JP2021067882A - 非結晶性ポリエステル樹脂を用いたトナー粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温定着性に優れたトナーを提供する。【解決手段】非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、着色剤と、ワックスと、を含有し、非結晶性ポリエステル樹脂が、モノマー単位として、ペンダント基を有する第1のモノマーと、テレフタル酸と、エチレングリコールとを含む、トナー粒子。【選択図】なし
Description
電子写真法などの静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、様々な分野で利用されている。電子写真法においては、感光体表面を均一に帯電させた後、この感光体表面に静電荷像を形成し、トナー粒子を含む現像剤で静電潜像を現像することで、トナー像として可視化する。そして、このトナー像が記録媒体表面に転写され、定着することにより、画像が形成される。ここで用いられる現像剤としては、トナー粒子及びキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られている。
<トナー粒子>
以下、トナー粒子の一実施形態について説明する。一実施形態に係るトナー粒子は、結着樹脂と、着色剤と、ワックスとを含有する。
以下、トナー粒子の一実施形態について説明する。一実施形態に係るトナー粒子は、結着樹脂と、着色剤と、ワックスとを含有する。
[結着樹脂]
結着樹脂は、非結晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含む。非結晶性ポリエステル樹脂は、示差走査熱量測定法(DSC)において、明確な吸熱ピークを有さないポリエステル樹脂であってよい。非結晶性ポリエステルは、例えば、示差走査熱量測定法において、温度上昇速度を10℃/分で測定したときに、階段状の吸熱変化を示すポリエステル樹脂や、吸熱ピークの半値幅が15℃を超えるポリエステル樹脂であると定義されてもよい。
結着樹脂は、非結晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含む。非結晶性ポリエステル樹脂は、示差走査熱量測定法(DSC)において、明確な吸熱ピークを有さないポリエステル樹脂であってよい。非結晶性ポリエステルは、例えば、示差走査熱量測定法において、温度上昇速度を10℃/分で測定したときに、階段状の吸熱変化を示すポリエステル樹脂や、吸熱ピークの半値幅が15℃を超えるポリエステル樹脂であると定義されてもよい。
非結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸とを含む重縮合成分の反応物である。言い換えれば、非結晶性ポリエステル樹脂は、モノマー単位として、多価アルコールと多価カルボン酸とを含んでいる。非結晶性ポリエステル樹脂は、ペンダント基を有する非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂)を含んでおり、ペンダント基を有する非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂)と、ペンダント基を有さない非結晶性ポリエステル樹脂(第2の非結晶性ポリエステル樹脂)とを含んでもよい。
第1の非結晶性ポリエステル樹脂は、一実施形態において、モノマー単位として、ペンダント基を有する第1のモノマーと、テレフタル酸と、エチレングリコールとを含んでいる。
第1のモノマーは、例えば、炭素数3以上の分岐鎖を有する多価カルボン酸を含む。多価カルボン酸における分岐鎖が、第1の非結晶性ポリエステル樹脂(第1のモノマー)におけるペンダント基を構成する。
多価カルボン酸における分岐鎖は、多価カルボン酸における二つのカルボキシル基を有する鎖を主鎖としたときに、当該主鎖から分岐している鎖を意味する。分岐鎖は、鎖状の炭化水素基であってよく、例えば、アルキル基又はアルケニル基であってよい。分岐鎖の炭素数は、4以上、6以上、8以上、10以上、12以上、14以上、16、又は18以上であってもよく、32以下、30以下、28以下、26以下、24以下、22以下、20以下、18以下、16以下、14以下、又は12以下であってもよい。
炭素数3以上の分岐鎖を有する多価カルボン酸は、例えば、炭素数3以上の分岐鎖を有するジカルボン酸であってよく、また、炭素数3以上の分岐鎖を有するジカルボン酸の無水物も包含するものとする。当該多価カルボン酸としては、炭素数3以上のアルキル基を有するコハク酸、炭素数3以上のアルケニル基を有するコハク酸、炭素数3以上のアルキル基を有するアルキルビスコハク酸、炭素数3以上のアルケニル基を有するアルケニルビスコハク酸、及びこれらの無水物が挙げられる。当該多価カルボン酸としては、具体的には、例えば、オクチルコハク酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、テトラデシルコハク酸、ヘキサデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸、イソオクタデシルコハク酸、ヘキセニルコハク酸、オクテニルコハク酸、デセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、テトラプロペニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、イソオクタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、及びノネニルコハク酸が挙げられる。これらの第1の多価カルボン酸は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
第1のモノマーの含有量は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂におけるモノマー単位の全量を基準として、結晶性ポリエステル樹脂の第1の非結晶性ポリエステル樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは、1モル%以上、1.5モル%以上、又は2モル%以上であってよく、15モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、9モル%以下、又は8モル%以下であってよい。
テレフタル酸及びエチレングリコールは、重縮合成分の反応において、それぞれテレフタル酸及びエチレングリコールモノマーとして配合されたものであってよく、ポリエチレンテレフタレートとして配合された後にテレフタル酸及びエチレングリコールに分解して生じたもの(すなわち、ポリエチレンテレフタレートに由来するもの)であってもよい。テレフタル酸及びエチレングリコールがポリエチレンテレフタレートに由来するものである場合、当該ポリエチレンテレフタレートとして、リサイクルされたポリエチレンテレフタレートを用いることができ、環境に配慮されたトナー粒子を提供し得る。
テレフタル酸の含有量は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂におけるモノマー単位の全量を基準として、30モル%以上、32モル%以上、又は34モル%以上であってよく、70モル%以下、68モル%以下、又は66モル%以下であってよい。
エチレングリコールの含有量は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂におけるモノマー単位の全量を基準として、30モル%以上、32モル%以上、又は34モル%以上であってよく、70モル%以下、68モル%以下、又は66モル%以下であってよい。
第1の非結晶性ポリエステル樹脂は、モノマー単位として、第1のモノマー、テレフタル酸及びエチレングリコール以外のモノマー(第2のモノマー)を更に含んでいてよい。第2のモノマーとしては、例えば、エチレングリコール以外の多価アルコール、及び、炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸であってテレフタル酸以外の多価カルボン酸が挙げられる。
エチレングリコール以外の多価アルコールは、例えば、エチレングリコール以外のジオールであってよい。エチレングリコール以外のジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどの脂環式ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物などの芳香族ジオールが挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。ジオールは、好ましくは、芳香族ジオール又は脂環式ジオールであり、より好ましくは芳香族ジオールである。多価アルコールは、良好な定着性を確保するために、架橋構造又は分岐構造を形成する観点から、ジオールに加えて、三価以上の多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を更に含んでよい。
エチレングリコール以外の多価アルコールの含有量は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂におけるモノマー単位の全量を基準として、1モル%以上、2モル%以上、又は4モル%以上であってよく、40モル%以下、30モル%以下、又は20モル%以下であってよい。
炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸(テレフタル酸を除く)は、例えば、炭素数3以上の分岐鎖を有さないジカルボン酸(テレフタル酸を除く)であってよく、また、炭素数3以上の分岐鎖を有さないジカルボン酸(テレフタル酸を除く)の無水物も包含するものとする。当該多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニルアセト酸、p−フェニレン−2−アセト酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニルアセト酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらの無水物が挙げられる。これらの多価カルボン酸は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸(テレフタル酸を除く)は、炭素数3以上の分岐鎖を有さない3価以上の多価カルボン酸であってもよい。当該多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、及び、これらのカルボン酸の酸無水物、酸塩化物又はエステルが挙げられる。
炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸(テレフタル酸を除く)の含有量は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂におけるモノマー単位の全量を基準として、1モル%以上、2モル%以上、又は4モル%以上であってよく、52モル%以下、50モル%以下、又は48モル%以下であってよい。
第1の非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、結晶性ポリエステル樹脂の第1の非結晶性ポリエステル樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは、5000以上、6000以上、又は8000以上であってよく、40000以下、30000以下、25000以下、18000以下、又は16000以下であってよい。
本明細書における第1の非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法による測定される。具体的には、例えば、次の方法で求められたものであってよい。Waters e2695(日本ウォーターズ株式会社製)を測定装置として使用し、Inertsil CN−3 25cm 2連(ジーエルサイエンス株式会社製)をカラムとして使用する。第1の非結晶性ポリエステル樹脂10mgをテトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬工業株式会社製)10mLに投入し1時間攪拌後、0.2μmフィルターで濾過したろ液を、試料として使用する。テトラヒドロフラン(THF)試料溶液を測定装置に20μL注入し、40℃、流速1.0mL/分の条件で測定する。
第1の非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上であってよく、80℃以下又は70℃以下であってよい。
第1の非結晶性ポリエステル樹脂の120℃における溶融粘度は、低温定着性に優れる観点から、好ましくは、200Pa・s以上、250Pa・s以上、又は300Pa・s以上であってよく、20000Pa・s以下、19500Pa・s以下、又は19000Pa・s以下であってよい。本明細書における溶融粘度は、次の方法で測定される。すなわち、フローテスター(例えば、島津製作所「CFT−500D」)を用い、1gの第1の非結晶性ポリエステル樹脂を20Mpaにてペレット状に整形し、120℃の一定温度でプランジャーにより10kgの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。フローテスターのプランジャーの時間に対する降下量により粘度を算出する。
第1の非結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂の全量を基準として、55質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上であってよく、92質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、又は80質量%以下であってよい。第1の非結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子の全量を基準として、48質量%以上又56質量%以上であってよく、72質量%以下又は64質量%以下であってよい。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量に対する第1の非結晶性ポリエステル樹脂の含有量の質量比(第1の非結晶性ポリエステル樹脂の含有量/結晶性ポリエステル樹脂の含有量)は、85/15以上又は90/10以上であってよく、95/5以下又は93/7以下であってよい。
第2の非結晶性ポリエステル樹脂は、モノマー単位として、多価アルコールと、炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸とを含んでいる。多価アルコールの具体例は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂で説明した多価アルコールとそれぞれ同様である。多価アルコールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸は、例えば、炭素数3以上の分岐鎖を有さないジカルボン酸であってよく、また、炭素数3以上の分岐鎖を有さないジカルボン酸の無水物も包含するものとする。当該多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニルアセト酸、p−フェニレン−2−アセト酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニルアセト酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらの無水物が挙げられる。
炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸は、炭素数3以上の分岐鎖を有さない3価以上の多価カルボン酸であってもよい。当該多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、及び、これらのカルボン酸の酸無水物、酸塩化物又はエステルが挙げられる。
多価アルコールの含有量は、第2の非結晶性ポリエステル樹脂におけるモノマー単位の全量を基準として、45モル%以上、47モル%以上、又は49モル%以上であってよく、55モル%以下、53モル%以下、又は51モル%以下であってよい。
炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸の含有量は、第2の非結晶性ポリエステル樹脂におけるモノマー単位の全量を基準として、45モル%以上、47モル%以上、又は49モル%以上であってよく、55モル%以下、53モル%以下、又は51モル%以下であってよい。
第2の非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、結着樹脂の強度の低下及びトナー粒子のガラス転移温度の低下を抑制し、低温定着性、用紙に定着した画像強度、及びトナー粒子の保存性を向上させることができる観点から、好ましくは、30000以上、40000以上、又は50000以上であってよく、80000以下、70000以下、又は60000以下であってよい。第2の非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量と同じ方法で測定される。
第2の非結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂の全量を基準として、15質量%以上、20質量%以上、又は25質量%以上であってよく、40質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下であってよい。第2の非結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子の全量を基準として、15質量%以上又20質量%以上であってよく、30質量%以下又は25質量%以下であってよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、変調示差走査熱量測定法(MDSC)において、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂であってよい。結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含むことにより、トナーの画像光沢度の向上、及び低温定着性向上が図られる。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との反応物である。言い換えれば、結晶性ポリエステル樹脂は、モノマー単位として、多価アルコールと多価カルボン酸とを含んでいる。
多価アルコールは、例えばジオールであってよい。多価アルコールの炭素数は、トナー粒子に適した溶融温度を有する結晶性ポリエステルになりやすく観点から、好ましくは、8以上又は9以上であってよく、12以下又は10以下であってよく、9又は10であってもよい。多価アルコールとしては、例えば1,9−ノナンジオールが挙げられる。
多価カルボン酸は、例えば、脂肪族多価カルボン酸であってよく、ジカルボン酸であってよく、結晶性ポリエステル樹脂の構造の直線性が増大し、第1の非結晶性ポリエステル樹脂との親和性が向上する観点から、好ましくは脂肪族ジカルボン酸である。多価カルボン酸の炭素数(ただし、カルボキシル基を構成する炭素を除く炭素の数)は、トナー粒子に適した溶融温度を有する結晶性ポリエステルになりやすく観点から、好ましくは、8以上又は9以上であってよく、12以下又は10以下であってよく、9又は10であってもよい。多価カルボン酸としては、例えば、1,10−デカンジカルボン酸及び1,12−ドデカンジカルボン酸が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、結着樹脂の強度の低下及びトナー粒子のガラス転移温度の低下を抑制し、低温定着性、用紙に定着した画像強度、及びトナー粒子の保存性を向上させることができる観点から、好ましくは、5000以上、5100以上、又は5400以上であってよく、15000以下、10000以下、8000以下、5900以下、又は5700以下であってよい。結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量と同じ方法で測定される。
結晶性ポリエステルの溶融温度(Tm)は、トナー粒子の凝集を抑制し、定着画像の保存性及び低温定着性を向上させることができる観点から、好ましくは、60℃以上であってよく、100℃以下又は75℃以下であってよい。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂の全量を基準として、8質量%以上又は10質量%以上であってよく、30質量%以下又は20質量%以下であってよい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー粒子の全量を基準として、10質量%以上又は15質量%以上であってよく、30質量%以下又は20質量%以下であってよい。
結着樹脂は、非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂に加えて、その他の樹脂を更に含んでもよい。その他の樹脂としては、例えば、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体を含有してもよい。スチレン−(メタ)アクリル共重合体は、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとの共重合体であってよい。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−(m−,p−)メチルスチレン、及びm−(p−)エチルスチレンが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、及び(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルが挙げられる。
結着樹脂における非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の合計の含有量は、結着樹脂の全量を基準として、80質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上であってよく、98質量%以下又は95質量%以下であってよい。
結着樹脂は、変調示差走査熱量計(MDSC)により測定される示差走査熱量曲線において、特定のTg2nd+dHを有することが好ましい。結着樹脂のTg2nd+dHは、結着樹脂の強度の低下及びトナー粒子のガラス転移温度の低下を抑制し、低温定着性、用紙に定着した画像強度、及びトナー粒子の保存性を向上させることができる観点から、好ましくは、5J/g以上、10J/g以上、又は15J/g以上であってよい。
ここで、結着樹脂のTg2nd+dHは、変調示差走査熱量計(MDSC)により2回目に測定した結着樹脂の発熱量である。Tg2nd+dHは、例えば、次の方法で求められる。結着樹脂について、変調示差走査熱量計Q2000(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、第1の昇温工程として室温から140℃まで変調振幅0.1℃、変調周期10秒、毎分3℃の速度で昇温を行い終了後、0℃まで毎分20℃の速度で降温する。5分間0℃でホールドした後、第2の昇温工程として0℃から140℃まで変調振幅0.1℃、変調周期10秒、毎分3℃の速度で再昇温し、得られた示差走査熱量曲線から+dHを求める。
トナー粒子における結着樹脂の含有量は、トナー粒子の全量を基準として、40質量%以上、45質量%以上、又は50質量%以上であってよく、90質量%以下、85質量%以下、又は80質量%以下であってよい。
以上説明した結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂の第1の非結晶性ポリエステル樹脂への分散性に優れている。また、この結着樹脂では、同じTgを有する場合でも低分子量化が可能となる。そのため、当該結着樹脂を含有するトナー粒子は、低温定着性に優れている。
[着色剤]
着色剤は、例えば、ブラック着色剤、シアン着色剤、マゼンタ着色剤及びイエロー着色剤から選ばれる少なくとも1種の着色剤を含むことができる。着色剤は、色相、彩度、明度、耐候性、トナー内の分散性などを考慮して、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤は、例えば、ブラック着色剤、シアン着色剤、マゼンタ着色剤及びイエロー着色剤から選ばれる少なくとも1種の着色剤を含むことができる。着色剤は、色相、彩度、明度、耐候性、トナー内の分散性などを考慮して、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
ブラック着色剤は、カーボンブラック又はアニリンブラックであってよい。イエロー着色剤は、縮合窒素化合物、イソインドリノン化合物、アントラキン化合物、アゾ金属錯体又はアリルイミド化合物であってよい。イエロー着色剤としては、具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180などが挙げられる。
マゼンタ着色剤は、縮合窒素化合物、アントラキン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物であってよい。マゼンタ着色剤としては、具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254などが挙げられる。
シアン着色剤は、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、又はアントラキン化合物などであってよい。シアン着色剤としては、具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66などが挙げられる。
着色剤の含有量は、トナー粒子の全量を基準として、着色効果を十分に発現させる観点から、好ましくは、0.5質量%以上、1質量%以上、又は2質量%以上であってよく、トナー粒子の製造コストの上昇に大きな影響を及ぼさずに、十分な摩擦帯電量を得ることができる観点から、好ましくは、15質量%以下、12質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
[ワックス]
ワックスは、例えば、離型剤として機能することができる。離型剤は、トナー粒子の低温定着性、最終画像耐久性及び耐摩耗特性を向上させるので、離型剤となるワックスの種類及び含有量は、トナーの特性を考慮して決定することができる。
ワックスは、例えば、離型剤として機能することができる。離型剤は、トナー粒子の低温定着性、最終画像耐久性及び耐摩耗特性を向上させるので、離型剤となるワックスの種類及び含有量は、トナーの特性を考慮して決定することができる。
ワックスは、天然ワックスであっても合成ワックスであってもよい。ワックスの種類は、これらに限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、シリコンワックス、パラフィン系ワックス、エステル系ワックス、カルナバワックス、蜜蝋、メタロセンワックスからなる群から選択することができる。より具体的には、例えば、固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックス等を挙げることができる。また、低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等も用いることができる。
ワックスは、エステル基を含むエステル系ワックスであってよい。その具体例としては、例えば、エステル系ワックス及び非エステル系ワックスの混合物や非エステル系ワックスにエステル基を含有させたエステル基含有ワックスが挙げられる。
エステル系ワックス成分は、エステル基がトナー粒子のラテックス成分との親和性が高いために、トナー粒子において、ワックスを均一に存在させることができ、ワックスの作用を効果的に発揮できるようにし、非エステル系ワックス成分は、ラテックスとの離型作用によって、エステル系ワックスのみで構成される場合の過度な可塑化作用を抑制できる傾向がある。結果として、エステル系ワックスと、非エステル系ワックスとの混合物は、トナーの良好な現像性を長期間維持させることができる傾向がある。
エステル系ワックスは、例えば、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリドなどの炭素数15〜30の脂肪酸と一価アルコールないし五価アルコールのエステルであってよい。エステルを構成するアルコール成分は、炭素数10〜30の一価アルコール又は炭素数3〜30の多価アルコールであってよい。非エステル系ワックスとしては、例えば、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、シリコンワックス、パラフィン系ワックスなどが挙げられる。
エステル基を含むエステル系ワックスの例としては、パラフィン系ワックスとエステル系ワックスとの混合物、又はエステル基含有パラフィン系ワックスがあり、その具体的な例としては、例えば、中京油脂株式会社の製品名P−212、P−280、P−318、P−319、P−419などが挙げられる。
ワックスが、パラフィン系ワックスとエステル系ワックスとの混合物である場合、エステル系ワックスの含有量は、パラフィン系ワックスとエステル系ワックスとの混合物の全量を基準として、トナー粒子製造時に用いるラテックスとの相溶性が十分に維持される観点から、好ましくは、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上であってよく、トナー粒子の可塑性が適切になり、現像性の長期維持を確保することができる観点から、好ましくは50質量%以下であってよい。
ワックスの溶融温度は、60℃以上又は70℃以上であってよく、100℃以下又は90℃以下であってよい。ワックス成分は、トナー粒子と物理的に密着するが、トナー粒子と共有結合は形成しないものであってよい。
ワックスは、結着樹脂とワックスとの可塑化現象を抑制する観点から、結着樹脂の溶解度パラメータ(SP)値との差が2以上となるようなSP値を有していてよい。
ワックスの含有量は、トナー粒子の全量を基準として、低温定着性が良好であり、定着温度範囲が十分に確保される観点から、好ましくは、1質量部以上、2質量部以上、又は3質量部以上であってよく、保存性及び経済性に優れる観点から、好ましくは、20質量部以下、16質量部以下、又は12質量部以下であってよい。
[その他の成分]
トナー粒子は、必要に応じて、荷電制御剤を更に含有してもよい。荷電制御剤は、トナー粒子に対して内添されもよいし外添されてもよい。荷電制御剤は、ネガ系荷電制御剤であってもポジ系荷電制御剤であってもよい。
トナー粒子は、必要に応じて、荷電制御剤を更に含有してもよい。荷電制御剤は、トナー粒子に対して内添されもよいし外添されてもよい。荷電制御剤は、ネガ系荷電制御剤であってもポジ系荷電制御剤であってもよい。
ネガ系荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンなどが挙げられる。
ポジ系荷電制御剤としては、例えば、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物などが挙げられる。
トナー粒子は、必要に応じて、無機微粒子を更に含有してもよい。無機微粒子は、トナー粒子に内添されてもよいし外添されてもよい。無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、及び酸化アルミニウム微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子は、例えば、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていてもよい。
無機微粒子の比表面積は、10m2/g以上又は50m2/g以上であってよく、400m2/g以下又は50m2/g以下であってよい。無機微粒子の含有量は、トナー粒子の全量を基準として、0.1質量部以上であってよく、10質量部以下であってよい。
トナー粒子は、必要に応じて、鉄元素、珪素元素及び硫黄元素を含有してよく、これらの元素に加えてフッ素元素を更に含有してよい。鉄元素及び珪素元素は、凝集剤などに由来する成分であってよい。硫黄元素は、粘着樹脂の製造触媒及び凝集剤などに由来する成分であってよい。フッ素元素は、粘着樹脂の製造触媒などに由来する成分であってよい。
鉄元素の含有量は、トナー粒子を静電荷像現像用としてより好適に使用できる観点から、好ましくは、1.0×103ppm以上であってよく、1.0×104ppm以下又は5.0×103ppm以下であってよい。珪素元素の含有量は、トナー粒子を静電荷像現像用としてより好適に使用できる観点から、好ましくは、1.0×103ppm以上又は1.5×103ppm以上であってよく、5.0×103ppm以下又は4.0×103ppm以下であってよい。鉄元素及び珪素元素の含有量は、使用する凝集剤の種類及び量などを調節することにより制御することができる。
硫黄元素の含有量は、トナー粒子を静電荷像現像用としてより好適に使用できる観点から、好ましくは、500ppm以上又は1000ppm以上であってよく、3000ppm以下であってよい。硫黄元素の含有量は、使用する触媒及び凝集剤の種類及び量などを調節することにより制御することができる。
フッ素元素の含有量は、トナー粒子を静電荷像現像用としてより好適に使用できる観点から、好ましくは、1.0×103ppm以上又は5.0×103ppm以上であってよく、1.0×104ppm以下又は8.0×103ppm以下であってよい。フッ素元素の含有量は、使用する触媒の種類及び量を調節することにより制御することができる。
トナー粒子中の各元素の含有量は、例えば、蛍光X線分析法により測定することができる。具体的には、例えば、蛍光X線分析装置 EDX−720(島津製作所社製)を測定装置として使用し、X線管電圧50kV、サンプル成形量30.0gの条件で測定することができる。蛍光X線測定により導出された定量結果からの強度(cps/μA)を利用し、各元素の含有量を求めることができる。
トナー粒子の平均粒子径は、例えば、3μm以上又は5μm以上であってよく、7μm以下又は6μm以下であってよい。トナー粒子の平均粒子径は、以下の方法で求められる体積平均粒子径である。
トナー粒子の体積平均粒子径は、細孔電気抵抗法により測定する。具体的には、コールターカウンター(ベックマンコールター社製)を測定装置として使用し、ISOTON II(ベックマンコールター社製)を電解液として使用し、アパチャー径100μmのアパチャーチューブを使用して、測定粒子数30000の条件で測定する。測定された粒子の粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子が占める体積を小径側から累積していき、累積50%となる粒子径を体積平均粒子径Dv50とする。
トナー粒子の体積平均粒子径は、細孔電気抵抗法により測定する。具体的には、コールターカウンター(ベックマンコールター社製)を測定装置として使用し、ISOTON II(ベックマンコールター社製)を電解液として使用し、アパチャー径100μmのアパチャーチューブを使用して、測定粒子数30000の条件で測定する。測定された粒子の粒度分布を基にして、分割された粒度範囲に含まれる粒子が占める体積を小径側から累積していき、累積50%となる粒子径を体積平均粒子径Dv50とする。
トナー粒子は、一実施形態において、コア−シェル構造を有していてよい。トナー粒子は、例えば、上記結着樹脂(上記非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂)及び上記結晶性ポリエステル樹脂)、上記着色剤、及び上記ワックスを含有するコアと、上記非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂)を含有するシェルと、を備えていてよい。
トナー粒子におけるコアの割合は、トナー粒子の全量を基準として、50質量%以上、55質量%以上、又は60質量%以上であってよく、85質量%以下、80質量%以下、又は75質量%以下であってよい。トナー粒子におけるシェルの割合は、トナー粒子の全量を基準として、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってよく、40質量%以下、35質量%以下、又は30質量%以下であってよい。
トナー粒子は、一成分系現像剤として使用できる。トナー粒子は、ドット再現性をより向上させ、長期にわたり安定した画像を供給するために、磁性キャリアと混合されて、二成分系現像剤として使用することもできる。
磁性キャリアとしては、例えば、酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);などが挙げられる。
トナー粒子が磁性キャリアと混合されて二成分系現像剤として使用される場合、トナー粒子の含有量は、二成分系現像剤の全量を基準として、2質量%以上又は4質量%以上であってよく、15質量%以下又は13質量%以下であってよい。
トナー粒子は、例えばトナーカットリッジに収容されてよい。より具体的には、トナー粒子は、トナーカートリッジ中の容器内に収容されてよい。すなわち、他の一実施形態は、上述したトナー粒子を収容する容器を備えるトナーカートリッジである。
<トナー粒子の製造方法>
続いて、上述したトナー粒子の製造方法の一実施形態について説明する。一実施形態に係るトナー粒子の製造方法は、ペンダント基を有する第1のモノマー及びポリエチレンテレフタレートを含む重縮合成分を反応させて非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂)を得る工程(工程Aともいう)と、非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂)、結晶性ポリエステル樹脂、着色剤、及びワックスを含む原料からトナー粒子を得る工程(工程Bともいう)と、を備えている。
続いて、上述したトナー粒子の製造方法の一実施形態について説明する。一実施形態に係るトナー粒子の製造方法は、ペンダント基を有する第1のモノマー及びポリエチレンテレフタレートを含む重縮合成分を反応させて非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂)を得る工程(工程Aともいう)と、非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂)、結晶性ポリエステル樹脂、着色剤、及びワックスを含む原料からトナー粒子を得る工程(工程Bともいう)と、を備えている。
[工程A]
工程Aでは、重縮合成分、エステル化触媒などを一括で反応容器に仕込み、公知のエステル化反応によって、第1の非結晶性ポリエステル樹脂を得る。重縮合成分は、第1のモノマー及びポリエチレンテレフタレートに加えて、エチレングリコール以外の多価アルコール、及び炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸を更に含んでよい。
工程Aでは、重縮合成分、エステル化触媒などを一括で反応容器に仕込み、公知のエステル化反応によって、第1の非結晶性ポリエステル樹脂を得る。重縮合成分は、第1のモノマー及びポリエチレンテレフタレートに加えて、エチレングリコール以外の多価アルコール、及び炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸を更に含んでよい。
第1のモノマーの詳細は、上述したとおりである。第1のモノマーの仕込み量は、重縮合成分の全量を基準として、好ましくは、1モル%以上、1.5モル%以上、又は2モル%以上であってよく、15モル%以下、12モル%以下、10モル%以下、9モル%以下、又は8モル%以下であってよい。
ポリエチレンテレフタレートは、エステル化反応において、一旦テレフタル酸とエチレングリコールとに分解されるため、重縮合成分として用いられるポリエチレンテレフタレートの物性(例えば重量平均分子量など)は特に制限されない。ポリエチレンテレフタレートは、リサイクルされたポリエチレンテレフタレートであってよい。この場合、環境に配慮されたトナー粒子を提供し得る。
ポリエチレンテレフタレートの仕込み量は、重縮合成分の全量を基準として、好ましくは、30モル%以上、32モル%以上、又は34モル%以上であってよく、70モル%以下、68モル%以下、又は66モル%以下であってよい。ここで、ポリエチレンテレフタレートの仕込み量は、ポリエチレンテレフタレートの構成単位1つ(エチレングリコール1分子とテレフタル酸1分子とがエステル化して構成する単位)に相当する構造の分子量(=192=62+166−(18×2))をポリエチレンテレフタレートのモル質量として換算した値である。すなわち、ポリエチレンテレフタレートの仕込み量は、ポリエチレンテレフタレートの物質量が192g/molであるとして換算した値である。
エチレングリコール以外の多価アルコールの詳細は、上述したとおりである。エチレングリコール以外の多価アルコールの仕込み量は、重縮合成分の全量を基準として、1モル%以上、2モル%以上、又は4モル%以上であってよく、40モル%以下、30モル%以下、又は20モル%以下であってよい。
炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸は、例えば、炭素数3以上の分岐鎖を有さないジカルボン酸であってよく、また、炭素数3以上の分岐鎖を有さないジカルボン酸の無水物も包含するものとする。当該多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニルアセト酸、p−フェニレン−2−アセト酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニルアセト酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらの無水物が挙げられる。これらの多価カルボン酸は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸は、炭素数3以上の分岐鎖を有さない3価以上の多価カルボン酸であってもよい。当該多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、及び、これらのカルボン酸の酸無水物、酸塩化物又はエステルが挙げられる。
炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸の含有量は、重縮合成分の全量を基準として、1モル%以上、2モル%以上、又は4モル%以上であってよく、52モル%以下、50モル%以下、又は48モル%以下であってよい。
エステル化触媒としては、例えば、アンチモン系、スズ系、チタン系、アルミニウム系の触媒を挙げることができる。エステル化触媒は、例えば、ジブチルスズ、ジラウレート、ジブチルスズオキシドなどの有機金属や、テトラブチルチタネートなどの金属アルコキシドなどであってもよい。エステル化触媒の仕込み量は、例えば、重縮合成分の全量100質量部に対して、0.05質量部以上又は0.2質量部以上であってよく、1質量部以下又は0.7質量部以下であってよい。
[工程B]
工程Bでは、工程Aで得られた第1の非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂の分散液(ラテックス))と、結晶性ポリエステル樹脂の分散液(ラテックス)と、必要に応じて第2の非結晶性ポリエステル樹脂の分散液(ラテックス)とを、例えば水系で混合し、次いで、着色剤分散液とワックス分散液を混合し、凝集剤を添加する。これらの混合物を、ホモジナイザーなどで撹拌し、昇温して、第1の非結晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含む結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する凝集粒子を得る。これにより、トナー粒子のコアが形成される。
工程Bでは、工程Aで得られた第1の非結晶性ポリエステル樹脂(第1の非結晶性ポリエステル樹脂の分散液(ラテックス))と、結晶性ポリエステル樹脂の分散液(ラテックス)と、必要に応じて第2の非結晶性ポリエステル樹脂の分散液(ラテックス)とを、例えば水系で混合し、次いで、着色剤分散液とワックス分散液を混合し、凝集剤を添加する。これらの混合物を、ホモジナイザーなどで撹拌し、昇温して、第1の非結晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含む結着樹脂、着色剤及びワックスを含有する凝集粒子を得る。これにより、トナー粒子のコアが形成される。
次いで、第1の非結晶性ポリエステル樹脂のラテックスを更に混合し、凝集粒子の表面に第1の非結晶性ポリエステル樹脂からなるシェルを形成し、被覆凝集粒子を得る。さらに、被覆凝集粒子を加熱して、被覆凝集粒子内の粒子を溶融合一させて、トナー粒子を得る。この方法では、上述したコア−シェル構造を有するトナー粒子が得られる。
以下、実施例によってトナー粒子を更に詳細に説明するが、トナー粒子は実施例に限定されない。
(第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4の調製)
表1に示す仕込み量の多価アルコール、多価カルボン酸及びポリエチレンテレフタレートと、エステル化触媒とを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した1リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、245℃で反応させ、表1に示す物性を有する第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4を得た。なお、ポリエチレンテレフタレートの仕込み量は、ポリエチレンテレフタレートの物質量が192g/molであるとして換算した値である。
表1に示す仕込み量の多価アルコール、多価カルボン酸及びポリエチレンテレフタレートと、エステル化触媒とを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した1リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、245℃で反応させ、表1に示す物性を有する第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4を得た。なお、ポリエチレンテレフタレートの仕込み量は、ポリエチレンテレフタレートの物質量が192g/molであるとして換算した値である。
3リットルの二重ジャケット反応器に、第1の非結晶性ポリエステル樹脂300gと、メチルエチルケトン250gと、イソプロピルアルコール50gとを投入し、約30℃の環境下で、反応容器内を半月型(semi−moontype)インペラを用いて撹拌し、樹脂を溶解した。得られた樹脂溶液を撹拌しつつ、反応容器内に、5%アンモニア水溶液20gを徐々に添加し、続けて、1200gの水を20g/分の速度で添加し、乳化液を製造した。その後、固形分である第1の非結晶性ポリエステル樹脂の濃度が20質量%になるまで、減圧蒸留方法により、乳化液からメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールとの混合溶媒を除去し、第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4のラテックスをそれぞれ得た。
(比較用非結晶性ポリエステル樹脂5の調製)
重縮合成分として、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2)51モル%、及びテレフタル酸49モル%を用いた以外は、非結晶性ポリエステル樹脂1〜4と同様にして、比較用非結晶性ポリエステル樹脂5を合成した後、比較用非結晶性ポリエステル樹脂5のラテックスを得た。この比較用非結晶性ポリエステル樹脂5の重量平均分子量は10685であり、120℃における溶融粘度は6214Pa・sであった。
重縮合成分として、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2)51モル%、及びテレフタル酸49モル%を用いた以外は、非結晶性ポリエステル樹脂1〜4と同様にして、比較用非結晶性ポリエステル樹脂5を合成した後、比較用非結晶性ポリエステル樹脂5のラテックスを得た。この比較用非結晶性ポリエステル樹脂5の重量平均分子量は10685であり、120℃における溶融粘度は6214Pa・sであった。
(第2の非結晶性ポリエステル樹脂の調製)
重縮合成分として、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2)36モル%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2)14モル%、テレフタル酸47モル%、及び無水トリメリット酸3モル%を用いた以外は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4と同様にして、第2の非結晶性ポリエステル樹脂を合成した後、第2の非結晶性ポリエステル樹脂のラテックスを得た。この第2の非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は56473であり、120℃における溶融粘度は21575Pa・sであった。
重縮合成分として、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2)36モル%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2)14モル%、テレフタル酸47モル%、及び無水トリメリット酸3モル%を用いた以外は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4と同様にして、第2の非結晶性ポリエステル樹脂を合成した後、第2の非結晶性ポリエステル樹脂のラテックスを得た。この第2の非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は56473であり、120℃における溶融粘度は21575Pa・sであった。
(結晶性ポリエステル樹脂の調製)
500ミリリットルのセパラブルフラスコに、1,9−ノナンジオール(和光純薬工業株式会社製)133gと、1,12−ドデカンジカルボン酸(和光純薬工業株式会社製)167gと、エステル化触媒とを投入した。その後、フラスコ内に窒素を導入し、フラスコ内を撹拌装置で撹拌しながら、1,9−ノナンジオールとエステル化触媒との混合物を80℃に加熱して溶解した。その後、フラスコ内を撹拌しながら、フラスコ内の混合溶液を97℃に昇温した。その後、フラスコ内を真空(10mPa・s以下)にし、フラスコ内を撹拌しながら、97℃で5時間、1,9−ノナンジオールと1,12−ドデカンジカルボン酸との脱水縮合反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が5600であり、Tg2nd−dHが149J/gであった。
500ミリリットルのセパラブルフラスコに、1,9−ノナンジオール(和光純薬工業株式会社製)133gと、1,12−ドデカンジカルボン酸(和光純薬工業株式会社製)167gと、エステル化触媒とを投入した。その後、フラスコ内に窒素を導入し、フラスコ内を撹拌装置で撹拌しながら、1,9−ノナンジオールとエステル化触媒との混合物を80℃に加熱して溶解した。その後、フラスコ内を撹拌しながら、フラスコ内の混合溶液を97℃に昇温した。その後、フラスコ内を真空(10mPa・s以下)にし、フラスコ内を撹拌しながら、97℃で5時間、1,9−ノナンジオールと1,12−ドデカンジカルボン酸との脱水縮合反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が5600であり、Tg2nd−dHが149J/gであった。
第1の非結晶性ポリエステル樹脂に代えて結晶性ポリエステル樹脂を用いた以外は、第1の非結晶性ポリエステル樹脂のラテックスと同じ手順で、結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを得た。
(結着樹脂の評価)
100mlポリカップに、第1の非晶性ポリエステル樹脂1〜4又は比較用非結晶性ポリエステル樹脂5の何れかのラテックスを樹脂分が0.8gになるように仕込み、次いで、結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを樹脂分が0.2gになるように仕込んだ。凍結乾燥器にて−40℃/1.5時間、−10℃/2時間、20℃/5時間の順で真空にして脱水を行い、評価用サンプルを得た。
得られた評価用サンプルについて、Tg2nd+dHを測定した。Tg2nd+dHは、変調示差走査熱量計(MDSC)により2回目に測定したサンプルの発熱量である。具体的には、まず、評価用サンプルについて、変調示差走査熱量計Q2000(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、第1の昇温工程として室温から140℃まで変調振幅0.1℃、変調周期10秒、毎分3℃の速度で昇温を行い終了後、0℃まで毎分20℃の速度で降温した。5分間0℃でホールドした後、第2の昇温工程として0℃から140℃まで変調振幅0.1℃、変調周期10秒、毎分3℃の速度で再昇温し、得られた示差走査熱量曲線から+dHを求め、これをTg2nd+dHとした。結果を表2に示す。Tg2nd+dHの値が大きいほど、結晶性ポリエステル樹脂の非結晶性ポリエステル樹脂への分散性が優れていることを意味する。
100mlポリカップに、第1の非晶性ポリエステル樹脂1〜4又は比較用非結晶性ポリエステル樹脂5の何れかのラテックスを樹脂分が0.8gになるように仕込み、次いで、結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを樹脂分が0.2gになるように仕込んだ。凍結乾燥器にて−40℃/1.5時間、−10℃/2時間、20℃/5時間の順で真空にして脱水を行い、評価用サンプルを得た。
得られた評価用サンプルについて、Tg2nd+dHを測定した。Tg2nd+dHは、変調示差走査熱量計(MDSC)により2回目に測定したサンプルの発熱量である。具体的には、まず、評価用サンプルについて、変調示差走査熱量計Q2000(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、第1の昇温工程として室温から140℃まで変調振幅0.1℃、変調周期10秒、毎分3℃の速度で昇温を行い終了後、0℃まで毎分20℃の速度で降温した。5分間0℃でホールドした後、第2の昇温工程として0℃から140℃まで変調振幅0.1℃、変調周期10秒、毎分3℃の速度で再昇温し、得られた示差走査熱量曲線から+dHを求め、これをTg2nd+dHとした。結果を表2に示す。Tg2nd+dHの値が大きいほど、結晶性ポリエステル樹脂の非結晶性ポリエステル樹脂への分散性が優れていることを意味する。
(着色剤分散液の調製)
10gの陰イオン性反応性乳化剤(HS−10:第一工業製薬社製)をCyan顔料(C.I.PigmentBlue15:3:クラリアント社製)60gと共にミリングバスに入れた。これに、0.8〜1mmの径を有するガラスビードを400g投入し、常温でミリングして着色剤分散液を得た。
10gの陰イオン性反応性乳化剤(HS−10:第一工業製薬社製)をCyan顔料(C.I.PigmentBlue15:3:クラリアント社製)60gと共にミリングバスに入れた。これに、0.8〜1mmの径を有するガラスビードを400g投入し、常温でミリングして着色剤分散液を得た。
(トナー粒子の調製)
3Lの反応器に、脱イオン水500g、第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4のいずれかのラテックス630g、第2の非結晶性ポリエステル樹脂のラテックス70g、結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを143g添加し、次いで、着色剤分散液60g、ワックス分散液(SELOSOL P−212:中京油脂株式会社製)80g、及び、凝集剤としてポリシリカ鉄(PSI−100、水道機工(株)社製)70gをそれぞれ添加した。これらをホモジナイザー(IKA社製のウルトラタラックスT50(商品名))を用いて撹拌しながら、フラスコ内の混合溶液を1℃/分の速度で45℃に昇温した。続いて、0.2℃/分の速度で、凝集反応液の温度を上昇させて凝集反応を継続させ、4〜6μmの体積平均粒径を有する一次凝集粒子(コア)を得た。
さらに、上記で用いた第1の非結晶性ポリエステル樹脂と同じ種類の第1の非結晶性ポリエステル樹脂ラテックス210gを添加し、30分間凝集させ、一次凝集粒子を覆うようにシェルを形成した。
次いで、0.1NのNaOH水溶液を添加し、混合液のpHを9.5に調整した。20分経過後、混合液を昇温し、3時間以上で且つ5時間以下で融合(fusing)することにより、4〜7μmの体積平均粒径を有する二次凝集粒子を得た。この凝集反応液に、脱イオン水の氷を投入速度100ml/10secで投入し、28℃以下に冷やした後、濾過工程を経て、粒子を分離して乾燥し、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子において、コア中の第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4/結晶性ポリエステル樹脂の質量比は80/20であり、コア/シェルの質量比は72/28であった。
3Lの反応器に、脱イオン水500g、第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4のいずれかのラテックス630g、第2の非結晶性ポリエステル樹脂のラテックス70g、結晶性ポリエステル樹脂ラテックスを143g添加し、次いで、着色剤分散液60g、ワックス分散液(SELOSOL P−212:中京油脂株式会社製)80g、及び、凝集剤としてポリシリカ鉄(PSI−100、水道機工(株)社製)70gをそれぞれ添加した。これらをホモジナイザー(IKA社製のウルトラタラックスT50(商品名))を用いて撹拌しながら、フラスコ内の混合溶液を1℃/分の速度で45℃に昇温した。続いて、0.2℃/分の速度で、凝集反応液の温度を上昇させて凝集反応を継続させ、4〜6μmの体積平均粒径を有する一次凝集粒子(コア)を得た。
さらに、上記で用いた第1の非結晶性ポリエステル樹脂と同じ種類の第1の非結晶性ポリエステル樹脂ラテックス210gを添加し、30分間凝集させ、一次凝集粒子を覆うようにシェルを形成した。
次いで、0.1NのNaOH水溶液を添加し、混合液のpHを9.5に調整した。20分経過後、混合液を昇温し、3時間以上で且つ5時間以下で融合(fusing)することにより、4〜7μmの体積平均粒径を有する二次凝集粒子を得た。この凝集反応液に、脱イオン水の氷を投入速度100ml/10secで投入し、28℃以下に冷やした後、濾過工程を経て、粒子を分離して乾燥し、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子において、コア中の第1の非結晶性ポリエステル樹脂1〜4/結晶性ポリエステル樹脂の質量比は80/20であり、コア/シェルの質量比は72/28であった。
<低温定着性の評価>
通紙した画像の画像濃度を測色計(X−rite eXact、X−rite社製)を用いて測定した。スコッチ(登録商標)テープを画像に貼り、坪量60g/m3の紙を間に挟んで500gの重りを5往復後、180°でテープを剥離した。テープ剥離後の画像濃度を測定し、剥離前に対する剥離後の画像濃度を定着強度とした。ヒートベルト温度を変えて上記の操作を行い、定着強度が90%になる温度を最低定着温度とした。結果を表3に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性が優れることを意味する。
通紙した画像の画像濃度を測色計(X−rite eXact、X−rite社製)を用いて測定した。スコッチ(登録商標)テープを画像に貼り、坪量60g/m3の紙を間に挟んで500gの重りを5往復後、180°でテープを剥離した。テープ剥離後の画像濃度を測定し、剥離前に対する剥離後の画像濃度を定着強度とした。ヒートベルト温度を変えて上記の操作を行い、定着強度が90%になる温度を最低定着温度とした。結果を表3に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性が優れることを意味する。
上記に示されるように、上述した結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂の第1の非結晶性ポリエステル樹脂への分散性に優れている。また、上述したトナー粒子は、低温定着性に優れている。
以上、トナー粒子の様々な例について具体的に説明したが、特許請求の範囲の精神の範囲を逸脱しない範囲において種々の変形及び変更が可能であることは当業者にとって明らかである。すなわち、特許請求の範囲に記載した精神を逸脱しない範囲内において全ての変更が含まれることが意図される。
Claims (15)
- 非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、
着色剤と、
ワックスと、を含有し、
前記非結晶性ポリエステル樹脂が、モノマー単位として、ペンダント基を有する第1のモノマーと、テレフタル酸と、エチレングリコールとを含む、トナー粒子。 - 前記第1のモノマーが、炭素数3以上の分岐鎖を有する多価カルボン酸を含む、請求項1に記載のトナー粒子。
- 前記非結晶性ポリエステル樹脂が、モノマー単位として、エチレングリコール以外の多価アルコールを更に含む、請求項2に記載のトナー粒子。
- 前記第1のモノマーの含有量が、前記モノマー単位の全量を基準として1モル%以上15モル%以下である、請求項1に記載のトナー粒子。
- 前記非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が5000以上30000以下である、請求項1に記載のトナー粒子。
- 前記結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が5000以上15000以下である、請求項1に記載のトナー粒子。
- 前記結着樹脂、前記着色剤、及び前記ワックスを含有するコアと、
前記非結晶性ポリエステル樹脂を含有するシェルと、を備える、請求項1に記載のトナー粒子。 - 非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂と、着色剤と、ワックスと、を含有するトナー粒子の製造方法であって、
ペンダント基を有する第1のモノマー及びポリエチレンテレフタレートを含む重縮合成分を反応させて前記非結晶性ポリエステル樹脂を得る工程と、
前記非結晶性ポリエステル樹脂、前記結晶性ポリエステル樹脂、前記着色剤、及び前記ワックスを含む原料から前記トナー粒子を得る工程と、を備える製造方法。 - 前記第1のモノマーが、炭素数3以上の分岐鎖を有する多価カルボン酸を含む、請求項8に記載の製造方法。
- 前記重縮合成分が、炭素数3以上の分岐鎖を有さない多価カルボン酸を更に含む、請求項9に記載の製造方法。
- 前記重縮合成分が、エチレングリコール以外の多価アルコールを更に含む、請求項10に記載の製造方法。
- 前記第1のモノマーの含有量が、前記重縮合成分の全量を基準として1モル%以上15モル%以下である、請求項8に記載の製造方法。
- 前記非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が5000以上30000以下である、請求項8に記載の製造方法。
- 前記結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が5000以上15000以下である、請求項8に記載の製造方法。
- 前記非結晶性ポリエステル樹脂、前記結晶性ポリエステル樹脂、前記着色剤、及び前記ワックスを含有するコアを形成した後に、前記非結晶性ポリエステル樹脂を含有するシェルを形成することにより、前記トナー粒子を得る、請求項8に記載の製造方法。
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