JP2022039986A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Atsuhiko Omori
貴昭 古井
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Abstract

【課題】 常温高湿環境に放置した用紙を使用した場合に優れた低温定着性を有し得るとともに、高温高湿環境で長時間の画像出力を行った場合に、定着画像に画像欠けが生じにくいトナーを提供すること。【解決手段】 樹脂成分及びワックスを含有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面の無機微粒子と、を含有するトナーであって、前記トナー粒子の断面観察において、前記ワックスを含むドメインが観察され、前記トナー粒子の表面から600nm内側までの領域を第1の領域とし、前記第1の領域における、長径が10~120nmの前記ドメインの占有面積率をR1(%)とし、前記第1の領域における、全ての前記ドメインの占有面積率R2(%)としたとき、前記R1(%)及び前記R2(%)が、式(1)及び式(2)を満たすことを特徴とするトナー。【選択図】 なし

Description

本開示は、電子写真方式の画像形成装置に用いられるトナーに関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置に対する省電力化への要求が高まっている。省電力化への要求を満たすため、低温においても紙などのメディアに定着可能な、優れた低温定着性を有するトナーが検討されている。
トナーの低温定着性の向上を目的として、トナーの樹脂成分のガラス転移温度を下げる方法が知られている。しかしながら、常温高湿環境に放置した用紙を使用する場合には、定着のために必要な熱量の一部が紙中の水分を蒸発させるために使われてしまい、十分な熱量がトナーに与えられにくい。その結果、トナーを定着させるためにはさらに高い定着温度が求められるため、低温での定着が困難になりやすい。その一方で、トナーの樹脂成分のガラス転移温度を下げすぎると、トナーの熱に対する保存性が悪化してしまうため、さらにトナーの低温定着性の向上に寄与する方法が求められている。
そこで、トナーの低温定着性の向上を目的として、トナー粒子の表面近傍を溶融させやすくすることで、定着時にトナー粒子全体が素早く溶融しやすくしたトナーが検討されている。特許文献1及び2では、トナー粒子の表面近傍にワックスを偏在させたトナーが提案されている。トナー粒子の表面近傍にワックスを存在させることで、定着時にワックスがトナー粒子の表面近傍の樹脂を素早く溶融させやすくなると考えられ、常温高湿環境に放置した用紙を使用した場合にでも優れた低温定着性を有し得る。
特開2016-62041号公報 特開2016-224248号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載のトナーについて本発明者らが検討した結果、高温高湿環境で長時間の画像出力を行った場合に、定着画像に画像欠けが生じやすいことがわかった。
本開示は、常温高湿環境に放置した用紙を使用した場合に優れた低温定着性を有し得るとともに、高温高湿環境で長時間の画像出力を行った場合に、定着画像に画像欠けが生じにくいトナーを提供するものである。
本開示は、樹脂成分及びワックスを含有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面の無機微粒子と、を含有するトナーであって、
前記トナー粒子の断面観察において、
前記ワックスを含むドメインが観察され、
前記トナー粒子の表面から600nm内側までの領域を第1の領域とし、
前記第1の領域における、長径が10~120nmの前記ドメインの占有面積率をR1(%)とし、
前記第1の領域における、全ての前記ドメインの占有面積率R2(%)としたとき、
前記R1(%)及び前記R2(%)が、下記式(1)及び下記式(2)を満たす
2.0 ≦ R1(%) ≦ 15.0 ・・・ 式(1)
R1(%)/R2(%) ≧ 0.60 ・・・ 式(2)
ことを特徴とするトナーである。
本開示によれば、常温高湿環境に放置した用紙を使用した場合に優れた低温定着性を有し得るとともに、高温高湿環境で長時間の画像出力を行った場合に、定着画像に画像欠けが生じにくいトナーを提供できる。
本開示の効果を発現する想定メカニズムを説明するためのトナー粒子断面の模式図である。 本開示の外添工程で使用される混合装置で使用可能な回転体の概略図である。 本開示の外添工程で使用される混合装置で使用可能な回転体の概略図である。
数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本開示に係るトナー粒子の断面観察は、走査透過型電子顕微鏡を用いたトナー粒子の断面観察であることが好ましい。
以下、ワックスドメインとは、ワックスを含むドメインを意味する。また、微小なワックスドメインとは、長径が10~120nmのワックスドメインを意味し、粗大なワックスドメインとは長径が120nmよりも大きいワックスドメインを意味する。
<高温高湿環境において画像欠けが生じる原因と、発明に至った経緯>
特許文献1及び2に係るトナーを用いて、高温高湿環境で長時間の画像出力を行った場合に、定着画像に画像欠けが生じる理由を本発明者らは以下のように推測している。
トナー粒子の表面近傍にワックスを分散させたトナー粒子は優れた低温定着性を有するトナーとなりやすい。これは、分散されたワックスと、トナー粒子の表面近傍の樹脂と接触している面積が大きく、定着時に該ワックスと該樹脂が相溶することによって、小さな熱量でトナー粒子の表面近傍の樹脂が溶融しやすくなるためであると、本発明者らは考えている。また、小さな熱量でトナー粒子の表面近傍の樹脂が溶融することに伴い、トナー粒子全体が素早く溶融しやすくなると推測される。これは、プロセススピードの速い電子写真方式の画像形成装置において、定着時の温度を低くすることができるため有利な特性であると言える。
しかしながら、トナー粒子の表面近傍にワックスを分散させたトナー粒子は、トナー粒子の表面の無機微粒子がトナー粒子中に埋め込まれやすい場合があると推測される。これは特に高温高湿下において顕著になると考えられる。トナー粒子の表面の無機微粒子がトナー粒子に埋め込まれると、トナー粒子の流動性が低下しやすくなり、画像形成装置内において現像部材とトナー粒子との摺擦が起きにくくなるため、該トナー粒子が十分な電荷を帯びにくくなると推測される。その結果、現像部材上において十分に帯電されていないトナーが部分的に存在しやすくなり、その部分が電子写真画像に画像欠けを生じさせやすくなると考えられる。
特許文献1及び2に係るトナーが高温高湿環境において、画像欠けが生じやすい理由は、トナー粒子の表面近傍に粗大なワックスドメインが多く、トナー粒子の表面の無機微粒子がトナー粒子に埋め込まれやすいためであると、本発明者らは推測している。微小なワックスドメインはトナー粒子の表面近傍の弾性を低下させにくい一方で、粗大なワックスドメインが存在している部分のトナー粒子の表面近傍の弾性は低下しやすいと考えられる。
上記考察に基づき更なる検討を重ねた結果、トナー粒子の表面近傍に微小なワックスドメインを下記の割合で含有させ、微小なワックスドメインに対する全体のワックスドメインの量を下記の割合に制御したトナーは、画像欠けを生じさせ難いことを見出した。
微小なワックスドメインの含有割合:トナー粒子の表面から600nm内側までの領域(すなわちトナー粒子の表面近傍)における、長径が10~120nmのワックスドメインの占有面積率をR1(%)としたとき、R1が2.0~15.0%。
微小なワックスドメインに対する全体のワックスドメインの量の割合:トナー粒子の表面から600nm内側までの領域における、全てのワックスドメインの占有面積率R2(%)としたとき、R1(%)/R2(%)が0.60以上。
<本開示の効果が発現する想定メカニズム>
上記の構成のトナーが、本開示の効果を発現する想定メカニズムを、図1を用いて説明する。
図1は、本開示に係るトナー粒子の概略断面図の一例である。
トナー粒子の表面の輪郭線2から600nm内側の距離だけ縮小した輪郭線3までの領域(表面近傍領域)において、微小なワックスドメイン1が特定割合の面積を占有しており、該面積に対して、粗大なワックスドメイン5の面積が特定の割合以下である。該構成のトナーは、トナー粒子の表面近傍領域において、微小なワックスドメイン1が分散されやすく、定着時にトナー粒子の表面近傍の樹脂が溶融しやすくなると考えられるため、優れた低温定着性を有するトナーが得られやすい。また、上記の表面近傍領域において、粗大なワックスドメイン5の含有量が過大にならないため、高温高湿下において、無機微粒子6がトナー粒子に埋め込まれにくく、トナーの流動性が低下しにくい。その結果、現像部材上でトナー粒子が十分な電荷を帯びやすく、定着画像に画像欠けが生じにくくなる。
<ワックス>
<トナー粒子の表面近傍のワックスドメインの占有面積率>
トナー粒子の断面観察において、トナー粒子の表面から600nm内側までの領域を第1の領域とし、第1の領域における、長径が10~120nmのワックスドメインの占有面積率をR1(%)としたとき、下記式(1)を満たす。長径が10nmより小さいワックスドメインは、サイズが小さすぎるために、トナー粒子の表面近傍の樹脂との相溶が起こりにくく、トナーの低温定着性の向上に寄与しにくいと、本発明者らは推測している。
2.0 ≦ R1(%) ≦ 15.0 ・・・ 式(1)
R1が2.0%以上であることで、優れた低温定着性を有するトナーが得られやすい。そのため、R1が2.0%以上であり、3.0%以上であることが好ましく、6.0%以上であることがさらに好ましい。また、R1が15.0%以下であると、トナー粒子の表面近傍の樹脂成分を過剰に溶融させにくく、優れた耐熱保存性を有するトナーが得られやすい。そのため、R1が15.0%以下であり、12.0%以下であることが好ましく、10.0%以下であることがより好ましく、9.0以下であることがさらに好ましい。
また、トナー粒子の断面観察において、第1の領域における、全てのワックスドメインの占有面積率R2(%)としたとき、上記R1及びR2が下記式(2)を満たす。
R1(%)/R2(%) ≧ 0.60 ・・・ 式(2)
上記式(1)を満たし、R1(%)/R2(%)が0.60以上であることで、トナー粒子の表面近傍領域に存在する微小なワックスドメインの量に対して粗大なワックスドメインの量が十分に小さく、無機微粒子がトナー粒子に埋め込まれにくいと考えられる。そのため、R1(%)/R2(%)が0.60以上であり、0.80以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、R1(%)/R2(%)が0.97以下であることが好ましい。
また、上記R2は25.0%以下であることが好ましい。R2が25.0%以下であると、トナー粒子の表面近傍のワックス量が過大になりにくく、無機微粒子がトナー粒子に埋め込まれにくいと考えられる。そのため、R2が25.0%以下であることが好ましく、20.0%以下であることがより好ましく、15.0%以下であることがより好ましく。10.0%以下であることがさらに好ましい。下限は特に制限されないが、2.0%以上であることが好ましく、3.0%以上であることがより好ましく、5.0%以上であることがより好ましく、7.0%以上であることがさらに好ましい。
第1の領域における、ワックスドメインの占有面積率とは、第1の領域の面積に対する、ワックスドメインの面積の割合を意味する。
<トナー粒子の表面近傍のワックスドメインの長径>
トナー粒子の断面観察において、第1の領域における、全てのワックスドメインの長径の標準偏差が40nm以下であることが好ましい。該標準偏差が40nm以下であると、トナー粒子の表面近傍に存在するワックスドメインのサイズがばらつきにくく、トナーの低温定着性及び流動性がばらつきにくい。そのため、該標準偏差が40nm以下であることが好ましく、30nm以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、10nm以上であることが好ましい。
また、第1の領域における、全てのワックスドメインの長径の個数平均値をA1としたとき、A1が50~200nmであることが好ましい。A1が50nm以上であることで、トナー粒子の表面近傍のワックスドメインのサイズが過小になりにくく、優れた低温定着性を有するトナーが得られやすい。そのため、A1が50nm以上であることが好ましく、75nm以上であることがより好ましい。また、A1が200nm以下であると、トナー粒子の表面近傍のワックスドメインのサイズが過大になりにくく、優れた低温定着性を有し、且つ画像欠けを生じさせにくいトナーが得られやすい。そのため、A1が200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがより好ましく、85nm以下であることがさらに好ましい。
上記R1、R2、標準偏差及びA1は、トナー製造時のトナー粒子の製造条件(特に冷却工程及びアニール工程)、外添工程の条件、ワックスの種類、ワックスの添加量、により制御することができる。上記R1、R2、標準偏差及びA1が、上記の好ましい値を満たすためには、トナー粒子に含有されるワックスを微結晶化させるための工程及び、トナー粒子の表面近傍に存在するワックスを微結晶化させるための工程が必要であると、本発明者らは推測している。
トナー粒子に含有されるワックスを微結晶化させるための工程としては、後述する、トナー粒子を急激に冷却した後にアニールする工程などが挙げられる。これは、トナー粒子を急激に冷却することで、トナー粒子中に含有されるワックスの結晶核が形成されやすく、その後のアニールによって、該結晶核の結晶成長を促すことで、トナー粒子内に微小なワックスドメインが形成されやすいためであると考えられる。
また、トナー粒子の表面近傍に存在するワックスを微結晶化させるための工程としては、ワックスが結晶化しやすい温度で、トナー粒子に無機微粒子を外添する工程などが挙げられる。該温度で、トナー粒子に無機微粒子を外添することで、トナー粒子の表面近傍に存在する、結晶化していないワックスが、無機微粒子からの衝撃よって、多数の結晶核を形成しやすくなると推測される。その結果、トナー粒子の表面近傍に微小なワックスドメインが形成されやすくなると考えられる。
トナー粒子の断面観察において、トナー粒子の表面から600nm以上1500nm以下の領域を第2の領域とし、第2の領域における、全てのワックスドメインの長径の個数平均値をA2(nm)としたとき、上記A1(nm)及びA2(nm)が、下記式(3)を満たすことが好ましい。
A2-A1 ≧ 30 ・・・ 式(3)
A2-A1が30以上であると、トナー粒子の表面近傍の溶融に伴い、やや中心側の領域(第2の領域)に含有される比較的サイズが大きいワックスドメインが定着時に染み出しやすくなると考えられ、優れた低温定着性及び離型性を有するトナーが得られやすい。そのため、A2-A1は30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、70以下であることが好ましい。
また、上記A2は110~210nmであることが好ましい。A2が110nm以上であることで、トナー粒子の表面近傍よりもやや粒子の中心側の領域(第2の領域)に存在するワックスのサイズが過小になりにくく、優れた離型性を有するトナーが得られやすい。そのため、A2が110nm以上であることが好ましく、125nm以上であることがより好ましい。また、A2が210nm以下であると、無機微粒子がトナー粒子に埋め込まれにくいと考えられ、画像欠けを生じさせにくいトナーが得られやすい。そのため、A2が210nm以下であることが好ましく、160nm以下であることがより好ましく、140nm以下であることがさらに好ましい。
また、トナー粒子の断面観察において、トナー粒子の表面から1500nm以上の領域を第3の領域とし、第3の領域における、全てのワックスドメインの長径の個数平均値をA3(nm)としたとき、上記A1、上記A2及びA3が下記式(4)を満たすことが好ましい。
A1 < A2 < A3 ・・・ 式(4)
上記A1、A2、及びA3が上記式(4)を満たすことで、トナー粒子の中心から表面に向かうにつれて、ワックスドメインのサイズが小さくなりやすいため、無機微粒子がトナー粒子に埋め込まれにくく、且つ優れた離型性を有するトナーが得られやすい。
また、上記A3(nm)が下記式(5)を満たすことが好ましい。
800 ≦ A3(nm) ・・・ 式(5)
A3が800nm以上であることで、トナー粒子の中心側に十分な量のワックスが含有されやすい。その結果、定着時におけるトナー粒子の表面近傍の溶融に伴って、トナー粒子全体が急激に溶融しやすく、ワックスがトナー表面に染み出しやすくなるため、優れた低温定着性及び離型性を有するトナーが得られやすい。そのため、A3は800nm以上であることが好ましく、1000nm以上であることがより好ましい。上限としては3000nm以下である。
上記A2及びA3はトナーの製造に用いる、ワックスの種類、ワックスの添加量、により制御することができる。
<ワックスの種類>
トナー粒子がエステルワックスを含有することが好ましい。エステルワックスは、樹脂成分と相溶しやすいと考えられるため、定着時に樹脂成分を溶融させやすく、優れた低温定着性を有するトナーが得られやすい。
優れた低温定着性を有するトナーが得られやすいため、トナー粒子に含有される樹脂成分の質量に対する、エステルワックスの質量の割合が10.0~20.0質量%であることが好ましい。
トナー粒子に含有されるエステルワックスとしては、特に制限されず、以下のエステルワックスを用いることができる。
ステアリン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル等の単官能エステルワックス類;エチレングリコールジステアレート、セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネート等の二官能エステルワックス類;グリセリントリベヘネート等の三官能エステルワックス類;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート等の四官能エステルワックス類;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート等の六官能エステルワックス類;ポリグリセリンベヘネート等の多官能エステルワックス類;カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステルワックス類等。
また、トナー粒子が、エステルワックス及び炭化水素ワックスを含有することが好ましい。エステルワックスだけでなく、炭化水素ワックスをトナー粒子に含有させることで、トナー粒子の表面近傍に微小なワックスドメインを形成させやすい。これは炭化水素ワックスの結晶化速度が速く、トナー粒子近傍でエステルワックスと共に微結晶化しやすいためであると推測される。
画像欠けを生じさせにくいトナーが得られやすいため、トナー粒子に含有される樹脂成分の質量に対する、炭化水素ワックスの質量の割合が5.0~15.0質量%であることが好ましい。
トナーに含有される炭化水素ワックスとしては、特に制限されず、以下の炭化水素ワックスを用いることができる。
フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;長鎖脂肪酸等。
<結晶化ピーク温度>
ワックスの結晶化ピーク温度が、60~80℃であることが好ましい。結晶化ピーク温度が上記範囲内であると、トナー粒子内でワックスを微結晶化させやすいと推測される。その結果、上記式(1)及び(2)を満たすトナー粒子が得られやすいため好ましい。結晶化ピークの測定方法は後述する。ワックスの結晶化ピークは、トナーに含有されるワックスの種類によって制御できる。
<ワックスの含有割合>
トナー粒子に含有される樹脂成分の質量に対する、ワックスの質量の割合が10.0~35.0質量%であることが好ましい。ワックスが上記の割合でトナー粒子に含有されることで、画像欠けを生じさせにくく、優れた低温定着性及び離型性を有するトナーが得られやすい。より好ましくは、該割合が20.0~35.0質量%である。
<無機微粒子>
<無機微粒子の分散度>
無機微粒子のトナー粒子の表面における分散度が、2.0nm以下であることが好ましい。該分散度は下記式で算出される。
Figure 2022039986000001
(n:無機微粒子の個数、dn min:任意の無機微粒子と最近接の無機微粒子との距離、dave:1つのトナー粒子中における、各無機微粒子と最近接の無機微粒子との距離の平均値)
該分散度が小さいほど、トナー粒子の表面に存在する無機微粒子間の距離が近いことを意味している。該分散度が2.0以下であると、無機微粒子がトナー粒子の表面で均一に分散しやすい。その結果、トナー粒子の表面の無機微粒子によって、トナー粒子間の摩擦を低減することができ、トナーの流動性が低下しにくくなると考えられるため、定着画像に画像欠けを生じさせにくい。
上記無機微粒子のトナー表面における分散度は、外添工程の条件、無機微粒子の種類、及び無機微粒子の添加量により制御することができる。
<無機微粒子(X)>
無機微粒子が、一次粒子の長径が60~300nm以下の無機微粒子(X)を含有することが好ましい。無機微粒子(X)としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、チタン酸ストロンチウムなどの微粒子が使用できる。トナーの帯電均一化、及び流動性向上の観点から無機微粒子(X)はシリカ微粒子であることが好ましい。シリカ微粒子としては、例えば沈降法、ゾルゲル法等の湿式シリカ、爆燃法、ヒュームド法等の乾式シリカがあるが、トナー粒子の表面における分散性の観点から、ゾルゲル法等の湿式シリカ微粒子であることが好ましい。
<無機微粒子(X)の被覆率X(%)とトナー粒子の表面近傍のワックス量の関係>
上記無機微粒子(X)の被覆率をX(%)としたとき、該被覆率X(%)と上記R2(%)が下記式(6)を満たすことが好ましい。
X ≦ R2 ・・・ 式(6)
上記被覆率X及びトナー粒子の表面近傍のワックスドメインの占有面積率R2の関係が式(6)を満たす場合に、優れた低温定着性を有するトナーが得られやすかった。
また、上記被覆率Xが1.0~8.0であることが好ましい。被覆率Xが1.0以上であると、トナーの流動性が向上しやすく、定着画像に画像欠けを生じさせにくい。そのため、被覆率Xが1以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、4.0以上であることがさらに好ましい。また、被覆率Xが8.0以下であると、トナー粒子の表面に存在する無機微粒子の量が過大になりにくい。そのため、8.0以下であることがこのましく、6.0以下であることがより好ましい。
無機微粒子(X)の被覆率Xは、外添工程の製造条件、無機微粒子の種類、及び無機微粒子の添加量により制御することができる。
<無機微粒子(Y)>
また、トナーの流動性及び帯電性を向上させるため、無機微粒子が、一次粒子の長径が5~30nmの無機微粒子(Y)を含有することが好ましい。
無機微粒子(Y)としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如きシリカ微粒子、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物が挙げられる。
好ましい無機微粒子(Y)としては、乾式シリカ微粒子である。より好ましくは、疎水化処理された、乾式シリカ微粒子である。乾式シリカ微粒子としては、例えば、以下のものを例示できる。
AEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84、Ca-O-SiL(CABOT Co.社)M-5、MS-7、MS-75、HS-5、EH-5、Wacker HDK N 20(WACKER-CHEMIE GMBH社)V15、N20E、T30、T40、D-C Fine Silica(ダウコーニングCo.社)、Fransol(Fransil社)。
<樹脂成分>
樹脂成分は結着樹脂であることが好ましい。即ち、結着樹脂及びワックスを含有するトナー粒子であることが好ましい。
樹脂成分に含有される樹脂としては特に制限されず、例えば以下のものを用いることができる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂。これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。この中でも特にスチレン-アクリル酸ブチル共重合体などのスチレンアクリル樹脂が現像特性、定着性等の観点から好ましい。また、樹脂成分中のスチレンアクリル樹脂の含有割合が、80.0~100.0質量%であることが好ましい。
<スチレンアクリル樹脂>
上記スチレンアクリル樹脂を構成するモノマーユニットに対応する重合性単量体としては、以下のものが例示できる。
スチレン系重合性単量体として、スチレン;α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-エチルスチレンなどのスチレン系重合性単量体。
アクリル系重合性単量体として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレートなどのアクリル系重合性単量体。
メタクリル系重合性単量体として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体。
その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
なお、スチレンアクリル樹脂の製造方法は、特に限定されない。また、樹脂成分はスチレンアクリル樹脂以外の樹脂を組み合わせて使用することもできる。
<非晶性ポリエステル>
樹脂成分は、非晶性ポリエステルを含有していてもよく、非晶性ポリエステルとしては、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、又はその両者を適宜選択して使用することが可能である。樹脂成分中の非晶性ポリエステルの含有割合は、0.1~10.0質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1~5.0質量%である。
非晶性ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分から構成される樹脂であり、両成分について以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、また下記式(A)で示されるビスフェノール及びその誘導体;下記式(B)式で示されるジオール類等が挙げられる。
Figure 2022039986000002
(式(A)において、Rは、(-CH-CH-)又は(-CH-CH-CH-)である。x及びyは、それぞれ0以上の整数であり、x+yの平均値は0~10である。)
Figure 2022039986000003
(式(B)において、R’は、上記(B1)~(B3)の何れか1つである。x’及びy’は、0以上の整数であり、x’+y’の平均値は0~10である。)
非晶性ポリエステルのアルコール成分は、式(A)で示されるビスフェノール及びその誘導体であることが好ましい。また、式(A)中のx+yの平均値が1~4であることがより好ましい。また、式(A)中のRが(-CH-CH-)であることがより好ましい。
カルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類;n-ドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類又はアルキルコハク酸類;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類;上記カルボン酸類の酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。
非晶性ポリエステルのカルボン酸成分は、テレフタル酸、イソフタル酸等のようなベンゼンジカルボン酸類であることが好ましく、テレフタル酸であることがより好ましい。
<トナーの物性>
<トナーのガラス転移温度>
優れた低温定着性を有するトナーが得られやすいため、トナーのガラス転移温度は45~55℃であることが好ましい。
<トナーの重量平均粒子径(D4)>
トナーの重量平均粒子径(D4)が5.0~10.0μmであることが好ましい。トナーの重量平均粒子径(D4)が上記範囲であることで、トナーの帯電安定性、定着性、現像性が適切に保たれやすい。より好ましくは、トナーのD4が5.0~9.0μmである。
トナーの重量平均粒子径(D4)は、粉砕法でトナーを製造する場合は、粉砕条件により制御することができる。また、水系媒体中でトナーを製造する場合は、分散安定剤の量や撹拌機の回転数等により制御することができる。
同様に、トナー粒子の重量平均粒子径(D4)が、5.0~10.0μmであることが好ましい。
また、トナー粒子の粒子径が4.0~9.0μmであることが好ましい。
<各種添加剤>
トナーは、必要により、着色剤、磁性体、荷電制御剤及び流動化剤などから選ばれる1種以上の添加剤を含有してもよい。トナーに用いられる各種添加剤について具体的に記載する。
<着色剤>
着色剤としては例えば、以下のものが挙げられる・
黒色着色剤として、カーボンブラック、磁性体、又は以下に示すイエロー、マゼンタ、及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたもの。
イエロー着色剤として、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物など。
マゼンタ着色剤として、モノアゾ化合物、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物など。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
<磁性体>
磁性体としては、四三酸化鉄やγ-酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含むものが挙げられる。磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
<荷電制御剤>
負荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤。
正荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートのようなジオルガノスズボレート類;樹脂系帯電制御剤。
これらを単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
中でも、含金属サリチル酸系化合物であることが好ましく、その金属がアルミニウム又はジルコニウムであるものがより好ましい。さらに好ましくは、サリチル酸アルミニウム化合物である。
また、樹脂系帯電制御剤として、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体を用いることも、同様に好ましい。
荷電制御剤の含有割合は、樹脂成分100.0質量部に対して、0.01~20.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05~10.0質量部である。
<トナーの製造方法>
トナーは、粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法などの何れの方法において製造されてもよいが、これらに限定されるものではない。トナー粒子中に含有されるワックスの存在状態を制御しやすいため、懸濁重合法で製造されることが好ましい。
また、本開示のトナーを製造する製造方法の好ましい工程として、冷却工程、及びアニール工程について以下に記載する。
冷却工程として、揮発成分除去工程が終了したトナー粒子の分散液を次の工程に送る前に、冷却開始温度から冷却到達温度まで温度を下げる冷却工程を行うことが好ましい。冷却工程の条件によってトナー粒子中にワックスドメインの結晶核の形成されやすさが制御できると考えられる。冷却の条件変更は、冷却開始温度、冷却速度、冷却到達温度を変更することによって行う。
ワックスの結晶化ピーク温度をTaとしたとき、トナーの製造方法が、上記Ta+15(℃)~上記Ta+35(℃)において、トナー粒子の分散液を保持する保持工程を有することが好ましい。該温度範囲においてトナー粒子を保持する工程を有することで、トナー粒子中のワックスの流動性が向上し、トナー粒子中にワックスを分散させやすくなると推測される。
また、上記の保持工程を経た分散液を、40.0~200.0℃/分の冷却速度で、冷却開始温度から冷却到達温度まで冷却する、冷却工程を有することが好ましい。
冷却速度が上記範囲内であると、冷却に伴うワックスの結晶化が十分に速く、トナー粒子中にワックスドメインの結晶核を形成させやすくなると推測される。該冷却速度は100.0~140.0℃/分であることがより好ましい。
冷却開始温度は、上記Ta+15(℃)~上記Ta+35(℃)であり、冷却到達温度が上記Ta-35(℃)~上記Ta-20℃(℃)であることが好ましい。
冷却開始温度が上記範囲内であると、トナー粒子中でワックスが溶融しやすく、トナー粒子全体にワックスが分散されやすいため好ましい。
冷却到達温度が上記範囲であると、トナー粒子中のワックスが迅速に結晶化するため、トナー粒子中でワックスの結晶核が多数形成されやすいと考えられる。多数の結晶核が形成されるため、ワックスドメインが結晶成長して合一することを抑制させやすく、微小なワックスドメインが形成されやすいと考えられる。
冷却工程を経た分散液を、ワックスの結晶化を促進するためにアニール工程を行うことが好ましい。アニール工程において、冷却工程で形成した結晶核を中心にワックスを微結晶化させやすくなると推測される。
アニール工程の条件は、アニール温度、アニール時間によって決めることができる。アニール温度、及びアニール時間としては、上記分散液を、上記Ta-35(℃)~上記Ta-20℃(℃)で、30分以上保持することが好ましい。また、アニール工程の時間は150分以内であることが好ましい。
また、アニール工程を経た分散液から、トナー粒子を取り出した後、前記Ta-35(℃)~前記Ta-20(℃)で、該トナー粒子と無機微粒子を混合する外添工程を有することが好ましい。上記の温度範囲内でトナー粒子に無機微粒子を外添することで、トナー粒子の表面近傍に存在する、結晶化していないワックスが、無機微粒子からの衝撃よって、多数の結晶核を形成しやすくなると推測される。その結果、トナー粒子の表面近傍に微小なワックスドメインが形成されやすくなると、本発明者らは推測している。
上記の製造工程を経て製造されるトナーは、上記R1及びA1が上記の好ましい範囲を満たしやすいため好ましい。
即ち、トナーの製造方法が、
(i)水系媒体中で、重合性単量体及びワックスを含有する粒子を形成する工程、
(ii)前記粒子に含有される前記重合性単量体を重合させ、トナー粒子を形成する工程、
(iii)前記ワックスの結晶化ピーク温度をTa(℃)としたとき、前記トナー粒子が分散された分散液を前記Ta+15(℃)~前記Ta+35(℃)で保持し、その後、前記Ta+15(℃)~前記Ta+35(℃)から、前記Ta-35(℃)~前記Ta-20(℃)まで、40.0~200.0℃/分の冷却速度で冷却する冷却する冷却工程、
(iv)前記工程(iii)で得られた前記分散液を、前記Ta-35(℃)~前記Ta-20(℃)で30分以上保持するアニール工程、
(v)前記工程(iv)を経た前記分散液から前記トナー粒子を得る工程、及び
(vi)前記Ta-35(℃)~前記Ta-20(℃)において、前記トナー粒子に無機微粒子を外添する外添工程を有するトナーの製造方法であることが好ましい。
トナー粒子中にワックスが複数種含有される場合、上記Taの値は、トナー粒子中の含有割合が最も大きいワックスの結晶化ピーク温度とする。
<各種測定方法等>
以下、各種の測定方法等に関して記載する。
<トナー粒子の断面の特定領域における、ワックスドメインの占有面積率の測定方法>
(1)STEMによるトナーの断面の観察
トナー内部のワックス等の結晶性材料を観察するには、トナーの切片を作製した後、四酸化ルテニウムで染色し、STEM観察を行う。四酸化ルテニウムで染色することで、STEM観察時に結着樹脂などの非晶性樹脂とワックス等の結晶性材料との間にコントラスト差が生じる。このため、ワックス等の結晶性材料を区別しやすく観察することが可能である。
まず、可視光硬化性樹脂(商品名:アロニックスLCRシリーズD-800、東亞合成(株)製)中にトナーを分散させた後、短波長光を照射して硬化させる。得られた硬化物を、ダイアモンドナイフを備えたウルトラミクロトームで切り出し、250nmの薄片状サンプルを作製する。
次いで、切り出したサンプルを透過型電子顕微鏡(商品名:電子顕微鏡JEM-2800、日本電子(株)製)(TEM-EDX)を用いて4万倍~5万倍の倍率で拡大し、トナー粒子の断面画像を得る。
なお、観察するトナーは以下のように選択する。
まず、トナーの粒子の断面の画像から、トナーの粒子の断面積を求め、その断面積と等しい面積を持つ円の直径(円相当径)を求める。この円相当径とトナーの重量平均粒径(D4)との差の絶対値が1.0μm以内であるトナーの粒子の断面の画像についてのみ観察する。
(2)画像解析ソフトウェアを用いた2値化
TEM画像のワックスドメイン部分を、画像解析ソフトウェアを用いて2値化する。本開示においては、画像解析ソフトウェアであるImageJを用いて2値化を行った。2値化の条件は、観察条件などにより適切に選択する。ImageJとは、「https://imagej.nih.gov/ij/」より入手可能な、画像解析ソフトウェアである。
トナー粒子の断面観察において特定の領域における、ワックスドメインの占有面積率の測定の一例として、トナー粒子の表面から600nm内側までの領域(第1の領域)における、ワックスドメインの占有面積率の測定を以下に記載する。
2値化前のTEM画像をImageJを用いて再度開き、[Process]-[Find Edge]と選択し、トナーの輪郭を抽出する。[Analyze]-[Set Measurements]から[centroid]を選択後、[Analyze]-[Analyze Particles]と選択し、トナーの重心位置を求め、この重心位置から任意のトナーの輪郭までの長さを求める。この輪郭までの長さが600nm短くなるように[Image]-[Scale]と選択し、画像を縮尺する。縮尺した画像を初期にワックスドメインを2値化した画像と重ね合わせ、トナー粒子の表面から600nm以上の領域をマスクする。
(3)トナー粒子の表面から600nmまでの領域における、長径が10~120nmのワックスドメインの占有面積率R1及びワックスドメインの占有面積率R2の測定方法Image Jにおいて、上記2値化の操作終了後、[Analyze]-[Set Measurements]から[Feret’s Diameter]及び[Area]を選択後、[Analyze]-[Analyze Particles]と選択し、全てのワックスドメインの面積及び長径を求め、長径が10nm以上120nm以下のドメインの総面積を算出する。また、縮小前後のトナー輪郭抽出画像を用いて、トナー表面から600nm内部の全領域が2値化されるようにする。トナー粒子の表面から600nmまでの領域の面積を[Analyze]-[Analyze Particles]と選択して求め、長径が10nm以上120nm以下のワックスドメインの占有面積率、及び全てのワックスドメインの占有面積率を求める。
上記操作を10個のトナー粒子のSTEM断面像で行う。トナー粒子の表面から600nmまでの領域における、長径が10nm以上120nm以下のワックスドメインの占有面積率の平均値をR1とし、同様に、該領域における全てのワックスドメインの占有面積率の平均値をR2とする。また、上記で求めた全てのワックスドメインの長径から、全てのワックスドメインの長径の標準偏差及び個数平均値A1を算出できる。該標準偏差及び個数平均値A1は、上記と同様、10個のトナー粒子のSTEM断面像それぞれにおいて算出された値の平均値である。
本開示に係るA2、及びA3も上記操作と同様にして算出することができる。
図1におけるワックスドメイン4のようにトナー粒子断面の輪郭線2から重心方向に上記輪郭線を600nm内側の距離だけ縮小した輪郭線3をまたぐ場合、占有面積が最も大きい領域に属するものとして算出を行う。
<トナー及びトナー粒子の重量平均粒子径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒子径(D4)は、以下のようにして測定する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。
(4)上記(2)のビーカーを超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子10mgを少量ずつ電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した上記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒子径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」がトナーの重量平均粒子径(D4)である。
トナー粒子の重量平均粒子径(D4)も上記と同様に測定する。
<トナー粒子の表面における無機微粒子の分散度>
トナー粒子の表面における無機微粒子の分散度の算出は走査型電子顕微鏡「S-4800(日立ハイテクノロジーズ社製)」を用いて行う。1万倍に拡大した視野で、無機微粒子がトナー粒子に外添されているトナーを、同一視野で加速電圧1.0kVで観察した。観察した画像から、画像処理ソフト「ImageJ」を使用し、以下のように算出した。
無機微粒子のみが抽出されるように2値化し、無機微粒子の個数n、全無機微粒子に対し重心座標を算出し、各無機微粒子に対する最近接の外添剤との距離dn minを算出した。1つのトナー粒子における各無機微粒子間の最近接距離の平均値をdaveとすると、分散度は下記式で示される。
Figure 2022039986000004
ランダムに観察した50個のトナーについて上記の手順にて分散度を求め、その平均値をトナー粒子の表面における無機微粒子の分散度とした。
<トナー粒子の表面における無機微粒子(X)の被覆率Xの測定方法>
被覆率Xは、上記の走査型電子顕微鏡「S-4800」にて撮影されたトナー表面画像を、上記の画像解析ソフトウェアImageJを用いて解析し、算出する。算出までの詳細を以下に示す。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S-4800観察条件設定
被覆率の算出は、S-4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。被覆率を測定する際には、予めエネルギー分散型X線分析装置(EDAX)による元素分析を行い、トナー表面における無機微粒子以外の粒子(樹脂粒子など)を除外した上で測定を行う。
S-4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[1.1kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[4.5mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を1つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50,000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー粒子1個に対して写真を1枚撮影し、トナー粒子25個の画像を得る。
(5)画像解析
本開示では下記解析ソフトを用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで被覆率を算出する。このとき、上記一画面を正方形で12分割してそれぞれ解析する。画像解析ソフトImageJの解析条件は以下のとおりである。
被覆率Xは、上記操作において分割した正方形領域の中において計算する。このとき、領域の面積(C)は24000~26000ピクセルになるようにする。
Image-Jにおいて、[Analyze]-[Set Measurements]から[Feret’s Diameter]及び[Area]を選択後、[Analyze]-[Analyze Particles]と選択し、無機微粒子の総面積及び一次粒子の長径を求め、一次粒子の長径が60nm以上300nm以下の無機微粒子の総面積を算出する。またこの画像解析を行うことで無機微粒子の一次粒子の長径を測定することができる。
正方形の領域の面積C、一次粒子の長径が60nm以上300nm以下の無機微粒子が存在する領域の面積の総和Dから下記式で被覆率が求められる。
被覆率(%)=D/C×100
得られた全データの平均値を被覆率Xとする。
<試料のガラス転移温度、結晶化ピーク温度及び融点の測定方法>
試料のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000(TA Instruments社製)」を用い、ASTM D3418-82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いる。
測定温度範囲を-10℃~200℃とし、昇温速度10℃/分で測定を行う。なお、測定においては、一度、-10℃から200℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、続いて200℃から-10℃まで降温速度10℃/分で降温する。
その後、-10℃から200℃まで昇温速度10℃/分で再度昇温を行う。
結晶化ピーク温度は、該1度目の降温時の温度200℃から-10℃の範囲におけるDSC曲線から得る。
該1回目の降温時のDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後をベースラインとして、最もピーク高さが高い温度を試料の結晶化ピーク温度とする。
ガラス転移温度は、該2度目の昇温時の温度20℃から100℃の範囲におけるDSC曲線から得る。
該2回目の昇温時のDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線とDSC曲線との交点における温度(℃)を、試料のガラス転移温度とする。また、該2回目の昇温時のDSC曲線において、最もピーク高さが高い温度を試料の融点とする。
以下に実施例及び比較例を挙げて本開示を更に詳細に説明するが、本開示は何らこれに限定されるものではない。実施例中で使用する部は特に断りのない限り質量基準である。
(ワックス1の製造例)
・ステアリン酸 100.0質量部
・ベヘニルアルコール 252.0質量部
・p-トルエンスルホン酸 0.50質量部
還流下にて上記材料を加え、120℃で6時間エステル化反応を進行させた。この間、生成する水はトルエン/水共沸にて系中より除いた。反応終了後にp-トルエンスルホン酸を、炭酸水素ナトリウムを用いて中和した。得られた溶液からトルエンを留去して生成物を得た。生成物を90℃に加熱した後セライト濾過することによりp-トルエンスルホン酸ナトリウムを除去し、ワックス1を得た。得られたワックス1の物性を表1に示す。
(ワックス2及びワックス4の製造例)
ワックス1の製造例において、使用する酸モノマー、アルコールモノマーの種類及び量を表1の通り変更する以外はワックス1の製造例と同様の操作を行い、ワックス2及びワックス4を得た。ワックス2及びワックス4の物性を表1に示す。
また、ワックス3及びワックス5の物性を表1に示す。
Figure 2022039986000005
<無機微粒子1の製造例>
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルのガラス製反応器に、589.6部のメタノール、42.0部の水、47.1部の28質量%アンモニア水を加えて混合した。得られた溶液を35℃となるように調整し、撹拌しながら、1100.0部のテトラメトキシシラン及び395.2部の5.4質量%アンモニア水を同時に添加し始めた。テトラメトキシシランは6時間かけて、アンモニア水は5時間かけて、それぞれを滴下した。滴下が終了した後、さらに0.5時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール-水分散液を得た。次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、上記分散液を80℃、減圧下で十分乾燥させて無機微粒子原体を得た。上記工程を数十回実施し、得られた無機微粒子原体を、パルベライザー(ホソカワミクロン社製)にて解砕処理を行なった。
その後、解砕処理を行った無機微粒子原体500部を、ポリテトラフルオロエチレン内筒式ステンレスオートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、オートクレーブ付属の撹拌羽を400rpmで回転させながら、0.5部のHMDS(ヘキサメチルジシラザン)及び0.1部の水を二流体ノズルにて霧状にしてシリカ粉末に均一になるように吹き付けた。30分間撹拌した後、オートクレーブを密閉し、200℃で2時間加熱した。続いて、加熱したまま系中を減圧して脱アンモニアを行い、無機微粒子1を得た。得られた無機微粒子1の物性を表2に示す。
<無機微粒子2~5の製造例>
無機微粒子1の製造例において、使用するメタノールの量、テトラメトキシシランの滴下時間、及び5.4質量%アンモニア水の滴下時間を表2の通りに変更した以外は同様に操作を行い、無機微粒子2~5を得た。その際、HMDSによる表面処理は、炭素量が無機微粒子1と同じ量になるように、HMDS及び水の量を調整した。得られた無機微粒子2~5の物性を表2に示す。
<無機微粒子6の製造例>
無機微粒子6としては乾式シリカ微粒子(HMDSによる疎水化処理、BET比表面積:200m/g)を用いた。無機微粒子6の物性を表2に示す。
Figure 2022039986000006
<トナー粒子1の製造例>
下記材料を、アトライター(日本コークス工業株式会社)を用いて混合し、2時間撹拌して材料を溶解させ、単量体組成物を得た。
・スチレン 36.0質量部
・アクリル酸n-ブチル 28.0質量部
・帯電制御剤 ボントロンE-88(オリエント化学社製) 1.0質量部
・非晶性ポリエステル(ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とテレフタル酸との縮重合反応により得られる飽和ポリエステル(数平均分子量=5000、酸価=6mgKOH/g、ガラス転移温度=68℃)) 3.0質量部
また、下記材料を混合し、アトライター(日本コークス工業株式会社製)にてジルコニアビーズ(3/16インチ)とともに1.7m/sで3時間撹拌し、ビーズを分離して着色剤分散液を得た。
・スチレン 36.0質量部
・着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化社製)) 6.0質量部
次いで、下記材料を混合して混合物を得た。
・単量体組成物 75.0質量部
・着色剤分散液 42.25質量部
得られた混合物を60℃に加温し、20.0質量部のワックス1及び10.0質量部のワックス5を加えた。次いで、重合開始剤(2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル))を10.0質量部添加し、5分間撹拌して重合性単量体組成物を得た。
一方、高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中に0.1mol/L-NaPO水溶液850質量部及び10%塩酸8.0質量部を添加し、回転数を33m/sに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/L-CaCl水溶液68質量部を添加し、微小な難水溶性分散剤Ca(POを含む水系媒体を調製した。
上記重合開始剤投入の5分後に、60℃の重合性単量体組成物を温度60℃に加温した水系媒体に投入し、クレアミックスを33m/sで回転させながら15分間造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置で攪拌しつつ、温度70℃で5時間反応させた後、温度85℃まで昇温し、更に4時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、懸濁液を100℃まで昇温させ、2時間保持し、加熱減圧下で残存モノマーを除去した。次いで、冷却工程として、懸濁液を120℃/分(冷却速度)で95℃(開始温度)から45℃(到達温度)まで冷却した。冷却後、アニール工程として、懸濁液を50℃まで昇温し、120分間保持した。アニール工程後に塩酸を添加してpHを2.0以下まで低下させ、難水溶性分散材を溶解させた。さらに水洗浄を数回繰り返した後、乾燥機を用いて40℃にて72時間乾燥し、その後、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級することで、トナー粒子1を得た。トナー粒子1の物性を表3に示す。
<トナー粒子2~18、及びトナー粒子21、22の製造例>
トナー粒子1の製造において、水系媒体の調製、ワックスの種類、ワックスの添加量、及び冷却工程の急冷速度、アニール工程の温度を表3のように変更したこと以外は同様に操作を行い、トナー粒子2~18、及びトナー粒子21、22を得た。得られたトナー粒子2~18、及びトナー粒子21、22の物性を表3に示す。
<トナー粒子19の製造例>
・結着樹脂(スチレン-アクリル酸n-ブチル共重合体(共重合比=79.0:21.0、Tg=50℃)) 100.0質量部
・着色剤(C.I.Pigment Blue 15:3(大日精化社製)) 6.0質量部
・ワックス5 10.0部
・電荷制御剤(ボントロンE-88、オリエント化学社製) 2.0部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM-30型))を用いて溶融混練し、混練物を得た。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T-250)で粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、トナー粒子19を得た。得られたトナー粒子19の物性を表3に示す。
<トナー粒子20の製造例>
(樹脂微粒子分散液の調製)
フラスコ中で下記の材料を混合し、水系媒体を調製した。
・イオン交換水 500.0質量部
・非イオン性界面活性剤 ノニポール400(三洋化成製) 6.0質量部
・アニオン性界面活性剤 ネオゲンSC(第一工業製薬製) 10.0質量部
また、下記の材料を混合し、混合溶液を得た。
・スチレン 79.0質量部
・アクリル酸n-ブチル 21.0質量部
・帯電制御剤 ボントロンE-88(オリエント化学社製) 1.0質量部
上記の混合溶液を上記水系媒体中に分散・乳化させて、10分間ゆっくりと撹拌・混合しながら、重合開始剤として過硫酸アンモニウム4.0質量部を溶解したイオン交換水溶液50質量部を投入した。次いで、系内を十分に窒素で置換した後、フラスコを撹拌しながらオイルバスで系内が温度70℃になるまで加熱し、5時間重合反応を行った。これによりアニオン性樹脂微粒子分散液を得た。
(着色剤微粒子分散液の調製)
下記材料を、ウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて10分間分散させ、着色剤微粒子分散液を得た。
・イオン交換水 100.0質量部
・着色剤(C.I.Pigment Blue15:3(大日精化社製)) 6.0質量部
・非イオン性界面活性剤(ノニポール400(三洋化成製)) 1.0質量部
(ワックス微粒子分散液の調製)
・イオン交換水 100.0質量部
・ワックス5 10.0質量部
・カチオン性界面活性剤 サニゾールB50(花王製) 5.0質量部
上記成分を温度95℃に加熱して、ウルトラタラックスT50で十分に分散させた後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、ワックス微粒子分散液を得た。
(樹脂微粒子分散液の調製)
下記材料を混合撹拌した後、ウルトラタラックスT50を用いて乳化させながら、温度80℃で6時間保持することで脱溶剤を行い、樹脂微粒子分散液を得た。
・イオン交換水 100.0質量部
・酢酸エチル 50.0質量部
・樹脂(スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸/メタクリル酸-2-ヒドロキシエチルの共重合体。重量平均分子量が14000、数平均分子量が6000、ピークトップ分子量が14000、ガラス転移温度が92℃、酸価が20mgKOH/g、水酸基価が10mgKOH/g) 10.0質量部
(トナー粒子の作製)
上記樹脂微粒子分散液、上記着色剤微粒子分散液、上記ワックス微粒子分散液、及びポリ塩化アルミニウム1.2質量部を混合して、丸型ステンレス製フラスコ中でウルトラタラックスT50を用い十分に混合・分散させた。その後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら温度51℃まで加熱した。温度51℃で60分保持した後、ここに上記樹脂微粒子分散液を添加した。その後、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを6.5に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、撹拌軸のシールを磁力シールして撹拌を継続しながら温度95℃まで加熱して6時間保持した。
反応終了後、20℃まで放冷し、濾過、洗浄、乾燥及び分級を行い、トナー粒子20を得た。トナー粒子20の物性を表3に示す。
Figure 2022039986000007
※トナー粒子6~9は、水系媒体を調製する際に用いた各水溶液の部数を変更することにより、得られるトナー粒子の重量平均粒子径を制御した。変更した部数を以下に示す。
トナー粒子6:NaPO水溶液を840部、10%塩酸を8.8部、及びCaCl水溶液を75部に変更。
トナー粒子7:NaPO水溶液を865部、10%塩酸を5.5部、及びCaCl水溶液を47部に変更。
トナー粒子8:NaPO水溶液を830部、10%塩酸を9.6部、及びCaCl水溶液を82部に変更。
トナー粒子9:NaPO水溶液を876部、10%塩酸を3.9部、及びCaCl水溶液を33部に変更。
<トナー1の製造例>
処理羽根を、図3に示す回転体から、図2に示す回転体に変更したFMミキサ(日本コークス工業株式会社製FM10C)に、100.0部のトナー粒子1及び0.5部の無機微粒子1(無機微粒子(X))を投入した。その後、2000rpmで10分間混合する一段目外添を実施し、トナー前駆体1-1を得た。
この際、混合開始と同時にジャケット内に温水と冷水を適宜通水し槽内温度を45℃に保持した。
その後、二段目外添の工程として、100質量部のトナー前駆体1-1と0.5部の無機微粒子6を、ジャケット内に7℃の水を通水したFMミキサ(日本コークス工業株式会社製FM10C)中に投入した。ジャケット内の水温が7℃±1℃で安定してから、3000rpmで5分間混合しトナー前駆体1-2を得た。この際、FMミキサの槽内温度が25℃を超えないようジャケット内の通水流量を適宜調整した。
トナー前駆体1-2を目開き75μmのメッシュで篩い、トナー1(シアントナー)を得た。トナー1の物性を表5に示す。
尚、図3に示す回転体は、上記のFM10Cが販売時に有している回転体である。図2及び図3において、140及び150は、処理羽根であり、141及び151は、処理羽根の本体であり、142及び152は、処理部である。また、それぞれの図において、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
<トナー2~37の製造例>
トナー1の製造例においてトナー粒子の種類、無機微粒子(X)の種類及び部、処理羽根の変更の有無、一段目外添の条件、二段目外添の有無を表4の様に変更した以外は同様の操作を行い、トナー2~37を得た。トナー2~37の物性を表5に示す。
Figure 2022039986000008
Figure 2022039986000009
表5における略号は以下の通り。
D4:トナーの重量平均粒子径
Tg:トナーのガラス転移温度
R1:トナー粒子の表面から600nm内側までの領域における、長径が10~120nmのワックスドメインの占有面積率
R2:トナー粒子の表面から600nm内側までの領域における、全てのワックスドメインの占有面積率
標準偏差:トナー粒子の表面から600nm内側までの領域における、全てのワックスドメインの長径の標準偏差
A1:トナー粒子の表面から600nm内側までの領域における、全てのワックスドメインの長径の個数平均値
A2:トナー粒子の表面から600nm以上1500nm以下の領域における、全てのワックスドメインの長径の個数平均値
A3:トナー粒子の表面から1500nm以上の領域における、全てのワックスドメインの長径の個数平均値
被覆率X:トナー粒子の表面における無機微粒子(X)の被覆率
<実施例1>
トナー1を以下のようにして評価した。評価結果を表6に示す。
<トナーの低温定着性の評価>
まず、レーザープリンタ(商品名:HP LaserJet Enterprise M553X、HP社製)の改造機から定着器を取り出した。上記改造機の改造点はトナーの載り量を任意に設定し、未定着画像を得られるようにした点である。取り出した上記の定着器は、該定着器の温度を任意に設定できるように改造した。また、白色用紙(商品名:プローバーボンド紙(105g/m)、フォックスリバー社製)を、常温高湿環境(温度25℃、湿度80%RH)に3日間放置した。
上記の改造機、改造された定着器及び白色用紙を用いて、トナーの低温定着性の評価を行った。上記の改造機を用いて、単位面積当たりのトナー載り量を0.5mg/cmに設定した未定着画像を用意した後、常温高湿環境(温度25℃、湿度80%RH)において、該未定着画像を、150℃に設定した上記定着器に通して、定着画像を得た。
得られた定着画像の画像濃度を測定した後、該定着画像に対して4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけたシルボン紙で摺擦し、再び定着画像の画像濃度を測定した。摺擦前後での画像濃度の低下率(%)を算出し、その値でトナーの低温定着性を評価した。結果を表6に示す。画像濃度の低下率が20.0%未満であるものを本開示の効果が得られているものと判断した。上記の画像濃度の測定は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)を使用し、SPIフィルターを用いて測定した。
<高温高湿環境での画像濃度の評価>
レーザープリンタ(商品名:HP LaserJet Enterprise M553X、HP社製)の改造機及び、白色用紙(商品名:PB PAPER、キヤノンマーケティングジャパン社、坪量66g/cm、レター)を使用し、高温高湿環境で画像出力を行った際の画像濃度について評価を行った。上記改造機の改造点はプロセススピード400mm/sに変更した点であった。
まず、カートリッジ内部のトナーを取り出して空にした後、トナー1をカートリッジ内部に300g充填した。
印字率が1.5%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるモードに設定し、高温高湿環境(温度32.5℃、湿度85%RH)で5,000枚の画像を出力した。
上記の5000枚の画像出力の後に、先端余白5mm、左右余白5mmで、左、右、中央の3箇所、さらにこれを長手方向に30mm間隔で3箇所、合計で9個に5mm×5mmのベタ黒画像を有する画像を1枚出力した。
該画像における9箇所のベタ黒画像の画像濃度を測定し、その平均値を用いて、高温高湿環境で画像出力を行った際の画像濃度を評価した。結果を表6に示す。画像濃度の測定は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)を使用し、SPIフィルターを用いて測定した。該測定において画像濃度が1.20以上のものを良好な画像濃度が得られているものと判断した。
<高温高湿環境での画像欠けの評価>
上記の高温高湿環境での画像濃度の評価で用いた改造機及び白色用紙を用いて、高温高湿環境で画像出力を行った際の画像欠けについて評価を行った。
印字率が1.5%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるモードに設定し、高温高湿環境(温度32.5℃、湿度85%RH)で5000枚の画像を出力した。
上記の5000枚の画像出力の前後に、先端余白5mm、左右余白5mmで全面ベタ画像を出力し、該ベタ画像の両方の画像濃度がマクベス濃度計で1.50~1.55となるように現像バイアスを調整した。その後、調整したバイアス設定で、直径180μmのドットを100個有する画像を1枚出力した。該画像中の100個のドットのうち、何個のドットで画像欠けが発生しているかを目視で確認し、その個数で高湿環境下での画像欠けについて評価した。画像欠けが発生したドットが20個以下であるものを、本開示の効果が得られているものと判断した。
<実施例2~31、比較例1~6>
トナー1を表6に記載したトナーに変更した以外は同様の操作を行い、トナー1~37の評価を行った。評価結果を表6に示す。
Figure 2022039986000010
1 微小なワックスドメイン
2 トナー粒子の表面の輪郭線
3 トナー粒子の表面から600nm内側の距離だけ縮小した輪郭線
4 トナー粒子の表面から600nm内側の距離だけ縮小した輪郭線をまたぐワックスドメイン
5 粗大なワックスドメイン
6 無機微粒子
140 処理羽根
141 処理羽根の本体
142 処理部
150 処理羽根
151 処理羽根の本体
152 処理部

Claims (13)

  1. 樹脂成分及びワックスを含有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面の無機微粒子と、を含有するトナーであって、
    前記トナー粒子の断面観察において、
    前記ワックスを含むドメインが観察され、
    前記トナー粒子の表面から600nm内側までの領域を第1の領域とし、
    前記第1の領域における、長径が10~120nmの前記ドメインの占有面積率をR1(%)とし、
    前記第1の領域における、全ての前記ドメインの占有面積率R2(%)としたとき、
    前記R1(%)及び前記R2(%)が、下記式(1)及び下記式(2)を満たす
    2.0 ≦ R1(%) ≦ 15.0 ・・・ 式(1)
    R1(%)/R2(%) ≧ 0.60 ・・・ 式(2)
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記トナー粒子の断面観察において、
    前記第1の領域における、全ての前記ドメインの長径の標準偏差が、40nm以下である
    請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナー粒子の断面観察において、
    前記第1の領域における、全ての前記ドメインの長径の個数平均値をA1とし、
    前記トナー粒子の表面から600nm以上1500nm以下の領域を第2の領域とし、
    前記第2の領域における、全ての前記ドメインの長径の個数平均値をA2としたとき、
    前記A1及び前記A2が下記式(3)を満たす
    A2-A1 ≧ 30nm ・・・ 式(3)
    請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記トナー粒子の断面観察において、
    前記第1の領域における、全ての前記ドメインの長径の個数平均値をA1としたとき、
    前記A1が、50~200nmである
    請求項1~3の何れか一項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子の断面観察において、
    前記トナー粒子の表面から600nm以上1500nm以下の領域を第2の領域とし、
    前記第2の領域における、全ての前記ドメインの長径の個数平均値をA2としたとき、
    前記A2が、110~210nmである
    請求項1~4の何れか一項に記載のトナー。
  6. 前記トナー粒子の断面観察において、
    前記第1の領域における、全ての前記ドメインの長径の個数平均値をA1とし、
    前記トナー粒子の表面から600nm以上1500nm以下の領域を第2の領域とし、
    前記第2の領域における、全ての前記ドメインの長径の個数平均値をA2とし、
    前記トナー粒子の表面から1500nm以上の領域を第3の領域とし、
    前記第3の領域における、全ての前記ドメインの長径の個数平均値をA3としたとき、
    前記A1、前記A2及び前記A3が、下記式(4)及び下記式(5)を満たす
    A1 < A2 < A3 ・・・ 式(4)
    800 ≦ A3 ・・・ 式(5)
    請求項1~5の何れか一項に記載のトナー。
  7. 前記トナーの重量平均粒子径(D4)が、5.0~10.0μmである請求項1~6の何れか一項に記載のトナー。
  8. 前記トナー粒子の表面における前記無機微粒子の分散度が、2.0nm以下である請求項1~7の何れか一項に記載のトナー。
  9. 前記ワックスが、エステルワックスを含有する請求項1~8の何れか一項に記載のトナー。
  10. 前記ワックスが、エステルワックス及び炭化水素ワックスを含有する請求項1~9のいずれか一項に記載のトナー。
  11. 前記無機微粒子が、一次粒子の長径が60~300nmの無機微粒子(X)を含有し、
    トナー粒子の表面における前記無機微粒子(X)の被覆率をX(%)としたとき、
    前記R2(%)及び前記X(%)が下記式(6)を満たす
    X ≦ R2 ・・・ 式(6)
    請求項1~10の何れか一項に記載のトナー。
  12. 前記樹脂成分が、スチレンアクリル樹脂を含有し、
    前記樹脂成分中の前記スチレンアクリル樹脂の含有割合が、80.0~100.0質量%である
    請求項1~11の何れか一項に記載のトナー。
  13. トナーの製造方法であって、
    前記製造方法が、
    (i)水系媒体中で、重合性単量体及びワックスを含有する粒子を形成する工程、
    (ii)前記粒子に含有される前記重合性単量体を重合させ、トナー粒子を形成する工程、
    (iii)前記ワックスの結晶化ピーク温度をTa(℃)としたとき、前記トナー粒子が分散された分散液を前記Ta+15(℃)~前記Ta+35(℃)で保持し、その後、前記Ta+15(℃)~前記Ta+35(℃)から、前記Ta-35(℃)~前記Ta-20(℃)まで、40.0~200.0℃/分の冷却速度で冷却する冷却する冷却工程、
    (iv)前記工程(iii)で得られた前記分散液を、前記Ta-35(℃)~前記Ta-20(℃)で30分以上保持するアニール工程、
    (v)前記工程(iv)を経た前記分散液から前記トナー粒子を取り出す工程、及び
    (vi)前記Ta-35(℃)~前記Ta-20(℃)において、前記トナー粒子に無機微粒子を外添する外添工程
    を有することを特徴とするトナーの製造方法。
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