JP2022042686A - 電解処理装置及び電解処理方法 - Google Patents

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雅士 福家
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Abstract

【課題】塩素イオンと有機酸が共存する廃水を被処理水とする場合において、廃水中の有機酸を十分に高い分解効率で分解することできる電解処理装置及び廃水処理方法を提供すること。【解決手段】有機酸と、塩素イオンと、を含む廃水を電解処理する電解処理装置であって、電極対110を備える電解処理槽11と、廃水のpHを測定するpH測定部12と、pH調整剤として酸性溶液を廃水に供給することによって、廃水のpHを所定のpH管理値の範囲内に維持するpH調整部13と、を備える、電解処理装置10とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電解処理装置及び電解処理方法に関する。
近年、産業の発展に伴って生産活動や生活活動により排水される産業廃水、或いは、生活廃水(し尿や下水等)中の環境汚染物質が増大している。そして、これらの環境汚染物質は、自然の浄化作用では賄えきれなくなっていて、河川や湖沼及び海洋等の富栄養化が問題となっている。特に、産業廃水、或いは、生活廃水中のCOD(Chemical Oxygen Demand;化学的酸素要求量)成分等の環境汚染物質の増大は、重大な問題となっている。COD成分は、地球環境保護の面からも厳しい規制対応が求められており、効率的、且つ、経済的な廃水処理法の開発が望まれている。
従来から実施されているCOD成分の除去方法としては、生物学的処理法等が知られている。生物学的処理は広く一般的に行われている処理方法であるが、この方法は反応が著しく遅いため大規模な装置を必要とする。これにより、装置設置面積、及び、設備建設コストの増大を余儀なくされるという問題がある。
特許文献1には、アンモニア態窒素及びCOD成分を電解処理する方法が記載されている。同文献には、具体的には、アンモニア態窒素及びCOD成分を含有する廃水にアルカリ溶液を添加することで一定のpH範囲(pH6~8.5)を維持しながらアンモニア態窒素及びCOD成分を電解処理する電解処理方法が記載されている。この電解処理方法によれば、大規模な処理装置等を必要とせず低いランニングコストで処理することができる。
特開2012-040524号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている電解処理方法はアンモニア態窒素を含有しない廃水の場合に適用することができない。より具体的には、塩素イオンと有機酸が共存する廃水を電気分解した際に生じるpHの急激な上昇に対応することができないため、pHを適切に管理することができず有機酸を十分に高い分解効率で分解することはできない。
本発明は、塩素イオンと有機酸が共存する廃水を被処理水とする場合において、廃水中の有機酸を十分に高い分解効率で分解することできる電解処理装置及び廃水処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、廃水のpHを測定することができ、尚且つ、当該測定値に基づいて決定される適量の酸性溶液を供給することができる電解処理装置によって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 有機酸と、塩素イオンと、を含む廃水を電解処理する電解処理装置であって、電極対を備える電解処理槽と、前記廃水のpHを測定するpH測定部と、pH調整剤として酸性溶液を前記廃水に供給することによって、前記廃水のpHを所定のpH管理値の範囲内に維持するpH調整部と、を備える、電解処理装置。
(1)の電解処理装置によれば、塩素イオンと有機酸が共存する廃水を被処理水とする場合において、廃水中の有機酸を十分に高い分解効率で分解することできる。これにより、廃水の処理効率を向上させることができる。
(2) 前記pH調整部における前記pH調整剤の供給量を、前記pH測定部において得られた前記廃水のpHに基づいて調整する制御部を備える、(1)に記載の電解処理装置。
(2)の電解処理装置によれば、(1)の電解処理装置の発揮しうる上記の高い分解効率を、自動的な処理によって安定的に継続して発揮させることができる。これにより、廃水の処理効率を更に向上させることができる。
(3) 前記電解処理槽と前記pH調整部との間で前記廃水を繰り返し循環させる循環配管を備える(1)又は(2)に記載の電解処理装置。
(3)の電解処理装置によれば、(1)又は(2)の電解処理装置において、後述する通り、所謂、循環方式によって分解処理を行うことができる。これにより、廃水のCOD濃度を規定濃度以下とするための処理時間を短縮することができる。
(4) 1つの前記電解処理槽に対して複数の前記pH調整部が連接されている(1)から(3)の何れかに記載の電解処理装置。
(4)の電解処理装置によれば、(3)の電解処理装置において、pH調整部を適切に増設することにより、pH調整の処理速度を向上させて、有機酸の分解をより安定的に高い精度で行えるようにすることができる。
(5) 有機酸と、塩素イオンと、を含む廃水を被処理水とする廃水の処理方法であって、電極対を備える電解処理槽において、前記電極対に通電することにより前記廃水を電解処理する電解処理工程が行われ、前記電解処理工程においては、前記廃水のpHを測定するpH測定処理と、pH調整剤として酸性溶液を前記廃水に供給することによって前記廃水のpHを所定のpH管理値の範囲内に維持するpH調整処理と、が行われ、前記pH調整処理における前記pH調整剤の供給量は、前記pH測定処理において得た前記廃水のpHに基づいて決定される、廃水処理方法。
(5)の廃水処理方法によれば、塩素イオンと有機酸が共存する廃水を被処理水とする場合において、廃水中の有機酸を十分に高い分解効率で分解することできる。これにより、廃水の処理効率を向上させることができる。
(6) 前記pH管理値がpH5以上pH9以下である(5)に記載の廃水処理方法。
(6)の廃水処理方法によれば、(5)の廃水処理方法において、有害性の高い塩素ガスの発生を抑制しながら、廃水中の様々な有機酸の分解効率を安定的に向上させることができる。これにより、廃水の処理効率をより安定的に向上させることができる。
(7) 被処理水である前記廃水にアンモニア態窒素が含まれていない、(5)又は(6)に記載の廃水処理方法。
(7)の廃水処理方法によれば、(5)又は(6)の廃水処理方法において、廃水にアンモニア態窒素が含まれていない場合であっても、廃水中の有機酸を十分に高い分解効率で分解することできるという、本発明の廃水処理方法ならではの特段の有意性を享受することができる。
(8) 前記有機酸が、クエン酸又は酒石酸である(5)から(7)の何れかに記載の廃水処理方法。
(8)の廃水処理方法によれば、(5)から(7)の何れかに記載の廃水処理方法において、産業廃水、或いは、生活廃水中のCOD成分として代表的な有機酸である、クエン酸又は酒石酸を十分に高い分解効率で分解することできる。
(9) 前記電解処理槽と前記pH調整処理が行われるpH調整部との間で前記廃水を繰り返し循環させる循環方式の電解処理装置において、被処理水である前記廃水の総量(L)と、前記pH調整部における該廃水の単位時間当たりの処理量(L/分)との比を、30(分)以下とする、(5)から(8)の何れかに記載の廃水処理方法。
(9)の廃水処理方法によれば、(5)から(8)の何れかに記載の廃水処理方法において、上述の循環方式によって分解処理を行う際においても、廃水中の有機酸の分解効率を、より安定的に向上させることができる。
本発明によれば、塩素イオンと有機酸が共存する廃水を被処理水とする場合において、廃水中の有機酸を十分に高い分解効率で分解することできる電解処理装置及び廃水処理方法を提供することができる。
本発明の電解処理装置を模式的に示す構成図である。 本発明の電解処理装置の他の実施形態を模式的に示す構成図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
<電解処理装置>
図1は、本発明の実施形態の一例である電解処理装置10の構成図である。電解処理装置10は、有機酸と塩素イオンとを含む廃水20を被処理水とし、これを電解処理することによって、必要な浄化処理或いは無害化する処理を行う装置である。
電解処理装置10は、廃水20を電解処理する電解処理槽11、廃水20のpHを測定するpH測定部12、及び、廃水20のpHを調整するpH調整部13を備える。又、電解処理装置10は、更に、後述するpH調整剤の供給量を調整する制御部14、電解処理槽11とpH調整部13との間で廃水20を繰り返し循環させる被処理水の流路である循環配管15を備えるものであることがより好ましい。尚、制御部14は、上記pH調整剤の供給量を、自動的に最適量に調整することができるものとすることがより好ましい。
又、電解処理装置10は、図2に示すように、複数の電解処理槽11A、11Bを備えてなる構成とすることもできる。この場合においては、それぞれの電解処理槽毎に個別のpH測定部12A、12B、又、pH調整部13A、13Bを、設置することが好ましい。これにより、pH調整の頻度が高くなる。そして、pH調整回数が上昇することで、より正確なpH制御が可能となり、廃水の処理効率が向上する。
[電解処理槽]
電解処理装置10を構成する電解処理槽11は、陽極(アノード)111と陰極(カソード)112を1対とする一対以上の電極対110を備える。陽極(アノード)111は、例えばDSA(登録商標)であればよく、陰極(カソード)112は、例えば、チタン板であればよい。
電解処理槽11においては、整流器16によって交流電流から変換された直流電流が、上記の電極対110、即ち、陽極111と陰極112とに通電されることにより、廃水20中に含まれる有機酸等のCOD成分等が電解処理される。この電解処理は、より詳細には、当該電解処理の過程で生成する次亜塩素酸イオンによって有機酸等のCOD成分が酸化分解される化学反応によって進行する処理である。
尚、上記の電解処理を行う際に、電解処理槽11に通電される電流の電流密度は特に限定されない。但し、100A/m以上1000A/m以下の電流密度で電解処理が行われることが好ましい。これにより、廃水20中のCOD成分等が効率よく分解される。電流密度が100A/m未満であると、電解処理に必要な電極の枚数が多くなる等処理効率が低下してしまう場合があるが、これを100A/m以上とすることで、良好な処理効率を維持することができる。一方で、電流密度が1000A/m以下とすることで、廃水20の急激なpH上昇によってpHを所定範囲内に維持することが困難になることや、電力コスト上昇による経済性の悪化を回避することができる。
[pH測定部]
pH測定部12は、後述するpH調整部13に流入する廃水20のpHを測定する機器によって構成される。pH測定用の探針を備え、これにより、pH変動による電圧変化を計測する測定機器を、pH測定部12を構成する機器の好ましい具体例として挙げることできる。このような測定機器によって得られた上記電圧変化に係る計測値が、後述の制御部14においてpH変化量に換算されることにより、廃水20のpHの調整を自動的に行うことができる。
このpH測定部12は、電解処理槽11の出口、pH調整部13の入口、又は、電解処理槽11とpH調整部13とを連結する移送管内に設ければよい。pH調整部13におけるpH調整の供給量をより適切に調整するためには、pH調整部13へ流入する直前の廃水20のpHを測定することが望ましい。よって、pH測定部12は、pH調整部13の入口又はその近傍部に設けることが好ましい。
[pH調整部]
pH調整部13は、pH測定部12によって測定された廃水20のpHに応じて、廃水20に適量の酸性溶液30をpH調整剤として供給するための機構である。pH調整部13は、例えば、pHが測定された廃水20を一時的に貯留するpH調整用の処理槽と、当該処理槽に貯留されている廃水20に、適量の酸性溶液30を供給するpH調整剤供給ポンプ17によって構成することができる。
ここで、電解処理槽11で電解処理された後の廃水20は、pHがアルカリ性側に移行しやすい。pH調整部13においては、この電解処理後の廃水20に対して、pH調整剤として、適量の酸性溶液30を供給することによって、廃水20のpHを所定のpH管理値の範囲内に維持する。この所定のpH管理値は、具体的には、pH5以上pH9以下とすることが好ましい。
尚、廃水20のpHが5を下回ると、有害性の高い塩素ガスが発生するため、上記の所定のpH管理値については、安全性の観点から、pHが5を下回らないようにする点が特に重要である。pHが5以下となることをより確実に防止するために、pH調整部13に監視用のpH測定機能を持たせ、pHが5以下となる場合には、アルカリ溶液を緊急的に添加可能とする機構を設けることが好ましい。
尚、pH調整部13は、1つの電解処理槽11に対して複数のpH調整部13が連接されている構成とすることもできる。pH調整部13を適切に増設することにより、pH調整の処理速度を向上させることができる。又、特に、後述する「液循環方式」による電解処理を実施する際においては、pH調整部13の適切な増設によって、有機酸の分解をより安定的に高い精度で行うことができるという効果も享受することができる。
pH調整部13において、pH調整剤として用いる酸性溶液としては、各種の公知の酸性溶液を適宜選択して用いることができるが、塩酸又は硫酸の溶液を用いることが好ましい。又、廃水20に適量の塩素イオンが含まれていない場合には、酸性溶液として塩酸の溶液を用いることで、後に詳細を示す電解反応の進行に必要な塩素イオンを補填することもできる。
[制御部]
制御部14は、pH測定部12による廃水20のpH測定結果に応じたpH調整部13に供給する酸性溶液の供給量等を制御する。制御部14は、具体的には、従来公知の各種の機械制御用プログラムにより構成することができる。
制御部14は、pH測定部12による廃水20のpH測定結果が常にpH5より大きくなるように調整するための様々な制御を行うようにすることができる。例えば、pH6を下回った場合には、本実施形態における電解処理装置10を操作するオペレータに知らせるための情報を警告(アラート)として出力することとしてもよい。
或いは、制御部14を、廃水20のCOD濃度を連続的に測定し、例えば、COD濃度が100mg/Lを下回った場合に移送ポンプを停止するように制御するものとすることもできる。COD濃度の測定については、一例として、処理時間に応じて所定間隔で行うようにすればよい。又、上記制御において、移送ポンプを停止せずに、COD測定値が予め決められた値を下回ったことを知らせる情報を出力するように設定することもできる。
又、制御部14は、電解処理槽11の電極対110への通電を行う整流器16、pH調整剤供給ポンプ17、後述する移送ポンプ18等の動作も併せて総合的に制御する機能を有するものであることがより好ましい。
[循環配管]
又、電解処理装置10は、電解処理槽11とpH調整部13との間で廃水20を繰り返し循環させる循環配管15を備える構成であることがより好ましい。これにより、電解処理装置10において、電解処理中に電解処理槽11とpH調整部13の間で廃水20を循環させる方式(本明細書において、この方式を「液循環方式」と称する)を採用することができる。具体的には、電解処理槽11の所定水位からオーバフローした廃水20をpH調整部13で受けて、更に、pH調整部13において所定のpHに調整された廃水20を、移送ポンプ18により電解処理槽11に戻す構成とすることにより、「液循環方式」による電解処理を実施することができる。
尚、電解処理装置10を、上述のように循環配管15を備える構成とする場合において、循環配管15の何れかの部分に熱交換器を組み込むこともできる。これによれば、循環配管15によって構成される廃水20の循環流路中において、電解処理で熱せられた廃水の除熱を行うことができる。
<廃水処理方法>
本発明の廃水処理方法は、有機酸と、塩素イオンと、を含む廃水を被処理水とする処理である。そして、以下にその詳細を説明する有機酸(COD成分)の酸化分解により、被処理水を無害化或いは適切に浄化する処理である。この廃水処理方法を実施するためには、上述した本発明の電解処理装置を好ましく用いることができる。
[被処理水]
本発明の廃水処理方法が被処理水とする廃水に含まれる有機酸は、特定の酸に限定はされないが、COD成分として代表的な有機酸である、クエン酸(C)又は酒石酸(C)を含む廃水を被処理水とすることが好ましい。
又、本発明の廃水処理方法は、被処理水とする廃水がアンモニア態窒素を含有しない廃水である場合に、特段の有意性を発揮する。
[有機酸(COD成分)の酸化分解]
本発明の廃水処理方法においては、電解処理を行う電解処理槽中において、下記の式(1)~(3)の反応が生じる。
陽極:Cl+HO→ClO+2H+2e ・・・(1)
陰極:2HO+2e→H↑+2OH ・・・(2)
COD成分の酸化分解:COD成分+ClO→HO+CO+Cl ・・・(3)
上記の式(1)は、陽極111において起こる反応を、式(2)は陰極において生じる反応を示している。式(1)により生成した次亜塩素酸イオン(ClO)は、廃水20中に含まれる有機酸等のCOD成分と、上記式(3)に示す反応をする。これにより、COD成分を炭酸ガスに分解することができる。
ここで、電解処理に伴う次亜塩素酸の生成反応は、式(1)及び式(2)から、下記の式(4)によって表される反応である。同式に表されている通り、電解処理槽11では、電気分解に伴ってClが減少しClOが増大する。
次亜塩素酸の生成反応:Cl+HO→ClO+H↑ ・・・(4)
HClの水中における酸解離定数pKaは-3.7、HClOの場合は7.5であり、HClの酸解離定数pKaの方が大幅に小さい。従って、電解に伴う次亜塩素酸の生成反応により廃水20のpHは急激にアルカリ側に移行する。
pHが9.0より高い場合には、次亜塩素酸による酸化分解能力が低下し、COD成分の除去効率が大きく低下してしまう。一方で、廃水20のpHが5.0より低い場合には、陽極111で生成した次亜塩素酸イオンが分解して、塩素ガスが発生してしまう。そのため、廃水20は所定のpH管理値としてpH5.0以上9.0以下の範囲を設定してこれを維持するように制御することが好ましい。廃水20のpHが低いほど、COD成分の参加分解反応が向上するため、廃水20のpHは、常に5.0以上8.0以下の範囲内であることがより好ましい。
又、式(1)の反応を効率的に進行させるためには、廃水20中に塩化物イオンが12g/L以上含まれていることが好ましい。本願発明の廃水処理方法が被処理水として想定しているCOD成分を含む廃水には、多くの場合、上記程度の塩化物イオンが含まれているが、上述した通り、酸性溶液として塩酸の溶液を用いることで電解反応の進行に必要な塩素イオンを補填することもできる。
尚、式(4)の反応に続いて、式(3)の反応が生じるが、式(3)は、廃水20のpHを酸性側に移行する反応である。しかしながら、生成した次亜塩素酸の全てが式(3)の反応に関与するのではないこと、又、式(4)と式(3)の反応には時間差があること等から、電解に伴い廃水20全体としてのpHがアルカリ側に移行するものと考えられる。特に電解を開始した初期段階におけるpHの上昇速度は大きい。
本発明の廃水処理方法における電解処理工程では、本発明特有の必須の手順として以下のpH測定処理及びpH調整処理が行われることによって、上述の急激なpHの上昇を抑制して、廃水20のpHが、上述した所定のpH管理値の範囲内に維持される。
[電解処理工程]
本発明の廃水処理方法は、以下の各処理を含む「電解処理工程」を行うことによって、有機酸を含む被処理水を無害化或いは適切に浄化する。
(pH測定処理)
pH測定処理は、被処理水である廃水20のpHを測定する処理である。上述した通り、pH変動による電圧変化を計測することができる各種の測定機器等によって構成されるpH測定部12によって行われることが好ましい。又、このpH測定処理は、電解処理開始時から連続的に行われることにより、廃水20のpHの変動を恒常的に監視できるようにすることがより好ましい。
(pH調整処理)
pH調整処理は、酸性溶液をpH調整剤として供給することによって被処理水である廃水20のpHを、所定のpH管理値の範囲内に維持する処理である。酸性溶液であるpH調整剤の供給量は、pH測定処理において得た廃水20のpHに基づいて決定される。
pH調整処理は、具体的には、pH測定処理によって測定される廃水20のpHがpH5以上9以下の範囲に維持されるように行われる。酸性溶液であるpH調整剤の供給量は、廃水20のpHが5以上9以下の範囲に維持できるように決定される。
尚、電解処理装置10において、電解処理中に電解処理槽11とpH調整部13の間で廃水20を循環させる「液循環方式」を採用する場合には、次亜塩素酸による酸化分解能力を十分に発揮させるために、被処理水である廃水20の総量(L)と、pH調整部13における廃水20の単位時間当たりの処理量(L/分)との比、即ち、廃水20の全体の処理に要する処理時間を、30(分)以下とすることが好ましく、15(分)とすることがより好ましい。
又、「液循環方式」を採用する場合において、pH調整部13における次亜塩素酸による酸化分解能力を十分に発揮させるための調整は、被処理水である廃水20の総量(L)に対する「単位時間当たりの循環流量(L/分)」を調整することによっても実現できるし、或いは、pH調整部13を適切に増設して複数のpH調整部においてpH調整処理を並行して行うことによって実質的な「単位時間当たりの循環流量(L/分)」を増やすことによっても実現することができる。このように、pH調整処理を実質的に十分な頻度で行うことにより、有機酸等のCOD成分の除去効率を、十分に向上させることができる。
尚、電解処理工程は、被処理水のCOD濃度を、COD計(例えば東亜ディーケーケー製簡易式COD計)によって測定し、COD濃度が所定値以下となった場合に、電解処理を終了して、被処理水を排水すればよい。或いは、COD濃度がある程度安定している廃水を被処理水とする場合であれば、COD計による測定結果を基礎データとして集積及び解析して、解析結果に基づいて、有機酸の十分な分解に必要な処理時間を推定し、推定された一定時間毎に被処理水を排水する運用とすることも可能である。
以下、具体的な実施例について説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例のうち、実施例4を除く全ての例において、図1に示した構成からなる電解処理装置において下記の各電極からなる電極対に、直流電流を流すことにより、電解処理工程を行った。尚、電解処理装置の陽極は、貴金属酸化物によってコーティングされたTi電極(浸漬部分のサイズ4cm×10cm、1枚)、陰極は、純チタンの金属電極(浸漬部分のサイズ4cm×10cm、1枚)とし、各電極の極間距離は1cmとした。実施例4においては、図2に示すように、上記同様の電極対を有する2つの電解処理槽と、それぞれの電解処理槽に連接される2つのpH調整部とから構成される電解処理装置を用いた。
各例において、被処理水としては、純水に、有機酸を溶解させたものを廃水として用いた。有機酸としては、クエン酸又は酒石酸を、各例毎に使い分けた。
尚、pH測定する場合に通電状態の液中では正確な値が示されないため、電解処理槽とは電気的に遮断する必要がある。そこで、液を通電状態から切り離すため、電解処理槽内の液をオーバフローさせてpH調整部へ送液した。pH測定部はpH調整部の入口にpHセンサーを設け、これによりpHを測定した。
何れの実施例及び比較例においても、pH調整剤(酸性溶液)としては、70%硫酸溶液を用いた。70%硫酸溶液を添加し、pH調整部(pH調整処理を行う処理槽)において、廃水のpHを調整した後、当該廃水を移送ポンプによって電解処理槽へと再び戻した。そして、廃水は所定の処理継続時間中、pH調整部と電解処理槽との間を連続的に循環させた。
(実施例1)
被処理水として、クエン酸を3g/L含有する廃水(COD濃度:1000mg/L)を用い、この廃水1Lについて、電流値0.8A(電流密度200A/m)の条件で電解処理を行った。電解処理槽の容量は0.8L、pH調整部の容量は0.2Lとした。pH調整部において、廃水のpHを制御するためのpHの目標基準値は6.5とした。「単位時間当たりの循環流量(L/分)」は、0.1L/分とし、90分間処理を継続した。
尚、表1中のAは、廃水の総量(L)を、Bは、pH調整部における廃水の単位時間当たりの処理量(L/分)を示している。Cは、pH調整部の設置数(個)である。よって、表中にA/(B×C)の計算値として示されている値が、各例における、廃水20の全体の処理に要する処理時間を示している。
上記処理の結果、pH調整部におけるpHの目標基準値6.5に対して、廃水のpHは、最大8.1まで上昇したが、電解処理の継続中において、廃水のpHは、本発明の廃水の処理方法におけるpH管理値の好ましい範囲であるpH5以上pH9以下の範囲内で推移した。そして、90分処理を継続した後の廃水のCOD濃度を分析したところ、残留COD濃度は、80mg/Lであった。CODの除去率としては92%であった。
(実施例2)
上記のpHの目標基準値を7.5とした。その他の条件については、実施例1と同条件で電解処理を行った。上記処理の結果、廃水のpHは最大で8.9まで上昇したが、電解処理の継続中において、廃水のpHは、実施例1と同様に、pH5以上pH9以下の範囲内で推移した。そして、90分処理を継続した後の廃水のCOD濃度を分析したところ、残留COD濃度は、140mg/Lであった。CODの除去率としては86%であった。
(実施例3)
「単位時間当たりの循環流量(L/分)」を0.04L/分とした。その他の条件については、実施例1と同条件で電解処理を行った。上記処理の結果、廃水のpHは最大で8.8まで上昇したが、電解処理の継続中において、廃水のpHは、実施例1と同様に、pH5以上pH9以下の範囲内で推移した。そして、90分処理を継続した後の廃水のCOD濃度を分析したところ、残留COD濃度は、130mg/Lであった。CODの除去率としては87%であった。
(実施例4)
2か所に設けたそれぞれの電解処理槽の容量を0.4L、それぞれのpH調整部の容量を0.1Lとした。その他の条件については実施例1と同条件で電解処理を行った。上記処理の結果、廃水のpHは最大で7.5まで上昇したが、電解処理の継続中において、廃水のpHは、実施例1と同様に、pH5以上pH9以下の範囲内で推移した。そして、90分処理を継続した後の廃水のCOD濃度を分析したところ、残留COD濃度は、60mg/Lであった。CODの除去率としては94%であった。
(実施例5)
被処理水として、酒石酸を3g/L含有する廃水(COD濃度:1020mg/L)を用い、この廃水1Lについて、180分間(実施例1の3倍の時間)処理を継続した。その他の条件については、実施例1と同様にして電解処理を行った。上記処理の結果、廃水のpHは最大で7.9まで上昇したが、電解処理の継続中において、廃水のpHは、実施例1と同様に、pH5以上pH9以下の範囲内で推移した。そして、180分後の廃水のCOD濃度を分析したところ、残留COD濃度は、100mg/Lであった。CODの除去率としては90%であった。
(実施例6)
上記のpHの目標基準値を10.0とした。その他の条件については、実施例1と同条件で電解処理を行った。上記処理の結果、廃水のpHは、電解処理中に、本発明の廃水の処理方法におけるpH管理値の好ましい範囲(pH5以上pH9以下)を超えて、最大で10.8まで上昇した。そして、90分処理を継続した後の廃水のCOD濃度を分析したところ、残留COD濃度は420mg/Lであった。COD除去率としては58%であった。pH調整部におけるpH管理値を10.0としたことで、循環中の廃水のpHが5.0~9.0の範囲を外れてしまい、実施例1~5との比較において、電解により生成した次亜塩素酸によるCOD成分の酸化分解能力が低下したものと考えられる。
(実施例7)
「単位時間当たりの循環流量(L/分)」を0.02L/分とした。その他の条件については実施例1と同条件で電解処理を行った。上記処理の結果、廃水のpHは、電解処理中に、最大で9.9まで上昇した。そして、90分処理を継続した後の廃水のCOD濃度を分析したところ、残留COD濃度は260mg/Lであった。COD除去率としては74%であった。循環流量が低下した場合、廃水が、電解処理槽とpH調整部との間を循環する際の所要時間が長くなる。このため、循環中の廃水のpHが5.0~9.0の範囲を外れてしまい、実施例1~5との比較において、電解により生成した次亜塩素酸によるCOD成分の酸化分解能力が低下したものと考えられる。
(実施例8)
上記のpHの目標基準値を10.0とした。その他の条件については、実施例5と同条件で電解処理を行った。上記処理の結果、廃水のpHは、電解処理中に、最大で10.6まで上昇した。そして、90分処理を継続した後の廃水のCOD濃度を分析したところ、残留COD濃度は330mg/Lであった。COD除去率としては67%であった。
実施例1~8におけるCOD除去率の推移から、有機酸を含む廃水に対して電解処理を行う際、廃水量に対して適量の酸性溶液を添加することで、COD除去率を良好に保持することができることが分かる。又、実施例1~5と実施例6~8との結果の対比から、電解処理中の廃水のpHは、5.0~9.0の範囲に保持することが好ましいことが分かる。又、実施例1と実施例4との結果の対比から、pH調整部の設置数を最適化することで、COD除去率の向上が可能であることが分かる。更に、実施例1と実施例7との結果の対比から、「単位時間当たりの循環流量(L/分)」を最適化することによっても、COD除去率の向上が可能であることが分かる。
Figure 2022042686000002
以上説明したように、本発明の電解処理装置及びそれを用いて行うことができる電解処理方法によれば、有機酸を含む廃水であっても、pHの制御を適切に管理して、COD成分を低減することが可能になる。
特に、バッチ処理方式の電解処理装置においては、有機酸を含む廃水をpH調整部と電解処理槽とで循環させる場合に、廃水がpH調整部と電解処理部を循環する間、常にそのpHを弱酸性から中性の範囲内に制御することが可能となる点において特段の有意性を発現する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる
10 電解処理装置
11 電解処理槽
110 電極対
111 アノード
112 カソード
12 pH測定部
13 pH調整部
14 制御部
15 循環配管
16 整流器
17 pH調整剤供給ポンプ
18 移送ポンプ
20 廃水
30 酸性溶液
40 処理済み排水

Claims (9)

  1. 有機酸と、塩素イオンと、を含む廃水を電解処理する電解処理装置であって、
    電極対を備える電解処理槽と、
    前記廃水のpHを測定するpH測定部と、
    pH調整剤として酸性溶液を前記廃水に供給することによって、前記廃水のpHを所定のpH管理値の範囲内に維持するpH調整部と、
    を備える、電解処理装置。
  2. 前記pH調整部における前記pH調整剤の供給量を、前記pH測定部において得られた前記廃水のpHに基づいて調整する制御部を備える、請求項1に記載の電解処理装置。
  3. 前記電解処理槽と前記pH調整部との間で前記廃水を繰り返し循環させる循環配管を備える請求項1又は2に記載の電解処理装置。
  4. 1つの前記電解処理槽に対して複数の前記pH調整部が連接されている請求項1から3の何れか1項に記載の電解処理装置。
  5. 有機酸と、塩素イオンと、を含む廃水を被処理水とする廃水の処理方法であって、電極対を備える電解処理槽において、前記電極対に通電することにより前記廃水を電解処理する電解処理工程が行われ、前記電解処理工程においては、前記廃水のpHを測定するpH測定処理と、pH調整剤として酸性溶液を前記廃水に供給することによって前記廃水のpHを所定のpH管理値の範囲内に維持するpH調整処理と、が行われ、前記pH調整処理における前記pH調整剤の供給量は、前記pH測定処理において得た前記廃水のpHに基づいて決定される、廃水処理方法。
  6. 前記pH管理値がpH5以上pH9以下である請求項5に記載の廃水処理方法。
  7. 被処理水である前記廃水にアンモニア態窒素が含まれていない、請求項5又は6に記載の廃水処理方法。
  8. 前記有機酸が、クエン酸又は酒石酸である請求項5から7の何れか1項に記載の廃水処理方法。
  9. 前記電解処理槽と前記pH調整処理が行われるpH調整部との間で前記廃水を繰り返し循環させる循環方式の電解処理装置において、被処理水である前記廃水の総量(L)と、前記pH調整部における該廃水の単位時間当たりの処理量(L/分)との比を、30(分)以下とする、請求項5から8の何れか1項に記載の廃水処理方法。
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