JP2022048971A - シートの製造方法、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法、混練装置、計量装置及び吐出装置 - Google Patents

シートの製造方法、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法、混練装置、計量装置及び吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ベントアップを抑制し、シート及びポリオレフィン微多孔膜を安定して得ることができる製造方法と、この製造方法の実施に利用可能な混練装置、計量装置及び吐出装置とを提供する。【解決手段】流動化した樹脂に含まれる気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除くためのベント孔2を備え、複数のピースからなるスクリュを備えた二軸押出機によって樹脂を流動化し、流動化した樹脂を口金によってシート状に成形するシートの製造方法であって、前記二軸押出機のうちスクリュの最外径5をDとした際に、スクリュの先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであり、かつその間に原料搬送方向の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用し、かつ原料搬送方向の長さ6が1.5D以上であるスクリュピースを2個以上使用しないシートの製造方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、シートの製造方法、ポリオレフィン微多孔膜の製造方法と、ポリオレフィン微多孔膜の製造に用いられる混練装置、計量装置及び吐出装置とに関する。
ポリオレフィン微多孔膜は、特許文献1に記載されるように、押出機によってポリオレフィン樹脂及び可塑剤を溶融混練してポリオレフィン溶液を調製し、このポリオレフィン溶液をギアポンプで搬送して口金あるいはダイから連続的に吐出し、吐出されたポリオレフィン溶液を冷却することによって連続したシート状に成形し、成形されたシートに対して延伸及び可塑剤の除去を行なうことによって連続的に製造される。口金から吐出されたポリオレフィン溶液の冷却は、例えば、シート状に吐出されたポリオレフィン溶液を冷却ロール(チルロール)に接触させて放熱させることによって行なわれる。
微多孔膜を製造する技術として特許文献2では、樹脂と可塑剤となる希釈剤を含む混合物から押出物を生産するシステムとして、二軸押出機が樹脂と希釈剤を混ぜ合わすために配置されており、この二軸押出機のスクリュは、注入段階、分散段階、第1混合段階、第2混合段階、流出段階の各押出機段階を備え、各押出機段階は「ギア混練区分」、「混練区分」等の複数の各押出機スクリュ区分にて形成されている。さらに特許文献3には、液添ノズルから可塑剤となる液体を供給する二軸押出機による粉体の押出に関し、未溶融樹脂の混入やベントアップを発生させることなく、トルクを安定させ、押出効率を向上させるスクリュ構成を開示している。
国際公開第2016/125526号 特表2011-500368号公報 特開平10-24483号公報
特許文献2に示される二軸押出機のスクリュ構成では、ベント孔と押出機先端までの間に、スクリュの最外径をDとしたときの原料搬送方向の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを使用していなかったり、使用していたとしても原料搬送方向の長さが1.5D以上のものを2個以上使用していたりするために、押出機先端圧力が上昇したなどして発生する押出方向とは逆の流動化した樹脂の流れに対して、スクリュによる流動化した樹脂を押出す力が負けて、ベントアップにつながってしまう。
ベントアップを防ぐ方法として、特許文献3に記載されるように固体輸送ゾーンのスクリュの構成を工夫することも考えられる。しかしながら、混練不足を防ぎ、ベントアップを防ぐものであり、ベント孔と押出機先端までの間に、原料搬送方向の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを使用していなかったり、使用していたとしても原料搬送方向の長さが1.5D以上のものを2個以上使用していたりするために、押出機先端圧力が上昇した際に、押出方向とは逆の流動化した樹脂の流れに対して、スクリュによる流動化した樹脂を押出す力が負けて、ベントアップにつながってしまう。
本発明の目的は、二軸押出機のスクリュ構成を工夫することにより、ベントアップを抑制し、シート及びポリオレフィン微多孔膜を安定して得ることができる製造方法と、この製造方法の実施に利用可能な混練装置、計量装置及び吐出装置とを提供することにある。
本発明の実施形態にかかるシートの製造方法は、流動化した樹脂に含まれる気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除くためのベント孔を備え、複数のピースからなるスクリュを備えた二軸押出機によって樹脂を流動化し、流動化した樹脂を口金によってシート状に成形するシートの製造方法であって、前記二軸押出機のうちスクリュの最外径をDとした際に、スクリュの先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであり、かつその間に原料搬送方向の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用し、かつ原料搬送方向の長さが1.5D以上であるスクリュピースを2個以上使用しないように運転するものである。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、上記シートの製造方法によりシートを成形したのち、延伸及び前記可塑剤の除去を行ってポリオレフィン微多孔膜を製造するものである。
本発明の実施形態にかかる混練装置は、流動化した樹脂に含まれる気泡や不純物を取り除くためのベント孔を備え、複数のピースからなるスクリュを備えた二軸押出機によって樹脂を流動化し、前記二軸押出機のうちスクリュの最外径をDとした際に、スクリュの先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであり、かつその間に原料搬送方向の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用し、かつ原料搬送方向の長さが1.5D以上であるスクリュピースを2個以上使用しない混練装置である。
本発明の実施形態にかかる計量装置は、上記流動化した樹脂がポリオレフィン樹脂と可塑剤とを溶融混練したポリオレフィン溶液を調製する押出機とを備えた混練装置と、該混練装置において輸送されたポリオレフィン溶液を計量するギアポンプとを有する。
本発明の実施形態にかかる吐出装置は、上記流動化した樹脂がポリオレフィン樹脂と可塑剤とを溶融混練したポリオレフィン溶液であって、そのポリオレフィン溶液を調製する押出機を備えた該混練装置あるいは押出機とギアポンプを備えた該計量装置において輸送されたポリオレフィン溶液を吐出する口金とを有する。
本発明によれば、流動化した樹脂に含まれる気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除くためのベント孔を備え、複数のピースからなるスクリュを備えた二軸押出機によって樹脂を流動化し、流動化した樹脂を押出す場合に、二軸押出機のスクリュのうち、スクリュの先端とベント孔までの長さをある一定範囲内とし、かつその間に使用するスクリュピースを規定することにより、ベントアップすることなく安定して押出すことができる。そのため、口金から流動化した樹脂が安定して吐出されることになり、その結果、シート及びポリオレフィン微多孔膜を安定して得ることが可能になる。
図1は、本発明の実施の一形態のシートの製造方法で用いる二軸押出機並びにスクリュの一例を示す概略構成図である。 図2は、本発明の実施の一形態のシートの製造方法で用いる吐出装置の一例を示す概略構成図である。 図3は、ポリオレフィン微多孔膜の製造工程を示すフローチャートである。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の一形態のシートの製造方法において使用される二軸押出機並びにスクリュの構成の一部を示している。
図1に示す装置には、流動化した樹脂に含まれる気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除くためのベント孔2が設けられている。二軸押出機は、複数のピースからなるスクリュを備え、スクリュの最外径5をDとした。ベント孔の下流側の端の直下のスクリュピース3の下流端からスクリュ先端のスクリュピース4までの各スクリュピースの原料搬送方向の長さ6の合計であるスクリュ先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであり、かつその間に原料搬送方向の長さ6が0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用し、かつ原料搬送方向の長さ6が1.5D以上であるスクリュピースを2個以上しないように設定されるものである。ここで、本明細書では、二軸押出機内の樹脂の流れ方向に沿って「上流側」及び「下流側」と説明している。
図2は、本発明の実施の一形態のシートの製造方法において使用される装置、特に、流動化した樹脂の調製から吐出までを行なう装置の構成を示している。
図2に示す装置には、流動化した樹脂を調製して輸送する混練装置10が設けられている。混練装置10は、流動化した樹脂を混練する二軸押出機11を備え、その二軸押出機のスクリュはスクリュ先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであり、かつその間に原料搬送方向の長さ6が0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用し、かつ原料搬送方向の長さ6が1.5D以上であるスクリュピースを2個以上しないように設定されている。
図2に示す二軸押出機11は、原料投入口として例えば、樹脂が供給されるホッパ12と、可塑剤が供給される可塑剤投入口11aとを備えている。可塑剤投入口11aは、この例ではホッパ12よりも、流動化した樹脂の流れ方向の下流側に設けられている。
一般に、二軸押出機のスクリュは、各スクリュピースを組み合わせることが可能であり、スクリュ先端とベント孔間に任意の原料搬送方向の長さ6のスクリュピースを設置することは可能である。混練装置10に備えられている二軸押出機11には、スクリュ先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであり、かつその間に原料搬送方向の長さ6が0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用し、かつ原料搬送方向の長さ6が1.5D以上であるスクリュピースを2個以上しないスクリュが備えられている。
二軸押出機11の出口には、ギアポンプ13を保護するためのフィルタであるストレーナ13が設けられている。さらにストレーナ13の下流には、流動化した樹脂を精度良く計量するためのギアポンプ21が設けられている。
最下流側のギアポンプ21の出口には、流動化した樹脂中の異物を濾過除去するフィルタであるストレーナ22が設けられている。ストレーナ22の出口が計量装置20からの流動化した樹脂の出口となり、口金31(ダイとも呼ぶ)が接続している。口金31からは、計量装置20において輸送された流動化した樹脂がシート状に成形されて吐出される。
吐出装置は、上記混練装置と、混練装置から輸送された流動化した樹脂を計量するギアポンプを有する計量装置と計量装置において輸送された流動化した樹脂を吐出する口金とを有する。図2に示すとおり、混練装置10、計量装置20及び口金31によって、流動化した樹脂を吐出する吐出装置30が構成されている。口金31から吐出された流動化した樹脂41は、例えば、冷却ロール(チルロールとも呼ぶ)40に接触することによって冷却固化され、次工程に送られる。
本発明の実施形態において、調製された流動化した樹脂のメルトインデックス測定法に基づく粘度(MI)は、1g/10min以上150g/10min以下であることが好ましい。MI(MI値)とは、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂の溶融時の粘度(流動性)を表す方法の一つであり、シリンダー(加熱筒)内で溶融させた試料に、一定の荷重を加えてオリフィスより押出す試料の吐出量(標線間)を10分間あたりの重量(単位:g/10分)に換算して表す流動性の指標である。つまり同一のシリンダー温度および荷重条件であれば、MI値が大きい材料ほど流動性が良いことを示す。
本発明の実施形態におけるMI値は、二軸押出機11により溶融混練した後に口金31から吐出される流動化した樹脂を採取し、測定したMI値の平均値である。
本発明では、MIは、JIS K 7210(1999)に準じて条件M(230℃、2.16kgf(21.18N)で測定したものをMI値(単位:g/10min)としている。このようなMI値を有する流動化した樹脂を使用して本発明に基づく製造方法によって製造されたポリオレフィン微多孔膜をリチウムイオン二次電池の電極間セパレータとして使用した場合、電極間の短絡の発生が抑制され、電池の安全性が高くなる。流動化した樹脂のMI値が1g/10min以上であることによって、微多孔膜としたときの熱収縮率が低く保たれる。即ち、熱収縮率が高くなると、高温での電池安全性を損なう可能性がある。流動化した樹脂のMI値が150g/10min以下であることにより、ポリオレフィン微多孔膜としたときの突刺強度が十分となり、電池の安全性が良好となる。流動化した樹脂のMI値の下限は好ましくは1.2g/10min以上であり、さらに好ましくは1.3g/10min以上である。上限は、好ましくは100g/10min以下であり、さらに好ましくは80g/10min以下である。
本発明の実施形態においては、流動化した樹脂に含まれる気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除くためのベント孔を備えることが必要である。流動化した樹脂から気泡が取り除かれていると吐出される流動化した樹脂は吐出精度良く排出されるため、十分に均一な厚さを有するポリオレフィン微多孔膜を形成することができる。吐出精度良く流動化した樹脂が排出されるとマシン長手方向の厚みムラが小さくなり、冷却ロール40に接触し冷却固化された際に、流動化した樹脂の冷却速度差による樹脂の結晶化状態に、マシンの長手方向で差がほとんど出ない。そのためにシートを延伸してポリオレフィン微多孔膜にした際にフィルムの強度や熱収縮率の長手方向のバラツキが小さくなり、セパレータとして用いた際に電池性能を発揮することができる。さらに、シートを延伸する際には、長手方向に厚みムラが少ないために長手方向で均等に昇温するために、長手方向で延伸状態を一定に保つことができる。従ってポリオレフィン微多孔膜としたときに、強度や熱収縮率の長手方向のバラツキが小さくなり、セパレータとしての電池性能を発揮することができる。
次に、流動化した樹脂から不純物が取り除かれていると、フィルムを搬送するためのロールや可塑剤を除去するための溶媒を汚すことなく、ポリオレフィン微多孔膜を製膜することができる。ロールや可塑剤を除去するための溶媒が汚れることがないことから、それらの汚れを原因とする欠点が発生しないために、欠点の少ないポリオレフィン微多孔膜を得ることができる。
図1に示す装置においては、複数のピースからなるスクリュを備えた二軸押出機であることが必要である。二軸押出機を使用することで、ポリオレフィン樹脂と可塑剤を溶融混練する場合においても、均一に溶融混練することが可能となり、欠点のないポリオレフィン微多孔膜を製膜することができる。また一般に、二軸押出機は複数のピースからなるスクリュを備えており、これにより、様々なスクリュピースを組み合わせてスクリュを構成することが可能となる。
また、スクリュの最外径をDとした際に、スクリュの先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであることが必要である。スクリュの先端からベント孔までのスクリュは、ベント孔で流動化した樹脂に含まれる気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除いた流動化した樹脂を搬送する役割をしている。スクリュの先端とベント孔の距離が1.0D以上であることにより、二軸押出機先端の圧力が上昇した場合でも、スクリュの先端とベント孔の距離が保たれていることで、流動化した樹脂がベント孔に達しベントアップする前にスクリュ先端とベント孔間のスクリュの押出す力で流動化した樹脂を押出すことができる。一方で、スクリュの先端とベント孔の距離が15.0D以下であることにより、気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除いた流動化した樹脂が、過度に熱にさらされることを防ぎ、熱劣化物の少ない流動化した樹脂を吐出することができる。
本発明の実施形態においては、スクリュの先端とベント孔間に原料搬送方向の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用することが必要である。前述の通りスクリュの先端からベント孔までのスクリュは、ベント孔で流動化した樹脂に含まれる気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除いた流動化した樹脂を搬送する役割をしている。原料搬送の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用することにより、スクリュの先端とベント孔間の単位長さあたりのスクリュが流動化した樹脂を押出す力が大きくなる。よって、スクリュ先端の圧力が上昇し、原料搬送方向とは逆の流動化した樹脂を押出す力が働いたとしても、スクリュが流動化した樹脂を押出す力が大きいことから、流動化した樹脂がベント孔に達することなく、スクリュで流動化した樹脂を押出すことができ、ベントアップせずに安定して押出すことが可能となる。
本発明の実施形態においては、スクリュの先端とベント孔間に原料搬送方向の長さが1.5D以上であるスクリュピースを2個以上使用しないことが必要である。スクリュの先端とベント孔間に原料搬送方向の長さが1.5D以上であるスクリュピースを2個以上使用しないことにより、スクリュの先端とベント孔間の単位長さあたりのスクリュが流動化した樹脂を押出す力が大きくなる。よって、スクリュ先端の圧力が上昇し、原料搬送方向とは逆の流動化した樹脂を押出す力が働いたとしても、スクリュが流動化した樹脂を押出す力が大きいことから、流動化した樹脂がベント孔に達することなく、スクリュで流動化した樹脂を押出すことができ、ベントアップせずに安定して押出すことが可能となる。
本発明の実施形態においては、スクリュの先端とベント孔間に使用する原料搬送方向の長さが様々なスクリュピースの順番は問わない。ベントアップせずに安定して押出すためには、スクリュが流動化した樹脂を押出すスクリュ先端とベント間の単位長さあたりの力が重要であり、スクリュピースの順番を変更しても、単位長さあたりの力は変わらないためである。
本発明の実施形態において、流動化した樹脂は二軸押出機によってポリオレフィン樹脂及び可塑剤を溶融混練したポリオレフィン溶液であってもよい。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、上記シートの製造方法によりシートを成形したのち、延伸及び前記可塑剤の除去とを行ってポリオレフィン微多孔膜を製造する。
本発明において、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテンなどを用いることができる。
可塑剤は、ポリオレフィン微多孔膜における微多孔形成のための構造を決めるものであり、またフィルムを延伸する際の延伸性(例えば強度発現のための延伸倍率での斑の低減などを指す)改善に寄与するものである。可塑剤としては、ポリオレフィン樹脂に混合または溶解できる物質であれば特に限定されない。
室温で固体の可塑剤としては、ステアリルアルコール、セリルアルコール、パラフィンワックス等が挙げられる。延伸での斑の発生などを防止するために、また、後に塗布することを考慮して、可塑剤は室温で液体であるものが好ましい。
液体の可塑剤としては、ノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族、環式脂肪族又は芳香族の炭化水素、および沸点がこれらの化合物の沸点の範囲にある鉱油留分、並びにジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の室温では液状のフタル酸エステルが挙げられる。液体可塑剤の含有量が安定なゲル状シートを得るために、流動パラフィンを用いるのが更に好ましい。例えば、液体可塑剤の粘度は40℃において20~200cStであることが好ましい。溶融混練状態ではポリオレフィン樹脂と混和するが室温では固体の溶剤を、可塑剤に混合してもよい。
ポリオレフィン樹脂と可塑剤との配合割合は、ポリオレフィン樹脂と可塑剤との合計を100質量%として、押出物の成形性を良好にする観点から、ポリオレフィン樹脂が10~50質量%であることが好ましい。
本発明で得られるポリオレフィン微多孔膜は、破断伸度が40%以上、180%以下である。より好ましくは、50%以上、160%以下である。ポリオレフィン微多孔膜の破断伸度を50%以上とすることで、ポリオレフィン微多孔膜を基材として積層体を製造する際にポリオレフィン微多孔膜が破れることなく積層体を製造することが可能となり、180%以下とすることで、ポリオレフィン微多孔膜を基材として積層体を製造する際に、積層側が剥がれることなく積層体を製造することが可能となる。
図3は、ポリオレフィン微多孔膜の製品を得るまでの工程の全体を示している。まず、ポリオレフィン樹脂粉末をホッパ12から二軸押出機11に供給すると共に、可塑剤投入口11aから可塑剤を投入して溶融混練を行う(S11)。これにより既述のMIを有するポリオレフィン溶液が調製される。調製されたポリオレフィン溶液は、上述したようにギアポンプ21によって計量されながら輸送され(S12)、口金31によってシート状に成形されて吐出される(S13)。吐出されたシート状のポリオレフィン溶液は、冷却ロール40によって冷却されて、ゲル状シートとなる(S14)。次にゲル状シートに対して湿式での二軸延伸が行われ(S15)、二軸延伸されたゲル状シートは溶媒に浸漬される(S16)。溶媒により可塑剤が除去されるので、ポリオレフィン微多孔膜が生成する。生成したポリオレフィン微多孔膜に対して、続いて乾式での二軸延伸が行なわれ(S17)、熱緩和と冷却とを行った(S18)のち、ポリオレフィン微多孔膜が巻き取られて(S19)、ポリオレフィン微多孔膜製品が捲回されたロールを得ることができる。溶融混練から巻取りまでの各工程は連続して実施することができるので、ポリオレフィン微多孔膜はウェブあるいは長尺のフィルムとして得られることになる。
上述のように、二軸押出機にベント孔を備えることにより、流動化した樹脂に含まれる気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除くことができるようになる。本発明の好ましい態様においては、このような二軸押出機の運用に極めて適したMIを持つ樹脂を使用しているので、精度の高いポリオレフィン溶液の吐出が可能となり、既述のように膜厚の均一性に優れ、欠点の少ない微多孔膜を得ることができる。
更に、スクリュの先端とベント孔間に原料搬送の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用しかつ原料搬送方向の長さが1.5D以上であるスクリュピースを2個以上使用しないことから、ベントアップを発生させることなく、安定して精度の高いポリオレフィン溶液の吐出が可能となり、既述のように膜厚の均一性に優れ、欠点の少ない微多孔膜を安定して得ることができる。
以下、本発明を実施例等によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
・測定方法と評価方法
[メルトインデックス測定法に基づく粘度(MI)]
JIS K 7210(1999)に準じて条件M(230℃、2.16kgf(21.18N)で測定した(単位:g/10min)。
MIは、以下の項目について評価した。
・口金吐出 MIの平均値(単位:g/10min)
図2に示す構成において二軸押出機11により溶融混練した後に口金31から吐出されるポリオレフィン溶液を採取し、MI測定を実施し、平均値を求めた。
[ベントアップ]
ベント孔に、透明なルッキンググラスを設置し、ポリマの状態を観察して、ポリマがベント配管の入口に達したら、ベントアップ発生と判断した。ベントアップが発生しなかった場合を〇、ベントアップが発生した場合を×とした。
[破断伸度]
ポリオレフィン微多孔膜を機械方向に長くなるように長さ150mm×幅50mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機((株)オリエンテック製テンシロンUCT-100)を用いて、初期チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として25℃、65%HR環境下で引張試験をおこない、サンプルが破断したときの伸度を測定した。測定は各サンプル5回ずつ行い、その平均値を破断伸度の測定値とした。
[実施例1~6、比較例5]
図2に示した構成を使用し、ベント孔からスクリュ先端までのスクリュピースの長さと個数を表1に示す個数によって構成されたスクリュによって、ポリオレフィン樹脂と可塑剤である流動パラフィンと酸化防止剤としてテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン(ポリオレフィン樹脂100質量部当たり0.3質量部)とを二軸押出機11により溶融混練してポリオレフィン溶液を調製した。二軸押出機11から吐出されたポリオレフィン溶液をギアポンプ21で輸送して口金31であるTダイに供給し、押出した。押出し成形体を冷却ロール40で引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。そしてこのゲル状シートを、テンター延伸機により温度110℃でMD方向及びTD方向ともに5倍で同時二軸延伸(湿式延伸)した。
延伸後のゲル状シートを塩化メチレン浴中に浸漬し、可塑剤である流動パラフィンを除去し、洗浄したポリオレフィン微多孔膜を得た。得られたポリオレフィン微多孔膜を、テンター延伸機により、126℃でMD方向及びTD方向に乾式延伸した。次に、この膜をそのままテンター延伸機内で、126℃で8%収縮させながら熱緩和処理を行った。次いで、ポリオレフィン微多孔膜を室温まで冷却して、巻取り機によって巻取った。
[比較例1~4]
ベント孔からスクリュ先端までのスクリュピースの長さと個数を表1に示す個数によって構成されたスクリュによって、実施例1~5と同様にポリオレフィン微多孔膜を得ようとしたが、ベントアップにより、ポリオレフィン微多孔膜を製造することができなかった。
Figure 2022048971000002
表1より、二軸押出機のスクリュ先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであり、かつその間に原料搬送方向の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用し、かつ原料搬送方向の長さが1.5D以上であるスクリュピースを2個以上使用しないとベントアップが発生しないことが分かった。
本発明は、二軸押出機のスクリュピースの組み合わせを調整しているので、ベントアップを発生させることなく微多孔膜を製造する方法及び製造装置として好適である。そのため、特定のMIを有するポリオレフィン系の原料を用いた場合に好適である。
1 二軸押出機上流部分
2 ベント孔
3 ベント孔の下流側の端の直下のスクリュピース
4 スクリュ先端のスクリュピース
5 スクリュの最外径D
6 スクリュピースの原料方向の長さ
10 混練装置
11 二軸押出機
11a 可塑剤投入口
12 ホッパ
13 ストレーナ(フィルタ)
20 計量装置
21 ギアポンプ
22 ストレーナ(フィルタ)
30 吐出装置
31 口金(ダイ)
40 冷却ロール
41 吐出された流動化した樹脂

Claims (10)

  1. 流動化した樹脂に含まれる気泡及び不純物の少なくとも一方を取り除くためのベント孔を備え、複数のピースからなるスクリュを備えた二軸押出機によって樹脂を流動化し、流動化した樹脂を口金によってシート状に成形するシートの製造方法であって、
    前記二軸押出機のうちスクリュの最外径をDとした際に、スクリュの先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであり、かつその間に原料搬送方向の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用し、かつ原料搬送方向の長さが1.5D以上であるスクリュピースを2個以上使用しないシートの製造方法。
  2. 前記二軸押出機は、樹脂を可塑化する可塑剤を当該二軸押出機内に導入する導入孔を備え、
    前記流動化した樹脂は押出機によってポリオレフィン樹脂及び可塑剤を溶融混練したポリオレフィン溶液である請求項1に記載のシートの製造方法。
  3. 請求項2に記載のシートの製造方法によりシートを成形したのち、延伸及び前記可塑剤の除去とを行ってポリオレフィン微多孔膜を製造するポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  4. 前記ポリオレフィン溶液のメルトインデックス測定法に基づく粘度(MI)が1g/10min以上150g/10min以下である、請求項3に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  5. 流動化した樹脂に含まれる気泡や不純物を取り除くためのベント孔を備え、複数のピースからなるスクリュを備えた二軸押出機によって樹脂を流動化し、前記二軸押出機のうちスクリュの最外径をDとした際に、スクリュの先端とベント孔の距離が1.0D~15.0Dであり、かつその間に原料搬送方向の長さが0.2D~0.9Dであるスクリュピースを少なくとも1個以上使用し、かつ原料搬送方向の長さが1.5D以上であるスクリュピースを2個以上使用しない混練装置。
  6. 前記流動化した樹脂がポリオレフィン樹脂と可塑剤とを溶融混練したポリオレフィン溶液である請求項5に記載の混練装置。
  7. 前記混錬装置は、前記二軸押出機の下流側にフィルタを備えている請求項5乃至6のいずれか1項に記載の混練装置。
  8. 請求項5乃至7のいずれか1項に記載の混練装置と該混練装置において輸送された前記流動化した樹脂を計量するギアポンプとを有する計量装置。
  9. 前記計量装置は、前記ギアポンプの下流側にフィルタを備えている請求項8に記載の計量装置。
  10. 請求項5乃至9のいずれか1項に記載の混練装置あるいは計量装置と、
    該装置において輸送された前記流動化した樹脂を吐出する口金と、
    を有する吐出装置。
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