JP2022035988A - エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及びそれを含む成形体、フィルム - Google Patents

エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及びそれを含む成形体、フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐熱性、透明性及びESCRに優れるエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、及びこれを含む成形体、フィルムを提供することを目的とする。【解決手段】酢酸ビニル単位の含有量が、3.0質量%以上30.0質量%以下であり、溶融粘弾性測定の特定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率G’が下記式(2)を満たす範囲内にて下記式(1)を満たす、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂;Tb-Te≦10.00 (1)(式(1)中、Tbは、下記式(2)を満たす範囲内における最大温度(℃)であり、Teは、下記式(2)を満たす範囲内における最小温度(℃)である。)、|(dlogG’/dT)|≧0.04 (2)(式(2)中、|(dlogG’/dT)|は、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いである。)。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及びこれを含む成形体、フィルムに関する。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、透明性、柔軟性、機械強度、電気絶縁性、耐候性、耐久性等の性能に優れることから、射出成形や押出成形にて人工芝マット、自動車用マットガード、排水ホースなどの用途で使用され、さらには、インフレやTダイ製膜などにて単層又は積層フィルムに加工され、農業用ポリオレフィンフィルム、自動車泥除けカバーなどの広範な産業分野で使用されている。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を用いたフィルムとして、例えば、特許文献1には、高い酢酸ビニル含量を有してもなお高い引裂強度、保温性を有するエチレン・酢酸ビニル共重合体フィルムが提案されている。
また、例えば、特許文献2には、酢酸ビニル単位含有量が20~45wt%であって、柔軟で、強度、成形性及び耐熱性に優れたエチレン共重合体組成物が提案されている。
特開2004-161881号公報 特許第4165963号公報
しかしながら、エチレン酢酸ビニル共重合体は酢酸ビニル含有量の増加とともに、透明性、柔軟性、接着性が向上する一方で、結晶化温度が低下し、耐熱性が低下する傾向にある。
近年、エチレン-酢酸ビニル共重合体の使用分野が広がるにつれて、市場からはさらに高度な性能が要求されるようになっており、その要求性能の具体的なものとしては、意匠性を高めるために透明性が高いこと、排水パイプ、人工芝、自動車泥除けカバー等の用途においては、種々の液体が接触した状態で内圧等の応力に長時間晒されるため、一定の応力がかかる状態で薬品中に放置したときに環境応力亀裂割れが起きないこと、すなわち耐環境応力亀裂性(以下、「ESCR」ともいう。)が高いことが求められている。
さらに、環境に配慮した持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも製品寿命が長くなることで、長期的にみると原料のエチレン-酢酸ビニル共重合体の使用量を減らすことが出来るため、ESCRが高く製品寿命を長くすることが可能なエチレン-酢酸ビニル共重合体が求められている。
一般的に、ESCRを高める方法としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の分子量を高める方法や、酢酸ビニル含有量を上げる方法が挙げられるが、分子量を高めた場合は加工性が低下し、酢酸ビニル量を上げた場合は上述したとおり耐熱性が低下する傾向にある。そのため、耐熱性、透明性及びESCRに優れるエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が求められている。
特許文献1に記載のエチレン・酢酸ビニル共重合体フィルムは、エチレン・酢酸ビニル共重合体の各分子量における酢酸ビニル含有量が高分子量になるほど下がるため、透明性やESCRの点で改善の余地を有している。また、特許文献2に記載のエチレン共重合体組成物は、ポリエチレンと、エチレン・酢酸ビニル共重合体とからなる組成物であり、ポリエチレンとエチレン・酢酸ビニル共重合体とは完全に相溶しないため、透明性に劣るなどの改善の余地を有している。
そこで、本発明は、耐熱性、透明性及びESCRに優れるエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、及びこれを含む成形体、フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、溶融状態から固化状態へ遷移(特定の降温条件で測定)する際の、溶融粘弾性の貯蔵弾性率が所定範囲であるエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が、上記の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
酢酸ビニル単位の含有量が、3.0質量%以上30.0質量%以下であり、
下記溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率G’が下記式(2)を満たす範囲内にて下記式(1)を満たす、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
Tb-Te≦10.00 (1)
(式(1)中、Tbは、下記式(2)を満たす範囲内における最大温度(℃)であり、Teは、下記式(2)を満たす範囲内における最小温度(℃)である。)
|(dlogG’/dT)|≧0.04 (2)
(式(2)中、|(dlogG’/dT)|は、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いである。)
(溶融粘弾性測定条件)
測定装置:ARES-G2(TAインスツルメント社製)
雰囲気:窒素
ジオメトリ:8mmφパラレルプレート
ギャップ間距離:1.5mm
ひずみ量:200℃以下105℃以上で5.0%、105℃未満45℃以上で3.0%、45℃未満30℃以上で0.1%。なお、温度はパラレルプレートの円盤直下の温度を示す。
降温測定条件:200℃に設定された装置にサンプルを入れ、10分間保持し、サンプルを200℃から30℃まで5℃/分の速度で降温し、降温時のサンプルの溶融粘弾性を測定する
[2]
前記溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率G’が下記式(3)を満たす、[1]に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
|(dlogG’/dT)|MAX≧-0.0125×VA含有量+0.490 (3)
(式(3)中、|(dlogG’/dT)|MAXは、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いの最大値であり、VA含有量は、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂中の酢酸ビニル単位の含有量(質量%)である。)
[3]
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が、8.0以下の分子量分布(Mw/Mn)を有する、[1]又は[2]に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
[4]
前記エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のMFRが0.1g/10分以上5.0g/10分以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む成形体。
[6]
[1]~[4]のいずれかに記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含むフィルム。[7]
[1]~[4]のいずれかに記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む積層フィルム。
本発明によれば、耐熱性、透明性及びESCRに優れるエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、及びこれを含む成形体、フィルムを提供することができる。
溶融粘弾性測定の特定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率G’の変化のグラフの一例の概念図を示す。 図1の温度変化に対する貯蔵弾性率G’の変化の度合いを表す「|(dlogG’/dT)|」のグラフの一例の概念図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は以下の記載に限定されるものでなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂]
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、
酢酸ビニル単位の含有量が、3.0質量%以上30.0質量%以下であり、下記溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率(G’)が下記式(2)を満たす範囲内において下記(1)を満たす。
Tb-Te≦10.00 (1)
(式(1)中、Tbは、下記式(2)を満たす範囲内における最大温度(℃)であり、Teは、下記式(2)を満たす範囲内における最小温度(℃)である。)
|(dlogG’/dT)|≧0.04 (2)
(式(2)中、|(dlogG’/dT)|は、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いである。)
(溶融粘弾性測定条件)
測定装置:ARES-G2(TAインスツルメント社製)
雰囲気:窒素
ジオメトリ:8mmφパラレルプレート
ギャップ間距離:1.5mm
ひずみ量:200℃以下105℃以上で5.0%、105℃未満45℃以上で3.0%、45℃未満30℃以上で0.1%。なお、温度はパラレルプレートの円盤直下の温度を示す。
降温測定条件:200℃に設定された装置にサンプルを入れ、10分間保持し、サンプルを200℃から30℃まで5℃/分の速度で降温し、降温時のサンプルの溶融粘弾性を測定する。
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が、上記要件を満たすと、該エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む成形体やフィルムは、耐熱性が高く、透明性が高く、ESCRに優れる効果が得られる。
以下、本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂について説明する。
(VA含有量)
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、エチレン単位及び酢酸ビニル単位を含む共重合体である。
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、酢酸ビニル単位の含有量(以下、「VA含有量」ともいう。)が、加工性、耐熱性、柔軟性の観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の全量に対して、3.0質量%以上30.0質量%以下であり、好ましくは4.0質量%以上25.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以上20.0質量%以下であり、さらに好ましくは13.0質量%以上19.0質量%以下である。
VA含有量を3.0質量%以上30.0質量%以下に調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を重合する工程における酢酸ビニルモノマーの添加量や、重合温度、重合圧力を適宜調整すること等が挙げられる。
なお、VA含有量は、JIS K7192:1999に準拠し、基準試験法として、けん化と電位差滴定とにより検量線を作成し、対照試験法として、赤外分光法により酢酸ビニル換算することで測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、エチレン単位の含有量は、加工性、耐熱性、柔軟性の観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の全量に対して、好ましくは70.0質量%以上97.0質量%以下であり、より好ましくは75.0質量%以上96.0質量%以下であり、さらに好ましくは80.0質量%以上90.0質量%以下であり、さらに好ましくは81.0質量%以上87.0質量%以下である。
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、エチレン単位、酢酸ビニル単位以外のモノマー単位を含んでいてもよい。その他のモノマー単位としては、特に限定されないが、例えば、プロピレン、ブタン等に由来する単位が挙げられる。その他のモノマー単位の含有量は、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、2種類以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を任意の比率でドライブレンド、又はメルトブレンドしたものを使用することもできる。2種類以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を用いる場合、これら樹脂全体における、VA含有量などが上述の範囲であることが好ましい。
(Tb、Te、|(dlogG’/dT)|)
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、上述した溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率G’が下記式(2)を満たす範囲内にて下記式(1)を満たす。
Tb-Te≦10.00 (1)
(式(1)中、Tbは、下記式(2)を満たす範囲内における最大温度(℃)であり、Teは、下記式(2)を満たす範囲内における最小温度(℃)である。)
|(dlogG’/dT)|≧0.04 (2)
(式(2)中、|(dlogG’/dT)|は、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いである。)
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を、上述した溶融粘弾性測定において溶融状態から固化状態を観測する特定の降温測定条件にて、温度変化に対する貯蔵弾性率G’を測定すると、例えば、図1に示すような曲線(以下、貯蔵弾性率(G’)曲線という。)が得られる。
また、貯蔵弾性率(G’)曲線を、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いを表す「|(dlogG’/dT)|」に変換すると、例えば、図2に示すような曲線が得られる。
|(dlogG’/dT)|のピーク部分は、溶融粘弾性測定(降温測定条件)において溶融状態から固化状態の状態変化過程に相当する。この|(dlogG’/dT)|の上昇過程は、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の分子の位置が固定されて自由な運動が停止することによるもので、降温条件下での貯蔵弾性率(G’)曲線の傾きが0に近づくほど、分子の自由な運動停止の至る速度が小さい、すなわち結晶化速度が低いことを示している。
本実施形態では、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いを表す「|(dlogG’/dT)|」値のうち、溶融状態から固化状態に変化しさらに温度を下げると僅かに結晶化が進むため、測定誤差を考慮した前記式(2)を満たす範囲から求められる最大温度をTb、最小温度をTeとしてTb-Teを用いて、結晶化速度を表す。
貯蔵弾性率の測定は、固体状態から溶融状態の変化を測定することが一般的であるが、本実施形態においては溶融状態から固化状態の状態変化を測定していることが特徴的である。溶融状態から固体状態に状態変化する際の急激な貯蔵弾性率変化を1ポイント/秒の高速サンプリングにより正確な貯蔵弾性率を測定することで結晶化速度を求めることができる。なお、溶融状態から固化状態の状態変化より結晶化速度を求める方法としては、示差走査熱量測定(以下、DSC測定という)にて、結晶化温度を測定し、結晶化温度のONSET温度より+1℃から+4℃温度を上げたときの1/2等温結晶化時間を求め、測定温度(1/T)と1/2等温結晶化時間をプロットし近似直線を求め、その傾きより結晶速度を求める方法が知られているが、本実施形態におけるTb-Teで表す結晶化速度の結果と一致しない。DSC測定で求める結晶化速度は、溶融状態から固化状態への変化の過程でひずみが少なく静的な結晶化挙動を測定しているのに対して、降温条件での貯蔵弾性率測定は一定のひずみ下での結晶化速度であり動的な結晶化挙動を示すため、前記の差が生じていると推測している。したがって、降温条件での貯蔵弾性率測定は、実際の製品における加工時の結晶化速度を示していると推測している。
本実施形態において、Tb-Teは、10.00以下であり、好ましくは9.50以下、より好ましくは9.00以下、さらに好ましくは8.50以下である。Tb-Teの下限は、特に限定されないが、例えば、5.00以上である。
Tb-Teは、10.00以下のとき、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の結晶化速度が速いため結晶サイズが均一で小さく、かつ結晶と結晶をつなぐタイ分子が多くなるため本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は優れた透明性を示し、ESCRの優れた成形体が得られる。
Tb-Teを、上述した所定の値に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を構成する酢酸ビニル中の不純物を除去する方法、及び/又は、得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の分解による低分子量成分の発生を抑制する方法等が挙げられる。エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を構成する酢酸ビニル中の不純物を除去する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の製造工程において、(i)未反応であった酢酸ビニルモノマーを回収し、精製工程にて反応で副生した不純物を取り除く方法、(ii)新たに用いる酢酸ビニル中に含まれる重合禁止剤などを取り除く方法などが挙げられ、前記(i)及び(ii)の方法の両方を行うことにより、Tb-Teを、上述した所定の値に制御することが出来る傾向にある。
また、得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の分解による低分子量成分の発生を抑制する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、チューブラー方式で重合する場合、高圧分離器へ導入された際のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及び未反応成分の入り口温度を特定範囲に制御する方法が挙げられる。具体的には、例えば、高温高圧下で重合したエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂等の圧力を下げる際に、逆ジュールトムソン効果により温度が上昇する傾向にあるため、平均重合温度や重合後の配管を二重管として外側のジャケット温度を下げて、配管内を通過するエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂等の温度上昇を抑制する方法などが挙げられる。高温高圧下で重合したエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂等の圧力を下げながら高圧分離器に導く配管を通過する時間は僅か数秒の短時間であるが、通過する際の温度を制御することによりエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の分解の分解による低分子量成分の発生を抑制することが出来る傾向にある。
(|(dlogG’/dT)|MAX
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、上述した溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率(G’)が下記式(3)を満たすことが好ましい。
|(dlogG’/dT)|MAX≧-0.0125×VA含有量+0.490 (3)
(式(3)中、|(dlogG’/dT)|MAXは、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いの最大値であり、VA含有量は、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂中の酢酸ビニル単位の含有量(質量%)である。)
本実施形態において、|(dlogG’/dT)|MAXは、例えば、図2で示されるグラフにおける|(dlogG’/dT)|の最大値を示す。
(dlogG’/dT)の変化量の合計量(すなわち、図2で示されるグラフにおけるG’の変化量のTdとTeとの間の面積)は結晶性に相関し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のVA含有量と相関する傾向にある。従ってVA含有量に対する|(dlogG’/dT)|の変化量の合計量は、VA含有量が高いほど大きくなり、VA含有量が低いほど小さな値となる傾向にある。
また、本実施形態において、(dlogG’/dT)の絶対値の最大値である|(dlogG’/dT)|MAXは結晶化速度の変極点を表しており、|(dlogG’/dT)|MAXの値が大きいほど結晶化速度が大きいことを示している。G’の全体の変化量が同一であっても|(dlogG’/dT)|MAXは温度変化に対するG’の変化の傾きが大きいほど|(dlogG’/dT)|MAXは大きくなる。
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、上述した溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率G’について、|(dlogG’/dT)|MA
XとVA含有量との関係が、好ましくは|(dlogG’/dT)|MAX≧-0.0125×VA含有量+0.490を満たす関係であり、より好ましくは|(dlogG’/dT)|MAX≧-0.0125×VA含有量+0.495を満たす関係であり、さらに好ましくは|(dlogG’/dT)|MAX≧-0.0125×VA含有量+0.500を満たす関係である。|(dlogG’/dT)|MAX≧-0.0125×VA含有量+0.490を満たすことにより、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の加工時の結晶化速度が速いために、結晶サイズが均一で小さく、かつ結晶と結晶をつなぐタイ分子が多くなり、透明性、及びESCRにより優れる傾向にある。
上述した溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率G’につい
て、|(dlogG’/dT)|MAXとVA含有量との関係を上述した範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を構成する酢酸ビニル中の不純物を除去する方法等が挙げられる。エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を構成する酢酸ビニル中の不純物を除去する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の製造工程において、未反応であった酢酸ビニルモノマーを回収し、精製工程にて反応で副生した不純物を取り除く方法と、新たに用いる酢酸ビニル中に含まれる重合禁止剤などを取り除く方法などが挙げられる。特に、回収した未反応の酢酸ビニルモノマーを精製する割合を一定量以上とする方法が有効である。
(分子量分布(Mw/Mn))
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」ともいう。)から求められる数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、形成される成形体及びフィルムの透明性の観点から、好ましくは8.0以下であり、より好ましくは7.0以下であり、さらに好ましくは6.0以下である。当該分子量分布(Mw/Mn)の下限値は、特に限定されないが、例えば、2.0以上である。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の分子量分布(Mw/Mn)を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を重合する際、重合容器中の重合温度分布を均一に近づける方法、重合開始剤として空気を用いない方法が挙げられる。
(MFR)
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K7210:1999 コードD(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準拠し測定したメルトフローレイト(MFR)値が、形成される成形体及びフィルムのESCRの観点から、好ましくは0.1g/10分以上5.0g/10分以下であり、より好ましくは0.2g/10分以上4.0g/10分以下であり、さらに好ましくは0.3g/10分以上3.0g/10分以下である。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のMFRを前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を重合する際、反応温度及び/又は反応圧力を調整する方法が挙げられる。より具体的には、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を重合する際、反応温度を上げるとエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のMFRは大きくなる傾向にあり、反応圧力を上げるとエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のMFRは小さくなる傾向にある。
[エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の製造方法]
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、特に限定されないが、例えば、多段圧縮機を用いて100~350MPaの超高圧下とし、重合開始剤の存在下で重合して得られる。本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の重合方式は、以下に限定されないが、例えば、オートクレーブ方式、チューブラー方式が挙げられるが、チューブラー方式で重合されることが好ましい。
チューブラー方式で重合する場合、平均重合反応温度を150℃以上280℃以下、重合圧力を120MPa以上270MPa以下で重合し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を製造することが好ましい。より好ましくは、平均重合反応温度が180℃以上240℃以下で、重合圧力が180MPa以上260MPa以下である。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の分子量分布を狭くするために、重合容器中の重合温度分布を均一に近づけることが好ましい。
なお、チューブラー方式では、リアクターにエチレン、酢酸ビニル及び重合開始剤をフィードする箇所が2か所以上あり、各フィード部分近傍では原料等投入により一旦温度が下がるが、その後重合熱により温度が上昇する。次のフィード部分では、同様に原料等投入により温度が下がるが、また重合熱により温度が上昇する。リアクター内ではこのように原料投入箇所によって温度が不均一になりうるが、本実施形態ではフィード後の各高温ピークの差を15℃以下、またピーク温度とボトム温度の差を60℃以下にすることが好ましい。
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の重合に用いる、重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、空気、パーオキサイドなどの遊離基発生剤等が挙げられる。パーオキサイドなどの遊離基発生剤としては、特に限定されないが、例えば、t-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシピバレート、ジ-t-ブチルペルオキシド等が挙げられる。なお、分子量分布を狭くするためには、重合開始剤として空気を用いないことが好ましい。
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を重合する際は、必要に応じて、分子量を低下させるために、アルコール類、アルカン類、アルケン類、ケトン類、アルデヒド類等の連鎖移動剤を用いてもよい。
アルコール類としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられる。
アルカン類又はアルケン類としては、特に限定されないが、例えば、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、1-ブテン、2-ブテン等が挙げられる。
ケトン類又はアルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド等が挙げられる。
重合されたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、原料エチレンガスと分離され、押出機にてペレット状に造粒されることが好ましい。
例えば、チューブラー方式を用いた場合では、高圧分離器及び低圧分離器にて圧力を下げつつ原料エチレンガスとエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂とを分離し、溶融状態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を押出機にてペレット状に造粒することが好ましい。
高圧分離器へ導入される際のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及び未反応成分の入り口温度は、好ましくは180℃以上250℃以下、より好ましくは190℃以上240℃以下、さらに好ましくは200℃以上235℃以下とする。前記範囲の温度で高圧分離器に導入することでエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂と未反応成分とが分離されやすく、かつ、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の分解による低分子量成分の発生を抑制することが出来る傾向にあり、その結果、Tb-Teを、上述した所定の値に制御することが出来る傾向にある。
高圧分離器及び低圧分離器内では、溶融状態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂と原料エチレンガスや酢酸ビニルガス等の未反応ガスが気液混合流体として存在するが、各分離器の容器の上部から未反応ガスを回収し、60%以上90%以下、好ましくは70%以上80%以下を多段圧縮機入り口へ送られ重合で再利用されることが好ましい。
各分離器の容器の上部から回収した未反応ガスのうち10%以上40%以下、好ましくは20%以上30%以下の未反応ガスは精製塔による蒸留操作を行うことが好ましい。蒸留操作は、例えば、まず、精製塔-1(内容積:0.824m3、温度:50℃)を用いて行い、精製塔-1の中段より未反応ガスを送り、その上段より溶剤(例えば、イソパラフィン)をシャワー状に流し、酢酸ビニルを溶剤に吸収させ、塔底部に落として回収し、塔頂部よりエチレンガスを回収することが好ましい。なお、精製塔内にはガスと液との接触を大きくするため充填物を詰めることが好ましい。また、気体の液体への溶解度を上げるため精製塔内の圧力は0.3MPa以上とすることが好ましく、0.4MPa以上がさらに好ましい。
さらに、精製塔-1で回収した酢酸ビニルを含む液体成分を精製塔-2(内容積:0.16m3)を用いて蒸留操作を行うことが好ましい。例えば、精製塔-2は、スチームを用いてリボイラーで炊き上げ段階的に温度勾配をつけ、塔底温度を130℃、塔頂温度を74℃とすることが好ましい。また、例えば、精製塔―2の中段より酢酸ビニルを含む液体成分を送り、沸点の差により、塔頂部より酢酸ビニル(沸点:71℃)を回収する。塔頂部より回収した酢酸ビニルはガス状で回収されるため、例えば、水を使用したコンデンサーを用いて凝縮させた後に酢酸ビニルを液体として回収することが好ましい。また、例えば、塔底部からは、溶剤(例えば、イソパラフィン)や重合開始剤、遊離酸の酢酸(沸点:118℃)、その他の不純物などの高沸点成分を分離することが好ましい。
本実施形態は、新たに受け入れる酢酸ビニル原料についても、精製塔-2を用いて蒸留操作を行うことが好ましい。新たに受け入れる酢酸ビニル原料中には保管時の酢酸ビニル同士の重合を防止する目的で、重合禁止剤としてヒドロキノンが10ppm程度添加されているため、例えば、精製塔-2にて蒸留操作を行い塔頂部より酢酸ビニルを回収し、塔底部よりヒドロキノン(沸点:287℃)などの不純物を回収、廃棄することが好ましい。
前記、未反応ガスを回収、精製した酢酸ビニルと新たに受け入れた酢酸ビニル原料を精製した酢酸ビニル原料を一定の割合で混合した後にチューブリアクターに酢酸ビニルを供給されることが好ましい。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を押出機でペレット化した後、ペレットを貯蔵するサイロ内で30℃以上50℃未満の乾燥空気を5時間以上吹き付けることが好ましい。乾燥空気の温度は、低分子量成分の除去の観点から30℃以上50℃未満であることが好ましく、33℃以上47℃以下であることがより好ましく、35℃以上45℃以下であることがさらに好ましい。
(添加剤)
本実施形態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料などの公知の添加剤を、必要に応じて含んでもよい。
酸化防止剤としては、1次酸化防止剤であるフェノール系酸化防止剤が好ましく、特に限定されないが、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、ペンタエリスリチル-テトラキス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。なお、2次酸化防止剤も併用して使用可能であり、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレン-ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤が挙げられる。また、リン/フェノール系酸化防止剤として、6-tert-ブチル-4-[3-(2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イルオキシ)プロピル]-o-クレゾール等が挙げられる。また、イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリル-チオ-ジプロピオネート等が挙げられる。
[成形体]
本実施形態の成形体は、上述したエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む。本実施形態の成形体は、射出成形や押出成形にて得ることができ、様々な用途に好適に用いることができる。具体的には、以下に限定されないが、例えば、人工芝マット、自動車用マットガード、泥除けカバー、排水ホース等が挙げられる。
[包装用フィルム]
本実施形態のフィルムは、上述したエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む。本実施形態のフィルムは、包装用フィルムに好適に用いることができる。具体的には、以下に限定されないが、例えば、食品包装用フィルム、食品用ラップフィルム、オバーラップフィルム、収縮性オバーラップフィルム、シーラントフィルム等が挙げられる。
[積層フィルム]
本実施形態の積層フィルムは、上述したエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む。本実施形態の積層フィルムは、上述のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂からなる層を1層以上有するもの、又は上述のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を全ての層で有するものとすることができる。本実施形態の積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ラミネーションプロセスによって貼りあわせて製造する方法、又は積層押出し工程によって製造する方法を挙げることができる。さらに、積層フィルムは同じ材料の層又は異なる材料の層からなることができる。
本発明について、以下実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における物性測定方法、評価方法は以下のとおりである。
(1)メルトフローレイト(MFR)測定
JIS K7210:1999 コードD(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準拠し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のMFRを測定した。
(2)VA含有量測定
JIS K7192:1999に準拠し、基準試験法として、ケン化と電位差滴定とにより酢酸ビニル単位の含有量が既知のエチレン-酢酸ビニル共重合体のVAC基準試料を用いて検量線を作成し、対照試験法として、赤外分光法によりエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂における酢酸ビニル単位の含有量(VA含有量)を測定した。
(3)溶融粘弾性測定
TAインスツルメント社製ARES-G2を用いて窒素雰囲気下、ギャップ間距離:1.5mm、直径8mmφのパラレルプレートでエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の溶融粘弾性測定を以下のとおり行った。
(降温測定条件)
200℃に設定保持された装置内にエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のサンプル0.2gを入れ10分加熱して完全に溶融させた。溶融後、ギャップ間距離を1.5mmに調整し、パラレルプレートからはみ出したサンプルはヘラで取り除いた。その後、サンプルを200℃から30℃まで5℃/分の速度で降温しながら線形領域の動的粘弾性測定を行った。ひずみ量は状態により変化させ、200℃以下105℃以上:ひずみ量5.0%、105℃未満45℃以上:ひずみ量3.0%、45℃未満30℃以上:ひずみ量0.1%で測定した。ここでいう温度はパラレルプレートの円盤直下の温度を示す。なお、固化により弾性率が急激に上昇する105℃未満45℃以上の温度領域は、1ポイント/秒の速度でデータ取得を行った。
上述した溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率(G’)が下記式(2)を満たす範囲内において、最大温度Tb及び最小温度Teを求め、Tb-Teを算出し、さらに、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いの最大値(|(dlogG’/dT)|MAX)を求めた。
|(dlogG’/dT)|≧0.04 (2)
(式(2)中、|(dlogG’/dT)|は、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いである。)
(4)分子量及び分子量分布の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によりエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めた。GPC測定から求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を分子量分布とした。GPC測定は、下記条件で行った。分子量の校正は、東ソー(株)製標準ポリスチレンのMW(Molecular weight)が10,500,000~2,060,000の範囲の12点で行い、それぞれの標準ポリスチレンのMWに係数0.43を乗じてポリエチレン換算分子量とし、溶出時間とポリエチレン換算分子量とのプロットから一次校正直線を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を決定した。
装置 :Polymer Char社製GPC-IR
検出器 :Polymer Char社製IR5
カラム :昭和電工(株)製UT-807(1本)と東ソー(株)製GMHHR-H(S)HT(2本)を直列に接続して使用
移動相 :オルトジクロロベンゼン
カラム温度 :140℃
流量 :1.0mL/分
試料濃度 :16mg/8mL
試料溶解温度:140℃
試料溶解時間:60分
(5)融点(DSC)測定
耐熱性の指標として、以下の方法によりエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の融点を測定した。
パーキンエルマー社製DSC8000型示差走査熱量計を用い、以下の手順、条件で、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のDSC曲線を得た。
1)実施例及び比較例で製造したエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の試料約8.4mgをアルミパンに詰め200℃/分で0℃から150℃まで昇温し、150℃で5分間保持した。
2)次に、150℃から10℃/分の降温速度で0℃まで降温し、降温完了後5分間保持した。
3)次に、0℃から10℃/分の昇温速度で150℃まで昇温した。
この3)の過程で観察されるDSC曲線より、融解ピーク位置の最高温度をエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の融点(℃)とした。融点が高いほど、耐熱性に優れる。
(6)プレスシート作製、厚み測定、ヘイズ測定
厚さ5mmの平滑な鉄板上に厚さ0.1mmのアルミニウム板を載せ、さらにアルミニウム板の上に、セロファンでコーティングされていない厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー)を載せた。この上に、縦200mm、横200mm、厚み3.1mmの金型を載せ、これに130gのエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を入れ、この上に前記ポリエチレンテレフタレートフィルムを載せ、さらに前記アルミニウム板を載せ、さらに前記鉄板を載せた。
これを180℃に温度調節された圧縮成型機(株式会社神藤金属工業所製 SFA-37)に入れ、180℃、0.1MPaで180秒間予熱後、5秒間エアー抜き(10MPa)を行い、180℃、15MPaで120秒間加圧を行った。
加圧終了後、サンプルを取り出し、取り出してから5秒後に25℃に温度調節された圧縮成型機(株式会社神藤金属工業所製 SFA-37)に入れ、25℃、10MPaにて300秒間加圧しながら冷却してプレスシートを作製した。冷却後、金型から取り出したプレスシートを温度23℃、湿度50%の環境で24時間以上静置した。
前記プレスシートの厚みを、定圧厚さ測定器(TECLOK CORPORATION製、型式PG-02 最小表示量0.001mm)を使用して測定し、前記プレスシートにおける厚さ3.1mmの部分を選定し、株式会社村上色彩技術研究所製 HAZE METER HM-150を使用し、ASTM D1003に準じてヘイズ(Haze)値を測定した。ヘイズ値が小さいほど、透明性に優れる。
(7)ESCR
耐環境応力亀裂性の評価として、ASTM D 1693に準拠し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のb-ESCR(定ひずみ環境応力亀裂試験)の測定を行った。試験液としては、ローディア日華(株)製イゲパル(IGEPAL)(登録商標)CO-630の0.5質量%、5質量%、10質量%水溶液をそれぞれ使用し、環境応力による亀裂が発生する確率が50%(以下F50値)となる時間を計測し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のESCR(耐環境応力亀裂性)の値とした。単位はhr(時間)である。当該値が大きいほど、耐環境応力亀裂性に優れる。
[実施例1]
チューブラーリアクターにて、エチレンと、エチレンに対して7mol%の酢酸ビニルとを導入し、平均重合反応温度を218℃、重合圧力を236MPaとし、重合開始剤としてt-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアートを用いて重合した。重合後は、二重管の配管を経由し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及び未反応物を温度220℃、圧力20MPaの高圧分離器に導入し、未反応ガスを分離した。高圧分離器の入り口温度は245℃であった。続いて、温度180℃、圧力0.04MPaの低圧分離器に導入し、残った未反応ガスを分離した。
高圧分離器、低圧分離器より回収した未反応ガスの80容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、未反応ガスの20容量%を精製塔-1でエチレンと酢酸ビニルとを分離し、分離した酢酸ビニルを精製塔-2にて不純物を取り除いたのち酢酸ビニルタンク-1に戻した。また、新たに使用する酢酸ビニルについても精製塔-2にて重合禁止剤等を取り除き酢酸ビニルタンク-2に戻し、酢酸ビニルタンク-1の酢酸ビニルと酢酸ビニルタンク-2の酢酸ビニルと(タンク-1の酢酸ビニル:タンク-2の酢酸ビニル(質量比))を2:1の割合で混合し多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した。
得られた溶融樹脂を押出機にフィードし、ペレタイズを行うことでエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例1]
高圧分離器の入り口温度を254℃とし、低圧分離器より回収した未反応ガスの100容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、新たに使用する酢酸ビニルはそのまま酢酸ビニルタンク-2に受け入れ、酢酸ビニルタンク-2から多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は、実施例1と同様の操作により、比較例1のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[実施例2]
チューブラーリアクターにて、エチレンと、エチレンに対して7mol%の酢酸ビニルと、エチレンに対して0.17mol%のプロピレンとを導入し、平均重合反応温度を218℃、重合圧力を235MPaとし、重合開始剤としてt-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアートを用いて重合した。重合後は二重管の配管を経由し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及び未反応物を温度220℃、圧力20MPaの高圧分離器に導入し、未反応ガスを分離した。高圧分離器の入り口温度は245℃であった。続いて、温度180℃、圧力0.04MPaの低圧分離器に導入し、残った未反応ガスを分離した。
高圧分離器、低圧分離器より回収した未反応ガスの60容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、未反応ガスの40容量%を精製塔-1でエチレンと酢酸ビニルとを分離し、分離した酢酸ビニルを精製塔-2にて不純物を取り除いたのち酢酸ビニルタンク-1に戻した。また、新たに使用する酢酸ビニルについても精製塔-2にて重合禁止剤等を取り除き酢酸ビニルタンク-2に戻し、酢酸ビニルタンク-1の酢酸ビニルと酢酸ビニルタンク-2の酢酸ビニルと(タンク-1の酢酸ビニル:タンク-2の酢酸ビニル(質量比))を2:1の割合で混合し多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した。
得られた溶融樹脂を押出機にフィードし、ペレタイズを行うことでエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例2]
高圧分離器の入り口温度を255℃とし、低圧分離器より回収した未反応ガスの60容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、未反応ガスの40容量%を精製塔-1でエチレンと酢酸ビニルとを分離し、分離した酢酸ビニルを精製塔-2にて不純物を取り除いたのち酢酸ビニルタンク-1に戻した。また、新たに使用する酢酸ビニルはそのまま酢酸ビニルタンク-2に受け入れ、酢酸ビニルタンク-1の酢酸ビニルと酢酸ビニルタンク-2の酢酸ビニルと(タンク-1の酢酸ビニル:タンク-2の酢酸ビニル(質量比))を2:1の割合で混合し多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は、実施例2と同様の操作により、比較例2のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[実施例3]
チューブラーリアクターにて、エチレン及びエチレンに対して7mol%の酢酸ビニルを導入し、平均重合反応温度を237℃、重合圧力を264MPaとし、重合開始剤としてt-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアートとジ-t-ブチルペルオキシドを用いて重合した。重合後は、二重管の配管を経由し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及び未反応物を温度220℃、圧力20MPaの高圧分離器に導入し、未反応ガスを分離した。高圧分離器の入り口温度は260℃であった。続いて、温度180℃、圧力0.04MPaの低圧分離器に導入し、残った未反応ガスを分離した。
高圧分離器、低圧分離器より回収した未反応ガスの90容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、未反応ガスの10容量%を精製塔-1でエチレンと酢酸ビニルとを分離し、分離した酢酸ビニルを精製塔-2にて不純物を取り除いたのち酢酸ビニルタンク-1に戻した。また、新たに使用する酢酸ビニルについても精製塔-2にて重合禁止剤等を取り除き酢酸ビニルタンク-2に戻し、酢酸ビニルタンク-1の酢酸ビニルと酢酸ビニルタンク-2の酢酸ビニルと(タンク-1の酢酸ビニル:タンク-2の酢酸ビニル(質量比))を2:1の割合で混合し多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した。
得られた溶融樹脂を押出機にフィードし、ペレタイズを行うことで実施例3のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例3]
低圧分離器より回収した未反応ガスの100容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、新たに使用する酢酸ビニルはそのまま酢酸ビニルタンク-2に受け入れ、酢酸ビニルタンク-2から多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は、実施例3と同様の操作により、比較例3のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[実施例4]
チューブラーリアクターにて、エチレンと、エチレンに対して7mol%の酢酸ビニルとを導入し、平均重合反応温度を224℃、重合圧力を264MPaとし、重合開始剤としてt-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアートとジ-t-ブチルペルオキシドを用いて重合した。重合後は、二重管の配管を経由し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及び未反応物を温度230℃、圧力20MPaの高圧分離器に導入し、未反応ガスを分離した。高圧分離器の入り口温度は244℃であった。続いて、温度190℃、圧力0.04MPaの低圧分離器に導入し、残った未反応ガスを分離した。
高圧分離器、低圧分離器より回収した未反応ガスの70容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、未反応ガスの30容量%を精製塔-1でエチレンと酢酸ビニルとを分離し、分離した酢酸ビニルを精製塔-2にて不純物を取り除いたのち酢酸ビニルタンク-1に戻した。また、新たに使用する酢酸ビニルについても精製塔-2にて重合禁止剤等を取り除き酢酸ビニルタンク-2に戻し、酢酸ビニルタンク-1の酢酸ビニルと酢酸ビニルタンク-2の酢酸ビニルと(タンク-1の酢酸ビニル:タンク-2の酢酸ビニル(質量比))を2:1の割合で混合し多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した。
得られた溶融樹脂を押出機にフィードし、ペレタイズを行うことで実施例4のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例4]
高圧分離器の入り口温度を254℃とし、低圧分離器より回収した未反応ガスの100容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、新たに使用する酢酸ビニルはそのまま酢酸ビニルタンク-2に受け入れ、酢酸ビニルタンク-2から多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は、実施例4と同様の操作により、比較例4のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[実施例5]
チューブラーリアクターにて、エチレンと、エチレンに対して7.5mol%の酢酸ビニルとを導入し、平均重合反応温度を215℃、重合圧力を264MPaとし、重合開始剤としてt-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアートを用いて重合した。重合後は二重管の配管を経由し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及び未反応物を温度200℃、圧力22MPaの高圧分離器に導入し、未反応ガスを分離した。高圧分離器の入り口温度は238℃であった。続いて、温度170℃、圧力0.04MPaの低圧分離器に導入し、残った未反応ガスを分離した。
高圧分離器、低圧分離器より回収した未反応ガスの70容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、未反応ガスの30容量%を精製塔-1でエチレンと酢酸ビニルとを分離し、分離した酢酸ビニルを精製塔-2にて不純物を取り除いたのち酢酸ビニルタンク-1に戻した。また、新たに使用する酢酸ビニルについても精製塔-2にて重合禁止剤等を取り除き酢酸ビニルタンク-2に戻し、酢酸ビニルタンク-1の酢酸ビニルと酢酸ビニルタンク-2の酢酸ビニルと(タンク-1の酢酸ビニル:タンク-2の酢酸ビニル(質量比))を2:1の割合で混合し多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した。
得られた溶融樹脂を押出機にフィードし、ペレタイズを行うことで実施例5のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例5]
高圧分離器の入り口温度を252℃とし、低圧分離器より回収した未反応ガスの100容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、新たに使用する酢酸ビニルはそのまま酢酸ビニルタンク-2に受け入れ、酢酸ビニルタンク-2から多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は、実施例5と同様の操作により、比較例5のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[実施例6]
チューブラーリアクターにて、エチレンと、エチレンに対して8mol%の酢酸ビニルとを導入し、平均重合反応温度を215℃、重合圧力を264MPaとし、重合開始剤としてt-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアートを用いて重合した。重合後は二重管の配管を経由し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及び未反応物を温度220℃、圧力20MPaの高圧分離器に導入し、未反応ガスを分離した。高圧分離器の入り口温度は235℃であった。続いて、温度180℃、圧力0.04MPaの低圧分離器に導入し、残った未反応ガスを分離した。
高圧分離器、低圧分離器より回収した未反応ガスの70容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、未反応ガスの30容量%を精製塔-1でエチレンと酢酸ビニルとを分離し、分離した酢酸ビニルを精製塔-2にて不純物を取り除いたのち酢酸ビニルタンク-1に戻した。また、新たに使用する酢酸ビニルについても精製塔-2にて重合禁止剤等を取り除き酢酸ビニルタンク-2に戻し、酢酸ビニルタンク-1の酢酸ビニルと酢酸ビニルタンク-2の酢酸ビニルと(タンク-1の酢酸ビニル:タンク-2の酢酸ビニル(質量比))を2:1の割合で混合し多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した。
得られた溶融樹脂を押出機にフィードし、ペレタイズを行うことで実施例6のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例7]
チューブラーリアクターにて、エチレンと、エチレンに対して6.5mol%の酢酸ビニルと、エチレンに対して0.17mol%のプロピレンとを導入し、平均重合反応温度を218℃、重合圧力を235MPaとし、重合開始剤としてt-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアートを用いて重合した。重合後は二重管の配管を経由し、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂及び未反応物を温度220℃、圧力20MPaの高圧分離器に導入し、未反応ガスを分離した。高圧分離器の入り口温度は233℃であった。続いて、温度180℃、圧力0.04MPaの低圧分離器に導入し、残った未反応ガスを分離した。
高圧分離器、低圧分離器より回収した未反応ガスの60容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、未反応ガスの40容量%を精製塔-1でエチレンと酢酸ビニルとを分離し、分離した酢酸ビニルを精製塔-2にて不純物を取り除いたのち酢酸ビニルタンク-1に戻した。また、新たに使用する酢酸ビニルについても精製塔-2にて重合禁止剤等を取り除き酢酸ビニルタンク-2に戻し、酢酸ビニルタンク-1の酢酸ビニルと酢酸ビニルタンク-2の酢酸ビニルと(タンク-1の酢酸ビニル:タンク-2の酢酸ビニル(質量比))を2:1の割合で混合し多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した。
得られた溶融樹脂を押出機にフィードし、ペレタイズを行うことで実施例7のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例8]
新たに使用する酢酸ビニルはそのまま酢酸ビニルタンク-2に受け入れ、酢酸ビニルタンク-1の酢酸ビニルと酢酸ビニルタンク-2の酢酸ビニルと(タンク-1の酢酸ビニル:タンク-2の酢酸ビニル(質量比))を2:1の割合で混合し多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は、実施例2と同様の操作により、実施例8のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例9]
高圧分離器の入り口温度を233℃とした以外は、実施例3と同様の操作により、実施例9のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例6]
高圧分離器の入り口温度を252℃とし、低圧分離器より回収した未反応ガスの100容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、新たに使用する酢酸ビニルはそのまま酢酸ビニルタンク-2に受け入れ、酢酸ビニルタンク-2から多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は、実施例6と同様の操作により、比較例6のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[比較例7]
高圧分離器の入り口温度を254℃とし、低圧分離器より回収した未反応ガスの100容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、新たに使用する酢酸ビニルはそのまま酢酸ビニルタンク-2に受け入れ、酢酸ビニルタンク-2から多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は、実施例3と同様の操作により、比較例7のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[比較例8]
高圧分離器の入り口温度を277℃とし、低圧分離器より回収した未反応ガスの100容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、新たに使用する酢酸ビニルはそのまま酢酸ビニルタンク-2に受け入れ、酢酸ビニルタンク-2から多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は、実施例3と同様の操作により、比較例8のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[比較例9]
高圧分離器の入り口温度を254℃とし、低圧分離器より回収した未反応ガスの100容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、新たに使用する酢酸ビニルについては精製塔-2にて重合禁止剤等を取り除き酢酸ビニルタンク-2から多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は実施例1と同様の操作により、比較例9のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[比較例10]
高圧分離器の入り口温度を260℃とし、低圧分離器より回収した未反応ガスの100容量%を多段圧縮機入り口へ送り重合に再利用し、新たに使用する酢酸ビニルについては精製塔-2にて重合禁止剤等を取り除き酢酸ビニルタンク-2から多段圧縮機入り口へ送り重合に利用した以外は実施例3と同様の操作により、比較例10のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を得た。得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2022035988000001
Figure 2022035988000002

Claims (7)

  1. 酢酸ビニル単位の含有量が、3.0質量%以上30.0質量%以下であり、
    下記溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率G’が下記式(2)を満たす範囲内にて下記式(1)を満たす、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
    Tb-Te≦10.00 (1)
    (式(1)中、Tbは、下記式(2)を満たす範囲内における最大温度(℃)であり、Teは、下記式(2)を満たす範囲内における最小温度(℃)である。)
    |(dlogG’/dT)|≧0.04 (2)
    (式(2)中、|(dlogG’/dT)|は、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いである。)
    (溶融粘弾性測定条件)
    測定装置:ARES-G2(TAインスツルメント社製)
    雰囲気:窒素
    ジオメトリ:8mmφパラレルプレート
    ギャップ間距離:1.5mm
    ひずみ量:200℃以下105℃以上で5.0%、105℃未満45℃以上で3.0%、45℃未満30℃以上で0.1%。なお、温度はパラレルプレートの円盤直下の温度を示す。
    降温測定条件:200℃に設定された装置にサンプルを入れ、10分間保持し、サンプルを200℃から30℃まで5℃/分の速度で降温し、降温時のサンプルの溶融粘弾性を測定する
  2. 前記溶融粘弾性測定の降温測定条件による降温過程における貯蔵弾性率G’が下記式(3)を満たす、請求項1に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
    |(dlogG’/dT)|MAX≧-0.0125×VA含有量+0.490 (3)
    (式(3)中、|(dlogG’/dT)|MAXは、温度T(℃)の変化に対する貯蔵弾性率G’(Pa)の変化の度合いの最大値であり、VA含有量は、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂中の酢酸ビニル単位の含有量(質量%)である。)
  3. 前記エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂が、8.0以下の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1又は2に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
  4. 前記エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂のMFRが0.1g/10分以上5.0g/10分以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む成形体。
  6. 請求項1~4のいずれか一項に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含むフィルム。
  7. 請求項1~4のいずれか一項に記載のエチレン-酢酸ビニル共重合体を含む積層フィルム。
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