JP2022049740A - 鍵盤楽器、鍵盤楽器の製造方法及び部材 - Google Patents

鍵盤楽器、鍵盤楽器の製造方法及び部材 Download PDF

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Abstract

【課題】コストや工数を抑えつつ、美しい仕上がりを実現することが可能な鍵盤楽器、鍵盤楽器の製造方法及び部材を提供する。【解決手段】鍵盤楽器において、譜面立て、本体側板、脚部、脚部側板等に用いる、黒色等の光沢を有する光沢加工を施した鍵盤楽器用部材3は、第1の面32aと、第1の面に隣接する第2の面33と、を有する基材31と、基材31の第1の面32a側に貼着されている貼着部材35と、基材31の第2の面33側及び貼着部材35の貼着面とは異なる側面側に設けられている塗膜38と、を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、鍵盤楽器、鍵盤楽器の製造方法及び部材に関するものである。
従来、例えば鍵盤楽器(例えばピアノ)において、譜面立てや側板等の外装各部を構成する鍵盤楽器用部材として、黒色等の光沢を有する光沢加工を施した部材が用いられる。
このような光沢感を有する部材を外装各部に用いることにより、鍵盤楽器等の外観を高級感のあるものとすることができる。
例えば特許文献1には、基材(特許文献1において「被塗物材料」)をポリエステル樹脂塗料によって塗装し、これをピアノの側板等に用いることが記載されている。
また、一般的に基材に光沢加工を施す手法として、基材に光沢シートを貼着する手法も知られている。
特開2002-194280号公報
しかしながら、基材に塗装を施すことによって鍵盤楽器用部材を製造する場合、表面を美しく仕上げるためには、塗装、乾燥、研磨といった工程を複数回繰り返す必要があり、工数が非常に多くなる。
このため、特に面積の広い面を有する鍵盤楽器用部材を製造する場合には、光沢加工にかなりの時間と手間を要し、コストが増加するとともに発注から納期までにかかる時間(L/T;リードタイム)が長くなるという問題がある。
一方、基材に光沢シートを貼着する手法では、平坦な面については時間や手間をかけずに光沢加工を行うことができる。しかし、基材の表面と側面のように、互いに交わり稜線を形成する2つの面の双方に光沢加工を施したい場合、それぞれの面にシートを貼ると、面同士のつなぎ目である稜線部分(角稜線)にシートの隙間ができる等により美しく仕上げることが難しい。
また、一繋がりのシートを基材の表面及び側面等に一体的に貼る場合、一繋がりのシートで覆われた稜線部分(角稜線)にはシートの隙間を生じないが、基材の全面を1枚のシートで隙間なく被うことはできないため、例えば裏面と側面との間等、いずれかの稜線部分(角稜線)にシートの隙間が生じるおそれがある。
さらに、一繋がりのシートで覆われた稜線(角稜線)部分においてシートが浮いてしまい、きれいな仕上がりとならないおそれもある。またこのような稜線(角稜線)部分での浮き上がりを防ぐためにシートを伸ばしながら貼ると、側面等におけるシートの光沢度が著しく落ちて意匠性を損なうおそれがある。
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、コストや工数を抑えつつ、美しい仕上がりを実現することが可能な鍵盤楽器、鍵盤楽器の製造方法及び部材を提供することを利点とするものである。
前記課題を解決するために、本発明の鍵盤楽器は、
第1の面と、前記第1の面に隣接する第2の面と、を有する基材と、
前記基材の前記第1の面側に貼着されている貼着部材と、
前記基材の前記第2の面側及び、前記貼着部材の貼着面とは異なる側面側に設けられている塗膜と、
を備える塗膜ことを特徴とする。
また、本発明の別の側面である鍵盤楽器の製造方法は、
基材の第1の面側に貼着部材を貼着する貼着工程と、
前記基材の前記第1の面に隣接する第2の面側及び、前記貼着部材の貼着面とは異なる側面側に、塗料を積層させる塗装工程と、
を含むことを特徴とする。
また、本発明の別の側面である部材は、
第1の面と、前記第1の面に隣接する第2の面と、を有する基材と、
前記基材の前記第1の面側に貼着されている貼着部材と、
前記基材の前記第2の面側及び、前記貼着部材の貼着面とは異なる側面側に設けられている塗膜と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、コストや工数を抑えつつ、美しい仕上がりを実現することが可能な鍵盤楽器、鍵盤楽器の製造方法及び部材を提供することができるとの効果を奏する。
本実施形態の鍵盤楽器用部材及びこれを適用した鍵盤楽器の概略構成を示す斜視図である。 (a)は、切断前の基材を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す基材に貼着部材を貼着して譜面立ての形状に切り出した状態を示す斜視図であり、(c)は、(b)に示す基材に塗膜を形成した状態を示す鍵盤楽器用部材としての譜面立ての斜視図である。 (a)は、基材に貼着部材を貼着して本体側板の形状に切り出した状態を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す基材に塗膜を形成した状態を示す鍵盤楽器用部材としての本体側板の斜視図である。 (a)は、図2(b)における矢視A方向から見た鍵盤楽器用部材の側面図であり、(b)は、図3(a)における矢視B方向から見た鍵盤楽器用部材の側面図である。 (a)は、図3(a)において二点鎖線で囲んだ領域Vaの拡大斜視図であり、(b)は、図3(b)において二点鎖線で囲んだ領域Vaの拡大斜視図である。 (a)は、図3(a)において二点鎖線で囲んだ領域Vbの拡大斜視図であり、(b)は、図3(b)において二点鎖線で囲んだ領域Vbの拡大斜視図である。 本実施形態における鍵盤楽器用部材の製造方法を示すフローチャートである。 本実施形態における鍵盤楽器用部材の製造方法を構成する各工程における基材の状態を示す図であり、(a)は基材の第1の面に貼着部材を貼着した状態を示し、(b)は、基材の第2の面に塗装を施した状態を示し、(c)は、貼着部材のうちの保護層を除去した状態を示し、(d)は、稜線仕上げを行った状態を示している。 (a)~(d)は、それぞれ図8(a)~(d)において二点鎖線で囲んだ領域a~領域dの拡大斜視図である。
図1から図9(a)~図9(d)を参照しつつ、本発明に係る鍵盤楽器、鍵盤楽器の製造方法及び部材の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。すなわち、基材の第1の面にシート等が貼着され、前記基材の第2の面に塗装されることにより塗膜が配置される部材(ハイブリッド部材ともいう)及び、このような部材を含んでいれば、用途は鍵盤楽器に限定されず、その他の装置や機器等であってもよく、家具や道具等であってもよい。
本実施形態における「部材」は鍵盤楽器に用いられる鍵盤楽器用部材であり、図1は、鍵盤楽器用部材が適用された鍵盤楽器の要部外観構成を示す斜視図である。鍵盤楽器100は、例えばピアノ、キーボード等である。
図1に示すように、本実施形態の鍵盤楽器100は、複数の鍵11を備える楽器本体1と、この楽器本体1を収容する外装部2と、を備えている。
外装部2は、譜面立て3a、本体側板3b、脚部3c、脚部側板3d等の複数の鍵盤楽器用部材3を備えている。
譜面立て3a、本体側板3b、脚部3c、脚部側板3d等は光沢感のある仕上がりとすることが好ましい光沢部材である。このため、本実施形態では、譜面立て3a、本体側板3b、脚部3c、脚部側板3d等の光沢部材に適用される後述の貼着部材35として、表面に光沢感を有する光沢シート部材が適用される。また、後述する塗膜35も表面に光沢感が出るような仕上がりとする。
なお、外装部2には、この他楽器の奥側に配置される背面板4や鍵盤楽器100を使用しないときに鍵11等の上を覆う図示しない蓋部材等が設けられている。これらの部材についても鍵盤楽器用部材として構成してもよいが、例えば背面板4であれば、表面だけが外観に現れ、それ以外の面(側面や裏面)は視認されなかったり他の部材で被われたりするために、その全面(表面、裏面及び側面といったすべての面)が外観に現れない。このため、本実施形態では、これらの部材については、板部材ではあるが表面に光沢感が出るような仕上がりとしなくてもよいし、光沢感のある仕上がりの部分を設けてもよいが、光沢感を出す加工を部材全面に施さなくてもよい。
本実施形態において、譜面立て3a、本体側板3b、脚部3c、脚部側板3d等の鍵盤楽器用部材3は、第1の面32a,32bと、この第1の面32a,32bに隣接する第2の面33と、を有する基材31と、基材31の第1の面32a,32b側に貼着されている貼着部材35と、基材31の第2の面33側及び、貼着部材35の貼着面361(図9参照)とは異なる側面362,372(図9参照)側に設けられている塗膜38と、を備えている。
第1の面32a,32bと第2の面33との間には稜線34(角稜線)が形成される。
図2(a)は、基材の斜視図であり、図2(b)及び図2(c)は、鍵盤楽器用部材が譜面立てである場合の一例を示す斜視図であり、図3(a)及び図3(b)は、鍵盤楽器用部材が本体側板である場合の一例を示す斜視図である。
また、図4(a)は、図2(b)における矢視A方向から基材を見た場合の側面図であり、図4(b)は、図3(a)における矢視B方向から基材を見た場合の側面図である。
鍵盤楽器用部材3を構成する基材31は、例えばMDF(Medium density fiberboard;中質繊維板)等、木材を原料とする板状の木質ボードである。なお、基材31はMDF等の木質ボードに限定されず、これ以外の板部材が適用されてもよい。
図2(a)は、鍵盤楽器用部材としての各形状に切出される前の状態の基材を例示したものである。なお、図2(a)では、基材31の一部分のみを切り欠いて示している。
基材31は、鍵盤楽器用部材3としての各形状に切出される前の状態において、例えば幅900mm~1820mm、長さ1820mm~4000mm程度の比較的大判の板である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、基材31における第1の面は、板表面32a(図2(b)及び図3(a)において図面に現れている面)及び板裏面32bである。
基材31は、第1の面である板表面32a及び板裏面32bに後述の貼着部材35を貼着した後、図2(b)や図3(a)に例示するように、鍵盤楽器用部材3としての各形状に切出される。図2(b)では、譜面立て3aとして切り出された鍵盤楽器用部材3の例を示し、図3(a)では、本体側板3bとして切り出された鍵盤楽器用部材3の例を示している。
第2の面33は、このような各形状に切出された状態の基材31において、第1の面32a,32bに隣接する面である。図2(b)や図3(a)に示すように、第2の面33は、第1の面32a,32bと交わり第1の面32a,32bとの間で稜線(角稜線)34を形成する面である。
具体的には、第2の面33は、基材31の側面(小口面)であり、例えば基材31の切断面である。なお第2の面33は、切断面に限定されない。例えば、大判の板であったもともとの基材31の端面(側面)が切出し後の鍵盤楽器用部材3においてもそのまま側面を構成している場合には、当該側面も第2の面33である。
本実施形態において、第1の面である板表面32a及び板裏面32bは、第2の面33よりも表面積が広くなっている。
本実施形態の鍵盤楽器用部材3では、基材31の第1の面32a,32bには貼着部材35が貼着される。また、第2の面33には塗装を施すことにより塗膜38が形成される。
塗装を施すことで光沢感を出すためには手間やコストがかかる。特に塗装によって広い範囲に均一に光沢を出すことは難しい。このため、塗装を施す面はなるべく狭い方が好ましい。
他方で、貼着部材35を細かい部分に貼着するのは手間がかかり、効率が悪い。また切断面等では切断を行っていない面よりも表面が粗くなっている。このため、貼着部材35を貼っても貼着面の凹凸等を拾いやすく、美しい仕上がりとなりにくい。このような面においては塗装によって塗膜38を形成し、表面を覆う方が光沢感のある仕上がりとすることができる。
そこで、比較的表面積の広い面には貼着部材35を貼着し、面積が狭い面や切断面等には塗装を施して光沢感を出すことが好ましい。
このため本実施形態では、基材31の板表面32aや板裏面32bを、貼着部材35を貼着する第1の面とし、基材31の側面、切断面を、塗装を施し塗膜38を形成する第2の面33とする。
なお、基材31は板状のものに限定されない。基材31の形状によっては、第1の面とこれに隣接する第2の面とがほぼ同じ面積である場合もある。また板表面32aや板裏面32bと基材31の側面とがほぼ同じ面積である場合もある。さらにボードの種類等によりいずれの面も表面の粗さにあまり差がないような場合等もある。このような場合には、隣り合ういずれかの面(稜線34を挟むいずれかの面)を貼着部材35を貼着する第1の面とし、他方の面を塗装を施す第2の面33としてもよい。
本実施形態において貼着部材35は、例えば光沢感のある黒色等のシートである。本実施形態では例えば鍵盤楽器100の外装に用いられるような艶のある黒色を表現できるシートが貼着部材35として好適に用いられる。
貼着部材35は、切断前の基材31と同じ(すなわち、例えば幅900mm~1820mm、長さ1820mm~4000mm程度)か、それよりも大きな面積を有する比較的大判のシートであることが好ましい。貼着部材35は、例えば長尺のシート材がロール状に巻かれたものであってもよい。
また、貼着部材35は、その厚み(シート厚)が、0.4mm~0.8mm程度であることが好ましく、より好ましくは0.5mm程度である。貼着部材35としてある程度シート厚の厚いものを用いることによって、基材31の第1の面32a,32bに多少の木目等の凹凸がある場合や、接着剤の液溜まり等がある場合でも、これを拾わずにシートを均一に貼着することができ、貼着後のシート表面が平滑で美しい仕上がりとなる。なお、貼着部材35のシート厚はこれに限定されない。
本実施形態において貼着部材35は、後述するように基材31の第1の面32a,32bに木工用の接着剤等を塗布して貼着されるようになっており、基材31に貼着される側の面(貼着面361、図9(a)~(d)参照)にはプライマー処理等、接着剤が付きやすいような処理・加工が施されていることが好ましい。
また、本実施形態の貼着部材35は、第1の面32a,32bに貼着される光沢層36と、第1の面32a,32bへの貼着面361(図9(a)~(d)参照)とは逆側の面(すなわち光沢層36の外装面)上に積層された保護層37と、を有している(図5(a)等参照)。後述するように、保護層37は基材31の第2の面33に塗装が施された後、剥離・除去されるようになっている。
なお、貼着部材35の構成はこれに限定されない。
例えば貼着部材35における基材31に貼着される側の面(貼着面361)に接着層・粘着層等を設けて、別途接着剤等を塗布しなくても基材31に貼着できるように構成されていてもよい。
また、貼着部材35は、貼着対象物に光沢感を出す光沢層36を有する光沢シート部材である場合に限定されない。貼着部材35を貼着する部分や、貼着対象によっては、光沢していないシート部材が貼着部材35として適用されてもよい。
例えば、背面板4のように、第1の面として貼着部材35を用いた表面加工処理を行うことが好ましい広い面があるが、特に光沢感が求められない部材(鍵盤楽器用部材)の場合には、光沢していないシート部材を貼着部材35として適用してもよい。
この場合も、塗装を行ったのでは手間のかかる広い面を貼着部材35により、簡易かつ迅速に表面加工することができる。
また、貼着部材35が保護層37を備えていることは必須ではない。
光沢層36を備える貼着部材の上に別途保護層37を貼り付けて光沢層36の表面を保護するようにしてもよい。また、貼着部材35が上記の光沢していないシート部材である場合には、保護層37を設けなくてもよい。光沢していないシート部材の場合には、光沢シート部材ほど表面の汚れや傷が気にならないため、保護層37を設けたり、これを剥離する工程を設けたりする手間を省いてもそれほど外観に影響しない。
塗膜38は、塗装により第2の面33側及び貼着部材35の貼着面361とは異なる側面363,372側に形成される。塗膜38は貼着部材35と同じ色(本実施形態の例では鍵盤楽器100の外装に用いられるような艶のある黒色)の光沢を有する層であり、光沢感を表現することのできる黒色の塗料を塗布することで設けられる。
図2(c)では、譜面立て3aとして切り出された鍵盤楽器用部材3の第2の面33に塗膜38が形成された状態を示し、図3(b)では、本体側板3bとして切り出された鍵盤楽器用部材3の第2の面33に塗膜38が形成された状態を示している。
なお、本体側板3bにおける第2の面33である基材31の側面部分は曲線的な個所を含み、角にRが設けられている部分等もある。このため、貼着部材35を第2の面33である側面部分に貼着することは、図2(c)に示す譜面立て3aの場合以上に難しい。本実施形態では、このような貼着部材35を貼り辛い部分でも、塗装によって仕上げることで、隅々まで歪みのない美しい仕上がりの鍵盤楽器用部材3を形成することができる。
ここで、図5(a)、図5(b)及び図6(a)、図6(b)を参照しつつ、特に塗膜38を形成することが貼着部材35を貼着するよりも有利である箇所について詳説する。
図5(a)は、図3(a)において一点鎖線で囲んだ部分Vaの拡大図であり、図5(b)は、図3(b)において一点鎖線で囲んだ部分Vaの拡大図である。また、図6(a)は、図3(a)において一点鎖線で囲んだ部分Vbの拡大図であり、図6(b)は、図3(b)において一点鎖線で囲んだ部分Vbの拡大図である。
図5(a)において一点鎖線で囲んだ曲面部分331のように、角にRがある部分(丸みを帯びた角部分等)の場合、この面(第2の面33)のみであれば光沢シート部材等の貼着部材35を貼ることも可能である。しかし、この面と隣り合う面(例えば図5(a)において第1の面である板表面32a)との隣接部分(稜線34)も含めて連続的に貼着部材35を貼着しようとすると、貼着部材35を延ばしながら貼る必要が生じる。シート状の貼着部材35を引き延ばすと、撚れや皺を生じやすく、表面の光沢感が低下してしまう。また、第1の面32である板表面32aと第2の面33である側面とを分けてそれぞれに貼着部材35を貼着した場合には、各面(第1の面32及び第2の面33)についてはきれいに貼着部材35を貼ることができても、第1の面32及び第2の面33の隣接部分(稜線34)に隙間が生じてしまい、全体として美しい外観に仕上がらない。
また図6(a)において破線で囲んだ角部分332のように、直角等の角部分の場合には、比較的皺がよりやすい。また、本実施形態では基材31の表面の凹凸を拾わないように比較的厚みのあるシート材を貼着部材35として用いる。この場合、角部分332のように比較的鋭角な角部分では貼着部材35が浮きやすくきれいな仕上がりとならない。
さらに図6(a)において一点鎖線で囲んだ段差部分333のように、基材31の表面に段差があるような場合にも、貼着部材35を貼った場合に皺や撚れを生じやすい。また、特に比較的厚みのあるシート材を貼着部材35として用いる場合には、貼着部材35が段差部分333で浮いてしまい、美観に欠けるとともに、貼着した後の部材において段差が表現されない場合も生じ得る。
上記のように、基材31の第1の面32は、ほぼ曲面等を含まないのに対して、第2の面33は図5(a)、図6(a)に示すように曲面や段差(例えば曲面部分331、角部分332、段差部分333)を含んでいる。
この点、本実施形態では、第1の面32には貼着部材35を貼着し、第1の面32と隣り合う第2の面33には塗膜を形成することで対応する。
このため、上記いずれの場合にもシート状の貼着部材35を無理に延ばしながら貼る必要がなく、また第1の面32及び第2の面33の隣接部分(稜線34)に隙間が生じることもなく、図5(b)及び図6(b)に示すように、各面(第1の面32及び第2の面33)ともに光沢感のある美しい外観に仕上げることができる。
本実施形態において塗膜38は、基材31の第2の面33側と、貼着部材35の貼着面(基材31への貼着面)とは異なる側面側に設けられる。すなわち、本実施形態では、基材31の第2の面33のみでなく、第1の面32に貼着された貼着部材35の側面に回り込むように塗膜38を形成する。
塗膜38は、例えばポリエステル(PE)樹脂等の樹脂材料を含む樹脂塗料を基材31に塗装することによって形成される。塗料の具体的な組成等は適宜選択される。また、塗装の手法は特に限定されないが、例えばスプレー等を用いて塗料を噴霧する手法が用いられる。
塗膜38についても、貼着部材35と同様にある程度の厚みがある方が下の凹凸(切断面等である第2の面33の表面の粗さ等)を拾わず仕上がり状態において平滑となり、美しい光沢感を得ることができる。
このため、塗膜38は、その厚み(層厚)が、0.4mm~0.8mm程度であることが好ましく、より好ましくは0.8mm程度である。
なお、塗膜38の膜厚は一定でなくてよい。本実施形態では後述のように塗膜38を形成する塗料の表面張力が働き、基材31の第2の面側33側及び貼着部材35の貼着面とは異なる側面側に設けられている塗膜38の厚みは、この塗料の表面張力により異なる部分を含む。
また、塗膜38を形成する塗料は、0.05Pa・s~0.1Pa・s程度の粘度を有していることが好ましい。
塗料は、スプレー等を用いて噴霧することのできる程度の粘度のものが好適に用いられるが、ある程度粘度の高いものを用いることによって、塗装した際に塗膜の表面張力が保たれ、塗膜38が形成される第2の面33の端部から塗料がだれる(塗装が流れ落ちる)のを防ぐことができる。
このため、貼着部材35が貼着された第1の面32a,32bと接する稜線の際まで塗装を施した場合に、塗膜38の端部が貼着部材35の端面(すなわち貼着部材35の貼着面とは異なる側面側)まで回り込むとともに表面張力によって第2の面33の上にとどまり、第1の面32a,32bと第2の面33とのつなぎ目である稜線(角稜線)34を目立たなくすることができる。
次に、図7及び図9(a)~図9(d)を参照しつつ、本実施形態における鍵盤楽器用部材の製造方法について説明する。
図7は、本実施形態における鍵盤楽器用部材の製造方法を示すフローチャートであり、図8(a)~図8(d)は、本実施形態における鍵盤楽器用部材の製造方法を構成する各工程における基材の状態を示す鍵盤楽器用部材の要部側断面図である。また、図9(a)~図9(d)は、図8(a)~図8(d)における領域a~領域dの拡大図である。
本実施形態の鍵盤楽器用部材3を製造する場合、まず、切断等をしていない大判の基材31(図2(a)参照)の第1の面である板表面32a及び板裏面32bの全体に図示しない接着剤を塗布し、大判のままの(例えばロール状に形成された)貼着部材35の裏面側(光沢面ではない側、図9(a)~図9(d)に示す貼着面361)を、板表面32a及び板裏面32bに塗布された接着剤の上にそれぞれ配置する。
そして基材31及び基材31の表裏に配置した貼着部材35をともに図示しないローラで挟み込み、ローラを所定方向に回転させる。
これにより、基材31及び貼着部材35がローラに挟み込まれた状態で所定方向に流れていき、流れながら、基材31の第1の面である板表面32a及び板裏面32bに貼着部材35が貼り合わされていく(シート貼着工程、図7のステップS1)。このようにローラで流しながら貼り合わせていくことで、貼着部材35が撚れたりずれたりすることなく、第1の面32a,32bに均一に貼着される。
シート貼着工程(ステップS1)の後、次の塗装工程に移行する前に、シート貼着工程において貼着部材35が貼着された基材31を、貼着部材35とともに所定の形状に切断する(切断工程、ステップS2)。切断工程(ステップS2)では、表裏に貼着部材35が貼着された基材31を鍵盤楽器用部材3の種類に応じた所望の形状に切断していく。
例えば図2(b)は、譜面立てとしての鍵盤楽器用部材を切り出した例を示す斜視図であり、図3(a)は、本体側板としての鍵盤楽器用部材を切り出した例を示す斜視図である。
なお、基材31を貼着部材35ともに切断する手法は特に限定されないが、例えば図示しないNCルーター等の切断装置を用いて、1枚の基材31から複数の鍵盤楽器用部材3の切り出しを行う。
図8(a)は、図2(b)におけるa-a線に沿う断面を矢視方向から見た要部断面図である。また図9(a)は、図8(a)に示す領域aの拡大図である。図8(a)及び図9(a)に示すように、切断後の基材31の第1の面である板表面32a及び板裏面32bにはその端部まで貼着部材35が貼着されている。
この状態において、基材31の第2の面33(すなわち、基材31の側面、小口面、切断面)側には、貼着部材35の貼着面361とは異なる側面(貼着部材35の光沢層36の側面362及び保護層37の側面372)が現れる。
基材31が各鍵盤楽器用部材3の種類に応じた形状に切断されると、次に、基材31の第2の面33(すなわち、基材31の側面、小口面、切断面)にスプレー等により樹脂塗料を噴き付けて塗装を行い、第2の面33及び貼着部材35の貼着面361とは異なる側面362,372に塗膜38を形成する(塗装工程、ステップS3)。
例えば図2(c)は、譜面立てとしての鍵盤楽器用部材の第2の面に塗装を施した状態を示す斜視図であり、図3(a)は、本体側板としての鍵盤楽器用部材の第2の面に塗装を施した状態を示す斜視図である。本実施形態では、この塗装工程において、基材31の第1の面32に隣接する第2の面側33及び、貼着部材35の貼着面361とは異なる側面362,372側に、塗料を積層させる。
なお、塗装時間(すなわち、何秒間スプレーするか)等は、塗料の種類や塗膜38として求められる厚み(層厚、膜厚)等に応じて適宜設定される。
図8(b)は、図2(c)におけるb-b線に沿う断面を矢視方向から見た要部断面図である。また図9(b)は、図8(b)に示す領域bの拡大図である。図8(b)及び図9(b)に示すように、塗装後の基材31の第2の面33及び貼着部材35の貼着面361とは異なる側面362,372には、十分な厚みの塗膜38が形成される。
また第2の面33に形成された塗膜38は、塗布された塗料(樹脂塗料)の塗装溜りが第1の面32a,32bに貼着された貼着部材35の端面(すなわち貼着部材35の貼着面とは異なる側面362,372側)に乗る程度まで回り込む。これにより、貼着部材35の側面362,372側にも塗料が積層され、塗膜38が形成される。そして塗料は、その表面張力により第2の面33からだれずにとどまり、また塗料は表面張力により中央部に集まりやすいために塗膜38は端部よりも中央部の方が多少盛り上がって厚みのある状態となる(図8(b)及び図9(b)参照)。
塗装後は、所定時間乾燥させ(乾燥工程、ステップS4)、その後、第2の面33及び貼着部材35の端面(側面側)に形成された塗膜38について研磨を行う(研磨工程、ステップS5)。
乾燥工程をどの程度の時間行うか等は、塗料の種類や塗装面(すなわち第2の面33)の面積、塗装の厚み等によって適宜設定される。
研磨工程における研磨の手法は特に限定されないが、例えば羽布(バフ)を用いて艶出しを行う。なお、研磨に用いる羽布(バフ)は、塗料の種類や研磨の程度等に応じて適宜好適な材料のものが選択される。
塗装工程から研磨工程までは、所定回数繰り返して行われるようになっている。本実施形態では、所定の回数繰り返されたかを判断し(ステップS6)、まだ所定の回数に達していない場合(ステップS6;NO)には、ステップS3に戻って塗装工程から研磨工程までの各工程を繰り返す。
所定の回数は塗料の種類や塗膜38として求められる厚み(層厚、膜厚)等に応じて適宜設定されるが、例えば3回である。なお、各工程は機械を用いて自動的に行われるものであってもよいし、手作業で行われるものであってもよい。
塗装工程から研磨工程までが所定回数繰り返されると(ステップS6;YES)、次に布等を用いて塗膜38の拭き取りを行う(拭取り工程、ステップS7)。
拭取り工程は、所定回数繰り返して行われるようになっている。本実施形態では、所定の回数繰り返されたかを判断し(ステップS8)、まだ所定の回数に達していない場合(ステップS8;NO)には、ステップS7に戻って拭取り工程を繰り返す。
所定の回数は塗料の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば2回である。なお、拭取り工程は手作業で行われるが、これに限定されず、機械を用いて行われてもよい。
拭取り工程が所定回数繰り返されると(ステップS8;YES)、次に、貼着部材35のうち保護層37のみを剥離・除去する(保護層除去工程、ステップS9)。これにより、第1の面である板表面32a及び板裏面32bの上に貼着部材35の光沢層36のみが残り、光沢感のある状態となる。
図8(c)は、保護層を剥離した状態の鍵盤楽器用部材を示す要部断面図である。また図9(c)は、図8(c)に示す領域bの拡大図である。
図8(c)及び図9(c)に示すように、保護層37を剥離すると、光沢層36及び保護層37を合わせた貼着部材35全体の端面(貼着部材35の光沢層36の側面362及び保護層37の側面372)にまで乗っていた塗膜38のうち保護層37の側面372の上に載っていた部分がバリ39となってはみ出した状態となる。
なお、保護層37は貼着部材35全体に対してごく薄い層であるため、保護層37を剥離しても塗膜38がそれほどはみ出すことはないが、図8(c)及び図9(c)ではバリ39の部分を多少誇張して図示している。
塗膜38のバリ39を残したままでは、張り出した部分が細かい粉となって光沢層36や磨きをかけた後の塗膜38に付着して光沢度を低下させてしまう。
このため、最後に、布等で稜線34部分を拭き上げて余分なバリ39を除去し、第1の面32a,32bに施された貼着部材35(貼着部材35のうちの光沢層36)と第2の面33に形成された塗膜38とをなじませる稜線仕上げを行う(稜線仕上げ工程、ステップS10)。
これにより、図8(d)及び図9(d)に示すように、第1の面32a,32bと第2の面33とが自然とつながり稜線34が目立たなくなる。
各鍵盤楽器用部材3について加工が完了すると、これらを組み立てて、外装部2を形成し、さらに外装部2内に楽器本体1を収容する。これにより鍵盤楽器の組立てが完了する。
以上のように、本実施形態によれば、鍵盤楽器100が、第1の面32a,32bと、第1の面32a,32bに隣接する第2の面33と、を有する基材31と、基材31の第1の面32a,32b側に貼着されている貼着部材35と、基材31の第2の面33側及び、貼着部材35の貼着面361とは異なる側面362,372側に設けられている塗膜38と、を備えている。
このように、鍵盤楽器100の外装部2を構成する鍵盤楽器用部材3のように稜線34部分が外観に現れるような部材について、貼着部材35と塗装とを使い分けることにより、全面塗装する場合のような手間やコストをかけることなく、全面塗装によって製造した場合と遜色ない美しい仕上がりの鍵盤楽器用部材3及びこれを備える鍵盤楽器100を得ることができる。
また、本実施形態では基材31における表面積が広い面を第1の面32a,32bとし、これよりも表面積が狭い面を第2の面33とする。
塗装により光沢感を出すためには塗装、乾燥、研磨といった複数の工程を繰り返し行うことが必要であり、表面積の広い部分に光沢加工を施すには、非常に多くの手間やコストがかかる。
この点、塗装では手間やコストがかかる面積の広い面を、貼着部材35を貼着する第1の面32a,32bとすることにより、大幅に手間やコストを削減することが可能となる。また、貼着部材35を貼着する場合には広い面積の部分の方が効率よく作業を行うことができ、効率的かつ効果的に鍵盤楽器用部材3及びこれを備える鍵盤楽器100を製造することができる。
また、本実施形態では基材31の切断面を、塗装を施す第2の面33とすることが好ましい。
切断面には、基材31の表面や裏面と比較して切断による凹凸が多く生じている可能性があり、凹凸を拾わないように貼着部材35を平滑に貼ることが難しい。
この点切断面には塗装を施して光沢感を出すとした場合には、切断面を含めた基材31の全面について効率的かつ効果的に光沢感を出す加工を行うことができる。
また例えば基材31の第1の面32a,32bは曲面を含まず、第2の面33は曲面を含むものである。
このように曲面を含まない第1の面32a,32bについては貼着部材35を貼着し、曲面を含み貼着部材35を貼着し辛い第2の面33には塗膜38を形成することで、手間を省きつつ、第1の面32a,32b、第2の面33ともに美しい仕上がりとすることができる。
また本実施形態において、基材31の第2の面側33及び貼着部材35の側面側に設けられている塗膜38の厚みは、塗料の表面張力により異なる部分を含んでいる。
このように塗料の表面張力を利用することで、第1の面32a,32bと第2の面33との境界部分(稜線34)等についても美しく仕上げることができる。
また本実施形態において、貼着部材35は、光沢シート部材及び光沢していないシート部材のいずれかを含んでいる。
貼着部材35として光沢シート部材を適用した場合には鍵盤楽器用部材3及びこれを備える鍵盤楽器100の表面を光沢感のある仕上がりとすることができる。また貼着部材35として光沢していないシート部材を適用した場合には鍵盤楽器用部材3及びこれを備える鍵盤楽器100をマットな仕上がりとすることができる。
貼着部材35を貼着する部材等によってシートを使い分けることで、所望の仕上がりの鍵盤楽器用部材3及びこれを備える鍵盤楽器100を実現することができる。
また、本実施形態では塗膜38を形成する塗料は、樹脂塗料である。
樹脂材料は、木質ボード等である基材31への定着性もよく、また、カバー力にも優れている。
このため、何層か塗り重ねることで基材31の第2の面33に凹凸等がある場合にもこれを覆い隠すことができ、凹凸等を拾うことによる光沢度の低下を防いで美しい仕上がりを実現することができる。
また、本実施形態の貼着部材35は、基材31の第1の面32a,32bに貼着される光沢層36と、第1の面32a,32bへの貼着面とは逆側の面上に積層された保護層37と、を有している。
このため、保護層37によって光沢層36が表面に露出するのを防ぎ、塗装工程や研磨工程等において光沢層36が傷つくのを防止することができる。
また、保護層37を剥離・除去する保護層除去工程は、塗装工程の後であるため、塗装工程において生じるミスト等が光沢層36に付着することも回避できる。
これにより、光沢層36の光沢度を維持することができ、美しい仕上がりを実現できる。
さらに、本実施形態では、貼着部材35を貼着した後も保護層37を剥離・除去する最終段階までは光沢層36が保護された状態が維持される。このため、貼着部材35貼着後の鍵盤楽器用部材3の取り扱いが容易であり、簡易かつ効率的に美しい仕上がりの鍵盤楽器用部材3を製造することができる。
また、本実施形態では、シート状の貼着部材35を貼り付けるシート貼着工程の後、塗装工程の前に、シート貼着工程において貼着部材35を貼着した基材31を、貼着部材35とともに所定の形状に切断する切断工程をさらに含んでいる。
このため、貼着部材35を貼着する段階では、大判の基材31と大判の貼着部材35とを貼り合わせることができ、基材31を細かい部品に細分化してから貼着部材35を貼着する場合と比較して作業効率に優れている。
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、鍵盤楽器用部材3が、例えば譜面立て3aや本体側板3b等、ピアノ等の鍵盤楽器100の外装部分に適用される場合を例示したが、鍵盤楽器用部材3は鍵盤楽器100に適用される場合に限定されない。
本発明の鍵盤楽器用部材及びその製造方法は、第1の面と、第1の面と交わり第1の面との間で稜線を形成する第2の面と、を有するような基材の各面に、光沢加工を施す場合に広く適用することができる。
また、本実施形態では、譜面立て3a、本体側板3b、脚部3c、脚部側板3d以外の、例えば背面板4等については、鍵盤楽器用部材3として本発明の製造方法を適用しないものとしたが、背面板4等、一部の面が外観に現れない板部材についても鍵盤楽器用部材3として本発明の製造方法を適用してもよい。
これにより、普段は外観に現れないところにも意匠性を持たせることができ、どこから見ても細部まで美しい外観を実現することができる。
また、本実施形態では、基材31の表裏に貼着部材35を貼着してから、各部材に応じた形状に切出す場合を例示したが、貼着部材35の貼着と基材31の切断との手順は実施形態に示したものに限定されない。
例えば、基材31を所定の形状に切断した後に貼着部材35を貼着してもよい。
また、例えば、鍵盤楽器用部材3が立方体である場合に、板表面32a,板裏面32bと、この表裏を繋ぐ側面部分に、コ字状に貼着部材35を巻き回して貼着し、残りの3つの側面のみを第2の面として塗装によって光沢仕上げを行ってもよい。
貼着部材35のシート厚が比較的薄く、直角的に曲がる角部分であれば貼着部材35が浮き上がらないように貼着することが可能であるような場合には、基材31の表裏だけでなく、側面の一部にも貼着部材35を貼ることで、塗装によって仕上げる部分を減らすことができる。
これにより、より効率的に鍵盤楽器用部材3を含む部材3を形成することが可能となる。
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
第1の面と、前記第1の面に隣接する第2の面と、を有する基材と、
前記基材の前記第1の面側に貼着されている貼着部材と、
前記基材の前記第2の面側及び、前記貼着部材の貼着面とは異なる側面側に設けられている塗膜と、
を備える鍵盤楽器。
<請求項2>
前記基材の前記第1の面は、前記第2の面よりも表面積が大きい、請求項1に記載の鍵盤楽器。
<請求項3>
前記基材の前記第1の面は曲面を含まず、前記第2の面は曲面を含む、請求項1又は請求項2に記載の鍵盤楽器。
<請求項4>
前記基材の前記第2の面側及び前記貼着部材の前記側面側に設けられている前記塗膜の厚みは、塗料の表面張力により異なる部分を含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鍵盤楽器。
<請求項5>
前記貼着部材は、光沢シート部材及び光沢していないシート部材のいずれかを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の鍵盤楽器。
<請求項6>
基材の第1の面側に貼着部材を貼着する貼着工程と、
前記基材の前記第1の面に隣接する第2の面側及び、前記貼着部材の貼着面とは異なる側面側に、塗料を積層させる塗装工程と、
を含む鍵盤楽器の製造方法。
<請求項7>
前記貼着工程の後、前記塗装工程の前に、前記基材を前記貼着部材とともに切断する切断工程、
を含む請求項6に記載の鍵盤楽器の製造方法。
<請求項8>
第1の面と、前記第1の面に隣接する第2の面と、を有する基材と、
前記基材の前記第1の面側に貼着されている貼着部材と、
前記基材の前記第2の面側及び、前記貼着部材の貼着面とは異なる側面側に設けられている塗膜と、
を備える部材。
1 楽器本体
2 外装部
3 鍵盤楽器用部材
31 基材
32a 板表面(第1の面)
32b 板裏面(第1の面)
33 板側面(第2の面)
34 稜線
35 貼着部材
36 光沢層
37 保護層
38 塗膜
100 鍵盤楽器

Claims (8)

  1. 第1の面と、前記第1の面に隣接する第2の面と、を有する基材と、
    前記基材の前記第1の面側に貼着されている貼着部材と、
    前記基材の前記第2の面側及び、前記貼着部材の貼着面とは異なる側面側に設けられている塗膜と、
    を備える鍵盤楽器。
  2. 前記基材の前記第1の面は、前記第2の面よりも表面積が大きい、請求項1に記載の鍵盤楽器。
  3. 前記基材の前記第1の面は曲面を含まず、前記第2の面は曲面を含む、請求項1又は請求項2に記載の鍵盤楽器。
  4. 前記基材の前記第2の面側及び前記貼着部材の前記側面側に設けられている前記塗膜の厚みは、塗料の表面張力により異なる部分を含む、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鍵盤楽器。
  5. 前記貼着部材は、光沢シート部材及び光沢していないシート部材のいずれかを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の鍵盤楽器。
  6. 基材の第1の面側に貼着部材を貼着する貼着工程と、
    前記基材の前記第1の面に隣接する第2の面側及び、前記貼着部材の貼着面とは異なる側面側に、塗料を積層させる塗装工程と、
    を含む鍵盤楽器の製造方法。
  7. 前記貼着工程の後、前記塗装工程の前に、前記基材を前記貼着部材とともに切断する切断工程、
    を含む請求項6に記載の鍵盤楽器の製造方法。
  8. 第1の面と、前記第1の面に隣接する第2の面と、を有する基材と、
    前記基材の前記第1の面側に貼着されている貼着部材と、
    前記基材の前記第2の面側及び、前記貼着部材の貼着面とは異なる側面側に設けられている塗膜と、
    を備える部材。
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