JP2022036988A - 植物体の製造方法、天然ゴムの製造方法、空気入りタイヤの製造方法、及び、ゴム製品の製造方法 - Google Patents

植物体の製造方法、天然ゴムの製造方法、空気入りタイヤの製造方法、及び、ゴム製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 木本植物のシュート由来の幼植物から植物体を生産性良く製造可能な植物体の製造方法、該製造方法を用いた天然ゴムの製造方法、空気入りタイヤの製造方法、及び、ゴム製品の製造方法を提供する。【解決手段】 木本植物のシュート由来の幼植物を水耕栽培する水耕栽培工程を含む植物体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、植物体の製造方法、天然ゴムの製造方法、空気入りタイヤの製造方法、及び、ゴム製品の製造方法に関する。
現在、工業用ゴム製品に用いられている天然ゴム(ポリイソプレノイドの1種)は、トウダイグサ科のパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)や桑科植物のインドゴムノキ(Ficus elastica)などのゴム産生植物を栽培し、その植物体が有する乳管細胞で天然ゴムを生合成させ、該天然ゴムを植物から手作業により採取することにより得られる。
現状、工業用天然ゴムは、パラゴムノキをほぼ唯一の採取源としている。またゴム製品の主原料として、様々な用途において幅広くかつ大量に用いられている。しかしながら、パラゴムノキは東南アジアや南米などの限られた地域でのみ生育可能な植物である。更に、パラゴムノキは、植樹からゴムの採取が可能な成木になるまでに7年程度を要し、また、採取出来る季節が限られる場合がある。また、成木から天然ゴムを採取できる期間は20~30年に限られる。
今後、開発途上国を中心に天然ゴムの需要の増大が見込まれており、天然ゴム資源の枯渇が懸念されていることから、安定的な天然ゴムの供給源が望まれている。
このような状況下において、パラゴムノキによる天然ゴムの増産を図る動きが見られる。パラゴムノキは、播種により実生苗を育成させ成長させた後台木とし、クローン苗から得た芽を台木に接ぎ木することで苗を増殖させる。しかしながら、接ぎ穂は、台木の影響を受ける場合があるため、真のクローン苗とはならない。
一方、組織培養を利用したクローン苗を増殖させる方法としてマイクロプロパゲーションがある。マイクロプロパゲーション技術では無菌での組織培養で苗を増殖させる。具体的には、増殖させようとする植物の個体から採取した芽、茎端等の組織を培養してシュートを誘導し、最終的にシュートを発根させ、幼植物が得られる。この手法では、真のクローン苗が得られる。
本発明者らが鋭意検討した結果、木本植物のシュート由来の幼植物は、根の成長が十分ではない場合があり、生育が遅くなりやすいことが判明した。そのため、木本植物のシュート由来の幼植物を商業的に利用しようとした場合、根の成長、生育の遅延が大きな問題となり、木本植物のシュート由来の幼植物から植物体を生産性良く製造するという点では改善の余地がある。
本発明は、本発明者らが見出した新たな課題を解決し、木本植物のシュート由来の幼植物から植物体を生産性良く製造可能な植物体の製造方法、該製造方法を用いた天然ゴムの製造方法、空気入りタイヤの製造方法、及び、ゴム製品の製造方法を提供することを目的とする。
なお、組織培養を利用したクローン苗を増殖させる方法として、前記のようなシュートを使用する方法以外にも、増殖させようとする植物の個体から採取した芽、茎端等の組織を培養してカルスを誘導し、誘導したカルスを増殖させ、増殖させたカルスを複数のカルスに分割し、分割された各カルスを再分化することにより幼植物を得る方法も存在する。この手法により得られた幼植物は、主根が形成されやすく、木本植物のシュート由来の幼植物のような根の成長(特に、主根の形成)が十分ではないという問題は生じない。よって、根の成長、生育の遅延が大きな問題となるのは、木本植物のシュート由来の幼植物特有の問題である。すなわち、本発明者らが見出した前述の新たな課題は、木本植物のシュート由来の幼植物特有の課題である。
本発明者らは、本発明者らが見出した新たな課題を解決するために鋭意検討した結果、通常は、木本植物のシュート由来の幼植物は、土壌が入れられたポットに移し替えられ、土耕栽培が行われるが、木本植物のシュート由来の幼植物を水耕栽培することにより、土耕栽培に比べて、発根、根の発達、及び地上部の生育が促進され、幼植物の生育が大きく促進され、木本植物のシュート由来の幼植物から植物体を生産性良く製造可能であることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、木本植物のシュート由来の幼植物を水耕栽培する水耕栽培工程を含む植物体の製造方法に関する。
前記水耕栽培工程において、養液の温度が20~36℃であることが好ましい。
前記水耕栽培工程において、養液の溶存酸素量が2~20ppmであることが好ましい。
前記水耕栽培工程において、養液の初期pHが5.6~5.8であることが好ましい。
前記水耕栽培工程において、養液のpHを5.0~6.5に維持することが好ましい。
前記水耕栽培工程において、明条件時の葉の位置での照度が5000lx以上の照度環境下で栽培を行うことが好ましい。
前記幼植物の地上部の高さが1m以下であることが好ましい。
前記シュートがHevea属に属する植物のシュートであることが好ましい。
前記シュートがパラゴムノキのシュートであることが好ましい。
本発明はまた、前記植物体の製造方法により植物体を製造する植物体製造工程と、
植物体製造工程により得られた植物体を用いて天然ゴムを製造する天然ゴム製造工程とを含む天然ゴムの製造方法に関する。
本発明はまた、前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程、該工程により得られる天然ゴムと、添加剤とを混練して混練物を得る混練工程、前記混練物から生タイヤを成形する生タイヤ成形工程、及び前記生タイヤを加硫する加硫工程を含む空気入りタイヤの製造方法に関する。
本発明はまた、前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程、該工程により得られる天然ゴムと、添加剤とを混練して混練物を得る混練工程、前記混練物から生ゴム製品を成形する生ゴム製品成形工程、及び前記生ゴム製品を加硫する加硫工程を含むゴム製品の製造方法に関する。
本発明の植物体の製造方法は、木本植物のシュート由来の幼植物を水耕栽培する水耕栽培工程を含むため、木本植物のシュート由来の幼植物から植物体を生産性良く製造できる。
本発明の天然ゴムの製造方法は、前記植物体の製造方法により植物体を製造する植物体製造工程を含むため、天然ゴムを生産性良く製造できる。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程を含むため、空気入りタイヤを生産性良く製造できる。
本発明のゴム製品の製造方法は、前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程を含むため、ゴム製品を生産性良く製造できる。
実施例1、比較例1の結果を示す図である。 地上部の様子の一例を示す写真である。 根の様子の一例を示す写真である。 実施例2の結果を示す写真である。
<植物体の製造方法>
本発明の植物体の製造方法は、木本植物のシュート由来の幼植物を水耕栽培する水耕栽培工程を含む。
これにより、土耕栽培に比べて、発根、根の発達、及び地上部の生育が促進され、幼植物の生育が大きく促進され、木本植物のシュート由来の幼植物から植物体を生産性良く製造できる。
また、木本植物のシュート由来の幼植物に対して土耕栽培を行って、生育不良傾向となった場合であっても、生育不良傾向の幼植物を水耕栽培に切り替えて栽培することにより、生育の改善が見られる。
また、水耕栽培は、通常は、養液を用いて栽培を行うため、根が接するのは養液であるため、根の生育進行方向に物理的な障害は存在しないことから、接触摩擦によるストレスの発生を低減できる。
なお、本発明の植物体の製造方法は、水耕栽培工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。
本発明において、前記効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。
水耕栽培は、養分や水分を水溶液から比較的容易に吸収できることから、根の生育が比較的弱い状態であっても、養分や水分を吸収しやすい。そのため、木本植物のシュート由来の幼植物であっても、水耕栽培工程を行うことにより、生育を安定させるとともに根の生育を促すことができる。
本明細書においてシュートとは、頂芽、腋芽、不定芽の他、多芽体又は苗条原基より分化してきた芽、及びこれらの芽が伸長した状態のものを意味する。
本明細書において、幼植物とは、発根したシュートを意味する。なお、本明細書における幼植物には、発根したシュートに加えて、発根したシュートに対して土耕栽培を行って、生育不良傾向となったものも含まれる。
本明細書において、水耕栽培とは、土壌などの固形培地を必要としない栽培を意味し、水耕、水栽培とも言う。通常は、養液を用いて栽培を行う。
本明細書において、地上部とは、茎及び茎についている葉を意味する。
本発明の製造方法が適用できる植物(シュートの由来植物)は、特に限定されないが、木本植物であることが好ましい。
前記木本植物としては、特に制限されず、落葉樹、常緑樹の広い範囲の種類及び品種の木本植物を挙げることができるが、特に、ゴムを資源として採取できるゴムノキであることが好ましく、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)等のHevea属;イチジク(Ficus carica)、インドゴムノキ(Ficus elastica)、オオイタビ(Ficus pumila L.)、イヌビワ(Ficus erecta Thumb.)、ホソバムクイヌビワ(Ficus ampelas Burm.f.)、コウトウイヌビワ(Ficus benguetensis Merr.)、ムクイヌビワ(Ficus irisana Elm.)、ガジュマル(Ficus microcarpa L.f.)、オオバイヌビワ(Ficus septica Burm.f.)、ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)等のFicus属;グアユール(Parhenium argentatum)がより好ましい。更に好ましくは、Hevea属に属する植物等のトウダイグサ科(Euphorbiaceae)に属する植物であり、特に好ましくは、Hevea属に属する植物である。なかでも、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)が最も好ましい。
前記シュートを誘導するための材料としては、植物の葉柄、葉片、体細胞胚の胚軸、節、腋芽、頂芽等の植物の組織が挙げられる。なかでも、シュートを安定的に誘導することが可能であることから、節、腋芽、又は頂芽を含む組織が好ましい。具体的には、成木や幼木、苗木、クローン苗、又は試験管内で実生苗から生育させた無菌苗(無菌実生苗)由来の前記組織などが挙げられる。
成木や幼木、苗木、又はクローン苗由来の前記組織を使用する場合には、適宜必要な大きさに切断した後、表面を殺菌又は滅菌することで使用することができるが、試験管内で実生苗から生育させた無菌苗(無菌実生苗)由来の前記組織を使用する場合には、適宜必要な大きさに切断した後に使用することが可能である。
成木や幼木、苗木、又はクローン苗由来の前記組織を用いる場合、後述する誘導培地で培養する前にまず、組織の表面を洗浄する。例えば、磨き粉で洗浄したり、柔らかいスポンジで洗浄したりしても良いが、流水で洗浄するのが好ましい。当該洗浄用の水は、界面活性剤を約0.1質量%含むものであってもよい。
次に、組織を殺菌又は滅菌する。殺菌又は滅菌は、周知の殺菌剤、滅菌剤を用いて行うことができるが、エタノール、塩化ベンザルコニウム、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が好ましい。なお、殺菌又は滅菌処理の後、更に滅菌水で洗浄してもよい。
前記洗浄、殺菌又は滅菌処理を行う具体例として例えば以下の手順が挙げられる。流水で組織の表面を洗浄した後、エタノールで洗浄。次いで次亜塩素酸ナトリウム水溶液で必要に応じて撹拌しながら滅菌。その後、滅菌水を用いて洗浄。
シュートの誘導方法は特に限定されないが、前記組織などからシュートを誘導する誘導工程の一例について説明する。
(誘導工程)
誘導工程では、前記組織を、植物ホルモン及び炭素源を含む誘導培地で培養することにより、シュートを誘導、形成させる。なお、誘導培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地に前記組織を差し込んで培養することでシュートを誘導しやすくなるため、固体培養が好ましい。また、誘導培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよく、振とう培養を行ってもよい。
また、殺菌又は滅菌処理を行った組織を用いる場合には、殺菌剤、滅菌剤の影響を除くため切り口を切除して培養に用いるのが好ましい。
植物ホルモン(植物生長ホルモン)としては、例えば、オーキシン系植物ホルモン及び/又はサイトカイニン系植物ホルモンが挙げられる。中でも、サイトカイニン系植物ホルモンを用いることが好ましい。
オーキシン系植物ホルモンとしては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、1-ナフタレン酢酸、インドール-3-酪酸、インドール-3-酢酸、インドールプロピオン酸、クロロフェノキシ酢酸、ナフトキシ酢酸、フェニル酢酸、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、パラクロロフェノキシ酢酸、2-メチル-4-クロロフェノキシ酢酸、4-フルオロフェノキシ酢酸、2-メトキシ-3,6-ジクロロ安息香酸、2-フェニル酸、ピクロラム、ピコリン酸等が挙げられる。なかでも、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、1-ナフタレン酢酸、インドール-3-酪酸が好ましく、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、1-ナフタレン酢酸がより好ましい。
サイトカイニン系植物ホルモンとしては、ベンジルアデニン、カイネチン、ゼアチン、ベンジルアミノプリン、イソペンテニルアミノプリン、チジアズロン、イソペンテニルアデニン、ゼアチンリボシド、ジヒドロゼアチン等が挙げられる。なかでも、ベンジルアデニン、カイネチン、ゼアチンが好ましく、ベンジルアデニン、カイネチンがより好ましく、ベンジルアデニンが更に好ましい。
炭素源としては、特に限定されず、スクロース、グルコース、トレハロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、イドース、アラビノース、アピオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース等の糖類が挙げられる。なかでも、スクロースが好ましい。
誘導培地は、前記組織への成長阻害物質の蓄積を防止するために、更に活性炭を含むことが好ましい。また、シュートの形成を促進するために、更に硝酸銀を含むことが好ましい。更には、シュートの形成を促進するために、ココナッツウォーター(ココナッツミルク)を含んでもよい。
誘導培地としては、Whiteの培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20~p36に記載)、Hellerの培地(Heller R, Bot.Biol.Veg.Paris 14 1-223(1953))、SH培地(SchenkとHildebrandtの培地)、MS培地(MurashigeとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20~p36に記載)、LS培地(LinsmaierとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20~p36に記載)、Gamborg培地、B5培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20~p36に記載)、MB培地(Biotechnology in Agriculture and Forestry volum5(TreesII)p222-245に記載)、WP培地(Woody Plant:木本類用)等の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に植物ホルモンを加えたものを使用すればよい。なかでも、MS培地、B5培地、WP培地、MB培地に植物ホルモンを加えたものが好ましく、MS培地、その組成に変更を加えたMS改変培地、MB培地又はその組成に変更を加えたMB改変培地に植物ホルモンを加えたものがより好ましい。
誘導培地を固体培地とする場合、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。固形化剤としては、特に限定されず、寒天、ゲランガム、アガロース、ゲルライト、アガー、フィタゲル等が挙げられる。
好適な誘導培地の組成及び培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、ゴムノキの場合は)以下の組成である。
誘導培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上である。該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9.0質量%以下、更に好ましくは6.0質量%以下である。なお、本明細書において、炭素源の濃度とは、糖類の濃度を意味する。
誘導培地にオーキシン系植物ホルモンを実質的に加えないことが好ましく、誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度としては、具体的には、好ましくは1.0mg/L以下、より好ましくは0.1mg/L以下、更に好ましくは0.05mg/L以下、特に好ましくは0.01mg/L以下である。
誘導培地にサイトカイニン系植物ホルモンを加える場合の、誘導培地中のサイトカイニン系植物ホルモンの濃度としては、好ましくは0.01mg/L以上、より好ましくは0.1mg/L以上、更に好ましくは0.5mg/L以上、特に好ましくは0.8mg/L以上、最も好ましくは3.0mg/L以上である。該サイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは8.0mg/L以下、より好ましくは7.0mg/L以下、更に好ましくは6.0mg/L以下である。
特に、前記サイトカイニン系植物ホルモンとしてベンジルアデニンを使用する場合の、該ベンジルアデニンの濃度は、4.0~6.0mg/Lであることが好ましく、最も好ましくは、5.0mg/Lである。他方、前記サイトカイニン系植物ホルモンとしてカイネチンを使用する場合の、該カイネチンの濃度は、0.8~1.2mg/Lであることが好ましく、最も好ましくは、1.0mg/Lである。
誘導培地中の活性炭の濃度は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上である。該活性炭の濃度は、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
誘導培地中の硝酸銀の濃度は、好ましくは0.1mg/L以上、より好ましくは0.3mg/L以上、更に好ましくは0.5mg/L以上である。該硝酸銀の濃度は、好ましくは5.0mg/L以下、より好ましくは3.0mg/L以下である。
誘導培地のpHは、4.0~10.0が好ましく、5.0~6.5がより好ましく、5.5~6.0が更に好ましい。
なお、本明細書において、固体培地のpHは、固形化剤を除く全成分を添加した培地のpHを意味する。
誘導工程は、通常、温度、照明時間等の培養条件の管理された制御環境下で行われる。培養条件は適宜設定することができるが、例えば、培養温度は、0~40℃が好ましく、20~40℃がより好ましく、25~35℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、光条件としては、例えば、12.5μmol/m/sの照明の下、14~16時間の明時間という条件などが挙げられる。培養時間は、特に限定されないが、1~10週間培養することが好ましく、3~5週間がより好ましい。
固体培地の場合、誘導培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である。
上述の条件のなかでも、植物ホルモンがサイトカイニン系植物ホルモン(特に、ベンジルアデニン、又はカイネチン)で、その濃度が3.0~8.0mg/Lであり、培養温度が25~35℃であることが特に好ましい。
以上のように、前記組織を前記誘導培地で培養することにより、シュートを誘導、形成することが可能である。
シュートから幼植物を得る方法は特に限定されないが、以下において、シュートから幼植物を得る方法の一例について説明する。
形成されたシュートはこのまま後述する培養工程に供してもよいが、培養工程の前に以下の浸漬処理工程に供することが好ましい。これにより、より好適に幼植物が得られる傾向がある。
(浸漬処理工程)
浸漬処理工程では、オーキシン系植物ホルモンを含有するオーキシン溶液にシュートを浸漬する。
具体的には、誘導工程等により得られたシュート(例えば、2cm程度のシュートの切片)をオーキシン溶液に浸漬すればよい。
シュートをオーキシン溶液に浸漬する際、シュートの切片の端部、すなわち、シュートの切り口がオーキシン溶液に浸かる状態で浸漬することが好ましい。
また、シュートをオーキシン溶液に浸漬する際、シュートを静置して行ってもよく、シュートを振とうして行ってもよい。
前記浸漬処理工程を行う時間は、好ましくは24時間以上、より好ましくは40時間以上、更に好ましくは60時間以上、特に好ましくは70時間以上であり、好ましくは168時間以下、より好ましくは150時間以下、更に好ましくは130時間以下、特に好ましくは100時間以下、最も好ましくは90時間以下、より最も好ましくは80時間以下である。これにより、より良好な発根率が得られる。
浸漬処理工程は、温度、照明時間等が管理された制御環境下で行われることが好ましい。例えば、浸漬処理工程を行う温度は、0~40℃が好ましく、20~40℃がより好ましく、25~35℃が更に好ましい。浸漬処理工程は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、光条件としては、例えば、5~20μmol/m/sの照明の下、14~16時間の明時間という条件などが挙げられる。
浸漬処理工程に供されるシュートとしては、特に限定されず、どのような方法により形成されたシュートであっても用いることができ、例えば、前記誘導工程等により得られたシュートが挙げられる。
また、浸漬処理工程に供されるシュートとしては、シュートの切片であることが好ましい。例えば、シュートを誘導するための材料として用いられた腋芽等の組織から切断されたシュートの切片が好ましい。
また、誘導培地で培養した期間が6ヶ月以内のシュートを用いることも好ましい。
浸漬処理工程に供されるシュート(シュートの切片)の長さは、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、更に好ましくは20mm以上であり、好ましくは100mm以下、より好ましくは80mm以下、更に好ましくは50mm以下である。これにより、より良好な発根率が得られる。
オーキシン溶液が含有するオーキシン系植物ホルモンとしては、前記誘導培地に用いられるオーキシン系植物ホルモンと同様のものを用いることができる。なかでも、インドール-3-酪酸、1-ナフタレン酢酸が好ましく、インドール-3-酪酸及び1-ナフタレン酢酸を併用することが好ましい。
オーキシン溶液中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは15mg/L以下、より好ましくは12mg/L以下であり、好ましくは1.0mg/L以上、より好ましくは3.0mg/L以上、更に好ましくは5.0mg/L以上、特に好ましくは8.0mg/L以上である。これにより、より良好な発根率が得られる。
ここで、複数のオーキシン系植物ホルモンを使用する場合、オーキシン系植物ホルモンの濃度とは、オーキシン系植物ホルモンの合計濃度を意味する。
オーキシン系植物ホルモンとして、インドール-3-酪酸及び1-ナフタレン酢酸を併用する場合、
オーキシン溶液中のインドール-3-酪酸の濃度は、好ましくは10mg/L以下、より好ましくは7.5mg/L以下、更に好ましくは6.0mg/L以下であり、好ましくは1.0mg/L以上、より好ましくは2.5mg/L以上、更に好ましくは3.0mg/L以上、特に好ましくは4.0mg/L以上であり、
オーキシン溶液中の1-ナフタレン酢酸の濃度は、好ましくは10mg/L以下、より好ましくは7.5mg/L以下、更に好ましくは6.0mg/L以下であり、好ましくは1.0mg/L以上、より好ましくは2.5mg/L以上、更に好ましくは3.0mg/L以上、特に好ましくは4.0mg/L以上である。これにより、より良好な発根率が得られる。
オーキシン溶液は、オーキシン系植物ホルモンを含有していればよく、オーキシン系植物ホルモンを溶解させる分散媒としては、特に限定されないが、水、等張液、緩衝液、組織培養用培地などが挙げられる。等張液としては、例えばKCl、NaCl、CaCl2、MgCl2などの無機塩を添加して0.01~7M、好ましくは、0.5~2Mにした液体が挙げられる。緩衝液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、MES緩衝液などが挙げられる。組織培養用培地としては、上述の培地などが挙げられる。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、水が好ましい。すなわち、オーキシン溶液が、オーキシン系植物ホルモンを水に溶解させた水溶液であることが好ましい。
オーキシン系植物ホルモン以外にオーキシン溶液に配合できる成分は特に限定されないが、グルタチオンが好ましい。これにより、より良好な発根率が得られる。
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン及びグリシンを構成アミノ酸とするトリペプチドで、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン(グルタチオンジスルフィド)、及びこれらの混合物のいずれでもよいが、還元型グルタチオンが好ましい。
オーキシン溶液中のグルタチオンの濃度は、好ましくは10μmol/L以上、より好ましくは30μmol/L以上、更に好ましくは40μmol/L以上、特に好ましくは60μmol/L以上、最も好ましくは80μmol/L以上であり、好ましくは500μmol/L以下、より好ましくは400μmol/L以下、更に好ましくは300μmol/L以下、特に好ましくは200μmol/L以下、最も好ましくは150μmol/L以下である。これにより、より良好な発根率が得られる。
オーキシン溶液にはオーキシン系植物ホルモン以外の植物ホルモンを使用することも可能である。オーキシン溶液に使用できるサイトカイニン系植物ホルモンとしては、前記誘導培地に用いられるサイトカイニン系植物ホルモンと同様のものを用いることができるが、オーキシン溶液にはオーキシン系植物ホルモン以外の植物ホルモンを使用しないことが好ましい。
オーキシン溶液中のオーキシン系植物ホルモン以外の植物ホルモンの濃度は、好ましくは2.0mg/L以下、より好ましくは1.0mg/L以下、更に好ましくは0.1mg/L以下、特に好ましくは0.08mg/L以下、最も好ましくは0mg/Lである。これにより、より良好な発根率が得られる。
(培養工程)
培養工程では、前記浸漬処理工程により浸漬されたシュートを発根誘導培地で培養することにより発根させる。
なお、発根誘導培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地にシュートを差し込んで培養することで発根させやすくなるため、固体培養が好ましい。また、発根誘導培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよく、振とう培養を行ってもよい。
培養工程に供されるシュートは、前記浸漬処理工程により浸漬されたシュートであれば特に限定されない。なかでも、前記浸漬処理工程においてシュートを浸漬することにより、シュートの基部に組織塊が形成されたシュートが好ましい。更には、シュートの基部に既に組織塊が形成されているシュートを前記浸漬処理工程に用いることもより好ましい。
発根誘導培地は、炭素源を含むものである。
発根誘導培地に用いられる植物ホルモンとしては、特に限定されず、前記誘導培地に用いられる植物ホルモン(オーキシン系植物ホルモン、サイトカイニン系植物ホルモン)と同様のものを用いることができる。
発根誘導培地に用いられる炭素源としては、特に限定されず、前記誘導培地に用いられる炭素源と同様のものを用いることができるが、なかでもスクロースが好ましい。これにより、より良好な発根率が得られる。
発根誘導培地は、前記誘導培地同様、更に、活性炭、硝酸銀を含むことが好ましい。これにより、より良好な発根率が得られる。
発根誘導培地は、前記オーキシン溶液同様、更に、グルタチオンを含むことが好ましい。これにより、より良好な発根率が得られる。
グルタチオンとしては、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン、及びこれらの混合物のいずれでもよいが、還元型グルタチオンが好ましい。
発根誘導培地としては、前記誘導培地として用いられる基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に炭素源を加えた同様のものを用いることができるが、なかでも、MS培地、B5培地、WP培地、MB培地に炭素源を加えたものが好ましく、MS培地、その組成に変更を加えたMS改変培地、MB培地又はその組成に変更を加えたMB改変培地に炭素源を加えたものがより好ましく、MB培地又はその組成に変更を加えたMB改変培地に炭素源を加えたものが更に好ましい。
発根誘導培地を固体培地とする場合、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。固形化剤としては、特に限定されず、寒天、ゲランガム、アガロース、ゲルライト、アガー、フィタゲル等が挙げられる。
好適な発根誘導培地の組成及び培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、ゴムノキの場合は)以下の組成である。
発根誘導培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上である。該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下である。
発根誘導培地中の植物ホルモンの濃度は、好ましくは2.0mg/L以下、より好ましくは1.0mg/L以下、更に好ましくは0.1mg/L以下、特に好ましくは0.08mg/L以下、最も好ましくは0mg/Lである。これにより、より良好な発根率が得られる。
発根誘導培地中の活性炭の濃度は、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.008質量%以上である。該活性炭の濃度は、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。
発根誘導培地中の硝酸銀の濃度は、好ましくは0.1mg/L以上、より好ましくは0.3mg/L以上、更に好ましくは0.5mg/L以上である。該硝酸銀の濃度は、好ましくは5.0mg/L以下、より好ましくは3.0mg/L以下である。
発根誘導培地中のグルタチオンの濃度は、好ましくは10μmol/L以上、より好ましくは30μmol/L以上、更に好ましくは40μmol/L以上、特に好ましくは60μmol/L以上、最も好ましくは80μmol/L以上であり、好ましくは500μmol/L以下、より好ましくは400μmol/L以下、更に好ましくは300μmol/L以下、特に好ましくは200μmol/L以下、最も好ましくは150μmol/L以下である。
発根誘導培地のpHは、4.0~10.0が好ましく、5.0~6.5がより好ましく、5.5~6.0が更に好ましい。
培養工程は、通常、温度、照明時間等の培養条件の管理された制御環境下で行われる。培養条件は適宜設定することができるが、例えば、培養温度は、0~40℃が好ましく、20~40℃がより好ましく、25~35℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、光条件としては、例えば、5~20μmol/m/sの照明の下、14~16時間の明時間という条件などが挙げられる。培養時間は、特に限定されないが、1~10週間培養することが好ましく、4~8週間がより好ましい。
なお、本明細書において、培養工程の培養時間については、発根誘導培地に前記浸漬処理工程により浸漬されたシュート(シュートの切片)を移植したときを培養開始(0時間)とし、培養期間3週間目は、培養開始後504時間、培養期間9週間目は、培養開始後1512時間を意味し、新たな発根誘導培地に移植した(植え替えた)際は培養期間をリセットせずに、培養期間を累積加算することとする。
固体培地の場合、発根誘導培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、更に好ましくは0.75質量%以下である。
上述の条件のなかでも、植物ホルモンの濃度が低いこと(実質的に含有しないこと)、グルタチオンを含有することが好ましく、植物ホルモンの濃度が低く(実質的に含有せず)、かつ、グルタチオンを含有することがより好ましい。
以上のように、前記浸漬処理工程により浸漬されたシュートを前記発根誘導培地で培養することにより、発根させることが可能であり、発根させたシュート(幼植物)が得られ、完全なクローン苗が形成される。
得られた幼植物(木本植物のシュート由来の幼植物)は、従来であれば、直接土壌に移植されるが、本発明では、以下の水耕栽培工程に供する。
(水耕栽培工程)
水耕栽培工程では、木本植物のシュート由来の幼植物を水耕栽培する。
水耕栽培工程に供される幼植物は、木本植物のシュート由来の幼植物であれば特に限定されない。水耕栽培工程に供される幼植物には、前記の通り、発根したシュートだけではなく、発根したシュートに対して土耕栽培を行って、生育不良傾向となった植物も含まれる。
水耕栽培工程に供される幼植物は、葉の展開が完了していることが好ましい。ここで、本明細書において、葉の展開が完了しているとは、芽が伸長し、出葉してから葉の展開が完了していることを意味する。
水耕栽培工程に供される幼植物の地上部の高さは、好ましくは1m以下、より好ましくは50cm以下、更に好ましくは20cm以下であり、好ましくは1.5cm以上、より好ましくは3.0cm以上、更に好ましくは4.5cm以上である。前記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
ここで、水耕栽培工程に供される幼植物の地上部の高さは、水耕栽培工程開始時の幼植物の地上部の高さを意味する。
水耕栽培では、通常は、養液を用いて栽培を行う。より好ましくは幼植物の根が養液に接触する状態で栽培を行う。そして、土壌などの固形培地を使用しない。
前記養液は、植物が生長するために必要な養分を含む肥料を水に溶かして調製したものであり、植物の生育に適した養液であれば特に限定されず、従来公知のものを使用できるが、例えば、カネコ養液栽培用肥料ファームエース1号(カネコ種苗(株)製)、カネコ養液栽培用肥料ファームエース2号(カネコ種苗(株)製)、養液栽培用肥料OATハウス1号(OATアグリオ(株)製)、養液栽培用肥料OATハウス2号(OATアグリオ(株)製)、ハイポニカ液体肥料(協和(株)製)、ホーグランド水耕液などが使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ハイポニカ液体肥料(協和(株)製)、ホーグランド水耕液が好ましく、ホーグランド水耕液がより好ましい。
例えば、OATハウス1号は、窒素全量10.0質量%、水溶性リン酸8.0質量%、水溶性カリウム27.0質量%、水溶性苦土4.0質量%、水溶性マンガン0.10質量%、水溶性ホウ素0.10質量%、鉄分0.18質量%、銅分0.002質量%、亜鉛分0.006質量%、モリブデン分0.002質量%を含む粉末状の肥料である。
また、OATハウス2号は、窒素全量11.0質量%、石灰23.0質量%を含む粉末状肥料である。
例えば、OATハウス1号とOATハウス2号とを用いて、養液を調製する場合には、公知の処方(例えば、A処方やC処方など)に従って、水にOATハウス1号を溶解させた後、その溶液にOATハウス2号を添加して溶解させる。
一例として、OATハウス1号(OATアグリオ(株)製)及びOATハウス2号(OATアグリオ(株)製)のA処方の成分組成を下記する。
窒素全量(TN):260ppm
(内アンモニア性窒素(AN):23ppm、硝酸性窒素(NN):233ppm)
リン酸(P):120ppm
加里(KO):405ppm
石灰(CaO):230ppm
苦土(MgO):60ppm
マンガン(MnO):1.5ppm
ホウ素(B):1.5ppm
鉄(Fe):2.7ppm
銅(Cu):0.03ppm
亜鉛(Zn):0.09ppm
モリブデン(Mo):0.03ppm
EC値(dS/m):2.6
例えば、ホーグランド水耕液は、以下の組成である。
Figure 2022036988000001
前記養液中の窒素含有量、水溶性リン酸含有量、水溶性カリウム含有量、石灰含有量、水溶性苦土含有量等は特に限定されず、植物の生育に適した養液となるように当業者であれば容易に設定可能である。
前記養液中の窒素濃度は、例えば、10~20mmol/lであることが好ましい。
前記養液中の水溶性リン酸濃度は、例えば、1~6mmol/lであることが好ましい。前記養液中の水溶性カリウム濃度は、例えば、5~15mmol/lであることが好ましい。
発根、根の発達、及び地上部の生育がより促進され、幼植物の生育がより大きく促進され、木本植物のシュート由来の幼植物から植物体をより生産性良く製造するためには、養液の温度及び養液の溶存酸素量が非常に重要である。養液の温度及び養液の溶存酸素量を以下の好適な数値範囲内とすることにより、効果がより好適に得られる。
これは、以下のように推測される。
根に必要な酸素を十分に供給することで、酸素不足を防ぐとともに、生育に適した水温に保つことで、湿害を予防できる。これにより、根からの養分・水分の吸収を促し、健康な植物体をより好適に得られる。
養液の温度は、好ましくは20℃以上、より好ましくは22℃以上、更に好ましくは24℃以上、特に好ましくは25℃以上であり、好ましくは36℃以下、より好ましくは34℃以下、更に好ましくは32℃以下、特に好ましくは30℃以下、最も好ましくは28℃以下、より最も好ましくは26℃以下である。前記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
養液の溶存酸素量は、好ましくは2ppm以上、より好ましくは4ppm以上、更に好ましくは5ppm以上、特に好ましくは7ppm以上、最も好ましくは9ppm以上であり、好ましくは20ppm以下、より好ましくは18ppm以下、更に好ましくは15ppm以下、特に好ましくは12ppm以下である。前記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
なお、養液の溶存酸素量は、溶存酸素測定器を用いて25℃で測定される値である。
なお、溶存酸素量を前記範囲内とするための方法としては特に限定されないが、例えば、養液に対して、空気や酸素を添加、すなわち、エアレーションを行えばよい。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
養液の初期pHは、好ましくは5.6~5.8である。前記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
また、水耕栽培工程において、養液のpHを5.0~6.5に維持しながら栽培を行うことが好ましい。該pHは、好ましくは5.2以上、より好ましくは5.5以上であり、好ましくは6.3以下、より好ましくは6.0以下である。前記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
なお、前記pH範囲内となるように、必要に応じて、酸やアルカリを養液に添加して調整すればよい。
また、本明細書において、pHは、25℃で測定される値である。
水耕栽培工程において、明条件時の葉の位置での照度が5000lx以上の照度環境下で栽培を行うことが好ましい。照度は、好ましくは6000lx以上、より好ましくは7000lx以上であり、好ましくは15000lx以下、より好ましくは10000lx以下である。前記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、葉の位置での照度は、JIS C 7612に準拠して測定される値である。
前記照度を得るための光源としては、特に限定されず、自然光を利用しても、人工光を利用しても、これらを組み合わせて利用してもよい。人工光を用いる場合、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、白熱電球、蛍光灯、アーク灯、無電極放電灯、低圧放電灯、冷陰極型蛍光管、外部電極型蛍光管、エレクトロルミネセンスライト、及びHIDランプ等を使用することができる。HIDランプとしては、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、及び高圧ナトリウムランプ等が挙げられる。これらの光源は、1種類のみを使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
水耕栽培工程における日長時間(明条件)は、特に限定されないが、好ましくは12時間以上、より好ましくは14時間以上であり、22時間以下が好ましく、20時間以下がより好ましい。前記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
水耕栽培工程における栽培温度は、好ましくは20℃以上、より好ましくは22℃以上、更に好ましくは24℃以上、特に好ましくは26℃以上であり、好ましくは36℃以下、より好ましくは34℃以下、更に好ましくは32℃以下、特に好ましくは30℃以下である。前記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
水耕栽培工程における栽培期間は、特に限定されないが、2ヶ月以上が好ましく、3ヶ月以上がより好ましく、4ヶ月以上が更に好ましく、上限については特に限定されない。前記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
その他の水耕栽培条件としては、特に限定されず、植物の生育に適した通常採用される条件により栽培することができる。また、水耕栽培を行う装置等についても特に限定されず、通常水耕栽培に用いられる装置等を用いることができる。
水耕栽培工程では、幼植物の根の基部周りに弾性材を取り付けることが好ましい。これにより、幼植物が養液上に固定され、効果がより好適に得られる傾向がある。
弾性材としては、弾性を有する限り特に限定されないが、スポンジ、給水シート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スポンジが好ましい。
ここで、本明細書において、根の基部とは、発根が見られた部位付近を意味する。
幼植物の根の基部に弾性材を取り付ける際に、基部を締め付けすぎないことが好ましい。そのため、弾性材は切込みが入れられていることが好ましい。
弾性材の引張強度は、好ましくは30KPa以上、より好ましくは40KPa以上、更に好ましくは60KPa以上であり、好ましくは1000KPa以下、より好ましくは500KPa以下、更に好ましくは100KPa以下である。前記範囲内であると、弾性材が基部を締め付けすぎず、効果がより好適に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、弾性材の引張強度は、JIS K6400-5に準拠し、試験片を引張試験機で引っ張り、破断までの最大力を試験片断面積で除した値を引張強度とする。
以上のように、木本植物のシュート由来の幼植物を水耕栽培する水耕栽培工程を行うことにより、土耕栽培に比べて、発根、根の発達、及び地上部の生育が促進され、幼植物の生育が大きく促進され、木本植物のシュート由来の幼植物から植物体(完全な植物体であるクローン苗)を生産性良く製造できる。
得られた植物体は、必要に応じて、土壌に移植してもよい。
なお、前記水耕栽培工程を行うことにより、馴化も完了する。よって、前記水耕栽培工程を行うことにより、馴化と初期成育を共に効率的に促進できるため、別途、馴化工程を行う必要がなく、木本植物のシュート由来の幼植物から植物体(完全な植物体であるクローン苗)を生産性良く製造できる。
<天然ゴムの製造方法>
本発明の天然ゴムの製造方法は、
前記植物体の製造方法により植物体を製造する植物体製造工程と、
植物体製造工程により得られた植物体を用いて天然ゴムを製造する天然ゴム製造工程とを含む。本発明の天然ゴムの製造方法は、前記植物体の製造方法により植物体を製造する植物体製造工程を含むため、天然ゴムを生産性良く製造できる。
植物体製造工程は、前記植物体の製造方法により植物体を製造する工程であり、前記植物体の製造方法を実施すればよい。
天然ゴム製造工程では、植物体製造工程により得られた植物体を用いて天然ゴムを製造する。具体的には、植物体製造工程により得られた植物体を栽培することにより、該植物体が有する乳管細胞で天然ゴムを生合成させ、天然ゴムを製造すればよい。
植物体からの天然ゴムの回収方法は従来公知の方法に従って行えばよい。
例えば、植物体をナイフ等で物理的に傷つけ、乳液(ラテックス)を回収し、必要に応じて、酸を添加する方法等によりラテックスを固化することにより、植物体からゴム(天然ゴム)を固形分として回収できる。得られたゴム(天然ゴム)は、必要に応じて、洗浄、脱水、乾燥を行ってから使用すればよい。
<ゴム製品の製造方法>
本発明のゴム製品の製造方法は、
前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程、該工程により得られる天然ゴムと、添加剤とを混練して混練物を得る混練工程、前記混練物から生ゴム製品を成形する生ゴム製品成形工程、及び前記生ゴム製品を加硫する加硫工程を含む。本発明のゴム製品の製造方法は、前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程を含むため、ゴム製品を生産性良く製造できる。
ゴム製品としては、ゴム(好ましくは天然ゴム)を使用して製造できるゴム製品であれば特に限定されず、例えば、空気入りタイヤ、ゴムクローラ、ゴム防舷材等が挙げられる。
ゴム製品が空気入りタイヤの場合、すなわち、本発明のゴム製品の製造方法が本発明の空気入りタイヤの製造方法の場合、前記生ゴム製品成形工程は、前記混練物から生タイヤを成形する生タイヤ成形工程に、前記加硫工程は、前記生タイヤを加硫する加硫工程に相当する。すなわち、本発明の空気入りタイヤの製造方法は、前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程、該工程により得られる天然ゴムと、添加剤とを混練して混練物を得る混練工程、前記混練物から生タイヤを成形する生タイヤ成形工程、及び前記生タイヤを加硫する加硫工程を含む。本発明の空気入りタイヤの製造方法は、前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程を含むため、空気入りタイヤを生産性良く製造できる。
前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程は、前記天然ゴムの製造方法を実施し、天然ゴムを製造すればよい。
<混練工程>
混練工程では、前記天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程により得られる天然ゴムと、添加剤とを混練して混練物を得る。
添加剤としては特に限定されず、ゴム製品の製造に用いられる添加剤を使用できる。例えば、ゴム製品が空気入りタイヤの場合、例えば、前記ラテックスから得られたゴム以外のゴム成分、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルクなどの補強用充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加工助剤、各種老化防止剤、オイルなどの軟化剤、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤等が挙げられる。
混練工程における混練は、オープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて行えばよい。
<生ゴム製品成形工程(タイヤの場合は生タイヤ成形工程)>
生ゴム製品成形工程では、混練工程により得られた混練物から生ゴム製品(タイヤの場合は生タイヤ)を成形する。
生ゴム製品の成形方法としては特に限定されず、生ゴム製品の成形に用いられる方法を適宜適用すればよい。例えば、ゴム製品が空気入りタイヤの場合、混練工程により得られた混練物を、各タイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、各タイヤ部材を貼り合わせ、生タイヤ(未加硫タイヤ)を成形すればよい。
<加硫工程>
加硫工程では、生ゴム製品成形工程により得られた生ゴム製品を加硫することにより、ゴム製品が得られる。
生ゴム製品を加硫する方法としては特に限定されず、生ゴム製品の加硫に用いられる方法を適宜適用すればよい。例えば、ゴム製品が空気入りタイヤの場合、生ゴム製品成形工程により得られた生タイヤ(未加硫タイヤ)を加硫機中で加熱加圧して加硫することにより空気入りタイヤが得られる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
BA:ベンジルアデニン
KI:カイネチン
硝酸銀:メルク社製の硝酸銀
ゲル化剤(固形化剤):シグマアルドリッチ社製のPhytagel
<誘導工程>
パラゴムノキの苗木から腋芽を含む組織を採取した。
次に、苗木から採取した腋芽を含む組織を流水で洗浄し、更に70質量%エタノールで洗浄した後、約5~10体積%に希釈した次亜塩素酸ナトリウム水溶液で滅菌し、滅菌水で洗浄した。
次に、滅菌した組織を誘導培地(固体培地)に差し込み、培養を行った(誘導工程)。誘導培地は、MB培地に、ベンジルアデニン5.0mg/L、硝酸銀1.0mg/L、スクロース3.0質量%、活性炭0.05質量%を添加し、培地のpHを5.7に調整した後、ゲル化剤を0.275質量%となるように添加して、オートクレーブ(121℃、20分)で滅菌し、クリーンベンチ内で冷却することにより調製した。
パラゴムノキの前記組織を誘導培地(固体培地)に差し込み、培養温度28℃、12.5μmol/m/sの照明の下、16時間の明時間という条件で培養し、シュートを誘導した。なお、4週間ごとに同じ組成の誘導培地に移植する植え継ぎを行った。
誘導工程により誘導されたシュートを以下において使用した。
オーキシン溶液(5.0mg/L 1-ナフタレン酢酸、5.0mg/L インドール-3-酪酸、100μmol/L 還元型グルタチオン)にシュートの切り口を72時間浸漬した(浸漬処理工程、温度:28℃、12.5μmol/m/sの照明の下、16時間日長)。次に、MB基本培地に3.0質量%スクロース、0.01質量%活性炭、1.0mg/L硝酸銀、100μmol/L 還元型グルタチオン、0.275質量%固形化剤を含むホルモンフリー(植物ホルモンの濃度0mg/L)の固形培地(pH5.7)に、浸漬処理工程により浸漬処理されたシュートの切り口面を挿し込み培養した(培養工程)。培養は、12.5μmol/m/sの照明の下、16時間日長、温度25~28℃で8週間培養した。ホルモンフリーの培地で培養を開始後2週間目から根が確認できる個体があり、該個体を更に4週間培養し、幼植物(シュート由来の幼植物)を得た。
なお、オーキシン溶液は、前記成分を蒸留水に溶解することにより調製した。
また、培地は、基本培地に、固形化剤を除く前記各成分を添加し、培地のpHを5.7に調整した後、固形化剤を0.275質量%となるように添加して、オートクレーブ(121℃、20分)で滅菌し、クリーンベンチ内で冷却することにより調製した。
(実施例1)水耕栽培
得られた幼植物(地上部の高さ:5.0cm)の根の基部周りに、切込みを入れたスポンジ(引張強度:80KPa)を取り付けた。そして、台座(材質:発泡スチロール)に設けた穴に植物をセットし、養液(養液の初期pH:5.7)を入れた深さのある容器に台座を浮かべた。この際に、幼植物の根が養液に浸かるようにした。養液には、エアポンプで酸素を供給し、養液の溶存酸素量を12ppmに維持した。そして、養液の温度25℃、栽培温度28℃で、明条件16時間、暗条件8時間の条件下で水耕栽培を行った。
なお、明条件時の葉の位置での照度は5,000~10,000lxを維持し、暗条件時の葉の位置での照度は1lx以下を維持した。
また、硝酸溶液を養液に添加して、養液のpHを5.6~5.8に維持しながら栽培を行った。
なお、養液としては、ホーグランド水耕液を使用した。
そして、栽培中1ヶ月経過毎に観察、写真撮影を行い、根の形成状態の確認、根の伸長、地上部の高さ、茎の太さ、葉の枯れの有無などを観察し、地上部の生育状態と根の形成状態を評価した。
(比較例1)
養液の代わりに培養土(バーミキュライトと観葉植物の土の混合)を用いた点以外は同様の条件で土耕栽培を行った。水やりは、前記養液をじょうろを用いて培養土に一日に一回加えて、培養土を湿らせることにより行った。
実施例、比較例における評価結果を図1に示す。なお、各例はそれぞれ2回実施した。
図1(a)は、各例の地上部の高さの推移を、図1(b)は、各例の茎の太さの推移を示す。
図1より、実施例、比較例の対比により、水耕栽培することにより、土耕栽培に比べて、地上部の生育が顕著に促進されることが分かった。
また、土耕栽培を行った比較例1-1、1-2では、栽培初期の約6ヶ月に渡って遅延ステージ(retarded stage)が見られたのに対して、水耕栽培を行った実施例1-1、1-2では、栽培初期から地上部の生育が確認された。
なお、茎の太さは、地上部と根の境界から1.0cm離れた箇所の茎の太さを測定した。
図2は、各例の栽培3ヶ月経過時における地上部の様子を示す写真である。
図2より、水耕栽培した場合、土耕栽培した場合に比べて、地上部の生育が促進され、葉の健康状態が良好であることが分かった。
図3は、各例の栽培3ヶ月経過時における根の様子を示す写真である。
図3より、土耕栽培した比較例では、主に主根が渦を巻いているが、水耕栽培した実施例では、根は渦を巻かず、側根が発達していることが分かった。このように、水耕栽培した場合、土耕栽培に比べて、発根、根の発達が促進されることが分かった。
(実施例2)
まず、前記と同様にして得られた幼植物(地上部の高さ:5.0cm)を用いて土耕栽培を行った。この際に、生育不良となった。
この生育不良となった苗を実施例1と同様の条件で水耕栽培を2ヶ月行った。水耕栽培開始時の苗と、水耕栽培2ヶ月経過時の苗の写真を図4に示した。
図4より、木本植物のシュート由来の幼植物に対して土耕栽培を行って、生育不良傾向となった場合であっても、生育不良傾向の幼植物を水耕栽培に切り替えて栽培することにより、生育の改善が見られることが分かった。
一方、生育不良となった苗を比較例1と同様の条件で土耕栽培を行ったが、枯れてしまった。
以上の通り、水耕栽培した場合、土耕栽培に比べて、発根、根の発達、及び地上部の生育が促進され、幼植物の生育が大きく促進され、木本植物のシュート由来の幼植物から植物体を生産性良く製造できることが分かった。

Claims (12)

  1. 木本植物のシュート由来の幼植物を水耕栽培する水耕栽培工程を含む植物体の製造方法。
  2. 前記水耕栽培工程において、養液の温度が20~36℃である請求項1記載の植物体の製造方法。
  3. 前記水耕栽培工程において、養液の溶存酸素量が2~20ppmである請求項1又は2記載の植物体の製造方法。
  4. 前記水耕栽培工程において、養液の初期pHが5.6~5.8である請求項1~3のいずれかに記載の植物体の製造方法。
  5. 前記水耕栽培工程において、養液のpHを5.0~6.5に維持する請求項1~4のいずれかに記載の植物体の製造方法。
  6. 前記水耕栽培工程において、明条件時の葉の位置での照度が5000lx以上の照度環境下で栽培を行う請求項1~5のいずれかに記載の植物体の製造方法。
  7. 前記幼植物の地上部の高さが1m以下である請求項1~6のいずれかに記載の植物体の製造方法。
  8. 前記シュートがHevea属に属する植物のシュートである請求項1~7のいずれかに記載の植物体の製造方法。
  9. 前記シュートがパラゴムノキのシュートである請求項1~7のいずれかに記載の植物体の製造方法。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の植物体の製造方法により植物体を製造する植物体製造工程と、
    植物体製造工程により得られた植物体を用いて天然ゴムを製造する天然ゴム製造工程とを含む天然ゴムの製造方法。
  11. 請求項10記載の天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程、該工程により得られる天然ゴムと、添加剤とを混練して混練物を得る混練工程、前記混練物から生タイヤを成形する生タイヤ成形工程、及び前記生タイヤを加硫する加硫工程を含む空気入りタイヤの製造方法。
  12. 請求項10記載の天然ゴムの製造方法により天然ゴムを製造する工程、該工程により得られる天然ゴムと、添加剤とを混練して混練物を得る混練工程、前記混練物から生ゴム製品を成形する生ゴム製品成形工程、及び前記生ゴム製品を加硫する加硫工程を含むゴム製品の製造方法。
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