JP2022053702A - エポキシ基含有トナー粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】Tgが低い結着樹脂を用いると、輸送時や保存時、印刷機内でトナーが凝集する保存性の問題点がある。また、結着樹脂の分子量を下げると、印刷時に受ける物理的なストレスにより耐久性が低下し、連続印刷時に画像の劣化が顕著になる。さらに、Tgや分子量を下げると、トナー粒子は低粘度化し、紙への溶融定着時に熱定着ドラムにトナー粒子が付着する高温オフセットが発生しやすくなり、定着可能温度領域の狭小化をもたらす。定着可能温度領域の狭小化は、高コストの熱定着ドラム温度の精密制御が必要となる。定着可能温度領域の広い良好なトナー粒子を提供する。【解決手段】炭素数3以上32以下のペンダント基を有する構成単位を1モル%以上15モル%以下含有するペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂;エポキシ基含有樹脂;触媒;着色剤;及び離型剤を含むエポキシ基含有トナー粒子。【選択図】なし

Description

本開示は、エポキシ基含有トナー粒子に関する。
近年、省エネルギーの観点から、消費電力を抑制できる電子写真法のトナー像の低温定着が求められている。一般に、トナー粒子を低温で紙等の基盤に定着させるためには、トナー粒子中の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)や分子量を下げる方策がとられている。しかしながら、Tgが低い結着樹脂を用いると、輸送時や保存時、印刷機内でトナーが凝集する保存性の問題点がある。また、結着樹脂の分子量を下げると、印刷時に受ける物理的なストレスにより耐久性が低下し、連続印刷時に画像の劣化が顕著になる。さらに、Tgや分子量を下げると、トナー粒子は低粘度化し、紙への溶融定着時に熱定着ドラムにトナー粒子が付着する高温オフセットが発生しやすくなり、定着可能温度領域の狭小化をもたらす。定着可能温度領域の狭小化は、高コストの熱定着ドラム温度の精密制御が必要となる。
図1はエポキシ基含有トナー粒子の示差走査熱量測定法(DSC)プロファイルである。
図2はエポキシ基含有トナー粒子のDSC測定前後のゲル浸透クロマトグラフ(GPC)である。
本開示の一態様では、炭素数3以上32以下のペンダント基を有する構成単位を1モル%以上15モル%以下含有するペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂;一般式(1)
Figure 2022053702000001

(式中、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基を表す。●は結合部位を表す。)で表されるエポキシ基を有するエポキシ基含有樹脂;触媒;着色剤;及び離型剤を含むエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、一般式(1)のR、RおよびRが、水素原子であるエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、エポキシ基の含有量が、エポキシ基含有樹脂1mol当たり0.6~5.0molであるエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、エポキシ基含有樹脂中のエポキシ基の量の結着樹脂であるポリエステル樹脂中のカルボキシル基に対する比[エポキシ基]/[カルボキシル基]の値が、0.5~50であるエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、触媒が有機塩基であるエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、触媒がイミダゾールであるエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量5000~30000であるエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量5000~15000であるエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、結着樹脂の吸熱量Tg2nd-dHが5~50J/gであるエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、個数平均粒径で粒径3μm以下の粒子の存在量が3個数%以下であるエポキシ基含有トナー粒子を提供する。
また本開示の一態様では、(i)炭素数3以上32以下のペンダント基を有する構成単位を1モル%以上15モル%以下含有するペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂を含むラテックス;結晶性ポリエステル樹脂を含むラテックス;一般式(1)
Figure 2022053702000002

(式中、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基を表す。●は結合部位を表す。)で表されるエポキシ基を有するエポキシ基含有樹脂を含むラテックス;触媒を含む分散液;を混合し、さらに着色剤と離型剤の分散液を混合する混合液形成工程、
(ii)次いで、凝集剤を添加し凝集粒子を得る凝集粒子形成工程、
(iii)(ii)で得られた凝集粒子に、炭素数3以上32以下のペンダント基を有する構成単位を1モル%以上15モル%以下含有するペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂を含むラテックスを添加し、被覆凝集粒子を得る被覆凝集粒子形成工程、
(iv)(iii)で得られた被覆凝集粒子を加熱する融合合一工程;
を含む、エポキシ基含有トナー粒子の製造方法を提供する。
また本開示の一態様では、工程(iv)の加熱を55~85℃で行うエポキシ基含有トナー粒子の製造方法を提供する。
また本開示の一態様では、R、RおよびRが、水素原子であるエポキシ基含有トナー粒子の製造方法を提供する。
また本開示の一態様では、エポキシ基の含有量が、エポキシ基含有樹脂1mol当たり0.6~5.0molであるエポキシ基含有トナー粒子の製造方法を提供する。
また本開示の一態様では、エポキシ基含有樹脂中のエポキシ基の量の結着樹脂であるポリエステル樹脂中のカルボキシル基に対する比[エポキシ基]/[カルボキシル基]の値が、0.5~50であるエポキシ基含有トナー粒子の製造方法を提供する。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、結着樹脂を含む。結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂とペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂を含む。ここで、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂とは、炭素数3以上32以下のペンダント基を有する構成単位を含有する。
ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂は、非結晶性ポリエステル樹脂中への結晶性ポリエステル樹脂の分散の観点から、炭素数3以上32以下のペンダント基を有する構成単位を、全構成単位中、1モル%以上、または1.5モル%以上、さらには2モル%以上、そして、10モル%以下、または9モル%以下、さらには8モル%以下含有してもよい。ここで、このモル%は、ペンダント型非結晶性ポリエステルの全構成単量体中の、ペンダント基を有する構成単位となる単量体のモル%として定義されてよい。
ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂は、例えばDSCにおいて明確な吸熱ピークを有さないポリエステルであってよく、また、DSCにおいて、温度上昇速度を10℃/分で測定したとき、階段状の吸熱量変化を示すポリエステル樹脂や、あるいは吸熱ピークの半値幅が、15℃を超えるポリエステル樹脂であると定義されてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えばDSCにおいて、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂であってよい。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、結着樹脂を、40質量%以上、または45質量%以上、さらには50質量%以上、そして、90質量%以下、または85質量%以下、さらには75質量%以下含有してよい。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂を、48質量%以上、または56質量%以上、そして、72質量%以下、または64質量%以下含有してよい。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を、10質量%以上、または15質量%以上、そして、30質量%以下、または20質量%以下含有してよい。
次に、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂の製造方法について述べる。ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂は、多官能性カルボン酸とポリオールを縮重合することにより得ることができる。その際、多官能性カルボン酸としてペンダント基含有多官能性カルボン酸とペンダント基を有さない多官能性カルボン酸を混合して、ポリオールと反応させることにより、多官能性カルボン酸単位を含有するペンダント基を有する非結晶性ポリエステルとペンダント基を有さない非結晶性ポリエステルを混合物として得、これをペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂として用いることができる。その際、ペンダント基を有する非結晶性ポリエステルの含有率、すなわちペンダント基を有する構成要素の含有率は、これらの用いるペンダント基含有多官能性カルボン酸とペンダント基を有さない多官能性カルボン酸の使用量で調整することができる。また予め、ペンダント基を有する多官能性カルボン酸とポリオールからペンダント基含有非結晶性ポリエステルを、及び、ペンダント基を有さない多官能性カルボン酸とポリオールからペンダント型基を有さない非結晶性ポリエステルを、各々個別に得て、これらを混合してペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂として用いることもできる。
ペンダント基含有多官能性カルボン酸として、例えば一般式(2)
Figure 2022053702000003

(式中、Rは、水素原子;炭素数3~32の直鎖または分岐アルキル基またはアルケニル基;またはフェニル基を表す。Rは、炭素数3~32の直鎖または分岐アルキル基またはアルケニル基;またはフェニル基を表す。)で表されるコハク酸誘導体、または一般式(3)
Figure 2022053702000004

(式中、R及びRは、前記と同じ内容を示す。)で表される一般式(3)のコハク酸誘導体無水物;及びこれら以外のペンダント基を有さない多官能性カルボン酸を用い、これらとポリオールを反応させることにより、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。
一般式(2)及び(3)で表されるコハク酸誘導体及びコハク酸誘導体無水物のRとしては、入手容易な化合物として水素原子の化合物を用いることができる。また、ペンダント基となるRが、炭素数3~32、または、炭素数3~24、さらには炭素数18~24の化合物を用いることができる。
一般式(2)及び(3)で表されるコハク酸誘導体及びコハク酸誘導体無水物としては、例えばブチルコハク酸、オクチルコハク酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、テトラデシルコハク酸、ヘキサデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸、イソオクタデシルコハク酸(分岐鎖異性体混合物)、フェニルコハク酸、2-プロペン-1-イルコハク酸、2-メチル-2-プロペン-1-イルコハク酸、2-ブテン-1-イルコハク酸、2-ヘキセン-1-イルコハク酸、2-オクテン-1-イルコハク酸、2-ノネン-1-イルコハク酸、2-テトラデセン-1-イルコハク酸、2-オクタデセン-1-イルコハク酸、イソオクタデセニルコハク酸(分岐鎖異性体混合物)、2,7-オクタジエン-1-イルコハク酸等、及びこれらの無水物を用いることができる。また、上記の化合物から選ばれた2種以上を用いてもよい。
コハク酸誘導体(2)の用いることのできる形態としては、コハク酸誘導体無水物(3)の他に、例えば(炭素数1~8のアルキル)エステル;4,4-ジアミノフェニルメタン等との反応で得られるジイミド;トリス-(β-カルボキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌレート環含有ポリイミド、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの三量化反応物等との反応で得られるイソシアネート環含有ポリイミド;を用いることもできる。
ペンダント基を有さない多官能性カルボン酸としては、炭素数2~50の多官能性芳香族カルボン酸、多官能性脂肪族カルボン酸を用いることができる。多官能性芳香族カルボン酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、tert-ブチルイソフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等の二官能性芳香族カルボン酸;トリメシン酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸等の三官能性芳香族カルボン酸;ピロメリット酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボン酸等の四官能性芳香族カルボン酸;ベンゼンペンタカルボン酸等の五官能性芳香族カルボン酸;メリット酸等の六官能性芳香族カルボン酸;等を用いることができる。
ペンダント基を有さない多官能性脂肪族カルボン酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソオクテニルコハク酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデエニルコハク酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の二官能性脂肪族カルボン酸;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、アコニット酸、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ヘキサン-1,3,6-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,3、5-トリカルボン酸、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸等の三官能性脂肪族カルボン酸;エチレンテトラカルボン酸、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、ブタン-1,1,3,4-テトラカルボン酸、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、オクタヒドロペンタレン-1,3,4,6-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸等の四官能性脂肪族カルボン酸;シクロヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボン酸等の六官能性の脂肪族カルボン酸;等を用いることができる。また、これらから選ばれた2種以上を用いることもできる。
これらの多官能性カルボン酸は、その形態として、無水物;(炭素数1~8のアルキル)エステル;4,4-ジアミノフェニルメタン等との反応で得られるジイミド;トリス-(β-カルボキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌレート環含有ポリイミド、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの三量化反応物等との反応で得られるイソシアネート環含有ポリイミド;として用いることができる。
得られるペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂の定着性が良い点で、ペンダント基を有さない多官能性芳香族カルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸が、多官能性脂肪族カルボン酸としては、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸を用いることができる。また、これらの多官能性カルボン酸から選ばれた2種以上を用いてもよい。
上記多官能性カルボン酸に、例えばp-オキシ安息香酸、バニリン酸、ジメチロールプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、5-ヒドロキシイソフタル酸等のヒドロキシカルボン酸成分を加えてもよいし、一価のカルボン酸や一価のアルコールを、樹脂の分子量調整やトナーの耐高温オフセット性向上の観点から含んでもよい。
非結晶性ポリエステル樹脂の製造に用いることができるポリオールとしては、例えば一般式(4)
Figure 2022053702000005

(式中、Rは、同一または相異なってエチレン基またはメチルエチレン基を表す。R及びRは、各々独立に水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。Rは、エチレン基、メチルエチレン基、ジメチルエチレン基、メチルフェニルエチレン基、ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、エチルメチルエチレン基、ジフェニルエチレン基またはp-キシリレン基を表す。x及びyは、各々0~10の整数を表し、xとyの和の平均値は1~10を表す。)で表されるビスフェノールA誘導体及びそのエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシド付加体;や、直鎖または分岐の炭素数2~36のポリオールを用いることができる。直鎖または分岐の炭素数2~36のポリオールとしては例えば、水添ビスフェノールA、テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)、キシリレングリコール等の芳香族ジオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール、1,4-ブテンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール等の脂肪族ジオール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族トリオール;ペンタエリスリトール等の脂肪族テトラオール等を用いることができる。また、ソルビトール、スクロース等の糖類を用いることもできる。また、両末端が水酸基のポリエチレンテレフタレートをポリオールとして用いることもできる。
ポリオールとしては、上記ポリオールから選ばれた2種以上を用いてもよい。得られるペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂の定着性の良いポリオールとして、ビスフェノールA及びそのエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシド付加体から選ばれた2種以上を用いることができる。
本願のペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂のTgは、50~80℃であり、さらには50~70℃であってよい。また、ペンダント基含有非結晶性ポリエステルとペンダント基を有さない非結晶性ポリエステルを個別に作成した場合は、各々のTgがこの範囲であってよい。
本開示のペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂分散の観点から、Mwが5000~30000、または6000~25000、さらには8000~16000から選ばれた値であってよい。また、ペンダント基含有非結晶性ポリエステル及びペンダント基を有さない非結晶性ポリエステルを個別に作成した場合は、各々のMwがこの範囲であってよい。
ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂の120℃における溶融粘度は、低温定着性の観点から、50~20000Pa・s、または80~195000Pa・s、さらには100~19000Pa・sであってよい。
非結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)としては、50~120℃から選ばれた温度が例示できる。トナーの低粘性化、耐熱保存性が良い点では、55~100℃から選ばれた温度が例示できる。また、ペンダント基含有非結晶性ポリエステルとペンダント基を有さない非結晶性ポリエステルを個別に作成した場合は、各々のTmがこの範囲であってよい。
次に、結晶性ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。結晶性ポリエステル樹脂の製造に用いることができる多官能性カルボン酸としては、炭素数2~50の多官能性芳香族カルボン酸、多官能性脂肪族カルボン酸が例示できる。多官能性芳香族カルボン酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、tert-ブチルイソフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等の二官能性芳香族カルボン酸;トリメシン酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸等の三官能性芳香族カルボン酸;ピロメリット酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、ペリレン-3,4:9,10-テトラカルボン酸等の四官能性芳香族カルボン酸;ベンゼンペンタカルボン酸等の五官能性芳香族カルボン酸;メリット酸等の六官能性芳香族カルボン酸;等を用いることができる。
また、多官能性脂肪族カルボン酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソオクテニルコハク酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデエニルコハク酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸、ブチルコハク酸、オクチルコハク酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、テトラデシルコハク酸、ヘキサデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸、イソオクタデシルコハク酸(分岐鎖異性体混合物)、フェニルコハク酸、2-プロペン-1-イルコハク酸、2-メチル-2-プロペン-1-イルコハク酸、2-ブテン-1-イルコハク酸、2-ヘキセン-1-イルコハク酸、2-オクテン-1-イルコハク酸、2-ノネン-1-イルコハク酸、2-テトラデセン-1-イルコハク酸、2-オクタデセン-1-イルコハク酸、イソオクタデセニルコハク酸(分岐鎖異性体混合物)、2,7-オクタジエン-1-イルコハク酸等の二官能性脂肪族カルボン酸;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、アコニット酸、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ヘキサン-1,3,6-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,3、5-トリカルボン酸、アダマンタン-1,3,5-トリカルボン酸等の三官能性脂肪族カルボン酸;エチレンテトラカルボン酸、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、ブタン-1,1,3,4-テトラカルボン酸、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、オクタヒドロペンタレン-1,3,4,6-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸等の四官能性脂肪族カルボン酸;シクロヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボン酸等の六官能性の脂肪族カルボン酸;等を用いることができる。また、これらから選ばれた2種以上を用いることもできる。
これらの多官能性カルボン酸は、その形態として、無水物;(炭素数1~8のアルキル)エステル;4,4-ジアミノフェニルメタン等との反応で得られるジイミド;トリス-(β-カルボキシエチル)イソシアヌレート、イソシアヌレート環含有ポリイミド、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの三量化反応物等との反応で得られるイソシアネート環含有ポリイミド;として用いることができる。
これら多官能性カルボン酸の中では、アルカンジカルボン酸及びアルケンジカルボン酸を用いると、結晶性、低温定着性及び耐熱保存性が良い。例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、マレイン酸及びフマル酸が例示できる。多官能性カルボン酸成分としては、1種を用いてもよく、これらの2種以上を併用してもよい。
上記多官能性カルボン酸に、例えばp-オキシ安息香酸、バニリン酸、ジメチロールプロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、5-ヒドロキシイソフタル酸等のヒドロキシカルボン酸成分を加えてもよいし、一価のカルボン酸や一価のアルコールを、樹脂の分子量調整やトナーの耐高温オフセット性向上の観点から含んでもよい。
結晶性ポリエステルを製造する際に、ポリオールとしては結晶性が良好な直鎖型ポリオールを用いることができ、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール及び1,20-エイコサンジオールなどが挙げられ、中でもエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール及び1,12-ドデカンジオールを用いることができる。ポリオールとしては、1種を用いてもよく、これらの2種以上を併用してもよい。
本願の結晶性ポリエステル樹脂の融点(PT)は、50~80℃であり、さらには50~70℃であってよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、Mwが4000~15000、または4100~10000、さらには4200~8000から選ばれた値であってよい。
結晶性ポリエステルの120℃における溶融粘度は、低温定着性の観点から、200~20000Pa・s、または400~195000Pa・s、さらには900~19000Pa・sであってよい。
非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、これらのポリエステル樹脂1gを中和できる水酸化カリウム(KOH)の重量で定義される。本開示のトナー粒子の酸価としては、3~20mgKOH/g、または4~18mgKOH/g、さらには5~16mgKOH/gから選ばれた酸価を例示することができる。この酸価を有する結着樹脂を用いることにより、エポキシ基含有樹脂中のエポキシ基と速やかに反応することができる。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子の結着樹脂は、二回目昇温時の吸熱量を表すTg2nd-dHが、5J/g以上50J/g以下であってよい。当該Tg2nd-dHは、好ましくは10J/g以上、より好ましくは14J/g以上、更に好ましくは15J/g以上、そして、好ましくは40J/g以下、より好ましくは25J/g以下、更に好ましくは19J/g以下、より更に好ましくは18J/g以下であってよい。結着樹脂のTg2nd-dHは、例えば、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の相溶性を表す指標として捉えてもよい。結着樹脂のTg2nd-dHも前記と同様に定義されるものであってよい。
本開示の結着樹脂のTg2nd-dHが前述の範囲となることにより、定着温度が低下させつつも、エポキシ基含有トナー粒子のガラス転移温度の低下を防止することもできるため、エポキシ基含有トナー粒子の保存安定性も向上させることができる。
ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂は、上記の多官能性カルボン酸とポリオールを、一般的な方法によって縮合反応させることによって製造することができる。例えば、多官能性カルボン酸とポリオール、必要によっては、エステル化触媒を入れ、温度計、撹拌機、流下式コンデンサを具備した反応容器で配合し、不活性ガス(窒素ガスなど)の存在下、150~250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させて冷却し、目的とする生成物を取得することによって製造することができる。
重合性単量体が、反応温度下で、溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加えて溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を蒸留除去しつつ行う。共重合反応において、相溶性が好ましくない重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性が好ましくない重合性単量体と、その重合性単量体と重縮合させる酸又はアルコールとを縮合させておいてから、主成分と共に重縮合させることができる。
エステル化触媒としては、例えば、アルカリ金属系、アルカリ度類金属系。アンチモン系、スズ系、ゲルマニウム系、チタン系、亜鉛系、アルミニウム系、希土類金属系等の金属を含む化合物を用いることができる。また、ジブチルスズ、ジラウレート、ジブチルスズオキシドなどの有機金属や、テトラブチルチタネートなどの金属アルコキシド等を用いることができる。リン酸、スルホン酸等のような酸;アミン、アミド等のような有機塩基;を用いてもよい。
これらのうち、環境に対する影響や安全性の観点から、例えば、Sn-C結合を有していないスズ(II)化合物としては、Sn-O結合を有するスズ(II)化合物、Sn-ハロゲン結合を有するスズ(II)化合物等が好ましく、Sn-O結合を有するスズ(II)化合物がより好ましい。またエステル化触媒は2種以上を混合して使用してもよい。エステル化触媒の使用量は、いわゆる触媒量でよい。
ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の製造の際の多官能性カルボン酸とポリオールの仕込み比に特に限定はない。また、得られたポリエステル樹脂を、さらに多官能性カルボン酸および/またはポリオールと反応させてもよい。その際に用いることのできる多官能性カルボン酸および/またはポリオールは、上記に例示したものを用いることができるし、また反応条件は、上記の合成の条件に倣って行うことができる。
なお、上記のペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に、フェノール、ウレタン等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂や、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂等の変性されたポリエステル樹脂であってもよい。
結着樹脂は、上記のペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂以外にも、例えば、スチレン-(メタ)アクリル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体を含有してもよい。これらの中でも、スチレン-アクリル共重合体は、乳化凝集法や懸濁重合法といったケミカル法によって直接、着色粒子を製造する場合に好適である。スチレン-アクリル共重合体を製造するための単量体としては、例えば、スチレン;o-(m-,p-)メチルスチレン、m-(p-)エチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミドなどのエン系単量体を用いることができる。
さらに、結着樹脂の製造時に架橋剤を用いてもよい。結着樹脂の製造時に用いられる架橋剤のうち二官能の架橋剤として、例えば、ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
三官能以上の多官能性の架橋剤としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤の含有率は、結着樹脂を構成する重合性の単量体に対して、例えば0.01~10質量%、または0.1~5質量%を用いることができる。
本願のエポキシ基含有トナー粒子は、カルボキシル基と反応することができる一般式(1)
Figure 2022053702000006

(式中、R、R、Rは●は、前記と同じ内容を表す。)で表されるエポキシ基を有するエポキシ基含有樹脂を含む。
該樹脂は一般式(5)
Figure 2022053702000007

(式中、R、R及びRは、前記と同じ内容を表す。Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)で表されるエピハロヒドリン誘導体とポリオールを、酸及び/または塩基触媒の存在下に反応させることにより製造することができる。
ポリオールとしては、一般式(6)
Figure 2022053702000008

(式中、R10は、同一または相異なってエチレン基またはメチルエチレン基を表す。R11及びR12は、各々独立に水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。R13は、エチレン基、メチルエチレン基、ジメチルエチレン基、メチルフェニルエチレン基、ジ(トリフルオロメチル)エチレン基、エチルメチルエチレン基、ジフェニルエチレン基またはp-キシリレン基を表す。x’及びy’は、各々0~10の整数を表し、x’とy’の和の平均値は1~10を表す。)で表されるビスフェノールA誘導体、及びそのエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシド付加体;や、直鎖または分岐の炭素数2~36のポリオールを用いることができる。直鎖または分岐の炭素数2~36のポリオールとしては、水添ビスフェノールA、テレフタル酸ビス(2-ヒドロキシエチル)、キシリレングリコール等の芳香族ジオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、イソペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール、1,4-ブテンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール等の脂肪族ジオール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族トリオール;ペンタエリスリトール等の脂肪族テトラオール等を挙げることができる。また、ソルビトール、スクロース等の糖類を用いることもできる。また、両末端が水酸基のポリエチレンテレフタレートをポリオールとして用いることもできる。また、ポリオールとしては、上記ポリオールから選ばれた2種以上を用いてもよい。ビスフェノールA及びそのエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシド付加体から選ばれた2種以上を用いることができる。
エピハロヒドリン誘導体(5)と上記ポリオールから得られるエポキシ基含有樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ化油等を用いることができる。
また、上記ポリオールのポリジグリシジルエーテルと、結晶性及び非結晶性ポリエステルの合成で用いることができる多官能性カルボン酸との反応により得られるエポキシエステル化合物もエポキシ基含有樹脂として用いることができる。さらに、ノボラック樹脂の水酸基をエピハロヒドリン誘導体(5)でグリシジル化したクレゾールノボラック型樹脂もエポキシ基含有樹脂として用いることができる。
また、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、2-シアノアクリル酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル、ソルビン酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルクエン酸エステル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステルのオレフィン部位を重合して得られる樹脂もエポキシ基含有樹脂として用いることができる。その際、不飽和カルボン酸グリシジルエステルと、例えば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸メチルエステルまたは不飽和カルボン酸エチルエステル等のグリシジル基を有さない不飽和カルボン酸またはそのエステル、や、グリシジル基を有さないオレフィンと混合し、共重合やブロック重合することにより、樹脂中のエポキシ基の含有量を調整することができる。
さらに、2-(1-プロペニル)フェニルグリシジルエーテルや2-エテニルフェニル(2-メチルグリシジル)エーテル等のグリシジル基を有するオレフィンを重合して得られる樹脂もエポキシ基含有樹脂として用いることができる。その際、グリシジル基を有するオレフィンとグリシジル基を有さないオレフィンを混合し、共重合やブロック重合することにより、樹脂中のエポキシ基の含有量を調整することができる。
また、市販の日鉄ケミカル&マテリアル株式会社のYDシリーズ、三菱ケミカル株式会社のjERシリーズ、ナガセケムテック株式会社のデナコール等を用いることもできる。
エポキシ基含有樹脂中のエポキシ基の含有量は、樹脂1mol当たり0.6~5.0molであると、結着樹脂中のカルボキシル基との反応性が高くなる。
エポキシ基含有樹脂は、Mwが500~30000、または800~20000、さらには1000~10000から選ばれた値であってよい。
本開示では、結着樹脂に含まれるポリエステルのカルボキシル基とエポキシ基含有樹脂中のエポキシ基との反応の触媒となる有機塩基を含んでもよい。具体的には、トリ(炭素数1~4のアルキル)アミン等のトリアルキルアミン:臭化テトラ(炭素数1~4のアルキル)アンモニウム、塩化テトラ(炭素数1~4のアルキル)アンモニウム等の四級アンモニウム塩;イミダゾール、N-(炭素数1~4のアルキル)ピロール、N-(炭素数1~4のアルキル)インドール、N-(炭素数1~4のアルキル)カルバゾール、ピラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物を用いることができる。有機塩基の含有量は、いわゆる触媒量用いることができる。
なお、エポキシ基以外のカルボキシル基と反応することができる官能基を有する水酸基含有樹脂、アミノ基含有樹脂等を用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
水酸基含有樹脂としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セルロース、アミロース等を挙げることができる。
水酸基含有樹脂を用いる場合、結着樹脂に含まれるポリエステルのカルボキシル基と樹脂中の水酸基との反応の触媒となる有機酸や有機塩基を含んでもよい。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸を用いることができる。有機塩基としては、前述の有機塩基を用いることができる。有機酸や有機塩基の含有量は、いわゆる触媒量用いることができる。また、ポリエステル中のカルボキシル基が触媒として作用することがあるので、有機酸は用いなくてもよい場合もある。
アミノ基含有樹脂としては、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルカルバゾール、DNA、RNA、ポリウレタン、ポリカプラミド、ポリヘキサメチレンアジポアミド、芳香族ポリイミド等を挙げることができる。
アミノ基含有樹脂を用いる場合、結着樹脂に含まれるポリエステルのカルボキシル基と樹脂中のアミノ基との反応の触媒となる前述の有機酸や有機塩基を含んでもよい。有機酸や有機塩基の含有量は、いわゆる触媒量用いることができる。また、ポリエステル中のカルボキシル基が触媒として作用することがあるので、有機酸は用いなくてもよい場合もある。さらにアミノ基含有樹脂のアミノ基が触媒として作用することがあるので有機塩基を用いなくてもよい場合もある。
本開示のエポキシ基含有樹脂は、結着樹脂のDSC発熱ピーク開始温度である90-110℃程度の温度でエポキシ基とカルボキシル基が反応し、耐高温オフセット性の向上のための高分子が生成する。例えば一般式(1)のR、R及びRが水素原子の場合は式(7)の反応により高分子が生成する。
Figure 2022053702000009
エポキシ基含有樹脂中のエポキシ基の量の結着樹脂であるポリエステル樹脂中のカルボキシル基に対する比[エポキシ基]/[カルボキシル基]の値を、0.5~50、または0.7~30、さらには1.0~10となるようにすることにより、効率よく、式(7)の反応が進行する。
本開示では、離型剤として融点が60℃以上100℃以下の選ばれた温度の離型剤をエポキシ基含有トナー粒子に含有させることにより、例えば接触定着時の耐高温オフセット性を向上させることができる。
用いることのできる離型剤としては、例えば、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油系ワックス;等のロウ類及びワックス類等が例示できる。またこれら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エーテルワックス等の合成ワックス;も使用できる。
また、離型性が良好な離型剤として、石油系ワックスを用いることができる。石油系ワックスとしては、直鎖状炭化水素が主成分のパラフィンワックスを用いることができる。例えば、日本精鑞(株)製のHNP-3、5、9、10、11、12、51、Sosal社製のC80、C80-G、C80N8、C80M、H1、H1N6、H1N8、H1N4、H1N4-G、Spray30、Spray30-G、Spray30G-EF、中京油脂株式会社製トラソルPF60等を用いることができる。また、分岐炭化水素や飽和環状炭化水素を多く含むマイクロクリスタリンワックスを用いることができる。例えばは、日本精蝋(株)製のHi-Mic-2095、1090、1080、1070、2065、1045、2045やSosal社製の5803、6403、KTM23等を用いることができる。
これらの石油系ワックスの中でも、パラフィンワックスを用いることにより
、良好なエポキシ基含有トナー粒子を製造することができる。
また、エステル系ワックスを用いることもできる。ここでエステル系ワックスとは、パラフィン系ワックスと高分子量エステルとの混合物、又はエステル基含有パラフィン系ワックスである。高分子量エステルとしては例えば、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリドなどの炭素数15~30の脂肪酸と一価アルコールないし五価アルコールのエステルであってよい。エステルを構成するアルコール成分は、炭素数10~30の一価アルコール又は炭素数3~30の多価アルコールであってよい。
高分子量エステル及びポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、シリコンワックス、パラフィン系ワックス等の非エステル系ワックスの混合物や非エステル系ワックスにエステル基を含有させたエステル基含有ワックスが挙げられ、その具体的な例としては、例えば、中京油脂株式会社の製品名P-212、P-280、P-318、P-319、P-419などが挙げられる。
ワックスが、パラフィン系ワックスと高分子量エステルとの混合物である場合、エステル系ワックスの含有量は、パラフィン系ワックスと高分子量エステルとの混合物全体重量を基準に、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下であってよい。高分子量エステルの含有量が1質量%以上であれば、エポキシ基含有トナー粒子製造時に用いるラテックスとの相溶性が十分に維持され、50質量%以下であれば、エポキシ基含有トナー粒子の可塑性が適切になり、現像性の長期維持を確保することができる傾向にある。
離型剤のエポキシ基含有トナー粒子中の含有率は、例えば0.5~10質量%、または0.75~9.5質量%、さらには1.0~9.0質量%から選ばれた値とすることができる。
本開示では、分散剤として、融点が例えば60℃以上100℃以下の選ばれた温度の分散剤を用いることより、良好なエポキシ基含有トナー粒子を製造することができる。
また本開示では、分散剤としてカルボニル化合物を用いることができる。カルボニル化合物としては、直鎖脂肪酸エステル、直鎖脂肪族ケトン、直鎖脂肪酸アミドを用いることができる。これらのカルボニル化合物の中でも、直鎖脂肪酸エステルを用いることにより、良好なトナー粒子を製造することができる。
直鎖脂肪酸エステルとしては、一般式R14COOR15(8)(式中、R14は炭素数18~25の直鎖アルキル基を示し、R15は炭素数18~30の直鎖アルキル基を示す。)で表されるモノカルボン酸エステルを用いることができる。
一般式(8)のモノカルボン酸エステルは市販品を用いてもよいし、R14COOHやR14COOHの酸無水物あるいは酸ハロゲン化物とR15OHを用いるエステル化で合成することもできる。また、R14-(C=O)-R15の過酸によるバイヤー・ビリガー酸化、ジアゾアルキルによるアルキル化、R14COO-によるハロゲン化アルキル等への求核置換反応、アルケン又はアルキンとR14COOHとの付加反応等で合成することもできる。
また、直鎖脂肪酸エステルとしては、一般式R17O-(C=O)-R16-(C=O)-OR17(9)(式中、R16は炭素数14~30の直鎖アルキレン基を示し、R17は炭素数1~25の直鎖アルキル基を示す。)で表されるジカルボン酸ジエステルを用いることもできる。
一般式(9)のジカルボン酸ジエステルは市販品を用いてもよいし、HOOC-R16-COOHやHOOC-R16-COOHの酸無水物あるいは酸ハロゲン化物とR17OHを用いるエステル化で合成することもできる。また、R17-(C=O)-R16-(C=O)-R17の過酸によるバイヤー・ビリガー酸化、ジアゾアルキルによるアルキル化、OOC-R16-COOによるハロゲン化アルキル等への求核置換反応、アルケン又はアルキンとHOOC-R16-COOHとの付加反応等で合成することもできる。
直鎖脂肪族ケトンとしては、一般式R18-(C=O)-R18(10)(式中、R18は炭素数10~20の直鎖アルキル基を示す。)で表される対称ケトンを用いることができる。
一般式(10)の対称ケトンは市販品を用いてもよいし、R18-(CO)-ClまたはR18-CNとR18MgBrの反応やR18-CH(OH)-R18の触媒的脱水素等で合成することもできる。
直鎖脂肪酸アミドとしては、一般式R19-(C=O)-NH(11)(式中、R19は炭素数6~15の直鎖アルキル基又は炭素数15~25の直鎖モノアルケニル基を示す。)で表されるアミドを用いることができる。
一般式(11)のアミドは市販品を用いてもよいし、R19COOHの酸無水物、酸ハロゲン化物、酸アジド、p-ニトロフェニルエステル等とアンモニアとの反応等で合成することもできる。
また、直鎖脂肪酸アミドとしては、一般式R20-(C=O)-NH-R21(12)(式中、R20は炭素数10~20の直鎖アルキル基又は炭素数15~25の直鎖モノアルケニル基を示し、R21は炭素数10~20の直鎖アルキル基又は炭素数15~25の直鎖モノアルケニル基を示す。)で表されるN-置換アミドを用いることができる。
一般式(12)のN-置換アミドは市販品を用いてもよいし、R20COOHの酸無水物、酸ハロゲン化物、酸アジド、p-ニトロフェニルエステル等とNH-R21との反応で合成することもできる。また、R20-CNとR21-OHの反応、R20-(C=O)-NHとR21-NH の反応やR20-(C=O)-R21とNHの反応、R20-(C=N(OH))-R21のベックマン転移等で合成することもできる。
また、直鎖脂肪酸アミドとしては、一般式R22-(C=O)-NH-CHOH(13)(式中、R22は炭素数6~15の直鎖アルキル基を示す。)で表されるN-ヒドロキシメチルアミドを用いることもできる。
一般式(13)のN-ヒドロキシメチルアミドは市販品を用いてもよいし、R22-(C=O)-NHとホルムアルデヒドの反応で合成することができる。また、R22COOHの酸無水物、酸ハロゲン化物、酸アジド、p-ニトロフェニルエステル等とNH-CHOHとの反応等でも合成することもできる。
また、直鎖脂肪酸アミドとしては、一般式HO-R23-(C=O)-NH(14)(式中、R23は炭素数6~12の直鎖アルキレン基を示す。)で表されるヒドロキシ脂肪酸アミドを用いることができる。
一般式(14)のヒドロキシ脂肪酸アミドは市販品を用いてもよいし、HO-R23COOHの酸無水物、酸ハロゲン化物、酸アジド、p-ニトロフェニルエステル等とアンモニアとの反応等で合成することもできる。
分散剤のエポキシ基含有トナー粒子中の含有率は、例えば2~15質量%、または2.5~12質量%、さらには3.0~10質量%として用いることができる。
分散剤と離型剤の質量比は、例えば50:50~95:5、または55:45~90:10、さらには60:40~85:15から選ばれた値とすることができる。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、着色剤を含む。着色剤は、例えば、ブラック着色剤、シアン着色剤、マゼンタ着色剤及びイエロー着色剤から選ばれる着色剤を含むことができる。ブラック着色剤は、カーボンブラック又はアニリンブラックであってよい。イエロー着色剤は、縮合窒素化合物、イソインドリノン化合物、アントラキン化合物、アゾ金属錯体又はアリルイミド化合物であってよい。具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180などが挙げられる。マゼンタ着色剤は、縮合窒素化合物、アントラキン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物であってよい。具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254などが挙げられる。シアン着色剤は、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、又はアントラキン化合物などであってよい。具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62又は66などが挙げられる。
このような着色剤は、例えば、単独、又は2種以上の混合物で混合して用いられ、色相、彩度、明度、耐候性、エポキシ基含有トナー粒子内の分散性などを考慮して選択することができる。
着色剤の含有量は、エポキシ基含有トナー粒子を着色するのに十分な量であれば、特に制限はないが、エポキシ基含有トナー粒子100質量部を基準として、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、そして、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下、更に好ましくは10質量部以下であってよい。着色剤の含有量が、エポキシ基含有トナー粒子100質量部を基準として、0.5質量部以上であれば、着色効果が十分に発現し、15質量部以下であれば、エポキシ基含有トナー粒子の製造コストの上昇に大きな影響を及ぼさずに、十分な摩擦帯電量を得ることができる傾向にある。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、混練し得る添加剤として、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤等を用いることができる。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。また、荷電制御剤はエポキシ基含有トナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成(株)製)等を用いることができる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等を用いることができる。
さらに、上記荷電制御剤とともに、金属石鹸、無機または有機金属塩をクリーニング助剤として併用することができる。そのような金属石鹸としては、トリステアリン酸アルミニウム、ジステアリン酸アルミニウム、バリウム、カルシウム、鉛及び亜鉛のステアリン酸塩、またはコバルト、マンガン、鉛及び亜鉛のリノレン酸塩、アルミニウム、カルシウム、コバルトのオクタン酸塩、カルシウムとコバルトのオレイン酸塩、パルミチン酸亜鉛、カルシウム、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛のナフテン、酸塩、カルシウム、コバルト、マンガン鉛、および亜鉛のレジン酸塩等を用いることができる。また、無機および有機金属塩としては、例えば金属塩中のカチオン性成分は、周期律表の第Ia族、第IIa族、および第IIIa族の金属からなる群より選ばれ、これらの酸のアニオン性の成分はハロゲン化物イオン、炭酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、ホウ酸イオン、硝酸イオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれる塩であってよい。これら荷電制御剤及びクリーニング助剤の含有率は、エポキシ基含有トナー粒子に対して、0.01~20質量%、または0.1~5質量%、さらには0.5~2.5質量%から選ばれた量で添加することにより、所望の効果を得ることができる。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子には、磁化を持たせるために磁性体を含有させてもよい。磁性体の種類としては、公知のものを適宜使用できる。例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の金属およびこれらの合金;Fe、γ-Fe、コバルト添加酸化鉄等の金属酸化物;MnZnフェライト、NiZnフェライトの各種のフェライト等より形成されるもの;中でも0.05~0.5μmのFeを用いることができる。これらは、疎水性を持たせるため、各種処理剤で処理し用いてもよい。さらに、これらは、複数組み合わせてもよい。含有量としては、必要に応じて選択可能であるが、磁性トナーとして用いる場合は、エポキシ基含有トナー粒子に対して、0.2~2.0質量%、または0.4~1.5質量%、さらに0.5~1.0質量%から選ばれた量を添加することができる。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、必要に応じて、無機微粒子を含有してもよい。該無機微粒子は、エポキシ基含有トナー粒子に内添してもよいし、外添剤としてトナーに含有されてもよい。外添剤として含有する場合は、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、及び酸化アルミニウム微粒子のような無機微粒子であってよい。該無機微粒子は、例えば、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていてもよい。該無機微粒子がトナーの流動性の向上のために使用される場合は、その比表面積が50m/g以上400m/g以下であってよい。一方、該無機微粒子がエポキシ基含有トナーの耐久性の向上のために使用される場合は、その比表面積が10m/g以上50m/g以下であってよい。該流動性の向上と耐久性の向上を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粒子を併用してもよい。該無機微粒子を外添剤として含有させる場合の割合は、エポキシ基含有トナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上10.0質量部以下であってよい。エポキシ基含有トナー粒子と無機微粒子の混合は、例えば、ヘンシェルミキサーのような混合機を用いることができる。
本開示のエポキシ基含有トナーの貯蔵弾性率が0.1MPaとなる温度は、100℃以下であってよい。貯蔵弾性率と最低定着温度の間には概ね正の相関があり、トナーの定着特性の指標になりうる。すなわち、貯蔵弾性率が0.1MPaとなる温度が低いほど、最低定着温度も概ね低い。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、例えば、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂のマトリックス部とワックスのドメイン部を含む海島構造を有していてもよい。例えば、ドメイン部が長径0.3μm以上1.5μm以下であってよい。例えば、ドメイン部の少なくとも一部は、周囲が結晶性ポリエステル樹脂とペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂の相溶層で被覆された2層ドメイン部であってよい。ドメイン部の長径が前記範囲にあると、粒子サイズが適正となって耐高温オフセット性が向上し耐久性が良好となる。
また、2層ドメイン部の割合は、ドメイン部中、好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下であってよい。この範囲では、ペンダント型非結晶性ポリエステルと結晶性ポリエステル樹脂の相溶性が適度となって低温定着性が良好となる。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂中に結晶性ポリエステル樹脂が分散した構造を有していてもよい。ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂中の結晶性ポリエステル樹脂の分散粒子の平均粒子径は、5nm以上、更に10nm以上、そして、500nm以下、更に250nm以下であってよい。この平均粒子径は、例えば、TEM(透過型電子顕微鏡)画像から算出できる。なお、この平均粒子径は、エポキシ基含有トナー粒子を製造する前に、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを混合した状態で測定したものであってよい。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、粉砕法、重合法のいずれによって製造してもよい。前記のような、所定の海島構造を有するために、例えば、重合法で製造してよい。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子を、重合法で製造する方法について、一例に基づき説明する。
分岐鎖を有する多価カルボン酸を含む多価カルボン酸、多価アルコール、エステル化触媒などを、反応容器に仕込み、公知の方法の反応条件に準じてエステル化反応を行い、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂を得る。得られたペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂を、メチルエチルケトンやイソプロピルアルコールなどの適当な溶媒に溶解させて、pH調整、加水、溶媒の除去などを行って、所定濃度のペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂の分散液であるラテックスを得る。
一方、結晶性ポリエステル樹脂についても、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂と同様にエステル化反応、分散液であるラテックスの調製を行う。
また、公知の重合法の条件に準じて、着色剤分散液、ワックス分散液をそれぞれ調製する。例えば、ワックス分散液の調製では、先ず、反応容器に、ワックスとアニオン性界面活性剤と水とを入れる。ワックスとアニオン性界面活性剤と水との混合物中の離型剤の含有量は、分散状態などを考慮して適宜決められる。アニオン性界面活性剤として、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。ワックスとアニオン性界面活性剤と水との混合物中のアニオン性界面活性剤の含有量は、分散状態などを考慮して適宜決められる。離型剤とアニオン性界面活性剤と水との混合物中の水の含有量は、分散状態、保存性、経済性などを考慮して適宜決められる。離型剤分散液形成工程では、その後、離型剤とアニオン性界面活性剤と水との混合物を分散処理して、離型剤分散液を得る。混合物を分散処理する方法として、ホモジナイザーを用いる方法が挙げられる。また、着色剤分散液、ワックス分散液は、それぞれ、市販品を使用してもよい。
まず、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂のラテックスと非晶性ポリエステル樹脂ラテックス、結晶性ポリエステル樹脂のラテックスとを、例えば水系で混合する。次いで、エポキシ基含有樹脂と触媒を含むラテックス分散液を混合し、さらに着色剤分散液と離型剤分散液をホモジナイザー等で混合する(工程(i):混合液形成工程)。
工程(i)で得られた混合物に凝集剤を添加し、フルゾーン撹拌羽根で500-700rpmで撹拌し、室温~45-55℃まで昇温して、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含む結着樹脂、エポキシ基含有樹脂、任意選択的に触媒、着色剤及びワックスを含有する凝集粒子を得る(工程(ii):凝集粒子形成工程)。
次いで、ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂のラテックスを更に混合し、凝集粒子の表面にペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂からなる被覆層を形成し、被覆凝集粒子を得る。この際、非晶性ポリエステル樹脂ラテックスを入れてもよい(工程(iii):被覆凝集粒子形成工程)。
さらに、被覆凝集粒子を55~85℃に加熱して、被覆凝集粒子内の粒子を融合合一させて、エポキシ基含有トナー粒子を得る(工程(iv):融合合一工程)。
凝集剤としては鉄系金属塩が挙げられる。具体的には、ポリシリカ鉄、ポリ塩化アルミが挙げられる。
凝集剤の添加量は、原料全体の0.4~3.0重量%、または0.6~2.0重量%で用いることができる。凝集剤の添加量が0.4~3.0重量%であると、エポキシ基含有トナー粒子径を後述の適正な範囲に収める事ができる。
上記の方法では、工程(ii)の凝集粒子形成工程で形成された粒子をコアとし、これを工程(iii)の被覆凝集粒子形成工程でペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂からなるシェルで覆う、いわゆるコア-シェル型のトナー粒子を得ることができる。
この実施の形態のエポキシ基含有トナー粒子は体積平均粒子径が3~9μmまたは、2.5~8.5μmとすることができる。体積平均粒子径が3~9μmであると、緻密な画像を容易に作成することができる。
また、この実施の形態のエポキシ基含有トナー粒子は、個数平均粒径で粒径3μm以下の粒子の存在量が3個数%以下または、2.5%以下である。粒径3μm以下の粒子の存在量が3個数%以下であると、粒径が均一なエポキシ基含有トナー粒子として得ることができる。
本開示のエポキシ基含有トナー粒子は、鉄原子、ケイ素原子、硫黄原子及びフッ素元原子からなる群から少なくとも鉄原子、ケイ素原子及び硫黄原子を含んで選択される3種以上の元素を含んでいてもよい。鉄原子の含有量は、1.0×10~1.0×10ppmであってよく、ケイ素原子の含有量は1.0×10~5.0×10ppmであってよく、硫黄原子の含有量は500~3000ppmであってよい。フッ素原子を含む場合、フッ素原子の含有量は1.0×10~1.0×10ppmであってよい。含有量がこの範囲であると、静電荷像現像用トナーとしてより好適に使用することができる。
鉄原子及びケイ素原子は、凝集剤などに由来する成分であってよく、硫黄原子は、粘着樹脂の製造触媒及び凝集剤などに由来する成分であってよく、フッ素元素は、粘着樹脂の製造触媒などに由来する成分であってよい。このため、エポキシ基含有トナー粒子中の鉄原子及びケイ素原子の含有量は、使用する凝集剤の種類及び量などを調節することにより制御することができ、硫黄原子の含有量は、使用する触媒及び凝集剤の種類及び量などを調節することにより制御することができ、フッ素原子の含有量は、使用する触媒の種類及び量を調節することにより制御することができる。
エポキシ基含有トナー粒子中の各元素の含有量は、例えば、蛍光X線分析法により測定することができる。具体的には、例えば、蛍光X線分析装置 EDX-720(島津製作所社製)を測定装置として使用し、X線管電圧50kV、サンプル成形量30.0gの条件で測定することができる。蛍光X線測定により導出された定量結果からの強度(cps/μA)を利用し、各元素の含有量を求めることができる。
実施例及び比較例
以下、実施例及び比較例を示し、本開示をさらに具体的に明らかにするが、本開示は以下の記載によって何ら制限を受けるものではない。
先ず、実施例および比較例の説明に先立って、種々の測定方法、評価方法について、説明する。
<ポリエステル樹脂及びエポキシ基含有樹脂の重量分子量(Mw)の測定>
Waters e2695(日本ウォーターズ株式会社製)を測定装置として使用し、Inertsil CN-3 25cm 2連(ジーエルサイエンス株式会社製)をカラムとして使用する。非結晶性ポリエステル樹脂10mgをTHF(安定剤含有、和光純薬工業株式会社製)10mLに投入し1時間攪拌後、0.2μmフィルターで濾過したろ液を、試料として使用する。THF試料溶液を測定装置に20μL注入し、40℃、流速1.0mL/分の条件で測定する。
<ポリエステル樹脂の溶融粘度の測定>
フローテスター(島津製作所、「CFT-500D」)を用い、1gの試料を20MPaにてペレットに成型し120℃一定温度でプランジャーにより10kgの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。フローテスターのプランジャーの時間に対する降下量により粘度を算出する。
<ポリエステル樹脂の酸価の測定>
1gポリエステルサンプルをトールビーカーに秤とり、THF/MeOH=2/1、100cc入れスターラーで10-15分溶解したのち、電位差酸価測定装置(メトローム社製:C83-99メトローム916Ti-タッチ)に1/10N KOH MeOH滴定液をセットして滴定を行う。
<ポリエステル樹脂のTg2nd-dHの測定>
変調示差走査熱量計Q2000(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、第1の昇温工程として室温から140℃まで変調振幅0.1℃、変調周期10秒、毎分3℃の速度で昇温を行い終了後、0℃まで毎分20℃の速度で降温した。5分間0℃でホールドした後、第2の昇温工程として0℃から140℃まで変調振幅0.1℃、変調周期10秒、毎分3℃の速度で再昇温し、得られた示差走査熱量曲線からdHを求めた。なお、結晶性ポリエステル樹脂と離型剤及び分散剤の融点が近い場合は、全体の吸熱量から離型剤及び分散剤の吸熱量を差し引いた部分を結晶性ポリエステル樹脂の吸熱量と定義した。すなわち、各々個別に測定した離型剤と分散剤の吸熱量にトナー粒子中に含まれる質量%を乗じて、全体の吸熱量から差し引いた。
<エポキシ基含有樹脂のエポキシ基当量の測定>
エポキシ基含有樹脂のエポキシ基当量の測定は、JISK7236:2001に準じて行った。
<エポキシ基含有トナー粒子の最低定着温度の測定>
ベルトタイプ定着器(三星電子社製、カラーレーザ660モデル(商品名)の定着器)を使用して、100%ソリッドパターンのテスト用未定着画像を、60g紙(Boise社製、X-9(商品名))のテスト用紙に、定着速度160mm/秒、定着時間0.08秒の条件で定着させた。テスト用未定着画像の定着は、110℃から170℃の範囲における1℃間隔の各温度で行った。
定着された画像の初期の光学密度を測定した。その後、画像部位に3M 810テープを付け、500gの錘を5回往復動させた後、テープを除去した。その後、テープ除去後の光学密度を測定した。
以下の式で求められる定着性(%)が90%以上となる最も低い温度を最低定着温度とした。
定着性(%)=(初期の光学密度/テープ除去後の光学密度)×100
<エポキシ基含有トナー粒子の高温オフセット温度の測定>
ベルトタイプ定着器(三星電子社製、カラーレーザ660モデル(商品名))を使用して、100%ソリッドパターンのテスト用未定着画像を、60g紙(Boise社製、X-9(商品名))のテスト用紙に、定着速度160mm/秒、定着時間0.08秒の条件で定着させた。テスト用未定着画像の定着は、110℃から180℃の範囲における5℃間隔の各温度で行った。目視にて高温オフセットの確認を行い、発生する最低の温度を高温オフセット温度とした。
<エポキシ基含有トナー粒子の貯蔵弾性率が0.1MPaとなる温度>
測定装置としては、回転平板型レオメーター「ARES」(TA INSTRUMEN TS社製)を用いた。測定試料としては、錠剤成型器を用いて、0.25gを20MPaで1min加圧成型した試料を用いた。昇温速度2℃/min、周波数10Hz、歪量制御モード(歪量0.01%-3%)の条件下で40℃から120℃に昇温したときの貯蔵弾性率G’を計測し、温度に対するG’の変化カーブを得る。貯蔵弾性率G’が0.1MPaになる時の温度を読取った。
本開示の結着樹脂およびエポキシ基含有トナー粒子の非限定的な例を以下に示す。
<ポリエステル樹脂の製造>
表1に示す仕込み量のジオール及びカルボン酸と、エステル化触媒とを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で反応率が90%に達するまで反応させた後、8.3kPaで所望の酸価に達するまで反応させて、表1の非結晶性ポリエステル樹脂A-1~A-5及び結晶性ポリエステル樹脂Cを得た。
Figure 2022053702000010
<ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂のラテックスの製造例>
3リットルの二重ジャケット反応器に、非結晶性ポリエステル樹脂1 300gと、メチルエチルケトン250gと、イソプロピルアルコール50gとを投入し、約30-65℃の環境下で、反応容器内を半月型(semi-moontype)もしくはフルゾーンインペラを用いて撹拌し、樹脂を溶解した。得られた樹脂溶液を撹拌しつつ、反応容器内に、5%アンモニア水溶液20gを徐々に添加し、続けて、1200gの水を20g/分の速度で添加し、乳化液を製造した。その後、固形分である非結晶性ポリエステル樹脂1の濃度が20質量%になるまで、減圧蒸留方法により、乳化液からメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールとの混合溶媒を除去し、樹脂ラテックスを得た。
<結晶性ポリエステル樹脂のラテックスの製造例>
3リットルの二重ジャケット反応容器に、結晶性ポリエステル樹脂1 300gと、メチルエチルケトン250gと、イソプロピルアルコール50gとを投入し、約30-65℃の環境下で、反応容器内を半月型インペラを用いて撹拌し、樹脂を溶解した。得られた樹脂溶液を撹拌しつつ、反応容器内に、5%アンモニア水溶液25gを徐々に添加し、続けて、水1200gを20g/分の速度で添加し、乳化液を製造した。その後、固形分である結晶性ポリエステル樹脂1の濃度が20質量%になるまで、減圧蒸留方法により、乳化液からメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールとの混合溶媒を除去し、樹脂ラテックスを得た。なお、エポキシ基含有樹脂は表2に示す物性をもつ市販品を用いた。
Figure 2022053702000011
<着色剤の分散液の調製例>
着色剤、水、界面活性剤を解砕機に所望の粒径になるまで数回通す。
<触媒の分散液の調製例>
エポキシ基含有樹脂、ポリエステル樹脂などに任意の割合を混ぜて乳化し乳液として得る。
<エポキシ基含有トナー粒子の製造>
3Lの反応器に、脱イオン水500g、非結晶性ポリエステル樹脂ラテックス1を630g、非結晶性高分子ポリエステル樹脂ラテックスを70g、結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを143g、エポキシ基含有樹脂ラテックスを630gとイミダゾール4.4gを添加し、次いで着色剤分散液60g、ワックス分散液(SELOSOL P-212:中京油脂株式会社製)80gを添加し、凝集剤としてポリシリカ鉄(PSI-100、水道機工(株)社製)70gを添加し、ホモジナイザー(IKA社製のウルトラタラックスT50(商品名))を用いて撹拌しながら、フラスコ内の混合溶液を1℃/分の速度で45℃に昇温した。続けて、0.2℃/分の速度で、凝集反応液の温度を上昇させ、凝集反応を継続させ、4μm以上で且つ6μm以下の体積平均粒径を有する一次凝集粒子を得た。更に、反応器にシェル層用として非結晶性ポリエステル樹脂ラテックス1を210g、非結晶性高分子ポリエステル樹脂ラテックス23gを添加し、30分間凝集させた。次いで、0.1NのNaOH水溶液を添加し、混合液のpHを9.5に調整した。20分経過後、混合液を昇温し、3時間以上で且つ5時間以下で融合(fusing)することにより、4μm以上で且つ7μm以下の体積平均粒径を有する二次凝集粒子を得た。この凝集反応液に、脱イオン水の氷を投入速度100ml/10secで投入し、28℃以下に冷やした後、濾過工程を経て、粒子を分離して乾燥し、トナー粒子を得た(昇温ピーク値/降温ピーク値の比は1.52、昇温ピーク温度-降温ピーク温度は8.7℃)。
Figure 2022053702000012

<エポキシ基含有トナー粒子のDSCプロファイルの測定>
実施例1のトナー粒子10mg±0.5mgをサンプル容器に入れ、30-200℃、3℃/minの条件でDSC測定を行った。133℃に発熱ピークが現れており、エポキシ基とカルボキシル基の式(7)の反応が進行していることを示している。
<エポキシ基含有トナー粒子の分子量測定>
上記DSC測定の前後の試料のGPC測定を行ったところ、測定後に、保持時間430分近傍に新たなピークが出現した。加熱により式(7)の反応が進行して高分子が生成していることを示している。
<エポキシ基含有トナー粒子の評価>
Figure 2022053702000013

表3に示した実施例1-5及び比較例1-6のトナー粒子の低温定着温度及び高温オフセット温度測定の結果を表4に示す。[エポキシ基]/[カルボキシル基]の比が1.1~3.5のトナー粒子を用いると、いずれも133℃で低温定着した。また、高温オフセット温度は163℃以上であり、30~45℃の幅広い温度で定着できることがわかった。
一方、[エポキシ基]/[カルボキシル基]の比が0.2または0.3と低いトナー粒子(比較例1及び2)は、最低定着温度は135℃であったが、高温オフセット温度が145℃及び150℃であり、定着可能温度範囲は10℃または15℃と低いものであった。また、エポキシ基含有樹脂を含まないトナー粒子(比較例3-6)では、いずれも低温定着温度は140℃以上と高かった。
以上の結果から、エポキシ基含有樹脂を含むトナー粒子を用いることにより、最低定着温度程度で、式(7)に示すエポキシ基とカルボキシル基の反応により、定着時に高分子が生成し、低温定着性ならびに高温オフセットの抑制の両方を満たす良好なトナー粒子を製造することができる。

Claims (15)

  1. 炭素数3以上32以下のペンダント基を有する構成単位を1モル%以上15モル%以下含有するペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂;一般式(1)
    Figure 2022053702000014

    (式中、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基を表す。●は結合部位を表す。)で表されるエポキシ基を有するエポキシ基含有樹脂;触媒;着色剤;及び離型剤を含むエポキシ基含有トナー粒子。
  2. 、RおよびRが、水素原子である請求項1に記載のエポキシ基含有トナー粒子。
  3. エポキシ基の含有量が、エポキシ基含有樹脂1mol当たり0.6~5.0molである請求項2に記載のエポキシ基含有トナー粒子。
  4. エポキシ基含有樹脂中のエポキシ基の量の結着樹脂であるポリエステル樹脂中のカルボキシル基に対する比[エポキシ基]/[カルボキシル基]の値が、0.5~50である請求項1に記載のエポキシ基含有トナー粒子。
  5. 触媒が有機塩基である請求項1に記載のエポキシ基含有トナー粒子。
  6. 触媒がイミダゾールである請求項1に記載のエポキシ基含有トナー粒子。
  7. ペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量5000~30000である請求項1に記載のエポキシ基含有トナー粒子。
  8. 結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量5000~15000である請求項1に記載のエポキシ基含有トナー粒子。
  9. 結着樹脂の吸熱量Tg2nd-dHが5~50J/gである請求項1に記載のエポキシ基含有トナー粒子。
  10. 個数平均粒径で粒径3μm以下の粒子の存在量が3個数%以下である請求項1に記載のエポキシ基含有トナー粒子。
  11. (i)炭素数3以上32以下のペンダント基を有する構成単位を1モル%以上15モル%以下含有するペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂を含むラテックス;結晶性ポリエステル樹脂を含むラテックス;一般式(1)
    Figure 2022053702000015

    (式中、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基を表す。●は結合部位を表す。)で表されるエポキシ基を有するエポキシ基含有樹脂を含むラテックス;触媒を含む分散液;を混合し、さらに着色剤と離型剤の分散液を混合する混合液形成工程、
    (ii)次いで、凝集剤を添加し凝集粒子を得る凝集粒子形成工程、
    (iii)(ii)で得られた凝集粒子に、炭素数3以上32以下のペンダント基を有する構成単位を1モル%以上15モル%以下含有するペンダント型非結晶性ポリエステル樹脂を含むラテックスを添加し、被覆凝集粒子を得る被覆凝集粒子形成工程、
    (iv)(iii)で得られた被覆凝集粒子を加熱する融合合一工程;
    を含む、請求項1に記載のエポキシ基含有トナー粒子の製造方法。
  12. 工程(iv)の加熱を55~85℃で行う請求項11に記載のエポキシ基含有トナー粒子の製造方法。
  13. 、RおよびRが、水素原子である請求項11に記載のエポキシ基含有トナー粒子の製造方法。
  14. エポキシ基の含有量が、エポキシ基含有樹脂1mol当たり0.6~5.0molである請求項11に記載のエポキシ基含有トナー粒子の製造方法。
  15. エポキシ基含有樹脂中のエポキシ基の量の結着樹脂であるポリエステル樹脂中のカルボキシル基に対する比[エポキシ基]/[カルボキシル基]の値が、0.5~50である請求項11に記載のエポキシ基含有トナー粒子の製造方法。
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