しかしながら、上記特許文献1に記載された包装箱においては、挿入孔に形成された突部の先端縁の傾斜角が小さく実質的に中芯の目方向と略平行であるため、突部の強度が低く舌片の抜け防止機能が長期に亘って充分に発揮され難いという問題があった。この場合、上記特許文献1に記載された包装箱においては、舌片に形成された傾斜縁の目方向に対する傾斜角が大きいために傾斜縁の強度が突部の強度に対して極めて高くなっていることも突部を損傷させている一因でもあった。
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、挿し込み開口部内に挿し込まれた挿し込み部の抜けを長期間に亘って効果的に防止することができる包装箱を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、段ボールシートからなる包装箱であって、一対の側壁および一対の端壁をそれぞれ有する筒状の胴部と、胴部の少なくとも一方の開口部を閉塞する閉塞面部とを備え、閉塞面部は、一対の側壁の各縁部にそれぞれ連接された一対の内フラップと、一対の端壁の各縁部にそれぞれ連接されて一対の内フラップの各外側面にそれぞれ重ねられる一対の外フラップとを備え、一対の外フラップは、一対の挿し込み部をそれぞれ有し、一対の内フラップは、挿し込み部がそれぞれ挿し込まれる一対の挿し込み開口部をそれぞれ有し、一対の挿し込み開口部は、その内周縁の一部に挿し込み開口部内にそれぞれ挿し込まれた挿し込み部の引き抜き方向側の端縁に開口部側係合縁を有し、一対の挿し込み部は、その外周縁の一部に挿し込み部が挿し込み開口部内に挿し込まれた際に開口部側係合縁に接触する挿し込み部側係合縁を有し、開口部側係合縁および挿し込み部側係合縁は、段ボールシートの中芯の目方向に対して30°以上かつ50°以下の角度でそれぞれ延在していることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、包装箱は、挿し込み部の挿し込み開口部からの抜けを防止するための開口部側係合縁および挿し込み部側係合縁が段ボールシートの中芯の波の形成方向に直交する中芯の目方向に対して30°以上かつ50°以下の角度でそれぞれ延びて形成されているため、挿し込み部と挿し込み開口部とが強い力で押し付け合う状態においても互いの損傷を抑えることができる。これにより、包装箱は、内フラップに形成された挿し込み開口部内に挿し込まれた外フラップの挿し込み部の抜けを長期間に亘って効果的に防止することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記包装箱において、開口部側係合縁および挿し込み部側係合縁は、中芯の目方向に対して45°±5°の角度範囲でそれぞれ延在して形成されていることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、包装箱は、開口部側係合縁および挿し込み部側係合縁が中芯の目方向に対して45°±5°の角度範囲でそれぞれ延びて形成されているため、本発明者らによる実験によれば、互いに押し付け合う挿し込み部および挿し込み開口部の損傷を効果的に抑えて挿し込み部の抜けを長期間に亘って効果的に防止することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記包装箱において、開口部側係合縁は、包装箱の外周部側の端部が同包装箱の内側の端部よりも挿し込み部の挿し込み開口部への挿し込み方向の前方側に位置するように傾斜して延びていることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、包装箱は、開口部側係合縁における包装箱の外周部側の端部が同包装箱の内側の端部よりも挿し込み部の挿し込み開口部への挿し込み方向の前方側に位置するように傾斜して延びて形成されているため、挿し込み開口部に対して挿し込み部を離隔した位置から十分に傾斜させた姿勢(寝かせた姿勢)で挿し込むことができ挿し込み作業を容易化することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記包装箱において、挿し込み開口部は、その内周縁における挿し込み部の挿し込み方向の前方側が同挿し込み方向に直交する方向に延びて形成された前方端縁と、挿し込み開口部内に内フラップに連接して設けられてこの内フラップに連接した部分を支点として挿し込み開口部の内外に傾倒可能な開口部フラップとを有し、開口部側係合縁は、内フラップにおける開口部フラップが形成された端部と前方端縁とにそれぞれ直接繋がって形成されていることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、包装箱は、挿し込み開口部の内周縁における挿し込み部の挿し込み方向の前方側の端縁部分が同挿し込み方向に直交する方向に延びて形成された前方端縁と、内フラップに繋がった部分を支点として挿し込み開口部の内外に傾倒可能な開口部フラップの端部とに対して開口部側係合縁の両端部がそれぞれ直接繋がって形成されているため、挿し込み開口部をコンパクトかつ簡単に構成することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記包装箱において、外フラップは、その外周縁の一部を凹状に切り欠いた切欠き部を有しており、挿し込み部側係合縁は、切欠き部内に露出した状態で形成されていることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、包装箱は、外フラップにおける外周縁の一部に凹状に切り欠いた切欠き部を有しているとともに、挿し込み部側係合縁が切欠き部内に露出した状態で形成されているため、挿し込み部側係合縁を簡単に開口部側係合縁に対向配置させることができるとともに、切欠き部に指を掛けることで挿し込み部を簡単に浮き上がらせて挿し込み開口部から抜くことができる。
また、本発明の他の特徴は、前記包装箱において、挿し込み部側係合縁は、外フラップの外周縁から内側に向かって延びる線状の切込みによって形成されるとともに、この切込みに対向する部分によって覆われていることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、包装箱は、挿し込み部側係合縁が外フラップの外周面から内側に向かって延びる線状の切込みによって形成されるとともに、この切込みに対向する部分によって覆われているため、挿し込み部側係合縁と開口部側係合縁との接触部分が露出することが防止されて挿し込み部側係合縁が開口部側係合縁から外れることを効果的に防止することができる。また、包装箱は、挿し込み部側係合縁と開口部側係合縁との接触面が露出することが防止されることで、挿し込み部側係合縁の周辺の凹凸が無くなり内フラップおよび外フラップに面する物体の引っ掛かりを防止することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記包装箱において、切込み部は、先端部分が曲線によって曲がって延びる逃げ部が形成されていることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、包装箱は、切込み部の先端部分に曲線によって曲がって延びる逃げ部が形成されているため、挿し込み部側係合縁が開口部側係合縁に接触して切込み部が開いた場合において切込み部の先端部に亀裂が生じて避けることを防止することができる。
以下、本発明に係る包装箱の一実施形態について図面を参照しながらそれぞれ説明する。図1は、本発明に係る包装箱100を蓋部103側から見た外観構成の概略を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す包装箱100を底部101側から見た外観構成の概略を示す斜視図である。また、図3は、図1に示す包装箱100を構成する段ボールシートを展開した包装箱形成用シート体105の外観構成を示す平面図である。また、図4は、図3に示す包装箱形成用シート体105の外観構成の概略的に示す斜視図である。また、本実施形態および各変形例で参照する各図においては、折られていない状態の折り目を破線で示している。また、図3を除く本実施形態および各変形例で参照する各図においては、理解を容易するために主要な符号のみを付して他の符号の表示を適宜省略している。
この包装箱100は、各種製品、部品、資材、食品などの被収容物(図示せず)を運搬または保管のために収容する容器であり、主として、1つの底部101、4つの外周壁102および1の蓋部103を備えた直方体で構成されている。この場合、底部101は、被収容物が載置される部分であり、平面視で長方形状に形成されている。外周壁102は、底部101の外縁部に起立して設けられて被収容物の周囲を囲む部分であり、それぞれ長方形状に形成されている。蓋部103は、被収容物を覆う部分であり、平面視で長方形状に形成されている。
この包装箱100は、一枚の段ボールシートからなる包装箱形成用シート体105を山折りまたは谷折りすることで平面視で長方形状でかつ高さの低い直方体状の箱体に組み立てられる。なお、この包装箱100は、直方体以外の形状、例えば、立方体のほか、平面視で六角形などの各種多角形状、円形(だ円を含む)、扇形または各種異形形状であってもよい。
(包装箱100の構成)
包装箱形成用シート体105は、帯状に延びる1枚の段ボールシートに、主として、一対の側壁111,112、一対の端壁114,115、一対の底部内フラップ120,130、一対の底部外フラップ140,150、一対の蓋部内フラップ161,162および一対の蓋部外フラップ163,164をそれぞれ備えて構成されている。
この場合、包装箱形成用シート体105を構成する1枚の段ボールシートは、段ボールシートを構成する中芯(図示せず)の目方向が包装箱100の上下方向となる方向(図1における左右方向)に延びる向きで側壁111,112、端壁114,115、底部内フラップ120,130、底部外フラップ140,150、蓋部内フラップ161,162および蓋部外フラップ163,164がそれぞれ形成されている。ここで、中芯の目方向は、段ボールシートのフルート(波形状)が形成される方向(図1における上下方向)に対して直交する段ボールシートの幅方向である。なお、図1において、側壁111上に記載されている円Cは、包装箱形成用シート体105を構成する段ボールシートの目方向を示している(図7~図9においても同様)。
一対の側壁111,112は、一対の端壁114,115とともに包装箱100の外周壁102を構成する部分である。この一対の側壁111,112は、包装箱100が組み立てられた際に、包装箱100の底面視で長方形状に形成される底部101上で互いに対向する位置にそれぞれ起立した状態で設けられる部分である。この側壁111と側壁112とは、互いに同一形状に形成されているため、主として側壁111について説明する。
側壁111は、包装箱100における4つの外周壁102のうちの1つを構成する部分であり、平面視で長方形状に形成されている。より具体的には、側壁111は、直方体状に形成される包装箱100における長辺を構成する2つの外周壁102のうちの一方である。この側壁111には、罫線111a,111b,111c,111dをそれぞれ介して接合片113、端壁114、底部内フラップ120および蓋部内フラップ161がそれぞれ形成されている。
罫線111a,111b,111c,111dは、側壁111に対して接合片113、端壁114、底部内フラップ120および蓋部内フラップ161をそれぞれ正確に折り易くするための部分であり線状に延びて形成されている。この場合、罫線111aは、側壁111と接合片113との間に形成されている。また、罫線111bは、罫線111aに対向する位置に形成されて側壁111と端壁114との間に形成されている。また、罫線111cは、側壁111と底部内フラップ120との間に形成されている。また、罫線111dは、罫線111cに対向する位置に形成されて側壁111と蓋部内フラップ161との間に形成されている。
接合片113は、側壁111を端壁115に接合するための部分であり、側壁111の端面から張り出して形成されている。より具体的には、接合片113は、側壁111の端面から同端面から同じ幅で張り出した後、底部内フラップ120の一部および蓋部内フラップ161の一部にそれぞれ対向するように延びて形成されている。
この側壁111と対を構成する側壁112には、罫線112a,112b,112c,112dをそれぞれ介して端壁114、端壁115、底部内フラップ130および蓋部内フラップ162がそれぞれ形成されている。
一対の端壁114,115は、前記した一対の側壁111,112とともに包装箱100の外周壁102を構成する部分である。この一対の端壁114,115は、包装箱100が組み立てられた際に、包装箱100の底面視で長方形状に形成される底部101上で互いに対向する位置にそれぞれ起立した状態で設けられる部分である。この端壁114と端壁115とは、互いに同一形状に形成されているため、主として端壁114について説明する。
端壁114は、包装箱100における4つの外周壁102のうちの1つを構成する部分であり、平面視で長方形状に形成されている。より具体的には、端壁114は、直方体状に形成される包装箱100における短辺を構成する2つの外周壁102のうちの一方である。この端壁114には、罫線114a,114bをそれぞれ介して底部外フラップ140および蓋部外フラップ163がそれぞれ形成されている。
罫線114a,114bは、端壁114に対して底部外フラップ140および蓋部外フラップ163をそれぞれ正確に折り易くするための部分であり線状に延びて形成されている。この場合、罫線114aは、端壁114と底部外フラップ140との間に形成されている。また、罫線114bは、罫線114aに対向する位置に形成されて端壁114と蓋部外フラップ163との間に形成されている。
この端壁114と対を構成する端壁115には、罫線115a,115bをそれぞれ介して底部外フラップ150および蓋部外フラップ164がそれぞれ形成されている。
一対の底部内フラップ120,130は、一対の底部外フラップ140,150とともに被収容物が載置される底部101を構成する部分である。この場合、底部内フラップ120と底部内フラップ130とは、互いに同一形状に形成されているため、主として底部内フラップ120について説明する。
底部内フラップ120は、包装箱100の底部101の半分を形成する部分であり、平面視で長方形状に形成されている。この場合、底部内フラップ120の形状は、包装箱100の形状に応じて適宜決定されるものである。この底部内フラップ120には、一対の挿し込み開口部121,124がそれぞれ形成されている。この場合、一対の挿し込み開口部121,124は、互いに線対称に形成されているため、主として挿し込み開口部121について説明する。
挿し込み開口部121は、図5に示すように、後述する挿し込み部141が挿し込まれることで底部外フラップ140を保持する部分であり、底部内フラップ120の長辺に直交する短辺方向に延びる長孔状の貫通孔で構成されている。すなわち、挿し込み開口部121は、包装箱形成用シート体105を構成する段ボールシートの中芯の目方向Lに平行に延びる長孔状に形成されている。この挿し込み開口部121は、主としては、前方端縁121a、開口部側係合縁122および開口フラップ123をそれぞれ有して構成されている。
前方端縁121aは、挿し込み開口部121内に挿し込まれる挿し込み部141の挿し込み方向の前方に形成される部分であり、段ボールシートの中芯の目方向Lに平行に延びる直線状に形成されている。この前方端縁121aにおける一方の端部側は、挿し込み部141の挿し込み方向の前方に更に延びた後、同挿し込み方向の後方(挿し込み部141の引き抜き方向)側に円弧状に延びる側方逃げ部121bを介して開口フラップ123に繋がっている。また、前方端縁121aにおける他方の端部側は、開口部側係合縁122に繋がっている。
開口部側係合縁122は、挿し込み開口部121内に挿し込まれた挿し込み部141における挿し込み部側係合縁142に対向した状態で接触することで挿し込み開口部121内からの挿し込み部141の抜けを防止するための部分である。この開口部側係合縁122は、挿し込み部141の引き抜き方向に対向するように段ボールシートの中芯の目方向Lに対して45°の角度αで直線状に延びて形成されている。そして、開口部側係合縁122は、両端部のうちの前方端縁121aが繋がる端部とは反対側の端部が開口フラップ123に繋がっている。
開口フラップ123は、挿し込み開口部121を開閉自在に覆う部分であり、挿し込み開口部121の平面形状と同じ形状に形成されている。この開口フラップ123は、挿し込み開口部121における前方端縁121aに対向する部分を連結部123aとして底部内フラップ120に繋がっている。すなわち、開口フラップ123は、連結部123aを支点として挿し込み開口部121の内外に傾倒するように底部内フラップ120に支持されている。
この挿し込み開口部121は、包装箱形成用シート体105が包装箱100として組み立てられた際に底部外フラップ140の挿し込み部141に対向する位置に形成される。そして、この挿し込み開口部121と対を構成する挿し込み開口部124は、前方端縁121a、側方逃げ部121b、開口部側係合縁122、開口フラップ123および連結部123aと線対称な前方端縁124a、側方逃げ部124b、開口部側係合縁125、開口フラップ126および連結部126aをそれぞれ備えて、包装箱形成用シート体105が包装箱100として組み立てられた際に底部外フラップ140の挿し込み部144に対向する位置に形成される。この挿し込み開口部124には、後述する挿し込み部151が挿し込まれる。
この底部内フラップ120と対を構成する底部内フラップ130は、挿し込み開口部121、前方端縁121a、側方逃げ部121b、開口部側係合縁122、開口フラップ123、連結部123a、挿し込み開口部124、前方端縁124a、側方逃げ部124b、開口部側係合縁125、開口フラップ126および連結部126aと線対称な挿し込み開口部131、前方端縁131a、側方逃げ部131b、開口部側係合縁132、開口フラップ133、連結部133a、挿し込み開口部134、前方端縁134a、側方逃げ部134b、開口部側係合縁135、開口フラップ136および連結部136aをそれぞれ備えて構成されている。
この場合、挿し込み開口部131は、包装箱形成用シート体105が包装箱100として組み立てられた際に底部外フラップ140の挿し込み部144に対向する位置に形成される。また、挿し込み開口部134は、包装箱形成用シート体105が包装箱100として組み立てられた際に底部外フラップ150の挿し込み部154に対向する位置に形成される。
一対の底部外フラップ140,150は、前記一対の底部内フラップ120,130とともに被収容物が載置される底部101を構成する部分である。この場合、底部外フラップ140と底部外フラップ150とは、互いに同一形状に形成されているため、主として底部外フラップ140について説明する。
底部外フラップ140は、包装箱100の底部101を構成する底部内フラップ120,130の各一部を覆う部分であり、平面視で長方形状に近い形状に形成されている。この場合、底部外フラップ140の形状は、包装箱100の形状に応じて適宜決定されるものである。この底部外フラップ140には、一対の挿し込み部141,144、中央凹部147および罫線148がそれぞれ形成されている。この場合、一対の挿し込み部141,144は、互いに線対称に形成されているため、主として挿し込み部141について説明する。
挿し込み部141は、前記した挿し込み開口部121内に挿し込まれることで底部外フラップ140を底部内フラップ120,130に連結する部分であり、底部外フラップ140の自由端側の両端部における一方側に挿し込み部141の挿し込み方向の前方側に張り出して形成されている。この場合、挿し込み部141は、先端部141aが段ボールシートの中芯の目方向Lに直交する方向(フルートの形成方向)に平行な直線状に延びて形成されている。そして、挿し込み部141は、両端部のうちの一方の端部側の角部分が円弧状に丸く形成されて挿し込み部側係合縁142および切欠き部143がそれぞれ繋がっている。また、挿し込み部141の両端部のうちの他方の端部側には、中央凹部147が繋がっている。
挿し込み部側係合縁142は、図6に示すように、挿し込み開口部121に形成された開口部側係合縁122に対向した状態で接触することで挿し込み部141の挿し込み開口部121内からの抜けを防止するための部分であり、底部外フラップ140の側方端面から内側に延びて形成されている。より具体的には、挿し込み部側係合縁142は、挿し込み部141の引き抜き方向の前方側に露出するように段ボールシートの中芯の目方向Lに対して45°の角度βで直線状に延びて形成されている。この場合、挿し込み部側係合縁142は、開口部側係合縁122と略同じ長さに形成されている。
切欠き部143は、挿し込み部側係合縁142の前方側に空間を形成するための部分であり、前記挿し込み部側係合縁142とこの挿し込み部側係合縁142に対して線対称な切欠き部対向面143aとで構成されている。これにより、切欠き部143は、底部外フラップ140の側方端面に平面視で略三角形状に切り欠かれた形状に形成されている。
この挿し込み部141と対を構成する挿し込み部144は、先端部141a、挿し込み部側係合縁142および切欠き部143と線対称な先端部144a、挿し込み部側係合縁145、切欠き部146および切欠き部対向面146aをそれぞれ備えて底部外フラップ140の自由端側の両端部における他方側に形成されている。
中央凹部147は、前記した一対の挿し込み部141と挿し込み部144との間にこれらの挿し込み部141,144に対して凹状に凹んで形成された部分である。本実施形態においては、中央凹部147は、平面視で長方形状に凹んで形成されている。
罫線148は、前記した一対の挿し込み部141,144を挿し込み開口部121,131に挿し込む際に底部外フラップ140を一時的に折って挿し込み部141,144を挿し込み開口部121,131に挿し込み易くするための部分であり線状に延びて形成されている。この罫線148は、底部外フラップ140における罫線114aと切欠き部146との間の部分に形成されている。
この底部外フラップ140と対を構成する底部外フラップ150は、挿し込み部141,144、先端部141a,144a、挿し込み部側係合縁142,145、切欠き部143,146、中央凹部147および罫線148と線対称な挿し込み部151,154、先端部151a,154a、挿し込み部側係合縁152,155、切欠き部153,156、切欠き部対向面153a,156a、中央凹部157および罫線158をそれぞれ備えて形成されている。
一対の蓋部内フラップ161,162は、一対の蓋部外フラップ163,164とともに包装箱100における蓋部103を構成する部分である。この場合、蓋部内フラップ161と蓋部内フラップ162とは、互いに同一形状に形成されているため、主として蓋部内フラップ161について説明する。
蓋部内フラップ161は、包装箱100の蓋部103の半分を形成する部分であり、平面視で長方形状に形成されている。この場合、蓋部内フラップ161の形状は、包装箱100の形状に応じて適宜決定されるものである。本実施形態においては、蓋部内フラップ161は、前記底部内フラップ120と同じ外周形状に形成されている。この蓋部内フラップ161と対を構成する蓋部内フラップ162は、側壁112に対して罫線112dを介して隣接配置されている。
一対の蓋部外フラップ163,164は、前記一対の蓋部内フラップ161,162とともに包装箱100における蓋部103を構成する部分である。この場合、蓋部外フラップ163と蓋部外フラップ164とは、互いに同一形状に形成されているため、主として蓋部外フラップ163について説明する。
蓋部外フラップ163は、包装箱100の蓋部103を構成する蓋部内フラップ161,162の各一部を覆う部分であり、平面視で長方形状に形成されている。この場合、蓋部外フラップ163の形状は、包装箱100の形状に応じて適宜決定されるものである。本実施形態においては、蓋部外フラップ163は、前記底部外フラップ150と同じ外周形状に形成されている。この蓋部外フラップ163と対を構成する蓋部外フラップ164は、端壁115に対して罫線115bを介して隣接配置されている。
(包装箱100の作動)
次に、上記のように構成した包装箱100の作動について説明する。まず、包装箱100の使用者は、包装箱形成用シート体105を用意する。具体的には、使用者は、板状に延びる段ボールシートを任意の形状に裁断する公知の裁断装置を用いて1枚の段ボールシートに一対の側壁111,112、一対の端壁114,115、一対の底部内フラップ120,130、一対の底部外フラップ140,150、一対の蓋部内フラップ161,162および一対の蓋部外フラップ163,164をそれぞれ成形することができる。
次に、使用者は、包装箱形成用シート体105を包装箱100に組み立てる。具体的には、使用者は、図7に示すように、罫線111a,111b,112a,112bをそれぞれ折って側壁111に形成された接合片113を端壁115の端部に接着剤(図示せず)を用いて貼り付けて包装箱形成用シート体105を筒状に形成する。この場合、使用者は、接合片113における底部外フラップ150側および蓋部外フラップ164側にそれぞれ張り出した部分についても底部外フラップ150および蓋部外フラップ164にそれぞれ貼り付ける。
次に、使用者は、底部101を形成する。この場合、使用者は、蓋部103を形成することなく底部101を形成してもよいが、蓋部103を一旦形成した後(図1参照)に底部101を形成することで底部101の形成作業を容易にすることができる。したがって、本実施形態においては、底部101の形成作業の前に蓋部103を形成する。
具体的には、使用者は、罫線111d,112dをそれぞれ折って蓋部内フラップ161と蓋部内フラップ162とを互いに突き合わせた後、罫線114b,115bをそれぞれ折って蓋部外フラップ163および蓋部外フラップ164を蓋部内フラップ161および蓋部内フラップ162上で互いに対向配置させる。これにより、使用者は、蓋部103を形成することができる。なお、蓋部103を形成するにあたり、蓋部内フラップ161,162と蓋部外フラップ163,164との関係については上記と逆にすることも可能である。すなわち、罫線114b,115bをそれぞれ折って蓋部外フラップ163と蓋部外フラップ164とを互いに対向させた後に、罫線111d,112dをそれぞれ折ることで蓋部外フラップ163および蓋部外ラップ164上に蓋部内フラップ161と蓋部内フラップ162とを対向配置させることも可能である。
次に、使用者は、底部101を形成する。具体的には、使用者は、図8に示すように、罫線111c,112cをそれぞれ折って底部内フラップ120と底部内フラップ130とを互いに突き合わせて底部101の一部を形成する。次に、使用者は、図9(A),(B)にそれぞれ示すように、罫線114aを折って底部外フラップ140における挿し込み部141,144を底部内フラップ120における挿し込み開口部121および底部内フラップ130における挿し込み開口部131にそれぞれ挿し込む。この場合、使用者は、底部外フラップ140を罫線148で折り曲げることで挿し込み部141,144を容易に挿し込み開口部121,131内にそれぞれ挿し込むことができる。
また、使用者は、挿し込み部141,144を挿し込み開口部121,131における連結部123a,133a側から挿し込むことで挿し込み開口部121,131を塞ぐ開口フラップ123,133を下方に押し下げて挿し込み開口部121,131を開口させながら挿し込む。そして、使用者は、挿し込み部141,144における各挿し込み部側係合縁142,145が挿し込み開口部121,131における開口部側係合縁122,132に対向する位置まで挿し込み部141,144を挿し込み開口部121,131にそれぞれ挿し込む。これにより、底部外フラップ140は、屈曲させた罫線114aの復元力によって挿し込み部側係合縁142,145が開口部側係合縁122,132にそれぞれ押し付けられることで底部内フラップ120,130から外れることなく連結される。
次に、使用者は、罫線115aを折って底部外フラップ150における挿し込み部151,154を底部内フラップ120における挿し込み開口部124および底部内フラップ130における挿し込み開口部134にそれぞれ挿し込む。この場合、作業者は、前記した挿し込み部141,144の挿し込み開口部121,131への挿し込み作業と同じ要領で挿し込み部151,154を挿し込み開口部124,134にそれぞれ挿し込む。これにより、底部外フラップ150は、屈曲させた罫線115aの復元力によって挿し込み部側係合縁152,155が開口部側係合縁125,135にそれぞれ押し付けられることで底部内フラップ120,130から外れることなく連結される。これにより、使用者は、底部101を形成して包装箱100を完成させることができる(図1および図2参照)。
次に、使用者は、包装箱100を容器として使用することができる。具体的には、使用者は、底部101側を下方として蓋部103を上方に向けて蓋部外フラップ163,164を上方に開いた後に蓋部内フラップ161,162を上方に開くことで蓋部103を開く。そして、使用者は、包装箱100内に被収容物を収容して再び蓋部内フラップ161,162および蓋部外フラップ163,164をそれぞれ閉じることで蓋部103を形成することができる。これにより、使用者は、被収容物を収容した包装箱100を輸送または保管することができる。この場合、包装箱100は、挿し込み部側係合縁142,145と開口部側係合縁122,132とが互いに密着するとともに挿し込み部側係合縁152,155を開口部側係合縁125,135とが互いに密着することで底部101の形状が維持される。
次に、使用者は、包装箱100を解体することができる。具体的には、使用者は、包装箱形成用シート体105を包装箱100に組み立てた手順とは逆の手順によって包装箱100を展開して包装箱形成用シート体105に戻すことができる。この場合、使用者は、挿し込み部側係合縁142,145を開口部側係合縁122,132から上方に外すことで挿し込み部141,144を挿し込み開口部121,131からそれぞれ引き抜くことができ底部外フラップ140を底部内フラップ120,130からそれぞれ分離することができる。
また、使用者は、挿し込み部側係合縁152,155を開口部側係合縁125,135から上方に外すことで挿し込み部151,154を挿し込み開口部124,134からそれぞれ引き抜くことでき底部外フラップ150を底部内フラップ120,130からそれぞれ分離することができる。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、包装箱100は、挿し込み部141,144,151,154の挿し込み開口部121,124,131,134からの抜けを防止するための開口部側係合縁122,125,132,135および挿し込み部側係合縁142,145,152,155が段ボールシートの中芯の波の形成方向に直交する中芯の目方向Lに対して45°の角度α,βでそれぞれ延びて形成されているため、挿し込み部141,144,151,154と挿し込み開口部121,124,131,134とが強い力で押し付け合う状態においても互いの損傷を抑えることができる。これにより、包装箱100は、底部内フラップ120,130にそれぞれ形成された挿し込み開口部121,124,131,134内にそれぞれ挿し込まれた底部外フラップ140,150の挿し込み部141,144,151,154の抜けを長期間に亘って効果的に防止することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付している。
例えば、上記実施形態においては、開口部側係合縁122,125,132,135および挿し込み部側係合縁142,145,152,155は、包装箱100を構成する段ボールシートの中芯の目方向Lに対して45°の角度α,βでそれぞれ延びるように形成した。しかし、開口部側係合縁122,125,132,135および挿し込み部側係合縁142,145,152,155の角度αおよび角度βは、段ボールシートの中芯の目方向Lに対して少なくとも30°以上かつ50°以下の角度でそれぞれ延びて形成されていればよい。
この場合、開口部側係合縁122,125,132,135および挿し込み部側係合縁142,145,152,155は、段ボールシートの中芯の目方向に対して45°±5°の角度α,βの範囲でそれぞれ延びて形成されているとよい。これらの場合、開口部側係合縁122,125,132,135の角度αと挿し込み部側係合縁142,145,152,155の角度βとは、互いに異なる傾斜角度で形成されていてもよいが、互いに同じ傾斜角度で平行に形成されているとよい。
また、上記実施形態においては、開口部側係合縁122,125,132,135は、包装箱100の外周部側の端部が同包装箱100の内側の端部よりも挿し込み部141,144,151,154の挿し込み開口部121,124,131,134への各挿し込み方向の前方側に位置するように傾斜して延びて形成されている。これにより、包装箱形成用シート体105は、挿し込み開口部121,124,131,134に対して挿し込み部141,144,151,154を離隔した位置から十分に傾斜させた姿勢(寝かせた姿勢)で挿し込むことができ挿し込み作業を容易化することができる。
しかし、開口部側係合縁122,132は、図10に示すように、包装箱100の外周部側の端部が同包装箱100の内側の端部よりも挿し込み部141,144の挿し込み開口部121,131への各挿し込み方向の後方側に位置するように傾斜して延びて形成することもできる。この場合、挿し込み部側係合縁142,145は、開口部側係合縁122,132に対応して包装箱100の外周部側の端部が同包装箱100の内側の端部よりも挿し込み部141,144の各挿し込み方向の後方側に位置するように傾斜して延びて形成される。
なお、開口部側係合縁125,135および挿し込み部側係合縁152,155についても図10に示す開口部側係合縁122,132および挿し込み部側係合縁142,145と同様に構成することができる。なお、図10においては、側壁112、端壁115、底部内フラップ130、底部外フラップ150、蓋部内フラップ162および蓋部外フラップ164の図示をそれぞれ省略している。
また、上記実施形態においては、開口部側係合縁122,125,132,135の両端部における一方が前方端縁121a,124a,131a,134aに直接繋がるとともに他方が連結部123a,126a,133a,136aに直接繋がって形成した。これにより、包装箱形成用シート体105は、挿し込み開口部121,124,131,134をそれぞれコンパクトかつ簡単に構成することができる。しかし、開口部側係合縁122,125,132,135の両端部における一方を前方端縁121a,124a,131a,134aに対して直接繋げないように構成することもできるとともに、他方についても連結部123a,126a,133a,136aに直接繋げないように構成することもできる。
また、上記実施形態においては、挿し込み開口部121,124,131,134は、開口フラップ123,126,133,136をそれぞれ備えて構成した。しかし、挿し込み開口部121,124,131,134は、開口フラップ123,126,133,136を省略して常時開口するように構成することもできる。
また、上記実施形態においては、挿し込み部側係合縁142,145,152,155は、切欠き部143,146,153,156の内側壁面の一部として形成した。これにより、包装箱形成用シート体105は、挿し込み部側係合縁142,145,152,155を簡単に開口部側係合縁122,125,132,135に対向配置させることができるとともに、切欠き部143,146,153,156に指を掛けることで挿し込み部141,144,151,154を簡単に浮き上がらせて挿し込み開口部121,124,131,134から抜くことができる。
しかし、挿し込み部側係合縁142,145は、図11(A),(B)にそれぞれ示すように、底部外フラップ140の外周面から内側に向かって延びる線状の切込みによって形成するとともに、この切込みに対向する部分によって覆われるように構成することもできる。これによれば、挿し込み部側係合縁142,145は、開口部側係合縁122,132との接触状態においてこの接触部分が底部外フラップ140に覆われて外部に露出することが防止されるため、挿し込み部側係合縁142,145が開口部側係合縁122,132から外れることを効果的に防止することができる。
また、包装箱形成用シート体105は、挿し込み部側係合縁142,145と開口部側係合縁122,132との接触面が露出することが防止されることで、挿し込み部側係合縁142,145の周辺の凹凸が無くなり底部内フラップ120および底部外フラップ140に面する物体の引っ掛かりを防止することができる。なお、挿し込み部側係合縁152,155および開口部側係合縁125,135についても図11(A),(B)にそれぞれ示す挿し込み部側係合縁142,145および開口部側係合縁122,132と同様に構成することができる。
また、これらの場合、切込みによって構成された挿し込み部側係合縁142,145の各先端部には、曲線によって曲がって延びる逃げ部142a,145aを形成するとよい。これによれば、挿し込み部側係合縁142,145は、挿し込み部側係合縁142,145が開口部側係合縁122,132に接触して挿し込み部側係合縁142,145を構成する切込み部分が開いた場合であっても逃げ部142a,145aによって切込み部の先端部に亀裂が生じて避けることを防止することができる。なお、挿し込み部側係合縁152,155についても図11(A),(B)にそれぞれ示す挿し込み部側係合縁142,145の逃げ部142a,145aと同様の逃げ部に構成することができる。また、図11(A),(B)は、底部外フラップ140のみを示している。
また、上記実施形態においては、包装箱形成用シート体105は、挿し込み開口部121,124,131,134をそれぞれ底部内フラップ120,130に形成するとともに、挿し込み部141,144,151,154を底部外フラップ140,150にそれぞれ形成した。すなわち、底部内フラップ120,130が本発明に係る内フラップに相当するとともに、底部外フラップ140,150が本発明に係る外フラップに相当する。しかし、包装箱形成用シート体105は、挿し込み開口部121,124,131,134および挿し込み部141,144,151,154は、包装箱100における外周壁102および蓋部103にそれぞれ形成することもできる。
また、上記実施形態においては、包装箱形成用シート体105は、板状の段ボールシートで構成した。しかし、包装箱形成用シート体105は、人手によって屈曲させることができる板状体で構成することができる。したがって、包装箱形成用シート体105は、段ボールシート以外の紙材(例えば、ボール紙)または樹脂材(例えば、プラスチック段ボール)で構成することもできる。