JP2022037747A - 大麦粉含有大豆たん白組織化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】一般的な大豆たん白組織化物より摂食コントロールが容易であり、且つ良好な食感を有する大豆たん白素材を提供する。【解決手段】脱脂大豆由来原料及び大麦粉からなる原料粉を含む材料の組織化物である大麦粉含有大豆たん白組織化物であって、前記大麦粉の含有量が、前記原料粉の総質量に基づいて20質量%以上40質量%未満である大麦粉含有大豆たん白組織化物、並びに脱脂大豆由来原料及び大麦粉からなる原料粉を、水を含むその他の材料と共に高温高圧処理して組織化及び膨化する工程を含む大麦粉含有大豆たん白組織化物の製造方法であって、前記大麦粉の含有量が、前記原料粉の総質量に基づいて20質量%以上40質量%未満であり、前記高温高圧処理工程は、前記大麦粉含有大豆たん白組織化物の硬度が、1650~3000g、水中沈定体積(SV)が、6.8~9.0mL/gになるように行われる製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、大麦粉を含有する大豆たん白組織化物に関し、特に摂食コントロールが容易であり、且つ良好な食感を有する大麦粉含有大豆たん白組織化物に関する。
大豆たん白組織化物(粒状大豆たん白等を含む)は、脱脂大豆等を原料とし、押出成形機等で高温高圧処理して組織化、膨化等することによって製造される。従来から、食肉代替品等として種々の加工食品や料理に利用されている。近年、大豆たん白組織化物は、大豆たん白が必須アミノ酸バランスの優れたたん白源ということで、健康ニーズからも関心が高まっており、フードバー等の形態の栄養健康食品にも利用され、その用途に応じた食感や機能を改善する技術が種々開発されている。
例えば、特許文献1では、大豆の持つ栄養成分を含み、サクくて喉通りの良い食感を有し、大豆の素朴な風味を有する大豆パフの作製を目的とし、脱脂大豆由来原料と澱粉質原料を含む含水原料を加圧加熱し押し出して膨化させて大豆パフを製造する方法において、(a)脱脂大豆由来原料が脱脂豆乳を必須とし、(b)脱脂大豆由来原料と、澱粉質原料の割合が、前者5~80重量部 (乾物換算)に 対して後者20~95重量部 (乾物換算)で、(c)含水原料の水分が15~40重量%で、(d)加熱が押出温度130~200℃であることを特徴とする大豆パフの製造法が開示されている。また、特許文献2では、スポーツ選手や運動愛好家など、筋肉の増強を目的とする人に、持ち運びに手軽な固形食品として、健康面での効果も期待される大豆タンパク質を含有した、筋肉の修復、肥大に効果が期待される程度の、十分量のタンパク質を含む菓子の提供を目的とし、植物性たん白を主成分とする菓子であって、脱脂大豆を原材料として得られる、粒状大豆たん白を含む菓子が開示されている。
国際公開2006/098399号 特開2012-249603号公報
上述のような栄養健康食品に利用する場合、摂食コントロールが容易な素材が求められている。また、特許文献2に記載されているような手軽な固形食品(いわゆるフードバー)等にそのまま利用できるような良好な食感が求められている。
したがって、本発明の目的は、一般的な大豆たん白組織化物より摂食コントロールが容易であり、且つ良好な食感を有する大豆たん白素材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討したところ、大豆たん白素材に所定量の大麦粉を含有させることで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、上記目的は、脱脂大豆由来原料及び大麦粉からなる原料粉を含む材料の組織化物である大麦粉含有大豆たん白組織化物であって、前記大麦粉の含有量が、前記原料粉の総質量に基づいて20質量%以上40質量%未満である大麦粉含有大豆たん白組織化物によって達成される。なお、本発明において、「組織化物」とは、原料粉を水と共に高温高圧処理して組織化及び膨化することによって得られる粒状、フレーク状、棒状等の所望の形態を有する組織化・膨化物のことをいう。
本発明により、一般的な大豆たん白組織化物より摂食コントロールが容易であり、且つ良好な食感を有する大豆たん白素材を提供することができる。
[大麦粉含有大豆たん白組織化物]
本発明の大麦粉含有大豆たん白組織化物は、脱脂大豆由来原料及び大麦粉からなる原料粉を含む材料の組織化物であって、前記大麦粉の含有量が、前記原料粉の総質量に基づいて20質量%以上40質量%未満である。これにより、適度な歯応えと胃中での嵩形成によって、一般的な大豆たん白組織化物より摂食コントロールが容易であり、且つ良好な食感を有する大麦粉含有大豆たん白組織化物とすることができる。本発明において、前記組織化物の材料中の原料粉の割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
本発明において、原料粉は脱脂大豆由来原料及び大麦粉からなる。脱脂大豆由来原料は、大豆から加工助剤を用いて油分を抽出したり、大豆を圧搾した後の圧搾粕から加工助剤を用いて油分を抽出したりして、脱脂処理した脱脂大豆から得られるものであれば特に制限されない。例えば、脱脂大豆、濃縮大豆たん白、分離大豆たん白、及びこれら物理的又は化学的に処理した粉砕品、加熱処理品、酵素処理品等が挙げられる。これらの脱脂大豆由来原料を、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。脱脂大豆由来原料としては、脱脂大豆が好ましい。脱脂大豆の形態としては、特に制限されない。例えば、スラリー状、粘土状等の含水品、フレーク状等の乾燥品、粉砕処理された脱脂大豆粉等が挙げられる。脱脂大豆粉は、粉砕前又は粉砕後に加熱処理されたものでもよい。脱脂大豆は、1種単独、又は2種以上の形態で用いてもよい。脱脂大豆の形態としては、粉砕処理された脱脂大豆粉が好ましい。また、大麦粉は、大麦を精麦後(すなわち、麦の表面を削り、外皮、胚芽を取り除き、胚乳の粒にした後)、適当な製粉方法により粉状に調製したものである。精麦後に製粉した大麦粉を用いることで、精麦せずに製粉した大麦粉と比べて、食感、特に口溶けが良好になるため好ましい。大麦の種類は、食用であれば特に制限はなく、二条大麦、六条大麦、裸大麦等何れの種類でもよく、それらの内の何れの品種でもよく、複数の種類又は品種を混合したものでもよい。大麦の種類としては、好ましくは六条大麦である。大麦粉の含有量は、20~35質量%であることが好ましく、25~35質量%であることがさらに好ましい。
本発明の大麦粉含有大豆たん白組織化物は、硬度が、1650~3000gであり、SVが、6.8~9.0mL/gであることが好ましい。本発明において、硬度は、テクスチャーアナライザーを用いて、組織化物を、そのまま圧縮して破壊した際の荷重であり、組織化物を噛み潰した時の硬さの指標となり得るものである。硬度が、1650~3000gであれば、組織化物を固形食品等にそのまま利用すると、適度な歯応えのある良好な食感が得られる。前記硬度は、1800~2800gであることがさらに好ましく、1900~2500gであることが特に好ましい。
また、SVは、水中での膨潤性を示し、消化管内における嵩形成能の指標となり得る。本発明において、SVは、試験試料300mgを試験管に秤量し、純水6mLを加えて懸濁後室温で一晩静置し、沈殿した試験試料の嵩(mL)を測定し、試験試料固形分1g当たりの沈澱した試験試料の嵩として算出したものである。SVが大きい程、胃中での嵩形成が大きくなると考えられる。ただし、SVが大き過ぎると、加工時のハンドリングが悪くなる場合がある。SVが、6.8~9.0mL/gであれば、喫食した際に摂食コントロールが容易であり、且つ加工し易い組織化物といえる。前記SVは、7.0~8.8mL/gであることがさらに好ましく、7.4~8.6mL/gであることが特に好ましい。後述する実施例に示す通り、原料粉における大麦粉の含有量が、上記範囲であれば、容易に上記範囲の硬度及びSVである大麦粉含有大豆たん白組織化物となり得る。
本発明の大麦粉含有大豆たん白組織化物は、たん白質含有量が、乾燥質量に基づいて50質量%未満であることが好ましい。これにより、摂食コントロールが容易であり、且つ良好な食感を有する大豆たん白素材とすることができる。本発明において、たん白質含有量は、ケルダール法によって全窒素含有量を測定し、窒素換算係数を6.25として算出した。前記たん白質含有量は、乾燥質量に基づいて、下限値として、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、35質量%以上であることが特に好ましい。また、上限値として、50質量%未満であることがより好ましく、47質量%以下であることがさらに好ましく、45質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の大麦粉含有大豆たん白組織化物を粉砕し、水に懸濁させた際の粘度は、特に制限はなく、用途に応じて適宜調整することができる。例えば、固形分20質量%の懸濁液について、Perten Instrumentsのラピッドビスコアナライザーを用いて、25℃、500rpmの条件で測定を開始し、15分時点の粘度が、下限値として、650mPa・s以上であることが好ましく、700mPa・s以上であることがさらに好ましく、750mPa・s以上であることが特に好ましい。また、上限値として、1500mPa・s以下であることが好ましく、1300mPa・s以下であることが好ましく、1200mPa・s以下であることが特に好ましい。これにより、より摂食コントロールが容易な組織化物とすることができる。
また、本発明の大麦粉含有大豆たん白組織化物は、咀嚼した際に適度な歯応えがあり、口溶けが良いものであることが好ましい。これにより、さらに摂食コントロールが容易になる。このようなテクスチャーを評価する方法として、以下の方法が挙げられる。すなわち、吸水処理した組織化物の硬さを、テンシプレッサーで2回連続して測定した際の1回目の最大試験力(H)(吸水処理後の硬さ)の数値、及び1回目の負荷面積(A1)に対する2回目の負荷面積(A2)の比(A2/A1)(「凝集性」とも称する)が、いずれも小さい数値である方が、咀嚼した際にほろほろと口溶けが良い傾向があるとされている。したがって、本発明の大麦粉含有大豆たん白組織化物は、吸水処理した前記大麦粉含有大豆たん白組織化物の硬さを2回連続して測定した際の1回目の最大試験力(H)(吸水処理後の硬さ)が、3000g/cm2以下であり、1回目の負荷面積(A1)に対する2回目の負荷面積(A2)の比(A2/A1)(凝集性)が、0.6以下であることが好ましい。前記吸水処理後の硬さ(H)は、2500g/cm2以下が好ましく、2100g/cm2以下がより好ましく、2000g/cm2以下がさらに好ましい。また、前記凝集性(A2/A1)は、0.430~0.550であることが好ましく、0.450~0.540であることがさらに好ましい。
本発明の大麦粉含有大豆たん白組織化物の材料は、本発明の効果を損なわない限り、前記原料粉以外のその他の材料を含んでいてもよい。その他の材料としては、水;小麦粉、米粉、そば粉等の穀粉;小麦たん白、乳たん白、卵たん白等の他のたん白材料;澱粉;加工澱粉;食用油脂;食物繊維;調味料;無機塩類、ビタミン類、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、保存料、増粘剤、色素、香料等の添加剤を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の大麦粉含有大豆たん白組織化物は、どのような食品にも特に制限なく利用することができる。例えば、フードバー、シリアル食品等の固形食品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、肉団子、つくね、そぼろ、ミートソース、麻婆豆腐、餃子、焼売等の畜肉加工食品、及び、練り製品(例えば、かまぼこ、ちくわ、つみれ等)、ツナフレーク、鮭フレーク等の水産加工食品、カレー、シチュー、パスタソース、トマトソース、デミグラスソース、ホワイトソース等のソース状食品の具材、ミネストローネ、コーンポタージュスープ、コンソメスープ、中華風スープ、味噌汁等の液状食品の具材、調味液等に浸漬したウェットタイプの食品素材等が挙げられる。特にそのままの形態で適度な硬さの良好な食感を有するので、フードバー等の固形食品に利用することが好ましい。
[大麦粉含有大豆たん白組織化物の製造方法]
本発明の大麦粉含有大豆たん白組織化物の製造方法は、脱脂大豆由来原料及び大麦粉からなる原料粉を、水を含むその他の材料と共に高温高圧処理して組織化及び膨化する工程を含み、前記大麦粉の含有量が、前記原料粉の総質量に基づいて20質量%以上40質量%未満であり、前記高温高圧処理工程は、前記大麦粉含有大豆たん白組織化物の硬度が、1650~3000g、SVが、6.8~9.0mL/gになるように行われることを特徴とする。前記高温高圧処理は、例えば、二軸エクストルーダー等の押出成形機を用いることができる。高温高圧処理後の膨化物を細断、乾燥、冷却、整粒工程等により所望の形態の大麦粉含有大豆たん白組織化物を製造することができる。本発明において、大麦粉含有大豆たん白組織化物の形態は、例えば、顆粒状、フレーク状、棒状等が挙げられる。顆粒状とすることで、食感、特に硬さが良好になるため好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.大麦粉含有大豆たん白組織化物の調製
表1に示した原料粉配合で、コントロールの大豆たん白組織化物、並びに各試験例の大麦粉含有大豆たん白組織化物を調製した。具体的には、各原料粉に加水して二軸エクストルーダーを使用して膨化状況を観察しながら加圧加熱により組織化した。加水量は25~30質量%で調整し、組織化に影響のある以下の(a)~(c)について、(a)加熱時の加圧は2.2~6.5MPaの範囲内、(b)先端バレル温度は140℃、及び(c)加熱時間は30~90秒の範囲内になるよう調整してダイから押出し、ダイ出口直後にカッター(回転数:1000rpm)で切断して組織化物を得た。このときのスクリュー回転数については700rpmで行った。次いで、乾燥機を用いて、70℃の熱風で組織化物を水分8質量%以下になるまで乾燥した。その後、目開き6mmの篩にて大きなサイズの組織化物を除去し、顆粒状の各組織化物を得た。
2.大麦粉含有大豆たん白組織化物の分析及び評価
(1)硬度
各組織化物を、テクスチャーアナライザー(TA.XT.plus(Stable Micro Systems社製)を用いて、以下の条件で硬度(g)を測定した。なお、各組織化物について、形状、大きさが同等のものを約10粒採取し、それぞれ測定して平均値を得た。
・テストモード:圧縮試験
・テストスピード(前):1.00mm/sec
・テストスピード(後):1.00mm/sec
・テストスピード(戻):10.00mm/sec
・ターゲットモード:Strain
・Strain:50%
・トリガータイプ:オート(Force)
・トリガー荷重:5.0g
・プランジャー:P/5(奥歯の噛み潰しを想定し、平面型を選択した)
(2)SV
各組織化物を、コーヒーミルで粉砕後、目開き300μmの篩を用いてふるい分け、篩下の粉体を試験試料として測定に供した。SVは、試験試料300mgを試験管に秤量し、純水6mLを加えて懸濁後室温で一晩静置し、沈殿した試験試料の嵩(mL)を測定し、試験試料固形分1g当たりの沈澱した試験試料の嵩として算出した。なお、試験試料の水分は、基準油脂分析試験法(1.4.1-2013、日本油化学会)に基づいて測定した。
(3)粘度
各組織化物を、コーヒーミルで粉砕後、目開き300μmの篩を用いてふるい分け、篩下の粉体を試験試料として粘度の測定に供した。まず、試験試料を、その乾燥質量の5倍量の加水をしたとき、総質量が30gを超えない量になるように測定アルミカップに秤量し、ラピッドビスコアナライザー(RVA、Perten Instruments製)にセットし、25℃、500rpmの条件で測定を行い、15分時点の粘度を測定値とした。
(4)吸水処理後の硬さ及び凝集性
各組織化物30gに60mLの熱湯を加え、30分静置して吸水処理を行った。その後、吸水処理後の試料20gをテンシプレッサー(MyBoy II SYSTEM(有限会社タケトモ電機製)で2回連続して硬さを測定した。1回目の最大試験力(H)(g/cm2)の数値を吸水処理後の硬さとして記録し、1回目の負荷面積(A1)に対する2回目の負荷面積(A2)の比(A2/A1)を算出し、凝集性として記録した。
(5)たん白質含有量
各組織化物について、ケルダール法によって全窒素含有量を測定し、窒素換算係数を6.25としてたん白質含有量(質量%)を算出した。なお、数値は小数点以下第2位を四捨五入して示した。
(6)官能評価
1.で調製した各組織化物について、そのまま試食し、以下の評価基準で食感の硬さ及び口溶けを評価した。評価は訓練を受けた専門のパネル5名で合議して決定した。
(i)食感(硬さ)
◎:歯応えがあり、非常に良好
〇:やや歯応えがあり、良好
△:やや軟らかい
×:柔らかい、又は硬すぎる
(ii)食感(口溶け)
◎:ざらつきが残らず、非常に良好
〇:ざらつきがあまり残らず、良好
△:ざらつきがやや残り、やや不良
×:ざらつきが残り、不良
分析及び評価結果を表1に示す。
Figure 2022037747000001
表1に示した通り、大麦粉含有大豆たん白組織化物において、大麦粉の含有量が20~35質量%である試験例3~5の組織化物は、硬度が1650~3000gであり、食感(硬さ)が良好であった。また、SVが6.8~9.0mL/gであり、コントロールの大豆たん白組織化物のSVより大きく、喫食した際に摂食コントロールがしやすいことが示唆された。さらに、粘度が650~1500mPa・sであり、コントロールよりも大きく、喫食した際に摂食コントロールがしやすいことが示唆された。これらの試験例では、官能評価において、食感(口溶け)が良好であった。一方、大麦粉の含有量が、それぞれ8質量%及び18質量%の試験例1及び試験例2の組織化物では、硬度が1650g未満であり、食感(硬さ)が軟らかかった。また、大麦粉の含有量が40質量%の試験例6の組織化物では、硬度が3000gを超え、食感(硬さ)がかなり硬く、良好ではなかった。したがって、大麦粉含有大豆たん白組織化物において、大麦粉の含有量が、20質量%以上、40質量%未満であり、硬度が1650~3000gであり、SVが6.8~9.0mL/gである組織化物が有用であることが示唆された。さらに、大麦粉含有大豆たん白組織化物の食感(口溶け)の評価から、吸水処理後の硬さは3000g/cm2以下が好ましく、凝集性は、0.6以下であることが好ましいことが示唆された。
3.大麦粉含有大豆たん白組織化物を用いた食品の調製及び評価
(1)チョコバーの調製
大麦粉含有大豆たん白組織化物の食品への応用として、1.で調製した各組織化物を用い、表2に示した配合で、チョコバーを調製した。具体的には、ホワイトチョコレートを刻んで、湯煎で溶かし、各組織化物を加えて混ぜ、ラップを敷いた型に45g流し込み、たたいて空気を抜き、粗熱を取った後、冷蔵庫で冷やして調製した。
(2)チョコバーの評価
(1)で調製した各チョコバーについて試食し、コントロールの大豆たん白組織化物を用いた参考例と比較して、以下の評価基準で食感の硬さ及び口溶けを評価した。評価は訓練を受けた専門のパネル5名で合議して決定した。
(i)食感(硬さ)
◎:歯応えがあり、非常に良好
〇:やや歯応えがあり、良好
△:やや軟らかい
×:柔らかい、又は硬すぎる
(ii)食感(口溶け)
◎:ざらつきが残らず、非常に良好
〇:ざらつきがあまり残らず、良好
△:ざらつきがやや残り、やや不良
×:ざらつきが残り、不良
評価結果を表2に示す。
Figure 2022037747000002
表2に示した通り、大麦粉含有大豆たん白組織化物の内、大麦粉の含有量が20~35質量%である試験例3~5を用いた試験例7-2~7-4のチョコバーは、大豆たん白組織化物を用いた参考例のチョコバーと比較して食感(硬さ及び口溶け)が良好であった。さらに、大麦粉の含有量が25~35質量%である試験例3及び試験例4を用いた試験例7-3及び試験例7-4のチョコバーは、大豆たん白組織化物を用いた参考例のチョコバーと比較して食感(硬さ及び口溶け)が非常に良好であった。一方、大麦粉の含有量が、18質量%の試験例2の組織化物を用いた試験例7-1のチョコバーは、口溶けは良好であったが、硬さは参考例のチョコバーと同等であった。また、大麦粉の含有量が40質量%の試験例6の組織化物を用いた試験例7-5のチョコバーは、参考例のチョコバーと比較してかなり硬く、やや食べづらいものであった。したがって、食品に用いた場合でも、上記規定を有する大麦粉含有大豆たん白組織化物が、良好な食感が得られることが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、一般的な大豆たん白組織化物より摂食コントロールが容易であり、且つ良好な食感を有する大豆たん白素材を提供することができる。

Claims (4)

  1. 脱脂大豆由来原料及び大麦粉からなる原料粉を含む材料の組織化物である大麦粉含有大豆たん白組織化物であって、
    前記大麦粉の含有量が、前記原料粉の総質量に基づいて20質量%以上40質量%未満である大麦粉含有大豆たん白組織化物。
  2. 硬度が、1650~3000gであり、
    水中沈定体積(SV)が、6.8~9.0mL/gである請求項1に記載の大麦粉含有大豆たん白組織化物。
  3. 吸水処理した前記大麦粉含有大豆たん白組織化物の硬さを2回連続して測定した際の1回目の最大試験力(H)(吸水処理後の硬さ)が、3000g/cm2以下であり、
    1回目の負荷面積(A1)に対する2回目の負荷面積(A2)の比(A2/A1)(凝集性)が、0.6以下である請求項1又は2に記載の大麦粉含有大豆たん白組織化物。
  4. 脱脂大豆由来原料及び大麦粉からなる原料粉を、水を含むその他の材料と共に高温高圧処理して組織化及び膨化する工程を含む大麦粉含有大豆たん白組織化物の製造方法であって、
    前記大麦粉の含有量が、前記原料粉の総質量に基づいて20質量%以上40質量%未満であり、
    前記高温高圧処理工程は、前記大麦粉含有大豆たん白組織化物の硬度が、1650~3000g、水中沈定体積(SV)が、6.8~9.0mL/gになるように行われる製造方法。

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