JP2022030429A - ベビーキャリア - Google Patents

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Abstract

【課題】乳幼児の肌への負荷を少なくする。【解決手段】ベビーキャリアは、乳幼児Bの身体にあてがわれ乳幼児Bを支持する本体部10と、本体部10の上部の左右両側に接続され、乳幼児Bを保持する使用者Mの両肩に掛けられる1対の肩ベルト部20R,Lとを具備するベビーキャリアであって、本体部10が機械編機で紡績糸を一体に編んでなるニット100で形成されたものである。【選択図】図3

Description

本発明は、乳幼児を抱っこしたりおんぶしたりするときに、それを補助して運搬するベビーキャリア(子守帯)に関するもので、特に、乳幼児の肌への負荷を少なくできるベビーキャリアに関するものである。
従来のリュック式のベビーキャリア、即ち、1対の肩ベルトを使用者の左右の両肩にかけて使用者の前側で乳幼児を抱っこまたは使用者の背面側で乳幼児をおんぶするベビーキャリアでは、乳幼児の背面を支持する本体部において、乳幼児の体形に合わせホールド感やフィット性を高める観点等から部分的に弾性、伸縮性、クッション性を変化させたり、または、部分的に通気を良くしたり、或いは、デザインを付与したりするために、パーツの切り替え、即ち、パーツ同士の縫合、立体的な縫製や、表裏面の部分的な縫合が行われていた(例えば、特許文献1乃至特許文献3等参照)。
特許6282716号公報 特表2018-531745号公報 特表2016-512124号公報
しかしながら、パーツ同士の縫合や表裏面の縫合によるパーツの切り替えを有する従来のベビーキャリアにおいては、縫製や表裏面の縫合による縫目(継目)が、また、それによって生じる段差が、肌が敏感である乳幼児に違和感、不快感、ストレスを与えたり、場合によっては、擦れ等を生じ乳幼児の敏感な肌を刺激したりする恐れがあった。更に、パーツ間の縫製や表裏面の縫合によって、生地に皺が生じやすくなるから、その皺も乳幼児にとっての違和感、不快感、ストレスになる可能性もある。更に、縫合部分では伸縮性や弾性が制限されるから、乳幼児の動きに対する伸縮性やフィット性も限定されるものとなる。
そこで、本発明は、乳幼児の肌への負荷を少なくできるベビーキャリアの提供を課題とするものである。
請求項1の発明のベビーキャリアは、乳幼児を保持する使用者の両肩に掛けられる1対の肩ベルト部が接続される前記乳幼児を支持する本体部が機械編機で紡績糸を一体に編んでなるニットで形成されたものである。
上記本体部は、対面抱っこや前向きおんぶのように乳幼児の身体の腹側が乳幼児を保持する親等の使用者に向くように乳幼児を保持するときに乳幼児の背側にあてがわれ、乳幼児の主に胴体部を受けて、乳幼児の身体を広い面積で支持するものである。
また、上記1対の肩ベルト部は、乳幼児を抱っこしたりおんぶしたりするときに使用者の両肩に掛けられるものであり、使用者の肩及び背中にまわす長さ、距離をもって、前記本体部の左右両側に環状に接続されているものである。
即ち、上記ベビーキャリアは、1対の肩ベルト部を使用者の左右の両肩にかけて使用者の前側で乳幼児を抱っこまたは使用者の背面側で乳幼児をおんぶするものである。
そして、上記本体部は、編針を使用して紡績糸をループ状に一体に編んでなるニットで形成したものである。
ここで、上記機械編機で紡績糸を一体に編んでなるニットとは、経編機または緯編機の機械編機で紡績糸をループ状に連続的に絡ませて(結び合わせて)継ぎ目なく一体に編まれたニットであることを意味する。上記ニットは、シングルニットでもよいし、2層構造のダブルニット(リバース、ダブルフェイス、接結編み)であってもよい。
上記紡績糸は、綿、麻、動物の毛等の天然繊維や、ポリエステル等の化学繊維を紡績加工したものであり、フィラメント糸、モノフィラメント糸、スパン糸等を問わず、嵩高糸(ウーリー糸等)、中空糸、被覆糸、コアヤーン糸、複合糸、扁平糸、異形断面糸、スプリット糸、漆糸等の加工された紡績糸であってもよい。
上記本体部をニットで形成とは、乳幼児の身体を支持する本体部の全体、全面がニットのみからなることまでを要求するものではなく、好ましくは、本体部において、水平方向の少なくとも中央部分、即ち、乳幼児の臀部から背中に当てがわれ乳幼児の荷重の多くを受ける部分がニットで形成されるが、本体部にはニット以外からなる部分が存在してもよく、更に、例えば、乳幼児の臀部を受ける部位や背中を受ける部位での使用といった、乳幼児の体重を受ける部位での部分的なニットの使用も含まれる。
請求項2の発明のベビーキャリアの前記本体部を形成する前記ニットは、前記機械編機として横編機または丸編機で編成した緯編組織であるものである。
上記緯編組織は、横方向にループ(編目)を連続させて編まれたものであり、横編機または丸編機で編成できる。上記緯編組織の編み方は、特に限定されず、例えば、平編み(天竺編み)、リブ編み(フライス、ゴム編み)、パール編み(リンクス編み、ガータ編み)、両面編み(インターロック・スムース編み)の基本組織であってもよいし、それら基本組織にタック、ウェルト、ミス、目移し等を組み合わせて編まれたものであってもよい。
また、上記横編機は、横方向にループを連続させてフラット状に編むものであり、上記丸編機は、螺旋状にループを連続させて円筒状に編むものである。このときの機械編機としてはシングル編機であってもダブル編機であってもよい。
請求項3の発明のベビーキャリアの前記紡績糸は、熱可塑性樹脂の合成繊維を使用したものである。
上記熱可塑性樹脂の合成繊維としては、例えば、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリウレタン等の繊維が使用できる。前記紡績糸は、熱可塑性樹脂の合成繊維のみからなるものであってもよいし、それ以外のものと組み合わせて用いてもよい。
請求項4の発明のベビーキャリアの前記本体部を形成する前記ニットの端部は、前記紡績糸の繊維が樹脂接着または熱融着されているものである。
上記樹脂接着または熱融着は、前記紡績糸に合成樹脂接着剤を塗布したものであってもよいし、熱可塑性樹脂の繊維を加熱することで樹脂同士を熱融着させたものであってもよい。なお、上記ニットの端部における前記紡績糸の繊維の樹脂接着または熱融着は、ニットの周囲の全ての端部が樹脂接着または熱融着されていることまでを必ずしも要求するものではなく部分的であってもよいが、樹脂接着または熱融着されていると、紡績糸の解れが防止され信頼性、耐久性が高くなる。
請求項5の発明のベビーキャリアの前記本体部を形成する前記ニットは、その水平方向に対して直角な方向の下部側が、即ち、乳幼児の臀部に対応する部分が、上部側、即ち、乳幼児の背中に対応する部分よりも相対的に粗い編成組織であるものである。
上記粗い編成組織とは、前記ニットの上部側との比較で相対的に、前記ニットの下部側の編地密度が上部側よりも低密であることを意味する。
請求項6の発明のベビーキャリアの前記本体部を形成する前記ニットは、その水平方向に対して直角な方向の上部側、即ち、乳幼児の背中に対応する部分が、相対的に粗い編成組織と密な編成組織の組み合わせからなるものである。
上記粗い編成組織と密な編成組織の組み合わせは、ニットの編地の密度が低い編成組織と、それよりも密度が高い編成組織の組み合わせであることを意味し、ここでの粗密は、相対的なものである。
請求項7の発明のベビーキャリアの前記本体部の前記ニットは、ネット状に編成された網目組織を有するものである。
上記網目組織とは、例えば、編目のニードルループやシンカーループが隣接するループにタック、ミス、目移し等がされており、編地に穴あき(開口、孔)が設けられネット状に編成されているものを意味する。
なお、網目(開口、孔)の形状は、特に問われるものでなく、略円形状、略扇形状、菱形状を含む略四角形状等の多角形状等が挙げられる。ネット状に編成された網目組織の網目(開口、孔)の最大径は、2~10mmの範囲内が好ましく、それは、例えば、略四角形状であれば、対角の長さが2~10mmの範囲内を意味する。当該範囲内であれば、通気性と乳幼児の荷重による低い弾性変化とを両立させ、乳幼児の体形に無理のない姿勢での保持を可能とする。より好ましくは、2mm~8mm、更に好ましくは、1mm~5mmの範囲内である。
請求項8の発明のベビーキャリアの前記本体部の前記ニットは、前記紡績糸として熱融着糸及び非熱融着糸を使用したものである。
ここで、上記熱融着糸とは、約90℃~150℃の熱処理で溶融し融着する繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン系の繊維がある)からなる糸である。
そして、上記紡績糸として熱融着糸及び非熱融着糸を使用とは、前記ニットが熱融着糸及び非熱融着糸を使用して編み上げられたことを意味するが、前記ニットの全体が、熱融着糸及び非熱融着糸を一体に組み合わせた編目で形成されることを要求するものではなく、通常、主に、地糸として非熱融着糸を使用し、部分的に、熱融着糸が挿入、即ち、部分的に、熱融着糸のみまたは熱融着糸及び非熱融着糸を一体に組み合わせて編目が形成されるものである。
請求項9の発明のベビーキャリアの前記本体部の前記ニットは、前記本体部に対し前記1対の肩ベルト部の長さ方向の端部が接続した相互間の水平方向の横幅に対応する部位に、熱融着された熱融着糸を含むものである。
ここで、上記本体部に対し前記1対の肩ベルト部の長さ方向の端部が接続した相互間の水平方向の横幅に対応する部位とは、前記本体部に対し環状に接続する前記1対の肩ベルト部の長さ方向の端部が接続した位置の相互間の横幅相当に対応する部位を示すものであり、前記1対の肩ベルト部の長さ方向の両端部のうちの一方(一端部)に対応する位置のみに熱融着糸を使用してもよいし、両方(長さ方向の両方の端部)で熱融着糸を使用してもよい。
そして、上記熱融着された熱融着糸を含むとは、熱融着糸のみの使用であってもよいし、熱融着糸及び非熱融着糸を使用したものであってもよい。
請求項10の発明のベビーキャリアの前記本体部を形成する前記ニットは、前記紡績糸として非伸縮糸を使用し編み上げたものである。
上記非伸縮糸とは、伸度が110%未満のほとんど伸縮特性を有さない糸(ポリアミド、ポリエステル、ナイロン、綿糸等がある)を意味するものである。
請求項11の発明のベビーキャリアの前記本体部を形成する前記ニットは、前記機械編機の8~20ゲージ数で編成されたものであり、1インチ(2.54cm)当たり8~20本の針数の針床を有した機械編機で編成されたものである。好ましくは、10~18ゲージ数、更に好ましくは、10~15ゲージ数の編成である。
請求項12の発明のベビーキャリアの前記本体部を形成する前記ニットは、ダブルニット組織であるものである。
上記ダブルニット組織とは、ダブルニット編機等を使用し、表裏面を互いに別々の糸で同時に編まれた2重のニットであり、このときの表裏で使用する別々の糸は、同一の糸を使用してもよいし、異なる種類の糸を使用してもよい。
請求項1の発明に係るベビーキャリアは、1対の肩ベルト部を使用者の左右の両肩にかけて使用者の前側で乳幼児を抱っこまたは使用者の背面側で乳幼児をおんぶするものであり、抱っこまたはおんぶする乳幼児の身体にあてがわれ乳幼児を支持する本体部が、機械編機で紡績糸を編んで継ぎ目なく一体に編成したニットからなるものである。
このように、乳幼児の荷重を受け乳幼児を支持する本体部がニットで構成されるものでは、そのニットの編み方、目数(ゲージ数)、度目(ループ長)、編糸等を変化させることで、部分的に弾性、伸縮性、機械的強度、通気性等を変化させたり、デザイン、柄を付与したりすることが可能であり、パーツの組み合わせ、切り替え、縫合で弾性、伸縮性、強度、通気性等の特性を変化させるものでないから、パーツ縫合で生じる継ぎ目、段差、皺に起因する刺激やストレスを生じさせない。また、継ぎ目による伸縮性の制限も生じないから、乳幼児の動きに対する柔軟性、フィット性の向上が可能である。したがって、親が気付き難い乳幼児に係る負担、乳幼児の肌への負荷を軽減して保持される乳幼児にとっての快適性を向上できる。
請求項2の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部の前記ニットは、前記機械編機として横編機または丸編機で編成した緯編組織であるから、ループ構造による伸びが得やすい。よって、請求項1に記載の効果に加えて、皺や線がより生じ難く、乳幼児Bの動きに対する柔軟性、フィット性も高くできる。
請求項3の発明に係るベビーキャリアによれば、前記紡績糸は、熱可塑性樹脂の合成繊維を使用したものであり、合成繊維は、強度に優れ、また、弾力性があるから、ニットの機械的強度、かつ、面の弾力性、キックバック性を向上できる。よって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、乳幼児に対する体圧の分散性を高くし、乳幼児に対する負荷を軽減できる。また、低密な編地密度、軽量性、薄厚と、強度、耐久性との両立を可能とする。更に、熱可塑性樹脂であるからヒートカットしたときでも、精度、仕上がりの良い切断した端面が得られ、また、その端面は繊維同士の溶融よる接着によって拘束されるから、切断された端面から繊維が解れ難く、強度や耐久性の信頼性が高いものとなる。
請求項4の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部の前記ニットの端部は、前記紡績糸の繊維が樹脂接着または熱融着されているものであるから、その端部から紡績糸の解れが生じ難く、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、強度や耐久性の信頼性を向上できる。
請求項5の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部を形成する前記ニットは、その下部側が上部側よりも相対的に粗い編成組織であるから、オムツによって湿気が高くなる乳幼児の臀部を受ける下部側では、通気性を高くして蒸れを防止できる一方で、本体部の上部側では、下部側よりも密な編成組織により、硬さ、強度を高めて、乳幼児の頭部や背中、腰部分をしっかり支持して身体のグラつきを防止できる。よって、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、乳幼児にとっての快適性を向上できる。
請求項6の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部を形成する前記ニットは、その上部側が相対的に粗い編成組織と密な編成組織の組み合わせであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、通気性と機械的強度との両立を図り、乳幼児にとっての快適性の更なる向上を可能とする。
請求項7の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部を形成する前記ニットは、ネット状に編成された網目組織を有するものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、通気性が確保され蒸れを軽減できる。
請求項8の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部の前記ニットは、前記紡績糸として、熱融着糸及び非熱融着糸を使用したものであり、熱融着糸は、加熱によって融着されることで剛性、強度を向上できるから、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、ニットの機械的強度の向上を可能とする。特に、熱融着糸の融着であれば、通気性を損なうことなく、機械的強度の向上を可能とする。
請求項9の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部の前記ニットは、前記本体部に対し前記1対の肩ベルト部が接続された相互間の水平方向の横幅に対応する部位で熱融着された熱融着糸を含むことによって、当該部位の伸びを制限し、機械的強度を高めたものである。したがって、使用者の両肩に肩ベルト部を掛けて乳幼児を抱っこまたはおんぶするときに、前記本体部に対し前記1対の肩ベルト部が接続された相互間の水平方向の横幅に対応する部位の編地にかかる負荷、引っ張り力が高くても伸び難い。よって、請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、耐久性や信頼性に優れる。
請求項10の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部を形成する前記ニットは、前記紡績糸として非伸縮糸を使用し編み上げたものであから、請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の効果に加えて、荷重による変形が制限され、乳幼児の体形に無理のない姿勢での保持を可能とする。
請求項11の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部を形成する前記ニットは、前記機械編機の8~20ゲージ数で編まれたものであるから、請求項1乃至請求項10の何れか1つに記載の効果に加えて、細かい編目の密な編成により、高い機械的強度が得られ、かつ、荷重による変形を制限し、乳幼児の体形に無理のない姿勢での保持を可能とする。
請求項12の発明に係るベビーキャリアによれば、前記本体部を形成する前記ニットは、ダブルニット組織であるから、コシ及び機械的強度を高くでき、低密な編地密度と高い機械的強度との両立を可能とする。よって、請求項1乃至請求項11の何れか1つに記載の効果に加えて、高い通気性と高い機械的強度との両立を図り、乳幼児にとっての快適性の向上を可能とする。特に、部分的に糸が切れても、そこから編目が解けることがなく、信頼性に優れる。
図1は本発明の実施の形態に係るベビーキャリアの乳幼児保持側とは反対側である外面側からみた正面図である。 図2は本発明の実施の形態に係るベビーキャリアの乳幼児保持側である内面側からみた背面図である。 図3は本発明の実施の形態に係るベビーキャリアの使用状態を示す説明図である。 図4は本発明の実施の形態に係るベビーキャリアのニットの実施物の写真である。 図5(a)は本発明の実施の形態に係るベビーキャリアのニットの実施物において、図1のa部分を示す拡大写真であり、図5(b)は図5(a)のニットの反対面側の拡大写真である。 図6(a)は本発明の実施の形態に係るベビーキャリアのニットの実施物において、図1のb部分を示す拡大写真であり、図6(b)は図6(a)のニットの反対面側の拡大写真である。 図7(a)は本発明の実施の形態に係るベビーキャリアのニットの別の実施物において、図1のa部分を示す拡大写真であり、図7(b)は図7(a)のニットの反対面側の拡大写真である。 図8(a)は本発明の実施の形態に係るベビーキャリアのニットの別の実施物において、図1のb部分を示す拡大写真であり、図8(b)は図8(a)のニットの反対面側の拡大写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、図示の同一の記号及び同一の符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
まず、本発明の実施の形態に係るベビーキャリア1の全体の構成について、図1乃至図3を参照して説明する。
本実施の形態のベビーキャリア1は、乳幼児Bを保持する使用者M側とは反対側で乳幼児Bの身体にあてがわれ乳幼児Bの身体を支持する本体部10と、本体部10の上部に接続され使用者Mの左右の両肩に掛けられる1対の肩ベルト部20R,20Lと、本体部10の下部と一体化し、本体部10の長さ方向に対して直角方向に配設して使用者Mの腰周りに取付けられる腰ベルト部30とを有し、図3に示すように、1対の肩ベルト部20R,20Lを使用者Mの左右の両肩に掛け、また、腰ベルト部30を使用者Mの腰周りに取付け、使用者Mの前側で抱っこまたは使用者Mの背面側でおんぶする乳幼児Bの身体を本体部10によって支持するものである。
本体部10は、乳幼児Bを対面抱っこや前向きおんぶのように乳幼児Bの身体の腹側が乳幼児Bを保持する親等の使用者Mに向くように乳幼児Bを保持する際に乳幼児Bの身体の背側にあてがわれるものである。
また、左右両側で1対の肩ベルト部20は、本体部10の上部の左右両側に環状に接続し、使用者Mの左肩及び右肩に掛けられるものである。肩ベルト部20R,20Lの構成は、特に限定されず、使用者Mの左肩及び右肩に掛ける環状を形成する構成であればよい。
ベビーキャリア1の種類等によっては、図1乃至図3に示したように、肩ベルト部20R,20Lにアジャスタ22を設け使用者Mの肩に掛けまわす長さを調節自在としたり、左右の肩ベルト部20相互間を接続し、また、それらの間隔を調節自在とする肩ベルト調整部23を左右の肩ベルト部20に対し摺動自在に設けたりすることにより、使用者Mの体格に合わせ左右の肩ベルト部20R,20Lが肩から外れ難いように、また、肩の負担が軽減されるようにしてあるものもある。
更に、本実施の形態では、図1乃至図3に示したように、使用者Mの肩への負担を更に軽減するために、使用者Mの腰周りに取付けられる腰ベルト部30が本体部10の下部に一体に接続している。腰ベルト部30の構成も、特に限定されず、本体部10に対し略逆T字状を描くように配設され、その水平方向の長さ方向の端部にバックル、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ、楕円リング等の1対の連結具を設けることによって、使用者Mの腰にまわす長さをもって環状に接続自在、即ち、使用者Mの腰周りに固定する取付け及び取り外しを自在とする構成であればよい。通常は、アジャスタを設け、使用者Mの体格に合わせ使用者Mの腰にまわす長さが調節自在に構成される。なお、腰ベルト部30は本体部10の面方向に対して直角方向に折曲自在に一体に形成されている。
しかし、本発明を実施する場合には、腰ベルト部30は必ずしも必要ではない。
このような構成の本実施の形態のベビーキャリア1は、たすきがけで使用者Mの片方の肩に掛け乳幼児Bを保持するスリング式抱っこ紐とは異なり、図3に示すように、使用者Mの前側で乳幼児Bを抱っこまたは使用者Mの背面側で乳幼児Bをおんぶし、本体部10にて乳幼児Bの全体重を受けてその乳幼児Bの背面を支持し、本体部10の下部の左右両側端部から乳幼児Bの脚が出るように乳幼児Bを保持する保持態様であり、使用者Mの片手または両手の支えなしで乳幼児Bが落下することのない保持を可能とするものである。
なお、図3においては、乳幼児Bを対面抱っこの状態、即ち、使用者Mと乳幼児Bが相向き合う抱っこの状態で乳幼児Bを保持する形態で説明したが、使用者Mと乳幼児Bの向きの関係は特定されず、前向きおんぶ、後ろ向きおんぶ及び前向き抱っこで保持する形態としてもよい。乳幼児Bを前向き抱っこや後ろ向きおんぶのように乳幼児Bの身体の背側が乳幼児Bを保持する親等の使用者Mに向くように乳幼児Bを保持する使用態様の場合には、本体部10は乳幼児Bの身体の腹側にあてがわれるものとなる。また、乳幼児Bの保持態様は、縦抱きに限定されず、使用者Bの前側で乳幼児Bを横抱きする形態も含まれる。
そして、本実施の形態のベビーキャリア1は、使用者Mの前側または背面側で抱っこまたはおんぶする乳幼児Bを支持する本体部10をニット100で形成したものである。
ここで、本実施の形態のニット100について詳細に説明する。
本実施の形態のニット100は、機械編機で紡績糸をループ状に編んで継ぎ目なく一体に形成したものである。
ニット100を形成する紡績糸としては、綿、麻、絹、毛等の天然繊維であってもよいし、合成繊維(ポリエステル、アクリル、アクリル系、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ビニリデン、ポリウレタン、ポリクラール、アラミド、ビニロン、ポリプロピレン等)、半合成繊維(アセテート、トリアセテート、プロミックス等)、再生繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ等)、無機繊維(ガラス、金属繊維、炭素繊維等)等の化学繊維であってもよく、それらを組み合わせてもよい。強度及びコストの観点からして、合成繊維が好ましく、中でも、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂のものが特に好ましい。それら熱可塑性樹脂の合成繊維であれば、機械編機で編み上げられた裁断前のニットのヒートカットを可能とし、ヒートカットで熱融着した端部から繊維の解れが生じ難いニット100となる。
なお、ニット100を製造する機械編機としては、自動工業機、手横機、または家庭機を問わない。
本体部10を形成するニット100は、機械編機として横編機、丸編機、フルファッション編機、吊編機等を使用した緯編み組織の編成であってもよいし、機械編機としてトリコット、ラッセル、ミラニーズ編機等の経編機を使用した経編み組織の編成であってもよいが、本実施の形態のニット100は、糸の連続したループからなる横方向のコース及びそれに対して直角方向でループが互いに絡みあう(連綴する)縦方向のウェールからなる緯編組織を採用した。緯編みであれば、経編みと比較し、柔らかいソフトな風合いを出すことも可能である。
本実施の形態のニット100を構成する緯編組織は、例えば、平編(天竺編)、ゴム編(リブ編)、パール編(ガーター編)、両面編(スムース編)の編み方を基本組織とし、それら基本組織の編み方のみで形成してもよいし、それら基本組織にニット、タック、ミス、ウェルト等の編み方を適宜組み合わせた変形組織のみで形成してよいし、基本組織と変形組織を組み合わせた編成としてしてもよい。また、シングルニットであってよいし、リバース編み、ダブルフェイス編み、重ね編み、接結編み、ダンボール編み等、表裏面を互いに別々の糸で同時に編んだ2重のニットからなるダブルニット構造であってもよい。中でも、機械的強度と通気性の両立から、2重のニットがタック止め等で接結された接結編みによって重ね編みされたダブルニット組織が好ましい。
本実施の形態のニット100を構成する緯編組織は、横編機または丸編機等の機械編機において、好ましくは、8~20ゲージ数、より好ましくは、10~16ゲージ数、更に好ましくは、10~14ゲージ数の針床を使用して編成される。ゲージ数が大きすぎ目が粗くなりすぎると、過度な伸縮性、弾性変形によって、乳幼児Bの反り返りや沈み込みが大きく、乳幼児Bの保持姿勢に負荷がかかるものとなる。また、所定の機械的強度が得られず、強度を得るために太糸を使用した際には、乳幼児Bに食い込みやすくなり、乳幼児Bに負荷がかかるものとなる。一方、ゲージ数が小さすぎると、目が細かくなることで、伸縮性が小さくなりフィット性が低減するため、ストレスが集中して部分的な傷みが生じやすくなる。好ましくは、8~20ゲージ数、より好ましくは、10~16ゲージ数、更に好ましくは、10~14ゲージ数の針床で編成することで、乳幼児Bの保持姿勢に負荷がかからず、また、部分的なストレスを生じさせない多少の適度な伸びと機械的強度が得られる。
そして、本実施の形態のニット100では、その全体で弾性、伸縮性、機械的強度、通気性等の特性、物性を一定とする設定であってもよいし、編み方、度目(ループ長)、紡績糸等の変化により部分的に弾性、伸縮性、機械的強度、通気性等を変化させてもよい。なお、度目(ループ長)等は、例えば、給糸のテンション(編む強さ)や針の運動量を変えることよって変化させることが可能である。
例えば、乳幼児Bの頭部または背中や腰にあてがわれる部分では、編地の密度を高くする編み方や度目(ループ長)としたり、強度の高い紡績糸を用いたり、紡績糸の本数を増大したりすることで、硬さ、強度を高め、乳幼児Bの頭部や背中、腰部分をしっかり支持して身体のグラつきを防止し、乳幼児Bの保持姿勢に負荷がかからない安定した保持を可能とする一方で、オムツの着用によって湿気がこもりやすい乳幼児Bの臀部にあてがわれる部分では、編地の密度を低くし乳幼児Bの動きに対し弾性変形しやすくする編み方や度目にすることで、通気度を高め蒸れを軽減し、また、乳幼児Bの臀部を柔らかく支持したり、乳幼児Bの臀部を落ち込みやすくしたりして乳幼児Bの重心位置を安定させて保持安定性を高めたりすることが可能となる。
ここで、本実施の形態の本体部10を形成するニット100の一実施例を、図4乃至図8も参照して、説明する。
本実施の形態の一実施例に係るニット100Aは、丸編機、具体的には、12ゲージ針数の針床を有するダブルシリンダタイプの両頭機(円筒状の針床であるシリンダを上下に組み合わせ、両頭針を上下に動かして編む機械)を使用して編まれたものであり、ゴム編(リブ編、畔編)の基本組織(原組織)と、その基本組織に対しニット、タック、ミス、ウェルト、目移し等を加えた(応用した)変化組織とを組み合わせ編み上げたものである。
詳細には、本実施例のニット100Aを形成する編目組織は、図4乃至図8に示すように、リンクス編(パール編)組織にニット、タック、ミス、ウェルト、目移し等でループを変化させて網目状に編成した低密な変化組織部101と、ゴム編(リブ編、畔編)で形成される緻密な(高密な)基本組織部102とから構成されているものである。
変化組織部101は、表目と裏目の組み合わせからなるリンクス・アンド・リンクス編みの基本組織に対し、ニット、タック、ミス、ウェルト、目移し等を組み合わせて、網目状(アインレット状)に編み上げたものであり、総ゴム編の基本組織部102よりも、編地密度を低密として通気を良くし、また、横方向及び縦方向に多少弾性変形しやすくして乳幼児Bの動きに対する柔軟性、フィット性を良くしている。即ち、リンクス・アンド・リンクス編みの基本組織に対し、ニット、タック、ミス、ウェルト、目移し等を組み合わせて編み上げた変化組織部101は、リンクス・アンド・リンクス編みの基本組織から通気を許容する開口(孔)101aを形成する編み方によって基本組織よりも多少弾性変形しやすくなっている。なお、この変化組織部101では、縦伸びと横伸びの差が少ない編み方であり、部分的な負荷が生じがたく、特定の箇所にストレスが集中しないから、長寿にできる。しかし、本発明を実施する場合には、特定方向の伸縮を付与する編み方とすることもできる。なお、リンクス・アンド・リンクス編みの基本組織からニット、タック、ミス、ウェルト、目移し等で編目を変化させた変化組織部101では、ループの目移し等による重なりをもつことで、総ゴム編の基本組織部102よりも、若干厚みが増している。
一方、基本組織部102は、総ゴム編(総針ゴム編)とし、ダブルシリンダタイプの両頭機前後(上下)両側で互い違いにある針床(12ゲージ針数)の全部の針を使用して編み上げたものであり、変化組織部101よりも目が詰まって弾性変形し難くなっている。
そして、本実施例のニット100Aでは、図1乃至図3に示すように、本体部10を形成するニット100Aの下部側、即ち、乳幼児Bの臀部側に対応する部位は、網目状に編成した低密な変化組織部101で形成し、ニット100Aの上部側、即ち、乳幼児Bの腰から背中側に対応する部位は、網目状に編成した低密な変化組織部101と緻密な基本組織部102を組み合わせている。
こうして、本実施例のニット100Aでは編み方の変化によって、ニット100Aの粗密を変化させており、網目状の低密な変化組織部101では、緻密な基本組織部102よりも通気性が高く、また、多少の弾性変形による柔軟性を良くしている。
したがって、本実施例のニット100Aにおいては、本体部10の下部側、即ち、オムツの着用によって湿気がこもりやすい乳幼児Bの臀部側を、低密な変化組織部101で構成したことで、通気をよくし、水分の乾きも速くして蒸れを軽減でき、かつ、低密な網目状としたことにより多少の弾性変形、柔軟性、ストレッチ性を許容して乳幼児Bの臀部を柔らかく支持し、乳幼児Bや使用者Mの体形や動きへのフィット性、馴染みを良くしている。また、乳幼児Bの臀部の体圧分散を良くし、乳幼児Bの臀部にかかる負荷を軽減できる。特に、本実施例の変化組織部101の編み方では、特定方向の弾性変形を高くするものではなく、伸縮の方向性がないから、乳幼児Bの臀部の体圧が分散しやすく、乳幼児Bの臀部にかかる負荷を少なくできる。
一方で、本体部10の上部側、即ち、乳幼児Bの腰から背中側は、緻密な基本組織部102と低密な変化組織部101を組み合わせた構成により、乳幼児Bの背中から腰部分をしっかり支持して身体のグラつき、後方への傾き、反り返りのない硬さ、強度と通気性との両立を図っている。
加えて、本実施例のニット100Aにおいては、基本組織部102と変化組織部101との編み方の変化によって、模様、柄が付与され、デザイン、意匠的効果を独特なものとしている。
例えば、図1乃至図8においては、低密な変化組織部101と緻密な基本組織部102は、互いに横方向、縦方向、斜め方向の特定方向に並行する規則的な配列、デザインでなく、ランダムな配置、即ち、各コース方向において、低密な変化組織部101を構成する編み方と緻密な基本組織部102を構成する編み方とで切り替ええて変化させ連続的に編成されるも、それらの目数の配分及び位置は、ウェール方向で統一していない。緻密な基本組織部102を見ると、斜めのラインとなり、適宜交差する模様となっている。
勿論、低密な変化組織部101と緻密な基本組織部102は、コース毎に変化組織部101と緻密な基本組織部102を切り替えてもよいし、1列のコースに変化組織部101の編目と緻密な基本組織部102の編目を組合わせてもよい。
そして、本実施例のニット100Aは、例えば、非伸縮性のポリエステル糸(非熱融着糸)を4本取りして12ゲージ針数で編み上げたものであるが、部分的に、それらポリエステル糸(非熱融着糸)に加え熱融着糸を挿入している。
具体的には、本実施例では、図1乃至図3に示した本体部10に対し1対の肩ベルト部20R,20Lの長さ方向の端部が接続した相互間の水平方向の横幅に対応する部位105において、4本のポリエステル糸(非熱融着糸)に加え1本の熱融着糸が挿入され編み込まれている。
即ち、使用者Mの両肩に肩ベルト部20R,20Lを掛けて乳幼児Bを保持するタイプのベビーキャリア1においては、乳使用者Mの両肩に肩ベルト部20R,20Lを掛けて乳幼児Bを抱っこまたはおんぶした際に、乳幼児Bを支持する本体部10を形成するニット100Aにおいて、1対の肩ベルト部20R,20Lの長さ方向の端部が接続した位置の相互間の水平方向の横幅に対応する部位105に、負荷、引っ張り力がかかりやすい。
そこで、その特定の部位105では、熱融着糸を編み込んでおり、編み込まれた熱融着糸は、機械編機で編み上げたニット100に対しクセ取り等のために施されるアイロンプレスによる加熱によって、溶融、融着されている。これより、熱融着糸が編み込まれた特定の部位105では、熱融着糸の融着によってニットが硬くなり、伸縮性が制限され、機械的強度が高まる。特に、熱融着糸による融着では、通気性を損なうことなく、機械的強度を高めることができる。よって、ベビーキャリア1の繰り返しの使用によっても、特定の部位105で、編目が伸びたり解れたり(切れたり)することはなく耐久性及び信頼性の高いものとなっている。
更に、本実施例のニット100Aは、2重のニットがタック止め等で接結されて重ね編みされたダブルニット組織である。
本実施例のニット100Aのダブルニット組織は、表裏の編地を構成する糸が他方の編地の組織にタックで編込まれて連結することにより、または、表裏の編地を別々の糸で構成し、表裏でループを作らずに単独で表裏編地を連結する連結糸を備えることにより、二枚のニットの重なりが一体に編まれたものである。そして、本実施例のニット100Aでは、その表裏を同一の編み組織としたものである。
このようなダブルニット構造のニット100Aでは、縫い合わせが部分的に外れたり糸が解けたりして破断や伸びが生じるといったことはなく、安全性及び信頼性の高いものである。即ち、部分的に糸が切れてもそこから連続的に糸が解れることはなく、機能の一部が欠落することはない、信頼性の高い編み方であり、品質管理する上でも、安定した製品が得られる。
また、ダブルニット構造のニット100Aでは、シングルニットよりも厚みが増すから、網目状の低密な編地密度による通気性と高い機械的強度との両立を可能とする。即ち、低密な編地密度により高い通気性を確保しつつ、低密な編地密度としても荷重による変形が少なく機械的強度を高くできる。したがって、信頼性も高く、かつ、乳幼児Bにとって快適な姿勢での保持を可能とする。
更に、このようなダブルニットの組織では、例えば、表裏の編地の一方を吸水性、吸湿性の高い紡績糸で構成し、他方を吸水性、吸湿性に乏しく速乾性のある紡績糸を使用することで、湿気の上昇の防止、蒸れの軽減を図ることも可能となる。即ち、吸水性のある編地側を乳幼児B側の内面にし、吸水性に乏しい編地側を外面にすると、乳幼児Bから発汗した汗が吸水性のある編地側で吸収される一方、反対側の編地では、吸水性が低く速乾性があるから、吸湿した水分が移行すると、蒸散されやすくなる。このため、蒸れ、暑さの軽減効果が得られる。特に、メッシュ状等に編まれ低密な編目組織では、吸湿した水分の蒸散効果も高くなる。
加えて、このようなダブルニット組織では、ニットの表と裏の両面を同一の編み組織とすることが可能であり、ニットの表裏を同一とした編み組織であれば、表裏で張力、伸縮力がバランスされて、ニットの歪み、皺が生じ難く、乳幼児Bへの違和感を生じ難いものとなる。しかし、本発明を実施する場合には、ニットの表と裏で編み組織が異なるダブルニット編成であってもよく、表裏で編地密度を相違させてもよい。
なお、ニット100Aに使用する紡績糸は、特に問われるものではないが、色彩や色調の異なる糸を組みあわせて使用するとデザイン、意匠的効果を独特なものとする。特に、ダブルニット組織では、例えば、図7及び図8に示すように、表裏の編地を色彩の異なる糸で編むと、表裏で色彩を異にすることができる。また、表裏を同じ色彩の糸で編み上げても、異なる色彩、色調を組み合わせた引き揃え糸や撚糸を用いることで、図5及び図6に示すように、ニットの表裏を同一とした編み組織であっても、表裏で色調を異にすることもできるし、また、表及び裏の一面側で不規則な色柄を付与することができる。
なお、引き揃え編みやプレーティング編み(添え糸編み)の技法でも、色彩的なデザイン、柄、模様の変化を可能とする。
ところで、本実施例のニット100Aは、紡績糸を筒状に編み上げる丸編機を使用して編み上げられ、その筒状に編み上げられたニットを所定形状に切断(カット)することによって1枚のニットとして得られたものである。このように丸編み機を使用すれば、筒状に編み上げられた1つの筒状ニットを所定形状に切断(カット)することで、1つの筒状ニットから所定形状の複数枚のニット100Aを作製できるため、効率よくニット100Aを製造することができる。
そして、このときのニットの切断は、例えば、カッター(刃物)、レーザーカット、ヒートカットが可能であるが、本実施例のニット100Aでは、熱可塑性樹脂の合成繊維であるポリエステル糸で編んだことから、編糸を熱で溶かしてカットするヒートカット処理にも好適であり、編糸が焦げたり過剰に溶けたりすることなく、精度、仕上がりのよいヒートカットが可能である。そして、ニット100Aのヒートカットされた端面は、糸同士の溶融よる接着によって拘束されるから、切断された紡績糸が解れ難いものとなる。
特に、本実施例のニット100Aの編目組織は、リブ編み等のように大きな伸縮性を出す編目組織でなく、また、非伸縮性糸を使用するから、弾性変形し難く形状安定性が高いものである。よって、ヒートカット作業時の伸びも少なくてカットの作業性もよく、ばらつきの少なく寸法精度のよいカットが可能である。
しかし、本発明を実施する場合には、機械編機で編み上げたニットの切断処理は、必ずしも必要とされるものではなく、編目の増減の変化で所定形状に編み上げる成形編みで編んでもよい。特に、緯編組織であれば、ニット形状の設計自由度、成形自由度が高いものである。また、成形のニットでは、カットロスも少なくできる。
なお、図1乃至図3におけるニット100では、例えば、水平方向の横幅は、15cm~28cm、その横幅に対して直角な方向の縦幅は、38~50cmとされ、縦の長さ方向の中央側で横幅を幅広としたものであるが、本発明を実施する場合には、ニット100の形状は、特に問われず、横幅を一定としてもよいし変化させてもよい。
そして、所定形状に切断されたニット100Aは、上述したように、アイロンプレスが施されることで、クセ取りながされ、また、特定の部位105において熱融着糸が融着して硬くなる。
本実施の形態のベビーキャリア1では、このようにして機械編機で紡績糸を編んで一体に形成したニット100によって使用者Mの前側または背面側で抱っこまたはおんぶする乳幼児Bを支持する本体部10を形成したものである。
なお、本実施の形態では、丸編機で編み上げときの編幅の方向を、本体部10の水平方向に合致させている。即ち、ニット100のループの糸が連続する横方向(糸の給糸方向)の編目列であるコース方向を本体部10の横方向(水平方向)に合わせ、ループの糸が絡み合う縦方向、つまり、コース方向に対して直角な方向であるウェール方向を本体部10の水平方向に対し直角な縦方向に合致させている。緯編みよって伸縮性が大きい方のコース方向を本体部10の水平方向に合わせることで、縦伸びを制限し、乳幼児Bを抱っこまたはおんぶしたときに乳幼児Bが沈み込むことなく、ニット100にかかる負荷も軽減できる。しかし、本発明を実施する場合には、コース方向を本体部10の縦方向にあわせてもよい。
ところで、本実施の形態のベビーキャリア1においては、図1乃至図3で示したように、所定形状としたニット100に対し、それらの周囲端部を縁取ることによって、本体部10の全体を構成している。
ニット100の周囲端部を縁取る縁取部107は、例えば、比較的強靭な布生地を0.5cm~5cm程度の幅でニット100の周囲端部に縫付けることによってニット100の周囲端部を縁取ったものである。
縁取部107の構成は、特に限定されるものではなく、吸水性や通気性を有する生地を使用すれば、蒸れ等を防止することができるし、可撓性を有し若干の弾性を持つ芯材やクッション材(弾性材)を配設すれば、緩衝性、保護効果が高まり、乳幼児Bへの当たりも良くできる。クッション性及び通気性の両立から、表裏のメッシュ生地間に空気層を形成する連結糸を織り込んで特定の厚みを有するダブルラッセル生地を用いることも可能である。なお、ダブルラッセル生地は、例えば、旭化成株式会社から「フュージョン(商標名)」、また、帝人興産から「エアクィーン(商標名)」等として販売されているものが使用できる。
特に、本体部10によって支持する乳幼児Bの脚が出される本体部10の下部側の水平方向の左右の両側端部は、乳幼児Bの臀部や太腿に触れるところ、その部位にクッション性を持った縁取部107があると、ニット100の端部が乳幼児Bの臀部や太腿に直接当たらず、乳幼児Bの臀部や太腿部への圧迫、食い込みを防止できる。
また、このように本体部10のニット100の周囲端部を縁取部107で補強した際には、本体部10の水平方向の左右両側端部の縁取部107ではその内側に配設するニット100よりも弾性変化が小さく、ニット100の伸び、弾性変化が縁取部107の影響を受けながら変化し、即ち、縁取部107がニット100の伸び、弾性変化を抑制するから、特に、乳幼児Bの臀部を受ける本体部10の下部では、乳幼児Bの臀部を受けたときに、ニット100のループ構造で本体部10の水平方向の中央側がその左右両側よりも多少弾性変形しやすいものであるから、乳幼児Bの臀部を包み込むように、乳幼児Bの臀部の形状へのフィット性を高め、乳幼児Bの臀部の重心位置の位置ずれが生じ難い安定した保持性の向上を可能とする。つまり、荷重に対応させた弾性変化、立体的な変形を付与できて、皺を生じ難くでき、乳幼児Bに違和感を与え難い安定した快適な姿勢での保持を可能とする。
このようなニット100の周囲端部を縁取る縁取り部107としては、比較的強靭な布生地をニット100の周囲端部に縫付けることに限定されず、例えば、ニット100の周囲端部を生地等で包んで縫製する細幅のパイピング処理としてもよいし、極太の糸等で編んだ厚みや強度のあるニットをニット100の周囲端部に接続することで形成してもよい。何れにせよ、ニット100の周囲端部を補強できればよい。
しかし、本発明を実施する場合には、ニット100の周囲端部を縁取る縁取り部107は省略してもよく、ニット100のみで本体部10を構成してもよい。このとき、ニット100の端部においては、強度を出す編み方で縁取りをしても良いし、例えば、メリヤス編み等の編み方のように表裏で編目、模様を異にするものとし、ニットの表裏で強弱差を付与することで、ニット100の端部を丸まりやすく(巻きこみやすく)して厚みをだし、クッション性を付与することも可能である。
また、ニット100の中央側と左右両側で、編み方、密度、目数、使用する編糸の変化によって弾性変化の強弱を設けることでも、荷重に対応させた弾性変化、立体的な変形を付与できて、皺を生じ難くでき、乳幼児Bに違和感を与えない安定した快適な姿勢での保持を可能とする。例えば、緯編を行う丸編機、横編機等では、水平方向の中央側で編地密度を下げ、左右の両側端部で編地密度を上げる編み方によって、即ち、編幅であるコース方向で編み方、編成密度を変化させることによって、中央側の伸びが制限されるから、保持する乳幼児Bの姿勢の安定性を高めることができる。なお、このときの水平方向における弾性変化は、徐々に変化させることで、特定の部位にストレスが集中、負荷をかけることがなく、部分的な傷みが入り難いものとなる。
なお、本実施の形態のベビーキャリア1では、ニット100の周囲端部の縁取り部107に対し、本体部10の上部側の左右側部及び左右の上端部において、1対の肩ベルト部20R,20Lが縫着等によって環状に接続されている。
しかし、本発明を実施する場合には、ニット100に対し、1対の肩ベルト部20R,20Lを接続することも可能である。
このときニット100に対し、1対の肩ベルト部20R,20Lを縫着してもよいし、例えば、上述した実施例のニット100Aでは、リンクス・アンド・リンクス編みの基本組織に対し、ニット、タック、ミス、ウェルト、目移し等を組み合わせて編成された変化組織部101が網目状(アインレット状、メッシュ状)であるから、この実施例のニット100Aのように、ネット状に編成された網目組織を有するものであれば、その網目の開口(孔)に紐、リング等の環状部材(連結具)を取付け、その環状部材を介して他の部材、例えば、肩ベルト部20R,20Lや、腰ベルト部30や、乳幼児Bを覆うフード等の接続を行うことも可能となる。
1対の肩ベルト部20R,20Lについては、従来のように布地内に芯材やクッション材を配設した仕様としてもよいが、本体部10のニット100と同様に、機械編機を使用して紡績糸を編んでなるニットで形成することも可能である。このときの1対の肩ベルト部20R,20Lを構成するニットは、本体部10のニット100の編み方と同様であってもよいし、相違するものであってもよい。1対の肩ベルト部20R,20Lにも網目状(アインレット状、メッシュ状)の開口(孔)を設け、その開口と本体部10のニット100の開口とに環状部材を取付けることによって、本体部10のニット100と1対の肩ベルト部20R,20Lのニットを接続するようにしてもよい。
更に、本実施の形態では、本体部10の下部に使用者Mの腰回りに装着される腰ベルト部30を縫着によって接続しているが、この腰ベルト部30についても、従来のように布地内に芯材やクッション材を配設した仕様に限定されず、本体部10のニット100と同様に、機械編機を使用して紡績糸を編んでなるニットで形成することも可能である。このときの腰ベルト部30を構成するニットも、本体部10のニット100の編み方と同様であってもよいし、相違するものであってもよい。そして、腰ベルト部30にも網目状(アインレット状、メッシュ状)の開口(孔)を設け、その開口と本体部10のニット100の開口とに環状部材を取付けることによって、本体部10のニット100と腰ベルト部30のニットを接続するようにしてもよい。
更に、必要に応じ、本体部10の上部及び1対の肩ベルト部20R,20の間に装着され、眠った乳幼児Bの頭部のぐらつき、後方への反り返りを防止するために乳幼児Bの頭部を覆うヘッドフードを設けることも可能である。かかるヘッドフードは、日よけ、風よけ、雨よけ、授乳時の授乳隠しカバーとしても機能する。ヘッドフードは、本体部10のニット100または縁取り部107に縫製してもよいし、連結具を介して取付けてもよい。また、ヘッドフードにおいても、本体部10のニット100と同様に、機械編機を使用して紡績糸を編んでなるニットで形成することも可能である。
このように本実施の形態のベビーキャリア1は、紡績糸を編んで継ぎ目なく一体に編成されたニット100で本体部10を構成するから、そのニット100内ではパーツの組み合わせによる継ぎ目、段差、皺の発生に起因する刺激やストレスを生じさせない。
即ち、従来では、パーツの切り替え、即ち、裁断(カット)等された所定形状のパーツの縫製の接合で、乳幼児Bの体形に対応した立体的な形状を形成したり、部分的に弾性、伸縮性、強度、通気性等を変化させたり、デザイン、柄を付与したりしているものであるのに対し、本体部10をニット100で構成するものでは、パーツの切替え、縫製に依らず、ニット100内で編み方、目数(ゲージ数)、度目(ループ長)、編糸、給糸のテンション(編む強さ)等を変化させることによって、部分的に弾性、伸縮性、強度、通気性等を変化させたり、デザイン、柄を付与したり、また、ニット100のループ構造により乳幼児Bに体形、荷重に合わせて立体的に変化したりできるから、パーツの縫合による継ぎ目、段差、皺に起因する刺激やストレスを生じさせない。
加えて、ニット100内では、パーツ縫合時のように継ぎ目に起因する伸縮性の制限も生じない。更に、紡績糸を編んでなるループ(編目)構造のニット100では、ループによる伸縮性も得られる。加えて、ニット100が緯編組織であれば、経編組織と比べ、ループによる伸びを高くできる。よって、乳幼児Bの動きに対する柔軟性、フィット性を高くでき、乳幼児Bの体圧を分散させて乳幼児Bへの負荷も少なく、また、乳幼児Bの体重がかかる負荷も分散されやすく、皺や線も入り難くいから、荷重の集中による損傷も少ない。更に、紡績糸を編んでなるニット100は、ループ構造による伸縮性で皺になり難いものであり、また、乳幼児Bを保持したときの直接体重がかかる部分とそうでない部分との伸縮の相違による皺、線が入り難いものであるから、親が気付き難い皺、線による乳幼児Bの不快感、違和感を軽減できる。
したがって、乳幼児Bの肌への負荷を軽減し快適な姿勢での保持を可能とする。
例えば、従来では、乳幼児Bの臀部を落ち込みやすくして重心位置を安定させるためには、生地を所定形状にカット(裁断)し縫合することによるパーツの切替えによって乳幼児Bの臀部に対応する部位を立体的に形成することが行われていたが、本実施の形態では、本体部10をニット100で形成するから、パーツの組み合わせによる継ぎ目、段差、皺の発生に起因する刺激やストレスを生じさせることがなく、ニット100のループ構造等による多少の伸縮性によって乳幼児Bの体形、動きにフィットして、乳幼児Bの臀部を落ち込みやすくして重心位置を安定させることが可能となる。
更に、本体部10にニット100が使用されていると、ニット100のループ構造等による多少の伸縮性で、面方向の伸縮性に加え、面方向に垂直な方向のキックバック性、弾力性も得られるから、クッション材を設けなくとも、乳幼児Bの当たりがよく、乳幼児Bの体圧分散性を高くでき、乳幼児Bにかかる負荷を少なくできる。加えて、軽量性を両立できる。
また、本実施の形態のニット100においては、ポリエステル糸等の合成繊維からなる紡績糸を使用しても、8~20ゲージ数、より好ましくは、10~16ゲージ数、更に好ましくは、10~14ゲージ数の針床での編成によって、高い編目密度で紡績糸をニットするから、擦れ等による毛羽立ちや、毛玉が生じ難いものであり、長期の使用によっても外観性が低下しない。また、毛羽立ち等により乳幼児Bの肌を刺激したり傷付けたりする恐れもない。
特に、本実施の形態のニット100では、ポリエステル、超高分子量ポリエチレン等の合成高分子の合成繊維からなる非伸縮性の紡績糸を8~20ゲージ数、より好ましくは、10~16ゲージ数、更に好ましくは、10~14ゲージ数の針床で編むことによって、ニット100の縦方向の引張り強さは、JIS L 1096 A法(ラベルドストリップ法)に準拠した測定で、好ましくは、229N以上、18000N以下、より好ましくは、250N以上、15000N以下、更に好ましくは、280N以上、13000N以下である。また、引裂強さは、JIS L 1096 D法(ペンジュラム法)に準拠した測定で、好ましくは、10N以上、より好ましくは、11N以上、更に好ましくは、12N以上である。更に、破裂強さは、JIS L 1096 A法(ミューレン形法)に準拠した測定で、好ましくは、500kPa以上、より好ましくは、530kPa以上、更に好ましくは、550kPa以上である。こうして、本実施の形態のニット100では、ポリエステル糸等の合成繊維からなる非伸縮性の紡績糸を8~20ゲージ数、より好ましくは、10~16ゲージ数、更に好ましくは、10~14ゲージ数の針床で編むことによって、細かい編目の密な編成により、乳幼児Bの荷重による変形を制限し、かつ、高い機械的強度を得て、乳幼児Bの体形に無理のない姿勢で、乳幼児Bを使用者Mの前側での抱っこや使用者Mの後ろ側でのおんぶによる保持を可能とする。特に、本実施の形態のニット100は、そのループ構造からループの変形によって乳幼児Bの多少の弾性変形、柔軟性を許容するも、非伸縮性の紡績糸を8~20ゲージ数、より好ましくは、10~16ゲージ数、更に好ましくは、10~14ゲージ数の針床で編むことによる細かい編目の密な編成により、乳幼児Bの体重を受けても弾性変形し難いもの、即ち、ニット100の伸縮を制限している。つまり、本体部10としてのニット100は、編み方や伸縮糸で伸縮性を高めるのとは逆特性とし、縦の伸縮を制限した使用である。伸縮の制限は、熱融着糸の使用やダブルニット構造によって高めることもできる。
そして、本実施の形態のベビーキャリア1の本体部10を形成するニット100では、ポリエステル糸等の合成繊維からなる非伸縮性の紡績糸を8~20ゲージ数、より好ましくは、10~16ゲージ数、更に好ましくは、10~14ゲージ数の針床で編んだことによって、細かい編目の密な編成により高い機械的強度を得て、1対の肩ベルト20L,20Rを使用者Mの左右の両肩にかけて使用者Mの前側で抱っこまたは使用者Mの背面側でおんぶする乳幼児Bを深く沈ませることなく所定の高さ位置で支えてぐらつきのない安定した保持を可能とするものである。
このように上記実施の形態のベビーキャリア1は、乳幼児Bの身体にあてがわれ乳幼児Bを支持する本体部10と、本体部10の上部の左右両側に接続され、乳幼児Bを保持する使用者Mの両肩に掛けられる1対の肩ベルト部20とを具備するベビーキャリア1であって、本体部10が機械編機で紡績糸を一体に編んでなるニット100で形成されたものである。
本実施の形態のベビーキャリア1においては、乳幼児Bの体重をニット100で支持するが、ニット100であれば、その編み方、目数(ゲージ数)、度目(ループ長)、編糸等を変化させることで、部分的に弾性、伸縮性、強度、通気性等を変化させたり、デザイン、柄を付与したりすることが可能であり、パーツの組み合わせ、切り替え、縫合で弾性、伸縮性、強度、通気性等の特性を変化させるものでないから、パーツの縫合に起因する継ぎ目、段差、皺による刺激やストレスを生じさせない。また、ニット100がループ構造であるから、そのループによる伸縮性が得られるうえ、継ぎ目による伸縮性の制限が生じないから、皺、線が入り難いものである。よって、乳幼児Bの動きに対する柔軟性やフィット性の向上も可能で、乳幼児Bの動きによって窮屈感を生じさせないものとなる。したがって、乳幼児Bの肌への負荷を軽減して快適な保持を可能とする。
特に、上記実施の形態のベビーキャリア1によれば、本体部10のニット100は、機械編機として横編機または丸編機で編成した緯編組織であるから、経編組織よりもループによる伸縮性を高くでき、皺や線がより生じ難く、乳幼児Bの動きに対する柔軟性、フィット性も高くできる。よって、乳幼児Bの体重による負荷をより分散でき、荷重の集中による損傷を少なくし耐久性を向上できる。また、乳幼児Bの体圧が分散されやすく、乳幼児Bへの負荷をより軽減できる。更に、緯編組織では、目数の変化によって或いは度目、給糸張力の変化による成形によって、所望形状のニット100に成形できるものである。したがって、ニット100の形状の設計自由度、成形自由度が高いものである。
そして、上記実施の形態のベビーキャリア1によれば、本体部10のニット100は、機械編機の8~20ゲージ数で編成されたものであるから、細かい編目の密な編成で高い機械的強度が得られ、かつ、荷重による変形が制限され、乳幼児Bの体形に無理のない姿勢での保持を可能とする。即ち、1対の肩ベルト20L,20Rを使用者Mの左右の両肩にかけて使用者Mの前側で抱っこまたは使用者Mの背面側でおんぶする乳幼児Bを深く沈ませることなく乳幼児Bの体形に無理のない開脚姿勢で支えて保持することができる。
また、上記実施の形態のベビーキャリア1において、紡績糸が熱可塑性樹脂の合成繊維であると、合成繊維の優れた強度、弾力性によって、ニット100の機械的強度、かつ、面の弾力性、キックバック性を向上できる。よって、乳幼児Bに対する体圧の分散性を高くし、乳幼児Bに対する負荷をより軽減できる。また、低密な編地密度、軽量性、薄厚と、強度、耐久性との両立を可能とする。更に、熱可塑性樹脂であるからヒートカットしたときでも、精度、仕上がりの良い切断した端面が得られ、また、その端面は繊維同士の熱融着によって拘束されるから、切断された端面から繊維が解れ難く、強度や耐久性の信頼性が高いものとなる。ヒートカットによる熱溶着に限らず、ニット100の端部を合成接着剤で樹脂接着しても、その端部から紡績糸の解れが生じ難く強度や耐久性の信頼性を向上できる。
更に、上記実施の形態のベビーキャリア1において、紡績糸が非伸縮性の糸であると荷重による過大な変形もなく、乳幼児Bの体形に無理のない姿勢での保持を可能とする。
そして、上記実施の形態の一実施例にかかるニット100Aでは、その下部側が低密な変化組織部101で形成される一方、その上部側は緻密な基本組織部102と低密な変化組織部101とで形成されており、下部側が上部側よりも相対的に粗い編成組織であるから、オムツによって湿気が高くなる乳幼児Bの臀部を受ける下部側は、通気性を高くして蒸れや蒸れによる不快感を防止できる一方で、本体部10の上部側では、下部側よりも密な編成組織により、硬さ、強度を高めて、乳幼児Bの背中、腰部分をしっかり支持して身体のグラつきを防止でき、乳幼児Bにとっての快適な保持を可能とする。
特に、上記実施の形態の一実施例にかかるニット100Aは、その上部側が相対的に粗い編成組織の変化組織部101と密な編成組織の基本組織部102の組み合わせであるから、乳幼児Bの背中、腰部分に対応する上部側において、通気性と機械的強度を両立でき、乳幼児Bにとっての快適性の向上を可能とする。
更に、上記実施の形態の一実施例にかかるニット100Aは、ネット状に編成された網目組織の変化組織部101を有するから、通気性が確保され蒸れを軽減できる。また、ネットの網目に環状部材等の連結具の取付けを可能とし、その連結具を介した他パーツ、例えば、肩ベルト、腰ベルト、フード、小物入れ等の接続を可能とする。
加えて、上記実施の形態の一実施例にかかるニット100Aでは、紡績糸として熱融着糸と非熱融着糸を用いており、熱融着糸は、加熱によって融着されることで剛性、強度を向上できるから、ニット100Aの機械的強度の向上を可能とする。
特に、上記実施の形態の一実施例にかかるニット100Aは、本体部100に対し1対の肩ベルト部20R,20Lの長さ方向の端部が接続した相互間の水平方向の横幅に対応する部位105に、熱融着された熱融着糸を含むことによって、特定の部位105の伸びを制限し、そこの機械的強度を高めたものである。したがって、使用者Mの両肩に肩ベルト部20R,20Lを掛けて乳幼児Bを抱っこまたはおんぶする際に、本体部10に対し1対の肩ベルト部20R,20Lが接続された相互間の水平方向の横幅に対応する部位105にかかる負荷、引っ張り力が大きくても、破断し難く、耐久性に優れる。特に、熱融着糸の融着であれば、通気性を損なうことなく、機械的強度の向上を可能とする。即ち、高い機械的強度と通気性を両立させることができる。
また、上記実施の形態の一実施例にかかるニット100Aは、ダブルニット組織としたことから、コシと機械的強度を高くでき、低密な編地密度と高い機械的強度との両立を可能とする。よって、高い通気性と高い機械的強度との両立を図り、乳幼児Bにとっての快適な保持の向上を可能とする。特に、部分的に糸が切れても、そこから編目が解けることがなく、信頼性に優れる。
また、ダブルニット組織であれば、乳幼児B側に配置される表裏面の一方に吸湿性のある糸を使用し、反対面側の他方に吸湿性の低い糸を使用することで、湿気を吸収した一方から、他方へ水分を蒸散させることが可能となる。よって、蒸れの低減化も可能となる。
なお、上記実施の形態では、本体部10は、1枚の平面的なニット100からなるものであるが、本発明を実施する場合には、ニット100を複数枚重ねてもよい。また、本体部10を形成するニット100は、例えば、丸編み機やホールガーメント(登録商標)等の無縫製横編機で筒状に編まれた筒状ニットであってもよい。更に、筒状ニットの筒内に、或いは、2枚のニットの間に、ウレタン等の芯材やクッション材を入れてクッション性、緩衝性を高めるようにしてもよい。更に、複数枚のニットを重ねる場合(筒状ニットを含む)には、縫着や接着により一体にすることもできる。
本発明を実施するに際しては、ベビーキャリア1のその他の構造、形状、材質、生地、大きさ、長さ、幅、接続関係等については、上記実施の形態及び実施例に限定されるものではない。
10 本体部
20R,20L 肩ベルト部
100,100A ニット
B 乳幼児
M 使用者

Claims (12)

  1. 乳幼児の身体にあてがわれ乳幼児を支持する本体部と、前記本体部の上部の左右両側に接続され、前記乳幼児を保持する使用者の両肩に掛けられる1対の肩ベルト部とを具備するベビーキャリアであって、
    前記本体部は、機械編機で紡績糸を一体に編んでなるニットで形成したことを特徴とするベビーキャリア。
  2. 前記本体部の前記ニットは、前記機械編機として横編機または丸編機で編成した緯編組織であることを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
  3. 前記紡績糸は、熱可塑性樹脂の合成繊維を使用したものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のベビーキャリア。
  4. 前記本体部の前記ニットの端部は、樹脂接着または熱融着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のベビーキャリア。
  5. 前記本体部の前記ニットは、その下部側が上部側よりも相対的に粗い編成組織であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つにベビーキャリア。
  6. 前記本体部の前記ニットは、その上部側が相対的に粗い編成組織と密な編成組織の組み合わせからなることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載のベビーキャリア。
  7. 前記本体部の前記ニットは、ネット状に編成された網目組織を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のベビーキャリア。
  8. 前記本体部の前記ニットは、前記紡績糸として熱融着糸と非熱融着糸を用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載のベビーキャリア。
  9. 前記本体部の前記ニットは、前記本体部に対し前記1対の肩ベルト部の長さ方向の端部が接続した相互間の水平方向の横幅に対応する部位に、熱融着された熱融着糸を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載のベビーキャリア。
  10. 前記紡績糸は、非伸縮性の糸であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載のベビーキャリア。
  11. 前記本体部の前記ニットは、前記機械編機の8~20ゲージ数で編成されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1つに記載のベビーキャリア。
  12. 前記本体部の前記ニットは、ダブルニット組織としたことを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1つに記載のベビーキャリア。
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