの周縁が溶着させられ、パーティングラインPLが形成される。なお、型締の際、予め成形された常温状態の芯材10を溶融状態の樹脂シートPに対して溶着させるため、芯材10自体は、型締により変形を受けないように予め位置決めされている。
最後に、一対の分割金型71A,71Bを再び開位置に移動させ、成形した樹脂製パネル1を形成面72A,72Bから離間させ、パーティングラインPLまわりに形成されたバリを、カッター等で切断して除去する。尚、型締めと同時に、ピンチオフ部74A,74Bでバリが切断されるように構成してもよい。以上で、樹脂シートSa、芯材10、樹脂シートSbが積層された樹脂製パネル1が完成する。
なお、前述したように、剛性及び強度を増加させる目的で、樹脂シートPにはガラスフィラー、無機フィラーやカーボンフィラーを混入するようにしてもよい。
上述したように、押し出された溶融状態の樹脂シートが固化する前に、分割金型で挟み込んで、芯材に溶着させる方法によれば、成形コストを低減できる。なぜなら、例えば、固化した樹脂シートを再度加熱して溶融させ、芯材に溶着させる方法に比べて、再加熱工程が不要になり、成形コストを低減できるからである。
また、鉛直下方に溶融状態の樹脂シートを押し出す構成とすることで製造装置の占有面積を減らすことができる。なぜなら、例えば、水平方向に押し出して成形する場合は、水平方向に樹脂シートを移動させるための搬送装置が別途必要になるとともに、当該搬送装置や金型を押出装置と水平方向に並べて設置することが必要になるからである。
なお、上述した実施形態の樹脂製パネルの成形方法は、適宜変形するようにしてもよい。以下、実施形態の樹脂製パネルの成形方法の変形例について説明する。
(変形例1)
上述した樹脂製パネルの成形方法では、一対のTダイが溶融状態の樹脂シートを押し出す場合について説明したが、円筒状のパリソンを切断しつつ押し出すことで樹脂シートを得るようにしてもよい。
(変形例2)
上述した樹脂製パネルの成形方法では、一対の分割金型71A,71Bを閉位置に移動させる前に、樹脂シートPと一対の分割金型71A,71Bの形成面72A,72Bとの間に密閉空間を形成する場合について説明したが、これに限られない。一対の分割金型71A,71Bを閉位置に移動させることで密閉空間を形成するようにしてもよい。
(変形例3)
上述した樹脂製パネルの成形方法では、樹脂シートPを一対の分割金型71A,71Bの形成面72A,72Bに押圧させるために、密閉空間内部の空気を吸引するようにした場合について説明したが、これに限られない。樹脂シートPに空気等の流体を吹き付けることによって樹脂シートPを一対の分割金型71A,71Bの形成面72A,72Bに押圧させるようにしてもよい(ブロー成形)。
(変形例4)
上述した樹脂製パネルの成形方法では、溶融状態の樹脂シートの外層を分割金型の形成面に押圧させる工程は、密閉空間の吸引による方法、又はブロー成形による方法を用いたが、これらの方法に限られない。密閉空間を形成することなく、芯材10を用いて溶融状態の樹脂シートを分割金型の形成面に押し付ける方法を適用してもよい。この方法について、図18及び図19を参照して説明する。
図18は、溶融状態の樹脂シートに対して芯材10を押し付ける前の状態を示す図である。図19は、溶融状態の樹脂シートに対して芯材10を分割金型の形成面に達するまで押し付けた後の状態を示す図である。
本変形例の方法では先ず、図18に示すように、押出装置60から溶融状態の樹脂シートPが鉛直下方に押し出された状態(図13と同じ状態)で、マニピュレータ120によって保持された芯材10が、樹脂シートPを挟んで分割金型71Bと対向する位置に位置決めされる。芯材10が位置決めされると、芯材10を保持するマニピュレータ120は、分割金型71Bの形成面72Bに向けて移動させられる。すると、芯材10が溶融状態の樹脂シートPに接触し、芯材10と樹脂シートPが溶着する。芯材10との接触時において、溶融状態の樹脂シートPは、熱伝導率の高い分割金型71Bと接触していないため比較的高温に保たれている。よって、芯材10と樹脂シートPは良好に溶着する。
マニピュレータ120がさらに移動させられ、樹脂シートPの外層が分割金型71Bの形成面72Bに達すると、図19に示す状態となる。このとき、マニピュレータ120によって樹脂シートPの外層が芯材10を介して形成面72Bに押し付けられる。その後、芯材10からマニピュレータ120が取り外される。
以降の工程は、前述したとおりである。
すなわち、図17に示したように、一対の分割金型71A,71Bを開位置から閉位置まで移動させて、型締する。これにより、一方の樹脂シートP(図面右側)に対して溶着されていた芯材10が他方の樹脂シートP(図面左側)に対しても溶着される。そして、一対の樹脂シートが分割金型71A,71Bの形成面72A,72Bに押圧させられ、図15に示すように、形成面72A,72Bに沿った形状、すなわち、樹脂製パネル1の略外形に形成される。さらに、一対の分割金型71A,71Bのピンチオフ部74A,74Bにおいて、一対の樹脂シートPの周縁が溶着させられ、パーティングラインPLが形成される。最後に、一対の分割金型71A,71Bを再び開位置に移動させ、成形した樹脂製パネル1を形成面72A,72Bから離間させ、パーティングラインPLまわりに形成されたバリを、カッター等で切断して除去する。以上で、樹脂シートSa、芯材10、樹脂シートSbが積層された樹脂製パネル1が完成する。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の樹脂製パネルとその製造方法は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。
上述した実施形態では、芯材10において補強材を井の字型のレイアウトに配置するようにしたが、このレイアウトに限られない。補強材と連結部材の形状を変更することで、2以上の補強材を別のレイアウトにすることもできる。
図2に示したように、芯材10において補強材を井の字型のレイアウトに配置する場合には、補強材同士が直交する構成となるが、これとは別の構成とすることができる。つまり、補強材同士を連結する角度は任意に設定することができる。例えば、補強材30の端面に直交する方向から傾斜した方向に補強材30の長手方向が向くようにして補強材30を形成する。連結部材140の切り欠き部143を、第1の溝141および第2の溝142と直交する方向から傾斜した方向に形成する。そうすることで、補強材30同士が連結部材140を介して連結される角度を任意に設定することができる。
上述した実施形態では、補強材30としてH形押出リンフォースが適用される場合について説明したが、H形に限られずコの字の形態(図8において、支持部33を第1の突出部31aおよび第2の突出部32aの側に形成した形態)としてもよい。例えば、全体としてT字形となる補強材を芯材に組み込む場合には、補強材の一方の側に別の補強材を突き当てるようにすればよいため、必ずしもH形の補強材を使用しなくてもよい。
上述した実施形態では、補強材30に第1の突出部31aおよび第2の突出部32aを設け、第1の突出部31aおよび第2の突出部32aをそれぞれ連結部材140の第1の溝141および第2の溝142に係合させるようにしたが、連結部材140が補強材30から脱落しないための別の手段を設けることで、補強材30の各突出部および連結部材140の各溝を設けないようにしてもよい。例えば、補強材30との摺動抵抗が高い材質を連結部材140の表面に貼り付けるようにしてもよいし、連結部材140が容易に脱落せず、かつ補強材30の内部を摺動可能な程度に連結部材140を補強材30に圧入する構成としてもよい。
1…樹脂製パネル
Sa,Sb…樹脂シート(表皮材シート)
1a…おもて面
1b…裏面
1c…側壁面
10…芯材
20…発泡体
20a…おもて面
20b…裏面
20c…側壁面
201〜209…樹脂発泡材
A1〜A4…開口部
D1〜D4…溝部
230a…浅溝
230b…深溝
211,221…係合面
211a,221a…突起
212、222…ストッパ
30…補強材
30U…上面
30L…下面
30G…開口
31…上面部
31a…第1の突出部
32…下面部
32a…第2の突出部
33…支持部
140…連結部材
140U…上面
140L…下面
140S1…第1の側面
140S2…第2の側面
141…第1の溝
142…第2の溝
143…切り欠き部
50…成形装置
50a…キャビティ
41,42…冷却管
43,44…フィーダ
51,52…型
53,54…空室
55,56…蒸気注入口
57,58…冷却水注入口
60…押出装置
70…型締装置
61A,61B…Tダイ
65A,65B…ローラ
71A,71B…分割金型
72A,72B…形成面
73A,73B…真空チャンバ
74A,74B…ピンチオフ部
75A,75B…摺動部
90…成形装置
P…樹脂シート

Claims (3)

  1. 構造体を樹脂シートで覆った樹脂製パネルであって、
    前記構造体は、
    長尺の部材であって断面形状が同一である2つの補強材と、
    前記2つの補強材を互いに直交させ、前記2つの補強材の上面同士が同一平面となり、かつ前記2つの補強材の下面同士が同一平面となるように、前記2つの補強材を連結する連結部材と、
    を備えたことを特徴とする、樹脂製パネル。
  2. 前記補強材は、長手方向に沿って、
    補強材の上面を有する上面部と、
    補強材の下面を有する下面部と、
    上面部と下面部を厚さ方向で支持する支持部と、
    前記支持部と対向して設けられた開口と、
    上面部の開口側の端から下面部に向けて突出する第1の突出部と、
    下面部の開口側の端から上面部に向けて突出する第2の突出部と、
    を備え、
    前記連結部材は、全体として直方体状であって、
    前記2つの補強材のうち一方の第1の補強材の第1の突出部と係合する第1の溝が形成された上面と、
    前記第1の補強材の第2の突出部と係合する第2の溝が形成された下面と、
    第1の溝および第2の溝と直交し、かつ前記2つの補強材のうち他方の第2の補強材の支持部を受け入れるようにして上面から下面に亘って設けられた切り欠き部と、
    を備えた、
    請求項1に記載された樹脂製パネル。
  3. 第1の補強材の開口から第1の補強材の上面部と下面部の間に挿入され、かつ第2の補強材の開口から第2の補強材の上面部と下面部の間に挿入される樹脂発泡材、をさらに備えた、
    請求項2に記載された樹脂製パネル。
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